ナビゲーション装置及びレーン変更案内方法
【課題】レーン変更先の走行レーンにおける車両走行速度と自車両の走行速度との差が大きい場合であっても、運転者が安全にレーン変更を行うことが可能な「ナビゲーション装置およびレーン変更案内方法」を提供する。
【解決手段】経路案内すべき交差点から自車位置までの間に複数のレーンがある道路が含まれている場合であって、かつ、複数の走行レーンのうち互いに隣り合う各組の隣接走行レーンの中に車両走行速度の差分が所定値以上となる隣接走行レーンが存在する場合、通常のタイミングよりも経路案内のタイミングを早くするように制御することにより、レーン変更先の走行レーンにおける車両走行速度に自車両の走行速度を合わせるための距離を長く確保できるようにする。
【解決手段】経路案内すべき交差点から自車位置までの間に複数のレーンがある道路が含まれている場合であって、かつ、複数の走行レーンのうち互いに隣り合う各組の隣接走行レーンの中に車両走行速度の差分が所定値以上となる隣接走行レーンが存在する場合、通常のタイミングよりも経路案内のタイミングを早くするように制御することにより、レーン変更先の走行レーンにおける車両走行速度に自車両の走行速度を合わせるための距離を長く確保できるようにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置及びレーン変更案内方法に関し、例えば、誘導経路上に存在する経路案内すべき分岐点に自車両が近づくたびに、当該分岐点に関する経路案内を行うナビゲーション装置に用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、ナビゲーション装置では、自立航法センサやGPS(Global Positioning System)受信機等を用いて車両の現在位置を検出し、その近傍の地図データを記録媒体から読み出して画面上に表示する。そして、画面上の所定箇所に自車位置を示す車両位置マークを重ね合わせて表示することにより、車両が現在どこを走行しているのかを一目で分かるようにしている。
【0003】
また、最近のナビゲーション装置の殆どには、運転者が所望の目的地に向かって道路を間違うことなく容易に走行できるようにした経路誘導機能が搭載されている。この経路誘導機能では、地図データを用いて現在地から目的地までを結ぶ最もコストが小さな経路を自動探索し、その探索した経路を誘導経路として地図画面上で他の道路とは色を変えて太く描画する。また、車両が誘導経路上に存在する案内すべき分岐点の一定距離以内に近づいたときに、当該分岐点に関する経路案内を行うことにより、運転者を目的地まで案内するようになっている。
【0004】
なお、経路誘導機能に関連する技術として、右折すべき案内交差点の手前の右側レーンに渋滞が発生していることを検知した場合、通常よりタイミングを早めて右側レーンへの進路変更を案内する技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。また、複数車線道路の分岐点または出口付近の交通渋滞量の増加にしたがって、離脱許容区間の残数の通知を開始する位置を、分岐点または出口側から自車両の走行開始位置側に向かって変更することによって、複数車線道路の分岐点または出口付近の交通量が多くても、ユーザがより早期に特別車線からの離脱の機会を窺えるようにした技術が提案されている(例えば、特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−223531号公報
【特許文献2】特開2008−286671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、分岐点に関する経路案内によって、車両の運転者が隣接する走行レーンへのレーン変更が必要であることを知った場合でも、以下の理由によりレーン変更することが困難なときがある。つまり、道路状況によっては、レーン変更先の走行レーンにおける車両の走行速度と自車両の走行速度との差が大きい場合がある。この場合、経路案内が行われた現在位置から分岐点までの距離が十分でないと、レーン変更を行うためには、レーン変更先の走行レーンの走行速度まで自車両の走行速度を急に変更させなければならない。
【0007】
しかしながら、自車両の前後において十分な車間を置かずに他車両が走行している場合には自車両の車速を急に変更させることが難しく、レーン変更ができずに分岐点を通り過ぎてしまうことがあった。一方、無理に車速を変更してレーン変更を行おうとすると、周囲の車両の迷惑に繋がってしまうことがあった。さらに、自車両の走行速度を急に変更させると、自車両が前方の車両に追突してしまうおそれや後方の車両に追突されてしまうおそれがあるという別の問題も併せて発生してしまう。
【0008】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、レーン変更先の走行レーンにおける車両走行速度と自車両の走行速度との差が大きい場合であっても、運転者が安全にレーン変更を行うことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した課題を解決するために、本発明では、誘導経路上に存在する経路案内すべき分岐点から自車位置までの間に複数のレーンがある道路が含まれている場合、当該複数の走行レーンのうち互いに隣り合う各組の隣接走行レーンの少なくとも1組について、一方の走行レーンにおける車両走行速度と、他方の走行レーンにおける車両走行速度との差分を計算し、その差分が所定値以上となる隣接走行レーンの組が存在する場合、当該差分が前記所定値以上となる隣接走行レーンの組が存在しないときに比べて、分岐点に関する経路案内のタイミングを早くするように制御している。
【発明の効果】
【0010】
上記のように構成した本発明によれば、互いに隣り合う走行レーンにおける車両走行速度の差が大きい場合、経路案内が通常のタイミングより早いタイミングで行われる。そのため、運転者は、安全にレーン変更を行うため、レーン変更先の走行レーンにおける車両走行速度に自車両の走行速度を合わせるための時間を長く確保することができる。その結果、運転者は、経路案内に係る分岐点の直前においてレーン変更を行うために急な速度変更を行うことを回避でき、安全にレーン変更を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施形態によるナビゲーション装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】第1の実施形態による経路案内の例を示す図である。
【図3】第1の実施形態によるナビゲーション装置の動作例を示すフローチャートである。
【図4】第1の実施形態によるナビゲーション装置の構成の変形例を示すブロック図である。
【図5】第2の実施形態によるナビゲーション装置の構成例を示すブロック図である。
【図6】第2の実施形態による経路案内の例を示す図である。
【図7】第2の実施形態によるナビゲーション装置の動作例を示すフローチャートである。
【図8】第1および第2の実施形態によるナビゲーション装置の構成の変形例を示すブロック図である。
【図9】第1および第2の実施形態によるナビゲーション装置の構成の変形例を示すブロック図である。
【図10】第1および第2の実施形態によるナビゲーション装置の構成の変形例を示すブロック図である。
【図11】第1および第2の実施形態によるナビゲーション装置の構成の変形例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の第1の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、第1の実施形態によるナビゲーション装置100の構成例を示すブロック図である。図1において、11はDVD−ROM等の記録媒体であり、地図表示や経路探索等に必要な各種の地図データを記憶している。地図データには、マップマッチングや経路探索等の各種の処理に必要な道路ユニットのデータが含まれている。道路ユニットは、交差点や分岐など、複数の道路が交わる点に対応するノードに関する情報と、道路上のあるノードとこれに隣接する他のノードとの間を接続する、道路や車線等に対応するリンクに関する情報とを含んでいる。なお、ここでは地図データを記憶する記録媒体としてDVD−ROM11を用いているが、CD−ROM、ハードディスク、半導体メモリ等の他の記録媒体を用いても良い。
【0013】
12は車両の現在位置を所定間隔毎に検出する車両位置検出部であり、自立航法センサ、GPS受信機、位置計算用CPU等で構成されている。自立航法センサは、所定走行距離毎に1個のパルスを出力して車両の移動距離を検出する車速センサ(距離センサ)と、車両の回転角度(移動方位)を検出する振動ジャイロ等の角速度センサ(相対方位センサ)とを含む。自立航法センサは、これらの車速センサおよび角速度センサによって車両の相対位置および方位を検出する。
【0014】
位置計算用CPUは、自立航法センサから出力される自車両の相対的な位置および方位のデータに基づいて、絶対的な自車装置(推定車両位置)および車両方位を計算する。また、GPS受信機は、複数のGPS衛星から送られてくる電波をGPSアンテナで受信して、3次元測位処理あるいは2次元測位処理を行って車両の絶対位置および方位を計算する(車両方位は、現時点における自車位置と1サンプリング時間ΔT前の自車位置とに基づいて計算する)。
【0015】
13はDVD−ROM制御部であり、DVD−ROM11からの地図データの読み出しを制御する。14は地図データ記憶部であり、DVD−ROM制御部13の制御によってDVD−ROM11から読み出された地図データを一時的に格納する。すなわち、DVD−ROM制御部13は、車両位置検出部12から車両現在位置の情報を入力し、その車両現在位置を含む所定範囲の地図データの読み出し指示を出力することにより、地図表示や誘導経路の探索に必要な地図データをDVD−ROM11から読み出して地図データ記憶部14に格納する。
【0016】
15はリモコン、タッチパネルまたは操作スイッチ等の操作部であり、ユーザがナビゲーション装置100に対して各種の情報(例えば、経路誘導の目的地や経由地)を設定したり、各種の操作(例えば、メニュー選択操作、地図の拡大/縮小操作、手動地図スクロール、数値入力など)を行ったりするためのものである。
【0017】
16は目的地設定部であり、ディスプレイ17に表示されている目的地設定用の操作画面において、ユーザによる操作部15の操作を介して指定された地点を目的地として設定する。そして、目的地設定部16は、設定した目的地を示す目的地情報を誘導経路探索部18に出力する。
【0018】
誘導経路探索部18は、地図データ記憶部14に記憶されている地図データに基づいて、車両位置検出部12により検出された自車位置から、目的地設定部16により設定された目的地までの誘導経路を探索する。19は誘導経路メモリであり、誘導経路探索部18により誘導経路が探索された場合、その探索された誘導経路のデータ(現在位置から目的地に至るまでの道路リンクの集合)を誘導経路情報として一時的に格納する。
【0019】
20は地図表示制御部であり、車両位置検出部12により検出された自車位置情報と、地図データ記憶部14に記憶されている地図データとに基づいて自車位置周辺の地図画像データを生成する。そして、地図表示制御部20は、生成した地図画像データをディスプレイ17に出力することにより、自車位置周辺の地図画像をディスプレイ17に表示させる。
【0020】
21は誘導経路案内部であり、誘導経路探索部18により誘導経路が探索された場合、車両位置検出部12により検出された自車位置情報と、地図データ記憶部14に記憶されている地図データと、誘導経路メモリ19に格納された誘導経路情報とに基づいて誘導経路案内を行う。具体的には、誘導経路案内部21は、ディスプレイ17に対して、地図表示制御部20により生成された地図画像に重ねて誘導経路を他の道路とは異なる色で太く表示することにより、誘導経路の目的地までの走行案内を行う。また、誘導経路案内部21は、誘導経路上に存在する経路案内すべき交差点や分岐点(以下、案内交差点という)に自車両が近づくたびに、当該案内交差点に関する経路案内を行う。
【0021】
22は渋滞情報取得部であり、例えばVICS受信機(FM多重放送受信機)を用いて、自車両が現在走行している道路の走行レーン毎の渋滞情報を取得する。渋滞情報は、現在走行している道路における走行レーン毎の車両走行速度[km/h]を情報として含んでいる。渋滞情報取得部22は、取得した渋滞情報を差分計算部23に出力する。
【0022】
差分計算部23は、渋滞情報取得部22から出力された渋滞情報に基づいて、案内交差点から自車位置までの間の道路に含まれている複数の走行レーンの中で互いに隣り合う各組の隣接走行レーンについて、一方の走行レーンにおける車両走行速度と、他方の走行レーンにおける車両走行速度との差分を計算する。そして、差分計算部23は、計算した差分を示す差分情報をタイミング制御部24に出力する。
【0023】
タイミング制御部24は、差分計算部23から出力された差分情報に基づいて、差分が所定値(例えば、20[km/h])以上となる隣接走行レーンが存在するか否かについて判定する。もし、差分が所定値以上となる隣接走行レーンが存在すると判定した場合、タイミング制御部24は、誘導経路案内部21による案内交差点に関する経路案内のタイミングを通常の経路案内のタイミングと比べて、どれくらいの時間だけ早くするか(以下、案内前倒し時間という)を計算する。ここで、通常の経路案内のタイミングとは、例えば、隣接走行レーンにおける車両走行速度の差が小さいと仮定した場合(例えば、車両走行速度の差が20[km/h]未満である場合)、その速度差だけ自車両の走行速度を変更して案内交差点までに安全にレーン変更を行うのに必要な距離だけ案内交差点から遡った地点に自車両が到達するタイミングであるとする。
【0024】
具体的には、タイミング制御部24は、隣接走行レーンの全組について、レーン変更先の走行レーンにおける車両走行速度に自車両の走行速度を合わせて安全にレーン変更を行うために必要な時間を計算する。そして、タイミング制御部24は、隣接走行レーンの各組について計算した時間を合計し、その合計値を案内前倒し時間とする。
【0025】
ところで、運転手がアクセルまたはブレーキを踏んでその効果が出るまでの時間は、約1秒と言われている。また、車両を安全に加速または減速させるためには、1秒間に14.4[km]で加速または減速するのが好ましいと言われている。そこで、タイミング制御部24は、隣接走行レーンにおける車両走行速度の差分をA[km/h]として、レーン変更先の走行レーンにおける車両走行速度に自車両の走行速度を合わせて安全にレーン変更を行うために必要な時間T[s]を次の(式1)を用いて計算する。
T=1+(A/14.4) ・・・(式1)
タイミング制御部24は、各組の隣接走行レーンについて時間Tを計算し、その計算した時間Tをすべて和算した時間を案内前倒し時間とする。タイミング制御部24は、この案内前倒し時間を示すタイミング情報を誘導経路案内部21に出力する。
【0026】
誘導経路案内部21は、タイミング制御部24からタイミング情報を入力した場合、案内交差点に関する経路案内のタイミングを通常の経路案内のタイミングと比べて、タイミング制御部24から出力されたタイミング情報により示される案内前倒し時間だけ早くするように経路案内設定の変更を行う。具体的には、現在の自車両の走行速度で走行し続けたと仮定して通常のタイミングで経路案内が行われる地点までの到達時間を予測する。そして、予測した到達時間から案内前倒し時間だけ前に遡った時間に経路案内を行うように設定する。または、現在の自車両の走行速度で走行し続けたと仮定し、通常のタイミングで経路案内が行われる地点から走行速度と案内前倒し時間とを乗算した結果得られる距離だけ前に戻った地点に自車両が到達した時点で経路案内を行うように設定する。誘導経路案内部21は、設定したタイミングになったら経路案内を行う。なお、誘導経路案内部21は、経路案内のタイミングを変えない場合、通常のタイミングで経路案内を行う。
【0027】
ここで、誘導経路案内部21、差分計算部23、タイミング制御部24の動作をもう少し詳しく説明する。図2は、第1の実施形態によるナビゲーション装置100が行う経路案内の例を示す図である。図2に示すように、ナビゲーション装置100を搭載した自車両200や他の車両300a〜300nが一般道路を走行している。この一般道路は、5つの一般レーン320,322,324,326,328を含む。自車両200は、一番左の走行レーン320を走行している。一番右の走行レーン328は、右折待ちの車両が続いている。
【0028】
符号340で示す地点は、自車両200が誘導経路に沿って一般道路の交差点で右折する場合、ナビゲーション装置100が経路案内を通常行う地点である。符号400で示す軌跡は、地点340において経路案内が行われた後において、レーン変更先である一番右の目的走行レーンに進行する自車両200の走行軌跡である。符号360で示す地点は、案内交差点から所定距離の地点である。ここで、所定距離は、隣接走行レーンにおける車両走行速度の差が最大に大きいと仮定した場合(例えば、車両走行速度の差が40[km/h]である場合)、その速度差だけ自車両の走行速度を変更して案内交差点までに安全にレーン変更を行うのに必要な距離だけ通常の経路案内が行われる地点より後方の地点から案内交差点までの距離である。符号380で示す地点は、自車両200が誘導経路に沿って一般道路の交差点で右折する場合、ナビゲーション装置100が実際に経路案内を行う地点である。符号420で示す軌跡は、地点380において経路案内が行われた後において、レーン変更先である一番右の目的走行レーンに進行する自車両200の走行軌跡である。
【0029】
ナビゲーション装置100の誘導経路案内部21は、自車両が目的地へ向かって誘導経路上の一般道路を走行している場合、地図データ記憶部14からの地図データと、車両位置検出部12からの自車位置情報と、誘導経路メモリ19からの誘導経路情報とに基づいて、次の案内交差点から所定距離以内に自車位置が入った(つまり、車両200が案内交差点から所定距離の地点360に到達した)か否かについて判定する。
【0030】
もし、次の案内交差点から所定距離以内に自車位置が入ったと判定した場合、誘導経路案内部21は、地図データ記憶部14からの地図データと、車両位置検出部12からの自車位置情報と、誘導経路メモリ19からの誘導経路情報とに基づいて、当該案内交差点から自車位置までの間に複数の走行レーンがある道路が含まれているか否かについて判定する。もし、複数の走行レーンがある道路が含まれていると判定した場合、誘導経路案内部21はその旨を差分計算部23に通知する。
【0031】
差分計算部23は、誘導経路案内部21からの通知を受けた後、渋滞情報取得部22から出力された渋滞情報に基づいて、案内交差点から自車位置までの道路に含まれている5つの走行レーンのそれぞれについて車両走行速度を特定する。ここでは一例として、各走行レーン320,322,324,326,328における車両走行速度がそれぞれ50[km/h],45[km/h],30[km/h],40[km/h],15[km/h]であるものとする。
【0032】
次に、差分計算部23は、各組の隣接走行レーンについて、一方の走行レーンにおける車両走行速度と、他方の走行レーンにおける車両走行速度との差分を計算する。図2の例では、差分計算部23は、各組の隣接走行レーンについて、走行速度の差分を5(=|50−45|)[km/h]、15(=|45−30|)[km/h]、10(=|30−40|)[km/h]、25(=|40−15|)[km/h]として計算する。そして、差分計算部23は、計算した走行速度の差分を示す差分情報をタイミング制御部24に出力する。
【0033】
タイミング制御部24は、差分計算部23から出力された差分情報に基づいて、差分計算部23により差分が所定値(例えば、20[km/h])以上となる隣接走行レーンの組が存在するか否かについて判定する。図2の例では、差分が所定値以上となる隣接走行レーンの組(一番右とその左)が1組存在すると判定する。この場合、タイミング制御部24は、案内前倒し時間を計算する。図2の例では、タイミング制御部24は、案内前倒し時間を約7.82(=(1+5/14.4)+(1+15/14.4)+(1+10/14.4)+(1+25/14.4))[s]と計算する。
【0034】
そして、タイミング制御部24は、計算した案内前倒し時間を示すタイミング情報を誘導経路案内部21に出力する。誘導経路案内部21は、案内交差点に関する経路案内のタイミングを通常の経路案内のタイミングと比べて、タイミング制御部24から出力されたタイミング情報により示される案内前倒し時間だけ早くするように経路案内設定の変更を行う。通常のタイミングより案内前倒し時間だけ早くした結果、符合380で示す地点で経路案内が行われる。
【0035】
次に、第1の実施形態におけるナビゲーション装置100の動作について説明する。図3は、自車両が目的地へ向かって誘導経路上の一般道路を走行している場合におけるナビゲーション装置100の動作例を示すフローチャートである。図3のフローチャートは、誘導経路を設定した後、目的地に向かって走行を開始したときにスタートする。
【0036】
まず、誘導経路案内部21は、地図データ記憶部14からの地図データと、車両位置検出部12からの自車位置情報と、誘導経路メモリ19からの誘導経路情報とに基づいて、次の案内交差点から所定距離以内に自車位置が入ったか否かについて判定する(ステップS100)。もし、案内交差点から所定距離以内に自車位置が入っていないと誘導経路案内部21にて判定した場合(ステップS100にてNO)、処理はステップS300に遷移する。
【0037】
一方、案内交差点から所定距離以内に自車位置が入ったと誘導経路案内部21にて判定した場合(ステップS100にてYES)、誘導経路案内部21は、地図データ記憶部14からの地図データと、車両位置検出部12からの自車位置情報と、誘導経路メモリ19からの誘導経路情報とに基づいて、当該案内交差点から自車位置までの間に複数の走行レーンがある道路が含まれているか否かについて判定する(ステップS120)。もし、複数の走行レーンがある道路が含まれていないと誘導経路案内部21にて判定した場合(ステップS120にてNO)、誘導経路案内部21は、通常の経路案内のタイミングになったか否かについて判定する(ステップS260)。
【0038】
もし、通常の経路案内のタイミングになっていないと誘導経路案内部21にて判定した場合(ステップS260にてNO)、処理はステップS260に遷移する。一方、通常の経路案内のタイミングになったと誘導経路案内部21にて判定した場合(ステップS260にてYES)、誘導経路案内部21は、案内交差点に関する経路案内を行う(ステップS280)その後、処理はステップS300に遷移する。
【0039】
一方、複数の走行レーンがある道路が含まれていると誘導経路案内部21にて判定した場合(ステップS120にてYES)、差分計算部23は、渋滞情報取得部22から出力された渋滞情報に基づいて、案内交差点から自車位置までの間の道路に含まれている複数の走行レーンの中で互いに隣り合う各組の隣接走行レーンについて、一方の走行レーンにおける車両走行速度と、他方の走行レーンにおける車両走行速度との差分を計算する(ステップS140)。そして、差分計算部23は、計算した差分を示す差分情報をタイミング制御部24に出力する。
【0040】
次に、タイミング制御部24は、差分計算部23から出力された差分情報に基づいて、差分が所定値(例えば、20[km/h])以上となる隣接走行レーンが存在するか否かについて判定する(ステップS160)。もし、差分が所定値以上となる隣接走行レーンが1組も存在しないとタイミング制御部24にて判定した場合(ステップS160にてNO)、処理はステップS260に遷移する。
【0041】
一方、差分が所定値以上となる隣接走行レーンが少なくとも1組は存在するとタイミング制御部24にて判定した場合(ステップS160にてYES)、タイミング制御部24は、案内前倒し時間を計算する(ステップS180)。タイミング制御部24は、この案内前倒し時間を示すタイミング情報を誘導経路案内部21に出力する。次に、誘導経路案内部21は、案内交差点に関する経路案内のタイミングを通常の経路案内のタイミングと比べて、タイミング制御部24から出力されたタイミング情報により示される案内前倒し時間だけ早くするように経路案内設定の変更を行う(ステップS200)。
【0042】
次に、誘導経路案内部21は、変更した経路案内のタイミングになったか否かについて判定する(ステップS220)。もし、変更した経路案内のタイミングになっていないと誘導経路案内部21にて判定した場合(ステップS220にてNO)、処理はステップS220に遷移する。一方、変更した経路案内のタイミングになったと誘導経路案内部21にて判定した場合(ステップS220にてYES)、誘導経路案内部21は、案内交差点に関する経路案内を行う(ステップS240)。その後、処理はステップS300に遷移する。
【0043】
ステップS300では、誘導経路案内部21は、地図データ記憶部14からの地図データと、車両位置検出部12からの自車位置情報と、誘導経路メモリ19からの誘導経路情報とに基づいて、自車両が目的地に到着したか否かについて判定する。もし、自車両が目的地に到着していないと誘導経路案内部21にて判定した場合(ステップS300にてNO)、処理はステップS100に遷移する。一方、自車両が目的地に到着したと誘導経路案内部21にて判定した場合(ステップS300にてYES)、ナビゲーション装置100は図3における処理を終了する。
【0044】
以上詳しく説明したように、第1の実施形態では、誘導経路上に存在する案内交差点から自車位置までの間に複数のレーンがある道路が含まれている場合、各組の隣接走行レーンについて車両走行速度の差分を計算し、その差分が所定値以上となる隣接走行レーンが存在する場合には、通常の案内タイミングと比べて経路案内のタイミングを早くするようにしている。
【0045】
このように構成した第1の実施形態によれば、互いに隣り合う走行レーンにおける車両走行速度の差が大きい場合、経路案内が通常のタイミングより早いタイミングで行われる。そのため、運転者は、安全にレーン変更を行うため、レーン変更先の走行レーンにおける車両走行速度に自車両の走行速度を合わせるための時間を長く確保することができる。その結果、運転者は、経路案内に係る交差点の直前においてレーン変更を行うために急な速度変更を行うことを回避でき、安全にレーン変更を行うことができる。
【0046】
また、第1の実施形態では、レーン変更先の走行レーンにおける車両走行速度に自車両の走行速度を合わせて安全にレーン変更を行うために必要な時間を(式1)を用いて計算しているため、単純に所定の時間を案内前倒し時間とする場合と比べて、経路案内のタイミングを早すぎず遅すぎずの適切なタイミングに変更することができる。
【0047】
なお、上記第1の実施形態では、差分計算部23により計算された差分をすべて使用して(式1)により案内前倒し時間を計算する例について説明したが、案内前倒し時間を計算する方法はこれに限定されない。例えば、差分計算部23により計算された差分が所定値以上となる隣接走行レーンが存在する場合、各組の隣接走行レーンについての差分をすべて使用するのではなく、所定値以上の差分だけを使用して案内前倒し時間を計算するようにしても良い。このようにすれば、レーン変更先の走行レーンにおける車両走行速度に自車両の走行速度を合わせるための時間を長く確保することがそこまで必要でない隣接走行レーンについての差分を使用することにより経路案内のタイミングが不必要に早いタイミングに変更されてしまう可能性を回避することができる。
【0048】
また、上記第1の実施形態では、誘導経路上に存在する案内交差点が一般道路の交差点である例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、案内交差点は、誘導経路上に存在する高速道路の出口であっても良い。
【0049】
また、上記第1の実施形態では、案内交差点から自車位置までの道路に含まれている隣接走行レーンの全組について車両走行速度の差分を計算する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、全組の隣接走行レーンのうち、自車両が走行している走行レーンと、最終的なレーン変更先である目的走行レーンとの間にある隣接走行レーンの各組についてのみの差分を計算するようにしても良い。このようにすれば、レーン変更先の走行レーンにおける車両走行速度に自車両の走行速度を合わせるための時間を長く確保することが実質的に不要な隣接走行レーンについての差分を使用することにより経路案内のタイミングが不必要に早いタイミングに変更されてしまう可能性を回避することができる。この場合においても、計算した差分を全て使用して案内前倒し時間を計算しても良いし、所定値以上の差分だけを使用しても良い。
【0050】
図4は、この場合におけるナビゲーション装置100の構成例を示すブロック図である。図4に示すように、25は走行レーン特定部であり、車両周囲の画像をカメラ26でとらえ、その画像を解析することで全車線のレーンマークを検出し、地図データ記憶部14からの地図データと、車両位置検出部12からの自車位置情報と、検出したレーンマークとに基づいて自車両が現在走行している走行レーン(以下、自車走行中レーンという)を特定する。走行レーン特定部25は、特定した自車走行中レーンを示す走行中レーン情報を差分計算部23に出力する。
【0051】
差分計算部23は、渋滞情報取得部22から出力された渋滞情報と、走行レーン特定部25から出力された走行中レーン情報とに基づいて、全組の隣接走行レーンのうち、自車両が走行している走行レーンと、最終的なレーン変更先である目的走行レーンとの間にある隣接走行レーンの各組についてのみ車両走行速度の差分を計算する。なお、走行レーン特定部25は、カメラ26により撮影された画像の解析に代えて、高精度のGPSセンサを使用して自車位置を精度よく検出し、検出結果に基づいて自車走行中レーンを特定するようにしても良い。
【0052】
また、上記第1の実施形態では、差分計算部23により計算された差分が所定値以上となる隣接走行レーンが少なくとも1つ存在する場合、経路案内のタイミングを早くする例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、差分計算部23により計算された差分が所定値以上となる隣接走行レーンが複数存在する場合に限り、経路案内のタイミングを早くするようにしても良い。このようにすれば、レーン変更することの困難度合いがそれほど大きくない場合、経路案内のタイミングが不必要に早いタイミングに変更されてしまうことを回避することができる。
【0053】
次に、本発明の第2の実施形態を図面に基づいて説明する。まず、第2の実施形態が適用される場面について説明する。米国の大都市の高速道路(フリーウェイ)で見かけられる道路システムの1つにHOVレーン(High Occupancy Vehicle Lanes)がある。このHOVレーンは、車両走行台数の減少を目的とし、相乗り推奨のために設けられたものである。具体的には、乗員が複数の場合にのみ走行可能で、乗員が単独の場合には走行が規制される。米国では、運転者以外の搭乗者がいない車両の割合が高いため、このHOVレーンは一般レーンに比べて空いており、2人以上の搭乗者がいる車両は、このHOVレーンを走行することにより走行時間の大幅な短縮を図ることができる。
【0054】
一般レーンとHOVレーンとの間での相互進入(つまり一方から離脱して他方へ進入すること)は、HOVレーン変更可能区域においてのみ許可されている。また、高速道路から一般道路への出口は一般レーンにのみ接続されている。そのため、高速道路の出口(分岐点)から一般道路へ退出する場合には、HOVレーンから離脱して一般レーンへ進入する必要がある。
【0055】
ところで、HOVレーンを走行中の車両の運転者が経路案内によって高速道路の出口に近づいたことを知った場合でも、以下の問題によりHOVレーンから一般レーンへレーン変更することが困難なときがある。つまり、HOVレーンは一般レーンに比べて混雑することが少ないため、道路状況によっては、レーン変更先の一般レーンにおける車両走行速度と、自車両が走行しているHOVレーンにおける車両走行速度との差が大きい場合がある。この場合、レーン変更先の一般レーンの走行速度まで自車両の走行速度を急に変更させなければならないため、レーン変更を行うことが難しくなる。第2の実施形態によるナビゲーション装置100′による経路案内は、HOVレーンを含む高速道路を走行中のときに適用される。
【0056】
図5は、第2の実施形態によるナビゲーション装置100′の構成例を示すブロック図である。図5に示すように、ナビゲーション装置100′は、その機能構成として、図4の誘導経路案内部21、差分計算部23およびタイミング制御部24の代わりに、誘導経路案内部21′、差分計算部23′およびタイミング制御部24′をそれぞれ備えている。また、タイミング制御部24′は、所要距離算出部27を備えている。なお、この図5において、図1に示した符号と同一の符号を付したものは同一の機能を有するものであるので、ここでは重複する説明を省略する。
【0057】
誘導経路案内部21′は、誘導経路探索部18により誘導経路が探索された場合、車両位置検出部12により検出された自車位置情報と、地図データ記憶部14に記憶されている地図データと、誘導経路メモリ19に格納された誘導経路情報とに基づいて誘導経路案内を行う。具体的には、誘導経路案内部21′は、ディスプレイ17に対して、地図表示制御部20により生成された地図画像に重ねて誘導経路を他の道路とは異なる色で太く表示することにより、誘導経路の目的地までの走行案内を行う。
【0058】
また、誘導経路案内部21′は、自車両が目的地へ向かって誘導経路上の高速道路を走行している場合、地図データ記憶部14からの地図データと、車両位置検出部12からの自車位置情報と、誘導経路メモリ19からの誘導経路情報とに基づいて、経路案内すべき次の高速道路の出口(分岐点)を基準にして所定条件を満たす地点に自車位置が到達したか否かについて判定する。ここで、所定条件を満たす地点は、高速道路の出口の手前に存在し出口に最も近いHOVレーン変更可能区域より1つ前のHOVレーン変更可能区域の開始地点より一定距離手前の地点である。
【0059】
もし、経路案内すべき次の高速道路の出口(分岐点)を基準にして所定条件を満たす地点に自車位置が到達したと判定した場合、誘導経路案内部21′は、地図データ記憶部14からの地図データと、車両位置検出部12からの自車位置情報と、誘導経路メモリ19からの誘導経路情報とに基づいて、高速道路の出口から自車位置までの間に複数の走行レーンがある道路が含まれているか否かについて判定する。もし、複数の走行レーンがある道路が含まれていると判定した場合、誘導経路案内部21′はその旨を差分計算部23′に通知する。
【0060】
差分計算部23′は、複数の走行レーンがある道路が含まれている旨の通知を誘導経路案内部21′から受けた場合、地図データ記憶部14からの地図データと、車両位置検出部12からの自車位置情報と、走行レーン特定部25から出力された走行中レーン情報とに基づいて、自車両がHOVレーンを現在走行しているか否かについて判定する。
【0061】
もし、自車両がHOVレーンを現在走行していると判定した場合、差分計算部23′は、渋滞情報取得部22から出力された渋滞情報に基づいて、高速道路の出口から自車位置までの道路に含まれている複数の走行レーンの中で互いに隣り合う各組の隣接走行レーンについて、一方の走行レーンにおける車両走行速度と、他方の走行レーンにおける車両走行速度との差分を計算し、計算した差分を示す差分情報をタイミング制御部24′に出力する。
【0062】
タイミング制御部24′は、差分計算部23′から出力された差分情報に基づいて、差分が所定値(例えば、30[km/h])以上となる隣接走行レーンが存在するか否かについて判定する。もし、差分が所定値以上となる隣接走行レーンが少なくとも1組存在するとタイミング制御部24′にて判定した場合、所要距離算出部27は、自車両が走行しているHOVレーンから最終的なレーン変更先である目的走行レーン(出口ランプ)へ安全にレーン変更するために必要な距離をレーン変更所要距離として算出する。
【0063】
具体的には、所要距離算出部27は、各組の隣接走行レーンについて、レーン変更先の走行レーンにおける車両走行速度に自車両の走行速度を合わせて安全にレーン変更を行うために必要な距離を計算する。すなわち、所要距離算出部27は、隣接走行レーンにおける車両走行速度の差分をA[km/h]、レーン変更先の走行レーンにおける車両走行速度をV[km/h]として、安全にレーン変更を行うために必要な距離X[km]を次の(式2)を用いて計算する。
X=V×(1+(A/14.4))・・・・(式2)
所要距離算出部27は、各組の隣接走行レーンについて距離Xを計算し、その計算した距離Xを全て和算してレーン変更所要距離とする。
【0064】
タイミング制御部24′は、高速道路の出口に最も近いHOVレーン変更可能区域の開始地点から高速道路の出口までの距離が、所要距離算出部27により計算されたレーン変更所要距離より大きいか否かについて判定する。もし、レーン変更所要距離より大きくないと判定した場合、タイミング制御部24′は、誘導経路案内部21′による出口に関する経路案内のタイミングを変更する旨の要求信号を誘導経路案内部21′に出力する。誘導経路案内部21′は、タイミング制御部24′からの要求信号を受けて、高速道路の出口の手前に存在し当該高速道路の出口に最も近いHOVレーン変更可能区域から自車位置までの間に存在する別のHOVレーン変更可能区域の開始地点より一定距離手前の地点に自車両が到達するタイミングで経路案内を行うように設定を変更する。
【0065】
一方、高速道路の出口に最も近いHOVレーン変更可能区域の開始地点から高速道路の出口までの距離がレーン変更所要距離より大きいと判定した場合、タイミング制御部24′は、第1の実施形態で説明した手法で案内前倒し時間を計算する。そして、タイミング制御部24′は、計算した案内前倒し時間を示すタイミング情報を誘導経路案内部21′に出力する。誘導経路案内部21′は、タイミング制御部24′からタイミング情報を入力した場合、高速道路の出口に関する経路案内のタイミングを通常の経路案内のタイミングと比べて、タイミング制御部24′から出力されたタイミング情報により示される案内前倒し時間だけ早くするように設定の変更を行う。ここで、通常の経路案内のタイミングは、高速道路の出口の手前に存在し出口に最も近いHOVレーン変更可能区域の開始地点より一定距離手前の地点に自車両が到達するタイミングである。
【0066】
次に、ナビゲーション装置100′を搭載した自車両が誘導経路に沿って高速道路の出口から一般道路へ退出する場合において、第2の実施形態によるナビゲーション装置100′が経路案内を行う際の動作を説明する。図6は、第2の実施形態によるナビゲーション装置100′が行う経路案内の例を示す図である。
【0067】
図6に示すように、ナビゲーション装置100′を搭載した自車両500や他の車両600a〜600vが高速道路を走行している。この高速道路は、1つのHOVレーン700と4つの一般レーン702,704,706,708と出口ランプ710とを含む。自車両500は、HOVレーン700を走行している。
【0068】
符号620a,620bで示す区間は、HOVレーン700と一般レーン702との間での相互進入が許可されているレーン変更可能領域である。符号640で示す地点は、高速道路の出口であり、誘導経路上に存在する経路案内すべき分岐点である。符号で示す地点660は、自車両500が誘導経路に沿って高速道路の出口640から一般道路へ退出する場合、ナビゲーション装置100′が案内を通常行う地点である。符号680で示す地点は、経路案内すべき次の高速道路の出口640を基準にして所定条件を満たす地点である。符号720で示す地点は、自車両500が誘導経路に沿って高速道路の出口640から一般道路へ退出する場合、出口640に最も近いHOVレーン変更可能区域620aの開始地点から出口640までの距離がレーン変更所要距離より大きいとき、ナビゲーション装置100′が実際に経路案内を行う地点である。
【0069】
符号740で示す地点は、自車両500が誘導経路に沿って高速道路の出口640から一般道路へ退出する場合、出口640に最も近いHOVレーン変更可能区域620aの開始地点から出口640までの距離がレーン変更所要距離より大きくないとき、ナビゲーション装置100′が実際に経路案内を行う地点である。符号760で示す軌跡は、地点740において経路案内が行われた後において、レーン変更先である一番右の目的走行レーンに進行する自車両500の走行軌跡である。符号780で示す軌跡は、地点720において経路案内が行われた後において、レーン変更先である一番右の目的走行レーンに進行する自車両500の走行軌跡である。
【0070】
車両500が高速道路の地点680に到達したときに、ナビゲーション装置100′の差分計算部23′は、渋滞情報取得部22から出力された渋滞情報に基づいて、高速道路の出口から自車位置までの間の道路に含まれている複数の走行レーンのそれぞれについて車両走行速度を特定する。次に、差分計算部23′は、各組の隣接走行レーンについて、一方の走行レーンにおける車両走行速度と、他方の走行レーンにおける車両走行速度との差分を計算する。そして、差分計算部23′は、計算した差分を示す差分情報をタイミング制御部24′に出力する。
【0071】
タイミング制御部24′は、差分計算部23′から出力された差分情報に基づいて、差分が所定値(例えば、30[km])以上となる隣接走行レーンの組が存在するか否かについて判定する。もし、差分が所定値以上となる隣接走行レーンが存在すると判定した場合、所要距離算出部27は、自車両が走行しているHOVレーン700から最終的なレーン変更先である目的走行レーン710へ安全にレーン変更するために必要な距離をレーン変更所要距離として算出する。
【0072】
そして、タイミング制御部24′は、高速道路の出口640に最も近いHOVレーン変更可能区域620aの開始地点から出口640までの距離715が、所要距離算出部27により計算されたレーン変更所要距離より大きいか否かについて判定する。もし、距離715がレーン変更所要距離より大きくないと判定した場合、タイミング制御部24′は、誘導経路案内部21′による出口640に関する経路案内のタイミングを、HOVレーン変更可能区域620aから自車位置までの間に存在するHOVレーン変更可能区域620bの開始地点よりも一定距離手前の地点720に自車両が到達するタイミングに変更する旨の要求信号を誘導経路案内部21′に出力する。誘導経路案内部21′は、タイミング制御部24′からの要求信号を受けて、高速道路の出口640に関する経路案内のタイミングを変更するように経路案内設定の変更を行う。
【0073】
一方、距離715がレーン変更所要距離より大きいと判定した場合、タイミング制御部24′は、案内前倒し時間を計算する。そして、タイミング制御部24′は、計算した案内前倒し時間を示すタイミング情報を誘導経路案内部21′に出力する。誘導経路案内部21′は、高速道路の出口640に関する経路案内のタイミングを通常の経路案内のタイミングと比べて、タイミング制御部24′から出力されたタイミング情報により示される案内前倒し時間だけ早くするように経路案内設定の変更を行う。つまり、図6では、自車両が地点740に到達するタイミングで経路案内が行われる。
【0074】
次に、第2の実施形態におけるナビゲーション装置100′の動作について説明する。図7は、自車両が目的地へ向かって誘導経路上の高速道路を走行している場合におけるナビゲーション装置100′の動作例を示すフローチャートである。図7のフローチャートは、誘導経路を設定した後、目的地に向かって走行を開始したときにスタートする。
【0075】
まず、誘導経路案内部21′は、地図データ記憶部14からの地図データと、車両位置検出部12からの自車位置情報と、誘導経路メモリ19からの誘導経路情報とに基づいて、経路案内すべき次の高速道路の出口(分岐点)を基準にして所定条件を満たす地点に自車位置が到達したか否かについて判定する(ステップS400)。もし、所定条件を満たす地点に自車位置が到達していないと誘導経路案内部21′にて判定した場合(ステップS400にてNO)、処理はステップS740に遷移する。
【0076】
一方、所定条件を満たす地点に自車位置が到達したと誘導経路案内部21′にて判定した場合(ステップS400にてYES)、誘導経路案内部21′は、地図データ記憶部14からの地図データと、車両位置検出部12からの自車位置情報と、誘導経路メモリ19からの誘導経路情報とに基づいて、高速道路の出口から自車位置までの間に複数の走行レーンがある道路が含まれているか否かについて判定する(ステップS420)。もし、複数の走行レーンがある道路が含まれていないと誘導経路案内部21′にて判定した場合(ステップS420にてNO)、誘導経路案内部21′は、通常の経路案内のタイミングになったか否かについて判定する(ステップS620)。
【0077】
もし、通常の経路案内のタイミングになっていないと誘導経路案内部21′にて判定した場合(ステップS620にてNO)、処理はステップS620に遷移する。一方、通常の経路案内のタイミングになったと誘導経路案内部21′にて判定した場合(ステップS620にてYES)、誘導経路案内部21′は、高速道路の出口に関する経路案内を行う(ステップS640)。その後、処理はステップS740に遷移する。
【0078】
一方、複数の走行レーンがある道路が含まれていると誘導経路案内部21′にて判定した場合(ステップS420にてYES)、誘導経路案内部21′はその旨を差分計算部23′に通知する。次に、差分計算部23′は、地図データ記憶部14からの地図データと、車両位置検出部12からの自車位置情報と、走行レーン特定部25から出力された走行中レーン情報とに基づいて、自車両がHOVレーンを現在走行しているか否かについて判定する(ステップS440)。もし、自車両がHOVレーンを現在走行していないと差分計算部23′にて判定した場合(ステップS440にてNO)、処理はステップS620に遷移する。
【0079】
一方、自車両がHOVレーンを現在走行していると差分計算部23′にて判定した場合(ステップS440にてYES)、差分計算部23′は、渋滞情報取得部22から出力された渋滞情報に基づいて、高速道路の出口から自車位置までの道路に含まれている複数の走行レーンの中で互いに隣り合う各組の隣接走行レーンについて、一方の走行レーンにおける車両走行速度と、他方の走行レーンにおける車両走行速度との差分を計算し、計算した差分を示す差分情報をタイミング制御部24′に出力する(ステップS460)。
【0080】
次に、タイミング制御部24′は、差分計算部23′から出力された差分情報に基づいて、差分計算部23により差分が所定値(例えば、30[km/h])以上となる隣接走行レーンが存在するか否かについて判定する(ステップS480)。もし、差分が所定値以上となる隣接走行レーンが存在しないとタイミング制御部24′にて判定した場合(ステップS480にてNO)、処理はステップS620に遷移する。
【0081】
一方、差分が所定値以上となる隣接走行レーンが存在するとタイミング制御部24′にて判定した場合(ステップS480にてYES)、所要距離算出部27は、自車両が走行しているHOVレーンから最終的なレーン変更先である目的走行レーン(出口ランプ)へ安全にレーン変更するために必要な距離をレーン変更所要距離として算出する(ステップS500)。次に、タイミング制御部24′は、高速道路の出口に最も近いHOVレーン変更可能区域の開始地点から高速道路の出口までの距離が、所要距離算出部27により計算されたレーン変更所要距離より大きいか否かについて判定する(ステップS520)。
【0082】
もし、高速道路の出口に最も近いHOVレーン変更可能区域の開始地点から高速道路の出口までの距離がレーン変更所要距離より大きいとタイミング制御部24′にて判定した場合(ステップS520にてNO)、タイミング制御部24′は案内前倒し時間を計算する(ステップS540)。そして、タイミング制御部24′は、計算した案内前倒し時間を示すタイミング情報を誘導経路案内部21′に出力する。次に、誘導経路案内部21′は、高速道路の出口に関する経路案内のタイミングを通常の経路案内のタイミングと比べて、タイミング制御部24′から出力されたタイミング情報により示される案内前倒し時間だけ早くするように設定の変更を行う(ステップS560)。
【0083】
次に、誘導経路案内部21′は、ステップS560にて変更した経路案内のタイミングになったか否かについて判定する(ステップS580)。もし、変更した経路案内のタイミングになっていないと誘導経路案内部21′にて判定した場合(ステップS580にてNO)、処理はステップS580に遷移する。一方、変更した経路案内のタイミングになったと誘導経路案内部21′にて判定した場合(ステップS580にてYES)、誘導経路案内部21′は、高速道路の出口に関する経路案内を行う(ステップS600)。その後、処理はステップS740に遷移する。
【0084】
また、高速道路の出口に最も近いHOVレーン変更可能区域の開始地点から高速道路の出口までの距離がレーン変更所要距離より大きいとタイミング制御部24′にて判定した場合(ステップS520にてYES)、タイミング制御部24′は、誘導経路案内部21′による出口に関する経路案内のタイミングを変更する旨の要求信号を誘導経路案内部21′に出力する(ステップS660)。
【0085】
次に、誘導経路案内部21′は、タイミング制御部24′からの要求信号を受けて、高速道路の出口の手前に存在し当該高速道路の出口に最も近いHOVレーン変更可能区域から自車位置までの間に存在する別のHOVレーン変更可能区域の開始地点より一定距離手前の地点に自車両が到達するタイミングで経路案内を行うように設定を変更する(ステップS680)。
【0086】
次に、誘導経路案内部21′は、ステップS680にて変更した経路案内のタイミングになったか否かについて判定する(ステップS700)。もし、変更した経路案内のタイミングになっていないと誘導経路案内部21′にて判定した場合(ステップS700にてNO)、処理はステップS700に遷移する。一方、変更した経路案内のタイミングになったと誘導経路案内部21′にて判定した場合(ステップS700にてYES)、誘導経路案内部21′は、高速道路の出口に関する経路案内を行う(ステップS720)。その後、処理はステップS740に遷移する。
【0087】
ステップS740では、誘導経路案内部21′は、地図データ記憶部14からの地図データと、車両位置検出部12からの自車位置情報と、誘導経路メモリ19からの誘導経路情報とに基づいて、自車両が目的地に到着したか否かについて判定する。もし、自車両が目的地に到着していないと誘導経路案内部21′にて判定した場合(ステップS740にてNO)、処理はステップS400に遷移する。一方、自車両が目的地に到着したと誘導経路案内部21′にて判定した場合(ステップS740にてYES)、ナビゲーション装置100′は図7における処理を終了する。
【0088】
以上詳しく説明したように、第2の実施形態では、誘導経路上に存在する経路案内すべき高速道路の出口から自車位置までの間に複数のレーンがある道路が含まれている場合、各組の隣接走行レーンについて車両走行速度の差分を計算し、その差分が所定値以上となる隣接走行レーンが存在する場合には、通常の案内タイミングと比べて経路案内のタイミングを早くするようにしている。
【0089】
このように構成した第2の実施形態によれば、互いに隣り合う走行レーンにおける車両走行速度の差が大きい場合、経路案内が通常のタイミングより早いタイミングで行われる。そのため、運転者は、安全にレーン変更を行うため、レーン変更先の走行レーンにおける車両走行速度に自車両の走行速度を合わせるための時間を長く確保することができる。その結果、運転者は、経路案内に係る高速道路の出口の直前においてレーン変更を行うために急な速度変更を行うことを回避でき、安全にレーン変更を行うことができる。
【0090】
また、第2の実施形態では、最終的なレーン変更先である目的走行レーンに安全にレーン変更するために必要なレーン変更所要距離が、高速道路の出口に最も近いHOVレーン変更可能区域の開始地点から出口までの距離より大きい場合、1つ前のHOVレーン変更可能区域の手前に自車両が到達するタイミングに経路案内のタイミングを変更するようにしている。このように構成した第2の実施形態によれば、高速道路の出口640に最も近いHOVレーン変更可能区域620aでレーン変更して間に合うときは経路案内のタイミングを地点740まで前倒して安全にレーン変更することができる。さらに、高速道路の出口640に最も近いHOVレーン変更可能区域620aでレーン変更して間に合わないときでも経路案内のタイミングを地点720まで前倒してレーン変更することができる。
【0091】
なお、上記第2の実施形態では、レーン変更所要距離がHOVレーン変更可能区域の開始地点から高速道路の出口までの距離より大きいという条件を満たす場合に、1つ前のHOVレーン変更可能区域の手前に自車両が到達するタイミングで経路案内を行うようにタイミングを変更する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、差分計算部23′により計算された差分が所定値以上となる隣接走行レーンが存在する場合には、レーン変更所要距離に関する条件を満たすか否かに関係なく、1つ前のHOVレーン変更可能区域の手前に自車両が到達するタイミングで経路案内を行うようにしても良い。このようにすれば、経路案内のタイミングを1つ前のHOVレーン変更可能区域の手前まで前倒して、より確実にレーン変更することができる。
【0092】
また、上記第2の実施形態では、高速道路の出口640に最も近いHOVレーン変更可能区域620aより1つ手前のHOVレーン変更可能区域620bの開始地点の手前の地点720に経路案内タイミングを変更する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、経路案内のタイミングを、HOVレーン変更可能区域620aより2つ以上手前のHOVレーン変更可能区域の開始地点の手前に自車両500が到達するタイミングに変更するようにしても良い。また、HOVレーン変更可能区域620aの1つ手前のHOVレーン変更可能区域620bの終了地点より手前の地点に自車両500が到達するタイミングで経路案内を行うようにしても良い。
【0093】
また、上記第2の実施形態においては、自車両が走行しているHOVレーンとその隣の走行レーンとの組についてのみ車両走行速度の差が所定値以上となるケースが大半と考えられる。そのため、全組の隣接走行レーンのうち、HOVレーンとその隣の走行レーンとの組についてのみ、車両走行速度の差分を計算するようにしても良い。このようにすれば、レーン変更先の走行レーンにおける車両走行速度に自車両の走行速度を合わせるための時間を長く確保することが実質的に不要な隣接走行レーンの組についての差分を使用することにより経路案内のタイミングが不必要に早いタイミングに変更されてしまう可能性を回避することができる。
【0094】
また、上記第2の実施形態において、差分計算部23′により計算された差分が所定値以上となる隣接走行レーンが存在する場合、各組の隣接走行レーンについての差分をすべて使用するのではなく、所定値以上の差分だけを使用して案内前倒し時間を計算するようにしても良い。このようにすれば、レーン変更先の走行レーンにおける車両走行速度に自車両の走行速度を合わせるための時間を長く確保することがそこまで必要でない隣接走行レーンについての差分を使用することにより経路案内のタイミングが不必要に早いタイミングに変更されてしまう可能性を回避することができる。
【0095】
また、上記第2の実施形態において、差分計算部23′により計算された差分が所定値以上となる隣接走行レーンが複数存在する場合に限り、経路案内のタイミングを早くするようにしても良い。このようにすれば、レーン変更することの困難度合いがそれほど大きくない場合、経路案内のタイミングが不必要に早いタイミングに変更されてしまうことを回避することができる。
【0096】
また、上記第1および第2の実施形態では、各組の隣接走行レーンについて車両走行速度の差分を計算し、その差分が所定値以上となる隣接走行レーンが存在する場合には、その差分の大きさに応じて、通常の案内タイミングと比べて経路案内のタイミングを早くする例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、予め経路案内のタイミングを早くしておき、各組の隣接走行レーンについての車両走行速度の差分の大きさに応じて、当該経路案内のタイミングを遅くするようにしても良い。ここで、差分が所定値以上となる隣接走行レーンが存在しない場合、経路案内のタイミングは通常の案内タイミングとする。
【0097】
また、上記第1および第2の実施形態において、図8に示すように、差分計算部23(23′)により計算された差分が所定値以上となる隣接走行レーンが存在する場合、一方の走行レーンから他方の走行レーンへのレーン変更に関して注意を促すための注意情報を出力する注意情報出力部30を更に備えるようにしても良い。例えば、注意情報出力部30は、「車両走行速度の差が大きいため、レーン変更にご注意下さい。」といった内容の注意情報の出力を、ディスプレイ17に対するメッセージの表示によって行う。また、注意情報出力部30は、スピーカ(図示せず)を介して注意情報を音声出力するようにしてもよい。
【0098】
また、上記第1および第2の実施形態において、図9に示すように、自車両の走行速度を検出する走行速度検出部31を更に備え、差分計算部23(23′)は、渋滞情報取得部22により取得された渋滞情報に代えて、走行速度検出部31により検出された走行速度によって自車両が走行している走行レーンにおける車両走行速度を特定するようにしても良い。例えば、走行速度検出部31は、自車両の各タイヤに取り付けられた回転速度センサの検出結果に基づいて自車両の走行速度を検出する。
【0099】
また、上記第1および第2の実施形態において、図10に示すように、カメラ26により撮像された自車両周囲の画像のうち、自車両が走行している走行レーン(一方の走行レーン)に隣り合う走行レーン(他方の走行レーン)を走行している他車両が写っている複数の画像を画像処理する画像処理部33を更に備える。そして、差分計算部23(23′)が、画像処理部33により画像処理された複数の画像の各々における他車両の位置の変化に基づいて、一方の走行レーンにおける車両走行速度と他方の走行レーンにおける車両走行速度との差分を計算するようにしても良い。この構成の場合は、各組の隣接走行レーンのうち、自車両が走行している走行レーンと、レーン変更側にある隣の走行レーンとの組についてのみ、車両走行速度の差分を計算する。
【0100】
また、上記第1および第2の実施形態において、図11に示すように、自車両が走行している走行レーン(一方の走行レーン)に隣り合う他方の走行レーンを走行している他車両の自車両に対する相対位置を所定時間間隔で検出する位置検出レーダ34により検出された相対位置の変化に基づいて、差分計算部23(23′)が、一方の走行レーンにおける車両走行速度と他方の走行レーンにおける車両走行速度との差分を計算するようにしても良い。例えば、位置検出レーダ34は、自車両の周囲にミリ波を照射し、その反射波によって他車両の自車両に対する相対位置を検出するミリ波レーダである。なお、位置検出レーダ34は、自車両の周囲に超音波を照射し、その反射波によって他車両の自車両に対する相対位置を検出する超音波センサでも良い。
【0101】
その他、上記第1および第2の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその精神、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0102】
21,21′ 誘導経路案内部
22 渋滞情報取得部
23,23′ 差分計算部
24,24′ タイミング制御部
25 走行レーン特定部
27 所要距離算出部
30 注意情報出力部
31 走行速度検出部
33 画像処理部
34 位置検出レーダ
100,100′ ナビゲーション装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置及びレーン変更案内方法に関し、例えば、誘導経路上に存在する経路案内すべき分岐点に自車両が近づくたびに、当該分岐点に関する経路案内を行うナビゲーション装置に用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、ナビゲーション装置では、自立航法センサやGPS(Global Positioning System)受信機等を用いて車両の現在位置を検出し、その近傍の地図データを記録媒体から読み出して画面上に表示する。そして、画面上の所定箇所に自車位置を示す車両位置マークを重ね合わせて表示することにより、車両が現在どこを走行しているのかを一目で分かるようにしている。
【0003】
また、最近のナビゲーション装置の殆どには、運転者が所望の目的地に向かって道路を間違うことなく容易に走行できるようにした経路誘導機能が搭載されている。この経路誘導機能では、地図データを用いて現在地から目的地までを結ぶ最もコストが小さな経路を自動探索し、その探索した経路を誘導経路として地図画面上で他の道路とは色を変えて太く描画する。また、車両が誘導経路上に存在する案内すべき分岐点の一定距離以内に近づいたときに、当該分岐点に関する経路案内を行うことにより、運転者を目的地まで案内するようになっている。
【0004】
なお、経路誘導機能に関連する技術として、右折すべき案内交差点の手前の右側レーンに渋滞が発生していることを検知した場合、通常よりタイミングを早めて右側レーンへの進路変更を案内する技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。また、複数車線道路の分岐点または出口付近の交通渋滞量の増加にしたがって、離脱許容区間の残数の通知を開始する位置を、分岐点または出口側から自車両の走行開始位置側に向かって変更することによって、複数車線道路の分岐点または出口付近の交通量が多くても、ユーザがより早期に特別車線からの離脱の機会を窺えるようにした技術が提案されている(例えば、特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−223531号公報
【特許文献2】特開2008−286671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、分岐点に関する経路案内によって、車両の運転者が隣接する走行レーンへのレーン変更が必要であることを知った場合でも、以下の理由によりレーン変更することが困難なときがある。つまり、道路状況によっては、レーン変更先の走行レーンにおける車両の走行速度と自車両の走行速度との差が大きい場合がある。この場合、経路案内が行われた現在位置から分岐点までの距離が十分でないと、レーン変更を行うためには、レーン変更先の走行レーンの走行速度まで自車両の走行速度を急に変更させなければならない。
【0007】
しかしながら、自車両の前後において十分な車間を置かずに他車両が走行している場合には自車両の車速を急に変更させることが難しく、レーン変更ができずに分岐点を通り過ぎてしまうことがあった。一方、無理に車速を変更してレーン変更を行おうとすると、周囲の車両の迷惑に繋がってしまうことがあった。さらに、自車両の走行速度を急に変更させると、自車両が前方の車両に追突してしまうおそれや後方の車両に追突されてしまうおそれがあるという別の問題も併せて発生してしまう。
【0008】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、レーン変更先の走行レーンにおける車両走行速度と自車両の走行速度との差が大きい場合であっても、運転者が安全にレーン変更を行うことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した課題を解決するために、本発明では、誘導経路上に存在する経路案内すべき分岐点から自車位置までの間に複数のレーンがある道路が含まれている場合、当該複数の走行レーンのうち互いに隣り合う各組の隣接走行レーンの少なくとも1組について、一方の走行レーンにおける車両走行速度と、他方の走行レーンにおける車両走行速度との差分を計算し、その差分が所定値以上となる隣接走行レーンの組が存在する場合、当該差分が前記所定値以上となる隣接走行レーンの組が存在しないときに比べて、分岐点に関する経路案内のタイミングを早くするように制御している。
【発明の効果】
【0010】
上記のように構成した本発明によれば、互いに隣り合う走行レーンにおける車両走行速度の差が大きい場合、経路案内が通常のタイミングより早いタイミングで行われる。そのため、運転者は、安全にレーン変更を行うため、レーン変更先の走行レーンにおける車両走行速度に自車両の走行速度を合わせるための時間を長く確保することができる。その結果、運転者は、経路案内に係る分岐点の直前においてレーン変更を行うために急な速度変更を行うことを回避でき、安全にレーン変更を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施形態によるナビゲーション装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】第1の実施形態による経路案内の例を示す図である。
【図3】第1の実施形態によるナビゲーション装置の動作例を示すフローチャートである。
【図4】第1の実施形態によるナビゲーション装置の構成の変形例を示すブロック図である。
【図5】第2の実施形態によるナビゲーション装置の構成例を示すブロック図である。
【図6】第2の実施形態による経路案内の例を示す図である。
【図7】第2の実施形態によるナビゲーション装置の動作例を示すフローチャートである。
【図8】第1および第2の実施形態によるナビゲーション装置の構成の変形例を示すブロック図である。
【図9】第1および第2の実施形態によるナビゲーション装置の構成の変形例を示すブロック図である。
【図10】第1および第2の実施形態によるナビゲーション装置の構成の変形例を示すブロック図である。
【図11】第1および第2の実施形態によるナビゲーション装置の構成の変形例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の第1の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、第1の実施形態によるナビゲーション装置100の構成例を示すブロック図である。図1において、11はDVD−ROM等の記録媒体であり、地図表示や経路探索等に必要な各種の地図データを記憶している。地図データには、マップマッチングや経路探索等の各種の処理に必要な道路ユニットのデータが含まれている。道路ユニットは、交差点や分岐など、複数の道路が交わる点に対応するノードに関する情報と、道路上のあるノードとこれに隣接する他のノードとの間を接続する、道路や車線等に対応するリンクに関する情報とを含んでいる。なお、ここでは地図データを記憶する記録媒体としてDVD−ROM11を用いているが、CD−ROM、ハードディスク、半導体メモリ等の他の記録媒体を用いても良い。
【0013】
12は車両の現在位置を所定間隔毎に検出する車両位置検出部であり、自立航法センサ、GPS受信機、位置計算用CPU等で構成されている。自立航法センサは、所定走行距離毎に1個のパルスを出力して車両の移動距離を検出する車速センサ(距離センサ)と、車両の回転角度(移動方位)を検出する振動ジャイロ等の角速度センサ(相対方位センサ)とを含む。自立航法センサは、これらの車速センサおよび角速度センサによって車両の相対位置および方位を検出する。
【0014】
位置計算用CPUは、自立航法センサから出力される自車両の相対的な位置および方位のデータに基づいて、絶対的な自車装置(推定車両位置)および車両方位を計算する。また、GPS受信機は、複数のGPS衛星から送られてくる電波をGPSアンテナで受信して、3次元測位処理あるいは2次元測位処理を行って車両の絶対位置および方位を計算する(車両方位は、現時点における自車位置と1サンプリング時間ΔT前の自車位置とに基づいて計算する)。
【0015】
13はDVD−ROM制御部であり、DVD−ROM11からの地図データの読み出しを制御する。14は地図データ記憶部であり、DVD−ROM制御部13の制御によってDVD−ROM11から読み出された地図データを一時的に格納する。すなわち、DVD−ROM制御部13は、車両位置検出部12から車両現在位置の情報を入力し、その車両現在位置を含む所定範囲の地図データの読み出し指示を出力することにより、地図表示や誘導経路の探索に必要な地図データをDVD−ROM11から読み出して地図データ記憶部14に格納する。
【0016】
15はリモコン、タッチパネルまたは操作スイッチ等の操作部であり、ユーザがナビゲーション装置100に対して各種の情報(例えば、経路誘導の目的地や経由地)を設定したり、各種の操作(例えば、メニュー選択操作、地図の拡大/縮小操作、手動地図スクロール、数値入力など)を行ったりするためのものである。
【0017】
16は目的地設定部であり、ディスプレイ17に表示されている目的地設定用の操作画面において、ユーザによる操作部15の操作を介して指定された地点を目的地として設定する。そして、目的地設定部16は、設定した目的地を示す目的地情報を誘導経路探索部18に出力する。
【0018】
誘導経路探索部18は、地図データ記憶部14に記憶されている地図データに基づいて、車両位置検出部12により検出された自車位置から、目的地設定部16により設定された目的地までの誘導経路を探索する。19は誘導経路メモリであり、誘導経路探索部18により誘導経路が探索された場合、その探索された誘導経路のデータ(現在位置から目的地に至るまでの道路リンクの集合)を誘導経路情報として一時的に格納する。
【0019】
20は地図表示制御部であり、車両位置検出部12により検出された自車位置情報と、地図データ記憶部14に記憶されている地図データとに基づいて自車位置周辺の地図画像データを生成する。そして、地図表示制御部20は、生成した地図画像データをディスプレイ17に出力することにより、自車位置周辺の地図画像をディスプレイ17に表示させる。
【0020】
21は誘導経路案内部であり、誘導経路探索部18により誘導経路が探索された場合、車両位置検出部12により検出された自車位置情報と、地図データ記憶部14に記憶されている地図データと、誘導経路メモリ19に格納された誘導経路情報とに基づいて誘導経路案内を行う。具体的には、誘導経路案内部21は、ディスプレイ17に対して、地図表示制御部20により生成された地図画像に重ねて誘導経路を他の道路とは異なる色で太く表示することにより、誘導経路の目的地までの走行案内を行う。また、誘導経路案内部21は、誘導経路上に存在する経路案内すべき交差点や分岐点(以下、案内交差点という)に自車両が近づくたびに、当該案内交差点に関する経路案内を行う。
【0021】
22は渋滞情報取得部であり、例えばVICS受信機(FM多重放送受信機)を用いて、自車両が現在走行している道路の走行レーン毎の渋滞情報を取得する。渋滞情報は、現在走行している道路における走行レーン毎の車両走行速度[km/h]を情報として含んでいる。渋滞情報取得部22は、取得した渋滞情報を差分計算部23に出力する。
【0022】
差分計算部23は、渋滞情報取得部22から出力された渋滞情報に基づいて、案内交差点から自車位置までの間の道路に含まれている複数の走行レーンの中で互いに隣り合う各組の隣接走行レーンについて、一方の走行レーンにおける車両走行速度と、他方の走行レーンにおける車両走行速度との差分を計算する。そして、差分計算部23は、計算した差分を示す差分情報をタイミング制御部24に出力する。
【0023】
タイミング制御部24は、差分計算部23から出力された差分情報に基づいて、差分が所定値(例えば、20[km/h])以上となる隣接走行レーンが存在するか否かについて判定する。もし、差分が所定値以上となる隣接走行レーンが存在すると判定した場合、タイミング制御部24は、誘導経路案内部21による案内交差点に関する経路案内のタイミングを通常の経路案内のタイミングと比べて、どれくらいの時間だけ早くするか(以下、案内前倒し時間という)を計算する。ここで、通常の経路案内のタイミングとは、例えば、隣接走行レーンにおける車両走行速度の差が小さいと仮定した場合(例えば、車両走行速度の差が20[km/h]未満である場合)、その速度差だけ自車両の走行速度を変更して案内交差点までに安全にレーン変更を行うのに必要な距離だけ案内交差点から遡った地点に自車両が到達するタイミングであるとする。
【0024】
具体的には、タイミング制御部24は、隣接走行レーンの全組について、レーン変更先の走行レーンにおける車両走行速度に自車両の走行速度を合わせて安全にレーン変更を行うために必要な時間を計算する。そして、タイミング制御部24は、隣接走行レーンの各組について計算した時間を合計し、その合計値を案内前倒し時間とする。
【0025】
ところで、運転手がアクセルまたはブレーキを踏んでその効果が出るまでの時間は、約1秒と言われている。また、車両を安全に加速または減速させるためには、1秒間に14.4[km]で加速または減速するのが好ましいと言われている。そこで、タイミング制御部24は、隣接走行レーンにおける車両走行速度の差分をA[km/h]として、レーン変更先の走行レーンにおける車両走行速度に自車両の走行速度を合わせて安全にレーン変更を行うために必要な時間T[s]を次の(式1)を用いて計算する。
T=1+(A/14.4) ・・・(式1)
タイミング制御部24は、各組の隣接走行レーンについて時間Tを計算し、その計算した時間Tをすべて和算した時間を案内前倒し時間とする。タイミング制御部24は、この案内前倒し時間を示すタイミング情報を誘導経路案内部21に出力する。
【0026】
誘導経路案内部21は、タイミング制御部24からタイミング情報を入力した場合、案内交差点に関する経路案内のタイミングを通常の経路案内のタイミングと比べて、タイミング制御部24から出力されたタイミング情報により示される案内前倒し時間だけ早くするように経路案内設定の変更を行う。具体的には、現在の自車両の走行速度で走行し続けたと仮定して通常のタイミングで経路案内が行われる地点までの到達時間を予測する。そして、予測した到達時間から案内前倒し時間だけ前に遡った時間に経路案内を行うように設定する。または、現在の自車両の走行速度で走行し続けたと仮定し、通常のタイミングで経路案内が行われる地点から走行速度と案内前倒し時間とを乗算した結果得られる距離だけ前に戻った地点に自車両が到達した時点で経路案内を行うように設定する。誘導経路案内部21は、設定したタイミングになったら経路案内を行う。なお、誘導経路案内部21は、経路案内のタイミングを変えない場合、通常のタイミングで経路案内を行う。
【0027】
ここで、誘導経路案内部21、差分計算部23、タイミング制御部24の動作をもう少し詳しく説明する。図2は、第1の実施形態によるナビゲーション装置100が行う経路案内の例を示す図である。図2に示すように、ナビゲーション装置100を搭載した自車両200や他の車両300a〜300nが一般道路を走行している。この一般道路は、5つの一般レーン320,322,324,326,328を含む。自車両200は、一番左の走行レーン320を走行している。一番右の走行レーン328は、右折待ちの車両が続いている。
【0028】
符号340で示す地点は、自車両200が誘導経路に沿って一般道路の交差点で右折する場合、ナビゲーション装置100が経路案内を通常行う地点である。符号400で示す軌跡は、地点340において経路案内が行われた後において、レーン変更先である一番右の目的走行レーンに進行する自車両200の走行軌跡である。符号360で示す地点は、案内交差点から所定距離の地点である。ここで、所定距離は、隣接走行レーンにおける車両走行速度の差が最大に大きいと仮定した場合(例えば、車両走行速度の差が40[km/h]である場合)、その速度差だけ自車両の走行速度を変更して案内交差点までに安全にレーン変更を行うのに必要な距離だけ通常の経路案内が行われる地点より後方の地点から案内交差点までの距離である。符号380で示す地点は、自車両200が誘導経路に沿って一般道路の交差点で右折する場合、ナビゲーション装置100が実際に経路案内を行う地点である。符号420で示す軌跡は、地点380において経路案内が行われた後において、レーン変更先である一番右の目的走行レーンに進行する自車両200の走行軌跡である。
【0029】
ナビゲーション装置100の誘導経路案内部21は、自車両が目的地へ向かって誘導経路上の一般道路を走行している場合、地図データ記憶部14からの地図データと、車両位置検出部12からの自車位置情報と、誘導経路メモリ19からの誘導経路情報とに基づいて、次の案内交差点から所定距離以内に自車位置が入った(つまり、車両200が案内交差点から所定距離の地点360に到達した)か否かについて判定する。
【0030】
もし、次の案内交差点から所定距離以内に自車位置が入ったと判定した場合、誘導経路案内部21は、地図データ記憶部14からの地図データと、車両位置検出部12からの自車位置情報と、誘導経路メモリ19からの誘導経路情報とに基づいて、当該案内交差点から自車位置までの間に複数の走行レーンがある道路が含まれているか否かについて判定する。もし、複数の走行レーンがある道路が含まれていると判定した場合、誘導経路案内部21はその旨を差分計算部23に通知する。
【0031】
差分計算部23は、誘導経路案内部21からの通知を受けた後、渋滞情報取得部22から出力された渋滞情報に基づいて、案内交差点から自車位置までの道路に含まれている5つの走行レーンのそれぞれについて車両走行速度を特定する。ここでは一例として、各走行レーン320,322,324,326,328における車両走行速度がそれぞれ50[km/h],45[km/h],30[km/h],40[km/h],15[km/h]であるものとする。
【0032】
次に、差分計算部23は、各組の隣接走行レーンについて、一方の走行レーンにおける車両走行速度と、他方の走行レーンにおける車両走行速度との差分を計算する。図2の例では、差分計算部23は、各組の隣接走行レーンについて、走行速度の差分を5(=|50−45|)[km/h]、15(=|45−30|)[km/h]、10(=|30−40|)[km/h]、25(=|40−15|)[km/h]として計算する。そして、差分計算部23は、計算した走行速度の差分を示す差分情報をタイミング制御部24に出力する。
【0033】
タイミング制御部24は、差分計算部23から出力された差分情報に基づいて、差分計算部23により差分が所定値(例えば、20[km/h])以上となる隣接走行レーンの組が存在するか否かについて判定する。図2の例では、差分が所定値以上となる隣接走行レーンの組(一番右とその左)が1組存在すると判定する。この場合、タイミング制御部24は、案内前倒し時間を計算する。図2の例では、タイミング制御部24は、案内前倒し時間を約7.82(=(1+5/14.4)+(1+15/14.4)+(1+10/14.4)+(1+25/14.4))[s]と計算する。
【0034】
そして、タイミング制御部24は、計算した案内前倒し時間を示すタイミング情報を誘導経路案内部21に出力する。誘導経路案内部21は、案内交差点に関する経路案内のタイミングを通常の経路案内のタイミングと比べて、タイミング制御部24から出力されたタイミング情報により示される案内前倒し時間だけ早くするように経路案内設定の変更を行う。通常のタイミングより案内前倒し時間だけ早くした結果、符合380で示す地点で経路案内が行われる。
【0035】
次に、第1の実施形態におけるナビゲーション装置100の動作について説明する。図3は、自車両が目的地へ向かって誘導経路上の一般道路を走行している場合におけるナビゲーション装置100の動作例を示すフローチャートである。図3のフローチャートは、誘導経路を設定した後、目的地に向かって走行を開始したときにスタートする。
【0036】
まず、誘導経路案内部21は、地図データ記憶部14からの地図データと、車両位置検出部12からの自車位置情報と、誘導経路メモリ19からの誘導経路情報とに基づいて、次の案内交差点から所定距離以内に自車位置が入ったか否かについて判定する(ステップS100)。もし、案内交差点から所定距離以内に自車位置が入っていないと誘導経路案内部21にて判定した場合(ステップS100にてNO)、処理はステップS300に遷移する。
【0037】
一方、案内交差点から所定距離以内に自車位置が入ったと誘導経路案内部21にて判定した場合(ステップS100にてYES)、誘導経路案内部21は、地図データ記憶部14からの地図データと、車両位置検出部12からの自車位置情報と、誘導経路メモリ19からの誘導経路情報とに基づいて、当該案内交差点から自車位置までの間に複数の走行レーンがある道路が含まれているか否かについて判定する(ステップS120)。もし、複数の走行レーンがある道路が含まれていないと誘導経路案内部21にて判定した場合(ステップS120にてNO)、誘導経路案内部21は、通常の経路案内のタイミングになったか否かについて判定する(ステップS260)。
【0038】
もし、通常の経路案内のタイミングになっていないと誘導経路案内部21にて判定した場合(ステップS260にてNO)、処理はステップS260に遷移する。一方、通常の経路案内のタイミングになったと誘導経路案内部21にて判定した場合(ステップS260にてYES)、誘導経路案内部21は、案内交差点に関する経路案内を行う(ステップS280)その後、処理はステップS300に遷移する。
【0039】
一方、複数の走行レーンがある道路が含まれていると誘導経路案内部21にて判定した場合(ステップS120にてYES)、差分計算部23は、渋滞情報取得部22から出力された渋滞情報に基づいて、案内交差点から自車位置までの間の道路に含まれている複数の走行レーンの中で互いに隣り合う各組の隣接走行レーンについて、一方の走行レーンにおける車両走行速度と、他方の走行レーンにおける車両走行速度との差分を計算する(ステップS140)。そして、差分計算部23は、計算した差分を示す差分情報をタイミング制御部24に出力する。
【0040】
次に、タイミング制御部24は、差分計算部23から出力された差分情報に基づいて、差分が所定値(例えば、20[km/h])以上となる隣接走行レーンが存在するか否かについて判定する(ステップS160)。もし、差分が所定値以上となる隣接走行レーンが1組も存在しないとタイミング制御部24にて判定した場合(ステップS160にてNO)、処理はステップS260に遷移する。
【0041】
一方、差分が所定値以上となる隣接走行レーンが少なくとも1組は存在するとタイミング制御部24にて判定した場合(ステップS160にてYES)、タイミング制御部24は、案内前倒し時間を計算する(ステップS180)。タイミング制御部24は、この案内前倒し時間を示すタイミング情報を誘導経路案内部21に出力する。次に、誘導経路案内部21は、案内交差点に関する経路案内のタイミングを通常の経路案内のタイミングと比べて、タイミング制御部24から出力されたタイミング情報により示される案内前倒し時間だけ早くするように経路案内設定の変更を行う(ステップS200)。
【0042】
次に、誘導経路案内部21は、変更した経路案内のタイミングになったか否かについて判定する(ステップS220)。もし、変更した経路案内のタイミングになっていないと誘導経路案内部21にて判定した場合(ステップS220にてNO)、処理はステップS220に遷移する。一方、変更した経路案内のタイミングになったと誘導経路案内部21にて判定した場合(ステップS220にてYES)、誘導経路案内部21は、案内交差点に関する経路案内を行う(ステップS240)。その後、処理はステップS300に遷移する。
【0043】
ステップS300では、誘導経路案内部21は、地図データ記憶部14からの地図データと、車両位置検出部12からの自車位置情報と、誘導経路メモリ19からの誘導経路情報とに基づいて、自車両が目的地に到着したか否かについて判定する。もし、自車両が目的地に到着していないと誘導経路案内部21にて判定した場合(ステップS300にてNO)、処理はステップS100に遷移する。一方、自車両が目的地に到着したと誘導経路案内部21にて判定した場合(ステップS300にてYES)、ナビゲーション装置100は図3における処理を終了する。
【0044】
以上詳しく説明したように、第1の実施形態では、誘導経路上に存在する案内交差点から自車位置までの間に複数のレーンがある道路が含まれている場合、各組の隣接走行レーンについて車両走行速度の差分を計算し、その差分が所定値以上となる隣接走行レーンが存在する場合には、通常の案内タイミングと比べて経路案内のタイミングを早くするようにしている。
【0045】
このように構成した第1の実施形態によれば、互いに隣り合う走行レーンにおける車両走行速度の差が大きい場合、経路案内が通常のタイミングより早いタイミングで行われる。そのため、運転者は、安全にレーン変更を行うため、レーン変更先の走行レーンにおける車両走行速度に自車両の走行速度を合わせるための時間を長く確保することができる。その結果、運転者は、経路案内に係る交差点の直前においてレーン変更を行うために急な速度変更を行うことを回避でき、安全にレーン変更を行うことができる。
【0046】
また、第1の実施形態では、レーン変更先の走行レーンにおける車両走行速度に自車両の走行速度を合わせて安全にレーン変更を行うために必要な時間を(式1)を用いて計算しているため、単純に所定の時間を案内前倒し時間とする場合と比べて、経路案内のタイミングを早すぎず遅すぎずの適切なタイミングに変更することができる。
【0047】
なお、上記第1の実施形態では、差分計算部23により計算された差分をすべて使用して(式1)により案内前倒し時間を計算する例について説明したが、案内前倒し時間を計算する方法はこれに限定されない。例えば、差分計算部23により計算された差分が所定値以上となる隣接走行レーンが存在する場合、各組の隣接走行レーンについての差分をすべて使用するのではなく、所定値以上の差分だけを使用して案内前倒し時間を計算するようにしても良い。このようにすれば、レーン変更先の走行レーンにおける車両走行速度に自車両の走行速度を合わせるための時間を長く確保することがそこまで必要でない隣接走行レーンについての差分を使用することにより経路案内のタイミングが不必要に早いタイミングに変更されてしまう可能性を回避することができる。
【0048】
また、上記第1の実施形態では、誘導経路上に存在する案内交差点が一般道路の交差点である例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、案内交差点は、誘導経路上に存在する高速道路の出口であっても良い。
【0049】
また、上記第1の実施形態では、案内交差点から自車位置までの道路に含まれている隣接走行レーンの全組について車両走行速度の差分を計算する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、全組の隣接走行レーンのうち、自車両が走行している走行レーンと、最終的なレーン変更先である目的走行レーンとの間にある隣接走行レーンの各組についてのみの差分を計算するようにしても良い。このようにすれば、レーン変更先の走行レーンにおける車両走行速度に自車両の走行速度を合わせるための時間を長く確保することが実質的に不要な隣接走行レーンについての差分を使用することにより経路案内のタイミングが不必要に早いタイミングに変更されてしまう可能性を回避することができる。この場合においても、計算した差分を全て使用して案内前倒し時間を計算しても良いし、所定値以上の差分だけを使用しても良い。
【0050】
図4は、この場合におけるナビゲーション装置100の構成例を示すブロック図である。図4に示すように、25は走行レーン特定部であり、車両周囲の画像をカメラ26でとらえ、その画像を解析することで全車線のレーンマークを検出し、地図データ記憶部14からの地図データと、車両位置検出部12からの自車位置情報と、検出したレーンマークとに基づいて自車両が現在走行している走行レーン(以下、自車走行中レーンという)を特定する。走行レーン特定部25は、特定した自車走行中レーンを示す走行中レーン情報を差分計算部23に出力する。
【0051】
差分計算部23は、渋滞情報取得部22から出力された渋滞情報と、走行レーン特定部25から出力された走行中レーン情報とに基づいて、全組の隣接走行レーンのうち、自車両が走行している走行レーンと、最終的なレーン変更先である目的走行レーンとの間にある隣接走行レーンの各組についてのみ車両走行速度の差分を計算する。なお、走行レーン特定部25は、カメラ26により撮影された画像の解析に代えて、高精度のGPSセンサを使用して自車位置を精度よく検出し、検出結果に基づいて自車走行中レーンを特定するようにしても良い。
【0052】
また、上記第1の実施形態では、差分計算部23により計算された差分が所定値以上となる隣接走行レーンが少なくとも1つ存在する場合、経路案内のタイミングを早くする例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、差分計算部23により計算された差分が所定値以上となる隣接走行レーンが複数存在する場合に限り、経路案内のタイミングを早くするようにしても良い。このようにすれば、レーン変更することの困難度合いがそれほど大きくない場合、経路案内のタイミングが不必要に早いタイミングに変更されてしまうことを回避することができる。
【0053】
次に、本発明の第2の実施形態を図面に基づいて説明する。まず、第2の実施形態が適用される場面について説明する。米国の大都市の高速道路(フリーウェイ)で見かけられる道路システムの1つにHOVレーン(High Occupancy Vehicle Lanes)がある。このHOVレーンは、車両走行台数の減少を目的とし、相乗り推奨のために設けられたものである。具体的には、乗員が複数の場合にのみ走行可能で、乗員が単独の場合には走行が規制される。米国では、運転者以外の搭乗者がいない車両の割合が高いため、このHOVレーンは一般レーンに比べて空いており、2人以上の搭乗者がいる車両は、このHOVレーンを走行することにより走行時間の大幅な短縮を図ることができる。
【0054】
一般レーンとHOVレーンとの間での相互進入(つまり一方から離脱して他方へ進入すること)は、HOVレーン変更可能区域においてのみ許可されている。また、高速道路から一般道路への出口は一般レーンにのみ接続されている。そのため、高速道路の出口(分岐点)から一般道路へ退出する場合には、HOVレーンから離脱して一般レーンへ進入する必要がある。
【0055】
ところで、HOVレーンを走行中の車両の運転者が経路案内によって高速道路の出口に近づいたことを知った場合でも、以下の問題によりHOVレーンから一般レーンへレーン変更することが困難なときがある。つまり、HOVレーンは一般レーンに比べて混雑することが少ないため、道路状況によっては、レーン変更先の一般レーンにおける車両走行速度と、自車両が走行しているHOVレーンにおける車両走行速度との差が大きい場合がある。この場合、レーン変更先の一般レーンの走行速度まで自車両の走行速度を急に変更させなければならないため、レーン変更を行うことが難しくなる。第2の実施形態によるナビゲーション装置100′による経路案内は、HOVレーンを含む高速道路を走行中のときに適用される。
【0056】
図5は、第2の実施形態によるナビゲーション装置100′の構成例を示すブロック図である。図5に示すように、ナビゲーション装置100′は、その機能構成として、図4の誘導経路案内部21、差分計算部23およびタイミング制御部24の代わりに、誘導経路案内部21′、差分計算部23′およびタイミング制御部24′をそれぞれ備えている。また、タイミング制御部24′は、所要距離算出部27を備えている。なお、この図5において、図1に示した符号と同一の符号を付したものは同一の機能を有するものであるので、ここでは重複する説明を省略する。
【0057】
誘導経路案内部21′は、誘導経路探索部18により誘導経路が探索された場合、車両位置検出部12により検出された自車位置情報と、地図データ記憶部14に記憶されている地図データと、誘導経路メモリ19に格納された誘導経路情報とに基づいて誘導経路案内を行う。具体的には、誘導経路案内部21′は、ディスプレイ17に対して、地図表示制御部20により生成された地図画像に重ねて誘導経路を他の道路とは異なる色で太く表示することにより、誘導経路の目的地までの走行案内を行う。
【0058】
また、誘導経路案内部21′は、自車両が目的地へ向かって誘導経路上の高速道路を走行している場合、地図データ記憶部14からの地図データと、車両位置検出部12からの自車位置情報と、誘導経路メモリ19からの誘導経路情報とに基づいて、経路案内すべき次の高速道路の出口(分岐点)を基準にして所定条件を満たす地点に自車位置が到達したか否かについて判定する。ここで、所定条件を満たす地点は、高速道路の出口の手前に存在し出口に最も近いHOVレーン変更可能区域より1つ前のHOVレーン変更可能区域の開始地点より一定距離手前の地点である。
【0059】
もし、経路案内すべき次の高速道路の出口(分岐点)を基準にして所定条件を満たす地点に自車位置が到達したと判定した場合、誘導経路案内部21′は、地図データ記憶部14からの地図データと、車両位置検出部12からの自車位置情報と、誘導経路メモリ19からの誘導経路情報とに基づいて、高速道路の出口から自車位置までの間に複数の走行レーンがある道路が含まれているか否かについて判定する。もし、複数の走行レーンがある道路が含まれていると判定した場合、誘導経路案内部21′はその旨を差分計算部23′に通知する。
【0060】
差分計算部23′は、複数の走行レーンがある道路が含まれている旨の通知を誘導経路案内部21′から受けた場合、地図データ記憶部14からの地図データと、車両位置検出部12からの自車位置情報と、走行レーン特定部25から出力された走行中レーン情報とに基づいて、自車両がHOVレーンを現在走行しているか否かについて判定する。
【0061】
もし、自車両がHOVレーンを現在走行していると判定した場合、差分計算部23′は、渋滞情報取得部22から出力された渋滞情報に基づいて、高速道路の出口から自車位置までの道路に含まれている複数の走行レーンの中で互いに隣り合う各組の隣接走行レーンについて、一方の走行レーンにおける車両走行速度と、他方の走行レーンにおける車両走行速度との差分を計算し、計算した差分を示す差分情報をタイミング制御部24′に出力する。
【0062】
タイミング制御部24′は、差分計算部23′から出力された差分情報に基づいて、差分が所定値(例えば、30[km/h])以上となる隣接走行レーンが存在するか否かについて判定する。もし、差分が所定値以上となる隣接走行レーンが少なくとも1組存在するとタイミング制御部24′にて判定した場合、所要距離算出部27は、自車両が走行しているHOVレーンから最終的なレーン変更先である目的走行レーン(出口ランプ)へ安全にレーン変更するために必要な距離をレーン変更所要距離として算出する。
【0063】
具体的には、所要距離算出部27は、各組の隣接走行レーンについて、レーン変更先の走行レーンにおける車両走行速度に自車両の走行速度を合わせて安全にレーン変更を行うために必要な距離を計算する。すなわち、所要距離算出部27は、隣接走行レーンにおける車両走行速度の差分をA[km/h]、レーン変更先の走行レーンにおける車両走行速度をV[km/h]として、安全にレーン変更を行うために必要な距離X[km]を次の(式2)を用いて計算する。
X=V×(1+(A/14.4))・・・・(式2)
所要距離算出部27は、各組の隣接走行レーンについて距離Xを計算し、その計算した距離Xを全て和算してレーン変更所要距離とする。
【0064】
タイミング制御部24′は、高速道路の出口に最も近いHOVレーン変更可能区域の開始地点から高速道路の出口までの距離が、所要距離算出部27により計算されたレーン変更所要距離より大きいか否かについて判定する。もし、レーン変更所要距離より大きくないと判定した場合、タイミング制御部24′は、誘導経路案内部21′による出口に関する経路案内のタイミングを変更する旨の要求信号を誘導経路案内部21′に出力する。誘導経路案内部21′は、タイミング制御部24′からの要求信号を受けて、高速道路の出口の手前に存在し当該高速道路の出口に最も近いHOVレーン変更可能区域から自車位置までの間に存在する別のHOVレーン変更可能区域の開始地点より一定距離手前の地点に自車両が到達するタイミングで経路案内を行うように設定を変更する。
【0065】
一方、高速道路の出口に最も近いHOVレーン変更可能区域の開始地点から高速道路の出口までの距離がレーン変更所要距離より大きいと判定した場合、タイミング制御部24′は、第1の実施形態で説明した手法で案内前倒し時間を計算する。そして、タイミング制御部24′は、計算した案内前倒し時間を示すタイミング情報を誘導経路案内部21′に出力する。誘導経路案内部21′は、タイミング制御部24′からタイミング情報を入力した場合、高速道路の出口に関する経路案内のタイミングを通常の経路案内のタイミングと比べて、タイミング制御部24′から出力されたタイミング情報により示される案内前倒し時間だけ早くするように設定の変更を行う。ここで、通常の経路案内のタイミングは、高速道路の出口の手前に存在し出口に最も近いHOVレーン変更可能区域の開始地点より一定距離手前の地点に自車両が到達するタイミングである。
【0066】
次に、ナビゲーション装置100′を搭載した自車両が誘導経路に沿って高速道路の出口から一般道路へ退出する場合において、第2の実施形態によるナビゲーション装置100′が経路案内を行う際の動作を説明する。図6は、第2の実施形態によるナビゲーション装置100′が行う経路案内の例を示す図である。
【0067】
図6に示すように、ナビゲーション装置100′を搭載した自車両500や他の車両600a〜600vが高速道路を走行している。この高速道路は、1つのHOVレーン700と4つの一般レーン702,704,706,708と出口ランプ710とを含む。自車両500は、HOVレーン700を走行している。
【0068】
符号620a,620bで示す区間は、HOVレーン700と一般レーン702との間での相互進入が許可されているレーン変更可能領域である。符号640で示す地点は、高速道路の出口であり、誘導経路上に存在する経路案内すべき分岐点である。符号で示す地点660は、自車両500が誘導経路に沿って高速道路の出口640から一般道路へ退出する場合、ナビゲーション装置100′が案内を通常行う地点である。符号680で示す地点は、経路案内すべき次の高速道路の出口640を基準にして所定条件を満たす地点である。符号720で示す地点は、自車両500が誘導経路に沿って高速道路の出口640から一般道路へ退出する場合、出口640に最も近いHOVレーン変更可能区域620aの開始地点から出口640までの距離がレーン変更所要距離より大きいとき、ナビゲーション装置100′が実際に経路案内を行う地点である。
【0069】
符号740で示す地点は、自車両500が誘導経路に沿って高速道路の出口640から一般道路へ退出する場合、出口640に最も近いHOVレーン変更可能区域620aの開始地点から出口640までの距離がレーン変更所要距離より大きくないとき、ナビゲーション装置100′が実際に経路案内を行う地点である。符号760で示す軌跡は、地点740において経路案内が行われた後において、レーン変更先である一番右の目的走行レーンに進行する自車両500の走行軌跡である。符号780で示す軌跡は、地点720において経路案内が行われた後において、レーン変更先である一番右の目的走行レーンに進行する自車両500の走行軌跡である。
【0070】
車両500が高速道路の地点680に到達したときに、ナビゲーション装置100′の差分計算部23′は、渋滞情報取得部22から出力された渋滞情報に基づいて、高速道路の出口から自車位置までの間の道路に含まれている複数の走行レーンのそれぞれについて車両走行速度を特定する。次に、差分計算部23′は、各組の隣接走行レーンについて、一方の走行レーンにおける車両走行速度と、他方の走行レーンにおける車両走行速度との差分を計算する。そして、差分計算部23′は、計算した差分を示す差分情報をタイミング制御部24′に出力する。
【0071】
タイミング制御部24′は、差分計算部23′から出力された差分情報に基づいて、差分が所定値(例えば、30[km])以上となる隣接走行レーンの組が存在するか否かについて判定する。もし、差分が所定値以上となる隣接走行レーンが存在すると判定した場合、所要距離算出部27は、自車両が走行しているHOVレーン700から最終的なレーン変更先である目的走行レーン710へ安全にレーン変更するために必要な距離をレーン変更所要距離として算出する。
【0072】
そして、タイミング制御部24′は、高速道路の出口640に最も近いHOVレーン変更可能区域620aの開始地点から出口640までの距離715が、所要距離算出部27により計算されたレーン変更所要距離より大きいか否かについて判定する。もし、距離715がレーン変更所要距離より大きくないと判定した場合、タイミング制御部24′は、誘導経路案内部21′による出口640に関する経路案内のタイミングを、HOVレーン変更可能区域620aから自車位置までの間に存在するHOVレーン変更可能区域620bの開始地点よりも一定距離手前の地点720に自車両が到達するタイミングに変更する旨の要求信号を誘導経路案内部21′に出力する。誘導経路案内部21′は、タイミング制御部24′からの要求信号を受けて、高速道路の出口640に関する経路案内のタイミングを変更するように経路案内設定の変更を行う。
【0073】
一方、距離715がレーン変更所要距離より大きいと判定した場合、タイミング制御部24′は、案内前倒し時間を計算する。そして、タイミング制御部24′は、計算した案内前倒し時間を示すタイミング情報を誘導経路案内部21′に出力する。誘導経路案内部21′は、高速道路の出口640に関する経路案内のタイミングを通常の経路案内のタイミングと比べて、タイミング制御部24′から出力されたタイミング情報により示される案内前倒し時間だけ早くするように経路案内設定の変更を行う。つまり、図6では、自車両が地点740に到達するタイミングで経路案内が行われる。
【0074】
次に、第2の実施形態におけるナビゲーション装置100′の動作について説明する。図7は、自車両が目的地へ向かって誘導経路上の高速道路を走行している場合におけるナビゲーション装置100′の動作例を示すフローチャートである。図7のフローチャートは、誘導経路を設定した後、目的地に向かって走行を開始したときにスタートする。
【0075】
まず、誘導経路案内部21′は、地図データ記憶部14からの地図データと、車両位置検出部12からの自車位置情報と、誘導経路メモリ19からの誘導経路情報とに基づいて、経路案内すべき次の高速道路の出口(分岐点)を基準にして所定条件を満たす地点に自車位置が到達したか否かについて判定する(ステップS400)。もし、所定条件を満たす地点に自車位置が到達していないと誘導経路案内部21′にて判定した場合(ステップS400にてNO)、処理はステップS740に遷移する。
【0076】
一方、所定条件を満たす地点に自車位置が到達したと誘導経路案内部21′にて判定した場合(ステップS400にてYES)、誘導経路案内部21′は、地図データ記憶部14からの地図データと、車両位置検出部12からの自車位置情報と、誘導経路メモリ19からの誘導経路情報とに基づいて、高速道路の出口から自車位置までの間に複数の走行レーンがある道路が含まれているか否かについて判定する(ステップS420)。もし、複数の走行レーンがある道路が含まれていないと誘導経路案内部21′にて判定した場合(ステップS420にてNO)、誘導経路案内部21′は、通常の経路案内のタイミングになったか否かについて判定する(ステップS620)。
【0077】
もし、通常の経路案内のタイミングになっていないと誘導経路案内部21′にて判定した場合(ステップS620にてNO)、処理はステップS620に遷移する。一方、通常の経路案内のタイミングになったと誘導経路案内部21′にて判定した場合(ステップS620にてYES)、誘導経路案内部21′は、高速道路の出口に関する経路案内を行う(ステップS640)。その後、処理はステップS740に遷移する。
【0078】
一方、複数の走行レーンがある道路が含まれていると誘導経路案内部21′にて判定した場合(ステップS420にてYES)、誘導経路案内部21′はその旨を差分計算部23′に通知する。次に、差分計算部23′は、地図データ記憶部14からの地図データと、車両位置検出部12からの自車位置情報と、走行レーン特定部25から出力された走行中レーン情報とに基づいて、自車両がHOVレーンを現在走行しているか否かについて判定する(ステップS440)。もし、自車両がHOVレーンを現在走行していないと差分計算部23′にて判定した場合(ステップS440にてNO)、処理はステップS620に遷移する。
【0079】
一方、自車両がHOVレーンを現在走行していると差分計算部23′にて判定した場合(ステップS440にてYES)、差分計算部23′は、渋滞情報取得部22から出力された渋滞情報に基づいて、高速道路の出口から自車位置までの道路に含まれている複数の走行レーンの中で互いに隣り合う各組の隣接走行レーンについて、一方の走行レーンにおける車両走行速度と、他方の走行レーンにおける車両走行速度との差分を計算し、計算した差分を示す差分情報をタイミング制御部24′に出力する(ステップS460)。
【0080】
次に、タイミング制御部24′は、差分計算部23′から出力された差分情報に基づいて、差分計算部23により差分が所定値(例えば、30[km/h])以上となる隣接走行レーンが存在するか否かについて判定する(ステップS480)。もし、差分が所定値以上となる隣接走行レーンが存在しないとタイミング制御部24′にて判定した場合(ステップS480にてNO)、処理はステップS620に遷移する。
【0081】
一方、差分が所定値以上となる隣接走行レーンが存在するとタイミング制御部24′にて判定した場合(ステップS480にてYES)、所要距離算出部27は、自車両が走行しているHOVレーンから最終的なレーン変更先である目的走行レーン(出口ランプ)へ安全にレーン変更するために必要な距離をレーン変更所要距離として算出する(ステップS500)。次に、タイミング制御部24′は、高速道路の出口に最も近いHOVレーン変更可能区域の開始地点から高速道路の出口までの距離が、所要距離算出部27により計算されたレーン変更所要距離より大きいか否かについて判定する(ステップS520)。
【0082】
もし、高速道路の出口に最も近いHOVレーン変更可能区域の開始地点から高速道路の出口までの距離がレーン変更所要距離より大きいとタイミング制御部24′にて判定した場合(ステップS520にてNO)、タイミング制御部24′は案内前倒し時間を計算する(ステップS540)。そして、タイミング制御部24′は、計算した案内前倒し時間を示すタイミング情報を誘導経路案内部21′に出力する。次に、誘導経路案内部21′は、高速道路の出口に関する経路案内のタイミングを通常の経路案内のタイミングと比べて、タイミング制御部24′から出力されたタイミング情報により示される案内前倒し時間だけ早くするように設定の変更を行う(ステップS560)。
【0083】
次に、誘導経路案内部21′は、ステップS560にて変更した経路案内のタイミングになったか否かについて判定する(ステップS580)。もし、変更した経路案内のタイミングになっていないと誘導経路案内部21′にて判定した場合(ステップS580にてNO)、処理はステップS580に遷移する。一方、変更した経路案内のタイミングになったと誘導経路案内部21′にて判定した場合(ステップS580にてYES)、誘導経路案内部21′は、高速道路の出口に関する経路案内を行う(ステップS600)。その後、処理はステップS740に遷移する。
【0084】
また、高速道路の出口に最も近いHOVレーン変更可能区域の開始地点から高速道路の出口までの距離がレーン変更所要距離より大きいとタイミング制御部24′にて判定した場合(ステップS520にてYES)、タイミング制御部24′は、誘導経路案内部21′による出口に関する経路案内のタイミングを変更する旨の要求信号を誘導経路案内部21′に出力する(ステップS660)。
【0085】
次に、誘導経路案内部21′は、タイミング制御部24′からの要求信号を受けて、高速道路の出口の手前に存在し当該高速道路の出口に最も近いHOVレーン変更可能区域から自車位置までの間に存在する別のHOVレーン変更可能区域の開始地点より一定距離手前の地点に自車両が到達するタイミングで経路案内を行うように設定を変更する(ステップS680)。
【0086】
次に、誘導経路案内部21′は、ステップS680にて変更した経路案内のタイミングになったか否かについて判定する(ステップS700)。もし、変更した経路案内のタイミングになっていないと誘導経路案内部21′にて判定した場合(ステップS700にてNO)、処理はステップS700に遷移する。一方、変更した経路案内のタイミングになったと誘導経路案内部21′にて判定した場合(ステップS700にてYES)、誘導経路案内部21′は、高速道路の出口に関する経路案内を行う(ステップS720)。その後、処理はステップS740に遷移する。
【0087】
ステップS740では、誘導経路案内部21′は、地図データ記憶部14からの地図データと、車両位置検出部12からの自車位置情報と、誘導経路メモリ19からの誘導経路情報とに基づいて、自車両が目的地に到着したか否かについて判定する。もし、自車両が目的地に到着していないと誘導経路案内部21′にて判定した場合(ステップS740にてNO)、処理はステップS400に遷移する。一方、自車両が目的地に到着したと誘導経路案内部21′にて判定した場合(ステップS740にてYES)、ナビゲーション装置100′は図7における処理を終了する。
【0088】
以上詳しく説明したように、第2の実施形態では、誘導経路上に存在する経路案内すべき高速道路の出口から自車位置までの間に複数のレーンがある道路が含まれている場合、各組の隣接走行レーンについて車両走行速度の差分を計算し、その差分が所定値以上となる隣接走行レーンが存在する場合には、通常の案内タイミングと比べて経路案内のタイミングを早くするようにしている。
【0089】
このように構成した第2の実施形態によれば、互いに隣り合う走行レーンにおける車両走行速度の差が大きい場合、経路案内が通常のタイミングより早いタイミングで行われる。そのため、運転者は、安全にレーン変更を行うため、レーン変更先の走行レーンにおける車両走行速度に自車両の走行速度を合わせるための時間を長く確保することができる。その結果、運転者は、経路案内に係る高速道路の出口の直前においてレーン変更を行うために急な速度変更を行うことを回避でき、安全にレーン変更を行うことができる。
【0090】
また、第2の実施形態では、最終的なレーン変更先である目的走行レーンに安全にレーン変更するために必要なレーン変更所要距離が、高速道路の出口に最も近いHOVレーン変更可能区域の開始地点から出口までの距離より大きい場合、1つ前のHOVレーン変更可能区域の手前に自車両が到達するタイミングに経路案内のタイミングを変更するようにしている。このように構成した第2の実施形態によれば、高速道路の出口640に最も近いHOVレーン変更可能区域620aでレーン変更して間に合うときは経路案内のタイミングを地点740まで前倒して安全にレーン変更することができる。さらに、高速道路の出口640に最も近いHOVレーン変更可能区域620aでレーン変更して間に合わないときでも経路案内のタイミングを地点720まで前倒してレーン変更することができる。
【0091】
なお、上記第2の実施形態では、レーン変更所要距離がHOVレーン変更可能区域の開始地点から高速道路の出口までの距離より大きいという条件を満たす場合に、1つ前のHOVレーン変更可能区域の手前に自車両が到達するタイミングで経路案内を行うようにタイミングを変更する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、差分計算部23′により計算された差分が所定値以上となる隣接走行レーンが存在する場合には、レーン変更所要距離に関する条件を満たすか否かに関係なく、1つ前のHOVレーン変更可能区域の手前に自車両が到達するタイミングで経路案内を行うようにしても良い。このようにすれば、経路案内のタイミングを1つ前のHOVレーン変更可能区域の手前まで前倒して、より確実にレーン変更することができる。
【0092】
また、上記第2の実施形態では、高速道路の出口640に最も近いHOVレーン変更可能区域620aより1つ手前のHOVレーン変更可能区域620bの開始地点の手前の地点720に経路案内タイミングを変更する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、経路案内のタイミングを、HOVレーン変更可能区域620aより2つ以上手前のHOVレーン変更可能区域の開始地点の手前に自車両500が到達するタイミングに変更するようにしても良い。また、HOVレーン変更可能区域620aの1つ手前のHOVレーン変更可能区域620bの終了地点より手前の地点に自車両500が到達するタイミングで経路案内を行うようにしても良い。
【0093】
また、上記第2の実施形態においては、自車両が走行しているHOVレーンとその隣の走行レーンとの組についてのみ車両走行速度の差が所定値以上となるケースが大半と考えられる。そのため、全組の隣接走行レーンのうち、HOVレーンとその隣の走行レーンとの組についてのみ、車両走行速度の差分を計算するようにしても良い。このようにすれば、レーン変更先の走行レーンにおける車両走行速度に自車両の走行速度を合わせるための時間を長く確保することが実質的に不要な隣接走行レーンの組についての差分を使用することにより経路案内のタイミングが不必要に早いタイミングに変更されてしまう可能性を回避することができる。
【0094】
また、上記第2の実施形態において、差分計算部23′により計算された差分が所定値以上となる隣接走行レーンが存在する場合、各組の隣接走行レーンについての差分をすべて使用するのではなく、所定値以上の差分だけを使用して案内前倒し時間を計算するようにしても良い。このようにすれば、レーン変更先の走行レーンにおける車両走行速度に自車両の走行速度を合わせるための時間を長く確保することがそこまで必要でない隣接走行レーンについての差分を使用することにより経路案内のタイミングが不必要に早いタイミングに変更されてしまう可能性を回避することができる。
【0095】
また、上記第2の実施形態において、差分計算部23′により計算された差分が所定値以上となる隣接走行レーンが複数存在する場合に限り、経路案内のタイミングを早くするようにしても良い。このようにすれば、レーン変更することの困難度合いがそれほど大きくない場合、経路案内のタイミングが不必要に早いタイミングに変更されてしまうことを回避することができる。
【0096】
また、上記第1および第2の実施形態では、各組の隣接走行レーンについて車両走行速度の差分を計算し、その差分が所定値以上となる隣接走行レーンが存在する場合には、その差分の大きさに応じて、通常の案内タイミングと比べて経路案内のタイミングを早くする例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、予め経路案内のタイミングを早くしておき、各組の隣接走行レーンについての車両走行速度の差分の大きさに応じて、当該経路案内のタイミングを遅くするようにしても良い。ここで、差分が所定値以上となる隣接走行レーンが存在しない場合、経路案内のタイミングは通常の案内タイミングとする。
【0097】
また、上記第1および第2の実施形態において、図8に示すように、差分計算部23(23′)により計算された差分が所定値以上となる隣接走行レーンが存在する場合、一方の走行レーンから他方の走行レーンへのレーン変更に関して注意を促すための注意情報を出力する注意情報出力部30を更に備えるようにしても良い。例えば、注意情報出力部30は、「車両走行速度の差が大きいため、レーン変更にご注意下さい。」といった内容の注意情報の出力を、ディスプレイ17に対するメッセージの表示によって行う。また、注意情報出力部30は、スピーカ(図示せず)を介して注意情報を音声出力するようにしてもよい。
【0098】
また、上記第1および第2の実施形態において、図9に示すように、自車両の走行速度を検出する走行速度検出部31を更に備え、差分計算部23(23′)は、渋滞情報取得部22により取得された渋滞情報に代えて、走行速度検出部31により検出された走行速度によって自車両が走行している走行レーンにおける車両走行速度を特定するようにしても良い。例えば、走行速度検出部31は、自車両の各タイヤに取り付けられた回転速度センサの検出結果に基づいて自車両の走行速度を検出する。
【0099】
また、上記第1および第2の実施形態において、図10に示すように、カメラ26により撮像された自車両周囲の画像のうち、自車両が走行している走行レーン(一方の走行レーン)に隣り合う走行レーン(他方の走行レーン)を走行している他車両が写っている複数の画像を画像処理する画像処理部33を更に備える。そして、差分計算部23(23′)が、画像処理部33により画像処理された複数の画像の各々における他車両の位置の変化に基づいて、一方の走行レーンにおける車両走行速度と他方の走行レーンにおける車両走行速度との差分を計算するようにしても良い。この構成の場合は、各組の隣接走行レーンのうち、自車両が走行している走行レーンと、レーン変更側にある隣の走行レーンとの組についてのみ、車両走行速度の差分を計算する。
【0100】
また、上記第1および第2の実施形態において、図11に示すように、自車両が走行している走行レーン(一方の走行レーン)に隣り合う他方の走行レーンを走行している他車両の自車両に対する相対位置を所定時間間隔で検出する位置検出レーダ34により検出された相対位置の変化に基づいて、差分計算部23(23′)が、一方の走行レーンにおける車両走行速度と他方の走行レーンにおける車両走行速度との差分を計算するようにしても良い。例えば、位置検出レーダ34は、自車両の周囲にミリ波を照射し、その反射波によって他車両の自車両に対する相対位置を検出するミリ波レーダである。なお、位置検出レーダ34は、自車両の周囲に超音波を照射し、その反射波によって他車両の自車両に対する相対位置を検出する超音波センサでも良い。
【0101】
その他、上記第1および第2の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその精神、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0102】
21,21′ 誘導経路案内部
22 渋滞情報取得部
23,23′ 差分計算部
24,24′ タイミング制御部
25 走行レーン特定部
27 所要距離算出部
30 注意情報出力部
31 走行速度検出部
33 画像処理部
34 位置検出レーダ
100,100′ ナビゲーション装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的地までの誘導経路に沿って自車両を経路誘導するナビゲーション装置であって、
前記誘導経路上に存在する経路案内すべき分岐点に前記自車両が近づくたびに、当該分岐点に関する経路案内を行う誘導経路案内部と、
前記誘導経路案内部により前記経路案内が行われる前記分岐点から自車位置までの間に複数の走行レーンがある道路が含まれている場合、当該複数の走行レーンの中で互いに隣り合う各組の隣接走行レーンの少なくとも1組について、一方の走行レーンにおける車両走行速度と、他方の走行レーンにおける車両走行速度との差分を計算する差分計算部と、
前記差分計算部により計算された差分が所定値以上となる隣接走行レーンの組が存在する場合、当該差分が前記所定値以上となる隣接走行レーンの組が存在しないときに比べて、前記誘導経路案内部による前記分岐点に関する経路案内のタイミングを早くするように制御するタイミング制御部とを備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記差分計算部により計算された差分が所定値以上となる隣接走行レーンの組が存在する場合、前記一方の走行レーンから前記他方の走行レーンへのレーン変更に関して注意を促すための注意情報を出力する注意情報出力部を更に備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記タイミング制御部は、前記差分計算部により計算された差分の大きさが大きくなるにつれて、前記誘導経路案内部による前記分岐点に関する経路案内のタイミングを早くするように制御することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記タイミング制御部は、前記差分計算部により計算された差分が前記所定値以上となる隣接走行レーンの組が存在する場合、前記各組の隣接走行レーンについての差分の合計値が大きくなるにつれて、前記誘導経路案内部による前記分岐点に関する経路案内のタイミングを早くするように制御することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記タイミング制御部は、前記差分計算部により計算された差分が前記所定値以上となる隣接走行レーンの組が存在する場合、当該所定値以上の差分の合計値が大きくなるにつれて、前記誘導経路案内部による前記分岐点に関する経路案内のタイミングを早くするように制御することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記差分計算部は、全組の隣接走行レーンのうち、前記自車両が走行している
走行レーンと、最終的なレーン変更先である目的走行レーンとの間にある隣接走行レーンのうち少なくとも1組のみについて、一方の走行レーンにおける車両走行速度と、他方の走行レーンにおける車両走行速度との差分を計算することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項7】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記一方の走行レーンは、複数の断続的な所定道路区間においてのみ当該一方の走行レーンから前記他方の走行レーンへのレーン変更が許可されている走行レーンであり、
前記タイミング制御部は、前記誘導経路案内部による前記分岐点に関する経路案内のタイミングを、前記分岐点の手前に存在し当該分岐点に最も近い所定道路区間から前記自車位置までの間に存在する別の所定道路区間の終了地点に前記自車両が到達するよりも早いタイミングに変更するように制御することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項8】
請求項7に記載のナビゲーション装置において、
前記タイミング制御部は、前記差分計算部により計算された差分が前記所定値以上となる隣接走行レーンの組が存在する場合、前記各組の隣接走行レーンについての差分に基づいて、前記一方の走行レーンから最終的なレーン変更先である目的走行レーンへレーン変更するために必要な距離をレーン変更所要距離として算出する所要距離算出部を備え、
前記所要距離算出部により算出されたレーン変更所要距離が、前記分岐点の手前に存在し当該分岐点に最も近い所定道路区間の開始地点から前記分岐点までの距離より長いときに限り、前記誘導経路案内部による前記分岐点に関する経路案内のタイミングを変更することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項9】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記複数の走行レーンにおけるそれぞれの渋滞情報を取得する渋滞情報取得部を更に備え、
前記差分計算部は、前記渋滞情報取得部により取得された渋滞情報に基づいて、前記一方の走行レーンおよび前記他方の走行レーンにおける車両走行速度をそれぞれ特定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項10】
請求項9に記載のナビゲーション装置において、
前記自車両の走行速度を検出する走行速度検出部を更に備え、
前記一方の走行レーンは、前記自車両が走行している走行レーンであり、
前記差分計算部は、前記渋滞情報取得部により取得された渋滞情報に代えて、前記走行速度検出部により検出された走行速度によって前記一方の走行レーンにおける車両走行速度を特定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項11】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記一方の走行レーンは、前記自車両が走行している走行レーンであり、
前記自車両の周辺を撮像する撮像部と、
前記撮像部により撮像された画像のうち、前記他方の走行レーンを走行している他の車両が写っている複数の画像を画像処理する画像処理部とを更に備え、
前記差分計算部は、前記画像処理部により画像処理された複数の画像の各々における前記他の車両の位置の変化に基づいて、前記一方の走行レーンにおける車両走行速度と前記他方の走行レーンにおける車両走行速度との差分を計算することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項12】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記一方の走行レーンは、前記自車両が走行している走行レーンであり、
前記差分計算部は、前記他方の走行レーンを走行している他の車両の前記自車両に対する相対位置を所定時間間隔で検出する位置検出レーダにより検出された相対位置の変化に基づいて、前記一方の走行レーンにおける車両走行速度と前記他方の走行レーンにおける車両走行速度との差分を計算することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項13】
目的地までの誘導経路に沿って自車両を経路誘導するナビゲーション装置におけるレーン変更案内方法であって、
前記誘導経路上に存在する経路案内すべき分岐点から自車位置までの間に複数の走行レーンがある道路が含まれている場合、当該複数の走行レーンのうち互いに隣り合う各組の隣接走行レーンの少なくとも1組について、一方の走行レーンにおける車両走行速度と他方の走行レーンにおける車両走行速度との差分を計算する第1のステップと、
前記第1のステップにより計算された差分が所定値以上となる隣接走行レーンの組が存在する場合、当該差分が前記所定値以上となる隣接走行レーンの組が存在しないときに比べて、前記分岐点に関する経路案内のタイミングを早くするように制御する第2のステップとを有することを特徴とするレーン変更案内方法。
【請求項1】
目的地までの誘導経路に沿って自車両を経路誘導するナビゲーション装置であって、
前記誘導経路上に存在する経路案内すべき分岐点に前記自車両が近づくたびに、当該分岐点に関する経路案内を行う誘導経路案内部と、
前記誘導経路案内部により前記経路案内が行われる前記分岐点から自車位置までの間に複数の走行レーンがある道路が含まれている場合、当該複数の走行レーンの中で互いに隣り合う各組の隣接走行レーンの少なくとも1組について、一方の走行レーンにおける車両走行速度と、他方の走行レーンにおける車両走行速度との差分を計算する差分計算部と、
前記差分計算部により計算された差分が所定値以上となる隣接走行レーンの組が存在する場合、当該差分が前記所定値以上となる隣接走行レーンの組が存在しないときに比べて、前記誘導経路案内部による前記分岐点に関する経路案内のタイミングを早くするように制御するタイミング制御部とを備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記差分計算部により計算された差分が所定値以上となる隣接走行レーンの組が存在する場合、前記一方の走行レーンから前記他方の走行レーンへのレーン変更に関して注意を促すための注意情報を出力する注意情報出力部を更に備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記タイミング制御部は、前記差分計算部により計算された差分の大きさが大きくなるにつれて、前記誘導経路案内部による前記分岐点に関する経路案内のタイミングを早くするように制御することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記タイミング制御部は、前記差分計算部により計算された差分が前記所定値以上となる隣接走行レーンの組が存在する場合、前記各組の隣接走行レーンについての差分の合計値が大きくなるにつれて、前記誘導経路案内部による前記分岐点に関する経路案内のタイミングを早くするように制御することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記タイミング制御部は、前記差分計算部により計算された差分が前記所定値以上となる隣接走行レーンの組が存在する場合、当該所定値以上の差分の合計値が大きくなるにつれて、前記誘導経路案内部による前記分岐点に関する経路案内のタイミングを早くするように制御することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記差分計算部は、全組の隣接走行レーンのうち、前記自車両が走行している
走行レーンと、最終的なレーン変更先である目的走行レーンとの間にある隣接走行レーンのうち少なくとも1組のみについて、一方の走行レーンにおける車両走行速度と、他方の走行レーンにおける車両走行速度との差分を計算することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項7】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記一方の走行レーンは、複数の断続的な所定道路区間においてのみ当該一方の走行レーンから前記他方の走行レーンへのレーン変更が許可されている走行レーンであり、
前記タイミング制御部は、前記誘導経路案内部による前記分岐点に関する経路案内のタイミングを、前記分岐点の手前に存在し当該分岐点に最も近い所定道路区間から前記自車位置までの間に存在する別の所定道路区間の終了地点に前記自車両が到達するよりも早いタイミングに変更するように制御することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項8】
請求項7に記載のナビゲーション装置において、
前記タイミング制御部は、前記差分計算部により計算された差分が前記所定値以上となる隣接走行レーンの組が存在する場合、前記各組の隣接走行レーンについての差分に基づいて、前記一方の走行レーンから最終的なレーン変更先である目的走行レーンへレーン変更するために必要な距離をレーン変更所要距離として算出する所要距離算出部を備え、
前記所要距離算出部により算出されたレーン変更所要距離が、前記分岐点の手前に存在し当該分岐点に最も近い所定道路区間の開始地点から前記分岐点までの距離より長いときに限り、前記誘導経路案内部による前記分岐点に関する経路案内のタイミングを変更することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項9】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記複数の走行レーンにおけるそれぞれの渋滞情報を取得する渋滞情報取得部を更に備え、
前記差分計算部は、前記渋滞情報取得部により取得された渋滞情報に基づいて、前記一方の走行レーンおよび前記他方の走行レーンにおける車両走行速度をそれぞれ特定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項10】
請求項9に記載のナビゲーション装置において、
前記自車両の走行速度を検出する走行速度検出部を更に備え、
前記一方の走行レーンは、前記自車両が走行している走行レーンであり、
前記差分計算部は、前記渋滞情報取得部により取得された渋滞情報に代えて、前記走行速度検出部により検出された走行速度によって前記一方の走行レーンにおける車両走行速度を特定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項11】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記一方の走行レーンは、前記自車両が走行している走行レーンであり、
前記自車両の周辺を撮像する撮像部と、
前記撮像部により撮像された画像のうち、前記他方の走行レーンを走行している他の車両が写っている複数の画像を画像処理する画像処理部とを更に備え、
前記差分計算部は、前記画像処理部により画像処理された複数の画像の各々における前記他の車両の位置の変化に基づいて、前記一方の走行レーンにおける車両走行速度と前記他方の走行レーンにおける車両走行速度との差分を計算することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項12】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記一方の走行レーンは、前記自車両が走行している走行レーンであり、
前記差分計算部は、前記他方の走行レーンを走行している他の車両の前記自車両に対する相対位置を所定時間間隔で検出する位置検出レーダにより検出された相対位置の変化に基づいて、前記一方の走行レーンにおける車両走行速度と前記他方の走行レーンにおける車両走行速度との差分を計算することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項13】
目的地までの誘導経路に沿って自車両を経路誘導するナビゲーション装置におけるレーン変更案内方法であって、
前記誘導経路上に存在する経路案内すべき分岐点から自車位置までの間に複数の走行レーンがある道路が含まれている場合、当該複数の走行レーンのうち互いに隣り合う各組の隣接走行レーンの少なくとも1組について、一方の走行レーンにおける車両走行速度と他方の走行レーンにおける車両走行速度との差分を計算する第1のステップと、
前記第1のステップにより計算された差分が所定値以上となる隣接走行レーンの組が存在する場合、当該差分が前記所定値以上となる隣接走行レーンの組が存在しないときに比べて、前記分岐点に関する経路案内のタイミングを早くするように制御する第2のステップとを有することを特徴とするレーン変更案内方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−106929(P2011−106929A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−261352(P2009−261352)
【出願日】平成21年11月16日(2009.11.16)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月16日(2009.11.16)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】
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