説明

ナビゲーション装置

【課題】経路探索の対象から除外されている道路を選択的に経路探索の対象として利用できるようにするナビゲーション装置を提供すること。
【解決手段】地図情報を用いて経路探索を実行するナビゲーション装置100は、車両の現在位置と地図情報とに基づいて車両の走行する道路が経路探索の対象としない制限領域に属するか否かを判定する制限領域属否判定手段11と、制限領域属否判定手段11により制限領域に属すると判定された場合に、その制限領域への進入に関する情報を記録する制限領域進入情報記録手段12と、制限領域進入情報記録手段12の記録に基づいてその制限領域にある道路を経路探索の対象とするか否かを決定する経路探索対象決定手段13と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目的地までの経路探索を実行するナビゲーション装置に関し、特に、特定車両以外の車両の走行を制限する制限領域内の道路を選択的に探索対象とするナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地図情報に含まれない新設道路に関する情報を取得しながらそれら情報を利用した効果的な経路案内を実行できるようにするナビゲーション装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このナビゲーション装置は、車両の現在位置と地図情報に含まれる既登録道路との対応度合いを判断し、その対応度合いが所定の範囲から逸脱したと判断された場合に、その逸脱時の走行軌跡に基づいて新設道路に対応するリンクを地図情報に追加し、さらに、逸脱中の車両走行状態(走行速度又は操舵角等である。)に基づいて、その新設道路に関する付帯情報(通行規制等である。)を推定、記録する。
【0004】
これにより、このナビゲーション装置は、新設道路の存在ばかりでなく、その新設道路に関する通行規制等の付帯情報をも考慮した経路案内を実行できるようにする。
【特許文献1】特開2005−172578号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のナビゲーション装置は、車両の走行軌跡と走行状態とに基づいて地図情報に存在しない新設道路を経路探索の対象としながら新設道路に関する付帯情報を経路案内で効果的に利用できるようにするが、地図情報に既に登録されてはいるが誰もが通行できる道路ではないことから原則的に経路探索の対象から除外されている所定領域内の既登録道路を経路探索の対象としながらその既登録道路に関する付帯情報を経路案内で効果的に利用できるようにはしていない。
【0006】
従って、特許文献1に記載のナビゲーション装置は、この所定領域内の一地点が目的地として設定された場合には、従来のナビゲーション装置と同様、この所定領域の外縁の一地点までの経路を探索して出力することとなり、運転者を真の目的地まで適切に誘導することができない場合がある。
【0007】
上述の点に鑑み、本発明は、経路探索の対象から除外されている既登録道路を選択的に経路探索の対象として利用できるようにするナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するために、第一の発明に係るナビゲーション装置は、地図情報を用いて経路探索を実行するナビゲーション装置であって、車両の現在位置と地図情報とに基づいて車両の走行する道路が経路探索の対象としない制限領域に属するか否かを判定する制限領域属否判定手段と、前記制限領域属否判定手段により制限領域に属すると判定された場合に、該制限領域への進入に関する情報を記録する制限領域進入情報記録手段と、前記制限領域進入情報記録手段の記録に基づいて前記制限領域にある道路を経路探索の対象とするか否かを決定する経路探索対象決定手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
これにより、経路探索の対象から除外されている既登録道路を選択的に経路探索の対象とすることができる。
【0010】
また、第二の発明は、第一の発明に係るナビゲーション装置であって、前記経路探索対象決定手段は、制限領域への進入回数又は制限領域における滞在時間若しくは駐車時間に基づいて前記制限領域にある道路を経路探索の対象とするか否かを決定することを特徴とする。
【0011】
これにより、制限領域への進入が認められていない車両の運転者に対し、制限領域に属する道路を含む推奨経路を誤って提示してしまうのを確実に防止することができる。
【0012】
また、第三の発明は、第一の発明に係るナビゲーション装置であって、前記経路探索対象決定手段は、所定期間における、制限領域への進入回数又は制限領域における滞在時間若しくは駐車時間に基づいて前記制限領域にある道路を経路探索の対象とするか否かを決定することを特徴とする。
【0013】
これにより、最後の更新から長期間が経過した情報を除外しながら、制限領域にある既登録道路を経路探索の対象とするか否かを決定し、より適切な推奨経路を運転者に提示することができる。
【発明の効果】
【0014】
上述の手段により、本発明は、経路探索の対象から除外されている既登録道路を選択的に経路探索の対象として利用できるようにするナビゲーション装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
【実施例】
【0016】
図1は、本発明に係るナビゲーション装置の構成例を示すブロック図であり、ナビゲーション装置100は、制御装置1、入力装置2、測位装置3、記憶装置4、表示装置5及び音声出力装置6から構成される。
【0017】
制御装置1は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備えたコンピュータであって、例えば、経路探索手段10、制限領域属否判定手段11、制限領域進入情報記録手段12及び経路探索対象決定手段13のそれぞれに対応するプログラムをROMに記憶しながら、各手段に対応する処理をCPUに実行させる。
【0018】
入力装置2は、ナビゲーション装置100に各種情報を入力するための装置であり、例えば、タッチパネル、ジョイスティック、リモートコントローラ、エスカッションボタン等であって、目的地や経由地等の入力に利用される。
【0019】
測位装置3は、車両の位置を測定するための装置であり、例えば、GPS(Global Positioning System)受信機によりGPSアンテナを介してGPS衛星が出力するGPS信号を受信し、受信した信号に基づいて車両位置(緯度、経度、高度)を測定する。
【0020】
測位装置3による測定は、単独測位や相対測位(干渉測位を含む。)等の如何なる方法であってもよいが、好ましくは精度の高い相対測位が用いられる。この際、自車位置は、舵角センサ、車速センサ、ジャイロセンサ等の各種センサの出力や、ビーコン受信機又はFM多重受信機を介して受信される各種情報に基づいて補正されてもよい。
【0021】
記憶装置4は、制御装置1が各種演算を実行する上で必要となる情報を記憶するための装置であり、例えば、ハードディスク又はDVD(Digital Versatile Disk)等の記憶媒体であって、目的地までの経路を探索するために利用する地図情報データベース40(以下、「地図情報DB40」とする。)、又は、制限領域への進入に関する情報(以下、「制限領域進入情報」とする。)を記憶する制限領域進入情報データベース41(以下、「制限領域進入情報DB41」とする。)等を格納する。
【0022】
「制限領域」とは、原則的に経路探索の対象とならない領域であり、例えば、工場、空港、発電所又は港湾等の敷地内であって、ナビゲーション装置100は、それら敷地内にある道路のリンクコストを高く設定することで、制限領域に属する道路が実質的に推奨経路に含まれないようにする。
【0023】
地図情報DB40は、交差点、インターチェンジ等のノードの位置(経度、緯度、高度)、リンク(ノード間を接続する要素)の距離、リンクコスト(リンクを通過するために要する時間、費用等の度合いをいう。)、施設位置(緯度、経度、高度)、施設名称等を体系的に記憶するデータベースである。
【0024】
また、制限領域進入情報DB41は、制限領域への進入回数、制限領域への進入時刻、制限領域からの退出時刻、制限領域内での滞在時間、制限領域内での駐車時間等の制限領域進入情報を制限領域毎に体系的に記憶するデータベースである。
【0025】
図2は、制限領域進入情報DB41の構成例を示す図であり、制限領域進入情報DB41の一レコードが制限領域識別ID、進入回数、進入時刻、エンジン停止時刻、総滞在時間、総駐車時間及び探索対象フラグのデータフィールドから構成されることを示す。
【0026】
データフィールド「制限領域識別ID」は、地図情報内に複数存在する制限領域を識別するための番号を保持し、データフィールド「進入回数」は、各制限領域への累積進入回数を示す値を保持する。また、データフィールド「進入時刻」は、車両が各制限領域に進入した時刻を保持し、データフィールド「エンジン停止時刻」は、制限領域内でエンジンを停止させた時刻を保持する。
【0027】
さらに、データフィールド「総滞在時間」は、制限領域退出時刻から制限領域進入時刻を差し引いた時間を累積した値を保持し、データフィールド「総駐車時間」は、制限領域内でエンジンを再始動させた時刻から制限領域内でエンジンを停止させた時刻を差し引いた時間を累積した値を保持する。なお、データフィールド「探索対象フラグ」は、制限領域に属する道路を経路探索の対象とするか否かを示す値(例えば、「1(対象)」、「0(非対象)」である。)を保持する。
【0028】
表示装置5は、各種情報を表示するための装置であり、例えば、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等であって、電子地図や後述の経路探索手段10が探索した推奨経路等の各種情報を表示する。
【0029】
音声出力装置6は、各種情報を音声出力するための装置であり、例えば、車載スピーカであって、後述の経路探索手段10が探索した推奨経路に関する音声案内を出力する。
【0030】
次に、制御装置1が有する各種手段について説明する。
【0031】
経路探索手段10は、測位装置3が測定した車両の位置位置(緯度、経度、高度)と入力装置2を介して入力された目的地の位置情報(緯度、経度、高度)と記憶装置4に記憶された地図情報DB40とに基づいて、目的地に至るまでの推奨経路を導き出すための手段であり、例えば、最短経路探索アルゴリズムとしてダイクストラ法を用い最短経路を探索する。なお、最短経路の他、最も早く目的地に到達できる最速経路や高速道路を利用しない経路等を探索するようにしてもよい。
【0032】
また、探索した推奨経路を他の経路から識別できるように表示装置5の表示画面上に表示させ、運転者が推奨経路を容易に確認できるようにし、また、推奨経路に沿った音声案内を音声出力装置6から出力させ、運転者による運転を支援するようにしてもよい。
【0033】
制限領域属否判定手段11は、車両が走行する道路が制限領域に属するか否かを判定するための手段であり、例えば、測位装置3が測定した車両の位置情報と地図情報データベースが記憶する制限領域の位置情報とに基づいて車両が現在走行している道路が制限領域に属するか否かを判定する。
【0034】
制限領域進入情報記録手段12は、制限領域進入情報を記録するための手段であり、例えば、制限領域属否判定手段11により車両が走行する道路が制限領域に属すると判定された場合に、その制限領域に対応する制限領域進入情報DB41内の各種情報を更新させるようにする。
【0035】
経路探索対象決定手段13は、制限領域に属する道路を経路探索の対象とするか否かを決定するための手段であり、例えば、制限領域進入情報記録手段12により制限領域進入情報DB41に記録された各制限領域に対応する制限領域進入情報(例えば、各制限領域への進入回数又は各制限領域における滞在時間若しくは駐車時間等がある。)に基づいて、各制限領域に属する道路を経路探索の対象とするか否かを決定する。
【0036】
また、経路探索対象決定手段13は、所定の期間(例えば、1ヶ月)に限定して、各制限領域への進入回数又は各制限領域における滞在時間若しくは駐車時間等を取得し、各制限領域に属する道路を経路探索の対象とするか否かを決定するようにしてもよい。
【0037】
最後の更新から長期間が経過していない制限領域進入情報のみに基づいてその制限領域に属する道路を経路探索の対象とするか否かを決定するようにし、その制限領域の走行が許可されていない車両の運転者に対して制限領域内の道路を含めた推奨経路を提示しないようにするためである。
【0038】
この場合、制限領域進入情報記録手段12は、直近の制限領域進入情報を記録した時から所定期間(例えば、1ヶ月)が経過した場合に、その制限領域に対応する制限領域進入情報を消去するようにしてもよい。
【0039】
次に、図3を参照しながら、ナビゲーション装置100が制限領域にある道路を経路探索の対象に設定する処理(以下、「経路探索対象設定処理」とする。)について説明する。なお、図3は、経路探索対象設定処理の流れを示すフローチャートである。
【0040】
最初に、制御装置1は、制限領域属否判定手段11により、測位装置3が測定した車両の位置情報と地図情報データベースが記憶する制限領域の位置情報とに基づいて車両が現在走行している道路が制限領域に属するか否かを判定する(ステップS1)。
【0041】
走行している道路が制限領域に属すると判定された場合、制御装置1は、制限領域進入情報記録手段12により、車両が制限領域に進入した時刻を制限領域進入情報DB41に記録し、かつ、制限領域進入情報DB41に記憶された進入回数をインクリメントする(ステップS2)。
【0042】
その後、制御装置1は、経路探索対象決定手段13により、制限領域進入情報DB41に記憶された進入回数と所定の閾値Tとを比較する(ステップS3)。進入回数の多寡に基づいてナビゲーション装置100を搭載した車両が特定の制限領域への進入を許可された車両であるか否かを判定するためである。
【0043】
進入回数が閾値Tを上回る場合(ステップS3のYES)、制御装置1は、経路探索対象決定手段13により、制限領域進入情報DB41の探索対象フラグ(図2参照。)に「1(対象)」をセットし、その制限領域に属する道路を探索対象に加えるようにする。
【0044】
具体的には、制御装置1は、制限領域外の通常の道路と同じ条件となるよう、その制限領域に属する道路のリンクコストを低減させるようにしてもよい。
【0045】
一方、進入回数が閾値T以下の場合(ステップS3のNO)、制御装置1は、その制限領域に属する道路を探索対象に加えることなく、制限領域進入情報DB41の探索対象フラグを「0(対象)」にセットしたまま、経路探索対象設定処理を終了させる。
【0046】
車両が誤って制限領域に進入してしまう場合もあり得るからであり、そのような場合に、その制限領域に属する道路を安易に探索対象に加えるべきではないからである。
【0047】
なお、制御装置1は、制限領域進入情報記録手段12により、車両がその制限領域内でエンジンを停止させた時刻を制限領域進入情報DB41に記録し、その上で、車両がエンジンを再始動させた場合に車両の駐車時間を算出できるようにしてもよい(エンジンを停止させた時刻とエンジンを再始動させた時刻との間の時間を算出する。)。
【0048】
進入回数に代えて、或いは、進入回数に加えて、その制限領域内での駐車時間に基づきながら制限領域にある道路を経路探索の対象とするか否かを決定できるようにするためである。
【0049】
さらに、制御装置1は、車両がその制限領域を退出した時刻を制限領域進入情報DB41に記録し、車両がその制限領域に滞在した時間を算出できるようにしてもよい(車両がその制限領域に進入した時刻と車両がその制限領域を退出した時刻との間の時間を算出する。)。
【0050】
進入回数や駐車時間に代えて、或いは、進入回数や駐車時間に加えて、その制限領域内での滞在時間に基づきながら制限領域にある道路を経路探索の対象とするか否かを決定できるようにするためである。
【0051】
これにより、ナビゲーション装置100は、次回以降に経路探索を実行する際、その制限領域に属する道路を経路探索の対象に含め、より詳細かつ適切な推奨経路を運転者に提示することができるようになる。
【0052】
次に、図4を参照しながら、ナビゲーション装置100が制限領域にある道路を経路探索の対象に含めながら経路探索を実行する処理(以下、「詳細経路探索処理」とする。)について説明する。なお、図4は、詳細経路探索処理の流れを示すフローチャートである。
【0053】
最初に、制御装置1は、経路探索手段10により、測位装置3が測定した車両の位置情報(緯度、経度、高度)と入力装置2を介して入力された目的地の位置情報(緯度、経度、高度)と記憶装置4に記憶された地図情報DB40とに基づいて、目的地に至るまでの推奨経路の候補となる複数の推奨経路候補を抽出し、制限領域に属する道路が各推奨経路候補に含まれるか否かを判定する(ステップS11)。
【0054】
制限領域に属する道路が推奨経路候補に含まれる場合(ステップS11のYES)、制御装置1は、制限領域に属する道路が経路探索の対象となっているか否かを確認し(ステップS12)、経路探索の対象となっている場合には(ステップS12のYES)、制限領域に属する道路を含めながら推奨経路を探索するようにする(ステップS13)。
【0055】
具体的には、制御装置1は、その制限領域に対応する探索対象フラグ(図2参照。)の値を参照し、「1(対象)」が設定されている場合に、その制限領域に属する道路のリンクコストを低減させながら、最もリンクコストの低くなる推奨経路候補を最終的な推奨経路として選択するようにする。
【0056】
その後、制御装置1は、制限領域に属する道路が推奨経路に含まれることを運転者に通知するために、推奨経路中の制限領域に属する道路の部分を他の推奨経路の部分とは異なる色で表示装置5の表示画面上に表示させたり、点滅表示させたり、或いは、「構内道路の走行が含まれます。」といった音声案内を音声出力装置6から出力させたりする(ステップS14)。
【0057】
制限領域に属する道路を推奨経路に含めたことを運転者に確実に伝えるようにするためであり、例えば、制限領域内の走行が認められていない運転者(例えば、過去の制限領域進入情報により車両自体は制限領域の走行を認められていると判断され、その制限領域に属する道路を含む推奨経路が提示された場合を想定する。)が制限領域に誤って進入してしまうのを未然に防止するためである。
【0058】
一方、制限領域に属する道路が何れの推奨経路候補に含まれない場合(ステップS11のNO)、或いは、制限領域に属する道路が経路探索の対象となっていない場合(ステップS12のNO)、制御装置1は、制限領域に属する道路を除きながら推奨経路を探索するようにする(ステップS15)。
【0059】
制限領域に属する道路を走行できるか否かが不明なまま、制限領域に属する道路を含む推奨経路を運転者に提示してしまうことがないようにするためである。
【0060】
この場合、制御装置1は、制限領域に属する道路が推奨経路候補に含まれる旨を表示装置5の表示画面に表示させたり、音声出力装置6から音声出力させたりしてもよく、或いは、制限領域に属する道路を経路探索の対象とすることができない旨の注意喚起を表示装置5の表示画面に表示させたり、音声出力装置6から音声出力させたりしてもよい。
【0061】
これにより、ナビゲーション装置100は、制限領域の走行が認められた車両の運転者に対しては制限領域に属する道路を含む詳細な推奨経路を提示でき、一方で、制限領域を走行できるか否かが不明な車両の運転者、又は、制限領域の走行が認められない車両の運転者に対しては制限領域に属する道路を含む詳細な推奨経路を誤って提示してしまうのを防止することができる。
【0062】
次に、図5を参照しながら、別の詳細経路探索処理について説明する。なお、図5は、別の詳細経路探索処理の流れを示すフローチャートであり、図4のステップS12の代わりに、ステップS22及びステップS23を有する点において図4に示す詳細経路探索処理と相違するが、その他のステップについては共通する。
【0063】
制限領域に属する道路が各推奨経路候補に含まれる場合(ステップS21のYES)、制御装置1は、制限領域に属する道路を経路探索の対象に含めるか否かを運転者に選択させる画面を表示装置5の表示画面に表示させる(ステップS22)。
【0064】
その後、制御装置1は、入力装置2を介した運転者の操作入力に基づいて制限領域に属する道路を経路探索の対象とすることを運転者が確認したか否かを判断する(ステップS23)。
【0065】
制限領域に属する道路を経路探索の対象とすることが運転者によって確認されたと判断した場合(ステップS23のYES)、制御装置1は、制限領域に属する道路を含めながら推奨経路を探索し(ステップS24)、かつ、制限領域に属する道路が推奨経路に含まれることを運転者に通知する(ステップS25)。
【0066】
一方、制限領域に属する道路を経路探索の対象としないことが運転者によって確認されたと判断した場合(ステップS23のNO)、制御装置1は、制限領域に属する道路を除きながら推奨経路を探索するようにする(ステップS26)。
【0067】
これにより、ナビゲーション装置100は、運転者の確認を得た上で、制限領域を走行できる運転者に対しては制限領域に属する道路を含む詳細な推奨経路を提示でき、一方で、制限領域を走行できない運転者に対しては制限領域に属する道路を含む詳細な推奨経路を誤って提示してしまうことを防止することができる。
【0068】
最後に、図6を参照しながら、ナビゲーション装置100が表示装置5の表示画面に表示させる推奨経路の表示例について説明する。
【0069】
図6において、実線で示す経路R1は、太線で囲われた制限領域L内の一施設を目的地Gとして入力した場合に選択される推奨経路の一部であって、制限領域Lに属する道路が経路探索の対象とされていないために推奨経路が地点Pで終了している状態を示す。
【0070】
また、点線で示す経路R2は、経路R1と同様に、制限領域L内の一施設を目的地Gとして入力した場合に選択される推奨経路の一部であって、制限領域Lに属する道路が経路探索の対象とされているために推奨経路が地点Pを超え制限領域L内の道路を経て目的地Gの直前まで延びている状態を示す。
【0071】
また、一点鎖線で示す経路R3は、経路R1及びR2と同様に、制限領域L内の一施設を目的地Gとして入力した場合に選択される推奨経路の一部であって、制限領域Lに属する道路が経路探索の対象とされてはいるが、経路R2のリンクコストと経路R3のリンクコストとを比較した結果、経路R2のリンクコストが経路R3のリンクコストより大きいと判断されたために最終的に経路R3が推奨経路として選択された状態を示し、経路R2と同様に、推奨経路が地点Pを超え目的地Gの直前まで延びている状態を示す。
【0072】
このように、ナビゲーション装置100は、制限領域Lに属する道路が経路探索の対象となっているか否かに応じて運転者に提示する推奨経路を変化させるので、運転者に応じた適切な推奨経路を提示することができる。
【0073】
以上の構成により、ナビゲーション装置100は、運転者や車両を特定することなく、車両の過去の走行履歴に基づいて制限領域に属する道路を経路探索の対象とするか否かを決定するので、ナビゲーション装置100毎に、制限領域への進入が許可された者として運転者を登録したり、制限領域への進入が許可された車両を登録したりすることなく、簡便に適切な推奨経路を提示することができる。
【0074】
また、ナビゲーション装置100は、制限領域への進入回数又は制限領域における滞在時間若しくは駐車時間等に基づいてその制限領域にある道路を経路探索の対象とするか否かを決定するので、過去に誤って制限領域に進入してしまった車両の運転者に対して制限領域に属する道路を考慮した推奨経路を提示してしまうのを防止することができる。
【0075】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなしに上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0076】
例えば、上述の実施例において、ナビゲーション装置100は、目的地が制限領域に含まれる場合に、その制限領域に属する道路を経路探索の対象とするか否かを決定するようにしているが、経由地が制限領域に含まれる場合や現在地と目的地との間に制限領域が存在する場合に、その制限領域に属する道路を経路探索の対象とするか否かを決定するようにしてもよい。
【0077】
また、ナビゲーション装置100は、地図情報DB40に予め制限領域に関する情報を記憶しているが、路車間通信や携帯電話周波数を利用した無線通信を介して通信センタ等が配信する情報を取得し、取得した情報に基づいて制限領域に関する情報を随時更新するようにしてもよい。新たに設定される制限領域や制限が解除された制限領域にも対応できるようにするためである。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明に係るナビゲーション装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】制限領域進入情報DBの構成例を示す図である。
【図3】経路探索対象設定処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】詳細経路探索処理の流れを示すフローチャート(その1)である。
【図5】推奨経路の表示例を示す図である。
【図6】詳細経路探索処理の流れを示すフローチャート(その2)である。
【符号の説明】
【0079】
1 制御装置
2 入力装置
3 測位装置
4 記憶装置
5 表示装置
6 音声出力装置
10 経路探索手段
11 制限領域属否判定手段
12 制限領域進入情報記録手段
13 経路探索対象決定手段
40 地図情報データベース
41 制限領域進入情報データベース
100 ナビゲーション装置
G 目的地
L 制限領域
P 地点
R1〜R3 経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図情報を用いて経路探索を実行するナビゲーション装置であって、
車両の現在位置と地図情報とに基づいて車両の走行する道路が経路探索の対象としない制限領域に属するか否かを判定する制限領域属否判定手段と、
前記制限領域属否判定手段により制限領域に属すると判定された場合に、該制限領域への進入に関する情報を記録する制限領域進入情報記録手段と、
前記制限領域進入情報記録手段の記録に基づいて前記制限領域にある道路を経路探索の対象とするか否かを決定する経路探索対象決定手段と、
を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記経路探索対象決定手段は、制限領域への進入回数又は制限領域における滞在時間若しくは駐車時間に基づいて前記制限領域にある道路を経路探索の対象とするか否かを決定する、
ことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記経路探索対象決定手段は、所定期間における、制限領域への進入回数又は制限領域における滞在時間若しくは駐車時間に基づいて前記制限領域にある道路を経路探索の対象とするか否かを決定する、
ことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−256555(P2008−256555A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−99583(P2007−99583)
【出願日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】