説明

シームレスベルトの製造装置、製造方法およびシームレスベルト

【課題】従来の芯体を用いてシームレスベルトを製造する装置では、芯体に塗布した塗布液の表面にスパイラル形状が付くという問題があった。かかるシームレスベルトを定着ベルトとして使用した場合、スパイラル模様に起因した筋が画像に表れるという問題があった。
【解決手段】少なくとも2段階に温度の切り換えができる加熱手段と、加熱手段により生成された熱風を送る送風手段と、熱風を一端から内部に入れて他端から排出して、軸を中心として回転し、かつ内部まで貫通する複数の穴が外周面にあけられたパイプ状コアと、パイプ状コアにセットされたベルト基材に材料をかけ流す塗布ノズルと、材料の厚さを調節するブレードと、厚さが調節された材料の表面に接触する補助ブレードと、ブレード、補助ブレードおよび塗布ノズルを、パイプ状コアの軸方向に沿って移動させる移動手段とをシームレスベルトの製造装置に設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として電子写真装置、プリンターの定着ベルト等に使用されるシームレスベルトの製造装置、製造方法およびシームレスベルトに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のシームレスベルトを製造する装置および方法としては、芯体をその中心軸が水平になるように回転させ、芯体に塗布液を芯体の下方側から噴流して付着させつつ、その付着部を相対的に芯体の一端から他端へ水平方向に移動させて、芯体に塗布液を塗布させるものがある(例えば、特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開2005−172885号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の芯体を用いてシームレスベルトを製造する装置および方法では、芯体に噴流させて塗布した塗布液の表面にスパイラル形状が付くという問題があった。かかるシームレスベルトを定着ベルトとして使用した場合、スパイラル模様に起因した筋が画像に表れるという問題があった。
【0005】
また、従来の芯体を用いてシームレスベルトを製造する装置および方法では、芯体に塗布した液状材料を加熱硬化させるため、製造装置自体を加熱炉の中に入れておく必要があり、熱効率が悪く、液状材料の加熱硬化に長時間を要し、エネルギー節約の観点で問題があった。
【0006】
さらに、芯体のみならず製造装置本体をも加熱、冷却を繰り返す過酷な環境に置くことになるため、製造装置のライフサイクルが短くなるという問題もあった。
【0007】
本発明は、前記した問題を解決するためになされたものであって、シームレスベルトを製造するに際し、加熱冷却炉を必要としないシームレスベルトの製造装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(第1発明)
第1発明に係るシームレスベルトの製造装置は、少なくとも2段階に温度の切り換えができる加熱手段と、この加熱手段により加熱された気体を熱風として送る送風手段と、この送風手段により送られた熱風を一端から内部に入れて他端から排出しつつ、軸を中心として回転し、かつ内部まで貫通する複数の穴が外周面にあけられたパイプ状コアと、このパイプ状コアの外周面にセットされたベルト基材に液状加熱硬化材料をかけ流す塗布ノズルと、この塗布ノズルからベルト基材にかけ流された液状加熱硬化材料の厚さを調節するブレードと、このブレードによって厚さが調節された液状加熱硬化材料の表面に接触する補助ブレードと、ブレード、補助ブレードおよび塗布ノズルを、パイプ状コアの軸方向に沿って移動させる移動手段と、を有するものである。
【0009】
かかる構成により、フローコート法で見られる液状材料表面のスパイラル模様を、補助ブレードにより無くすことができるので、本発明に係るシームレスベルトの製造装置で製造した定着ベルトを画像形成装置で用いた場合、スパイラル模様に起因した筋が画像にあらわれることがない。
【0010】
尚、加熱手段は、加熱硬化材料を硬化させる温度(硬化温度)と、この硬化温度よりも低い(加熱硬化材料を硬化させるまでに至らない)温度(予備加熱温度)の少なくとも2段階に切り換えられることが望ましい。
【0011】
つまり、パイプ状コアに固定されたベルト基材への加熱硬化材料の塗布段階(塗布工程)においては、加熱硬化材料の流動性を増すために、加熱手段により予備加熱温度まで加熱された気体をパイプ状コアの一端から内部に入れることにより、パイプ状コアおよびベルト基材を予備加熱温度で予備加熱する。
【0012】
そうすると、ベルト基材の表面に対して塗布ノズルからかけ流された加熱硬化材料は、加熱硬化温度に至らない予備加熱温度まで暖められるので、加熱硬化材料の流動性が増加する。そして、流動性が増した加熱硬化材料は、ブレードにより厚さが調節され易くなり、補助ブレードによってスパイラル模様が消去され易くなる。
【0013】
そして、その後の加熱硬化段階(加熱硬化工程)においては、加熱手段により加熱硬化温度まで加熱された気体をパイプ状コアの一端から内部に入れることにより、ベルト基材の表面に塗布された加熱硬化材料が加熱硬化温度にまで加熱されるため、加熱硬化材料が硬化する。
このように、加熱手段の温度を少なくとも2段階に切り換えることにより、シームレスベルトを効率良く製造することができる。
【0014】
また、パイプ状コアの一端から内部に入れられた熱風は、パイプ状コアの他端から排出される。このパイプ状コアの外周面には、パイプ状コアの内部まで貫通する穴が複数あけられているので、パイプ状コアの外周面とベルト基材の内周面が対向するようにセットされたベルト基材は、熱風の流れによって、パイプ状コアの外周面に吸着固定される。
つまり、パイプ状コアの一端から内部に入れられ、他端から排出された熱風は、パイプ状コアにベルト基材を吸着固定すると共に、ベルト基材を加熱する働きをするのである。
【0015】
尚、補助ブレードは、加熱手段により流動性が増し、ブレードによって厚さが調節された加熱硬化材料の表面に形成されたスパイラル模様を消去するためのものであるので、ブレードの厚さ(板厚)よりも薄い方が望ましい。
【0016】
(第2発明)
第2発明に係るシームレスベルトの製造装置は、少なくとも2段階に温度の切り換えができる加熱手段と、この加熱手段により加熱された気体を熱風として送る送風手段と、この送風手段により送られた熱風を一端から内部に入れて他端から排出しつつ、軸を中心として回転し、かつ内部まで貫通する複数の穴が外周面にあけられたパイプ状コアと、このパイプ状コアの外周面にセットされたベルト基材に液状加熱硬化材料をかけ流す塗布ノズルと、この塗布ノズルからベルト基材にかけ流された液状加熱硬化材料の厚さを調節するブレードと、このブレードによって厚さが調節された加熱硬化材料の表面に接触し、パイプ状コアの軸方向とは垂直な方向に回転軸を有する回転部材と、ブレード、回転部材および塗布ノズルを、パイプ状コアの軸方向に沿って移動させる移動手段と、を有するものである。
【0017】
塗布ノズルからパイプ状コアにかけ流された加熱硬化材料は、ブレードによって厚さが調節され、回転部材によって加熱硬化材料の表面に付いたスパイラル模様が消去されるので、前記した第1発明と同様の効果を得ることができる。
【0018】
(第3発明)
第3発明に係るシームレスベルトの製造方法は、内部まで貫通する複数の穴が外周面にあけられたパイプ状コアの外周面に、ベルト基材の内周面が対向するようにして該ベルト基材をセットし、加熱手段によって予備加熱された気体をパイプ状コアの一端から内部に入れて他端から排出することによりベルト基材を予備加熱すると共に、ベルト基材をパイプ状コアに固定し、パイプ状コアを、軸を中心として回転させ、パイプ状コアの上方においてパイプ状コアの軸方向に沿って移動する塗布ノズルから、ベルト基材に液状加熱硬化材料をかけ流すと共に、塗布ノズルと共に移動するブレードを液状加熱硬化材料に当てて液状加熱硬化材料の厚さを調節し、ブレードによって厚さが調節された液状加熱硬化材料の表面に、ブレードと共に移動する補助ブレードを接触させることによってベルト基材の外周面に液状加熱硬化材料の塗布層を形成した後、加熱手段によって塗布層を加熱硬化させてベルト基材に加熱硬化層を形成するものである。
【0019】
かかる構成により、フローコート法で見られる液状材料表面のスパイラル模様を、ブレードと共にパイプ状コアの軸方向に沿って移動する補助ブレードにより無くすことができるので、本発明に係るシームレスベルトの製造方法で製造した定着ベルトを画像形成装置で用いた場合、スパイラル模様に起因した筋が画像にあらわれることがない。
【0020】
本第3発明に係るシームレスベルトの製造方法を以下により詳しく説明する。
まず、内部まで貫通する複数の穴が外周面にあけられたパイプ状コアの外周面に、シームレスのベルト基材の内周面が対向するようにして該ベルト基材をセットする。
【0021】
その後、予備加熱温度に加熱された気体を、パイプ状コアの一端から内部に入れて他端から排出する。加熱手段は、加熱硬化材料を硬化させる温度(硬化温度)と、この硬化温度よりも低い(加熱硬化材料を硬化させるまでに至らない)温度(予備加熱温度)の少なくとも2段階に切り換えられるので、ここでは加熱手段によって気体を予備加熱温度まで加熱する。
【0022】
予備加熱された気体がパイプ状コアの一端から入れられ、パイプ状コアの他端から排出されると、パイプ状コアの外周面にはパイプ状コアの内部まで貫通する穴が複数あけられているので、パイプ状コアの外周面とベルト基材の内周面が対向するようにセットされたベルト基材は、熱風の流れによって、パイプ状コアの外周面に吸着固定される。
つまり、パイプ状コアの一端から内部に入れられ、他端から排出された熱風は、パイプ状コアにベルト基材を吸着固定すると共に、ベルト基材を予備加熱する。
【0023】
その後、パイプ状コアを、軸を中心として回転させる。この際、前記したように、パイプ状コア内部での熱風の流れにより管状のベルト基材はパイプ状コアに強固に吸着されているので、パイプ状コアの回転により位置がずれることがない。
【0024】
そして、パイプ状コアの上方においてパイプ状コアの軸方向に沿って移動する塗布ノズルから、ベルト基材に液状加熱硬化材料をかけ流すと共に、塗布ノズルと共に移動するブレードを液状加熱硬化材料に当てて、液状加熱硬化材料の厚さを調節する。
【0025】
パイプ状コアにセットされたベルト基材は、予備加熱温度に加熱された気体の流れにより予備加熱温度にまで加熱されている。このベルト基材に塗布ノズルから加熱硬化材料をかけ流すと、ベルト基材にかけ流された加熱硬化材料は、予備加熱温度に加熱され、加熱硬化材料の流動性が増加する。そして、流動性が増加した加熱硬化材料にブレードが当たるので、加熱硬化材料の厚さを容易に調節することができる。
【0026】
その後、ブレードによって厚さが調節された液状加熱硬化材料の表面に、ブレードと共に移動する補助ブレードを接触させることによってベルト基材の外周面に該液状加熱硬化材料の塗布層を形成する。
前記したように、加熱硬化材料は流動性が増す予備加熱温度に加熱されているので、ブレードによって加熱硬化材料の表面にできたスパイラル模様は、加熱硬化材料の表面に補助ブレードを接触させることにより容易に除去することができる。
【0027】
そして、ベルト基材の外周面に該液状加熱硬化材料の塗布層が形成された後、加熱手段によって加熱硬化材料が加熱硬化する硬化温度にまで加熱された気体をパイプ状コアの内部に一端から入れ他端から排出する。そうすると、パイプ状コア、ベルト基材、およびベルト基材にかけ流された液状加熱硬化材料は、硬化温度に加熱される。つまり、ベルト基材の表面に加熱硬化層が形成される。
【0028】
(第4発明)
第4発明に係るシームレスベルトの製造方法は、内部まで貫通する複数の穴が外周面にあけられたパイプ状コアの外周面に、ベルト基材の内周面が対向するようにしてベルト基材をセットし、加熱手段によって予備加熱された気体をパイプ状コアの一端から内部に入れて他端から排出することによりベルト基材を予備加熱すると共に、ベルト基材をパイプ状コアに固定し、パイプ状コアを軸を中心として回転させ、パイプ状コアの上方においてパイプ状コアの軸方向に沿って移動する塗布ノズルから、ベルト基材に液状加熱硬化材料をかけ流すと共に、塗布ノズルと共に移動するブレードを液状加熱硬化材料に当てて液状加熱硬化材料の厚さを調節し、ブレードによって厚さが調節された加熱硬化材料の表面に、ブレードと共に移動し、パイプ状コアの軸方向とは垂直な方向に回転軸を有する回転部材を接触させることによってパイプ状コアの外周面に加熱硬化材料の塗布層を形成した後、加熱手段によって塗布層を加熱硬化させてベルト基材に加熱硬化層を形成するものである。
【0029】
かかる構成により、塗布ノズルからパイプ状コアにかけ流された加熱硬化材料は、ブレードによって厚さが調節され、回転部材によって加熱硬化材料の表面に付いたスパイラル模様が消去されるので、前記した第3発明と同様の効果を得ることができる。
【0030】
(第5発明)
第5発明に係るシームレスベルトの製造装置は、少なくとも2段階に温度の切り換えができる加熱手段と、この加熱手段により加熱された気体を熱風として送る送風手段と、この送風手段により送られた熱風を一端から内部に入れて他端から排出しつつ、軸を中心として回転し、かつ内部まで貫通する複数の穴が外周面にあけられたパイプ状コアと、このパイプ状コアの外周面にセットされたベルト基材に液状加熱硬化材料をかけ流す塗布ノズルと、 この塗布ノズルからベルト基材にかけ流された液状加熱硬化材料の厚さを調節するブレードと、このブレードによって厚さが調節された液状加熱硬化材料の表面に接触する補助ブレードと、パイプ状コアを、パイプ状コアの軸方向に移動させる移動手段と、を有するものである。
かかる構成であっても前記した第1発明と同様の効果を得ることができる。
【0031】
(第6発明)
第6発明に係るシームレスベルトの製造装置は、少なくとも2段階に温度の切り換えができる加熱手段と、この加熱手段により加熱された気体を熱風として送る送風手段と、この送風手段により送られた熱風を一端から内部に入れて他端から排出しつつ、軸を中心として回転し、かつ内部まで貫通する複数の穴が外周面にあけられたパイプ状コアと、このパイプ状コアの外周面にセットされたベルト基材に液状加熱硬化材料をかけ流す塗布ノズルと、この塗布ノズルからベルト基材にかけ流された液状加熱硬化材料の厚さを調節するブレードと、このブレードによって厚さが調節された加熱硬化材料の表面に接触し、パイプ状コアの軸方向とは垂直な方向に回転軸を有する回転部材と、このパイプ状コアを、パイプ状コアの軸方向に移動させる移動手段と、を有するものである。
かかる構成であっても前記した第2発明と同様の効果を得ることができる。
【0032】
(第7発明)
第7発明に係るシームレスベルトの製造方法は、内部まで貫通する複数の穴が外周面にあけられたパイプ状コアの外周面に、ベルト基材の内周面が対向するようにして該ベルト基材をセットし、加熱手段によって予備加熱された気体をパイプ状コアの一端から内部に入れて他端から排出することによりベルト基材を予備加熱すると共に、ベルト基材をパイプ状コアに固定し、パイプ状コアを、軸を中心として回転させると共に、パイプ状コアをパイプ状コアの軸方向に移動させ、パイプ状コアの上方において塗布ノズルから、ベルト基材に液状加熱硬化材料をかけ流すと共に、ブレードを液状加熱硬化材料に当てて液状加熱硬化材料の厚さを調節し、ブレードによって厚さが調節された液状加熱硬化材料の表面に補助ブレードを接触させることによってベルト基材の外周面に液状加熱硬化材料の塗布層を形成した後、加熱手段によって塗布層を加熱硬化させてベルト基材に加熱硬化層を形成するものである。
かかる構成であっても前記した第3発明と同様の効果を得ることができる。
【0033】
(第8発明)
第8発明に係るシームレスベルトの製造方法は、内部まで貫通する複数の穴が外周面にあけられたパイプ状コアの外周面に、ベルト基材の内周面が対向するようにしてベルト基材をセットし、加熱手段によって予備加熱された気体をパイプ状コアの一端から内部に入れて他端から排出することによりベルト基材を予備加熱すると共に、ベルト基材をパイプ状コアに固定し、パイプ状コアを、軸を中心として回転させると共に、パイプ状コアをパイプ状コアの軸方向に移動させ、パイプ状コアの上方において塗布ノズルから、ベルト基材に液状加熱硬化材料をかけ流すと共に、ブレードを液状加熱硬化材料に当てて液状加熱硬化材料の厚さを調節し、ブレードによって厚さが調節された液状加熱硬化材料の表面に、パイプ状コアの軸方向とは垂直な方向に回転軸を有する回転部材を接触させることによってベルト基材の外周面に液状加熱硬化材料の塗布層を形成した後、加熱手段によって塗布層を加熱硬化させてベルト基材に加熱硬化層を形成するものである。
かかる構成であっても前記した第4発明と同様の効果を得ることができる。
【0034】
(第9発明)
第9発明に係るシームレスベルトの製造方法は、パイプ状コアの外周面に、ベルト基材の内周面が対向するようにしてベルト基材を固定し、パイプ状コアの内部に設けられた加熱手段によってパイプ状コアを介してベルト基材を内部から予備加熱すると共に、パイプ状コアを軸を中心として回転させ、パイプ状コアの上方においてパイプ状コアの軸方向に沿って移動する塗布ノズルから、ベルト基材に液状加熱硬化材料をかけ流すと共に、塗布ノズルと共に移動するブレードを液状加熱硬化材料に当てて液状加熱硬化材料の厚さを調節し、ブレードによって厚さが調節された液状加熱硬化材料の表面に、ブレードと共に移動する補助ブレードを接触させることによってベルト基材の外周面に液状加熱硬化材料の塗布層を形成した後、加熱手段によって塗布層を加熱硬化させてベルト基材に加熱硬化層を形成するものである。
【0035】
かかる構成により、フローコート法で見られる液状加熱硬化材料表面のスパイラル模様を、ブレードと共にパイプ状コアの軸方向に沿って移動する補助ブレードにより無くすことができるので、本発明に係るシームレスベルトの製造方法で製造した定着ベルトを画像形成装置で用いた場合、スパイラル模様に起因した筋が画像にあらわれることがない。
【0036】
本第9発明に係るシームレスベルトの製造方法を以下により詳しく説明する。
まず、パイプ状コアの外周面に、シームレスのベルト基材の内周面が対向するようにして該ベルト基材を固定する。ここで、パイプ状コアへのベルト基材の固定方法は問わない。例えば、パイプ状コアの外周面にシームレスベルトを被せた後、シームレスベルトの両端部または一端部を耐熱性のある粘着テープで固定しても良く、シームレスベルトの両端部または一端部を耐熱性のある輪ゴム等の環状の弾性体で固定しても良い。
【0037】
その後、パイプ状コアの内部に設けられた加熱手段を予備加熱温度に加熱し、パイプ状コアを介してベルト基材を内部から予備加熱する。加熱手段は、加熱硬化材料を硬化させる温度(硬化温度)と、この硬化温度よりも低い(加熱硬化材料を硬化させるまでに至らない)温度(予備加熱温度)の少なくとも2段階に切り換えられるものを採用し、ここでは加熱手段を予備加熱温度に加熱する。
【0038】
そして、パイプ状コアを、軸を中心として回転させる。この際、前記したように、管状のベルト基材はパイプ状コアに固定されているので、パイプ状コアの回転によりベルト基材の位置がずれることがない。
【0039】
そして、パイプ状コアの上方においてパイプ状コアの軸方向に沿って移動する塗布ノズルから、ベルト基材に液状加熱硬化材料をかけ流すと共に、塗布ノズルと共に移動するブレードを液状加熱硬化材料に当て(接触させ)て、液状加熱硬化材料の厚さを調節する。
【0040】
パイプ状コアにセットされたベルト基材は、予備加熱温度に加熱されているので、このベルト基材に塗布ノズルから加熱硬化材料をかけ流すと、ベルト基材にかけ流された加熱硬化材料は、予備加熱温度に加熱され、加熱硬化材料の流動性が増加する。そして、流動性が増加した加熱硬化材料にブレードが当たるので、加熱硬化材料の厚さを容易に調節することができる。
【0041】
その後、ブレードによって厚さが調節された液状加熱硬化材料の表面に、ブレードと共に移動する補助ブレードを接触させることによってベルト基材の外周面に該液状加熱硬化材料の塗布層を形成する。
前記したように、加熱硬化材料は流動性が増す予備加熱温度に加熱されているので、ブレードによって加熱硬化材料の表面にできたスパイラル模様は、加熱硬化材料の表面に補助ブレードを接触させることにより容易に除去することができる。
【0042】
そして、ベルト基材の外周面に該液状加熱硬化材料の塗布層が形成された後、加熱手段によって加熱硬化材料が加熱硬化する硬化温度にまで加熱する。そうすると、パイプ状コア、ベルト基材、およびベルト基材にかけ流された液状加熱硬化材料は、硬化温度に加熱される。つまり、ベルト基材の表面に加熱硬化層が形成される。
【0043】
(第10発明)
第10発明に係るシームレスベルトの製造方法は、パイプ状コアの外周面に、ベルト基材の内周面が対向するようにしてベルト基材を固定し、パイプ状コアの内部に設けられた加熱手段によってベルト基材を内部から予備加熱すると共に、パイプ状コアを、軸を中心として回転させ、パイプ状コアの上方においてパイプ状コアの軸方向に沿って移動する塗布ノズルから、ベルト基材に液状加熱硬化材料をかけ流すと共に、塗布ノズルと共に移動するブレードを液状加熱硬化材料に当てて液状加熱硬化材料の厚さを調節し、ブレードによって厚さが調節された加熱硬化材料の表面に、ブレードと共に移動し、パイプ状コアの軸方向とは垂直な方向に回転軸を有する回転部材を接触させることによってパイプ状コアの外周面に加熱硬化材料の塗布層を形成した後、加熱手段によって塗布層を加熱硬化させてベルト基材に加熱硬化層を形成するものである。
【0044】
かかる構成により、塗布ノズルからパイプ状コアにかけ流された加熱硬化材料は、ブレードによって厚さが調節され、回転部材によって加熱硬化材料の表面に付いたスパイラル模様が消去されるので、前記した第9発明と同様の効果を得ることができる。
【0045】
(第11発明)
第11発明に係るシームレスベルトの製造方法は、パイプ状コアの外周面に、ベルト基材の内周面が対向するようにしてベルト基材を固定し、パイプ状コアの内部に設けられた加熱手段によってベルト基材を内部から予備加熱すると共に、パイプ状コアを、軸を中心として回転させ、パイプ状コアをパイプ状コアの軸方向に移動させ、パイプ状コアの上方において塗布ノズルから、ベルト基材に液状加熱硬化材料をかけ流すと共に、ブレードを液状加熱硬化材料に当てて液状加熱硬化材料の厚さを調節し、ブレードによって厚さが調節された液状加熱硬化材料の表面に補助ブレードを接触させることによってベルト基材の外周面に液状加熱硬化材料の塗布層を形成した後、加熱手段によって塗布層を加熱硬化させてベルト基材に加熱硬化層を形成するものである。
かかる構成であっても前記した第9発明と同様の効果を得ることができる。
【0046】
(第12発明)
第12発明に係るシームレスベルトの製造方法は、パイプ状コアの外周面に、ベルト基材の内周面が対向するようにしてベルト基材を固定し、パイプ状コアの内部に設けられた加熱手段によってベルト基材を内部から予備加熱すると共に、パイプ状コアを、軸を中心として回転させ、パイプ状コアをパイプ状コアの軸方向に移動させ、パイプ状コアの上方において塗布ノズルから、ベルト基材に液状加熱硬化材料をかけ流すと共に、ブレードを液状加熱硬化材料に当てて液状加熱硬化材料の厚さを調節し、ブレードによって厚さが調節された液状加熱硬化材料の表面に、パイプ状コアの軸方向とは垂直な方向に回転軸を有する回転部材を接触させることによってベルト基材の外周面に液状加熱硬化材料の塗布層を形成した後、加熱手段によって塗布層を加熱硬化させてベルト基材に加熱硬化層を形成するものである。
かかる構成であっても前記した第10発明と同様の効果を得ることができる。
【0047】
(第13発明)
第13発明に係るシームレスベルトは、第3、第4、第7、第8、第9、第10、第11または第12発明のシームレスベルトの製造方法により製造したシームレスベルトの表面に、フッ素樹脂層を形成したものである。
かかるシームレスベルトを画像形成装置の定着ベルトとして使用した場合、スパイラル模様に起因した筋が画像に表れることが無いだけでなく、定着ベルトとトナーおよび用紙の離型性を向上させることができる。さらに、定着ベルトの耐摩耗性を向上させることもできる。
【発明の効果】
【0048】
本発明に係るシームレスベルトの製造装置および製造方法は、ベルト基材の表面に塗布した塗布液の表面にスパイラル模様が付かない。したがって、本発明に係る装置または製造方法により製造したシームレスベルトを画像形成装置の定着ベルトとして使用した場合、スパイラル模様に起因した筋が画像に表れることが無い。
【0049】
また、本発明に係るシームレスベルトの製造装置および製造方法は、パイプ状コアの内部から加熱手段によって加熱硬化材料を加熱するので、パイプ状コアに吸着固定されたベルト基材に形成されている加熱硬化材料からなる塗布層の加熱硬化に要する熱エネルギーの効率を大幅に向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
本発明を以下に詳細に説明する。
【実施例1】
【0051】
図1は本発明に係るシームレスベルトの製造装置の正面図、図2は本発明に係るシームレスベルトの製造装置の側面図(図1におけるA−A断面図)、図3、図10、図11、図12および図13はシームレスベルトの断面図である。
尚、図3、図10、図11、図12および図13は、説明を分かり易くするため、ベルト基材のみにハッチングをかけている。
【0052】
(シームレスベルトの製造装置)
図1に示すように、パイプ状コア1の両端は、先端コーン形状のチャック2Aおよび2Bによって支持されている。このパイプ状コア1は、直径が20〜30mmのスチール、ステンレススチール、アルミニウム等の金属からなり、あらかじめ洗浄液によって洗浄され、乾燥されている。
【0053】
チャック2A、2Bは、ぞれぞれ支持枠3A、3Bにボールベアリング4A、4Bを介して回転可能に支持されている。
【0054】
そして、一方のチャック2Aは、支持枠3Aに摺動自在に支持されており、図示しないエアシリンダー、油圧シリンダー、スプリング等の押圧手段によって、図1における矢印イの向きに(チャック2Bに向かって)押圧されている。
【0055】
チャック2Aの軸5は、図示しないモータ等の駆動手段によって、図2における矢印ニの向き(時計回り)に回転させられる。尚、駆動手段の回転速度は可変可能である。そして、チャック2Aには、パイプ状コア1の内部を流れる熱風を外部に排出するための穴33があけられている。
【0056】
パイプ状コア1は、前記したように一対のチャック2A,2Bによって押圧状態で、かつ、パイプ状コア1の軸を中心として回転可能に支持されている。そして、図1に示す様に、パイプ状コア1の外周面(表面)におけるベルト基材6がセットされる位置には、内部まで貫通する複数の穴34があけられている。
【0057】
また、他方のチャック2Bの中心には、配管27を介して熱風発生装置18が接続されている。この熱風発生装置18は、加熱手段としてのヒータと、送風手段としてのファンが一体となったものである。尚、ヒータは、少なくとも予備加熱温度または加熱硬化温度の2段階に温度が切り換えられるようになっており、例えば、電熱式、電磁波加熱方式、遠赤外線放射方式等の周知の加熱手段が適用できる。
【0058】
図1に示す様に、パイプ状コア1にベルト基材6をセットした後、熱風発生装置18を動作させ、熱風をパイプ状コア1の一端(チャック2Bの穴28)から入れて、パイプ状コア1の他端(チャック2Aの穴33)から排出すると、複数の穴34の部分でベルト基材6の内周面が吸引され、パイプ状コア1にベルト基材6が強固に固定される。
【0059】
パイプ状コア1の直上には、塗布ノズル7Aが配置されている。この塗布ノズル7Aの先端と、パイプ状コア1にセットされたベルト基材6の周面との間隔は、ベルト基材6の周面に塗布する材料によって適宜変更される。
【0060】
塗布ノズル7Aは、液状加熱硬化材料をパイプ状コア1にセットされたベルト基材6にかけ流すために、可動枠8の上端に昇降枠9、摺動枠10を介して矢印ロに示す昇降可能および矢印ハに示す前後摺動可能に取付けられている。そして、ノズル7Aは、ダイヤル11によって上下位置が調節可能にされ、ダイヤル12によって前後位置が調節可能にされている。
尚、昇降枠9と摺動枠10の昇降、摺動機構は図示しないが、ねじとめねじとの組合せ、ラックとピ二オンとの組合せ等の周知の機構を採用できる。
【0061】
可動枠8は、基台13上をパイプ状コア1の軸方向に沿って移動させる移動手段としての移動台14上に立設されている。
この移動台14にはネジ孔15があけられており、ネジ孔15には、図示しないモータ等の駆動源によって回転速度可変に正逆回転させられる長尺ネジ16が入れられており、この長尺ネジ16を図示しない駆動源によって所定の回転数で正回転または逆回転させることによって、移動台14はパイプ状コア1の軸方向に沿って所定の速度で移動させられる。
【0062】
尚、移動台14は、基台13上に設けられたレール17によってガイドされている。また、前記したネジ孔15および長尺ネジ16は、一般に市販されているボールネジを用いて構成しても良い。
【0063】
移動台14上の摺動台19からは、パイプ状コア1にセットされたベルト基材6に向けてブレード20と、このブレード20に隣接して設けられた補助ブレード23が差出されている。そして、摺動台19は、ダイヤル21を操作して前後(図2の矢印ハ方向)に摺動可能に構成されている。
【0064】
ここで、ブレード20は、塗布ノズル7Aからパイプ状コア1にかけ流された液状加熱硬化材料に当て付けて厚さを均一に調節するためのものである。
また、補助ブレード23は、ブレード20によって厚さが調節された加熱硬化材料の表面に接触させて、加熱硬化材料の表面にできたスパイラル模様を消すためのものである。
【0065】
このように、2つのブレードの機能がことなることから、補助ブレード23の板厚は、ブレード20の板厚よりも薄い方が望ましい。
尚、ブレード20および/または補助ブレード23に超音波振動子等の振動装置が取り付けられていても良い。ブレード20および/または補助ブレード23が振動することにより、前記した加熱硬化材料の厚さの調節および/またはスパイラル模様の消去がさらに容易になる。
【0066】
前記したシームレスベルトの製造装置は、ダイヤル11、12および21を操作して、塗布ノズル7Aの上下前後位置(ノズル7Aの先端とベルト基材6の周面間の距離)およびブレード20および補助ブレード23の前後位置(ブレード20の先端および補助ブレード23の先端とベルト基材6の周面間の距離)を予め調節しておく。
【0067】
(シームレスベルトの製造方法)
〔準備工程〕
まず、図1および図2に示す様に、内部まで貫通する複数の穴が外周面にあけられたパイプ状コアの外周面に、ベルト基材の内周面が対向するようにして該ベルト基材をセットする。
【0068】
そして、熱風発生装置18によって、予備加熱温度まで加熱された気体を、パイプ状コア1の一端(チャック2Bの穴28)からパイプ状コア1の内部に入れて、他端(チャック2Aの穴33)から排出する。そうすると、ベルト基材6を予備加熱すると共に、ベルト基材6をパイプ状コア1に強固に固定することができる。
【0069】
〔第1工程〕
第1工程は、ベルト基材6の周面にプライマーを塗布して、プライマー層P1を形成する。尚、後で詳細に説明するが、本第1工程は、必須の工程ではなく、必要に応じて用いられる。
【0070】
プライマー層P1を形成するためのプライマーは、図示しないプライマータンクから図示しない定量ポンプによってチューブ22Bを介して塗布ノズル7Bに供給される。これらプライマータンクおよび定量ポンプは、一般に市販されている公知のものを用いることができる。
【0071】
塗布ノズル7Bを、パイプ状コア1の上方においてパイプ状コア1の軸方向に沿って、パイプ状コア1の一端(チャック2Bの近傍)から他端(チャック2Aの近傍)に向かって図1における矢印ホの向きに移動させ、プライマーを塗布ノズル7Bからパイプ状コア1の周面にセットされたベルト基材6にかけ流し塗布する。この際、プライマーは、塗布ノズル7Bと共に移動台14によって移動するブレード20および補助ブレード23によって厚さが調節されると共に均一に塗布される。
【0072】
本第1工程で用いるプライマーとしては、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂等のベルト基材6の周面上に形成されるゴム層GまたはPFA離型層と接着性を有する樹脂の溶液、ディスパージョン、エマルジョンまたはシランカップリング剤等が用いられる。
【0073】
本第1工程においては、シームレスベルトの製造装置にセットしたパイプ状コア1は通常100rpm〜600rpmの回転数で図2おける矢印ニの向きに回転させられ、ノズル7Bの移動速度は通常300mm/分〜2000mm/分に設定され、塗布ノズル7Bの先端からパイプ状コア1の周面までの距離は0.1mm〜2.0mmに設定され、塗布ノズル7Bからのプライマー吐出量は通常0.5ml/分〜5.0ml/分に設定される。
【0074】
ベルト基材6へのプライマーの塗布後は、所望なれば室温で30分〜90分の風乾を行ない、次いで熱風発生装置18によってベルト基材6の周面温度を100℃〜150℃で30分〜60分加熱してプライマー焼付けを行なって、プライマー層P1をベルト基材6の周面に形成する。プライマー層P1の厚さは、通常0.5μm〜100μmである。
【0075】
本第1工程は、プライマー層P1をベルト基材6の周面に形成するためにシームレスベルトの製造装置を用いたものを示したが、プライマー層P1を周面にあらかじめ形成したベルト基材6をシームレスベルトの製造装置にセットしてもよい。この場合は、言うまでもなく、前記した第1工程を無くすことができ、後述する第2工程からシームレスベルトの製造を開始することができる。
【0076】
このように、ベルト基材6の周面に別工程で予めプライマー層P1を形成する場合、プライマーは、ベルト基材6の周面にフローコート、スプレー、ハケ塗り等の周知の塗布手段で塗布され、塗布後は、加熱炉に導入して100〜150℃で30〜60分の加熱焼付けを行なう。
【0077】
尚、ベルト基材6が、前記したプライマーを用いることなく、後述する液状加熱硬化材料との密着性が良い場合は、前記した第1工程が不要であることは言うまでもない。
【0078】
〔第2工程〕
第2工程は、ベルト基材6へ加熱硬化材料を塗布し、ゴム層Gを形成する工程である。
第1工程を経て第2工程を行う場合は、プライマー層P1を形成した後、プライマー用の塗布ノズル7Bを液状加熱硬化材料用の塗布ノズル7Aに取替える。
この塗布ノズル7Aは、図示しないゴムタンクから図示しない定量ポンプによってチューブ22Aを介して液状加熱硬化材料が供給される。これらゴムタンクおよび定量ポンプは、一般に市販されている公知のものを用いることができる。
【0079】
第2工程は、まず、熱風発生装置18によるベルト基材6の予備加熱およびパイプ状コア1を矢印ニの向きに回転させることから開始する。
そして、塗布ノズル7Aは、パイプ状コア1の上方において、パイプ状コア1の軸方向に沿って、矢印ホの向きにパイプ状コア1の一端(チャック2Bの近傍)から他端(チャック2Aの近傍)に向かって移動させる。その際、塗布ノズル7Aから液状加熱硬化材料をパイプ状コア1の周面にかけ流し、ブレード20によって液状加熱硬化材料の厚さを調節し、かつ均一に平準化する。
【0080】
そして、ブレード20によって厚さが均一に調節された加熱硬化材料の表面に、ブレード20に隣接して設けられた補助ブレード23を接触させる(軽く当て付ける)。そうすると、ブレード20によって厚さが均一になった液状加熱硬化材料の表面に形成されたスパイラル模様を消すことができる。
【0081】
通常、パイプ状コア1の回転数は150rpm〜800rpm、望ましくは200rpm〜400rpmであり、ベルト基材6の予備加熱温度はベルト基材6の周面で50〜100℃、望ましくは60〜80℃である。
そして、塗布ノズル7Aは口径1mm程度のものを使用し、その移動速度は通常200〜1000mm/分、望ましくは300〜600mm/分であり、加熱硬化材料の塗布ノズル7Aからの吐出量は、通常25〜40g/分、望ましくは30〜35g/分である。
【0082】
液状加熱硬化材料としては、ウレタンゴム、プレポリマー、シリコン樹脂プレポリマー、エポキシ樹脂プレポリマー、未加硫ゴム等が例示されるが、プレポリマーの場合には、一般に塗布前に硬化剤を混合する。
また、プレポリマー自体が液状の場合には、溶剤で希釈する必要はないが、固体の場合あるいは高粘度液体の場合には溶剤で希釈して所定の粘度にする。
【0083】
通常、液状加熱硬化材料の粘度は、25℃で500〜20万センチポイズ(CP)である。また、溶剤として、通常、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、トルオール、キシロール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、セロソルブアセテート、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘブタン、エタノール、イソプロパンノール等の一般有機溶剤が併用される。
【0084】
前記した液状加熱硬化材料を、パイプ状コア1の周面にかけ流し、塗布する本第2工程においては、ベルト基材6の周面温度が50℃未満であると、液状加熱硬化材料の粘度低下が起りにく(柔らかくならな)くなり、ベルト基材6の周面に均一に加熱硬化材料を塗布することが困難となる。
【0085】
また、ベルト基材6の周面温度が100℃を越えると、液状加熱硬化材料の加熱硬化が起って、ベルト基材6の表面への液状液状加熱硬化材料の均一な塗布が困難になる。さらに、ベルト基材6の周面から液状加熱硬化材料が下に垂れてしまうおそれもある。
【0086】
そこで、熱風発生装置18によって、ベルト基材6は、表面温度で50〜100℃、望ましくは60〜80℃に予備加熱される。そして、70℃に予備加熱されたベルト基材6の表面に塗布ノズル7Aによってかけ流し塗布された液状加熱硬化材料は、ブレード20によって厚さを調節され、さらに補助ブレード23によってスパイラル模様が無くされ、均一に平滑(平準)化される。
【0087】
ベルト基材6の表面へ液状加熱硬化材料が塗布された後は、熱風発生装置18によってベルト基材6の表面温度が硬化温度まで上げられ、液状加熱硬化材料を150℃程度の温度で加熱硬化させる。液状加熱硬化材料が加熱硬化した後は、液状加熱硬化材料が加熱硬化したことにより形成されたゴム層Gが室温になるまで冷却する。
【0088】
以上の第1工程および第2工程によって図12に示したシームレスベルト30を製造することができる。また、第1工程を経ない場合は、本第2工程のみによって図3に示したシームレスベルトを製造することができる。これらの図3および図12に示したシームレスベルトは、必要に応じて、後述する第3工程以降の工程を行っても良い。
【0089】
〔第3工程〕
第3工程は、前記した第1工程および第2工程、または第2工程のみによってベルト基材6に形成されたゴム層Gの表面にプライマーとして官能基を導入した変性テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(変性PFA)水性ディスパージョン(PFAプライマー)を塗布し、PFAプライマー層P2を形成するものである。
【0090】
変性PFAに導入される官能基としては、エポキシ基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基等がある。この官能基を導入することによって、変性PFAは前記したゴム層Gと、後述する第4工程において形成されるPFA離型層Rの双方に良好な接着性を示す。
【0091】
水性ディスパージョンの溶媒としては、水あるいは水とメタノール、エタノール、イソプロパンノール、アセトン等の水可溶性有機溶媒との混合溶媒が使用され、分散安定剤として界面活性剤の若干量が添加される。
【0092】
本第3工程において、塗布ノズルは、PFAプライマー専用の塗布ノズル7Cを使用し、塗布ノズル7Cには、図示しないPFAプライマータンクからチューブ22Cを介して図示しない定量ポンプによりPFAプライマーが供給される。これらPFAプライマータンクおよび定量ポンプは、一般に市販されている公知のものを用いることができる。
【0093】
塗布ノズル7Cは、パイプ状コア1の上方において、所定の速度でパイプ状コア1の軸方向に沿って、パイプ状コア1の一端(チャック2Bの近傍)から他端(チャック2Aの近傍)に向かって移動する。そして、PFAプライマーは、前記した第2工程で形成されたゴム層Gの表面にかけ流されて塗布される。
【0094】
PFAプライマーの塗布後は、パイプ状コア1の回転を維持しつつ、通常、ベルト基材6の周面温度50℃〜70℃、1分〜2分程度の予備乾燥を行なう。PFAプライマー層P2の厚さは20μm以下程度に設定する。
【0095】
尚、前記した第2工程と本第3工程の間に、前記した第1工程と同一の工程である中間工程を設けても良い。すなわち、第1工程→第2工程→中間工程→第3工程であっても良いし、第2工程→中間工程→第3工程であっても良い。
この理由は、第2工程で形成されたゴム層Gと本第3工程で形成するPFAプライマー層P2の接着性を向上させるためである。
中間工程は、前記した第1工程と同一であるため、説明は省略する。
【0096】
〔第4工程〕
第4工程は、前記した第3工程におけるPFAプライマー層P2の表面にPFA水性ディスパージョンを塗布し、PFA離型層Rを形成する。本第4工程で用いるPFA水性ディスパージョンは、変性されていないPFAを上記PFAプライマーと同様な溶媒に分散させたものである。
【0097】
本第4工程においても、塗布ノズルはPFA水性ディスパージョン専用の塗布ノズル7Dを使用し、塗布ノズル7Dには図示しないPFAディスパージョンタンクから図示しない定量ポンプによってチューブ22Dを介してPFA水性ディスパージョンが供給される。これらPFAディスパージョンタンクおよび定量ポンプは、一般に市販されている公知のものを用いることができる。
【0098】
そして、塗布ノズル7Dは、所定の速度でパイプ状コア1の軸方向に沿って、パイプ状コア1の一端(チャック2Bの近傍)から他端(チャック2Aの近傍)に向かって移動し、PFA水性ディスパージョンをPFAプライマー層P2の表面にかけ流し塗布する。
【0099】
PFA水性ディスパージョン塗布後は、通常、ベルト基材6の周面温度を300℃〜400℃に上昇させ、5分程度の焼付けを行なう。
前記した第1〜4工程により、PFA水性ディスパージョンが表面に塗布されPFA離型層Rが形成された図13に示すシームレスベルト31または図14に示すシームレスベルト32を製造することができる。
さらに、これらのシームレスベルト31、32について、以下の第5工程を行うことができる。
【0100】
〔第5工程〕
第5工程においては、このようにしてPFA離型層Rを表面に形成したゴム層Gを有するベルト基材6をシームレスベルトの製造装置からはずして加熱炉に導入しても良い。この場合は、通常150℃〜250℃、3時間〜5時間の加熱処理を行なう。
上記加熱処理においてもゴム層Gは完全に硬化する、そしてPFA離型層Rの厚さは通常5μm〜50μmに設定される。
【0101】
以上説明した工程により、例えば、図11に示したようなベルト基材6の周面にプライマー層P1を介してゴム層Gが形成され、このゴム層Gの表面にはPFAプライマー層P2を介してPFA離型層Rが形成されているシームレスベルト31が製造される。ゴム層Gの厚さは通常1mm以下に設定される。
【0102】
上記第1工程乃至第5工程は、ゴム層Gの表面にPFA離型層Rを形成したシームレスベルト31を製造するための工程であるが、本発明においては、前記したように、PFA離型層Rは必須のものではない。
すなわち、PFA離型層Rを省略する場合は、第2工程において液状加熱硬化材料の塗布層を加熱硬化した後、このゴム層Gが形成されたパイプ状コア1を、シームレスベルトの製造装置から外すことにより、図3に示したシームレスベルト29または図10に示したシームレスベルト30を製造することができる。
【0103】
また、シームレスベルトの製造装置から外したシームレスベルト29または30を、加熱炉に導入し、前記した第5工程と同様な焼付けを行なってもよい。
【0104】
さらに、本発明にあっては、かけ流し塗布したプライマー、加熱硬化材料等を平準化するのにブレードおよび補助ブレードを用いたが、それに代えてエアー吹付けを行なってもよい。
また、シームレスベルトに、所望なれば離型層としてPFAチューブを被着し、加熱溶融させてもよい。
【0105】
さらに、クラウン形状あるいは逆クラウン形状を有するシームレスベルトを製造する場合には、第2工程における塗布ノズル7Bの移動速度を変更して液状加熱硬化材料の塗布量を調節する。即ちクラウン形状の場合には、塗布ノズル7Bの移動速度を一端から中央にかけて徐々に遅くし、中央から他端にかけて徐々に早くし、逆クラウン形状の場合には、塗布ノズル7Bの移動速度を一端から中央にかけて徐々に早くし、中央から他端にかけて徐々に遅くする。
【0106】
塗布ノズル7Bの移動速度を調節する以外に、塗布ノズル7Bから液状加熱硬化材料の吐出量を調節してもよい。
また、前記した第1工程によりベルト基材6の表面にプライマー層を形成した後、第3工程を省略して、第4工程によりPFA離型層Rを形成しても良い。この場合は、図13に示すシームレスベルト35を製造することができる。
【実施例2】
【0107】
本発明の他の実施例を図4を用いて詳細に説明する。
図4は、本発明に係るシームレスベルトの製造装置の正面図である。
尚、説明を分かり易くするため、実施例1に係るシームレスベルトの製造装置と同一の部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0108】
本実施例2に係るシームレスベルトの製造装置における実施例1との主な相違点は、補助ブレード23の代わりに回転部材24を設けた点である。
図6に示すように、回転部材24は、円筒形状であり、パイプ状コア1の軸方向とは垂直な方向に回転軸を有し、昇降枠9に取り付けられたモータ25により回転される。
【0109】
回転部材24の回転速度は、20000〜30000rpmが望ましく、本第2実施例においては、パイプ状コア1の回転数125rpmに対して、回転部材24の回転数を30000rpmとした。また、塗布ノズル7Aおよび回転部材24の移動速度を8mm/秒、回転部材24とベルト基材6の周面との間隔(隙間)を1μmとした。尚、回転部材の回転方向は、正方向、逆方向のどちらであっても良い。
【0110】
そして、その他の条件を実施例1と同じにし、プライマー処理されたパイプ状コア1を用いて前記した第2工程により図12に示すシームレスベルト30を製造した。その結果、表面にスパイラル模様の無いシームレスベルト30を製造することができた。
【実施例3】
【0111】
本発明の他の実施例を図5を用いて詳細に説明する。
図5は、本発明に係るシームレスベルトの製造装置の正面図である。
尚、説明を分かり易くするため、実施例2に係るシームレスベルトの製造装置と同一の部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0112】
本実施例3に係るシームレスベルトの製造装置における実施例2との主な相違点は、補助ブレード23をさらに設けた点である。
この場合であっても、前記した実施例2と同じ条件でプライマー処理されたパイプ状コア1を用いて前記した第2工程により、図12に示す表面にスパイラル模様の無いシームレスベルト30を製造することができた。
【実施例4】
【0113】
本発明の他の実施例を図6および図7を用いて詳細に説明する。
図6は本発明に係るシームレスベルトの製造装置の正面図、図7は本発明に係るシームレスベルトの製造装置の側面図(図6におけるB−B断面図)である。
尚、説明を分かり易くするため、実施例1に係るシームレスベルトの製造装置と同一の部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0114】
本実施例4に係るシームレスベルトの製造装置における実施例1との主な相違点は、移動台14の上に支持枠3Aおよび3Bを載せ、パイプ状コア1自体が移動する点である。
【0115】
パイプ状コア1の両端は、先端コーン形状のチャック2Aおよび2Bによって支持されている。そして、チャック2A、2Bは、ぞれぞれ支持枠3A、3Bにボールベアリング4A、4Bを介して回転可能に支持されている。
【0116】
一方のチャック2Aは、支持枠3Aに摺動自在に支持されており、図示しないエアシリンダー、油圧シリンダー、スプリング等の押圧手段によって、図8における矢印イの向きに(チャック2Bに向かって)押圧されている。さらに、チャック2Aの軸5は、図示しないモータ等の駆動手段によって、図9における矢印ニの向きに回転させられる。
【0117】
これらの図示しない押圧手段および駆動手段は、パイプ状コア1が移動手段としての移動台14によりパイプ状コア1の軸方向に移動する関係上、移動台14または支持枠3Aに取り付けられた支持台26に固定されている。
【0118】
移動台14にはネジ孔15があけられており、ネジ孔15には、図示しないモータ等の駆動源によって回転速度可変に正逆回転させられる長尺ネジ16が入れられており、この長尺ネジ16を図示しない駆動源によって所定の回転数で正回転または逆回転させることによって、移動台14はパイプ状コア1の軸方向に沿って所定の速度で移動させられる。
【0119】
尚、移動台14は、基台13上に設けられたレール17によってガイドされている。また、前記したネジ孔15および長尺ネジ16は、一般に市販されているボールネジを用いて構成しても良い。
【0120】
また、図7に示す様に、摺動台19および可動枠8は、基台13に直接固定されている。
すなわち、実施例1に係るシームレスベルトの製造装置は、塗布ノズル7A、ブレード20および補助ブレード23がパイプ状コア1に対して移動台14によって移動するのに対し、本実施例4に係るシームレスベルトの製造装置は、パイプ状コア1が塗布ノズル7A、ブレード20および補助ブレード23に対して移動台14によって移動するのである。
【0121】
かかる構成であっても、前記した実施例1と同様なシームレスベルトの製造方法を採用することができ、前記した第2工程によって、実施例1と同様の図10に示すシームレスベルト30を製造することができた。
【実施例5】
【0122】
本発明の他の実施例を図8を用いて詳細に説明する。
図8は、本発明に係るシームレスベルトの製造装置の正面図である。
尚、説明を分かり易くするため、実施例1に係るシームレスベルトの製造装置と同一の部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0123】
本実施例5に係るシームレスベルトの製造装置における実施例4との主な相違点は、補助ブレード23の代わりに回転部材24を設けた点である。
図8に示すように、回転部材24は、円筒形状であり、パイプ状コア1の軸方向とは垂直な方向に回転軸を有し、昇降枠9に取り付けられたモータ25により回転される。
【0124】
回転部材24の回転速度は、20000〜30000rpmが望ましく、本第5実施例においては、パイプ状コア1の回転数125rpmに対して、回転部材24の回転数を30000rpmとした。また、塗布ノズル7Aおよび回転部材24の移動速度を8mm/秒、回転部材24とベルト基材6の表面との間隔(隙間)を1μmとした。尚、回転部材の回転方向は、正方向、逆方向のどちらであっても良い。
【0125】
そして、その他の条件を実施例1と同じにし、プライマー処理されたパイプ状コア1を用いて前記した第2工程により図10に示したシームレスベルト30を製造した。その結果、表面にスパイラル模様の無いシームレスベルトを製造することができた。
【実施例6】
【0126】
本発明の他の実施例を図9を用いて詳細に説明する。
図9は、本発明に係るシームレスベルトの製造装置の正面図である。
尚、説明を分かり易くするため、実施例1に係るシームレスベルトの製造装置と同一の部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0127】
本実施例6に係るシームレスベルトの製造装置における実施例5との主な相違点は、補助ブレード23をさらに設けた点である。
この場合であっても、実施例5と同じ条件でプライマー処理されたパイプ状コア1を用いて前記した第2工程により、図10に示した表面にスパイラル模様の無いシームレスベルト30を製造することができた。
【実施例7】
【0128】
本発明の他の実施例を図14を用いて詳細に説明する。
図14は、本発明に係るシームレスベルトの製造装置の正面図である。
尚、説明を分かり易くするため、実施例1に係るシームレスベルトの製造装置と同一の部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0129】
本実施例7に係るシームレスベルトの製造装置における実施例1との主な相違点は、パイプ状コア1へのベルト基材6の固定を真空発生装置36による吸引により行い、ベルト基材6の加熱をパイプ状コア1の内部に固定したヒータ37で行った点である。ここで、ヒータ37は、例えば、電熱式、電磁波加熱方式、遠赤外線放射方式等の周知の加熱手段が適用でき、図示しない制御装置によって、少なくとも前記した第1乃至第6実施例で示した予備加熱温度および硬化温度の2段階に温度を変更することができるものである。
【0130】
また、真空発生装置36はパイプ状コア1の内部の気体(空気)を吸引するためのものであり、真空発生装置36が動作すると、パイプ状コア1にあけられた複数の穴34においてベルト基材6が吸引される。そうすると、ベルト基材6は、パイプ状コア1に強固に固定される。
【0131】
かかる構成であっても、実施例5と同じ条件でプライマー処理されたパイプ状コア1を用いて前記した第2工程により、図10に示した表面にスパイラル模様の無いシームレスベルト30を製造することができる。
【実施例8】
【0132】
本発明の他の実施例を図15を用いて詳細に説明する。
図15は、本発明に係るシームレスベルトの製造装置の正面図である。
尚、説明を分かり易くするため、実施例7に係るシームレスベルトの製造装置と同一の部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0133】
本実施例8に係るシームレスベルトの製造装置における実施例7との主な相違点は、移動台14の上に支持枠3Aおよび3Bを載せ、パイプ状コア1自体が移動する点である。
【0134】
かかる構成であっても、実施例5と同じ条件でプライマー処理されたパイプ状コア1を用いて前記した第2工程により、図10に示した表面にスパイラル模様の無いシームレスベルト30を製造することができる。
【実施例9】
【0135】
本発明の他の実施例を図16を用いて詳細に説明する。
図16は、シームレスベルトの製造装置の正面図である。
尚、説明を分かり易くするため、実施例7に係るシームレスベルトの製造装置と同一の部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0136】
本実施例9に係るシームレスベルトの製造装置における実施例7との主な相違点は、実施例7におけるパイプ状コア1の複数の貫通穴34と、真空発生装置36が無い点である。かかる装置を用いたシームレスベルトの製造方法を以下に説明する。
【0137】
〔準備工程〕
本実施例9においては、パイプ状コア1の外周面に、ベルト基材6の内周面が対向するようにしてベルト基材6をセットし、その後、ベルト基材6の両端を粘着テープ40で固定する。そして、パイプ状コア1の内部に設けられた加熱手段としてのヒータ37によってパイプ状コア1を介してベルト基材6を内部から予備加熱すると共に、パイプ状コア1を軸を中心として回転させる。
【0138】
ここで、ベルト基材6は、ポリイミド樹脂(商品名:Uワニス−S、宇部興産製)を用いて製作した膜厚60μm、外径30mmの無端状ベルトを用いた。
このベルト基材6は、その外周面にアルカリエッチング処理を施し、洗浄し、外周面に無電解ニッケルメッキ処理を施してニッケル層を0.5μm形成しても良い。また、この無電解ニッケルメッキ膜を電極として、この上に電解メッキ処理により膜厚10μmの銅層を形成しても良い。尚、この電解メッキ処理の条件は、使用するメッキ液が、硫酸銅(70g/L)、硫酸(200g/L)、塩酸(50mg/L)であり、液温30℃、電流密度は0.2A/dm2である。そして、さらに、この銅層上に硫酸Ni(250g/L)、塩化Ni(45g/L)、ほう酸(40g/L)、トップセリーナ73X(5ml/L、奥野製薬工業(株)、MU−2(5ml/L、奥野製薬工業(株))からなるメッキ液を用い、液温度50℃、ph4.0、電流密度3A/dm2の条件で電解メッキ処理により膜厚5μm、硬度400Hvのニッケル層(保護層20C)を形成しても良い。
【0139】
〔第1工程〕
第1工程は、ベルト基材6の周面にプライマーを塗布して、プライマー層P1を形成する工程である。尚、本第1工程は、必須の工程ではなく、必要に応じて用いられる。
プライマー層P1を形成するためのプライマー(東レ・ダウコーニング社製、型式DY39−051)は、図示しないプライマータンクから図示しない定量ポンプによってチューブ22Bを介して塗布ノズル7Bに供給される。これらプライマータンクおよび定量ポンプは、一般に市販されている公知のものを用いることができる。
【0140】
塗布ノズル7Bを、パイプ状コア1の上方においてパイプ状コア1の軸方向に沿って、パイプ状コア1の一端(チャック2Bの近傍)から他端(チャック2Aの近傍)に向かって図16における矢印ホの向きに移動させ、プライマーを塗布ノズル7Bからパイプ状コア1の周面にセットされたベルト基材6にかけ流し塗布する。この際、プライマーは、塗布ノズル7Bと共に移動台14によって移動するブレード20および補助ブレード23によって厚さが調節されると共に均一に塗布される。
【0141】
本第1工程においては、シームレスベルトの製造装置にセットしたパイプ状コア1を150rpmの回転数で図2おける矢印ニの向きに回転させ、ノズル7Bの移動速度は通常700mm/分とした。また、塗布ノズル7Bの先端からパイプ状コア1の周面までの距離は0.1mm〜2.0mmとし、塗布ノズル7Bからのプライマーの吐出量を0.45g/10秒とした。
【0142】
ベルト基材6へのプライマーの塗布後は、室温で30分の風乾を行ない、次いでヒータ37によってベルト基材6の周面温度を150℃で30分加熱してプライマー焼付けを行なって、プライマー層P1をベルト基材6の周面に形成した。
【0143】
本第1工程は、プライマー層P1をベルト基材6の周面に形成するためにシームレスベルトの製造装置を用いたものを示したが、プライマー層P1を周面にあらかじめ形成したベルト基材6をシームレスベルトの製造装置にセットしてもよい。この場合は、言うまでもなく、前記した第1工程を無くすことができ、後述する第2工程からシームレスベルトの製造を開始することができる。
【0144】
〔第2工程〕
第2工程は、ベルト基材6へ加熱硬化材料を塗布し、ゴム層Gを形成する工程である。
第1工程を経て第2工程を行う場合は、プライマー層P1を形成した後、プライマー用の塗布ノズル7Bを液状加熱硬化材料用の塗布ノズル7Aに取替える。
この塗布ノズル7Aは、図示しないゴムタンクから図示しない定量ポンプによってチューブ22Aを介して液状加熱硬化材料が供給される。これらゴムタンクおよび定量ポンプは、一般に市販されている公知のものを用いることができる。
【0145】
第2工程は、まず、ヒータ37によるベルト基材6の予備加熱およびパイプ状コア1を矢印ニの向きに回転させることから開始する。
そして、塗布ノズル7Aは、パイプ状コア1の上方において、パイプ状コア1の軸方向に沿って、矢印ホの向きにパイプ状コア1の一端(チャック2Bの近傍)から他端(チャック2Aの近傍)に向かって移動させる。その際、塗布ノズル7Aから液状加熱硬化材料(東レ・ダウコーニング社製、型式CF9379)をパイプ状コア1の周面にかけ流し、ブレード20によって液状加熱硬化材料の厚さを調節し、かつ均一に平準化する。
【0146】
そして、ブレード20によって厚さが均一に調節された加熱硬化材料の表面に、ブレード20に隣接して設けられた補助ブレード23を接触させる(軽く当て付ける)。そうすると、ブレード20によって厚さが均一になった液状加熱硬化材料の表面に形成されたスパイラル模様を消すことができる。
【0147】
本実施例では、パイプ状コア1の回転数を150rpmとし、ベルト基材6の予備加熱温度はベルト基材6の周面で50〜100℃とした。そして、塗布ノズル7Aは口径1mm程度のものを使用し、その移動速度を480mm/分とし、加熱硬化材料の塗布ノズル7Aからの吐出量は、30〜35g/分とした。
【0148】
ベルト基材6の表面に形成液状加熱硬化材料が塗布された後は、パイプ状コア1を5rpmで20分間回転させてレベリング(平準化)を行ない、その後、ヒータ37によってベルト基材6の表面温度が硬化温度まで上げ、液状加熱硬化材料を150℃の温度、1時間で加熱硬化させる。液状加熱硬化材料が加熱硬化した後は、液状加熱硬化材料が加熱硬化したことにより形成されたゴム層Gが室温になるまで冷却した。
【0149】
以上の第1工程および第2工程によって図12に示したシームレスベルト30を製造することができる。また、第1工程を経ない場合は、本第2工程のみによって図3に示したシームレスベルトを製造することができる。これらの図3および図12に示したシームレスベルトは、必要に応じて、後述する第3工程以降の工程を行っても良い。
【0150】
〔第3工程〕
第3工程は、前記した第1工程および第2工程、または第2工程のみによってベルト基材6に形成されたゴム層Gの表面にプライマーとして官能基を導入した変性テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(変性PFA)水性ディスパージョン(PFAプライマー)を塗布し、PFAプライマー層P2を形成するものである。
【0151】
本第3工程において、塗布ノズルは、PFAプライマー専用の塗布ノズル7Cを使用し、塗布ノズル7Cには、図示しないPFAプライマータンクからチューブ22Cを介して図示しない定量ポンプによりPFAプライマーが供給される。これらPFAプライマータンクおよび定量ポンプは、一般に市販されている公知のものを用いることができる。
【0152】
本実施例で用いたプライマーは、三井・デュポンフロロケミカル社製のプライマー(型式PL−990CL)に、大日本インキ社製の界面活性剤(型式F−444)を1.5重量%添加したものである。
【0153】
塗布ノズル7Cは、パイプ状コア1の上方において、600mm/分の速度でパイプ状コア1の軸方向に沿って、パイプ状コア1の一端(チャック2Bの近傍)から他端(チャック2Aの近傍)に向かって移動させた。また、ベルト基材6の予備加熱はせず、塗布ノズル7Cからの吐出量を0.32g/10秒とした。
PFAプライマーの塗布後は、パイプ状コア1の回転を維持しつつ、常温で乾燥させた。
【0154】
〔第4工程〕
第4工程は、前記した第3工程におけるPFAプライマー層P2の表面にPFA水性ディスパージョンを塗布し、PFA離型層Rを形成する。本第4工程で用いるPFA水性ディスパージョンは、変性されていないPFAを上記PFAプライマーと同様な溶媒に分散させたものである。
【0155】
本第4工程においても、塗布ノズルはPFA水性ディスパージョン専用の塗布ノズル7Dを使用し、塗布ノズル7Dには図示しないPFAディスパージョンタンクから図示しない定量ポンプによってチューブ22Dを介してPFA水性ディスパージョンが供給される。これらPFAディスパージョンタンクおよび定量ポンプは、一般に市販されている公知のものを用いることができる。
【0156】
そして、塗布ノズル7Dは、所定の速度でパイプ状コア1の軸方向に沿って、パイプ状コア1の一端(チャック2Bの近傍)から他端(チャック2Aの近傍)に向かって移動し、PFA水性ディスパージョンをPFAプライマー層P2の表面にかけ流し塗布する。
【0157】
本実施例では、パイプ状コア1の回転数を300rpmとし、ベルト基材6の予備加熱はせず、塗布ノズル7Dの移動速度を600mm/分とし、加熱硬化材料の塗布ノズル7Dからの吐出量を0.38g/10秒とした。
【0158】
PFA水性ディスパージョン塗布後は、パイプ状コア1の回転を維持しつつ、常温で乾燥させた。その後、ヒータ37によってベルト基材6の表面温度を350℃の温度、20分で加熱硬化させた。
前記した第1〜4工程により、PFA水性ディスパージョンが表面に塗布されPFA離型層Rが形成された図13に示すシームレスベルト31または図14に示すシームレスベルト32を製造することができる。
さらに、これらのシームレスベルト31、32について、実施例1に示した第5工程を行うことができる。
【実施例10】
【0159】
本発明の他の実施例を図19を用いて詳細に説明する。
図19は、シームレスベルトの製造装置の正面図である。
尚、説明を分かり易くするため、実施例9に係るシームレスベルトの製造装置と同一の部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0160】
本実施例10に係るシームレスベルトの製造装置における実施例9との主な相違点は、補助ブレード23の代わりに回転部材24を設けた点である。また、パイプ状コア1へのベルト基材6の固定を、粘着テープ40から輪ゴム39に変えた点も相違している。
図19に示すように、回転部材24は、円筒形状であり、パイプ状コア1の軸方向とは垂直な方向に回転軸を有し、昇降枠9に取り付けられたモータ25により回転される。
【0161】
回転部材24の回転速度は、20000〜30000rpmが望ましく、本第10実施例においては、パイプ状コア1の回転数125rpmに対して、回転部材24の回転数を30000rpmとした。また、回転部材24とベルト基材6の周面との間隔(隙間)を1μmとした。尚、回転部材の回転方向は、正方向、逆方向のどちらであっても良い。
【0162】
そして、その他の条件を実施例9と同じにし、プライマー処理されたベルト基材6を用いて前記した第2工程により図12に示すシームレスベルト30を製造した。その結果、表面にスパイラル模様の無いシームレスベルト30を製造することができた。
【実施例11】
【0163】
本発明の他の実施例を図17を用いて詳細に説明する。
図17は本発明に係るシームレスベルトの製造装置の正面図である。
尚、説明を分かり易くするため、実施例9に係るシームレスベルトの製造装置と同一の部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0164】
本実施例11に係るシームレスベルトの製造装置における実施例9との主な相違点は、移動台14の上に支持枠3Aおよび3Bを載せ、パイプ状コア1自体が移動する点である。
【0165】
パイプ状コア1の両端は、先端コーン形状のチャック2Aおよび2Bによって支持されている。そして、チャック2A、2Bは、ぞれぞれ支持枠3A、3Bにボールベアリング4A、4Bを介して回転可能に支持されている。
【0166】
一方のチャック2Aは、支持枠3Aに摺動自在に支持されており、図示しないエアシリンダー、油圧シリンダー、スプリング等の押圧手段によって、図17における矢印イの向きに(チャック2Bに向かって)押圧されている。さらに、チャック2Aの軸5は、図示しないモータ等の駆動手段によって、図17における矢印ニの向きに回転させられる。
【0167】
これらの図示しない押圧手段および駆動手段は、パイプ状コア1が移動手段としての移動台14によりパイプ状コア1の軸方向に移動する関係上、移動台14または支持枠3Aに取り付けられた支持台26に固定されている。
【0168】
移動台14にはネジ孔15があけられており、ネジ孔15には、図示しないモータ等の駆動源によって回転速度可変に正逆回転させられる長尺ネジ16が入れられており、この長尺ネジ16を図示しない駆動源によって所定の回転数で正回転または逆回転させることによって、移動台14はパイプ状コア1の軸方向に沿って所定の速度で移動させられる。
【0169】
尚、移動台14は、基台13上に設けられたレール17によってガイドされている。また、前記したネジ孔15および長尺ネジ16は、一般に市販されているボールネジを用いて構成しても良い。
【0170】
また、図7に示す様に、摺動台19および可動枠8は、基台13に直接固定されている。
すなわち、実施例9に係るシームレスベルトの製造装置は、塗布ノズル7A、ブレード20および補助ブレード23がパイプ状コア1に対して移動台14によって移動するのに対し、本実施例11に係るシームレスベルトの製造装置は、パイプ状コア1が塗布ノズル7A、ブレード20および補助ブレード23に対して移動台14によって移動するのである。
【0171】
かかる構成であっても、前記した実施例9と同様なシームレスベルトの製造方法を採用することができ、前記した第2工程によって、実施例9と同様の図10に示すシームレスベルト30を製造することができた。
尚、図17に示したものは、パイプ状コア1にベルト基材6を粘着テープ40により固定したものであるが、図18に示すように、ベルト基材6の両端部を輪ゴム39でパイプ状コア1に固定しても良い。
【実施例12】
【0172】
本発明の他の実施例を図20を用いて詳細に説明する。
図20は、本発明に係るシームレスベルトの製造装置の正面図である。
尚、説明を分かり易くするため、実施例11に係るシームレスベルトの製造装置と同一の部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0173】
本実施例12に係るシームレスベルトの製造装置における実施例11との主な相違点は、補助ブレード23の代わりに回転部材24を設けた点である。
図20に示すように、回転部材24は、円筒形状であり、パイプ状コア1の軸方向とは垂直な方向に回転軸を有し、昇降枠9に取り付けられたモータ25により回転される。
【0174】
回転部材24の回転速度は、20000〜30000rpmが望ましく、本第5実施例においては、パイプ状コア1の回転数125rpmに対して、回転部材24の回転数を30000rpmとした。また、回転部材24とベルト基材6の表面との間隔(隙間)を1μmとした。尚、回転部材の回転方向は、正方向、逆方向のどちらであっても良い。
【0175】
そして、その他の条件を実施例11と同じにし、プライマー処理されたパイプ状コア1を用いて前記した第2工程により図10に示したシームレスベルト30を製造した。その結果、表面にスパイラル模様の無いシームレスベルトを製造することができた。
【0176】
前記した実施例は、説明のために例示したものであって、本発明としてはそれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲、発明の詳細な説明および図面の記載から当業者が認識することができる本発明の技術的思想に反しない限り、変更および付加が可能である。
【0177】
例えば、前記した実施例7および実施例8に示した真空発生装置36およびヒータ37は、実施例2、実施例3、実施例5および実施例6に示したシームレスベルトの製造装置に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0178】
本発明では、シームレスベルトの製造に成形型を使用しないので、シームレスベルトの製造工程が短縮され、またアンダーカット形状のクラウン形や逆クラウン形のシームレスベルトも容易に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0179】
【図1】本発明に係るシームレスベルトの製造装置の正面図(実施例1)
【図2】本発明に係るシームレスベルトの製造装置の側面図(実施例1)
【図3】シームレスベルトの一部側断面図(実施例1)
【図4】本発明に係るシームレスベルトの製造装置の正面図(実施例2)
【図5】本発明に係るシームレスベルトの製造装置の正面図(実施例3)
【図6】本発明に係るシームレスベルトの製造装置の正面図(実施例4)
【図7】本発明に係るシームレスベルトの製造装置の側面図(実施例4)
【図8】本発明に係るシームレスベルトの製造装置の正面図(実施例5)
【図9】本発明に係るシームレスベルトの製造装置の正面図(実施例6)
【図10】シームレスベルトの一部側断面図(実施例1等)
【図11】シームレスベルトの一部側断面図(実施例1)
【図12】シームレスベルトの一部側断面図(実施例1)
【図13】シームレスベルトの一部側断面図(実施例1)
【図14】本発明に係るシームレスベルトの製造装置の正面図(実施例7)
【図15】本発明に係るシームレスベルトの製造装置の正面図(実施例8)
【図16】本発明に係るシームレスベルトの製造装置の正面図(実施例9)
【図17】本発明に係るシームレスベルトの製造装置の正面図(実施例11)
【図18】本発明に係るシームレスベルトの製造装置の正面図(実施例11)
【図19】本発明に係るシームレスベルトの製造装置の正面図(実施例10)
【図20】本発明に係るシームレスベルトの製造装置の正面図(実施例12)
【符号の説明】
【0180】
1 パイプ状コア
2A,2B チャック
6 ベルト基材
7A,7B,7C,7D 塗布ノズル
14 移動台(移動手段)
18 熱風発生装置(送風手段、加熱手段)
20 ブレード
23 補助ブレード
24 回転部材
29 シームレスベルト
30 シームレスベルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2段階に温度の切り換えができる加熱手段と、
該加熱手段により加熱された気体を熱風として送る送風手段と、
該送風手段により送られた熱風を一端から内部に入れて他端から排出しつつ、軸を中心として回転し、かつ内部まで貫通する複数の穴が外周面にあけられたパイプ状コアと、
該パイプ状コアの外周面にセットされたベルト基材に液状加熱硬化材料をかけ流す塗布ノズルと、
該塗布ノズルから前記ベルト基材にかけ流された前記液状加熱硬化材料の厚さを調節するブレードと、
該ブレードによって厚さが調節された前記液状加熱硬化材料の表面に接触する補助ブレードと、
該ブレード、該補助ブレードおよび前記塗布ノズルを、前記パイプ状コアの軸方向に沿って移動させる移動手段と、
を有することを特徴とするシームレスベルトの製造装置
【請求項2】
少なくとも2段階に温度の切り換えができる加熱手段と、
該加熱手段により加熱された気体を熱風として送る送風手段と、
該送風手段により送られた熱風を一端から内部に入れて他端から排出しつつ、軸を中心として回転し、かつ内部まで貫通する複数の穴が外周面にあけられたパイプ状コアと、
該パイプ状コアの外周面にセットされたベルト基材に液状加熱硬化材料をかけ流す塗布ノズルと、
該塗布ノズルから前記ベルト基材にかけ流された前記液状加熱硬化材料の厚さを調節するブレードと、
該ブレードによって厚さが調節された前記加熱硬化材料の表面に接触し、前記パイプ状コアの軸方向とは垂直な方向に回転軸を有する回転部材と、
該ブレード、該回転部材および前記塗布ノズルを、前記パイプ状コアの軸方向に沿って移動させる移動手段と、
を有することを特徴とするシームレスベルトの製造装置
【請求項3】
内部まで貫通する複数の穴が外周面にあけられたパイプ状コアの外周面に、ベルト基材の内周面が対向するようにして該ベルト基材をセットし、
加熱手段によって予備加熱された気体を前記パイプ状コアの一端から内部に入れて他端から排出することにより前記ベルト基材を予備加熱すると共に、前記ベルト基材を前記パイプ状コアに固定し、
前記パイプ状コアを、軸を中心として回転させ、
前記パイプ状コアの上方において前記パイプ状コアの軸方向に沿って移動する塗布ノズルから、前記ベルト基材に液状加熱硬化材料をかけ流すと共に、該塗布ノズルと共に移動するブレードを該液状加熱硬化材料に当てて該液状加熱硬化材料の厚さを調節し、
該ブレードによって厚さが調節された該液状加熱硬化材料の表面に、該ブレードと共に移動する補助ブレードを接触させることによって前記ベルト基材の外周面に該液状加熱硬化材料の塗布層を形成した後、
前記加熱手段によって該塗布層を加熱硬化させて前記ベルト基材に加熱硬化層を形成することを特徴とするシームレスベルトの製造方法
【請求項4】
内部まで貫通する複数の穴が外周面にあけられたパイプ状コアの外周面に、ベルト基材の内周面が対向するようにして該ベルト基材をセットし、
加熱手段によって予備加熱された気体を前記パイプ状コアの一端から内部に入れて他端から排出することにより前記ベルト基材を予備加熱すると共に、前記ベルト基材を前記パイプ状コアに固定し、
前記パイプ状コアを軸を中心として回転させ、
前記パイプ状コアの上方において前記パイプ状コアの軸方向に沿って移動する塗布ノズルから、前記ベルト基材に液状加熱硬化材料をかけ流すと共に、該塗布ノズルと共に移動するブレードを該液状加熱硬化材料に当てて該液状加熱硬化材料の厚さを調節し、
該ブレードによって厚さが調節された該加熱硬化材料の表面に、該ブレードと共に移動し、前記パイプ状コアの軸方向とは垂直な方向に回転軸を有する回転部材を接触させることによって該パイプ状コアの外周面に該加熱硬化材料の塗布層を形成した後、
前記加熱手段によって該塗布層を加熱硬化させて前記ベルト基材に加熱硬化層を形成することを特徴とするシームレスベルトの製造方法
【請求項5】
少なくとも2段階に温度の切り換えができる加熱手段と、
該加熱手段により加熱された気体を熱風として送る送風手段と、
該送風手段により送られた熱風を一端から内部に入れて他端から排出しつつ、軸を中心として回転し、かつ内部まで貫通する複数の穴が外周面にあけられたパイプ状コアと、
該パイプ状コアの外周面にセットされたベルト基材に液状加熱硬化材料をかけ流す塗布ノズルと、
該塗布ノズルから前記ベルト基材にかけ流された前記液状加熱硬化材料の厚さを調節するブレードと、
該ブレードによって厚さが調節された前記液状加熱硬化材料の表面に接触する補助ブレードと、
前記パイプ状コアを、該パイプ状コアの軸方向に移動させる移動手段と、
を有することを特徴とするシームレスベルトの製造装置
【請求項6】
少なくとも2段階に温度の切り換えができる加熱手段と、
該加熱手段により加熱された気体を熱風として送る送風手段と、
該送風手段により送られた熱風を一端から内部に入れて他端から排出しつつ、軸を中心として回転し、かつ内部まで貫通する複数の穴が外周面にあけられたパイプ状コアと、
該パイプ状コアの外周面にセットされたベルト基材に液状加熱硬化材料をかけ流す塗布ノズルと、
該塗布ノズルから前記ベルト基材にかけ流された前記液状加熱硬化材料の厚さを調節するブレードと、
該ブレードによって厚さが調節された前記加熱硬化材料の表面に接触し、前記パイプ状コアの軸方向とは垂直な方向に回転軸を有する回転部材と、
前記パイプ状コアを、該パイプ状コアの軸方向に移動させる移動手段と、
を有することを特徴とするシームレスベルトの製造装置
【請求項7】
内部まで貫通する複数の穴が外周面にあけられたパイプ状コアの外周面に、ベルト基材の内周面が対向するようにして該ベルト基材をセットし、
加熱手段によって予備加熱された気体を前記パイプ状コアの一端から内部に入れて他端から排出することにより前記ベルト基材を予備加熱すると共に、前記ベルト基材を前記パイプ状コアに固定し、
前記パイプ状コアを、軸を中心として回転させると共に、前記パイプ状コアを前記パイプ状コアの軸方向に移動させ、
前記パイプ状コアの上方において塗布ノズルから、前記ベルト基材に液状加熱硬化材料をかけ流すと共に、ブレードを該液状加熱硬化材料に当てて該液状加熱硬化材料の厚さを調節し、
該ブレードによって厚さが調節された該液状加熱硬化材料の表面に補助ブレードを接触させることによって該ベルト基材の外周面に該液状加熱硬化材料の塗布層を形成した後、
前記加熱手段によって該塗布層を加熱硬化させて前記ベルト基材に加熱硬化層を形成することを特徴とするシームレスベルトの製造方法
【請求項8】
内部まで貫通する複数の穴が外周面にあけられたパイプ状コアの外周面に、ベルト基材の内周面が対向するようにして該ベルト基材をセットし、
加熱手段によって予備加熱された気体を前記パイプ状コアの一端から内部に入れて他端から排出することにより前記ベルト基材を予備加熱すると共に、前記ベルト基材を前記パイプ状コアに固定し、
前記パイプ状コアを、軸を中心として回転させると共に、前記パイプ状コアを前記パイプ状コアの軸方向に移動させ、
前記パイプ状コアの上方において塗布ノズルから、前記ベルト基材に液状加熱硬化材料をかけ流すと共に、ブレードを該液状加熱硬化材料に当てて該液状加熱硬化材料の厚さを調節し、
該ブレードによって厚さが調節された該液状加熱硬化材料の表面に、前記パイプ状コアの軸方向とは垂直な方向に回転軸を有する回転部材を接触させることによって該ベルト基材の外周面に該液状加熱硬化材料の塗布層を形成した後、
前記加熱手段によって該塗布層を加熱硬化させて前記ベルト基材に加熱硬化層を形成することを特徴とするシームレスベルトの製造方法
【請求項9】
パイプ状コアの外周面に、ベルト基材の内周面が対向するようにして該ベルト基材を固定し、
該パイプ状コアの内部に設けられた加熱手段によって前記ベルト基材を内部から予備加熱すると共に、該パイプ状コアを、軸を中心として回転させ、
前記パイプ状コアの上方において前記パイプ状コアの軸方向に沿って移動する塗布ノズルから、前記ベルト基材に液状加熱硬化材料をかけ流すと共に、該塗布ノズルと共に移動するブレードを該液状加熱硬化材料に当てて該液状加熱硬化材料の厚さを調節し、
該ブレードによって厚さが調節された該液状加熱硬化材料の表面に、該ブレードと共に移動する補助ブレードを接触させることによって前記ベルト基材の外周面に該液状加熱硬化材料の塗布層を形成した後、
前記加熱手段によって該塗布層を加熱硬化させて前記ベルト基材に加熱硬化層を形成することを特徴とするシームレスベルトの製造方法
【請求項10】
パイプ状コアの外周面に、ベルト基材の内周面が対向するようにして該ベルト基材を固定し、
該パイプ状コアの内部に設けられた加熱手段によって前記ベルト基材を内部から予備加熱すると共に、該パイプ状コアを、軸を中心として回転させ、
前記パイプ状コアの上方において前記パイプ状コアの軸方向に沿って移動する塗布ノズルから、前記ベルト基材に液状加熱硬化材料をかけ流すと共に、該塗布ノズルと共に移動するブレードを該液状加熱硬化材料に当てて該液状加熱硬化材料の厚さを調節し、
該ブレードによって厚さが調節された該加熱硬化材料の表面に、該ブレードと共に移動し、前記パイプ状コアの軸方向とは垂直な方向に回転軸を有する回転部材を接触させることによって該パイプ状コアの外周面に該加熱硬化材料の塗布層を形成した後、
前記加熱手段によって該塗布層を加熱硬化させて前記ベルト基材に加熱硬化層を形成することを特徴とするシームレスベルトの製造方法
【請求項11】
パイプ状コアの外周面に、ベルト基材の内周面が対向するようにして該ベルト基材を固定し、
該パイプ状コアの内部に設けられた加熱手段によって前記ベルト基材を内部から予備加熱すると共に、該パイプ状コアを、軸を中心として回転させ、
前記パイプ状コアを前記パイプ状コアの軸方向に移動させ、
前記パイプ状コアの上方において塗布ノズルから、前記ベルト基材に液状加熱硬化材料をかけ流すと共に、ブレードを該液状加熱硬化材料に当てて該液状加熱硬化材料の厚さを調節し、
該ブレードによって厚さが調節された該液状加熱硬化材料の表面に補助ブレードを接触させることによって該ベルト基材の外周面に該液状加熱硬化材料の塗布層を形成した後、
前記加熱手段によって該塗布層を加熱硬化させて前記ベルト基材に加熱硬化層を形成することを特徴とするシームレスベルトの製造方法
【請求項12】
パイプ状コアの外周面に、ベルト基材の内周面が対向するようにして該ベルト基材を固定し、
該パイプ状コアの内部に設けられた加熱手段によって前記ベルト基材を内部から予備加熱すると共に、該パイプ状コアを、軸を中心として回転させ、
前記パイプ状コアを前記パイプ状コアの軸方向に移動させ、
前記パイプ状コアの上方において塗布ノズルから、前記ベルト基材に液状加熱硬化材料をかけ流すと共に、ブレードを該液状加熱硬化材料に当てて該液状加熱硬化材料の厚さを調節し、
該ブレードによって厚さが調節された該液状加熱硬化材料の表面に、前記パイプ状コアの軸方向とは垂直な方向に回転軸を有する回転部材を接触させることによって該ベルト基材の外周面に該液状加熱硬化材料の塗布層を形成した後、
前記加熱手段によって該塗布層を加熱硬化させて前記ベルト基材に加熱硬化層を形成することを特徴とするシームレスベルトの製造方法
【請求項13】
請求項3、4、7、8、9、10、11、12のいずれか1項に記載のシームレスベルトの製造方法により製造したシームレスベルトの表面に、フッ素樹脂層を形成したシームレスベルト

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2009−234245(P2009−234245A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−212019(P2008−212019)
【出願日】平成20年8月20日(2008.8.20)
【出願人】(000251288)鈴鹿富士ゼロックス株式会社 (156)
【Fターム(参考)】