説明

ナビゲーション装置

【課題】 往路を走行する際に自車位置を特定する特定施設を抽出するとともに、復路を走行する際に往路で抽出された特定施設への案内を行うことにより、利用者の利便性を向上させたナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】 出発地から目的地へと走行する往路において主要道路を経由した場合に、該当する一又は複数のリンクのリンク番号とともに復路候補番号を関連付けて復路候補として復路候補テーブル23に登録し(S14、S15)、その後、目的地からの復路を走行する際に、復路候補テーブル23で登録された復路候補の各リンクを優先順位が高い順に経路案内を行うのに適しているか否かの判定をし(S24、S25)、適していると判定された復路候補への経路探索及び案内を行う(S4、S5)ように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目的地からの復路を走行する際において目的地への往路の走行データに基づいて利用者に経路案内を行うナビゲーション装置に関し、特に、往路を走行する際に自車位置を特定する特定施設を抽出するとともに、復路を走行する際に往路で抽出された特定施設への案内を行うことにより、利用者の利便性を向上させたナビゲーション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の走行案内を行い、ドライバーが所望の目的地に容易に到着できるようにしたナビゲーション装置が車両に搭載されていることが多い。ここで、ナビゲーション装置とは、GPS受信機などにより自車の現在位置を検出し、その現在位置に対応する地図データをDVD−ROMなどの記録媒体またはネットワークを通じて取得して液晶モニタに表示するとともに、操作者が設定した目的地までの推奨経路を探索して、液晶モニタに表示された地図上に重ねて表示することが可能な装置である。更に、かかるナビゲーション装置には、所望する目的地を入力すると、自車位置から目的地までの最適経路を探索する経路探索機能を備えており、ディスプレイ画面に誘導経路を表示するとともに、交差点に接近した場合等には音声による案内をすることによって、ドライバーを所望の目的地まで確実に案内するようになっている。
【0003】
また、従来のナビゲーション装置では、メモリ負担を減らし、より簡易に経路検索を行う為に、出発地から目的地までの往路の走行データに基づいて、目的地から出発地への復路の経路を検索し、案内を行うことが行われていた。例えば、特開平7−320194号公報には、往路において出発地で登録開始キーが押されてから目的地で登録終了キーが押圧されるまでの間、車両の通過ノードを検出してメモリに順に記憶し、この通過ノードを逆順にして復路の経路の誘導経路データとすることにより、往路における目的地から出発地までの経路を作成することが可能なナビゲーション装置について記載されている。
【特許文献1】特開平7−320194号公報(第3頁〜第6頁、図2〜図7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記した特許文献1に記載されたナビゲーション装置では、往路における目的地から出発地までの経路を作成しなければならず、また、その経路に対する案内処理を行う必要があるため、ナビゲーション装置の負荷が大きくなってしまう。更に、利用者にとっては、復路については往路の途中までの案内で十分な場合があり、往路における出発地まで案内されることが煩わしい場合がある。
【0005】
本発明は前記従来における問題点を解消するためになされたものであり、目的地までの車両の走行状況に応じて目的地からの帰路に対する有効な復路の案内を、必要最小限の案内処理で行うことができ、利用者の利便性を向上させたナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため本願の請求項1にナビゲーション装置は、施設の情報を記憶する施設情報記憶手段と、自車の現在地を検出する現在地検出手段と、を有するナビゲーション装置において、自車が目的地へ走行する際に、前記現在地検出手段により検出された自車位置を特定する特定施設を前記施設情報記憶手段に記憶された施設から抽出する施設抽出手段と、自車が目的地から走行する際に、前記施設抽出手段によって抽出された特定施設への案内を行う施設案内手段と、を有することとを特徴とする。
尚、「施設」とは高速道路や国道等の道路、駅や病院等の建築物を含む。
【0007】
また、請求項2に係るナビゲーション装置は、請求項1に記載のナビゲーション装置であって、前記施設案内手段は、前記施設抽出手段によって抽出された特定施設への経路探索を行うとともに、探索された経路に従って前記特定施設への経路案内を行うことを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に係るナビゲーション装置は、請求項1又は請求項2に記載のナビゲーション装置であって、前記施設は道路であり、前記施設抽出手段は自車が現在走行する道路を特定道路として抽出することを特徴とする。
【0009】
また、請求項4に係るナビゲーション装置は、請求項1又は請求項2に記載のナビゲーション装置であって、前記施設抽出手段は、前記現在地検出手段によって検出された自車位置から所定範囲内に位置する前記施設情報記憶手段に記憶された施設を特定施設として抽出することを特徴とする。
【0010】
また、請求項5に係るナビゲーション装置は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のナビゲーション装置であって、前記施設抽出手段によって抽出された特定施設を抽出された順序が遅い順に優先順位を設定する優先順位設定手段を有し、前記施設案内手段は前記優先順位設定手段によって最も高い優先順位が設定された特定施設への案内を行うことを特徴とする。
【0011】
更に、請求項6に係るナビゲーション装置は、請求項5に記載のナビゲーション装置であって、前記特定施設に関する情報を取得する情報取得手段と、前記情報取得手段によって取得された情報に基づいて取得された情報に係る特定施設への案内を行うか否かを判定する案内判定手段と、を有し、前記施設案内手段は、前記案内判定手段によって案内を行うと判定された特定施設の内、前記優先順位設定手段によって最も高い優先順位が設定された特定施設への案内を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
前記構成を有する請求項1に係るナビゲーション装置では、自車が目的地から走行する際において、自車が目的地へ走行する際に抽出された自車位置を特定する特定施設への案内を行うので、目的地までの車両の走行状況に応じて目的地からの帰路に対する有効な復路の案内を、必要最小限の案内処理で行うことができる。従って、ナビゲーション装置の負荷を低減できるとともに、利用者の利便性についても向上する。
【0013】
また、請求項2に係るナビゲーション装置では、自車が目的地から走行する際において、自車が目的地へ走行する際に抽出された自車位置を特定する特定施設への経路探索及び経路案内を行うので、目的地までの車両の走行状況に応じて目的地からの帰路に対する有効な復路の探索及び案内を、必要最小限の探索処理及び案内処理で行うことができる。従って、ナビゲーション装置の負荷を低減できるとともに、利用者の利便性についても向上する。
【0014】
また、請求項3に係るナビゲーション装置では、自車が目的地から走行する際において、自車が目的地へ走行する際に自車が走行した特定道路への案内を行うので、目的地までの車両の走行道路に応じて目的地からの帰路に対する有効な復路の案内を、必要最小限の案内処理で行うことができる。従って、ナビゲーション装置の負荷を低減できるとともに、利用者の利便性についても向上する。
【0015】
また、請求項4に係るナビゲーション装置では、自車が目的地から走行する際において、自車が目的地へ走行する際に所定範囲内に位置する特定施設への案内を行うので、目的地までの車両の走行経路に応じて目的地からの帰路に対する有効な復路の案内を、必要最小限の案内処理で行うことができる。従って、ナビゲーション装置の負荷を低減できるとともに、利用者の利便性についても向上する。
【0016】
また、請求項5に係るナビゲーション装置では、自車が目的地から走行する際において、自車が目的地へ走行する際に抽出された自車位置を特定する特定施設の内、最も遅く抽出された特定施設への案内を行うので、目的地からの帰路においてより効率的な案内を行うことができる。
【0017】
更に、請求項6に係るナビゲーション装置では、自車が目的地から走行する際において、自車が目的地へ走行する際に抽出された自車位置を特定する特定施設の内、案内を行うのに適当であって、且つ最も遅く抽出された特定施設への案内を行うので、特的施設の状況に基づいたより効率的な案内を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明に係るナビゲーション装置についてナビゲーション装置1に具体化した第1及び第2実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0019】
(第1実施形態)
先ず、第1実施形態に係るナビゲーション装置1の概略構成について図1を用いて説明する。図1は第1実施形態に係るナビゲーション装置1を示したブロック図である。
【0020】
図1に示すように第1実施形態に係るナビゲーション装置1は、自車の現在位置を検出する現在地検出処理部(現在地検出手段)11と、各種のデータが記録されたデータ記録部(施設情報記憶手段)12と、入力された情報に基づいて、各種の演算処理を行うナビゲーション制御部(施設抽出手段、施設案内手段、優先順位設定手段、案内判定手段)13と、操作者からの操作を受け付ける操作部14と、操作者に対して地図等の情報を表示する液晶ディスプレイ15と、経路案内に関する音声ガイダンスを出力するスピーカ16と、交通情報送信センタ等の情報センタとの間で通信を行う通信装置(情報取得手段)17と、から構成されている。また、ナビゲーション制御部13には自車の走行速度を検出する車速センサ21が接続される。
【0021】
以下に、ナビゲーション装置1を構成する各構成要素について説明すると、現在地検出処理部11は、GPS31、地磁気センサ32、距離センサ33、ステアリングセンサ34、方位検出部としてのジャイロセンサ35、高度計(図示せず)等からなり、現在の自車の位置、方位、目標物(例えば、交差点)までの距離等を検出することが可能となっている。
【0022】
具体的には、GPS31は、人工衛星によって発生させられた電波を受信することにより、地球上における自車の現在地及び現在時刻を検出し、地磁気センサ32は、地磁気を測定することによって自車方位を検出し、距離センサ33は、道路上の所定の位置間の距離等を検出する。ここで、距離センサ33としては、例えば、自車の車輪(図示せず)の回転速度を測定し、測定した回転速度に基づいて距離を検出するセンサ、加速度を測定し、測定した加速度を2回積分して距離を検出するセンサ等を使用することができる。
【0023】
また、ステアリングセンサ34は自車の舵(だ)角を検出する。ここで、ステアリングセンサ34としては、例えば、ステアリングホイール(図示せず)の回転部に取り付けられた光学的な回転センサ、回転抵抗センサ、車輪に取り付けられた角度センサ等が使用される。
【0024】
そして、ジャイロセンサ35は自車の旋回角を検出する。ここで、ジャイロセンサ35としては、例えば、ガスレートジャイロ、振動ジャイロ等が使用される。また、ジャイロセンサ35によって検出された旋回角を積分することにより、自車方位を検出することができる。
【0025】
また、データ記録部12は、外部記憶装置及び記録媒体としてのハードディスク(図示せず)と、ハードディスクに記録された情報DB22、復路候補テーブル23(図4参照)、所定のプログラム等を読み出すとともにハードディスクに所定のデータを書き込む為のドライバである記録ヘッド(図示せず)とを備えている。尚、第1実施形態においては、データ記録部12の外部記憶装置及び記憶媒体としてハードディスクが使用されるが、ハードディスクのほかに、フレキシブルディスク等の磁気ディスクを外部記憶装置として使用することができる。また、メモリーカード、磁気テープ、磁気ドラム、CD、MD、DVD、光ディスク、MO、ICカード、光カード等を外部記憶装置として使用することもできる。
【0026】
ここで、情報DB22には、経路案内及び地図表示に必要な各種情報が記録されており、例えば、地図を表示するための地図データ、各交差点に関する交差点データ、ノード点に関するノードデータ、施設の一種である道路に関する道路データ、経路を探索するための探索データ、施設の一種である建物に関する建物データ、地点を検索するための検索データ等から構成されている。
【0027】
ここで、特にノードデータとしては、実際の道路の分岐点(交差点、T字路等も含む)、各道路に曲率半径等に応じて所定の距離ごとに設定されたノード点の座標(位置)、ノードが交差点に対応するノードであるか等を表すノード属性、ノードに接続するリンクのリンク番号のリストである接続リンク番号リスト、ノードにリンクを介して隣接するノードのノード番号のリストである隣接ノード番号リスト、各ノード点の高さ(高度)等に関するデータが記録される。
【0028】
また、道路データとしては、各リンクに対応する道路に関して、幅員、勾(こう)配、カント、バンク、路面の状態、道路の車線数、車線数の減少する箇所、幅員の狭くなる箇所、踏切り等を表すデータが、コーナに関して、曲率半径、交差点、T字路、コーナの入口及び出口等を表すデータが、道路属性に関して、降坂路、登坂路等を表すデータが、道路種別に関して、国道、県道、細街路等の一般道のほか、高速道路、都市高速道路、有料道路等の高速・有料道を表すデータがそれぞれ記録される。さらに、高速・有料道に関して、入口及び出口の取付道(ランプウェイ)、料金所等に関するデータが記録される。
【0029】
また、建物データとしては、各地域のホテル、病院、ガソリンスタンド、駐車場、観光施設等の建物に関するデータが建物を特定する施設IDとともに記録される。なお、前記情報DB22には、所定の情報をナビゲーション装置1のスピーカ16によって出力するための音声出力データも記録される。
【0030】
また、情報DB22の内容は、外部に接続したメモリーカード等の記録媒体から情報を転送すること、又は特定の情報センタ等から通信装置17を介して情報をダウンロードすること等によって更新される。
【0031】
また、復路候補テーブル23は、出発地から目的地へと向かう往路において、自車が走行した道路の内、特に主要道路(第1実施形態では、高速道路、自動車専用道路、国道、県道の4種)を走行した場合に、主要道路の走行を開始した時刻、走行を終了した時刻、及び走行した主要道路のリンクを特定するリンク番号が走行順に記録されるテーブルである。尚、復路候補テーブル23については後に図4を用いて詳細に説明する。
【0032】
また、ナビゲーション制御部13は、ナビゲーション装置1の全体の制御を行う演算装置及び制御装置としてのCPU41、並びにCPU41が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるとともに、経路が探索されたときの経路データ等が記憶されるRAM42、制御用のプログラムのほか、目的地までの経路の探索、探索した誘導経路の案内を行う経路案内処理プログラム、出発地から目的地までの往路において走行した主要道路を記録するとともに、目的地から出発地までの復路において記録した主要道路までの経路案内を行う後述の往復路案内処理プログラム(図5参照)が記録されたROM43、ROM43から読み出したプログラムを記録するフラッシュメモリ44等の内部記憶装置を備えている。尚、前記RAM42、ROM43、フラッシュメモリ44等としては半導体メモリ、磁気コア等が使用される。そして、演算装置及び制御装置としては、CPU41に代えてMPU等を使用することも可能である。
【0033】
また、第1実施形態においては、前記ROM43に各種のプログラムが記録され、前記データ記録部12に各種のデータが記録されるようになっているが、プログラム、データ等を同じ外部記憶装置、メモリーカード等からプログラム、データ等を読み出して前記フラッシュメモリ44に書き込むこともできる。更に、メモリーカード等を交換することによって前記プログラム、データ等を更新することができる。
【0034】
更に、前記ナビゲーション制御部13には、操作部14、液晶ディスプレイ15、スピーカ16、通信装置17の各周辺装置(アクチュエータ)が電気的に接続されている。
【0035】
操作部14は、走行開始時の現在地を修正し、案内開始地点としての出発地及び案内終了地点としての目的地を入力する際等に操作され、各種のキー、ボタン等の複数の操作スイッチ(図示せず)から構成される。そして、ナビゲーション制御部13は、各スイッチの押下等により出力されるスイッチ信号に基づき、対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。特に第1実施形態に係るナビゲーション装置1では、操作部14に設けられた復路案内ボタン(図示せず)を押下することにより、復路候補テーブル23に基づいて復路の経路案内を開始する(図5参照)。尚、操作部14としては、キーボード、マウス、バーコードリーダ、遠隔操作用のリモートコントロール装置、ジョイスティック、ライトペン、スタイラスペン等を使用することもできる。更に、液晶ディスプレイ15の前面に設けたタッチパネルによって構成することもできる。
【0036】
また、液晶ディスプレイ15には、操作案内、操作メニュー、キーの案内、現在地から目的地までの誘導経路、誘導経路に沿った案内情報、交通情報、ニュース、天気予報、時刻、メール、テレビ番組等が表示される。尚、液晶ディスプレイ15の代わりに、CRTディスプレイ、プラズマディスプレイ等を使用したり、車両のフロントガラスにホログラムを投影するホログラム装置等を使用することも可能である。
【0037】
また、スピーカ16は、ナビゲーション制御部13からの指示に基づいて誘導経路に沿った走行を案内する音声ガイダンスを出力する。ここで、案内される音声ガイダンスとしては、例えば、「200m先の交差点を右折してください。」や「この先の国道○○号線が渋滞しています。」等がある。なお、スピーカ16より出力される音声としては、合成された音声のほかに、各種効果音、予めテープやメモリ等に録音された各種の案内情報を出力することもできる。
【0038】
そして、通信装置17は、交通情報送信センタ2、例えば、VICS(登録商標:Vehicle Information and Communication System)センタ等から送信された渋滞情報、規制情報、駐車場情報、交通事故情報、サービスエリアの混雑状況等の各情報から成る交通情報を、道路に沿って配設された電波ビーコン装置、光ビーコン装置等を介して電波ビーコン、光ビーコン等として受信するビーコンレシーバである。また、通信装置17としては、LAN、WAN、イントラネット、携帯電話回線網、電話回線網、公衆通信回線網、専用通信回線網、インターネット等の通信回線網等の通信系において通信を可能とするネットワーク機器であっても良い。更に、通信装置17は前記情報センタからの情報の他に、ニュース、天気予報等の情報から成るFM多重情報を、FM放送局を介してFM多重放送として受信するFM受信機を備える。尚、前記ビーコンレシーバ及びFM受信機は、ユニット化されてVICSレシーバとして配設されるようになっているが、別々に配設することもできる。
【0039】
ここで、図2はVICSセンタ等の交通情報送信センタ2と、ナビゲーション装置1と、ネットワーク3から構成される通信システム4について示したブロック図である。図2に示すように、交通情報送信センタ2とナビゲーション装置1は、ネットワーク3を介して各種の交通情報の受信が可能となるように構成されている。
【0040】
交通情報送信センタ2は、サーバ101と、サーバ101に接続された情報記録部としての情報DB105と、センタ側通信装置106とを備える。また、サーバ101は、サーバ101の全体の制御を行う演算装置及び制御装置としてのCPU102、並びにCPU102が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるRAM103、ナビゲーション装置1からの通信に基づいて適当な交通情報を情報DB105から抽出し、ナビゲーション装置1に対して送信するための各種の制御プログラムが記録されたROM104等の内部記憶装置を備えている。また、CPU102に代えてMPU等を使用することができる。
【0041】
次に、図3及び図4を用いてデータ記録部12に記録される復路候補テーブル23について具体例をあげて説明する。ここで、復路候補テーブル23は、前記したように出発地から目的地へと向かう往路において、自車が特に主要道路(第1実施形態では、高速道路、自動車専用道路、国道、県道の4種)を経由して走行した場合に、主要道路の走行を開始した時刻、走行を終了した時刻、及び走行した主要道路のリンクを特定するリンク番号が走行順に記録されるテーブルである。
【0042】
例えば、図3に示すように自車が出発地Sから目的地Gまで主要道路1、主要道路2、主要道路3を経由して往路を走行した場合を例にして以下に説明する。図3は自車の出発地Sから目的地Gまでの走行経路の一例を示した模式図、図4は図3に示す走行経路を自車が往路として走行した場合に記録される復路候補テーブル23を示した図である。
【0043】
図3に示すように、自車50が出発地Sを出発して先ず、ノード点Aから主要道路1に進入すると、図4に示すように復路候補テーブル23には復路候補番号1として、ノード点Aを通過した時刻である5月23日13時45分が走行開始時刻として記録され、また、走行するリンク51のリンク番号XX1が記録される。そして、更にノード点Bを通過して主要道路1を継続して走行すると、走行するリンク52のリンク番号XX3が記録される。続けてノード点Cを通過して主要道路1を継続して走行すると、走行するリンク53のリンク番号XX6が記録される。その後、ノード点Dから主要道路1以外の道路へと進入すると、ノード点Dを通過した時刻である5月23日14時10分が走行終了時刻として記録され、復路候補番号1である主要道路1の復路候補登録処理が終了する。
【0044】
その後、図3に示すように、自車50がノード点Eから主要道路2に進入すると、図4に示すように復路候補テーブル23には復路候補番号2として、ノード点Eを通過した時刻である5月23日14時47分が走行開始時刻として記録され、また、走行するリンク54のリンク番号YY2が記録される。そして、更にノード点Fを通過して主要道路2を継続して走行すると、走行するリンク55のリンク番号YY4が記録される。続けてノード点Gを通過して主要道路2を継続して走行すると、走行するリンク56のリンク番号YY6が記録される。その後、ノード点Hから主要道路2以外の道路へと進入すると、ノード点Hを通過した時刻である5月23日15時00分が走行終了時刻として記録され、復路候補番号2である主要道路2の復路候補登録処理が終了する。
【0045】
その後、図3に示すように、自車50がノード点Iから主要道路3に進入すると、図4に示すように復路候補テーブル23には復路候補番号3として、ノード点Iを通過した時刻である5月23日15時10分が走行開始時刻として記録され、また、走行するリンク57のリンク番号ZZ7が記録される。そして、更にノード点Jを通過して主要道路3を継続して走行すると、走行するリンク58のリンク番号ZZ6が記録される。その後、ノード点Kから主要道路3以外の道路へと進入すると、ノード点Kを通過した時刻である5月23日15時20分が走行終了時刻として記録され、復路候補番号3である主要道路3の復路候補登録処理が終了する。
【0046】
ここで、図4に示すように出発地から目的地への往路を走行する際に経由した主要道路の走行情報が記録された復路候補テーブル23は、その後、目的地からの復路を走行する際に、経路案内に使用される。具体的には、最も大きい復路候補番号が関連付けられた主要道路であって、且つ最も遅く記録されたリンク(言い換えれば、最も遅く走行したリンク)から順にVICSセンタ等の交通情報送信センタ2から取得した交通情報に基づいて復路の走行に適しているか否かの判定がなされ、適していると判定された場合に、該リンクへの経路探索及び経路案内を行うように制御する。
【0047】
続いて、前記構成を有するナビゲーション装置1においてCPU41が実行する往復路案内処理プログラムについて図5に基づき説明する。図5は第1実施形態に係る往復路案内処理プログラムのフローチャートである。ここで、往復路案内処理プログラムは、出発地から目的地までの往路において走行した主要道路を復路候補テーブル23に記録するとともに、目的地から出発地までの復路において復路候補テーブル23に記録した主要道路までの経路案内を行うプログラムである。尚、以下の図5乃至図7にフローチャートで示されるプログラムは、ナビゲーション装置1が備えているRAM42やROM43に記憶されており、CPU41により実行される。
【0048】
先ず、往復路案内処理プログラムではステップ(以下、Sと略記する)1において、CPU41は、図6の往路進行処理を行う。往路進行処理では、後述のように出発地から目的地へと向かう往路において、自車が特に主要道路(第1実施形態では、高速道路、自動車専用道路、国道、県道の4種)を経由して走行した場合に、主要道路の走行を開始した時刻、走行を終了した時刻、及び走行した主要道路のリンクを特定するリンク番号を走行順に復路候補テーブル23に記録する処理を行う。
【0049】
その後、S2においてCPU41は自車が往路の走行を終了し、復路の走行を開始したか否かを判定する。具体的には、CPU41は操作部14からの操作情報を受信することに基づいて、操作部14が備える復路案内ボタン(図示せず)が押下されたか否かによって判定するものであり、復路案内ボタンが押下された場合に自車が復路の走行を開始したと判定する。
尚、自車が復路の走行を開始したか否かの判定は復路案内ボタンの操作に基づいて判定することに限られるものではなく、例えば、目的地の場所が予めナビゲーション装置1に設定されている場合には、自車の現在位置と地図データに基づいて自車が目的地に到達し、その後目的地を出発して復路の走行を開始したことをCPU41が判定することも可能である。また、自車の走行履歴を保存し、保存された走行履歴に基づいて判定することも可能である。
【0050】
次に、S3では、図7の復路候補決定処理を行う。復路候補決定処理では、後述のように前記S1で記録した復路候補テーブル23と、VICSセンタ等の交通情報送信センタ2から取得した交通情報に基づいて往路で走行した主要道路の内、復路として走行するのに最適な主要道路のリンクを最適の復路候補として決定する処理を行う。
【0051】
その後、S4では自車の現在位置から前記S3で決定した最適の復路候補であるリンクへの経路探索を情報DB22に記録された各種情報に基づいて行う。
【0052】
更にS5では、現在地検出処理部11によって自車の現在地及び進行方向を検出するとともに、前記S4で探索された経路に従って、目的地である最適な復路候補への経路案内を行う。具体的には、右左折すべき交差点や、分岐点における経路案内を液晶ディスプレイ15に地図と併せて表示するとともに、スピーカ16から案内音声を出力する。尚、このS4及びS5が施設案内手段の処理に相当する。
【0053】
次に、第1実施形態に係るナビゲーション装置1において前記S1で行われる往路進行処理のサブ処理について図6に基づき説明する。図6は第1実施形態に係るナビゲーション装置1における往路進行処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【0054】
往路進行処理においては、先ずS11において、現在地検出処理部11によって検出された自車の現在位置と情報DB22に記録されたノードデータに基づいて、自車の走行する道路リンクが更新されたか否か、即ち、自車がノード点を通過して新たなリンク上に位置したか否かが判定される。
【0055】
そして、道路リンクが更新されていないと判定された場合(S11:NO)、即ち、同一のリンクを継続して走行中であると判定された場合には、当該往路進行処理を終了して前記S2の判定処理へと移行する。一方、道路リンクが更新されたと判定された場合(S11:YES)には、S12へと移行する。
【0056】
S12では、更新されたリンク(自車が新たに進入したリンク)が主要道路であるか否かが情報DB22の道路データに基づいて判定される。ここで、主要道路とは高速道路、自動車専用道路、国道、県道の4種に属する道路に設定されている。尚、主要道路の対象となる道路を上記4種以外の道路に変更可能なように構成しても良い。
【0057】
そして、更新されたリンクが主要道路であると判定された場合(S12:YES)には、更に更新されたリンクが新規復路であるか否か、即ち、後述のS14において復路候補テーブル23に復路候補としてまだ登録されていない主要道路のリンクであるか否かが判定される(S13)。
【0058】
その結果、更新されたリンクが新規復路であると判定された場合(S13:YES)には、図4の復路候補テーブル23に示すように復路候補番号と、リンクの始点であるノード点を通過した時刻である走行開始時刻が記録され、更に更新されたリンクを特定するリンク番号が情報DB22から抽出されて記録される。それによって、新規の復路候補の登録を開始する(S14)。その後、当該往路進行処理を終了してS2の判定処理へと移行する。
尚、S14で記録された復路候補番号は、後にS3の最適の復路候補決定処理(図7参照)において、経路案内を行う復路候補の優先順位の逆順に相当する番号であり、最も大きい番号が記録された復路候補から順に経路案内を行うのに適した復路候補であるか否かの判定が行われる(図7のS21、S29参照)。
【0059】
一方、更新されたリンクが新規復路でないと判定された場合(S13:NO)、即ち、既に前記S14で登録を開始した主要道路内において新たなリンクを更新したと判定された場合には、現在登録中の復路候補において更新されたリンクを特定するリンク番号を情報DB22から抽出して追加して記録する(S15)。その後、当該往路進行処理を終了してS2の判定処理へと移行する。
尚、S15で追加されたリンク番号は、後にS3の最適の復路候補決定処理(図7参照)において、最も遅く追加されたリンクから順に経路案内を行うのに適したリンクであるか否かの判定が行われる(図7のS22〜S24参照)。また、S14及びS15が施設抽出手段及び優先順位設定手段の処理に相当する。
【0060】
一方、前記S12で更新されたリンクが主要道路でないと判定された場合(S12:NO)には、現在、所定の復路候補番号が関連付けられた復路候補の登録を行っているか否か、即ち、主要道路を走行中であったか否かが判定される(S16)。
【0061】
そして、復路候補の登録を行っていると判定された場合(S16:YES)には、リンクの終点であるノード点を通過した時刻が走行終了時刻として記録され、登録中であった復路候補の登録処理が終了する。
それに対して、復路候補の登録を行っていないと判定された場合(S16:NO)には、当該往路進行処理を終了して前記S2の判定処理へと移行する。
【0062】
次に、第1実施形態に係るナビゲーション装置1において前記S3で行われる最適の復路決定処理のサブ処理について図7に基づき説明する。図7は第1実施形態に係るナビゲーション装置1における最適の復路決定処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【0063】
最適の復路決定処理においては、先ずS21で前記S1の往路進行処理において記録された復路候補テーブル23(図4参照)で登録されている復路候補の内から、最も大きい復路候補番号が関連付けられた復路候補(言い換えれば、最も優先順位の高い復路候補)を抽出する。
【0064】
更に、S22では前記S21で抽出された復路候補に記録された一又は複数のリンク番号から、最も遅く記録されたリンクのリンク番号を読み出す。
【0065】
続いて、S23では前記S22で読み出されたリンク番号に該当するリンクの交通情報をVICSセンタ等の交通情報送信センタ2から通信装置17を介して取得する。ここで、交通情報送信センタ2から取得する交通情報としては、例えば、渋滞情報、積雪及び工事による通行止めや速度規制の情報等がある。また、S23では、情報DB22の道路データから該当するリンクの道路情報(一方通行道路や時間帯で通行規制のある道路であるか否か)に関しても取得する。
【0066】
その後、S24では該当する復路候補のリンクにおいて通行規制があるか否か判定される。ここで、通行規制がある場合としては、例えば、交通情報送信センタ2から取得した情報から当該リンクにおいて積雪又は工事による通行止めが行われている場合、当該リンクが復路の進行方向の走行が禁止された一方通行道路である場合、GPS31で検出された現在時刻において通行できない時間帯通行規制のある道路である場合等がある。
【0067】
そして、復路候補のリンクにおいて通行規制がないと判定された場合(S24:NO)には、更に復路候補のリンクにおいて渋滞が発生しているか否かが前記S23で取得された交通情報に基づいて判定される(S25)。尚、S24及びS25が案内判定手段の処理に相当する。
【0068】
その結果、復路候補のリンクにおいて渋滞も発生していないと判定された場合(S25:NO)には、当該復路候補のリンクを最適の復路候補として設定する(S26)。その後、図5のS4及びS5において最適の復路候補として設定されたリンクへの経路探索を行い、探索された経路に従って、目的地である最適な復路候補への経路案内を行う。例えば、図3に示す経路を往路で走行した自車50では、復路を走行する際にリンク58→リンク57→リンク56→・・・の順に前記S22〜S25の処理が行われ、最適の復路候補として設定されたリンクへの経路案内を行う。
【0069】
一方、復路候補のリンクにおいて通行規制があると判定された場合(S24:YES)、及び復路候補のリンクにおいて渋滞が発生していると判定された場合(S25:YES)には、当該リンクは経路案内を行う復路候補としては不適当であると判定され、S27へと移行する。
【0070】
S27では、前記S21及びS29で抽出された復路候補に記録された全てのリンクについて読み出されてS22〜S25の処理がなされたか否かが判定される。そして、まだ読み出されていないリンクが登録されていると判定された場合(S27:NO)には、S22へと戻り、残りのリンクの内から最も遅く登録されたリンクのリンク番号を読み出す。
【0071】
それに対し、全てのリンクが読み出されたと判定された場合(S27:YES)には、続いて復路候補テーブル23に登録された全ての復路候補が既に抽出されたか否かが判定される(S28)。
【0072】
そして、復路候補テーブル23に抽出されていない復路候補が残っていると判定された場合(S28:NO)には、残りの復路候補から最も復路候補番号の大きい復路候補を抽出し(S29)、S22以降において同様の処理を行う。
【0073】
一方、復路候補テーブル23に登録された全ての復路候補について抽出されたと判定された場合(S28:YES)には、当該最適の復路候補決定処理を終了し、S4へと移行する。尚、その際には最適の復路候補が設定されていないので、以降のS4及びS5の経路案内処理は行われない。
【0074】
以上詳細に説明した通り、第1実施形態に係るナビゲーション装置1では、出発地から目的地へと走行する往路において、主要道路を経由した場合に、該当する主要道路を一又は複数のリンクのリンク番号とともに復路候補番号を関連付けて復路候補として復路候補テーブル23に登録し(S14、S15)、その後、目的地からの復路を走行する際に、復路候補テーブル23で登録された復路候補の各リンクを優先順位が高い順に経路案内を行うのに適しているか否かの判定をし(S24、S25)、適していると判定された復路候補への経路探索及び案内を行う(S4、S5)ので、目的地までの自車の走行状況に応じて目的地からの帰路に対する有効な復路探索及び案内を、必要最小限の探索処理及び案内処理で行うことができる。また、単に往路を逆順に読み出しただけでは復路において適切に経路案内できない場合においても適切に経路案内することができる。従って、メモリ負担を減らすとともに利用者の利便性を向上させることができる。
また、自車が目的地から走行する際において、自車が目的地へ走行する際に登録された主要道路のリンクの内、最も遅く登録された主要道路のリンクへの経路案内を行うので、目的地からの帰路においてより効率的な復路探索及び案内を行うことができる。
更に、VICSセンタ等から取得した交通情報や情報DB22内の道路データに基づいて、登録された復路候補が案内に適当な復路候補であるか否かの判定を行うので、主要道路の属性や現在状況に基づいたより的確な復路探索及び案内を行うことができる。
【0075】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係るナビゲーション装置について図8乃至図11に基づいて説明する。尚、以下の説明において上記図1乃至図7の第1実施形態に係るナビゲーション装置1の構成と同一符号は、前記第1実施形態に係るナビゲーション装置1の構成と同一あるいは相当部分を示すものである。
【0076】
この第2実施形態に係るナビゲーション装置の概略構成は、第1実施形態に係るナビゲーション装置1とほぼ同じ構成である。また、各種制御処理も第1実施形態に係るナビゲーション装置1とほぼ同じ制御処理である。
ただし、第1実施形態に係るナビゲーション装置1が復路候補として自車が走行した主要道路を登録し、登録した主要道路への走行案内を行うのに対し、第2実施形態にかかるナビゲーション装置では走行した主要道路の付近にある主要な建物を登録し、主要な建物への走行案内を行う点で前記第1実施形態に係るナビゲーション装置1と異なっている。
【0077】
先ず、図8及び図9を用いて第2実施形態に係るナビゲーション装置1のデータ記録部12に記録される復路候補テーブル60について具体例をあげて説明する。
ここで、第2実施形態に係る復路候補テーブル60は、前記したように出発地から目的地へと向かう往路において、自車が特に主要道路(第2実施形態では、高速道路、自動車専用道路、国道、県道の4種)を経由して走行した場合に、主要道路の走行を開始した時刻、走行を終了した時刻、及び走行した主要道路のリンクを特定するリンク番号が走行順に記録されるとともに、更にリンクの周囲50m以内に主要な建物(第2実施形態では、ホテル、病院、学校、デパート、公園等の予め設定された数十種類の属性に属する建物)が存在する場合に当該建物が記録されるテーブルである。
【0078】
例えば、図8に示すように自車が出発地Sから目的地Gまで主要道路1、主要道路2、主要道路3を経由して往路を走行した場合を例にして以下に説明する。図8は自車の出発地Sから目的地Gまでの走行経路の一例を示した模式図、図9は図8に示す走行経路を自車が往路として走行した場合に記録される復路候補テーブル60を示した図である。
【0079】
図8に示すように、自車50が出発地Sを出発して先ず、ノード点Aから主要道路1に進入すると、図9に示すように復路候補テーブル23には復路候補番号1として、ノード点Aを通過した時刻である5月23日13時45分が走行開始時刻として記録され、また、走行するリンク51のリンク番号XX1が記録される。一方、リンク51の周囲50m以内に位置するHホテル61が主要建物として検出され、Hホテル61を特定する施設ID203が併せて記録される。そして、更にノード点Bを通過して主要道路1を継続して走行すると、走行するリンク52のリンク番号XX3が記録される。続けてノード点Cを通過して主要道路1を継続して走行すると、走行するリンク53のリンク番号XX6が記録される。一方、リンク53の周囲50m以内に位置するJデパート62が検出され、Jデパート62を特定する施設ID145が併せて記録される。その後、ノード点Dから主要道路1以外の道路へと進入すると、ノード点Dを通過した時刻である5月23日14時10分が走行終了時刻として記録され、復路候補番号1である主要道路1の復路候補登録処理が終了する。
【0080】
その後、図8に示すように、自車50がノード点Eから主要道路2に進入すると、図9に示すように復路候補テーブル60には復路候補番号2として、ノード点Eを通過した時刻である5月23日14時47分が走行開始時刻として記録され、また、走行するリンク54のリンク番号YY2が記録される。一方、リンク54の周囲50m以内に位置するB高等学校63が主要建物として検出され、B高等学校63を特定する施設ID344が併せて記録される。そして、更にノード点Fを通過して主要道路2を継続して走行すると、走行するリンク55のリンク番号YY4が記録される。一方、リンク55の周囲50m以内に位置するI公園64が検出され、I公園64を特定する施設ID789が記録される。続けてノード点Gを通過して主要道路2を継続して走行すると、走行するリンク56のリンク番号YY6が記録される。一方、リンク56の周囲50m以内に位置するT銀行65が検出され、T銀行65を特定する施設ID562が併せて記録される。その後、ノード点Hから主要道路2以外の道路へと進入すると、ノード点Hを通過した時刻である5月23日15時00分が走行終了時刻として記録され、復路候補番号2である主要道路2の復路候補登録処理が終了する。
【0081】
その後、図8に示すように、自車50がノード点Iから主要道路3に進入すると、図9に示すように復路候補テーブル60には復路候補番号3として、ノード点Iを通過した時刻である5月23日15時10分が走行開始時刻として記録され、また、走行するリンク57のリンク番号ZZ7が記録される。そして、更にノード点Jを通過して主要道路3を継続して走行すると、走行するリンク58のリンク番号ZZ6が記録される。一方、リンク58の周囲50m以内に位置するS病院66が主要建物として検出され、S病院66を特定する施設ID349が併せて記録される。その後、ノード点Kから主要道路3以外の道路へと進入すると、ノード点Kを通過した時刻である5月23日15時20分が走行終了時刻として記録され、復路候補番号3である主要道路3の復路候補登録処理が終了する。
【0082】
ここで、図9に示すように出発地から目的地への往路を走行する際に経由した主要道路の走行情報が記録された復路候補テーブル60は、その後、目的地からの復路を走行する際に、経路案内に使用される。具体的には、最も大きい復路候補番号が関連付けられた主要道路であって、且つ最も遅く記録されたリンク(言い換えれば、最も遅く走行したリンク)から順にVICSセンタ等の交通情報送信センタ2から取得した交通情報に基づいて復路の走行に適しているか否かの判定がなされ、適していると判定された場合に、該リンクの周囲に位置する主要建物への経路探索及び経路案内を行うように制御する。
【0083】
次に、第2実施形態に係るナビゲーション装置1において前記S1で行われる往路進行処理のサブ処理について図10に基づき説明する。図10は第2実施形態に係るナビゲーション装置1における往路進行処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【0084】
ここで、第2実施形態に係るナビゲーション装置1が実行する往路進行処理のS111〜S117に該当する処理は、前記第1実施形態に係るナビゲーション装置1が実行するS11〜S17と同様であるので、その詳細は省略する。
【0085】
S118では、前記S114で新たに復路候補として登録した主要道路のリンク、又はS115で復路候補に追加したリンクの周囲50m以内に位置する建物を情報DB22の建物データに基づいて検索する。
【0086】
そして、S119では前記S118で検索された建物の中に主要な建物があるか否かが判定される。ここで、主要な建物とはホテル、病院、学校、デパート、公園等の予めナビゲーション装置1で設定された数十種類の属性に属する建物である。尚、主要な建物に属する建物の属性は変更可能に構成しても良い。更に、主要建物を上記のような建物の属性によって定義するのではなく、例えば建物の敷地面積や高さ等の条件によって主要建物を定義するようにしても良い。
【0087】
そして、更新されたリンク周囲の50m以内に主要建物があると判定された場合(S117:YES)には、図9の復路候補テーブル60に示すように検索された建物を特定する施設IDが記録される(S118)。一方、更新されたリンク周囲の50m以内に主要建物がないと判定された場合(S117:NO)には、当該往路進行処理を終了してS2の判定処理へと移行する。
【0088】
次に、第2実施形態に係るナビゲーション装置1において前記S3で行われる最適の復路決定処理のサブ処理について図11に基づき説明する。図11は第2実施形態に係るナビゲーション装置1における最適の復路決定処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【0089】
ここで、第2実施形態に係るナビゲーション装置1が実行する最適の復路決定処理のS121〜S123に該当する処理は、前記第1実施形態に係るナビゲーション装置1が実行するS21〜S23と同様であるので、その詳細は省略する。
【0090】
S124では、前記S122で読み出されたリンクに関連付けて前記S118で登録された主要建物があるか否か判定される。そして、主要建物の登録があると判定された場合(S124:YES)にはS125へと移行し、主要建物の登録がないと判定された場合(S124:NO)には、S128へと移行する。
【0091】
S125では該当する復路候補のリンクにおいて通行規制があるか否か判定される。ここで、通行規制がある場合としては、例えば、交通情報送信センタ2から取得した情報から当該リンクにおいて積雪又は工事による通行止めが行われている場合、当該リンクが復路の進行方向の走行が禁止された一方通行道路である場合、GPS31で検出された現在時刻において通行できない時間帯通行規制のある道路である場合等がある。
【0092】
そして、復路候補のリンクにおいて通行規制がないと判定された場合(S125:NO)には、更に復路候補のリンクにおいて渋滞が発生しているか否かがS123で取得された交通情報に基づいて判定される(S126)。
【0093】
その結果、復路候補のリンクにおいて渋滞も発生していないと判定された場合(S126:NO)には、当該復路候補のリンクを最適の復路候補として設定する(S127)。その後、図5のS4及びS5において最適の復路候補として設定されたリンクに関連付けられて登録された主要建物への経路探索を行い、探索された経路に従って、目的地である最適な復路候補の周囲に位置する主要建物への経路案内を行う。例えば、図8に示す経路を往路で走行した自車50では、復路を走行する際にリンク58→リンク57→リンク56→・・・の順に前記S122〜S126の処理が行われ、最適の復路候補として設定されたリンクの周囲に位置する主要建物(例えば、リンク58ではS病院66、リンク56ではT銀行65)への経路案内を行う。
【0094】
尚、第2実施形態に係るナビゲーション装置1が実行する最適の復路決定処理のS128〜S130に該当する処理は、前記第1実施形態に係るナビゲーション装置1が実行するS27〜S29と同様であるので、その詳細は省略する。
【0095】
以上詳細に説明した通り、第2実施形態に係るナビゲーション装置1では、出発地から目的地へと走行する往路において、主要道路を経由した場合に、該当する主要道路の一又は複数のリンクのリンク番号とリンクの周囲に位置する主要建物とともに復路候補番号を関連付けて復路候補として復路候補テーブル23に登録し(S114、S115、S118)、その後、目的地からの復路を走行する際に、復路候補テーブル23で登録された復路候補の各リンクを優先順位が高い順に経路案内を行うのに適しているか否かの判定をし(S124〜S126)、適していると判定された復路候補の周囲に位置する主要建物への経路探索及び案内を行う(S4、S5)ので、目的地までの自車の走行状況に応じて目的地からの帰路に対する有効な復路探索及び案内を、必要最小限の探索処理及び案内処理で行うことができる。また、単に往路を逆順に読み出しただけでは復路において適切に経路案内できない場合においても適切に経路案内することができる。従って、メモリ負担を減らすとともに利用者の利便性を向上させることができる。
また、自車が目的地から走行する際において、自車が目的地へ走行する際に登録された主要道路のリンクの内、最も遅く登録された主要道路のリンクへの経路案内を行うので、目的地からの帰路においてより効率的な復路探索及び案内を行うことができる。
更に、VICSセンタ等から取得した情報や情報DB22内の道路データに基づいて、登録された復路候補が案内に適当な復路候補であるか否かの判定を行うので、主要道路の属性や現在状況に基づいたより効率的な復路探索及び案内を行うことができる。
【0096】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば、第1及び第2実施形態では、主要道路、主要建物までの経路探索を行い(S4)、探索された経路に従って経路案内を行う(S5)ように構成されているが、主要道路、主要施設までの経路探索を行うことなく、例えば、地図上における主要道路や主要施設を強調表示することや、自車からの主要道路、主要施設への方向を地図上に矢印表示することにより案内を行うこととしても良い。
【0097】
また、第1及び第2実施形態では、復路候補テーブル23、60で登録された主要道路及び主要建物の内、登録されたの時刻が遅い順に優先順位を高くして適当な復路候補であるか否かの判定を行い、適当であると判定された主要道路及び主要建物への経路案内を行うように構成しているが、登録された時刻でなく目的地から近い主要道路及び主要建物の優先順位を高くすることとしても良い。
【0098】
また、第2実施形態において、登録された主要建物の営業時間や開館時間の情報を取得し、現在の時刻が営業時間や開館時間内であると判定された場合に、当該主要建物への経路案内を行うようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】第1実施形態に係るナビゲーション装置を示したブロック図である。
【図2】第1実施形態に係るナビゲーション装置及び交通情報送信センタからなる通信システムについて示したブロック図である。
【図3】自車の出発地Sから目的地Gまでの走行経路の一例を示した模式図である。
【図4】図3に示す走行経路を自車が往路として走行した場合に記録される復路候補テーブルを示した図である。
【図5】第1実施形態に係るナビゲーション装置が実行する往復路案内処理プログラムのフローチャートである。
【図6】第1実施形態に係るナビゲーション装置が実行する往路進行処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【図7】第1実施形態に係るナビゲーション装置が実行する最適の復路決定処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【図8】自車の出発地Sから目的地Gまでの走行経路の一例を示した模式図である。
【図9】図8に示す走行経路を自車が往路として走行した場合に記録される復路候補テーブルを示した図である。
【図10】第2実施形態に係るナビゲーション装置が実行する往路進行処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【図11】第2実施形態に係るナビゲーション装置が実行する最適の復路決定処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【符号の説明】
【0100】
1 ナビゲーション装置
2 交通情報送信センタ
12 データ記録部
15 液晶ディスプレイ
16 スピーカ
17 通信装置
22 情報DB
23、60 復路候補テーブル
31 GPS
32 地磁気センサ
41 CPU
42 RAM
43 ROM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設の情報を記憶する施設情報記憶手段と、
自車の現在地を検出する現在地検出手段と、を有するナビゲーション装置において、
自車が目的地へ走行する際に、前記現在地検出手段により検出された自車位置を特定する特定施設を前記施設情報記憶手段に記憶された施設から抽出する施設抽出手段と、
自車が目的地から走行する際に、前記施設抽出手段によって抽出された特定施設への案内を行う施設案内手段と、
を有することとを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記施設案内手段は、前記施設抽出手段によって抽出された特定施設への経路探索を行うとともに、探索された経路に従って前記特定施設への経路案内を行うことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記施設は道路であり、
前記施設抽出手段は自車が現在走行する道路を特定道路として抽出することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記施設抽出手段は、前記現在地検出手段によって検出された自車位置から所定範囲内に位置する前記施設情報記憶手段に記憶された施設を特定施設として抽出することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記施設抽出手段によって抽出された特定施設を抽出された順序が遅い順に優先順位を設定する優先順位設定手段を有し、
前記施設案内手段は前記優先順位設定手段によって最も高い優先順位が設定された特定施設への案内を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記特定施設に関する情報を取得する情報取得手段と、
前記情報取得手段によって取得された情報に基づいて取得された情報に係る特定施設への案内を行うか否かを判定する案内判定手段と、を有し、
前記施設案内手段は、前記案内判定手段によって案内を行うと判定された特定施設の内、前記優先順位設定手段によって最も高い優先順位が設定された特定施設への案内を行うことを特徴とする請求項5に記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−17209(P2007−17209A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−197054(P2005−197054)
【出願日】平成17年7月6日(2005.7.6)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】