説明

ナビゲーション装置および無線装置

【課題】エアバックシステムの加速度センサを用いることなく、また事故検出用のセンサを別途設けることなく、車両の事故を検出して通報することができるナビゲーション装置および無線装置を提供する。
【解決手段】本発明は、業務用車両の挙動を検出する車速センサ14bを少なくとも含み、業務用車両の現在地を検出する現在地検出装置14と、車速センサ14bの出力信号により業務用車両の事故の発生を検出し、業務用車両の事故の発生が検出されたとき、該事故の発生を事業者に業務用無線装置2Aを使用して通報する制御回路11とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、業務用車両の事故を事業者に通報するナビゲーション装置および無線装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エアバックを展開する加速度センサの出力により車両の衝突を検出し、救急センタなどに車両の事故を自動通報するナビゲーション装置が従来技術として知られている(たとえば、特許文献1)。これにより別途自動通報用の検出器を必要としない。
【特許文献1】特開平11−287660号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に記載されているナビゲーション装置では、エアバックシステムに使用されている加速度センサからの信号を用いているので、エアバックシステムの信頼性確保のために工場出荷後は加速度センサからの信号を取り出すことができない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様によると、ナビゲーション装置は、業務用車両の挙動を検出する検出器を少なくとも含み、業務用車両の現在地を検出する現在地検出手段と、検出器の出力信号により業務用車両の事故の発生を検出する事故発生検出手段と、事故発生検出手段によって業務用車両の事故の発生が検出されたとき、該事故の発生を事業者に通報する事故通報手段とを備える。
本発明の第2の態様によると、無線装置は、業務用車両に設けられた車速センサから車速パルスを取得し、車速パルスのパルス数の減少率が判定基準値以上のときに事故の発生を検出する事故発生検出手段と、事故発生検出手段によって業務用車両の事故の発生が検出されたとき、該事故の発生を事業者に通報する事故通報手段とを備える。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、エアバックシステムの加速度センサを用いることなく、また事故検出用のセンサを別途設けることなく、事故の発生を検出して通報することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
−第1の実施形態−
図1は、本発明の第1の実施形態における業務用車両管理システムを説明するための図である。図1の業務用車両管理システムは、タクシー事業者がタクシーを管理するためのシステムである。業務車両用管理システムは、タクシー車両に搭載されたナビゲーション装置1Aおよび業務用無線装置2Aと、事業者用端末3とから主に構成される。ナビゲーション装置1Aと業務用無線装置2Aとは不図示のケーブルによって接続されている。業務用無線装置2Aによる無線通信はデジタル化されており、業務用無線装置2Aはナビゲーション装置1Aの情報を送信することができる。業務用無線装置2Aから送信された情報は、制御局4を介して無線電波で事業者用端末3に送信される。
【0007】
ナビゲーション装置1Aの詳細については後述する。事業者用端末3はコンピュータ31と通信装置32と表示モニタ33とを備える。コンピュータ31は、表示モニタ33に地図を表示させ、通信装置32によって受信されたタクシー車両の位置情報を地図上に表示させる。これによりタクシー事業者はタクシー車両の位置管理を行うことができる。ここで、タクシー車両の位置情報は、タクシー車両に搭載されたナビゲーション装置1Aによって検出され、業務用無線装置2Aによって事業者用端末3へ送信される。
【0008】
また、コンピュータ31は、後述するタクシー車両の事故の発生の情報も表示モニタ33に表示させることができる。これにより、タクシー事業者はタクシー車両の事故に対して適切な処理を迅速に行うことができる。通信装置32には不図示のマイクとスピーカとが設けられており、業務用無線装置2Aを通じてタクシー車両の運転者に音声で指示を与えたり、音声による報告を受けたりすることができる。
【0009】
制御局4は、無線電波の空きチャンネルを自動的に選出し、専用チャンネルとして各利用者に割り当てる。タクシー事業者は割り当てられたチャンネルの無線電波を使用してタクシー車両に搭載された業務用無線装置2Aと無線通信を行う。
【0010】
図2は、タクシー車両に搭載されるナビゲーション装置1Aを説明するための図である。このナビゲーション装置1Aは業務用無線装置2Aに接続している。ナビゲーション装置1Aは、制御回路11、ROM12、RAM13、現在地検出装置14、画像メモリ15、表示モニタ16、スピーカ17、入力装置18、タッチパネル19、タッチパネルコントロール部110およびデータ記憶装置111を有している。データ記憶装置111には、地図データが記憶されている。
【0011】
制御回路11は、マイクロプロセッサ及びその周辺回路からなり、RAM13を作業エリアとしてROM12に格納された制御プログラムを実行して各種の制御を行う。制御回路11は、データ記憶装置112に記憶された地図データに基づいて所定の経路探索処理を行う。そして、その処理結果を推奨経路として表示モニタ16に表示する。
【0012】
現在地検出装置14は、タクシー車両の現在地を検出する装置である。現在地検出装置14は、振動ジャイロ14a、車速センサ14b、GPS(Global Positioning System)センサ14cなどからなる。
【0013】
振動ジャイロ14aは、車両が旋回しているときの回転角速度を検出するセンサである。走行している車両が曲がったときの方位変化の角度は振動ジャイロ14aの出力を時間積分することによって算出される。
【0014】
車速センサ14bは、車両の駆動軸に設置され、駆動軸1回転あたり所定数のパルスを出力する。このパルス数を計測することによってタイヤの回転速度や回転数を検出し、車両の速度や走行距離を算出する。以下、このパルスを車速パルスと呼ぶ。
【0015】
GPSセンサ14cは、複数のGPS衛星から送信されるGPS信号を受信して、複数のGPS衛星の位置およびGPS衛星と車両との間の距離を算出して、車両の現在地を検出する。
【0016】
ナビゲーション装置1Aは、現在地検出装置14により検出された車両の現在地に基づいて、地図の表示範囲を決定したり、車両の現在地を示す自車位置マークを地図上に表示したりする。また、ナビゲーション装置1Aは、車速センサ14bから出力される車速パルスに基づいてタクシー車両の事故の発生を検出し、事故の発生を事業者用端末3に通報する。この事故発生の検出および通報の説明は後述する。
【0017】
画像メモリ15は、表示モニタ16に表示するための画像データを格納する。この画像データは地図描画用データや各種の図形データなどからなり、制御回路11によってデータ記憶装置112に記憶された地図データから適宜生成される。
【0018】
データ記憶装置111は、フラッシュメモリやハードディスクなどの書き換え可能な不揮発性記録媒体によって構成され、地図データを記憶する。地図データは地図表示用データや経路探索用データなどを含み、地図表示用データおよび経路探索用データは道路のリンク情報およびノード情報を含む。地図表示用データは、広域から詳細まで複数の縮尺の地図データを有し、これによりナビゲーション装置1はユーザの要求にしたがって表示モニタ16に表示された地図の縮尺を変更できる。
【0019】
表示モニタ16は、車両の現在地付近の地図やナビゲーション装置1Aの設定画面、そのほかの各種情報を表示する。スピーカ17は、入力操作の指示や経路案内などのための音声を出力する。入力装置18は、ユーザが各種コマンドの設定などのために操作される操作キーを有し、操作パネル上のボタンスイッチやパネル周囲のハードスイッチなどによって実現される。ユーザが、表示モニタ16に表示された画像による指示やスピーカ17からの音声指示にしたがって入力装置18を操作することにより、目的地が設定される。
【0020】
目的地がユーザによって設定されると、車両の現在地に経路探索の開始点および目的地に終了点が設定される。そして、開始点から終了点までの経路演算を所定のアルゴリズムに基づいて行う。このようにして求められた経路(以下、推奨経路という)は、表示形態、たとえば表示色などを変えることによって、ほかの道路とは区別して表示モニタ16に表示される。また、ナビゲーション装置1Aは、推奨経路にしたがって車両が走行できるようにするために画面や音声などによって進行方向を指示し、経路案内を行う。
【0021】
タッチパネル19は、表示モニタ16の表面に積層される透明のタッチスイッチである。タッチパネル19は、タッチパネル19上の操作位置に応じた信号をタッチパネルコントロール部110に送出する。タッチパネルコントロール部110はタッチパネル19の押圧位置を算出し、制御回路11に出力する。
【0022】
表示モニタ16に各種ボタンや表示メニューが表示されているとき、制御回路11は、タッチパネルコントロール部110から出力された押圧位置に基づいて押圧された各種ボタンや表示メニューを特定する。そして、制御回路11は押圧された各種ボタンや表示メニューに定義された処理を実行する。
【0023】
業務用無線装置2Aは、ナビゲーション装置1Aが出力した情報を無線電波を利用して事業者用端末3に送信したり、事業者用端末3から送信された情報を受信してナビゲーション装置1Aに出力したりする。また、業務用無線装置2Aには不図示のマイクおよびスピーカが設けられている。タクシー車両の運転者は、この不図示のマイクおよびスピーカを使用して事業者用端末3が設置されている指令局のオペレータへ音声で連絡したり、オペレータから配車の指示を音声で受けたりすることができる。
【0024】
次に、図3のフローチャートを参照して、本発明の第1の実施形態におけるナビゲーション装置1Aの事故発生の検出通報処理を説明する。図3の処理は、タクシー車両のイグニッションスイッチがオンされるとスタートするプログラムにより、制御回路11において実行される。
【0025】
ステップS101では、現在地検出装置14を使用して車両の現在地を検出する。このとき、車速センサ14bから出力される車速パルスが計測される。ステップS102では、車速パルスの変化率を算出する。ステップS103では、車速パルスの減少率が判定基準値以上であるか否かを判定する。判定基準値とは、タクシー車両の制動力では実現できない程大きな車速パルス減少率である。タクシー車両は、たとえば衝突事故を起こしたとき、タクシー車両の制動力では実現できない程大きな減速率で減速するので、車速パルスの減少率も大きくなる。したがって、ステップS103の車速パルス減少率の判定によりタクシー車両の事故の発生を検出することができる。車速パルスの減少率が判定基準値以上である場合はステップS103が肯定判定され、ステップS104へ進む。車速パルスの減少率が判定基準値より小さい場合はステップS103が否定判定され、ステップS101に戻る。
【0026】
ステップS104では、制御回路11は、図4に示す事故通報要否画面60を表示モニタ16に表示させる。図4に示すように、事故通報要否画面60は、表示モニタ16に表示されていた画面50に重ねて表示される。事故通報要否画面60には、「事故を通報しますか?」という、ユーザに対して事故の発生の通報の要否を問い合わせる文章とともに、YESボタン61とNOボタン62とが表示される。YESボタン61は通報要を入力するためのボタンであり、NOボタン62は通報否を入力するためのボタンである。
【0027】
図3のステップS105では、タッチパネルコントロール部110によって算出されたタッチパネル19の押圧位置に基づいて、事故通報要否画面60に表示されたYESボタン61が押圧されたか否かを判定する。YESボタン61が押圧された場合はステップS105が肯定判定され、ステップS106へ進む。YESボタン61が押圧されない場合はステップS105が否定判定され、ステップS107へ進む。
【0028】
ステップS106では、業務用無線装置2Aを使用して、タクシー車両の現在地と、タクシー車両のIDと、事故が発生した旨の情報とを事業者用端末3に通報する。タクシー車両のIDは、タクシー車両を特定するための番号であり、それぞれのタクシー車両に予め設定されている。
【0029】
事業者用端末3は、事故の発生の通報を受けると、表示モニタ33に表示されている地図に事故が発生したタクシー車両の位置を表示する。これにより、タクシー事業者は、消防署に連絡して事故が発生したタクシー車両の位置に救急車両を向かわせたり、別のタクシー車両に対して配車の指示を行ったりすることができる。
【0030】
図3のステップS107では、事故通報要否画面60に表示されたNOボタン62が押圧されたか否かを判定する。NOボタン62が押圧された場合はステップS107が肯定判定され、ステップS101に戻る。NOボタン62が押圧されない場合はステップS107が否定判定され、ステップS105に戻る。
【0031】
以上の第1の実施形態におけるナビゲーション装置1Aは次のような作用効果を奏する。
(1)車速センサ14bの車速パルスを用いてタクシー車両の事故の発生を検出し、タクシー車両の事故の発生が検出されたときにその事故を事業者用端末に通報するようにした。これにより、エアバックシステムの加速度センサを用いることなく、また事故検出用のセンサを別途設けることなく、タクシー車両の事故の発生を検出して通報することができる。
【0032】
(2)車速センサ14bから出力される車速パルスのパルス数の減少率が判定基準値以上のときに事故の発生を検出するようにした。これにより、事故の誤検出を防止してタクシー車両の事故を的確に検出することができる。
【0033】
(3)タクシー車両の事故の発生が検出されたとき、事業者用端末3への事故の通報の要否を入力するための事故通報要否画面60を表示モニタ16に表示し、事故の発生の通報要が入力されたときに事業者用端末3に対して事故を通報し、事故の発生の通報否が入力されたときに事業者用端末3に対して事故を通報しないようにした。これにより、ナビゲーション装置1Aが事業者用端末3へ誤って事故を通報してしまうのを防止することができる。
【0034】
以上の第1の実施形態のナビゲーション装置1Aを次のように変形することができる。
(1)タクシー車両の事故の発生を検出するために使用する信号は、タクシー車両の現在地を検出するために利用する信号であれば、車速センサ14bから出力される車速パルスに限定されない。たとえば、振動ジャイロ14aから出力される信号を利用してタクシー車両の事故の発生を検出するようにしてもよい。タクシー車両が衝突事故を起こすと、通常では検出されない回転角速度でタクシー車両が動くので、振動ジャイロ14aから出力される信号を利用して、振動ジャイロから出力される回転角速度が判定基準値以上のときにタクシー車両の事故を検出することができる。
【0035】
(2)業務用無線装置2Aを使用してタクシー車両の事故の発生を事業者用端末3に通報した。しかし、ナビゲーション装置1Aに通信装置が設けられている場合、ナビゲーション装置1Aの通信装置を使用してタクシー車両の事故の発生を事業者用端末3に通報するようにしてもよい。また、ナビゲーション装置1Aに携帯電話が接続されている場合、ナビゲーション装置1Aに接続されている携帯電話を使用してタクシー車両の事故の発生を事業者用端末3に通報するようにしてもよい。
【0036】
−第2の実施形態−
図5は、本発明の第2の実施形態における業務用車両管理システムを説明するための図である。図5の業務用車両管理システムは、第1の実施形態と同様に、タクシー事業者がタクシーを管理するためのシステムである。第2の実施形態における業務車両用管理システムは、タクシー車両に搭載された業務用無線装置2Bと、事業者用端末3とから主に構成される。業務用無線装置2Bから送信された情報は、制御局4を介して無線電波で事業者用端末3に送信される。
【0037】
業務用無線装置2Bの詳細については後述する。事業者用端末3および制御局4は、第1の実施形態における事業者用端末3および制御局4と同様のものであるので、その説明は省略する。
【0038】
図6は、タクシー車両に搭載される業務用無線装置2Bを説明するための図である。業務用無線装置2Bは、制御回路21、ROM22、RAM23、表示モニタ24、マイク25、スピーカ26、入力装置27、GPSセンサ28および通信装置29を有している。業務用無線装置2Bは、タクシー車両のスピードメータに使用されている車速センサ7と接続している。車速センサ7は、第1の実施形態における車速センサ14bと同様に車両の駆動軸に設置され、駆動軸1回転あたり所定数のパルスを出力する。このパルス数を計測することによってタイヤの回転速度を検出し、車両の速度を算出する。
【0039】
制御回路21は、マイクロプロセッサ及びその周辺回路からなり、RAM23を作業エリアとしてROM22に格納された制御プログラムを実行して各種の制御を行う。表示モニタ24は、事業者用端末3から送信されたメッセージを表示する。マイク25はタクシー車両の運転者の音声を入力する。スピーカ26は、事業者用端末3から送信された音声を出力する。
【0040】
入力装置27は、ボタンスイッチやハードスイッチなどによって構成され、操作されたボタンスイッチやハードスイッチなどに応じた信号を制御回路21に出力する。GPSセンサ28は、第1の実施形態のナビゲーション装置1AにおけるGPSセンサ14cと同様に、タクシー車両の現在地を検出する。通信装置29は、無線電波を利用して事業者用端末3に情報を送信したり、また事業者用端末3から送信された情報を受信したりする。
【0041】
タクシー車両の運転者は、第1の実施形態における業務用無線装置2Aと同様に、業務用無線装置2Bを使用して事業者用端末3が設置されている指令局のオペレータへ音声で連絡したり、オペレータから配車の指示を音声で受けたりすることができる。
【0042】
次に、図7のフローチャートを参照して、本発明の第2の実施形態における業務用無線装置2Bの事故発生の検出通報処理を説明する。図7の処理は、タクシー車両のイグニッションスイッチがオンされるとスタートするプログラムにより、制御回路21において実行される。第1の実施形態におけるナビゲーション装置1Aの事故発生の検出通報処理と同じステップには同じ符号を付し、第1の実施形態装置におけるナビゲーション装置1Aの事故発生の検出通報処理と異なる部分を主に説明する。
【0043】
ステップS103が肯定判定されると、ステップS201へ進む。ステップS201では、ユーザに対して事故の発生の通報の要否を問い合わせる文章を表示モニタ24に表示させる。ステップS202では、入力装置27から出力される信号に基づいて、入力装置27によって事故の発生の通報要の操作が行われたか否かを判定する。入力装置27によって事故の発生の通報要の操作が行われた場合はステップS202が肯定判定され、ステップS106へ進む。入力装置27によって事故の発生の通報要の操作が行われない場合はステップS202が否定判定され、ステップS203へ進む。
【0044】
ステップS203では、入力装置27から出力される信号に基づいて、入力装置27によって事故の発生の通報否の操作が行われたか否かを判定する。入力装置27によって事故の発生の通報否の操作が行われた場合はステップS203が肯定判定され、ステップS101に戻る。入力装置27によって事故の発生の通報否の操作が行われない場合はステップS203が否定判定され、ステップS202に戻る。
【0045】
以上の第2の実施形態における業務用無線装置2Bは、第1の実施形態におけるナビゲーション装置1Aの作用効果以外に次のような作用効果を奏する。
タクシー車両にナビゲーション装置が搭載されていなくてもタクシー車両の事故を検出して通報することができる。
【0046】
以上の第2の実施形態の業務用無線装置2Bを次のように変形することができる。
(1)タクシー車両の事故の発生を検出するために使用する信号は、ナビゲーション装置が車両に搭載されたときに利用する信号であれば、車速センサ7から出力される車速パルスに限定されない。たとえば、振動ジャイロから出力される信号を利用してタクシー車両の事故の発生を検出するようにしてもよい。振動ジャイロから出力される信号は、ナビゲーション装置に使用されるほか、4WS(4 Wheel Steering)制御に使用される。このため、ナビゲーション装置がタクシー車両に搭載されていなくても振動ジャイロは車両に搭載され、振動ジャイロから出力される信号を取得することはできる。
【0047】
(2)業務用無線装置2Bは携帯電話通信網を利用して事業者用端末3との間で情報を送受信できるようにしてもよい。
【0048】
−第3の実施形態−
図8は、本発明の第3の実施形態における業務用無線装置2Cを説明するための図である。業務用無線装置2Cは、制御回路21、ROM22、RAM23、表示モニタ24、マイク25、スピーカ26、入力装置27および通信装置29を有している。第2の実施形態における業務用無線装置2Bと異なり、第3の実施形態における業務用無線装置2Cには、GPSセンサ28は設けられていない。後述するナビゲーション装置1BからGPSセンサ14cからの信号を取得するからである。
【0049】
業務用無線装置2Cは、ナビゲーション装置1Bの車速センサ14bとGPSセンサ14cと接続している。これにより、業務用無線装置2Cは、車速センサ14bから出力される信号およびGPSセンサ14cから出力される信号を取得することができる。
【0050】
ナビゲーション装置1Bの構成は、第1の実施形態におけるナビゲーション装置1Aの構成と同じである。ただし、事故の発生の検出および通報は業務用無線装置2Cが行うので、ナビゲーション装置1Bは、第1の実施形態におけるナビゲーション装置1Aと異なりタクシー車両の事故を検出しない。
【0051】
上述したように、業務用無線装置2Cの構成は、GPSセンサ28を有しない点を除いて第2の実施形態における業務用無線装置2Bとほぼ同一である。したがって、業務用無線装置2Cの構成の説明は省略する。また、業務用無線装置2Bの事故発生の検出通報処理は、第2の実施形態における業務用無線装置2Bの事故発生の検出通報処理とほぼ同一であるので、業務用無線装置2Bの事故発生の検出通報処理の説明は省略する。
【0052】
以上の第3の実施形態における業務用無線装置2Bは、第1の実施形態におけるナビゲーション装置1Aの作用効果以外に次のような作用効果を奏する。
タクシー車両に搭載されたナビゲーション装置から車速センサ14bの信号やGPSセンサ14cの信号を取得するので、事故の発生を検出するために使用する信号を取り出すための配線作業が容易になる。
【0053】
以上の第3の実施形態の業務用無線装置2Cを次のように変形することができる。
業務用無線装置2Cは携帯電話通信網を利用して事業者用端末3との間で情報を送受信できるようにしてもよい。
【0054】
−変形例−
以上の第1〜3の実施形態を次のように変形することができる。
(1)タクシー事業者にタクシー車両の事故を通報できれば、事業者用端末3への事故の通報に限定されない。たとえば、タクシー事業者が運営するタクシー管理センタに通報するようにしてもよい。
【0055】
(2)業務用車両であればタクシー車両に限定されない。たとえば、本発明をバスやトラックなどの業務用車両に適用するようにしてもよい。
【0056】
実施形態と変形例の一つ、もしくは複数を組み合わせることも可能である。変形例同士をどのように組み合わせることも可能である。
【0057】
以上の説明はあくまで一例であり、発明は、上記の実施形態に何ら限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の第1の実施形態における業務用車両管理システムを説明するための図である。
【図2】本発明の第1の実施形態におけるナビゲーション装置の構成を説明するための図である。
【図3】本発明の第1の実施形態におけるナビゲーション装置の事故発生の検出通報処理を説明するためのフローチャートである。
【図4】本発明の第1の実施形態における事故通報要否画面を説明するための図である。
【図5】本発明の第2の実施形態における業務用車両管理システムを説明するための図である。
【図6】本発明の第2の実施形態における業務用無線装置の構成を説明するための図である。
【図7】本発明の第2の実施形態における業務用無線装置の事故発生の検出通報処理を説明するためのフローチャートである。
【図8】本発明の第3の実施形態における業務用無線装置の構成を説明するための図である。
【符号の説明】
【0059】
1A,1B ナビゲーション装置
2A〜2C 業務用無線装置
3 事業者用端末
4 制御局
11,21 制御回路
14 現在地検出装置
14a 振動ジャイロ
14b 車速センサ
14c,28 GPSセンサ
16,24,33 表示モニタ
17,26 スピーカ
18,27 入力装置
19 タッチパネル
25 マイク
31 コンピュータ
29,32 通信装置
110 タッチパネルコントロール部
22,111 通信装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
業務用車両の挙動を検出する検出器を少なくとも含み、前記業務用車両の現在地を検出する現在地検出手段と、
前記検出器の出力信号により前記業務用車両の事故の発生を検出する事故発生検出手段と、
前記事故発生検出手段によって前記業務用車両の事故の発生が検出されたとき、該事故の発生を事業者に通報する事故通報手段とを備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記検出器は車速センサであり、
前記事故発生検出手段は、前記車速センサから出力される車速パルスのパルス数の減少率が判定基準値以上のときに前記業務用車両の事故の発生を検出することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記検出器は振動ジャイロであり、
前記事故発生検出手段は、前記振動ジャイロから出力される回転角速度が判定基準値以上のとき、前記業務用車両の事故の発生を検出することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のナビゲーション装置において、
前記事故発生検出手段によって前記業務用車両の事故の発生が検出されたとき、前記事業者への事故の発生の通報の要否を入力するための画面を表示モニタに表示する要否入力画面表示手段と、
前記通報の要否を入力するための画面から、前記事業者への事故の発生の通報の要否を入力する入力手段とを備え、
前記事故通報手段は、前記入力手段によって通報要が入力されたとき前記事業者に前記事故の発生を通報し、前記入力手段によって通報否が入力されたとき前記事業者に前記事故の発生を通報しないことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
業務用車両に設けられた車速センサから車速パルスを取得し、前記車速パルスのパルス数の減少率が判定基準値以上のときに事故の発生を検出する事故発生検出手段と、
前記事故発生検出手段によって前記業務用車両の事故の発生が検出されたとき、該事故の発生を事業者に通報する事故通報手段とを備えることを特徴とする無線装置。
【請求項6】
請求項5に記載の無線装置において、
前記事故発生検出手段によって前記業務用車両の事故の発生が検出されたとき、前記事業者への事故の発生の通報の要否を入力するための画面を表示モニタに表示する要否入力画面表示手段と、
前記通報の要否を入力するための画面から、前記事業者への事故の発生の通報の要否を入力する入力手段とを備え、
前記事故通報手段は、前記入力手段によって通報要が入力されたとき前記事業者に前記事故の発生を通報し、前記入力手段によって通報否が入力されたとき前記事業者に前記事故の発生を通報しないことを特徴とする無線装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−108069(P2010−108069A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−276961(P2008−276961)
【出願日】平成20年10月28日(2008.10.28)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】