説明

サブミリ波カメラ

本発明は、ミリ及び/又はサブミリ放射に利用される撮影装置に関し、撮影装置は少なくとも1対の基板を備え、少なくとも1つの前記基板が、少なくともその1面において、少なくとも1つの放射検出器を画定するパターンにパターン化され、前記放射検出器が、ミリ及び/又はサブミリ電磁放射を受信するように適合されたアンテナと、前記アンテナに結合され、出力信号に接続するために基板を通って延伸するビアと連通するミキサチャンネルと、前記ミキサチャンネルに取り付けられたフィルターを備え前記アンテナによって受信した前記放射に応じた中間周波信号を抽出するミキサと、前記ミキサに結合され、ローカル発振器に接続する入力信号を有する導波管構造とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サブミリ波撮影装置に関し、限定しないが、特に1つ又は複数のヘテロダイン検波器を用いた常温カメラに関する。
【背景技術】
【0002】
テラヘルツ電磁波スペクトルは、無線電波と可視光波とが融合する周波数の範囲まで広がる。そのため、テラヘルツ放射の検出は、光学及び電波技術の混合を利用している。
【0003】
テラヘルツ波で撮影するのに必要とされる個々の構成要素の規模の結果、テラヘルツ撮影システムのコストは一般的に手に届かないほど高い。
【0004】
しかし、多くの、可視光の領域では不透明な物質がテラヘルツ波では透明になるため、テラヘルツ波は撮影目的のためには潜在的に非常に有用な波長として長く認識されてきた。特に、霧のような多くの気象条件がテラヘルツ波にとっては透明なので、テラヘルツ波の撮影素子が地球の表面を撮影するのに適している。これは同時にテラヘルツ撮影素子を、例えば、悪天候の時に飛行機を飛ばし陸上車両を運転する場合、潜在的に有用な撮影装置に仕立てる。多くの物質のテラヘルツ波に対する透明性は、安全確保のための有用なツールとしても確認されている。取り分け、衣類がこれら周波数の下で透明になることは、服装の下に着用されて隠された武器をはっきり見ること、また、四方にキャンバスをつけたトラックやトロッコに隠された人を見つけることを可能にする。さらに、人体がこれらの周波数で放射するという事実を考慮すれば、テラヘルツ放射が、潜在的に有力な、例えば、皮膚ガンの早期検査ための診察手段としても確認されている。また、テラヘルツ撮影の応用が化学、食品産業でも確認されている。例えば、これらの周波数でそれぞれ異なる透過/反射特性を有する1つ以上の成分を検出する。
【0005】
従って、本発明は、サブミリ(即ちテラヘルツ)及び/又はミリ波を用いて、常温の下で、微弱パッシブテラヘルツ放射を検出することが可能な撮影装置を提供することを目的とする。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明により提供されるミリ及び/又はサブミリ放射に利用される撮影装置は、少なくとも1対の基板を備え、少なくとも1つの前記基板が、少なくともその1面において、少なくとも1つの放射検出器を画定するパターンにパターン化され、前記放射検出器が、ミリ及び/又はサブミリ電磁放射を受信するように適合されたアンテナと、前記アンテナに結合され、出力信号に接続するために基板を通って延伸するビアと連通するミキサチャンネルと、前記ミキサチャンネルに取り付けられたフィルターを備え前記アンテナによって受信した前記放射に応じた中間周波信号を抽出するミキサと、前記ミキサに結合され、ローカル発振器に接続する入力信号を有する導波管構造とを備えることを特徴とする。
【0007】
1つの好ましい実施の形態では、1対の前記基板が、ミキサチャンネル及びローカル発振導波管構造をそれぞれ有する複数のアンテナを共同して画定するパターンを有する。また、1対の基板のうちの1つが対向の両面にパターン化され、撮影システムがさらに、1面がパターン化された第3の基板を備えて、3つの基板がそれらのパターンで協働して2行のアンテナ及びそれぞれのミキサチャンネル、ローカル発振導波管構造を画定する。
【0008】
さらなる1つの好ましい実施の形態では、前記ミキサチャンネルが前記ローカル発振導波管と鋭角に交差する。
【0009】
1つの好ましい実施の形態では、撮影装置が、撮影解像度を向上するために複数の撮影ピクセルを有し、複数色の画像を生成することができる。
【0010】
本発明は、基板内に3次元構造を製造する方法をも提供し、基板の1面上に相違するパターンを有する複数のマスクを、1つがもう1つの上に直接に重なり合うように形成すること、及び1つのマスクを通じてエッチングし、そしてそのマスクを除去し、残りのマスク毎に、このプロセスを繰り返すことを含む。その趣旨で、撮影装置用の基板を製造するプロセスに関する本発明は、第1マスクが、最大のエッチング深さの、各放射検出器の第1領域に対応する第1パターンを有し、第2マスクが、中間エッチング深さの、各放射検出器の前記第1領域及び第2領域に対応する第2パターンを有し、第3マスクが、最も浅いエッチング深さの、各放射検出器の前記第1及び第2領域、並びに第3の領域に対応する第3パターンを有しており、前記基板の1面上に、前記第1、第2及び第3パターンマスクを備えるステップと、前記第1マスクの第1パターンを通じて、前記最大のエッチング深さと前記中間エッチング深さの差と実質的に等しい第1の深さに、第1エッチングを行うステップと、前記第1マスクを除去するステップと、前記第2マスクの第2パターンを通じて、前記中間エッチング深さと前記最も浅いエッチング深さの差と実質的に等しい第2の深さに、第2エッチングを行うステップと、前記第2マスクを除去するステップと、前記第3マスクの第3パターンを通じて、前記最も浅いエッチング深さと実質的に等しい深さに、第3エッチングを行うステップとを含むことを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1のテラヘルツカメラ1は、上にスキャン用光学素子3が取り付けられたX−Y載物台2と、テラヘルツ検波器4と、処理器5とを備えている。スキャン用光学素子3の構成は従来と同じように、複数の、例えば平面の、又は放物線状の、又は双曲線状のミラー6,7を有する。各ミラー6,7がそれぞれの直交するトラック8,9に移動可能に取り付けられ、標本固定支持台(図示せず)上の標本からの入射光をテラヘルツ検波器4に導くように配置される。2つのミラー6,7のそれぞれのトラック上の相対移動は標本が直交する方向にスキャンされることを可能にする。別のやり方では、例えば、ミラーを回転、又は反転させることを利用してスキャンを行うこともできる。
【0012】
当然のことながら、ミラー6,7が、ロスを最小にするために、特に、放射の強さが10−12Wのオーダーとなりうる標本の受動放射を撮影する場合、特定の放射に対して高い反射率を呈すべきである。
【0013】
図1に示されたテラヘルツカメラの実施例では、2つのミラー6,7の移動が別々のリニアモータ10,11により制御され、モータ10,11がX−Y平面におけるミラーの精確な位置調整を確実にするステップモーターでありうる。各モータ10,11は、処理器5に接続されるデータポート12を備え、ミラーの瞬時位置情報に関するデータを入力、又はコンピュータからの制御信号を受信する。既に述べたように、ミラーの反転などもスキャンに利用されうる。
【0014】
テラヘルツ検波器4は中間周波(IF)電子回路28、及びコントローラ5に接続されている出力データポート13を有するベースバンド電子回路29と結合されている。コントローラ5は、好ましくは、従来のデスクトップ又は携帯型のコンピュータであって、検波器4からの映像データ及びモータ10、11のドライバからの位置データを受信し、同期化させ、これらのデータよりスキャンされた標本の映像を構築する。従来のデータ取得ソフトウェアがこの目的に使用されうる。この映像は、スクリーン上に表示され、及び/又はプリンターに出力され、並びに通常ファイルとして保存されうる。図2において、テラヘルツ検波器4が詳細に示されている。その構成要素は、例えばシリコン構造のような半導体中に製造され、又はその上に取り付けられる。図3及び図4には、テラヘルツ検波器4の一例を示している。また、金属構造も使用することができる。テラヘルツ検波器4の構成要素には、ホーンアンテナ14と導波管15を有するアンテナ、ミキサ16、及びローカル発振供給部17が含まれる。アンテナが、所定の周波数の電磁波(入力信号)を選択的に受信し、導波管15が、ローカル発振供給部17に接続しているミキサ16と連通しており、ローカル発振供給部17が、導波管構造を備えており、ローカル発振器に接続する入力信号を有する。ミキサ16が入力信号及びローカル発振入力にヘテロダインを発生させて、中間周波(IF)出力を生成する。 換言すれば、この実施例では、IF信号は、図1に示されているような外部よりも検波器内に生成される。ミキサ16が、マイクロストリップを備え、該マイクロストリップの上には、ローカル発振入力を導波管15から隔離するための第1のパスバンドフィルター18と、バックストップとして動作し、予め選択されたIF出力のみを通過させる第2のパスバンドフィルター19とが備えられている。
【0015】
図に示されているように、ミキサ16が、導波管15と実質的に直角となるように配置されている。しかし、ミキサ16の軸とローカル発振供給部17の軸とは直交しておらず、むしろ鋭角をなしている。ローカル発振供給部17がミキサ16に対して鋭角となるような配置は、より広い帯域幅においてバックショートの長さを縮小して、多くの従来の90°の配置に比べてミキサ遷移の帯域幅を改善する。また、ローカル発振供給部17とミキサ16のこの配置は、特にこれらの周波数の撮影システムに追加の利益をもたらし、即ち各検波器の占める空間を縮小して、より多くの検波器をより近接に配置することを可能にし、カメラの解像度を改善する。
【0016】
図示された検波器4が例えば、16の別々のホーンアンテナを備えて2色、8ピクセルアレイを提供する。テラヘルツ波の映像を生成するのに必要な検波器4の開口のサイズは、個々のホーンアンテナ間の間隔が図示の例では約2.5mmに制限されるほどである。この間隔は、ミキサがローカル発振供給部に対して90°となる多くの従来の配置を行わせるには不十分であり、結果として検波器の開口がアンテナの数を制限してしまう。しかし、ローカル発振入力供給部17の軸をホーンアンテナ14の軸と実質的に整列するように配置し、且つミキサとローカル発振供給部17の軸の交差を45°に配置することにより、同じ面積における検波器の数を増やすことができる。これにより、検波器の解像度を改善する。
【0017】
当然のことながら、ミキサ16とローカル発振供給部17の図示された配置が、特に解像度を増やすためにアンテナのアレイを有する検波器の場合に好ましいが、本明細書に説明されるテラヘルツ撮影システムは、多くの従来のミキサとローカル発振供給部の配置をも網羅することを目的とする。
【0018】
上記のように、検波器4が半導体、例えば、図1に示されたトップ層23,中間層20及び下位層24の3つの個別のエッチング層を有するシリコン構造により製造される。図3及び図4は、上面21及び下面22の両方がエッチングされている中間層20を示している。上位層23と下位層24がそれぞれ1つの面だけエッチングされ、これらの面のエッチングパターンは中間層20の上面21及び下面22のそれぞれのエッチングパターンの鏡像である。このように、シリコンの個々の層にとってはエッチングパターンが開放的であるが、3層が一緒にされるときは、これらの面のそれぞれのエッチングパターンが合致し、これらの面の界面に沿って延伸する導波管構造を定義する。協働位置孔及びピン25が各層の表面に設けられて、各層の互いに精確な位置調整を確実にする。
【0019】
図3及び図4に示された中間層20を参照すれば、中間層20の上面21には8つの別々のホーンアンテナが示されている。図4において、中間層20の反対側の下面22上に2行目の8つのホーンアンテナのアウトラインをも見ることができる。各ホーンアンテナ14がそれぞれ各々の導波管15とミキサ16に接続される。個々のローカル発振供給部17が各々のミキサ16と接続し、他方ではミキサの上流で互いに相互接続して、1つの共通ローカル発振入力26に接続する。従って、2つの別々のローカル発振入力26が存在し、それぞれが中間層20の各面(8−アンテナのセット毎)に対応する。また、ローカル発振源(図示せず)との接続を容易にするために、好ましくは、これら2つの出力26が、中間層20のエッジの異なる位置に出現する。
【0020】
導波管構造を画定するエッチングパターンの寸法が検波器4の機能にとって重要であり、また、この寸法は従来のモデリング技術により決めることができる。図に示された検波器は2色の検波器であって、1セット目の8−アンテナは第1のテラヘルツ波を検出し、平行な2セット目の8−アンテナは相違する第2のテラヘルツ波を検出する。このことにより、今度は、各セットの8−アンテナのエッチングパターンの寸法が入力信号及びローカル発振信号の周波数に応じて少々異なることが要求される。さらに、構造強度を最大化するために、図4において見られるように各行のホーンアンテナが互いにオフセットされている。以下の図5に関する測定値が、ただ典型的な寸法を示すために提供されたものである。
【0021】
【表1】


ミキサ16の下流、各アンテナためのIF出力がそれぞれのビア27を通って延伸する配線に沿ってシリコン積層構造の外表面へ伝わる。従って、1シリーズの8つのIF出力ビアがトップシリコン層23中を通って延伸し、対応するシリーズの8つのIF出力ビアがボトムシリコン層24中を通って延伸する。IF出力が、そこから従来のシリーズの2段増幅器28を通って集積検出器29に伝わり、そしてそこから処理器5のデータ入力ポートに伝わる。
【0022】
250GHzのパッシブ放射を検出するために、例えば、245GHzのローカル発振信号を用いて5GHzのIF信号を抽出することができる。当然のことながら、上記引用した周波数は1つの例示にすぎず、従来のヘテロダイン理論を用いてその他の適切なローカル発振周波数及びIF周波数を特定することができる。
【0023】
上記説明した検波器を用いることにより、テラヘルツ周波数でのパッシブ放射を室温で検出することができ、且つヘテロダイン受信器の使用は、スペクトル的に限定した、高感度の検波器を確実なものにする。上記では2色8−ピクセルのアレイを説明したが、言うまでもなく、2層のパターン化されたシリコンのみを有する1つアンテナのテラヘルツカメラは上記説明されたように具現化することができる。さらに、共通ローカル発振入力26をシリコン層の周辺に沿って異なる位置に配置させれば、より多くのパターン化されたシリコン層を追加することができる。ただし、アンテナを2行以上備える場合、IF出力ビアが中間のシリコン層を通らなくてはならなく、それらの層の導波管構造を避けなければならないために、各異なる行のアンテナのパターンを互いにオフセットさせる必要がある。
【0024】
もちろん、1行におけるアンテナの数が8でなくてもよく、1行に8を超えるアンテナを備えてもよい。
【0025】
さらに、個々の導波管構造の製造に、金属化された真性シリコン又は金属のスラブを使用するよりも、アンテナは光のバンドギャップ材料で製造されることが予想される。これは、隣接するアンテナ間の信号漏れを防ぎ、また、ミキサ、及び信号入力、ローカル発振LO信号並び中間周波IF出力の伝導のために代替の構造を提供することができる。
【0026】
上記説明した導波管構造が個々のシリコン層のエッチングを必要とし、これらの構造を製造する新しい方法が以下に説明される。図6aを参照して、シリコン基板30が示されており、その上面には、3つのマスク31,32,33が、1つのマスクが次のマスクの上に置かれ、隣接するマスクと互いに直接接触するように備えられている。トップから順に、最上位の第1マスク31がポジ・レジスト又は金属のマスクである。第1マスクのすぐ下には、SU8又はほかの適切なアミドマスク材料のような第2のネガ・レジストマスク32がある。第2マスクの下は第3マスク33であり、好ましくは、二酸化シリコン、又は窒化アルミニウムである。第1マスク31は基板内の最も深い構造を画定し、その他の領域を早期エッチングから保護する。第2マスクは、基板の最も浅いエッチングを必要とする領域を保護しながら、最も深いエッチング領域に加えて、中間深度のエッチング領域を露光させる。最後の第3マスクは、既にエッチングされたすべてのエリア、及び最も浅いエッチングを必要とするエリアを露光させる。注目すべきは、マスクが必ずしもひとつが次の上に置かれる必要がなく、離れて備えられてもよいことである。
【0027】
上記説明した導波管構造に関して、最も深いエッチングは、ホーンアンテナ14及び導波管15のためにパターン化され、中間深度のエッチングは、ローカル発振導波管構造の大部分にとって必要であり、また最も浅いエッチングは、ミキサチャンネルにとって不可欠である。一旦各層が全部形成されると、第1のエッチングはポジ・レジストマスク31を用いて行われる。エッチングは、その深さが最も深い構造の所望の最終的深さと中間構造の最終的深さの差と等しくなるまで続く。次に、ポジ・レジストマスク31は、下のネガ・レジストマスク32に影響しないアミン系ストリッパーのような、通常のストリッパーを用いて除去される(図6b)。次の段階のエッチングはSU8マスク32を通じて、中間構造と最も浅い構造の所望の最終的深さの差と等しい深さまで行われる。第1エッチング段階でエッチングされたパターンが露出されたままのため、このパターンが再度エッチングされ、基板のより深くまでエッチングされる。一旦、第2エッチングが完了すると、第2マスク32が除去され(図6c)、これは下の第3マスクに影響しない。そして、第3、且つ最後段階のエッチングが行われ、この段階では、パターンの最も浅い特徴がエッチングされ、既存のパターンがさらに基板30の中により深く、最終的深さまでエッチングされる。次に、第3マスク33を除去する(図6d)。この手順が従来の手順と異なり、それぞれのマスクが隣接するマスク上に直接重畳する複数の相違するマスク、及びエッチングステップ間にウェハの表面に新しいマスクを形成しないエッチング手順を用いている。
【0028】
その後、シリコンが所望の領域(導波管とビア)で金属化される。
【0029】
本明細書では固定のテラヘルツカメラ及び移動可能なスキャン用光学素子を用いた、従来の標本をスキャンするためのX−Y載物台の利用について説明したが、言うまでもなく、このような構成の代替案を予想できることは明白である。例えば、標本をX−Y載物台に乗せ、そして移動させて標本の異なるエリアをスキャンすることが可能である。
【0030】
また、スキャンが、ローカル発振入力の位相の調整によって完全に電子的に行われることが可能である。これに関しては、移相器を個々のローカル発振供給部17に取り込むことができる。周知のように、移相器は導波管により構成されるが、導波管はその1つの壁の内部に取り付けられた高抵抗真性シリコンのスラブを有する。シリコンのスラブは入射光に露出され、該入射光によってシリコンは抵抗素子及び/又は金属の性質を呈する。入射光の強さはシリコン内部の変化が到達する深さを決め、導波管の寸法を変化させてその分散特性を変化させる。
【0031】
本明細書で説明した撮影装置は、パッシブなミリ及びサブミリ電磁放射の検出に適しており、これについては、コンパクトなサイズ、潜在的な携帯性、及び室温での計測能力から見れば、特に利便性がある。従って、飛行機及び陸上車両の両方において、また安全システム、化学及び食品産業、並びに医療診断にこの撮影装置をすぐに応用することが予想される。もちろん、応用の範囲は上記特定した項目には限定されなく、また、撮影システムの電力要求が低いため、例えば宇宙からの撮影に特に適している。
【0032】
言うまでもなく、添付の請求項により定義される本発明の範囲から逸脱することなく、代替の構成要素及び代替の製造技術を使用しうることは、明白である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係る2色テラヘルツカメラの概略図である。
【図2】図1のテラヘルツカメラの検波器の拡大図である。
【図3】図1のテラヘルツカメラに採用された導波管構造の平面写真である。
【図4】導波管構造の両面エッチングを示す図2の導波管構造の斜視写真である。
【図5】図2の導波管構造の線画である。
【図6a】図2と図3の導波管構造の製造ステップを示す図である。
【図6b】図2と図3の導波管構造の製造ステップを示す図である。
【図6c】図2と図3の導波管構造の製造ステップを示す図である。
【図6d】図2と図3の導波管構造の製造ステップを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミリ及び/又はサブミリ放射に利用される撮影装置であって、少なくとも1対の基板を備え、
少なくとも1つの前記基板が、少なくとも1面において、少なくとも1つの放射検出器を画定するパターンにパターン化され、
前記放射検出器が、
ミリ及び/又はサブミリ電磁放射を受信するように適合されたアンテナと、
前記アンテナに結合され、出力信号に接続するために基板を通って延伸するビアと連通するミキサチャンネルと、
前記ミキサチャンネルに取り付けられたフィルターを備え、前記アンテナによって受信した前記放射に応じた中間周波信号を抽出するミキサと、
前記ミキサに結合され、ローカル発振器に接続する入力信号を有する導波管構造と、を備える撮影装置。
【請求項2】
1対の前記基板のそれぞれが、少なくとも1面において、合わせて前記放射検出器を画定する協働可能なパターンにパターン化されることを特徴とする請求項1に記載の撮影装置。
【請求項3】
前記パターンが、複数の前記放射検出器を画定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の撮影装置。
【請求項4】
少なくとも第3の基板を備え、
3つの前記基板が、2行の前記放射検出器を画定することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の撮影装置。
【請求項5】
前記ミキサチャンネルが、前記ローカル発振導波管と鋭角に交差することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の撮影装置。
【請求項6】
前記アンテナが、
ホーンアンテナ(14)と、
前記ホーンアンテナ(14)と連結し、前記ミキサチャンネルと90°の角度で交差するアンテナ導波管(15)と、を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の撮影装置。
【請求項7】
前記アンテナ導波管が、前記ホーンアンテナの軸から鋭角の角度だけオフセットされていることを特徴とする請求項6に記載の撮影装置。
【請求項8】
前記ローカル発振導波管が、前記ホーンアンテナの軸と平行であることを特徴とする請求項7に記載の撮影装置。
【請求項9】
上記クレームのいずれかの1つに係る撮影装置用の基板を製造するプロセスであって、
第1マスク(31)が、最大のエッチング深さの、各放射検出器の第1領域に対応する第1パターンを有し、第2マスク(32)が、中間エッチング深さの、各放射検出器の前記第1領域及び第2領域に対応する第2パターンを有し、第3マスク(33)が、最も浅いエッチング深さの、各放射検出器の前記第1及び第2領域、並びに第3の領域に対応する第3パターンを有しており、
前記基板の1面上に、前記第1(31)、第2(32)及び第3パターンマスク(33)を形成するステップと、
前記第1マスク(31)の第1パターンを通じて、前記最大のエッチング深さと前記中間エッチング深さの差と実質的に等しい第1の深さに、第1エッチングを行うステップと、
前記第1マスク(31)を除去するステップと、
前記第2マスク(32)の第2パターンを通じて、前記中間エッチング深さと前記最も浅いエッチング深さの差と実質的に等しい第2の深さに、第2エッチングを行うステップと、
前記第2マスク(32)を除去するステップと、
前記第3マスク(33)の第3パターンを通じて、前記最も浅いエッチング深さと実質的に等しい深さに、第3エッチングを行うステップと、を含むことを特徴とするプロセス。
【請求項10】
前記第1(31)、第2(32)及び第3マスク(33)が、1つのマスクが次のマスク上に置かれるように隣接するマスクと直接に接触することを特徴とする請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
前記マスク(31,32,33)のうちの1つが、ポジ・レジスト或いは金属のマスク、もう1つがネガ・レジスト或いはアミドのマスク、残りの1つが二酸化シリコン或いは窒化アルミニウムのマスクであることを特徴とする請求項10に記載のプロセス。
【請求項12】
前記第1領域が、前記アンテナに対応することを特徴とする請求項10又は請求項11に記載のプロセス。
【請求項13】
前記第2領域が、少なくとも前記導波管構造の一部に対応することを特徴とする請求項10ないし請求項12のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項14】
前記第3領域が、前記ミキサチャンネルに対応することを特徴とする請求項10ないし請求項12のいずれか1項に記載のプロセス。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−505157(P2006−505157A)
【公表日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−546033(P2004−546033)
【出願日】平成15年10月27日(2003.10.27)
【国際出願番号】PCT/EP2003/013342
【国際公開番号】WO2004/038854
【国際公開日】平成16年5月6日(2004.5.6)
【出願人】(593082494)
【Fターム(参考)】