説明

ナビゲーション装置

【課題】 運転者に不快感を与えることなく音声ガイダンスを実行するナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】 運転データから対象交差点での運転者の行動を推定し、曲がるべき交差点で運転者が直進しようとしている場合(S410:YES,S420:NO)、又は、直進すべき交差点で運転者が曲がろうとしている場合(S410:NO,S460:YES)、即ち、設定された進路と運転者の行動とが不一致である場合にのみ、音声ガイダンスを実行し、音声ガイダンスを実行した場合は、予め設定された所定時間だけ待機する(S440〜450,S470〜S480)。但し、曲がるべき交差点で直進しようとしている場合は、対象交差点までの距離Cdが、車速Vから算出される必要距離Dneed=f(V)より小さい場合にのみ、音声ガイダンスを実行する(S430)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の運転者の行動推定を用いてガイダンスを行うナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両に搭載されるナビゲーション装置では、目的地までの経路設定を行い、その設定された経路に従って、画面や音声を用いて運転者に対するガイダンス(経路案内)を行っている。
【0003】
例えば、交差点での進路に関する音声ガイダンスは、GPSの観測データ等から算出される絶対位置と、現在位置や設定経路の表示等に用いる地図データとに基づいて、自車両から交差点までの距離を算出し、その交差点までの距離を交差点での進路と共に音声で伝えるようにされている。
【0004】
また、このような音声ガイダンスは、通常、交差点に接近したある時点で単発的に行われるため、例えば他車の挙動に運転者の注意が向いているような場合に、これを聞き逃してしまう可能性がある。このため、音声ガイダンスに対する運転者の反応をターンシグナル信号の有無から検出し、運転者の反応が音声ガイダンスによる誘導とは異なる場合に、音声ガイダンスを再度行うものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平9−329456号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、交差点で右折又は左折する時にターンシグナルを点灯させるタイミングは、運転者によって様々であり、運転者がナビゲーション装置で設定された経路通りに運転しようとしているにもかかわらず、音声ガイダンスが繰り返し行われると、運転者に不快感を与えてしまうという問題があった。
【0006】
そこで本発明では、上記問題点を解決するために、運転者に不快感を与えることなく音声ガイダンスを実行するナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するためになされた本発明のナビゲーション装置では、距離算出手段が、目的地までの経路を表す経路情報、及び車両の現在位置を表す位置情報を取得し、これら経路情報及び位置情報に基づいて、経路情報に含まれる案内ポイントまでの距離を求める。また、運転データ取得手段が、自車両の速度情報と、自車両の走行状態に影響を与える運転者の車両操作に関わる操作情報とからなる運転データを取得し、運転者行動推定手段が、この運転データ取得手段にて取得された運転データの履歴に基づいて案内ポイントでの運転者の行動を推定する。
【0008】
そして、音声ガイダンス実行手段が、距離算出手段にて求められた距離が予め設定された許容値以下であり、且つ運転者行動推定手段での推定結果と、案内ポイントで採るべき運転者の行動とが不一致である場合に、その案内ポイントに関する音声ガイダンスを実行する。
【0009】
従って、本発明のナビゲーション装置によれば、分岐点で運転者が採るべき行動と、運転データから推定される案内ポイント(例えば経路の分岐点など)での運転者の行動とが一致していれば、音声ガイダンスは実行されず、即ち、本当に必要な時にだけ音声ガイダンスが実行されることになるため、運転者に不快感を与えることなく必要な情報を提供することができる。
【0010】
また、本発明のナビゲーション装置では、速度情報と操作情報とからなる運転データの履歴に基づいて運転者の行動を推定しているため、運転者が案内ポイントの手前で実行すべき具体的な行動(例えば経路の分岐点におけるターンシグナルの操作)を起こす以前に、運転者の行動を推定することができ、ターンシグナルに基づいて音声ガイダンスの制御を実行する従来装置と比較して、より的確な音声ガイダンスを実行することができる。
【0011】
ところで、自車両の走行状態とは、具体的には、例えば、車両の加減速が考えられる。この場合、操作情報としては、例えば、アクセルペダル及びブレーキペダルに関するものを用いればよい。
【0012】
但し、自車両の走行状態とは、車両の加減速に限るものではなく、例えば、車両の向きなども考えられ、その場合、操作情報としては、例えば、ステアリングに関するものを用いればよい。
【0013】
また、運転者行動推定手段は、予め収集された運転データ又は運転データに相当する疑似運転データからなる蓄積データに基づき、これら蓄積データの履歴から特定される運転行動パターンを分類することで生成された複数のテンプレートを備え、このテンプレートと運転データ取得手段にて取得された運転データの履歴とを比較することで案内ポイントでの運転者の行動を推定するように構成してもよい。但し、疑似運転データとは、例えば、ドライビングシミュレータを用いるなどして、実車を運転することなく収集される運転データと同等のデータのことである。
【0014】
そして、この場合、テンプレートは、例えば、次のようにして作成されたものを用いることができる。
まず、案内ポイント前の一定期間の間に収集された一連(N1個:N1は正整数)の蓄積データを蓄積データ群とし、これら蓄積データ群間で互いに近似したもの同士を同一クラスタに分類する。次に、その分類されたクラスタ毎に、同じタイミングで取得された蓄積データの平均値を算出することで、一連(N1個)の平均蓄積データからなる平均データ群を生成する。更に、生成された平均データ群のそれぞれについて、該平均データ群の中から連続したN2(N2はN1より小さい正整数)個の平均蓄積データからなる部分データ群を、その先頭となる平均蓄積データの位置を、予め設定されたシフト期間ずつシフトさせながら切り出す。このようにして切り出された部分データ群のそれぞれをテンプレートとする。
【0015】
つまり、平均データ群は、案内ポイント前で生じる運転データの特徴的な変化パターンの平均的な発生タイミングを表すものであり、この平均データ群から、タイミングをずらしながら切り出した部分データ群をテンプレートとしている。
【0016】
従って、このようなテンプレートを用いる本発明では、特徴的な変化パターンが平均より速いタイミングで発生したり、逆に平均より遅いタイミングで発生したとしても、これを確実に捉えることができ、運転者の行動を精度良く推定することができる。
【0017】
なお、テンプレートは、複数の運転者について収集した蓄積データによって作成されていてもよいし、特定の運転者について収集した蓄積データによって作成されていてもよい。
【0018】
前者の場合、全ての運転者に対して共通に適用可能なテンプレートとすることができ、また、後者の場合、特定の運転者の行動を非常に高精度に推定することが可能なテンプレートとすることができる。
【0019】
また、テンプレートを、予め設定された天候の種類毎又は予め設定された時間帯毎に用意し、運転者行動推定手段は、外部から取得した天候又は時間帯を特定する情報に基づいて、使用するテンプレートを切り換えるように構成してもよい。
【0020】
即ち、運転者の行動や運転データは、道路の状態や周囲の明るさ等の環境的な要因によって変化するため、これら環境的な要因との対応関係を有する天候や時間帯等に基づいてテンプレートの切り換えを行うことにより、より高精度に運転者の行動を推定することができる。
【0021】
ところで、案内ポイントは、具体的には経路の分岐点が考えられ、案内ポイントでの運転者の行動とは、分岐点での進路に応じた車両操作が考えられる。
この場合、曲がるべき分岐点で運転者の行動が直進しようとするものであると推定される場合は、曲がるべきこと(直進すべきではないこと)を案内し、或いは直進すべき分岐点で運転者の行動が曲がろうとするものであると推定される場合は、直進すべきこと(曲がるべきではないこと)を案内すればよい。
【0022】
また、運転者が余裕を持って音声ガイダンスに従うことができるタイミング(案内ポイントまでの距離)は、車速によって異なり、音声ガイダンスのタイミングが早過ぎると、分岐点までの距離を正しく把握することができず、手前の分岐点をガイダンスされた分岐点と勘違いしたり、ガイダンスされた分岐点を通り過ぎてしまう可能性があり、逆に音声ガイダンスのタイミングが遅過ぎると、運転者がガイダンスに従うことができない可能性がある。
【0023】
そこで、音声ガイダンス実行手段にて使用される許容値は、車速に応じて可変設定されることが望ましい。
また、音声ガイダンス実行手段は、音声ガイダンスを実行した場合、その音声ガイダンスの対象となった案内ポイントに関する再度の音声ガイダンスの実行を禁止する第1禁止手段、又は、同じく再度の音声ガイダンスの実行を予め設定された待機時間だけ禁止する第2禁止手段を備えていてもよい。
【0024】
このうち前者の場合、音声ガイダンスは1度しか実行されないため、音声ガイダンスが繰り返されることで運転者に不快感を与えてしまうことを確実に防止することができる。
一方、後者の場合、音声ガイダンスに運転者が従わなければ、待機時間毎に繰り返し音声ガイダンスが実行されることになり、音声ガイダンスの内容を運転者に確実に認識させることができる。
【0025】
なお、音声ガイダンス実行手段は、運転者行動推定手段での推定結果と、案内ポイントで採るべき運転者の行動とが一致する場合、該案内ポイントに関する音声ガイダンスの実行を禁止するように構成してもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態のナビゲーション装置10の構成、及びナビゲーション装置10が接続された車内LANの概略構成を示すブロック図である。
【0027】
図1に示すように、ナビゲーション装置10は、車両に搭載され、車内LAN24を介してエンジンECU21,ブレーキECU22,ステアリングECU23をはじめとする各種ECUや車載機器と接続されている。
【0028】
このうち、エンジンECU21は、少なくとも、運転者のアクセルペダルの踏込量に応じたアクセル開度を検出するアクセル開度センサからの検出信号に基づいて、エンジンの回転を制御するように構成されている。また、ブレーキECU22は、少なくとも、運転者のブレーキペダル操作に応じてブレーキ油を圧送するマスタシリンダの油圧からブレーキ操作量を検出するマスタシリンダ圧センサや、車速を検出する車速センサからの検出信号に基づいて、ABS制御やトラクション制御等を実行するように構成されている。また、ステアリングECU23は、少なくとも、ドライバのステアリング操作時における前輪の操舵角を検出するステア各センサからの検出信号に基づいて、操舵輪の舵角変更時のア
シスト力を発生させるパワーステアリング制御を実行するように構成されている。
【0029】
そして、これらECU21〜23等にて検出される各種車両情報(アクセル開度,ブレーキ操作量,車速など)は、車内LAN24を介して相互に任意に送受信できるようにされている。
【0030】
次に、ナビゲーション装置10は車両に搭載され、車両の現在位置を検出する位置検出器11と、車両周囲の状態を検出する各種センサからなるセンサ群9と、ユーザーからの各種指示を入力するための操作スイッチ群12と、操作スイッチ群12と同様に各種指示を入力可能であってナビゲーション装置10とは別体となったリモートコントロール端末(以下、リモコンと称す)13aと、リモコン13aからの信号を入力するリモコンセンサ13bと、パケット通信網に接続して外部と通信を行う外部通信機14と、地図データや各種の情報を記録した地図記憶媒体から地図データ等を入力する地図データ入力器15と、地図や各種情報の表示を行うための表示部16と、各種のガイド音声等を出力するための音声出力部17と、ユーザーが発話した音声に基づく電気信号を出力するマイクロフォン18と、車内LAN24を介して他の装置と各種車両情報等をやりとりする車内LAN通信部20と、上述した位置検出器11,センサ群9,操作スイッチ群12,リモコンセンサ13b,地図データ入力器15,マイクロフォン18,車内LAN通信部20からの入力に応じて各種処理を実行し、表示部16,音声出力部17,車内LAN通信部20を制御する制御部19とを備え このうち、位置検出器11は、GPS(Global Positioning System )用の人工衛星からの電波を図示しないGPSアンテナを介して受信してその受信信号を出力するGPS受信機11aと、車両に加えられる回転運動の大きさを検出するジャイロスコープ11bと、車両の前後方向の加速度等から走行した距離を検出するための距離センサ11cと、地磁気から進行方位を検出するための地磁気センサ11dとを備えている。そして、これら各センサ等11a〜11dからの出力信号に基づいて制御部19が、車両の位置,方位,速度等を算出する。なお、GPS受信機11aからの出力信号に基づいて現在位置を求める方式は様々な方式があるが、単独測位方式、相対測位方式(D−GPS方式,干渉測位方式)の何れであってもよい。特に干渉測位方式のうちのRTK−GPS(RealTime Kinematics Global Positioning System )方式を利用するようになっているとよい。
【0031】
操作スイッチ群12は、表示部16の表示面と一体に構成されたタッチパネル及び表示部16の周囲に設けられたメカニカルなキースイッチ等から構成される。尚、タッチパネルと表示部16とは積層一体化されており、タッチパネルには、感圧方式,電磁誘導方式,静電容量方式,あるいはこれらを組み合わせた方式など各種の方式があるが、その何れを用いてもよい。
【0032】
センサ群9は、周知の雨滴センサや日射センサ等の天候の特定に使用可能なセンサの他、自車両のヘッドライトの点灯状態を検出するセンサやタイマー等、時間帯の特定に使用可能なセンサや機器や、車両周囲の状況を撮像するカメラ等を含む。
【0033】
外部通信機14は、外部のパケット通信網を介してGPSの基準基地局とデータの送受信を行う(RTK−GPS方式の測位の際)ように構成される。
地図データ入力器15は、図示しない地図記憶媒体に記憶された各種データを入力するための装置である。地図記憶媒体には、地図データ(ノードデータ、リンクデータ、コストデータ、道路データ、地形データ、マークデータ、交差点データ、施設のデータ等)、案内用の音声データ、音声認識データ等が記憶されている。このようなデータを記憶する記憶媒体の種類としては、CD−ROMやDVD−ROMの他、ハードディスクやメモリカード等の記憶媒体を用いても良い。
【0034】
表示部16は、カラー表示装置であり、液晶ディスプレイ,有機ELディスプレイ,CRTなどがあるが、その何れを用いてもよい。表示部16の表示画面には、地図データ入力器15より入力された地図データに基づく地図画像が表示され、この地図画像に重ねて位置検出器11にて検出した車両の現在地を示すマーク、目的地までの誘導経路、名称、目印、各種施設のマーク等の付加データも表示される。
【0035】
音声出力部17は、地図データ入力器15より入力した施設のガイドや各種案内の音声を出力する。
マイクロフォン18は、利用者が音声を入力(発話)するとその入力した音声に基づく電気信号(音声信号)を制御部19に出力するものである。このマイクロフォン18を介して入力される音声コマンドによって、ナビゲーション装置10の操作が可能なように構成されている。
【0036】
車内LAN通信部20は、車内LAN24を介して車内LAN24に接続された様々な機器(エンジンECU21〜23等)と通信を行う。
制御部19は、CPU,ROM,RAM,I/O及びこれらの構成を接続するバスラインなどからなる周知のマイクロコンピュータを中心に構成されており、ROM及びRAMに記憶されたプログラムに基づいて各種処理を実行する。
【0037】
ここで、図2は、制御部19が実行する処理の概要を示す機能ブロック図である。
図2に示すように、制御部19は、位置検出器11からの検出信号、外部通信機14を介して得られるGPS基準基地局からのデータに基づいて、車両の現在位置を示す位置情報を求める位置算出部30と、地図データ入力器15に格納された地図データ、操作スイッチ群12やリモコン13aの操作、又はマイクロフォン18からの音声コマンド等に従って、目的地の設定や、現在位置から目的地までの最適な経路の設定などを行う経路設定部31と、位置算出部30にて算出された位置情報、経路設定部31にて設定された経路に従って、経路中に設定される直近の案内ポイント(本実施形態では交差点)までの距離を算出する距離算出部32と、センサ群9からの情報に基づいて特定される天候や時間帯に基づいて使用すべきテンプレート(後述する)を選択するテンプレート選択部36と、車内LAN通信部20を介してECU21〜23等から取得する車速や、アクセル開度,ブレーキ操作量等といった自車両の走行状態に影響を与える運転者の車両操作に関わる操作情報、及びテンプレート選択部36で選択されたテンプレートに基づいて、運転者の行動を推定する運転者行動推定部33とを備えている。
【0038】
また、制御部19は、位置算出部30にて算出された位置情報(現在位置)に基づき、地図データ入力器15を介して読み込んだ現在位置付近の地図を、現在位置を示すマークや、経路設定部31にて設定された経路と共に表示部16に表示する表示処理部34と、経路設定部31からの経路情報、距離算出部からの距離情報Cd、運転者行動推定部33での推定結果を表す推定結果フラグFに従って、経路情報に含まれた案内ポイントに関するガイダンスを音声出力部17を介して音声により実行する音声ガイダンス実行部35とを備えている。
【0039】
そして、制御部19を構成するROMには、運転者行動推定部33にて運転者の行動を推定する際に使用される行動パターンテンプレートが記憶されている。なお、行動パターンテンプレートは、天候(晴れ,曇り,雨,雪等)や時間帯(明け方,昼間,夕方,夜間等)で分類された複数種類のものが用意されている。
【0040】
ここで、行動パターンテンプレートの作成手順を図3に示すフローチャート、及び図4に示す説明図を用いて説明する。なお、行動パターンテンプレートは、ナビゲーション装置10外部のコンピュータ上で実行される処理によって作成される。
【0041】
図3に示すように、まず、車両の状態を表す各種車両情報を予め設定されたサンプリング間隔Sでサンプリングしたデータが、天候及び時間帯で特定される環境条件毎に分けて蓄積されたデータベースから、予め指定された複数の車両情報(本実施形態では、アクセル開度A,ブレーキ操作量B,車速V)で表される運転データを環境条件を指定してロードする(S110)。
【0042】
なお、データベースに蓄積された運転データ(以下、「蓄積データ」という。)は、実車を用いた測定により収集されたものであってもよいし、ドライビングシミュレータを用いて収集されたもの(疑似運転データ)であってもよい。また、蓄積データは、特定の個人について収集されたものであってもよいし、不特定多数の人について収集されたものであってもよい。そして、交差点前の所定期間Tpの間に取得されたTp/S(=N1)個の蓄積データを交差点前蓄積データUG群とし、右折又は左折をした全ての交差点についての交差点前蓄積データ群UGをロードし、しかも、このような交差点前蓄積データ群UGを100個分ロードするものとする。
【0043】
このようにしてロードされた全ての蓄積データの各要素A,B,Vを、いずれも0〜1の値を持つように正規化(S120)した後、交差点前蓄積データ群UGをクラスタリング手法を用いて分類する(S130)。
【0044】
具体的には、交差点前蓄積データ群UG間の距離を定義し、この距離が互いに近いもの同士を同一クラスタに分類する。なお、このようなクラスタリング手法は周知のものであり、例えばk-means 法を用いることができるが、これに限るものではない。
【0045】
このS130での分類結果に従って、図4中の左側に示すように、分類されたM個のクラスタ(m=1〜M)毎に、交差点前蓄積データ群UGの平均値を算出する(S140)。
【0046】
以下、クラスタmの交差点前蓄積データ群UGの平均値を平均データ群UGm 、と呼び、(1)式で表すものとする。但し、(1)式におけるUm (i)は、平均データ群UGm を構成するi(i=1〜Tp/S)番目の平均蓄積データであり、(2)式で表すものとする。また、(2)式におけるAm (i)は、同じクラスタmに含まれる全ての交差点前蓄積データ群UGから、i番目の蓄積データのアクセル開度Aを抽出して求めたアクセル開度Aの平均値であり、Bm (i),Vm (i)も同様にして求めたブレーキ操作量B及び車速Vの平均値である。
【0047】
UGm ={Um (1),Um (2),…,Um (Tp/S)} (1)
Um (i)={Am (i),Bm (i),Vm (i)} (2)
このようにして求めたM個の平均データ群UGm のそれぞれについて、図4(b)に示すように、平均データ群UGm から連続するTw/S(=N2)個の平均蓄積データUm (i)を、Tf/S個ずつずらしながら切り出したR(=(Tp−Tw)/Tf+1)個のグループ(部分データ群)を、行動パターンテンプレートTmr(r=1〜R)として切り出して(S140)、本手順を終了する。
【0048】
但し、Twは、行動パターンテンプレートが示す期間の長さ、Tfは、行動パターンテンプレートを切り出す際のずれ期間の長さを表す。
なお、行動パターンテンプレートTmrは(3)式で表され、この(3)式におけるUmr(j)は、j=1〜Tw/Sとして、(4)式で定義された平均蓄積データである。また、Umr(j)は(5)式で表され、この(5)式におけるAmr(j),Bmr(j),Vmr(j)は、(4)式と同様に定義されたアクセル開度,ブレーキ操作量,車速の平均値である。
【0049】
Tmr={Umr(1),Umr(2),…,Umr(Tw/S)} (3)
Umr(j)=Um (j+(r−1)×Tf/S) (4)
Umr(j)={Amr(j),Bmr(j),Vmr(j)} (5)
つまり、行動パターンテンプレートTmrは、各クラスタm毎にR個生成され、全体としてはM×R個生成される。また、以上の手順を、S110で選択する環境条件を順次変更して、全ての環境条件について繰り返すことにより、各環境条件毎に行動パターンテンプレートTmrが生成されることになる。
【0050】
なお、本実施形態では、S=0.5秒,Tp=10秒,Tw=5秒,Tf=1秒であり、Tp/S=20個,Tw/S=10個,Tf/S=2個,R=6個である。また、クラスタ数Mは、S130での処理結果によって異なるが、5〜7個程度であり、従って、行動パターンテンプレートTmrは、30〜40個程度の規模となる。
【0051】
次に、制御部19が実行する処理について説明する。
但し、位置算出部30,経路設定部31,距離算出部32,表示処理部34の処理は、周知の処理であるため説明を省略し、本発明の主要部に関わるテンプレート選択部36,運転者行動推定部33,音声ガイダンス実行部35の処理を、図5,6,8に示すフローチャートに沿って説明する。
【0052】
なお、図5に示す処理は、経路設定部31にて目的地までの経路設定が行われると、その後、車両が目的地に到達するまでの間、繰り返し実行される。
本処理が起動すると、まず、距離算出部32から交差点(以下、この交差点を「対象交差点」と称する。)までの距離Cdを取得し、その距離Cdが予め設定された判定開始距離(本実施形態では300m)以下であるか否かを判断する(S200)。そして、距離Cdが判定開始距離より大きければ、同ステップを繰り返すことで待機し、一方、距離Cdが判定開始距離以下であれば、対象交差点に十分に接近したものとして、テンプレート選択部36に相当するテンプレート選択処理(S210)、運転者行動推定部33に相当する運転行動推定処理(S220)、及び音声ガイダンス実行部35に相当する音声ガイダンス実行処理(S230)を実行する。
【0053】
その後、距離算出部32から交差点までの距離Cdを取得して、その距離Cdに基づいて、対象交差点を通過したか否かを判断する(S240)。そして、対象交差点を未だ通過していなければ、S220に戻って、上記S220,S230の処理を繰り返し実行し、一方、対象交差点を既に通過していれば、S200に戻り、次の交差点を対象交差点として同様の処理を繰り返す。
【0054】
なお、S210にて実行されるテンプレート選択処理では、センサ群9からの情報に基づいて特定される天候や時間帯から環境条件を特定し、その特定した環境条件に基づいて使用すべきテンプレートを選択する。
【0055】
次に、S220にて実行される運転行動推定処理の詳細を、図6に示すフローチャートに沿って説明する。
本処理では、まず、車内LAN通信部20を介してアクセル開度A(t),ブレーキ操作量B(t),車速V(t)を要素とする運転データDU(t)={A(t),B(t),V(t)}が読み込まれるまで待機し(S310)、運転データDU(t)が読み込まれると、各要素A(t),B(t),V(t)を、いずれも0〜1の値をとるように正規化する(S320)。
【0056】
なお、tはデータをサンプリングした時刻を表し、運転データDU(t)は、上述したサンプリング間隔S(=0.5秒)毎に読み込まれるものとする。
そして、この正規化された運転データDU(t)を含む、過去Tw(=5秒)間分の運転データDU(t),DU(t−S),…,DU(t−Tw)が、制御部19を構成するRAMに保存されるように、RAMの保存データを更新する(S330)。なお、以下では、このRAMに保存されたTw秒間分(Tw/S個)の運転データを運転データ群MGとして(6)式にて表し、運転データ群MGに属する各運転データMU(j)を(7)式にて表す。但し、j=1〜Tw/Sであり、j=1が最古のデータ、j=Tw/Sが最新のデータを表す。即ち、DU(t−Tw)=MU(1),…,DU(t)=MU(Tw/S)であるものとする。
【0057】
MG={MU(1),MU(2),…,MU(Tw/S)} (6)
MU(j)={A(j),B(j),V(j)} (7)
そして、運転データ群MGと、制御部19のROMに格納された行動パターンテンプレートTmrとに基づいて、時刻tにおける類似度R(t)を算出する(S340)。
【0058】
具体的には、まず、(8)式により、行動パターンテンプレートTmrのそれぞれについて、運転データ群MGとの距離を表す指標データRmrを算出する。但し、αrは、重み計数であり、図7(a)に示すように、テンプレート番号rが大きいほど、つまり、対象交差点により近い位置でのデータに基づくテンプレートであるほど、小さな値をとるように設定されている。
【0059】
【数1】

そして、これら行動パターンテンプレートTmr毎に算出された指標データRmrのうち、その値が最も小さいもの(即ち、運転データ群MGに最も類似した行動パターンテンプレートとの距離)を、時刻tにおける代表指標データRE(t)として抽出する((9)式参照)と共に、このようにして算出された過去の代表指標データの中で最大のものを、基準指標データRK(t)として抽出する((10)式参照)。更に、代表指標データRE(t)を、基準指標データRK(t)用いて正規化((11)式参照)したものを類似度R(t)とする。
【0060】
【数2】

次に、図7(b)に示すように、距離算出部32から取得した交差点までの距離Cdを入力として、距離Cdが一定距離(本実施形態では50m)以下の場合は1を出力し、距離Cdが一定距離より大きい場合は、距離Cdが大きいほど値が小さくなる1より小さな値を出力するメンバシップ関数を用いて、メンバシップ値Msを求める(S350)。
【0061】
更に、このメンバシップ値Msを先のS340にて求めた類似度R(t)に乗じることにより、確信度K(=S(t)×Ms)を算出し(S360)、その確信度Kが予め設定された判定しきい値TH(本実施形態では0.5)以上であるか否かを判断する(S370)。
【0062】
そして、確信度Kが判定しきい値TH以上であれば、運転者は交差点で曲がろうとしているものとして、推定結果フラグFを1に設定し(S380)、一方、確信度Kが判定しきい値THより小さければ、運転者は直進しようとしているものとして、推定結果フラグFを0に設定して(S390)、本処理を終了する。
【0063】
次に、S230にて実行される音声ガイダンス実行処理の詳細を、図8に示すフローチャートに沿って説明する。
まず、経路設定部31にて設定された経路を参照して、対象交差点で曲がるべきか否か(S410)、及び、推定結果フラグFが1に設定されているか否か、即ち運転者は交差点で曲がろうとしているか否か(S420,S460)を判断し、曲がるべき交差点で運転者は曲がろうとしている場合(S410:YES,S420:YES)、又は直進すべき(曲がるべきではない)交差点で、運転者は直進しようとしている場合(S410:NO,S460:NO)は、設定経路に基づく対象交差点での進路と運転者の行動は一致しているため、音声ガイダンスを実行することなく、そのまま本処理を終了する。
【0064】
一方、曲がるべき交差点で運転者が直進しようとしている場合(S410:YES,S420:NO)には、交差点までの距離Cdが、先のS320にて正規化された車速Vを
入力として関数f(V)を用いて算出される必要距離Dneed=f(V)より小さいか否かを判断する(S430)。
【0065】
なお、関数f(V)は、図9に示すように、車速Vが大きいほど、必要距離Dneedも大きくなり、しかも、最初の音声ガイダンスが、運転者にとって余裕を持って従うことができるようなタイミングで開始されるように設定されている。
【0066】
そして、交差点までの距離Cdが必要距離Dneedより小さい場合(図中d1参照)は、対象交差点では曲がるべきであること(或いは直進すべきではないこと)を案内する音声ガイダンスを実行し(S440)、その後、予め設定された所定時間(例えば1秒)待機して(S450)、本処理を終了する。また、交差点までの距離Cdが必要距離Dneed以上である場合(図中d2参照)は、音声ガイダンスを実行するには未だ早過ぎるものとして、音声ガイダンスを実行することなく、そのまま本処理を終了する。
【0067】
また、直進すべき交差点で運転者が曲がろうとしている場合(S410:NO,S460:YES)は、対象交差点では曲がるべきではないこと(或いは直進すべきこと)を案内する音声ガイダンスを実行し(S470)、その後、予め設定された所定時間(例えば1秒)待機して(S480)、本処理を終了する。
【0068】
以上説明したように、本実施形態のナビゲーション装置10においては、予め設定された交差点での進路と運転データDU(t)から推定される交差点での運転者の行動とが不一致である場合のみ、音声ガイダンスが実行され、しかも、音声ガイダンスが一旦実行されると、以後、交差点での進路と運転者の推定行動とが一致するまでの間、待機時間をおいて繰り返し実行される。
【0069】
従って、本実施形態のナビゲーション装置10によれば、運転者に音声ガイダンスの内容を確実に認識させることができるだけでなく、設定された進路通りに運転しようとしているにもかかわらず音声ガイダンスが実行されたり、音声ガイダンスが実行された後、音声ガイダンスに従った運転をしようとしているにも関わらず、音声ガイダンスが必要以上に繰り返されたりすることにより、運転者に不快感を与えてしまうことを防止できる。
【0070】
また、本実施形態のナビゲーション装置10では、交差点での進路と運転者の推定行動とが不一致であっても、交差点までの距離が、車速に応じて求められる必要距離Dneed以下にならなければ、音声ガイダンスを実行しないようにされているため、運転者が余裕を持って従うことができる適切なタイミングで、音声ガイダンスを実行することができる。
【0071】
ここで、図10(a)は、ドライビングシミュレータにて収集した運転データDU(t)を用いて、上述のテンプレート作成手順により行動パターンテンプレートTmrを作成し、更に、この行動パターンテンプレートTmrを用いて運転者行動推定処理を実行して確信度Kを求め、K=0.5となるポイントを、その近似直線と共にグラフに示したものである。なお、この近似曲線は、f(V)=2.1314V−46.993で表される。
【0072】
そして、図11は、同じ行動パターンテンプレートTmrを用い、判定しきい値をTH=0.5に設定して、被験者(運転者)に経路を教えないで、交差点で曲がるべきことを案内する音声ガイダンスを行い、その時の音声ガイダンスのタイミング(交差点までの距離Cd,車速V)と、被験者が受けた印象(○▲×印でプロット)を対応づけて、近似曲線f(V)と共にグラフに表したものである。
【0073】
図11からは、Cd>f(v)の範囲では、「指示が遅すぎて従えなかった」という印象(図中X印)が皆無であることがわかる。
また、運転行動推定処理によって正しい推定結果が得られる確率(認識率)を求めたところ、図10(b)に示すように、判定しきい値をTH=0.5に設定した場合は82.4%、TH=0.6に設定した場合は85.3%であり、高い認識率が得られることがわかる。
【0074】
また、ナビゲーション装置10では、案内ポイント前で生じる運転データ(蓄積データ)の特徴的な変化パターンの平均的な発生タイミングを表す平均データ群UGから、タイミングをずらしながら切り出した部分データ群をテンプレートTmrとしている。
【0075】
従って、ナビゲーション装置10によれば、特徴的な変化パターンが、何等かの原因で平均より速いタイミングで発生したり、逆に平均より遅いタイミングで発生したとしても、これを確実に捉えることができ、運転者の行動を精度良く推定することができる。
【0076】
また、ナビゲーション装置10では、天候や時間帯から特定される環境条件毎にテンプレートTmr用意し、その時々の環境条件に適合したテンプレートTmrを選択して使用するようにされている。
【0077】
従って、ナビゲーション装置10によれば、道路の状態や周囲の明るさ等が変化しても、常に精度良く運転者の行動を推定することができる。
なお、本実施形態において、距離算出部32が距離算出手段、S310が運転データ取得手段、S210(テンプレート選択部36)及びS220(運転者行動推定部33)が運転者行動推定手段、S230(音声ガイダンス実行部35)が音声ガイダンス実行手段、S450,S480が第2禁止手段に相当する。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。
【0078】
本実施形態のナビゲーション装置10は、制御部19が実行する運転者行動推定部33,音声ガイダンス実行部35としての処理の内容が、第1実施形態のものとは一部異なるだけであるため、この相異する部分を中心に説明する。
【0079】
本実施形態では、図12に示すように、図5に示した処理対して、S215,S250が追加されている。
つまり、本処理が起動すると、まず、距離算出部32から対象交差点までの距離Cdを取得し、その距離Cdが予め設定された判定開始距離(本実施形態では300m)以下になるまで待機し(S200)、距離Cdが判定開始距離以下になると、対象交差点に十分に接近したものとして、テンプレート選択部36に相当するテンプレート選択処理(S210)にてテンプレートを選択し、音声ガイダンスの実行状態を示す実行フラグGcを、未実行であることを表す0に設定(S215)した後、運転者行動推定部33に相当する運転行動推定処理(S220)、及び音声ガイダンス実行部35に相当する音声ガイダンス実行処理(S230)を実行する。
【0080】
その後、距離算出部32から交差点までの距離Cdを取得して、その距離Cdに基づいて、対象交差点を通過したか否かを判断する(S240)。そして、対象交差点を未だ通過していなければ、S230の音声ガイダンス実行処理(後述する)によって実行フラグGcが1に書き替えられたか否かを判断し(S250)、実行フラグGcが1に書き替えられていなければ、S220に戻って、上記S220〜S235の処理を繰り返し実行する。一方、S240にて対象交差点を既に通過していると判定された場合、及び、S250にて実行フラグGcが1に書き替えられていると判定された場合は、S200に戻り、次の交差点を対象交差点として上述の処理を繰り返す。
【0081】
次に、S230にて実行する音声ガイダンス実行処理は、図12に示すように、図8に示した処理と比較して、S450,S480の代わりにS455,S485が設けられている。つまり、音声ガイダンスを実行(S540,S570)した時には、所定時間だけ待機(S450,S480)する代わりに、実行フラグGcを1に書き替える(S455,S485)ようにされている。
【0082】
このように構成された本実施形態のナビゲーション装置10によれば、音声ガイダンスは、運転者が余裕を持って従うことができる適切なタイミングで1回だけ実行されるため、音声ガイダンスが繰り返されることにより、運転者に不快感を与えてしまうことを確実に防止することができる。
【0083】
なお、本実施形態において、S215,S250,S455,S485が第1禁止手段に相当する。
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、様々な態様にて実施することが可能である。
【0084】
例えば、上記実施形態では、音声ガイダンスを実行する案内ポイントの例として交差点を用いて説明したが、高速道路のランプなど、経路が分岐する分岐点であれば、交差点に限るものではない。
【0085】
上記実施形態では、運転者の行動の推定に用いる車両情報として、アクセル開度A,ブレーキ操作量B,車速Vを用いたが、車速V以外の情報については、自車両の走行状態に影響を与える運転者の車両操作に関わる操作情報であれば、これら以外のものであってもよく、また、その個数も3個に限るものではなく、二個以下又は4個以上であってもよい。
【0086】
上記実施形態では、テンプレートTmrを選択する際に使用する環境条件(天候や時間帯)を、センサ群9からの情報に基づいて特定するように構成されているが、車載カメラにより得られる映像を画像認識した結果や、外部通信機14を介して外部装置から取得した各種情報(天気情報など)に基づいて特定したり、運転者が操作するスイッチによって特定したりするように構成してもよい。
【0087】
上記実施形態では、テンプレートTmrを選択する際に、天候と時間帯とを用いたが、いずれか一方により選択したり、運転者の行動や運転データDU(t)に影響を与える天候や時間帯以外の情報を用いるように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】ナビゲーション装置の構成、及びナビゲーション装置が接続された車内LANの概略構成を示すブロック図。
【図2】制御部が実行する処理の概要を示す機能ブロック図。
【図3】行動パターンテンプレートの作成手順を示すフローチャート。
【図4】行動パターンテンプレートの構成を示す説明図。
【図5】運転者行動推定部及び音声ガイダンス実行部に対応する処理の概要を示すフローチャート。
【図6】運転行動推定処理の詳細を示すフローチャート。
【図7】類似度の算出に使用する重み係数、及び確信度の算出に使用するメンバシップ値の概要を示すグラフ。
【図8】音声ガイダンス実行処理の詳細を示すフローチャート。
【図9】音声ガイダンスの実行条件を示すグラフ。
【図10】音声ガイダンスの実行条件を設定するために行った実験の実験結果を示すグラフ。
【図11】実験により得られた音声ガイダンスの実行条件で動作するナビゲーション装置を用いて行った実験の実験結果(被験者の印象)を示すグラフ。
【図12】第2実施形態において運転者行動推定部及び音声ガイダンス実行部に対応する処理の概要を示すフローチャート。
【図13】第2実施形態における音声ガイダンス実行処理の詳細を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0089】
10…ナビゲーション装置、11…位置検出器、11a…GPS受信機、11b…ジャイロスコープ、11c…距離センサ、11d…地磁気センサ、9…センサ群、12…操作スイッチ群、13a…リモコン、13b…リモコンセンサ、14…外部通信機、15…地図データ入力器、16…表示部、17…音声出力部、18…マイクロフォン、19…制御部、20…車内LAN通信部、21…エンジンECU、22…ブレーキECU、23…ステアリングECU、24…車内LAN、30…位置算出部、31…経路設定部、32…距離算出部、33…運転者行動推定部、34…表示処理部、35…音声ガイダンス実行部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的地までの経路を表す経路情報、及び車両の現在位置を表す位置情報を取得し、前記経路情報及び前記位置情報に基づいて、前記経路情報に含まれる案内ポイントまでの距離を求める距離算出手段と、
自車両の速度情報と、自車両の走行状態に影響を与える運転者の車両操作に関わる操作情報とからなる運転データを取得する運転データ取得手段と、
該運転データ取得手段にて取得された運転データの履歴に基づいて前記案内ポイントでの運転者の行動を推定する運転者行動推定手段と、
前記距離算出手段にて求められた距離が予め設定された許容値以下であり、且つ前記運転者行動推定手段での推定結果と、前記案内ポイントで採るべき運転者の行動とが不一致である場合に、該案内ポイントに関する音声ガイダンスを実行する音声ガイダンス実行手段と、
を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記自車両の走行状態とは、車両の加減速であることを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記操作情報は、アクセルペダル及びブレーキペダルに関するものであることを特徴とする請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記運転者行動推定手段は、予め収集された前記運転データ又は該運転データに相当する疑似運転データからなる蓄積データに基づき、これら蓄積データの履歴から特定される運転行動パターンを分類することで生成された複数のテンプレートを備え、該テンプレートと前記運転データ取得手段にて取得された前記運転データの履歴とを比較することで前記案内ポイントでの運転者の行動を推定することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記運転者行動推定手段では、前記案内ポイント前の一定期間の間に収集された一連(N1個:N1は正整数)の蓄積データを蓄積データ群とし、該蓄積データ群間で互いに近似したもの同士を同一クラスタに分類して、その分類されたクラスタ毎に、同じタイミングで取得された蓄積データの平均値を算出することで、一連(N1個)の平均蓄積データからなる平均データ群を生成し、更に、生成された平均データ群のそれぞれについて、該平均データ群の中から連続したN2(N2はN1より小さい正整数)個の平均蓄積データからなる部分データ群を、その先頭となる平均蓄積データの位置を、予め設定されたシフト期間ずつシフトさせながら切り出したものを前記テンプレートとして用いることを特徴とする請求項4に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記テンプレートは、複数の運転者について収集した前記蓄積データによって作成されていることを特徴とする請求項4又は5に記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
前記テンプレートは、特定の運転者について収集した前記蓄積データによって作成されてることを特徴とする請求項4又は5に記載のナビゲーション装置。
【請求項8】
前記テンプレートは、予め設定された天候の種類毎に用意され、
前記運転者行動推定手段は、外部から取得した天候を特定する情報に基づいて、使用するテンプレートを切り換えることを特徴とする請求項4〜7のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項9】
前記テンプレートは、予め設定された時間帯毎に用意され、
前記運転者行動推定手段は、外部から取得した時間帯を特定する情報に基づいて、使用するテンプレートを切り換えることを特徴とする請求項4〜8のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項10】
前記案内ポイントは経路の分岐点であり、前記案内ポイントでの運転者の行動とは、前記分岐点での進路に応じた車両操作であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項11】
前記許容値は、車速に応じて可変設定されることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項12】
前記音声ガイダンス実行手段は、前記音声ガイダンスを実行した場合、該音声ガイダンスの対象となった前記案内ポイントに関する再度の音声ガイダンスの実行を禁止する第1禁止手段を備えることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項13】
前記音声ガイダンス実行手段は、前記音声ガイダンスを実行した場合、該音声ガイダンスの対象となった前記案内ポイントに関する再度の音声ガイダンスの実行を、予め設定された待機時間だけ禁止する第2禁止手段を備えることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項14】
前記音声ガイダンス実行手段は、前記運転者行動推定手段での推定結果と、前記案内ポイントで採るべき運転者の行動とが一致する場合、該案内ポイントに関する音声ガイダンスの実行を禁止することを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−133216(P2006−133216A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−214503(P2005−214503)
【出願日】平成17年7月25日(2005.7.25)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】