説明

ナビゲーション装置、誘導方法及び誘導プログラム

【課題】時間帯、気候、その他の外部要因に基づき、様々な状況に応じて、ユーザに配慮した停車位置に車両を誘導する誘導方法を提供する。
【解決手段】ナビゲーション装置において、第1条件判定手段は、移動体に関する外部要因が第1条件を満たすか否かを判定する。第2条件判定手段は、移動体に関する外部要因が第1条件を満たす場合に、移動体の現在位置を示す位置情報に基づいて、当該移動体の位置が第2条件を満たすか否かを判定する。誘導手段は、移動体の位置が第2条件を満たさない場合に、当該移動体を、第2条件を満たす場所に誘導する。これによれば、第1条件として外部要因に関する条件を設定し、第2条件として移動体の位置に関する条件を設定することで、外部要因の条件によってユーザに不利益が生じる場合に、ナビゲーション装置は、移動体を不利益が生じない場所へ誘導することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置により、降車者に配慮した停車位置に誘導できる手法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カーナビゲーション装置は、現在位置から設定された目的地までの経路を案内するものである。現在では、カーナビゲーション装置において、ユーザが車両を停車させたい場所の周辺にある無料の停車場所を表示するサービスが知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開2006−38626号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載されたカーナビゲーション装置は、予めデータベース内に保持している情報に基づいて無料の停車場所を表示するものであって、時間帯、気候、その他の外部要因を考慮した停車場所を表示することはない。
【0005】
本発明が解決しようとする課題としては、上記のものが例として挙げられる。本発明は、時間帯、気候、その他の外部要因に基づき、様々な状況に応じて、ユーザに配慮した停車位置に車両を誘導することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、ナビゲーション装置であって、移動体の現在位置を示す位置情報を取得する位置情報取得手段と、前記移動体に関する外部要因が、第1条件を満たすか否かを判定する第1条件判定手段と、前記第1条件判定手段が前記第1条件を満たすと判定した場合に、前記位置情報に基づいて、前記移動体の位置が第2条件を満たすか否かを判定する第2条件判定手段と、前記第2条件判定手段が前記第2条件を満たさないと判定した場合に、前記移動体を、前記第2条件を満たす場所に誘導する誘導手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項10に記載の発明は、誘導方法であって、移動体の現在位置を示す位置情報を取得する位置情報取得工程と、前記移動体に関する外部要因が、第1条件を満たすか否かを判定する第1条件判定工程と、前記第1条件判定工程が前記第1条件を満たすと判定した場合に、前記位置情報に基づいて、前記移動体の位置が第2条件を満たすか否かを判定する第2条件判定工程と、前記第2条件判定工程が前記第2条件を満たさないと判定した場合に、前記移動体を、前記第2条件を満たす場所に誘導する誘導工程と、を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項11に記載の発明は、コンピュータ上で実行される誘導プログラムであって、移動体の現在位置を示す位置情報を取得する位置情報取得手段、前記移動体に関する外部要因が、第1条件を満たすか否かを判定する第1条件判定手段、前記第1条件判定手段が前記第1条件を満たすと判定した場合に、前記位置情報に基づいて、前記移動体の位置が第2条件を満たすか否かを判定する第2条件判定手段、前記第2条件判定手段が前記第2条件を満たさないと判定した場合に、前記移動体を、前記第2条件を満たす場所に誘導する誘導手段、として前記コンピュータを機能させることを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の好適な実施形態では、移動体の現在位置を示す位置情報を取得する位置情報取得手段と、前記移動体に関する外部要因が、第1条件を満たすか否かを判定する第1条件判定手段と、前記第1条件判定手段が前記第1条件を満たすと判定した場合に、前記位置情報に基づいて、前記移動体の位置が第2条件を満たすか否かを判定する第2条件判定手段と、前記第2条件判定手段が前記第2条件を満たさないと判定した場合に、前記移動体を、前記第2条件を満たす場所に誘導する誘導手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
上記のように構成されたナビゲーション装置において、第1条件判定手段は、移動体に関する外部要因が第1条件を満たすか否かを判定する。外部要因とは、例えば、時間帯や気候などの条件である。第2条件判定手段は、移動体に関する外部要因が第1条件を満たす場合に、移動体の現在位置を示す位置情報に基づいて、当該移動体の位置が第2条件を満たすか否かを判定する。誘導手段は、移動体の位置が第2条件を満たさない場合に、当該移動体を、第2条件を満たす場所に誘導する。これによれば、第1条件として外部要因に関する条件を設定し、第2条件として移動体の位置に関する条件を設定することで、外部要因の条件によってユーザに不利益が生じる場合に、ナビゲーション装置は、移動体を不利益が生じない場所へ誘導することが可能となる。
【0011】
上記ナビゲーション装置の一態様では、前記第2条件判定手段が前記第2条件を満たさないと判定した場合に、前記位置情報に基づいて、前記移動体付近に前記第2条件を満たす場所が存在するか否かを判定する場所判定手段と、前記場所判定手段が移動体付近に前記第2条件を満たす場所が存在しないと判定した場合に、注意を喚起する音声又は画像を出力する出力手段と、を備え、前記誘導手段は、前記場所判定手段が移動体付近に前記第2条件を満たす場所が存在すると判定した場合に、前記移動体を当該場所へ誘導することを特徴とする。
【0012】
上記のように構成されたナビゲーション装置において、場所判定手段は、移動体の位置が第2条件を満たさない場合に、位置情報に基づいて、移動体付近に第2条件を満たす場所が存在するか否かを判定する。移動体付近に第2条件を満たす場所が存在する場合、誘導手段は、その場所へ車両を誘導する。一方、移動体付近に第2条件を満たす場所が存在しない場合、音声出力手段は、注意を喚起する音声を出力する。これによれば、ナビゲーション装置は、移動体を不利益が生じない場所へ誘導することができなくても、音声出力により、不利益を生じる可能性がある旨の効果的な警告を行うことで、ユーザに移動体の移動を促すことができる。
【0013】
上記ナビゲーション装置の他の一態様では、前記第1条件判定手段を実行するか否かを判定する実行判定手段をさらに備え、前記実行判定手段は、前記移動体が予め設定された目的地に近づいたことを検出した場合に、前記第1条件判定手段を実行すると判定する。これによれば、ナビゲーション装置は、移動体が目的地で到着する直前に、目的地がユーザにとって不利益が生じない場所であるか否かを判定し、警告や誘導を行うことができる。
【0014】
上記ナビゲーション装置の他の一態様では、前記移動体は車両であって、前記車両に関する車両情報を取得する車両情報取得手段をさらに備え、前記実行判定手段は、前記目的地が設定されていない場合に、前記車両情報に基づいて、前記第1条件判定手段を実行するか否かを判定することを特徴とする。これによれば、ナビゲーション装置は、ユーザにより目的地が設定されていない場合であっても、車両情報に基づいて適切なタイミングで、車両の位置がユーザにとって不利益が生じない場所であるか否かを判定し、警告や誘導を行うことができる。
【0015】
上記ナビゲーション装置の他の一態様では、電子化された地図に関する地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、前記車両情報に基づいて、前記車両が停車しているか否かを判定する停車判定手段と、前記停車判定手段により前記車両が停車していると判定された場合に、前記位置情報及び前記地図情報に基づいて当該車両が交差点以外で停車しているか否かを判定する停車位置判定手段と、を備え、前記実行判定手段は、前記停車位置判定手段により前記車両が交差点以外で停車していると判定された場合に、前記第1条件判定手段を実行すると判定することを特徴とする。
【0016】
上記のように構成されたナビゲーション装置において、地図情報記憶手段は、予め電子化された地図に関する地図情報を記憶している。また、停車判定手段は、車両情報取得手段により取得された車両情報に基づいて、車両が停車しているか否かを判定する。さらに、停車位置判定手段は、位置情報取得手段により取得された移動体の現在位置を示す位置情報に基づいて、地図情報を参照することにより、車両が交差点以外で停車しているか否かを判定する。そして、実行判定手段は、車両が交差点以外で停車している場合に、第1条件判定手段を実行する。つまり、ナビゲーション装置は、ユーザにより目的地が設定されていない場合、車両情報に基づいて、車両が交差点以外で停車している場合にユーザが降車するものと判断し、停車位置がユーザにとって不利益が生じない場所であるか否かを判定することで、警告や誘導を行う。よって、ユーザは、不利益が生じない場所で降車することができる。
【0017】
上記ナビゲーション装置の他の一態様では、地図上のエリアが、安全なエリアであるか危険なエリアであるかを示す犯罪情報を取得する犯罪情報取得手段と、前記犯罪情報及び前記位置情報に基づいて、前記移動体の位置が、前記安全なエリア内であるか否かを判定する安全エリア判定手段と、をさらに備え、前記第1条件判定手段は、前記実行判定手段により前記第1条件判定手段を実行すると判定された時刻が夜遅い時間帯である場合に、前記第1条件を満たすと判定し、前記第2条件判定手段は、前記第1判定手段により前記第1条件を満たすと判定された時点における前記移動体の位置が、前記安全エリア判定手段により、前記安全なエリア内であると判定された場合に、前記第2条件を満たすと判定することを特徴とする。
【0018】
上記のように構成されたナビゲーション装置において、犯罪情報取得手段は、地図上のエリアが、安全なエリアであるか危険なエリアであるかを示す犯罪情報を取得する。そして、ナビゲーション装置は、第1条件判定手段を実行する時刻が夜遅い時間帯、即ち暗い時間帯である場合に、犯罪情報に基づいて、移動体の位置が安全エリア内となるように誘導したり、「目的地はすぐですか?」といった注意を喚起する警告を行ったりする。これによれば、ユーザは、暗い時間帯であっても、治安面で安全なエリアで降車することが可能となる。
【0019】
上記ナビゲーション装置の他の一態様では、前記地図情報は、地図上における街灯の設置状況を示す街灯設置データを含んでおり、前記街灯設置データ及び前記位置情報に基づいて、前記移動体の位置が、街灯が設置された場所であるか否かを判定する街灯判定手段を備え、前記第1条件判定手段は、前記実行判定手段により前記第1条件判定手段を実行すると判定された時刻が夜遅い時間帯である場合に、前記第1条件を満たすと判定し、前記第2条件判定手段は、前記第1判定手段により前記第1条件を満たすと判定された時点における前記移動体の位置が、前記街灯判定手段により、街灯が設置された場所であると判定された場合に、前記第2条件を満たすと判定することを特徴とする。
【0020】
上記のように構成されたナビゲーション装置において、地図情報は、地図上における街灯の設置状況を示す街灯設置データを含むものとする。そして、ナビゲーション装置は、第1条件判定手段を実行する時刻が夜遅い時間帯、即ち暗い時間帯である場合に、街灯設定データに基づいて、移動体の位置が街灯の設置された場所となるように誘導したり、「街灯はありますか?」といった注意を喚起する警告を行ったりする。これによれば、ユーザは、暗い時間帯であっても、街灯の設置された場所で降車することが可能となる。
【0021】
上記ナビゲーション装置の他の一態様では、前記車両情報に基づいて、前記車両が停車しているか否かを判定する停車判定手段と、前記停車判定手段により前記車両が停車していると判定された場合に、前記車両情報に基づいて、前記車両のシートベルトが外されたか否かを判定するシートベルト判定手段と、を備え、前記実行判定手段は、前記シートベルト判定手段により前記車両のシートベルトが外されたと判定された場合に、前記第1条件判定手段を実行すると判定することを特徴とする。これによれば、車両が停車した場合に、ユーザが降車したか否かを判定する判断条件として、シートベルトが外されたことを採用している。よって、ナビゲーション装置は、シートベルトが外されたタイミング、即ちユーザが実際に降車する直前に、停車位置がユーザにとって不利益が生じない場所であるか否かを判定することが可能となる。
【0022】
上記ナビゲーション装置のさらに他の一態様では、前記地図情報は、地図上において雨に濡れない屋根付の場所を示す屋根付データを含んでおり、前記車両情報に基づいて、前記車両のワイパーが動いているか否かを判定するワイパー判定手段と、前記地図情報に含まれる屋根付データ及び前記位置情報に基づいて、前記移動体の位置が雨に濡れない屋根付の場所であるか否かを判定する屋根付判定手段と、を備え、前記第1条件判定手段は、前記ワイパー判定手段により前記車両のワイパーが動いていると判定された場合に、前記第1条件を満たすと判定し、前記第2条件判定手段は、前記第1判定手段により前記第1条件を満たすと判定された時点における前記移動体の位置が、前記屋根付判定手段により、雨に濡れない屋根付の場所であると判定された場合に、前記第2条件を満たすと判定することを特徴とする。
【0023】
上記のように構成されたナビゲーション装置において、地図情報は、地図上において雨に濡れない屋根付の場所を示す屋根付データを含むものとする。また、ワイパー判定手段は、車両情報に基づいて、車両のワイパーが動いているか否かを判定する。ナビゲーション装置は、ワイパーが動いていることで、雨が降っていると判断する。そして、ナビゲーション装置は、ワイパーが動いている、即ち雨が降っている場合に、屋根付データに基づいて、移動体の位置が雨に濡れない屋根付の場所となるように誘導したり、「足元に気をつけましょう」といった注意を喚起する警告を行ったりする。これによれば、ユーザは、雨が降っていても、雨に濡れない屋根付きの場所で降車することが可能となる。
【0024】
本発明の別の観点では、誘導方法であって、移動体の現在位置を示す位置情報を取得する位置情報取得工程と、前記移動体に関する外部要因が、第1条件を満たすか否かを判定する第1条件判定工程と、前記第1条件判定工程が前記第1条件を満たすと判定した場合に、前記位置情報に基づいて、前記移動体の位置が第2条件を満たすか否かを判定する第2条件判定工程と、前記第2条件判定工程が前記第2条件を満たさないと判定した場合に、前記移動体を、前記第2条件を満たす場所に誘導する誘導工程と、を備えることを特徴とする。このような誘導方法によっても、外部要因の条件によってユーザに不利益が生じる場合に、移動体を不利益が生じない場所へ誘導することが可能となる。
【0025】
本発明のさらに別の観点では、コンピュータ上で実行される誘導プログラムであって、移動体の現在位置を示す位置情報を取得する位置情報取得手段、前記移動体に関する外部要因が、第1条件を満たすか否かを判定する第1条件判定手段、前記第1条件判定手段が前記第1条件を満たすと判定した場合に、前記位置情報に基づいて、前記移動体の位置が第2条件を満たすか否かを判定する第2条件判定手段、前記第2条件判定手段が前記第2条件を満たさないと判定した場合に、前記移動体を、前記第2条件を満たす場所に誘導する誘導手段、として前記コンピュータを機能させることを特徴とする。このような誘導プログラムをコンピュータ上で実行することによっても、外部要因の条件によってユーザに不利益が生じる場合に、移動体を不利益が生じない場所へ誘導することが可能となる。なお、この誘導プログラムは、記録媒体に記録した状態で好適に取り扱うことができる。
【実施例】
【0026】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例について説明する。
【0027】
[ナビゲーション装置]
本実施例において、ナビゲーション装置は、時間帯、気候、その他の外部要因に基づき、様々な状況に応じて、ユーザに配慮した停車位置に車両を誘導する。
【0028】
図1に、本発明の実施例に係るナビゲーション装置100の構成を示す。図1に示すように、ナビゲーション装置100は、自立測位装置10、GPS受信機18、システムコントローラ20、ディスクドライブ31、データ記憶ユニット36、通信用インタフェース37、通信装置38、表示ユニット40、音声出力ユニット50、入力装置60、TVチューナー70及び車両情報受信装置72を備える。
【0029】
自立測位装置10は、加速度センサ11、角速度センサ12及び距離センサ13を備える。加速度センサ11は、例えば圧電素子からなり、車両の加速度を検出し、加速度データを出力する。角速度センサ12は、例えば振動ジャイロからなり、車両の方向変換時における車両の角速度を検出し、角速度データ及び相対方位データを出力する。距離センサ13は、車両の車輪の回転に伴って発生されているパルス信号からなる車速パルスを計測する。
【0030】
GPS受信機18は、複数のGPS衛星から、測位用データを含む下り回線データを搬送する電波19を受信する。測位用データは、緯度及び経度情報等から車両の絶対的な位置を検出するために用いられる。
【0031】
システムコントローラ20は、インタフェース21、CPU22、ROM23及びRAM24を含んでおり、ナビゲーション装置100全体の制御を行う。
【0032】
インタフェース21は、加速度センサ11、角速度センサ12及び距離センサ13並びにGPS受信機18とのインタフェース動作を行う。そして、これらから、車速パルス、加速度データ、相対方位データ、角速度データ、GPS測位データ、絶対方位データ等をシステムコントローラ20に入力する。CPU22は、システムコントローラ20全体を制御する。ROM23は、システムコントローラ20を制御する制御プログラム等が格納された図示しない不揮発性メモリ等を有する。RAM24は、入力装置60を介して使用者により予め設定された経路データ等の各種データを読み出し可能に格納したり、CPU22に対してワーキングエリアを提供したりする。
【0033】
システムコントローラ20、CD−ROMドライブ又はDVD−ROMドライブなどのディスクドライブ31、データ記憶ユニット36、通信用インタフェース37、表示ユニット40、音声出力ユニット50及び入力装置60は、バスライン30を介して相互に接続されている。
【0034】
ディスクドライブ31は、システムコントローラ20の制御の下、CD又はDVDといったディスク33から、音楽データ、映像データなどのコンテンツデータを読み出し、出力する。なお、ディスクドライブ31は、CD−ROMドライブ又はDVD−ROMドライブのうち、いずれか一方としてもよいし、CD及びDVDコンパチブルのドライブとしてもよい。
【0035】
データ記憶ユニット36は、例えば、HDDなどにより構成され、地図情報などのナビゲーション処理に用いられる各種データを記憶する。
【0036】
通信装置38は、例えば、FMチューナーやビーコンレシーバ、携帯電話や専用の通信カードなどにより構成され、通信用インタフェース37を介して、VICS(Vehicle Information Communication System)センター(登録商標)や携帯電話基地局から配信される渋滞や交通情報などの道路交通情報、犯罪危険レベルを示す犯罪情報、その他の情報を受信する。
【0037】
表示ユニット40は、システムコントローラ20の制御の下、各種表示データをディスプレイなどの表示装置に表示する。具体的には、システムコントローラ20は、データ記憶ユニット36から地図情報を読み出す。表示ユニット40は、システムコントローラ20によってデータ記憶ユニット36から読み出された地図情報を、ディスプレイなどの表示画面上に表示する。表示ユニット40は、バスライン30を介してCPU22から送られる制御データに基づいて表示ユニット40全体の制御を行うグラフィックコントローラ41と、VRAM(Video RAM)等のメモリからなり即時表示可能な画像情報を一時的に記憶するバッファメモリ42と、グラフィックコントローラ41から出力される画像データに基づいて、液晶、CRT(Cathode Ray Tube)等のディスプレイ44を表示制御する表示制御部43と、ディスプレイ44とを備える。ディスプレイ44は、例えば対角5〜10インチ程度の液晶表示装置等からなり、車内のフロントパネル付近に装着される。
【0038】
音声出力ユニット50は、システムコントローラ20の制御の下、CD−ROMドライブ31又はDVD−ROM32、若しくはRAM24等からバスライン30を介して送られる音声デジタルデータのD/A変換を行うD/Aコンバータ51と、D/Aコンバータ51から出力される音声アナログ信号を増幅する増幅器(AMP)52と、増幅された音声アナログ信号を音声に変換して車内に出力するスピーカ53とを備えて構成されている。
【0039】
入力装置60は、各種コマンドやデータを入力するための、キー、スイッチ、ボタン、リモコン、音声入力装置等から構成されている。入力装置60は、車内に搭載された当該車載用電子システムの本体のフロントパネルやディスプレイ44の周囲に配置される。また、ディスプレイ44がタッチパネル方式である場合には、ディスプレイ44の表示画面上に設けられたタッチパネルも入力装置60として機能する。
【0040】
TVチューナー70は、アンテナにより、デジタル変調とデジタル圧縮を使用したテレビ放送71(例えば、日本における地上デジタル放送など)を受信する装置である。
【0041】
車両情報受信装置72は、車両の速度、サイドブレーキのON/OFF、シートベルトの着脱、ワイパーのON/OFFといった車両に関する情報(以下、「車両情報」と呼ぶ。)を受信する入力インタフェースである。
【0042】
[誘導ユニット]
図2は、時間帯、気候、その他の外部要因に基づき、様々な状況に応じて、ユーザに配慮した停車位置に車両を誘導する誘導ユニット200の機能ブロック図である。誘導ユニット200は、実態的には、ナビゲーション装置100の構成要素により構成される。図2に示すように、誘導ユニット200は、地図情報記憶部201、自車位置検出部202、車両情報取得部203、実行判定部204、第1条件判定部205、犯罪情報取得部206、第2条件判定部207、場所判定部208、誘導部209及び音声出力部210を備える。
【0043】
地図情報記憶部201は、データ記憶ユニット36などにより構成され、目的地までの経路探索などに必要な電子化された地図に関する情報である。具体的に、地図情報は、地図表示用データ、道路ネットワークデータ、街灯設置データ、屋根付データなどを有する。地図情報記憶部201は、本発明における地図情報記憶手段として機能する。
【0044】
地図表示用データは、ユーザに対して地図画像を表示するために使用されるデータであり、主として地図に対応する画像データを含む。
【0045】
道路ネットワークデータは、地図を構成する道路のネットワークを示すデータであり、ノードデータ及びリンクデータを含む。ノードは道路上の交差点などの所定の地点に対応し、ノードデータはノードを示すデータである。ノードを示すデータとは、例えば、各ノードを識別するノードID(N01など)や各ノードの地理的な位置座標(緯度及び経度)などである。一方、リンクは交差点などにより区切られた道路の1区画に対応し、リンクデータはリンクを示すデータである。リンクを示すデータとは、例えば、各リンクを識別するリンクID(L01など)や各リンクの地理的な位置座標などである。なお、道路ネットワークに含まれるノードデータ及びリンクデータについては、周知の技術であるため、便宜上詳細な説明は省略する。
【0046】
街灯設置データは、地図上における街灯の設置状況を示すデータである。街灯設置データを参照することで、誘導ユニット200は、所定の位置における街灯の有無を認識することができる。なお、本実施例では、地図情報が街灯設置データを有することとしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、繁華街、住宅街を示すデータなど、地図上における所定の位置の明るさを示すデータであれば、地図情報が有するデータは任意とすることができる。
【0047】
屋根付データは、地図上において屋根付の場所を示すデータである。屋根付の場所は、雨に濡れない場所であって、地下道なども含むものとする。
【0048】
自車位置検出部202は、車両の現在位置を示す位置座標(緯度及び経度)を位置情報として取得する。位置情報の取得方法は、GPS航法、ハイブリッド航法等任意の航法を適用することとしてよい。なお、各航法による車両の現在位置の測定方法は周知の技術であるため、便宜上説明は省略する。自車位置検出部202は、本発明における位置情報取得手段として機能する。
【0049】
車両情報取得部203は、車両情報受信装置72により構成され、車内LANを用いて各伝送機器の状態を確認することにより、車両情報を取得する。具体的に、本実施例において車両情報取得部203は、車両の速度、サイドブレーキのON/OFF、シートベルトの着脱、ワイパーのON/OFFに関する情報を車両情報として取得する。車両情報取得部203は、本発明における車両情報取得手段として機能する。
【0050】
実行判定部204は、後述する第1条件判定部205による、時間帯や気候といった外部要因が第1条件を満たすか否かの判定処理を、実行するか否かを判定する。実行判定部204は、本発明における実行判定手段として機能し、目的地検出部、停車判定部、停車位置判定部及びシートベルト判定部を備える。
【0051】
目的地検出部は、予めユーザにより目的地が設定されている場合に、自車位置検出部202が取得した位置情報に基づいて、車両が目的地に十分近づいたことを検出する。
【0052】
停車判定部は、車両情報取得部203が取得した車両情報に基づいて、車両が停止したか否かを判定する。第1の方法として、停車判定部は、車両情報に含まれる車両の速度が0kmの状態が一定時間(例えば、数秒)続いた場合に、車両が停止したと判定する。第2の方法として、停車判定部は、車両情報に基づいて、サイドブレーキがONとなった場合に、車両が停止したと判定する。このように、停車判定部は、ユーザが降車することが予測される条件が揃った場合に、車両が停止したと判定する。停車判定部は、本発明における停車判定手段として機能する。
【0053】
停車位置判定部は、自車位置検出部202が取得した位置情報に基づいて、地図情報記憶部201が記憶している地図情報を参照することで、車両が交差点以外で停車しているか否かを判定する。停車位置判定部は、本発明における停車位置判定手段として機能する。
【0054】
シートベルト判定部は、車両情報取得部203が取得した車両情報に基づいて、シートベルトが外されたか否かを判定する。シートベルト判定部は、本発明におけるシートベルト判定手段として機能する。
【0055】
第1条件判定部205は、時間帯や気候といった外部要因が第1条件を満たすか否かを判定する。第1条件判定部205は、本発明における第1条件判定手段として機能し、時間帯判定部及びワイパー判定部を備える。
【0056】
時間帯判定部は、ナビゲーション装置100が通常有する時計機能に基づいて、実行判定部204により第1条件を満たすか否かの判定処理を実行すると判定された時刻が、夜遅い時間帯であるか否かを判定する。夜遅い時間帯とは、例えば午後6時から午前5時の間などであって、任意に設定することができる。なお、この場合の第1条件は、実行判定部204により第1条件を満たすか否かの判定処理を実行すると判定された時刻が、夜遅い時間帯であること、即ち暗い時間帯であることである。
【0057】
ワイパー判定部は、車両情報取得部203が取得した車両情報に基づいて、ワイパーが動いているか否かを判定する。なお、この場合の第1条件は、ワイパーが動いていること、即ち天候が雨であることである。ワイパー判定部は、本発明におけるワイパー判定手段として機能する。
【0058】
犯罪情報取得部206は、地図上における犯罪危険レベルを示す犯罪情報を取得する。例えば、犯罪情報は、地図上の所定のエリアが、治安上、安全なエリアであるか危険なエリアであるかを示す情報などであり、任意に設定することができる。犯罪情報取得部206は、本発明における犯罪情報取得手段として機能し、BT(Bluetooth;登録商標)受信部及び地上デジタル放送受信部を備える。
【0059】
BT受信部は、図3(a)に示すように、通信装置38により、携帯電話80から犯罪情報を受信する。携帯電話80は常に最寄りの基地局Aと通信しているので、各基地局が周辺地域の犯罪情報を供給可能であれば、ナビゲーション装置100は、BT機能を通して犯罪情報を取得することができる。この場合、犯罪情報には、各基地局の周辺地域を示す位置情報が付加されている。
【0060】
地上デジタル放送受信部は、図3(b)に示すように、TVチューナー70により、地上デジタル放送として犯罪情報を受信する。地上デジタル放送は、ローカル情報を付帯することが可能であるので、位置情報付の犯罪情報を時間毎に変化させて送れば、ナビゲーション装置100は、自身の保有する位置情報と一致する犯罪情報を取得することができる。このように、地上デジタル放送の情報伝達部分に位置情報付の犯罪情報を載せて配信する他、TV番組中の犯罪に関するニュースの際、その犯罪が発生した地域の位置情報を犯罪情報として配信することとしてもよい。
【0061】
第2条件判定部207は、第1条件判定部205により第1条件を満たすと判定された場合に、自車位置検出部202が取得した位置情報に基づいて、車両の位置が第2条件を満たすか否かを判定する。第2条件判定部207は、本発明における第2条件判定手段として機能し、安全エリア判定部、街灯判定部及び屋根付判定部を備える。
【0062】
安全エリア判定部は、自車位置検出部202が取得した位置情報に基づいて、犯罪情報取得部206が取得した犯罪情報を参照することにより、車両の位置が安全なエリア内であるか否かを判定する。なお、この場合の第2条件は、第1判定部205により第1条件を満たすと判定された時点における車両の位置が、安全なエリア内であることである。本実施例では、犯罪情報が、地図上の所定のエリアが安全なエリアであるか危険なエリアであるかを示す情報であるため、安全エリア判定部により車両の位置が安全なエリア内であるか否かを判定しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、犯罪情報に基づいて車両の位置が安全であるか否かを判定できればよい。安全エリア判定部は、本発明における安全エリア判定手段として機能する。
【0063】
街灯判定部は、自車位置検出部202が取得した位置情報に基づいて、地図情報記憶部201に記憶された地図情報が有する街灯設置データを参照することにより、車両の位置が街灯の設置された場所であるか否かを判定する。なお、この場合の第2条件は、第1判定部205により第1条件を満たすと判定された時点における車両の位置が、街灯の設置された場所であることである。本実施例では、地図情報が街灯設置データを有するため、街灯判定部により車両の位置が街灯の設置された場所であるか否かを判定しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、地図情報に含まれる所定の位置の明るさを示すデータに基づいて車両の位置が明るいか否かを判定できればよい。街灯判定部は、本発明における街灯判定手段として機能する。
【0064】
屋根付判定部は、自車位置検出部202が取得した位置情報に基づいて、地図情報記憶部201が記憶している地図情報の屋根付データを参照することにより、車両の位置が雨に濡れない屋根付の場所であるか否かを判定する。なお、この場合の第2条件は、第1判定部205により第1条件を満たすと判定された時点における車両の位置が、雨に濡れない屋根付の場所であることである。屋根付判定部は、本発明における屋根付判定手段として機能する。
【0065】
場所判定部208は、第2条件判定手段が第2条件を満たさないと判定した場合に、位置情報に基づいて、車両の近くに第2条件を満たす場所が存在するか否かを判定する。「車両の近く」は、例えば、車両を中心とした半径500m以内など任意に設定することができる。場所判定部208は、本発明における場所判定手段として機能する。
【0066】
誘導部209は、表示ユニット40及び音声出力ユニット50により構成され、警告を出した上で、第2条件を満たす場所に車両を誘導する。誘導部209は、本発明における誘導手段として機能する。
【0067】
音声出力部210は、音声出力ユニット50により構成され、第2条件を満たす場所へ車両を誘導できない場合に、注意喚起するアナウンスを出力する。音声出力部210は、本発明における音声出力手段として機能する。
【0068】
なお、誘導ユニット200の各部は、図1に示すシステムコントローラ20により構成される。即ち、システムコントローラ20が所定のプログラムを実行することにより、上記各部を実現する。
【0069】
[第1誘導処理]
次に、本実施例による第1誘導処理について、図4を参照して説明する。図4は、夜遅い時間帯に停車位置として車両を安全な場所へ誘導する第1誘導処理のフローチャートである。誘導ユニット200は、ナビゲーション装置100の構成要素により構成されるものであって、第1誘導処理は、図1に示すシステムコントローラ20が、予め用意されたプログラムを実行することにより実現される。
【0070】
誘導ユニット200の目的地検出部は、まず、ユーザにより目的地が設定されているか否かを判定する(ステップS1)。目的地が設定されている場合(ステップS1;Yes)、目的地検出部は、自車位置検出部202により取得された車両の現在位置を示す位置情報に基づいて、目的地に十分近付いたことを検出したか否かを判定する(ステップS2)。自車位置検出部202により、目的地に十分近付いたことが検出された場合(ステップS2;Yes)、ステップS4の処理に進む。
【0071】
ユーザにより目的地が設定されていない場合(ステップS1;No)、停車判定部は、車両情報取得部203が取得した車両情報に基づいて、車両が停車したか否かを判定する。停車判定部により車両が停車していると判定された場合、停車位置判定部は、自車位置検出部202により取得された位置情報に基づいて、地図情報記憶部201に記憶されている地図情報を参照することで、車両が交差点以外で停車しているか否かを判定する(ステップS3)。交差点は、信号や停止標識による停車の可能性が高いため、本実施例では、交差点以外で停車している場合に、第1誘導処理を進行するものとする。停車位置判定部により、車両が交差点以外で停車していると判定された場合(ステップS3;Yes)、ステップS4の処理に進む。
【0072】
時間帯判定部は、ナビゲーション装置100が通常有する時計機能に基づいて、現在時刻が夜遅い時間帯であるか否かを判定する(ステップS4)。夜遅い時間帯ではないと判定された場合(ステップS4;No)、まだ明るい時間帯であるため、そこまで治安面での安全性を考慮する必要はないと判断し、誘導ユニット200は、第1誘導処理を終了する。一方、夜遅い時間帯であると判定された場合(ステップS4;Yes)、犯罪情報取得部206により犯罪情報を取得したか否かを判定する(ステップS5)。犯罪情報を取得したと判定された場合(ステップS5;Yes)、誘導部209は、犯罪情報に基づき、車両の停車位置として安全なエリアへ車両を誘導する(ステップS6)。これにより、第1誘導処理は完了する。
【0073】
具体的に、犯罪情報を取得したと判定された場合(ステップS5;Yes)、安全エリア判定部は、自車位置検出部202により取得された位置情報及び犯罪情報に基づいて、車両の現在位置、即ち目的地又は停車位置が、安全エリア内であるか否かを判定する。安全エリア内であると判定された場合、誘導部209は、新たな場所への誘導は行わず、その場所での降車を誘導する。新たな場所へ誘導しなくても、ユーザの降車場所が安全だからである。一方、安全エリア内ではないと判定された場合、場所判定部208は、位置情報及び犯罪情報に基づいて、車両の現在位置付近に安全エリア内の場所が存在するか否かを判定する。車両の現在位置付近に安全エリア内の場所が存在すると判定された場合、誘導部209は、例えば、安全な場所へ誘導する旨の警告を出した上で、停車位置として当該場所へ車両を誘導する。一方、車両の現在位置付近に安全エリア内の場所が存在しないと判定された場合、範囲を拡大して安全エリア内の場所を探索し、車両を誘導することとしてもよいし、ステップS7へ進むこととしてもよい。
【0074】
犯罪情報を取得していないと判定された場合(ステップS5;No)、街灯判定部は、地図情報記憶部201が記憶している地図情報が街灯設置データを有するか否かを判定する(ステップS7)。街灯設置データを有すると判定された場合(ステップS7;Yes)、誘導部209は、街灯設置データに基づき、車両の停車位置として街灯の設置された場所へ車両を誘導する(ステップS8)。これにより、第1誘導処理は完了する。
【0075】
具体的に、地図情報が街灯設置データを有すると判定された場合(ステップS7;Yes)、街灯判定部は、自車位置検出部202により取得された位置情報及び街灯設置データに基づいて、車両の現在位置、即ち目的地又は停車位置に、街灯が設置されているか否かを判定する。街灯が設置されていると判定された場合、誘導部209は、新たな場所への誘導は行わず、その場所での降車を誘導する。新たな場所へ誘導しなくても、ユーザの降車場所が明るく安全だからである。一方、街灯が設置されていないと判定された場合、場所判定部208は、位置情報及び街灯設置データに基づいて、車両の現在位置付近に街灯が設置された場所が存在するか否かを判定する。車両の現在位置付近に街灯が設置された場所が存在すると判定された場合、誘導部209は、例えば、安全のため明るい場所へ誘導する旨の警告を出した上で、停車位置として当該場所へ車両を誘導する。一方、車両の現在位置付近に街灯が設置された場所が存在しないと判定された場合、範囲を拡大して街灯が設置された場所を探索し、車両を誘導することとしてもよいし、ステップS9へ進むこととしてもよい。
【0076】
街頭設置データを有しないと判定された場合(ステップS7;No)、音声出力部210は、「街灯はありますか?」や「目的地はすぐですか?」といった注意喚起を行うアナウンス(音声)を出力する(ステップS9)。これにより、第1誘導処理は完了する。
【0077】
誘導ユニット200によれば、BT信号又は地上デジタル放送により犯罪情報取得部206が取得する犯罪情報と、車両情報取得部203が取得する車両情報と、自車位置検出部202により検出する車両の現在位置を示す位置情報と、に基づいて、車両の停車位置を計算し、ディスプレイ44にその位置を表示する。そして、誘導ユニット200は、ユーザが降車する際、危険であったり、不便であったりすることが予測できる場合は、停車位置をずらすように誘導するか、少なくとも注意喚起の警告を出すこととしている。上述のように、誘導ユニット200は、ユーザにより目的地が設定されている場合、停車位置が予め分かっているので、停車する直前に、警告を出した上で可能であれば停車位置として安全な場所への誘導を行う。また、誘導ユニット200は、ユーザにより目的地が設定されていない場合、車両情報に基づく速度検知などによって停車後に、警告を出した上で可能であれば停車位置として安全な場所への誘導を行う。第1誘導処理では、夜間にユーザが降車する場合を想定しており、停車位置周辺の犯罪情報を取得することで、安全な場所へ停車位置を移動させることを可能としている。
【0078】
これによれば、ナビゲーション装置100は、時間帯、気候、その他の外部要因に基づき、様々な状況に応じて、ユーザに配慮した停車位置に車両を誘導することができる。また、停車位置に関する最新の犯罪情報などが取得できず、誘導を行えない場合であっても、時間帯により効果的な警告をユーザに行うことで、停車位置の移動を促すこととしている。よって、ユーザは、暗い夜間であっても、治安面で安全な場所で降車することが可能となる。
【0079】
[第2誘導処理]
次に、本実施例による第2誘導処理について、図5を参照して説明する。図5は、雨の日に停車位置として屋根付の場所へ車両を誘導する第2誘導処理のフローチャートである。誘導ユニット200は、ナビゲーション装置100の構成要素により構成されるものであって、第2誘導処理は、図1に示すシステムコントローラ20が、予め用意されたプログラムを実行することにより実現される。なお、第2誘導処理において、誘導ユニット200は、犯罪情報取得部206を構成要件に含まないこととしてもよい。即ち、誘導ユニット200は、第2誘導処理を実行する場合に必要な構成要素を有していればよい。
【0080】
誘導ユニット200の目的地検出部は、まず、ユーザにより目的地が設定されているか否かを判定する(ステップS11)。目的地が設定されている場合(ステップS11;Yes)、目的地検出部は、自車位置検出部202により取得された車両の現在位置を示す位置情報に基づいて、目的地に十分近付いたことを検出したか否かを判定する(ステップS12)。自車位置検出部202により、目的地に十分近付いたことが検出された場合(ステップS12;Yes)、ステップS15の処理に進む。
【0081】
ユーザにより目的地が設定されていない場合(ステップS11;No)、停車判定部は、車両情報取得部203が取得した車両情報に基づいて、車両が停車したか否かを判定する(ステップS13)。停車判定部により車両が停車していると判定された場合(ステップS13;Yes)、シートベルト判定部は、車両情報に基づいて、シートベルトが外されたか否かを判定する(ステップS14)。シートベルトが外されていないと判定された場合(ステップS14;No)、ユーザの降車はないものと判断し、誘導ユニット200は、第2誘導処理を終了する。一方、シートベルト判定部により、シートベルトが外されたと判定された場合(ステップS14;Yes)、ユーザが降車するものと判断し、ステップS15の処理に進む。
【0082】
ワイパー判定部205は、車両情報取得部203が取得した車両情報に基づいて、ワイパーが動いているか否かを判定する(ステップS15)。ワイパーが動いていないと判定された場合(ステップS15;No)、雨が降っていないものと判断し、誘導ユニット200は、第2誘導処理を終了する。一方、ワイパーが動いていると判定された場合(ステップS15;Yes)、屋根付判定部は、自車位置検出部202により取得された位置情報及び地図情報記憶部201が記憶している地図情報が有する屋根付データに基づいて、車両の現在位置、即ち目的地又は停車位置が、雨に濡れない屋根付の場所であるか否かを判定する(ステップS16)。屋根付の場所であると判定された場合(ステップS16;Yes)、誘導部209は、新たな場所への誘導は行わず、その場所での降車を誘導する(ステップS18)。新たな場所へ誘導しなくても、ユーザの降車位置が雨に濡れない場所であるからである。これにより、第2誘導処理は完了する。
【0083】
一方、屋根付の場所ではないと判定された場合(ステップS16;No)、場所判定部208は、位置情報及び屋根付データに基づいて、車両の現在位置付近に雨に濡れない屋根付の場所が存在するか否かを判定する(ステップS17)。車両の現在位置付近に屋根付の場所が存在すると判定された場合(ステップS17;Yes)、誘導部209は、例えば、雨に濡れない場所へ誘導する旨の警告を出した上で、停車位置として当該場所へ車両を誘導する(ステップS18)。これにより、第2誘導処理は完了する。
【0084】
一方、車両の現在位置付近に屋根付の場所が存在しないと判定された場合(ステップS17;No)、音声出力部210は、「足もとに気をつけましょう」や「周りに雨をよけられる場所があれば移動しましょう」といった注意喚起を行うアナウンス(音声)を出力する(ステップS19)。これにより、第2誘導処理は完了する。
【0085】
このように、誘導ユニット200は、雨が降っているという判断に「ワイパーが動いている」という情報を使用し、ユーザが降車するという判断に「シートベルトが外された」という情報を使用している。
【0086】
これによれば、ナビゲーション装置100は、雨が降ることにより、ユーザが停車したい場所であっても屋根のない場所で降車することで、ユーザにとって「濡れる」という不利益が生じると判断する。そのため、ナビゲーション装置100は、ユーザに配慮して、停車位置として雨に濡れない場所へ車両を誘導する。また、雨に濡れない場所が付近に存在しない場合であっても、効果的な警告をユーザに行うことで、停車位置の移動を促すこととしている。つまり、ナビゲーション装置100は、ユーザが停車しようとしている場所に関する情報に基づいて、ユーザに不利益となる場合は、停車位置の変更を促すことが可能である。よって、ユーザは、雨の日であっても、屋根付きの濡れない場所で降車することが可能となる。
【0087】
なお、本実施例では、誘導ユニット200が有する音声出力部210により、音声で注意喚起を行うアナウンスをすることとしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、警告画像をディスプレイ44に表示することで注意喚起を行うこととしてもよい。即ち、画像で注意喚起を行うアナウンスをすることとしてもよい。
【0088】
また、本実施例において誘導ユニット200は、図1に示すナビゲーション装置100の構成要件により構成されることとしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、ナビゲーション装置に類する装置全般に適用することができる。本実施例では、移動体を車両とし、ナビゲーション装置100はカーナビゲーション装置を想定しているが、例えば、移動体を人とし、ナビゲーション装置は携帯電話をはじめとする携帯用ナビゲーション装置を想定することとしてもよい。この場合、携帯用ナビゲーション装置は、雨が降っているという情報を取得した場合、遠回りでも地下道などの屋根付きの場所を通るルートにより誘導することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】実施例によるナビゲーション装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】誘導ユニットの機能構成を示すブロック図である。
【図3】犯罪情報の取得方法を説明する図である。
【図4】第1誘導処理のフローチャートである。
【図5】第2誘導処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0090】
10 自立測位装置
18 GPS受信機
20 システムコントローラ
22 CPU
36 データ記憶ユニット
40 表示ユニット
60 入力装置
70 TVチューナー
72 車両情報受信装置
100 ナビゲーション装置
200 誘導ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の現在位置を示す位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記移動体に関する外部要因が、第1条件を満たすか否かを判定する第1条件判定手段と、
前記第1条件判定手段が前記第1条件を満たすと判定した場合に、前記位置情報に基づいて、前記移動体の位置が第2条件を満たすか否かを判定する第2条件判定手段と、
前記第2条件判定手段が前記第2条件を満たさないと判定した場合に、前記移動体を、前記第2条件を満たす場所に誘導する誘導手段と、を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記第2条件判定手段が前記第2条件を満たさないと判定した場合に、前記位置情報に基づいて、前記移動体付近に前記第2条件を満たす場所が存在するか否かを判定する場所判定手段と、
前記場所判定手段が移動体付近に前記第2条件を満たす場所が存在しないと判定した場合に、注意を喚起する音声又は画像を出力する出力手段と、を備え、
前記誘導手段は、前記場所判定手段が移動体付近に前記第2条件を満たす場所が存在すると判定した場合に、前記移動体を当該場所へ誘導することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記第1条件判定手段を実行するか否かを判定する実行判定手段をさらに備え、
前記実行判定手段は、前記移動体が予め設定された目的地に近づいたことを検出した場合に、前記第1条件判定手段を実行すると判定することを特徴とする請求項1又は2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記移動体は車両であって、前記車両に関する車両情報を取得する車両情報取得手段をさらに備え、
前記実行判定手段は、前記目的地が設定されていない場合に、前記車両情報に基づいて、前記第1条件判定手段を実行するか否かを判定することを特徴とする請求項3に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
電子化された地図に関する地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、
前記車両情報に基づいて、前記車両が停車しているか否かを判定する停車判定手段と、
前記停車判定手段により前記車両が停車していると判定された場合に、前記位置情報及び前記地図情報に基づいて当該車両が交差点以外で停車しているか否かを判定する停車位置判定手段と、を備え、
前記実行判定手段は、前記停車位置判定手段により前記車両が交差点以外で停車していると判定された場合に、前記第1条件判定手段を実行すると判定することを特徴とする請求項4に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
地図上のエリアが、安全なエリアであるか危険なエリアであるかを示す犯罪情報を取得する犯罪情報取得手段と、
前記犯罪情報及び前記位置情報に基づいて、前記移動体の位置が、前記安全なエリア内であるか否かを判定する安全エリア判定手段と、をさらに備え、
前記第1条件判定手段は、前記実行判定手段により前記第1条件判定手段を実行すると判定された時刻が夜遅い時間帯である場合に、前記第1条件を満たすと判定し、
前記第2条件判定手段は、前記第1判定手段により前記第1条件を満たすと判定された時点における前記移動体の位置が、前記安全エリア判定手段により、前記安全なエリア内であると判定された場合に、前記第2条件を満たすと判定することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
前記地図情報は、地図上における街灯の設置状況を示す街灯設置データを含んでおり、
前記街灯設置データ及び前記位置情報に基づいて、前記移動体の位置が、街灯が設置された場所であるか否かを判定する街灯判定手段を備え、
前記第1条件判定手段は、前記実行判定手段により前記第1条件判定手段を実行すると判定された時刻が夜遅い時間帯である場合に、前記第1条件を満たすと判定し、
前記第2条件判定手段は、前記第1判定手段により前記第1条件を満たすと判定された時点における前記移動体の位置が、前記街灯判定手段により、街灯が設置された場所であると判定された場合に、前記第2条件を満たすと判定することを特徴とする請求項5に記載のナビゲーション装置。
【請求項8】
前記車両情報に基づいて、前記車両が停車しているか否かを判定する停車判定手段と、
前記停車判定手段により前記車両が停車していると判定された場合に、前記車両情報に基づいて、前記車両のシートベルトが外されたか否かを判定するシートベルト判定手段と、を備え、
前記実行判定手段は、前記シートベルト判定手段により前記車両のシートベルトが外されたと判定された場合に、前記第1条件判定手段を実行すると判定することを特徴とする請求項4に記載のナビゲーション装置。
【請求項9】
前記地図情報は、地図上において雨に濡れない屋根付の場所を示す屋根付データを含んでおり、
前記車両情報に基づいて、前記車両のワイパーが動いているか否かを判定するワイパー判定手段と、
前記地図情報に含まれる屋根付データ及び前記位置情報に基づいて、前記移動体の位置が雨に濡れない屋根付の場所であるか否かを判定する屋根付判定手段と、を備え、
前記第1条件判定手段は、前記ワイパー判定手段により前記車両のワイパーが動いていると判定された場合に、前記第1条件を満たすと判定し、
前記第2条件判定手段は、前記第1判定手段により前記第1条件を満たすと判定された時点における前記移動体の位置が、前記屋根付判定手段により、雨に濡れない屋根付の場所であると判定された場合に、前記第2条件を満たすと判定することを特徴とする請求項4に記載のナビゲーション装置。
【請求項10】
移動体の現在位置を示す位置情報を取得する位置情報取得工程と、
前記移動体に関する外部要因が、第1条件を満たすか否かを判定する第1条件判定工程と、
前記第1条件判定工程が前記第1条件を満たすと判定した場合に、前記位置情報に基づいて、前記移動体の位置が第2条件を満たすか否かを判定する第2条件判定工程と、
前記第2条件判定工程が前記第2条件を満たさないと判定した場合に、前記移動体を、前記第2条件を満たす場所に誘導する誘導工程と、を備えることを特徴とする誘導方法。
【請求項11】
コンピュータ上で実行される誘導プログラムであって、
移動体の現在位置を示す位置情報を取得する位置情報取得手段、
前記移動体に関する外部要因が、第1条件を満たすか否かを判定する第1条件判定手段、
前記第1条件判定手段が前記第1条件を満たすと判定した場合に、前記位置情報に基づいて、前記移動体の位置が第2条件を満たすか否かを判定する第2条件判定手段、
前記第2条件判定手段が前記第2条件を満たさないと判定した場合に、前記移動体を、前記第2条件を満たす場所に誘導する誘導手段、として前記コンピュータを機能させることを特徴とする誘導プログラム。
【請求項12】
請求項11に記載の誘導プログラムを記録したことを特徴とする記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−276121(P2009−276121A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−125834(P2008−125834)
【出願日】平成20年5月13日(2008.5.13)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】