説明

セラミックスヒータ

【課題】 ウエハ保持面の均熱性に優れ、半導体等製造装置や液晶製造装置等に用いるのに好適なセラミックスヒータを提供する。
【解決手段】 板状のセラミックス焼結体1に抵抗発熱体2が形成されていて、セラミックス焼結体外周縁1aと実質的な抵抗発熱体領域外周縁2aとの間のプルバック長さLのばらつきが±0.8%以内であり、ウエハ保持面の全面における均熱性が±1.0%以下である。好ましくは、プルバック長さLのばらつきを±0.5%以内とすることで、±0.5%以下の優れた均熱性を達成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミックスヒータに関し、特にCVD装置、プラズマCVD装置、エッチング装置、プラズマエッチング装置のような半導体等製造装置や液晶製造装置等に用いられるセラミックスヒータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
成膜チャンバー内に保持された半導体ウエハは、CVD(Chemical Vapor Deposition)、プラズマCVD、エッチング、プラズマエッチング等の膜形成速度やエッチング速度を均一に行うために、その表面の温度が厳密に制御される必要がある。
【0003】
その温度制御のために、ウエハ保持体にヒータを内蔵し、ウエハ保持体の表面を加熱して、伝熱によって半導体ウエハを加熱している。従来から、このようなウエハ保持体として、耐熱性、耐食性、絶縁性を備えた窒化アルミニウムや窒化ケイ素等のセラミックスが用いられていた。
【0004】
そして、上記ヒータを内蔵したセラミックス製のウエハ保持体は、例えば円板状の窒化アルミニウム成形体に形成した溝にMoコイルを這わせ、もう一枚の窒化アルミニウム成形体で挟み込み、ホットプレス焼結により窒化アルミニウムの焼結及びMoコイルを内蔵するという方法により製造されていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ヒータを内蔵したセラミックス製のウエハ保持体、即ちセラミックスヒータにおいて、ヒータの抵抗発熱体構成成分は、シリコンウエハ等の半導体材料や液晶材料に対して極微量でも不純物元素と見なされ、出来上がった半導体チップや液晶の誤動作等の原因となり得る。
【0006】
そこで、半導体製造装置等のチャンバー内に抵抗発熱体が表出しないように、セラミックスヒータ内に完全に埋設するか、あるいはセラミックス表面に形成した抵抗発熱体を保護層で被覆する必要がある。そのため、セラミックスヒータの外周部には、抵抗発熱体が埋め込まれていない領域、即ち非発熱領域が必ず存在することになる。また、抵抗発熱体で発生した熱は、セラミックス中を伝わって表面に到り、表面から輻射あるいはガスを介した伝熱によって逃げていく。そのため、円板状あるいは矩形板状のセラミックスヒータにおいて、外周近傍が最も熱が逃げやすい場所となる。
【0007】
この上記2つの原因が合わさるため、セラミックスヒータの外周は最も温度が低下しやすい部分である。これを解決するため、セラミックスに熱伝導率の高い材料を用い、抵抗発熱体で発生した熱を外周側へ素早く拡散させることによって、温度差をなくすことが行われている。また、抵抗発熱体の外周側ほどコイルの巻き密度や抵抗発熱体のパターン密度を上げることによって、外周側の発熱密度を上げ、熱補償して温度差をなくそうとする工夫もなされている。
【0008】
しかし、セラミックス成形体の溝内に這わせたコイルは、セラミックス成形体で挟み込んでホットプレスすると、不定形状に押し潰されて実質的な抵抗発熱体領域外周縁が乱れてしまう。その結果、抵抗発熱体における発熱量と非発熱部への熱拡散、端部からの熱の逃げ補償などを厳密に計算して均熱設計したにも関わらず、実際には端部における実質的な発熱領域が乱れてしまい、セラミックスヒータ全面における望ましい均熱性を得ることができなかった。
【0009】
しかるに、近年における半導体ウエハの大型化に伴い、ウエハを加熱するためのセラミックスヒータに対する均熱性の要求も厳しくなってきており、ウエハ保持面において最低でも±1.0%以内、望ましくは±0.5%以内の均熱性が必要とされている。
【0010】
本発明は、このような従来の事情に鑑み、板状のセラミックス焼結体中にコイル状の抵抗発熱体が埋設されていて、ウエハ保持面全面における均熱性に優れたセラミックスヒータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明が提供するセラミックスヒータは、板状のセラミックス焼結体に抵抗発熱体が形成されていて、セラミックス焼結体外周縁と実質的な抵抗発熱体領域外周縁との問のプルバック長さのばらつきが±0.8%以内であることを特徴とする。また、前記プルバック長さのばらつきは、±0.5%以内であることが好ましい。
【0012】
上記本発明のセラミックスヒータにおいては、前記セラミックスが窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化アルミニウムから選ばれる少なくとも1種の物質からなることを特徴とする。また、前記抵抗発熱体がW、Mo、Ag、Pt、Pd、Ni、Crから選ばれる少なくとも1種の金属からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、板状のセラミックス焼結体中にコイル状の抵抗発熱体が埋設されたセラミックスヒータについて、焼結体外周縁と実質的な抵抗発熱体領域外周縁との間のプルバック長さのばらつきを制御することで、そのウエハ保持面全面における均熱性を要求されている±1.0%以下にすることができ、更に好ましくは±0.5%以下という優れた均熱性を達成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明者らは、鋭意検討の結果、セラミックス焼結体に抵抗発熱体を形成したとき、その焼結体外周縁と実質的な抵抗発熱体領域外周縁との間のプルバック長さのぱらつきを実質的に±0.8%以内にすることにより、セラミックスヒータ全面における均熱性が、最低限必要とされている±1.0%以内を満足することを見出した。
【0015】
更に、セラミックス焼結体外周縁と実質的な抵抗発熱体領域外周縁との間のプルバック長さのばらつきを実質的に±0.5%以内にすることにより、セラミックスヒータ全面における均熱性が、最も望ましいとされる±0.5%以内となることを見出した。
【0016】
セラミックス焼結体に埋設する抵抗発熱体の一例を図1に示す。セラミックス焼結体1に埋設された抵抗発熱体2はコイル状の回路パターンをなし、セラミックス焼結体1の焼結体外周縁1aと抵抗発熱体2の抵抗発熱体領域外周縁2aとの間の長さLがプルバック長さである。尚、コイル状をなす抵抗発熱体2は2つの回路端部2b、2bから引出線を通じて系外に取り出され、電源からの電力供給により発熱させるようになっている。また、図1に示す抵抗発熱体2の回路パターンは一例であって、本発明はこれに限定されるわけではない。
【0017】
セラミックス成形体やグリーンシート上に抵抗発熱体の回路パターンを形成して焼結する場合、基材と回路パターンが緻密化し収縮しながら焼結が進行する。その際、焼結助剤の不均一性、脱脂後のカーボン残渣不均一による焼結助剤としての酸化物の不均一な揮発、焼結時の炉内温度や雰囲気のばらつきにより、均一に収縮させることは非常に難しく、実質的な抵抗発熱体存在領域の形状は歪みやすい。また、セラミックス成形体にヒータ形状のMoコイルやMoシートを置いてホットプレス焼結しても、ホットプレス焼結の過程でコイルやシートが押し潰されて拉げたり、歪んだり、位置ずれしたりするため、実質的な抵抗発熱体領域の外周縁が変形する。
【0018】
セラミックス焼結体の外周縁は加工により最終的な精度を出せるが、実質的な抵抗発熱体領域が変形すると、セラミックス焼結体外周縁と抵抗発熱体領域外周縁との間のプルバック長さにばらつきが生じてしまう。これらをすべて厳密に均一になるように管理し、セラミックス焼結体外周縁と実質的な抵抗発熱体領域外周縁との間のプルバック長さのばらつきを実質的に±0.8%以内、望ましくは±0.5%以内にすることにより、上述の優れた均熱性が得られる。尚、プルバック長さは、対象とするウエハ等に応じて適宜定めることができる。
【0019】
このようなプルバック長さのばらつきを一定範囲にコントロールする方法としては、既に焼結を終えてそれ以上収縮変形しないセラミックス焼結体を精度良く加工した表面に、抵抗発熱体成分と焼結助剤を混練したペーストで回路を印刷した後焼き付けると、抵抗発熱体回路を変形せずに焼き付けることができる。その後、この抵抗発熱体回路を焼き付けたセラミックス焼結体と同一外径のセラミックス焼結体を、接合材を用いて接合することによって、内部に抵抗発熱体を埋設したセラミックスヒータを容易に作製することができる。あるいは、抵抗発熱体表面を保護層で被覆することにより、抵抗発熱体を有するセラミックスヒータも容易に作製することができる。
【0020】
抵抗発熱体を形成するセラミックスとしては、耐食性、熱伝導率等の観点から、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化アルミニウムから選ばれる少なくとも1種の物質からなることが好ましい。
【0021】
また、抵抗発熱体としては、耐熱性や発熱に適した固有抵抗値を有する金属、好ましくはW、Mo、Ag、Pt、Pd、Ni、Crから選ばれる少なくとも1種の金属を用いることができる。
【実施例1】
【0022】
窒化アルミニウム(AlN)粉末に、焼結助剤として0.8重量%のイットリア(Y)とバインダとしてポリビニルアルコールを添加し、エタノールを溶媒としてボールミルにより分散混合した後、スプレードライにより造粒した。
【0023】
得られた造粒粉末を、一軸プレスにより、焼結後に直径355mmで厚み5mmとなる寸法に2枚成形した。これらを温度800℃の窒素ガス気流中で脱脂した後、窒素ガス気流中にて1850℃で焼結することによりAlN焼結体を製造した。このAlN焼結体の熱伝導率は180W/mKであった。得られたAlN焼結体の上下両面を、ダイヤモンド砥粒を用いて研磨した。
【0024】
次に、タングステン粉末にイットリアを1重量%添加し、バインダとしてエチルセルロースを添加混錬し、得られたWスラリーを用いて1枚のAlN焼結体上にコイル状のパターンを印刷した。ここで、Wパターン外周縁とAlN焼結体外周縁の最終的なプルバック長さが1.0mmになるように設定した。これを900℃の窒素ガス気流中で脱脂した後、1800℃で2時間焼き付けた。
【0025】
また、Y−A1系の接合材に対してエチルセルロースを添加混練し、もう1枚のAlN焼結体上にパターン印刷した。これを900℃の窒素気流中で脱脂した後、2枚のAlN焼結体のWパターン面と接合材面を合わせて、50kgf/cm、1750℃でホットプレス接合した。その後、接合体の外周を加工して、直径350mmの円形に仕上げた。
【0026】
得られたセラミックスヒータについて、回路端部から系外に取り出した引出線を通じて電力供給してW抵抗発熱体を発熱させ、ウエハ保持面における均熱性を測定した結果、500℃±0.40%であり良好な均熱性を示した。尚、このセラミックスヒータを半径方向に切り出して、W抵抗発熱体領域外周縁とAlN焼結体外周縁との間のプルバック長さ(設定値1.0mm)を測定したところ、そのばらつきは±0.2%であった。
【実施例2】
【0027】
W抵抗発熱体のパターンのみを変えることにより、抵抗発熱体領域外周縁の形状を歪ませたパターンを印刷した以外は実施例1と同様にして、セラミックスヒータを作製した。得られた3種類のセラミックスヒータについて、実施例1と同様に抵抗発熱体領域外周縁とAlN焼結体外周縁との間のプルバック長さのばらつきと共に、ウエハ保持面の均熱性を測定した。
【0028】
その結果、プルバック長さのばらつきが±0.5%のとき、ウエハ保持面の均熱性は500℃±0.50%であった。また、プルバック長さのばらつきが±0.75%のとき、均熱性は500℃±0.70%であった。更に、プルバック長さのばらつきが±0.8%のときには、均熱性は500℃±0.95%であった。
【実施例3】
【0029】
炭化ケイ素(SiC)粉末に、焼結助剤として0.8重量%の炭化ホウ素(BC)とバインダとしてポリビニルアルコールを添加し、エタノールを溶媒としてボールミルにより分散混合した後、スプレードライにより造粒した。
【0030】
得られた造粒粉末を、一軸プレスにより、焼結後に直径355mmで厚み5mmとなる寸法に2枚成形した。これらを温度900℃の窒素ガス気流中で脱脂した後、1950℃で5時間焼結することによってSiC焼結体を得た。このSiC焼結体の熱伝導率は150W/mKであった。得られたSiC焼結体の両端面を、ダイヤモンド砥粒を用いて研磨した。
【0031】
タングステン抵抗発熱体の回路形成及び2枚の焼結体の接合を実施例1と同じ手法で行い、得られたセラミックスヒータについて実施例1と同じ評価を行ったところ、プルバック長さのばらつきは±0.3%であり、ウエハ保持面の均熱性は500℃±0.46%であった。
【実施例4】
【0032】
窒化ケイ素(Si)粉末に、焼結助剤として2重量%のイットリアと1重量%のアルミナを添加し、バインダとしてポリビニルアルコールを添加し、エタノールを溶媒としてボールミルにより分散混合した後に、スプレードライにより造粒した。
【0033】
得られた造粒粉末を、一軸プレスにより、焼結後に直径355mmで厚みが5mmとなる寸法に2枚成形した。これらを温度900℃の窒素ガス気流中で脱脂した後、1600℃で4時間焼結することによってSi焼結体を得た。このSi焼結体の熱伝導率は22W/mKであった。得られたSi焼結体の両端面を、ダイヤモンド砥粒を用いて研磨した。
【0034】
また、タングステン粉末にイットリアを1重量%添加し、バインダとしてエチルセルロースを添加混練して、Si焼結体の1枚の上にコイル状にパターン印刷した。これを900℃の窒素ガス気流中で脱脂した後、1500℃で1時間焼き付けた。ここで、Wパターン外周縁とSi焼結体外周縁の最終的なプルバック長さが1.0mmになるように設定した。
【0035】
また、低融点ガラス系の接合材に対しエチルセルロースを添加混練し、もう1枚のSi焼結体上にパターン印刷した。これを700℃の大気気流中で脱脂した後、2枚のSi焼結体をWパターン面と接合材面を合わせて、100g/cm、800℃でホットプレス接合した。その後、接合体の外周を加工して、直径350mmの円形に仕上げた。
【0036】
得られたセラミックスヒータについて、実施例1と同じ評価を行ったところ、プルバック長さのばらつきは±0.3%であり、ウエハ保持面の均熱性は500℃±0.45%であった。
【実施例5】
【0037】
酸化アルミニウム(A1)粉末に、焼結助剤として1重量%のマグネシア(MgO)とバインダとしてポリビニルアルコールを添加し、分散混合して乾燥した粉末を、一軸プレスにより焼結後に直径355mmで厚み5mmとなる寸法に2枚成形した。
【0038】
これらを温度700℃の大気ガス気流中で脱脂した後、1600℃で3時間焼結することによって焼結体を得た。このA1焼結体の熱伝導率は20W/mKであった。得られたA1焼結体の上下両面を、ダイヤモンド砥粒を用いて研磨した。
【0039】
タングステン抵抗発熱体の回路形成及び2枚の焼結体の接合を実施例4と同じ手法で行い、得られたセラミックスヒータについて実施例1と同じ評価を行ったところ、プルバック長さのばらつきは±0.3%であり、ウエハ保持面の均熱性は500℃±0.46%であった。
【実施例6】
【0040】
モリブデン粉末にイットリアを1重量%添加し、バインダとしてエチルセルロースを添加混練して、抵抗発熱体の回路形成用ペーストとした以外は実施例1と同じ手法でAlN焼結体の接合体を作製し、以降同様にしてセラミックスヒータを製造した。
【0041】
得られたセラミックスヒータについて、実施例1と同様にして評価を行ったところ、Mo抵抗発熱体領域外周縁とAlN焼結体外周縁との間のプルバック長さのばらつきは±0.3%であり、ウエハ保持面の均熱性は500℃±0.46%であった。
【実施例7】
【0042】
実施例1と同じ方法で2枚の窒化アルミニウム焼結体を得た。その1枚に、Ag−Pd粉末に焼結助剤とバインダとしてエチルセルロースを添加混練し、このペーストを用いて回路形成し、大気中にて900℃で焼き付けた。もう一枚の窒化アルミニウム焼結体との接合方法は実施例4と同じ手法を用いた。
【0043】
得られたセラミックスヒータについて、実施例1と同様にして評価を行ったところ、Ag−Pd抵抗発熱体領域外周縁とAlN焼結体外周縁との間のプルバック長さのばらつきは±0.3%であり、ウエハ保持面の均熱性は500℃±0.45%であった。
【実施例8】
【0044】
実施例1と同じ方法で2枚の窒化アルミニウム焼結体を得た。その1枚に、Ni−Cr粉末に焼結助剤とバインダとしてエチルセルロースを添加混練し、このペーストを用いて回路形成し、大気中にて700℃で焼き付けた。もう一枚の窒化アルミニウム焼結体との接合方法は実施例4と同じ手法を用いた。
【0045】
得られたセラミックスヒータについて、実施例1と同様にして評価を行ったところ、Ni−Cr抵抗発熱体領域外周縁とAlN焼結体外周縁との間のプルバック長さのばらつきは±0.3%であり、ウエハ保持面の均熱性は500℃±0.46%であった。
【実施例9】
【0046】
実施例1と同じ方法でタングステン抵抗発熱体を焼き付けた基板を得た。この抵抗発熱体の上に、窒化アルミニウムにYとエチルセルロースバインダーを混練したペーストを100μm塗布した。これを900℃窒素中にて脱脂し、1800℃で2時間焼き付けた。
【0047】
得られたセラミックスヒータについて、実施例1と同様にして評価を行ったところ、タングステン抵抗発熱体領域外周縁とAlN焼結体外周縁との間のプルバック長さのばらつきは±0.2%であり、ウエハ保持面で500℃±0.40%の良好な均熱性を示した。
【0048】
比較例1
実施例1と同じ手法で窒化アルミニウムの成形体を2枚作製した。その1枚に実施例1と同じWペーストを塗布し、もう1枚には実施例1と同じ接合材ペーストを塗布した。Wペースト面と接合材ペースト面を重ね合わせて、50kgf/cmで加圧しながら1850℃で同時焼成した。
【0049】
得られたセラミックスヒータにっいて、実施例1と同様にして評価を行ったところ、ウエハ保持面における均熱性は500℃±1.30%であった。また、セラミックスヒータを半径方向に切り出し、W抵抗発熱体領域外周縁とAlN焼結体外周縁との間のプルバック長さのばらつきを測定したところ±1.2%であった。
【0050】
比較例2
実施例1と同じ手法で窒化アルミニウムの成形体を2枚作製し、それぞれに幅4.5m止、深さ2.5mmの溝を形成した。この溝内にMoコイルを這わせて、Moコイルを内蔵するように2枚の成形体を重ね合わせ、100kgf/cm、1850℃の2時間窒素中でホットプレス焼結した。
【0051】
得られたセラミックスヒータについて、実施例1と同様にして評価を行ったところ、ウエハ保持面における均熱性は500℃±1.70%であった。また、セラミックスヒータを半径方向に切り出し、W抵抗発熱体領域外周縁とAlN焼結体外周縁との間のプルバック長さのばらつきを測定したところ±1.5%であった。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明によれば、板状のセラミックス焼結体中にコイル状の抵抗発熱体が埋設されたセラミックスヒータについて、焼結体外周縁と実質的な抵抗発熱体領域外周縁との間のプルバック長さのばらつきを制御することで、そのウエハ保持面全面における均熱性を要求されている±1.0%以下にすることができ、更に好ましくは±0.5%以下という優れた均熱性を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】抵抗発熱体の回路パターンの一例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0054】
1 セラミックス焼結体
1a 焼結体外周縁
2 抵抗発熱体
2a 抵抗発熱体領域外周縁
2b 回路端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状のセラミックス焼結体に抵抗発熱体が形成され、セラミックス焼結体外周縁と実質的な抵抗発熱体領域外周縁との間のプルバック長さのばらつきが±0.8%以内であることを特徴とするセラミックスヒータ。
【請求項2】
前記プルバック長さのばらつきが±0.5%以内であることを特徴とする、請求項1に記載のセラミックスヒータ。
【請求項3】
前記セラミックスが窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化アルミニウムから選ばれる少なくとも1種の物質からなることを特徴とする、請求項1又は2に記載のセラミックスヒータ。
【請求項4】
前記抵抗発熱体がW、Mo、Ag、Pt、Pd、Ni、Crから選ばれる少なくとも1種の金属からなることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のセラミックスヒータ。

【図1】
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【公開番号】特開2006−286646(P2006−286646A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−103297(P2006−103297)
【出願日】平成18年4月4日(2006.4.4)
【分割の表示】特願2002−121616(P2002−121616)の分割
【原出願日】平成14年4月24日(2002.4.24)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】