説明

シンセサイザまたは発振器モジュールと、このシンセサイザを用いたシンセサイザモジュール、受信装置、及び電子機器、ならびに分周器の分周比の制御方法

【課題】制御部による分周器の制御に起因したノイズの発生を抑え、受信特性の良好な受信機を実現可能なシンセサイザを提供することを目的とする。
【解決手段】制御部7は、温度を検出する温度検出部8の出力信号に基づいて第2の分周器6へ適当な整数分周数Mや分数分周数Nの制御信号を送り、第2の分周器6の分周比を変化させる。つまり、第2の分周器6は、分周数Mが入力される整数部分と、分周数Nが入力される分数部分により構成される。制御部7は、温度を検出する温度検出部8の温度信号に基づいて第2分周器6の分周比を不均一な時間間隔で変化させる。これにより、第2分周器6の制御に伴い特定周波数に多数発生するノイズを抑圧することができ、シンセサイザの位相雑音を低減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発振周波数の温度補償方法に特長を有するシンセサイザ又は発振器と、これらを用いたシンセサイザモジュール、又は、受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
以下、基準発振器の温度補償を行う従来のシンセサイザについて、図13を用いて説明する。図13は、従来の基準発振器の温度補償を行うシンセサイザ100のブロック図を示している。図13において、従来のシンセサイザ100は、基準発振器101から出力された基準発振信号が第1分周器102で分周された後、比較器103へ入力され、更に、比較器103の出力信号はローパスフィルタ104で、積分され、直流近傍の周波数を持つ信号に変換される。この信号電圧値に基づいて、電圧制御発振器VCO(Voltage Controlled Oscillator)105は発振信号をローカル信号として出力する一方で、その他方を第2分周器106へ入力する。第2分周器106では、チャンネル指定に従って、制御部107から指定される分周数で、その信号を分周し、比較器103へ出力する。比較器103では、前記と同様に、第2分周器106からの入力信号と第1分周器102からの入力信号とを比較する。以上が、一般的な、周波数シンセサイザの動作であるが、図13で示したシンセサイザ100では、更に、温度検出部108が検知する温度により第2分周器106の分周数を制御している。動作を簡単に説明すると、周期性を有した時間間隔で、温度検出部108において周囲温度を検出し、その温度をA/D変換器109でデジタル信号に変換し、予め、温度による補正値が記憶されたメモリ110から所定の値を読み出して、制御部107へ出力し、更に、第2分周器106の分周数を変更する。
【0003】
また、従来の発振器モジュールについて、図14を用いて説明する。図14において、従来の発振器モジュール115は、発振子112と、発振子112に接続されるドライバアンプ111と、発振子112に接続されるスイッチモ群113と、スイッチ群113とグランドとの間に接続されるリアクタンス素子群114と、温度検出部108より発振子112の近傍温度に関する温度信号を取得し、その温度信号を基にメモリ110から制御信号を入手すると共に、この制御信号をスイッチ群113に送信する制御部107とにより構成される。温度検出部108から制御部107へ温度信号が送信される間隔は周期性を有した時間間隔であり、これに対応して制御部107からスイッチ群113に制御信号が送信される間隔も周期性を有した時間間隔となる。
【0004】
上記のような制御により、発振子112の周囲温度変化に起因した発振周波数のずれを補正することが可能となる。
【0005】
この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【特許文献1】特開平3−209917号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のシンセサイザ100または発振器モジュール115において、制御部107は、均一な時間間隔で制御信号を送信し、周囲温度変化に起因した発振周波数のずれの補正を行うが、均一な時間間隔で制御信号を送信することに起因して、結果的に、位相雑音が大きくなり、受信機のC/Nが劣化し、良好な受信特性が実現できなくなる。
【0007】
そこで、本発明は、制御部の制御信号の送信間隔に着目し、工夫することで、制御部による分周器またはスイッチ群の制御に起因したノイズの発生を抑え、受信特性の良好な受信機を実現可能なシンセサイザ又は発振器モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明のシンセサイザは、基準発振器から出力された基準発振信号が入力される比較器と、比較器の出力信号に基づいて発振信号を出力する電圧制御発振器と、電圧制御発振器の出力信号を制御部からの制御信号に基づいて分周する分周器とを備え、比較器は、分周器からの出力信号と基準発振器からの出力信号とを比較してこの比較結果を示す信号を電圧制御発振器に出力すると共に、制御部は、温度を検出する温度検出部の温度信号に基づいて分周器の分周比を不均一な時間間隔で変化させる構成である。
【0009】
また、本発明の発振器モジュールは、温度検出部と、周波数可変発振器と、温度検出部の温度信号に基づいて周波数可変発振器の発振周波数を制御信号により離散的に変化させる制御部とを備え、制御部による周波数可変発振器の制御は不均一な時間間隔で行われる構成である。
【発明の効果】
【0010】
上記構成により本発明のシンセサイザまたは発振器モジュールは、制御部から制御信号が不均一な時間間隔で送信されるため、均一な時間間隔で送信した場合のように発振周波数に対してある特定の周波数分だけ離れた周波数にノイズが集中して発生することを抑えることができる。これにより、良好な受信特性を有する受信機を実現可能なシンセサイザおよび発振器モジュールを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(実施の形態1)
以下、実施の形態1のシンセサイザについて図1を用いて説明する。図1において、シンセサイザ1は、MEMS発振器2から出力された基準発振信号(fREF1=10MHz)が第1分周器3で分周された後(fREF2=5MHz)、比較器4へ入力され、比較器4の出力信号に基づいて、電圧制御発振器5は発振信号を出力し、その一方は第2分周器6へ入力される。ここで、比較器4に基づいてというのは、少なくとも比較器4の出力結果を間接、或いは、直接受けてと言う意味で、間に、別の回路ブロックを介して、その出力を電圧制御発振器5が受けてもよい。本実施の形態では、比較器4の出力をチャージポンプ9により、電流成分に変換し、更に、そのチャージポンプ9の出力をループフィルタ10で受けて、直流近傍の成分のみ取り出して、電圧制御発振器5へ供給している。また、ループフィルタ10は、コンデンサによる比較器4からの電流(電荷)の充電部分と、低周波を通過させる低域通過フィルタで構成されている。次に、第2分周器6は、制御部7からの制御信号に基づいて電圧制御発振器5の発振信号を分周し、比較器4へ出力する。比較器4では、第2分周器6からの入力信号と前記した第1分周器3からの入力信号とを比較して、この比較結果を示す信号を電圧制御発振器5に出力する。以上の繰り返しにより、シンセサイザ1は動作する。温度検出部8は、周囲の温度を検知し、この温度データをアナログ量からデジタル量へ変換し、制御部7に送信する。制御部7は、温度を検出する温度検出部8の出力信号に基づいて第2分周器6へ適当な整数分周数Mや分数分周数Nの制御信号を送り、第2分周器6の分周比を変化させる。つまり、第2分周器6は、分周数Mが入力される整数部分と、分周数Nが入力される分数部分により構成される。制御部7は、温度を検出する温度検出部8の温度信号に基づいて第2分周器6の分周比を不均一な時間間隔で変化させる。ここで、この分周比を制御する時間間隔を等間隔にすると、電圧制御発振器5の出力信号の位相雑音が悪化してしまうことになる。図2(a)にその様子を示す。ここでは、均一な時間間隔、例えば、20msecおきに、周波数の制御を行った際の、シンセサイザ出力のスペクトルの様子を説明する。図2で、縦軸は、電力強度で、横軸は、周波数であり、一定期間の平均の周波数スペクトルを示している。図2で着目すべきは、本来のキャリア信号以外のスプリアス部分の周波数であり、これは、中心に位置するキャリア信号から、上下に、一定周波数、つまり、1/Tp=50Hz間隔で、位置している。この50Hzは、制御周期20msecに対応する周波数、つまり、1/(20×10^−3)に相当する。我々は、この結果に着目し、分周比の制御間隔を均一でない時間間隔で、制御することにより、スプリアスレベルを下げることができるということを見出した。図2(b)に、制御の間隔を不均一にした場合のシンセサイザ出力のスペクトルの様子を示している。ここでは、制御する時間間隔Tは、乱数を生成することによって決定されており、ほぼランダムになっている。これにより、一定間隔で現れるスプリアス(例えば、50Hz間隔)のレベルが下がり、位相雑音も軽減されることになる。
【0012】
次に、より簡便に、時間間隔を切替えて、ある周期で繰り返すことで、位相雑音が下げられる例に関して、説明する。まず、図3において、本発明のシンセサイザの制御部7が第2分周器6に制御信号を送信する時間間隔を説明する。図3の上側のタイムチャートは、温度検出部8が制御部7に温度信号を送信するタイミングを示したものである。図3の下側のタイムチャートは、制御部7が第2分周器6に制御信号を送信するタイミングを示したものである。図3において、温度検出部8が制御部7に温度信号を送信する間隔は、T1で均一である。このタイミングで、毎回、制御部7が第2分周器に制御信号を送信すると、T1の時間間隔で電圧制御発振器の発振周波数は変化することになり、その結果、この発振周波数に対して1/T1の周波数間隔でスプリアスが発生し、位相雑音性能を悪化させることになる。このスプリアスの発生を抑圧するため、本発明のシンセサイザでは、図3に示すように、制御部7が第2分周器6へ不均一な時間間隔で制御信号を送信することになる。図3の「制御部→第2分周器」のタイムチャートにおいて、最初、時間間隔T1で2回、制御信号が送信されるが、その後、時間間隔がT2、T3、T4、T1と不均一に変化し、全体としても非周期的であるので、第2分周器6の切り替え制御に伴うスプリアスの発生を低減することが出来、位相雑音性能の悪化を軽減することができる。この場合、時間間隔T1、T2、T3、T4に相当する周波数1/T1、1/T2、1/T3、1/T4に対応する周波数間隔にスプリアスを分散させることで、位相雑音を低減している。
【0013】
また、特許請求の範囲に記載した「不均一な時間間隔」とは、図3に示したように、制御信号を送信する時間間隔が少なくとも一部で異なっていることを指している。
【0014】
図4にも、同様のタイムチャートを記載している。図4においては、制御信号の送信間隔は不均一な時間間隔となっているが、全体として、T4の時間間隔で制御信号が送信されており、非周期的な時間間隔で制御信号が送信されていない。故に、図4のタイムチャートに従い制御信号を送信した場合、図3のタイムチャートに従って制御信号を送信した場合よりもノイズが発生することが予想される。但し、従来のシンセサイザのように、図4の温度検出部8から制御部7に、温度信号が送信される度に、制御部7から制御信号が送信された場合と比較すると、発生するスプリアスは低減されることになる。これも、前記したように、スプリアスを分散させる効果によるためである。ただ、理想的には、より不均一な時間間隔であると共に、非周期的の時間間隔で制御信号を送信した方が、スプリアスは低減されるため、前記したような、乱数などを用いて発生させた時間間隔を用いて制御する方が、より好ましい乱数の発生は、シミュレーションなどで用いられるモンテカルロ法や、或いは、M系例(最大周期系列)などを用いても良い。後者は、擬似雑音符号などとしても知られ、シフトレジスタと排他的論理和(XOR)、足し算器などの論理回路で簡単に構成することが可能である。図5にM系例の発生回路の一例を示す。7段のシフトレジスタ1〜7に対して、第7のレジスタの出力と、第1のレジスタの出力の排他的論理和(XOR)を取り、入力段にフィードバックしている。クロックの入力ごとに、シフトレジスタをシフトし、内容を書き換える。制御の間隔の数値として用いるのは、例えば、各々のシフトレジスタ1〜7の値を用いる方法や、出力をあるビット数保持しておき、その数値を用いる方法等がある。例えば、ある瞬間のシフトレジスタ1〜7の値が、1、1、1、1、1、1、1であれば(図中の時間t1)、次のクロックで、0、1、1、1、1、1、1となる(図中の時間t2)。次々にクロックが来るたびに、シフトレジスタの内容は書き変わり、そのたびに、乱数が発生することになる(t3、t4・・・・・)。ある瞬間のシフトレジスタの値をSとすると、初期のt1ではS=1111111(2進数表記)である。クロック入力のたびに、再演算されるSの値をそのまま、制御の間隔として用いてもよいし、間隔の大小に差がありすぎると判断される場合には、Sの関数として、制御間隔Tを再定義してもよい。例えば、制御間隔T=f(S)=T0+a×Sなどで定義してもよい。この場合、周期T0が残るので、T0自体を更に、Sの関数とすれば、更に、ランダム性は増すことになる。以上説明した乱数を、制御の間隔として用いることで、よりいっそう、位相雑音性能の悪化を軽減することができる。なお、前記の例では、乱数は2^7−1回のクロックで、元の値に戻る。つまり、周期となる回数は2^7−1となる。
【0015】
次に、図3および図4の「制御部→第2分周器」のタイムチャートにおいて、制御信号を送信するか否かの判断基準の一例を示す。
【0016】
制御部7はメモリを有しており、メモリには、離散的な温度データと、それに1対1で対応した分周比データが記録されている。メモリに記録されたデータの一例を(表1)に示す。
【0017】
【表1】

【0018】
(表1)においては、温度データは0.1度刻みで記録されている。ここで、温度検出部8より、周囲温度は20.3度であるとの温度信号を制御部7が受信した場合、制御部7はメモリの(表1)を参照し、第2分周器6に送信すべき分周比が15932であることを確認する。そして、制御部7は分周比を15932に変更するための制御信号を第2分周器6へ送信する。次に、制御部7が、温度検出部8から周囲温度が20.33度である旨の温度信号を受信した場合、再度、制御部7はメモリの(表1)を参照することになる。しかし、温度データは0.1度刻みであるため、20.33度に相当する分周比データは記録されていない。また、記録されている温度データである「20.3度」と「20.4度」で比較した場合、20.33度は「20.3度」に近いため、「20.3度」の分周比データ「15932」を採用することとする。しかし、前回、制御部7から第2分周器6へは分周比「15932」に変更するための制御信号を第2分周器6へ送信しているため、第2分周器の分周数は15932に既にセットされている。よって、今回は、制御信号を送信する必要はないと判断できる。以上の判断基準により、現実の温度変化を基準にして、制御信号の送信の有無を判断することにより、簡易的に制御信号の送信間隔を不均一なものにすることは可能である。これは、自然界の温度変化自体のランダム性を有するということを使った例である。ただ、上記の簡易的な方法では、制御信号の送信間隔の不均一性が低くなる危険性があるため、この点を改良した方法を以下に示す。
【0019】
制御信号の送信間隔の不均一性を向上させるため、メモリに記録されたデータの内容の改良を図る。メモリの内容について、(表2)に具体的に示す。
【0020】
【表2】

【0021】
(表2)において、データNo.300〜303までは、温度データが0.1度刻みとなっているが、データNo.303以降は、温度データの間隔が不均一になるように設定されている。これにより、上記の簡易な判断基準により制御信号の送信の有無を判断した場合にも、制御信号の送信間隔の不均一性が低くなることを防止することが可能となる。また、基準発振器2の温度特性において、感度の低い温度範囲においては、データNo.303以降のように温度データを間引いた方が、頻繁に制御信号を送信する必要が減る。これにより、スプリアスの発生する頻度自体を減らすことができるので、トータルで見た場合の位相雑音が悪化する時間をより短くすることが可能である。
【0022】
図6を用いて、制御信号の送信間隔の不均一性を更に向上させる方法を示す。
【0023】
図6のタイムチャートは、図3の「制御部→第2分周器」のタイムチャートを改良したものである。図3の「制御部→第2分周器」のタイムチャートにおいて、制御信号の送信間隔は、不均一性を実現している。しかし、図3の「制御部→第2分周器」のタイムチャートは、あくまで、図3の「温度検出部→制御部」のタイムチャートにおける時間間隔T1を基本としたものである。そこで、図6に示したタイムチャートでは、制御信号の送信間隔の不均一性を更に向上させた。図6において、制御部7は、温度検出部8から温度信号を受信してから第2分周器6に制御信号を送信するまでに、任意の遅延時間を入れている。この遅延時間の長さは、制御信号を送信する毎に変更されるため、制御信号の送信間隔の不均一性は向上されることになる。尚、制御部7が遅延時間の長さを決定する方法としては、前記したような乱数発生やM系例などの擬似雑音符号の足し算値を使用する方法が考えられる。
【0024】
また、制御信号の送信間隔の不均一性を向上させる別の方法としては、過去の任意回数分の制御信号の送信間隔をメモリに記録しておく方法が考えられる。制御部7が制御信号を送信する際は、メモリより過去の任意回数分の制御信号の送信間隔を読み出し、それら送信間隔と異なる間隔で制御信号を送信することとなる。これにより、制御信号の送信間隔を非常に不均一なものにすることが可能となる。
【0025】
尚、図7、図8のように、温度検出部8から制御部7への温度信号の送信間隔を不均一にする方法も考えられる。
【0026】
図7において、温度検出部8からの温度信号が時間間隔T1で制御部7へ送信され、前回、制御部7より制御信号が送信された時間t1よりT2=2*T1だけ時間が経過したt2において、新たに制御部7より制御信号が送信されている。この場合、時間t1から時間間隔T1だけ経過した状態では温度変化が小さく、基準発振器2の周波数変化量が小さかったため、制御部7は制御信号を送信しなかった。故に、温度検出部8が制御部7へ温度信号を送信する時間間隔を、T1より長くしても良いことが予想される。よって、図7においては、時間t2以降、温度信号の送信間隔をT3=T1*1.4に変更することにした。これにより、温度変化が少ない場合に、温度検出部8が不要に温度信号を制御部7へ送信することを防ぐことができる。図7においては、時間間隔T1の1.4倍としたが、これは1より大きい数字の倍数であれば、同様の効果が得られる。
【0027】
図7において、時間t2以降は、時間間隔T3(=T1*1.4)で、温度検出部8から温度信号が送信される。そして、時間t2から1回目の温度信号の送信時である時間t3において、制御部7より制御信号が送信されている。これは、時間間隔T3の間に、新たな分周比データを送信する必要が生じるほどの温度変化が生じたことを意味している。故に、この温度変化の状態に対して、時間間隔T3では、温度のサンプリング間隔が長すぎる可能性も予想される。よって、時間t3以降、温度検出部8は時間間隔T4=T3*0.5で温度信号を送信している。これにより、大きな温度変化が生じても、柔軟にその状況に対応することが出来、シンセサイザ1の発振周波数のずれを最小減に抑えることができる。尚、図7においては、時間間隔T4をT3の0.5倍としたが、これは0より大きく1より小さい数字の倍数であれば、同様の効果が得られる。
【0028】
図7において、時間t3以降は、時間間隔T4で、温度検出部8から制御部へ送信される。そして、時間t3から4回目の温度信号の送信時である時間t4において、制御部7より制御信号が送信されている。結果的に、時間t3からt4までの時間間隔においては、温度変化の状態が緩やかであったため、時間間隔T4以上の時間間隔で周囲温度をサンプリングしても良いことが予想される。故に、図7においては、時間t4以降、時間間隔T6=T4*3.4で温度信号を送信している。このように、前回、制御信号を送信してから、今回、制御信号を送信するまでの期間に、制御部7が温度検出部8より温度信号を受信した回数に応じて、請求項5の倍数mの値を決定しても良い。また、請求項5の倍数mや倍数kの値は、制御信号を送信する度に変更しても良い。これにより、制御信号の送信間隔の不均一性を更に向上させることができる。尚、請求項5の倍数mと倍数kは、(数1)の関係を満たした方が良い。
【0029】
【数1】

【0030】
(数1)の関係を満たさない(1/m)=kの場合を例にとり、(数1)を満たすことによるメリットを説明する。図7において、(1/m)=kの関係を満たして時間間隔を決定した場合、時間間隔T1と時間間隔T4と時間間隔T7は等しい時間間隔となり、また、時間間隔T3と時間間隔T6は等しい時間間隔となる。故に、全体的に周期性を有した時間間隔となる可能性が生じてしまう。(数1)の関係を満たして、時間間隔を決定すれば、このような危険性を防止することができる。
【0031】
図8に示したタイミングチャートについても、温度検出部8からの温度信号の送信間隔を不均一にするものである。温度検出部8から制御部7へ温度信号が送信される時間間隔は、温度検出部8が検知した前回の温度と今回の温度との差が既定値より小さい場合には、次回の時間間隔は前回の時間間隔より長くなるように設定されている。また、温度検出部8が検知した前回の温度と今回の温度との差が既定値より大きい場合には、次回の時間間隔は前回の時間間隔より短くなるように設定されている。図8においては、前回の温度と今回の温度との差の既定値が0.25度に設定された場合の例である。時間間隔を長くする割合、短くする割合は、温度信号を送信するたびに変更されることとしてもよい。これにより、温度信号の送信間隔の不均一性を向上させることができ、結果、制御信号の送信間隔の不均一性を向上させることが可能となる。また、図8では、温度信号が送信されるたびに、制御信号を送信する方式としたが、図3、図4、図6に示したように、制御信号を送信する回数を間引く等してもよい。これにより、制御信号の送信間隔の不均一性を向上させることが可能となる。
【0032】
尚、前回の温度と今回の温度との差の既定値は、基準発振器2の温度特性を基準に、温度領域毎に随時変更しても良い。これにより、基準発振器2の温度に対する周波数変化の大きい温度領域では既定値を小さくし、基準発振器2の温度に対する周波数変化の小さい温度領域では既定値を大きく設定でき、不要に制御信号を送信することを防止できる。また、温度信号を送信するたびに、既定値を変更しても良い。これにより、温度信号の送信間隔の不均一性を向上させることが出来、結果、制御信号の送信間隔の不均一性を向上させることが可能となる。尚、シンセサイザ1を有するシンセサイザモジュール(図示せず)は、シンセサイザ1と、MEMS(Micro−Electro−Mechanical Systems)素子からなる振動子により構成された基準発振器2とを有し、この基準発振器2の出力信号が第1分周器3を介して比較器4に入力される。MEMS素子は、例えば、シリコン、或いは、その化合物を主材料として構成される。例えば、シリコン振動子の場合、温度特性が、−30ppm/℃程度と非常に大きいため、ATカット水晶振動子などを用いた場合と比べ、前記したような温度制御を頻繁に行う必要がある。従って、位相雑音の悪化も頻度、量とも大きくなり、前記の制御間隔を不均一にすることによる効果は大きくなる。
【0033】
また、シンセサイザ1を搭載する受信装置(図示せず)は、シンセサイザ1と、このシンセサイザ1からの発振信号に基づいて受信信号の周波数を変換する混合器11とを備える。この場合、シンセサイザは、受信信号を異なる周波数に変換するための、局部発振器として用いられることになる。つまり、受信信号の周波数選択の基準となる発振器として用いられるため、前記のような位相雑音の悪化は、システム全体へ影響することになる。例えば、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)などのマルチキャリアシステムでは、隣接するキャリアに、前記のスプリアスが重畳することになる。以上のことから、受信装置として用いられる場合は、前記の効果は、システム全体に波及することになる。
【0034】
尚、シンセサイザ1を搭載する電子機器(図示せず)は、上記受信装置における混合器11の出力側に接続された信号処理部(図示せず)と、この信号処理部の出力側に接続された表示部とを備える。この場合、例えば、前記のシンセサイザの出力を、直接、或いは、周波数を変えるなどして、間接的に、別のブロックにも用いる場合は、当然、同様の効果が得られる。また、テレビ受像機、携帯電話機の場合には、耐妨害特性の向上にもつながる。また、前記のスプリアスが、別のシステムにノイズとして混入し、ミキシングされて、まったく異なる周波数帯域の信号となり、別システムへ影響するなどと言った不具合を軽減することができる。シンセサイザ部の信号は、高周波回路ブロックの中では、比較的、高電力の信号であるため、前記のスプリアスは、他への影響を考え、極力小さくしておくことが望ましい。これは、シンセサイザを単独で用いる場合と比べ、電気機器として使う場合、つまり、複数システムが共存する機器として用いる場合に、特に顕著であり、本発明の効果、影響が大きくなる。
【0035】
以上説明したように、制御間隔に不均一性(ランダム性)を持たせることにより、シンセサイザの位相雑音の悪化を軽減することが可能となる。また、極力、制御回数を少なくすることで、位相雑音が悪化する時間を短くすることができる。
【0036】
(実施の形態2)
以下、実施の形態2の発振器モジュールについて、図9を用いて説明する。図9において、本発明の発振器モジュール12は、温度検出部8と、周波数可変発振器13とにより構成される。更に、周波数可変発振器13は、ドライバアンプ14と、ドライバアンプ14に接続された振動子15と、この振動子15に接続されたスイッチ部16と、このスイッチ部16とグランドの間に接続されたリアクタンス部17で構成される。制御部7は、温度検出部8の温度信号に基づいて、周波数可変発振器13の発振周波数を離散的に変化させる。具体的には、制御部7から送信される制御信号は、スイッチ部16へ入力され、温度変化により周波数変化を補正するために最適なスイッチの状態変更が成される。請求項11における「発振周波数を離散的に変化させる」とは、第1の周波数から第2の周波数へデジタル的に変化させることを指しており、バリキャップなどの印加電圧のみを用いて、アナログ的に周波数を変更していくことは指していない。アナログ的に周波数を変化させた場合には、位相の不連続が発生せず、位相雑音が発生しにくいためである。例えば、図中のスイッチ部16がなく、直接、リアクタンス部17に振動子15が接続されており、リアクタンス部17がバリキャップであり、バリキャップに印加する電圧をアナログ的に変化させるような構成の場合は、本実施の形態に当てはまらない。但し、バリキャップの電圧をデジタル的に、例えば、0.5V、1V、1.5Vなどから選ばれる離散量で制御する場合は、本実施の形態に当てはまり、その効果が得られる事になる。
【0037】
図9に示した本発明の発振器モジュールにおいて、制御部7による周波数可変発振器13の制御は不均一な時間間隔で行われる。これにより、実施の形態1で説明した本発明のシンセサイザの場合と同様に、スイッチ部16の制御に伴うノイズの発生が抑圧される。制御部7による周波数可変発振器13への制御信号の時間間隔の決定方法は、実施の形態1の図3から図8に示した方法と同様である。これにより、位相雑音の少ない発振器モジュールを実現することができる。
【0038】
(実施の形態3)
本発明のシンセサイザを使用したテレビ受信用モジュールについて、図10を用いて説明する。図10において、本発明のシンセサイザは温度検出部8を含めて同一の半導体IC18に一括に形成され、ベース基板19に実装されている。また、基準発振器の構成要素としてMEMS振動子21が用いられ、ベース基板19の上に実装されている。基準発振器の構成要素としてMEMS振動子21を用いることで、テレビ受信用モジュール22の小型化を実現することができる。例えば、水晶振動子では2.5×2.0mmのサイズが必要だが、MEMS振動子では1.0×1.0mm〜0.3mm×0.3mmのサイズで構成できる。また、高さも半分以下となる。これは、MEMS振動子21が、例えば、シリコン振動子で構成される場合、半導体プロセス、例えば、RIE(Reactive Ion Etching)などの加工プロセスや、フォトリソグラフィープロセスで、形成できるためである。また、前記のサイズは、代表例であり、従来の水晶などの圧電単結晶などを用いる場合に比べ、より小型に作成できる可能性を有している。また、携帯電話に搭載するような小型のテレビ受信用モジュールでは、サイズが、9×9mm〜8×8mmと小型になっているため、以上のサイズ効果は非常に大きいものとなる。つまり、振動子サイズによる受信モジュールのサイズへの影響を軽減できる。他の構成要素に関して説明すると、ベース基板19には、アンテナ23が受信した受信信号が入力される第1フィルタ24と、第1フィルタ24の出力信号が入力されるLNA(Low Noise Amplifier)25と、LNA25の出力信号が入力される第2フィルタ26と、第2フィルタ26の出力信号が入力されるバラン27が実装されている。そして、バラン27の出力信号は半導体IC18に入力される。
【0039】
なお、図12においては、MEMS振動子21を用いたが、前記した小型化の効果を考慮する必要が無ければ、水晶振動子を用いてもよく、また、その他の圧電単結晶を用いた振動子やセラミック振動子、FBAR(Film Bulk Acoustic Resonator)等の薄膜を用いた振動子を用いても良い。また、一般にこのような振動子には、バルク波の振動モードが用いられるが、弾性表面波の振動モードを用いたSAW振動子などを用いてもよい。これらの振動子の選択は、本発明のシンセサイザの使用用途に応じて行えばよい。
【0040】
図12のMEMS発振器を半導体IC18の中に形成した事例を図11、図12に示す。図11では、MEMS振動子21をIC内へ取り込んでいる。また、図12では、前記したLNA25は、半導体IC18の内部に取り込み、第2のフィルタ26、バラン27は、ICを構成する際に不要になるようなシステム構成としている。
【0041】
このように、MEMS振動子と温度検出部が同一のICチップ内に内蔵されることにより、実際のMEMS振動子の温度をより正確に検知することが可能となり、MEMS発振器の発振周波数の調整精度を向上させることができる。例えば、急激な温度変化が起こった際でも、温度伝導の遅延がほぼ無い状態で温度検知が可能となり、それによる受信劣化を引き起こさなくなる。また、特に、図12の構成では、1つの半導体IC18内に外部の構成要素も形成できるため、大幅な小型化ができると共に、製造効率を向上させることができる。また、特に、図12の構成では、アンプなどの発熱部品が、内部に取り込まれたため、図11の構成に比べ、より温度検出部8をMEMS振動子21と同一のICチップ内に搭載する効果が大きくなる。
【0042】
尚、以上説明した本発明の実施の形態では、電圧制御発振器5の出力をシンセサイザ1の出力としたが、電圧制御発振器5の後に、分周器を入れて、シンセサイザ1の出力としても良い。これにより、電圧制御発振器5の発振周波数を高くすることができ、電圧制御発振器5のサイズを小さくすることが可能となる。
【0043】
なお、以上、説明した温度検出部としては、一般的に用いられている半導体を流れる電流の温度特性を利用したような半導体トランジスタをベースとしたセンサや、サーミスタと呼ばれる温度に対して、抵抗値が変化する特性を利用したものや、熱起電力を利用する熱電対を利用したものなどが挙げられるが、これに限るものではない。例えば、温度特性の異なる振動子を2つ用意し、その周波数差から、温度を間接的に、センシングしたり、或いは、別のクロックや周波数情報を有する信号との比較や乗算により、その差分を検知して、周波数ズレをセンシングしても良い。別のクロックとしては、希望波となる受信信号そのものや、GPS(Global Positioning System)用の信号、或いは、電子機器なら、他の回路ブロックから、供給してもらった信号などが挙げられる。要は、温度情報を、間接、或いは、直接、検知できる手段であれば良い。
【0044】
また、受信装置、あるいは、電子機器の場合、受信信号と、シンセサイザ出力の差分を検知して、その差異から、周波数のズレを検知し、その周波数のズレから、温度を間接的に検出しても良い。例えば、受信信号とシンセサイザ出力を周波数混合器(ミキサー)へ入力する。この周波数混合器からは、前記した受信信号と、シンセサイザ出力の和、及び、差の周波数が出力される。シンセサイザの出力周波数が所望の狙った値となっている場合には、この差の周波数は一定値となるが、違った場合、差の周波数が異なった値となる。この差の周波数を検知することで、間接に温度情報を検知することが可能となる。前記の半導体トランジスタをベースとした温度検出部などの直接的に温度検知を行うセンサの場合、その精度は、高々0.1℃程度であるが、前記の差の周波数を検知する方法では、シリコン振動子を用いた場合で、これよりも2桁程度の精度の温度検出が可能となる。シリコン振動子の温度特性は−30ppm/℃であり、差の周波数を検知する方法では、0.01〜0.1ppm程度の周波数ずれの検知が可能である。ここで、0.01〜0.1ppmは、シンセサイザ出力に対しての比である。例えば、0.05ppmのずれは、温度で言うと、0.0017℃に相当する。
【0045】
なお、前記の直接的に温度検知を行うセンサと、差の周波数を検知するような間接的に温度検知を行うセンサの両方を併用しても良い。例えば、初期の同期が確立する前は、直接的に温度検知を行うセンサを用い、確立後は、後者を用いるなどの方法を用いても良い。要は、システム、用途に応じて、使い分ければよい。
【0046】
尚、図10から図12は、本発明のシンセサイザを使用した例として説明したが、本発明の発振器モジュールを使用した場合も同様である。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明のシンセサイザ、又は、発振器モジュールは、例えばMEMS振動子を用いたシンセサイザ、又は、発振器モジュールの位相雑音の発生を低減できるので、受信特性の優れた受信装置や電子機器に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明のシンセサイザのブロック図
【図2】シンセサイザ出力のスペクトラムを示す図
【図3】本発明のシンセサイザのタイムチャート
【図4】本発明のシンセサイザのタイムチャート
【図5】本発明の乱数発生装置を示す図
【図6】本発明のシンセサイザのタイムチャート
【図7】本発明のシンセサイザのタイムチャート
【図8】本発明のシンセサイザのタイムチャート
【図9】本発明の発振器モジュールのブロック図
【図10】本発明のシンセサイザを用いたテレビ受信用モジュールの概念図
【図11】本発明のシンセサイザを用いたテレビ受信用モジュールの概念図
【図12】本発明のシンセサイザを用いたテレビ受信用モジュールの概念図
【図13】従来のシンセサイザのブロック図
【図14】従来の発振器モジュールのブロック図
【符号の説明】
【0049】
1 シンセサイザ
2 基準発振器
3 第1分周器
4 比較器
5 電圧制御発振器
6 2分周器
7 制御部
8 温度検出部
9 チャージポンプ
10 ループフィルタ
11 混合器
12 発振器モジュール
13 周波数可変発振器
14 ドライバアンプ
15 振動子
16 スイッチ部
17 リアクタンス部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準発振器から出力された基準発振信号が入力される比較器と、
前記比較器の出力信号に基づいて発振信号を出力する電圧制御発振器と、
前記電圧制御発振器の出力信号を制御部からの制御信号に基づいて分周する分周器とを備え、
前記比較器は、前記分周器からの出力信号と前記基準発振器からの出力信号とを比較してこの比較結果を示す信号を前記電圧制御発振器に出力すると共に、
前記制御部は、温度を検出する温度検出部の温度信号に基づいて前記分周器の分周比を不均一な時間間隔で変化させるシンセサイザ。
【請求項2】
前記制御部は、温度を検出する温度検出部の温度信号に基づいて前記分周器の分周比を非周期的な時間間隔で変化させる請求項1に記載のシンセサイザ。
【請求項3】
前記温度検出部は、前記温度信号を不均一な時間間隔で前記制御部に送信する請求項1又は請求項2に記載のシンサセイザ。
【請求項4】
前記温度検出部は、前記温度信号を非周期的な時間間隔で前記制御部に送信する請求項1又は請求項2に記載のシンサセイザ。
【請求項5】
温度検出部が、サーミスタ、又は、半導体トランジスタ、又は、熱電対の内、少なくとも1つから構成されている請求項1又は請求項2に記載のシンセサイザ。
【請求項6】
前記温度検出部からの温度信号が時間間隔T1で前記制御部へ送信され、
前回、前記制御部より制御信号が送信された任意時間t1よりT2=n(nは2以上の整数)*T1だけ時間が経過したt2において、新たに前記制御部より制御信号が送信された場合、t2以降は前記温度検出部からの温度信号が時間間隔T3=m(m>1の数)*T1で前記制御部へ送信されると共に、
前回、前記制御部より制御信号が送信された任意時間t1よりT2=T1だけ時間が経過したt2において、新たに前記制御部より制御信号が送信された場合、t2以降は前記温度検出部からの温度信号が時間間隔T4=k(kは0<k<1の少数)*T1で前記制御部へ送信される請求項1または請求項2に記載のシンサセイザ。
【請求項7】
(1/m)≠kとなる請求項6に記載のシンセサイザ。
【請求項8】
過去の任意回数分の制御信号の送信間隔がメモリに記録されており、
前記制御部が制御信号を送信する際は、前記メモリより過去の任意回数分の制御信号の送信間隔を読み出し、それら送信間隔と異なる間隔で制御信号を送信する請求項1または請求項2に記載のシンサセイザ。
【請求項9】
前記メモリは、温度と制御信号の内容が1対1の関係で複数の対をなして記録されたデータを有し、
前記制御部は前記温度検出部の温度信号を基に前記メモリから送信すべき制御信号の内容を取り出すと共に、
前記メモリに記録された温度データの温度間隔は、少なくとも前記データの一部において等しい間隔ではない請求項1または請求項2に記載のシンサセイザ。
【請求項10】
前記温度検出部から前記制御部へ前記温度信号が送信される時間間隔は、
前記温度検出部が検知した前回の温度と今回の温度との差が既定値より小さい場合には、次回の前記時間間隔は前回の前記時間間隔より長くなり、
前記温度検出部が検知した前回の温度と今回の温度との差が既定値より大きい場合には、次回の前記時間間隔は前回の前記時間間隔より短くなる請求項1または請求項2に記載のシンセサイザ。
【請求項11】
温度検出部と、周波数可変発振器と、
前記温度検出部の温度信号に基づいて前記周波数可変発振器の発振周波数を制御信号により離散的に変化させる制御部とを備え、
前記制御部による前記周波数可変発振器の制御は不均一な時間間隔で行われる発振器モジュール。
【請求項12】
前記温度検出部は、前記温度信号を不均一な時間間隔で前記制御部に送信する請求項11に記載の発振器モジュール。
【請求項13】
請求項1に記載のシンセサイザと、
前記シンセサイザの前記比較器に基準発振信号を入力する基準発振器とを備えたシンセサイザモジュール。
【請求項14】
前記基準発振器は、MEMS素子からなる振動子により構成され、
前記基準発振器を構成するMEMS素子と前記シンセサイザとが同一の半導体基板に形成された請求項14に記載のシンセサイザモジュール。
【請求項15】
請求項1に記載のシンセサイザと、
前記シンセサイザからの前記発振信号に基づいて、受信信号の周波数を変換する混合器とを備えた受信装置。
【請求項16】
前記温度検出部は、前記シンセサイザからの前記発振信号と、受信信号との周波数の差異を検出することにより、温度情報を検出する請求項15記載の受信装置。
【請求項17】
請求項16に記載の受信装置と、
前記受信装置の出力側に接続された信号処理部と、
この信号処理部の出力側に接続された表示部とを備えた電子機器。
【請求項18】
基準発振器から出力された基準発振信号が入力される比較器と、
前記比較器の出力信号に基づいて発振信号を出力する電圧制御発振器と、
前記発振器の出力信号を制御部からの制御信号に基づいて分周する分周器とを備え、
前記比較器は、前記分周器からの出力信号と前記基準発振器からの出力信号とを比較してこの比較結果を示す信号を前記電圧制御発振器に出力するシンセサイザにおいて、
前記制御部は、温度を検出する温度検出部の温度信号に基づいて前記分周器の分周比を不均一な時間間隔で変化させる前記分周器の分周比の制御方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図1】
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【公開番号】特開2009−165044(P2009−165044A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−2672(P2008−2672)
【出願日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】