ナビゲーションシステム
【課題】類似走行度の高い他の車両を選定し、該他の車両を識別する目印を表示することによって、経路を音声案内したりディスプレイに表示したりすることなく、目的地までの経路に沿って運転者を誘導することができるようにする。
【解決手段】車両が目的地まで走行する経路を探索する経路探索処理部と、当該車両との類似走行度の高い他の車両を選定して経路案内車両として設定する経路案内車両設定部と、前記経路案内車両を識別する目印を表示する表示部とを有する。
【解決手段】車両が目的地まで走行する経路を探索する経路探索処理部と、当該車両との類似走行度の高い他の車両を選定して経路案内車両として設定する経路案内車両設定部と、前記経路案内車両を識別する目印を表示する表示部とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーションシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の車両に搭載されたナビゲーション装置においては、運転者等の操作者が所定の入力部を操作して目的地を設定すると、該目的地、及び、現在位置検出処理部によって検出された車両の現在位置に基づいて、該現在位置から目的地までの経路が探索され、探索された経路が案内される。この場合、前記現在位置から目的地までの距離が最短となるように経路を探索したり、所要時間が最短となるように経路を探索するようになっている。
【0003】
また、ナビゲーション装置と情報センタ等に配設されたサーバとが通信を行うことによって経路を案内するシステムも提供されている(例えば、特許文献1参照。)。この場合、サーバは、複数の車両のナビゲーション装置と通信を行うことによって、常時複数の車両の走行経路を把握している。そして、前記サーバは、ある車両のナビゲーション装置から経路案内の要求を受信すると、交差点において当該車両の前方を走行する他の車両であって当該車両と同方向へ進行する他の車両を見つけ出し、該他の車両に追随する旨の案内情報を当該車両のナビゲーション装置へ返信する。すると、当該車両のナビゲーション装置は、前記他の車両に追随する旨の音声案内を行うので、当該車両の運転者は、交差点における進行方向を容易に把握することができる。
【特許文献1】特開2000−132798号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来のシステムにおいては、音声案内が行われるので、運転者は運転操作に集中することができず、煩わしく感じることがある。また、運転者が同乗者と会話をしたり音楽を聴いたりしている場合には、音声案内を聞き逃してしまうことがある。さらに、交差点においてのみ他の車両に追随する旨の案内を行うので、運転者は、交差点に到達する毎に追随すべき車両を新たに把握し直さなければならず、追随すべき車両を確実に把握することができないことがある。
【0005】
本発明は、前記従来のシステムの問題点を解決して、類似走行度の高い他の車両を選定し、該他の車両を識別する目印を表示することによって、経路を音声案内したりディスプレイに表示したりすることなく、目的地までの経路に沿って運転者を誘導することができるナビゲーションシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのために、本発明のナビゲーションシステムにおいては、車両が目的地まで走行する経路を探索する経路探索処理部と、当該車両との類似走行度の高い他の車両を選定して経路案内車両として設定する経路案内車両設定部と、前記経路案内車両を識別する目印を表示する表示部とを有する。
【0007】
本発明の他のナビゲーションシステムにおいては、さらに、当該車両に搭載され、前記表示部を備える車載装置を有し、前記表示部は、当該車両の運転者の眼には経路案内車両と重なって映るように、前記目印を表示する。
【0008】
本発明の更に他のナビゲーションシステムにおいては、さらに、前記経路案内車両設定部は、当該車両と目的地が一致する他の車両を経路案内車両に選定する。
【0009】
本発明の更に他のナビゲーションシステムにおいては、さらに、前記類似走行度は、当該車両との走行嗜(し)好の類似性を示す指標である。
【0010】
本発明の更に他のナビゲーションシステムにおいては、さらに、前記走行嗜好は、道路種別毎の平均速度に基づいて分類される指標である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1〜5の構成によれば、経路を音声案内したりディスプレイに表示したりすることなく、目的地までの経路に沿って運転者を誘導することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
図2は本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムの構成を示す図である。
【0014】
図において、11はサーバとしての情報提供サーバであり、CPU、MPU等の演算手段、半導体メモリ、磁気ディスク、光ディスク等の記憶手段、通信インターフェイス等を備えるコンピュータの中に構成される。なお、該コンピュータは単一のコンピュータではなく、複数のコンピュータが有機的に結合された、いわゆる、分散型サーバであってもよい。また、前記コンピュータの中に他のシステムが構築されていてもよい。さらに、前記情報提供サーバ11は、他のコンピュータの中に構築されたシステムの1つであってもよい。
【0015】
そして、31は操作者によって操作される車載装置であり、乗用車、トラック、バス、オートバイ等の車両に搭載される。なお、車載装置は、実際には多数であるが、本実施の形態においては、説明の都合上、前記車載装置31で代表する。また、前記操作者は、例えば、当該車両の運転者、同乗者等であるが、いかなる者であってもよく、ここでは、運転者であるものとする。
【0016】
なお、前記車載装置31は、CPU、MPU等の演算装置、半導体メモリ、磁気ディスク、光ディスク等の記憶装置、液晶ディスプレイ、LED(Light Emitting Diode)ディスプレイ、CRT等の表示装置、キーボード、ジョイスティック、十字キー、押しボタン、リモートコントローラ、タッチパネル等の入力装置、前記表示装置を制御する表示制御装置、及び、通信インターフェイス等の送受信部を備える。前記車載装置31は、例えば、ナビゲーション装置であるが、据え置き電話機、携帯電話機、PHS(Personal Handy−Phone System)電話機、携帯情報端末、PDA(Personal Digital Assistant)、パーソナルコンピュータ、ゲーム機、デジタルテレビ等いかなるものであってもよい。
【0017】
さらに、前記車載装置31は、図示されない現在位置検出装置を有する。該現在位置検出装置は、前記車載装置31が、例えば、ナビゲーション装置である場合、一般的には、GPS(Global Positioning System)、地磁気センサ、距離センサ、ステアリングセンサ、ビーコンセンサ、ジャイロセンサ等によって現在位置を検出する。また、例えば、携帯電話機、携帯情報端末等である場合、一般的には、該携帯電話機、携帯情報端末等が在圏する基地局との通信に基づいて、該基地局の位置を現在位置として検出する。
【0018】
なお、本実施の形態においては、車載装置31がナビゲーション装置である場合について説明する。この場合、前記車載装置31は、通常のナビゲーション装置と同様に、施設や地点を検索する検索機能及び経路を探索する探索機能を有する。
【0019】
また、前記車載装置31は、虚像を表示するための虚像表示部32を有する。該虚像表示部32は、追随すべき他の車両を識別可能な目印の虚像を表示する装置であって、例えば、運転者の眼の網膜上に画像光を照射して虚像を視認可能に表示する網膜ディスプレイ装置(例えば、特開2008−176096号公報参照。)であるが、車両のウインドースクリーンにホログラム像を表示するホログラム装置等であってもよく、前記目印の虚像を表示することができるものであれば、いかなる種類の装置であってもよい。
【0020】
さらに、前記車載装置31は、カメラ、CCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)等の撮像装置が取得した画像に基づいて画像認識処理を行う画像認識部33を有する。前記撮像装置は、車載装置31に装着されたものであってもよいし、当該車両に搭載され、当該車両の前方、後方、側方等の周辺の画像を取得するものであってもよい。そして、前記画像認識部33は、撮像装置が取得した画像に基づく画像認識処理によって、当該車両の周辺に存在する車両、すなわち、周辺車両の特定、周辺車両の種別判定、周辺車両までの距離の計測、当該車両と周辺車両との位置関係及び周辺車両同士の位置関係の把握、当該車両の周辺の混雑度の計測等を行う。
【0021】
ここで、前記情報提供サーバ11と車載装置31とは、図示されないネットワークを介して相互に通信可能に接続される。なお、該ネットワークは、有線又は無線の公衆通信回線網、専用通信回線網、携帯電話回線網、インターネット、イントラネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、衛星通信回線網等いかなる通信回線網であってもよく、これらを適宜組み合わせたものであってもよい。また、放送衛星によるCS放送やBS放送を利用して通信してもよく、地上波デジタルテレビ放送を利用して通信してもよく、FM多重放送を利用して通信してもよく、また、道路脇(わき)に設置されている光ビーコンや電波ビーコンを利用して通信してもよい。
【0022】
そして、本実施の形態におけるナビゲーションシステムでは、前記情報提供サーバ11は、図示されない他の車両に搭載された他の車載装置とも通信可能に接続され、他の車両の現在位置、他の車両の目的地、該目的地までの経路等の情報を取得する。なお、前記他の車載装置は、例えば、ナビゲーション装置であるが、他の車両の現在位置を検出する機能とともに、前記情報提供サーバ11と通信を行う機能を備えるものであれば、いかなるものであってもよい。この場合、前記車載装置31及び他の車載装置は、あらかじめ情報提供サーバ11に登録され、IDが付与されているものとする。そして、情報提供サーバ11は、前記IDに基づいて、前記車載装置31及び他の車載装置の各々を識別する。
【0023】
ここで、前記情報提供サーバ11は、ナビゲーション処理等の処理を実行する処理部21、及び、道路データ、探索データ等が記録されたデータ部12を有する。なお、該データ部12は走行履歴データベース13を備える。
【0024】
そして、前記データ部12は、各種のデータファイルから成るデータベースを備え、経路を探索するための探索データの他、前記車載装置31の画面に、探索された経路に沿って案内図を表示したり、交差点又は経路における特徴的な写真、コマ図等を表示したり、次の交差点までの距離、次の交差点における進行方向等を表示したり、他の案内情報を表示したりするために、地図データ、施設データ等の各種のデータを記録する。なお、前記データ部12には、所定の情報を音声出力するための各種のデータも記録される。
【0025】
ここで、前記探索データには、交差点データ、ノードデータ、道路データ及び経路表示データが含まれる。そして、前記交差点データには、データが格納されている交差点の数に加え、それぞれの交差点に関するデータが交差点データとして、識別するための番号が付与されて格納されている。さらに、それぞれの前記交差点データには、該当する交差点に接続する道路、すなわち、接続道路の数に加え、それぞれの接続道路を識別するための番号が付与されて格納されている。なお、前記交差点データには、交差点の種類、すなわち、交通信号灯器の設置されている交差点であるか又は交通信号灯器の設置されていない交差点であるかの区別が含まれていてもよい。また、前記ノードデータは、地図データファイルに記録された地図データにおける少なくとも道路の位置及び形状を構成するものであり、実際の道路の分岐点(交差点、T字路等を含む)、ノード、及び、各ノード間を連結するリンクを示すデータから成る。さらに、前記ノードは、少なくとも道路の屈曲点の位置を示す。
【0026】
さらに、前記探索データは、前記リンクに関する情報を格納する。なお、リンクは、道路を構成する単位であり、通常、三叉(さ)路以上の交差点を境界にして区切られている。なお、該交差点は、交通信号灯器の設置されている交差点だけでなく交通信号灯器の設置されていない交差点も含むものである。そのため、一本の道路におけるリンクの数は一定でない。なお、道路の行政道路属性が変化する点もリンクの境界として取り扱われる。そして、通常のナビゲーション装置においては、道路を構成するそれぞれのリンク、すなわち、道路リンクを識別する識別番号としての道路リンクIDが付与される。
【0027】
また、前記道路データには、データが格納されている道路の数に加え、それぞれの道路に関するデータが道路データとして、識別するための番号が付与されて格納されている。そして、それぞれの前記道路データには、道路種別、それぞれの道路の長さとしての距離、それぞれの道路を走行するのに要する時間としての旅行時間等が格納されている。さらに、前記道路種別には、国道、県道、主要地方道、一般道、高速道路等の行政道路属性が含まれる。
【0028】
なお、前記道路データには、道路自体について、幅員、勾(こう)配、カント、高度、バンク、路面の状態、中央分離帯があるか否か、道路の車線数、該車線数の減少する地点、幅員の狭くなる地点等のデータが含まれることが望ましい。そして、高速道路や幹線道路の場合、対向方向の車線のそれぞれが別個の道路データとして格納され、二条化道路として処理される。例えば、片側二車線以上の幹線道路の場合、二条化道路として処理され、上り方向の車線と下り方向の車線とは、それぞれ、独立した道路として道路データに格納される。さらに、コーナについては、曲率半径、交差点、T字路、コーナの入口等のデータが含まれることが望ましい。また、踏切、高速道路出入口ランプウェイ、高速道路の料金所、降坂路、登坂路等の行政道路属性が含まれていてもよい。
【0029】
また、前記走行履歴データベース13には、当該車両及び他の車両の走行履歴に関するデータが格納されている。該データには、例えば、各車両の走行した日時、経路、走行距離、走行速度等が含まれる。なお、前記データは、走行した経路の道路データと対応付けて格納される。例えば、走行速度と道路種別、行政道路属性等が対応付けて格納されているので、各車両の一般道における平均速度、高速道路における平均速度等を算出することができる。
【0030】
そして、前記処理部21は、入力処理部22、検索処理部23、探索処理部24、表示処理部25及び目印設定処理部26を備える。ここで、前記入力処理部22は、前記車載装置31及び他の車載装置から受信した検索要求、経路案内要求、施設や地点のデータの配信要求等を入力する入力処理を行う。また、前記検索処理部23は、前記車載装置31及び他の車載装置から受信した検索要求に含まれる検索条件等に基づいて、施設や地点を検索するPOI(Point of Interest)検索処理を行う。さらに、前記探索処理部24は、目的地までの複数本の経路を探索し、各経路における各リンクの通過時刻等を算出する。さらに、前記表示処理部25は、作成された経路等を前記車載装置31及び他の車載装置の画面に表示するための表示処理を行う。さらに、前記目印設定処理部26は、前記車載装置31及び他の車載装置からの探索要求に応じて探索した目的地までの経路のうちの少なくとも一部の区間を同方向に走行する他の車両を抽出し、該他の車両を識別可能な目印を表示する処理を行う。
【0031】
また、前記情報提供サーバ11は、前記車載装置31及び他の車載装置と通信を行うための通信部17を有する。該通信部17は、経路の探索要求、渋滞予測情報の配信要求等を受信すると、該配信要求を送信した車載装置31及び他の車載装置を特定し、前記処理部21によって作成された配信用のデータを特定した前記車載装置31及び他の車載装置に送信する。
【0032】
本実施の形態におけるナビゲーションシステムは、機能の観点から、車両が目的地まで走行する経路を探索する経路探索処理部、当該車両との類似走行度の高い他の車両を選定して経路案内車両として設定する経路案内車両設定部、及び、前記経路案内車両を識別する目印を表示する表示部を有する。そして、情報提供サーバ11の処理部21が前記経路探索処理部及び経路案内車両設定部として機能し、車載装置31の虚像表示部32が前記表示部として機能する。
【0033】
本実施の形態におけるナビゲーションシステムは、以上のような構成を備え、経路案内車両によって運転者を案内する経路案内を行う。つまり、当該車両と同じ経路に沿って同じ方向へ走行する他の車両を選定して経路案内車両として設定し、該経路案内車両を識別可能な目印を表示するようになっている。なお、該目印は虚像表示部32によって表示されるので、運転者は、車載装置31の表示装置を視認する必要がなく、視線をそらさずに運転に集中したままで前記目印及び経路案内車両を視認することができる。これにより、当該車両の運転者は、画面表示や音声案内による経路案内がなされなくても、経路案内車両に追随することによって、設定された経路に沿って目的地まで走行することができる。
【0034】
次に、前記構成のナビゲーションシステムの動作について説明する。ここでは、探索した目的地までの経路のうちの少なくとも一部の区間を当該車両と同方向に走行する他の車両を選定して経路案内車両として設定し、該経路案内車両を識別可能な目印を表示する動作について説明する。まず、全体的な動作であるメイン処理について説明する。
【0035】
図1は本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムのメイン処理の動作を示すフローチャートである。
【0036】
まず、当該車両の運転者は、車載装置31を操作して、目的地を入力して該目的地までの経路探索を行わせる。すると、ナビゲーションシステムは、経路探索処理を実行し(ステップS1)、前記目的地までの経路を設定する。
【0037】
続いて、ナビゲーションシステムは、設定された経路に沿って、前記運転者を案内するための他の車両、すなわち、経路案内車両を設定するための経路案内車両の設定処理を実行し(ステップS2)、当該車両の周囲に存在する他の車両の中から適切な車両を選定して経路案内車両として設定する。
【0038】
続いて、ナビゲーションシステムは、設定した経路案内車両によって前記運転者を案内するための経路案内処理を実行し(ステップS3)、その後、経路案内が終了したか否か、すなわち、当該車両が目的地に到着したか否かを判断する(ステップS4)。そして、経路案内が終了していない、すなわち、当該車両が目的地に到着していない場合には、再度、経路案内車両の設定処理を実行し、以降の動作を繰り返す。すなわち、ステップS2〜4の動作は、当該車両が目的地に到着するまで繰り返し行われる。
【0039】
そして、当該車両が目的地に到着すると、ナビゲーションシステムは、経路案内が終了したと判断して、処理を終了する。
【0040】
次に、前記経路探索処理のサブルーチンについて説明する。
【0041】
図3は本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムの経路探索処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【0042】
まず、当該車両の運転者は、車載装置31を操作して、所望の目的地を入力する(ステップS1−1)。なお、例えば、高速道路優先等のような経路を探索するための探索条件等も必要に応じて入力することができる。
【0043】
続いて、前記車載装置31は、GPS、地磁気センサ、距離センサ、ステアリングセンサ、ビーコンセンサ、ジャイロセンサ等によって検出された当該車両の現在位置、すなわち、自車位置を取得する(ステップS1−2)。そして、前記車載装置31は、経路の探索要求とともに自車位置、目的地、探索条件等を情報提供サーバ11に送信する。
【0044】
続いて、該情報提供サーバ11は、経路の探索要求を前記車載装置31から受信すると、経路の探索要求とともに受信した自車位置及び目的地に基づいて経路探索を行う(ステップS1−3)。この場合、前記探索条件等を考慮することが望ましい。
【0045】
そして、前記情報提供サーバ11は、探索された自車位置から目的地までの経路の情報を前記車載装置31に送信する。なお、前記経路の情報には、推奨経路、代替え経路等の複数の経路の情報が含まれることが望ましい。
【0046】
続いて、前記車載装置31は、情報提供サーバ11から受信した情報に基づき、探索された経路を画面に表示する。そして、当該車両の運転者が車載装置31を操作して、所望の経路を選択すると、選択された経路の情報が情報提供サーバ11に送信される。すると、該情報提供サーバ11は、経路設定を行い(ステップS1−4)、前記運転者によって選択された経路を目的地までの経路として設定する。これにより、処理が終了する。
【0047】
次に、前記経路案内車両の設定処理のサブルーチンについて説明する。
【0048】
図4は本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムの経路案内車両の設定処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【0049】
まず、情報提供サーバ11は、経路上における自車位置に周辺車両が存在するか否かを判断する(ステップS2−1)。すなわち、設定された経路上において、当該車両の周辺に他の車両が存在するか否かを判断する。ここで、他の車両は、当該車両以外の車両であって情報提供サーバ11と通信を行う他の車載装置を搭載し、現在位置、経路等の情報を取得可能な車両である。
【0050】
そして、周辺車両が存在する場合、情報提供サーバ11は、経路上における自車位置の周辺車両の経路を取得する(ステップS2−2)。この場合、情報提供サーバ11は、前記周辺車両の他の車載装置と通信を行うことによって該他の車載装置に記憶されている目的地までの経路を取得する。なお、前記周辺車両の他の車載装置が情報提供サーバ11と通信を行うことによって目的地までの経路を設定し、かつ、該経路が前記周辺車両の他の車載装置と対応付けて情報提供サーバ11の記憶手段に記憶されている場合には、前記周辺車両の他の車載装置と通信を行うことなく、前記周辺車両の経路を取得することができる。
【0051】
続いて、情報提供サーバ11は、目的地が一致する周辺車両が存在するか否かを判断する(ステップS2−3)。すなわち、当該車両の目的地と一致する目的地が設定されている周辺車両が存在するか否かを判断する。
【0052】
そして、目的地が一致する周辺車両が存在する場合、情報提供サーバ11は、第1の経路案内車両の選定処理を実行する(ステップS2−4)。また、目的地が一致する周辺車両が存在しない場合、情報提供サーバ11は、第2の経路案内車両の選定処理を実行する(ステップS2−5)。さらに、経路上における自車位置に周辺車両が存在するか否かを判断して存在しない場合、情報提供サーバ11は、第3の経路案内車両の選定処理を実行する(ステップS2−6)。なお、経路案内車両は、当該車両のために設定された経路に沿って同方向に走行する他の車両であって、追随することによって前記経路に沿って走行することが可能な車両である。
【0053】
続いて、情報提供サーバ11は、前記第1〜第3の経路案内車両の選定処理によって選定された経路案内車両の設定及び再設定処理を実行し(ステップS2−7)、処理を終了する。なお、五角形で囲まれた6に先行する動作については後述する。
【0054】
次に、前記第1の経路案内車両の選定処理のサブルーチンについて説明する。
【0055】
図5は本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムの類似走行度に基づく選定方法を説明する図、図6は本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムの第1の経路案内車両の選定処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【0056】
本実施の形態におけるナビゲーションシステムは、当該車両と同じ経路に沿って同じ方向へ走行する他の車両を選定して経路案内車両として設定し、当該車両の運転者は、経路案内車両に追随することによって、設定された経路に沿って目的地まで走行する。そのため、第1の経路案内車両の選定処理では、できる限り当該車両の運転者の運転特性に合致した他の車両を選定して経路案内車両とする。これにより、該経路案内車両に追随して走行した際に、当該車両と前記経路案内車両との距離があまり変化することがないので、当該車両の運転者は、前記経路案内車両に容易に追随することができる。
【0057】
まず、情報提供サーバ11は、経路案内車両の候補から平均車速及び走行嗜好を取得する(ステップS2−4−1)。なお、経路案内車両の候補は、前記経路案内車両の設定処理のサブルーチンにおけるステップS2−3で、当該車両の目的地と一致する目的地が設定されている周辺車両として判断された車両である。図5に示される例において、経路案内車両の候補は、車両A〜Eの5台であるものとする。
【0058】
前記走行履歴データベース13には、当該車両及び他の車両の走行履歴に関するデータが格納され、走行速度と道路種別、行政道路属性等が対応付けて格納されているので、前記走行履歴データベース13にアクセスすることによって、当該車両及び経路案内車両の候補の一般道における平均速度、高速道路における平均速度等を算出することができる。
【0059】
そして、走行嗜好は、図5における(a)及び(b)行に示されるように、各車両の各道路における平均速度を大中小の3段階に分類したものである。なお、分類の数は、必ずしも3段階である必要はなく、2段階であってもよいし、4段階以上であってもよい。
【0060】
また、各車両の走行履歴に関するデータが、各車両の他の車載装置の記憶装置に記憶されている場合には、情報提供サーバ11が各車両と通信することによって取得することができる。さらに、当該車両が他の車両と直接に通信を行うことによって、すなわち、車車間通信を行うことによって他の車両の走行履歴に関するデータを取得し、それを当該車両の走行履歴に関するデータとともに、情報提供サーバ11に送信してもよい。
【0061】
続いて、情報提供サーバ11は、経路案内車両の候補の類似走行度を演算する(ステップS2−4−2)。例えば、他の車両が属する各道路における平均速度の段階が、当該車両が属する段階に近いほど付与される点数が高くなるような重み付けを行い、付与された点数に応じて、他の車両の類似走行度を、例えば、図5における(c)行に示されるように、10段階で評価する。なお、他の車両が属する各道路における平均速度と当該車両の平均速度との差が小さいほど付与される点数が高くなるような重み付けを行ってもよい。このようにして演算された類似走行度が高い車両ほど、その運転特性が当該車両の運転者の運転特性に合致するものと考えられる。
【0062】
続いて、情報提供サーバ11は、演算した類似走行度が高いほど順位が高くなるように、類似走行度に基づいた順位付けを行う(ステップS2−4−3)。これにより、図5に示される例における(d)行に示されるように、1〜5位までの順位が、車両E、車両B、車両A、車両C、車両Dの順に付与される。
【0063】
続いて、情報提供サーバ11は、類似走行度に基づいた順位付けを、当該車両と経路案内車両の候補との位置関係に基づいて補正する(ステップS2−4−4)。図5に示される例において、当該車両から経路案内車両の候補までの距離が(e)行に示されるようになっているとすると、補正された順位付けは、(f)行に示されるようになる。これは、当該車両により近い位置を走行している候補ほど、追随するのが容易なためである。したがって、当該車両から離間した経路案内車両の候補の順位は、低くなるように補正される。
【0064】
続いて、情報提供サーバ11は、補正した順位から類似走行度に基づいて車両を選定する(ステップS2−4−5)。図5に示される例においては、(f)行において1位が付与されている車両Bが選定される。
【0065】
続いて、情報提供サーバ11は、選定した車両の位置座標を取得する(ステップS2−4−6)。この場合、情報提供サーバ11は、選定した車両の他の車載装置と通信を行うことによって該他の車載装置が検出した現在位置の座標を取得する。
【0066】
続いて、情報提供サーバ11は、車両選定方法フラグを1にセットして(ステップS2−4−7)、処理を終了する。前記フラグにより、第1の経路案内車両の選定処理によって経路案内車両を選定したことが示される。
【0067】
次に、前記第2の経路案内車両の選定処理のサブルーチンについて説明する。
【0068】
図7は本発明の実施の形態における道路のリンク及びノードの例を示す図、図8は本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムの目的地が一致しない経路案内車両の選定方法を説明する図、図9は本発明の実施の形態における道路のリンクを走行する他の車両の経路を示す図、図10は本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムの第2の経路案内車両の選定処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【0069】
本実施の形態においては、当該車両と目的地が一致する他の車両が周辺に存在しない場合には、目的地までの経路のうちの少なくとも一部の区間を同方向に走行する他の車両を経路案内車両に選定する。つまり、目的地までの経路のすべての区間が一致する他の車両が存在しない場合には、目的地までの経路の一部の区間であっても一致する他の車両を経路案内車両に選定する。そして、前記一部の区間が終了した時点では、目的地までの経路の残りの範囲に関して、同様に、一部の区間であっても一致する他の車両を経路案内車両に選定する。これを繰り返すことにより、目的地までの経路のすべての区間が一致する他の車両が存在しない場合であっても、当該車両の運転者は、それぞれの区間で選定された経路案内車両に順次追随することによって、設定された経路に沿って目的地まで走行することができる。
【0070】
まず、情報提供サーバ11は、所定のリンク内でノードとリンクの繋(つな)がりを解析する(ステップS2−5−1)。図7には、当該車両の進行方向前方の道路におけるリンク及びノードの例が示されている。なお、図7において、△記号は当該車両の現在位置を示し、△記号の頂点が当該車両の進行方向を示している。図7に示される例で説明すると、情報提供サーバ11は、所定のリンクとしてのリンク1〜5内において、リンク1及び5がノード1に繋がり、リンク2がノード1及び2に繋がり、リンク3及び4がノード2に繋がることを解析する。
【0071】
続いて、情報提供サーバ11は、所定のリンク内に存在する他の車両を抽出する(ステップS2−5−2)。これにより、図8に示される例における車両(い)〜(ほ)の5台を含む、多数の他の車両を抽出する。
【0072】
続いて、情報提供サーバ11は、所定のリンク内での各車両の進行方向を通信によって取得する(ステップS2−5−3)。この場合、情報提供サーバ11は、抽出した車両の他の車載装置と通信を行うことによって該他の車載装置が検出した車両の進行方向を取得する。
【0073】
続いて、情報提供サーバ11は、所定のリンク内の各車両のうちから当該車両の予測走行時間に合致する車両を抽出する(ステップS2−5−4)。つまり、当該車両が前記所定のリンクを通過する予測時間に、同じく前記所定のリンクを通過する車両を抽出する。なお、情報提供サーバ11の記憶手段には、当該車両及び他の車両について設定された経路の情報等のデータが格納されているので、該データにアクセスすることによって、当該車両が前記所定のリンクを通過する予測時間に、同じく前記所定のリンクを通過する車両を抽出することができる。また、他の車両について設定された経路の情報等のデータが、各車両の他の車載装置の記憶装置に記憶されている場合には、抽出した車両の他の車載装置と通信を行うことによって、他の車両が前記所定のリンクを通過する予測時間を取得することができる。これにより、図8に示される例における車両(い)〜(ほ)の5台を含む、多数の他の車両を抽出する。
【0074】
続いて、情報提供サーバ11は、解析したノードとリンクの繋がりに対して、各車両の移動方向を演算する(ステップS2−5−5)。この場合、取得した各車両について設定された経路の情報等のデータに基づいて、各車両による各リンクの通過の有無、各ノードへの進入方向等を把握することができるので、これに基づいて各車両の移動方向を演算することができる。ここでは、図8に示される例における車両(い)〜(ほ)が、図9において実線の矢印で示されるように、移動するものとして説明する。なお、図9において、一点鎖線の矢印は、当該車両の移動方向を示している。
【0075】
続いて、情報提供サーバ11は、当該車両と重複しているリンクの数が多い車両を抽出し、さらに、抽出した車両同士でリンクが重複している車両を抽出する(ステップS2−5−6)。図8及び9に示される例では、車両(は)及び(ほ)は、当該車両と重複しているリンクの数が2であり、さらに、リンク2を同じ方向に通過する、すなわち、リンク2が車両同士で重複するリンクとなっている。
【0076】
続いて、情報提供サーバ11は、リンクとノードに基づいて車両を選定する(ステップS2−5−7)。この場合、ステップS2−5−6の結果に基づいて車両を選定する。そして、図8及び9に示される例では、車両(は)及び(ほ)が選定される。
【0077】
続いて、情報提供サーバ11は、選定車両数を保存する(ステップS2−5−8)。続いて、情報提供サーバ11は、すべての選定車両同士のリンク上の重複領域の位置座標を演算し(ステップS2−5−9)、重複領域の位置座標を案内切換領域として保存する(ステップS2−5−10)。該案内切換領域は、当該車両の運転者が追随する経路案内車両を、それまでの区間のために選定された車両から次の区間のために選定された車両に切り換えるための領域である。
【0078】
続いて、情報提供サーバ11は、車両選定方法フラグを2にセットする(ステップS2−5−11)する。前記フラグにより、第2の経路案内車両の選定処理によって経路案内車両を選定したことが示される。図8及び9に示される例では、車両(ほ)がリンク1及び2の経路案内車両として選定され、車両(は)がリンク2及び3の経路案内車両として選定され、重複領域はリンク2内に設定される。
【0079】
続いて、情報提供サーバ11は、回帰フラグがOFFであるか否かを判断し(ステップS2−5−12)、OFFであれば処理を終了する。また、OFFでない、すなわち、ONであれば、五角形で囲まれた3に進む。なお、五角形で囲まれた2に先行する動作、及び、五角形で囲まれた3に後続する動作については後述する。
【0080】
次に、前記第3の経路案内車両の選定処理のサブルーチンについて説明する。
【0081】
図11は本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムの第3の経路案内車両の選定処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【0082】
本実施の形態におけるナビゲーションシステムは、当該車両と同じ経路に沿って同じ方向へ走行する他の車両を選定して経路案内車両として設定するようになっているが、当該車両と同じ経路に沿って同じ方向へ走行する他の車両が当該車両の周辺に存在しない場合があり得る。このような場合には、経路案内車両を選定することが不可能なので、当該車両の運転者の運転特性に合致した走行を行う案内虚像車を作成して該案内虚像車を経路案内車両として設定する。これにより、当該車両の運転者は、経路案内車両に追随することによって、設定された経路に沿って目的地まで走行することができる。
【0083】
まず、情報提供サーバ11は、当該車両の設定された経路の街中比率が高いか否かを判断する(ステップS2−6−1)。すなわち、前記経路が郊外でなく市街地を通過する割合が高いか否かを判断する。
【0084】
そして、街中比率が高い場合、情報提供サーバ11は、小型自動車タイプの経路案内モデルをデータ部12から検索して抽出する(ステップS2−6−2)。また、街中比率が高くない場合には、中型自動車タイプの経路案内モデルをデータ部12から検索して抽出する(ステップS2−6−3)。ここで、小型自動車タイプの経路案内モデルとは、例えば、軽乗用車に対応するものであり、中型自動車タイプの経路案内モデルとは、例えば、普通乗用車に対応するものである。また、前記経路案内モデルは、虚像表示部32によって案内虚像車として目印とともに表示される経路案内車両のモデルであり、あらかじめ作成されデータ部12に格納されている。
【0085】
続いて、情報提供サーバ11は、経路案内モデルのカラーリングを走行環境で選択する(ステップS2−6−4)。つまり、当該車両の走行環境に応じて、視認しやすい色を経路案内モデルの色とする。なお、前記走行環境は、例えば、朝、昼、夜等の時間帯、晴天、曇天、雨天等の天候等を含むものである。そして、経路案内モデルのカラーリングとしては、走行環境に応じて変化する背景色とのコントラストを考慮して、視認しやすい色が選択される。例えば、夜の時間帯であれば白い色が選択され、昼の時間帯であれば濃い色が選択される。
【0086】
続いて、情報提供サーバ11は、車両選定方法フラグを3にセットして(ステップS2−6−5)、処理を終了する。前記フラグにより、第3の経路案内車両の選定処理によって経路案内車両を選定した、すなわち、案内虚像車を経路案内車両として選定したことが示される。なお、五角形で囲まれた7に先行する動作については後述する。
【0087】
次に、経路案内車両の設定及び再設定処理のサブルーチンについて説明する。
【0088】
図12は本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムの経路案内車両の設定及び再設定処理のサブルーチンを示す第1のフローチャート、図13は本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムの経路案内車両の設定及び再設定処理のサブルーチンを示す第2のフローチャート、図14は本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムの経路案内車両の設定及び再設定処理のサブルーチンを示す第3のフローチャートである。
【0089】
まず、情報提供サーバ11は、経路案内状態フラグがOFFであるか否かを判断する(ステップS2−7−1)。つまり、経路案内車両によって運転者を案内する経路案内処理を実行中でないか否かを判断する。
【0090】
そして、情報提供サーバ11は、経路案内状態フラグがOFFでない場合には五角形で囲まれた1に進み、経路案内状態フラグがOFFである場合には、車両選定方法フラグが1であるか否かを判断する(ステップS2−7−2)。つまり、経路案内車両が第1の経路案内車両の選定処理によって選定されたか否かを判断する。なお、五角形で囲まれた1に後続する動作については後述する。
【0091】
車両選定方法フラグが1である場合、情報提供サーバ11は、選定した車両の位置座標を取得する(ステップS2−7−3)。この場合、情報提供サーバ11は、経路案内車両として選定された車両の他の車載装置と通信を行うことによって該他の車載装置が検出した現在位置の座標を取得する。
【0092】
続いて、情報提供サーバ11は、周辺車両の状況、周辺の車両タイプ、及び、経路案内車両との位置関係を取得する(ステップS2−7−4)。前記周辺車両の状況とは、例えば、当該車両周辺の混雑度であり、車載装置31の画像認識部33が行う画像認識処理によって取得することができる。また、車両タイプとは、例えば、乗用車、トラック、バス等の種別であり、当該車両の周辺に存在する車両、すなわち、周辺車両の車両タイプは、混雑度と同様に、前記画像認識部33が行う画像認識処理によって取得することができる。さらに、経路案内車両との位置関係とは、周辺車両と経路案内車両との位置関係である。そして、周辺車両の位置は、混雑度と同様に、前記画像認識部33が行う画像認識処理によって取得することができる。したがって、ステップS2−7−3で取得した経路案内車両の位置座標と、周辺車両の位置とから、当該車両の周辺に存在する車両と経路案内車両との位置関係を取得することができる。
【0093】
続いて、情報提供サーバ11は、周辺の車両タイプに基づき、経路案内車両を当該車両から視認することができるか否かを判断する(ステップS2−7−5)。例えば、経路案内車両と当該車両との間に周辺車両が存在し、かつ、該周辺車両の車両タイプがトラック、バス等の大型のものである場合には、経路案内車両を当該車両から視認することができないと判断する。また、例えば、経路案内車両と当該車両との間に周辺車両が存在しない場合や、存在している場合であっても周辺車両の車両タイプが乗用車等の小型のものであるときには、経路案内車両を当該車両から視認することができると判断する。
【0094】
そして、経路案内車両を当該車両から視認することができる場合、情報提供サーバ11は、選定した車両に経路案内車両であることを明記する情報タグを設定する(ステップS2−7−6)。つまり、経路案内車両として選定された車両を経路案内車両に設定したことを明記する情報タグを設定する。
【0095】
続いて、情報提供サーバ11は、回帰フラグ02がOFFであるか否かを判断し(ステップS2−7−7)、OFFでない場合にはOFFにする(ステップS2−7−8)。そして、情報提供サーバ11は、経路案内状態フラグをONにして(ステップS2−7−9)、処理を終了する。
【0096】
一方、ステップS2−7−2で、車両選定方法フラグが1であるか否かを判断し、車両選定方法フラグが1でない場合、情報提供サーバ11は、車両選定方法フラグが2であるか否かを判断する(ステップS2−7−10)。つまり、経路案内車両が第2の経路案内車両の選定処理によって選定されたか否かを判断する。
【0097】
そして、車両選定方法フラグが2である場合、情報提供サーバ11は、重複領域の位置座標を案内切換領域として取得する(ステップS2−7−11)。なお、重複領域の位置座標は、ステップS2−5−10で保存されている。
【0098】
続いて、情報提供サーバ11は、選定車両数を取得する(ステップS2−7−12)。なお、選定車両数は、ステップS2−5−8で保存されている。そして、情報提供サーバ11は、ステップS2−7−3に進む。
【0099】
また、ステップS2−7−10で、車両選定方法フラグが2であるか否かを判断し、車両選定方法フラグが2でない場合、経路案内車両が第3の経路案内車両の選定処理によって選定されたことになるので、情報提供サーバ11は、経路案内モデルを取得する(ステップS2−7−13)。なお、経路案内モデルはステップS2−6−2又はステップS2−6−3で抽出されている。
【0100】
続いて、情報提供サーバ11は、経路案内モデルのカラーリングを取得する(ステップS2−7−14)。なお、経路案内モデルのカラーリングは、ステップS2−6−4で選択されている。そして、情報提供サーバ11は、ステップS2−7−7に進む。
【0101】
また、ステップS2−7−5で、経路案内車両を当該車両から視認することができるか否かを判断し、経路案内車両を当該車両から視認することができない場合、情報提供サーバ11は、混雑度が高いか否かを判断する(ステップS2−7−15)。
【0102】
そして、混雑度が高い場合、情報提供サーバ11は、当該車両から視認することができる車両を経路案内過渡車両として設定する(ステップS2−7−16)。経路案内過渡車両は、過渡的に経路案内車両としての機能を果たす車両であり、例えば、経路案内車両と当該車両との間にトラックが存在する場合には、該トラックを経路案内過渡車両として設定する。
【0103】
続いて、情報提供サーバ11は、経路案内車両が右左折するノードを取得し(ステップS2−7−17)、ステップS2−7−6に進む。なお、ステップS2−7−15で、混雑度が高いか否かを判断し、混雑度が高くない場合には、五角形で囲まれた7に後続する動作である第3の経路案内車両の選定処理のサブルーチンのステップS2−6−1に進む。
【0104】
図13には、前記五角形で囲まれた1に後続する動作が示されている。
【0105】
ステップS2−11で、経路案内状態フラグがOFFであるか否かを判断し、経路案内状態フラグがOFFでない場合、情報提供サーバ11は、経路案内又は経路案内過渡車両から経路上で所定距離以上であるか否かを判断する(ステップS2−7−18)。つまり、当該車両から経路案内車両又は経路案内過渡車両までの経路に沿った距離があらかじめ設定された所定距離以上となっているか否かを判断する。
【0106】
そして、経路案内又は経路案内過渡車両から経路上で所定距離以上である場合、情報提供サーバ11は、車両選定方法フラグが1であるか否かを判断する(ステップS2−7−19)。車両選定方法フラグが1である場合、情報提供サーバ11は、経路案内車両と当該車両との位置関係を演算する(ステップS2−7−20)。この場合、情報提供サーバ11は、経路案内車両として選定された車両の他の車載装置と通信を行うことによって取得した該他の車載装置が検出した経路案内車両の現在位置、及び、当該車両の車載装置31と通信を行うことによって取得した該車載装置31が検出した当該車両の現在位置に基づいて位置関係を演算する。
【0107】
続いて、情報提供サーバ11は、経路案内車両から所定猶予距離内で追いついて当該車両が走行不可能であるか否かを判断する(ステップS2−7−21)。つまり、当該車両が経路案内車両又は経路案内過渡車両から所定距離以上離れた現状において、経路案内車両からあらかじめ設定された所定の猶予距離内に近付くまでに追いつき、経路案内車両又は経路案内過渡車両に追随して走行することが、当該車両にとって不可能であるか否かを判断する。この場合、経路案内車両及び当該車両の平均車速、走行嗜好等を考慮し、さらには、経路の制限速度、混雑度等を考慮して判断する。
【0108】
そして、経路案内車両から所定猶予距離内で追いついて当該車両が走行不可能である場合、情報提供サーバ11は、回帰フラグをONにし(ステップS2−7−22)、案内車両再設定フラグをONにして(ステップS2−7−23)、五角形で囲まれた2に後続する動作である第2の経路案内車両の選定処理のサブルーチンのステップS2−5−1に進む。
【0109】
一方、ステップS2−7−19で、車両選定方法フラグが1であるか否かを判断し、車両選定方法フラグが1でない場合、情報提供サーバ11は、車両選定方法フラグが2であるか否かを判断する(ステップS2−7−24)。そして、車両選定方法フラグが2である場合には、五角形で囲まれた2に後続する動作である第2の経路案内車両の選定処理のサブルーチンのステップS2−5−1に進み、車両選定方法フラグが2でない場合には、五角形で囲まれた4に後続する動作であるステップS2−7−6に進む。
【0110】
また、ステップS2−7−21で、経路案内車両から所定猶予距離内で追いついて当該車両が走行不可能であるか否かを判断し、走行可能である場合、情報提供サーバ11は、当該車両から視認することができる車両を経路案内過渡車両として設定する(ステップS2−7−25)。
【0111】
続いて、情報提供サーバ11は、案内車両再設定フラグをONにして(ステップS2−7−26)、五角形で囲まれた4に後続する動作であるステップS2−7−6に進む。
【0112】
また、前記第2の経路案内車両の選定処理のサブルーチンのステップS2−5−12で、回帰フラグがOFFであるか否かを判断し、OFFでない場合、情報提供サーバ11は、五角形で囲まれた3に後続する動作を行い、回帰フラグをOFFにする(ステップS2−7−27)。
【0113】
続いて、情報提供サーバ11は、案内車両再設定フラグをONにして(ステップS2−7−28)、五角形で囲まれた4に後続する動作であるステップS2−7−6に進む。
【0114】
さらに、ステップS2−7−18で、経路案内又は経路案内過渡車両から経路上で所定距離以上であるか否かを判断し、所定距離以上でない場合、情報提供サーバ11は、図14に示される動作に進み、情報提供サーバ11は、車両選定方法フラグが1であるか否かを判断する(ステップS2−7−29)。そして、車両選定方法フラグが1である場合、情報提供サーバ11は、経路案内過渡車両ではないか否かを判断する(ステップS2−7−30)。つまり、当該車両からの距離が所定距離未満である車両が経路案内過渡車両ではなく経路案内車両であるか否かを判断する。
【0115】
そして、経路案内過渡車両ではない場合、すなわち、経路案内車両である場合には、五角形で囲まれた4に後続する動作であるステップS2−7−6に進む。また、経路案内過渡車両である場合、情報提供サーバ11は、周辺の車両タイプに基づき、経路案内過渡車両を当該車両から視認することができないか否かを判断する(ステップS2−7−31)。例えば、経路案内過渡車両と当該車両との間に周辺車両が存在し、かつ、該周辺車両の車両タイプがトラック、バス等の大型のものである場合には、経路案内過渡車両を当該車両から視認することができないと判断する。また、例えば、経路案内過渡車両と当該車両との間に周辺車両が存在しない場合や、存在している場合であっても周辺車両の車両タイプが乗用車等の小型のものであるときには、経路案内過渡車両を当該車両から視認することができると判断する。
【0116】
そして、経路案内過渡車両を当該車両から視認することができない場合、情報提供サーバ11は、回帰フラグ02をONにし(ステップS2−7−32)、案内車両再設定フラグをONにして(ステップS2−7−33)、五角形で囲まれた5に後続する動作であるステップS2−7−15に進む。また、経路案内過渡車両を当該車両から視認することができる場合には、そのまま、五角形で囲まれた4に後続する動作であるステップS2−7−6に進む。
【0117】
一方、ステップS2−7−29で、車両選定方法フラグが1であるか否かを判断し、車両選定方法フラグが1でない場合、情報提供サーバ11は、車両選定方法フラグが2であるか否かを判断する(ステップS2−7−34)。
【0118】
そして、車両選定方法フラグが2である場合、情報提供サーバ11は、案内車両再設定フラグをONにして(ステップS2−7−35)、五角形で囲まれた2に後続する動作である第2の経路案内車両の選定処理のサブルーチンのステップS2−5−1に進む。
【0119】
また、車両選定方法フラグが2であるか否かを判断して、車両選定方法フラグが2でない場合、情報提供サーバ11は、当該車両周辺に車両があるか否かを判断する(ステップS2−7−36)。そして、当該車両周辺に車車両がある場合、情報提供サーバ11は、案内車両再設定フラグをONにして(ステップS2−7−37)、五角形で囲まれた6に後続する動作である経路案内車両の設定処理のサブルーチンのステップS2−1に進む。また、当該車両周辺に車両がない場合には、そのまま、五角形で囲まれた4に後続する動作であるステップS2−7−6に進む。
【0120】
次に、前記経路案内処理のサブルーチンについて説明する。まず、情報提供サーバ11の動作について説明する。
【0121】
図15は本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムの情報提供サーバによる経路案内処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【0122】
まず、情報提供サーバ11は、案内車両再設定フラグがOFFであるか否かを判断する(ステップS3−1)。そして、案内車両再設定フラグがOFFであると、車両選定方法フラグを送信する(ステップS3−2)。つまり、経路案内車両の選定処理において1〜3のいずれかにセットされた車両選定方法フラグを当該車両の車載装置31に送信する。
【0123】
続いて、情報提供サーバ11は、経路案内車両の情報タグを送信する(ステップS3−3)。つまり、経路案内車両の選定処理において設定された情報タグを当該車両の車載装置31に送信する。
【0124】
続いて、情報提供サーバ11は、車両選定方法フラグが1であるか否かを判断する(ステップS3−4)。そして、車両選定方法フラグが1である場合、情報提供サーバ11は、選定した車両の位置座標を送信する(ステップS3−5)。つまり、設定された案内車両の位置座標を当該車両の車載装置31に送信する。
【0125】
続いて、情報提供サーバ11は、目的地に到着したか否かを判断する(ステップS3−6)。この場合、情報提供サーバ11は、当該車両の車載装置31と通信を行って当該車両の現在位置を取得することによって、当該車両が目的地に到着したか否かを判断する。
【0126】
そして、目的地に到着した場合、情報提供サーバ11は、経路案内状態フラグをOFFにし(ステップS3−7)、案内車両再設定フラグを送信する(ステップS3−8)。つまり、経路案内車両の選定処理においてONにされた案内車両再設定フラグを当該車両の車載装置31に送信する。また、目的地に到着していない場合には、経路案内状態フラグをOFFにすることなく、そのままステップS3−8に進む。
【0127】
続いて、情報提供サーバ11は、案内車両再設定フラグをOFFにして(ステップS3−9)、処理を終了する。
【0128】
一方、ステップS3−1で、案内車両再設定フラグがOFFであるか否かを判断してOFFでない場合、情報提供サーバ11は、過去の車両選定方法フラグと同一であるか否かを判断する(ステップS3−10)。つまり、現時点での車両選定方法フラグが直近の過去においてセットされた車両選定方法フラグと同一であるか否かを判断する。そして、過去の車両選定方法フラグと同一である場合には、ステップS3−2に進む。
【0129】
また、過去の車両選定方法フラグと同一でない場合、情報提供サーバ11は、現在位置と情報タグから経路案内車両を変更する位置を演算する(ステップS3−11)。つまり、現時点での経路案内車両の現在位置と経路案内車両であることを明記された情報タグとに基づいて、経路案内車両を次の経路案内車両に変更する位置を演算する。
【0130】
そして、情報提供サーバ11は、当該車両の位置が経路案内車両を変更する位置であるか否かを判断する(ステップS3−12)。この場合、情報提供サーバ11は、当該車両の車載装置31と通信を行って当該車両の現在位置を取得し、該現在位置がステップS3−11で演算した経路案内車両を変更する位置に到達したか否かを判断する。なお、当該車両の現在位置が経路案内車両を変更する位置に到達するまで、ステップS3−12の動作を繰り返す。そして、当該車両の現在位置が経路案内車両を変更する位置に到達すると、すなわち、当該車両の位置が経路案内車両を変更する位置であると判断すると、ステップS3−2に進む。
【0131】
また、ステップS3−4で、車両選定方法フラグが1であるか否かを判断して1でない場合、情報提供サーバ11は、車両選定方法フラグが2であるか否かを判断する(ステップS3−13)。そして、車両選定方法フラグが2である場合、情報提供サーバ11は、当該車両の位置が重複領域に到達したか否かを判断する(ステップS3−14)。この場合、情報提供サーバ11は、当該車両の車載装置31と通信して当該車両の現在位置を取得し、該現在位置が経路案内車両の設定及び再設定処理のステップS2−7−11で案内切換領域として取得した重複領域に到達したか否かを判断する。
【0132】
そして、当該車両の位置が重複領域に到達していない場合、そのままステップS3−8に進む。また、当該車両の位置が重複領域に到達した場合、情報提供サーバ11は、位置座標から重複領域で該当する車両を検索する(ステップS3−15)。つまり、第2の経路案内車両の選定処理によって選定された経路案内車両であって、当該車両が到達した重複領域において次の区間のために選定された車両を検索する。
【0133】
続いて、情報提供サーバ11は、重複領域で該当する車両の位置座標を送信する(ステップS3−16)。この場合、検索した他の車両の車載装置と通信を行うことによって該他の車両の車載装置が検出した車両の位置座標を取得し、該位置座標を当該車両の車載装置31に送信する。
【0134】
続いて、情報提供サーバ11は、選定車両数をディクリメントし(ステップS3−17)、選定車両数が0になったか否かを判断する(ステップS3−18)。そして、0になった場合には、五角形で囲まれた6に後続する動作である経路案内車両の設定処理のサブルーチンのステップS2−1に進む。また、0になっていない場合には、ステップS3−8に進む。
【0135】
さらに、ステップS3−13で、車両選定方法フラグが2であるか否かを判断して2でない場合、情報提供サーバ11は、経路案内モデルを送信する(ステップS3−19)。つまり、経路案内車両の設定及び再設定処理のステップS2−7−13で取得した経路案内モデルを当該車両の車載装置31に送信する。
【0136】
続いて、情報提供サーバ11は、経路案内モデルのカラーリングを送信する(ステップS3−20)。この場合、経路案内車両の設定及び再設定処理のステップS2−7−14で取得した経路案内モデルのカラーリングを当該車両の車載装置31に送信する。
【0137】
続いて、情報提供サーバ11は、経路を送信して(ステップS3−21)、ステップS3−8に進む。この場合、経路探索処理のステップS1−4で設定した経路を当該車両の車載装置31に送信する。
【0138】
次に、当該車両の車載装置31の動作のサブルーチンについて説明する。
【0139】
図16は本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムの車載装置による経路案内処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【0140】
まず、車載装置31は、案内車両再設定フラグを受信する(ステップS3−31)。つまり、経路案内車両の選定処理においてONにされた案内車両再設定フラグを情報提供サーバ11から受信する。
【0141】
続いて、車載装置31は、車両選定方法フラグを受信する(ステップS3−32)。つまり、経路案内車両の選定処理において1〜3のいずれかにセットされた車両選定方法フラグを情報提供サーバ11から受信する。
【0142】
続いて、車載装置31は、経路案内車両の情報タグを受信する(ステップS3−33)。つまり、経路案内車両の選定処理において設定された情報タグを情報提供サーバ11から受信する。
【0143】
続いて、車載装置31は、車両選定方法フラグが1であるか否かを判断する(ステップS3−34)。つまり、経路案内車両が第1の経路案内車両の選定処理によって選定されたか否かを判断する。
【0144】
車両選定方法フラグが1である場合、車載装置31は、選定した車両の位置座標を受信する(ステップS3−35)。この場合、経路案内車両として選定された車両の現在位置の座標を情報提供サーバ11から受信する。
【0145】
続いて、車載装置31は、選定した車両の位置座標、情報タグ及び画像認識から経路案内車両を特定する(ステップS3−36)。つまり、情報提供サーバ11から受信した経路案内車両として選定された車両の現在位置の座標及び情報タグと、画像認識部33が行う画像認識処理の結果とに基づいて経路案内車両を特定する。
【0146】
続いて、車載装置31は、経路案内車両の色を変更し、経路案内車両であることが分かるように目印を表示して(ステップS3−37)、処理を終了する。具体的には、車載装置31の虚像表示部32が、追随すべき他の車両である経路案内車両に目印となる虚像を重ねて表示することによって、当該車両の運転者の眼には、あたかも経路案内車両のカラーリングが変更されたかのように、映るようにする。変更後のカラーリングは、当該車両の運転者にとっての目印となるものなので、遠方からでも視認性が高く、かつ、通常ではあり得ないような色彩、色調又は模様から成るものであることが望ましく、例えば、赤と白の市松模様、縞(しま)模様等であることが望ましい。また、第3の経路案内車両の選定処理で選択した経路案内モデルのカラーリングと同様のものであってもよい。これにより、当該車両の運転者は、格別の注意を払わなくても見失うことなく、経路案内車両に追随することができる。
【0147】
一方、ステップS3−34で、車両選定方法フラグが1であるか否かを判断して1でない場合、車載装置31は、車両選定方法フラグが2であるか否かを判断する(ステップS3−38)。つまり、経路案内車両が第2の経路案内車両の選定処理によって選定されたか否かを判断する。
【0148】
そして、車両選定方法フラグが2である場合、車載装置31は、情報提供サーバ11から、重複領域の位置座標を案内切換領域として受信する(ステップS3−39)。続いて、車載装置31は、情報提供サーバ11から、選定車両数を受信して(ステップS3−40)、ステップS3−36に進む。
【0149】
また、ステップS3−38で、車両選定方法フラグが2であるか否かを判断して2でない場合、車載装置31は、情報提供サーバ11から、設定された経路を受信する(ステップS3−41)。続いて、車載装置31は、情報提供サーバ11から、経路案内モデルを受信し(ステップS3−42)、さらに、経路案内モデルのカラーリングを受信する(ステップS3−43)。
【0150】
そして、車載装置31は、経路上に案内虚像車を表示して(ステップS3−44)、処理を終了する。具体的には、車載装置31の虚像表示部32が、追随すべき他の車両である経路案内車両として、案内虚像車の虚像を表示することによって、当該車両の運転者の眼には、あたかも経路案内車両が経路に沿って走行しているかのように、映るようにする。これにより、当該車両の運転者は、案内虚像車に追随することができる。
【0151】
このように、本実施の形態において、ナビゲーションシステムは、車両が目的地まで走行する経路を探索する経路探索処理部と、当該車両との類似走行度の高い他の車両を選定して経路案内車両として設定する経路案内車両設定部と、前記経路案内車両を識別する目印を表示する表示部とを有する。
【0152】
これにより、経路を音声案内したりディスプレイに表示したりすることなく、目的地までの経路に沿って運転者を誘導することができる。
【0153】
なお、本実施の形態においては、車載装置31と情報提供サーバ11とが通信可能に接続され、経路探索処理、経路案内車両の設定処理及び経路案内処理の大部分を情報提供サーバ11が実行するものとして説明したが、経路探索処理、経路案内車両の設定処理及び経路案内処理の大部分を車載装置31が実行するようにしてもよい。つまり、車載装置31及び情報提供サーバ11は、相互に通信可能に接続され、全体としてコンピュータシステムであるナビゲーションシステムとして機能するものであって、ナビゲーションシステム全体として前記経路探索処理、経路案内車両の設定処理及び経路案内処理をすべて実行すればよいのであって、車載装置31と情報提供サーバ11との役割分担は、車載装置31及び情報提供サーバ11の情報処理能力、相互間の通信速度等を勘案して、適宜変更することができる。
【0154】
さらに、車載装置31が、情報処理能力が高く、単体でナビゲーションシステムとして機能し得るものであって、前記経路探索処理、経路案内車両の設定処理及び経路案内処理をすべて実行可能なものである場合には、情報提供サーバ11は他の車両に搭載された他の車載装置との通信のみを行うようにしてもよいし、情報提供サーバ11を省略してもよい。情報提供サーバ11を省略する場合には、他の車両に搭載された他の車載装置との通信は、いわゆる車車間通信によって、直接行われることとなる。
【0155】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0156】
【図1】本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムのメイン処理の動作を示すフローチャートである。
【図2】本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムの構成を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムの経路探索処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムの経路案内車両の設定処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムの類似走行度に基づく選定方法を説明する図である。
【図6】本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムの第1の経路案内車両の選定処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態における道路のリンク及びノードの例を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムの目的地が一致しない経路案内車両の選定方法を説明する図である。
【図9】本発明の実施の形態における道路のリンクを走行する他の車両の経路を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムの第2の経路案内車両の選定処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図11】本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムの第3の経路案内車両の選定処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図12】本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムの経路案内車両の設定及び再設定処理のサブルーチンを示す第1のフローチャートである。
【図13】本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムの経路案内車両の設定及び再設定処理のサブルーチンを示す第2のフローチャートである。
【図14】本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムの経路案内車両の設定及び再設定処理のサブルーチンを示す第3のフローチャートである。
【図15】本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムの情報提供サーバによる経路案内処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図16】本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムの車載装置による経路案内処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0157】
11 情報提供サーバ
21 処理部
31 車載装置
32 虚像表示部
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーションシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の車両に搭載されたナビゲーション装置においては、運転者等の操作者が所定の入力部を操作して目的地を設定すると、該目的地、及び、現在位置検出処理部によって検出された車両の現在位置に基づいて、該現在位置から目的地までの経路が探索され、探索された経路が案内される。この場合、前記現在位置から目的地までの距離が最短となるように経路を探索したり、所要時間が最短となるように経路を探索するようになっている。
【0003】
また、ナビゲーション装置と情報センタ等に配設されたサーバとが通信を行うことによって経路を案内するシステムも提供されている(例えば、特許文献1参照。)。この場合、サーバは、複数の車両のナビゲーション装置と通信を行うことによって、常時複数の車両の走行経路を把握している。そして、前記サーバは、ある車両のナビゲーション装置から経路案内の要求を受信すると、交差点において当該車両の前方を走行する他の車両であって当該車両と同方向へ進行する他の車両を見つけ出し、該他の車両に追随する旨の案内情報を当該車両のナビゲーション装置へ返信する。すると、当該車両のナビゲーション装置は、前記他の車両に追随する旨の音声案内を行うので、当該車両の運転者は、交差点における進行方向を容易に把握することができる。
【特許文献1】特開2000−132798号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来のシステムにおいては、音声案内が行われるので、運転者は運転操作に集中することができず、煩わしく感じることがある。また、運転者が同乗者と会話をしたり音楽を聴いたりしている場合には、音声案内を聞き逃してしまうことがある。さらに、交差点においてのみ他の車両に追随する旨の案内を行うので、運転者は、交差点に到達する毎に追随すべき車両を新たに把握し直さなければならず、追随すべき車両を確実に把握することができないことがある。
【0005】
本発明は、前記従来のシステムの問題点を解決して、類似走行度の高い他の車両を選定し、該他の車両を識別する目印を表示することによって、経路を音声案内したりディスプレイに表示したりすることなく、目的地までの経路に沿って運転者を誘導することができるナビゲーションシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのために、本発明のナビゲーションシステムにおいては、車両が目的地まで走行する経路を探索する経路探索処理部と、当該車両との類似走行度の高い他の車両を選定して経路案内車両として設定する経路案内車両設定部と、前記経路案内車両を識別する目印を表示する表示部とを有する。
【0007】
本発明の他のナビゲーションシステムにおいては、さらに、当該車両に搭載され、前記表示部を備える車載装置を有し、前記表示部は、当該車両の運転者の眼には経路案内車両と重なって映るように、前記目印を表示する。
【0008】
本発明の更に他のナビゲーションシステムにおいては、さらに、前記経路案内車両設定部は、当該車両と目的地が一致する他の車両を経路案内車両に選定する。
【0009】
本発明の更に他のナビゲーションシステムにおいては、さらに、前記類似走行度は、当該車両との走行嗜(し)好の類似性を示す指標である。
【0010】
本発明の更に他のナビゲーションシステムにおいては、さらに、前記走行嗜好は、道路種別毎の平均速度に基づいて分類される指標である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1〜5の構成によれば、経路を音声案内したりディスプレイに表示したりすることなく、目的地までの経路に沿って運転者を誘導することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
図2は本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムの構成を示す図である。
【0014】
図において、11はサーバとしての情報提供サーバであり、CPU、MPU等の演算手段、半導体メモリ、磁気ディスク、光ディスク等の記憶手段、通信インターフェイス等を備えるコンピュータの中に構成される。なお、該コンピュータは単一のコンピュータではなく、複数のコンピュータが有機的に結合された、いわゆる、分散型サーバであってもよい。また、前記コンピュータの中に他のシステムが構築されていてもよい。さらに、前記情報提供サーバ11は、他のコンピュータの中に構築されたシステムの1つであってもよい。
【0015】
そして、31は操作者によって操作される車載装置であり、乗用車、トラック、バス、オートバイ等の車両に搭載される。なお、車載装置は、実際には多数であるが、本実施の形態においては、説明の都合上、前記車載装置31で代表する。また、前記操作者は、例えば、当該車両の運転者、同乗者等であるが、いかなる者であってもよく、ここでは、運転者であるものとする。
【0016】
なお、前記車載装置31は、CPU、MPU等の演算装置、半導体メモリ、磁気ディスク、光ディスク等の記憶装置、液晶ディスプレイ、LED(Light Emitting Diode)ディスプレイ、CRT等の表示装置、キーボード、ジョイスティック、十字キー、押しボタン、リモートコントローラ、タッチパネル等の入力装置、前記表示装置を制御する表示制御装置、及び、通信インターフェイス等の送受信部を備える。前記車載装置31は、例えば、ナビゲーション装置であるが、据え置き電話機、携帯電話機、PHS(Personal Handy−Phone System)電話機、携帯情報端末、PDA(Personal Digital Assistant)、パーソナルコンピュータ、ゲーム機、デジタルテレビ等いかなるものであってもよい。
【0017】
さらに、前記車載装置31は、図示されない現在位置検出装置を有する。該現在位置検出装置は、前記車載装置31が、例えば、ナビゲーション装置である場合、一般的には、GPS(Global Positioning System)、地磁気センサ、距離センサ、ステアリングセンサ、ビーコンセンサ、ジャイロセンサ等によって現在位置を検出する。また、例えば、携帯電話機、携帯情報端末等である場合、一般的には、該携帯電話機、携帯情報端末等が在圏する基地局との通信に基づいて、該基地局の位置を現在位置として検出する。
【0018】
なお、本実施の形態においては、車載装置31がナビゲーション装置である場合について説明する。この場合、前記車載装置31は、通常のナビゲーション装置と同様に、施設や地点を検索する検索機能及び経路を探索する探索機能を有する。
【0019】
また、前記車載装置31は、虚像を表示するための虚像表示部32を有する。該虚像表示部32は、追随すべき他の車両を識別可能な目印の虚像を表示する装置であって、例えば、運転者の眼の網膜上に画像光を照射して虚像を視認可能に表示する網膜ディスプレイ装置(例えば、特開2008−176096号公報参照。)であるが、車両のウインドースクリーンにホログラム像を表示するホログラム装置等であってもよく、前記目印の虚像を表示することができるものであれば、いかなる種類の装置であってもよい。
【0020】
さらに、前記車載装置31は、カメラ、CCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)等の撮像装置が取得した画像に基づいて画像認識処理を行う画像認識部33を有する。前記撮像装置は、車載装置31に装着されたものであってもよいし、当該車両に搭載され、当該車両の前方、後方、側方等の周辺の画像を取得するものであってもよい。そして、前記画像認識部33は、撮像装置が取得した画像に基づく画像認識処理によって、当該車両の周辺に存在する車両、すなわち、周辺車両の特定、周辺車両の種別判定、周辺車両までの距離の計測、当該車両と周辺車両との位置関係及び周辺車両同士の位置関係の把握、当該車両の周辺の混雑度の計測等を行う。
【0021】
ここで、前記情報提供サーバ11と車載装置31とは、図示されないネットワークを介して相互に通信可能に接続される。なお、該ネットワークは、有線又は無線の公衆通信回線網、専用通信回線網、携帯電話回線網、インターネット、イントラネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、衛星通信回線網等いかなる通信回線網であってもよく、これらを適宜組み合わせたものであってもよい。また、放送衛星によるCS放送やBS放送を利用して通信してもよく、地上波デジタルテレビ放送を利用して通信してもよく、FM多重放送を利用して通信してもよく、また、道路脇(わき)に設置されている光ビーコンや電波ビーコンを利用して通信してもよい。
【0022】
そして、本実施の形態におけるナビゲーションシステムでは、前記情報提供サーバ11は、図示されない他の車両に搭載された他の車載装置とも通信可能に接続され、他の車両の現在位置、他の車両の目的地、該目的地までの経路等の情報を取得する。なお、前記他の車載装置は、例えば、ナビゲーション装置であるが、他の車両の現在位置を検出する機能とともに、前記情報提供サーバ11と通信を行う機能を備えるものであれば、いかなるものであってもよい。この場合、前記車載装置31及び他の車載装置は、あらかじめ情報提供サーバ11に登録され、IDが付与されているものとする。そして、情報提供サーバ11は、前記IDに基づいて、前記車載装置31及び他の車載装置の各々を識別する。
【0023】
ここで、前記情報提供サーバ11は、ナビゲーション処理等の処理を実行する処理部21、及び、道路データ、探索データ等が記録されたデータ部12を有する。なお、該データ部12は走行履歴データベース13を備える。
【0024】
そして、前記データ部12は、各種のデータファイルから成るデータベースを備え、経路を探索するための探索データの他、前記車載装置31の画面に、探索された経路に沿って案内図を表示したり、交差点又は経路における特徴的な写真、コマ図等を表示したり、次の交差点までの距離、次の交差点における進行方向等を表示したり、他の案内情報を表示したりするために、地図データ、施設データ等の各種のデータを記録する。なお、前記データ部12には、所定の情報を音声出力するための各種のデータも記録される。
【0025】
ここで、前記探索データには、交差点データ、ノードデータ、道路データ及び経路表示データが含まれる。そして、前記交差点データには、データが格納されている交差点の数に加え、それぞれの交差点に関するデータが交差点データとして、識別するための番号が付与されて格納されている。さらに、それぞれの前記交差点データには、該当する交差点に接続する道路、すなわち、接続道路の数に加え、それぞれの接続道路を識別するための番号が付与されて格納されている。なお、前記交差点データには、交差点の種類、すなわち、交通信号灯器の設置されている交差点であるか又は交通信号灯器の設置されていない交差点であるかの区別が含まれていてもよい。また、前記ノードデータは、地図データファイルに記録された地図データにおける少なくとも道路の位置及び形状を構成するものであり、実際の道路の分岐点(交差点、T字路等を含む)、ノード、及び、各ノード間を連結するリンクを示すデータから成る。さらに、前記ノードは、少なくとも道路の屈曲点の位置を示す。
【0026】
さらに、前記探索データは、前記リンクに関する情報を格納する。なお、リンクは、道路を構成する単位であり、通常、三叉(さ)路以上の交差点を境界にして区切られている。なお、該交差点は、交通信号灯器の設置されている交差点だけでなく交通信号灯器の設置されていない交差点も含むものである。そのため、一本の道路におけるリンクの数は一定でない。なお、道路の行政道路属性が変化する点もリンクの境界として取り扱われる。そして、通常のナビゲーション装置においては、道路を構成するそれぞれのリンク、すなわち、道路リンクを識別する識別番号としての道路リンクIDが付与される。
【0027】
また、前記道路データには、データが格納されている道路の数に加え、それぞれの道路に関するデータが道路データとして、識別するための番号が付与されて格納されている。そして、それぞれの前記道路データには、道路種別、それぞれの道路の長さとしての距離、それぞれの道路を走行するのに要する時間としての旅行時間等が格納されている。さらに、前記道路種別には、国道、県道、主要地方道、一般道、高速道路等の行政道路属性が含まれる。
【0028】
なお、前記道路データには、道路自体について、幅員、勾(こう)配、カント、高度、バンク、路面の状態、中央分離帯があるか否か、道路の車線数、該車線数の減少する地点、幅員の狭くなる地点等のデータが含まれることが望ましい。そして、高速道路や幹線道路の場合、対向方向の車線のそれぞれが別個の道路データとして格納され、二条化道路として処理される。例えば、片側二車線以上の幹線道路の場合、二条化道路として処理され、上り方向の車線と下り方向の車線とは、それぞれ、独立した道路として道路データに格納される。さらに、コーナについては、曲率半径、交差点、T字路、コーナの入口等のデータが含まれることが望ましい。また、踏切、高速道路出入口ランプウェイ、高速道路の料金所、降坂路、登坂路等の行政道路属性が含まれていてもよい。
【0029】
また、前記走行履歴データベース13には、当該車両及び他の車両の走行履歴に関するデータが格納されている。該データには、例えば、各車両の走行した日時、経路、走行距離、走行速度等が含まれる。なお、前記データは、走行した経路の道路データと対応付けて格納される。例えば、走行速度と道路種別、行政道路属性等が対応付けて格納されているので、各車両の一般道における平均速度、高速道路における平均速度等を算出することができる。
【0030】
そして、前記処理部21は、入力処理部22、検索処理部23、探索処理部24、表示処理部25及び目印設定処理部26を備える。ここで、前記入力処理部22は、前記車載装置31及び他の車載装置から受信した検索要求、経路案内要求、施設や地点のデータの配信要求等を入力する入力処理を行う。また、前記検索処理部23は、前記車載装置31及び他の車載装置から受信した検索要求に含まれる検索条件等に基づいて、施設や地点を検索するPOI(Point of Interest)検索処理を行う。さらに、前記探索処理部24は、目的地までの複数本の経路を探索し、各経路における各リンクの通過時刻等を算出する。さらに、前記表示処理部25は、作成された経路等を前記車載装置31及び他の車載装置の画面に表示するための表示処理を行う。さらに、前記目印設定処理部26は、前記車載装置31及び他の車載装置からの探索要求に応じて探索した目的地までの経路のうちの少なくとも一部の区間を同方向に走行する他の車両を抽出し、該他の車両を識別可能な目印を表示する処理を行う。
【0031】
また、前記情報提供サーバ11は、前記車載装置31及び他の車載装置と通信を行うための通信部17を有する。該通信部17は、経路の探索要求、渋滞予測情報の配信要求等を受信すると、該配信要求を送信した車載装置31及び他の車載装置を特定し、前記処理部21によって作成された配信用のデータを特定した前記車載装置31及び他の車載装置に送信する。
【0032】
本実施の形態におけるナビゲーションシステムは、機能の観点から、車両が目的地まで走行する経路を探索する経路探索処理部、当該車両との類似走行度の高い他の車両を選定して経路案内車両として設定する経路案内車両設定部、及び、前記経路案内車両を識別する目印を表示する表示部を有する。そして、情報提供サーバ11の処理部21が前記経路探索処理部及び経路案内車両設定部として機能し、車載装置31の虚像表示部32が前記表示部として機能する。
【0033】
本実施の形態におけるナビゲーションシステムは、以上のような構成を備え、経路案内車両によって運転者を案内する経路案内を行う。つまり、当該車両と同じ経路に沿って同じ方向へ走行する他の車両を選定して経路案内車両として設定し、該経路案内車両を識別可能な目印を表示するようになっている。なお、該目印は虚像表示部32によって表示されるので、運転者は、車載装置31の表示装置を視認する必要がなく、視線をそらさずに運転に集中したままで前記目印及び経路案内車両を視認することができる。これにより、当該車両の運転者は、画面表示や音声案内による経路案内がなされなくても、経路案内車両に追随することによって、設定された経路に沿って目的地まで走行することができる。
【0034】
次に、前記構成のナビゲーションシステムの動作について説明する。ここでは、探索した目的地までの経路のうちの少なくとも一部の区間を当該車両と同方向に走行する他の車両を選定して経路案内車両として設定し、該経路案内車両を識別可能な目印を表示する動作について説明する。まず、全体的な動作であるメイン処理について説明する。
【0035】
図1は本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムのメイン処理の動作を示すフローチャートである。
【0036】
まず、当該車両の運転者は、車載装置31を操作して、目的地を入力して該目的地までの経路探索を行わせる。すると、ナビゲーションシステムは、経路探索処理を実行し(ステップS1)、前記目的地までの経路を設定する。
【0037】
続いて、ナビゲーションシステムは、設定された経路に沿って、前記運転者を案内するための他の車両、すなわち、経路案内車両を設定するための経路案内車両の設定処理を実行し(ステップS2)、当該車両の周囲に存在する他の車両の中から適切な車両を選定して経路案内車両として設定する。
【0038】
続いて、ナビゲーションシステムは、設定した経路案内車両によって前記運転者を案内するための経路案内処理を実行し(ステップS3)、その後、経路案内が終了したか否か、すなわち、当該車両が目的地に到着したか否かを判断する(ステップS4)。そして、経路案内が終了していない、すなわち、当該車両が目的地に到着していない場合には、再度、経路案内車両の設定処理を実行し、以降の動作を繰り返す。すなわち、ステップS2〜4の動作は、当該車両が目的地に到着するまで繰り返し行われる。
【0039】
そして、当該車両が目的地に到着すると、ナビゲーションシステムは、経路案内が終了したと判断して、処理を終了する。
【0040】
次に、前記経路探索処理のサブルーチンについて説明する。
【0041】
図3は本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムの経路探索処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【0042】
まず、当該車両の運転者は、車載装置31を操作して、所望の目的地を入力する(ステップS1−1)。なお、例えば、高速道路優先等のような経路を探索するための探索条件等も必要に応じて入力することができる。
【0043】
続いて、前記車載装置31は、GPS、地磁気センサ、距離センサ、ステアリングセンサ、ビーコンセンサ、ジャイロセンサ等によって検出された当該車両の現在位置、すなわち、自車位置を取得する(ステップS1−2)。そして、前記車載装置31は、経路の探索要求とともに自車位置、目的地、探索条件等を情報提供サーバ11に送信する。
【0044】
続いて、該情報提供サーバ11は、経路の探索要求を前記車載装置31から受信すると、経路の探索要求とともに受信した自車位置及び目的地に基づいて経路探索を行う(ステップS1−3)。この場合、前記探索条件等を考慮することが望ましい。
【0045】
そして、前記情報提供サーバ11は、探索された自車位置から目的地までの経路の情報を前記車載装置31に送信する。なお、前記経路の情報には、推奨経路、代替え経路等の複数の経路の情報が含まれることが望ましい。
【0046】
続いて、前記車載装置31は、情報提供サーバ11から受信した情報に基づき、探索された経路を画面に表示する。そして、当該車両の運転者が車載装置31を操作して、所望の経路を選択すると、選択された経路の情報が情報提供サーバ11に送信される。すると、該情報提供サーバ11は、経路設定を行い(ステップS1−4)、前記運転者によって選択された経路を目的地までの経路として設定する。これにより、処理が終了する。
【0047】
次に、前記経路案内車両の設定処理のサブルーチンについて説明する。
【0048】
図4は本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムの経路案内車両の設定処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【0049】
まず、情報提供サーバ11は、経路上における自車位置に周辺車両が存在するか否かを判断する(ステップS2−1)。すなわち、設定された経路上において、当該車両の周辺に他の車両が存在するか否かを判断する。ここで、他の車両は、当該車両以外の車両であって情報提供サーバ11と通信を行う他の車載装置を搭載し、現在位置、経路等の情報を取得可能な車両である。
【0050】
そして、周辺車両が存在する場合、情報提供サーバ11は、経路上における自車位置の周辺車両の経路を取得する(ステップS2−2)。この場合、情報提供サーバ11は、前記周辺車両の他の車載装置と通信を行うことによって該他の車載装置に記憶されている目的地までの経路を取得する。なお、前記周辺車両の他の車載装置が情報提供サーバ11と通信を行うことによって目的地までの経路を設定し、かつ、該経路が前記周辺車両の他の車載装置と対応付けて情報提供サーバ11の記憶手段に記憶されている場合には、前記周辺車両の他の車載装置と通信を行うことなく、前記周辺車両の経路を取得することができる。
【0051】
続いて、情報提供サーバ11は、目的地が一致する周辺車両が存在するか否かを判断する(ステップS2−3)。すなわち、当該車両の目的地と一致する目的地が設定されている周辺車両が存在するか否かを判断する。
【0052】
そして、目的地が一致する周辺車両が存在する場合、情報提供サーバ11は、第1の経路案内車両の選定処理を実行する(ステップS2−4)。また、目的地が一致する周辺車両が存在しない場合、情報提供サーバ11は、第2の経路案内車両の選定処理を実行する(ステップS2−5)。さらに、経路上における自車位置に周辺車両が存在するか否かを判断して存在しない場合、情報提供サーバ11は、第3の経路案内車両の選定処理を実行する(ステップS2−6)。なお、経路案内車両は、当該車両のために設定された経路に沿って同方向に走行する他の車両であって、追随することによって前記経路に沿って走行することが可能な車両である。
【0053】
続いて、情報提供サーバ11は、前記第1〜第3の経路案内車両の選定処理によって選定された経路案内車両の設定及び再設定処理を実行し(ステップS2−7)、処理を終了する。なお、五角形で囲まれた6に先行する動作については後述する。
【0054】
次に、前記第1の経路案内車両の選定処理のサブルーチンについて説明する。
【0055】
図5は本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムの類似走行度に基づく選定方法を説明する図、図6は本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムの第1の経路案内車両の選定処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【0056】
本実施の形態におけるナビゲーションシステムは、当該車両と同じ経路に沿って同じ方向へ走行する他の車両を選定して経路案内車両として設定し、当該車両の運転者は、経路案内車両に追随することによって、設定された経路に沿って目的地まで走行する。そのため、第1の経路案内車両の選定処理では、できる限り当該車両の運転者の運転特性に合致した他の車両を選定して経路案内車両とする。これにより、該経路案内車両に追随して走行した際に、当該車両と前記経路案内車両との距離があまり変化することがないので、当該車両の運転者は、前記経路案内車両に容易に追随することができる。
【0057】
まず、情報提供サーバ11は、経路案内車両の候補から平均車速及び走行嗜好を取得する(ステップS2−4−1)。なお、経路案内車両の候補は、前記経路案内車両の設定処理のサブルーチンにおけるステップS2−3で、当該車両の目的地と一致する目的地が設定されている周辺車両として判断された車両である。図5に示される例において、経路案内車両の候補は、車両A〜Eの5台であるものとする。
【0058】
前記走行履歴データベース13には、当該車両及び他の車両の走行履歴に関するデータが格納され、走行速度と道路種別、行政道路属性等が対応付けて格納されているので、前記走行履歴データベース13にアクセスすることによって、当該車両及び経路案内車両の候補の一般道における平均速度、高速道路における平均速度等を算出することができる。
【0059】
そして、走行嗜好は、図5における(a)及び(b)行に示されるように、各車両の各道路における平均速度を大中小の3段階に分類したものである。なお、分類の数は、必ずしも3段階である必要はなく、2段階であってもよいし、4段階以上であってもよい。
【0060】
また、各車両の走行履歴に関するデータが、各車両の他の車載装置の記憶装置に記憶されている場合には、情報提供サーバ11が各車両と通信することによって取得することができる。さらに、当該車両が他の車両と直接に通信を行うことによって、すなわち、車車間通信を行うことによって他の車両の走行履歴に関するデータを取得し、それを当該車両の走行履歴に関するデータとともに、情報提供サーバ11に送信してもよい。
【0061】
続いて、情報提供サーバ11は、経路案内車両の候補の類似走行度を演算する(ステップS2−4−2)。例えば、他の車両が属する各道路における平均速度の段階が、当該車両が属する段階に近いほど付与される点数が高くなるような重み付けを行い、付与された点数に応じて、他の車両の類似走行度を、例えば、図5における(c)行に示されるように、10段階で評価する。なお、他の車両が属する各道路における平均速度と当該車両の平均速度との差が小さいほど付与される点数が高くなるような重み付けを行ってもよい。このようにして演算された類似走行度が高い車両ほど、その運転特性が当該車両の運転者の運転特性に合致するものと考えられる。
【0062】
続いて、情報提供サーバ11は、演算した類似走行度が高いほど順位が高くなるように、類似走行度に基づいた順位付けを行う(ステップS2−4−3)。これにより、図5に示される例における(d)行に示されるように、1〜5位までの順位が、車両E、車両B、車両A、車両C、車両Dの順に付与される。
【0063】
続いて、情報提供サーバ11は、類似走行度に基づいた順位付けを、当該車両と経路案内車両の候補との位置関係に基づいて補正する(ステップS2−4−4)。図5に示される例において、当該車両から経路案内車両の候補までの距離が(e)行に示されるようになっているとすると、補正された順位付けは、(f)行に示されるようになる。これは、当該車両により近い位置を走行している候補ほど、追随するのが容易なためである。したがって、当該車両から離間した経路案内車両の候補の順位は、低くなるように補正される。
【0064】
続いて、情報提供サーバ11は、補正した順位から類似走行度に基づいて車両を選定する(ステップS2−4−5)。図5に示される例においては、(f)行において1位が付与されている車両Bが選定される。
【0065】
続いて、情報提供サーバ11は、選定した車両の位置座標を取得する(ステップS2−4−6)。この場合、情報提供サーバ11は、選定した車両の他の車載装置と通信を行うことによって該他の車載装置が検出した現在位置の座標を取得する。
【0066】
続いて、情報提供サーバ11は、車両選定方法フラグを1にセットして(ステップS2−4−7)、処理を終了する。前記フラグにより、第1の経路案内車両の選定処理によって経路案内車両を選定したことが示される。
【0067】
次に、前記第2の経路案内車両の選定処理のサブルーチンについて説明する。
【0068】
図7は本発明の実施の形態における道路のリンク及びノードの例を示す図、図8は本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムの目的地が一致しない経路案内車両の選定方法を説明する図、図9は本発明の実施の形態における道路のリンクを走行する他の車両の経路を示す図、図10は本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムの第2の経路案内車両の選定処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【0069】
本実施の形態においては、当該車両と目的地が一致する他の車両が周辺に存在しない場合には、目的地までの経路のうちの少なくとも一部の区間を同方向に走行する他の車両を経路案内車両に選定する。つまり、目的地までの経路のすべての区間が一致する他の車両が存在しない場合には、目的地までの経路の一部の区間であっても一致する他の車両を経路案内車両に選定する。そして、前記一部の区間が終了した時点では、目的地までの経路の残りの範囲に関して、同様に、一部の区間であっても一致する他の車両を経路案内車両に選定する。これを繰り返すことにより、目的地までの経路のすべての区間が一致する他の車両が存在しない場合であっても、当該車両の運転者は、それぞれの区間で選定された経路案内車両に順次追随することによって、設定された経路に沿って目的地まで走行することができる。
【0070】
まず、情報提供サーバ11は、所定のリンク内でノードとリンクの繋(つな)がりを解析する(ステップS2−5−1)。図7には、当該車両の進行方向前方の道路におけるリンク及びノードの例が示されている。なお、図7において、△記号は当該車両の現在位置を示し、△記号の頂点が当該車両の進行方向を示している。図7に示される例で説明すると、情報提供サーバ11は、所定のリンクとしてのリンク1〜5内において、リンク1及び5がノード1に繋がり、リンク2がノード1及び2に繋がり、リンク3及び4がノード2に繋がることを解析する。
【0071】
続いて、情報提供サーバ11は、所定のリンク内に存在する他の車両を抽出する(ステップS2−5−2)。これにより、図8に示される例における車両(い)〜(ほ)の5台を含む、多数の他の車両を抽出する。
【0072】
続いて、情報提供サーバ11は、所定のリンク内での各車両の進行方向を通信によって取得する(ステップS2−5−3)。この場合、情報提供サーバ11は、抽出した車両の他の車載装置と通信を行うことによって該他の車載装置が検出した車両の進行方向を取得する。
【0073】
続いて、情報提供サーバ11は、所定のリンク内の各車両のうちから当該車両の予測走行時間に合致する車両を抽出する(ステップS2−5−4)。つまり、当該車両が前記所定のリンクを通過する予測時間に、同じく前記所定のリンクを通過する車両を抽出する。なお、情報提供サーバ11の記憶手段には、当該車両及び他の車両について設定された経路の情報等のデータが格納されているので、該データにアクセスすることによって、当該車両が前記所定のリンクを通過する予測時間に、同じく前記所定のリンクを通過する車両を抽出することができる。また、他の車両について設定された経路の情報等のデータが、各車両の他の車載装置の記憶装置に記憶されている場合には、抽出した車両の他の車載装置と通信を行うことによって、他の車両が前記所定のリンクを通過する予測時間を取得することができる。これにより、図8に示される例における車両(い)〜(ほ)の5台を含む、多数の他の車両を抽出する。
【0074】
続いて、情報提供サーバ11は、解析したノードとリンクの繋がりに対して、各車両の移動方向を演算する(ステップS2−5−5)。この場合、取得した各車両について設定された経路の情報等のデータに基づいて、各車両による各リンクの通過の有無、各ノードへの進入方向等を把握することができるので、これに基づいて各車両の移動方向を演算することができる。ここでは、図8に示される例における車両(い)〜(ほ)が、図9において実線の矢印で示されるように、移動するものとして説明する。なお、図9において、一点鎖線の矢印は、当該車両の移動方向を示している。
【0075】
続いて、情報提供サーバ11は、当該車両と重複しているリンクの数が多い車両を抽出し、さらに、抽出した車両同士でリンクが重複している車両を抽出する(ステップS2−5−6)。図8及び9に示される例では、車両(は)及び(ほ)は、当該車両と重複しているリンクの数が2であり、さらに、リンク2を同じ方向に通過する、すなわち、リンク2が車両同士で重複するリンクとなっている。
【0076】
続いて、情報提供サーバ11は、リンクとノードに基づいて車両を選定する(ステップS2−5−7)。この場合、ステップS2−5−6の結果に基づいて車両を選定する。そして、図8及び9に示される例では、車両(は)及び(ほ)が選定される。
【0077】
続いて、情報提供サーバ11は、選定車両数を保存する(ステップS2−5−8)。続いて、情報提供サーバ11は、すべての選定車両同士のリンク上の重複領域の位置座標を演算し(ステップS2−5−9)、重複領域の位置座標を案内切換領域として保存する(ステップS2−5−10)。該案内切換領域は、当該車両の運転者が追随する経路案内車両を、それまでの区間のために選定された車両から次の区間のために選定された車両に切り換えるための領域である。
【0078】
続いて、情報提供サーバ11は、車両選定方法フラグを2にセットする(ステップS2−5−11)する。前記フラグにより、第2の経路案内車両の選定処理によって経路案内車両を選定したことが示される。図8及び9に示される例では、車両(ほ)がリンク1及び2の経路案内車両として選定され、車両(は)がリンク2及び3の経路案内車両として選定され、重複領域はリンク2内に設定される。
【0079】
続いて、情報提供サーバ11は、回帰フラグがOFFであるか否かを判断し(ステップS2−5−12)、OFFであれば処理を終了する。また、OFFでない、すなわち、ONであれば、五角形で囲まれた3に進む。なお、五角形で囲まれた2に先行する動作、及び、五角形で囲まれた3に後続する動作については後述する。
【0080】
次に、前記第3の経路案内車両の選定処理のサブルーチンについて説明する。
【0081】
図11は本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムの第3の経路案内車両の選定処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【0082】
本実施の形態におけるナビゲーションシステムは、当該車両と同じ経路に沿って同じ方向へ走行する他の車両を選定して経路案内車両として設定するようになっているが、当該車両と同じ経路に沿って同じ方向へ走行する他の車両が当該車両の周辺に存在しない場合があり得る。このような場合には、経路案内車両を選定することが不可能なので、当該車両の運転者の運転特性に合致した走行を行う案内虚像車を作成して該案内虚像車を経路案内車両として設定する。これにより、当該車両の運転者は、経路案内車両に追随することによって、設定された経路に沿って目的地まで走行することができる。
【0083】
まず、情報提供サーバ11は、当該車両の設定された経路の街中比率が高いか否かを判断する(ステップS2−6−1)。すなわち、前記経路が郊外でなく市街地を通過する割合が高いか否かを判断する。
【0084】
そして、街中比率が高い場合、情報提供サーバ11は、小型自動車タイプの経路案内モデルをデータ部12から検索して抽出する(ステップS2−6−2)。また、街中比率が高くない場合には、中型自動車タイプの経路案内モデルをデータ部12から検索して抽出する(ステップS2−6−3)。ここで、小型自動車タイプの経路案内モデルとは、例えば、軽乗用車に対応するものであり、中型自動車タイプの経路案内モデルとは、例えば、普通乗用車に対応するものである。また、前記経路案内モデルは、虚像表示部32によって案内虚像車として目印とともに表示される経路案内車両のモデルであり、あらかじめ作成されデータ部12に格納されている。
【0085】
続いて、情報提供サーバ11は、経路案内モデルのカラーリングを走行環境で選択する(ステップS2−6−4)。つまり、当該車両の走行環境に応じて、視認しやすい色を経路案内モデルの色とする。なお、前記走行環境は、例えば、朝、昼、夜等の時間帯、晴天、曇天、雨天等の天候等を含むものである。そして、経路案内モデルのカラーリングとしては、走行環境に応じて変化する背景色とのコントラストを考慮して、視認しやすい色が選択される。例えば、夜の時間帯であれば白い色が選択され、昼の時間帯であれば濃い色が選択される。
【0086】
続いて、情報提供サーバ11は、車両選定方法フラグを3にセットして(ステップS2−6−5)、処理を終了する。前記フラグにより、第3の経路案内車両の選定処理によって経路案内車両を選定した、すなわち、案内虚像車を経路案内車両として選定したことが示される。なお、五角形で囲まれた7に先行する動作については後述する。
【0087】
次に、経路案内車両の設定及び再設定処理のサブルーチンについて説明する。
【0088】
図12は本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムの経路案内車両の設定及び再設定処理のサブルーチンを示す第1のフローチャート、図13は本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムの経路案内車両の設定及び再設定処理のサブルーチンを示す第2のフローチャート、図14は本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムの経路案内車両の設定及び再設定処理のサブルーチンを示す第3のフローチャートである。
【0089】
まず、情報提供サーバ11は、経路案内状態フラグがOFFであるか否かを判断する(ステップS2−7−1)。つまり、経路案内車両によって運転者を案内する経路案内処理を実行中でないか否かを判断する。
【0090】
そして、情報提供サーバ11は、経路案内状態フラグがOFFでない場合には五角形で囲まれた1に進み、経路案内状態フラグがOFFである場合には、車両選定方法フラグが1であるか否かを判断する(ステップS2−7−2)。つまり、経路案内車両が第1の経路案内車両の選定処理によって選定されたか否かを判断する。なお、五角形で囲まれた1に後続する動作については後述する。
【0091】
車両選定方法フラグが1である場合、情報提供サーバ11は、選定した車両の位置座標を取得する(ステップS2−7−3)。この場合、情報提供サーバ11は、経路案内車両として選定された車両の他の車載装置と通信を行うことによって該他の車載装置が検出した現在位置の座標を取得する。
【0092】
続いて、情報提供サーバ11は、周辺車両の状況、周辺の車両タイプ、及び、経路案内車両との位置関係を取得する(ステップS2−7−4)。前記周辺車両の状況とは、例えば、当該車両周辺の混雑度であり、車載装置31の画像認識部33が行う画像認識処理によって取得することができる。また、車両タイプとは、例えば、乗用車、トラック、バス等の種別であり、当該車両の周辺に存在する車両、すなわち、周辺車両の車両タイプは、混雑度と同様に、前記画像認識部33が行う画像認識処理によって取得することができる。さらに、経路案内車両との位置関係とは、周辺車両と経路案内車両との位置関係である。そして、周辺車両の位置は、混雑度と同様に、前記画像認識部33が行う画像認識処理によって取得することができる。したがって、ステップS2−7−3で取得した経路案内車両の位置座標と、周辺車両の位置とから、当該車両の周辺に存在する車両と経路案内車両との位置関係を取得することができる。
【0093】
続いて、情報提供サーバ11は、周辺の車両タイプに基づき、経路案内車両を当該車両から視認することができるか否かを判断する(ステップS2−7−5)。例えば、経路案内車両と当該車両との間に周辺車両が存在し、かつ、該周辺車両の車両タイプがトラック、バス等の大型のものである場合には、経路案内車両を当該車両から視認することができないと判断する。また、例えば、経路案内車両と当該車両との間に周辺車両が存在しない場合や、存在している場合であっても周辺車両の車両タイプが乗用車等の小型のものであるときには、経路案内車両を当該車両から視認することができると判断する。
【0094】
そして、経路案内車両を当該車両から視認することができる場合、情報提供サーバ11は、選定した車両に経路案内車両であることを明記する情報タグを設定する(ステップS2−7−6)。つまり、経路案内車両として選定された車両を経路案内車両に設定したことを明記する情報タグを設定する。
【0095】
続いて、情報提供サーバ11は、回帰フラグ02がOFFであるか否かを判断し(ステップS2−7−7)、OFFでない場合にはOFFにする(ステップS2−7−8)。そして、情報提供サーバ11は、経路案内状態フラグをONにして(ステップS2−7−9)、処理を終了する。
【0096】
一方、ステップS2−7−2で、車両選定方法フラグが1であるか否かを判断し、車両選定方法フラグが1でない場合、情報提供サーバ11は、車両選定方法フラグが2であるか否かを判断する(ステップS2−7−10)。つまり、経路案内車両が第2の経路案内車両の選定処理によって選定されたか否かを判断する。
【0097】
そして、車両選定方法フラグが2である場合、情報提供サーバ11は、重複領域の位置座標を案内切換領域として取得する(ステップS2−7−11)。なお、重複領域の位置座標は、ステップS2−5−10で保存されている。
【0098】
続いて、情報提供サーバ11は、選定車両数を取得する(ステップS2−7−12)。なお、選定車両数は、ステップS2−5−8で保存されている。そして、情報提供サーバ11は、ステップS2−7−3に進む。
【0099】
また、ステップS2−7−10で、車両選定方法フラグが2であるか否かを判断し、車両選定方法フラグが2でない場合、経路案内車両が第3の経路案内車両の選定処理によって選定されたことになるので、情報提供サーバ11は、経路案内モデルを取得する(ステップS2−7−13)。なお、経路案内モデルはステップS2−6−2又はステップS2−6−3で抽出されている。
【0100】
続いて、情報提供サーバ11は、経路案内モデルのカラーリングを取得する(ステップS2−7−14)。なお、経路案内モデルのカラーリングは、ステップS2−6−4で選択されている。そして、情報提供サーバ11は、ステップS2−7−7に進む。
【0101】
また、ステップS2−7−5で、経路案内車両を当該車両から視認することができるか否かを判断し、経路案内車両を当該車両から視認することができない場合、情報提供サーバ11は、混雑度が高いか否かを判断する(ステップS2−7−15)。
【0102】
そして、混雑度が高い場合、情報提供サーバ11は、当該車両から視認することができる車両を経路案内過渡車両として設定する(ステップS2−7−16)。経路案内過渡車両は、過渡的に経路案内車両としての機能を果たす車両であり、例えば、経路案内車両と当該車両との間にトラックが存在する場合には、該トラックを経路案内過渡車両として設定する。
【0103】
続いて、情報提供サーバ11は、経路案内車両が右左折するノードを取得し(ステップS2−7−17)、ステップS2−7−6に進む。なお、ステップS2−7−15で、混雑度が高いか否かを判断し、混雑度が高くない場合には、五角形で囲まれた7に後続する動作である第3の経路案内車両の選定処理のサブルーチンのステップS2−6−1に進む。
【0104】
図13には、前記五角形で囲まれた1に後続する動作が示されている。
【0105】
ステップS2−11で、経路案内状態フラグがOFFであるか否かを判断し、経路案内状態フラグがOFFでない場合、情報提供サーバ11は、経路案内又は経路案内過渡車両から経路上で所定距離以上であるか否かを判断する(ステップS2−7−18)。つまり、当該車両から経路案内車両又は経路案内過渡車両までの経路に沿った距離があらかじめ設定された所定距離以上となっているか否かを判断する。
【0106】
そして、経路案内又は経路案内過渡車両から経路上で所定距離以上である場合、情報提供サーバ11は、車両選定方法フラグが1であるか否かを判断する(ステップS2−7−19)。車両選定方法フラグが1である場合、情報提供サーバ11は、経路案内車両と当該車両との位置関係を演算する(ステップS2−7−20)。この場合、情報提供サーバ11は、経路案内車両として選定された車両の他の車載装置と通信を行うことによって取得した該他の車載装置が検出した経路案内車両の現在位置、及び、当該車両の車載装置31と通信を行うことによって取得した該車載装置31が検出した当該車両の現在位置に基づいて位置関係を演算する。
【0107】
続いて、情報提供サーバ11は、経路案内車両から所定猶予距離内で追いついて当該車両が走行不可能であるか否かを判断する(ステップS2−7−21)。つまり、当該車両が経路案内車両又は経路案内過渡車両から所定距離以上離れた現状において、経路案内車両からあらかじめ設定された所定の猶予距離内に近付くまでに追いつき、経路案内車両又は経路案内過渡車両に追随して走行することが、当該車両にとって不可能であるか否かを判断する。この場合、経路案内車両及び当該車両の平均車速、走行嗜好等を考慮し、さらには、経路の制限速度、混雑度等を考慮して判断する。
【0108】
そして、経路案内車両から所定猶予距離内で追いついて当該車両が走行不可能である場合、情報提供サーバ11は、回帰フラグをONにし(ステップS2−7−22)、案内車両再設定フラグをONにして(ステップS2−7−23)、五角形で囲まれた2に後続する動作である第2の経路案内車両の選定処理のサブルーチンのステップS2−5−1に進む。
【0109】
一方、ステップS2−7−19で、車両選定方法フラグが1であるか否かを判断し、車両選定方法フラグが1でない場合、情報提供サーバ11は、車両選定方法フラグが2であるか否かを判断する(ステップS2−7−24)。そして、車両選定方法フラグが2である場合には、五角形で囲まれた2に後続する動作である第2の経路案内車両の選定処理のサブルーチンのステップS2−5−1に進み、車両選定方法フラグが2でない場合には、五角形で囲まれた4に後続する動作であるステップS2−7−6に進む。
【0110】
また、ステップS2−7−21で、経路案内車両から所定猶予距離内で追いついて当該車両が走行不可能であるか否かを判断し、走行可能である場合、情報提供サーバ11は、当該車両から視認することができる車両を経路案内過渡車両として設定する(ステップS2−7−25)。
【0111】
続いて、情報提供サーバ11は、案内車両再設定フラグをONにして(ステップS2−7−26)、五角形で囲まれた4に後続する動作であるステップS2−7−6に進む。
【0112】
また、前記第2の経路案内車両の選定処理のサブルーチンのステップS2−5−12で、回帰フラグがOFFであるか否かを判断し、OFFでない場合、情報提供サーバ11は、五角形で囲まれた3に後続する動作を行い、回帰フラグをOFFにする(ステップS2−7−27)。
【0113】
続いて、情報提供サーバ11は、案内車両再設定フラグをONにして(ステップS2−7−28)、五角形で囲まれた4に後続する動作であるステップS2−7−6に進む。
【0114】
さらに、ステップS2−7−18で、経路案内又は経路案内過渡車両から経路上で所定距離以上であるか否かを判断し、所定距離以上でない場合、情報提供サーバ11は、図14に示される動作に進み、情報提供サーバ11は、車両選定方法フラグが1であるか否かを判断する(ステップS2−7−29)。そして、車両選定方法フラグが1である場合、情報提供サーバ11は、経路案内過渡車両ではないか否かを判断する(ステップS2−7−30)。つまり、当該車両からの距離が所定距離未満である車両が経路案内過渡車両ではなく経路案内車両であるか否かを判断する。
【0115】
そして、経路案内過渡車両ではない場合、すなわち、経路案内車両である場合には、五角形で囲まれた4に後続する動作であるステップS2−7−6に進む。また、経路案内過渡車両である場合、情報提供サーバ11は、周辺の車両タイプに基づき、経路案内過渡車両を当該車両から視認することができないか否かを判断する(ステップS2−7−31)。例えば、経路案内過渡車両と当該車両との間に周辺車両が存在し、かつ、該周辺車両の車両タイプがトラック、バス等の大型のものである場合には、経路案内過渡車両を当該車両から視認することができないと判断する。また、例えば、経路案内過渡車両と当該車両との間に周辺車両が存在しない場合や、存在している場合であっても周辺車両の車両タイプが乗用車等の小型のものであるときには、経路案内過渡車両を当該車両から視認することができると判断する。
【0116】
そして、経路案内過渡車両を当該車両から視認することができない場合、情報提供サーバ11は、回帰フラグ02をONにし(ステップS2−7−32)、案内車両再設定フラグをONにして(ステップS2−7−33)、五角形で囲まれた5に後続する動作であるステップS2−7−15に進む。また、経路案内過渡車両を当該車両から視認することができる場合には、そのまま、五角形で囲まれた4に後続する動作であるステップS2−7−6に進む。
【0117】
一方、ステップS2−7−29で、車両選定方法フラグが1であるか否かを判断し、車両選定方法フラグが1でない場合、情報提供サーバ11は、車両選定方法フラグが2であるか否かを判断する(ステップS2−7−34)。
【0118】
そして、車両選定方法フラグが2である場合、情報提供サーバ11は、案内車両再設定フラグをONにして(ステップS2−7−35)、五角形で囲まれた2に後続する動作である第2の経路案内車両の選定処理のサブルーチンのステップS2−5−1に進む。
【0119】
また、車両選定方法フラグが2であるか否かを判断して、車両選定方法フラグが2でない場合、情報提供サーバ11は、当該車両周辺に車両があるか否かを判断する(ステップS2−7−36)。そして、当該車両周辺に車車両がある場合、情報提供サーバ11は、案内車両再設定フラグをONにして(ステップS2−7−37)、五角形で囲まれた6に後続する動作である経路案内車両の設定処理のサブルーチンのステップS2−1に進む。また、当該車両周辺に車両がない場合には、そのまま、五角形で囲まれた4に後続する動作であるステップS2−7−6に進む。
【0120】
次に、前記経路案内処理のサブルーチンについて説明する。まず、情報提供サーバ11の動作について説明する。
【0121】
図15は本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムの情報提供サーバによる経路案内処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【0122】
まず、情報提供サーバ11は、案内車両再設定フラグがOFFであるか否かを判断する(ステップS3−1)。そして、案内車両再設定フラグがOFFであると、車両選定方法フラグを送信する(ステップS3−2)。つまり、経路案内車両の選定処理において1〜3のいずれかにセットされた車両選定方法フラグを当該車両の車載装置31に送信する。
【0123】
続いて、情報提供サーバ11は、経路案内車両の情報タグを送信する(ステップS3−3)。つまり、経路案内車両の選定処理において設定された情報タグを当該車両の車載装置31に送信する。
【0124】
続いて、情報提供サーバ11は、車両選定方法フラグが1であるか否かを判断する(ステップS3−4)。そして、車両選定方法フラグが1である場合、情報提供サーバ11は、選定した車両の位置座標を送信する(ステップS3−5)。つまり、設定された案内車両の位置座標を当該車両の車載装置31に送信する。
【0125】
続いて、情報提供サーバ11は、目的地に到着したか否かを判断する(ステップS3−6)。この場合、情報提供サーバ11は、当該車両の車載装置31と通信を行って当該車両の現在位置を取得することによって、当該車両が目的地に到着したか否かを判断する。
【0126】
そして、目的地に到着した場合、情報提供サーバ11は、経路案内状態フラグをOFFにし(ステップS3−7)、案内車両再設定フラグを送信する(ステップS3−8)。つまり、経路案内車両の選定処理においてONにされた案内車両再設定フラグを当該車両の車載装置31に送信する。また、目的地に到着していない場合には、経路案内状態フラグをOFFにすることなく、そのままステップS3−8に進む。
【0127】
続いて、情報提供サーバ11は、案内車両再設定フラグをOFFにして(ステップS3−9)、処理を終了する。
【0128】
一方、ステップS3−1で、案内車両再設定フラグがOFFであるか否かを判断してOFFでない場合、情報提供サーバ11は、過去の車両選定方法フラグと同一であるか否かを判断する(ステップS3−10)。つまり、現時点での車両選定方法フラグが直近の過去においてセットされた車両選定方法フラグと同一であるか否かを判断する。そして、過去の車両選定方法フラグと同一である場合には、ステップS3−2に進む。
【0129】
また、過去の車両選定方法フラグと同一でない場合、情報提供サーバ11は、現在位置と情報タグから経路案内車両を変更する位置を演算する(ステップS3−11)。つまり、現時点での経路案内車両の現在位置と経路案内車両であることを明記された情報タグとに基づいて、経路案内車両を次の経路案内車両に変更する位置を演算する。
【0130】
そして、情報提供サーバ11は、当該車両の位置が経路案内車両を変更する位置であるか否かを判断する(ステップS3−12)。この場合、情報提供サーバ11は、当該車両の車載装置31と通信を行って当該車両の現在位置を取得し、該現在位置がステップS3−11で演算した経路案内車両を変更する位置に到達したか否かを判断する。なお、当該車両の現在位置が経路案内車両を変更する位置に到達するまで、ステップS3−12の動作を繰り返す。そして、当該車両の現在位置が経路案内車両を変更する位置に到達すると、すなわち、当該車両の位置が経路案内車両を変更する位置であると判断すると、ステップS3−2に進む。
【0131】
また、ステップS3−4で、車両選定方法フラグが1であるか否かを判断して1でない場合、情報提供サーバ11は、車両選定方法フラグが2であるか否かを判断する(ステップS3−13)。そして、車両選定方法フラグが2である場合、情報提供サーバ11は、当該車両の位置が重複領域に到達したか否かを判断する(ステップS3−14)。この場合、情報提供サーバ11は、当該車両の車載装置31と通信して当該車両の現在位置を取得し、該現在位置が経路案内車両の設定及び再設定処理のステップS2−7−11で案内切換領域として取得した重複領域に到達したか否かを判断する。
【0132】
そして、当該車両の位置が重複領域に到達していない場合、そのままステップS3−8に進む。また、当該車両の位置が重複領域に到達した場合、情報提供サーバ11は、位置座標から重複領域で該当する車両を検索する(ステップS3−15)。つまり、第2の経路案内車両の選定処理によって選定された経路案内車両であって、当該車両が到達した重複領域において次の区間のために選定された車両を検索する。
【0133】
続いて、情報提供サーバ11は、重複領域で該当する車両の位置座標を送信する(ステップS3−16)。この場合、検索した他の車両の車載装置と通信を行うことによって該他の車両の車載装置が検出した車両の位置座標を取得し、該位置座標を当該車両の車載装置31に送信する。
【0134】
続いて、情報提供サーバ11は、選定車両数をディクリメントし(ステップS3−17)、選定車両数が0になったか否かを判断する(ステップS3−18)。そして、0になった場合には、五角形で囲まれた6に後続する動作である経路案内車両の設定処理のサブルーチンのステップS2−1に進む。また、0になっていない場合には、ステップS3−8に進む。
【0135】
さらに、ステップS3−13で、車両選定方法フラグが2であるか否かを判断して2でない場合、情報提供サーバ11は、経路案内モデルを送信する(ステップS3−19)。つまり、経路案内車両の設定及び再設定処理のステップS2−7−13で取得した経路案内モデルを当該車両の車載装置31に送信する。
【0136】
続いて、情報提供サーバ11は、経路案内モデルのカラーリングを送信する(ステップS3−20)。この場合、経路案内車両の設定及び再設定処理のステップS2−7−14で取得した経路案内モデルのカラーリングを当該車両の車載装置31に送信する。
【0137】
続いて、情報提供サーバ11は、経路を送信して(ステップS3−21)、ステップS3−8に進む。この場合、経路探索処理のステップS1−4で設定した経路を当該車両の車載装置31に送信する。
【0138】
次に、当該車両の車載装置31の動作のサブルーチンについて説明する。
【0139】
図16は本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムの車載装置による経路案内処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【0140】
まず、車載装置31は、案内車両再設定フラグを受信する(ステップS3−31)。つまり、経路案内車両の選定処理においてONにされた案内車両再設定フラグを情報提供サーバ11から受信する。
【0141】
続いて、車載装置31は、車両選定方法フラグを受信する(ステップS3−32)。つまり、経路案内車両の選定処理において1〜3のいずれかにセットされた車両選定方法フラグを情報提供サーバ11から受信する。
【0142】
続いて、車載装置31は、経路案内車両の情報タグを受信する(ステップS3−33)。つまり、経路案内車両の選定処理において設定された情報タグを情報提供サーバ11から受信する。
【0143】
続いて、車載装置31は、車両選定方法フラグが1であるか否かを判断する(ステップS3−34)。つまり、経路案内車両が第1の経路案内車両の選定処理によって選定されたか否かを判断する。
【0144】
車両選定方法フラグが1である場合、車載装置31は、選定した車両の位置座標を受信する(ステップS3−35)。この場合、経路案内車両として選定された車両の現在位置の座標を情報提供サーバ11から受信する。
【0145】
続いて、車載装置31は、選定した車両の位置座標、情報タグ及び画像認識から経路案内車両を特定する(ステップS3−36)。つまり、情報提供サーバ11から受信した経路案内車両として選定された車両の現在位置の座標及び情報タグと、画像認識部33が行う画像認識処理の結果とに基づいて経路案内車両を特定する。
【0146】
続いて、車載装置31は、経路案内車両の色を変更し、経路案内車両であることが分かるように目印を表示して(ステップS3−37)、処理を終了する。具体的には、車載装置31の虚像表示部32が、追随すべき他の車両である経路案内車両に目印となる虚像を重ねて表示することによって、当該車両の運転者の眼には、あたかも経路案内車両のカラーリングが変更されたかのように、映るようにする。変更後のカラーリングは、当該車両の運転者にとっての目印となるものなので、遠方からでも視認性が高く、かつ、通常ではあり得ないような色彩、色調又は模様から成るものであることが望ましく、例えば、赤と白の市松模様、縞(しま)模様等であることが望ましい。また、第3の経路案内車両の選定処理で選択した経路案内モデルのカラーリングと同様のものであってもよい。これにより、当該車両の運転者は、格別の注意を払わなくても見失うことなく、経路案内車両に追随することができる。
【0147】
一方、ステップS3−34で、車両選定方法フラグが1であるか否かを判断して1でない場合、車載装置31は、車両選定方法フラグが2であるか否かを判断する(ステップS3−38)。つまり、経路案内車両が第2の経路案内車両の選定処理によって選定されたか否かを判断する。
【0148】
そして、車両選定方法フラグが2である場合、車載装置31は、情報提供サーバ11から、重複領域の位置座標を案内切換領域として受信する(ステップS3−39)。続いて、車載装置31は、情報提供サーバ11から、選定車両数を受信して(ステップS3−40)、ステップS3−36に進む。
【0149】
また、ステップS3−38で、車両選定方法フラグが2であるか否かを判断して2でない場合、車載装置31は、情報提供サーバ11から、設定された経路を受信する(ステップS3−41)。続いて、車載装置31は、情報提供サーバ11から、経路案内モデルを受信し(ステップS3−42)、さらに、経路案内モデルのカラーリングを受信する(ステップS3−43)。
【0150】
そして、車載装置31は、経路上に案内虚像車を表示して(ステップS3−44)、処理を終了する。具体的には、車載装置31の虚像表示部32が、追随すべき他の車両である経路案内車両として、案内虚像車の虚像を表示することによって、当該車両の運転者の眼には、あたかも経路案内車両が経路に沿って走行しているかのように、映るようにする。これにより、当該車両の運転者は、案内虚像車に追随することができる。
【0151】
このように、本実施の形態において、ナビゲーションシステムは、車両が目的地まで走行する経路を探索する経路探索処理部と、当該車両との類似走行度の高い他の車両を選定して経路案内車両として設定する経路案内車両設定部と、前記経路案内車両を識別する目印を表示する表示部とを有する。
【0152】
これにより、経路を音声案内したりディスプレイに表示したりすることなく、目的地までの経路に沿って運転者を誘導することができる。
【0153】
なお、本実施の形態においては、車載装置31と情報提供サーバ11とが通信可能に接続され、経路探索処理、経路案内車両の設定処理及び経路案内処理の大部分を情報提供サーバ11が実行するものとして説明したが、経路探索処理、経路案内車両の設定処理及び経路案内処理の大部分を車載装置31が実行するようにしてもよい。つまり、車載装置31及び情報提供サーバ11は、相互に通信可能に接続され、全体としてコンピュータシステムであるナビゲーションシステムとして機能するものであって、ナビゲーションシステム全体として前記経路探索処理、経路案内車両の設定処理及び経路案内処理をすべて実行すればよいのであって、車載装置31と情報提供サーバ11との役割分担は、車載装置31及び情報提供サーバ11の情報処理能力、相互間の通信速度等を勘案して、適宜変更することができる。
【0154】
さらに、車載装置31が、情報処理能力が高く、単体でナビゲーションシステムとして機能し得るものであって、前記経路探索処理、経路案内車両の設定処理及び経路案内処理をすべて実行可能なものである場合には、情報提供サーバ11は他の車両に搭載された他の車載装置との通信のみを行うようにしてもよいし、情報提供サーバ11を省略してもよい。情報提供サーバ11を省略する場合には、他の車両に搭載された他の車載装置との通信は、いわゆる車車間通信によって、直接行われることとなる。
【0155】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0156】
【図1】本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムのメイン処理の動作を示すフローチャートである。
【図2】本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムの構成を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムの経路探索処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムの経路案内車両の設定処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムの類似走行度に基づく選定方法を説明する図である。
【図6】本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムの第1の経路案内車両の選定処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態における道路のリンク及びノードの例を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムの目的地が一致しない経路案内車両の選定方法を説明する図である。
【図9】本発明の実施の形態における道路のリンクを走行する他の車両の経路を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムの第2の経路案内車両の選定処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図11】本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムの第3の経路案内車両の選定処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図12】本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムの経路案内車両の設定及び再設定処理のサブルーチンを示す第1のフローチャートである。
【図13】本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムの経路案内車両の設定及び再設定処理のサブルーチンを示す第2のフローチャートである。
【図14】本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムの経路案内車両の設定及び再設定処理のサブルーチンを示す第3のフローチャートである。
【図15】本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムの情報提供サーバによる経路案内処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図16】本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムの車載装置による経路案内処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0157】
11 情報提供サーバ
21 処理部
31 車載装置
32 虚像表示部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が目的地まで走行する経路を探索する経路探索処理部と、
当該車両との類似走行度の高い他の車両を選定して経路案内車両として設定する経路案内車両設定部と、
前記経路案内車両を識別する目印を表示する表示部とを有することを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項2】
当該車両に搭載され、前記表示部を備える車載装置を有し、
前記表示部は、当該車両の運転者の眼には経路案内車両と重なって映るように、前記目印を表示する請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項3】
前記経路案内車両設定部は、
当該車両と目的地が一致する他の車両を経路案内車両に選定する請求項1又は2に記載のナビゲーションシステム。
【請求項4】
前記類似走行度は、当該車両との走行嗜好の類似性を示す指標である請求項1〜3のいずれか1項に記載のナビゲーションシステム。
【請求項5】
前記走行嗜好は、道路種別毎の平均速度に基づいて分類される指標である請求項4に記載のナビゲーションシステム。
【請求項1】
車両が目的地まで走行する経路を探索する経路探索処理部と、
当該車両との類似走行度の高い他の車両を選定して経路案内車両として設定する経路案内車両設定部と、
前記経路案内車両を識別する目印を表示する表示部とを有することを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項2】
当該車両に搭載され、前記表示部を備える車載装置を有し、
前記表示部は、当該車両の運転者の眼には経路案内車両と重なって映るように、前記目印を表示する請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項3】
前記経路案内車両設定部は、
当該車両と目的地が一致する他の車両を経路案内車両に選定する請求項1又は2に記載のナビゲーションシステム。
【請求項4】
前記類似走行度は、当該車両との走行嗜好の類似性を示す指標である請求項1〜3のいずれか1項に記載のナビゲーションシステム。
【請求項5】
前記走行嗜好は、道路種別毎の平均速度に基づいて分類される指標である請求項4に記載のナビゲーションシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2010−151475(P2010−151475A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−327330(P2008−327330)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(591261509)株式会社エクォス・リサーチ (1,360)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(591261509)株式会社エクォス・リサーチ (1,360)
【Fターム(参考)】
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