説明

ナビゲーション装置、その制御方法及びその制御プログラム

【課題】目的地への案内経路を誘導する方法において、ユーザの通行が許可されていない公道を除いた道路を適宜誘導経路に含めるか否かの判断可能なナビゲーション装置、その制御方法及び制御プログラムを提供する。
【解決手段】通行許可道路登録部31dにより、通行許可道路を予め記憶装置13に記憶させておき、この道路を通行許可道路読出部31eが読み出す。そして、経路内公道外道路読出部31fが、経路計算部31cで計算した経路中の経路内公道外道路を読み出し、比較判断部31gにより通行許可道路読出部31eにより読み出された通行許可道路が、経路内公道外道路読出部31fにより読み出された経路内公道外道路に含まれているかを判断する。通行許可道路が経路内公道外道路に含まれていた場合には、除外処理部31hが通行許可道路以外の経路内公道外道路を経路候補から除外する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション技術の改良に係り、特に、案内経路に一般車両の通行が制限された私有地内の道路などが含まれた場合のナビゲーション装置、方法及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車の普及と情報処理技術の発達に伴い、車両などの移動体に搭載して道案内を行う車載用ナビゲーション装置が普及している。ナビゲーション装置は、予め道路データベースなどに用意した地図データを利用し、GPSなどで測位する自車の位置や向きなどを周辺地図上に表示したり、指定される目的地への経路を計算し、画面表示や合成音声などで案内するものである。
【0003】
このようなナビゲーション装置における道路データベースは、地図表示用のデータベースと経路探索用のデータベースとから構成される。このうち、経路探索用データベースは、道路の交差点をノード、その交差点間をリンクとして、道路のネットワーク情報として構成されている。それぞれのリンクは、道路のランク、距離、道幅等の属性を持ち、その属性より道路の通りやすさ(コスト)を決定する。つまり、ナビゲーション装置の有する経路探索機能は、上記のような経路探索用データベースに基づいて、最低コストとなる出発地点から目的地までを計算している。
【0004】
この経路探索機能においては、例えば、有料道路優先、一般道路優先、複数経路表示、外部からの情報(VICS)より渋滞情報をオンラインでキャッチした渋滞道路迂回など、多様な機能がユーザに提供される。また、交通規制データも取得することができ、全面通行止め、一方通行、日時・曜日等に限定した通行規制を考慮して、経路探索が行われる。
【0005】
ここで、幅員等によって道路を分類した上で、自動二輪車、軽自動車、普通乗用車、大型車といった車両種別又は車両の物理的な大きさをナビゲーション装置に入力することにより、車両によって異なる通行の可否を適切に考慮して経路探索を行う技術も提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−2749
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、探索する道路には、全面通行止め、一方通行、日時・曜日等に限定した通行規制などの一般的に適用されている通行規制や、車両種別又は車両の物理的な大きさといったハードウェア的な属性を有する通行規制が存在する。しかしながら、道路によっては、車両運行の目的によって通行の可否を判断しなければならない場合もある。例えば、企業が有する工場の敷地内の道路では、幅員や日時・曜日等に関係なく、関係者以外の車両が通行できないのが通常であり、こういったケースが該当する。
【0007】
上記従来技術によると、幅員等により車両種別に適した経路探索を行うことは可能であるが、車両運行の目的上、通行のできない道路、すなわち公道を除いた道路である公道外道路を適宜考慮して経路探索を行うことはできなかった。ここで、公道外道路とは、私有地内や国有地内にある道路で一般車両の通行が制限されているものをいう。
また、このような道路に関する情報を取得することができても、従来技術では通行規制情報として一律に通行可能とするか、又は通行禁止とすることしかできないのが現状であった。実際、一律に通行可能とした場合は、私有地などに用事の無い車両に対してまで、通行できない公道外道路を経路として提示し、案内してしまう問題が生じる。一方、一律に通行禁止とした場合には、公道外道路に用事のある車両や、現に公道外道路上にある車両に対し、実際に通行する必要がある公道外道路を経路として提示し、案内することができないといった問題が生じる。
【0008】
そこで、本発明は、上記のような従来技術の課題を解決するもので、第1の目的は、ユーザの通行が許可されている公道外道路(「通行許可道路」という。)を予めナビゲーション装置に記憶させておくことで、通行が許可されている道路以外の公道外道路を経路として提示しないことにある。また、第2の目的は、通行が許可されている公道外道路を予めナビゲーション装置に記憶させなくても、ユーザに特別な操作及び設定をさせることなく自動で、公道外道路を通行する必要がある車両に対してのみ、公道外道路を経路として提示し、案内させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を本発明は以下のように解決する。
請求項1の発明は、ユーザからの入力を受け付ける入力部と、経路探索及び地図表示のための道路地図データを予め格納する記憶部と、自車位置及び目的地を検知する検知部と、前記検知部から検知した自車位置及び目的地から最適経路の計算及び誘導案内処理を行う案内処理部と、情報を表示するための表示部と、を備えたナビゲーション装置において、前記記憶部は、そこに記憶された道路地図データとして、公道と通行許可のない車両の通行を禁止する公道外道路を区別して記憶するものであり、前記案内処理部は、ユーザの有する公道外道路の通行許可の有無に基づき、公道外道路を含めて経路探索を行うか否かの判定手段と、目的地への最適経路の計算を行う経路計算手段と、前記判定手段によるユーザが公道外道路の通行許可を有するか否かの判定に基づいて、前記経路計算手段において公道外道路を含むか否かの経路計算を行って案内経路を決定する経路設定手段と、を有することを特徴とする。
【0010】
請求項9の発明は、請求項1の発明を方法の観点から把握したもので、ユーザからの入力を受け付ける入力部と、経路探索及び地図表示のための道路地図データを予め格納する記憶部と、自車位置及び目的地を検知する検知部と、前記検知部から検知した自車位置及び目的地から最適経路の計算及び誘導案内処理を行う案内処理部と、情報を表示するための表示部と、を備えたナビゲーション装置の制御方法において、前記記憶部は、そこに記憶された道路地図データとして、公道と通行許可のない車両の通行を禁止する公道外道路を区別して記憶するステップを実行し、前記案内処理部が、ユーザの有する公道外道路の通行許可の有無に基づき、公道外道路を含めて経路探索を行うか否かの判定ステップと、目的地への最適経路の計算を行う経路計算ステップと、前記判定ステップによるユーザが公道外道路の通行許可を有するか否かの判定に基づいて、前記経路計算ステップにおいて公道外道路を含むか否かの経路計算を行って案内経路を決定する経路設定ステップと、を実行することを特徴とする。
【0011】
請求項12の発明は、請求項1,9の発明をコンピュータのプログラムの観点から把握したもので、ユーザからの入力を受け付ける入力部と、経路探索及び地図表示のための道路地図データを予め格納する記憶部と、自車位置及び目的地を検知する検知部と、前記検知部から検知した自車位置及び目的地から最適経路の計算及び誘導案内処理を行う案内処理部と、情報を表示するための表示部と、を備えたナビゲーション装置の制御プログラムにおいて、前記プログラムが、前記記憶部に、そこに記憶された道路地図データとして、公道と通行許可のない車両の通行を禁止する公道外道路を区別して記憶する処理を実行させ、前記案内処理部に、ユーザの有する公道外道路の通行許可の有無に基づき、公道外道路を含めて経路探索を行うか否かの判定処理と、目的地への最適経路の計算を行う経路計算処理と、前記判定処理によるユーザが公道外道路の通行許可を有するか否かの判定に基づいて、前記経路計算処理において公道外道路を含むか否かの経路計算を行って案内経路を決定する経路設定処理と、を実行させることを特徴とする。
【0012】
以上のような態様では、ユーザが予め通行許可道路をナビゲーション装置に登録させておくことにより、通行許可道路を経路候補に含めて経路探索が行われるか、又は自車位置及び目的地の存在する各々の道路に基づき判断された公道外道路の通行の可否に基づいて経路探索が行われる。すなわち、通行許可道路を登録していた場合には、実際に通行できない公道外道路を経路として提示しないので、通行許可道路を含めた経路を提示することが可能である。また、自車位置及び目的地から公道外道路の通行の可否を判断する場合は、自動的に通行できない公道外道路を経路として提示せず、通行が許可されている道路を経路として案内することができる。
【0013】
請求項2の発明は、請求項1に記載のナビゲーション装置において、前記判定手段は、公道外道路の中でユーザが通行許可を有する通行許可道路を予め記憶部に格納しておく通行許可道路登録部と、前記通行許可道路登録部により格納された前記通行許可道路を読み出す通行許可道路読出部と、前記経路計算手段により計算された経路中から前記公道外道路を読み出す経路内公道外道路読出部と、前記通行許可道路読出部により読み出された前記通行許可道路が前記経路内公道外道路読出部により読み出された経路内公道外道路に含まれているかを判断する比較判断部と、を備え、前記経路設定手段は、前記比較判断部により前記通行許可道路が前記経路内公道外道路に含まれている場合に、その経路内公道外道路を含めた案内経路を決定するものであることを特徴とする。
【0014】
請求項10の発明は、請求項2の発明を方法の観点から把握したもので、請求項9に記載のナビゲーション装置の制御方法において、前記判定ステップは、公道外道路の中でユーザが通行許可を有する通行許可道路を予め記憶部に格納しておく通行許可道路登録ステップと、前記通行許可道路登録ステップにより格納された前記通行許可道路を読み出す通行許可道路読出ステップと、前記経路計算ステップにより計算された経路中から前記公道外道路を読み出す経路内公道外道路読出ステップと、前記通行許可道路読出ステップにより読み出された前記通行許可道路が前記経路内公道外道路読出ステップにより読み出された経路内公道外道路に含まれているかを判断する比較判断ステップと、を備え、前記経路設定ステップは、前記比較判断ステップにより前記通行許可道路が前記経路内公道外道路に含まれている場合に、その経路内公道外道路を含めた案内経路を決定する処理を含むことを特徴とする。
【0015】
請求項13の発明は、請求項2,10の発明をコンピュータのプログラムの観点から把握したもので、請求項12に記載のナビゲーション装置の制御プログラムにおいて、前記判定処理は、公道外道路の中でユーザが通行許可を有する通行許可道路を予め記憶部に格納しておく通行許可道路登録処理と、前記通行許可道路登録処理により格納された前記通行許可道路を読み出す通行許可道路読出処理と、前記経路計算処理により計算された経路中から前記公道外道路を読み出す経路内公道外道路読出処理と、前記通行許可道路読出処理により読み出された前記通行許可道路が前記経路内公道外道路読出処理により読み出された経路内公道外道路に含まれているかを判断する比較判断処理と、を備え、前記経路設定処理は、前記比較判断処理により前記通行許可道路が前記経路内公道外道路に含まれている場合に、その経路内公道外道路を含めた案内経路を決定する処理を含むことを特徴とする。
【0016】
以上のような態様では、予め通行許可道路をナビゲーション装置に記憶させておくことができるため、案内経路中の公道外道路に通行許可道路が含まれているかを比較判断部により判断することができる。従って、この判断結果により、通行許可道路以外の実際に通行できない公道外道路を経路として提示することはなく、公道外道路のうち、通行許可道路のみを経路候補として提示することができる。
【0017】
請求項3の発明は、請求項1に記載のナビゲーション装置において、前記判定手段は、前記検知部から得られた自車位置及び目的地各々が存在する道路を抽出する近傍道路読出部と、前記近傍道路読出部から読み出された自車位置が存在する道路が公道外道路であるかの道路種別を判断する自車位置道路種別検出部と、前記近傍道路読出部から読み出された目的地が存在する道路が公道外道路であるかの道路種別を判断する目的地道路種別検出部と、を備え、前記経路設定手段は、前記自車位置道路種別検出部及び前記目的地道路種別検出部から得られた自車位置及び目的地が存在する道路の道路種別情報のうち、少なくとも一方が公道外道路である場合に、その経路内の公道外道路を含めて案内経路を決定するものであることを特徴とする。
【0018】
請求項11の発明は、請求項3の発明を方法の観点から把握したもので、請求項9に記載のナビゲーション装置の制御方法において、前記判定ステップは、前記検知部から得られた自車位置及び目的地各々が存在する道路を抽出する近傍道路読出ステップと、前記近傍道路読出ステップから読み出された自車位置が存在する道路が公道外道路であるかの道路種別を判断する自車位置道路種別検出ステップと、前記近傍道路読出ステップから読み出された目的地が存在する道路が公道外道路であるかの道路種別を判断する目的地道路種別検出ステップと、を備え、前記経路設定ステップは、前記自車位置道路種別検出ステップ及び前記目的地道路種別検出ステップから得られた自車位置及び目的地が存在する道路の道路種別情報のうち、少なくとも一方が公道外道路である場合に、その経路内の公道外道路を含めて案内経路を決定する処理を含むことを特徴とする。
【0019】
請求項14の発明は、請求項3,11の発明をコンピュータのプログラムの観点から把握したもので、請求項12に記載のナビゲーション装置の制御プログラムにおいて、前記判定処理は、前記検知部から得られた自車位置及び目的地各々が存在する道路を抽出する近傍道路読出処理と、前記近傍道路読出処理から読み出された自車位置が存在する道路が公道外道路であるかの道路種別を判断する自車位置道路種別検出処理と、前記近傍道路読出処理から読み出された目的地が存在する道路が公道外道路であるかの道路種別を判断する目的地道路種別検出処理と、を備え、前記経路設定処理は、前記自車位置道路種別検出処理及び前記目的地道路種別検出処理から得られた自車位置及び目的地が存在する道路の道路種別情報のうち、少なくとも一方が公道外道路である場合に、その経路内の公道外道路を含めて案内経路を決定する処理を含むことを特徴とする。
【0020】
請求項4の発明は、請求項3記載のナビゲーション装置において、前記近傍道路読出部,前記自車位置道路種別検出部と前記目的地道路種別検出部が対象とする自車位置及び目的地各々が存在する道路の判断を、自車位置及び目的地各々の座標データを有する道路リンクにより判断することを特徴とする。
【0021】
以上のような態様では、自車位置又は目的地の座標データを有する道路リンクが公道外道路上にあるかにより、ユーザの特別な設定なしに自動的に、誘導経路に公道外道路を含ませるか否かの判断が可能となる。従って、公道外道路に用事の無い車両に対しては、通行できない道路を案内されることはなく、一方、公道外道路に実際に用事のある車両や、現に公道外道路上にある車両に対しては、通行する必要がある公道外道路を経路候補として経路設定部により、提示することができる。
【0022】
請求項5の発明は、請求項3記載のナビゲーション装置において、前記判定手段は、前記近傍道路読出部により読み出された自車位置及び目的地が存在する各々の道路が複数ある場合に、その中から自車位置と目的地とを結ぶ直線方向に最も近似した自車位置及び目的地が存在する各々の道路を検出する有力道路検出部を備え、前記有力道路検出部により検出した自車位置及び目的地が存在する各々の道路の道路種別を前記自車位置道路種別検出部及び前記目的地道路種別検出部が判断することを特徴とする。
【0023】
以上のような態様では、近傍道路読出部で読み出した自車位置及び目的地が存在する各々の道路のうち、自車位置と目的地とを結ぶ直線方向に最も近似した道路を検出することができるので、この有力な自車位置及び目的地が存在する各々の道路を用いて道路種別情報を判定することにより最適な経路候補の設定が可能となる。
【0024】
請求項6の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のナビゲーション装置において、前記判定手段は、前記経路計算部で計算された最適経路を構成する道路のうち、公道外道路を経路候補から除外する除外処理部を備え、前記経路設定手段は、前記除外処理部により前記公道外道路を経路候補から除いて案内経路を決定するものであることを特徴とする。
【0025】
請求項7の発明は、請求項6記載のナビゲーション装置において、前記除外処理部は、前記比較判断部により通行許可道路が経路内公道外道路に含まれていると判断された場合には、前記経路内公道外道路のうち、前記通行許可道路を除いた道路を経路候補から除外し、また、前記比較判断部により通行許可道路が経路内公道外道路に含まれないと判断された場合には、前記経路内公道外道路を経路候補から除外するものであることを特徴とする。
【0026】
以上のような態様では、除外処理部により、案内経路中の公道外道路に通行許可道路が含まれている場合には、通行許可道路以外の公道外道路を経路候補から除外し、案内経路中の公道外道路に通行許可道路が含まれていない場合には、案内経路中の公道外道路すべてを経路候補から除外して経路を探索することが可能となり、通行することができない公道外道路を経路として提示することはない。
【0027】
請求項8の発明は、請求項6記載のナビゲーション装置において、前記判定手段は、
前記経路計算手段により計算された経路を読み出す接続経路読出部と、前記接続経路読出部により読み出された経路を構成する道路のうち、自車位置と目的地が存在する道路を除いた経路内に公道外道路が含まれているかを判断する接続経路判定部と、を備え、前記除外処理部は、前記接続経路判定部により公道外道路が経路内に含まれると判断した場合に、その経路内の公道外道路を経路候補から除外するものであることを特徴とする。
【0028】
以上のような態様では、自車位置が存在する道路と目的地が存在する道路を繋いだ経路中に、公道外道路が含まれているかを接続経路判定部により判断することができる。これにより、公道外道路に用事の無い車両に対しては、除外処理部が経路中の公道外道路を経路候補から除外して経路探索を行うので、通行することができない道路を経路として提示し、案内することはない。
【発明の効果】
【0029】
以上のように、本発明によれば、公道外道路に用事の無い車両に対して、実際に通行できない公道外道路を経路として提示しないので、通行できない道路を案内されることはなく、一方、公道外道路中に実際に用事のある車両や、現に公道外道路上にある車両に対しては、通行が許可されている公道外道路を経路として提示し、案内することができる。すなわち、公道外道路を適宜誘導経路に含めるか否かの判断可能なナビゲーション装置、その制御方法及び制御プログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
次に、本発明を実施するための最良の実施形態について、図1乃至図3を参照して説明する。
【0031】
[1.構成]
本実施形態は、目的地への経路を案内するナビゲーション装置(以下「本装置」と呼ぶ)を説明するもので、その制御方法、制御プログラムとしても把握可能であり、本装置の構成を図1及び図2に示す。
【0032】
1は、VICS情報を取得する為のFM多重受信及び処理部、2は、VICS情報を取得する為のビーコン受信及び処理部である。3は、システム全体の制御を司るメインCPU(中央演算装置)及びその周辺回路であり、本装置各部の制御を含む情報処理を行う制御部である。4は、メインプログラムをロードする為のダイナミックRAM(DRAM)、5は、メイン電源オフの間も設定などメモリ内容を保持するためのバッテリーバックアップ付スタティックRAM(SRAM)、6は、起動時等に案内処理部3よりアクセスされるROMである。ここで、メインメモリMはDRAM4とSRAM5とROM6から構成されている。
【0033】
7は、地図などの情報を描画及び表示する表示部で、液晶表示パネルなどの表示画面を持つ。8は、表示部7用に設けられたビデオRAM(VRAM)である。9は、情報や操作の入力を受け付ける入力部で、タッチキーなどからの入力を検出する制御装置であるが、入力部の構成や種類は自由で表示部7周囲の操作スイッチ類のほか、リモコンユニット、表示パネルと一体のタッチセンサなどを単独、又は自由に組み合わせて用いてもよい。10は、I/O制御回路やドライバなどを使って表示部7やユーザー入力部9と案内処理部3を結ぶユーザーインターフェース部である。
【0034】
11は、TV(各種のテレビジョン放送)を受信する為のTV受信及び処理部、12は、イルミネーション(計器盤等の照明)・車速パルス・パーキング等の動作や状態を検出する車両情報取得部である。
【0035】
記憶装置13は、HDD、DVD−ROM、CD−ROMなどのドライブを用いて、道路リンクを用いた道路地図データ(典型的には、経路探索用データや地図表示用データ)やその他の検索データや地図関連データなどのデータベースを読み取り、記録するデータ記憶部である。
【0036】
道路地図データのデータベースは、図3にその一例を示すように、地図表示用と経路探索用の2つからなり、経路探索用データベースは、経路探索に必要なデータ(ノード、リンク情報)のみで構成される。経路探索用データベースのリンクは、地図表示用の道路リンクと、リンクIDとして共通のIDを持ち、相互に関連付けられている。一方、地図表示用データベースは、表示用として、詳細な道路形状情報(形状点列)、エリア形状情報等を含んでいる。
【0037】
なお、この記憶装置13に格納された道路地図データのうち経路探索用データには、各リンクごとに属性情報として「公道外道路フラグ」が記録されている。この「公道外道路フラグ」とは、各リンクが公道外道路であるか否かを識別するパラメータであり、公道外道路区間ではフラグが立っていることにより、通行が許可されていない公道外道路であることを示している。
【0038】
14は、測位技術(例えば、GPS、ジャイロ、地磁気センサ、加速度センサ、車速パルスなど)により、現在位置、方位、速度など自車の挙動に関する航法情報を得る測位部である。
【0039】
また、案内処理部3は、以下のような作用に対応する処理手段(図1に示す31a、31b…,図2に示す32a、32b…,)を有している。以下、案内処理部3を構成する各手段をその作用効果と共に説明する。
【0040】
[2.作用効果]
[2−1.概略]
[2−1−1.図1の処理例]
本実施形態である案内処理部3が行う処理の概略の一例を図1に示す。まず、31aの自車位置検出部が、自車位置の現在地を車両情報取得部12や測位部14から逐次計算し検出する。そして、ユーザが入力部9を通じて目的地の指定を行うと、これを31bの目的地受付部が受付け、これに基づき、31cの経路計算部が従来のナビゲーション装置と同様に目的地への経路候補を計算する。
【0041】
ここで、ユーザは、ユーザ自身が所有する駐車場等の通行が許可されている公道外道路である通行許可道路を予め入力部9を通じて指定し、この道路を31dの通行許可道路登録部により記憶装置13に記憶させておく。そして、経路計算部31cで計算した案内経路中の公道外道路を31fの経路内公道外道路読出部がメインメモリM上に読み出し、公道外道路が経路を構成する道路中に含まれているかを確認する。具体的には、経路中の道路リンクに記録されている「公道外道路フラグ」の有無を確認することにより判断する。これにより、経路内公道外道路が読み出された場合には、記憶装置13に記憶されていた通行許可道路が31eの通行許可道路読出部によりメインメモリM上に読み出される。
【0042】
そして、31gの比較判断部は、通行許可道路読出部31eにより読み出された通行許可道路が、経路内公道外道路読出部31fにより読み出された経路内公道外道路に含まれているかを判断する。通行許可道路が経路内公道外道路に含まれていた場合には、31hの除外処理部が通行許可道路以外の経路内公道外道路を経路候補から除外し、その上で、再度経路計算部31cを通じて案内経路が計算され、31iの経路設定部が案内経路を決定する。
【0043】
一方、通行許可道路が経路内公道外道路に含まれていなかった場合には、経路内公道外道路読出部31fにより読み出されたすべての経路内公道外道路は、除外処理部31hを通じて経路候補から除外され、その上で再度経路計算部31cにより案内経路が計算されると共に経路設定部31iが案内経路を決定する。
【0044】
そして、案内制御部31jは、経路設定部31iより設定した案内経路に沿ってユーザに画面表示や音声出力による経路誘導を行い、表示制御部31kがこの経路情報を表示部7に出力する。
【0045】
[2−1−2.図2の処理例]
次に、ユーザの特別な操作や設定なしに、公道外道路を経路候補に含めるか否かの判断を自動で行う案内処理部3の別の処理例を図2に示す。なお、自車位置及び目的地が存在する各々の道路や経路中の公道外道路の判断は、道路リンクを用いて行うこととする。
【0046】
まず、32aの自車位置検出部が、自車位置の現在地を車両情報取得部12や測位部14からの情報を基に検出し、32bの目的地検出部が、入力部9からのカーソル操作や施設検索などにより目的地の指定を受け付け、自車位置検出部32aと同様に車両情報取得部12や測位部14からの情報を基に目的地の位置を検出する。
【0047】
そして、32cの近傍道路読出部が、自車位置検出部32a及び目的地検出部32bにより検出した自車位置と目的地の位置情報に基づき、自車位置、目的地各々の座標データを有する道路リンクを記憶装置13に記憶されている地図データから読み出す。この近傍道路読出部32cで読み出した自車位置、目的地各々の座標データを有する道路リンクのうちから、自車位置と目的地とを結ぶ直線方向に最も近似した道路リンクを32dの有力道路検出部が検出し、32eの経路計算部により、この自車位置、目的地各々の座標データを有する有力な道路リンクを接続する経路候補の計算を行う。
【0048】
次に、有力道路検出部32dで検出した有力な道路リンクのうち、自車位置の座標データを有する道路リンクが公道外道路であるか否かを、32fの自車位置道路種別検出部により検出する。また、有力道路検出部32dで検出した有力な道路リンクのうち、目的地の座標データを有する道路リンクが公道外道路であるか否かを、32gの目的地道路種別検出部により検出する。
具体的には、自車位置、目的地各々の座標データを有する有力な道路リンクに記録されている「公道外道路フラグ」の有無を確認することにより判断する。
【0049】
そして、32hの道路種別判定部が、自車位置道路種別検出部32f及び目的地道路種別検出部32gで検出された自車位置、目的地各々の座標データを有する有力な道路リンクの道路種別情報に基づいて、当該道路リンクに公道外道路が含まれているかを判定する。
具体的には、自車位置、目的地各々の座標データを有する道路リンクが、
[1]自車位置 公道外道路→目的地 公道外道路
[2]自車位置 公道外道路→目的地 公道内道路
[3]自車位置 公道内道路→目的地 公道内道路
[4]自車位置 公道内道路→目的地 公道外道路
の4パターンのいずれかに該当するかを「公道外道路フラグ」に基づいて判定する。ここで、「公道内道路」とは公道などの一般車両が通行可能な道路をいう。
【0050】
道路種別判定部32hにより、自車位置の座標データを有する道路リンクが公道内道路であり、目的地の座標データを有する道路リンクも公道内道路であると判定した場合(上記パターン[3])、32iの接続経路読出部は、経路計算部32eで計算した経路中の道路リンクをメインメモリM上に読み出す。そして、その読み出された経路中の道路リンクに公道外道路が含まれているかを32jの接続経路判定部が判断し、公道外道路が含まれていた場合には、当該道路リンクを32kの除外処理部により経路候補から除外する。
すなわち、自車位置、目的地各々の有力な道路リンクが共に公道内道路である場合には、公道外道路に車両が迷い込んだ場合や公道外道路の関係者が公道外道路を通行する場合にも該当しないので、公道外道路を経路候補から除外することにより、予め公道外道路への車両の通行を回避することが可能である。
【0051】
一方、道路種別判定部32hにより、自車位置、目的値各々の座標データを有する有力な道路リンクに公道外道路が含まれると判断された場合(パターン[1],[2],[4])には、経路計算部32eにより計算されたその有力な道路リンクを結ぶ経路中の道路リンク群は、32lの記憶手段を通じて、経路候補としてメインメモリMに記録される。
また、自車位置及び目的地各々の座標データを有する道路リンクが共に公道内道路である場合に(パターン[3])、経路計算部32eで計算された経路中の道路リンク群のうち、公道内道路であるものを、記憶手段32lにより経路候補としてメインメモリMに記録する。
【0052】
この記憶手段32lにより記録された経路中の道路リンク情報に基づいて、経路設定部32mは、有力道路検出部32dにより検出した自車位置、目的地各々の有力な道路リンクが適切に接続できるかを確認し、接続が確認できた場合に当該道路リンク群を最適経路として確定する。
そして、案内制御部32nは、設定した最適経路に沿ってユーザに画面表示や音声出力による経路誘導を行い、表示制御部32oがこの経路情報を表示部7に出力する。
【0053】
[2−2.処理手順]
[2−2−1.図4の処理手順]
図1に示した本実施形態である案内処理部3の処理手順の一例を図4のフローチャートに示す。この例では、まずユーザの通行が許可されている公道外道路を入力部9を通じて指定し、通行許可道路登録部31dにより記憶装置13に予め記憶させておく(STEP1)。
【0054】
ここで、自車位置検出部3aで自車位置の現在地を車両情報取得部12及び測位部14から取得し(STEP2)、ユーザが入力部9を通じて目的地の指定を行うことにより、これを目的地受付部31bが受付けると(STEP3)、経路計算部31cが目的地への経路候補を計算する(STEP4)。
【0055】
そして、経路計算部31cにより計算された経路中の道路リンク群に公道外道路が含まれているかを、経路内公道外道路読出部31fが経路内公道外道路をメインメモリM上に読み出すことができるか否かにより判断する(STEP5)。経路内公道外道路を読み出すことができなかった場合には、経路中の道路リンク群に公道外道路が含まれていないと判断できるため(NO)、経路設定部31iにより案内経路を確定する。
【0056】
一方、経路内公道外道路読出部31fが、計算した経路中から経路内公道外道路を読み出すことができた場合には、公道外道路が経路を構成する道路中に含まれると判断できる(YES)。この場合、通行許可道路読出部31eを通じて、通行許可道路を記憶装置13からメインメモリM上に読み出し、比較判断部31gは、読み出された通行許可道路が経路内公道外道路読出部31fにより読み出された経路内公道外道路に含まれているか否かを判断する(STEP6)。
【0057】
通行許可道路が経路内公道外道路に含まれていなかった場合には(NO)、経路内公道外道路読出部31fにより読み出されたすべての経路内公道外道路は、除外処理部31hを通じて経路候補から除外され(STEP7)、その上で再度経路計算部31cにより経路の計算が行われる(STEP8)。
【0058】
また、通行許可道路が経路内公道外道路に含まれていた場合には(YES)、通行許可道路以外の経路内公道外道路を除外処理部31hを通じて除外し(STEP9)、その上で経路計算部31cが再度経路の計算を行う(STEP10)。
【0059】
そして、経路計算部31cにより再度計算された案内経路に基づいて、経路設定部31iが最適経路を確定する(STEP11)。
【0060】
以上のように、本発明の実施形態によれば、予めユーザの通行が許可されている公道外道路をナビゲーション装置に記憶させておくことができるため、通行許可道路以外の実際に通行できない公道外道路を経路として提示することはない。すなわち、通行が許可されている公道外道路であるか否かを適宜判断可能なナビゲーション装置、その制御方法及び制御プログラムを提供することができる。
【0061】
[2−2−2.図5の処理手順]
次に、図2に示した本実施形態である案内処理部3の処理手順の一例を図5のフローチャートに示す。この例では、まず自車位置検出部32aで自車位置の現在地を車両情報取得部12及び測位部14から取得し、そして入力部9を通じて目的地の指定を行うと、これを目的地検出部32bが受付け、自車位置の検出方法と同じ方法により目的地の位置情報を検出する(STEP1)。そして、これらの情報に基づき、近傍道路読出部32cが記憶装置13に記憶されている地図データから自車位置、目的地各々の座標データを有する道路リンクを読み出し(STEP2)、この読み出した道路リンクを甲種経路候補として、メインメモリMに記憶する(STEP3)。なお、この道路リンクには、属性情報として「公道外道路フラグ」が記録されており、公道外道路における一般車両の通行許可の有無を識別することができる。
【0062】
次に、この甲種経路候補として記憶した自車位置、目的地各々の座標データを有する道路リンクのうち、自車位置と目的地とを結ぶ直線方向に最も近似した道路リンクを有力道路検出部32dが検出し(STEP4)、この検出された有力な道路リンクは、乙種経路候補としてメインメモリMに記憶される(STEP5)。そして、この検出情報に基づき、経路計算部32eが自車位置の有力な道路リンクと目的地の有力な道路リンクを接続する経路候補を計算する(STEP6)。
ここで、甲種経路候補は、自車位置、目的地各々の座標を有する複数の道路リンクや、経路計算部32eにより計算した経路中の道路リンク(除外処理部32kにより除外した道路リンクを除く。)を示し、乙種経路候補は、その複数の道路リンクのうちから検出した自車位置と目的地とを結ぶ直線方向に最も近似した道路リンクを示している。
【0063】
上記の処理後、自車位置道路種別検出部32f及び目的地道路種別検出部32gにより自車位置、目的地各々の座標データを有する有力な道路リンクが公道外道路であるかを検出し、道路種別判定部32hが自車位置、目的地各々の有力な道路リンクの片方又は両方から「公道外道路フラグ」が確認できるかを判断する(STEP7)。具体的には、この道路種別判定部32hが、上述した自車位置、目的地各々の有力な道路リンクの道路種別情報である4つのパターンのいずれかに該当するかを判断する。
【0064】
有力な道路リンクのいずれかから「公道外道路フラグ」が確認できた場合(YES)には(パターン[1],[2],[4])、経路計算部32eで計算した経路中の道路リンクの有する「公道外道路フラグ」のチェックは行わず、この計算した経路を記憶手段32lにより甲種経路候補としてメインメモリMに記憶する(STEP8)。
この「公道外道路フラグ」が確認できた場合(パターン[1],[2],[4])、すなわち自車位置及び/又は目的地が公道外道路にある場合の具体的事例としては、関係者が公道内道路又は公道外道路から、公道外道路の目的地へ向かうために公道外道路の道路を通行する場合や、部外者が誤って公道外道路に迷い込み、公道内道路上にある目的地へ向かうために公道外道路を通り脱出する場合が考えられる。
【0065】
一方、自車位置、目的地各々の有力な道路リンクに「公道外道路フラグ」が確認されなかった場合(NO)には(上記パターン[4])、接続経路読出部32iが経路計算部32eで計算した経路中の道路リンク群をメインメモリM上に読み出す。そして、接続経路判定部32jにより、この道路リンク群に公道外道路が含まれているかの判定を行う(STEP9)。すなわち、経路中の道路リンクに記録された「公道外道路フラグ」のチェックを行う。
【0066】
この経路中の道路リンクから「公道外道路フラグ」が確認された場合(YES)は、除外処理部32kにより当該道路リンクを経路候補から除外する(STEP10)。
一方、経路中の道路リンクから「公道外道路フラグ」が確認されなかった場合(NO)には、当該道路リンクを甲種経路候補として記憶手段32lがメインメモリMに記録する(STEP11)。
【0067】
つまり、自車位置及び目的地が共に公道内道路である場合には、公道外道路に用事の無い車両に対し、接続経路中の実際に通行できない公道外道路を予め経路候補から除外することで、間違えて通行してしまうケースを回避する。そして、接続経路等中の公道内道路は、経路候補として記憶されるので、後に設定する自車位置と目的地を結ぶ最適経路の候補道路となる。
【0068】
そして、メインメモリMに記録された経路中の道路リンク情報を基に、経路設定部32mは、有力道路検出部32dにより検出した自車位置、目的地各々の有力な道路リンクが適切に接続するかを確認する(STEP12)。適切に接続できなかった場合(NO)は、適切に接続するまでSTEP4からSTEP12までの作業を繰り返し、適切に接続できた場合(YES)には、接続された道路リンク群を最適経路として確定(STEP13)する。
以後、確定した最適経路に沿って案内制御部32nがユーザに画面表示や音声出力による経路誘導を行い、表示制御部32oがこの経路情報を表示部7に出力する。
【0069】
以上のように、本発明の実施形態によれば、公道外道路に用事の無い車両に対して、実際に通行できない公道外道路を経路として提示しないので、通行できない道路を案内されることはなく、一方、公道外道路に実際に用事のある車両や、現に公道外道路上にある車両に対しては、通行する必要がある公道外道路を経路として提示し、案内することができる。すなわち、自車位置又は目的地の道路種別別に基づいて、ユーザによる特別な設定なく自動的に、公道外道路を適宜誘導経路に含めるか否かの判断可能なナビゲーション装置、その制御方法及び制御プログラムを提供することができる。
【0070】
[3.他の実施形態]
なお、本発明は上記実施形態には限定されず、次のような他の実施形態も包含する。
(a)図4に基づいた処理手順では、ユーザの通行が許可されている公道外道路である通行許可道路を予め通行許可道路登録部31dにより記憶装置13に記憶することで、比較判断部31gを通じて自動的に通行許可道路以外の経路内公道外道路を経路候補から除外している。しかしながら、本実施形態では、予め通行許可道路を記憶せず、経路内公道外道路が経路内公道外道路読出部31fにより読み出された際に、手動で通行許可道路か否かを比較し判断することも可能である。
【0071】
(b)また、図5に基づいた処理手順では、自車位置又は目的地の道路種別別に基づいて、ユーザによる特別な設定なく自動的に、公道外道路を適宜誘導経路に含めるか否かの判断が行われている。この場合、自車位置及び目的地各々の座標データを有する道路リンクが共に公道内道路で、当該自車位置と当該目的地を結ぶ経路中の道路リンク群に公道外道路が含まれているときは、当該公道外道路は除外される。しかしながら、本実施形態では、予めユーザの通行許可道路をナビゲーション装置に記憶させておくことで、自車位置及び目的地各々の座標データを有する道路リンクが共に公道内道路である場合にも、経路中の公道外道路が通行許可道路であれば除外されず、通行することが可能である。
【0072】
この実施例では、図2の案内処理部3に新たに通行許可道路登録部、通行許可道路読出部と比較判定部を設けている。
具体的な処理手順を図6に示すと、まずユーザは、ユーザの通行が許可されている公道外道路である通行許可道路を入力部を通じて指定し、新たに設けた通行許可道路登録部により記憶装置に予め記憶させておく(STEP1)。そして、図5の処理手順と同様に、自車位置検出部で自車位置の現在地を車両情報取得部及び測位部から取得し、そして入力部を通じて目的地の指定を行うと、これを目的地検出部が受付け、自車位置の検出方法と同じ方法により目的地の位置情報を検出する(STEP2)。そして、これらの情報に基づき、近傍道路読出部が記憶装置に記憶されている地図データから自車位置、目的地各々の座標データを有する道路リンクを読み出し(STEP3)、この読み出した道路リンクを甲種経路候補として、メインメモリに記憶する(STEP4)。
【0073】
次に、この甲種経路候補として記憶した自車位置、目的地各々の座標データを有する道路リンクのうち、自車位置と目的地とを結ぶ直線方向に最も近似した道路リンクを有力道路検出部が検出し(STEP5)、この検出された有力な道路リンクは、乙種経路候補としてメインメモリに記憶される(STEP6)。そして、この検出情報に基づき、経路計算部が自車位置の有力な道路リンクと目的地の有力な道路リンクを接続する経路候補を計算する(STEP7)。
【0074】
上記の処理後、自車位置道路種別検出部及び目的地道路種別検出部により、自車位置、目的地各々の座標データを有する有力な道路リンクが公道外道路であるかを検出し、道路種別判定部が自車位置、目的地各々の有力な道路リンクの片方又は両方から「公道外道路フラグ」が確認できるかを判断する(STEP8)。
【0075】
有力な道路リンクのいずれかから「公道外道路フラグ」が確認できた場合(YES)には、経路計算部で計算した経路中の道路リンクに記録される「公道外道路フラグ」のチェックは行わず、この計算した経路を記憶手段により甲種経路候補としてメインメモリに記憶する(STEP9)。
【0076】
一方、自車位置、目的地各々の有力な道路リンクに「公道外道路フラグ」が確認されなかった場合(NO)には、接続経路読出部が経路計算部で計算した経路中の道路リンク群をメインメモリM上に読み出し、接続経路判定部により、この道路リンク群に公道外道路が含まれているかの判定を行う(STEP10)。すなわち、経路中の道路リンクに記録された「公道外道路フラグ」のチェックを行う。
【0077】
この経路中の道路リンクから「公道外道路フラグ」が確認された場合(YES)は、新たに設けた通行許可道路読出部と比較判定部により、この通行許可道路読出部が通行許可道路を記憶装置からメインメモリM上に読み出し、読み出された通行許可道路が経路中の公道外道路の道路リンク群に含まれているかを比較判定部が判断する(STEP11)。
【0078】
この比較部判定部の判断結果により、通行許可道路が経路中の公道外道路に含まれていなかった場合には(NO)、経路中のすべての公道外道路は、除外処理部を通じて経路候補から除外される(STEP12)。また、通行許可道路が経路中の公道外道路に含まれていた場合には(YES)、その通行許可道路を甲種経路候補として記憶手段がメインメモリに記録する(STEP13)。
【0079】
一方、経路中の道路リンクから「公道外道路フラグ」が確認されなかった場合(NO)には、当該道路リンクを甲種経路候補として記憶手段がメインメモリMに記録する(STEP14)。
【0080】
そして、メインメモリMに記録された経路中の道路リンク情報を基に、経路設定部は、有力道路検出部により検出した自車位置、目的地各々の有力な道路リンクが適切に接続するかを確認する(STEP15)。適切に接続できなかった場合(NO)は、適切に接続するまでSTEP4からSTEP15までの作業を繰り返し、適切に接続できた場合(YES)には、接続された道路リンク群を最適経路として確定(STEP16)する。
【0081】
すなわち、ユーザがその公道外道路の関係者又は通行できるものであれば、予め入力部を通して記憶装置に通行できる公道外道路を記録しておき、経路探索の際にその道路を通行可能な道路として比較判断部により判断させることで、経路途中の公道外道路を通行して目的地に向かうことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の実施形態の構成を示す機能ブロック図(1)。
【図2】本発明の実施形態の構成を示す機能ブロック図(2)。
【図3】本発明の実施形態における道路地図データベースの構成を示す概念図。
【図4】本発明の実施形態における図1の案内処理部の作用を示すフローチャート。
【図5】本発明の実施形態における図2の案内処理部の作用を示すフローチャート。
【図6】本発明の他の実施形態における案内処理部の作用を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0083】
1…FM多重受信及び処理部
2…ビーコン受信及び処理部
3…案内処理部(メインCPU及びその周辺回路)
31a…自車位置検出部
31b…目的地受付部
31c…経路計算部
31d…通行許可道路登録部
31e…通行許可道路読出部
31f…経路内公道外道路読出部
31g…比較判断部
31h…除外処理部
31i…経路設定部
31j…案内制御部
31k…表示制御部
32a…自車位置検出部
32b…目的地検出部
32c…近傍道路読出部
32d…有力道路検出部
32e…経路計算部
32f…自車位置道路種別検出部
32g…目的地道路種別検出部
32h…道路種別判定部
32i…接続経路読出部
32j…接続経路判定部
32k…除外処理部
32l…記憶手段
32m…経路設定部
32n…案内制御部
32o…表示制御部
4…ダイナミックRAM(DRAM)
5…スタティックRAM(SRAM)
6…ROM
7…表示部
8…ビデオRAM(VRAM)
9…入力部(タッチキー制御装置)
10…ユーザーインターフェース部
11…TV受信及び処理部
12…車両情報取得部
13…道路地図データ・検索データ及び地図関連データの記憶装置
14…測位部
M…メインメモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザからの入力を受け付ける入力部と、経路探索及び地図表示のための道路地図データを予め格納する記憶部と、自車位置及び目的地を検知する検知部と、前記検知部から検知した自車位置及び目的地から最適経路の計算及び誘導案内処理を行う案内処理部と、情報を表示するための表示部と、を備えたナビゲーション装置において、
前記記憶部は、そこに記憶された道路地図データとして、公道と通行許可のない車両の通行を禁止する公道外道路を区別して記憶するものであり、
前記案内処理部は、ユーザの有する公道外道路の通行許可の有無に基づき、公道外道路を含めて経路探索を行うか否かの判定手段と、
目的地への最適経路の計算を行う経路計算手段と、
前記判定手段によるユーザが公道外道路の通行許可を有するか否かの判定に基づいて、前記経路計算手段において公道外道路を含むか否かの経路計算を行って案内経路を決定する経路設定手段と、
を有することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記判定手段は、
公道外道路の中でユーザが通行許可を有する通行許可道路を予め記憶部に格納しておく通行許可道路登録部と、
前記通行許可道路登録部により格納された前記通行許可道路を読み出す通行許可道路読出部と、
前記経路計算手段により計算された経路中から前記公道外道路を読み出す経路内公道外道路読出部と、
前記通行許可道路読出部により読み出された前記通行許可道路が前記経路内公道外道路読出部により読み出された経路内公道外道路に含まれているかを判断する比較判断部と、を備え、
前記経路設定手段は、前記比較判断部により前記通行許可道路が前記経路内公道外道路に含まれている場合に、その経路内公道外道路を含めた案内経路を決定するものであることを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記判定手段は、
前記検知部から得られた自車位置及び目的地各々が存在する道路を抽出する近傍道路読出部と、
前記近傍道路読出部から読み出された自車位置が存在する道路が公道外道路であるかの道路種別を判断する自車位置道路種別検出部と、
前記近傍道路読出部から読み出された目的地が存在する道路が公道外道路であるかの道路種別を判断する目的地道路種別検出部と、を備え、
前記経路設定手段は、前記自車位置道路種別検出部及び前記目的地道路種別検出部から得られた自車位置及び目的地が存在する道路の道路種別情報のうち、少なくとも一方が公道外道路である場合に、その経路内の公道外道路を含めて案内経路を決定するものであることを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記近傍道路読出部,前記自車位置道路種別検出部と前記目的地道路種別検出部が対象とする自車位置及び目的地各々が存在する道路の判断は、自車位置及び目的地各々の座標データを有する道路リンクを用いて行うことを特徴とする請求項3記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記判定手段は、前記近傍道路読出部により読み出された自車位置及び目的地が存在する各々の道路が複数ある場合に、その中から自車位置と目的地とを結ぶ直線方向に最も近似した自車位置及び目的地が存在する各々の道路を検出する有力道路検出部を備え、
前記有力道路検出部により検出した自車位置及び目的地が存在する各々の道路の道路種別を前記自車位置道路種別検出部及び前記目的地道路種別検出部が判断することを特徴とする請求項3記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記判定手段は、前記経路計算部で計算された最適経路を構成する道路のうち、公道外道路を経路候補から除外する除外処理部を備え、
前記経路設定手段は、前記除外処理部により前記公道外道路を経路候補から除いて案内経路を決定するものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
前記除外処理部は、
前記比較判断部により通行許可道路が経路内公道外道路に含まれていると判断された場合には、前記経路内公道外道路のうち、前記通行許可道路を除いた道路を経路候補から除外し、
また、前記比較判断部により通行許可道路が経路内公道外道路に含まれないと判断された場合には、前記経路内公道外道路を経路候補から除外するものであることを特徴とする請求項6記載のナビゲーション装置。
【請求項8】
前記判定手段は、
前記経路計算手段により計算された経路を読み出す接続経路読出部と、
前記接続経路読出部により読み出された経路を構成する道路のうち、自車位置と目的地が存在する道路を除いた経路内に公道外道路が含まれているかを判断する接続経路判定部と、を備え、
前記除外処理部は、前記接続経路判定部により公道外道路が経路内に含まれると判断した場合に、その経路内の公道外道路を経路候補から除外するものであることを特徴とする請求項6記載のナビゲーション装置。
【請求項9】
ユーザからの入力を受け付ける入力部と、経路探索及び地図表示のための道路地図データを予め格納する記憶部と、自車位置及び目的地を検知する検知部と、前記検知部から検知した自車位置及び目的地から最適経路の計算及び誘導案内処理を行う案内処理部と、情報を表示するための表示部と、を備えたナビゲーション装置の制御方法において、
前記記憶部は、そこに記憶された道路地図データとして、公道と通行許可のない車両の通行を禁止する公道外道路を区別して記憶するステップを実行し、
前記案内処理部が、
ユーザの有する公道外道路の通行許可の有無に基づき、公道外道路を含めて経路探索を行うか否かの判定ステップと、
目的地への最適経路の計算を行う経路計算ステップと、
前記判定ステップによるユーザが公道外道路の通行許可を有するか否かの判定に基づいて、前記経路計算ステップにおいて公道外道路を含むか否かの経路計算を行って案内経路を決定する経路設定ステップと、
を実行することを特徴とするナビゲーション装置の制御方法。
【請求項10】
前記判定ステップは、
公道外道路の中でユーザが通行許可を有する通行許可道路を予め記憶部に格納しておく通行許可道路登録ステップと、
前記通行許可道路登録ステップにより格納された前記通行許可道路を読み出す通行許可道路読出ステップと、
前記経路計算ステップにより計算された経路中から前記公道外道路を読み出す経路内公道外道路読出ステップと、
前記通行許可道路読出ステップにより読み出された前記通行許可道路が前記経路内公道外道路読出ステップにより読み出された経路内公道外道路に含まれているかを判断する比較判断ステップと、を備え、
前記経路設定ステップは、前記比較判断ステップにより前記通行許可道路が前記経路内公道外道路に含まれている場合に、その経路内公道外道路を含めた案内経路を決定する処理を含むことを特徴とする請求項9に記載のナビゲーション装置の制御方法。
【請求項11】
前記判定ステップは、
前記検知部から得られた自車位置及び目的地各々が存在する道路を抽出する近傍道路読出ステップと、
前記近傍道路読出ステップから読み出された自車位置が存在する道路が公道外道路であるかの道路種別を判断する自車位置道路種別検出ステップと、
前記近傍道路読出ステップから読み出された目的地が存在する道路が公道外道路であるかの道路種別を判断する目的地道路種別検出ステップと、を備え、
前記経路設定ステップは、前記自車位置道路種別検出ステップ及び前記目的地道路種別検出ステップから得られた自車位置及び目的地が存在する道路の道路種別情報のうち、少なくとも一方が公道外道路である場合に、その経路内の公道外道路を含めて案内経路を決定する処理を含むことを特徴とする請求項9に記載のナビゲーション装置の制御方法。
【請求項12】
ユーザからの入力を受け付ける入力部と、経路探索及び地図表示のための道路地図データを予め格納する記憶部と、自車位置及び目的地を検知する検知部と、前記検知部から検知した自車位置及び目的地から最適経路の計算及び誘導案内処理を行う案内処理部と、情報を表示するための表示部と、を備えたナビゲーション装置の制御プログラムにおいて、
前記プログラムが、
前記記憶部に、
そこに記憶された道路地図データとして、公道と通行許可のない車両の通行を禁止する公道外道路を区別して記憶する処理を実行させ、
前記案内処理部に、
ユーザの有する公道外道路の通行許可の有無に基づき、公道外道路を含めて経路探索を行うか否かの判定処理と、
目的地への最適経路の計算を行う経路計算処理と、
前記判定処理によるユーザが公道外道路の通行許可を有するか否かの判定に基づいて、前記経路計算処理において公道外道路を含むか否かの経路計算を行って案内経路を決定する経路設定処理と、
を実行させることを特徴とするナビゲーション装置の制御プログラム。
【請求項13】
前記判定処理は、
公道外道路の中でユーザが通行許可を有する通行許可道路を予め記憶部に格納しておく通行許可道路登録処理と、
前記通行許可道路登録処理により格納された前記通行許可道路を読み出す通行許可道路読出処理と、
前記経路計算処理により計算された経路中から前記公道外道路を読み出す経路内公道外道路読出処理と、
前記通行許可道路読出処理により読み出された前記通行許可道路が前記経路内公道外道路読出処理により読み出された経路内公道外道路に含まれているかを判断する比較判断処理と、を備え、
前記経路設定処理は、前記比較判断処理により前記通行許可道路が前記経路内公道外道路に含まれている場合に、その経路内公道外道路を含めた案内経路を決定する処理を含むことを特徴とする請求項12に記載のナビゲーション装置の制御プログラム。
【請求項14】
前記判定処理は、
前記検知部から得られた自車位置及び目的地各々が存在する道路を抽出する近傍道路読出処理と、
前記近傍道路読出処理から読み出された自車位置が存在する道路が公道外道路であるかの道路種別を判断する自車位置道路種別検出処理と、
前記近傍道路読出処理から読み出された目的地が存在する道路が公道外道路であるかの道路種別を判断する目的地道路種別検出処理と、を備え、
前記経路設定処理は、前記自車位置道路種別検出処理及び前記目的地道路種別検出処理から得られた自車位置及び目的地が存在する道路の道路種別情報のうち、少なくとも一方が公道外道路である場合に、その経路内の公道外道路を含めて案内経路を決定する処理を含むことを特徴とする請求項12に記載のナビゲーション装置の制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−45991(P2008−45991A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−221720(P2006−221720)
【出願日】平成18年8月15日(2006.8.15)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】