説明

タクシーの情報処理システム

【課題】 デジタル無線にて配車センターと各種情報を送受信することによって、情報の送受信の安定性を図りつつ製作コストを抑え、業務の効率化やサービスの向上を達成し得るタクシーの情報処理システムを提供する。
【解決手段】 配車センターSとの間でデジタル無線にて複数の付加的情報を含む各種情報を送受信する通信手段4と;複数のタリフ設定スイッチ21を含む入力手段2と、乗車料金を演算する料金演算手段31と、乗車料金やタリフなどの計量器としてのタクシーメータ固有のメータ関連情報を表示するメータ関連情報表示部10を有する表示手段1とを備えたタクシーメータであって、前記複数の付加的情報の中から、配車センターSに対して配信依頼する付加的情報を選択する情報選択手段33を設け、表示手段1に、配車センターSから配信された付加的情報を表示する付加的情報表示部13を設けたタクシーメータAとを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配車センターとの間でデジタル無線により各種情報を送受信して乗務員やタクシー利用者に提供可能なタクシーの情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
カーナビゲーション装置として、車両の走行距離、走行速度および経過時間等に従って、予め設定された演算式に基づき乗車料金を演算してタクシーメータ画面の表示部に表示するようになした、タクシーメータ機能を備えたカーナビゲーション装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、タクシー用情報表示装置として、乗客が指定した目的地を入力すると、目的地までに予想される走行時間或いは到着時刻、及び、目的地までの予想される乗車料金の少なくとも一方又は双方を表示したり、目的地までの推奨する走行ルートをタクシー用情報表示装置で演算して表示したり、目的地までの推奨する走行ルートを配車センターで演算してタクシー用情報表示装置に配信するようになしたタクシー用情報表示装置が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
更に、タクシーメータとして、タクシーメータ頭部の前面に、バックライトの色変化、点滅、光量変化、若しくは点灯/消灯の切り替えにより、視認可能に照明表示した複数のタリフ釦を設け、選択されたタリフ釦と、次に選択可能なタリフ釦と、選択不能なタリフ釦とを前記バックライトの照明態様の変化によって互いに区別できるように識別表示するタクシーメータが提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
【0005】
一方、タクシー料金の決済方法として、車載のカードリーダで利用者のクレジットカードのデータを読み取り、読み取ったデータと乗車料金とを携帯電話回線を通じて、タクシーから決済センター(クレジット会社の承認を得て電子決済の代行業務を行う会社が運営するセンター)に送信して、オンライン決済する決済方法も実施されている。しかし、この決済方法では、タクシー会社が携帯電話の毎月の基本料金と、タクシーと決済センター間の回線利用料金とを負担しなければならず、その普及を遅らせる原因の1つになっている。
【0006】
【特許文献1】特開2002−298165号公報
【特許文献2】特開2002−162242号公報
【特許文献3】特開2000−207588号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記特許文献1記載のカーナビゲーション装置は、カーナビゲーションにタクシーメータとしての機能を付加したものであるが、配車センターとの情報の送受信を前提としたものではないので、ルート案内情報は提供できるが、イベント情報、乗客情報、次回割引案内情報、及び宣伝広告映像など、ルート案内情報以外の情報は提供できないものである。また、地図情報等をカーナビゲーション装置に備えさせる必要があり、製作コストが高く、各車両毎に地図データの更新が必要であるという問題もある。
【0008】
前記特許文献2記載のタクシー用情報表示装置は、配車センターとの通信により走行ルート情報を取得しており、しかも特許文献2には、タクシー用情報表示装置の表示をタクシーメータの表示と共用させることが可能である点も明記されているが、配車センターとのデータの送受信が、タクシー無線を利用したものではなく、通信のために別途携帯電話回線などを利用した通信手段が必要になるという問題がある。また、特許文献1と同様に、ルート案内情報は提供できるものの、イベント情報、乗客情報、次回割引案内情報、Webブラウザ画像、テレビ映像、及び宣伝広告情報など、ルート案内情報以外の情報を提供するようには構成されておらず、しかもこれらの情報を提供するためのスイッチ類や表示スペースを、現在でも手狭になっている、タクシーメータの前面パネルという極限られたスペース内に設けることは至難である。
【0009】
本発明の目的は、デジタル無線にて配車センターと各種情報を送受信することによって、情報の送受信の安定性を図りつつ製作コストを抑え、業務の効率化やサービスの向上を達成し得るタクシーの情報処理システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るタクシーの情報処理システムは、配車センターとの間でデジタル無線にて複数の付加的情報を含む各種情報を送受信する通信手段と、複数のタリフ設定スイッチを含む入力手段と、乗車料金を演算する料金演算手段と、乗車料金やタリフなどの計量器としてのタクシーメータ固有のメータ関連情報を表示するメータ関連情報表示部を有する表示手段とを備えたタクシーメータであって、前記複数の付加的情報の中から、前記配車センターに対して配信依頼する付加的情報を選択する情報選択手段を設け、前記表示手段に、前記配車センターから配信された付加的情報を表示する付加的情報表示部を設けたタクシーメータとを備えたものである。
【0011】
このタクシーの情報処理システムにおいては、表示手段に表示させる付加的情報により、乗務員に対しては業務に有益な情報を提供でき、乗客に対しては有益な情報サービスを提供することが可能となる。しかも、メータ関連情報と付加的情報とをタクシーメータの表示手段に表示できること、タクシーに搭載する無線機をデジタル無線機とすることで、このデジタル無線機を用いてタクシー無線と付加的情報とを送受信できること、配車センターから送信される付加的情報を受信して表示するだけでよいので、地理情報を記憶したDVD(Digital Video Disc)やCD(Compact Disc)のための読取装置、テレビチューナ、インターネット接続のための各種装置類を備えさせる必要がないこと、などからタクシーメータの機能を高めつつその製作コストの上昇を抑制できる。また、付加的情報をデジタル信号で送受信できるので、画像情報などの大容量の情報を送受信する場合でも、安定性よく高速度で送受信することが可能となり、しかも付加的情報の提供とタクシー無線の使用とを同時並行に行うことができる。
【0012】
ここで、前記付加的情報が、地理情報、イベント情報、配車案内情報、乗客情報、次回割引案内情報、ルート案内情報、Webブラウザ画像、テレビ映像、及び宣伝広告情報から選択される1以上の情報であることが好ましい実施形態である。ただし、これら以外の情報を付加的情報として配車センターとの間で送受信することも可能である。
【0013】
また、前記情報選択手段では、現在設定されているタリフに応じて配信依頼可能な付加的情報を選択することができる。このように構成することで、選択可能な付加的情報の個数を絞り込んで、付加的情報の選択時における乗務員や利用者の負担を軽減できる。
【0014】
前記情報選択手段で選択する配信依頼可能な付加的情報の個数は、1個であってもよいし、複数個であってもよい。配信依頼可能な付加的情報が1個の場合には、当該タリフのタリフ設定スイッチが操作された時点で、通信手段を通じて付加的情報の配信依頼を配車センターに対して行うことができる。また、配信依頼可能な付加的情報が複数個存在する場合には、前記表示手段に、前記情報選択手段により選択された付加的情報の名称を表示する情報名称表示部を設け、前記情報選択手段に、前記情報名称表示部に表示された付加的情報の名称に基づいて必要な付加的情報を選択する情報選択スイッチを設け、配信依頼する付加的情報を、情報選択スイッチにより、情報名称表示部に表示された付加的情報の名称の中から選択できるように構成することができる。このように構成すると、情報名称表示部に表示する付加的情報の名称の個数を少なくして、情報名称表示部を小型に構成できるとともに、情報選択スイッチの個数を少なくできるので、タクシーメータ前面に無理なく情報名称表示部や情報選択スイッチをレイアウトすることが可能となる。
【0015】
前記表示手段に、前記メータ関連情報表示部として、タリフ設定スイッチ又はその近傍に位置してタリフの名称を表示するタリフ名称表示部を設け、前記表示手段では、現在設定されているタリフの次に選択可能なタリフの名称のみをタリフ名称表示部に表示することができる。この場合には、タリフ名称表示部をコンパクトに構成して、タクシーメータ前面に無理なくタリフ名称表示部をレイアウトすることが可能となる。
【0016】
また、決済処理用カードに書き込まれた利用者データを読み取るカードリーダと、前記カードリーダにて読み取った利用者データと演算手段にて求めた乗車料金とを用いて乗車料金を決済する決済機とを備えることもできる。また、決済処理用カードに書き込まれた利用者データを読み取るカードリーダと、前記カードリーダにて読み取った利用者データと演算手段にて求めた乗車料金とを通信手段を通じて配車センターへ送信し、配車センターにて乗車料金を決済又は配車センターを通じて決済センターにて乗車料金をオンライン決済することもできる。デジタル無線機からなる通信手段を用いて、乗車料金をオンライン決済する場合には、携帯電話回線等を利用して利用者データ及び乗車料金を配車センターやクレジット会社等に送信する場合と比較して通信費を大幅に節減できる。
【0017】
前記通信手段と決済機の少なくとも一方をタクシーメータに組み込むことも可能である。このように構成することで、システム全体を小型に構成できるとともにタクシーの室内を整然と整理することが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に係るタクシーの情報処理システムによれば、表示手段に表示させる付加的情報により、乗務員に対しては業務に有益な情報を提供でき、乗客に対しては有益な情報サービスを提供することが可能となる。しかも、メータ関連情報と付加的情報とをタクシーメータの共通の表示手段に表示できること、タクシーに搭載する無線機をデジタル無線機とすることで、このデジタル無線機を用いてタクシー無線と付加的情報とを送受信できること、配車センターから送信される付加的情報を受信して表示するだけでよいので、地理情報を記憶したDVD(Digital Video Disc)やCD(Compact Disc)のための読取装置、テレビチューナ、インターネット接続のための各種装置類を備えさせる必要がないこと、などからシステム構築のためのコストを抑えつつ、タクシーにおける顧客サービスの向上や業務の効率化を図ることが可能となる。また、付加的情報をデジタル信号で送受信できるので、画像情報などの大容量の情報を送受信する場合でも、安定性よく高速度で送受信することが可能となり、しかも付加的情報の提供とタクシー無線の使用とを同時並行に行うことができる。
【0019】
前記情報選択手段では、現在設定されているタリフに応じて配信依頼可能な付加的情報を選択する場合には、選択可能な付加的情報の個数を絞り込んで、付加的情報の選択時における乗務員や利用者の負担を軽減できる。また、この場合には、前記表示手段に、前記情報選択手段により選択された付加的情報の名称を表示する情報名称表示部を設け、前記情報選択手段に、前記情報名称表示部に表示された付加的情報の名称に基づいて必要な付加的情報を選択する情報選択スイッチを設けると、情報名称表示部に表示する付加的情報の名称の個数を少なくして、情報名称表示部を小型に構成できるとともに、情報選択スイッチの個数を少なくできるので、タクシーメータ前面に無理なく情報名称表示部や情報選択スイッチをレイアウトすることが可能となる。
【0020】
また、決済処理用カードに書き込まれた利用者データを読み取るカードリーダと、前記カードリーダにて読み取った利用者データと演算手段にて求めた乗車料金とを通信手段を通じて配車センターへ送信し、配車センターにて乗車料金を決済又は配車センターを通じて決済センターにて乗車料金をオンライン決済する場合には、デジタル無線機からなる通信手段を用いて、乗車料金をオンライン決済できるので、携帯電話回線等を利用して利用者データ及び乗車料金を決済センターに送信する場合と比較して通信費を大幅に節減できる。
【0021】
前記通信手段と決済機の少なくとも一方をタクシーメータに組み込むと、システム全体を小型に構成できるとともにタクシーの室内を整然と整理することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1〜図4は本発明のタクシーの情報処理システムの第1実施形態、図5は第2実施形態を示し、図中符号Aはタクシーメータ、1は表示手段、2は入力手段をそれぞれ示している。
【0023】
タクシーメータAは、図1及び図2に示すように、複数のタリフ設定スイッチ21を含む入力手段2と、走行距離及び走行時間に基づき、その時のタリフ位置に応じた乗車料金を演算する料金演算手段31と、現在の乗車料金を逐次表示する料金表示部11、及び現在のタリフ位置を表示するタリフ名称表示部12等、乗車料金やタリフなどの計量器としてのタクシーメータ固有のメータ関連情報を表示するメータ関連情報表示部10を備えた表示手段1とより構成されている。
【0024】
本発明は、このようなタクシーメータAに、配車センターSとの間でデジタル無線にて各種情報を送受信する通信手段4を設け、複数の付加的情報の中から、配車センターSに対して配信依頼する付加的情報を選択する情報選択手段33を設け、表示手段1に、配車センターSから配信された付加的情報を表示する付加的情報表示部13を設けたことを特徴としており、タクシーメータAの表示画面を有効利用し、乗務員及び乗客に対して有益な情報を提供するものである。尚、通信手段4は、タクシーメータAに一体的に組み込むこともできるし、タクシーメータAとは別個に設けてケーブル接続することもできる。
【0025】
図2は、本実施形態におけるタクシーメータAの主な制御系のシステム構成を示しており、処理装置3を中心として、各種情報を画面上に可視出力する表示手段1、各種情報を入力するための入力手段2、移動体通信網を介して各種情報をデジタル無線にて送受信するための通信手段4、各種情報を記憶する記憶手段5、音声等を出力するスピーカ6、車体側に設けられ車輪の回転に応じたパルス信号を発生する車速センサ7、全地球測位システム(GPS:Global Positioning SystemやDGPS:Differential Global Positioning System)などの無線位置測位システムから測位用のデータを受信するするGPS受信装置8、クレジットカードに書き込まれた利用者IDなどの利用者データを読み取るためのカードリーダ9とが接続されている。但し、本実施の形態では、GPS受信装置8とカードリーダ9をタクシーメータAとは別個に設けたが、タクシーメータAに一体的に組み込むこともできる。また、通信手段4にはタクシー無線のためのマイクロフォン4aが接続されている。
【0026】
処理装置3は、マイクロプロセッサを主体に構成され、車速センサ7からの車輪の回転速度に応じたパルス信号、及び後述するタリフ設定スイッチ21により指定されたタリフ位置などに基づき乗車料金を演算する料金演算手段31と、表示手段1の表示を駆動及び制御する表示制御手段32と、現在設定されているタリフに応じて、配車センターSに対して配信依頼可能な付加的情報を設定する情報選択手段33と、乗車料金をオンライン決済するための決済処理手段34とを備えている。
【0027】
通信手段4は、周知のデジタル無線機を主体に構成され、配車センターSの通信手段40と音声情報や画像情報などの各種情報をデジタル信号で送受信可能となしたものである。本実施例では、通常のアナログ無線によるタクシー無線と同様に、マイクロフォン4aで配車センターSと音声で交信できるように構成され、タクシー無線と付加的情報の送受信のための通信手段とを共用できるように構成されている。
【0028】
決済処理手段34では、例えばクレジットカードやプリペイドカード、デビッドカード、メンバーズカード、電子マネー、ポイントカードなど、乗客が保有する決済処理用カードをカードリーダ9に通すことによって利用者データを読み取り、この読み取った利用者データと、料金演算手段31にて求めた乗車料金のデータとを通信手段4を通じて配車センターSの通信手段40へ送信し、配車センターSの情報処理装置41にて、例えばクレジットカードであれば、クレジット会社のホストコンピュータ(図示略)と固定電話回線等を通じて乗車料金をオンライン決済するためのものである。このように、本実施の形態では、デジタル無線での通信が可能な通信手段4で乗車料金をオンライン決済できるので、携帯電話回線を利用してオンライン決済する場合と比較して、通信費を安くでき、しかも利用者の個人情報を保護する面からも有効である。但し、配車センターSがネガポジデータ管理センター(各クレジット会社からのネガポジデータを預かって管理し、加盟店へ定例・緊急配信業務を行うセンター)からの定例・緊急配信を受け、そのデータを基に決済処理を行うことも可能で、この場合には売上データを月単位にまとめてクレジット会社に送信するだけでよくなるので、通信費を大幅に削減できる。尚、決済処理手段34及び配車センターSの情報処理装置40でなされる具体的な処理内容は、基本的には携帯電話回線を通じて行うオンライン決済処理と同様なのでその詳細な説明は省略する。また、図示していないが、領収書や利用明細等を印字するためのプリンターをタクシーメータAに接続し、必要に応じて領収書や利用明細等をプリントアウトするように構成することも可能である。更に、この決済処理手段34は、タクシーメータAと別個に設けて、配線コードなどで接続してもよい。
【0029】
記憶手段5は、処理装置3の処理に用いるワークエリア及びデータエリアを有し、例えば、営業時の日付、車番、運転手コード、全走行距離、実車走行距離、乗車回数、その後の料金の加算回数、その他当日の各指数、1営業毎の走行距離、乗車時刻、降車時刻、その時のタリフ位置、空車時の走行距離等の各種走行データが一時的に格納されるRAMと、前記処理装置3の処理に用いる動作プログラムや各種パラメータ、後述の情報名称等に関するデータなどを格納したROMとを有し、上記処理装置3における各種処理動作の手順を規定するプログラムや処理データが記憶されている。
【0030】
表示手段1は、液晶表示板、エレクトロルミネセンス表示板又は蛍光表示管などを用いて表示画面を構成したもので、図1に示すように、料金表示部11、タリフ名称表示部12、付加的情報表示部13及び情報名称表示部14を有している。ここで、表示手段1はドットマトリクス方式を採用しているため、料金表示部11等の各部の位置、大きさ、文字形式等は任意に設定することができる。
【0031】
料金表示部11には、料金演算手段31で演算された乗車料金が表示され、タリフ名称表示部12には、現在設定されているタリフ位置が明示される。
【0032】
情報名称表示部14には、タリフ設定スイッチ21や後述の情報選択スイッチ22の名称が表示され、乗務員や乗客はこれに基づき、所望のスイッチを選択することが可能となる。情報名称表示部14の表示は、処理装置3の表示制御手段32により制御されており、図3より分かるように、表示欄の効率化を図る観点より、現在のタリフ位置や設定されている付加的情報に応じて、次に選択できるタリフ設定スイッチ21及び情報選択スイッチ22の名称のみ表示されている。
【0033】
付加的情報表示部13には、地理情報、イベント情報、配車案内情報、乗客情報、次回割引案内情報、Webブラウザ画像、テレビ画像、及び宣伝広告の再生画像から選択される一以上の付加的情報が表示される。すなわち、前記付加的情報表示部13には、通信手段4、40を介して配車センターSの情報処理装置41からから提供されるテレビ映像13a以外に、図3に示すような配車案内のための概略地図及び配車先情報や利用者情報などの配車情報のための配車案内画像13bや、略移動体通信網を介してインターネット上の情報を取得してなるWebブラウザ画像、宣伝広告の映像等の画像情報を表示するものが好ましく、主に配車案内画像13bは、乗務員に対して有益な情報を提供するものであり、Webブラウザやテレビ映像13a等は、乗客に対するサービスとして有益情報を提供するものである。尚、配車センターSの情報処理装置41では、データバンク42に予め入力格納した付加的情報、テレビチューナやインターネットを通じて取得した付加的情報の中から、タクシーメータAからの配信依頼に応じた付加的情報を該タクシーメータAに提供するように構成されている。
【0034】
入力手段2は、タリフ設定スイッチ21及び情報選択スイッチ22からなり、表示手段1の画面表面に積層される電子式や静電式、光学式、超音波式等の透明タッチパネルにより前記情報名称表示部14とともに一体的に構成されている。
【0035】
タリフ設定スイッチ21としては、図示したもの以外に、早朝予約タリフを設定するための『早朝』スイッチや、固定迎車タリフを設定する『迎車』スイッチ、割引タリフとしては、身障者割引タリフを設定するための『障・割』スイッチなどが適宜設けられる。また、合計ボタン、転送ボタンの他、算出する料金加算回数、営業走行距離などの指数データを呼び出すための呼出ボタン等、各種の設定スイッチが列設されるものも好ましい。
【0036】
情報選択スイッチ22は、付加的情報表示部13で表示する付加的情報の名称に応じて設定されている。図1では、テレビ映像を選択するための『テレビ』スイッチ、Webブラウザ情報を選択するための『インターネット』スイッチが、付加的情報の名称に応じて設定されている。
【0037】
情報選択手段33は、「空車」「実車」「支払」「迎車」のタリフに応じて、配車センターSに対して通信手段4を通じて配信依頼可能な付加的情報を選択するものである。例えば、「空車」のタリフ設定スイッチ21が操作されたときには、配車案内情報、現在地又は配車先の地理情報、イベント情報などの付加的情報を配信依頼可能な付加的情報として選択し、「迎車」のタリフ設定スイッチ21が操作されたときには、配車先の地理情報、及び/又は配車依頼者の乗客情報などの付加的情報を配信依頼可能な付加的情報として選択し、「支払」のタリフ設定スイッチ21が操作されたときには、次回割引案内情報に関する付加的情報を配信依頼可能な付加的情報として選択し、「実車」のタリフ設定スイッチ21が操作されたときには、現在地又は配車先の地理情報、イベント情報、テレビ映像、Webブラウザ画像、宣伝広告情報などの付加的情報を配信依頼可能な付加的情報として選択することになる。但し、配信依頼可能な付加的情報は、任意に設定することが可能である。
【0038】
情報選択手段33で選択した付加的情報が1つの場合には、そのまま当該付加的情報の配信依頼を、通信手段4を通じて配車センターSの情報処理手段41に送信し、配車センターSから送信元のタクシーに対して当該付加的情報を配信して付加的情報表示部12に表示することになる。例えば、「支払」のタリフ設定スイッチ21が操作されたときには、付加的情報として、次回割引情報を配信して付加的情報表示部13に表示したり、図示外のプリンタでプリントアウトしたり、乗客の携帯端末に送信したりすることになる。
【0039】
一方、選択可能な付加的情報が複数個存在する場合には、情報名称表示部14にこれら複数個の付加的情報の名称を表示することになり、情報名称表示部14に表示された付加的情報の名称のなかから所望の付加的情報の情報選択スイッチ22を操作することにより、当該付加的情報の配信依頼が通信手段4、40を通じて配車センターSの情報処理装置41に送信され、配車センターSの情報処理装置41から当該付加的情報が配信されることになる。このように構成することとで、選択可能な付加的情報の個数を絞り込んで、付加的情報の選択時における乗務員や利用者の負担を軽減でき、しかも情報名称表示部14に表示する付加的情報の名称の個数を少なくして、タクシーメータAの前面スペースを無駄なく活用することができる。例えば、図3に示すように、「空車」のタリフが設定された状態では、「配車案内情報」と「現在地情報」と「イベント情報」の情報選択スイッチ22を表示することになる。
【0040】
ここで、無線配車する場合の具体例について説明すると、先ず、利用者が配車センターに電話をして配車の依頼をすると、配車センターの案内者から最寄りのタクシーの乗務員に対して、無線通信により配車可能か否かの案内を音声及び付加的情報表示部13に対する文字情報で案内し、タクシーの乗務員が配車可能であると判断して「配車案内情報」の情報選択スイッチ22を操作すると、配車センターから、図3に示すような、利用者付近の概略図と、配車先などの配車先情報と、利用者の氏名などの利用者情報とを該タクシーに送信し、該タクシーの付加的情報表示部13に配車案内画像13bを表示させる。そして、乗務員は、タクシーメータタリフは「空車」で外部表示灯を「予約」に設定し、或いは「迎車」のタリフ設定スイッチ21を操作してから、配車案内画像13bの案内に従って利用者を迎えに行くことになる。このように構成することで、配車ミスをなくして、効率よく無線配車することが可能となる。
【0041】
また、テレビ映像を表示している図1の場合、更に『テレビ』スイッチを選択することで、図示しない設定画面が表示され、チャンネルや音量等を入力可能に設定することもできる。また、Webブラウザ画像を表示する場合には、『インターネット』スイッチを選択し、表示される各情報サイトの一覧を選択することで当該選択されたサイトの情報が表示されるように構成できる。
【0042】
ここで、前記情報選択スイッチや上述のチャンネル、音量、サイト等を選択するための選択スイッチ、文字等の情報を入力できるキー、Webブラウザ画像上に表示されるポインタを操作するためのポインティングデバイスを備えたリモコン装置を設けることも好ましい実施例である。また、音声入力手段を設けたものも、運転中の乗務員による操作が容易になる点で好ましい。
【0043】
本実施形態では、図4に示すように、タクシーの後部座席側、例えば前部座席の背面にも同様の表示手段1aが設けられている。表示手段1aは、有線又は無線の通信手段を介してタクシーメータAの本体に接続されており、上述の表示手段1と同様に、料金表示部、タリフ名称表示部、付加的情報表示部を有しているが、名称表示部に関しては、乗務員が操作するタリフ設定スイッチ21を有しないことから、タリフ名称表示部は設けられていない。
【0044】
この表示手段1aの付加的情報表示部には、上述の付加的情報表示部13と同じ情報が表示されるものや、或いは他の画像情報を選択できるものも好ましい実施例である。これにより、表示手段1では乗務員に対して配車案内画像を表示しつつ、後部では乗客に対してテレビ映像やインターネットのWebブラウザ画像、目的地の選択画像等を提供することが可能となる。
【0045】
図5は、本発明の第2実施形態のタクシーメータAを示しており、複数のスイッチ21、22の一部又は全部を表示画面の欄外に配置し、これに隣接して画面上に情報名称表示部14が形成されている。スイッチ21、22は、情報名称表示部14に切り換え表示された名称に応じて機能も設定される。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の第1実施形態に係るタクシーメータを示す説明図。
【図2】同じくタクシーメータの構成を示す説明図。
【図3】同じく表示手段における無線配車の表示例を示す説明図。
【図4】後部座席側にも同様の表示手段を設けた例を示す説明図。
【図5】本発明の第2実施形態に係るタクシーメータを示す説明図。
【符号の説明】
【0047】
A タクシーメータ S 配車センター
1 表示手段 2 入力手段
3 処理装置 4 通信手段
4a マイクロフォン 5 記憶手段
6 スピーカ 7 車速センサ
8 GPS受信装置 9 カードリーダ
10 メータ関連情報表示部 11 料金表示部
12 タリフ名称表示部 13 付加的情報表示部
13a テレビ映像 13b 配車案内画像
14 情報名称表示部
21 タリフ設定スイッチ 22 情報選択スイッチ
31 料金演算手段 32 表示制御手段
33 情報選択手段 34 決済処理手段
1a 表示手段
40 通信手段 41 情報処理手段
42 データバンク


【特許請求の範囲】
【請求項1】
配車センターとの間でデジタル無線にて複数の付加的情報を含む各種情報を送受信する通信手段と、
複数のタリフ設定スイッチを含む入力手段と、乗車料金を演算する料金演算手段と、乗車料金やタリフなどの計量器としてのタクシーメータ固有のメータ関連情報を表示するメータ関連情報表示部を有する表示手段とを備えたタクシーメータであって、前記複数の付加的情報の中から、前記配車センターに対して配信依頼する付加的情報を選択する情報選択手段を設け、前記表示手段に、前記配車センターから配信された付加的情報を表示する付加的情報表示部を設けたタクシーメータと、
を備えたことを特徴とするタクシーの情報処理システム。
【請求項2】
前記付加的情報が、地理情報、イベント情報、配車案内情報、乗客情報、次回割引案内情報、ルート案内情報、Webブラウザ画像、テレビ映像、及び宣伝広告情報から選択される1以上の情報である請求項1記載のタクシーの情報処理システム。
【請求項3】
前記情報選択手段では、現在設定されているタリフに応じて配信依頼可能な付加的情報を選択する請求項1又は2記載のタクシーの情報処理システム。
【請求項4】
前記表示手段に、前記情報選択手段により選択された付加的情報の名称を表示する情報名称表示部を設け、前記情報選択手段に、前記情報名称表示部に表示された付加的情報の名称に基づいて必要な付加的情報を選択する情報選択スイッチを設けた請求項3記載のタクシーの情報処理システム。
【請求項5】
前記表示手段に、前記メータ関連情報表示部として、タリフ設定スイッチ又はその近傍に位置してタリフの名称を表示するタリフ名称表示部を設け、前記表示手段では、現在設定されているタリフの次に選択可能なタリフの名称のみをタリフ名称表示部に表示する請求項1〜4のいずれか1項に記載のタクシーの情報処理システム。
【請求項6】
決済処理用カードに書き込まれた利用者データを読み取るカードリーダと、前記カードリーダにて読み取った利用者データと演算手段にて求めた乗車料金とを用いて乗車料金を決済する決済機とを備えた請求項1〜5のいずれか1項に記載のタクシーの情報処理システム。
【請求項7】
決済処理用カードに書き込まれた利用者データを読み取るカードリーダと、前記カードリーダにて読み取った利用者データと演算手段にて求めた乗車料金とを通信手段を通じて配車センターへ送信し、配車センターにて乗車料金を決済又は配車センターを通じて決済センターにて乗車料金をオンライン決済する請求項1〜5のいずれか1項に記載のタクシーの情報処理システム。
【請求項8】
前記通信手段と決済機の少なくとも一方をタクシーメータに組み込んだ請求項1〜6のいずれか1項記載のタクシーの情報処理システム。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2006−338464(P2006−338464A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−163815(P2005−163815)
【出願日】平成17年6月3日(2005.6.3)
【出願人】(000225980)二葉計器株式会社 (10)
【Fターム(参考)】