説明

チロシンキナーゼ阻害剤

【課題】チロシンキナーゼ信号伝達を特異的に抑制、調節及び/または変更する小さな化合物を同定すること。
【解決手段】本発明は、チロシンキナーゼ信号伝達を抑制、調節及び/または変更する化合物、前記化合物を含む組成物、及び哺乳動物におけるチロシンキナーゼ依存疾患及び症状、例えば血管新生、ガン、腫瘍増殖、アテローム性動脈硬化症、老人性黄斑変性、糖尿病性網膜症、炎症性疾患等を治療するための前記化合物の使用方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、チロシンキナーゼ信号伝達を抑制、調節及び/または変更する化合物、前記化合物を含む組成物、及び哺乳動物におけるチロシンキナーゼ依存疾患及び症状、例えば血管新生、ガン、腫瘍増殖、アテローム性動脈硬化症、老人性黄斑変性、糖尿病性網膜症、炎症性疾患等を治療するための前記化合物の使用方法に関する。
【0002】
チロシンキナーゼは、アデノシントリホスフェートの末端ホスフェートのタンパク質基質中のチロシン残基への転移を触媒する酵素の1種である。チロシンキナーゼは、基質リン酸化により多数の細胞機能のための信号伝達において重要な役割を果たすと考えられている。信号伝達の正確な機構は未だ解明されていないが、チロシンキナーゼは細胞増殖、発癌及び細胞分化に関与する重要な因子であることが分かっている。
【0003】
チロシンキナーゼは、受容体タイプまたは非受容体タイプに大別され得る。受容体タイプのチロシンキナーゼは細胞外、膜貫通及び細胞内部分を有し、一方非受容体タイプのチロシンキナーゼは完全に細胞内である。
【0004】
受容体タイプのチロシンキナーゼは、各種生物学的活性を有する多数の膜貫通受容体から構成されている。実際、受容体タイプのチロシンキナーゼについては約20の異なるサブファミリーが同定されている。HERサブファミリーと称される1つのチロシンキナーゼサブファミリーはEGFR、HER2、HER3及びHER4からなる。この受容体サブファミリーのリガンドは上皮増殖因子、TGF−α、アンフィレグリン、HB−EGF、ベタセルリン及びヒレグリンを含む。前記受容体タイプのチロシンキナーゼの別のサブファミリーはインスリンサブファミリーであり、これはINS−R、IGF−IR及びIR−Rを含む。PDGFサブファミリーはPDGF−α及びβ受容体、CSFIR、c−キット及びFLK−IIを含む。キナーゼインサートドメイン受容体(KDR)、胎児肝キナーゼ−1(FLK−1)、胎児肝キナーゼ−4(FLK−4)及びfms様チロシンキナーゼ−1(fit−1)から構成されるFLKサブファミリーもある。PDGF及びFLKファミリーは、2つのグループの類似性のために通常一緒に考えられる。受容体タイプのチロシンキナーゼの詳細な説明については、援用により本明細書に含まれるとするPlowmanら,DN&P,7(6):334−339(1994)を参照されたい。
【0005】
非受容体タイプのチロシンキナーゼも、Src、Frk、Btk、Csk、Abl、Zap70、Fes/Fps、Fak、Jak、Ack及びLIMKを含めた多数のサブファミリーから構成される。前記サブファミリーの各々は更に複数の受容体に細分される。例えば、Srcサブファミリーは最大サブファミリーの1つであり、Src、Yes、Fyn、Lyn、Lck、Blk、Hck、Fgr及びYrkを含む。酵素のSrcサブファミリーは発癌に関連している。非受容体タイプのチロシンキナーゼの詳細な説明については、援用により本明細書に含まれるとするBolen,Oncogene,8:2025−2031(1993)を参照されたい。
【0006】
受容体タイプ及び非受容体タイプのチロシンキナーゼの両方が、ガン、乾癬及び超免疫応答を含めた多数の病的状態につながる細胞信号経路に関与している。
【0007】
幾つかの受容体タイプのチロシンキナーゼ及び該チロシンキナーゼに結合する増殖因子が血管新生において役割を発揮すると示唆されており、幾つかは血管新生を間接的に促進し得る(Mustonen及びAlitalo,J.Cell Biol.,129:895−898(1995))。前記した受容体タイプのチロシンキナーゼの1つが胎児肝キナーゼ−1(FLK−1)である。FLK−1のヒトアナログは受容体KDRを含むキナーゼインサートドメインであり、これは高アフィニティーでVEGFに結合するので血管内皮細胞増殖因子受容体2(VEGFR−2)としても公知である。最後に、この受容体のマウスバージョンはNYKとも呼称されている(Oelrichsら,Oncogene,8(1):11−15(1993))。VEGF及びKDRは、血管内皮細胞の増殖、並びにそれぞれ血管形成及び血管新生と称される血管の形成及び発生において重要な役割を発揮するリガンド−受容体対である。
【0008】
血管新生は、血管内皮増殖因子(VEGF)の過剰活性により特徴づけられる。VEGFは、実際リガンドファミリーから構成されている(Klagsburn及びD’Amore,Cytokine & Growth Factor Reviews,7:259−270(1996))。VEGFは高アフィニティー膜チロシンキナーゼ受容体KDR及び関連fms様チロシンキナーゼ−1(Flt−1としても公知)または血管内皮細胞増殖因子受容体1(VEGFR−1)に結合する。細胞培養及び遺伝子ノックアウト実験から、各受容体が血管新生の別々の態様に関与することが示されている。KDRはVEGFのマイトジェン機能を媒介し、Flt−1は細胞結合に関連するような非マイトジェン機能を調節すると考えられる。従って、KDRを抑制すると、マイトジェンVEGF活性レベルが調節される。実際、腫瘍増殖は、VEGF受容体アンタゴニストの抗血管新生作用を受けやすいことが判明している(Kimら,Nature,362,p.841−844(1993))。
【0009】
従って、充実性腫瘍は、その増殖を支えるのに必要な血管形成のために血管新生に依存しているのでチロシンキナーゼ阻害剤により治療され得る。前記した充実性腫瘍には、組織球性リンパ腫、及び脳、尿生殖器、リンパ系、胃、喉頭や肺のガン(肺腺癌、小細胞肺癌を含む)が含まれる。別の例には、Raf活性化ガン遺伝子(例えば、K−ras、erb−B)の過剰発現または活性化が見られるガンが含まれる。前記ガンは膵臓癌及び乳癌である。従って、チロシンキナーゼ阻害剤は、該酵素に依存する増殖性疾患の予防及び治療のために有用である。
【0010】
VEGFの血管新生活性は腫瘍に限定されない。VEGFは糖尿病性網膜症において網膜またはその近くで生ずる多くの血管新生活性に関わる。この網膜における血管新生により、視力が衰え、最後には失明する。眼科VEGF mRNA及びタンパク質は、新血管形成をもたらす霊長類における網膜静脈閉塞やマウスにおける低pOレベルのような状態により高まる。抗−VEGFモノクローナル抗体またはVEGF受容体免疫融合物の眼内注射により、霊長類及びげっ歯動物モデルにおける眼の新血管形成が阻止される。ヒト糖尿病性網膜症におけるVEGF誘導の原因に関係なく、眼のVEGFの抑制は前記病気の治療において有用である。
【0011】
VEGFの発現は、壊死部分に隣接する動物及びヒト腫瘍の低酸素領域において有意に上昇する。VEGFは、ガン遺伝子ras、raf、src及び突然変異体p53(これらはいずれもガンの標的化に関連する)の発現によっても上向きに調節される。モノクローナル抗−VEGF抗体はヌードマウスにおいてヒト腫瘍の増殖を抑制する。前記した同じ腫瘍細胞は培養においてVEGFを発現し続けるが、前記抗体はその有糸分裂率を低下させない。従って、腫瘍由来VEGFはオートクリンマイトジェン因子として機能しない。よって、VEGFは、パラクリン血管内皮細胞の走化性及びマイトジェン活性により血管新生を促進させることによりインビボで腫瘍増殖に関わる。前記モノクローナル抗体はまた、無胸腺マウスにおいて通常余り血管化されていないヒト結腸癌の増殖を抑制し、接種細胞から生じる細胞の数を減少させる。
【0012】
膜アンカーを維持するが細胞質チロシンキナーゼドメインを除去するように切除したマウスKDR受容体ホモログであるFlk−1、Flt−1のVEGF結合性構築物をウイルス発現すると、多分膜に広がる内皮細胞VEGF受容体によるヘテロダイマー形成の主たる負メカニズムにより、マウスにおいて移植可能な神経膠細胞腫は事実上増殖しない。ヌードマウスにおいて通常充実性腫瘍として増殖する胚性幹細胞は、両VEGFアレレがノックアウトされていると検出可能な腫瘍を形成しない。これらのデータを総合的に勘案すると、充実性腫瘍の増殖におけるVEGFの役割が分かる。KDRまたはFlt−1の抑制は病的血管新生に関わり、前記受容体は、腫瘍増殖は血管新生に依存することが知られているので(Weidnerら,N.Engl.J.Med.,324,p.1−8(1991))、血管新生が全病理の一部である病気(例えば、炎症、糖尿病性網膜血管形成及び各種形態のガン)の治療において有用である。
【0013】
従って、チロシンキナーゼ信号伝達を特異的に抑制、調節及び/または変更する小さな化合物を同定することが望まれており、本発明の目的でもある。
【0014】
(発明の要旨)
本発明は、受容体タイプ及び非受容体タイプのチロシンキナーゼの両方の信号伝達を抑制、調節及び/または調整し得る化合物に関する。本発明の1実施態様は、式Iを有する化合物、及びその医薬的に許容され得る塩及び立体異性体である。
【0015】
【化3】

【0016】
(発明の詳細な説明)
本発明の化合物は、キナーゼの阻害において有用であり、式I:
【0017】
【化4】

を有する化合物、またはその医薬的に許容され得る塩または立体異性体である。上記式中、
Zは
【0018】
【化5】

であり;
はS、OまたはN−Rであり;
はNまたはCであり;
はNまたはCであり;
はS、OまたはN−Rであり;
aは0または1であり;
bは0または1であり;
mは0、1または2であり;
sは1または2であり;
tは1、2または3であり;
X=YはC=N、N=CまたはC=Cであり;
RはHまたはC1−6アルキルであり;
及びRは独立して、1)H、2)(C=O)1−10アルキル、3)(C=O)アリール、4)(C=O)2−10アルケニル、5)(C=O)2−10アルキニル、6)COH、7)ハロ、8)OH、9)O1−6ペルフルオロアルキル、10)(C=O)NR、11)CN、12)(C=O)3−8シクロアルキル及び13)(C=O)ヘテロシクリルから選択され、前記アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル及びヘテロシクリルは場合により1個以上のRから選択される置換基で置換されていてもよく;
及びRは独立して、1)H、2)(C=O)O1−6アルキル、3)(C=O)Oアリール、4)C1−6アルキル、5)SO及び6)アリールから選択され;
は、1)(C=O)1−10アルキル、2)(C=O)アリール、3)(C=O)2−10アルケニル、4)(C=O)2−10アルキニル、5)COH、6)ハロ、7)OH、8)O1−6ペルフルオロアルキル、9)(C=O)NR、10)CN、11)(C=O)3−8シクロアルキル及び12)(C=O)ヘテロシクリルから選択され、前記アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル及びヘテロシクリルは場合により1個以上のRから選択される置換基で置換されていてもよく;
は、1)(C=O)1−10アルキル、2)(C=O)アリール、3)C2−10アルケニル、4)C2−10アルキニル、5)(C=O)ヘテロシクリル、6)COH、7)ハロ、8)CN、9)OH、10)O1−6ペルフルオロアルキル、11)O(C=O)NR、12)オキソ、13)CHO、14)(N=O)R及び15)(C=O)3−8シクロアルキルから選択され、前記アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル及びヘテロシクリルは場合により1個以上のR6aから選択される置換基で置換されていてもよく;
6aは、1)(C=O)1−10アルキル(ここで、r及びsは独立して0または1である)、2)O1−3ペルフルオロアルキル(ここで、rは0または1である)、3)C0−6アルキレン−S(O)(ここで、mは0、1または2である)、4)オキソ、5)OH、6)ハロ、7)CN、8)C2−10アルケニル、9)C2−10アルキニル、10)C3−6シクロアルキル、11)C0−6アルキレン−アリール、12)C0−6アルキレン−ヘテロシクリル、13)C0−6アルキレン−N(R、14)C(O)R、15)C0−6アルキレン−CO、16)C(O)H及び17)C0−6アルキレン−COHから選択され、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール及びヘテロシクリルは場合により最高3個のR、OH、C1−6アルコキシ、ハロゲン、COH、CN、O(C=O)C1−6アルキル、オキソ及びN(Rから選択される置換基で置換されていてもよく;
及びRは独立して、1)H、2)(C=O)O1−10アルキル、3)(C=O)O3−8シクロアルキル、4)(C=O)Oアリール、5)(C=O)Oヘテロシクリル、6)C1−10アルキル、7)アリール、8)C2−10アルケニル、9)C2−10アルキニル、10)ヘテロシクリル、11)C3−8シクロアルキル、12)SO及び13)(C=O)NRから選択され、前記アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、アルケニル及びアルキニルは場合により1個以上のR6aから選択される置換基で置換されていてもよく、或いは
及びRはそれらが結合している窒素原子と一緒になって、窒素原子に加えてN、O及びSから選択される1〜2個の追加ヘテロ原子を含んでいてもよい各環が5〜7員の単環式または二環式ヘテロ環を形成することができ、前記単環式または二環式ヘテロ環は場合により1個以上のR6aから選択される置換基で置換されていてもよく;
はC1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、アリールまたはヘテロシクリルであり;
はH、C1−6アルキル、アリール、ヘテロシクリル、C3−6シクロアルキル、(C=O)OC1−6アルキル、(C=O)C1−6アルキルまたはS(O)である。
【0019】
本発明の第2実施態様は、式I(式中、Zが
【0020】
【化6】

である)を有する化合物である。
【0021】
本発明の更なる実施態様は、式I(式中、
Zは上に定義した通りであり、
sは1であり;
tは1または2であり;
及びRは独立して、1)H、2)(C=O)1−6アルキル、3)(C=O)アリール、4)(C=O)2−6アルケニル、5)(C=O)2−6アルキニル、6)COH、7)ハロ、8)OH、9)O1−3ペルフルオロアルキル、10)(C=O)NR、11)CN、12)(C=O)3−6シクロアルキル及び13)(C=O)ヘテロシクリルから選択され、前記アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル及びヘテロシクリルは場合により1個以上のRから選択される置換基で置換されていてもよく;
は、1)(C=O)1−6アルキル、2)(C=O)アリール、3)(C=O)2−6アルケニル、4)(C=O)2−6アルキニル、5)COH、6)ハロ、7)OH、8)O1−3ペルフルオロアルキル、9)(C=O)NR、10)CN、11)(C=O)3−6シクロアルキル及び12)(C=O)ヘテロシクリルから選択され、前記アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル及びヘテロシクリルは場合により1個以上のRから選択される置換基で置換されていてもよく;
は、1)(C=O)1−6アルキル、2)(C=O)アリール、3)C2−6アルケニル、4)C2−6アルキニル、5)(C=O)ヘテロシクリル、6)COH、7)ハロ、8)CN、9)OH、10)O1−3ペルフルオロアルキル、11)O(C=O)NR、12)オキソ、13)CHO、14)(N=O)R及び15)(C=O)3−6シクロアルキルから選択され、前記アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、ヘテロシクリル及びシクロアルキルは場合により1個以上のR6aから選択される置換基で置換されていてもよく;
6aは、1)(C=O)1−6アルキル(ここで、r及びsは独立して0または1である)、2)O1−3ペルフルオロアルキル(ここで、rは0または1である)、3)C0−6アルキレン−S(O)(ここで、mは0、1または2である)、4)オキソ、5)OH、6)ハロ、7)CN、8)C2−6アルケニル、9)C2−6アルキニル、10)C3−6シクロアルキル、11)C0−6アルキレン−アリール、12)C0−6アルキレン−ヘテロシクリル、13)C0−6アルキレン−N(R、14)C(O)R、15)C0−6アルキレン−CO、16)C(O)H及び17)C0−6アルキレン−COHから選択され、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール及びヘテロシクリルは場合により最高3個のR、OH、C1−6アルコキシ、ハロゲン、COH、CN、O(C=O)C1−6アルキル、オキソ及びN(Rから選択される置換基で置換されていてもよく;
及びRは独立して、1)H、2)(C=O)O1−6アルキル、3)(C=O)O3−6シクロアルキル、4)(C=O)Oアリール、5)(C=O)Oヘテロシクリル、6)C1−6アルキル、7)アリール、8)C2−6アルケニル、9)C2−6アルキニル、10)ヘテロシクリル、11)C3−6シクロアルキル、12)SO及び13)(C=O)NRから選択され、前記アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、アルケニル及びアルキニルは場合により1個以上のR6aから選択される置換基で置換されていてもよく、或いは
及びRはそれらが結合している窒素原子と一緒になって、窒素原子に加えてN、O及びSから選択される1〜2個の追加ヘテロ原子を含んでいてもよい各環が5〜7員の単環式または二環式ヘテロ環を形成することができ、前記単環式または二環式ヘテロ環は場合により1個以上のR6aから選択される置換基で置換されていてもよい)
を有する化合物である。
【0022】
別の実施態様は、R、R及びRがHである直前に定義した化合物である。
【0023】
更に別の実施態様は、tが1であり、sが1であり、RがHである化合物である。
【0024】
本発明の化合物には、式I(式中、Rが1)OC1−6アルキレンNR、2)(C=O)0−6アルキレン−Q(ここで、QはH、OH、COHまたはOC1−6アルキルである)、3)場合によりR6aから選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよいOC0−6アルキレン−ヘテロシクリル、4)C0−6アルキレンNR、5)(C=O)NR及び6)OC1−3アルキレン(C=O)NRから選択される)を有する化合物である。
【0025】
好ましい実施態様は、
3−{5−[3−(4−メチルピペラジン−1−イル)−プロポキシ]−1H−インドル−2−イル}−1H−キノリン−2−オン、
3−(5−{2−[(2−メトキシエチル)アミノ]エトキシ}−1H−インドル−2−イル)−2(1H)−キノリノン、
3−[5−(2−{(2−メトキシエチル)[(2−メトキシ−5−ピリミジニル)メチル]アミノ}エトキシ)−1H−インドル−2−イル]−2(1H)−キノリノン、
3−(5−{[(2S,4R)−4−メトキシピロリジニル]メトキシ}−1H−インドル−2−イル)−2(1H)−キノリノン、
3−[5−({(2S,4R)−4−メトキシ−1−[(2−メチル−5−ピリミジニル)メチル]ピロリジニル}メトキシ)−1H−インドル−2−イル]−2(1H)−キノリノン、
1−(2−{[2−(2−オキソ−1,2−ジヒドロ−3−キノリニル)−1H−インドル−5−イル]オキシ}エチル)−4−ピペリジンカルボン酸エチルエステル、
1−(2−{[2−(2−オキソ−1,2−ジヒドロ−3−キノリニル)−1H−インドル−5−イル]オキシ}エチル)−4−ピペリジンカルボン酸、
3−[(2S,4R)−4−メトキシ−2−({[2−(2−オキソ−1,2−ジヒドロ−3−キノリニル)−1H−インドル−5−イル]オキシ}メチル)ピロリジニル]プロパン酸、
3−[5−(4−メタンスルホニル−ピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドル−2−イル]−1H−キノリン−2−オン、
3−[5−(4−メタンスルホニル−1−オキシピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドル−2−イル]−1H−キノリン−2−オン、
3−[5−(4−アセチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドル−2−イル]−1H−キノリン−2−オン、
N−シクロプロピル−N−[2−(2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−イル)−1H−インドル−5−イルメチル]メタンスルホンアミド、
3−[5−(1−ピペラジニルカルボニル)−1H−インドル−2−イル]−2(1H)−キノリノン、
3−{5−[(4−メチル−1−ピペラジニル)カルボニル]−1H−インドル−2−イル}2(1H)−キノリノン、
1−{[2−(2−オキソ−1,2−ジヒドロ−3−キノリニル)−1H−インドル−5−イル]カルボニル}−4−ピペリジンアミニウムトリフルオロ酢酸塩、
1−({[2−(2−オキソ−1,2−ジヒドロ−3−キノリニル)−1H−インドル−5−イル]オキシ}アセチル)ピペラジン−4−イウムトリフルオロ酢酸塩、
3−{5−[2−(1,1−ジオキシド−4−チオモルホリニル)−2−オキソエトキシ]−1H−インドル−2−イル}−2(1H)−キノリノン、
N−{[2−(2−オキソ−1,2−ジヒドロ−3−キノリニル)−1H−インドル−5−イル]メチル}−4−ピペリジンカルボキサミド、
3−{5−[1−(4−モルホリニル)エチル]−1H−インドル−2−イル}−2(1H)−キノリノン、
3−{5−[1−(1−ピロリジニル)エチル]−1H−インドル−2−イル}−2(1H)−キノリノン、
3−{5−[1−(4−アセチル−1−ピペラジニル)エチル]−1H−インドル−2−イル}−2(1H)−キノリノン、
3−(5−{1−[4−(メチルスルホニル)−1−ピペラジニル]エチル}−1H−インドル−2−イル)−2(1H)−キノリノン、
4−アミノ−N−[2−(2−オキソ−1,2−ジヒドロ−3−キノリニル)−1H−インドル−5−イル]−1−ピペリジンカルボキサミド、及び
4−アミノ−N−{[2−(2−オキソ−1,2−ジヒドロ−3−キノリニル)−1H−インドル−5−イル]メチル}−1−ピペリジンカルボキサミド
から選択される化合物、またはその医薬的に許容され得る塩または立体異性体である。
【0026】
本発明の範囲には、上記式Iを有する化合物及び医薬的に許容され得る担体を含む医薬組成物も包含される。本発明は、治療有効量の式Iを有する化合物をガンの治療を要する哺乳動物に投与することを含む前記哺乳動物におけるガンの治療または予防方法をも包含する。治療するための好ましいガンは、脳、尿生殖路、リンパ系、胃、喉頭及び肺のガンから選択される。別の好ましい形態のガンは、組織球性リンパ腫、肺腺癌、小細胞肺癌、膵臓癌、神経膠芽腫及び乳癌である。
【0027】
血管新生が関係する疾患の治療または予防方法をも包含し、その方法は治療有効量の式Iを有する化合物を前記治療を要する哺乳動物に投与することを含む。血管新生が関係する疾患は眼疾患、例えば網膜血管形成、糖尿病性網膜症、老人性黄斑変性等である。
【0028】
本発明の範囲には、炎症性疾患の治療または予防方法をも包含し、その方法は治療有効量の式Iを有する化合物を前記治療を要する哺乳動物に投与することを含む。炎症性疾患の例は、慢性関節リウマチ、乾癬、接触皮膚炎及び遅延型過敏症等である。
【0029】
また、哺乳動物におけるチロシンキナーゼ依存疾患または症状の治療または予防方法をも包含し、その方法は治療有効量の式Iを有する化合物を前記治療を要する哺乳動物患者に投与することを含む。治療有効量は特定疾患に応じて異なり、不当な実験を強いることなく当業者により決定され得る。
【0030】
網膜血管形成の治療または予防方法も本発明に包含され、その方法は治療有効量の式Iを有する化合物を前記治療を要する哺乳動物に対して投与することを含む。眼疾患(例えば、糖尿病性網膜症及び老人性黄斑変性)の治療または予防方法も本発明の一部をなす。本発明の範囲には、炎症性疾患(例えば、慢性関節リウマチ、乾癬、接触皮膚炎及び遅延型過敏症)の治療または予防方法、並びに骨肉腫、変形性関節症及びくる病から選択される骨関連病の治療または予防方法も包含する。
【0031】
本発明は、本発明の化合物と1)エストロゲン受容体モジュレーター、2)アンドロゲン受容体モジュレーター、3)レチノイド受容体モジュレーター、4)細胞毒性物質、5)増殖抑制薬、6)プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、7)HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、8)HIVプロテアーゼ阻害剤、9)逆転写酵素阻害剤及び10)他の血管新生抑制剤からなる群から選択される第2化合物との併用をも包含する。
【0032】
好ましい血管新生抑制剤は、チロシンキナーゼ阻害剤、上皮由来増殖因子阻害剤、線維芽細胞由来増殖因子阻害剤、血小板由来増殖因子阻害剤、MMP(マトリックスメタロプロテアーゼ)阻害剤、インテグリンブロッカー、インターフェロン−α、インターロイキン−12、ペントサンポリスルフェート、シクロオキシゲナーゼ阻害剤、カルボキシアミドトリアゾール、コンブレタスチンA−4、スクアラミン、6−O−クロロアセチルカルボニルフマギロール、サリドマイド、アンギオスタチン、トロポニン−1及びVEGFに対する抗体からなる群から選択される。好ましいエストロゲン受容体モジュレーターはタモキシフェン及びラロキシフェンである。
【0033】
本発明の範囲には、治療有効量の式Iを有する化合物を放射線療法と組合わせて及び/または1)エストロゲン受容体モジュレーター、2)アンドロゲン受容体モジュレーター、3)レチノイド受容体モジュレーター、4)細胞毒性物質、5)増殖抑制薬、6)プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、7)HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、8)HIVプロテアーゼ阻害剤、9)逆転写酵素阻害剤及び10)他の血管新生抑制剤からなる群から選択される化合物と組合わせて投与することを含むガンの治療方法も含まれる。
【0034】
本発明の更に別の実施態様は、治療有効量の式Iを有する化合物をパクリタクセルまたはトラスツズマブと組合わせて投与することを含むガンの治療方法である。
【0035】
治療有効量の式Iを有する化合物を投与することを含む脳虚血後の組織損傷を低下または予防する方法も本発明の範囲内である。
【0036】
本発明の上記態様及び他の態様は本明細書の記載から明らかであろう。
【0037】
「チロシンキナーゼ依存疾患または症状」は、1つ以上のチロシンキナーゼの活性に依存する病的状態を指す。チロシンキナーゼは、増殖、付着、遊走及び分化を含めた各種の細胞活性の信号伝達経路に直接または間接的に関与する。チロシンキナーゼ活性に関連する疾患には、腫瘍細胞の増殖、充実性腫瘍増殖を支える病的新血管形成、眼の新血管形成(糖尿病性網膜症、老人性黄斑変性等)及び炎症(乾癬、慢性関節リウマチ等)が含まれる。
【0038】
本発明化合物は、(E.L.Eliel及びS.H.Wilen,Stereochemistry of Carbon Compounds,ニューヨークに所在のJohn Wiley & Sons(1994年)発行,p.1119−1190に記載されているように)非対称中心、キラル軸及びキラル面を有し得、ラセミ体、ラセミ混合物及び個別のジアステレオマーとして存在し得、光学異性体を含めた考えられるすべての異性体及びその混合物が本発明に含まれる。更に、本明細書に記載されている化合物は互変異性体として存在し得、1つの互変異性体構造しか示されていなくとも両方の互変異性体が本発明の範囲に含まれると意図される。例えば、以下の化合物Aを記載しているとき、互変異性体Bも含まれると理解され、その逆も同様であり、その混合物も含まれると理解される。
【0039】
【化7】

【0040】
任意の変数(例えば、R、R、R6a等)が化合物中に複数回存在するとき、その定義は毎回独立である。また、置換基及び変数の組合せも、安定な化合物が生ずるならば許容され得る。置換基から環系に引き出された線は、指定の結合が置換可能な環原子に結合され得ることを示す。環系が多環式であるならば、結合は近隣環上のみの適当な炭素原子に結合されていると意図される。
【0041】
本発明化合物上の置換基及び置換基パターンは、化学的に安定であり且つ容易に入手可能な出発物質から当業界で公知の方法や下記する方法により容易に合成され得る化合物を与えるように当業者により選択することができると理解される。置換基それ自体が2個以上の置換基で置換されている場合には、安定な構造が生ずる限りこれらの複数の置換基は同一の炭素または異なる炭素上に存在し得ると理解される。「場合により1個以上の置換基で置換されていてもよい」という表現は「場合により少なくとも1個の置換基で置換されていてもよい」という表現と同等であると見做すべきであり、その場合好ましい実施態様は0〜3個の置換基を有する。
【0042】
本明細書中、「アルキル」は、特定数の炭素原子を有する直鎖及び分枝鎖の飽和脂肪族炭化水素基を含むと意図される。例えば、「C1−10アルキル」中のC1−10は、直鎖または分枝鎖配置で1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個の炭素原子を有する基を含むと定義される。例えば、「C1−10アルキル」は、具体的にはメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、t−ブチル、i−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル等を含む。「シクロアルキル」は、特定数の炭素原子を有する単環式飽和脂肪族炭化水素基を意味する。例えば、「シクロアルキル」はシクロプロピル、メチルシクロプロピル、2,2−ジメチルシクロプチル、2−エチルシクロペンチル、シクロヘキシル等を含む。
【0043】
「アルコキシ」は、酸素橋を介して結合している指定数の炭素原子を有する環状または非環状アルキル基を表す。従って、「アルコキシ」は上記したアルキル及びシクロアルキルの定義を含む。
【0044】
炭素原子の数が特定されていない場合、用語「アルケニル」は、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を含む2〜10個の炭素原子を有する直鎖、分枝鎖または環状の非芳香族炭化水素基を指す。1個の炭素−炭素二重結合が存在することが好ましいが、非芳香族炭素−炭素二重結合は最高4個まで存在し得る。よって、「C2−6アルケニル」は2〜6個の炭素原子を有するアルケニル基を意味する。アルケニル基には、エテニル、プロペニル、ブテニル、2−メチルブテニル及びシクロヘキセニルが含まれる。アルケニル基の直鎖、分子鎖または環状部分は二重結合を含んでいてもよく、置換アルケニル基の場合には置換されていてもよい。
【0045】
用語「アルキニル」は、少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を含む2〜10個の炭素原子を有する直鎖、分枝鎖または環状炭化水素基を指す。炭素−炭素三重結合は最高3個まで存在し得る。よって、「C2−6アルキニル」は2〜6個の炭素原子を有するアルキニル基を意味する。アルキニル基には、エチニル、プロピニル、ブチニル、3−メチルブチニル等が含まれる。アルキニル基の直鎖、分子鎖または環状部分が三重結合を含んでいてもよく、置換アルキニル基の場合には置換されていてもよい。
【0046】
或る場合、C0−6アルキレン−アリールのように置換基は0を含めた範囲の炭素数で定義され得る。アリールがフェニルのとき、この定義にはフェニルそのものの他に、−CHPh、−CHCHPh及び−CH(CH)CHCH(CH)Ph等が含まれる。
【0047】
本明細書中、「アリール」は、少なくとも1個の環が芳香族である条件で各環に最高7個の原子を有する安定な単環式または二環式炭素環を意味すると意図される。前記アリールの例には、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、ビフェニル、フェナントリル、アントリルまたはアセナフチルが含まれる。アリール置換基がビシクロであり、1個の環が非芳香族の場合、結合は芳香族環を介すると理解される。
【0048】
本明細書中、用語「ヘテロアリール」は、少なくとも1個の環が芳香族であり、O、N及びSからなる群から選択される1〜4個のヘテロ原子を含む条件で、各環に最高7個の原子を有する安定な単環式または二環式炭素環を表す。この定義に入るヘテロアリール基には、アクリジニル、カルバゾリル、シンノリニル、キノキサリニル、ピラゾリル、インドリル、ベンゾトリアゾリル、フラニル、チエニル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、キノリニル、イソキノリニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、インドリル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピロリル、テトラヒドロキノリンが含まれるが、これらに限定されない。以下のヘテロ環の定義に関して、「ヘテロアリール」は窒素含有ヘテロアリールのN−オキシド誘導体を含むと理解される。ヘテロアリール置換基がビシクロであり、1個の環が非芳香族であるかまたはヘテロ原子を含まない場合、結合は芳香族環またはヘテロ原子含有環を介すると理解される。
【0049】
当業者は認識しているように、本明細書中、「ハロ」及び「ハロゲン」は塩素、フッ素、臭素及びヨウ素を含むと意図される。
【0050】
本明細書中、用語「ヘテロ環」または「ヘテロシクリル」は、O、N及びSからなる群から選択される1〜4個のヘテロ原子を含む5〜10員の芳香族または非芳香族ヘテロ環を意味すると意図され、二環式基も含まれる。よって、「ヘテロシクリル」は、上記したヘテロアリール、並びにそのジヒドロ及びテトラヒドロアナログを含む。「ヘテロシクリル」の非限定例には、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾフラザニル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、カルバゾリル、カルボリニル、シンノリニル、フラニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、インドルアジニル、インダゾリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ナフタピリジニル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、オキサゾリン、イソオキサゾリン、オキセタニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドピリジニル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジル、ピロリル、キナゾリニル、キノリル、キノキサリニル、テトラヒドロピラニル、テトラゾリル、テトラゾロピリジル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、アゼチジニル、1,4−ジオキサニル、ヘキサヒドロアゼピニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジヒドロベンゾイミダゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチオフェニル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、ジヒドロフラニル、ジヒドロイミダゾリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロイソオキサゾリル、ジヒドロイソチアゾリル、ジヒドロオキサジアゾリル、ジヒドロオキサゾリル、ジヒドロピラジニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロピロリル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロテトラゾリル、ジヒドロチアジアゾリル、ジヒドロチアゾリル、ジヒドロチエニル、ジヒドロトリアゾリル、ジヒドロアゼチジニル、メチレンジオキシベンゾイル、テトラヒドロフラニル及びテトラヒドロチエニル、並びにそのN−オキシドが含まれる。ヘテロ置換基は炭素原子またはヘテロ原子を介して結合される。
【0051】
アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール及びヘテロシクリル置換基は、特記しない限り未置換であっても置換されていてもよい。例えば、C1−6アルキルはOH、オキソ、ハロゲン、アルコキシ、ジアルキルアミノまたはヘテロシクリル(例えば、モルホリニル、ピペリジニル等)から選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよい。この場合、1個の置換基がオキソで、他方がOHのときには、−(C=O)CHCH(OH)CH、−(C=O)OH、−CH(OH)CHCH(O)等が含まれる。
【0052】
本発明化合物の医薬的に許容され得る塩には、無機もしくは有機酸から形成されるような本発明化合物の一般的な非毒性塩が含まれる。例えば、前記した一般的な非毒性塩には、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸等)から誘導される塩及び有機酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸、トリフルオロ酢酸等)から誘導される塩が含まれる。
【0053】
場合により、R及びRは、これらが結合している窒素と共に窒素原子の他に1〜2個のN、O及びSからなる群から選択される追加ヘテロ原子を含み、場合により1個以上のR6aから選択される置換基で置換されていてもよい各環が5〜10員の単環式または二環式ヘテロ環を形成し得るように定義される。こうして形成され得るヘテロ環の例には、
【0054】
【化8】

が含まれるが、これらに限定されない。ここで、ヘテロ環は場合により1個以上のR6aから選択される置換基で置換されていてもよいことに留意されたい。
【0055】
好ましくは、RはHである。R及びRもHが好ましい。好ましくは、RはHである。好ましいヘテロシクリル置換基は直前に記載したものに加えて、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、テトラメチレンスルホン、ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、フラン、インドール及びチオフェンである。好ましくは、tは1であり、Rは以下のナンバリングスキームに従ってインドールの5位で置換されている。
【0056】
【化9】

【0057】
好ましくは、Rは、OC1−6アルキレンNR、(C=O)0−6アルキレン−Q(ここで、QはH、OH、COHまたはOC1−6アルキルである)、場合によりR6aから選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよいOC0−6アルキレン−ヘテロシクリル、C0−6アルキレンNR、(C=O)NRまたはOC1−3アルキレン−(C=O)NRとして定義される。最も好ましくは、RはC1−3アルキレンNRである。好ましくは、R及びRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、窒素原子に加えてN、O及びSから選択される1〜2個の追加ヘテロ原子を含んでいてもよい単環式5〜7員ヘテロ環を形成することができ、前記ヘテロ環は場合により1個以上のR6aから選択される置換基で置換されていてもよい。
【0058】
本発明化合物の医薬的に許容され得る塩は、塩基性または酸性部分を含む本発明化合物から一般的な化学的方法により合成され得る。通常、塩基性化合物の塩は、イオン交換クロマトグラフィーによるかまたは遊離塩基を化学量論量もしくは過剰量の所望の塩形成性無機もしくは有機酸を用いて適当な溶媒または各種溶媒混合物中で反応させることにより製造される。同様に、酸性化合物の塩は適当な無機もしくは有機塩基との反応により形成される。
【0059】
本発明化合物は、下記スキームと文献から公知であったり実験手順に例示されている他の標準操作に示す反応を用いることにより製造され得る。従って、これらのスキームはここにリストした化合物により限定されず、また例示の目的で使用した特定置換基によっても限定されない。スキームに示した置換基のナンバリングは請求の範囲において使用したナンバリングと必ずしも一致しない。
【0060】
スキーム
スキームAに示すように、キノリン試薬A−2はMarsais,F.,Godard,A.,Queguiner,G.,J.Heterocyclic Chem.,26:1589−1594(1989)に教示されている一般的方法により合成され得る。異なる置換基を有する誘導体は上記方法を改変し、当業界で公知の一般的な合成プロトコルを用いて製造され得る。スキーム1にはインドール中間体A−6の製造をも示す。
【0061】
スキームBは、インドール及びキノリン中間体をカップリングして所望の化合物を製造する1つの可能なプロトコルを示す。
【0062】
スキームCは、本発明の代表的化合物である3−(5−メトキシ−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−2−イル)−1H−キノリン−2−オンC−6を合成するための1つの可能な合成ルートを示す。
【0063】
スキームDは、ヨードナフチリジン及びヨードピリド−ピリジンの合成を示す。生じたヨード化合物を他のスキームに教示されているように適当なインドールボロン酸とカップリングさせると、所望の生成物を得ることができる。出発のクロロ化合物は、D.J.Pokorny及びW.W.Paudler,J.Org.Chem.,37:3101(1972)に教示されている方法に従って製造され得る。
【0064】
【化10】

【0065】
【化11】

【0066】
【化12】

【0067】
【化13】

【0068】
【化14】


【0069】
(有用性)
本発明化合物は、チロシンキナーゼ依存疾患の治療において哺乳動物(特に、ヒト)用薬剤として有用である。前記疾患には、腫瘍細胞の増殖、充実性腫瘍増殖を支える病的新血管形成(すなわち、血管新生)、眼の新血管形成(糖尿病性網膜症、老人性黄斑変性等)及び炎症(乾癬、慢性関節リウマチ等)が含まれる。
【0070】
本発明化合物は、ガンを治療するために患者に対して投与され得る。本発明化合物は腫瘍血管新生を抑制し、よって腫瘍増殖に影響を及ぼす(J.Rakら,Cancer Research,55:4575−4580(1995))。本発明化合物の抗血管新生は、網膜血管形成に関連する特定形態の失明を治療するのに有用でもあり得る。
【0071】
本発明化合物は、特定の骨関連疾患、例えば骨肉腫、骨関節症、または腫瘍形成骨軟化症としても公知のくる病を治療するのにも有用であり得る(Hasegawaら,Skeletal Radiol.,28,p.41−45(1999)、Gerberら,Nature Medicine,vol.5,No.6,p.623−628(1999年6月))。また、VEGFは成熟破骨細胞で発現したKDR/Flk−1を介して破骨細胞骨吸収を直接促進する(FEBS Let.,473:161−164(2000)、Endocrinology,141:1667(2000))ので、本発明化合物は骨吸収に関連する状態、例えば骨粗鬆症及びパジェット病を治療及び予防するためにも有用である。
【0072】
本発明化合物は、虚血後の脳浮腫、組織損傷及び再還流障害を低下させることにより脳虚血(例えば、卒中)後に起こる組織損傷を低下または予防するためにも使用され得る(Drug News Perspect,11:265−270(1998)、J.Clin.Invest.,104:1613−1620(1999))。
【0073】
本発明化合物は、標準の薬学プラクティスに従って単独で、好ましくは医薬的に許容され得る担体または希釈剤、場合により公知の助剤(例えば、硫酸アルミニウムカリウム)を含む医薬組成物の形態で哺乳動物(好ましくは、ヒト)に投与され得る。本発明化合物は経口的、または静脈、筋肉内、腹腔内、皮下、直腸または局所を含めた非経口的に投与され得る。
【0074】
本発明の化学療法化合物を経口投与するとき、化合物は例えば錠剤、カプセル剤、水性溶液もしくは懸濁液の形態で投与され得る。経口投与用錠剤の場合、通常使用される担体にはラクトース及びコーンスターチが含まれ、ステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤が通常添加される。カプセル形態で経口投与するための有用な希釈剤にはラクトース及び乾燥コーンスターチが含まれる。経口投与するために水性懸濁液を必要とするときには、活性成分を乳化剤及び懸濁剤と混合する。所望により、特定の矯味剤及び/または矯臭剤が添加され得る。筋肉内、腹腔内、皮下及び静脈投与するためには、通常活性成分の無菌溶液が調製され、その溶液のpHは適当に調節及び緩衝されなければならない。静脈投与の場合、製剤を等張性とすべく溶質の総濃度を調整しなければならない。
【0075】
本発明化合物は、治療する状態に対して特に有用であるために選択される他の公知の治療薬と共に投与され得る。例えば、骨関連疾患の場合、使用される併用薬には、抗吸収ビスホスホネート(例えば、アレンドロネート及びリセドロネート)、(以下に定義する)インテグリンブロッカー(例えば、αβアンタゴニスト)、ホルモン補充療法で使用される複合エストロゲン(例えば、PREMPRO(登録商標)、PREMARIN(登録商標)及びENDOMETRION(登録商標))、選択的エステロゲン受容体モジュレーター(SERM)(例えば、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、CP−336,156(Pfizer)及びラソホキシフェン)、カテプシンK阻害剤及びATPプロトンポンプ抑制剤が含まれる。
【0076】
本発明化合物は公知の抗ガン剤との組合せにおいても有用であり得る。前記した公知の抗ガン剤には、エストロゲン受容体モジュレーター、アンドロゲン受容体モジュレーター、レチノイド受容体モジュレーター、細胞毒性物質、増殖抑制薬、プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、逆転写酵素阻害剤及び他の血管新生抑制剤が含まれる。
【0077】
「エストロゲン受容体モジュレーター」は、メカニズムに関係なく、エストロゲンの受容体への結合を妨害または阻止する化合物を指す。エストロゲン受容体モジュレーターの例には、タモキシフェン、ラロキシフェン、イドキシフェン、LY353381、LY117081、トレミフェン、フルベストラント、4−[7−(2,2−ジメチル−1−オキソプロポキシ−4−メチル−2−[4−[2−(1−ピペリジニル)エトキシ]フェニル]−2H−1−ベンゾピラン−3−イル]−フェニル−2,2−ジメチルプロパノエート、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン−2,4−ジニトロフェニルヒドラゾン及びSH646が含まれるが、これらに限定されない。
【0078】
「アンドロゲン受容体モジュレーター」は、メカニズムに関係なく、アンドロゲンの受容体への結合を妨害または阻止する化合物を指す。アンドロゲン受容体モジュレーターの例には、フィナステリド及び他の5α−レダクターゼ阻害剤、ニルタミド、フルタミド、ビカルタミド、リアロゾル及びアビラテロンアセテートが含まれる。
【0079】
「レチノイド受容体モジュレーター」は、メカニズムに関係なく、レチノイドの受容体への結合を妨害または阻止する化合物を指す。レチノイド受容体モジュレーターの例には、ベキサロテン、トレチノイン、13−cis−レチノイン酸、9−cis−レチノイン酸、α−ジフルオロメチルオルニチン、ILX23−7553、トランス−N−(4’−ヒドロキシフェニル)レチナミド、N−4−カルボキシフェニルレチナミドが含まれる。
【0080】
「細胞毒性物質」は、主に細胞機能を直接妨害することにより細胞死を引き起こすかまたは細胞収縮(cell myosis)を抑制または妨害する化合物を指し、アルキル化剤、腫瘍壊死因子、インターカレター、ミクロツブリン阻害剤及びトポイソメラーゼ阻害剤が含まれる。
【0081】
細胞毒性物質の例には、チラパジミン、セルテネフ、カケクチン、イホスファミド、タソネルミン、ロニダミン、カルボプラチン、アルトレタミン、プレドニムスチン、ジブロモダルシトル、ラニムスチン、フォテムスチン、ネダプラチン、オキサリプラチン、テモゾロミド、ヘプタプラチン、エストラムスチン、トシル酸イムプロスルファン、トロホスファミド、ニムスチン、塩化ジブロスピリジウム、プミテパ、ロバプラチン、サトラプラチン、プロフィロマイシン、シスプラチン、イロフルベン、デキシホスファミド、シス−アミンジクロロ(2−メチルピリジン)白金、ベンジルグアニン、グルフォスファミド、GPX100、(トランス,トランス,トランス)−ビス−μ−(ヘキサン−1,6−ジアミン)−μ−[ジアミン−白金(II)]ビス[ジアミン(クロロ)白金(II)]テトラクロリド、ジアリジニルスペルミン、三酸化砒素、1−(11−ドデシルアミノ−10−ヒドロキシウンデシル)−3,7−ジメチルキサンチン、ゾルビシン、イダルビシン、ビサントレン、ミトキサントロン、ピラルビシン、ピナフィド、バルルビシン、アンルビシン、アンチネオプラストン、3’−デアミノ−3’−モルホリノ−13−デオキソ−10−ヒドロキシカルミノマイシン、アンナマイシン、ガラルビシン、エリナフィド、MEN10755及び4−デメトキシ−3−デアミノ−3−アジリジニル−4−メチルスルホニルダウノルビシンが含まれるが、これらに限定されない。
【0082】
ミクロツブリン阻害剤の例には、パクリタキセル、ビンデシンスルフェート、3’,4’−ジデヒドロ−4’−デオキシ−8’−ノルビンカロイコブラスチン、ドセタキソール、リゾキシン、ドラスタチン、ミボブリンイセチオネート、アウリスタチン、セマドチン、RPR109881、BMS184476、ビンフルニン、クリプトフィシン、2,3,4,5,6−ペンタフルオロ−N−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)ベンゼンスルホンアミド、アンヒドロビンブラスチン、N,N−ジメチル−L−バリル−L−バリル−N−メチル−L−バリル−L−プロリル−L−プロリル−t−ブチルアミド、TDX258及びBMS188797が含まれる。
【0083】
トポイソメラーゼ阻害剤の幾つかの例は、トポテカン、ヒカプタミン、イリノテカン、ルビテカン、6−エトキシプロピオニル−3’,4’−O−エキソ−ベンジリデン−チャルトレウシン、9−メトキシ−N,N−ジメチル−5−ニトロピラゾロ[3,4,5−kl]アクリジン−2−(6H)プロパンアミン、1−アミノ−9−エチル−5−フルオロ−2,3−ジヒドロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−1H,12H−ベンゾ[de]ピラノ{3’,4’:b,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−10,13(9H,15H)ジオン、ルルトテカン、7−[2−(N−イソプロピルアミノ)エチル]−(20S)カンプトテシン、BNP1350、BNPI1100、BN80915、BN80942、エトポシドホスフェート、テニポシド、ソブゾキサン、2’−ジメチルアミノ−2’−デオキシ−エトポシド、GL331、N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−9−ヒドロキシ−5,6−ジメチル−6H−ピリド[4,3−b]カルバゾール−1−カルボキサミド、アスラクリン、(5a,5aB,8aa,9b)−9−[2−[N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−N−メチルアミノ]エチル]−5−[4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル]−5,5a,6,8,8a,9−ヘキソヒドロフロ(3’,4’:6,7)ナフト(2,3−d)−1,3−ジオキソル−6−オン、2,3−(メチレンジオキシ)−5−メチル−7−ヒドロキシ−8−メトキシベンゾ[c]−フェナントリジニウム、6,9−ビス[(2−アミノエチル)アミノ]ベンゾ[g]イソキノリン−5,10−ジオン、5−(3−アミノプロピルアミノ)−7,10−ジヒドロキシ−2−(2−ヒドロキシエチルアミノエチル)−6H−ピラゾロ[4,5,1−de]アクリジン−6−オン、N−[1−[2−(ジエチルアミノ)エチルアミノ]−7−メトキシ−9−オキソ−9H−N−チオキサンテン−4−イルメチル]ホルムアミド、N−(2−(ジメチルアミノ)エチル)アクリジン−4−カルボキサミド、6−[[2−(ジエチルアミノ)エチル]アミノ]−3−ヒドロキシ−7H−インデノ[2,1−c]キノリン−7−オン及びジメスナである。
【0084】
「増殖抑制剤」には、アンチセンスRNA及びDNAオリゴヌクレオチド、例えばG319、ODN698、RVASKRAS、GEM231及びINX3001;抗代謝薬、例えばエノシタビン、カルモフール、テガフール、ペントスタチン、ドキシフルリジン、トリメトレキサート、フルダラビン、カペシタビン、ガロシタビン、シタラビンオクホスフェート、フォステアビン、ナトリウム水和物、ラルトリトレキセド、パルチトレキシド、エミテフール、チアゾフリン、デシタビン、ノラトレキセド、ペメトレキセド、ネルザラビン、2’−デオキシ−2’−メチリデンシチジン、2’−フルオロメチレン−2’−デオキシシチジン、N−[5−(2,3−ジヒドロベンゾフリル)スルホニル]−N’−(3,4−ジクロロフェニル)尿素、N6−[4−デオキシ−4−[N2−[2(E),4(E)−テトラデカジエノイル]グリシルアミノ]−L−グリセロ−B−L−マンノヘプトピラノシル]アデニン、アプリジン、エクテインアスシジン、トロキサシタビン、4−[2−アミノ−4−オキソ−4,6,7,8−テトラヒドロ−3H−ピリミジノ[5,4−b][1,4]チアジン−6−イル−(S)−エチル]−2,5−チエノイル−L−グルタミン酸、アミノプテリン、5−フルオロウラシル、アラノシン、11−アセチル−8−(カルバモイルオキシメチル)−4−ホルミル−6−メトキシ−14−オキサ−1,11−ジアザテトラシクロ(7.4.1.0.0)−テトラデカ−2,4,6−トリエン−9−イル酢酸エステル、スワインソニン、ロメトレキソル、デキラゾキサン、メチオニナーゼ、2’−シアノ−2’−デオキシ−N4−パルミトイル−1−B−D−アラビノフラノシルシトシン及び3−アミノピリジン−2−カルボキサルデヒドチオセミカルバゾンが含まれる。「増殖抑制薬」には、トラスツズマブ(trastuzumab)のような「血管新生抑制剤」の項にリストされている化合物の他に、増殖因子に対するモノクローナル抗体、p53のような組換えウイルス媒介遺伝子転移によりデリバリーされ得る腫瘍抑制遺伝子(例えば、米国特許第6,069,134号明細書参照)も含まれる。
【0085】
「HMG−CoAレダクターゼ阻害剤」は、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−CoAレダクターゼの阻害剤を指す。HMG−CoAレダクターゼに対して阻害活性を有する化合物は当業界で公知のアッセイを用いて容易に同定することができる。例えば、米国特許第4,231,938号明細書の第6欄及び国際特許出願公開第84/02131号パンフレットの30〜33ページに記載または引用されているアッセイを参照されたい。用語「HMG−CoAレダクターゼ阻害剤」及び「HMG−CoAレダクターゼの阻害剤」は本明細書中で使用されているとき同一の意味を有する。
【0086】
使用可能なHMG−CoAレダクターゼ阻害剤の例には、ロバスタチン[MEVACOR(登録商標);米国特許第4,231,938号明細書、同第4,294,926号明細書及び同第4,319,039号明細書参照]、シンバスタチン[ZOCOR(登録商標);米国特許第4,444,784号明細書、同第4,820,850号明細書及び同第4,916,239号明細書参照]、プラバスタチン[PRAVACHOL(登録商標);米国特許第4,346,227号明細書、同第4,537,859号明細書、同第4,410,629号明細書、同第5,030,447号明細書及び同第5,180,589号明細書参照]、フルバスタチン[LESCOL(登録商標);米国特許第5,354,772号明細書、同第4,911,165号明細書、同第4,929,437号明細書、同第5,189,164号明細書、同第5,118,853号明細書、同第5,290,946号明細書及び同第5,356,896号明細書参照]、アトルバスタチン[LIPITOR(登録商標);米国特許第5,273,995号明細書、同第4,681,893号明細書、同第5,489,691号明細書及び同第5,342,952号明細書]、及びセリバスタチン[リバスタチンとしても公知、BAYCHOL(登録商標);米国特許第5,177,080号明細書]が含まれるが、これらに限定されない。本発明で使用可能な上記及び他のHMG−CoAレダクターゼ阻害剤の構造式は、M.Yalpani,「コレステロール低下薬(Cholesterol Lowering Drugs)」,Chemistry & Industry,p.85−89(1996年2月5日)の87ページ、米国特許第4,782,084号明細書及び同第4,885,314号明細書に記載されている。本明細書中、用語「HMG−CoAレダクターゼ阻害剤」には、すべての医薬的に許容され得るラクトン及び開環酸形態(すなわち、ラクトンが開環して遊離酸が形成されている)、並びにHMG−CoAレダクターゼ阻害活性を有する化合物の塩及びエステル形態が含まれ、よって前記した塩、エステル及び開環酸及びラクトン形態の使用も本発明の範囲に含まれる。ラクトン部分及びその対応開環酸の例を以下に構造I及びIIとして示す。
【0087】
【化15】

【0088】
開環酸形態が存在し得るHMG−CoAレダクターゼ阻害剤では、塩及びエステル形態は好ましくは開環酸から形成され、前記形態のすべてが本明細書中の用語「HMG−CoAレダクターゼ阻害剤」の意味の範囲内に含まれる。好ましくは、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤はロバスタチン及びシンバスタチンから選択され、最も好ましくはシンバスタチンである。本明細書中、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤に関して、用語「医薬的に許容され得る塩」は、通常遊離酸を好適な有機もしくは無機塩基と反応させて製造される本発明で使用される化合物の非毒性塩を意味し、特にナトリウム、カリウム、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、亜鉛及びテトラメチルアンモニウムのようなカチオンから形成される塩、並びにアンモニア、エチレンジアミン、N−メチルグルカミン、リシン、アルギニン、オルニチン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、ジエタノールアミン、プロカイン、N−ベンジルフェネチルエチルアミン、1−p−クロロベンジル−2−ピロリジン−1’−イル−メチルベンゾイミダゾール、ジエチルアミン、ピペラジン及びトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンのようなアミンから形成される塩を指す。塩形態のHMG−CoAレダクターゼ阻害剤の更なる例には、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、硫酸水素塩、重酒石酸塩、ホウ酸塩、臭化物、カルシウムエデト酸塩、カムシレート、炭酸塩、塩化物、クラブラン酸塩、クエン酸塩、二塩酸塩、エデト酸塩、エジシレート、エストレイト、エシレート、フマル酸塩、グルセプテート、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアラサニン酸塩、ヘキシルレゾルシン酸塩、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物、イソチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリル酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシラート、メチル硫酸塩、粘液酸塩、ナプシラート、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パモエート、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/リン酸水素酸塩、ポリガラクツロン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクレート、トシラート、トリエチオジド及び吉草酸塩が含まれるが、これらに限定されない。
【0089】
記載されているHMG−CoAレダクターゼ阻害化合物のエステル誘導体は、温血動物の血流中に吸収されたときに薬物形態を遊離し、薬物が向上した治療効果を与えるように開裂し得るプロドラッグとして作用し得る。
【0090】
「プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤」は、ファルネシル−タンパク質トランスフェラーゼ(FPTase)、ゲラニルゲラニル−タンパク質トランスフェラーゼタイプI(GGPTase−I)及びゲラニルゲラニル−タンパク質トランスフェラーゼタイプII(GGPTase−II、Rab GGPTaseとも呼ぶ)を含めたプレニル−タンパク質トランスフェラーゼ酵素の1つ以上を阻害する化合物を指す。プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害化合物の例には、(±)−6−[アミノ(4−クロロフェニル)(1−メチル−1H−イミダゾル−5−イル)メチル]−4−(3−クロロフェニル)−1−メチル−2(1H)−キノリノン、(−)−6−[アミノ(4−クロロフェニル)(1−メチル−1H−イミダゾル−5−イル)メチル]−4−(3−クロロフェニル)−1−メチル−2(1H)−キノリノン、(+)−6−[アミノ(4−クロロフェニル)(1−メチル−1H−イミダゾル−5−イル)メチル]−4−(3−クロロフェニル)−1−メチル−2(1H)−キノリノン、5(S)−n−ブチル−1−(2,3−ジメチルフェニル)−4−[1−(4−シアノベンジル)−5−イミダゾリルメチル]−2−ピペラジノン、(S)−1−(3−クロロフェニル)−4−[1−(4−シアノベンジル)−5−イミダゾリルメチル]−5−[2−(エタンスルホニル)メチル]−2−ピペラジノン、5(S)−n−ブチル−1−(2−メチルフェニル)−4−[1−(4−シアノベンジル)−5−イミダゾリルメチル]−2−ピペラジノン、1−(3−クロロフェニル)−4−[1−(4−シアノベンジル)−2−メチル−5−イミダゾリルメチル]−2−ピペラジノン、1−(2,2−ジフェニルエチル)−3−[N−(1−(4−シアノベンジル)−1H−イミダゾル−5−イルエチル)カルバモイル]ピペリジン、4−{5−[4−ヒドロキシメチル−4−(4−クロロピリジン−2−イルメチル)−ピペリジン−1−イルメチル]−2−メチルイミダゾル−1−イルメチル}ベンゾニトリル、4−{5−[4−ヒドロキシメチル−4−(3−クロロベンジル)−ピペリジン−1−イルメチル]−2−メチルイミダゾル−1−イルメチル}ベンゾニトリル、4−{3−[4−(2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)ベンジル]−3H−イミダゾル−4−イルメチル}ベンゾニトリル、4−{3−[4−(5−クロロ−2−オキソ−2H−[1,2’]ビピリジン−5’−イルメチル]−3H−イミダゾル−4−イルメチル}ベンゾニトリル、4−{3−[4−(2−オキソ−2H−[1,2’]ビピリジン−5’−イルメチル]−3H−イミダゾル−4−イルメチル}ベンゾニトリル、4−[3−(2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−4−イルメチル)−3H−イミダゾル−4−イルメチル}ベンゾニトリル、18,19−ジヒドロ−19−オキソ−5H,17H−6,10:12,16−ジメテノ−1H−イミダゾ[4,3−c][1,11,4]ジオキサアザシクロ−ノナデシン−9−カルボニトリル、(±)−19,20−ジヒドロ−19−オキソ−5H−18,21−エタノ−12,14−エテノ−6,10−メテノ−22H−ベンゾ[d]イミダゾ[4,3−k][1,6,9,12]オキサトリアザ−シクロオクタデシン−9−カルボニトリル、19,20−ジヒドロ−19−オキソ−5H,17H−18,21−エタノ−6,10:12,16−ジメテノ−22H−イミダゾ[3,4−h][1,8,11,14]オキサトリアザシクロエイコシン−9−カルボニトリル、及び(±)−19,20−ジヒドロ−3−メチル−19−オキソ−5H−18,21−エタノ−12,14−エテノ−6,10−メテノ−22H−ベンゾ[d]イミダゾ[4,3−k][1,6,9,12]オキサ−トリアザシクロオクタデシン−9−カルボニトリルが含まれる。
【0091】
プレニル−タンパク質トランスフェニーゼの他の例は、国際特許出願公開第96/30343号パンフレット、同第97/18813号パンフレット、同第97/21701号パンフレット、同第97/23478号パンフレット、同第97/38665号パンフレット、同第98/28980号パンフレット、同第98/29119号パンフレット及び同第95/32987号パンフレット、米国特許第5,420,245号明細書、同第5,523,430号明細書、同第5,532,359号明細書、同第5,510,510号明細書、同第5,589,485号明細書及び同第5,602,098号明細書、欧州特許出願公開第0 618 221号明細書、同第0 675 112号明細書、同第0 604 181号明細書及び同第0 696 593号明細書、国際特許出願公開第94/19357号パンフレット、同第95/08542号パンフレット、同第95/11917号パンフレット、同第95/12612号パンフレット、同第95/12572号パンフレット及び同第95/10514号パンフレット、米国特許第5,661,152号明細書、国際特許出願公開第95/10515号パンフレット、同第95/10516号パンフレット、同第95/24612号パンフレット、同第95/34535号パンフレット、同第95/25086号パンフレット、同第96/05529号パンフレット、同第96/06138号パンフレット、同第96/06193号パンフレット、同第号96/16443パンフレット、同第96/21701号パンフレット、同第96/21456号パンフレット、同第96/22278号パンフレット、同第96/24611号パンフレット、同第96/24612号パンフレット、同第96/05168号パンフレット、同第96/05169号パンフレット及び同第96/00736号パンフレット、米国特許第5,571,792号明細書、国際特許出願公開第96/17861号パンフレット、同第96/33159号パンフレット、同第96/34850号パンフレット、同第96/34851号パンフレット、同第96/30017号パンフレット、同第96/30018号パンフレット、同第96/30362号パンフレット、同第96/30363号パンフレット、同第96/31111号パンフレット、同第96/31477号パンフレット、同第96/31478号パンフレット、同第96/31501号パンフレット、同第97/00252号パンフレット、同第97/03047号パンフレット、同第97/03050号パンフレット、同第97/04785号パンフレット、同第97/02920号パンフレット、同第97/17070号パンフレット、同第97/23478号パンフレット、同第97/26246号パンフレット、同第97/30053号パンフレット、同第97/44350号パンフレット及び同第98/02436号パンフレット、並びに米国特許第5,532,359号明細書にも記載されている。プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤の血管新生に対する役割の例については、European J.of Cancer,vol.35,No.9,p.1394−1401(1999)を参照されたい。
【0092】
HIVプロテアーゼ阻害剤の例には、アンプレナビル、アバヒガル、CGP−73547、CGP−61755、DMP−450、インジナビル、ネルフィナビル、チプラナビル、リトナビル、サキナビル、ABT−378、AG 1776及びBMS−232,632が含まれる。
【0093】
逆転写酵素阻害剤の例には、デラビリジン、エファビレンツ、GS−840、HB Y097、ラミブジン、ネビラピン、AZT、3TC、ddC及びddIが含まれる。
【0094】
「血管新生抑制剤」は、メカニズムに関係なく、新しい血管の形成を抑制する化合物を指す。血管新生抑制剤の例には、チロシンキナーゼ阻害剤(例えば、チロシンキナーゼ受容体Flt−1(VEGFR1)及びFlk−1/KDR(VEGFR20)の阻害剤)、上皮由来、線維芽細胞由来または血小板由来増殖因子の阻害剤、MMP(マトリックスメタロプロテアーゼ)阻害剤、インテグリンブロッカー、インターフェロン−α、インターロイキン−2、ペントサンポリスルフェート、アスピリンやイブプロフェンのような非ステロイド消炎剤(NSAID)を含めたシクロオキシゲナーゼ阻害剤及びセレコキブやロフェコキブ(PNAS,vol.89,p.7384(1992)、JNCI,vol.69,p.475(1982)、Arch.Opthalmol.,vol.108,p.573(1990)、Anat.Rec.,vol.238,p.68(1994)、FEBS Letters,vol.372,p.38(1995)、Clin.Orthop.,vol.313,p.76(1995)、J.Mol.Endocrinol.,vol.16,p.107(1996)、Jpn.J.Pharmacol.,vol.75,p.105(1997)、Cancer Res.,vol.57,p.1625(1997)、Cell.vol.96,p.705(1998)、Intl.J.Mol.Med.,vol.2,p.715(1998)、J.Biol.Chem.,vol.274,p.9116(1999))、カルボキシアミドトリアゾール、コンブレタスタチンA−4、スクアラミン、6−O−クロロアセチル−カルボニル)−フマギロール、サリドマイド、アンギオスタチン、トロポニン−1、アンギオテンシンIIアンタゴニスト(Fernandezら,J.Lab.Clin.Med.,105:141−145(1985)参照)やVEGFに対する抗体(Nature Biotechnology,vol.17,p.963−968(1999年10月)、Kimら,Nature,362,841−844(1993)参照)のような選択的シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0095】
血管新生抑制剤の他の例には、エンドスタチオン、ウクライン、ランピルナーゼ、IM862,5−メトキシ−4−[2−メチル−(3−メチル−2−ブテニル)オキシラニル]−1−オキサスピロ[2,5]オクタ−6−イル(クロロアセチル)カルバメート、アセチルジナリン、5−アミノ−1−[[3,5−ジクロロ−4−(4−クロロベンゾイル)フェニル]メチル]−1H−1,2,3−トリアゾロ−4−カルボキサミド、CM101、スクアラミン、コンブレスタチン、RPI4610、NX31838、硫酸化マンノペンタオースホスフェート、7,7−(カルボニル−ビス[イミノ−N−メチル−4,2−ピロロカルボニルイミノ[N−メチル−4,2−ピロロ]−カルボニルイミノ]−ビス−(1,3−ナフタレンジスルホネート)、及び3−[(2,4−ジメチルピロロ−5−イル)メチレン]−2−インドリノン(SU5416)が含まれるが、これらに限定されない。
【0096】
上記したように、「インテグリンブロッカー」は、生理学的リガンドのαβインテグリンへの結合を選択的に拮抗、抑制または中和する化合物、生理学的リガンドのαβインテグリンへの結合を選択的に拮抗、抑制または中和する化合物、生理学的リガンドのαβインテグリン及びαβインテグリンの両方への結合を選択的に拮抗、抑制または中和する化合物、並びに毛細管内皮細胞で発現した特定インテグリンの活性を拮抗、抑制または中和する化合物を指す。用語はまた、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ及びαβインテグリンのアンタゴニストをも指す。この用語は、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ及びαβインテグリンの任意の組合せのアンタゴニストをも指す。
【0097】
チロシンキナーゼ阻害剤の特定例には、N−(トリフルオロメチルフェニル)−5−メチルイソオキサゾル−4−カルボキサミド、3−[(2,4−ジメチルピロロ−5−イル)メチリデニル]インドリン−2−オン、17−(アリルアミノ)−17−デメトキシゲルダナマイシン、4−(3−クロロ−4−フルオロフェニルアミノ)−7−メトキシ−6−[3−(4−モルホリニル)プロポキシ]キナゾリン、N−(3−エチニルフェニル)−6,7−ビス(2−メトキシエトキシ)−4−キナゾリンアミン、BIBX1382、2,3,9,10,11,12−ヘキサヒドロ−10−(ヒドロキシメチル)−10−ヒドロキシ−9−メチル−9,12−エポキシ−1H−ジインドロ[1,2,3−fg:3’,2’,1’−k]ピロロ[3,4−i][1,6]ベンゾジアゾシン−1−オン、SH268、ゲニステイン、ST1571、CEP2563、4−(3−クロロフェニルアミノ)−5,6−ジメチル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジンメタンスルホネート、4−(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)アミノ−6,7−ジメトキシキナゾリン、4−(4’−ヒドロキシフェニル)アミノ−6,7−ジメトキシキナゾリン、SU6668、ST1571A、N−4−クロロフェニル−4−(4−ピリジルメチル)−1−フタラジンアミン、及びEMD121974が含まれる。
【0098】
本発明化合物はまた、ガン細胞の転移を阻止するために単独でまたはチロフィバンのような血小板フィブリノーゲン受容体(GPIIb/IIIa)アンタゴニストと組合わせて使用され得る。腫瘍細胞は、トロンビン生成を介して血小板をかなり活性化させし得る。この活性化はVEGFの遊離を伴う。VEGFが遊離すると、血管内皮への付着点での血液溢出を増加させることにより転移が高まる(Amirkhosravi,Platelets,10,285−292(1999))。従って、本発明化合物は、単独でまたはGPIIb/IIIaアンタゴニストと組合わせて転移を阻止するように機能し得る。他のフィブリノーゲン受容体アンタゴニストの例には、アビシキマブ、エプチフィバチド、シブラフィバン、ラミフィバン、ロトラフィバン、クロモフィバン及びCT50352が含まれる。
【0099】
一定用量として製剤化する場合には、配合製剤は下記する用量範囲の本発明化合物及び承認されている用量範囲の他の医薬的活性物質を使用する。配合製剤が不適切なときには、本発明化合物と公知の医薬的に許容され得る物質を逐次使用することもできる。
【0100】
本発明化合物に関連して、用語「投与」及びその均等語(例えば、化合物を「投与する」)は、化合物または化合物のプロドラッグを治療を要する動物の全身に導入することを意味する。本発明化合物またはそのプロドラッグを1つ以上の他の活性物質(例えば、細胞毒性物質等)と組合わせて提供する場合、「投与」及びその均等語はそれぞれ化合物またはそのプロドラッグと他の物質との同時導入及び逐次導入を包含すると理解される。
【0101】
本明細書中、用語「組成物」は、特定成分を特定量含む製品、及び特定量の特定成分の組合せから直接もしくは間接的に生ずる製品を包含すると意図する。
【0102】
本明細書中、用語「治療有効量」は、組織、系、動物またはヒトにおいて研究者、獣医、医師または他の臨床家が求めている生物学的または医学的応答を引き出す活性化合物または医薬物質の量を指す。
【0103】
用語「ガンを治療する」または「ガンの治療」は、ガン状態を患っている哺乳動物に対して投与し、ガン細胞を殺すことによりガン状態を改善する効果及びガンの増殖及び/または転移を阻止するという効果を指す。
【0104】
本発明は、治療有効量の本発明化合物を場合により医薬的に許容され得る担体または希釈剤と一緒に含むガンの治療に有用な医薬組成物をも包含する。本発明の好適な組成物には、例えばpHレベル(例えば、7.4)で本発明化合物及び医薬的に許容され得る担体、例えば生理的食塩水を含む水溶液が含まれる。前記溶液は、局所ボーラス注入により患者の血流に導入され得る。
【0105】
本発明化合物をヒトに投与する場合、1日用量は通常担当医により決定され、用量は通常患者の年令、体重及び応答、並びに患者の症状の重篤度により異なる。
【0106】
1つの適用例において、適当量の化合物がガンの治療を受けている哺乳動物に対して投与される。約0.1〜約60mg/kg体重/日、好ましくは約0.5〜約40mg/kg体重/日の量が投与される。
【0107】
アッセイ
実施例に記載されている本発明化合物を下記アッセイにより試験し、キナーゼ阻害活性を有することが判明した。他のアッセイは文献から公知であり、当業者は容易に実施し得る(例えば、Dhanabalら,Cancer Res.,59:189−197、Xinら,J.Biol.Chem.,274:9116−9121、Sheuら,Anticancer Res.,18:4435−4441、Ausprunkら,Dev.Biol.,38:237−248、Gimbroneら,J.Natl.Cancer Inst.,52:413−427、Nicosiaら,In Vitro,18:538−549参照)。
【0108】
I. VEGF受容体キナーゼアッセイ
VEGF受容体キナーゼアッセイは、ポリグルタミン酸,チロシン4:1(pEY)基質への放射線標識ホスフェートの取り込みにより測定される。リン酸化pEY産物を濾過膜上に捕捉し、放射線標識ホスフェートの取り込みをシンチレーション計数により定量化する。
【0109】
材料
(VEGF受容体キナーゼ)
ヒトKDRの細胞内チロシンキナーゼドメイン(Terman,B.I.ら,Oncogene,vol.6,p.1677−1683(1991))及びFlt−1(Shibuya,M.ら,Oncogene,vol.5,p.519−524(1990))をグルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)遺伝子融合タンパク質としてクローン化した。これは、KDRキナーゼの細胞質ドメインをGST遺伝子のカルボキシル末端でのインフレーム融合としてクローン化することにより実施した。可溶性組換えGST−キナーゼドメイン融合タンパク質を、バクロウィルス発現ベクター(pAcG2T,Pharmingen)を用いてSpodoptera frugiperda(Sf21)昆虫細胞(Invitrogen)において発現させた。
【0110】
使用した他の材料及びその組成は以下の通りである:
(溶解緩衝液)
50mM トリス(pH7.4)、0.5M NaCl、5mM DTT、1mM EDTA、0.5% トリトンX−100、10% グリセロール、10mg/ml ロイペプチン、10mg/ml ペプスタチン、10mg/ml アプロチニン及び1mM フェニルメチルスルホニルフロリド(すべてSigma)。
【0111】
(洗浄緩衝液)
50mM トリス(pH7.4)、0.5M NaCl、5mM DTT、1mM EDTA、0.05% トリトンX−100、10% グリセロール、10mg/ml ロイペプチン、10mg/ml ペプスタチン、10mg/ml アプロチニン及び1mM フェニルメチルスルホニルフロリド。
【0112】
(透析緩衝液)
50mM トリス(pH7.4)、0.5M NaCl、5mM DTT、1mM EDTA、0.05% トリトンX−100、50% グリセロール、10mg/ml ロイペプチン、10mg/ml ペプスタチン、10mg/ml アプロチニン及び1mM フェニルメチルスルホニルフロリド。
【0113】
(10×反応緩衝液)
200mM トリス(pH7.4)、1.0M NaCl、50mM MnCl、10mM DTT及び5mg/ml ウシ血清アルブミン(Sigma)。
【0114】
(酵素希釈緩衝液)
50mM トリス(pH7.4)、0.1M NaCl、1mM DTT、10% グリセロール及び100mg/ml BSA。
【0115】
(10×基質)
750μg/ml ポリ(グルタミン酸,チロシン4:1)(Sigma)。
【0116】
(停止溶液)
30% トリクロロ酢酸及び0.2M ピロリン酸ナトリウム(両方ともFisher)。
【0117】
(洗浄溶液)
15% トリクロロ酢酸及び0.2M ピロリン酸ナトリウム。
【0118】
(フィルタープレート)
Millipore #MAFC NOB、GF/Cガラス繊維96ウェルプレート。
【0119】
方法
A:タンパク質精製
1. Sf21細胞に5ウイルス粒子/細胞の感染多重度で組換えウイルスを感染させ、27℃で48時間増殖させた。
2. すべてのステップを4℃で実施した。感染細胞を1,000×gで遠心して収集し、1/10容量の溶解緩衝液を用いて4℃で30分間溶解し、その後100,000×gで1時間遠心した。次いで、上清を溶解緩衝液で平衡化したグルタチオンセファロースカラム(Pharmacia)に通し、5容量の同一緩衝液、5容量の洗浄緩衝液で順次洗浄した。組換えGST−KDRタンパク質を洗浄緩衝液/10mM 還元グルタチオン(Sigma)で溶離し、透析緩衝液を用いて透析した。
【0120】
B:VEGF受容体キナーゼアッセイ
1. 50% DMSO中のアッセイに対して阻害剤またはコントロール5μlを添加する。
2. 10×反応緩衝液(5μl)、25mM ATP/10μCi[33P]ATP(Amersham)(5μl)及び10×基質(5μl)を含有する反応混合物35μlを添加する。
3. 酵素希釈緩衝液中に25nM KDR(10μl)を添加して反応を開始する。
4. 混合し、室温で15分間インキュベートする。
5. 停止溶液50μlを添加して停止させる。
6. 4℃で15分間インキュベートする。
7. 90μlアリコートをフィルタープレートに移す。
8. 吸引し、洗浄液で3回洗浄する。
9. シンチレーションカクテル30μlを添加し、プレートをシールし、Wallac Microbetaシンチレーションカウンターでカウントする。
【0121】
II. ヒト臍静脈内皮細胞有糸分裂生起アッセイ
培養物中のヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)はVEGF処理に応答して増殖し、VEGF刺激に対するKDRキナーゼ阻害剤の影響を定量するためのアッセイシステムとして使用され得る。記載のアッセイでは、静止HUVEC単層をベヒクルまたは試験化合物で処理してから2時間後にVEGFまたは塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)を添加した。VEGFまたはbFGFに対するマイトジェン応答を、細胞DNAへの[H]チミジンの取り込みを測定することにより調べた。
【0122】
材料
(HUVEC)
一次培養単離物として凍結したHUVECは、Clonetics Corp.から入手する。細胞を内皮増殖培地(EGM;Clonetics)において維持し、経代3〜7でマイトジェンアッセイのために使用する。
【0123】
(培養プレート)
NUNCLON 96ウェルポリスチレン組織培養プレート(NUEC #167008)。
【0124】
(アッセイ培地)
1g/ml グルコース含有ダルベッコ改変イーグル培地(低グルコースDMEM;Mediatech)+10%(v/v)ウシ胎仔血清(Clonetics)。
【0125】
(試験化合物)
試験化合物の作業ストックを100%ジメチルスルホキシド(DMSO)において順次所望の最終濃度よりも400倍高い濃度に希釈する。1×濃度への最終希釈は、細胞に添加する直前に直接アッセイ培地に対して実施する。
【0126】
(10×増殖因子)
ヒトVEGF165(500ng/ml;R&D Systems)及びbFGF(10ng/ml;R&D Systems)の溶液をアッセイ培地において作成する。
【0127】
10×[H]チミジン
[メチル−H]チミジン(20Ci/ミリモル;Dupont−NEN)を低グルコースDMEMにおいて80μCi/mlに希釈する。
【0128】
(細胞洗浄培地)
1mg/mlのウシ血清アルブミン(Boehringer−Mannheim)を含有するハンク平衡塩溶液(Mediatech)。
【0129】
(細胞溶解溶液)
1N NaOH、2%(w/v)NaCO
【0130】
方法
1. EGMに維持したHUVEC単層をトリプシン処理して収集し、96ウェルプレートにおいて4,000細胞/100μlアッセイ培地/ウェルの密度で平板培養する。細胞を、5%CO含有湿潤雰囲気中37℃で24時間増殖抑制する。
2. 増殖抑制培地を、ベヒクル(0.25%(v/v)DMSO)または所望最終濃度の試験化合物を含有するアッセイ培地100μlで置換する。すべての測定を3回実施する。その後、細胞を37℃/5%COで2時間インキュベートして、試験化合物を細胞に進入させる。
3. 上記2時間の予備処理後、10μl/ウェルのアッセイ培地、10×VEGF溶液または10×bGDF溶液を添加することにより細胞を刺激する。その後、細胞を37℃/5%COでインキュベートする。
4. 増殖因子の存在下で24時間後、10×[H]チミジン(10μl/ウェル)を添加する。
5. [H]チミジンを添加してから3日後、培地を吸引により除去し、細胞を細胞洗浄培地で2回(400μl/ウェル、次いで200μl/ウェル)洗浄する。その後、洗浄した付着細胞を、細胞溶解溶液(100μl/ウェル)を添加し、37℃で30分間加温することにより可溶化する。細胞ライゼートを水150μlを含有する7mlガラスシンチレーションバイアルに移す。シンチレーションカクテル(5ml/バイアル)を添加し、細胞関連放射能を液体シンチレーション分光計により測定する。
【0131】
上記アッセイに基づいて、式Iを有する化合物はVEGF阻害剤であり、よって血管新生の抑制のために、例えば糖尿病性網膜症のような眼疾患の治療及び充実腫瘍のようなガンの治療において有用である。本発明の化合物は、0.001〜5.0μMのIC50値で培養においてヒト脈管内皮細胞のVEGF刺激有糸分裂生起を抑制する。前記化合物は、関連チロシンキナーゼ(例えば、「FGFR1及びSrcファミリー;Srcキナーゼ及びVEGFTキナーゼの関連について(FGFR1 and the Src family; for relationship between Src kinases and VEGFR kinase)、Eliceiriら,Molecular Cell,vol.4,p.915−924(1999年12月)参照)に対して選択性をも示す。
【実施例】
【0132】
本発明の更なる理解を助けるために実施例を提示する。使用した特定材料、化合物及び条件は本発明を例示するにすぎず、本発明の妥当な範囲を限定するものではない。
【0133】
【化16】

【0134】
スキーム1
2−クロロ−3−ヨードキノリン(1−2)
アセトニトリル(300ml)中に3−(2−クロロ)−キノリンボロン酸1−1(5.05g,24.3ミリモル,1当量;Marsais,F.,Godard,A.Queguiner,G.,J.Heterocyclic Chem.,26:1589−1594(1989)の方法により製造)及びN−ヨードスクシンイミド(5.48g,24.4ミリモル,1.00当量)を含む懸濁液を暗所23℃で20時間撹拌した。反応混合物を濃縮乾固し、生じた黄色固体を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及びジクロロメタンに分配した。有機層を水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮して、2−クロロ−3−ヨードキノリンを淡黄色固体として得た。
【0135】
【化17】

【0136】
5−(tert−ブチル−ジメチルシラニルオキシ)−1H−インドール(1−4)
N,N−ジメチルホルムアミド(20ml)中に5−ヒドロキシインドール1−3(5.50g,41.3ミリモル,1当量)、tert−ブチルジメチルシリルクロリド(7.47g,49.6ミリモル,1.20当量)及びイミダゾール(7.03g,103ミリモル,2.50当量)を含む溶液を23℃で20時間撹拌した。反応混合物を濃縮し、残渣を酢酸エチル及び水に分配した。有機層を水(3×)で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中40%ジクロロメタン、その後ヘキサン中60%ジクロロメタン)により精製して、5−(tert−ブチル−ジメチルシラニルオキシ)−1H−インドールを無色油状物として得た。これは放置すると固化した。
【0137】
【化18】

【0138】
5−(tert−ブチル−ジメチルシラニルオキシ)−インドール−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(1−5)
ジクロロメタン(100ml)中に5−(tert−ブチル−ジメチルシラニルオキシ)−1H−インドール1−4(10.2g,41.3ミリモル,1当量)、ジ−tert−ブチルジカーボネート(14.4g,66.0ミリモル,1.60当量)及び4−ジメチルアミノピリジン(1.01g,8.25ミリモル,0.200当量)を含む溶液を23℃で20時間撹拌した。反応混合物を濃縮し、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中40% ジクロロメタン)により精製して、5−(tert−ブチル−ジメチルシラニルオキシ)−インドール−1−カルボン酸tert−ブチルエステル1−5を無色油状物として得た。
【0139】
【化19】

【0140】
1−(tert−ブトキシカルボニル)−5−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−1H−インドル−2−イルボロン酸(1−6)
−78℃においてテトラヒドロフラン(100ml)中に5−(tert−ブチル−ジメチルシラニルオキシ)−インドール−1−カルボン酸tert−ブチルエステル1−5(10.2g,29.3ミリモル,1当量)を含む溶液にtert−ブチルリチウムのペンタン溶液(1.7M,20.7ml,35.2ミリモル,1.20当量)を添加した。生じた薄褐色溶液を−78℃で30分間撹拌した後、トリメチルボレート(6.67ml,58.7ミリモル,2.00当量)を添加した。生じた混合物を0℃に加温した後、飽和塩化アンモニウム水溶液(100ml)及びエチルエーテル(200ml)で希釈した。水性層を10% 硫酸水素カリウム水溶液で酸性とした。有機層を分離した後、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。残留黄色固体をヘキサンで磨砕して、1−(tert−ブトキシカルボニル)−5−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−1H−インドル−2−イルボロン酸1−6をオフホワイト色固体として得た。
【0141】
【化20】

【0142】
5−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−2−(2−クロロ−3−キノリニル)−1H−インドール−1−カルボン酸tert−ブチル(1−7)
ジオキサン(100ml)中の1−(tert−ブトキシカルボニル)−5−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−1H−インドル−2−イルボロン酸1−6(4.10g,10.5ミリモル,1当量)、2−クロロ−3−ヨードキノリン1−2(3.64g,12.6ミリモル,1.20当量)、リン酸カリウム(6.67g,31.4ミリモル,3.00当量)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.605g,0.524,0.050当量)の脱酸素混合物を90℃で20時間加熱した。反応混合物を冷却した後、水及び酢酸エチルの混合物に分配した。有機層を分離し、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中20% ジクロロメタンからヘキサン中90% ジクロロメタンに勾配)により精製して、5−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−2−(2−クロロ−3−キノリニル)−1H−インドール−1−カルボン酸tert−ブチル1−7を黄褐色泡状物として得た。
【0143】
【化21】

【0144】
2−(2−クロロ−3−キノリニル)−5−ヒドロキシ−1H−インドール−1−カルボン酸tert−ブチル(1−8)
アセトニトリル(100ml)中に5−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−2−(2−クロロ−3−キノリニル)−1H−インドール−1−カルボン酸tert−ブチル1−7(2.50g,4.91ミリモル,1当量)及びトリエチルアミン三フッ化水素物(3.60ml,22.1ミリモル,4.50当量)を含む溶液を23℃で20時間撹拌した。反応混合物を濃縮し、残渣を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び酢酸エチルに分配した。有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮して、2−(2−クロロ−3−キノリニル)−5−ヒドロキシ−1H−インドール−1−カルボン酸tert−ブチル1−8を黄褐色泡状物として得た。
【0145】
【化22】

【0146】
3−[5−(2−ピペリジン−1−イル−エトキシ)−1H−インドル−2−イル]−1H−キノリン−2−オン(1−9)
N,N−ジメチルホルムアミド(5ml)中の2−(2−クロロ−3−キノリニル)−5−ヒドロキシ−1H−インドール−1−カルボン酸tert−ブチル1−8(395mg,100ミリモル,1当量)、1−(2−クロロエチル)−ピペリジン塩酸塩(276mg,1.50ミリモル,1.50当量)及び炭酸セシウム(978mg,3.00ミリモル,3.00当量)の混合物を50℃で2時間加熱した。反応混合物を濃縮し、残渣を水及び酢酸エチルに分配した。有機層を水及びブラインで順次洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮して、淡黄色泡状物として得た。この泡状物を水と酢酸の1:1混合物(60ml)に溶解し、生じた溶液を110℃で12時間加熱した。反応混合物を濃縮し、残渣を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液中で撹拌すると、黄褐色固体が生じた。黄褐色固体を濾過した後、温エタノール(2×20ml)に懸濁し、濾過して、3−[5−(2−ピペリジン−1−イル−エトキシ)−1H−インドル−2−イル]−1H−キノリン−2−オン1−9を黄色固体として得た。エタノール性濾液を濃縮し、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル中5% アンモニア飽和エタノール)により精製して、更に1−9を得た。
【0147】
【化23】

【0148】
下記化合物1−101−19及び表1中の化合物1−201−55は上記プロトコルを簡単に改変して製造した。下記実施例で使用したアルキルハライドは市販されているか、または対応アミンをMiyahara,M.,Sueyoshi,S.,Kamiya,S.,Chem,Pharm.Bull.,33:5557−5561(1985)の方法に従ってアセトン中炭酸カリウムの存在下で1−ブロモ−2−クロロエタンを用いてアルキル化するか、またはAdams及びWhitemore,J.Am.Chem.Soc.,67:735(1945)の方法に従ってベンゼン中1−ブロモ−3−クロロプロパンを用いてアルキル化することにより製造した。場合により、市販されているかまたは容易に入手可能なアルコールのメシレートを製造し(MsCl、EtN)、対応アルキルクロリドの代わりに使用した。
【0149】
3−[5−(2−ピロリジン−1−イル−エトキシ)−1H−インドル−2−イル]−1H−キノリン−2−オン(1−10)
【0150】
【化24】

【0151】
3−[5−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)−1H−インドル−2−イル]−1H−キノリン−2−オン(1−11)
【0152】
【化25】

【0153】
3−[5−(3−ジメチルアミノ−2−メトキシプロポキシ)−1H−インドル−2−イル]−1H−キノリン−2−オン(1−12)
【0154】
【化26】

【0155】
3−[5−(3−ピペリジン−1−イル−プロポキシ)−1H−インドリン――2−イル]−1H−キノリン−2−オン(1−13)
【0156】
【化27】

【0157】
3−(5−{2−[ベンジル−(2−メトキシエチル)−アミノ]−エトキシ}−1H−インドル−2−イル)−1H−キノリン−2−オン(1−14)
【0158】
【化28】

【0159】
3−[5−(2−ジメチルアミノ−エトキシ)−1H−インドル−2−イル]−1H−キノリン−2−オン(1−15)
【0160】
【化29】

【0161】
3−{5−[3−(ベンジルメチルアミノ)−プロポキシ]−1H−インドル−2−イル}−1H−キノリン−2−オン(1−16)
【0162】
【化30】

【0163】
1−{2−[2−(2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−イル)−1H−インドル−5−イルオキシ]−エチル}−ピペリジン−4−カルボニトリル(1−17)
【0164】
【化31】

【0165】
3−{5−[3−(4−メチルピペラジン−1−イル)−プロポキシ]−1H−インドル−2−イル}−1H−キノリン−2−オン(1−18)
【0166】
【化32】

【0167】
3−[5−(3−モルホリン−4−イル−プロポキシ)−1H−インドル−2−イル]−1H−キノリン−2−オン(1−19)
【0168】
【化33】

【0169】
【表1】





【0170】
【化34】

3−(5−{2−[(2−メトキシエチル)アミノ]エトキシ}−1H−インドル−2−イル)−2(1H)−キノリノン(2−1)
EtOAc(150ml)中に3−(5−{2−[ベンジル−(2−メトキシエチル)−アミノ]−エトキシ}−1H−インドル−2−イル)−2(1H)−キノリノン1−27(840mg,1.8ミリモル)を含む溶液に10% Pd/C(840mg)を添加し、生じた混合物を水素バルーン下18時間撹拌した。触媒を濾過により除去し、濾液を濃縮すると、黄色固体が生じた。これをシリカカラムクロマトグラフィーにより精製した。EtOAcから25%NH−EtOH/EtOAcで溶離して、3−(5−{2−[(2−メトキシエチル)アミノ]エトキシ}−1H−インドル−2−イル)−2(1H)−キノリノン2−1を黄色固体として得た。
【0171】
【化35】

【0172】
3−[5−(2−{(2−メトキシエチル)[(2−メトキシ−5−ピリミジニル)メチル]アミノ}エトキシ)−1H−インドル−2−イル]−2(1H)−キノリノン(2−2)
DCE(25ml)中に3−(5−{2−[(2−メトキシエチル)アミノ]エトキシ}−1H−インドル−2−イル)−2(1H)−キノリノン2−1(150mg,0.4ミリモル)、2−メトキシピリミジン−5−カルボキサルデヒド(110mg,0.8ミリモル)及びトリアセトキシホウ水素化ナトリウム(168mg,0.8ミリモル)を含む溶液を周囲条件下で18時間撹拌した。反応混合物を濃縮し、残渣をEtOAc及び飽和NaHCO溶液に分配した。有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、濃縮した。音波を利用して残渣をエチルエーテルに懸濁した後、濾過し、風乾して、3−[5−(2−{(2−メトキシエチル)[(2−メトキシ−5−ピリミジニル)メチル]アミノ}エトキシ)−1H−インドル−2−イル]−2(1H)−キノリノン2−2を黄色固体として得た。
【0173】
【化36】

【0174】
表2中の化合物2−32−12は上記プロトコルを簡単に改変して製造した。2−3及び2−4の選択NMRスペクトルは次の通りである。
【0175】
【化37】

【0176】
【表2】



【0177】
【化38】

【0178】
(2S,4R)−1−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−4−メトキシ−2−ピロリジンカルボン酸(3−2)
0℃においてTHF(100ml)中に(2S,4R)−1−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−4−ヒドロキシ−2−ピロリジンカルボン酸3−1(3.00g,11.3ミリモル,1当量)を含む溶液に水素化ナトリウム(543mg,22.6ミリモル,2.00当量)を注意深く添加し、生じた混合物を20分間撹拌した。ヨードメタン(2.11ml,33.9ミリモル,3.00当量)を添加し、混合物を23℃に加温し、20時間撹拌した。次いで、反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム溶液で希釈し、酢酸エチル(2×100ml)で洗浄した。次いで、水性層を1N HCl溶液を用いてpH3の酸性とし、酢酸エチル(100ml)で抽出した。次いで、この有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮して、(2S,4R)−1−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−4−メトキシ−2−ピロリジンカルボン酸3−2を薄黄色油状物として得た。
【0179】
【化39】

【0180】
(2S,4R)−2−(ヒドロキシメチル)−4−メトキシ−1−ピロリジンカルボン酸ベンジル(3−3)
0℃においてTHF(200ml)中に(2S,4R)−1−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−4−メトキシ−2−ピロリジンカルボン酸3−2(4.23g,15.1ミリモル,1当量)を含む溶液に、ボロン−テトラヒドロフラン複合体のTHF溶液(1M,53.0ml,53.0ミリモル,3.50当量)を添加した。生じた混合物を23℃に加温し、1時間撹拌した。過剰のボロンを水で注意深くクエンチした。次いで、混合物を飽和炭酸ナトリウム溶液とブラインの1:1混合物(300ml)及び酢酸エチル(300ml)に分配した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(100% ヘキサンから100% EtOAcに勾配)により精製して、(2S,4R)−2−(ヒドロキシメチル)−4−メトキシ−1−ピロリジンカルボン酸ベンジル3−3を無色油状物として得た。
【0181】
【化40】

【0182】
(2S,4R)−4−メトキシ−2−{[(メチルスルホニル)オキシ]メチル}−1−ピロリジンカルボン酸ベンジル(3−4)
0℃においてジクロロメタン(30ml)中に(2S,4R)−2−(ヒドロキシメチル)−4−メトキシ−1−ピロリジンカルボン酸ベンジル3−3(0.500g,1.88ミリモル,1当量)及びトリエチルアミン(0.394ml,2.83ミリモル,1.50当量)を含む溶液にメタンスルホニルクロリド(0.175ml,2.26ミリモル,1.2当量)を添加した。生じた混合物を23℃に加温し、1時間撹拌した。反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム溶液及びジクロロメタン(2×40ml)に分配した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(100% ヘキサンから100% EtOAcに勾配)により精製して、(2S,4R)−4−メトキシ−2−{[(メチルスルホニル)オキシ]メチル}−1−ピロリジンカルボン酸ベンジル3−4を薄黄色油状物として得た。
【0183】
【化41】

【0184】
5−({(2S,4R)−1−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−4−メトキシピロリジニル}メトキシ)−2−(2−クロロ−3−キノリニル)−1H−インドール−1−カルボン酸tert−ブチル(3−5)
DMF(5.0ml)中の(2S,4R)−4−メトキシ−2−{[(メチルスルホニル)オキシ]メチル}−1−ピロリジンカルボン酸ベンジル3−4(380mg,1.11ミリモル,1当量)、2−B(437mg,1.11ミリモル,1.00当量)及び炭酸セシウム(433mg,1.33ミリモル,1.20当量)の混合物を70℃で3時間加熱した。反応混合物を水及び酢酸エチル(2×50ml)に分配した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(100% ヘキサンからヘキサン中40% EtOAcに勾配)により精製して、5−({(2S,4R)−1−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−4−メトキシピロリジニル}メトキシ)−2−(2−クロロ−3−キノリニル)−1H−インドール−1−カルボン酸tert−ブチル3−5を得た。
【0185】
【化42】

【0186】
2−(2−クロロ−3−キノリニル)−5−{[(2S,4R)−4−メトキシピロリジニル]メトキシ}−1H−インドール−1−カルボン酸tert−ブチル(3−6)
エタノール(10ml)中の5−({(2S,4R)−1−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−4−メトキシピロリジニル}メトキシ)−2−(2−クロロ−3−キノリニル)−1H−インドール−1−カルボン酸tert−ブチル3−5(295mg,0.459ミリモル,1当量)及び10% Pd/C(200mg,0.188ミリモル,0.410当量)の混合物を水素バルーン下1.5時間撹拌した。触媒をセライトパッドを介して濾過し、エタノール(20ml)で洗浄した。濾液を濃縮し、残渣を逆相液体クロマトグラフィー(HO/CHCN勾配+0.1% TFA存在)により精製して、2−(2−クロロ−3−キノリニル)−5−{[(2S,4R)−4−メトキシピロリジニル]メトキシ}−1H−インドール−1−カルボン酸tert−ブチル3−6を得た。
【0187】
【化43】

【0188】
3−(5−{[(2S,4R)−4−メトキシピロリジニル]メトキシ}−1H−インドル−2−イル)−2(1H)−キノリノン(3−7)
2−(2−クロロ−3−キノリニル)−5−{[(2S,4R)−4−メトキシピロリジニル]メトキシ}−1H−インドール−1−カルボン酸tert−ブチル3−6(29mg,0.057ミリモル)の溶液を酢酸と水の8:1混合物(5ml)中で90℃で1.5時間加熱した。反応混合物を冷却し、濃縮し、残渣を逆相液体クロマトグラフィー(HO/CHCN勾配+0.1% TFA存在)により精製して、3−(5−{[(2S,4R)−4−メトキシピロリジニル]メトキシ}−1H−インドル−2−イル)−2(1H)−キノリノン3−7を黄色固体として得た。
【0189】
【化44】

【0190】
下表3中の化合物3−83−21は上記プロトコルを簡単に改変して製造した。例えば、化合物3−133−15の場合には、(2R,4S)−1−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−4−ヒドロキシ−2−ピロリジンカルボン酸を出発物質として使用した。化合物3−173−19の場合には、スキーム3のシーケンスの第1ステップにおいてヨードメタンの代わりにTBSClを使用した。化合物3−203−21の場合には、1−(tert−ブトキシカルボニル)−4−ピペリジンカルボン酸及び1−(tert−ブトキシカルボニル)−3−ピペリジンカルボン酸をそれぞれ出発物質として使用した。3−8及び3−9の選択NMRスペクトルは次の通りである。
【0191】
【化45】

【0192】
【表3】



【0193】
【化46】

【0194】
1−(2−{[2−(2−オキソー1,2−ジヒドロ−3−キノリニル)−1H−インドル−5−イル]オキシ}エチル)−4−ピペリジン−カルボン酸エチルエステル(4−1)
化合物4−1を上記スキーム1に記載のプロトコルにより合成した。
【0195】
1−(2−{[2−(2−オキソ−1,2−ジヒドロ−3−キノリニル)−1H−インドル−5−イル]オキシ}エチル)−4−ピペリジンカルボン酸(4−2)
1−(2−{[2−(2−オキソー1,2−ジヒドロ−3−キノリニル)−1H−インドル−5−イル]オキシ}エチル)−4−ピペリジン−カルボン酸エチルエステル4−1(138mg,0.30ミリモル,1当量)をMeOH(20ml)に溶解した。1N NaOH(6ml,20当量)を添加し、溶液を50℃で5時間加温した。反応物を濃縮し、残渣を水(4ml)に懸濁した。この懸濁液を1N HClで中和して、1−(2−{[2−(2−オキソ−1,2−ジヒドロ−3−キノリニル)−1H−インドル−5−イル]オキシ}エチル)−4−ピペリジンカルボン酸4−2を黄色固体として得た。
【0196】
【化47】

【0197】
下表4中の化合物4−34−16を上記加水分解条件を簡単に改変して製造した。対応するエステル前駆体はスキーム1及び3に記載の方法と同様のアルキル化により製造した。4−3及び4−4の選択NMRスペクトルは次の通りである。
【0198】
【化48】

【0199】
【表4】



【0200】
【化49】


【0201】
(1H−インドル−5−イル)−メタノール(5−2)
THF(500ml)中に1H−インドール−5−カルボン酸5−1(20.01g,124ミリモル)を含む溶液を機械的に撹拌し、この溶液に周囲温度でLAHのトルエン溶液(1M,186ml,186ミリモル,135当量)をゆっくり添加した。反応混合物を1時間還流加熱し、氷でクエンチし、酢酸エチル及び飽和NaHCO水溶液で分配した。有機層をブラインで洗浄し、分離し、乾燥し(MgSO)、真空下で濃縮した。減圧下で放置すると、粗生成物が固化した。粗な固体をヘキサン(200ml)及び酢酸エチル(10ml)に懸濁し、一晩撹拌し、濾過により集め、風乾して、所望生成物を薄褐色固体として得た。
【0202】
【化50】

【0203】
5−(tert−ブチル−ジメチルシラニルオキシメチル)−インドール−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(5−3)
ジクロロメタン(300ml)中に(1H−インドル−5−イル)−メタノール5−2(16.5g,112.1ミリモル)を含む溶液を撹拌しながら室温でジイソプロピルエチルアミン(39ml,224.2ミリモル,2当量)、tert−ブチルジメチルシリルクロリド(18.6g,123.3ミリモル,1.1当量)及び4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン(1.37g,11.2ミリモル,0.1当量)で順次処理した。反応混合物を室温で30分間撹拌し、真空下で濃縮し、酢酸エチル及び0.5N HClに分配した。有機層をブラインで洗浄し、分離し、乾燥し(MgSO)、真空下で濃縮すると、粗なシリルエーテルが薄褐色固体として得られた。この粗な生成物及びジ−tert−ブチルジカーボネート(26.9 ,123.3ミリ当量)をジクロロメタン(300ml)に溶解し、4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン(1.37g,11.2ミリモル)の存在下周囲温度で2時間撹拌した。反応混合物を真空下で濃縮し、酢酸エチル及び0.5N HClに分配した。有機層をブラインで洗浄し、分離し、乾燥し(MgSO)、真空下で濃縮して、粗な油状物を得た。シリカクロマトグラフィー(ヘキサン中10% 酢酸エチル)にかけて、5−(tert−ブチル−ジメチルシラニルオキシメチル)−インドール−1−カルボン酸tert−ブチルエステル5−3を白色固体として得た。
【0204】
【化51】

【0205】
5−(tert−ブチル−ジメチルシラニルオキシメチル)−インドール−1−tert−ブトキシカルボニルインドール−2−ボロン酸(5−4)
テトラヒドロフラン(400ml)中に5−(tert−ブチル−ジメチルシラニルオキシメチル)−インドール−1−カルボン酸tert−ブチルエステル5−3(38.6g,106.7ミリモル)を含む溶液を撹拌し、この溶液に−78℃でリチウムジイソプロピルアミドのテトラヒドロフラン溶液(2M,80.1ml,160.1ミリモル,1.5当量)をゆっくり添加した。反応混合物を同一温度で1時間撹拌し、ボロン酸トリメチルで処理し、周囲温度まで加温し、酢酸エチル及び0.5N HClに分配した。有機層をブラインで洗浄し、分離し、乾燥し(MgSO)、真空下で濃縮して、粗な固体を得た。粗生成物をヘキサンで磨砕した後、濾過し、風乾して、所望のボロン酸5−4を白色粉末として得た。
【0206】
【化52】

【0207】
3−ヨード−1H−キノリン−2−オン(5−5)
2−クロロ−3−ヨードキノリン1−2(30.0g)を250ml容量のフラスコに装入し、50% 水性酢酸(125ml)に懸濁した。混合物を100℃に加熱し、粗な反応混合物のTLC分析により完了まで16時間還流させた。混合物を周囲温度に放冷した後、水(200ml)で希釈した。生じた所望生成物の懸濁液を真空濾過により単離した後、水(50ml)で洗浄した。水及び微量の酢酸を真空下で5時間かけて除去して、所望のキノリノン5−5を黄褐色粉末として得た。
【0208】
【化53】

【0209】
5−ヒドロキシメチル−2−(2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−イル)−インドール−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(5−7)
ジオキサン/2M 水性NaCO中のヨードキノリノン5−5(10g,36.9ミリモル,1当量)、ボロン酸5−4(7.5g,18.45ミリモル,0.5当量)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(1.71g,1.48ミリモル,0.04当量)及び塩化リチウム(4.69g,110.7ミリモル,3当量)の撹拌混合物を脱ガスし、ボロン酸が薄層クロマトグラフィーにより検出されなくなるまで80℃で加熱した。すべてのヨードキノリン5−5が完全に消費されるまで(全部で1.5当量のボロン酸5−4が必要であった)追加のボロン酸(一度に0.2当量)を反応混合物に添加した。反応混合物を酢酸エチル及び飽和水性NaHCOに分配した。有機層をブラインで洗浄し、分離し、乾燥し(MgSO)、真空下で濃縮した。粗な油状物5−6をテトラヒドロフラン(100ml)に溶解し、PEGボトルに移し、0℃でHF−ピリジン(15ml)で処理し、周囲温度で1時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチル及び飽和水性NaHCOに分配した。有機層をブラインで洗浄し、分離し、乾燥し(MgSO)、真空下で濃縮した。粗な固体を酢酸エチル及びヘキサンで磨砕し、濾過して集め、風乾して、所望生成物5−7を薄黄色固体として得た。
【0210】
【化54】

【0211】
5−ホルミル−2−(2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−イル)−インドール−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(5−8)
予め活性化したMnO(34.5g,15当量)及びアルコール5−7(10.32g,1.0当量)を1L容量のフラスコに秤量して装入し、乾燥ジクロロメタン(500ml)に懸濁した。反応混合物を45℃に加熱すると、1時間後に薄層クロマトグラフィーにより反応の完了が確認された。混合物を周囲温度まで放冷し、酸化マンガンを真空濾過により除去した。フイルター上に生じた酸化物パッドを熱THFで磨砕し、溶媒を真空下で濾過して、酸化物から生成物を除去した。生じた濾液を真空下で濃縮して、粗なアルデヒドを黄色固体として得た。この固体をメタノール(10ml)及び酢酸エチル(15ml)で磨砕した後、真空濾過して、純粋な生成物を単離した。薄黄色アルデヒド5−8を真空下で乾燥した。
【0212】
【化55】

【0213】
5−(4−メタンスルホニルピペラジン−1−イルメチル)−2−(2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−イル)インドール−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(5−9)
ジクロロメタン(400ml)中にアルデヒド5−8(2.01g,5.15ミリモル,1当量)及びN−メタンスルホニルピペラジン酢酸塩(4.62g,20.60ミリモル,4当量)を含む溶液を撹拌し、この溶液に周囲温度で酢酸(1.2ml)を添加した。反応混合物をトリアセトキシホウ水素化ナトリウムで処理し、3時間撹拌した。76%変換率で反応を停止し、MgSO及び追加の水素化物(1g)で処理した。更に1時間撹拌すると、反応が完了した。反応混合物を酢酸エチル及び飽和水性NaHCOに分配した。有機層を再び飽和水性NaHCO及びブラインで順次洗浄し、分離し、乾燥し(NaSO)、真空下で濃縮した。粗な固体をジメチルホルムアミドに溶解し、活性炭で処理した。濾液(セライト)を濃縮してシロップとし、これを素早くメタノール(100ml)で磨砕した。生じた固体を濾過により集め、ジメチルスルホンアミドに再溶解し、濃縮してシロップとし、メタノール(100ml)で磨砕し、濾過により回収し、真空下で乾燥して、5−(4−メタンスルホニルピペラジン−1−イルメチル)−2−(2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−イル)−インドール−1−カルボン酸tert−ブチルエステル5−9を白色粉末として得た。
【0214】
【化56】

【0215】
3−[5−(4−メタンスルホニル−ピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドル−2−イル]−1H−キノリン−2−オン(5−10)
ジクロロメタン(40ml)中の5−(4−メタンスルホニルピペラジン−1−イルメチル)−2−(2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−イル)インドール−1−カルボン酸tert−ブチルエステル5−9(1.02g,1.863ミリモル)、ジメチルスルフィド(1.2ml)、水(0.6ml)及びTFA(40ml)の混合物を1.5時間撹拌した。反応混合物を真空下で濃縮し、酢酸エチル及び飽和水性NaHCOに分配した。有機層をブラインで洗浄し、分離し、乾燥し(NaSO)、真空下で濃縮した。生じた粗な固体を逆相液体クロマトグラフィー(HO/CHCN勾配+0.1% TFA存在)により精製して、5−10のトリフルオロ酢酸塩を得た。所望の生成物を含むすべてのフラクションを酢酸エチル及び飽和水性NaHCOに分配した。有機層をブラインで洗浄し、分離し、乾燥し(NaSO)、真空下で濃縮して、3−[5−(4−メタンスルホニルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドル−2−イル]−1H−キノリン−2−オン5−10を黄褐色固体として得た。
【0216】
【化57】

【0217】
3−[5−(4−メタンスルホニル−1−オキシ−ピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドル−2−イル]−1H−キノリン−2−オン(5−11)
CHCl(125ml)中に5−10(50g,0.11ミリモル,1当量)を含む溶液を周囲温度でm−CPBA(70%,35mg,0.143ミリモル)で処理した。反応混合物を1時間撹拌し、真空下で濃縮した。生じた粗な固体を逆相液体クロマトグラフィー(HO/CHCN勾配+0.1% TFA存在)により精製して、トリフルオロ酢酸塩を得た。
【0218】
【化58】

【0219】
下表5の化合物5−125−655−1516182930及び31を除く)は上記プロトコルを簡単に改変して製造した。特定のスペクトルは次の通りである。
【0220】
【化59】


【0221】
スルホンアミド(5−15及び16)は対応の第2級アミンから5−12及び13をそれぞれ周囲温度でジクロロメタン中メタンスルホニルクロリド及びジイソプロピルエチルアミンで処理することにより製造した。
【0222】
カルボン酸(5−182930及び31)は親エステル(それぞれ、5−172627及び28)を加水分解(90℃でNaOH/EtOH)して合成した。出発エステル5−28(57mg,124ミリモル)をEtOH(1ml)及び1N NaOH(1ml)に溶解した。混合物を90℃に加熱した。反応をLC/MSによりモニターした。7時間撹拌後、出発物質すべてが生成物に変換した。反応混合物を凝縮し、残渣をトリフルオロ酢酸に溶解した。過剰のトリフルオロ酢酸を回転蒸発器で除去した。残渣を水に排出し、材料を遠心した。水をデカントし、固体の純度をHPLCにより分析した。生成物5−31を黄色固体として単離した。
【0223】
【化60】

【0224】
【表5】







【0225】
【化61】

【0226】
2−(2−オキソ−1,2−ジヒドロ−3−キノリニル)−1H−インドール−5−カルボン酸(6−1)
THFとt−BuOHの4:1混合物中に2−(2−オキソ−1,2−ジヒドロ−3−キノリニル)−1H−インドール−5−カルボアルデヒド5−8(500mg,1.29ミリモル,1当量)を含む溶液を2−メチルブテン(8ml)、1塩基性リン酸ナトリウム水溶液(0.14M,355.2mg,2.57ミリモル,2.00当量)及び亜塩素酸ナトリウム(232.8mg,2.57ミリモル,2.00当量)で処理した。追加の固体1塩基性リン酸ナトリウム(380mg,2.76ミリモル,2.14当量)及び亜塩素酸ナトリウム(300mg,3.32ミリモル,2.57当量)を2.5時間かけて等量ずつ2回に分けて添加した。反応混合物を濃縮し、残渣をEtOAc(60ml)に溶解した後、10% 亜硫酸ナトリウム水溶液と10% 硫酸水素カリウム溶液の25:1混合物(2×50ml)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、水性層中の沈殿と合わせ、濾過し、乾燥して、2−(2−オキソ−1,2−ジヒドロ−3−キノリニル)−1H−インドール−5−カルボン酸6−1をオフホワイト色固体として得た。
【0227】
【化62】

【0228】
5−{[4−(tert−ブトキシカルボニル)−1−ピペラジニル]カルボニル}−2−(2−オキソ−1,2−ジヒドロ−3−キノリニル)−1H−インドール−1−カルボン酸tert−ブチル(6−2)
DMF(5ml)中に2−(2−オキソ−1,2−ジヒドロ−3−キノリニル)−1H−インドール−5−カルボン酸6−1(130mg,0.321ミリモル,1当量)、1−ピペラジンカルボン酸tert−ブチル(71.8mg,0.39ミリモル,1.20当量)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(73.5mg,0.39ミリモル,1.20当量)、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(52.5mg,0.39ミリモル,1.20当量)及びトリエチルアミン(112μl,0.80ミリモル,2.50当量)を含む溶液を20時間撹拌した。溶液をEtOAc(3×100ml)及び水(120ml)に分配した。合わせた有機層をブライン(200ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した後、濃縮して、5−{[4−(tert−ブトキシカルボニル)−1−ピペラジニル]カルボニル}−2−(2−オキソ−1,2−ジヒドロ−3−キノリニル)−1H−インドール−1−カルボン酸tert−ブチル6−2を得た。
【0229】
【化63】

【0230】
3−[5−(1−ピペラジニルカルボニル)−1H−インドル−2−イル]−2(1H)−キノリノン(6−3)
CHClとトリフルオロ酢酸の1:1混合物(40ml)中に5−{[4−(tert−ブトキシカルボニル)−1−ピペラジニル]カルボニル}−2−(2−オキソ−1,2−ジヒドロ−3−キノリニル)−1H−インドール−1−カルボン酸tert−ブチル6−2(213mg,0.373ミリモル,1当量)を含む溶液を3滴ずつのDMSO及びHOで処理し、生じた混合物を45分間還流加熱した。溶液を濃縮し、残渣をトルエンとメタノールの90:10混合物(100ml)を用いて共沸させて水を除去して乾燥させた。次いで、逆相クロマトグラフィー(HO/CHCN勾配+0.1%TFA存在)により精製して、3−[5−(1−ピペラジニルカルボニル)−1H−インドル−2−イル]−2(1H)−キノリノン6−3をTFA塩(褐色固体)として得た。
【0231】
【化64】

【0232】
下表6の化合物6−46−22は上記プロトコルを簡単に改変して製造した。選択スペクトルは次の通りである。
【0233】
【化65】

【0234】
【表6】





【0235】
【化66】

【0236】
5−({[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}メチル)−2−(2−クロロ−3−キノリニル)−1H−インドール−1−カルボン酸tert−ブチル(7−1)
80℃においてジオキサン(50ml)中に2−クロロ−3−ヨードキノリン1−2(2.00g,6.91ミリモル,1当量)、塩化リチウム(0.878g,20.7ミリモル,3.00当量)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.400g,0.346ミリモル,0.0500当量)及び炭酸ナトリウム水溶液(2M,10.4ml,20.7ミリモル,3.00当量)を含む脱酸素溶液に、1−(tert−ブトキシカルボニル)−5−({[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}メチル)−1H−インドル−2−イルボロン酸5−4(5.60g,13.8ミリモル,2.00当量)を8時間かけて等量ずつ4回に分けて添加し、生じた混合物を更に12時間加熱した。次いで、反応混合物をブライン及び酢酸エチル(2×200ml)に分配した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(100% ヘキサンからヘキサン中50% EtOAcに勾配)により精製して、5−({[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}メチル)−2−(2−クロロ−3−キノリニル)−1H−インドール−1−カルボン酸tert−ブチル7−1を無色油状物として得た。
【0237】
【化67】

【0238】
2−(2−クロロ−3−キノリニル)−5−(ヒドロキシメチル)−1H−インドール−1−カルボン酸tert−ブチル(7−2)
アセトニトリル(100ml)中に5−({[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}メチル)−2−(2−クロロ−3−キノリニル)−1H−インドール−1−カルボン酸tert−ブチル7−1(2.50g,4.78ミリモル,1当量)及びトリエチルアミン三フッ化水素酸塩(3.89ml,23.9ミリモル,5.00当量)を含む溶液を50℃で3時間加熱した。反応混合物を注意深く飽和炭酸水素ナトリウム溶液及び酢酸エチル(2×100ml)に分配した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮して、2−(2−クロロ−3−キノリニル)−5−(ヒドロキシメチル)−1H−インドール−1−カルボン酸tert−ブチル7−2を黄褐色泡状物として得た。
【0239】
【化68】

【0240】
5−(アジドメチル)−2−(2−クロロ−3−キノリニル)−1H−インドール−1−カルボン酸tert−ブチル(7−3)
0℃においてTHF(20ml)中に2−(2−クロロ−3−キノリニル)−5−(ヒドロキシメチル)−1H−インドール−1−カルボン酸tert−ブチル7−2(1.00g,2.45ミリモル,1当量)及びジフェニルホスホリルアジド(0.580ml,2.69ミリモル,1.10当量)を含む溶液に1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(0.400ml,2.69ミリモル,1.10当量)を2分間かけて滴下した。生じた混合物を23℃に加温し、20時間撹拌した。反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム溶液及び酢酸エチル(2×75ml)に分配した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(100% ヘキサンからヘキサン中50% EtOAcに勾配)により精製して、5−(アジドメチル)−2−(2−クロロ−3−キノリニル)−1H−インドール−1−カルボン酸tert−ブチル7−3を無色油状物として得た。
【0241】
【化69】

【0242】
5−(アミノメチル)−2−(2−クロロ−3−キノリニル)−1H−インドール−1−カルボン酸tert−ブチル(7−4)
EtOAc(50ml)及び10% Pd/C(146mg)中の5−(アジドメチル)−2−(2−クロロ−3−キノリニル)−1H−インドール−1−カルボン酸tert−ブチル7−3(730mg,1.68)の混合物を水素バルーン下23℃で2時間撹拌した。触媒を濾過し、EtOAc(50ml)で洗浄した。合わせた濾液を濃縮して、5−(アミノメチル)−2−(2−クロロ−3−キノリニル)−1H−インドール−1−カルボン酸tert−ブチル7−4を白色泡状物として得た。
【0243】
【化70】

【0244】
5−[({[1−(tert−ブトキシカルボニル)−4−ピペリジニル]カルボニル}アミノ)メチル]−2−(2−クロロ−3−キノリニル)−1H−インドール−1−カルボン酸tert−ブチル(7−5)
DMF(5ml)中に5−(アミノメチル)−2−(2−クロロ−3−キノリニル)−1H−インドール−1−カルボン酸tert−ブチル7−4(204mg,0.5ミリモル,1当量)、HOAT(68mg,0.5ミリモル,1当量)、トリエチルアミン(101mg,1.0ミリモル,2当量)、EDC(144mg,.75ミリモル,1.5当量)及び1−BOC−ピペリジン−4−カルボン酸(126mg,.55ミリモル,1.1当量)を含む溶液を周囲条件下で18時間撹拌した。反応物を濃縮し、残渣を酢酸エチル及び飽和NaHCO水溶液に分配した。有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮して、5−[({[1−(tert−ブトキシカルボニル)−4−ピペリジニル]カルボニル}アミノ)メチル]−2−(2−クロロ−3−キノリニル)−1H−インドール−1−カルボン酸tert−ブチル7−5を白色泡状物として得た。
【0245】
【化71】

【0246】
N−{[2−(2−オキソ−1,2−ジヒドロ−3−キノリニル)−1H−インドル−5−イル]メチル}−4−ピペリジンカルボキサミド(7−6)
50% 水性酢酸(20ml)中に5−[({[1−(tert−ブトキシカルボニル)−4−ピペリジニル]カルボニル}アミノ)メチル]−2−(2−クロロ−3−キノリニル)−1H−インドール−1−カルボン酸tert−ブチル7−5(310mg,0.5ミリモル)を含む溶液を100℃で18時間加熱した。反応物を濃縮し、残渣をメタノールと1N NaOH水溶液の1:1混合物に溶解した。この溶液を周囲条件で2時間撹拌した。反応混合物を濃縮し、残渣を逆相液体クロマトグラフィー(HO/CHCN勾配+0.1%TFA存在)により精製して、N−{[2−(2−オキソ−1,2−ジヒドロ−3−キノリニル)−1H−インドル−5−イル]メチル}−4−ピペリジンカルボキサミド7−6のトリフルオロ酢酸塩を黄色固体として得た。
【0247】
【化72】

【0248】
下表7の化合物7−7及び7−8は上記プロトコルを簡単に改変して製造した
【0249】
【表7】

【0250】
【化73】

【0251】
2−(2−クロロ−3−キノリニル)−5−ホルミル−1H−インドール−1−カルボン酸tert−ブチル(8−1)
ジクロロメタン(100ml)中の2−(2−クロロ−3−キノリニル)−5−(ヒドロキシメチル)−1H−インドール−1−カルボン酸tert−ブチル7−2(800mg,1.96ミリモル,1当量)及びMnO(850mg,9.8ミリモル,5.00当量)の混合物を1.5時間還流加熱した。追加のMnO(700mg,8.05ミリモル,4.10当量)を添加し、加熱を1時間続けた。触媒を濾過し、ジクロロメタン(100ml)で洗浄した。合わせた濾液を濃縮して、2−(2−クロロ−3−キノリニル)−5−ホルミル−1H−インドール−1−カルボン酸tert−ブチル8−1を白色泡状物として得た。
【0252】
【化74】

【0253】
2−(2−クロロ−3−キノリニル)−5−(1−ヒドロキシエチル)−1H−インドール−1−カルボン酸tert−ブチル(8−2)
0℃においてTHF(25ml)中に2−(2−クロロ−3−キノリニル)−5−ホルミル−1H−インドール−1−カルボン酸tert−ブチル8−1(800mg,2.0ミリモル,1当量)を含む溶液に臭化メチルマグネシウムのTHF溶液(3M,0.85ml,2.56ミリモル,1.3当量)を添加し、生じた混合物を30分間撹拌した。反応混合物をリン酸緩衝溶液(pH7)及び酢酸エチル(2×100ml)に分配した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(100% ヘキサンからヘキサン中70% EtOAcに勾配)により精製して、2−(2−クロロ−3−キノリニル)−5−(1−ヒドロキシエチル)−1H−インドール−1−カルボン酸tert−ブチル8−2を白色泡状物として得た。
【0254】
【化75】

【0255】
5−アセチル−2−(2−クロロ−3−キノリニル)−1H−インドール−1−カルボン酸tert−ブチル(8−3)
ジクロロメタン(30ml)中の2−(2−クロロ−3−キノリニル)−5−(1−ヒドロキシエチル)−1H−インドール−1−カルボン酸tert−ブチル8−2(840mg,1.99ミリモル,1当量)及びMnO(863mg,9.93ミリモル,5.00当量)の混合物を1時間還流加熱した。追加のMnO(500mg,5.75ミリモル,2.89当量)を添加し、加熱を1時間続けた。触媒を濾過し、ジクロロメタン(100ml)で洗浄した。合わせた濾液を濃縮して、5−アセチル−2−(2−クロロ−3−キノリニル)−1H−インドール−1−カルボン酸tert−ブチル8−3を白色泡状物として得た。
【0256】
【化76】

【0257】
3−(5−アセチル−1H−インドル−2−イル)−2(1H)−キノリノン(8−4)
5−アセチル−2−(2−クロロ−3−キノリニル)−1H−インドール−1−カルボン酸tert−ブチル8−3(400mg,0.95ミリモル)を含む溶液を酢酸と水の3:1混合物中で20時間還流加熱した。反応混合物を冷却した後、濃縮乾固した。音波を利用して残渣をエチルエーテル(50ml)に懸濁した後、濾過し、風乾して、3−(5−アセチル−1H−インドル−2−イル)−2(1H)−キノリノン8−4を黄色固体として得た。
【0258】
【化77】

【0259】
3−{5−[1−(4−モルホリニル)エチル]−1H−インドル−2−イル}−2(1H)−キノリノン(8−5)
メタノール中の無水20% ジオキサン(15ml)中の3−(5−アセチル−1H−インドル−2−イル)−2(1H)−キノリノン8−4(50.0mg,0.165ミリモル,1当量)、モルホリン(0.070ml,0.83ミリモル,5.0当量)、酢酸(0.050ml,0.83ミリモル,5.0当量)、シアノホウ水素化ナトリウム(52mg,0.83ミリモル,5.0当量)及び活性化粉末3Åモレキュラーシーブの混合物を50℃で8時間加熱した。追加のモルホリン(0.070ml,0.83ミリモル,5.0当量)、酢酸(0.050ml,0.83ミリモル,5.0当量)及びシアノホウ水素化ナトリウム(52mg,0.83ミリモル,5.0当量)を添加し、これを2日間の間に8〜12時間毎に繰り返した(×3)。反応混合物を飽和炭酸ナトリウム溶液とブラインの1:1混合物及び酢酸エチル(100ml)に分配した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。残渣を逆相クロマトグラフィー(HO/CHCN勾配+0.1%TFA存在)により精製して、3−{5−[1−(4−モルホリニル)エチル]−1H−インドル−2−イル}−2(1H)−キノリノン8−5が黄色固体として得た。
【0260】
【化78】

【0261】
下表8の化合物8−6及び8−9はスキーム8に示すプロトコルを簡単に改変して製造した。選択スペクトルは以下の通りである。
【0262】
【化79】

【0263】
【表8】


【0264】
【化80】

【0265】
5−{[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]カルボニル}−2−(2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−イル)−1H−インドール−1−カルボン酸tert−ブチル(9−1)
tert−BuOH(30ml)中に1−(tert−ブトキシカルボニル)−2−(2−オキソ−1,2−ジヒドロ−3−キノリニル)−1H−インドール−5−カルボン酸6−1(0.200mg,0.49ミリモル,1当量)、ジフェニルホスホリルアジド(128μl,0.59ミリモル,1.2当量)及びトリエチルアミン(89μl,0.64ミリモル,1.3当量)を含む溶液を100℃で2時間加熱した。塩化第一銅(4.9mg,0.05ミリモル,0.1当量)を添加し、生じた混合物を100℃で24時間加熱した。溶液を濃縮し、残渣を飽和NaHCO水溶液(75ml)及びEtOAc(3×60ml)に分配した。合わせた有機層を水(150ml)及びブライン(150ml)で順次洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。残渣を逆相液体クロマトグラフィー(HO/CHCN勾配+0.1%TFA存在)により精製して、5−{[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]カルボニル}−2−(2−オキソ−1,2−ジヒドロ−3−キノリニル)−1H−インドール−1−カルボン酸tert−ブチル9−1を得た。
【0266】
【化81】

【0267】
3−(5−アミノ−1H−インドル−2−イル)−2(1H)−キノリノン(9−2)
CHClとTFAの1:1混合物(30ml)中に5−{[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]カルボニル}−2−(2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−イル)−1H−インドール−1−カルボン酸tert−ブチル9−1(340mg)を含む溶液を3滴ずつのDMSO及びHOで処理し、生じた混合物を45分間還流加熱した。溶液を濃縮し、残渣を逆相液体クロマトグラフィー(HO/CHCN勾配+0.1%TFA存在)により精製して、3−(5−アミノ−1H−インドル−2−イル)−2(1H)−キノリノン9−2を黄色固体として得た。
【0268】
【化82】

【0269】
4−アミノ−N−[2−(2−オキソ−1,2−ジヒドロ−3−キノリニル)−1H−インドル−5−イル]−1−ピペリジンカルボキサミド(9−3)
ジオキサン(20ml)中に3−(5−アミノ−1H−インドル−2−イル)−2(1H)−キノリノン9−2(64mg,0.23ミリモル,1当量)を含む溶液に4−ニトロフェニルクロロホルメート(70mg,0.35ミリモル,1.5当量)及びピリジン(0.030ml,0.35ミリモル,1.5当量)を順次添加し、生じた混合物を60℃で1時間加熱した。4−ピペリジニルカルバミン酸tert−ブチル(100mg,0.50ミリモル,2.2当量)を添加し、生じた混合物を60℃で1時間加熱した。反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び酢酸エチル(100ml)に分配した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。残渣をCHClとTFAの1:1混合物(15ml)中に含む溶液を2滴ずつのDMSO及びHOで処理した。生じた混合物を45分間還流加熱した後、濃縮した。残渣を逆相クロマトグラフィー(HO/CHCN勾配+0.1%TFA存在)により精製して、4−アミノ−N−[2−(2−オキソ−1,2−ジヒドロ−3−キノリニル)−1H−インドル−5−イル]−1−ピペリジンカルボキサミド9−3をTFA塩として得た。
【0270】
【化83】

【0271】
4−アミノ−N−{[2−(2−オキソ−1,2−ジヒドロ−3−キノリニル)−1H−インドル−5−イル]メチル}−1−ピペリジンカルボキサミド(9−4)を化合物7−4から上記プロトコルを用いて製造した。
【0272】
【化84】


【0273】
下表9の化合物9−5及び9−6は化合物9−3に関して上記したプロトコルを簡単に改変して製造した
【0274】
【表9】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式Iを有する化合物及び医薬的に許容され得る担体を含む医薬組成物。
【化1】

[式中、
Zは
【化2】

であり;
はS、OまたはN−Rであり;
はNまたはCであり;
はNまたはCであり;
はS、OまたはN−Rであり;
aは0または1であり;
bは0または1であり;
mは0、1または2であり;
sは1または2であり;
tは1、2または3であり;
X=YはC=N、N=CまたはC=Cであり;
RはHまたはC1−6アルキルであり;
及びRは独立して、1)H、2)(C=O)1−10アルキル、3)(C=O)アリール、4)(C=O)2−10アルケニル、5)(C=O)2−10アルキニル、6)COH、7)ハロ、8)OH、9)O1−6ペルフルオロアルキル、10)(C=O)NR、11)CN、12)(C=O)3−8シクロアルキル及び13)(C=O)ヘテロシクリルから選択され、前記アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル及びヘテロシクリルは場合により1個以上のRから選択される置換基で置換されていてもよく;
及びRは独立して、1)H、2)(C=O)O1−6アルキル、3)(C=O)Oアリール、4)C1−6アルキル、5)SO及び6)アリールから選択され;
は、1)(C=O)1−10アルキル、2)(C=O)アリール、3)(C=O)2−10アルケニル、4)(C=O)2−10アルキニル、5)COH、6)ハロ、7)OH、8)O1−6ペルフルオロアルキル、9)(C=O)NR、10)CN、11)(C=O)3−8シクロアルキル及び12)(C=O)ヘテロシクリルから選択され、前記アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル及びヘテロシクリルは場合により1個以上のRから選択される置換基で置換されていてもよく;
は、1)(C=O)1−10アルキル、2)(C=O)アリール、3)C2−10アルケニル、4)C2−10アルキニル、5)(C=O)ヘテロシクリル、6)COH、7)ハロ、8)CN、9)OH、10)O1−6ペルフルオロアルキル、11)O(C=O)NR、12)オキソ、13)CHO、14)(N=O)R及び15)(C=O)3−8シクロアルキルから選択され、前記アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、ヘテロシクリル及びシクロアルキルは場合により1個以上のR6aから選択される置換基で置換されていてもよく;
6aは、1)(C=O)1−10アルキル(ここで、r及びsは独立して0または1である)、2)O1−3ペルフルオロアルキル(ここで、rは0または1である)、3)C0−6アルキレン−S(O)(ここで、mは0、1または2である)、4)オキソ、5)OH、6)ハロ、7)CN、8)C2−10アルケニル、9)C2−10アルキニル、10)C3−6シクロアルキル、11)C0−6アルキレン−アリール、12)C0−6アルキレン−ヘテロシクリル、13)C0−6アルキレン−N(R、14)C(O)R、15)C0−6アルキレン−CO、16)C(O)H及び17)C0−6アルキレン−COHから選択され、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール及びヘテロシクリルは場合により最高3個のR、OH、C1−6アルコキシ、ハロゲン、COH、CN、O(C=O)C1−6アルキル、オキソ及びN(Rから選択される置換基で置換されていてもよく;
及びRは独立して、1)H、2)(C=O)O1−10アルキル、3)(C=O)O3−8シクロアルキル、4)(C=O)Oアリール、5)(C=O)Oヘテロシクリル、6)C1−10アルキル、7)アリール、8)C2−10アルケニル、9)C2−10アルキニル、10)ヘテロシクリル、11)C3−8シクロアルキル、12)SO及び13)(C=O)NRから選択され、前記アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、アルケニル及びアルキニルは場合により1個以上のR6aから選択される置換基で置換されていてもよく、或いは
及びRはそれらが結合している窒素原子と一緒になって、窒素原子に加えてN、O及びSから選択される1〜2個の追加ヘテロ原子を含んでいてもよい各環が5〜7員の単環式または二環式ヘテロ環を形成することができ、前記単環式または二環式ヘテロ環は場合により1個以上のR6aから選択される置換基で置換されていてもよく;
はC1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、アリールまたはヘテロシクリルであり;
はH、C1−6アルキル、アリール、ヘテロシクリル、C3−6シクロアルキル、(C=O)OC1−6アルキル、(C=O)C1−6アルキルまたはS(O)である。]
【請求項2】
前記医薬がガンの治療または予防のためのものである請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記ガンが脳、尿生殖路、リンパ系、胃、喉頭及び肺のガンから選択される請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記ガンが組織球性リンパ腫、肺腺癌、小細胞肺癌、膵臓癌、神経膠芽腫及び乳癌から選択される請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記医薬が血管新生が関係する疾患の治療または予防のためのものである請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記疾患が眼疾患である請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
更に、1)エストロゲン受容体モジュレーター、2)アンドロゲン受容体モジュレーター、3)レチノイド受容体モジュレーター、4)細胞毒性物質、5)増殖抑制薬、6)プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、7)HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、8)HIVプロテアーゼ阻害剤、9)逆転写酵素阻害剤及び10)他の血管新生抑制剤からなる群から選択される第2化合物を含む請求項1ないし6のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記第2化合物がチロシンキナーゼ阻害剤、上皮由来増殖因子阻害剤、線維芽細胞由来増殖因子阻害剤、血小板由来増殖因子阻害剤、MMP(マトリックスメタロプロテアーゼ)阻害剤、インテグリンブロッカー、インターフェロン−α、インターロイキン−12、ペントサンポリスルフェート、シクロオキシゲナーゼ阻害剤、カルボキシアミドトリアゾール、コンブレスタチンA−4、スクアラミン、6−O−クロロアセチルカルボニルフマギロール、サリドマイド、アンギオスタチン、トロポニン−1及びVEGFに対する抗体からなる群から選択される他の血管新生抑制剤である請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記第2化合物がタモキシフェン及びラロキシフェンからなる群から選択されるエストロゲン受容体モジュレーターである請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記医薬が放射線療法と組合わせて投与するものである請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記医薬が1)エストロゲン受容体モジュレーター、2)アンドロゲン受容体モジュレーター、3)レチノイド受容体モジュレーター、4)細胞毒性物質、5)増殖抑制薬、6)プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、7)HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、8)HIVプロテアーゼ阻害剤、9)逆転写酵素阻害剤及び10)他の血管新生抑制剤からなる群から選択される化合物と組合わせて投与するものである請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記医薬が放射線療法並びに1)エストロゲン受容体モジュレーター、2)アンドロゲン受容体モジュレーター、3)レチノイド受容体モジュレーター、4)細胞毒性物質、5)増殖抑制薬、6)プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、7)HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、8)HIVプロテアーゼ阻害剤、9)逆転写酵素阻害剤及び10)他の血管新生抑制剤からなる群から選択される化合物と組合わせて投与するものである請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記医薬がパクリタクセルまたはトラスツズマブと組み合わせて投与するものである請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記医薬がGPIIb/IIIaアンタゴニストと組み合わせて投与するものである請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記GPIIb/IIIaアンタゴニストがチロフィバンである請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
医薬の製造における、請求項1に記載される式Iを有する化合物の使用。
【請求項17】
前記医薬がガンの治療または予防のためのものである請求項16に記載の使用。
【請求項18】
前記ガンが脳、尿生殖路、リンパ系、胃、喉頭及び肺のガンから選択される請求項17に記載の使用。
【請求項19】
前記ガンが組織球性リンパ腫、肺腺癌、小細胞肺癌、膵臓癌、神経膠芽腫及び乳癌から選択される請求項17に記載の使用。
【請求項20】
前記医薬が血管新生が関係する疾患の治療または予防のためのものである請求項16に記載の使用。
【請求項21】
前記疾患が眼疾患である、請求項20に記載の化合物の使用。
【請求項22】
前記医薬が1)エストロゲン受容体モジュレーター、2)アンドロゲン受容体モジュレーター、3)レチノイド受容体モジュレーター、4)細胞毒性物質、5)増殖抑制薬、6)プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、7)HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、8)HIVプロテアーゼ阻害剤、9)逆転写酵素阻害剤及び10)他の血管新生抑制剤からなる群から選択される化合物と組合わせて投与するものである請求項17に記載の使用。
【請求項23】
前記医薬が放射線療法並びに1)エストロゲン受容体モジュレーター、2)アンドロゲン受容体モジュレーター、3)レチノイド受容体モジュレーター、4)細胞毒性物質、5)増殖抑制薬、6)プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、7)HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、8)HIVプロテアーゼ阻害剤、9)逆転写酵素阻害剤及び10)他の血管新生抑制剤からなる群から選択される化合物と組合わせて投与するものである請求項17に記載の使用。
【請求項24】
前記医薬がパクリタクセルまたはトラスツズマブと組み合わせて投与するものである請求項17に記載の使用。
【請求項25】
前記医薬がGPIIb/IIIaアンタゴニストと組み合わせて投与するものである請求項17に記載の使用。
【請求項26】
前記GPIIb/IIIaアンタゴニストがチロフィバンである請求項25に記載の使用。
【請求項27】
請求項1に記載される式Iを有する化合物を医薬的に許容され得る担体と組み合わせて製造される医薬組成物。
【請求項28】
請求項1に記載される式Iを有する化合物を医薬的に許容され得る担体と組合せることを含む医薬組成物の製造方法。

【公開番号】特開2006−206609(P2006−206609A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−127244(P2006−127244)
【出願日】平成18年5月1日(2006.5.1)
【分割の表示】特願2001−531825(P2001−531825)の分割
【原出願日】平成12年10月16日(2000.10.16)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】