説明

ナビゲーション装置及び方法

【課題】簡便な構成で、より確実に、ETCカードの挿入確認を促すことができる技術を提供する。
【解決手段】地図データに基づいてルート探索を行うルート探索手段を備えたナビゲーション装置において、探索されたルート上に有料道路が存在する場合、又はETCシステムに対応した箇所が存在する場合、関連するETC車載器に対するETCカードの挿入の有無に関係なく、該ETCカードの挿入の確認を促す旨の所定の出力を行う出力手段(ステップ21〜25)を設ける。出力手段は、前記所定の出力を、たとえばルート探索が行われた直後に行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図データに基づくルート探索手段を備えたナビゲーション装置及びこれに適したナビゲーション方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、渋滞の緩和等を目的として、有料道路の料金所をノンストップで通過することを可能にしたETC(Electronic Toll Collection System)が利用されている。ETCシステムにおいては、入口料金所において料金所アンテナからETC車載器に入口情報が送信される。そして出口料金所において、ETC車載器から料金所アンテナへ入口情報を送信し、これに応じて、料金所アンテナからETC車載器に対し、通行料金の情報を送信するようになっている。
【0003】
通行料金の支払いには入口料金所及び出口料金所において同一のETCカードがETC車載器に挿入されていることが必要とされている。ETCカードが挿入されていない場合には、入口料金所及び出口料金所においてETCゲートの開閉バーが開かず、ゲートを通過することができないようになっている。
【0004】
このような所定のカードの装着が行われていない状態で料金所のゲートを通過しようと試みるのを防止するために、特許文献1において、ナビゲーション装置に設定された走行ルートに基づいて有料道路を走行する予定があると判定される場合や、料金所ゲートの所定距離手前に到達した場合において、所定のカードの挿入の有無をチェックし、挿入されていないときには、「有料道路を利用します。カードを入れて下さい。」との合成音声や「まもなく料金ゲートですので、カードを入れて下さい。」との合成音声を出力するようにした技術が記載されている。
【0005】
なお、ETCシステムに関する情報の表示としては、ETCシステムに対応した料金所に、その旨の予告アンテナが設置されている場合には、ETCの予告案内表示を行うようにしたナビゲーション装置も知られている。また、ETC車載器が接続されている場合、表示画面上の所定位置にETCマークを表示し、その表示色を、ETCカードが挿入されているときには青色とし、挿入されていないときには赤色とするようにしたナビゲーション装置も知られている。
【0006】
【特許文献1】特許第3214238号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の有料道路を走行する予定があると判定され、かつ所定のカードが挿入されていない場合に警告のメッセージを出力する上述従来の技術によれば、警告メッセージが出力されない場合、警告メッセージが出力されないのは、有料道路を走行する予定がないからなのか、又は有料道路を走行する予定があり、かつカードが挿入されているからなのか、あるいはETC車載器等に不具合があるからなのかをユーザは直ちに判断することができない。
【0008】
また、料金所ゲートの所定距離手前に到達したとき等の走行中における所定のタイミングで警告メッセージが出力される場合には、安全にカードを挿入することができないおそれや、警告が出るかどうかが気になって、運転に集中できないおそれもある。さらに、所定のカードの挿入の有無を検出する必要があるので、その分、システムの構成が複雑になる。また、その検出機能に不具合があると、警告メッセージが出力されないので、カードが挿入されていないことにまったく気付かないまま、料金所ゲートへ侵入してしまうおそれもある。
【0009】
本発明の目的は、このような従来技術の問題点に鑑み、簡便な構成で、より確実に、ETCカードの挿入確認を促すことができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、第1の発明に係るナビゲーション装置は、地図データに基づいてルート探索を行うルート探索手段を備えたナビゲーション装置において、探索されたルート上に有料道路が存在する場合、関連するETC車載器に対するETCカードの挿入の有無に関係なく、該ETCカードの挿入の確認を促す旨の所定の出力を行う出力手段を具備することを特徴とする。
【0011】
ここで、「探索されたルート」とは、複数のルート候補が探索される場合は、そのうちの採用されたルートを意味する。ナビゲーション装置としては、たとえば、ETC車載器とともに、4輪自動車や2輪自動車に搭載されるものが該当する。有料道路としては、たとえば高速道路や一般の有料道路が該当する。ETC車載器は、ナビゲーション装置に接続されていないものであってもよい。出力手段としては、たとえば、音声出力や画像表示による出力を行うものが該当する。
【0012】
この構成において、探索されたルート上に有料道路が存在する場合、ETCカードの挿入の確認を促す旨の所定の出力が行われるが、この出力はETC車載器に対するETCカードの挿入の有無に関係なく行われる。したがって、探索されたルート上に有料道路が存在する場合には、簡便な構成で、かつ確実に、ETCカードの挿入の確認を促すことができる。
【0013】
第2の発明に係るナビゲーション装置は、第1発明において、地図データにはETCレーンに関する情報が含まれており、出力手段は、前記所定の出力を、探索されたルート上にETCレーンが存在する場合に行うものであることを特徴とする。
【0014】
第3の発明に係るナビゲーション装置は、第1又は第2発明において、地図データにはETCシステムに対応した箇所に関する情報が含まれており、出力手段は、前記所定の出力を、探索されたルート上にETCシステムに対応した箇所が存在する場合に行うものであることを特徴とする。ETCシステムに対応した箇所としては、たとえば、ETCカードが使える駐車場が該当する。
【0015】
第4の発明に係るナビゲーション装置は、ETCシステムに対応した箇所に関する情報が含まれた地図データに基づいてルート探索を行うルート探索手段を備えたナビゲーション装置において、探索されたルート上にETCシステムに対応した箇所が存在する場合、関連するETC車載器に対するETCカードの挿入の有無に関係なく、該ETCカードの挿入の確認を促す旨の所定の出力を行う出力手段を具備することを特徴とする。
【0016】
第5の発明に係るナビゲーション装置は、第1〜第4のいずれかの発明において、出力手段は、前記所定の出力を、ルート探索が行われた直後に行うものであることを特徴とする。
【0017】
第6の発明に係るナビゲーション装置は、第1〜第5のいずれかの発明において、出力手段は、前記所定の出力を、乗車時に行うものであることを特徴とする。ここで、乗車時には、たとえば、有料道路のサービスエリア等で停車し、ETCカードをETC車載器から抜き取って使用し、その後に再発進する場合が含まれる。
【0018】
第7の発明に係るナビゲーション装置は、第1〜第6のいずれかの発明において、出力手段は、前記所定の出力を、所定の操作が行われるまで継続するものであることを特徴とする。
【0019】
第8の発明に係るナビゲーション装置は、第1〜第6のいずれかの発明において、出力手段は、前記所定の出力を、所定期間だけ行うものであることを特徴とする。所定期間としては、たとえば10秒間が該当する。
【0020】
第9の発明に係るナビゲーション方法は、地図データに基づくルート探索手段を備えたナビゲーション装置におけるナビゲーション方法であって、探索されたルート上に有料道路又はETCシステムに対応した箇所が存在するか否かを判定する工程と、探索されたルート上に有料道路又はETCシステムに対応した箇所が存在すると判定された場合、関連するETC車載器に対するETCカードの挿入の有無に関係なく、該ETCカードの挿入の確認を促す旨の所定の出力を行う工程とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、探索されたルート上に有料道路やETCシステムに対応した箇所が存在する場合には、関連するETC車載器に対するETCカードの挿入の有無に関係なく、該ETCカードの挿入の確認を促す旨の出力を行うようにしたため、簡便な構成で、より確実に、ETCカードの挿入確認を促すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1は本発明の一実施形態に係るナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。このナビゲーション装置は同図に示すように、必要な情報処理や装置各部の制御を行う制御部11、装置が搭載された車両の現在位置を検出する現在位置検出部12、ナビゲーションに必要なデータ等を記憶する記憶部13、必要な情報を音声により出力する音声出力部14、地図図形や操作に必要な情報を表示するための表示部15、制御部11に対する操作入力を行うための操作部16、及び装置が搭載された車両に対する乗車がなされたことを検出する乗車検出部17を備える。
【0023】
現在位置検出部12はGPSや慣性航法により現在位置を取得するものである。記憶部13は地図データ、プログラム、処理中のデータ等を記憶するものであり、ハードディスク装置、RAM、ROM等により構成されている。乗車検出部17は、たとえば、イグニッションスイッチがオンされたことや、車両のドアが閉じられたこと等に基づき、乗車されたことを検出するものである。操作部16は、表示部15上に設けられたタッチパネルを備え、タッチによる操作入力も行うことができるようになっている。
【0024】
ナビゲーション装置には、ナビゲーション装置とともに車両に搭載されているETC車載器18が接続されている。制御部11はETC車載器18からの所定の信号に基づき、ETC車載器18に対してETCカードが挿入されているか否かを認識することができるようになっている。制御部11はETC車載器18が接続されている場合、その旨を検出し、表示部15における表示画面上の所定位置にETCマークを表示することができる。その場合、ETCマークの表示色を、ETCカードがETC車載器18に挿入されているときには青色とし、挿入されていないときには赤色とすることができる。
【0025】
図2は制御部11による処理の一部を示すフローチャートである。この処理はルート探索を行い得る状況において、繰り返し実施される。処理を開始すると制御部11は、まずステップ21において、ルート探索が行われたか否かを判定する。なお、ルート探索が行われたということは、ルート探索処理が実行され、1つ又は複数の候補ルートが探し出され、そのうちの1つが、ナビゲーションの対象となるべきルートとして採用されたことを意味する。
【0026】
ルート探索が行われなかったと判定した場合には図2の処理を終了し、ルート探索が行われたと判定した場合には、ステップ22において、探索されたルート上に有料道路が存在するか否かを判定する。この判定は、地図データに基づいて判定することができる。有料道路が存在しないと判定した場合には図2の処理を終了する。有料道路が存在すると判定した場合には、ステップ23において、ETCカードがETC車載器16に挿入されているかどうかの確認を促すメッセージ(以下、「確認メッセージ」という。)を表示部15において表示する。
【0027】
確認メッセージの内容としては、たとえば「ETCカードの挿入を確認してください。」が該当する。確認メッセージの表示に併せ、ポーン音を音声出力部14から出力させるのが好ましい。上述のように、ETCマークの表示を行っている場合には、「地図上のETCマーク 青:OK 赤:NG」との表示を伴うようにしてもよい。さらに、これらの表示内容を、音声出力部14から音声メッセージとして、併せて出力するようにしてもよい。
【0028】
確認メッセージを表示した後、ステップ24において、表示部15上に表示されている確認メッセージがタッチパネルを介してタッチされるかどうかを監視する。タッチされたことを検出すると、ステップ25へ進み、確認メッセージの表示を消去し、図2の処理を終了する。
【0029】
これによれば、ルート探索が行われたとき、ルート上に有料道路が存在する場合には、確認メッセージを、確実に表示させることができる。また、確認メッセージはルート探索直後に出力され、ルート探索時は通常、車両は停止状態にあるので、ドライバは安全にETCカードの挿入の有無を確認し、挿入されていない場合にはETCカードを挿入することができる。また、ETCカードが実際に挿入されているかどうかには関係なく、確認メッセージの表示を行うようにしているため、ETCカードの挿入の有無を確認する必要がないので、その分、装置の構成を簡便なものとすることができる。さらに、ETC車載器16の誤作動等により、ETCカードの挿入の有無を正しく判定することができない場合でも、確実に、確認メッセージの表示を行うことができる。また、ユーザが確認メッセージをタッチしてから確認メッセージを消去するようにしているので、ユーザはETCカードの挿入の確認をすべきことを確実に認識することができる。
【0030】
なお、本発明は上述の実施形態に限定されることなく、適宜変形して実施することができる。たとえば、上述においては、探索されたルート上に有料道路が存在する場合に確認メッセージの表示を行うようにしているが、この代わりに、探索されたルート上にETCシステムに対応した箇所や、ETCレーンが存在する場合に、確認メッセージの表示を行うようにしてもよい。あるいは、探索されたルート上に有料道路が存在し、かつその有料道路上にETCレーンやETCシステムに対応した箇所がある場合に、確認メッセージの表示を行うようにしてもよい。また、有料道路上のETCシステムに対応した箇所に限らず、探索されたルート上に、有料道路上以外の、ETCシステムに対応し、ETCカードにより決済できる箇所がある場合にも、確認メッセージの表示を行うようにしてもよい。なお、「ルート上」には目的地や立寄り地も含まれる。
【0031】
また、上述においては、ステップ24において、確認メッセージの表示がタッチされたと判定した場合に、確認メッセージの表示を解除するようにしているが、この代わりに、確認メッセージの表示を開始してから所定の期間、たとえば10秒間が経過したとき、確認メッセージの表示を消去するようにしてもよい。
【0032】
また、上述においては、確認メッセージの表示タイミングとして、ルート探索が行われた直後を採用しているが、この代わりに、又はこれに加え、乗車時を採用してもよい。乗車時としては、たとえば、有料道路のサービスエリア等において、カードを取り外してサービスエリア内で使用した後、再発進するために再乗車するときが該当する。乗車時であることの判定は、乗車検出部17の出力を参照することにより行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施形態に係るナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1の装置の制御部による処理の一部を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0034】
11:制御部、12:現在位置検出部、13:記憶部、14:音声出力部、15:表示部、16:操作部、17:乗車検出部、18:ETC車載器。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図データに基づいてルート探索を行うルート探索手段を備えたナビゲーション装置において、探索されたルート上に有料道路が存在する場合、関連するETC車載器に対するETCカードの挿入の有無に関係なく、該ETCカードの挿入の確認を促す旨の所定の出力を行う出力手段を具備することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記地図データにはETCレーンに関する情報が含まれており、前記出力手段は、前記所定の出力を、前記探索されたルート上にETCレーンが存在する場合に行うものであることを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記地図データにはETCシステムに対応した箇所に関する情報が含まれており、前記出力手段は、前記所定の出力を、前記探索されたルート上にETCシステムに対応した箇所が存在する場合に行うものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
ETCシステムに対応した箇所に関する情報が含まれた地図データに基づいてルート探索を行うルート探索手段を備えたナビゲーション装置において、探索されたルート上にETCシステムに対応した箇所が存在する場合、関連するETC車載器に対するETCカードの挿入の有無に関係なく、該ETCカードの挿入の確認を促す旨の所定の出力を行う出力手段を具備することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
前記出力手段は、前記所定の出力を、前記ルート探索が行われた直後に行うものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記出力手段は、前記所定の出力を、乗車時に行うものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
前記出力手段は、前記所定の出力を、所定の操作が行われるまで継続するものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項8】
前記出力手段は、前記所定の出力を、所定期間だけ行うものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項9】
地図データに基づくルート探索手段を備えたナビゲーション装置におけるナビゲーション方法であって、
探索されたルート上に有料道路又はETCシステムに対応した箇所が存在するか否かを判定する工程と、
前記探索されたルート上に有料道路又はETCシステムに対応した箇所が存在すると判定された場合、関連するETC車載器に対するETCカードの挿入の有無に関係なく、該ETCカードの挿入の確認を促す旨の所定の出力を行う工程とを具備することを特徴とするナビゲーション方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−78547(P2007−78547A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−267915(P2005−267915)
【出願日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】