説明

ナビゲーション装置、その制御方法及びその制御プログラム

【課題】探索された経路の途中に、経路探索の条件として設定した優先すべき道路の道路種別とは異なる経路外の道路への分岐点が存在する場合、この分岐点を案内分岐点として検出し、この案内分岐点において経路外の道路の存在について知らせることができるナビゲーション装置、方法及びナビゲーションプログラムを提供する。
【解決手段】案内分岐点登録部22は、道路の道路種別が変化する分岐点、もしくは分岐点に接続される全ての道路の道路種別が同一であっても、接続される道路のうち少なくとも1つの道路が異なる道路種別の道路へと接続される分岐点に関して、これらの分岐点を案内分岐点PとしてRAM3に登録する。分岐案内報知部23は案内分岐点Pにおいて経路外道路の存在について報知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経路探索の条件として優先して選択すべき道路種別を設定するナビゲーション技術に係り、特に、ユーザにとって有用な情報が存在する可能性があるならば、初期の設定条件下では除外された情報についても適切なタイミングで報知することが可能なナビゲーション装置、その制御方法及びその制御プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、目的地までの最適な経路を探索し、探索した経路の誘導案内を行うナビゲーション装置が、車載用をはじめとして広く普及している。ナビゲーション装置では、道路情報等が含まれる地図情報をDVDやHDD(ハードディスク)等に格納しておき、前記道路情報に基づいて、GPSセンサやジャイロセンサ等を用いて逐次検出される自車位置もしくは所定の出発地から、ユーザに設定された目的地へと向かう最適な経路を探索し、特定の表示や音声合成等を用いて、経路の誘導案内を行っている。
【0003】
このようなナビゲーション装置において、出発地から目的地までの経路を探索する場合、ユーザはユーザ自身の嗜好やニーズに応じて様々な条件を任意に設定することか可能である。経路探索時に設定される条件としては、「一般道路優先」や「有料道路優先」等、優先して選択すべき道路種別がよく利用されている。
【0004】
「一般道路優先」とは、有料道路を極力含めないようにして経路を求める設定条件であり、「時間に余裕があり、交通費(有料道路の通行料金)を抑えたい」といったユーザニーズに応えるものである。また、「有料道路優先」とは、有料道路を積極的に含めるようにして経路を求める設定条件であり、「目的地に早く到達できれば交通費が多少掛かるのはやむを得ない」という時間の価値を重視した要求を満たす際に用いている。
【0005】
この他にも、優先すべき進行方向や道路の寸法(道路幅等)等を条件とした「直線優先」や「道幅優先」、道路の利用形態を条件とした「裏道優先」等、経路探索に際して設定される条件は複数あり、各条件に重み付けを行うことも可能である。例えば、複数の経路を候補とし、最終的に一つの経路に絞り込むに当たって、各条件に重みを付けて複数の経路を探索し、その結果に優先順位を付け、優先順に提示してユーザに選択させるといった技術も提案されている。
【0006】
さらに、特許文献1記載の技術では、林道や海岸沿いの道路等の景観属性情報を条件として付加しており、ユーザに対し景観属性情報に基づく経路を提示して、単に最短経路を探索するのではなく、旅行や観光等のロングドライブを想定してドライバや同乗者がドライブを十分に楽しみながら目的地へ到着することができるナビゲーション装置を実現している。
【0007】
このようなナビゲーション装置によれば、条件を設定した上でいったん経路を探索した後でも、条件の設定を変更して経路の再探索を行い、最初に求めた経路とは異なる別の経路を提示することができる。したがって、目的地までの経路に関してユーザに選択の機会を与えることができ、多様化するニーズに柔軟に対応することが可能である。
【特許文献1】特開2007−271299号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、従来のナビゲーション装置において、経路探索を実施する際の条件として、「一般道路優先」や「有料道路優先」といった優先する道路種別を設定して経路探索を行い、経路を設定した後は、設定した経路に含まれない道路に関しては一切、案内がなされることはない。この点に関して、図7を参照して具体的に説明する。なお、図7中の符号Vが付けられたマークは、自車位置を示している。
【0009】
図7に示す例では、「一般道路優先」を経路探索時の設定条件としており、図7中の太線にて示した経路のように、一般道路を優先した経路に基づき誘導案内する。「一般道路優先」という条件が設定されたということは、有料道路を極力回避することに他ならないので、有料道路区間(図7中の一点鎖線部分)に関する情報は一切案内されることがない。このため、ドライバが図7に示した地域付近の道路情報に詳しくなければ、一点鎖線で示した有料道路に関しては、その存在さえドライバに認識されないことになる。
【0010】
このように、最初に「一般道路優先」という条件を設定してしまうと、一般道路を主体とした経路を目的地に向かって走行することになる。このため、僅かな通行料金を支払って、有料道路区間を利用しさえすれば、総走行距離を短くでき、それに伴い目的地への到着時間を大幅に短縮できる状況にあったとしても、この「有料道路を部分的に利用する」という選択肢が存在することについて、案内がなされることはなかった。このとき、一般道路の走行時間が思いのほか長く、しかも有料道路を部分的に利用する際の通行料金が少額であったことが後から明らかになったとすると、たとえユーザ自身が「一般道路優先」を設定して、有料道路を通らないことを選んでいるとしても、不満を感じることがあった。
【0011】
上記のケースとは反対に、「有料道路優先」を経路探索時の設定条件とした場合には、所定の有料道路区間と置き換えが可能な一般道路が存在したとしても、その一般道路の情報は案内されない。したがって、仮に有料道路側に渋滞が発生していて、有料道路を利用せず一般道路へ迂回したとしても、目的地への到着時間に大差がないような場合であっても、その一般道路の存在が知らされていないので、有料道路を走り続けることになる。この結果、有料道路を走行する為に支払った金額が少額であっても、それに見合うだけの走行時間の短縮、つまり有料道路を利用したメリットを感じることができず、やはりユーザの不満を生む場合があった。
【0012】
以上述べたように、従来のナビゲーション技術では、経路探索時の条件として優先的に利用する道路種別をいったん設定した後では、設定した条件に適合しない道路については、経路の誘導時に一切案内がなされなかった。これは、一般道路を優先するか、有料道路を優先するかという設定は、互いに排他的な関係にあるため、両方を同時に提示することはそもそものユーザの意向に反することになるからである。とは言え、優先する道路として選択していない道路種別の道路を含む経路に関して、選択肢がある状況さえ、ユーザが全く認識できないまま、経路誘導がなされると、ユーザが不満を抱くことは否めなかった。
【0013】
このような状況の下、経路探索時の条件として優先する道路の道路種別を設定した場合に、条件設定後であっても、ユーザ自身の裁量で自由に経路を選択する機会が確保されることが求められていた。特に、ユーザにとって価値のある他経路が存在するならば、それを提示することが強く望まれていた。
【0014】
本発明は、上記のような従来技術の課題を解決するために提案されたものであり、その目的は、経路探索時の条件がどのように設定されていても、また、どのような経路が設定されても、経路の途中に、経路探索の条件として設定した優先すべき道路の道路種別とは異なる経路外の道路への分岐点が存在する場合、あるいは異なる道路種別の道路へ到達するための経路外の道路への分岐点が存在する場合には、その経路外の道路の存在について知らせることができ、更に他の経路の選択機会を適切なタイミングでユーザに与えることが可能なナビゲーション装置、その制御方法及び制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成するため、請求項1の発明は、装置の発明であって、ユーザからの入力を受け付ける入力手段と、道路種別情報が含まれる道路情報を格納する道路情報格納手段と、自車位置を検出する自車位置検出手段と、出発地を設定する出発地設定手段と、目的地を設定する目的地設定手段と、前記出発地から前記目的地までの経路を探索する際の条件として少なくとも優先して選択すべき道路種別を設定する条件設定手段と、前記条件設定手段の設定した条件に基づき前記出発地から前記目的地までの経路を探索する経路探索手段と、前記経路探索手段にて探索した経路の誘導案内を制御する案内制御手段が設けられたナビゲーション装置において、次のような特徴を有している。
【0016】
すなわち、請求項1の発明は、探索条件として設定された優先して選択すべき道路の道路種別とは異なる道路種別の経路外道路が接続される前記経路上の分岐点を案内分岐点として検出する案内分岐点検出手段と、前記自車位置が前記案内分岐点に接近した場合に前記経路外道路に関する情報を報知する報知手段と、を備えたことを特徴としている。
している。
【0017】
また、請求項13の発明は、請求項1の発明を制御方法という見方から捉えたもので、コンピュータを利用することにより、ユーザからの入力を受け付ける入力処理と、道路種別情報が含まれる道路情報を格納する道路情報格納処理と、自車位置を検出する自車位置検出処理と、出発地を設定する出発地設定処理と、目的地を設定する目的地設定処理と、前記出発地から前記目的地までの経路を探索する際の条件として少なくとも優先して選択すべき道路種別を設定する条件設定処理と、前記条件設定処理にて設定した条件に基づき前記出発地から前記目的地までの経路を探索する経路探索処理と、前記経路探索処理にて探索した経路の誘導案内を制御する案内制御処理、を実行するナビゲーション装置の制御方法において、探索条件として設定された優先して選択すべき道路の道路種別とは異なる道路種別の経路外道路が接続される前記経路上の分岐点を案内分岐点として検出する案内分岐点検出処理と、前記自車位置が前記案内分岐点に接近した場合に前記経路外道路に関する情報を報知する報知処理、を実行することを特徴とするものである。
【0018】
さらに、請求項15の発明は、請求項1の発明をコンピュータのプログラムという見方から捉えたものであって、コンピュータを利用することにより、ユーザからの入力を受け付ける入力機能と、道路種別情報が含まれる道路情報を格納する道路情報格納機能と、自車位置を検出する自車位置検出機能と、出発地を設定する出発地設定機能と、目的地を設定する目的地設定機能と、前記出発地から前記目的地までの経路を探索する際の条件として少なくとも優先して選択すべき道路種別を設定する条件設定機能と、前記条件設定機能にて設定した探索条件に基づき前記出発地から前記目的地までの経路を探索する経路探索機能と、前記経路探索機能にて探索した経路の誘導案内を制御する案内制御機能をコンピュータに実現させるナビゲーション装置の制御プログラムにおいて、探索条件として設定された優先して選択すべき道路の道路種別とは異なる道路種別の経路外道路が接続される前記経路上の分岐点を案内分岐点として検出する案内分岐点検出機能と、前記自車位置が前記案内分岐点に接近した場合に前記経路外道路に関する情報を報知する報知機能、をコンピュータに実現させることを特徴とするものである。
【0019】
以上のような請求項1、13、15の発明では、経路探索の条件として設定した優先すべき道路の道路種別とは異なる経路外の道路への分岐点が、経路上に存在する場合には、この分岐点を、案内分岐点検出手段により案内分岐点として検出することができるので、自車が最初に設定された条件から導かれた経路を走行中、前記案内分岐点にて条件設定手段で設定した道路種別とは異なる経路外道路について報知手段にて知らせることができる。
【0020】
したがって、条件設定手段により優先して選択すべき道路種別を設定した後でも、設定した道路種別に該当しない経路外道路が存在することを、ユーザは適切なタイミングで知ることができる。つまり、道路種別の異なる道路を含む経路に関して、これを選択する機会が提供されたことになる。このため、ユーザにとって経路外道路が有用であり、そちらを選択した場合は勿論のこと、たとえユーザが経路外道路を選択しなくとも、あえて当初の経路の利用を維持しているといった自覚を促すことになるので、ナビゲーション装置が誘導する経路に対して不満を感じることがない。これにより、ナビゲーション性能の高品位感、信頼感が向上する。
【0021】
ところで、上記の請求項1、13、15の発明では、「経路外道路」を定義する条件の一つとして、「経路探索条件として設定された優先すべき道路の道路種別とは異なる道路種別の道路」と規定しているが、探索時の設定条件に依らず、実際に設定された経路上の道路の道路種別と、当該経路上の分岐点に接続される道路の道路種別とを比較して、経路上の道路の道路種別とは異なる道路種別である道路を、「経路外道路」として規定することも考えられる。
【0022】
そこで、請求項2の発明では、案内分岐点検出手段が、分岐後の道路の道路種別が前記経路上の道路とは異なる道路種別の経路外道路に接続される前記経路上の分岐点を案内分岐点として検出するようになっている。これに対応して、方法の発明である請求項14では、案内分岐点検出処理によって、分岐後の道路の道路種別が前記経路上の道路とは異なる道路種別の経路外道路に接続される前記経路上の分岐点を案内分岐点として検出することを特徴としている。また、プログラムの発明である請求項16では、案内分岐点検出機能において、分岐後の道路の道路種別が前記経路上の道路とは異なる道路種別の経路外道路に接続される前記経路上の分岐点を案内分岐点として検出することをコンピュータに実現させることを特徴としている。
【0023】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載のナビゲーション装置において、前記報知手段は、前記自車位置検出手段にて前記自車位置が前記案内分岐点に対し所定の距離以内まで接近したことを検出したとき、前記経路外道路について報知するように構成されたことを特徴とする。
【0024】
この請求項3の発明では、自車位置が案内分岐点の所定距離以内に近付けば、報知手段は経路外道路に関する情報の報知を開始するので、自車が案内分岐点に到達するまでに時間的な猶予ができる。このため、ユーザは、案内分岐点において、経路外道路を選択するのか、最初に設定した経路を維持するのか、心理的に余裕を持って判断を下すことができる。
【0025】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載のナビゲーション装置において、前記報知手段は、前記経路外道路の持つ情報として、該経路外道路を走行する際の案内中の経路に対する所要時間差及び通行料金差を報知するように構成されたことを特徴としている。このような請求項3の発明では、経路外道路を走行する場合のメリットを、ユーザが具体的に認識することができる。
【0026】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載のナビゲーション装置において、前記経路外道路を走行した場合の時間的あるいは料金的な利用メリット値を算定する利用メリット値算定手段が具備され、前記報知手段は、前記利用メリット値算定手段の算定した利用メリット値を報知するように構成されたことを特徴とするものである。
【0027】
また、請求項6〜8の発明では、経路探索手段が経路外道路を走行して目的地に至る第2の経路について探索するように構成されており、この第2の経路を走行した場合の利用メリット値として、請求項6の発明では到着予定時刻の差を、請求項7の発明では通行料金の差額を、請求項8の発明では第2の経路における所要時間と比率を、それぞれ求め、これを報知するようになっている。さらに、請求項9の発明では、経路外道路もしくはそれを含む第2の経路を走行した場合の利用メリット値の大きさが、一定以上の場合にのみ、利用メリット値及び経路外道路もしくは第2の経路について報知するように構成されている。
【0028】
上記の請求項6〜8の発明では、経路外道路を利用した場合のメリット値を具体的に割り出し、これを報知している。目的地までの経路における通行料金や所要時間に対する価値の基準は、ケースバイケースであって、ユーザごと、あるいは一人のユーザでも、その時の経済的・時間的な事情の変化によって、千差万別である。そこで本発明では、経路外道路を利用するか否かの最終的な判断はユーザに委ねるものの、経路外道路を走行した場合のメリット値を具体的に提示することで、的確な判断支援が可能である。
【0029】
また、請求項9の発明においては、そのメリットが所定の基準値を超えた場合にのみ、第2の経路を利用する可能性が高いと推定して、報知手段が経路外道路もしくは第2の経路の存在を報知するようになっているので、案内分岐点を通るたびに、経路外道路もしくは第2の経路が頻繁に報知されるといった煩わしさがなく、ドライバが疲れを感じることなく、良好な使い勝手を得ることができる。
【0030】
請求項10の発明は、請求項1〜9のいずれか1項に記載のナビゲーション装置であって、前記案内分岐点において前記経路外道路を選択するか否かを検知する経路外道路の選択検知手段が設けられ、前記経路探索手段は、前記経路外道路の選択検知手段から前記検知信号を受け取ると、前記経路外道路を走行して前記目的地に至る第2の経路について探索するように構成されたことを特徴としている。
【0031】
このような請求項10の発明によれば、検知手段による経路外道路の選択検知後に、経路探索手段が第2の経路を再探索するため、再探索した新たな経路に基づく確実な誘導案内が可能であり、経路誘導に際してユーザに混乱を与える心配がない。
【0032】
請求項11の発明は、請求項10に記載のナビゲーション装置において、前記入力手段には、前記経路外道路の選択検知手段に対し前記経路外道路を選択したことを示す信号を送出する選択手段が設けられたことを特徴とする。
【0033】
請求項12の発明は、請求項10又は11に記載のナビゲーション装置において、前記第2の経路選択検知手段は、前記自車位置が前記案内分岐点を通過して前記経路外道路に進入し、該経路外道路を所定の距離以上走行したことを検知することにより、前記経路外道路を選択したと検知するように構成されたことを特徴とするものである。
【0034】
これらの請求項11、12の発明によれば、ユーザ自身の意識的なスイッチ操作もしくは自車位置の検出により、経路外道路の選択を確実に検知可能であるため、ユーザに余計な操作を強いることがなく、安定した操作性を得ることが可能である。
【発明の効果】
【0035】
以上述べたように、本発明によれば、経路探索時の条件がどのように設定されていても、また、どのような経路が設定されても、経路の途中に、経路探索の条件として設定した優先すべき道路の道路種別とは異なる経路外の道路への分岐点が存在する場合、あるいは異なる道路種別の道路へ到達するための経路外の道路への分岐点が存在する場合には、これらの分岐点を案内分岐点として検出し、この案内分岐点において、経路外の道路の存在について知らせることができ、他の経路の選択機会を適切なタイミングでユーザに与えることが可能なナビゲーション装置、その制御方法及び制御プログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明に係る実施形態の一例について、図1〜図4を参照して具体的に説明する。図1は本実施形態における各機能を実現する仮想的回路ブロックの構成図、図2及び図3は本実施形態によって報知される内容の具体的な表示例の説明図、図4は本実施形態の動作を説明するためのフローチャートである。
【0037】
なお、本実施形態は、周辺装置を備えたコンピュータをプログラムで制御することで実現するが、この場合のハードウェアやプログラムの実現態様は各種変更可能である。また、道路情報をはじめとして各種データを含む地図情報や、経路探索のためのアルゴリズムに関しても適宜選択自由である。
【0038】
さらに、本発明は、ナビゲーション装置及びその制御方法に加えて、上記プログラム、さらには、そのプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体としても把握可能であり、プログラムはナビゲーション装置に組み込まれたCPUや各種チップセットといった物理的な処理装置を活用することで、本発明の作用効果を実現する。
【0039】
(1)本実施形態の構成
図1に示す本実施形態のナビゲーション装置1は、道路種別が変化する分岐点、すなわち経路上の一般道路から経路外の有料道路、あるいは経路上の有料道路から経路外の一般道路へ移行するための分岐点を案内分岐点P(図2、図3に図示)として登録しておき、経路探索時に設定された条件に基づき探索された経路を走行する途中で、前記案内分岐点Pが存在する場合に、案内分岐点Pにおいて、経路探索条件として設定された優先すべき道路の道路種別とは異なり、しかも経路から外れた経路外道路について、その道路に関する情報をユーザに報知することを特徴としたものである。なお、このような経路外道路の報知に関しては、その報知処理の有効及び無効をユーザによって設定できる構成としている。以下の説明では報知処理が「有効」となっている場合と例として説明する。
【0040】
(1−1)構成の概要
まず、ナビゲーション装置1の特徴的な構成を説明する前に、まず概要について説明する。ナビゲーション装置1には、ROM2、RAM3及びHDD制御部4が設けられている。ROM2は経路探索プログラムを含むナビゲーションプログラムを格納する部分であって、このプログラムはナビゲーション装置1の起動時に必要に応じてRAM3に展開される。HDD制御部4は、ハードディスクに格納された地図データや施設データ等、各種データをデータベースから読み出す部分である。
【0041】
ハードディスクのデータベースに格納された地図データには、道路地図表示や経路探索を行う際に用いるノードデータ、リンクデータ等を含む道路データ、及び地図上の地点に関する各種地点情報が含まれている。この地点情報には、各地点における座標、名称、種類、住所、電話番号等の検索リスト用のデータ等が包含されている。また、ナビゲーションプログラムに必要なインタフェース用のデータとして、メニュー、リスト、ボタン、案内(方位、距離、時刻等)、各種マーク(ランドマーク、アイコン、現在位置、走行軌跡等)等を表示する為のデータが含まれている。
【0042】
なお、上述のプログラムやデータの格納場所は、種々の記憶媒体を利用可能であって、そのプログラムやデータの一部若しくは全部をどの記憶媒体に格納するかは、自由に設計可能である。従って、メインプログラムばかりでなく、ナビゲーションのインタフェース用のデータの一部を、ROM2にあらかじめ格納しておくことも可能である。また、ハードディスクを用いる構成ではなく、CD−ROM制御部、DVD−ROM制御部または半導体メモリ制御部等を組み込んでおき、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等から読み出したデータを利用する構成であってもよい。
【0043】
また、ナビゲーション装置1には、自車位置検出を担う部分として、GPS衛星から送られてくるGPS信号を受信するGPS受信機5と、自車の相対的な方位を検出するジャイロセンサ6と、車速パルス信号、バック信号、パーキングブレーキ信号等の車両信号を入力する車両信号入力部7が設置されている。
【0044】
さらに、ナビゲーション装置1には制御用CPUからなる演算部12が設置されており、この演算部12には、自車位置検出部16を始めとして、機能を示す仮想的なブロックとして複数設置されている。自車位置検出部16には前記GPS受信機5、ジャイロセンサ6及び車両信号入力部7が接続されている。
【0045】
自車位置検出部16は、図2及び図3に示すような自車位置Vを逐次計算する部分であって、具体的にはGPS航法測位と自律航法測位とを組み合わせることで自車位置Vを計算する。GPS航法測位とは、GPS衛星からのGPS電波に基づいてGPS受信機5から得られる情報を使って自車の絶対位置を計算する。また、自律航法測位では、地磁気及び自車の速度に基づいてジャイロセンサ6及び車両信号入力部7に入力される車速パルス信号等から得られる情報を使って自車の相対位置を計算している。
【0046】
さらに、ナビゲーション装置1には、ユーザからの指令を入力する部分として、リモコン受光部8と、液晶ディスプレイ9の表示パネル上のタッチパネル部10が設けられており、マンマシンインターフェース制御部11を介して演算部12に接続されている。また、ナビゲーション装置1とは別体で、ユーザ操作により前記リモコン受光部8に対し制御信号を送るリモコン13が設けられている。
【0047】
ナビゲーション装置1の出力部分としては、前記液晶ディスプレイ9と、増幅器14に接続されるスピーカ15が設置されている。液晶ディスプレイ9が出力手段として機能する場合、その表示パネル部上に、地図や経路、操作メニュー、検索リスト及び地点情報など各種の情報が、視覚的に表示される。スピーカ15は合成音声の出力によって誘導案内を行う役割を果たしている。
【0048】
(1−2)本実施形態のナビゲーション制御部分
ナビゲーション装置1に設置された演算部12は、ナビゲーション装置1の制御回路を構成する部分である。図1に示すように、演算部12に含まれる仮想的なブロックとして、前述した自車位置検出部16以外に、出発地設定部17、目的地設定部18、経路探索部19、案内制御部20が設置されている。
【0049】
出発地設定部17にて設定される出発地は、ユーザによる設定が無い限り、自車位置検出部16の検出する自車位置Vである。目的地設定部18は、入力手段であるリモコン13や液晶ディスプレイ9のタッチパネル部10を介して行われる施設検索や地図上でのカーソル設定等によって、目的地の設定を受け付ける部分である。
【0050】
経路探索部19は、設定された出発地から目的地までの経路に関して、道路リンクを抽出した上で、後段の条件設定部21にて設定された条件に基づいて、経路探索を行う部分である。また、経路探索部19は、後述する経路外道路の選択検出部24から検知信号を受けた場合に、当該経路外道路を含む目的地までの新たな経路を、再探索するようになっている。
【0051】
案内制御部20は、経路探索部19にて探索した経路の誘導案内を制御する部分であって、具体的には経路のうちの表示する部分や点滅強調などの態様決定や、合成音声の併用等を制御している。
【0052】
(1−3)本実施形態の主要部分
続いて、本実施形態の主要部分について説明する。本実施形態の構成上の特徴を示す部分として、演算部12には条件設定部21と、案内分岐点登録部22と、分岐案内報知部23と、経路外道路の選択検出部24と、経路外道路の利用メリット値算定部25が設けられている。
【0053】
条件設定部21は、経路探索部19での経路探索時の条件として、少なくとも優先的に選択する道路種別を設定する部分である。具体的には、従来技術にて示した場合と同様、「一般道路優先」や「有料道路優先」といった条件が設定される。
【0054】
案内分岐点登録部22は、道路の道路種別が変化する分岐点、もしくは分岐点に接続される全ての道路の道路種別が同一であっても、接続される道路のうち少なくとも1つの道路が異なる道路種別の道路へと接続される分岐点に関して、これらの分岐点を案内分岐点PとしてRAM3に登録する部分である。
【0055】
より具体的には、次のようにして、案内分岐点登録部22は案内分岐点PをRAM3に登録している。すなわち、案内分岐点登録部22は、HDD制御部4にてデータベースから読み出した道路情報の中から道路種別が変化する分岐点を全て抽出しておき、あるいは、全ての案内分岐点Pを示すフラグを立てておく。そして、案内分岐点Pの対象となる地点が、経路探索部19が経路を探索する際に、探索中の経路上もしくは経路から所定の距離以内に該当した場合に、その地点を案内分岐点PとしてRAM3に登録するようにしておく。
【0056】
あるいは、案内分岐点登録部22は、次のようにして案内分岐点PをRAM3に登録してもよい。すなわち、自車が経路に沿って進行している場合に、自車位置Vが分岐点に接近したことを検出するように設定しておき、自車の進行方向側に存在する経路上の分岐点に対し自車が接近する毎に、その分岐点が経路探索時の探索条件として設定した優先すべき道路の道路種別とは異なる経路外の道路への分岐点である案内分岐点Pであるかどうかを検知して、この分岐点が案内分岐点Pであれば、この情報を都度RAM3に登録する。この場合も、経路上の分岐点だけではなく、経路から所定の距離以内に存在する全ての分岐点を対象として案内分岐点Pを検出するようにしても良い。
【0057】
分岐案内報知部23は、経路探索部19にて探索された経路上に存在する案内分岐点Pにおいて、経路から外れた道路である経路外道路について報知する部分であって、本実施形態の最も特徴的な部分である。ここでいう経路外道路とは、条件設定部21にて経路探索時の探索条件として設定された優先すべき道路の道路種別とは異なる道路種別の経路外の道路のことである。
【0058】
つまり、最初に設定された条件が「有料道路優先」であれば、「経路外の一般道路」となり、最初に設定された条件が「一般道路優先」であれば、「経路外の有料道路」となる。また、分岐案内報知部23は、自車位置検出部16にて自車位置Vが案内分岐点Pに対し所定の距離以内(例えば2km以内)まで接近したことを検出したとき、経路外道路について報知するように構成されている。
【0059】
分岐案内報知部23によって報知される経路外道路に関する情報のうち、経路外道路を走行した場合の時間的あるいは料金的な利用メリット値に関しては、後述する経路外道路の利用メリット値算定部25から取得する。分岐案内報知部23は、利用メリット値算定部25から経路外道路の利用メリット値に関する情報を取得した場合のみ、経路外道路についての報知を実施するように構成されている。
【0060】
以下、経路外道路の利用メリット値に関し、分岐案内報知部23にて報知される内容について、図2及び図3を参照して説明する(利用メリット値算定部25による利用メリット値の算定方法に関しては後段で述べる)。
【0061】
分岐案内報知部23にて報知される経路外道路が「有料道路」である場合、つまり案内分岐点Pにおいて「一般道路から有料道路への案内」となる場合には、有料道路の利用によって新たに発生する通行料金と、短縮される走行時間が報知される。
【0062】
具体的な報知例としては、「この先、有料道路を使うと、予定より15分早く到着することができます。通行料金は50円です」というテキストが、道路表示、案内中経路を示す実線矢印及び経路外道路である有料道路を示す太点線矢印と共に、液晶ディスプレイ9の表示パネル部分に表示される(図2参照、図中の点線部分が有料道路)。
【0063】
また、分岐案内報知部23にて報知される経路外道路が「一般道路」である場合、つまり案内分岐点Pにおいて「有料道路から一般道路への案内」となる場合には、一般道路を利用したことにより支払いの必要が無くなる通行料金と、増加する走行時間である。
【0064】
この時の具体的な報知例としては、「この先、一般道路を使うと、予定より到着が5分遅れますが、通行料金は150円節約できます」というテキストが、道路表示、案内中経路を示す実線矢印及び経路外道路である一般道路を示す太点線矢印と共に、液晶ディスプレイ9の表示パネル部分に表示される(図3参照、図中の点線部分が一般道路)。また、上記図2及び図3に示すようなテキストの表示がなされる時、それと同時に、スピーカ15を通して同様の案内が音声にて出力されるようになっている。
【0065】
経路外道路の選択検出部24は、案内分岐点Pにおいて自車が当初の経路を逸脱して経路外道路を選択したか否かを検知する部分であって、ここでは自車位置Vが案内分岐点Pを通過して経路外道路に入り、その道路を所定の距離以上(例えば100m以上)走行したことを検知した時、前記経路外道路を選択した旨の検知信号を経路探索部19に出力するように構成されている。
【0066】
また、経路外道路の選択検出部24にはタッチキー26が接続されている。タッチキー26は、図2及び図3に示した表示例が液晶ディスプレイ9にてなされた際、タッチパネル部10において、「有料道路を使う」あるいは「一般道路を使う」という表示部分から構成される。このタッチキー26をユーザがタッチして押し下げたとき、経路外道路の選択検知部24に対し経路外道路を選択したことを示す信号が送出される。
【0067】
経路外道路の利用メリット値算定部25は、経路外道路の持つ情報として、経路外道路を走行する際の所要時間及び通行料金を算定する部分である。利用メリット値算定部25は、算定する利用メリット値に関して、予め基準値を設定しておき、前記利用メリット値の大きさが基準値を超えた場合にのみ、分岐案内報知部23に対し利用メリット値を送るように構成される。利用メリット値の基準値は、固定値でもよいし、ユーザにより任意に設定されてもよい。
【0068】
経路外道路の利用メリット値算定部25による利用メリット値の算定方法としては、具体的には次のような場合がある。すなわち、経路外道路の道路情報に該道路の旅行時間データ及び通行料金データが付与されていれば、これらのデータを予めRAM3に格納しておき、経路外道路のメリット値算定部25が前記旅行時間データ及び通行料金データをRAM3から取得し、前記データを経路外道路の利用メリットとして分岐案内報知部23に送るようにする。
【0069】
また、現在設定されている経路を第1の経路、案内分岐点Pから経路外道路を走行して目的地に至る経路を第2の経路と規定すると、利用メリット値算定部25は、第1の経路を走行した場合の案内分岐点Pから目的地までの到着予定時刻と、第2の経路を走行した場合の案内分岐点Pから目的地までの到着予定時刻を求め、2つの到着予定時刻の差を、第2の経路を走行した場合の時間的な利用メリット値として算定することも可能である。
【0070】
さらに、経路外道路の利用メリット値算定部25は、第1の経路を走行した場合の案内分岐点Pから目的地までの通行料金と、第2の経路を走行した場合の案内分岐点Pから目的地までの通行料金を求め、2つの通行料金の差額を、第2の経路を走行した場合の料金的な利用メリット値として算定することもできる。
【0071】
さらには、経路外道路の利用メリット値算定部25において、第2の経路を走行した場合の案内分岐点Pから目的地までの所要時間及び通行料金を求め、所要時間の差と通行料金の差の比率(例えば10分短縮で100円増加など)を、第2の経路を走行した場合の利用メリット値として算定するようにしてもよい。
【0072】
(2)本実施形態の動作
以上の構成を有する本実施形態における案内分岐点Pでの報知処理に関して、図4のフローチャートを参照して説明する。まず、経路探索部19において探索された経路(条件設定部21に設定された条件に基づく経路)上に、道路種別が変化する分岐点が存在するか否かを判定し(ステップS101)、分岐点が存在しない場合には(ステップS101のNo)、案内分岐点Pでの報知処理を実施することなく、従来と同様、案内制御部20が経路案内を実施する。
【0073】
経路探索部19において探索された経路(条件設定部21に設定された条件に基づく経路)上に、道路種別が変化する分岐点が存在する場合には(ステップS101のYes)、案内分岐点登録部22は、全ての分岐点に関する座標等の情報を案内分岐点情報としてRAM3に登録する(ステップS102)。
【0074】
案内制御部20が経路案内を行っている間、自車位置検出部16にて検出される自車位置Vの座標に基づき、自車が上記案内分岐点Pに対し所定距離以内(例えば2km以内)まで接近したかどうかを検出し(ステップS103)、案内分岐点Pに接近した場合には(ステップS103のYes)、この案内分岐点Pにおいて経路外道路が存在することを報知する(ステップS104)。
【0075】
報知の具体的な表示例としては、前述したように、「一般道路から有料道路への案内」であれば、「この先、有料道路を使うと、予定より15分早く到着することができます。通行料金は50円です」等であり、「有料道路から一般道路への案内」であれば、「この先、一般道路を使うと、予定より到着が5分遅れますが、通行料金は150円節約できます」等である。
【0076】
続いて、案内分岐点Pでの以上のような報知に対して、現在設定された経路をそのまま走行するのか、あるいは案内された経路外道路が選択されたか否かを、経路外道路の選択検出部24が判断する(ステップS105)。ここで、経路外道路が選択されたかどうかは、自車位置Vが案内分岐点Pを通過して経路外道路に入り、その道路を所定の距離以上(例えば100m以上)走行したかどうか、もしくは、「有料道路を使う」あるいは「一般道路を使う」というテキスト表示がなされたタッチキー26を、ユーザがタッチしたかどうか等で判定される。経路外道路が選択されなかった場合には(ステップS105のNo)、経路上に他の案内分岐点Pがあるかどうかを確認する(ステップS106)。
【0077】
そして、経路上に他の案内分岐点Pが無ければ(ステップS106のNo)、案内制御部20は、現在設定されている経路に基づいた経路案内を継続する。また、経路上に他の案内分岐点Pがあれば(ステップS106のYes)、ステップS103まで戻り、自車が案内分岐点Pに対し所定距離以内(例えば2km以内)まで接近したかどうかをチェックする。
【0078】
ステップS105において、案内分岐点Pで案内された経路外道路が選択されたことを、経路外道路の選択検出部24が検出した場合には(ステップS105のYes)、選択された経路外道路を含む新たな経路を経路探索部19にて再探索し(ステップS107)、案内制御部20は、再探索された経路に基づいた経路案内を開始する(ステップS108)。
【0079】
(3)本実施形態の作用効果
上記のような本実施形態の作用効果は、次の通りである。すなわち、条件設定部21で設定した条件に基づく経路を自車が走行中、この案内分岐点Pにて、条件設定部21の設定とは異なる経路外道路に関して、分岐案内報知部23によって報知することが可能である。
【0080】
したがって、条件設定部21により優先して選択すべき道路種別を設定した後であっても、設定した道路種別とは異なる経路外道路が存在することを(つまり経路探索時の設定条件が「有料道路優先」であれば「一般道路」の存在を、経路探索時の設定条件が「一般道路優先」であれば「有料道路」の存在を)、分岐点に到達する2km手前という、適切なタイミングで、ユーザに知らせることができる。
【0081】
これにより、経路として設定されていない道路を選択する機会が、ユーザに与えられたことになり、ユーザが交通状況などを鑑み総合的に経路外道路が有用であると判断した場合に、当初の経路から外れて経路外道路を選択することができる。すなちわ、条件設定部21において経路探索時の条件がどのように設定されていたとしても、経路の途中に案内分岐点Pが存在するのであれば、最初に設定された道路種別とは異なる道路種別の道路について知ることができる。したがって、経路の選択機会を失うことがなく、ユーザにとって価値のある代替道路の情報を取得できないといった不利益を被ることおそれがない。
【0082】
具体的には、条件設定部21にて「一般道路優先」を設定していた場合に、分岐案内報知部23によって案内分岐点Pで「一般道路から有料道路への案内」がなされた時、ユーザが有料道路の通行料金が少額であると考えれば、たとえ既に「一般道路優先」を設定していたとしても、有料道路を選ぶことが可能になる。
【0083】
反対に、条件設定部21にて「有料道路優先」を設定していた場合に、分岐案内報知部23によって案内分岐点Pで「有料道路から一般道路への案内」がなされた時、有料道路側に渋滞していて、有料道路を走行する為に支払う金額に見合うだけの走行時間の短縮が見込めないとユーザが感じれば、有料道路を降りて一般道路を選択することが可能となる。
【0084】
経路外道路の存在を報知されたユーザが、経路外道路を選択する場合、ユーザ自身によるタッチキー26の押し下げ操作が行われるか、もしくは自車が経路外道路を所定の距離以上(例えば100m以上)走行すればよい。こうして経路外道路を選択すると、経路外道路の選択検出部24がこれを検知し、経路外道路が選択された旨の検出信号を経路探索部19に送る。
【0085】
経路探索部19は、この経路外道路を含む目的地までの新たな経路を、再探索する。そして、案内制御部20は、経路探索部19にて探索した経路の誘導案内を制御する。つまり、ユーザが経路外道路を選択したと同時に、これを含む経路の案内に自動的に切り替わるので、ユーザがストレスを感じることがない。
【0086】
また、本実施形態では、案内分岐点Pにおいて、経路外道路の存在を報知するだけではなく、経路外道路を走行する際の時間的・料金的なメリット値に関しても同時に報知しているので、ユーザは、経路外道路を走行するかどうかを、具体的なデータに基づいて判断することができる。
【0087】
通行料金や所要時間に対する価値の基準は、ユーザごと、あるいは一人のユーザでも、その時の経済的・時間的な事情の変化によって千差万別であるが、本実施形態では経路外道路を走行した場合の具体的なメリット値を算定し、これをわかりやすく提示することにより、的確な判断支援の実現に寄与している。
【0088】
また、経路外道路を走行した場合の利用メリット値の大きさが、一定以上の場合にのみ、利用メリット値及び経路外道路もしくはその経路外道路を含む第2の経路について報知するようにすれば、全ての案内分岐点Pが報知地点対象にならず、いったんは道路種別を設定したユーザにとって、経路外道路及び第2の経路が頻繁に報知されるといった煩わしさがなく、快適な使用感を確保することができる。
【0089】
仮にユーザが経路外道路を選択しなくとも、他の経路の選択機会を与えられたことで、ユーザは自発的に当初の経路の利用を維持していると意識することができ、ナビゲーション装置が誘導案内する経路に対し不満を抱くことがない。これにより、ナビゲーション性能の高品位感、信頼感が向上する。
【0090】
さらに、本実施形態においては、分岐案内報知部23が経路外道路に関する報知を開始するのは、自車位置Vが案内分岐点Pの所定距離以内(例えば2km以内)に近付いた時点なので、報知開始地点から案内分岐点Pまでの距離は、通常の左右折の案内等よりも長い。したがって、自車が案内分岐点Pに到達するまでに時間的な猶予があり、ユーザは、経路外道路を選択するのか、最初に設定した経路を維持するのか、ゆとりを持って決めることができる。
【0091】
また、本実施形態では、経路外道路の選択検出部24により、ユーザ自身によるタッチキー26の押し下げ操作もしくは自車が経路外道路を所定の距離以上(例えば100m以上)走行したことを検知することにより、経路外道路を選択したと判断する為、経路外道路の選択の検知が確実且つ容易である。したがって、ユーザに余計な操作を強いることがなく、優れた操作性を発揮することができる。
【0092】
(4)他の実施形態
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、各要素の具体的な構成等は適宜変更可能であり、無線通信ネットワークを介して最新データが提供されるナビゲーション装置にも適用可能である。
【0093】
例えば、上記実施形態のように「有料道路を使う」あるいは「一般道路を使う」というテキスト表示がなされたタッチキー26に代えて、矩形の枠からなる表示をタッチキー27としても良い(図5参照)。このような実施形態によれば、テキストを読む必要がないため、直感的な操作が可能となり、操作時の安全性が向上する。
【0094】
また、案内分岐点Pは、道路の道路種別が変化する分岐点だけではなく、分岐点に接続される全ての道路の道路種別が同一であっても少なくとも1つの道路が異なる道路種別の道路へと接続される分岐点であればよい。具体的には、図6の案内分岐点Paは一般道路同士の交差点であるが、図6中の左右方向に延びる一般道路が有料道路(点線にて図示)に接続されているため、このような分岐点も案内分岐点Pの候補となる。
【0095】
したがって、このような案内分岐点Paにおいて、「この先、有料道路を使うと、予定より15分早く到着することができます。通行料金は50円です」というテキストを、道路表示、案内中経路を示す実線矢印及び経路外道路である有料道路を示す太点線矢印と共に、液晶ディスプレイ9の表示パネル部分に表示することができる。
【0096】
これにより、ユーザが条件設定部21にて「一般道路優先」を選んだ後でも、経路の一部として利用可能な有料道路の存在を認識でき、当初の設定に基づく経路を外れて有料道路へと向かう道路(図6では案内分岐点Paを右折)を選ぶことが可能となる。
【0097】
また、上述した実施形態では、「経路外道路」を、経路探索条件として設定された優先すべき道路の道路種別とは異なる道路種別の道路であり、且つ経路上の分岐点に接続される道路であるものとして説明しているが、この限りではない。すなわち、経路探索時の設定条件に制約されることなく、実際に設定された経路上の道路の道路種別と、当該経路上の分岐点に接続される道路の道路種別とを比較して、経路上の道路の道路種別とは異なる道路種別である道路を、「経路外道路」として検出するようにしても良い。
【0098】
具体的には、案内分岐点登録部22において、経路上の道路とは異なる道路種別であり、且つ経路から外れた道路が接続される経路上の分岐点、もしくは、接続される全ての道路の道路種別が経路上の道路の道路種別と同一であっても、少なくともその分岐点に接続される道路のうち1つが、その分岐点に接続される経路上の道路とは異なる道路種別の道路へと接続される経路上の分岐点に関して、これらの分岐点を案内分岐点PとしてRAM3に登録するようにする。
【0099】
つまり、ここでいう「経路外道路」とは、設定された経路上の分岐点に接続され、しかも、その分岐点に接続される経路上の道路とは異なる道路種別の道路のことであって、経路として設定された道路の道路種別が「有料道路」であれば「一般道路」となり、経路として設定された道路の道路種別が「一般道路」であれば、「有料道路」となる。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明に係る代表的な実施形態におけるナビゲーション装置の構成を示す機能ブロック図。
【図2】本実施形態による具体的な表示例の説明図。
【図3】本実施形態による具体的な表示例の説明図。
【図4】本実施形態における動作の流れを示すフローチャート。
【図5】本発明に係る他の実施形態による具体的な表示例の説明図。
【図6】本発明に係る他の実施形態による具体的な表示例の説明図。
【図7】本発明に係る他の実施形態の説明図。
【符号の説明】
【0101】
1…ナビゲーション装置
2…ROM
3…RAM
4…HDD制御部
5…GPS受信機
6…ジャイロセンサ
7…車両信号入力部
8…リモコン受光部
9…液晶ディスプレイ
10…タッチパネル部
11…マンマシンインターフェース制御部
12…演算部
13…リモコン
14…増幅器
15…スピーカ
16…自車位置検出部
17…出発地設定部
18…目的地設定部
19…経路探索部
20…案内制御部
21…条件設定部
22…案内分岐点登録部
23…分岐案内報知部
24…経路外道路の選択検出部
25…経路外道路の利用メリット値算定部
26、27…タッチキー
P…案内分岐点
V…自車位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザからの入力を受け付ける入力手段と、道路種別情報が含まれる道路情報を格納する道路情報格納手段と、自車位置を検出する自車位置検出手段と、出発地を設定する出発地設定手段と、目的地を設定する目的地設定手段と、前記出発地から前記目的地までの経路を探索する際の条件として少なくとも優先して選択すべき道路種別を設定する条件設定手段と、前記条件設定手段の設定した条件に基づき前記出発地から前記目的地までの経路を探索する経路探索手段と、前記経路探索手段にて探索した経路の誘導案内を制御する案内制御手段を備えたナビゲーション装置において、
探索条件として設定された優先して選択すべき道路の道路種別とは異なる道路種別の経路外道路が接続される前記経路上の分岐点を案内分岐点として検出する案内分岐点検出手段と、
前記自車位置が前記案内分岐点に接近した場合に前記経路外道路に関する情報を報知する報知手段と、を備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
ユーザからの入力を受け付ける入力手段と、道路種別情報が含まれる道路情報を格納する道路情報格納手段と、自車位置を検出する自車位置検出手段と、出発地を設定する出発地設定手段と、目的地を設定する目的地設定手段と、前記出発地から前記目的地までの経路を探索する経路探索手段と、前記経路探索手段にて探索した経路の誘導案内を制御する案内制御手段を備えたナビゲーション装置において、
分岐後の道路の道路種別が前記経路上の道路とは異なる道路種別の経路外道路に接続される前記経路上の分岐点を案内分岐点として検出する案内分岐点検出手段と、
前記自車位置が前記案内分岐点に接近した場合に前記経路外道路に関する情報を報知する報知手段と、を備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
前記報知手段は、前記自車位置検出手段にて前記自車位置が前記案内分岐点に対し所定の距離以内まで接近したことを検出したとき、前記経路外道路について報知するように構成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記報知手段は、前記経路外道路の持つ情報として、該経路外道路を走行する際の案内中の経路に対する所要時間差及び通行料金差を報知するように構成されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記経路外道路を走行した場合の時間的あるいは料金的な利用メリット値を算定する利用メリット値算定手段が具備され、
前記報知手段は、前記利用メリット値算定手段の算定した利用メリット値を報知するように構成されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記経路探索手段は、前記経路外道路を走行して前記目的地に至る第2の経路を探索するように構成され、
前記利用メリット値算定手段は、案内中の経路を走行した場合の前記案内分岐点から前記目的地までの到着予定時刻と、前記第2の経路を走行した場合の前記案内分岐点から前記目的地までの到着予定時刻を求め、2つの到着予定時刻の差を、前記第2の経路を走行した場合の時間的な利用メリット値として算定するように構成されたことを特徴とする請求項5に記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
前記経路探索手段は、前記経路外道路を走行して前記目的地に至る第2の経路を探索するように構成され、
前記利用メリット値算出手段は、案内中の経路を走行した場合の前記案内分岐点から前記目的地までの通行料金と、前記第2の経路を走行した場合の前記案内分岐点から前記目的地までの通行料金を求め、2つの通行料金の差額を、前記第2の経路を走行した場合の料金的な利用メリット値として算定するように構成されたことを特徴とする請求項5に記載のナビゲーション装置。
【請求項8】
前記経路探索手段は、前記経路外道路を走行して前記目的地に至る第2の経路を探索するように構成され、
前記利用メリット算出値手段は、前記第2の経路を走行した場合の前記案内分岐点から前記目的地までの所要時間及び通行料金を求め、所要時間と通行料金との比率を、前記第2の経路を走行した場合の利用メリット値として算定するように構成されたことを特徴とする請求項5に記載のナビゲーション装置。
【請求項9】
前記報知手段は、前記利用メリット値算定手段の算定した利用メリット値の大きさが予め設定された基準値を超えた場合にのみ、該利用メリット値及び前記経路外道路もしくは前記第2の経路について報知するように構成されたことを特徴とする請求項5〜8のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項10】
前記案内分岐点において前記経路外道路を選択するか否かを検知し、検知信号を前記経路探索手段に送る経路外道路の選択検知手段が設けられ、
前記経路探索手段は、前記経路外道路の選択検知手段から前記検知信号を受け取ると、前記経路外道路を走行して前記目的地に至る第2の経路を探索するように構成されたことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項11】
前記入力手段には、前記経路外道路の選択検知手段に対し前記経路外道路を選択したことを示す信号を送出する選択手段が設けられたことを特徴とする請求項10に記載のナビゲーション装置。
【請求項12】
前記経路外道路の選択検知手段は、前記自車位置が前記案内分岐点を通過して前記経路外道路に進入し、該経路外道路を所定の距離以上走行したことを検知することにより、前記経路外道路を選択したと検知するように構成されたことを特徴とする請求項10又は11に記載のナビゲーション装置。
【請求項13】
コンピュータを利用することにより、ユーザからの入力を受け付ける入力処理と、道路種別情報が含まれる道路情報を格納する道路情報格納処理と、自車位置を検出する自車位置検出処理と、出発地を設定する出発地設定処理と、目的地を設定する目的地設定処理と、前記出発地から前記目的地までの経路を探索する際の条件として少なくとも優先して選択すべき道路種別を設定する条件設定処理と、前記条件設定処理にて設定した条件に基づき前記出発地から前記目的地までの経路を探索する経路探索処理と、前記経路探索処理にて探索した経路の誘導案内を制御する案内制御処理、を実行するナビゲーション装置の制御方法において、
探索条件として設定された優先して選択すべき道路の道路種別とは異なる道路種別の経路外道路が接続される前記経路上の分岐点を案内分岐点として検出する案内分岐点検出処理と、
前記自車位置が前記案内分岐点に接近した場合に前記経路外道路に関する情報を報知する報知処理、を実行することを特徴とするナビゲーション装置の制御方法。
【請求項14】
コンピュータを利用することにより、ユーザからの入力を受け付ける入力処理と、道路種別情報が含まれる道路情報を格納する道路情報格納処理と、自車位置を検出する自車位置検出処理と、出発地を設定する出発地設定処理と、目的地を設定する目的地設定処理と、前記出発地から前記目的地までの経路を探索する際の条件として少なくとも優先して選択すべき道路種別を設定する条件設定処理と、前記条件設定処理にて設定した条件に基づき前記出発地から前記目的地までの経路を探索する経路探索処理と、前記経路探索処理にて探索した経路の誘導案内を制御する案内制御処理、を実行するナビゲーション装置の制御方法において、
分岐後の道路の道路種別が前記経路上の道路とは異なる道路種別の経路外道路に接続される前記経路上の分岐点を案内分岐点として検出する案内分岐点検出処理と、
前記自車位置が前記案内分岐点に接近した場合に前記経路外道路に関する情報を報知する報知処理、を実行することを特徴とするナビゲーション装置の制御方法。
【請求項15】
コンピュータを利用することにより、ユーザからの入力を受け付ける入力機能と、道路種別情報が含まれる道路情報を格納する道路情報格納機能と、自車位置を検出する自車位置検出機能と、出発地を設定する出発地設定機能と、目的地を設定する目的地設定機能と、前記出発地から前記目的地までの経路を探索する際の条件として少なくとも優先して選択すべき道路種別を設定する条件設定機能と、前記条件設定機能にて設定した探索条件に基づき前記出発地から前記目的地までの経路を探索する経路探索機能と、前記経路探索機能にて探索した経路の誘導案内を制御する案内制御機能をコンピュータに実現させるナビゲーション装置の制御プログラムにおいて、
探索条件として設定された優先して選択すべき道路の道路種別とは異なる道路種別の経路外道路が接続される前記経路上の分岐点を案内分岐点として検出する案内分岐点検出機能と、
前記自車位置が前記案内分岐点に接近した場合に前記経路外道路に関する情報を報知する報知機能、をコンピュータに実現させることを特徴とするナビゲーション装置の制御プログラム。
【請求項16】
コンピュータを利用することにより、ユーザからの入力を受け付ける入力機能と、道路種別情報が含まれる道路情報を格納する道路情報格納機能と、自車位置を検出する自車位置検出機能と、出発地を設定する出発地設定機能と、目的地を設定する目的地設定機能と、前記出発地から前記目的地までの経路を探索する際の条件として少なくとも優先して選択すべき道路種別を設定する条件設定機能と、前記条件設定機能にて設定した探索条件に基づき前記出発地から前記目的地までの経路を探索する経路探索機能と、前記経路探索機能にて探索した経路の誘導案内を制御する案内制御機能をコンピュータに実現させるナビゲーション装置の制御プログラムにおいて、
分岐後の道路の道路種別が前記経路上の道路とは異なる道路種別の経路外道路に接続される前記経路上の分岐点を案内分岐点として検出する案内分岐点検出機能と、
前記自車位置が前記案内分岐点に接近した場合に前記経路外道路に関する情報を報知する報知機能、をコンピュータに実現させることを特徴とするナビゲーション装置の制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−101709(P2010−101709A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−272400(P2008−272400)
【出願日】平成20年10月22日(2008.10.22)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】