説明

ナビゲーション装置

【課題】誘導経路上の渋滞がどのような交通規制によって発生した渋滞なのかをドライバに分かり易く案内することが可能なナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】、自車位置から所定距離の範囲内に交通規制情報24があり、且つ、交通規制情報24が存在する規制リンクから始まる渋滞情報23がある場合には、この渋滞情報23を構成する渋滞リンクが全て抽出される(S2〜S4)。そして、この抽出した渋滞リンク内に誘導経路上の渋滞リンクがある場合には、CPU41は、各渋滞リンクに対応する交通規制情報24とこの交通規制情報24から始まる渋滞情報23とを液晶ディスプレイ15の地図上に識別可能に表示すると共に、誘導経路上にある渋滞をこの交通規制情報24から始まる渋滞情報23としてスピーカ16を介して音声案内する(S5〜S7)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図情報を表示すると共にこの地図上に目的地までの誘導経路を表示するナビゲーション装置に関し、特に、受信した道路交通情報に基づいて渋滞情報を該交通規制情報から始まる渋滞情報として案内するナビゲーション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の走行案内を行い、運転者が所望の目的地に容易に到着できるようにしたナビゲーション装置が車両に搭載されていることが多い。このナビゲーション装置とは、GPS受信機などにより車両の現在位置を検出し、その現在位置に対応する地図データをDVD−ROMやHDDなどの記録媒体、又はネットワークを通じて取得して液晶モニタに表示することが可能な装置である。そして、車両の現在位置を含む地図データを記録媒体等から読み出し、地図データに基づいて車両の現在位置の周囲における地図画像を描画して表示装置に表示するとともに、車両位置マークを地図画像に重ね合わせて表示し、車両の移動に応じて地図画像をスクロールしたり、地図画像を画面に固定し車両位置マークを移動させることによって、車両が現在どの地点を走行しているのかを一目でわかるようにしている。
【0003】
ここで、受信した道路交通情報に基づいて目的地までの誘導経路とこの誘導経路に含まれる渋滞した渋滞道路リンクとを識別可能に表示するナビゲーション装置が種々提案されている。
例えば、自車位置に応じた地図および目的地までの誘導経路をディスプレイ画面に描画すると共に、外部より道路交通情報を受信して地図上に渋滞道路リンクを識別可能に表示するナビゲーション装置において、受信した道路交通情報に基づいて、誘導経路上に渋滞道路リンクが存在するか判断し、存在する場合には自動車位置と誘導経路上の渋滞終点を1画面に表示可能な縮尺を求め、該縮尺で地図、誘導経路および渋滞道路リンクを表示するように構成されたナビゲーション装置がある(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平11−2538号公報(段落(0007)〜(0017)、図1〜図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記した特許文献1に記載されたナビゲーション装置では、受信した道路交通情報に基づいて誘導経路上に渋滞道路リンクが存在する場合、自動車位置から渋滞終点あるいはそれより先の地点までの地図を縮尺を替えて一括表示してこの誘導経路上の渋滞をドライバに知らせることができるが、道路交通情報として受信した渋滞情報は、交通規制情報との関連性がないため、ドライバは、この渋滞が何による渋滞か、即ち、どのような交通規制によって発生した渋滞なのかを容易に把握することができないという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、誘導経路上に渋滞道路リンクが存在する場合、この渋滞がどのような交通規制によって発生した渋滞なのかをドライバに分かり易く案内することが可能なナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため請求項1に係るナビゲーション装置は、道路交通情報を受信する受信手段(17)と、前記道路交通情報に基づいて交通規制情報が存在する規制道路リンクから始まる渋滞情報があるか否かを判定する渋滞情報判定手段(13)と、前記渋滞情報判定手段によって前記交通規制情報が存在する規制道路リンクから始まる渋滞情報があると判定された場合には、該渋滞情報を該交通規制情報から始まる渋滞情報として案内するように制御する案内制御手段(13)と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に係るナビゲーション装置は、請求項1に記載のナビゲーション装置(1)において、前記規制道路リンクから始まる渋滞情報に誘導経路に含まれる渋滞道路リンクがあるか否かを判定する渋滞リンク判定手段(13)を備え、前記案内制御手段(13)は、前記渋滞リンク判定手段によって前記規制道路リンクから始まる渋滞情報に誘導経路に含まれる渋滞道路リンクがあると判定された場合には、該渋滞情報を該交通規制情報から始まる渋滞情報として案内するように制御することを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に係るナビゲーション装置は、請求項2に記載のナビゲーション装置(1)において、前記渋滞リンク判定手段(13)は、前記規制道路リンクに接続される渋滞した渋滞道路リンクを全て抽出する抽出手段(13)を有し、該渋滞リンク判定手段は、前記抽出手段によって抽出された渋滞道路リンク内に前記誘導経路に含まれる渋滞道路リンクがある場合に、前記規制道路リンクから始まる渋滞情報に該誘導経路に含まれる渋滞道路リンクがあると判定することを特徴とする。
【0009】
また、請求項4に係るナビゲーション装置は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のナビゲーション装置(1)において、前記交通規制情報は、自車位置から所定距離範囲内に存在する交通規制情報であることを特徴とする。
【0010】
更に、請求項5に係るナビゲーション装置は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のナビゲーション装置(1)において、地図情報と共に渋滞した渋滞道路リンクを表示する表示手段(15)を有し、前記案内制御手段(13)は、該渋滞道路リンクを前記交通規制情報から始まる渋滞として前記表示手段に識別可能に表示するように制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
前記構成を有する請求項1に係るナビゲーション装置では、受信した道路交通情報に基づいて、交通規制情報が存在する規制道路リンクから始まる渋滞情報があると判定した場合には、該渋滞情報を該交通規制情報から始まる渋滞情報として案内するため、ユーザは、この渋滞が何による渋滞か、即ち、どのような交通規制によって発生した渋滞なのかを容易に把握することができる。
【0012】
また、請求項2に係るナビゲーション装置では、交通規制情報が存在する規制道路リンクから始まる渋滞情報に誘導経路に含まれる渋滞道路リンクがあると判定された場合には、該渋滞情報を該交通規制情報から始まる渋滞情報として案内するため、ユーザは、この誘導経路上の渋滞が何による渋滞か、即ち、どのような交通規制によって発生した渋滞なのかを容易に把握することができる。
【0013】
また、請求項3に係るナビゲーション装置では、交通規制情報が存在する規制道路リンクに接続される渋滞した渋滞道路リンクを全て抽出後、この抽出された渋滞道路リンク内に誘導経路に含まれる渋滞道路リンクがある場合に、この規制道路リンクから始まる渋滞情報に誘導経路上の渋滞道路リンクがあると判定するため、誘導経路上にこの交通規制情報が存在する場合だけでなく、誘導経路上にこの交通規制情報が存在しない場合にも、該渋滞情報を該交通規制情報から始まる渋滞情報として正確に決定することが可能となる。
【0014】
また、請求項4に係るナビゲーション装置では、渋滞情報が、自車位置から所定距離範囲内に存在する交通規制情報から始まる渋滞情報として案内されるため、ユーザは、この渋滞が何による渋滞か、即ち、自車位置から所定距離範囲内に存在する交通規制によって発生した渋滞であることを容易に把握することができる。
【0015】
更に、請求項5に係るナビゲーション装置では、地図情報と共に渋滞した渋滞道路リンクが交通規制情報から始まる渋滞として表示手段に識別可能に表示されるため、ユーザは、表示手段を介してこの誘導経路上の渋滞が何による渋滞か、即ち、どのような交通規制によって発生した渋滞なのかを更に容易に把握でき、地図情報からこの渋滞を迂回する迂回経路を容易に決定することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係るナビゲーション装置について具体化した一実施例に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0017】
先ず、本実施例に係るナビゲーション装置の概略構成について図1及び図2を用いて説明する。図1は本実施例に係るナビゲーション装置1を示したブロック図である。図2は、ナビゲーション装置1と道路交通情報センタ(VICS)3との通信を説明する説明図である。
【0018】
図1に示すように、本実施例に係るナビゲーション装置1は、自車の現在位置(以下、「自車位置」という。)を検出する現在地検出処理部11と、各種のデータが記録されたデータ記録部12と、入力された情報に基づいて、各種の演算処理を行うナビゲーション制御部13と、操作者からの操作を受け付ける操作部14と、操作者に対して地図等の情報を表示する液晶ディスプレイ15と、経路案内や後述の交通規制情報と渋滞情報の案内に関する音声ガイダンスを出力するスピーカ16と、道路交通情報センタ(VICS)3等の情報センタとの間で通信を行う通信装置17と、から構成されている。また、ナビゲーション制御部13には自車の走行速度を検出する車速センサ21が接続されている。
【0019】
また、図2に示すように、ナビゲーション装置1は、ネットワーク2を介して道路交通情報センタ(VICS(登録商標):Vehicle Information and Communication System)3が接続されている。そして、ナビゲーション装置1は、ネットワーク2を介して道路交通情報センタ(VICS)3から警察、日本道路公団等の交通管制システムの情報を収集して作成した道路の渋滞等に関する情報や交通規制情報等の道路交通情報を所定時間毎に受信することが可能に構成されている。また、この道路交通情報は、例えば、道路の渋滞等に関する道路渋滞情報、道路工事、建築工事等による交通規制情報等の道路交通情報に関する詳細情報である。該詳細情報は、道路渋滞情報の場合、後述のVICSリンクID、渋滞の実際の長さ、渋滞解消の見込まれる時刻等であり、交通規制情報の場合、後述のVICSリンクID、道路工事、建築工事等の継続期間、通行止め、片側交互通行、車線規制等の交通規制の種類、交通規制の時間帯等である。
【0020】
また、ネットワーク2としては、例えばLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、イントラネット、携帯電話回線網、電話回線網、公衆通信回線網、専用通信回線網、インターネット等の通信回線網等の通信系を使用することができる。そして、放送衛星によるCS放送、BS放送、地上波ディジタルテレビ放送、FM多重放送等を利用する通信系を使用することもできる。更に、高度道路交通システム(ITS)において利用されるノンストップ自動料金支払いシステム(ETC)、狭域通信システム(DSRC)等の通信系を使用することもできる。
【0021】
以下に、ナビゲーション装置1を構成する各構成要素について図1に基づいて説明する。図1に示すように、現在地検出処理部11は、GPS31、地磁気センサ32、距離センサ33、ステアリングセンサ34、方位検出部としてのジャイロセンサ35、高度計(図示せず)等からなり、現在の自車の位置、方位、目標物(例えば、交差点)までの距離等を検出することが可能となっている。
【0022】
具体的には、GPS31は、人工衛星によって発生させられた電波を受信することにより、地球上における自車の現在位置及び現在時刻を検出し、地磁気センサ32は、地磁気を測定することによって自車方位を検出し、距離センサ33は、道路上の所定の位置間の距離等を検出する。ここで、距離センサ33としては、例えば、自車の車輪(図示せず)の回転速度を測定し、測定した回転速度に基づいて距離を検出するセンサ、加速度を測定し、測定した加速度を2回積分して距離を検出するセンサ等を使用することができる。
【0023】
また、ステアリングセンサ34は自車の舵(だ)角を検出する。ここで、ステアリングセンサ34としては、例えば、ステアリングホイール(図示せず)の回転部に取り付けられた光学的な回転センサ、回転抵抗センサ、車輪に取り付けられた角度センサ等が使用される。
【0024】
そして、ジャイロセンサ35は自車の旋回角を検出する。ここで、ジャイロセンサ35としては、例えば、ガスレートジャイロ、振動ジャイロ等が使用される。また、ジャイロセンサ35によって検出された旋回角を積分することにより、自車方位を検出することができる。
【0025】
また、データ記録部12は、外部記憶装置及び記憶媒体としてのハードディスク(図示せず)と、ハードディスクに記憶された交通情報DB22、地図情報DB25、及び所定のプログラム等を読み出すとともにハードディスクに所定のデータを書き込む為のドライバである記録ヘッド(図示せず)とを備えている。尚、本実施例においては、データ記録部22の外部記憶装置及び記憶媒体としてハードディスクが使用されるが、ハードディスクのほかに、フレキシブルディスク等の磁気ディスクを外部記憶装置として使用することができる。また、メモリーカード、磁気テープ、磁気ドラム、CD、MD、DVD、光ディスク、MO、ICカード、光カード等を外部記憶装置として使用することもできる。
【0026】
また、交通情報DB22には、道路交通情報センタ(VICS)3から受信した渋滞の実際の長さ、渋滞解消の見込まれる時刻等から構成される現況の道路の渋滞等に関する道路交通情報から作成した渋滞情報23が格納されている。また、この交通情報DB22には、道路交通情報センタ(VICS)3から受信した交通規制のある道路工事、建築工事等による交通規制情報等に関する道路交通情報から作成した交通規制情報24が格納されている。
【0027】
また、道路交通情報センタ(VICS)3から受信した各道路交通情報には、種別情報、位置、渋滞区間の距離、渋滞度等の情報とともに、VICSリンクIDが含まれる。該VICSリンクIDは、道路を所定の交差点毎に分割して規格化された走行案内用リンクとしてのVICSリンクに付与された識別番号である。なお、前記道路交通情報には、各VICSリンクにおける始点及び終点の座標、始点から終点までの距離等の情報も含まれている。
【0028】
ここで、地図情報DB25に記憶される道路(リンク)とVICSリンクとは同一のものではない(一般的には、道路(リンク)の方がVICSリンクよりも細分化されている。)。そこで、交通情報DB22には、各道路(リンク)に識別番号として付与されるリンクIDとVICSリンクIDとの間の変換テーブル(対照表)を有し、VICSリンクIDに基づいて、対応するリンクIDを特定することができるようになっている。そのため、ナビゲーション装置1は、道路交通情報センタ(VICS)3からVICSリンクIDを受信すると、該VICSリンクIDに基づいて渋滞情報等の道路交通情報を表示すべき道路の区間を特定することができる。そして、道路交通情報センタ(VICS)3から受信した現況の道路の渋滞等に関する道路交通情報のVICSリンクIDは、リンクIDに変換されて渋滞情報23として格納される。また、道路交通情報センタ(VICS)3から受信した交通規制情報等に関する道路交通情報のVICSリンクIDは、リンクIDに変換されて交通規制情報24として格納される。
【0029】
また、地図情報DB25には、ナビゲーション装置1の走行案内や経路探索に使用されるナビ地図情報26が格納されている。ここで、ナビ地図情報26には、経路案内及び地図表示に必要な各種情報から構成されており、例えば、各新設道路を特定するための新設道路情報、地図を表示するための地図表示データ、各交差点に関する交差点データ、ノード点に関するノードデータ、施設の一種である道路(リンク)に関するリンクデータ、経路を探索するための探索データ、施設の一種である店舗等のPOI(Point of Interest)に関する店舗データ、地点を検索するための検索データ等から構成されている。
そして、地図情報DB25の内容は、不図示の地図情報配信センタから通信装置17を介して配信された更新情報をダウンロードすることによって更新される。
【0030】
ここで、特に地図表示データとしては、10km×10kmで区画された2次メッシュをベースに4分割(長さ1/2)、16分割(1/4)、64分割(1/8)されたユニットで構成されており、各ユニットのデータ量が略同レベルになるように、各地のユニットが設定されている。最も小さい64分割サイズのユニットは、約1.25km四方の大きさである。
【0031】
また、ノードデータとしては、実際の道路の分岐点(交差点、T字路等も含む)、各道路に曲率半径等に応じて所定の距離ごとに設定されたノード点の座標(位置)、ノードが交差点に対応するノードであるか等を表すノード属性、ノードに接続するリンクの識別番号であるリンクIDのリストである接続リンク番号リスト、ノードにリンクを介して隣接するノードのノード番号のリストである隣接ノード番号リスト、各ノード点の高さ(高度)等に関するデータ等が記録される。
【0032】
また、リンクデータとしては、道路を構成する各リンクに関してリンクの属する道路の幅員、勾(こう)配、カント、バンク、路面の状態、道路の車線数、車線数の減少する箇所、幅員の狭くなる箇所、踏切り等を表すデータが、コーナに関して、曲率半径、交差点、T字路、コーナの入口及び出口等を表すデータが、道路属性に関して、降坂路、登坂路等を表すデータが、道路種別に関して、国道、県道、細街路等の一般道のほか、高速自動車国道、都市高速道路、一般有料道路、有料橋等の有料道路を表すデータがそれぞれ記録される。更に、有料道路に関して、有料道路の入口及び出口の取付道(ランプウェイ)、料金所(インターチェンジ)等に関するデータが記録される。
【0033】
また、探索データとしては、設定された目的地までの経路を探索及び表示する際に使用されるデータについて記録されており、ノードを通過する際のコスト(以下、ノードコストという)や道路を構成するリンクのコスト(以下、リンクコストという)からなる探索コストを算出する為に使用するコストデータ、経路探索により選択された誘導経路を液晶ディスプレイ15の地図上に表示するための経路表示データ等から構成されている。
【0034】
また、店舗データとしては、各地域のホテル、病院、ガソリンスタンド、駐車場、観光施設等のPOIに関するデータがPOIを特定するIDとともに記録される。なお、前記地図情報DB25には、所定の情報をナビゲーション装置1のスピーカ16によって出力するための音声出力データも記録される。
【0035】
また、図1に示すように、ナビゲーション装置1を構成するナビゲーション制御部13は、ナビゲーション装置1の全体の制御を行う演算装置及び制御装置としてのCPU41、並びにCPU41が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるとともに、経路が探索されたときの経路データや後述の交通規制情報が存在するリンクID等が記憶されるRAM42、制御用のプログラムのほか、後述の交通規制情報から始まる渋滞情報を案内する渋滞情報案内処理プログラム(図3参照)が記憶されたROM43、ROM43から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ44等の内部記憶装置や、時間を計測するタイマ45等を備えている。尚、前記RAM42、ROM43、フラッシュメモリ44等としては半導体メモリ、磁気コア等が使用される。そして、演算装置及び制御装置としては、CPU41に代えてMPU等を使用することも可能である。
【0036】
また、本実施例においては、前記ROM43に各種のプログラムが記憶され、前記データ記録部12に各種のデータが記憶されるようになっているが、プログラム、データ等を同じ外部記憶装置、メモリーカード等からプログラム、データ等を読み出して前記フラッシュメモリ44に書き込むこともできる。更に、メモリーカード等を交換することによって前記プログラム、データ等を更新することができる。
【0037】
更に、前記ナビゲーション制御部13には、操作部14、液晶ディスプレイ15、スピーカ16、通信装置17の各周辺装置(アクチュエータ)が電気的に接続されている。
【0038】
操作部14は、走行開始時の現在地を修正し、案内開始地点としての出発地及び案内終了地点としての目的地を入力する際や施設に関する情報の検索を行う際等に操作され、各種のキー等の複数の操作スイッチから構成される。そして、ナビゲーション制御部13は、各スイッチの押下等により出力されるスイッチ信号に基づき、対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。尚、操作部14としては、キーボード、マウス、バーコードリーダ、遠隔操作用のリモートコントロール装置、ジョイスティック、ライトペン、スタイラスペン等を使用することもできる。更に、液晶ディスプレイ15の前面に設けたタッチパネルによって構成することもできる。
【0039】
また、液晶ディスプレイ15には、操作案内、操作メニュー、キーの案内、現在地から目的地までの誘導経路、誘導経路に沿った案内情報、交通情報、ニュース、天気予報、時刻、メール、テレビ番組等が表示される。尚、液晶ディスプレイ15の代わりに、CRTディスプレイ、プラズマディスプレイ等を使用したり、車両のフロントガラスにホログラムを投影するホログラム装置等を使用することも可能である。
【0040】
また、スピーカ16は、ナビゲーション制御部23からの指示に基づいて、誘導経路に沿った走行を案内する音声ガイダンスや、後述のように交通規制情報から始まる渋滞情報を案内する音声案内を出力する。ここで、案内される音声ガイダンスとしては、例えば、「200m先、○○交差点を右方向です。」や「この先、車線規制による渋滞が3km程度あります。」等がある。なお、スピーカ16より出力される音声としては、合成された音声のほかに、各種効果音、予めテープやメモリ等に録音された各種の案内情報を出力することもできる。
【0041】
そして、通信装置17は、情報センタ、例えば、道路交通情報センタ(VICS)3等から送信された渋滞情報、交通規制情報、駐車場情報、交通事故情報、サービスエリアの混雑状況等の各情報から成る道路交通情報を、道路に沿って配設された電波ビーコン装置、光ビーコン装置等を介して電波ビーコン、光ビーコン等として受信するビーコンレシーバである。また、通信装置17は、ネットワーク2としてLAN、WAN、イントラネット、携帯電話回線網、電話回線網、公衆通信回線網、専用通信回線網、インターネット等の通信回線網等の通信系において通信を可能とするネットワーク機器である。更に、通信装置17は道路交通情報センタ(VICS)3からの情報の他に、ニュース、天気予報等の情報から成るFM多重情報を、FM放送局を介してFM多重放送として受信するFM受信機を備える。尚、前記ビーコンレシーバ及びFM受信機は、ユニット化されてVICSレシーバとして配設されるようになっているが、別々に配設することもできる。
【0042】
続いて、前記構成を有するナビゲーション装置1においてCPU41が実行する交通規制情報から始まる渋滞情報を案内する渋滞情報案内処理プログラムについて図3乃至図6に基づき説明する。図3は本実施例に係るナビゲーション装置1が実行する交通規制情報から始まる渋滞情報を案内する渋滞情報案内処理プログラムである。図4は「渋滞リンク取得処理」のサブ処理を示すサブフローチャートである。図5は図3のステップ3乃至ステップ5の処理内容を説明するイメージ図である。図6は図3のステップ6で実行される表示画面及び渋滞案内メッセージの一例を示す図である。
尚、以下の図3及び図4にフローチャートで示されるプログラムは、ナビゲーション装置1が備えているRAM42やROM43に記憶されており、CPU41により実行される。
【0043】
図3に示すように、先ず、渋滞情報案内処理プログラムのステップ(以下、Sと略記する)1において、CPU41は、現在地検出処理部11により自車位置を検出して、自車位置を含む地図データをナビ地図情報26から読み出し、地図データに基づいて自車位置の周囲における地図画像50(図6参照)を描画して液晶ディスプレイ15に表示するとともに、自車位置を表す車両位置マーク51(図6参照)を地図画像50に重ね合わせて表示し、車両の移動に応じて地図画像をスクロールしたり、地図画像50を画面に固定し車両位置マーク51を移動させることによって、車両が現在どの地点を走行しているのかを一目でわかるように表示する。また、CPU41は、地図画像50上に目的地53までの誘導経路54を他の道路と区別して視認可能なように表示状態を変えて表示する。
尚、CPU41は、S1の処理を約30秒間〜3分間実行毎に、S2以降の処理を実行する。
【0044】
続いて、S2において、CPU41は、交通情報DB22の交通規制情報24を読み出し、自車位置から所定距離(約10km〜50kmである。)の範囲内に存在する道路工事、建築工事、交通事故等による片側車線通行等の交通規制情報24があるか否かを判定する判定処理を実行する。
そして、自車位置から所定距離(約10km〜50kmである。)の範囲内に存在する交通規制情報24がない場合には(S2:NO)、CPU41は、再度S1以降の処理を実行する。
【0045】
一方、図6に示すように、自車位置から所定距離(約10km〜50kmである。)の範囲内に存在する各交通規制情報61、62がある場合には(S2:YES)、CPU41は、S3の処理に移行する。S3において、CPU41は、自車位置から所定距離(約10km〜50kmである。)の範囲内に存在する各交通規制情報61、62のそれぞれについて、各交通規制情報61、62が存在する各リンク(以下、「規制リンク(規制道路リンク)」という。)から始まる渋滞情報23があるか否かを判定する判定処理を実行する。即ち、CPU41は、渋滞の始まるリンクID(以下、「渋滞リンク(渋滞道路リンク)」という。)が、各規制リンクと同じリンクIDとなる渋滞情報23があるか否かを判定する判定処理を実行する。
【0046】
そして、交通規制情報24が存在する規制リンクから渋滞リンクが始まる渋滞情報23が無い場合には(S3:NO)、CPU41は、再度S1以降の処理を実行する。
また一方、図5に示すように、渋滞の始まる渋滞リンクR1が、交通規制情報70が存在する規制リンクR1と同じである渋滞情報72(破線で示す)がある場合には(S3:YES)、S4において、CPU41は、後述の「渋滞リンク取得処理」のサブ処理を実行する。
【0047】
ここで、CPU41がS4において実行する「渋滞リンク取得処理」のサブ処理について図4及び図5に基づいて説明する。
図4に示すように、S11において、CPU41は、規制リンクの始点及び終点の各ノードに接続されるリンクが渋滞なしとなるまで渋滞リンクを抽出して、RAM42に記憶する。
続いて、S12において、S11で抽出した連続する渋滞リンクの終端の渋滞リンクに接続される次のリンクが渋滞リンクであるか否かを判定する判定処理を実行する。そして、S11で抽出した終端の渋滞リンクに接続される次のリンクが渋滞した渋滞リンクでない場合には(S12:NO)、CPU41は、渋滞リンクを全て抽出したと判定して、当該サブ処理を終了してメインフローチャートに戻り、S5の処理に移行する。
【0048】
一方、S11で抽出した連続する渋滞リンクの終端の渋滞リンクに接続される次のリンクが渋滞した渋滞リンクの場合には(S12:YES)、CPU41は、次のリンクについてループを行い、この次のリンクを規制リンクに接続される渋滞リンクとしてRAM42に記憶する。尚、この次のリンクが全て自車位置から所定距離(約50km〜60kmである。)の範囲外のリンクになった場合には、ループを終了して当該サブ処理を終了し、メインフローチャートに戻ってS5の処理に移行する。
【0049】
例えば、図5に示すように、CPU41は、交通規制情報70が存在する規制リンクR1から始まる渋滞情報72の各渋滞リンクとして、規制リンクR1と同じ渋滞リンクR1及びノードN2に接続される各渋滞リンクR2〜R5、ノードN3に接続される各渋滞リンクR11、R12及び各渋滞リンクR21、R22、ノードN4に接続される各渋滞リンクR31、R32及び各渋滞リンクR41、R42を抽出してRAM42に記憶する。
【0050】
続いて、図3に示すように、S5において、CPU41は、S4において抽出した渋滞リンクが誘導経路上にあるか否かを判定する判定処理を実行する。
そして、S4において抽出した渋滞リンクが誘導経路上に無い場合には(S5:NO)、CPU41は、再度S1移行の処理を実行する。
一方、S4において抽出した渋滞リンクが誘導経路上にある場合、即ち、この抽出した渋滞リンクのうちに誘導経路に含まれる渋滞リンクが存在する場合には(S5:YES)、CPU41は、S6の処理に移行する。
具体的には、図5に示すように、規制リンクR1から始まる渋滞情報72の各渋滞リンクR1〜R42のうちの各渋滞リンクR1、R2、R21、R22が、誘導経路71上にある場合、即ち、各渋滞リンクR1、R2、R21、R22が誘導経路71を構成する各リンクに含まれる場合には(S5:YES)、CPU41は、S6の処理に移行する。
【0051】
そして、S6において、CPU41は、上記S4で抽出した各渋滞リンクに対応する交通規制情報24とこの交通規制情報24から始まる渋滞情報23を構成する各渋滞リンクとを液晶ディスプレイ15の地図画像50上に識別可能に表示する。
また同時に、S7において、CPU41は、誘導経路上にある渋滞を上記S4で抽出した各渋滞リンクに対応する交通規制情報24から始まる渋滞情報23としてスピーカ16を介して音声案内する。そして、所定時間(例えば、約1分間〜3分間である。)経過後、再度S1以降の処理を実行する。
【0052】
例えば、図6に示すように、液晶ディスプレイ15の地図画像50上に車線規制を表す交通規制情報61が点滅表示されると共に、この交通規制情報61から始まる渋滞情報65を構成する各渋滞リンクが赤い破線で点滅表示される。また、自車位置を表す車両位置マーク51と目的地53とを結ぶ誘導経路54が青い太線で表示される。
また同時に、誘導経路54上の各渋滞リンクの合計距離が3kmで、交通規制情報61が車線規制であり、車速が約150m/分の場合には、スピーカ16を介して「この先、車線規制による渋滞が3km程度あります。この渋滞の通過には20分程かかります。」という音声案内が行われる。
尚、交通規制情報62から始まる渋滞情報23が無いため、該交通規制情報62は、表示されていない。
【0053】
以上詳細に説明した通り、本実施例に係るナビゲーション装置1では、自車位置から所定距離の範囲内に交通規制情報24があり、且つ、渋滞の始まる渋滞リンクR1が、交通規制情報24が存在する規制リンクR1と同じである渋滞情報23がある場合には、この渋滞情報23を構成する渋滞リンクが全て抽出される(S2〜S4)。そして、この抽出した渋滞リンク内に誘導経路上の渋滞リンクがある場合には、CPU41は、各渋滞リンクに対応する交通規制情報24とこの交通規制情報24から始まる渋滞情報23とを液晶ディスプレイ15の地図上に識別可能に表示すると共に、誘導経路上にある渋滞をこの交通規制情報24から始まる渋滞情報23としてスピーカ16を介して音声案内する(S5〜S7)。
【0054】
これにより、ユーザは、誘導経路上にある渋滞を交通規制情報24から始まる渋滞情報23としてスピーカ16を介して音声案内されるため、誘導経路上の渋滞が何による渋滞か、即ち、どのような交通規制情報24によって発生した渋滞なのかを容易に把握することができる。また、ユーザは、各渋滞リンクに対応する交通規制情報24とこの交通規制情報24から始まる渋滞情報23とが液晶ディスプレイ15の地図画像50上に識別可能に表示されるため、この渋滞を迂回する迂回経路を容易に決定することが可能となる。
【0055】
また、S4において、交通規制情報70が存在する規制リンクR1に接続される各渋滞リンクR1〜R42又は交通規制情報61が存在する規制リンクに接続される各渋滞リンクを全て抽出後、S5において、この抽出された各渋滞リンクR1〜R42等内に各誘導経路71、54に含まれる渋滞リンクがある場合には、この規制リンクから始まる各渋滞情報72、65に各誘導経路71、54上の渋滞リンクがあると判定されるため、図5に示すように、誘導経路71上に交通規制情報70が存在する場合だけでなく、図6に示すように、誘導経路54上に交通規制情報61が存在しない場合にも、該誘導経路54の渋滞を該交通規制情報61から始まる渋滞情報65として正確に決定することができる。
【0056】
尚、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。例えば、以下のようにしてもよい。
【0057】
(A)図6では、交通規制情報62は、渋滞情報23が無いため表示しなかったが、自車位置から所定範囲内の交通規制情報24を全て表示するようにしてもよい。これにより、渋滞を迂回する迂回経路をより容易に決定することが可能となる。
(B)また、図6において、誘導経路54を表示している地図画像50内に同一縮尺表示では、誘導経路54上の渋滞リンクに対応する交通規制情報61が表示できない場合には、この交通規制情報61を表示しないで、スピーカ16による交通規制情報24の音声案内のみ行うようにしてもよい。これにより、誘導経路54の渋滞が交通規制情報61から始まる渋滞であることを容易に確認することができる。
(C)また、図6において、誘導経路54を表示している地図画像50内に同一縮尺表示では、誘導経路54上の渋滞リンクに対応する交通規制情報61が表示できない場合には、表示画面の周縁部の渋滞情報65に重ねて交通規制情報61を表示するようにしてもよい。これにより、誘導経路54の渋滞が交通規制情報61から始まる渋滞であることをより容易に確認することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本実施例に係るナビゲーション装置を示したブロック図である。
【図2】ナビゲーション装置と道路交通情報センタ(VICS)との通信を説明する説明図である。
【図3】ナビゲーション装置が実行する交通規制情報から始まる渋滞情報を案内する渋滞情報案内処理を示すメインフローチャートである。
【図4】図3の渋滞リンク取得処理のサブ処理示すサブフローチャートである。
【図5】図3のステップ3乃至ステップ5の処理内容を説明するイメージ図である。
【図6】図3のステップ6で実行される表示画面及び渋滞案内メッセージの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0059】
1 ナビゲーション装置
2 ネットワーク
3 道路交通情報センタ(VICS)
12 データ記録部
13 ナビゲーション制御部
15 液晶ディスプレイ
16 スピーカ
17 通信装置
22 交通情報DB
23、65、72 渋滞情報
24、61、62、70 交通規制情報
25 地図情報DB
41 CPU
42 RAM
43 ROM
50 地図画像
54、71 誘導経路
N1〜N43 ノード
R1 規制リンク
R1〜R42 渋滞リンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路交通情報を受信する受信手段と、
前記道路交通情報に基づいて交通規制情報が存在する規制道路リンクから始まる渋滞情報があるか否かを判定する渋滞情報判定手段と、
前記渋滞情報判定手段によって前記交通規制情報が存在する規制道路リンクから始まる渋滞情報があると判定された場合には、該渋滞情報を該交通規制情報から始まる渋滞情報として案内するように制御する案内制御手段と、
を備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記規制道路リンクから始まる渋滞情報に誘導経路に含まれる渋滞道路リンクがあるか否かを判定する渋滞リンク判定手段を備え、
前記案内制御手段は、前記渋滞リンク判定手段によって前記規制道路リンクから始まる渋滞情報に誘導経路に含まれる渋滞道路リンクがあると判定された場合には、該渋滞情報を該交通規制情報から始まる渋滞情報として案内するように制御することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記渋滞リンク判定手段は、前記規制道路リンクに接続される渋滞した渋滞道路リンクを全て抽出する抽出手段を有し、
該渋滞リンク判定手段は、前記抽出手段によって抽出された渋滞道路リンク内に前記誘導経路に含まれる渋滞道路リンクがある場合に、前記規制道路リンクから始まる渋滞情報に該誘導経路に含まれる渋滞道路リンクがあると判定することを特徴とする請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記交通規制情報は、自車位置から所定距離範囲内に存在する交通規制情報であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
地図情報と共に渋滞した渋滞道路リンクを表示する表示手段を有し、
前記案内制御手段は、該渋滞道路リンクを前記交通規制情報から始まる渋滞として前記表示手段に識別可能に表示するように制御することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−178123(P2007−178123A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−373347(P2005−373347)
【出願日】平成17年12月26日(2005.12.26)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】