説明

ナイアシン受容体アゴニスト、かかる化合物を含有する組成物及び治療方法

本発明は式(I)で示される化合物、並びにその医薬的に許容される塩及び水和物を包含し、これらは異常脂肪血症の治療に有用である。医薬組成物及び使用方法も包含される。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は異常脂肪血症に関わる化合物、組成物及び哺乳動物における治療又は予防の方法に関する。異常脂肪血症は血清脂肪が異常な症状である。上昇したコレステロールと低レベル高密度リポタンパク質(HDL)が、アテローム性動脈硬化症及び心臓血管系疾患の正常を上回る危険度と関連している。血清コレステロールに影響を与える、知られている因子としては、遺伝的素質、食事、体重、身体的活性度、年齢及び性別などである。正常量のコレステロールは、ステロイド、細胞膜及び胆汁酸などの必須の有機分子のための生体ビルディングブロックであるが、コレステロールが過剰になると心臓血管系疾患の一因となることが知られている。例えば、コレステロールは冠状動脈に集まるプラークの主成分であり、アテローム性動脈硬化症と呼ばれる心臓血管疾患に至らしめるものである。
【背景技術】
【0002】
コレステロールを低下させる伝統的な治療法は、スタチン類(身体におけるコレステロールの生産を低下させる)などの投薬である。ごく最近、血中コレステロールを低下させる際の栄養と栄養サプリメントの価値が著しく注目を集めている。例えば、可溶性線維、ビタミンE、大豆、にんにく、オメガ−3脂肪酸およびナイアシンなどの食餌化合物がいずれも著しく注目を集め、研究資金の調達を受けている。
【0003】
ナイアシン又はニコチン酸(ピリジン−3−カルボン酸)は、臨床治験で冠状動脈事象を低下させる薬物である。高密度リポタンパク質(HDL)が血清レベルを上昇させるその作用については、一般に知られている。重要なことは、ナイアシンが他の脂質のプロフィルに有益な作用も有することである。具体的には、低密度リポタンパク質(LDL)、超低密度リポタンパク質(VLDL)及びトリグリセリド(TG)を低下させる。しかし、ニコチン酸の臨床使用は、多くの有害な副作用、例えば時に紅潮と呼ばれる皮膚血管拡張などにより制限されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
血清コレステロール、血清トリグリセリドなどを制御する伝統的かつ代替の制御手段に対しては注目が集まっているにもかかわらず、人口の相当な部分が、その総コレステロールレベル約200mg/dLを超えており、その結果、異常脂肪血症治療の候補となっている。従って、総コレステロール、血清トリグリセリドなどを低下させ、HDLを上昇させる化合物、組成物及び代替方法が、当該技術分野において必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は血清脂質レベルを改変する際に作用を有することが判明した化合物に関する。
従って、本発明は、記載された方法に従い、総コレステロールとトリグリセリド濃度の低下に作用し、HDLを上昇させる組成物を提供する。その結果として、本発明の一つの目的は、ナイアシン治療と関連する副作用を最小としながら、異常脂肪血症、アテローム性動脈硬化症、糖尿病、代謝症候群及び関連する症状を治療するために使用することのできるニコチン酸受容体アゴニストを提供することにある。
【0006】
さらに別の目的は、経口用の医薬組成物を提供することである。
その他諸々の目的は、本明細書に提示した記載から明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明は式(I)で示される化合物又はその医薬的に許容される塩若しくは溶媒和物に関する。
【0008】
【化1】

【0009】
[式中、
nは1又は2を表し;
は、シクロヘキシル、フェニル及び5〜6個の原子を含むヘテロアリールからなる群より選択され、当該へテロアリール5員環は1〜4個のヘテロ原子を含むものであり、そのヘテロ原子の0〜1個がO又はSであり、その0〜4個がNであり、また当該へテロアリール6員環は1〜3個のN原子を含むものであり;
当該シクロヘキシル、フェニル及びヘテロアリールは、ハロゲン、OH、SH、CN、ニトロ、C1−4ハロアルキル、アミノ、C1−4アルキルアミノ、C2−8ジアルキルアミノ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C2−4アルケニル、C2−4アルキニル、C3−6シクロアルキル、C1−4ハロアルコキシ、C1−4アルキルチオ、C1−4アルキルスルフィニル及びC1−4アルキルスルホニルからなる群より選択される1〜4個により置換されていてもよく;そして、
は、
【0010】
【化2】

【0011】
又はCO(式中、RはH又はC1−4アルキルである)である]。
【0012】
本明細書で特に断りのない限り、以下に定義の用語を用いて本発明を詳細に説明する。
【0013】
「アルキル」とは、アルコキシ、アルカノイルなど、接頭語「アルク」(alk)を有する他の基と同様、指定された炭素原子数を含む炭素鎖を意味し、直鎖、分枝若しくは環状、又はその組合わせであり得る。数が特定されていない場合、直鎖については1〜6個の炭素原子を、分枝のアルキル基については3〜7個の炭素原子を意図する。アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−及びtert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニルなどである。シクロアルキルはアルキルのサブセットであり、原子数が特定されていない場合、3〜7個の炭素原子を意図し、1〜3個の縮環する炭素環状環を形成する。「シクロアルキル」はまたアリール基に縮環した単環式環を含み、その接合点は非芳香性部分上にある。シクロアルキルの例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、テトラヒドロナフチル、デカヒドロナフチル、インダニルなどである。
【0014】
「アルケニル」とは、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含む炭素鎖を意味し、直鎖若しくは分枝又はその組合わせであり得る。アルケニルの例は、ビニル、アリル、イソプロペニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、1−プロペニル、2−ブテニル、2−メチル−2−ブテニルなどである。
【0015】
「アルキニル」とは、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含む炭素鎖を意味し、直鎖若しくは分枝又はその組合わせであり得る。アルキニルの例は、エチニル、プロパルギル、3−メチル−1−ペンチニル、2−ヘプチニルなどを含む。
【0016】
「ヘテロアリール」(HAR)とは、特に断りのない限り、O、S及びNから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含み、5〜6個の原子を有するモノ芳香環又は環系を意味する。その例としては、ピロリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、ピリジル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、フラニル、トリアジニル、チエニル、ピリミジル、ピリダジニル、ピラジニルなどであるが、それに限定されるものではない。ヘテロアリールはまた、荷電形状、例えばピリジニウムなどの基をも包含する。
【0017】
「ハロゲン」(ハロ)は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素である。
【0018】
「実質的に紅潮を伴わずに」という文言は、測定可能な皮膚紅潮、例えば、治療量のニコチン酸を投与するときにしばしば見られる副作用を除去することをいう。ニコチン酸の紅潮作用は、通常、患者が治療用量での薬物に寛容になるにつれて低頻度となり、重篤度も低くなるが、紅潮作用はある程度まで生じ、一過性となり得る。従って、「実質的に紅潮を伴わずに」とは、紅潮が生じるとしてもその重篤度が低減しているか、又は生じたであろうよりも紅潮の発生が少ないことをいう。好ましくは、紅潮の発生率が(ナイアシンに比べて)少なくとも3分の1低下し、より好ましくは発生率が半分まで低下し、最も好ましくは、紅潮発生率が約3分の2以上低下する。同様に、紅潮の重篤度は(ナイアシンに比べて)好ましくは少なくとも約3分の1低下し、より好ましくは少なくとも半分まで低下し、最も好ましくは少なくとも約3分の2低下する。明らかに、紅潮の発生率と重篤度が100パーセント低下することが最も好ましいが、要求されるものではない。
【0019】
本発明の一態様は、式(I)で示される化合物又はその医薬的に許容される塩若しくは溶媒和物に関する:
【0020】
【化3】

【0021】
[式中、
nは1又は2を表し;
は、シクロヘキシル、フェニル及び5〜6個の原子を含むヘテロアリールからなる群より選択され、当該へテロアリール5員環は1〜4個のヘテロ原子を含むものであり、そのヘテロ原子の0〜1個がO又はSであり、その0〜4個がNであり、また当該へテロアリール6員環は1〜3個のN原子を含むものであり;
当該シクロヘキシル、フェニル及びヘテロアリールは、ハロゲン、OH、SH、CN、ニトロ、C1−4ハロアルキル、アミノ、C1−4アルキルアミノ、C2−8ジアルキルアミノ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C2−4アルケニル、C2−4アルキニル、C3−6シクロアルキル、C1−4ハロアルコキシ、C1−4アルキルチオ、C1−4アルキルスルフィニル及びC1−4アルキルスルホニルからなる群より選択される1〜4個により置換されていてもよく;そして、
は、
【0022】
【化4】

又はCO(式中、RはH又はC1−4アルキルである)である]。
【0023】
興味深い化合物の一サブセットは、nが1である、式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩若しくは溶媒和物に関係する。このサブセット内では、すべての他の変数は当初に定義したとおりである。
【0024】
興味深い化合物のもう一つのサブセットは、nが2である、式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩若しくは溶媒和物に関係する。このサブセット内では、すべての他の変数は当初に定義したとおりである。
【0025】
興味深い化合物の別のサブセットは、Rがフェニル又はヘテロアリールを表し、当該基が1〜4個の基により置換されていてもよく、その基の1〜4個がハロ基であり、またその1〜2個がOH、SH、CN、ニトロ、C1−4ハロアルキル、アミノ、C1−4アルキルアミノ、C2−8ジアルキルアミノ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C2−4アルケニル、C2−4アルキニル、C3−6シクロアルキル、C1−4ハロアルコキシ、C1−4アルキルチオ、C1−4アルキルスルフィニル及びC1−4アルキルスルホニルからなる群より選択される、式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩若しくは溶媒和物に関係する。このサブセット内では、すべての他の変数は当初に定義したとおりである。
【0026】
特に興味深い化合物の別のサブセットは、Rが1〜4個の基により置換されていてもよいフェニルを表し、その基の1〜4個がハロ基であり、またその1〜2個がOH、SH、CN、ニトロ、C1−4ハロアルキル、アミノ、C1−4アルキルアミノ、C2−8ジアルキルアミノ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C2−4アルケニル、C2−4アルキニル、C3−6シクロアルキル、C1−4ハロアルコキシ、C1−4アルキルチオ、C1−4アルキルスルフィニル及びC1−4アルキルスルホニルからなる群より選択される、式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩若しくは溶媒和物に関係する。このサブセット内では、すべての他の変数は当初に定義したとおりである。
【0027】
特に興味深い化合物の別のサブセットは、Rが1〜4個の基により置換されていてもよいヘテロアリールを表し、その基の1〜4個がハロ基であり、またその1〜2個がOH、SH、CN、ニトロ、C1−4ハロアルキル、アミノ、C1−4アルキルアミノ、C2−8ジアルキルアミノ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C2−4アルケニル、C2−4アルキニル、C3−6シクロアルキル、C1−4ハロアルコキシ、C1−4アルキルチオ、C1−4アルキルスルフィニル及びC1−4アルキルスルホニルからなる群より選択される、式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩若しくは溶媒和物に関係する。このサブセット内では、すべての他の変数は当初に定義したとおりである。
【0028】
特に興味深い化合物の別のサブセットは、Rが1〜4個の基により置換されていてもよいヘテロアリールを表し、その基の1〜4個がハロ基であり、またその1〜2個がC1−4ハロアルキル又はC1−4アルキルである、式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩若しくは溶媒和物に関係する。このサブセット内では、すべての他の変数は当初に定義したとおりである。
【0029】
特に興味深い化合物の別のサブセットは、Rが1〜4個のハロ基により置換されていてもよいフェニルを表す、式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩若しくは溶媒和物に関係する。このサブセット内では、すべての他の変数は当初に定義したとおりである。
【0030】
興味深い化合物の別のサブセットは、RがCOを表し、RがHを表す、式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩若しくは溶媒和物に関係する。このサブセット内では、すべての他の変数は当初に定義したとおりである。
【0031】
興味深い化合物の別のサブセットは、Rがテトラゾリルを表す、式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩若しくは溶媒和物に関係する。このサブセット内では、すべての他の変数は当初に定義したとおりである。
【0032】
特に興味深い化合物の例は、以下の表に示す化合物である。
【0033】
【表1】

並びにその医薬的に許容される塩若しくは溶媒和物。
【0034】
【表2】

並びにその医薬的に許容される塩若しくは溶媒和物。
【0035】
【表3】

並びにその医薬的に許容される塩若しくは溶媒和物。
【0036】
【表4】

並びにその医薬的に許容される塩若しくは溶媒和物。
【0037】
投与量情報
式(I)で示される化合物又はその医薬的に許容される塩若しくは溶媒和物の投与量は、幅広い限度内で変わる。それぞれの特定患者に対する具体的な投与計画とレベルは、様々なファクター、例えば、年齢、体重、全身の健康、性別、食事、投与期間、投与経路、排泄速度、薬物組合わせ及び患者症状の重篤度などに依存する。症状の進行を防止し、対抗し又は阻止するために必要な治療的有効量又は予防的有効量を決定するために、これらのファクターを考慮することは、通常の知識を有する医師の範囲内のことである。一般に、該化合物の用量は、低用量で約0.01mg/日ないし高用量で約2000mg/日の範囲であり、これを単回又は分割して投与する。代表的な投与量は、約0.1mg/日ないし約1g/日である。当初は低用量で用い、用量を上げて、さらに不都合な作用を最小とする。本明細書に記載の化合物は、患者に関わる医療症状を治療又は予防するために適切な期間、毎日投与を基本として投与することが期待され、その期間は、月、年又は患者の生涯に及ぶ治療過程である。
【0038】
併用療法
別の1種以上の活性薬剤を本明細書に記載の化合物とともに投与してもよい。別の活性薬剤は、脂質改変化合物又は他の医薬活性を有する薬剤、又は脂質改変作用と他の医薬活性の両方をもつ薬剤であり得る。採用し得るさらなる別の薬剤は、限定されるものではないが、以下のものである:HMG−CoA還元酵素阻害剤、例えばラクトン化又はジヒドロキシ開環酸型のスタチン類及びその医薬的に許容される塩ならびにエステル、例えばロバスタチン(参照:USP4,342,767)、シンバスタチン(参照:USP4,444,784)、ジヒドロキシ開環酸シンバスタチン、とりわけそのアンモニウム塩又はカルシウム塩、プラバスタチン、とりわけそのナトリウム塩(参照:USP4,346,227)、フルバスタチン、とりわけそのナトリウム塩(参照:USP5,354,772)、アトルバスタチン、とりわけそのカルシウム塩(参照:USP5,273,995)、ピタバスタチン(NK−104ともいう)(参照:PCT国際公開WO97/23200)、及びロスバスタチン(クレストール(登録商標)としても知られる)(参照:USP5,260,440)を含むが、これに限定されるものではない;HMG−CoA合成阻害剤;スクアレンエポキシダーゼ阻害剤;スクアレンシンセターゼ阻害剤(スクアレン合成阻害剤としても知られる)、アシル−補酵素A:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(ACAT)阻害剤、例えばACAT−1又はACAT−2の選択的阻害剤並びにACTA−1及び−2の二重阻害剤;ミクロゾマールトリグリセリド移転タンパク質(MTP)阻害剤;内皮リパーゼ阻害剤;胆汁酸金属イオン封鎖剤;LDL受容体インデューサー;例えば糖タンパク質IIb/IIIaフィブリノーゲン受容体アンタゴニスト及びアスピリンのような血小板凝集阻害剤;ヒトペルオキシソーム増殖因子活性化受容体ガンマ(PPAR−ガンマ)アゴニスト、例えばピオグリタゾン及びロシグリタゾンのような一般にグリタゾンとして参照される化合物、及び例えばチアゾリジンジオンとして知られる構造分類内に含まれる化合物、並びにチアゾリジンジオン構造分類以外のPPAR−ガンマアゴニスト;PPAR−アルファアゴニスト、例えばクロフィブレート、例えば微小化フェノフィブレート及びゲムフィブロジルを含むフェノフィブレート;PPAR二重アルファ/ガンマアゴニスト;ビタミンB(ピリドキシンとしても知られる)及び、例えばそのHCl塩のような医薬的に許容されるその塩;ビタミンB12(シアノコバラミンとしても知られる);葉酸、又は例えばナトリウム塩及びメチルグルカミン塩のような医薬的に許容されるその塩若しくはエステル;ビタミンCとE及びベータカロテンなどの抗酸化性ビタミン;ベータ−ブロッカー;ロサルタンなどのアンギオテンシンIIアンタゴニスト;例えばエナラプリル及びカプトプリルなどのアンギオテンシン変換酵素阻害剤;レニン阻害剤、例えばニフェジピン及びジルチアゼムなどのカルシウムチャンネルブロッカー;エンドセリンアンタゴニスト;ABCA1遺伝子発現を上昇させる薬剤;コレステリルエステル転移タンパク質(CETP)阻害化合物、5−リポキシゲナーゼ活性化タンパク質(FLAP)阻害化合物、5−リポキシゲナーゼ(5−LO)阻害化合物、アンタゴニスト及びアゴニストの両方を包含するファルネソイドX受容体(FXR)リガンド;肝臓X受容体(LXR)−アルファリガンド、LXR−ベータリガンド、アレンドロン酸ナトリウムなどのビスホスフォネート化合物;例えばロフェコキシブ及びセレコキシブなどのシクロオキシゲナーゼ−2阻害剤;及び血管の炎症を減弱させる化合物。
【0039】
コレステロール吸収阻害剤も本発明では使用し得る。かかる化合物は、腸の内腔から小腸壁の腸細胞へのコレステロールの動きを遮断し、結果として血清コレステロールレベルを低下させる。コレステロール吸収阻害剤の例は、米国特許USP5,846,966;5,631,365;5,767,115;6,133,001;5,886,171;5,856,473;5,756,470;5,739,321;5,919,672;及びPCT出願WO00/63703;WO00/60107;WO00/38725;WO00/34240;WO00/20623;WO97/45406;WO97/16424;WO97/16455;及びWO95/08532に記載されている。最も注目すべきコレステロール吸収阻害剤は、エゼチミベであり、1−(4−フルオロフェニル)−3(R)−[3(S)−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシプロピル]−4(S)−(4−ヒドロキシフェニル)−2−アゼチジノンとしても知られ、USP5,767,115及び5,846,966に記載されている。
【0040】
コレステロール吸収阻害剤の治療有効量は、1日体重あたり約0.01mg/kgないし約30mg/kgの投与量であり、好ましくは約0.1mg/kgないし約15mg/kgである。
【0041】
糖尿病患者にとって、本発明で使用される化合物は、従来の糖尿病投薬法に従って投与し得る。例えば、本明細書に記載の治療を受ける糖尿病患者は、インスリン投薬又は経口抗糖尿病剤投薬をも受け得る。ここで有用な経口抗糖尿病剤投薬の一例は、メトフォルミンである。
【0042】
これらナイアシン受容体アゴニストが、ある程度の血管拡張を誘発するという事象において理解すべきは、式(I)で示される化合物が血管拡張抑制剤と同時に投与し得るということである。従って、本明細書に記載した方法の一側面は、式(I)で示される化合物又はその医薬的に許容される塩若しくは溶媒和物を、紅潮を低減する化合物と組合わせて使用することに関する。この観点で、従来の用量でのアスピリン、イブプロフェン、ナプロキセン、インドメタシンその他のNSAID、COX−2選択的阻害剤などの従来の化合物が有用である。あるいは、DPアンタゴニストが同様に有用である。
【0043】
異なるサブタイプの受容体は、プロスタグランジンD2と相互作用する。一つのプロスタグランジンD2受容体は「DP」と言われ、もう一つのプロスタグランジンD2受容体は「CRTH2」として知られる。本発明では他の方法では起こる可能性のある紅潮を予防し、最小化し又は低減するために、DP受容体の拮抗作用を利用する。
【0044】
DP受容体アンタゴニストの用量と選択性は、DPアンタゴニストの選択性がCRTH2受容体を実質的に変調することなく、DP受容体を変調するようなものとなる。とりわけ、DP受容体アンタゴニストは、理想的にはDP受容体での親和性(すなわち、Ki)が、CRTH2受容体での親和性よりも少なくとも約10倍高い(数値的には、より低いKi値)親和性を有している。これらの指標に従ってDPと選択的に相互作用する化合物は、「DP選択的」と見なされる。
【0045】
本明細書に記載したDPアンタゴニストの投与量は、哺乳動物患者、特にヒトでの紅潮作用を低減又は予防するために有用なものとして、低値として約0.01mg/日ないし高値として約100mg/日の範囲の用量であり、これを一日1回又は分割して投与する。好ましくは、投与量は低値として約0.1mg/日から高値として約1.0g/日の範囲であり、これを一日1回又は分割して投与する。
【0046】
DP受容体に選択的に拮抗し、紅潮作用を抑制するために特に有用な化合物の例は以下のとおりである:
【0047】
【表5】

【0048】
【表6】

並びにその医薬的に許容される塩若しくは溶媒和物。
【0049】
式(I)で示される化合物又はその医薬的に許容される塩若しくは溶媒和物及びDPアンタゴニストは、同時に又は連続して、単回又は複数回の日用量で、例えば、1日2回、1日3回又は1日4回、本発明から外れることなく投与し得る。もし24時間を超える範囲での放出プロフィルを示す持続放出製品などの持続放出が望ましいならば、投薬を隔日に行ってもよい。しかし、1日1回の投与が好ましい。同様に、朝又は夕方の投与が利用できる。
【0050】
塩及び溶媒和物
式(I)で示される化合物の塩及び溶媒和物もまた本発明に含まれ、この点で多数の医薬的に許容されるニコチン酸の塩若しくは溶媒和物が有用である。アルカリ金属塩、とりわけナトリウム及びカリウムは、本明細書に記載したように有用な塩を形成する。同様に、アルカリ土類金属、とりわけカルシウム及びマグネシウムは、本明細書に記載したように有用な塩を形成する。様々なアミンの塩、例えばアンモニウム及び置換アンモニウム化合物もまた本明細書に記載したように有用な塩を形成する。同様に、式(I)で示される化合物の溶媒和のタイプとしては、半水和物、モノ−、ジ−、トリ−及びセスキ−水和物などの水和物を含み、特に興味のある型である。
【0051】
本発明に使用する化合物は、従来の投与ルートを経て投与し得る。好適な投与ルートは経口である。
【0052】
医薬組成物
本明細書に記載の医薬組成物は、一般に医薬的に許容される担体を組合わせた式(I)で示される化合物又はその医薬的に許容される塩若しくは溶媒和物を含む。
【0053】
適切な経口組成物の例は、錠剤、カプセル、トローチ、ロゼンジ、懸濁液、分散性粉末又は顆粒、エマルジョン、シロップ及びエリキシルである。担体成分の例は、希釈剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、甘味剤、着香剤、着色剤、保存剤などである。希釈剤の例は、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム及びリン酸ナトリウムである。顆粒化剤及び崩壊剤の例は、コーンスターチ及びアルギン酸である。結合剤の例は、デンプン、ゼラチン及びアラビアゴムである。滑沢剤の例は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸及びタルクである。錠剤は裸錠でもよく、又は既知技法で被覆してもよい。かかるコーティングは崩壊を遅延する可能性があり、従って、胃腸管での吸収を遅延させ、それによって長時間の持続作用を提供し得る。
【0054】
本発明の一態様において、式(I)で示される化合物又はその医薬的に許容される塩若しくは溶媒和物は、別の治療剤及び担体と組合わせて、固定の組合わせ製品を形成する。この固定の組合わせ製品は、経口用の錠剤又はカプセルでもよい。
【0055】
さらに詳しくは、本発明の別の態様においては、式(I)で示される化合物又はその医薬的に許容される塩若しくは溶媒和物(約1ないし約1000mg)及び第二の治療剤(約1ないし約500mg)を医薬的に許容される担体と組合わせて、経口用の錠剤又はカプセルを提供する。
【0056】
長時間にわたる持続性放出は、製剤において特に重要であり得る。時間遅延物質、例えば、モノステアリン酸グリセリル又はジステアリン酸グリセリルなどが採用し得る。投与形態はUSP4,256,108;4,166,452及び4,265,874に記載されている技法により、被覆して制御放出用浸透圧治療錠剤を形成してもよい。
【0057】
他の制御放出技法も利用可能であり、本発明に含まれる。持続性放出錠剤においてニコチン酸の放出を減速するために有用な代表的成分には、種々のセルロース化合物、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、微結晶セルロース、デンプンなどが含まれる。種々の天然及び合成物質も持続放出製剤に使用し得る。その例は、アルギン酸及び種々のアルギン酸エステル、ポリビニルピロリドン、トラガカント、イナゴマメガム、グアガム、ゼラチン、例えばセチルアルコールなどの種々の長鎖アルコール、及びミツロウなどである。
【0058】
選択肢として、またさらにより興味のあるものとして、上記の錠剤があり、この錠剤は式(I)で示される化合物又はその医薬的に許容される塩若しくは溶媒和物及びシンバスタチン又はアトルバスタチンなどのHMGCo−A還元酵素阻害剤を含んでなる。この特定の態様では、選択肢としてDPアンタゴニストを同様に含む。
【0059】
本発明による持続放出錠剤の代表的な放出時間枠は、約1時間から約48時間の長さであり、好ましくは約4時間ないし約24時間、より好ましくは約8時間ないし約16時間である。
【0060】
ハードゼラチンカプセルは経口用のもう一つの投与形態を構成する。かかるカプセルは上に記載した担体物質と混合した有効成分を同様に含む。ソフトゼラチンカプセルは、プロピレングリコール、PEG及びエタノールなどの水混和性溶媒、又はラッカセイ油、流動パラフィン若しくはオリーブ油などの油と、混合した有効成分を含む。
【0061】
水性懸濁液も水性懸濁液の製造に適した賦形剤と混合した活性物質を含むものとして意図される。かかる賦形剤は、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカント及びアラビアゴムなどの懸濁化剤;例えばレシチンなどの分散剤又は湿潤剤;例えばパラ−ヒドロキシ安息香酸エチル若しくはn−プロピルなどの保存剤、着色剤、着香剤、甘味剤などを含む。
【0062】
水の添加による水性懸濁液の調製に適した分散性粉末及び顆粒は、分散剤若しくは湿潤剤、懸濁化剤及び1種以上の保存剤と混合した有効成分を提供する。適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁化剤は、すでに上記のもので例示したとおりである。シロップ及びエリキシルも製剤化し得る。
【0063】
さらに詳しくは、興味深い医薬組成物は、持続性放出錠剤であって、式(I)で示される化合物又はその医薬的に許容される塩若しくは溶媒和物、及び化合物AないしAJからなる群より選択されるDP受容体アンタゴニストと、医薬的に許容される担体との組合わせを含んでなる錠剤である。
【0064】
なおさらに興味深い別の医薬組成物は、式(I)で示される化合物又はその医薬的に許容される塩若しくは溶媒和物、及び化合物A、B、D、E、X、AA、AF、AG、AH、AI及びAJからなる群より選択されるDPアンタゴニストと、医薬的に許容される担体との組合わせを含んでなる錠剤である。
【0065】
なおさらに興味深い別の医薬組成物は、式(I)で示される化合物又はその医薬的に許容される塩若しくは溶媒和物、化合物A、B、D、E、X、AA、AF、AG、AH、AI及びAJからなる群より選択されるDPアンタゴニスト、及びシンバスタチン又はアトルバスタチンと、医薬的に許容される担体との組合わせから構成される持続性放出錠剤である。
【0066】
用語「組成物」とは、上記の医薬組成物を包含することに加えて、活性又は賦形剤である2種類以上の成分の組合わせ、錯体又は凝集、又は1種類以上の成分の解離、又は1種類以上の成分の他のタイプの反応若しくは相互作用により、直接又は間接に生じる生成物をも包含する。従って、本発明の医薬組成物は、当該化合物、さらに追加の有効成分及び医薬的に許容される賦形剤を混和又は他の方法で組合わせて調製した組成物を包含する。
【0067】
本発明のもう一つの側面は、医薬の製造における式(I)で示される化合物又はその医薬的に許容される塩若しくは溶媒和物及びDPアンタゴニストの使用に関する。この医薬は本明細書に記載した用途を有する。
【0068】
さらに詳しくは、本発明のもう一つの側面は、医薬の製造における式(I)で示される化合物又はその医薬的に許容される塩若しくは溶媒和物、DPアンタゴニスト及びHMGCoA還元酵素阻害剤(例えば、シンバスタチン)の使用に関する。この医薬は本明細書に記載した用途を有する。
【0069】
本発明化合物は、抗高脂肪血症活性を示し、LDL−C、トリグリセリド、アポリポタンパク質a及び総コレステロールを低下させ、HDL−Cを上昇させる用途を示している。従って、本発明化合物は異常脂肪血症の治療に有用である。従って、本発明は、アテローム性動脈硬化症及びその他の本明細書に記載した疾患及び症状の治療、予防又は逆転に関し、式(I)で示される化合物又はその医薬的に許容される塩若しくは溶媒和物を、当該症状の治療、予防又は逆転に有効な量、投与することに関する。これは当該症状の治療又は予防に有効な量の式(I)で示される化合物又はその医薬的に許容される塩若しくは溶媒和物を投与することによりヒトにおいて達成されるが、一方、紅潮の頻度及び/又は重篤度の点では、その作用が予防、低減又は最少化される。
【0070】
興味深い本発明の一側面は、ヒト患者におけるアテローム性動脈硬化症の治療方法であって、治療を必要とする患者に、実質的に紅潮を伴わずに、アテローム性動脈硬化症の治療に有効な量の式(I)で示される化合物又はその医薬的に許容される塩若しくは溶媒和物を投与することを含む方法である。
【0071】
興味深い本発明のもう一つの側面は、ヒト患者における血清HDLレベルの上昇方法であって、治療を必要とする患者に、血清HDLレベルの上昇に有効な量の式(I)で示される化合物又はその医薬的に許容される塩若しくは溶媒和物を投与することを含む方法に関する。
【0072】
興味深い本発明のもう一つの側面は、ヒト患者における異常脂肪血症の治療方法であって、治療を必要とする患者に、異常脂肪血症の治療に有効な量の式(I)で示される化合物又はその医薬的に許容される塩若しくは溶媒和物を投与することを含む方法に関する。
【0073】
興味深い本発明のもう一つの側面は、ヒト患者における血清VLDL又はHDLレベルの低下方法であって、治療を必要とする患者に、実質的に紅潮を伴わずに、血清VLDL又はLDLレベルの低下に有効な量の式(I)で示される化合物又はその医薬的に許容される塩若しくは溶媒和物を投与することを含む方法に関する。
【0074】
興味深い本発明のもう一つの側面は、ヒト患者における血清トリグリセリドレベルの低下方法であって、治療を必要とする患者に、血清トリグリセリドレベルの低下に有効な量の式(I)で示される化合物又はその医薬的に許容される塩若しくは溶媒和物を投与することを含む方法に関する。
【0075】
興味深い本発明のもう一つの側面は、ヒト患者における血清Lp(a)レベルの低下方法であって、治療を必要とする患者に、血清Lp(a)レベルの低下に有効な量の式(I)で示される化合物又はその医薬的に許容される塩若しくは溶媒和物を投与することを含む方法に関する。本明細書にて使用する場合、Lp(a)とはリポタンパク質(a)をいう。
【0076】
興味深い本発明のもう一つの側面は、ヒト患者における糖尿病、とりわけ2型糖尿病の治療方法であって、治療を必要とする患者に、糖尿病の治療に有効な量の式(I)で示される化合物又はその医薬的に許容される塩若しくは溶媒和物を投与することを含む方法に関する。
【0077】
興味深い本発明のもう一つの側面は、ヒト患者における代謝症候群の治療方法であって、治療を必要とする患者に、代謝症候群の治療に有効な量の式(I)で示される化合物又はその医薬的に許容される塩若しくは溶媒和物を投与することを含む方法に関する。
【0078】
興味深い本発明のもう一つの側面は、ヒト患者におけるアテローム性動脈硬化症、異常脂肪血症、糖尿病、代謝症候群又はその関連症状の治療方法であって、治療を必要とする患者に、式(I)で示される化合物又はその医薬的に許容される塩若しくは溶媒和物及びDP受容体アンタゴニストを投与することを含み、当該組合わせが、実質的に紅潮を伴わずに、アテローム性動脈硬化症、異常脂肪血症、糖尿病又はその関連症状の治療に有効な量投与することを含む方法に関する。
【0079】
興味深い本発明のもう一つの側面は、上記の方法であって、その場合のDP受容体アンタゴニストが化合物AないしAJ及びその医薬的に許容される塩及び溶媒和物からなる群より選択される方法に関する。
【0080】
さらに、ニコチン酸受容体については、WO02/084298A2(2002年10月24日発行)及び文献(Soga,T.et al.,Tunaru,S.et al.and Wise,A.et al;上記引用)に同定及び特性化されている。
【0081】
多数のDP受容体アンタゴニスト化合物が公開されており、有用であって、それらは本発明方法に含まれる。例えば、DP受容体アンタゴニストは、WO01/79169(2001年10月25日公開)、EP1305286(2003年5月2日公開)、WO02/094830(2002年11月28日公開)、及びWO03/062200(2003年7月31日公開)に従って入手することができる。
【0082】
化合物ABは、WO01/66520A1(2001年9月13日公開)に公開された記載に従って合成し得る;化合物ACは、WO03/022814A1(2003年3月20日公開)に公開された記載に従って合成し得る;また、化合物AD及びAEは、WO03/078409(2003年9月25日公開)に公開された記載に従って合成し得る。本発明にて使用されるその他の代表的なDPアンタゴニスト化合物は、下記実施例に従って合成することができる。
【0083】
式(I)で示される化合物の合成法
式(I)で示される化合物は、以下の代表的な反応工程図に従って調製した。同様の試薬、条件又はこれらの構造部類に対するその他の合成方法が、有機合成の専門家に着想し得るということが理解される。従って、これらの反応工程図は本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。置換基はすべて、特に断りのない限り、上に定義したとおりである。
【0084】
【化5】

【0085】
式(I)で示される化合物(式中、n=1)は、反応工程図1に示すように、共通の中間体2及び4を利用することにより調製し得る。すなわち、3−エトキシ−シクロペンテノンをシュウ酸ジアルキルでアシル化し、ベータ−ジケトンをベンジルヒドラジン−HClで環化すると、同時にエノールエーテルの加水分解を伴い、エステルを開裂してケト酸1を提供し得る。この酸を第一級カルボキサミドに変換し、脱水してそのニトリルとし、次いでケトンを当業者既知の方法によりそのエノールトリフラートに変換して、共通の中間体2を提供することができる。別法として、ベンジルヒドラジンHClの代わりにヒドラジンを用いることが可能であり、生成したピラゾールはそのN−トルエンスルホンアミド3として保護することができる。エチルエノールエーテルは、酸性条件下で選択的に加水分解することが可能であり、次いで得られるケトンを当業者既知の方法によりそのエノールトリフラートに変換して、共通の中間体4を提供することができる。
【0086】
【化6】

【0087】
式(I)で示される化合物(式中、n=2)は、反応工程図2に示すように、共通の中間体6及び8を利用することにより調製し得る。従って、シクロヘキサン−1,4−ジオンモノ−ケタールをシュウ酸ジアルキルでアシル化し、ベータ−ジケトンをベンジルヒドラジン−HClで環化し、次いでケタールを加水分解してケトエステル5とすることができる。次いでこのケトンを当業者既知の方法によりそのエノールトリフラートに変換して、共通の中間体6を提供することができる。別法として、ベンジルヒドラジンHClの代わりにヒドラジンを用いることが可能であり、ケタールを加水分解してケトエステル7とすることができる。得られたピラゾール7はそのN−トルエンスルホンアミドとして保護することができ、そのケトンは当業者既知の方法によりそのエノールトリフラートに変換して、共通の中間体8を提供することができる。
【0088】
【化7】

【0089】
共通の中間体2はスズキカップリング反応により9のような化合物に変換することができ、該カップリング反応はC5部分を組み込み、続いてテトラゾール環を合成し、水素化条件下で脱ベンジル化すると同時にオレフィンを還元する(反応工程図3)。
【0090】
【化8】

【0091】
共通の中間体4もまたスズキカップリング反応により10のような化合物に変換することができ、該カップリング反応によりC5部分を組み込み、続いて連続的にトシル及びエステル開裂し、さらに水素化条件下でオレフィンを還元する(反応工程図4)。
【0092】
【化9】

【0093】
共通の中間体2及び4を用いる代わりに、11のような化合物は、反応工程図5に示すように、シクロペンテノンから直接調製することもできる。修飾したスズキカップリング反応は、ホウ酸の1,4−付加、引き続く典型的なピラゾール環形成、転移水素化及び鹸化により、酸11を得る。酸11への鹸化に先立って、該エチルエステルは、12の調製に示すように、第一級のカルボキサミドに変換し、脱水してそのニトリルとし、次いでテトラゾール環の合成に付すことができる。
【0094】
【化10】

【0095】
共通の中間体6はスズキカップリング反応を介して13のような化合物に変換することができ、該カップリング反応によりC5部分を組み込み、続いて同時的オレフィンの還元とベンジルの開裂を行い、及びエチルエステルの鹸化を行う(反応工程図6)。別法として、この反応の手順では、共通の中間体8を用いて、14のような化合物を生成させることができる。
【0096】
【化11】

【0097】
反応工程図7には、式(I)のC5位置でのヘテロ環を取り入れるための種々の戦略が示される。例えば、チアゾールのような所定のヘテロ環を脱プロトン化すると、3−エトキシ−シクロペンテノンへ1,2−付加するためのアニオンを生成し、続いて、ベータ−置換エノンへ転移する。引き続き、上記反応工程図に類似の転換反応を用いて、チアゾール誘導体15を生成させることができる。シクロペンテノンは窒素求核試薬とも反応して、ピラゾールのようなヘテロ環との1,4−付加体を形成することもできる。引き続き、上記反応工程図に類似の転換反応を用いて、ピラゾール誘導体16を生成させることもできる。また、3−ヨード−シクロペンテノンは、反応工程図7に示されたN−メチルピラゾールホウ酸エステルのようなヘテロ環状ホウ酸エステルとのスズキカップリング反応に参画し得る。再度、引き続く上記反応工程図に類似の転換反応を用いて、N−メチルピラゾール誘導体17を生成させることができる。
【0098】
【化12】

【0099】
反応工程図8はオキサゾール誘導体18へのルートを示す。3−カルボキシ−シクロペンテノンから生成するプロパルギルアミドは、水銀塩で環化してシクロペンタノンオキサゾール(J.Med.Chem.1990,33,1128)とし、引き続く上記反応工程図に記載の転換反応により、オキサゾール誘導体18とすることができる。
【0100】
【化13】

【0101】
反応工程図9はチアゾール位置異性体21へのルートを示す。3−エトキシ−シクロペンテノンをスタンニル化して、中間体19を生成させることができ、また2,4−ジブロモ−チアゾールから20への変換は、次工程のスチルカップリングにおける位置制御を可能にする。従って、19と20のカップリングは、ベータ−置換シクロペンテノン中間体を生じ、このものは上記反応工程図に記載した次工程の転換反応に従い、チアゾール誘導体21を生じ得る。
【0102】
ここで利用する様々な有機基の転換反応及び保護基は、上記以外の多くの方法により実施し得る。本明細書に開示した中間体又は化合物の調製のために利用し得る他の合成手法についての文献は、例えば、M.B.Smith,J.March Advanced Organic Chemistry,5th Edition,Wiley−Interscience(2001);R.C.Larock Comprehensive Organic Transformations,A Guide to Functional Group Preparations,2nd Edition,VCH Publishers,Inc.(1999);T.L.Gilchrist Heterocyclic Chemistry,3rd Edition,Addison Wesley Longman Ltd.(1997);J.A.Joule,K. Mills,G.F.Smith Heterocyclic Chemistry,3rd Edition,Stanley Thornes Ltd.(1998);G.R.Newkome,W.W.Paudler Contempory Heterocyclic Chemistry,John Wiley and Sons(1982);or Wuts,P.G.M.;Greene,T.W.;Protective Groups in Organic Synthesis,3rd Edition,John Wiley and Sons,(1999)などに見出され、これら6つの文献の全文を参照することにより本明細書の一部とする。
【0103】
式(I)で示される化合物の例は、下記表1に示す。表1に示す例は代表的なものであって、如何なる方法でも制限されるものではないことを理解すべきである。
【0104】
【表7】

【0105】
【表8】

【0106】
【表9】

【0107】
医薬的に許容されるその塩又は溶媒和物も同様に包含される。
式(I)で示される化合物は、1つ以上のキラル中心をもち、従って、エナンチオマー又はジアステレオマーとして存在する。式(I)及び本発明全般で記載した式は、特に断りのない限り又は示さない限り、ラセミ体を含め、すべてのかかるエナンチオマー、ジアステレオマー及びその混合物を表すものとする。かかる異性体形状のすべてが包含される。
【0108】
さらに、1つの立体中心をもつ一般式(I)のキラル化合物は、当業者周知の方法を用いて、キラル環境の存在下に、それらのエナンチオマーに分割してもよい。1を超える立体中心をもつキラル化合物は、当業者周知の方法を用いて、それらの物理的性質に基づいて、アキラル環境にてそれらのジアステレオマーに分離し得る。ラセミの形状で得られる単一のジアステレオマーは、上記のように、それらのエナンチオマーに分割し得る。
【0109】
要すれば、化合物のラセミ混合物は、個々のエナンチオマーが単離されるように分離するとよい。この分離は当業者周知の方法により実施し得、例えば、式(I)で示される化合物のラセミ混合物を、エナンチオマー的に純粋な化合物とカップリングさせてジアステレオマー混合物を形成し、次いでこれを分別結晶又はクロマトグラフィーなどの標準的方法により、個々のジアステレオマーに分離する。該カップリング反応は、エナンチオマーとして純粋な酸又は塩基を用い塩を形成することであるが、これに限定されるものではない。次いで、ジアステレオマー誘導体は、付加したキラル残基をジアステレオマー化合物から開裂することにより、実質的に純粋なエナンチオマーに変換してもよい。式(I)で示される化合物のラセミ混合物は、キラル固定相を利用するクロマトグラフ法により直接分離することもでき、この方法は当該技術分野で周知である。光学異性体のさらなる分割法を用いることも可能であり、それは平均的当業者にとっては明らかである。かかる方法は、文献(Jaques,A.Collet,and S.Wilen in”Enantiomers,Racemates,and Resolutions”(エナンチオマー、ラセミ体、及び分割),John Wiley and Sons,New York(1981))で検討されている方法であるが、これに限定されるものではない。別法として、一般式(I)で示される化合物のエナンチオマーは、キラルプールから、又は合成起源から得られる光学的に純粋な出発原料又は試薬を用いて、不斉立体選択的合成により入手してもよい。かかる不斉合成法には、文献(J.D.Morrison,Ed.Asymmetric Synthesis(不斉合成);Academic Press:Orlando,Volume 5,(1985))で検討されている方法を含むが、これに限定されるものではない。
【0110】
本明細書に記載の化合物は、互変異性体としても存在し、それは1つ以上の二重結合のシフトに伴って、水素の結合点が異なる。例えば、ケトンとそのエノール型は、ケト−エノール互変異性体である。又は、例えばピラゾールのプロトンはヘテロ環状環内の2個の窒素のいずれにも存在し得る。式(I)及び本明細書に記載の式は、特に断りのない限り、個々の互変異性体及びその混合物すべてを表すものとする。
【実施例】
【0111】
代表的実施例
以下の実施例は、本発明をより完全に説明するために提供するものであり、特に断りのない限りいかなる方法でもその範囲を限定すると解釈すべきではない。
(i)操作はすべて室温又は外気温、すなわち18〜25℃の範囲の温度で実施した;
(ii)溶媒の蒸発は、ロータリーエバポレーターを用いて、減圧下(4.5〜30mmHg)、50℃までの浴温で実施した;
【0112】
(iii)反応のコースは、薄層クロマトグラフィー(TLC)及び/又は直列高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により追跡し、次いで質量分析(MS)に付し、本明細書ではLCMSとした;反応時間はいずれも説明のためのみに示した。
(iv)収率は、示すとすれば、説明のためのみである。
(v)すべての最終化合物の構造は、少なくとも以下の技法の一つで確認した:
MS又はプロトン核磁気共鳴(1H−NMR)スペクトル法;
また、純度は少なくとも以下の技法の一つで確認した:
TLC又はHPLC;
【0113】
(vi)1H−NMRスペクトルは、バリアンユニティ又はバリアンイノバ装置により、指定の溶媒を用い、500又は600MHzで記録した;
行リストとして記載したNMRデータは、主要な診断プロトンについてデルタ値の形とし、残存する溶媒ピークに比例して100万分の1(ppm)で示した(多重度及び水素数);
シグナルの形状について使用した簡便な略号は:s.シングレット;d.ダブレット(外見上);t.トリプレット(外見上);m.マルチプレット;br.ブロード;などである;
【0114】
(vii)MSデータは、ヒューレット−パッカード(エイジレント1100)HPLC装置と接続したウォーターズマイクロマスユニット上で記録し、マスリンクス/オープンリンクスソフトウエアで操作した;エレクトロスプレー−イオン法は、正(ES+)又は負(ES−)イオン検出により使用した;LCMS ES+の方法は、1〜2mL/分、10〜95%B直線勾配5.5分(B=0.05%TFA−アセトニトリル、A=0.05%TFA−水)とした;
及びLCMS ES−の方法は、1〜2mL/分、10〜95%B直線勾配5.5分(B=0.1%ギ酸−アセトニトリル、A=0.1%ギ酸−水)、ウォーターズXテラC18−3.5μm−50×3.0mmID及びダイオードアレイ検出とした;
【0115】
(viii)分取用逆相HPLC(RPHPLC)による化合物の精製は、ウォーターズシンメトリープレップC18−5μm−30×100mmID、又はウォーターズアトランティスプレップdC18−5μm−20×100mmID;20mL/分、10−100%B直線勾配15分(B=0.05%TFA−アセトニトリル、A=0.05%TFA−水);及びダイオードアレイ又は254波長検出とした;
【0116】
(ix)分取用逆相HPLCによる化合物の自動精製は、YMC−パックプロC18カラム(150×20mmi.d.)を用いるギルソンシステム上、0〜50%アセトニトリル/水(0.1%TFA)により20mL/分で溶出して実施した。
(x)分取用薄層クロマトグラフィー(PTLC)による化合物の精製は、シリカゲルを塗布した20×20cmのガラスプレップ板上で、又はシリカゲルを塗布したガラスローターを用いるクロマトトロン上の遠心分離クロマトグラフィーにより実施した;両方ともアナルテックから商品として入手し得る;
【0117】
(xi)カラムクロマトグラフィーは、キーゼルゲル60、0.063−0.200mmを用いるガラスシリカゲルカラム(メルク)上で、又はバイオテージカートリッジシステム上で実施した;
(xii)マイクロ波照射はスミスシンセサイザー(パースナルケミストリー)を用いて実施した;
【0118】
(xiii)化学記号はそれらの通常の意味を有し、以下の略号を使用した:v(容量)、w(重量)、b.p.(沸点)、m.p.(融点)、L(リットル)、mL(ミリリットル)、g(グラム)、mg(ミリグラム)、mol(モル)、mmol(ミリモル)、eq又はequiv(当量)、IC50(50%の最大可能阻害モル濃度)、EC50(50%の最大可能有効モル濃度)、μM(マイクロモル)、nM(ナノモル);
【0119】
(xiv)頭文字の定義は以下のとおりである;
THFはテトラヒドロフランである;
DMEは1,2−ジメトキシエタンである;
DMFはジメチルホルムアミドである;
DCMはジクロロメタン(塩化メチレン)である;
TFAはトリフルオロ酢酸である;
TBAFはフッ化テトラブチルアンモニウムである;
TFAAはトリフルオロ酢酸無水物である;
LDAはリチウムジイソプロピルアミドである;
EDC(I)は1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩である;
NHSはN−ヒドロキシコハク酸イミドである;
TsClは塩化トルエンスルホニル(トシル)である;
dppfは1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンである;
UVは紫外線である;
(ee)はエナンチオマー過剰率である。
【0120】
中間体A
【0121】
【化14】

【0122】
−78℃に冷却した3−エトキシシクロペンテノン(2.12g、16.82mmol)の無水THF(40mL)溶液に、窒素気流下、リチウムジイソプロピルアミド(12mL、24mmol、2.0M/THF)を加えた。15分後、二シュウ酸ジ−tert−ブチル(3.73g、18.5mmol)のTHF(15mL)溶液を加えた。反応混合物を−78℃で15分間攪拌し、次いで、−20℃まで昇温し、さらに15分間攪拌した。1N−HCl(40mL)で反応を停止させ、酢酸エチルで(3回)抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、無水NaSOで乾燥し、濾過、減圧濃縮した。残渣を35%酢酸エチル−ヘキサンを用いるフラッシュクロマトグラフィー(SiO)により精製して、所望の生成物を灰白色固体として得た。
【0123】
このジケトン(2.15g、8.45mmol)のエタノール(100mL)溶液に、ベンジルヒドラジン塩酸塩(1.8g、9.22mmol)及びHOAc(10mL)を加えた。反応混合物を室温で16時間攪拌し、次いで、70℃で30分間還流した。反応液を室温に冷却し、減圧濃縮した。残渣を酢酸エチルに溶かし、水、飽和NaHCO、及び食塩水で洗浄した。有機層を無水NaSOで乾燥し、濾過、減圧濃縮した。残渣を30%酢酸エチル−ヘキサンを用いるフラッシュクロマトグラフィー(SiO)により精製して、所望の生成物を褐色油として得た。このtert−ブチルエステル(1.64g、5.25mmol)のジクロロメタン(20mL)溶液に、トリフルオロ酢酸(20mL)を加え、得られた溶液を室温で4時間攪拌した。反応混合物を減圧濃縮し、トルエンと(3回)共沸蒸留した。この物質はさらに精製することなく次工程で使用した。
【0124】
この酸(1.34g、5.25mmol)のCHCl(50mL)溶液に、N−ヒドロキシコハク酸イミド(1.21g、10.5mmol)を加え、次いで、EDC(2.01g、10.5mmol)を加えた。室温で18時間攪拌した後、反応混合物を減圧濃縮した。残渣を酢酸エチル(200mL)で希釈し、飽和NaHCO溶液及び食塩水で洗浄した。有機層を無水NaSOで乾燥し、濾過、減圧濃縮した。黄色固体が得られた。この活性化エステル(2.0g、5.25mmol)の1,4−ジオキサン(50mL)溶液に、NHOH(14.8N、10.0eq.、3.53mL)を加えた。直ちに沈殿が形成された。室温で15分間攪拌後に、反応混合物をガラス漏斗で濾過し、沈殿を1,4−ジオキサンで洗浄した。濾液を減圧濃縮して固体を得た。このカルボキサミド(5.25mmol)のDMF(60mL)溶液に、塩化シアヌル(3.12g、17mmol)を3回に分けて加えた。室温30分後に、反応を水で停止させ、酢酸エチルで(2回)抽出した。有機層を水、食塩水で洗浄し、無水NaSOで乾燥し、濾過、減圧濃縮した。残渣を30%酢酸エチル−ヘキサンを用いるフラッシュクロマトグラフィー(SiO)により精製して、所望の生成物を黄色固体として得た。
【0125】
このシアノケトン(447mg、1.87mmol)の無水THF(14mL)溶液に、−78℃で新たに調製したリチウムジイソプロピルアミド(1.89mmol)のTHF(6mL)溶液を加えた。反応液を−78℃で30分間攪拌した後、2−[N,N−ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミン]−5−クロロピリジン(コミンズ試薬、1.4g、3.6mmol)を加えた。反応液を−20℃まで昇温させ、3時間攪拌した。飽和NHCl溶液で反応を停止させ、得られた混合物を酢酸エチルで抽出し、1N−HCl溶液、飽和NaHCO溶液で洗浄し、無水NaSOで乾燥した。溶液を濾過し、減圧濃縮した。残渣を2000−ミクロンローター(SiO)及び5%酢酸エチル−ヘキサンを溶出液として用いるクロマトトロン上で精製して、二重結合位置異性体の2:1混合物として所望の生成物を得た。
H−NMR(500MHz,CDCl):(主たる異性体)δ7.45−7.3(m,5H),6.06(bt,1H),5.41(s,2H),3.56(bd,2H);(マイナー異性体)δ7.45−7.3(m,5H),6.63(bt,1H),5.39(s,2H),3.18(bd,2H);LCMS m/z370(M+H)。
【0126】
中間体B
【0127】
【化15】

【0128】
(4−エトキシ−2−オキソシクロペンタ−3−エン−1−イル)(オキソ)酢酸tert−ブチル(4.0g、15.7mmol)(中間体A、工程1)のエタノール(90mL)溶液に、ヒドラジン(0.54mL、17.3mmol)を加えた。5分後に、氷酢酸(10mL)を加えた。得られた溶液を70℃で1時間加熱した。反応液を室温まで冷却し、減圧濃縮した。得られた油を、酢酸エチル−ヘキサン(1:1)を溶出液とするバイオテージフラッシュ60Mカートリッジを用いるフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、所望の化合物を白色固体として得た。この遊離ピラゾール(2.78、11mmol)のDCM(100mL)溶液に、ピリジン(2.69mL、33.3mmol)を加え、次いで、塩化トシル(3.17g、16.51mmol)を加えた。反応液を室温で4時間攪拌し、1N−HClで反応停止した。得られた混合物をDCMで抽出した。有機層を飽和NaHCO溶液、食塩水で洗浄し、無水NaSOで乾燥した。これを濾過し、減圧濃縮した。粗製の物質を25%酢酸エチル−ヘキサンを用いるフラッシュクロマトグラフィー(SiO)により精製して、所望の生成物を白色固体として得た。
【0129】
このエノールエーテル(1.15g、2.84mmol)のDCM(19mL)溶液に、TFA(1mL)および水(0.2mL)を加えた。室温で20分間攪拌した後、飽和NaHCO溶液を加えて反応を停止した。得られた混合物をDCMで(3回)抽出した。有機層を飽和NaHCO、食塩水で洗浄し、無水NaSOで乾燥した。溶液を濾過し、減圧濃縮した。粗製の物質を30%酢酸エチル−ヘキサンを用いるフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、所望の化合物を白色固体として得た。このケトン(595mg、1.58mmol)の無水THF(20mL)溶液に、−78℃、窒素気流下でリチウムジイソプロピルアミド(0.79mL、1.58mmol、2.0M/THF溶液)を加えた。溶液を−78℃で5分間攪拌した後、2−[N,N−ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミン]−5−クロロピリジン(コミンズ試薬、0.745g、1.89mmol)を加えた。反応液を室温まで昇温し、飽和1N−HCl溶液で反応停止した。得られた混合物を酢酸エチルで抽出し、飽和NaHCO溶液で洗浄し、無水NaSOで乾燥した。溶液を濾過し、減圧濃縮した。残渣を15%酢酸エチル−ヘキサンを用いるフラッシュクロマトグラフィー(SiO)により精製して、所望の生成物を得た。LCMS m/z509(M+H)。
【0130】
中間体C
【0131】
【化16】

【0132】
シクロヘキサン−1,4−ジオン モノ−エチレンケタール(5g、32mmol)及びシュウ酸ジエチル(5.6g、38.4mmol)のエタノール(100mL)溶液に、カリウム−t−ブトキシド(38mL、1.0M/THF)を加えた。1時間後に、ベンジルヒドラジン塩酸塩(6.9g、35.2mmol)を加え、得られた反応混合物を室温で16時間攪拌した。反応混合物を減圧濃縮し、酢酸エチルで希釈した。有機層を水、食塩水で洗浄し、無水NaSOで乾燥した。反応混合物を濾過し、減圧濃縮し、フラッシュクロマトグラフィーにより精製して、所望の化合物を得た。このケタール(3.0g、8.76mmol)のTHF(30mL)溶液に、エタノール(50mL)を加え、次いで、3N−HCl(20mL)を加えた。50℃で一夜攪拌した後、反応液を減圧濃縮した。残渣を酢酸エチルで希釈し、飽和NaHCOで洗浄した。有機層を減圧濃縮し、0〜60%酢酸エチル−ヘキサンの勾配を用いるフラッシュクロマトグラフィー(ホリゾン)により精製した。このケトンは中間体A及びBについて記載した手法と同様の手法に従って、そのエノールトリフラートに変換した。LCMS m/z231(M+H)。
【0133】
中間体D
【0134】
【化17】

【0135】
−78℃に冷却したシクロヘキサン−1,4−ジオンモノ−エチレンケタール(10.75g、68.83mmol)の無水THF溶液に窒素気流下、LDA(37mL、2.0M溶液)を加えた。15分間攪拌した後に、シュウ酸ジエチル(10.3mL、74mmol)を加えた。反応液を室温に昇温し、16時間攪拌した。反応混合物に1N−HClを加えて反応停止し、得られた混合物を酢酸エチルで抽出し、食塩水で洗浄し、無水NaSOで乾燥した。この溶液を濾過し、減圧濃縮した。残渣を0〜100%酢酸エチル−ヘキサンの勾配を用いるフラッシュクロマトグラフィー(バイオテージ−ホリゾン)により精製した。このジケトン(10.5g、40.98mmol)のエタノール(300mL)溶液に、ヒドラジン水和物(1.4mL、45.07mmol)および氷酢酸(30mL)を加えた。得られた反応混合物を65℃で1.5時間加熱した。反応混合物を減圧濃縮した。残渣を酢酸エチルに溶かし、飽和NaHCO、食塩水で洗浄し、無水NaSOで乾燥した。この溶液を濾過し、減圧濃縮した。残渣を60%酢酸エチル−ヘキサンを溶媒として用いるフラッシュクロマトグラフィー(バイオテージ40M)により精製して、所望の化合物を黄色泡状物として得た。このケタール(6.76g、26.8mmol)のEtOH/THF(2:1)溶液に、3N−HCl(50mL)を加えた。得られた反応混合物を60℃で48時間加熱した。飽和NaHCO溶液を加えて反応を停止させた。有機溶媒を減圧除去した。残渣を酢酸エチルで抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、無水NaSOで乾燥し、濾過、減圧濃縮してオレンジ色の油を得た。これを5%酢酸エチル−ヘキサンを用いるフラッシュクロマトグラフィー(バイオテージフラッシュ40M)により精製して、所望の生成物を白色固体として得た。
【0136】
0℃に冷却したこの遊離ピラゾール(0.47g、2.26mmol)の無水THF溶液に、水素化ナトリウム(0.108g、2.7mmol)を加えた。30分後、塩化トシル(0.452g、2.37mmol)を加えた。反応液を室温で1時間攪拌し、次いで1N−HClを加えて反応を停止した。得られた混合物を水で希釈し、酢酸エチルで(2回)抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、無水NaSOで乾燥し、濾過、減圧濃縮した。残渣を50%酢酸エチル−ヘキサンによる分取TLCにより精製して、所望の化合物を白色固体として得た。−70℃に冷却したこのケトン(0.941mg、2.6mmol)の無水THF(20mL)溶液に、N気流下、LDA(1.3mL、2.0M溶液)を加えた。−78℃で30分間攪拌後、2−[N,N−ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミン]−5−クロロピリジン(コミンズ試薬、1.55g、3.9mmol)を加えた。反応液をゆっくりと室温まで昇温させ、4時間攪拌した。1N−HClを加えて反応を停止させた。得られた混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、無水NaSOで乾燥し、濾過、減圧濃縮した。残渣を15%酢酸エチル−ヘキサンを用いるフラッシュクロマトグラフィー(バイオテージ40M)により精製して、所望の化合物を白色固体として得た。LCMS m/z494.9(M+H)。
【0137】
(実施例1)
【0138】
【化18】

【0139】
中間体A(50mg、0.14mmol)をジオキサン(1mL)中で1.1当量の4−フルオロフェニルホウ酸、トリエチルアミン(28mg、0.28mmol)及びPd(PhP)(15mg、10%触媒)と混合した。反応混合物をマイクロ波反応器中で100℃(100ワット)で10分間加熱し、1M−NaOH、食塩水に分配し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。粗生成物を分取用遠心分離クロマトグラフィー(SiO,ヘキサン−EtOAc)により精製し、シアノベンジルオレフィン中間体を得た。この物質(25mg、0.079mmol)を水(1mL)及びイソプロパノール(2mL)に希釈し、濁りのある混合物をアジ化ナトリウム(10mg、0.16mmol)とZnBr(26mg、0.12mmol)で処理した。不均一な反応混合物を16時間還流し、室温まで冷却し、濃HClでpH2の酸性とし、EtOAcで抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。次いでベンジル保護オレフィン中間体(17mg、0.047mmol)をメタノール(2mL)中に希釈し、濁りのある混合物に濃HClを滴下して均一とした。触媒Pd−C(10重量%)を加え、反応混合物を1気圧の水素ガス(風船)下で48時間、激しく攪拌した。反応混合物を濾過し、減圧濃縮して、所望の生成物を得た。
H−NMR(CDOD,500MHz)δ7.37(m,2H),7.05(m,2H),4.28(m,1H),3.33(m,2H),2.94(m,2H);LCMS m/z271(M+H)。
【0140】
(実施例2〜19)
以下の化合物は、実施例1に記載し、反応工程図3で説明した条件と同様の条件下で調製した。実施例2を除きこれらの例ではすべてパラジウムカップリング反応を容易にするために、マイクロ波反応器を利用した。実施例2では、塩基としてリン酸カリウムを使用し、加熱条件(85℃、2時間)で実施した。
【0141】
【表10】

【0142】
【表11】

【0143】
【表12】

【0144】
選択した実施例のH−NMR:
実施例2
(500MHz,CDOD)δ2.95(m,2H),3.40(m,2H),4.27(m,1H),7.20−7.40(m,5H)。
実施例3
(500MHz,CDOD)δ2.95(m,2H),3.40(m,2H),4.45(bd,1H),7.05−7.40(m,4H)。
実施例4
(500MHz,CDOD)δ2.29(s,3H),2.95(m,2H),3.30(m,2H),4.25(m,1H),7.05(m,1H),7.20(m,3H)。
実施例5
(500MHz,CDOD)δ2.99(m,2H),3.36(m,2H),4.35(m,1H),7.55(d,2H),7.65(d,2H)。
実施例6
(500MHz,CDOD)δ3.00(m,2H),3.40(m,2H),4.70(bm,1H),7.20−7.60(m,4H)。
実施例7
(500MHz,CDOD)δ2.90(bm,2H),3.40(m,2H),4.30(m,1H),7.40(m,3H)。
実施例8
(500MHz,CDOD)δ2.90(bm,2H),3.40(bm,2H),4.30(bs,1H),6.81(bt,1H),6.96(bd,2H)。
実施例9
(500MHz,CDOD)δ2.95(m,2H),3.40(m,2H),4.40(m,1H),7.00(m,1H),7.10(m,2H)。
実施例10
(500MHz,CDOD)δ3.05(m,2H),3.20(m,2H),4.64(m,1H),6.99(t,2H),7.31(m,1H)。
実施例11
(500MHz,CDOD)δ3.05(m,2H),3.21(m,2H),4.64(m,1H),6.99(bt,2H),7.31(m,1H)。
実施例12
(500MHz,CDOD)δ3.00(m,2H),3.15(s,3H),3.40(m,2H),4.43(bm,1H),7.65(t,1H),7.76(d,1H),7.87(d,1H),7.96(s,1H)。
実施例13
(500MHz,CDOD)δ3.00(m,2H),3.40(m,2H),4.70(bm,1H),7.40(m,1H),7.60−7.70(m,3H)。
実施例15
(500MHz,CDOD)2種類の明瞭な回転異性体δ2.95(m,2H),3.40(m,2H),4.42(m,1H),6.90−7.77(m,3H)。
実施例16
(500MHz,CDOD)δ1.25(d,6H),2.95(m,3H),3.40(m,2H),4.20(m,1H),7.18(d,2H),7.26(d,2H)。
実施例17
(500MHz,CDOD)δ2.90(m,2H),3.40(m,2H),4.25(m,1H),7.40(bq,4H)。
実施例18
(500MHz,CDOD)δ2.40(s,3H)2.90(m,2H),3.30(m,2H),4.51(m,1H),7.20(m,3H),7.30(d,1H)。
実施例19
(500MHz,CDOD)δ2.95(m,2H),3.40(m,2H),4.30(bm,1H),7.40(m,4H)。
【0145】
(実施例20)
【0146】
【化19】

【0147】
中間体B(0.05g、0.1mmol)のDME(1.5mL)溶液に、3−フリルホウ酸(13.4mg、0.12mmol)、トリエチルアミン(42μL、0.2mmol)及びテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)(0.01mmol、11mg)を加えた。得られた混合物は、マイクロ波により100℃で10分間、加熱した。反応混合物をそのままバイオテージクァッド3 12Mカラムに付し、15%酢酸エチル/ヘキサンで溶出して、所望の化合物(36mg)を得た。このトルエンスルホンアミド(36mg、0.13mmol)のTHF(1mL)溶液に、TBAF(100μL、1.0M溶液)を加え、得られた混合物を封管中、80℃で1時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却し、そのままバイオテージクァッド3 12Mカラムに付し、30%酢酸エチル/ヘキサンで溶出して、所望の化合物を得た。このtert−ブチルエステルのDCM(3mL)溶液に、TFA(3mL)を加え、得られた反応液を室温で3時間攪拌した。反応混合物を減圧濃縮し、バイオテージクァッド3上、50%酢酸エチル/ヘキサン及び15%MeOH/酢酸エチル/0.2%HOAcを用いて精製し、所望の化合物を得た。このオレフィン混合物(12mg、0.05mmol)のMeOH(5mL)溶液に、濃HCl(2滴)を加え、次いでPd/Cを加えた。得られた混合物をH風船下に16時間攪拌した。反応混合物をセライトで濾過し、濾液を減圧濃縮し、逆相HPLC(ギルソン)により精製して、所望の化合物を得た。LCMS m/z219(M+H)。
【0148】
(実施例21〜31)
以下の化合物は、上記実施例20に記載し、反応工程図4にて説明した条件と同様の条件下で調製した。反応工程の順序は、オレフィンの還元とt−ブチル開裂に関して、逆順であってもよい。N−トルエンスルホンアミド保護基のTBAF脱保護は、水性LiOHでも実施可能であり、また水素化の工程は、Pd−C又は水酸化パラジウム(パールマンの触媒)のいずれも触媒される。実施例28のピリミジンは、N−トルエンスルホンアミド保護基なしで合成した。
【0149】
【表13】

【0150】
【表14】

【0151】
選択した実施例のH−NMR:
実施例21
(500MHz,DMSO−d)δ2.90(m,2H),3.10(m,2H),4.10(m,1H),7.20−7.30(m,5H)。
実施例25
(500MHz,CDOD)δ2.20(s,3H),2.90(m,2H),3.20(m,2H),4.15(m,1H),6.95(s,1H),7.15(s,1H)。
実施例26
(500MHz,DMSO−d)δ2.15(s,3H),2.85(m,2H),3.20(m,2H),4.20(m,1H),6.80(s,1H),6.95(s,1H)。
実施例27
(500MHz,DMSO−d)δ2.40(s,3H),2.70(m,2H),3.20(m,2H),4.10(m,1H),6.60(s,1H),6.70(s,1H)。
実施例28
(500MHz,CDOD)δ2.90(m,2H),3.40(m,2H),4.10(m,1H),8.80(s,2H),9.05(s,1H)。
実施例29
(500MHz,DMSO−d)δ2.80(m,2H),3.20(m,2H),4.20(m,1H),7.30(t,1H),7.95(t,1H),8.10(d,1H)。
実施例30
(500MHz,DMSO−d)δ2.80(m,2H),3.20(m,2H),4.10(m,1H),7.10(dd,1H),7.98(t,1H),8.20(s,1H)。
実施例31
(500MHz,DMSO−d)δ2.75(m,2H),3.05(m,2H),3.91(s,3H),4.10(m,1H),6.90(dd,1H),7.60(d,1H),8.05(d,1H)。
【0152】
(実施例32)
【0153】
【化20】

【0154】
市販品として入手し得るシクロペンテノン(1mL、12.3mmol)をHOAc(123mL)中で、2,3,5−トリフルオロフェニルホウ酸(2.6g、14.8mmol)、酢酸ナトリウム(2g、24.6mmol)、酢酸パラジウム(276mg、1.23mmol)、及びSbCl(280mg、1.23mmol)と混合した。反応混合物を18時間攪拌し、減圧濃縮し、塩化メチレン中に希釈し、セライトで濾過し、減圧濃縮した。粗生成物を分取用遠心分離クロマトグラフィー(SiO、20%EtOAc−ヘキサン)により精製して、ベータ−置換エノン中間体を得た。この物質(1.5g、4.8mmol)をエタノール(100mL)中に希釈し、カリウムtert−ブトキシド(1M−t−BuOH、5.3mL、5.3mmol)及びシュウ酸ジエチル(778mg、5.3mmol)で処理し、その後、無色の反応混合物が赤に変色した。反応混合物を1時間放置し、LCMSでモニターし、次いで、ヒドラジン−塩酸塩(361mg、5.3mmol)で処理した。反応混合物を15時間放置し、減圧下に濃縮し、EtOAc−水(1:1)で希釈し、有機層を分離し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧濃縮した。残渣を分取用遠心分離クロマトグラフィー(SiO、50%EtOAc−ヘキサン)により精製して、オレフィン性ピラゾールエチルエステルを得た。
【0155】
オレフィン中間体をエタノール−水(7:1、0.1M)中、ギ酸アンモニウム(5当量)、ギ酸(4当量)、及びPd−C(1当量)で処理して還元した。反応混合物を再封管可能な加圧チューブ中、85℃で12時間加熱し、次いで、冷却、濾過、減圧濃縮し、水及びEtOAcに分配し、有機層を分離し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧濃縮した。粗エステル(63mg、0.203mmol)を水−THF(1:1、2mL)に希釈し、LiOH(14.5mg、0.609mmol)で処理した。反応混合物を18時間放置し、少量の水に減圧濃縮し、pH2に酸性化し、EtOAcで抽出して、その有機画分を無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をギルソンシステム上の分取逆相HPLCにより精製し、所望の生成物を得た。
H−NMR(CDOD,500MHz)2種の明瞭な回転異性体(メジャー)δ7.03(m,1H),6.97(m,1H),4.37(m,1H),3.25(m,2H),2.89(m,2H)及び(マイナー)δ6.97(m,1H),6.52(m,1H),4.69(dd,1H),3.25(m,2H),2.89(m,2H);LCMS m/z265(M+H)。
【0156】
(実施例33)
【0157】
【化21】

【0158】
上記実施例32からのエチルエステル中間体(1.5g、4.87mmol)を水酸化アンモニウム(0.05M)及びジオキサン(0.30M)に希釈し、反応混合物を再封管可能な加圧チューブ中で12時間攪拌した。混合物を減圧濃縮し、澄明な粗カルボキサミド中間体を得た。このカルボキサミド(400mg、1.51mmol)をTHF(10mL)に希釈し、トリエチルアミン(0.5mL、3.5mmol)と混合し、混合物を−5℃に冷却し、次いで、トリフルオロ酢酸無水物(0.5mL、3.5mmol)で処理した。反応混合物を2時間室温に維持し、飽和重炭酸ナトリウム水で反応停止し、濃縮して、水および塩化メチレンに分配し、その有機画分を無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧濃縮した。このニトリル中間体(67mg、0.25mmol)をアジ化ナトリウム(33mg、0.51mmol)及びZnBr(57mg、0.25mmol)と混合し、イソプロパノール−水(10:1)(1.1mL)で希釈した。反応混合物を再封管可能な加圧チューブ中で85℃で24時間加熱し、冷却し、濃縮、濾過し、ギルソンシステム上の分取逆相HPLCにより精製し、所望の生成物を得た。
H−NMR(CDOD,500MHz)2種の明瞭な回転異性体(主部)δ7.04(m,1H),6.96(m,1H),4.53(m,1H),3.37(m,2H),2.99(m,2H)及び(マイナー)δ6.96(m,1H),6.45(m,1H),4.83(m,1H),3.27(m,2H),2.92(m,2H);LCMS m/z307(M+H)。
【0159】
(実施例34)
【0160】
【化22】

【0161】
中間体C(100mg、0.232mmol)のDME(1.5mL)溶液に、フェニルホウ酸(34mg、0.279mmol)、トリエチルアミン(97μL、0.70mmol)及びテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)(13mg、0.012mmol)を加えた。得られた混合物をマイクロ波で、100℃で10分間加熱した。反応混合物を減圧濃縮し、溶出液として40%酢酸エチル−ヘキサンを用いる分取用TLCプレートにより精製して、所望の化合物を黄色油として得た。このエチルエステル(62mg、0.172mmol)のジオキサン(3mL)溶液に、1N−NaOH(1.74mL)を加えた。反応混合物を室温で一夜攪拌した後、減圧濃縮してジオキサンを除去した。残渣を1N−HClで酸性とした。得られた混合物を酢酸エチルで抽出し、食塩水で洗浄し、無水NaSOで乾燥した。この溶液を濾過し、減圧濃縮して固体を得た。このオレフィン(34mg、0.102mmol)のメタノール(1.5mL)溶液に、濃HCl(300μL)およびPd/Cを加えた。得られた混合物を水素風船下で4時間攪拌した。触媒をセライトで濾過した。濾液を減圧濃縮し、逆相HPLC(ギルソン)により精製して、所望の化合物を黄色固体として得た。LCMS m/z343(M+H)。
【0162】
(実施例35)
【0163】
【化23】

【0164】
中間体D(75mg、0.152mmol)のDME(1.5mL)溶液に、3,5−ジフルオロ−フェニルホウ酸(29mg、0.182mmol)、トリエチルアミン(64μL、0.46mmol)及びテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)(9mg、0.008mmol)を加えた。得られた混合物をマイクロ波で100℃で10分間加熱した。反応混合物を減圧濃縮し、溶出液として20%酢酸エチル−ヘキサンを用いる分取用TLCプレートにより精製して、所望の生成物を得た。このオレフィンのTHF/MeOH(2:1、3mL)溶液(55mg、0.12mmol)に、ギ酸アンモニウム(87mg、1.2mmol)、ギ酸(300μL)及びPd/Cを加え、反応液を加圧管中、80℃で48時間加熱した。反応混合物をセライトで濾過した。濾液を減圧濃縮し、酢酸エチルに再溶解した。有機層を水、飽和NaHCO溶液及び食塩水で洗浄した。有機層を無水NaSOで乾燥し、濾過、減圧濃縮した。この物質をさらに精製することなく、次工程で使用した。このエチルエステルのTHF/MeOH(1:1、2mL)溶液に、1N−LiOH(2mL)を加えた。得られた溶液を室温で18時間攪拌した。反応混合物を減圧濃縮し、有機溶媒を除去した。残渣を1N−HClで酸性化し、酢酸エチルで抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、無水NaSOで乾燥し、濾過、減圧濃縮した。残渣を逆相HPLC(ギルソン)により精製して、所望の化合物を得た。
H−NMR(500MHz,CDOD)δ1.95(m,1H),2.1(bd,1H),2.67(dd,1H),2.90(m,2H),3.10(m,1H),3.30(dd,1H),6.78(t,1H),6.93(d,2H);LCMS m/z 279(M+H)。
【0165】
(実施例36〜44)
以下の化合物は、上記実施例34及び35に記載し、反応工程図6にて説明した条件と同様の条件下で調製した。
【0166】
【表15】

【0167】
【表16】

【0168】
選択した実施例のH−NMR:
実施例36
(500MHz,CDOD)δ2.10(m,2H),2.80(m,3H),3.16(dd,1H),3.20(m,1H),7.10(m,3H)。
実施例37
(500MHz,CDOD)δ2.05(m,2H),2.60(d,1H)2.90(m,2H),3.20(dd,1H),3.46(bm,1H),7.19(t,1H),7.28(t,1H),7.40(t,2H)。
実施例39
(500MHz,CDOD)δ2.07(m,2H),2.78(m,3H),3.10(dd,1H),3.25(m,1H),7.04(t,1H),7.14(t,1H),7.23(q,1H),7.32(t,1H)。
実施例40
(500MHz,CDOD)δ2.05(m,2H),2.90(m,3H),3.20(d,2H),7.00(dd,2H)。
実施例41
(500MHz,CDOD)δ8.06(d,1H),7.89(t,1H),7.28(t,1H),3.19(m,2H),2.78(m,3H),2.09(m,2H)。
実施例42
(500MHz,CDOD)δ7.20(d,1H),6.92(m,2H),3.25(m,1H),2.80(m,4H),2.28(m,1H),1.96(m,1H)。
実施例43
(500MHz,CDOD)δ2.00(m,2H),2.68(dd,1H),2.80(m,2H),3.10(dd,1H),3.20(m,1H),6.95(m,1H),7.10(m,2H)。
実施例44
(500MHz,DMSO−d)δ2.07(m,2H),2.72−2.84(m,3H),3.12(m,1H),3.27(m,1H),7.00(t,1H),7.16(d,2H),7.35(q,1H)。
【0169】
(実施例45)
【0170】
【化24】

【0171】
n−BuLi(3.44mL、1.6M、5.5mmol)の無水EtO(20mL)攪拌溶液に、−78℃で、チアゾール(425mg、5mmol)のEtO(12.5mL)溶液を5分間かけて滴下した。反応混合物を−78℃で1時間攪拌した後、3−エトキシシクロペンテノン(630mg、5mmol)のEtO溶液を15分間で滴下した。反応液を室温までゆっくり昇温し、MeOH/2N−HCl(1:1)で反応停止した。得られた混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、無水NaSOで乾燥し、濾過、減圧濃縮した。残渣を40%酢酸エチル−ヘキサンを溶出液とするフラッシュクロマトグラフィー(バイオテージフラッシュ40M)により精製して、所望の化合物(400mg)を白色固体として得た。このシクロペンテノン(400mg、2.42mmol)の無水THF(20mL)溶液を、N気流下、−78℃に冷却し、LDA(1.27mL、2.0M)を加えた。15分後、二シュウ酸ジ−tert−ブチル(0.538g、2.66mmol)を加えた。反応液を室温までゆっくり昇温し、1時間攪拌し、1N−HClで反応停止した。得られた混合物を酢酸エチルで抽出し、食塩水で洗浄し、無水NaSOで乾燥し、濾過、減圧濃縮した。残渣を30%酢酸エチル−ヘキサンを溶出液とするフラッシュクロマトグラフィー(バイオテージ40M)により精製して、所望の化合物を得た。このジケトン(250mg、0.86mmol)のエタノール(10mL)溶液に、ヒドラジン(29μL)及び氷酢酸(1mL)を加えた。室温で一夜攪拌後、反応混合物を減圧濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(バイオテージ40M)により精製して所望の化合物を得た。このオレフィン(55mg、0.19mmol)のEtOAc(9mL)溶液に、EtOH(5mL)を加え、次いで、触媒量のPtOを加えた。反応液を水素風船下で48時間攪拌した。反応液をセライトで濾過し、40%酢酸エチル−ヘキサンを用いるフラッシュクロマトグラフィー(バイオテージフラッシュ20M)により精製した。次いで、この物質を50%TFA/DCM(2mL)で2時間処理した。反応混合物を減圧下に濃縮して、所望の化合物を得た。
H−NMR(500MHz,CDOD)δ3.05(m,2H),3.40(m,2H),4.50(m,1H),7.50(s,1H),7.80(s,1H);LCMS m/z236(M+H)。
【0172】
(実施例46〜50)
以下の化合物は、上記実施例45に記載し、反応工程図7にて説明した条件と同様の条件下で調製した。実施例46のシクロヘキシルは、3−エトキシ−シクロペンテノンへの塩化シクロヘキシルマグネシウムのグリニヤールによる付加を経て調製した。この3−(シクロヘキシル)−シクロペンテノンは、シュウ酸ジエチルアシル化、ピラゾール形成、エチルエステルのLiOH鹸化及び最後にオレフィンの水素化などを含む、反応工程図7に示すのと同様の転換反応を経て実施した。実施例47及び49は、それぞれ2−ブロモピリジンとn−ブチルリチウムとのリチウム−ハロゲン化物交換、及び2−クロロピラジンとリチウムテトラメチルピペリジニルアミドとの交換を介して合成した。実施例49の3−(ピラジニル)−シクロペンテノン中間体は、シュウ酸ジエチルアシル化、ピラゾール形成、水素化及び最後にエチルエステルのLiOH鹸化を含む、反応工程図7に示すのと同様の転換反応を経て実施した。実施例48を生成するN−メチルピラゾールのアルファ−リチウム化については、テトラヘドロン、1983,39(12),2023を参照されたい。実施例50は、3−ピリジルグリニヤール試薬を生成させるために、塩化イソプロピルマグネシウムとのメタ−ブロモピリジン交換を介して合成した。
【0173】
【表17】

【0174】
選択した実施例のH−NMR:
実施例47
(500MHz,DMSO−d)δ2.90(m,2H),3.00(m,2H),4.10(m,1H),7.20(dd,1H),7.35(d,1H),7.70(t,1H),8.50(d,1H)。
実施例48
(500MHz,DO)主回転異性体、δ7.94(s,1H),6.55(s,1H),4.39(m,1H),4.05(s,3H),3.37(m,2H),2.94(m,2H)。
実施例49
(500MHz,CDOD)δ3.05(m,2H),3.20(m,1H),3.40(m,1H),4.35(m,1H),8.45(d,1H),8.57(t,1H),8.61(d,1H)。
実施例50
(500MHz,CDOD)δ8.55(s,1H),8.40(d,1H),7.81(d,1H),7.40(m,1H),4.10(m,1H),3.35(dd,1H),3.20(dd,1H),2.90(dd,1H),2.80(dd,1H)。
【0175】
(実施例51)
【0176】
【化25】

【0177】
市販品として入手し得るシクロペンテノン(2mL、24.7mmol)をクロロホルム(10mL)中でピラゾール(3.3g、49.4mmol)と混合し、再封管可能な加圧チューブに入れた。反応混合物を50℃で24時間加温し、冷却、濃縮し、分取遠心分離クロマトグラフィー(SiO、EtOAc−ヘキサン)により精製して、ベータ−置換シクロペンタノン中間体を得た。反応工程図5に示すように、実施例32と同様の方法で、この物質をエタノール中、カリウムtert−ブトキシド及びシュウ酸ジエチルで処理し、次いでヒドラジン塩酸塩で処理した。同様の方法でエチルエステル中間体を鹸化し(ただし、LiOHの代わりにNaOHを使用した)、残渣をギルソンシステム上の分取逆相HPLCにより精製して、所望の生成物を得た。
H−NMR(CDOD,500MHz)δ8.14(m,1H),8.02(m,1H),6.61(m,1H),5.85(m,1H),3.59(m,2H),3.28(m,2H);LCMS m/z219(M+H)。
【0178】
(実施例52)
【0179】
【化26】

【0180】
実施例52は、上記実施例51に記載し、反応工程図7にて説明した条件と同様の条件下で、1,2,3−トリアゾールから調製した。
H−NMR(500MHz,CDOD)δ3.20(m,2H),3.50(m,2H),5.90(m,1H),7.72(d,2H);LCMS m/z220(M+H)。
【0181】
(実施例53)
【0182】
【化27】

【0183】
文献(Can.J.Chem.1982,60,210)に記載されている3−ヨード−シクロペンテノン(50mg、0.16mmol)を、反応工程図7に示す市販入手可能なホウ酸エステル(65mg、0.31mmol)及びリン酸カリウム(166mg、0.78mmol)と、DME(10mL)中で混合した。反応混合物をPd(dppf)Cl(0.031mmol)で処理し、100℃で14時間加熱した。次いで、反応混合物を冷却し、濃縮し、分取用遠心分離クロマトグラフィー(SiO、EtOAc−ヘキサン)により精製して、ベータ−置換シクロペンテノン中間体を得た。反応工程図5に示すように、実施例32と同様の方法で、この物質をエタノール中、カリウムtert−ブトキシド及びシュウ酸ジエチルで処理し、次いでヒドラジン塩酸塩で処理してオレフィン性ピラゾールエチルエステルを得た。このオレフィンエステル中間体をギ酸アンモニウム、ギ酸、Pd−Cで処理して還元し、同様の条件で水性NaOHにより鹸化した。残渣をギルソンシステム上、分取逆相HPLCにより精製して、所望の生成物を得た。
H−NMR(CDOD,500MHz)δ7.59(s,1H),7.51(s,1H),4.03(m,1H),3.88(s,3H),3.25(dd,1H),3.17(dd,1H),2.77(m,2H);LCMS m/z233(M+H)。
【0184】
(実施例54)
【0185】
【化28】

【0186】
市販入手可能な3−カルボキシ−シクロペンタノン(100mg、0.78mmol)をベンゼン(20mL)中に希釈し、塩化チオニル(0.093mL、0.78mmol)で処理し、その反応混合物を2時間加熱還流した。次いで、混合物を濃縮し、塩化メチレン(20mL)で希釈し、0℃に冷却し、プロパルギルアミン(78mg、0.86mmol)、次いでトリエチルアミン(0.33mL、2.3mmol)を添加した。反応混合物を12時間熟成し、次いで飽和重炭酸ナトリウム水で分配し、有機画分を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。残渣を分取用遠心分離クロマトグラフィー(SiO、EtOAc−ヘキサン)により精製して、ベータ−アミド中間体を得た。このプロパルギルアミド(594mg、3.6mmol)をHOAc(10mL)中に希釈し、Hg(OAc)(37mg、0.12mmol)で処理し、2時間加熱還流した。次いで、反応混合物を冷却し、濾過、濃縮し、飽和重炭酸水及び塩化メチレンに分配した。有機画分を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮し、残渣を分取用遠心分離クロマトグラフィー(SiO、EtOAc−ヘキサン)により精製して、ベータ−オキサゾール中間体(90mg)を得た。反応工程図5に示すように、実施例32と同様の方法で、この物質をエタノール中、カリウムtert−ブトキシド及びシュウ酸ジエチルで処理し、次いで、ヒドラジン塩酸塩で処理してピラゾールエチルエステルを得た。このエステル中間体を同様に水性NaOHで鹸化した。残渣を、ギルソンシステム上、分取逆相HPLCにより精製して、所望の生成物を得た。
H−NMR(CDOD,500MHz)δ6.71(s,1H),4.26(m,1H),3.25(m,2H),3.10(dd,2H),2.32(s,3H);LCMS m/z234(M+H)。
【0187】
(実施例55)
【0188】
【化29】

【0189】
−78℃に冷却したヘキサブチル−ジスタンナン(5.8g、10mmol)の無水THF溶液に、窒素気流下、nBuLi(6.25mL、1.6M、10mmol)を加えた。1時間後、3−エトキシ−シクロペンテノン(1.26g、10mmol)のTHF(5mL)溶液を滴下した。反応液を−78℃で1時間攪拌し、次いで飽和塩化アンモニウム溶液に注いで反応停止した。得られた混合物を酢酸エチルで抽出し、食塩水で洗浄し、無水NaSOで乾燥した。有機層を濾過し、減圧濃縮して黄色油を得た。この物質を10%酢酸エチル−ヘキサンを用いるフラッシュクロマトグラフィー(SiO)により精製して、所望のスタンナンを無色の油として得た。
【0190】
−78℃に冷却した2,4−ジブロモチアゾール(1.0g、4.11mmol)の無水エーテル(50mL)溶液に、窒素気流下、nBuLi(3.08mL、4.94mmol、1.6M溶液)を加えた。−78℃で1時間攪拌した後、クロロトリメチルシラン(0.57mL、4.52mmol)を加えた。反応液を−78℃でさらに1時間攪拌し、飽和NaHCO溶液を加えて反応停止した。得られた混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、無水NaSOで乾燥し、濾過、減圧濃縮した。残渣を10%酢酸エチル−ヘキサンを用いるフラッシュクロマトグラフィー(SiO)により精製して、所望のTMS−ブロモチアゾールを無色油として得た。
【0191】
スタンナン中間体と臭化物中間体の2つの結合は、反応工程図9に示すように、以下のとおり行った。シクロペンテノンスタンナン(390mg、1.05mmol)とTMS−ブロモチアゾール(206mg、0.87mmol)のトルエン(5mL)溶液に、ジクロロパラジウム(ビストリフェニルホスフィン)を加えた。得られた混合物を18時間加熱還流した。反応液を室温に冷却した。KF飽和溶液(5mL)を加え、得られた混合物を1時間激しく攪拌した。反応混合物をセライトで濾過した。濾液を、水、食塩水で洗浄し、無水NaSOで乾燥し、濾過、減圧濃縮した。残渣を40%酢酸エチル−ヘキサンを用いるフラッシュクロマトグラフィー(SiO)により精製して、所望の生成物を得た。このベータ−置換シクロペンテノン(67mg、0.28mmol)の無水エタノール(5mL)溶液に、シュウ酸ジエチル(38μL、0.28mmol)及びカリウム−t−ブトキシド(282μL、0.28mmol、1.0M/THF)を加えた。室温で2時間攪拌した後、ヒドラジン塩酸塩(23mg、0.338mmol)の水(0.5mL)溶液を加えた。反応液を室温で16時間攪拌し、次いで15分間加熱還流した。反応混合物を減圧濃縮した。残渣を酢酸エチルで希釈し、水、飽和NaHCO溶液で洗浄し、濾過、減圧濃縮して、所望の生成物を単一の二重結合異性体として得た。このオレフィン(12mg、0.045mmol)のEtOAc/EtOH(2.8:1,2mL)溶液に、Pd(OH)(5mg)を加え、反応液を水素風船下に4時間攪拌した。反応混合物をセライトで濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、60%酢酸エチル−ヘキサンを用いるフラッシュクロマトグラフィー(SiO)により精製して、所望の生成物を得た。このエチルエステルのTHF/MeOH(1:1)(2mL)溶液に、1N−NaOH(0.5mL)を加えた。反応液を室温で16時間攪拌後、1N−HCl(0.5mL)を加えて酸性化した。得られた混合物を逆相HPLCにより精製して所望の生成物を得た。
H−NMR(500MHz,CDOD)δ3.00(m,2H),3.30(m,2H),4.40(m,1H),7.40(s,1H),9.10(s,1H);LCMS m/z236(M+H)。
【0192】
DP実施例1
[5−[(4−クロロフェニル)チオ]−4−(メチルスルホニル)−6,7,8,9−テトラヒドロピリド[3,2−b]インドリジン−6−イル]酢酸(化合物G)
【0193】
【化30】

【0194】
工程1:4−クロロニコチンアルデヒド
標題化合物を文献(F.Marsais et al.,J.Heterocyclic Chem.,25,81(1988))記載どおりに調製した。
工程2:4−(メチルチオ)ニコチンアルデヒド
NaSMe(9.5g、135mmol)のMeOH(250mL)溶液に、工程1の4−クロロニコチンアルデヒド(13.5g、94.4mmol)のMeOH(250mL)溶液を加えた。反応混合物を60℃で15分間維持した。反応混合物をNHClおよびEtOAcに注いだ。有機層を分離し、HOで洗浄し、NaSOで乾燥した。次いで化合物をシリカゲル上、50%EtOAc/ヘキサンにより精製し、標題化合物を得た。
【0195】
工程3:(2Z)−2−アジド−3−[4−(メチルチオ)ピリジン−3−イル]プロパン−2−エン酸メチル
4−(メチルチオ)ニコチンアルデヒド(4.8g、31mmol)及びアジド酢酸メチル(9.0g、78mmol)のMeOH(50mL)溶液を、25%NaOMe/MeOH溶液(16.9mL、78mmol)中に−12℃で加えた。30分間の添加の間、内部温度をモニターし、−10℃〜−12℃に維持した。次いで、得られた混合物を氷浴中で数時間攪拌し、次いで低温室中、氷浴中で一夜攪拌した。次いで、懸濁液を氷及びNHClの混合物に注ぎ、10分間攪拌後、スラリーを濾過した。生成物を冷HOで洗浄し、次いで真空乾燥し、標題化合物を一部塩を含むベージュ色固体として得た。次いでこの化合物を、シリカゲル上、EtOAcで精製した。
【0196】
工程4:4−(メチルチオ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−カルボン酸メチル
工程3の化合物(0.40g、1.6mmol)のキシレン(16mL)懸濁液を140℃までゆっくり加熱した。140℃で15分間経過後、黄色の溶液を室温に冷却した。窒素形成による発熱の可能性があるので注意しなければならない。次いで、懸濁液を0℃に冷却し、濾過し、キシレンで洗浄して標題化合物を得た。
【0197】
工程5:4−(メチルチオ)−6−オキソ−6,7,8,9−テトラヒドロピリド[3,2−b]インドリジン−7−カルボン酸エチル
工程4の化合物(0.35g、1.6mmol)のDMF(20mL)溶液に、0℃でNaH(1.2当量)を加えた。5分経過後、nBuNI(0.10g)及び4−ブロモ酪酸エチル(0.40mL)を加えた。室温で1時間経過後、反応混合物を飽和NHCl及びEtOAc上に注いだ。有機層を分離し、HOで洗浄し、NaSOで乾燥した。蒸発後、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。次いで、このビスエステルをTHF(7.0mL)に溶かし、1.06Mのカリウムtert−ブトキシド/THF溶液(2.2mL)を0℃で加えた。室温で1時間経過後、反応混合物を飽和NHCl及びEtOAc上に注いだ。有機層を分離し、NaSOで乾燥し、減圧下で蒸発させて、標題化合物をエチルエステルとメチルエステルの混合物として得た。
【0198】
工程6:4−(メチルチオ)−8,9−ジヒドロピリド[3,2−b]インドリジン−6(7H)−オン
工程5の化合物(0.32g)にEtOH(8.0mL)及び濃HCl(2.0mL)を加えた。得られた懸濁液を5時間還流した。反応混合物をEtOAcとNaCOに分配した。有機層を分離し、蒸発させて標題化合物を得た。
【0199】
工程7:(2E,2Z)−[4−(メチルチオ)−8,9−ジヒドロピリド[3,2−b]インドリジン−6(7H)−イリデン]エタン酸エチル
ホスホノ酢酸トリエチル(0.45g、2.17mmol)のDMF溶液(12mL)に、80%NaH(0.06g、2.00mmol)及び工程6の化合物(0.22g、1.00mmol)を加えた。55℃で4時間経過後、反応混合物を飽和NHCl及びEtOAcに注いだ。有機層を分離し、減圧下で蒸発させた。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物を得た。
【0200】
工程8:[4−(メチルチオ)−6,7,8,9−テトラヒドロピリド[3,2−b]インドリジン−6−イル]酢酸エチル
工程7の化合物を溶解のために加熱しながら、MeOH−THFに溶かした。あらかじめ冷却した溶液に室温でPtOを加え、得られた混合物を大気圧の水素下に18時間保持した。反応混合物をCHClによりセライトで注意深く濾過した。濾液を減圧下で蒸発させて標題化合物を得た。別法として、工程7の化合物は、EtOAc中、Pd(OH)により40PSIのH圧下、18時間水素化することができる。
【0201】
工程9:[4−(メチルスルホニル)−6,7,8,9−テトラヒドロピリド[3,2−b]インドリジン−6−イル]酢酸エチル
工程8の化合物(0.08g、0.27mmol)のMeOH(3.0mL)溶液に、NaWO(0.10g)及び30%H(600μL)を加えた。1時間経過後、反応混合物をHOおよびEtOAcに分配した。有機層をHOで洗浄し、分離し、蒸発させた。標題化合物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。
【0202】
工程10:[5−[(4−クロロフェニル)チオ]−4−(メチルスルホニル)−6,7,8,9−テトラヒドロピリド[3,2−b]インドリジン−6−イル]酢酸エチル
4,4’−ジクロロジフェニルジスルフィド(0.24g)の1,2−ジクロロエタン溶液(2.0mL)に、SOCl(50μL)を加えた。DMF(2.0mL)中、工程9の化合物(0.05g)に先の混合物(〜180μL)を加えた。反応はH−NMRで追跡し、出発原料が残らなくなるまで室温で保持した。反応混合物を飽和NaHCOとEtOAcに注いだ。有機層を分離し、蒸発させ、標題化合物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。
【0203】
工程11:5−[(4−クロロフェニル)チオ]−4−(メチルスルホニル)−6,7,8,9−テトラヒドロピリド[3,2−b]インドリジン−6−イル]酢酸
THF−MeOH(1:1)混合物に溶かした工程10の化合物に、1N−NaOHを加えた。室温で18時間経過後、反応混合物を飽和NHCl及びEtOAcに分配した。有機層を分離し、NaSOで乾燥し、蒸発させて標題化合物を得た。
H−NMR(500MHz,アセトン−d)δ11.00(bs,1H),8.60(d,1H),7.80(d,1H),7.20(d,2H),7.00(d,2H),4.65(m,1H),4.20(m,1H),3.75(m,1H),3.35(s,3H),2.80ないし2.10(m,6H)。
【0204】
DP実施例2
5−[(4−クロロフェニル)チオ]−4−(メチルチオ)−6,7,8,9−テトラヒドロピリド[3,2−b]インドリジン−6−イル]酢酸(化合物H)
【0205】
【化31】

【0206】
標題化合物は、実施例1の工程10及び11に記載の方法と同様の方法で、実施例1、工程8の化合物から調製し得る。m/z418。
【0207】
DP実施例3
5−[(3,4−ジクロロフェニル)チオ]−4−(メチルスルホニル)−6,7,8,9−テトラヒドロピリド[3,2−b]インドリジン−6−イル]酢酸(化合物I)
【0208】
【化32】

【0209】
標題化合物は、実施例1に記載したように、工程10のビス(3,4−ジクロロフェニル)ジスルフィドを用いて調製した。
H−NMR(500MHz,アセトン−d)δ8.55(d,1H),7.85(d,1H),7.35(d,1H),7.15(s,1H),6.95(d,1H),4.60(m,1H),4.15(m,1H),3.80(m,1H),3.40(s,3H),2.80ないし2.10(m,6H)。m/z484。
【0210】
エナンチオマーはキラルセルODカラム(25cm×20mm)上、30%イソプロパノール、17%エタノール、0.2%酢酸/ヘキサンを用いて、流速8ml/分で分離した。それらの純度はキラルセルODカラム(25cm×4.6mm)上、35%イソプロパノール、0.2%酢酸/ヘキサンを用いて、流速1.0ml/分で検証した。移動度の大きいエナンチオマーTr=9.7分、移動度の小さいエナンチオマーTr11.1分。
【0211】
DP実施例4
[5−(4−クロロベンゾイル)−4−(メチルスルホニル)−6,7,8,9−テトラヒドロピリド[3,2−b]インドリジン−6−イル]酢酸(化合物J)
【0212】
【化33】

【0213】
工程1:[5−(4−クロロベンゾイル)−4−(メチルチオ)−6,7,8,9−テトラヒドロピリド[3,2−b]インドリジン−6−イル]酢酸エチル
塩化4−クロロベンゾイル(0.30g、1.7mmol)の1,2−ジクロロエタン(6.0mL)溶液に、AlCl(0.24g、1.8mmol)を加えた。5分経過後、実施例1工程8からの[4−(メチルチオ)−6,7,8,9−テトラヒドロピリド[3,2−b]インドリジン−6−イル]酢酸エチル(0.15g、0.47mmol)の1,2−ジクロロエタン(6.0mL)溶液を先の混合物に加えた。80℃で4時間経過後、反応混合物をEtOAc及びNaHCOに分配した。有機層を分離し、NaSOで乾燥し蒸発させた。標題化合物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。
【0214】
工程2:[5−(4−クロロベンゾイル)−4−(メチルスルホニル)−6,7,8,9−テトラヒドロピリド[3,2−b]インドリジン−6−イル]酢酸エチル
[5−(4−クロロベンゾイル)−4−(メチルチオ)−6,7,8,9−テトラヒドロピリド[3,2−b]インドリジン−6−イル]酢酸エチル(0.12g、0.27mmol)のMeOH(5.0mL)溶液に、NaWO(0.1g)及び30%H(300μL)を加えた。反応混合物を55℃で1時間攪拌した。次いで、反応混合物をHOとEtOAcに分配した。有機層をHOで洗浄し、NaSOで乾燥し、蒸発した。標題化合物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。
【0215】
工程3:[5−(4−クロロベンゾイル)−4−(メチルスルホニル)−6,7,8,9−テトラヒドロピリド[3,2−b]インドリジン−6−イル]酢酸
[5−(4−クロロベンゾイル)−4−(メチルスルホニル)−6,7,8,9−テトラヒドロピリド[3,2−b]インドリジン−6−イル]酢酸エチルを、実施例1工程11に記載のように処理し、標題化合物を得た。
H−NMR(500MHz,アセトン−d)δ8.55(d,1H),7.90(d,2H),7.65(d,1H),7.45(d,2H),4.55(m,1H),4.25(m,1H),3.45(m,1H),3.20(s,3H),2.05ないし3.00(m,6H)。m/z446。
【0216】
DP実施例5
[5−(4−ブロモフェニル)チオ]−4−(メチルスルホニル)−6,7,8,9−テトラヒドロピリド[3,2−b]インドリジン−6−イル]酢酸(化合物K)
【0217】
【化34】

【0218】
標題化合物を、実施例1に記載したように4,4’−ジブロモジフェニルジスルフィドを用いて調製した。
H−NMR(500MHz,アセトン−d)δ8.60(d,1H),7.80(d,1H),7.35(d,2H),7.00(d,2H),4.65(m,1H),4.20(m,1H),3.80(m,1H),3.35(s,3H),2.80ないし2.10(m,6H)。
【0219】
DP実施例6方法−1
[9−(3,4−ジクロロフェニル)チオ]−1−(メチルスルホニル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−b]ピロリジン−8−イル]酢酸(化合物L)
【0220】
【化35】

【0221】
工程1:2−(メチルチオ)ニコチンアルデヒド
標題化合物を、実施例1工程2に記載したように2−ブロモニコチンアルデヒド(A.Numata Synthesis 1999 p.306)から調製した。ただし、溶液は55℃に2時間加熱した。
【0222】
工程2:(2Z)−2−アジド−3−[2−(メチルチオ)ピリジン−3−イル]プロパン−2−エン酸メチル
標題化合物を、実施例1工程3に記載のように調製した。
【0223】
工程3:4−(メチルチオ)−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−2−カルボン酸メチル
(2Z)−2−アジド−3−[2−(メチルチオ)ピリジン−3−イル]プロパン−2−エン酸メチル(1.00g、4.00mmol)のメシチレン(50mL)溶液を、160℃で1時間加熱した。反応混合物を室温に、次いで0℃に冷却し、沈殿を濾取し、冷メシチレンで洗浄し標題化合物を得た。
【0224】
工程4:1−(メチルチオ)−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−b]ピロリジン−7−カルボン酸メチル
4−(メチルチオ)−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−2−カルボン酸メチル(0.30g、1.35mmol)のTHF(3mL)−トルエン(12.0mL)懸濁液に、カリウムtert−ブトキシドの1.06M−THF溶液(1.42mL/1.41mmol)及びアクリル酸メチル(300μL)を加えた。得られた混合物を80℃で18時間加熱した。混合物をEtOAc及びNHClに分配し、セライトで濾過した。有機層を分離し、NaSOで乾燥し、濾過して標題化合物とした。
【0225】
工程5:1−(メチルチオ)−6,7−ジヒドロ−8H−ピリド[3,4−b]ピロリジン−8−オン
1−(メチルチオ)−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−b]ピロリジン−7−カルボン酸メチルを、実施例1工程6に記載したように、標題化合物に変換した。
【0226】
工程6:[8−ヒドロキシ−1−(メチルチオ)−7,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−b]ピロリジン−8−イル]酢酸メチル
1−(メチルチオ)−6,7−ジヒドロ−8H−ピリド[3,4−b]ピロリジン−8−オン(0.15g、0.68mmol)、ブロモ酢酸メチル(0.34mL)、Zn−Cu(0.226g)のTHF(3.0mL)混合物を2時間超音波処理した。次いで、この混合物を、反応が完結するまで60℃で5分間加熱した。反応混合物をEtOAcおよびNHClに分配した。有機層を分離し、NaSOで乾燥し、濾過し、減圧下で蒸発させて標題化合物を得た。この化合物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。
【0227】
工程7:[1−(メチルチオ)−7,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−b]ピロリジン−8−イル]酢酸メチル
CHCN(3.2mL)中、NaI(0.300g)にTMSCl(0.266mL)を加えた。この混合物を、水浴中、[8−ヒドロキシ−1−(メチルチオ)−7,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−b]ピロリジン−8−イル]酢酸メチル(0.15g、0.515mmol)のCHCN(1.5mL)懸濁液に加えた。0.5時間経過後、反応混合物をEtOAc及びNaHCOに分配した。有機層を分離し、チオ硫酸ナトリウムで洗浄し、MgSOで乾燥し、蒸発した。標題化合物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。
【0228】
工程8:[1−(メチルスルホニル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−b]ピロリジン−8−イル]酢酸メチル
[1−(メチルチオ)−7,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−b]ピロリジン−8−イル]酢酸メチルを、実施例1工程9に記載のように標題化合物に変換した。
【0229】
工程9:[9−(3,4−ジクロロフェニル)チオ]−1−(メチルスルホニル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−b]ピロリジン−8−イル]酢酸
[1−(メチルスルホニル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−b]ピロリジン−8−イル]酢酸メチルを、実施例1工程10及び11に記載のように、工程10のビス(3,4−ジクロロフェニル)ジスルフィドを用いて標題化合物に変換した。
H−NMR(500MHz,アセトン−d)δ8.35(d,1H)7.80(d,1H),7.35(d,1H),7.15(s,1H),6.95(d,1H),4.55(m,1H),4.35(m,1H),3.90(m,1H),3.30(s,3H),3.15(m,1H),3.05(m,1H),2.80(m,1H),2.50(m,1H)。
【0230】
DP実施例6方法−2
[9−(3,4−ジクロロフェニル)チオ]−1−(メチルスルホニル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−b]ピロリジン−8−イル]酢酸
工程1:1−(メチルチオ)−7,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−b]ピロリジン−8−オール
実施例6方法−1工程5からの1−(メチルチオ)−6,7−ジヒドロ−8H−ピリド[3,4−b]ピロリジン−8−オン(0.55g、2.2mmol)のEtOH(10mL)−THF(1mL)懸濁液に、0℃でNaBH(0.10g、2.6mmol)を加えた。室温で30分経過後、アセトンを加えて反応を停止した。減圧下で溶媒を蒸発させ、残渣にEtOAc及びHOを加えた。有機層を分離し、MgSOで乾燥し、蒸発した。標題化合物をEtOAc/ヘキサンで洗浄し、濾取した。
【0231】
工程2:2−[1−(メチルチオ)−7,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−b]ピロリジン−8−イル]マロン酸ジメチル
1−(メチルチオ)−7,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−b]ピロリジン−8−オール(0.54g、2.1mmol)のTHF(10mL)懸濁液に、−78℃で、1M−NaHMDS/THF(2.35mL、2.4mmol)及びクロロリン酸ジフェニル(0.53mL,2.6mmol)を加えた。30分経過後、マロン酸ジメチル(0.73mL、6.4mmol)及び1M−NaHMDS/THF(6.8mL、6.8mmol)を加えた。反応混合物を0℃とし、次いで室温とした。次いで、混合物をEtOAcとNHClに分配した。有機層をMgSOで乾燥し、濾過、蒸発した。標題化合物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。
【0232】
工程3:[1−(メチルチオ)−7,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−b]ピロリジン−8−イル]酢酸メチル
2−[1−(メチルチオ)−7,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−b]ピロリジン−8−イル]マロン酸ジメチル(0.59g、2.17mmol)及びDMSO(4mL)の混合物に、NaCl(0.45g)のHO(0.45mL)溶液を加えた。150℃で18時間経過後、反応混合物をEtOAc及びHOに分配した。有機層を分離し、NaSOで乾燥し、蒸発した。次いで、標題化合物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。
【0233】
工程4:[9−(3,4−ジクロロフェニル)チオ]−1−(メチルスルホニル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−b]ピロリジン−8−イル]酢酸
標題化合物を、実施例6方法−1、工程8〜9に記載したように、[1−(メチルチオ)−7,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−b]ピロリジン−8−イル]酢酸メチルから得た。
【0234】
DP実施例7
[10−[(3,4−ジクロロフェニル)スルファニル]−1−(メチルスルホニル)−6,7,8,9−テトラヒドロピリド[3,4−b]インドリジン−9−イル]酢酸(化合物M)
【0235】
【化36】

【0236】
工程1:[1−(メチルスルホニル)−6,7,8,9−テトラヒドロピリド[3,4−b]インドリジン−9−イル]酢酸エチル
標題化合物を、実施例1工程5〜9に記載した方法と同じ方法で、実施例6工程3の生成物から調製した。
工程2:[10−[(3,4−ジクロロフェニル)スルファニル]−1−(メチルスルホニル)−6,7,8,9−テトラヒドロピリド[3,4−b]インドリジン−9−イル]酢酸
工程1の生成物を、実施例1、工程10〜11と同じ方法で、工程10のビス(3,4−ジクロロフェニル)ジスルフィドを用い、標題化合物に変換した。MS M+1=485。
【0237】
DP実施例8
{4−(メチルスルホニル)−5−{[4−(トリフルオロメチル)フェニル]チオ}−6,7,8,9−テトラヒドロピリド[3,2−b]インドリジン−6−イル]酢酸(化合物N)
【0238】
【化37】

【0239】
標題化合物を、実施例1に記載したようにビス[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ジスルフィドを用いて調製した。
H−NMR(500MHz,アセトン−d)δ8.55(d,1H),7.75(d,1H),7.45(d,2H),7.15(d,2H),4.55(m,1H),4.15(m,1H),3.80(m,1H),3.30(s,3H),2.80ないし2.10(m,6H)。m/z513(M+1)。
【0240】
DP実施例9
[5−[(2−クロロ−4−フルオロフェニル)チオ]−4−(メチルスルホニル)−6,7,8,9−テトラヒドロピリド[3,2−b]インドリジン−6−イル]酢酸(化合物O)
【0241】
【化38】

【0242】
標題化合物を、実施例1に記載したようにビス(2−クロロ−4−フルオロフェニル)ジスルフィドを用いて調製した。m/z469(M+1)。
【0243】
DP実施例10
[4−(メチルスルホニル)−5−(2−ナフチルチオ)−6,7,8,9−テトラヒドロピリド[3,2−b]インドリジン−6−イル]酢酸(化合物P)
【0244】
【化39】

【0245】
標題化合物を、実施例1に記載したようにジ(2−ナフチル)ジスルフィドを用いて調製した。m/z467(M+1)。
【0246】
DP実施例11
[5−[(2,3−ジクロロフェニル)チオ]−4−(メチルスルホニル)−6,7,8,9−テトラヒドロピリド[3,2−b]インドリジン−6−イル]酢酸(化合物Q)
【0247】
【化40】

【0248】
標題化合物を、実施例1に記載したようにビス(2,3−ジクロロフェニル)ジスルフィドを用いて調製した。
H−NMR(500MHz,アセトン−d)δ8.85(d,1H),7.80(d,1H),7.30(d,1H),7.00(t,1H),6.60(d,1H),4.60(m,1H),4.20(m,1H),3.80(m,1H),3.40(s,3H),2.80ないし2.10(m,6H)。
【0249】
DP実施例12
[5−[(4−メチルフェニル)チオ]−4−(メチルスルホニル)−6,7,8,9−テトラヒドロピリド[3,2−b]インドリジン−6−イル]酢酸(化合物R)
【0250】
【化41】

【0251】
標題化合物を、実施例1に記載したようにp−トリルジスルフィドを用いて調製した。
H−NMR(500MHz,アセトン−d)δ8.55(d,1H),7.80(d,1H),6.95(m,4H),4.60(m,1H),4.15(m,1H),3.80(m,1H),3.35(s,3H),2.80ないし2.10(m,6H)。
【0252】
DP実施例13
[4−(メチルスルホニル)−5−(フェニルチオ)−6,7,8,9−テトラヒドロピリド[3,2−b]インドリジン−6−イル]酢酸(化合物S)
【0253】
【化42】

【0254】
標題化合物を、実施例1に記載したようにジフェニルジスルフィドを用いて調製した。
H−NMR(500MHz,アセトン−d)δ8.55(d,1H),7.80(d,1H),7.15ないし6.90(m,5H),4.60(m,1H),4.15(m,1H),3.75(m,1H),3.30(s,3H),2.80ないし2.10(m,6H)。
【0255】
DP実施例14
[5−[(2,4−ジクロロフェニル)チオ]−4−(メチルスルホニル)−6,7,8,9−テトラヒドロピリド[3,2−b]インドリジン−6−イル]酢酸(化合物T)
【0256】
【化43】

【0257】
標題化合物を、実施例1に記載したようにビス(2,4−ジクロロフェニル)ジスルフィドを用いて調製した。該ジスルフィドは、エーテル中、Brを用いて2,4−ジクロロチオフェニルから調製した。
H−NMR(500MHz,アセトン−d)δ8.55(d,1H),7.85(d,1H),7.35(s,1H),7.00(d,1H),6.65(d,1H),4.55(m,1H),4.15(m,1H),3.80(m,1H),3.35(s,3H),2.80ないし2.10(m,6H)。
【0258】
DP実施例15
[5−[(4−クロロフェニル)チオ]−4−(メチルスルホニル)−6,7,8,9−テトラヒドロピリド[4,3−b]インドリジン−6−イル]酢酸(化合物U)
【0259】
【化44】

【0260】
標題化合物を、実施例1に記載したように3−クロロニコチンアルデヒド(Heterocycles p.151,1993)から調製した。ただし、末端環状化反応は、還流下、デカリンにアジドを付加することにより実施した。
H−NMR(500MHz,アセトン−d)δ9.20(s,1H),8.85(s,1H),7.20(d,2H),7.00(d,2H),4.70(m,1H),4.30(m,1H),3.75(m,1H),3.35(s,3H),2.80ないし2.10(m,6H)。
【0261】
DP実施例16
[9−[(4−クロロフェニル)チオ]−1−(メチルスルホニル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−b]ピロリジン−8−イル]酢酸(化合物V)
【0262】
【化45】

【0263】
標題化合物を、実施例6方法1工程8の生成物から、実施例1工程10及び11に概説した手法に記載したように、工程10のビス(4−クロロフェニル)ジスルフィドを用いて調製した。
H−NMR(500MHz,アセトン−d)δ8.25−8.3(m,1H),7.71−7.75(m,1H),7.12−7.17(m,2H),6.97−7.04(m,2H),4.45−4.51(m,1H),4.32−4.39(m,1H),3.73−3.80(m,1H),3.29(s,3H),3.15−3.21(m,1H),2.99−3.08(m,1H),2.66−2.73(m,1H),2.46−2.54(m,1H)。
【0264】
DP実施例17
(−)−[(4−クロロベンジル)−7−フルオロ−5−メタンスルホニル]−1,2,3,4−テトラヒドロシクロペンタ[b]インドール−3−イル]酢酸(化合物E)
【0265】
【化46】

【0266】
工程1:(±)−(7−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロシクロペンタ[b]インドール−3−イル)酢酸エチルエステル
【0267】
【化47】

【0268】
4−フルオロ−2−ヨードアニリン(10.00g)、2−(2−オキソシクロペンチル)酢酸エチル(6.57g)及びp−トルエンスルホン酸(121mg)のベンゼン(100mL)溶液を、N気流下、ディーン−スタークトラップを用いて24時間還流した。この時間の後、ベンゼンを蒸留により除去した。次いで、DMF60mLを加え、その溶液を脱気し、ヒューニッヒ塩基(Hunig’s base)(19mL)、次いでPd(OAc)(405mg)を連続して添加した。この溶液を115℃で3時間加熱し、次いで室温まで冷却した。反応を停止するために、1N−HCl(300mL)及び酢酸エチル(200mL)を加え、混合物をセライトで濾過した。層を分離し、酸性相を酢酸エチル200mLで2回抽出した。有機層を併合し、食塩水で洗浄し、無水NaSOで乾燥し、セライトで濾過し、濃縮した。粗製物質を100%トルエンで溶出するフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物を得た。
H−NMR(アセトン−d)δ9.76(brs,1H),7.34(dd,1H),7.03(d,1H),6.78(td,1H),4.14(q,2H),3.57(m,1H),2.85−2.55(m,5H),2.15(m,1H),1.22(t,3H)。
【0269】
工程2:(±)−(7−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロシクロペンタ[b]インドール−3−イル)酢酸
【0270】
【化48】

【0271】
工程1からのエステル(1.24g)の14mLのテトラヒドロフラン(THF)溶液に、室温で、MeOH(7mL)、次いで2N−NaOH(7mL)を加えた。2.5時間後、酢酸エチル(EtOAc)/1N−HClを入れた分液漏斗に反応混合物を注入した。層分離し、酸性層をEtOAcで2回抽出した。有機層を併合し、食塩水で洗浄し、無水NaSOで乾燥し、蒸発乾固して粗製の油を得て、これをそのまま(>90%純度)次工程で使用した。
H−NMR(アセトン−d)δ10.90(brs,1H),9.77(brs,1H),7.34(dd,1H),7.04(dd,1H),6.79(td,1H),3.56(m,1H),2.90−2.50(m,5H),2.16(m,1H)。MS(−APCI)m/z232.2(M−H)
【0272】
工程3:(±)−(5−ブロモ−7−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロシクロペンタ[b]インドール−3−イル)酢酸
【0273】
【化49】

【0274】
工程2の酸(>90%純度)(2.20g)のピリジン(30mL)溶液に、6.85gの三臭化ピリジニウム(純度90%)を−40℃で加えた。この懸濁液を0℃で10分間攪拌し、室温で30分間加温した。次いで、高真空下、加熱せずに溶媒を除去した。粗製物質を40mLのAcOHに溶かし、0℃に冷却した溶液に、Zn粉末2.88gを分割して加えた。懸濁液を15℃で15分間攪拌し、さらに15分間かけて室温に昇温した。この時点で1N−HClを添加して反応停止し、この混合物を食塩水/EtOAcを入れた分液漏斗に注入した。層分離し、有機層を水、食塩水で洗浄し、無水NaSOで乾燥し、濃縮した。この物質はさらに精製することなく次工程で使用した。
H−NMR(アセトン−d)δ10.77(brs,1H),9.84(brs,1H),7.09(m,2H),3.60(m,1H),2.95−2.65(m,4H),2.56(dd,1H),2.19(m,1H)。
【0275】
工程4:(±)−[5−ブロモ−4−(4−クロロベンジル)−7−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロシクロペンタ[b]インドール−3−イル]酢酸
【0276】
【化50】

【0277】
工程3の酸(2.13g)のTHF(10mL)溶液に、酸の消費が完全となるまでTLCでモニターしながら、ジアゾメタン/エーテル溶液を過剰に加えた。次いで、真空下に溶媒を除去した。このように形成された粗メチルエステルのDMF20mL溶液に、539mgのNaH懸濁液(60%油)を−78℃で加えた。この懸濁液を0℃で10分間攪拌し、再び−78℃に冷却し、臭化4−クロロベンジル1.70gで処理した。5分後、温度を0℃に戻し、混合物を20分間攪拌した。この時点でAcOH2mLを加えて反応を停止し、この混合物を1N−HCl/EtOAcを入れた分液漏斗に注ぎ込んだ。層分離し、有機層を食塩水で洗浄し、無水NaSOで乾燥し、濃縮した。アルキル化された物質は、工程2に記載した手法で加水分解した。粗製物質をさらにEtOAc/ヘキサン中で破砕精製し、標題化合物を得た。
H−NMR(アセトン−d)δ10.70(brs,1H),7.31(d,2H),7.18(d,1H),7.06(d,1H),6.92(d,2H),5.90(d,1H),5.74(d,1H),3.61(m,1H),3.00−2.70(m,3H),2.65(dd,1H),2.39(dd,1H),2.26(m,1H)。MS(−APCI)m/z436.3,434.5(M−H)
【0278】
工程5:(+)−[5−ブロモ−4−(4−クロロベンジル)−7−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロシクロペンタ[b]インドール−3−イル]酢酸
【0279】
【化51】

【0280】
工程4の酸2.35gのEtOH(130mL)溶液に、80℃で、780μLの(S)−(−)−1−(1−ナフチル)エチルアミンを加えた。この溶液を室温に冷却し、一夜攪拌した。回収した塩(1.7g)を再びEtOH200mLで再結晶した。濾過後、得られた白色固体塩を1N−HClで中性とし、生成物をEtOAcで抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、無水NaSOで乾燥し、濃縮した。この物質をSiOのパッドで濾過し、EtOAcで溶出して標題のエナンチオマーを得た。2つのエナンチオマーの保持時間は、それぞれ、7.5分及び9.4分であった[キラルパックADカラム、ヘキサン/2−プロパノール/酢酸(95:5:0.1)]。高極性のエナンチオマーは98%eeであった。
ee=98%;保持時間=9.4分[キラルパックADカラム:250×4.6mm、ヘキサン/2−プロパノール/酢酸(75:25:0.1)];[α]21=+39.2(c1.0、MeOH)。
【0281】
工程6:(−)−[4−(4−クロロベンジル)−7−フルオロ−5−(メタンスルホニル)−1,2,3,4−テトラヒドロシクロペンタ[b]インドール−3−イル]酢酸及びナトリウム塩
工程5からの酸(15.4g)を先ずジアゾメタンでエステル化した。スルホニル化は、このように形成したエステルをN−メチルピロリジノン中、16.3gのメタンスルホン酸ナトリウム塩と30.2gのCuI(I)とを混合することにより実施した。懸濁液をNの流入により脱気し、150℃に加熱して3時間攪拌し、次いで室温まで冷却した。反応を停止するために、500mLの酢酸エチルと500mLのヘキサンを加え、混合物をSiOのパッドで濾過し、EtOAcで溶出した。有機層を濃縮した。粗製油をEtOAcに溶かし、水で3回、食塩水で1回洗浄し、無水NaSOで乾燥し、濾過、濃縮した。粗製物質をさらに100%トルエン〜50%トルエン/EtOAcの勾配によるフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、スルホン化エステルを得て、これを工程2に記載した手法により加水分解した。標題化合物を、酢酸イソプロピル/ヘプタン、次いでCHCl/ヘキサンによる2回の連続的再結晶により入手した。
【0282】
H−NMR(500MHzアセトン−d)δ10.73(brs,1H),7.57(d,2H,J=8.8Hz),7.31(m,1H),7.29(m,1H),6.84(d,2H,J=8.8Hz),6.29(d,1H,JAB=17.8Hz),5.79(d,1H,JAB=17.8Hz),3.43(m,1H),2.98(s,3H),2.94(m,1H),2.85−2.65(m,3H),2.42(dd,1H,J=16.1Hz,J=10.3Hz),2.27(m,1H)。13C−NMR(125MHzアセトン−d)δ173.0,156.5(d,JCF=237Hz),153.9,139.2,133.7,133.3,130.0(d,JCF=8.9Hz),129.6,128.2,127.5(d,JCF=7.6Hz),122.2(d,JCF=4.2Hz),112.3(d,JCF=29.4Hz),111.0(d,JCF=22.6Hz),50.8,44.7,38.6,36.6,36.5,23.3。MS(−APCI)m/z436.1,434.1(M−H)
ee=97%;保持時間=15.3分[キラルセルODカラム:250×4.6mm、ヘキサン/2−プロパノール/エタノール/酢酸(90:5:5:0.2)];[α]21=−29.3°(c1.0、MeOH)。Mp175.0℃。
【0283】
ナトリウム塩は、上記の酸化合物(6.45g、14.80mmol)をEtOH(100mL)中、14.80mLの1N−NaOH水溶液にて処理することにより調製した。有機溶媒を真空下で除去し、粗製固体をイソプロピルアルコール(1.2L)に還流下溶解した。最終容量を溶媒の蒸留により500mLまで縮小した。ナトリウム塩を室温まで冷却して結晶化した。結晶のナトリウム塩をHOに懸濁し、ドライアイス浴で凍結し、高真空下に凍結乾燥して標題化合物をナトリウム塩として得た。
H−NMR(500MHz DMSO−d)δ7.63(dd,1H,J=8.5Hz,J=2.6Hz),7.47(dd,1H,J=9.7Hz,J=2.6Hz),7.33(d,2H,J=8.4Hz),6.70(d,2H,J=8.4Hz),6.06(d,1H,JAB=17.9Hz),5.76(d,1H,JAB=17.9Hz),3.29(m,1H),3.08(s,3H),2.80(m,1H),2.69(m,1H),2.55(m,1H),2.18(m,2H),1.93(dd,1H,J=14.4Hz,J=9.7Hz)。
【0284】
DP実施例17A
(±)−[5−ブロモ−4−(4−クロロベンジル)−7−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロシクロペンタ[b]インドール−3−イル)酢酸(実施例17、工程4)についての別途方法
工程1:(±)−(7−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロシクロペンタ[b]インドール−3−イル)酢酸ジシクロヘキシルアミン(DCHA)塩
2−ブロモ−4−フルオロアニリンの0.526Mキシレン溶液を(2−オキソシクロペンチル)酢酸エチル(1.5当量)及び硫酸(0.02当量)とともに、20時間加熱還流した。水分をディーン−スターク装置により共沸混合物として除去した。反応をNMRで追跡し、20時間後、概して80〜85%の所望イミン中間体への変換が観察された。反応混合物を1M−重炭酸ナトリウム(0.2容量)で15分間洗浄し、有機画分を蒸発させた。残渣のシロップを真空蒸留(0.5mmHg)した。残留するキシレンは30℃で蒸留し、次いで過剰のケトンと未反応のアニリンを50〜110℃の範囲で回収した。該イミンは110〜180℃の画分に淡褐色澄明な液体として回収し、その純度は83%であった。
【0285】
次いで、イミン中間体を、酢酸カリウム(3当量)、塩化テトラ−n−ブチルアンモニウム一水和物(1当量)、酢酸パラジウム(0.03当量)及びN,N−ジメチルアセトアミドの脱気混合物に加えた(イミンの最終濃度=0.365M)。反応混合物を115℃で5時間加熱し、室温まで放冷した。次いで、3N−KOH(3当量)を加え、混合物を室温で1時間攪拌した。反応混合物を水(1.0容量)で希釈し、トルエン(3×0.75容量)で洗浄した。水相を3N−HClでpH1の酸性とし、tert−ブチルメチルエーテル(2×0.75容量)で抽出した。併合した有機画分を水(0.75容量)で洗浄した。澄明な淡褐色溶液に、ジシクロヘキシルアミン(1当量)を加え、その溶液を室温で16時間攪拌した。塩を濾取し、酢酸エチル、tert−ブチルメチルエーテルで洗浄し、乾燥して標題化合物を得た。アッセイ:94A%。
H−NMR(500mHz,CDCl3):δ9.24(s,1H),7.16−7.08(m,2H),6.82(t,1H),6.2(br,2H),3.6−3.5(m,1H),3.04−2.97(m,2H),2.88−2.70(m,3H),2.66(dd,1H),2.45−2.37(m,1H),2.13−2.05(m,2.05),1.83(d,4H),1.67(d,2H),1.55−1.43(m,4H),1.33−1.11(m,6H)。
【0286】
工程2:(±)−(5−ブロモ−7−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロシクロペンタ[b]インドール−3−イル)酢酸
上記工程1のDCHA塩のジクロロメタンスラリー(0.241M溶液)を−20ないし−15℃に冷却した。ピリジン(2当量)を一度に加え、そのスラリーに臭素(2.5当量)を、30〜45分かけて温度を−20ないし−15℃に維持しながら滴下した。(臭素の約1/3を添加したところで、反応混合物が濃厚となり、効率的な攪拌が必要となった。最終的に臭素の約1/2を添加したところで、混合物は再び「ゆるやか」になった)。添加終了後、反応混合物を−15℃でさらに1時間熟成した。酢酸(3.04当量)を5分間かけて加え、亜鉛末(3.04当量)を分割して加えた。(亜鉛の一部は−15℃で加え、混合物を約5分間熟成して、発熱が終了するのを確認した(約−15℃ないし−10℃))。この操作を約30分にわたり繰り返した。もはや発熱の観察されなくなったところで、残りの亜鉛を素早く加えた。全部の操作には30分ないし45分を要した。
【0287】
添加終了後、バッチを室温まで昇温し、1時間熟成して濃縮した。反応混合物をメチルt−ブチルエーテル(MTBE、0.8容量)に置換し、10%酢酸水溶液(0.8容量)を加えた。混合物(塩の結晶化、例えばピリジウム)を室温で1時間熟成し、ソルカ−フロックで濾過した。ソルカ−フロックのパッドをMTBE(約0.2容量)ですすぎ、濾液(二相、MTBE/水相)を抽出器に移した。有機層を水洗した(0.8容量)。MTBE抽出液を濃縮し、イソプロピルアルコール(IPA、0.25容量)に置換し、化合物を結晶化した。水(0.25容量)を加え、バッチを1時間熟成した。追加の水(0.33容量)を1時間かけて加えた。水の添加終了後、バッチをさらに1時間熟成し、濾過し、30/70のIPA/水(0.15容量)ですすいだ。結晶化したブロモ酸をオーブン中、+45℃で乾燥した。
【0288】
工程3:(±)−[5−ブロモ−4−(4−クロロベンジル)−7−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロシクロペンタ[b]インドール−3−イル]酢酸
工程2のブロモ酸をジメチルアセトアミドに溶かし(0.416M溶液)、炭酸セシウム(2.5当量)を一度に加えた。このスラリーに塩化4−クロロベンジル(2.5当量)を一度に加え、バッチを50℃で20時間加熱した。バッチを室温に冷却し、5N水酸化ナトリウム(4.00当量)を5分間かけて加えた(温度が+40℃に上昇した)。反応液を50℃で約3時間熟成させ、室温まで冷却し、L抽出器に移した。反応液を酢酸イソプロピル(IPAc、2容量)で希釈し、+15℃まで冷却した。この溶液を5N−HClでpH〜2の酸性とした。層分離し、有機層を水洗した(2×2容量)。IPAc溶液を濃縮し、IPA(0.8容量)に置換し、生成物を結晶化した。水(8L)を2時間かけて加え、バッチを濾過して、標題化合物を得た。バッチは+40℃のオーブンで24時間乾燥した。
【0289】
DP実施例18
(±)−{4−[1−(4−クロロフェニル)エチル]−7−フルオロ−5−メタンスルホニル−1,2,3,4−テトラヒドロシクロペンタ[b]インドール−3−イル}酢酸(化合物X)
【0290】
【化52】

【0291】
標題化合物を、2003年7月30日に公開されたPCT出願WO03/062200に提供された記載に従って合成した。
【0292】
DP実施例19
(±)−[9−(4−クロロベンジル)−6−フルオロ−メタンスルホニル−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル]酢酸(化合物Y)
【0293】
【化53】

【0294】
標題化合物を、2003年7月30日に公開されたPCT出願WO03/062200に提供された記載に従って合成した。
【0295】
DP実施例20
[4−(4−クロロベンジル)−7−フルオロ−5−メタンスルホニル−1−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロシクロペンタ[b]インドール−3−イル)酢酸(化合物Z)
【0296】
【化54】

【0297】
標題化合物を、2003年7月30日に公開されたPCT出願WO03/062200に提供された記載に従って合成した。
【0298】
DP実施例21
{9−[(3,4−ジクロロフェニル)チオ]−1−イソプロピル−7,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−b]ピロリジン−8−イル}酢酸(エナンチオマーA及びエナンチオマーB)(化合物AA)
【0299】
【化55】

【0300】
工程1:2−クロロニコチンアルデヒド
ジイソプロピルアミン(110mL、780mmol)のTHF(500mL)溶液に、2.5M/n−BuLi/ヘキサン溶液(300mL、750mmol)を−40℃で加えた。5分後、反応混合物を−95℃に冷却し、次いで、DMPU(15mL)と2−クロロピリジン(50mL、532mmol)を連続して加えた。次いで、得られた混合物を昇温し、−78℃で4時間攪拌した。この時点で、黄色の懸濁液を再び−95℃に冷却し、DMF(70mL)を加えた。最終反応混合物を−78℃に昇温し、その温度で1.5時間攪拌した。反応混合物を冷HCl水(3N、800mL)に注ぎ、5分間攪拌した。濃NHOH水を加えて、pH7.5に調整した。水層をEtOAcで3回抽出した。併合した有機層をNHOH水及び食塩水で洗浄し、無水NaSOで乾燥し、濾過、濃縮した。粗製物質を、シリカゲルパッドにより100%ヘキサン乃至100%EtOAcの勾配で溶出して精製し、生成物を冷ヘキサンで結晶化して、標題化合物を淡黄色固体として得た。
【0301】
工程2:(2Z)−2−アジド−3−(2−クロロピリジン−3−イル)プロパン−2−エン酸メチル
2−クロロニコチンアルデヒド(20.0g、139.9mmol)及びアジド酢酸メチル(32.2mL、349.7mmol)のMeOH(168mL)溶液を、25%NaOMe/MeOH溶液(80mL、349mmol)の溶液に、−20℃で加えた。内部温度をモニターし、30分の添加の間、−20℃に維持した。次いで、得られた混合物を氷浴中で数時間攪拌し、低温室中での氷浴中で一夜攪拌した。次いで、この懸濁液を氷およびNHClの混合物中に注ぎ込み、10分間攪拌後にスラリーを濾過した。生成物を冷HOで洗浄し、次いで真空乾燥した。粗製の物質をCHClに溶かし、MgSOを加えた。この懸濁液をシリカゲルパッドで濾過し、CHClで洗浄した。濾液を減圧濃縮し、標題化合物のベージュ色の沈殿(20g)を得た。
【0302】
工程3:4−クロロ−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−2−カルボン酸メチル
(2Z)−2−アジド−3−[2−クロロピリジン−3−イル]プロパン−2−エン酸メチル(21g、88mmol)のメシチレン(880mL)溶液を1時間加熱還流した。反応混合物を室温に、次いで0℃に冷却し、沈殿を濾取し、冷ヘキサンで洗浄した。この物質をEtOAc/ヘキサン(1:20)中で一夜攪拌し、濾過後、標題生成物を淡黄色固体として得た。
【0303】
工程4:1−クロロ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−b]ピロリジン−7−カルボン酸メチル
4−クロロ−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−2−カルボン酸メチル(12.5g、59mmol)のTHF(116mL)−トルエン(460mL)懸濁液に、1.0M−カリウムtert−ブトキシド(64mL、64mmol)/THF溶液(64mL、64mmol)及びアクリル酸メチル(55mL、611mmol)を加えた。得られた混合物を100℃で18時間加熱した。この時点後に懸濁液を室温まで冷却し、飽和NHCl水(400mL)及びヘキサン(400mL)の混合物中に注ぎ込んだ。固体をデカントし、濾過し、HO及びヘキサンで洗浄して標題化合物を得た。
【0304】
工程5:1−クロロ−6,7−ジヒドロ−8H−ピリド[3,4−b]ピロリジン−8−オン
前工程の化合物にイソプロパノール(8.0mL)及び濃HCl(2.0mL)を加え、100℃で1時間加熱した。反応混合物をEtOAcとNaCOに分配した。有機層を分離し、蒸発して標題化合物を得た。
【0305】
工程6:1−イソプロペニル−6,7−ジヒドロ−8H−ピリド[3,4−b]ピロリジン−8−オン
1−クロロ−6,7−ジヒドロ−8H−ピリド[3,4−b]ピロリジン−8−オン(5.0g、24.3mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(1.0g、1.09mmol)及びトリフェニルアルシン(2.70g、8.82mmol)のDMF(100mL)混合物に、トリブチルイソプロペニルスタンナン(9.60g、29.00mmol)を加えた。得られた混合物を脱気し、78℃で18時間加熱した。減圧下、溶媒を蒸発させた。得られた混合物にCHCl及びセライトを加え、次いでセライトで濾過した。標題化合物をフラッシュクロマトグラフィー(50%〜100%EtOAc/ヘキサン)により精製した。
【0306】
工程7:(2E)−(1−イソプロペニル−6,7−ジヒドロ−8H−ピリド[3,4−b]ピロリジン−8−イリデン)エタン酸エチル
1−イソプロペニル−6,7−ジヒドロ−8H−ピリド[3,4−b]ピロリジン−8−オン(0.60g、2.8mmol)及びホスフォノ酢酸トリエチル(1.00g、4.46mmol)のTHF(24mL)溶液に、−78℃で、80%NaH(0.12g、4.00mmol)を加え、反応混合物を0℃に、次いで室温に昇温した。反応混合物を飽和NHClとEtOAcに注いだ。有機層を分離し、NaSOで乾燥し、蒸発させた。標題化合物をフラッシュクロマトグラフィー(40%EtOAc/ヘキサン)により精製した。
【0307】
工程8:(1−イソプロペニル−7,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−b]ピロリジン−8−イル)酢酸エチル
(2E)−(1−イソプロペニル−6,7−ジヒドロ−8H−ピリド[3,4−b]ピロリジン−8−イリデン)エタン酸エチル(0.40g、1.4mmol)のMeOH(20mL)溶液に、Pd(OH)(0.20g)を加えた。この混合物を1気圧のHのもとで3時間攪拌した。混合物をセライトで濾過し、蒸発させて標題化合物を得た。
【0308】
工程9:{9−[(3,4−ジクロロフェニル)チオ]−1−イソプロピル−7,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−b]ピロリジン−8−イル}酢酸エチル
ビス(3,4−ジクロロフェニル)ジスルフィド(0.24g、0.67mmol)のCHCl(5.6mL)溶液に、SOCl(0.036mL)を加えた。得られた黄色混合物を室温で1時間攪拌した。この溶液を、(1−イソプロペニル−7,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−b]ピロリジン−8−イル)酢酸エチル(0.15g、0.52mmol)のDMF(5.6mL)溶液に0℃で加えた。0℃で1.5時間後、反応混合物を飽和NaHCOとEtOAc上に注いだ。有機層を分離し、NaSOで乾燥し、濾過、蒸発させた。標題化合物をフラッシュクロマトグラフィー(30%〜40%EtOAc/ヘキサン)により精製した。
【0309】
工程10:{9−[(3,4−ジクロロフェニル)チオ]−1−イソプロピル−7,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−b]ピロリジン−8−イル}酢酸
{9−[(3,4−ジクロロフェニル)チオ]−1−イソプロピル−7,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−b]ピロリジン−8−イル}酢酸エチル(0.23g、0.50mmol)のTHF(5mL)及びMeOH(2.5mL)溶液に、1.0M−NaOH(1.5mL、1.5mmol)を加えた。室温で18時間攪拌後、HOAc(0.25mL)を加え、溶媒を蒸発させた。残渣をEtOAc/HOに取り込み、有機層をHO及び食塩水で洗浄した。乾燥(NaSO)後、溶液を濾過し、蒸発させた。残渣をEtOAc:ヘキサン(1:1)とともに攪拌し、濾過後、標題化合物を白色固体として得た。
H−NMR(MeOH−d)δ1.141.26(m,6H),2.47−2.56(m,1H),2.56−2.64(m,1H),2.94−3.05(m,2H),3.81−3.89(m,1H),4.22−4.30(m,1H),4.33−4.44(m,2H),6.93−6.99(m,1H),7.14−7.19(m,1H),7.33−7.39(m,1H),7.54−7.59(m,1H),8.16−8.21(m,1H)。
【0310】
工程10の生成物をCHによりそのメチルエステルに変換し、該エステルをキラル固定相(キラルセルODカラム、2×25cm)上のHPLC分離に付し、12% 2−プロパノール/ヘキサンにより6mL/分の流速で溶出した。エナンチオマーA(低極性)は31.9分の保持時間を示し、エナンチオマーB(高極性)は35.5分の保持時間を示した。A及びBともに、実施例17工程10と同様に加水分解し、標題化合物のエナンチオマーA及びBを得た。
【0311】
DP実施例22
((1R)−6−フルオロ−8−(メチルスルホニル)−9−{(1S)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)酢酸(化合物AJ)
【0312】
【化56】

【0313】
工程1:塩化2−(2−ブロモ−4−フルオロフェニル)ヒドラジニウム
2−ブロモ−4−フルオロアニリンの濃HCl(1.5M)懸濁液に、−10℃で、10.0M−NaNO水溶液(1.1当量)をゆっくりと加えた。この混合物を0℃で2.5時間攪拌した。SnCl(3.8M)の冷却(−30℃)濃HCl溶液をゆっくり加え、その間、内部温度を10℃以下に維持した。得られた混合物を10℃で20分間、次いで室温で1時間、機械的に攪拌した。濃厚なスラリーを濾過し、固体を一夜風乾した。固体を冷HClに再懸濁し、再度濾過した。乾燥した物質をEtOに懸濁し、10分間攪拌後、濾過し、一夜風乾して標題化合物をベージュ色の固体として得た。
【0314】
工程2:(±)−(8−ブロモ−6−フルオロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)酢酸エチル
工程1の化合物(1当量)のAcOH(0.5M)懸濁液に、(2−オキソシクロヘキシル)酢酸エチル(1当量)を加えた。混合物を還流下で16時間攪拌し、冷却して、減圧下、AcOHを蒸発させ除去した。残渣をEtOAcで希釈し、水及び飽和NaHCO水で洗浄した。有機層をNaSOで乾燥し、濃縮した。次いで、残渣をシリカゲルパッド上、トルエンで溶出して精製した。濾液を濃縮し、ヘキサン中で攪拌し、濾過後に標題化合物を白色固体として得た。MS(+APCI)m/z354.2(M+H)
【0315】
工程3:(±)−[6−フルオロ−8−(メチルスルホニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル]酢酸エチル
工程2の化合物(1当量)の無水DMSO(0.28M)溶液に、メタンスルフィン酸ナトリウム(3当量)及びヨウ化銅(3当量)を加えた。この混合物にNを5分間吹き込み、次いで、反応液をN気流下に100℃で攪拌した。12時間後、さらにメタンスルフィン酸ナトリウム(2当量)及びヨウ化銅(2当量)を加えた。混合物をさらに100℃で12時間攪拌し、冷却し、EtOAcで希釈し、1N−HClを加えて混合物を酸性とした。懸濁液を30分間攪拌し、セライトで濾過した。濾液を水で洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮した。残渣をシリカゲルパッドで濾過し、先ずトルエンで溶出して非極性不純物を除き、次いで、ヘキサン/EtOAc(2:1)混合物により所望の生成物を溶出した。ヘキサン/EtOAc混合物で溶出した濾液を濃縮し、標題化合物を淡黄色固体として得た。MS(−APCI)m/z352.1(M−H)。
【0316】
工程4:[(1R)−6−フルオロ−8−(メチルスルホニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル]酢酸エチル
工程3からのラセミ混合物を、キラルパックAD分取用カラム上、分取HPLCにより15%iPrOH/ヘキサン混合物で溶出して分割した。高極性エナンチオマー(より長い保持時間)を、最終生成物の活性に基づき、標題化合物と同定した。
【0317】
工程5:[(1R)−9−[(1S)−1−(4−クロロフェニル)エチル]−6−フルオロ−8−(メチルスルホニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル]酢酸エチル
工程4の化合物(1当量)、トリフェニルホスフィン(1.5当量)及び(1R)−1−(4−クロロフェニル)エタノール(1.5当量;参考例1に記載した一般手法に従い調製)のTHF(0.175M)溶液に、アゾジカルボン酸ジ−tert−ブチル溶液(2.1M/THF、1.5当量)を10分かけて加えた。混合物を室温で2時間攪拌し、濃縮した。残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーに付し、7%EtOAc/トルエンで溶出精製し、標題化合物を得て(〜90%純度)、これをそのまま次工程にて使用した。
【0318】
工程6:[(1R)−9−[(1S)−1−(4−クロロフェニル)エチル]−6−フルオロ−8−(メチルスルホニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル]酢酸及び[(1S)−9−[(1S)−1−(4−クロロフェニル)エチル]−6−フルオロ−8−(メチルスルホニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル]酢酸
工程5の化合物のTHFとメタノール(2:1)の混合溶液(0.1M)に、1N−LiOH(3当量)を加えた。混合物を室温で2時間攪拌し、AcOHを加え、溶媒を蒸発により除去した。残渣をEtOAc/HOに取り込み、有機層を食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過、濃縮した。残渣を30%EtOAc/ヘキサンに移し、生成物をジエチルエーテルに懸濁し、45分間超音波処理し、濾過し、高真空下、50℃で24時間乾燥し、標題化合物を白色固体として得た。MS(−APCI)m/z462.1(M−H)。
【0319】
別法として、(±)−[6−フルオロ−8−(メチルスルホニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル]酢酸エチルを工程5のアルキル化反応に用い、2つのジアステレオマー:[(1R)−9−[(1S)−1−(4−クロロフェニル)エチル]−6−フルオロ−8−(メチルスルホニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル]酢酸エチル及び[(1S)−9−[(1S)−1−(4−クロロフェニル)エチル]−6−フルオロ−8−(メチルスルホニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル]酢酸エチルの混合物を得た。ジアステレオマー混合物は、以下の手法を用いる選択的加水分解により分割して、所望の[(1R)−9−[(1S)−1−(4−クロロフェニル)エチル]−6−フルオロ−8−(メチルスルホニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル]酢酸を得た。
【0320】
分割
[(1R)−9−[(1S)−1−(4−クロロフェニル)エチル]−6−フルオロ−8−(メチルスルホニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル]酢酸エチル及び[(1S)−9−[(1S)−1−(4−クロロフェニル)エチル]−6−フルオロ−8−(メチルスルホニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル]酢酸エチルのジアステレオマー混合物(1当量)をTHF/MeOH(3.5/1)混合物に溶かし(0.25M)、0℃に冷却した。1N−LiOH水(1当量)をゆっくり加え、混合物を0℃で12時間、又は[(1R)−9−[(1S)−1−(4−クロロフェニル)エチル]−6−フルオロ−8−(メチルスルホニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル]酢酸エチルが完全に加水分解されるまで攪拌した。他方のジアステレオマーはこれらの条件下でほんの僅かに水解されるのみであった。AcOHを加え、溶媒を蒸発により除去した。残渣をEtOAc/HOに取り込み、有機層を食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過、濃縮した。[(1S)−9−[(1S)−1−(4−クロロフェニル)エチル]−6−フルオロ−8−(メチルスルホニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル]酢酸エチル及び[(1R)−9−[(1S)−1−(4−クロロフェニル)エチル]−6−フルオロ−8−(メチルスルホニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル]酢酸は、フラッシュクロマトグラフィーにより1%AcOH含有の40%EtOAc/ヘキサンで溶出して分離し、所望の[(1R)−9−[(1S)−1−(4−クロロフェニル)エチル]−6−フルオロ−8−(メチルスルホニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル]酢酸(de>90%)を得て、これを30%EtOAc/ヘキサンに移し、所望の化合物(de>95%)を白色固体として得た。
【0321】
工程7:[(1R)−6−フルオロ−8−(メチルスルホニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル]酢酸メチル
[(1R)−9−[(1S)−1−(4−クロロフェニル)エチル]−6−フルオロ−8−(メチルスルホニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル]酢酸([α]=−226°;MeOH中)のMeOH(0.1M)溶液に、10%パラジウム−炭素(10%wt/wt)を加えた。N気流をこの混合物に5分間吹き込んだ。反応液をH気流下(風船)に室温で24時間攪拌し、セライトパッドで濾過し、CHClで溶出した。減圧下で溶媒を蒸発除去し、残渣をMeOH中に移し、化合物[(1R)−6−フルオロ−8−(メチルスルホニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル]酢酸メチルを得た。
【0322】
【化57】

【0323】
工程8:((1R)−6−フルオロ−8−(メチルスルホニル)−9−{(1S)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル]酢酸(化合物AJ)
工程7の化合物(1当量)、トリフェニルホスフィン(1.5当量)及び(1R)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]エタノール(1.5当量)のTHF(0.2M)溶液に、アゾジカルボン酸ジ−tert−ブチル溶液(1M/THF、1.5当量)を20分かけて加えた。混合物を室温で2時間攪拌し、濃縮した。残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーに付し、10%EtOAc/トルエンで溶出精製して、((1R)−6−フルオロ−8−(メチルスルホニル)−9−{(1S)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル]酢酸メチル(純度〜90%)を得て、これをそのまま次工程で使用した。
【0324】
0℃で上記エステル(1当量)のTHF/MeOH(3.5:1)混合物(0.25M)溶液に、1N−LiOH水(1当量)をゆっくり加え、その混合物を0℃で16時間、又は該エステルがほとんど完全に加水分解されるまで攪拌した。これらの条件では、一方のマイナーなジアステレオマーは非常にゆっくりした速度で加水分解される。AcOHを加え、溶媒を減圧除去した。残渣をEtOAc/HOに取り込み、有機層を食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過、濃縮した。未反応のメチルエステルを除去するために、残渣をシリカゲルパッドで濾過し、先ず10%EtOAc/トルエンで溶出し、次いで、1%AcOH含有60%EtOAc/トルエンで溶出した。残渣を30%EtOAc/ヘキサンに移し、高真空下、50℃で16時間乾燥し、標題化合物を白色固体として得た(de及びee>95%;キラルHPLCによりチェック)。MS(−APCI)m/z496.0(M−H)。[α]=−181(MeOH中)。
【0325】
生物活性のアッセイ
式(I)で示される化合物の活性は、以下のアッセイにより証明し得る:
H−ニコチン酸競合結合アッセイ
ナイアシン受容体を安定的に発現するCHO−KI細胞を用いて、結合分析用の膜を作製した。増殖用培地(F−12ケーイン(Kaighn‘s)修飾培地(ATCC#30−2004):10%FBS(ギブコ#10438−026)、1mg/mlのG418(ギブコ#10131−027)及び1Xペン−ストレップ(シグマP−0871)を含有)中で、細胞を〜80%集密度まで増殖させ、掻き取りによって採集し、12000Xg、摂氏4℃で10分間遠心分離した。細胞ペレットを採集用バッファー(20mM−HEPES、10mM−EDTA、pH7.4)中に再懸濁し、5にセットした12mmポリトロンホモジェナイザーで10秒(4回)バーストにより均一化した。細胞溶解液を2000Xg、4°で10分間遠心分離して未溶解細胞と核を除去し、得られた上清を39000Xg、4°で45分間遠心分離して膜をペレット化した。得られたペレットを洗浄バッファー(20mM−HEPES、0.1mM−EDTA、pH7.4)に再懸濁し、4にセットした12mmポリトロンホモジェナイザーで10秒(3回)バーストにより均一化し、再度、39000Xg、4°で45分間遠心分離した。得られたペレットを洗浄バッファーに再懸濁し、使用時まで液体窒素中で保存した。本調製品の膜タンパク質濃度は、BSAを標準として、ピアースBCAタンパク質アッセイにより決定した。
【0326】
H−ニコチン酸の平衡結合は、96穴ポリプロピレンプレートにて実施した。反応液は、アッセイバッファー(20mM−HEPES、pH7.4、1mM−MgCl、及び0.01%CHAPS;15−30μg膜タンパク質/アッセイ)に希釈した膜140μl、アッセイバッファーに希釈した20μlの試験化合物(化合物ストックは100%DMSO中とした;アッセイにおける最終DMSO濃度は0.25%であった)、及び40μlの250nMトリチウム化ナイアシン([5,6−H]−ニコチン酸;アメリカンラジオラベルドケミカルズインク、20μM/エタノール;各アッセイにおける最終エタノール濃度は1.5%であった)を含有していた。非特異結合は250μMの非標識ニコチン酸の存在下に決定した。室温で3〜4時間混合した後、パッカードハーベスターを用い、パッカードユニフィルターGF/Cプレートで反応液を濾過し、氷冷結合バッファー(8×200μl)で洗浄した。プレートを一夜乾燥し、その背面をGF/Cプレート用に設計されたパーキンエルマーテープによりシールした。パーキンエルマーマイクロシント−20シンチレーション液40μlを各ウエルに加え、上部をシールし、パッカードトップカウントシンチレーションカウンターにてプレートを分析した。
【0327】
計算:試験化合物は、最初に1μM及び0.1μMでアッセイし、次いで、中間用量が放射線リガンド結合の約50%を阻害する(すなわち、IC50)ように選択した濃度範囲でアッセイする。試験化合物が存在しないときの特異結合(B)は、総結合(B)から非特異結合(NSB)を引いた差であり、同様に(試験化合物の存在するときの)特異結合(B)は、置換結合(B)から非特異結合(NSB)を引いた差である。IC50は、阻害応答曲線、試験化合物の濃度に対する%B/Bのロジット−ログプロットから決定する。
【0328】
はチェン及びプルストッフの変換:K=IC50/(1+[L]/K)から計算する(式中、[L]はアッセイで使用する放射リガンドの濃度であり、Kは同じ結合条件下で独立して決定される放射−リガンドの解離定数である)。
式(I)で示される特定化合物は、このナイアシン結合アッセイにおいて、約0.010〜50μMの範囲内にIC50を有する。本発明のさらに有利な化合物は、このアッセイにおいて、約0.01〜10μMの範囲内にIC50値を有する。なおさらに有利な化合物は、このアッセイにおいて、約0.010〜1.0μMの範囲内にIC50値を有する。
【0329】
35S−GTPγS結合アッセイ
ナイアシン受容体又はベクター対照(7μg/アッセイ)を安定的に発現するチャイニーズハムスター卵巣(CHO)−K1細胞から調製した膜を、ワラックシンチストリッププレート中、アッセイバッファー(100mM−HEPES、100mM−NaCl及び10mM−MgCl、pH7.4)に希釈し、40μMのGDPを含有するアッセイバッファー(最終[GDP]は10μMとした)に希釈した試験化合物と〜10分間プレインキュベートし、次いで35S−GTPγSを0.3nMまで加えた。潜在的な化合物の沈殿を避けるために、化合物はすべて先ず100%DMSO中で調製し、次いでアッセイバッファーで希釈して、アッセイ中のDMSOの最終濃度を3%とした。結合は1時間進行させ、次いでプレートを4000rpm、室温で15分間遠心分離し、次いでトップカウントシンチレーションカウンターにて計測した。結合曲線の非直線回帰分析は、グラフパッドプリズムにて実施した。
【0330】
膜の調製:
材料:
CHO−K1細胞培地:F−12ケーイン修飾細胞培地;10%FBS、2mM−L−グルタミン、1mMピルビン酸ナトリウム及び400μg/ml G418
膜掻き取りバッファー:20mM−HEPES;10mM−EDTA、pH7.4
膜洗浄バッファー:20mM−HEPES;0.1mM−EDTA、pH7.4
プロテアーゼ阻害剤カクテル:P−8340(シグマ、セントルイス、ミズーリ州)
【0331】
操作手順:
○ 15cmプレートから細胞培地を吸引し、5mL冷PBSですすぎ、吸引する。
○ 5mLの膜掻き取りバッファーを加え、細胞を掻き取る。掻き取ったものを50mL遠心管に移す。50μLのプロテアーゼ阻害剤カクテルを加える。
○ 4℃で20,000rpm、17分間回転する。
○ 上清を吸引し、ペレットを30mLの膜洗浄バッファーに再懸濁する。50μLのプロテアーゼ阻害剤カクテルを加える。
○ 4℃で20,000rpm、17分間回転する。
○ 膜ペレットから上清を吸引する。ペレットは後の使用のために、又は直ちに使用し得るように、−80℃に凍結してもよい。
【0332】
アッセイ:
材料:
グアノシン5’−二リン酸ナトリウム塩(GDP、シグマ−アルドリッチカタログ#87127)
グアノシン5’−[γ35S]チオ三リン酸、トリエチルアンモニウム塩([35S]GTPγS、アマシャムバイオサイエンスカタログ#SJ1320,〜1000Ci/mmol)
96穴シンチプレート(パーキン−エルマー#1450−501)
結合バッファー:20mM−HEPES、pH7.4;100mM−NaCl;100mM−MgCl
GDPバッファー:結合バッファープラスGDP、0.4〜40μMの範囲、アッセイ前に新たに作製
【0333】
操作手順:
(総アッセイ容量=100μ/ウエル)
化合物含有又は不含のGDPバッファー25μL(最終GDP10μM−そのため40μMストック液使用)
結合バッファー中の膜50μL(0.4mgタンパク質/mL)
結合バッファー中の[35S]GTPγS25μL。これは5μlの[35S]GTPγSストック液を10mLの結合バッファー(このバッファーはGDP不含)に加えることにより実施する。
【0334】
○ 選抜のための化合物プレートを解凍(100%DMSO中、2mMの化合物5μLを入れた娘プレート)する。
○ 2mMの化合物を245μLのGDPバッファーで1:50に希釈して、2%DMSO中40μMとする。凍結膜ペレットを氷上で解凍する。
○ ポリトロンPT3100(7000rpm設定のプローブPT−DA3007/2)を用いて懸濁液となるまで、膜を簡単に均一化する。ブラッドフォードアッセイにより膜タンパク質濃度を決定する。膜を結合バッファー中に0.40mg/mlのタンパク質濃度に希釈する。(注:最終アッセイ濃度は20μg/ウエルである)。
○ 1ウエルあたりGDPバッファー25μLの中の化合物を、シンチプレートに加える。
○ 1ウエルあたり50μLの膜をシンチプレートに加える。
○ 室温で5〜10分間、プレインキュベートする。
○ 25μLの希釈した[35S]GTPγSを加える。室温で60分間、シェーカー(ラブ−ラインモデル#1314、設定4で振盪)上でインキュベートする。
○ プレートカバーでシールしたプレートを22℃、2500rpmで20分間回転することにより、アッセイを停止する。
○ トップカウントNXTシンチレーションカウンター−35Sプロトコールで読み取る。
【0335】
式(I)で示される特定の化合物は、この機能的GTPγS結合アッセイにおいて、約0.010〜100μMの範囲内にEC50を有する。本発明のさらに有利な化合物は、このアッセイにおいて、約0.010〜10μMの範囲内にEC50値を有する。なおさらに有利な化合物は、このアッセイにおいて、約1μM未満、約0.01〜1μMの範囲内にEC50値を有する。
【0336】
レーザードップラーによる紅潮
操作手順−オスC57B16マウス(〜25g)を10mg/ml/kgのネンブタールナトリウムにより麻酔する。アンタゴニストを投与すべき場合には、アンタゴニストをネンブタール麻酔と同時に注射する。10分後、動物をレーザーの下に置き、耳たぶを裏返して下方を露出する。レーザーを耳の中心部に位置させ、8.4〜9.0Vの強度に絞る(一般的には耳の上〜4.5cm)。データの取得は15×15の画像フォーマット、自動間隔、60画像、及び中間分解能で20秒の時間の遅れで開始する。試験化合物は10番目の画像に続いて、腹腔空隙への注射を介して投与する。画像1〜10は動物のベースラインと考えられ、データはベースライン中間強度の平均に正規化する。
材料と方法−レーザードップラー感作ピム(Pim)II;ナイアシン(シグマ);ネンブタール(アボットラボ)
【0337】
オスのスプラーグ−ドウリーラットにおけるインビボでの遊離脂肪酸の阻害
非エステル化遊離脂肪酸(NEFA)アッセイは、自由活発に動き回るラット由来の血清で実施する。カテーテルを外科的に大腿部血管に埋め込み、動物は到着の1週間以内に使用する。アッセイ前の約16時間、動物から食物を絶つ。〜200μlの血液をカテーテルから引き抜き、ベースラインNEFA血清サンプルとする。薬物は個々のラットに腹腔内(IP)又は経口(po)にて種々濃度で投与し、次いで、さらなるNEFA分析のために、指定された時点で、カテーテルから〜200μlの血液を引き抜く。NEFAアッセイは製造業者の説明書(和光純薬、USA;NEFA C)に従って実施し、遊離の脂肪酸濃度は、既知の標準曲線(既知遊離脂肪酸の範囲)の回帰分析を介して決定する。データはエクセルとプリズムグラフを用いて解析する。
【0338】
本明細書に引用されるすべての特許、特許出願及び出願公開は、その全文を参照することにより本明細書の一部とする。ある特定の好適な態様が本明細書に詳細に記載されているが、多くの別の実施態様が本発明の範囲内に包含されるものと理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、
nは1又は2を表し;
は、シクロヘキシル、フェニル及び5〜6個の原子を含むヘテロアリールからなる群より選択され、当該へテロアリール5員環は1〜4個のヘテロ原子を含むものであり、そのヘテロ原子の0〜1個がO又はSであり、その0〜4個がNであり、また当該へテロアリール6員環は1〜3個のN原子を含むものであり;
当該シクロヘキシル、フェニル及びヘテロアリールは、ハロゲン、OH、SH、CN、ニトロ、C1−4ハロアルキル、アミノ、C1−4アルキルアミノ、C2−8ジアルキルアミノ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C2−4アルケニル、C2−4アルキニル、C3−6シクロアルキル、C1−4ハロアルコキシ、C1−4アルキルチオ、C1−4アルキルスルフィニル及びC1−4アルキルスルホニルからなる群より選択される1〜4個により置換されていてもよく;そして、
は、
【化2】

又は、CO(式中、RはH又はC1−4アルキルである)である]
で示される化合物又はその医薬的に許容される塩若しくは溶媒和物。
【請求項2】
nが1である請求項1記載の化合物。
【請求項3】
nが2である請求項1記載の化合物。
【請求項4】
がフェニル又はヘテロアリールを表し、当該基は1〜4個の基により置換されていてもよく、その基の1〜4個がハロ基であり、またその1〜2個がOH、SH、CN、ニトロ、C1−4ハロアルキル、アミノ、C1−4アルキルアミノ、C2−8ジアルキルアミノ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C2−4アルケニル、C2−4アルキニル、C3−6シクロアルキル、C1−4ハロアルコキシ、C1−4アルキルチオ、C1−4アルキルスルフィニル及びC1−4アルキルスルホニルからなる群より選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
が1〜4個の基により置換されていてもよいフェニルを表し、その基の1〜4個がハロ基であり、またその1〜2個がOH、SH、CN、ニトロ、C1−4ハロアルキル、アミノ、C1−4アルキルアミノ、C2−8ジアルキルアミノ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C2−4アルケニル、C2−4アルキニル、C3−6シクロアルキル、C1−4ハロアルコキシ、C1−4アルキルチオ、C1−4アルキルスルフィニル及びC1−4アルキルスルホニルからなる群より選択される、請求項4記載の化合物。
【請求項6】
が1〜4個の基により置換されていてもよいヘテロアリールを表し、その基の1〜4個がハロ基であり、またその1〜2個がOH、SH、CN、ニトロ、C1−4ハロアルキル、アミノ、C1−4アルキルアミノ、C2−8ジアルキルアミノ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C2−4アルケニル、C2−4アルキニル、C3−6シクロアルキル、C1−4ハロアルコキシ、C1−4アルキルチオ、C1−4アルキルスルフィニル及びC1−4アルキルスルホニルからなる群より選択される、請求項4記載の化合物。
【請求項7】
が1〜4個の基により置換されていてもよいヘテロアリールを表し、その基の1〜4個がハロ基であり、またその1〜2個がC1−4ハロアルキル又はC1−4アルキルである請求項6記載の化合物。
【請求項8】
が1〜4個のハロ基により置換されていてもよいフェニルを表す請求項5記載の化合物。
【請求項9】
がCOを表し、RがHを表す請求項1記載の化合物。
【請求項10】
がテトラゾリルを表す請求項1記載の化合物。
【請求項11】
以下の表の化合物又はその医薬的に許容される塩若しくは溶媒和物のいずれかから選択される請求項1記載の化合物。
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【請求項12】
請求項1記載の化合物を、医薬的に許容される担体と組合わせて含有してなる医薬組成物。
【請求項13】
ヒト患者におけるアテローム性動脈硬化症の治療方法であって、治療を必要とする患者に、アテローム性動脈硬化症の治療に有効な量の請求項1の化合物を投与することを含む方法。
【請求項14】
ヒト患者における異常脂肪血症の治療方法であって、治療を必要とする患者に、異常脂肪血症の治療に有効な量の請求項1の化合物を投与することを含む方法。
【請求項15】
ヒト患者における糖尿病の治療方法であって、治療を必要とする患者に、糖尿病の治療に有効な量の請求項1の化合物を投与することを含む方法。
【請求項16】
ヒト患者における代謝症候群の治療方法であって、治療を必要とする患者に、代謝症候群の治療に有効な量の請求項1の化合物を投与することを含む方法。
【請求項17】
ヒト患者におけるアテローム性動脈硬化症、異常脂肪血症、糖尿病、代謝症候群又は関連する症状の治療方法であって、治療を必要とする患者に、請求項1の化合物とDP受容体アンタゴニストとを投与することを含み、これらの化合物を、実質的に紅潮を伴わずに、アテローム性動脈硬化症、異常脂肪血症、糖尿病、代謝症候群又は関連する症状の治療に有効な量投与することを含む方法。
【請求項18】
ヒト患者におけるアテローム性動脈硬化症、異常脂肪血症、糖尿病又は関連する症状の治療方法であって、治療を必要とする患者に、請求項1の化合物と化合物AないしAJからなる群より選択されるDP受容体アンタゴニスト又はその医薬的に許容される塩若しくは溶媒和物を投与することを含む方法。
【表5】

【表6】


【公表番号】特表2008−536846(P2008−536846A)
【公表日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−506525(P2008−506525)
【出願日】平成18年4月7日(2006.4.7)
【国際出願番号】PCT/US2006/012876
【国際公開番号】WO2006/113150
【国際公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】