説明

ネガ型感光性樹脂組成物、それを用いたネガ型パターンの形成方法、回路基板材料および回路基板用カバーレイ

【課題】ポリイミド前駆体が、少量の光酸発生剤の存在下でも高効率で硬化することで高い現像性を有し、かつ、その硬化物が、カバーレイ等に適した十分な耐折性を有する感光性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(A)アミド酸ブロックと、オキシアルキレン結合を含むイミドブロックと、を有するブロック共重合体と、(B)メチロール系化合物および/またはメラミン系化合物からなる架橋剤と、(C)350nm以上の波長を有する活性光線によって酸を発生する光酸発生剤と、(D)前記ブロック共重合体、前記架橋剤、および前記光酸発生剤を溶解する極性溶媒とを含む、ネガ型感光性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネガ型感光性樹脂組成物、それを用いたネガ型パターンの形成方法、さらには、これにより得られたネガ型パターンを有する回路基板材料および回路基板用カバーレイに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリイミド樹脂は、耐熱性、機械特性、および電気絶縁性等に優れていることから、半導体の表面保護膜、多層配線基板の層間絶縁膜、フレキシブル回路基板における回路保護用のカバーレイなどの各種絶縁皮膜として用いられている。
【0003】
なかでも、フォトリソグラフィーによる微細加工が可能であり、かつフレキシブル回路基板の微細な回路パターン上にも、選択的かつ高い位置精度でカバーレイを形成できる感光性ポリイミド樹脂組成物の開発が、検討されている。
【0004】
感光性ポリイミド樹脂組成物としては、ポリアミック酸またはポリイミド樹脂に、メチロール系化合物等の架橋剤、および光酸発生剤を添加したネガ型感光性樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献1〜2、および非特許文献1〜2)。
【0005】
しかしながら、これらのポリアミック酸またはポリイミド樹脂は、光透過性も低く、架橋剤との反応性も十分でなかった。このため、光酸発生剤を比較的多く添加する必要があり、感光性樹脂組成物の(保存)安定性が低く、良好な耐折性を有する硬化物を得ることはできなかった。
【0006】
また、耐折性を有する硬化物を得る方法として、ジアミン成分をポリアルキレンオキシドを含むジアミンとするポリイミド前駆体と、(メタ)アクリレート化合物等の光重合性化合物と、光重合開始剤とを含む感光性樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献3)。具体的には、(メタ)アクリレート化合物を露光により光硬化させた後、ポリイミド前駆体を熱によりイミド化する。
【0007】
しかしながら、感光性樹脂組成物を十分に硬化させるには、(メタ)アクリレート化合物を比較的多く添加する必要があった。このため、ポリイミドの特性が十分に得られず、その硬化物の耐折性も十分でなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−325540号公報
【特許文献2】特開2005−10764号公報
【特許文献3】特開2005−91421号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Ueda, et al; Macromolecules 1996, 29, 6427-6431
【非特許文献2】Watanabe, et al; Journal of Polymer Science; Part A; Polymer Chemistry, Vol. 43, 593-599(2005)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、少量の光酸発生剤の存在下でもポリイミド前駆体が高効率で硬化することで、高い現像性を示す感光性樹脂組成物であって、かつ、その硬化物が、カバーレイ等に適した十分な耐折性を有する感光性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、特定のオキシアルキレン骨格を有するイミドブロックと、芳香族系のアミド酸ブロックとを有するブロック共重合体の光透過性が高く、かつ特定の架橋成分との反応性が高いことに着目した。さらにそのブロック共重合体が、少ない光酸発生剤の存在下でも、露光により硬化反応が促進されること、それにより高い現像性が得られることを見出した。
さらに、そのブロック共重合体は、特定のオキシアルキレン骨格を有するイミドブロックの含有比を調整することで、現像性を損なうことなく、良好な耐折性を有する硬化物となることを見出した。
【0012】
すなわち本発明の第1は、以下のネガ型感光性樹脂組成物に関する。
【0013】
[1] (A)一般式(1a)で表される繰り返し単位を含むアミド酸ブロックと、一般式(1b)で表される繰り返し単位を含むイミドブロックと、を有するブロック共重合体と、(B)一般式(2)で表されるメチロール系化合物および/または一般式(3)で表されるメラミン系化合物からなる架橋剤と、(C)350nm以上の波長を有する活性光線によって酸を発生する光酸発生剤と、(D)前記ブロック共重合体、前記架橋剤、および前記光酸発生剤を溶解する極性溶媒とを含む、ネガ型感光性樹脂組成物。
【0014】
【化1】

【0015】
一般式(1a)および一般式(1b)におけるRおよびR’は、下記式で表される基から選ばれる基である。
【化2】

(X〜Xは、単結合、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−C(CH−、−C(CF−、−SO−、−NHCO−から選ばれ、相互に同一であっても異なっていてもよい)
【0016】
一般式(1a)におけるRは、下記式で表される基から選ばれる基である。
【化3】

(Y〜Yは、単結合、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−C(CH−、−C(CF−、−SO−、−NHCO−から選ばれ、相互に同一であっても異なっていてもよい)
【0017】
一般式(1b)におけるRおよびRは、炭素数1〜12の2価の脂肪族炭化水素基であり、相互に同一であっても異なっていてもよく、aは1〜68の整数である。
【0018】
一般式(1a)および(1b)におけるmおよびnは、それぞれポリアミド酸ブロックとポリイミドブロックとの共重合比(モル%)に相当し、30≦m≦70、70≧n≧30(ただし、m+n=100)である。
【0019】
【化4】

一般式(2)におけるdは1〜6の整数であり、
dが1である場合に、Rは、1価の脂肪族炭化水素基、1価の脂環式炭化水素基、1価の芳香族炭化水素基であって、該1価の芳香族炭化水素基には、複数の芳香環が単結合、−O−、−S−、−CO−、−C(CH−、−C(CF−または−SO−を介して結合していてもよく、
dが2〜6である場合、Rは、単結合、2〜6価の脂肪族炭化水素基、2〜6価の脂環式炭化水素基、または2〜6価の芳香族基であり;該2〜6価の芳香族基は、2以上の芳香環が単結合、−O−、−S−、−CO−、−C(CH−、−C(CF−もしくは−SO−を介して結合した構造を有する2〜6価の芳香族基であってもよい。
bは1〜4の整数;cは0〜3の整数(ただし、b+c≦4)である。
【0020】
【化5】

一般式(3)におけるR〜R10は、それぞれ水素または−CHOR11(R11は、水素または炭素数1〜6のアルキル基またはシクロアルキル基である)である。
【0021】
[2] (A)ブロック共重合体100重量部に対して、(B)架橋剤の含有量が5重量部以上30重量部以下であり、(C)光酸発生剤の含有量が2重量部以上5重量部以下であり、(D)極性溶媒の含有量が150重量部以上2000重量部以下である、[1]記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[3] (A)ブロック共重合体の膜厚20μmのドライフィルムは、波長365nmにおいて10%以上の光線透過率を有する、[1]または[2]記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[4] 前記メチロール系化合物が、式(2−1)および/または式(2−2)で表される化合物であり、前記メラミン系化合物が、式(3−1)で表される化合物である、[1]〜[3]のいずれかに記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【化6】

【化7】

[5] 光酸発生剤が、式(4)で表される化合物である、[1]〜[4]のいずれかに記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【化8】

[6] 前記極性溶媒が、γ-ブチロラクトンである、[1]〜[5]のいずれかに記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[7] 濃度0.5g/dlの前記(A)ブロック共重合体を含むN,N−ジメチルアセトアミド溶液は、35℃において0.1〜1.0dl/gの対数粘度を有する、[1]〜[6]のいずれかに記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【0022】
本発明の第2は、上記ネガ型感光性樹脂組成物を用いたネガ型パターンの形成方法に関する。
[8] 基板上に請求項1記載のネガ型感光性樹脂組成物を塗布し、乾燥させて塗膜を得る工程(I)、前記塗膜の所定の部位に、活性光線を露光した後、加熱する工程(II)、前記塗膜の非露光部を、アルカリ水溶液を用いて溶解除去して所定のパターンを得る工程(III)、および前記パターンが得られた基板を熱処理して、前記パターンをイミド化してポリイミドとする工程(IV)、を含む、ネガ型パターンの形成方法。
[9]前記アルカリ水溶液は炭酸ナトリウム水溶液である、[8]記載のネガ型パターンの形成方法。
[10] 工程(IV)においてイミド化されたポリイミドは、一般式(5a)で表される繰り返し単位を含むイミドブロックと、一般式(5b)で表される繰り返し単位を含むイミドブロックとを有するブロック共重合体である、[8]または[9]記載のネガ型パターンの形成方法。
【0023】
【化9】

【0024】
一般式(5a)および(5b)におけるRおよびR’は、下記式で表される基から選ばれる基である。
【化10】

(X〜Xは、単結合、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−C(CH−、−C(CF−、−SO−、−NHCO−から選ばれ、相互に同一であっても異なっていても良い)
【0025】
一般式(5a)におけるRは、下記式で表される基から選ばれる基である。
【化11】

(Y〜Yは、単結合、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−C(CH−、−C(CF−、−SO−、−NHCO−から選ばれ、相互に同一であっても異なっていてもよい)
【0026】
一般式(5b)におけるRおよびRは、炭素数1〜12の2価の脂肪族炭化水素基であり、相互に同一であっても異なっていてもよく、aは1〜68の整数を表す。
一般式(5a)および(5b)におけるmおよびnは、それぞれのポリイミドブロックの共重合比(モル%)に相当し、30≦m≦70、70≧n≧30(ただし、m+n=100)である。
【0027】
本発明の第3は、以下に示す回路基板材料等に関する。
[11] [8]〜[10]のいずれかに記載の方法により得られたネガ型パターンを有する回路基板材料。
[12] [8]〜[10]のいずれかに記載の方法により得られたネガ型パターンを有する回路基板用カバーレイ。
【発明の効果】
【0028】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物に含まれるポリイミド前駆体が、少量の光酸発生剤の存在下でも、露光により架橋剤と高効率で架橋反応する。この架橋反応により、アルカリ水溶液による現像性が得られるので、環境負荷を低減することができる。さらにこの架橋体を加熱してポリアミド酸ブロックをイミド化させると、カバーレイ等に適した十分な耐折性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】ブロック共重合体の特性の評価結果を示す表である。
【図2】本発明の実施例および比較例の結果を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
1.ネガ型感光性樹脂組成物
本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、少なくとも以下の成分(A)〜(D)を含む。
(A)ブロック共重合体
(B)架橋剤
(C)光酸発生剤
(D)極性溶媒
【0031】
(A)ブロック共重合体
本発明のネガ型感光性樹脂組成物に含まれるブロック共重合体は、アミド酸ブロックと、イミドブロックとを有する。アミド酸ブロックとは、一般式(1a)で表される繰り返し単位を含み、好ましくは一般式(1a)で表される繰り返し単位が2以上連続した分子構造をいう。一方、イミドブロックとは、一般式(1b)で表される繰り返し単位を含み、好ましくは一般式(1b)で表される繰り返し単位が2以上連続した分子構造をいう。
【0032】
【化12】

【0033】
アミド酸ブロックは、その繰り返し単位の一部がイミド化されている場合もある。アミド酸ブロックに含まれる繰り返し単位の数のうち、イミド化されていてもよいブロックの数の割合は、特に制限はないが、アルカリ現像性を向上させる点から10%以下であることが好ましい。一方、イミドブロックは、その繰り返し単位の一部がポリアミド酸である場合もある。イミドブロックに含まれる繰り返し単位の数のうち、アミド酸であってもよいブロックの数の割合は、特に制限はないが、保存安定性の点から5%以下であることが好ましい。
【0034】
最終ポリイミド膜の機械物性の点から、ブロック共重合体の数平均分子量は、10000〜200000であることが好ましく、30000〜100000であることがより好ましい。数平均分子量は、公知の方法で測定できる。
【0035】
(A)ブロック共重合体に含まれるアミド酸ブロックおよびイミドブロックは、それぞれ1ブロックだけであってもよいし、2ブロック以上であってもよい。1つのアミド酸ブロックに含まれる、一般式(1a)で表される繰り返し単位の数は1000以上であることが好ましく;1つのイミドブロックに含まれる、一般式(1b)で表される繰り返し単位の数は、2000以上であることが好ましい。
【0036】
一般式(1a)におけるm、および一般式(1b)におけるnは、(A)ブロック共重合体におけるアミド酸ブロックとイミドブロックとの共重合比(モル比)を表す。m+n=100としたときに、30≦m≦70、かつ70≧n≧30である。
【0037】
オキシアルキレン骨格を有するイミドブロックの含有率が高いほど、ブロック共重合体の光透過性が高くなり、または耐折性の高い硬化物を与える。よって、m+n=100としたときに、mが30〜40であり、かつnが60〜70(モル比)であることが好ましい。
【0038】
アミド酸ブロックの繰り返し単位を表す一般式(1a)のR、およびイミドブロックの繰り返し単位を表す一般式(1b)のR’はそれぞれ、下記式で表される4価の基から選ばれることが好ましい。下記式におけるX〜Xは、単結合、−O−、−S−、−CO−、−C(=O)O−、−C(CH−、−C(CF−、−SO−、−NHC(=O)−から選ばれる。各繰り返し単位におけるRおよびR’は、相互に同一であっても異なっていてもよい。
【0039】
【化13】

【0040】
RおよびR’は、テトラカルボン酸二無水物から誘導される4価の基でありうる。テトラカルボン酸二無水物の例には、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−オキシジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ジ(3,4−ジカルボキシ)フェニル−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物等の芳香族テトラカルボン酸二無水物などが含まれる。なかでも、良好な耐熱性、機械特性を有する硬化物を得る点においては、ピロメリット酸二無水物から誘導される基が好ましい。
【0041】
RとR’は、同じであっても異なっていてもよい。合成が効率的である点では、RとR’は同じであることが好ましい。また、ブロック共重合体に2つのアミド酸ブロックが含まれる場合、一方のアミド酸ブロックに含まれるRは、他方のアミド酸ブロックに含まれるRと同じであっても異なっていてもよい。合成の効率的である点で、一方のアミド酸ブロックに含まれるRと他方のアミド酸ブロックに含まれるRとは、互いに同じであることが好ましい。
【0042】
アミド酸ブロックの繰り返し単位を表す一般式(1a)のRは、下記式で表される。下記式におけるY〜Yは、単結合、−O−、−S−、−C(=O)−、−C(=O)O−、−C(CH−、−C(CF−、−SO−、−NHC(=O)−から選ばれる。各繰り返し単位におけるRは、相互に同一であっても異なっていてもよい。
【0043】
【化14】

【0044】
は、芳香族ジアミンから誘導される2価の基でありうる。芳香族ジアミンの例には、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン;
3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、2,2−ジ(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ(3−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン;
1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン;
4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンなどが含まれる。
なかでも、良好な耐熱性、機械特性を有する硬化物を得る点においては、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルから誘導される基等が好ましい。
【0045】
イミドブロックの構造単位を表す一般式(1b)のRおよびRは、炭素数1〜12の2価の脂肪族炭化水素基である。オキシアルキレン鎖の繰り返し数aは、1〜68の整数であり、1〜30の整数であることがより好ましい。RおよびRは、互いに同じであっても異なってもよい。
【0046】
一般式(1b)中の−(RO)aR−は、エーテル結合を含む脂肪族ジアミンからアミノ基を除いた基でありうる。エーテル結合を含む脂肪族ジアミンの例には、ビス(アミノメチル)エーテル、ビス(2−アミノエチル)エーテル、ビス(3−アミノプロピル)エーテル、ビス(2−アミノメトキシ)エチル]エーテル、ビス[2−(2−アミノエトキシ)エチル]エーテル、ビス[2−(3−アミノプロトキシ)エチル]エーテル、1,2−ビス(アミノメトキシ)エタン、1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン、1,2−ビス[2−(アミノメトキシ)エトキシ]エタン、1,2−ビス[2−(2−アミノエトキシ)エトキシ]エタン、エチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、ジエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、ポリテトラメチレングリコールジアミンなどが含まれる。なかでも、良好な耐折性を有する硬化物を得る点において、ポリテトラメチレングリコールジアミンからアミノ基を除いた基であることが好ましい。
【0047】
ブロック共重合体の分子末端は、封止されていてもよい。当該封止により、ネガ型感光性樹脂組成物の保存安定性を高めうる。ブロック共重合体の分子末端を封止する方法は、例えば、ブロック共重合体の分子末端がジアミンである場合、その末端を芳香族ジカルボン酸無水物で封止する等、公知の方法が採用できる。
【0048】
ブロック共重合体の合成方法は特に限定されないが、その例には、以下の方法Aと方法Bとが含まれる。
【0049】
方法A:一般式(1a)で表される繰り返し単位を有するポリアミド酸を含む溶液と、一般式(1b)で表される繰り返し単位を有するポリイミドを含む溶液とを、所定の溶媒中で別々に合成する。それらを所定の条件で混合して攪拌することによって、ブロック共重合体とする。
【0050】
方法B:第1工程として、一般式(1b)で表される繰り返し単位を有するイミドブロックを得る。第2工程として、このイミドブロックを含む溶液に、さらに酸二無水物とジアミンとを添加して、イミドブロックの末端に、一般式(1a)で表される繰り返し単位を形成してアミド酸ブロックを連結して、ブロック共重合体とする。
【0051】
方法Bにおいて、アミド酸ブロックに含まれる酸二無水物と、イミドブロックに含まれる酸二無水物とが同一である場合には、第1工程で、過剰量の酸二無水物と、脂肪族ジアミンとを反応させて酸末端のイミドブロックを得た後;第2工程で、さらに芳香族ジアミンを添加して、イミドブロックの末端に、アミド酸ブロックを連結して、ブロック共重合体とすることができる。
【0052】
(A)ブロック共重合体を成形させて得られるフィルム(膜厚20μm)の、波長365nmにおける光線透過率は、10%以上であることが好ましい。(A)ブロック共重合体の光線透過率が高いと、照射された光により(C)光酸発生剤から酸が効率よく発生する。そのため、(A)ブロック共重合体の(B)架橋剤との架橋反応が促進される。光線透過率は、島津製作所製Multi−spec−1500を用いて測定することができる。
【0053】
濃度0.5g/dlの前記ブロック共重合体を含むN,N−ジメチルアセトアミド溶液は、35℃において0.1〜1.0dl/gの対数粘度を有することが好ましい。対数粘度が0.1dl/g未満であると、塗膜が脆くなることがあり;1.0dl/gを超えると、溶媒に溶解し難くなったり、ワニスの粘度が高くなったりする。対数粘度は、例えば、ウベローデ粘度管を用いて測定することができる。
【0054】
(B)架橋剤
(B)架橋剤は、(A)ブロック共重合体同士を架橋させることができる。架橋剤は、少なくとも一般式(2)で表されるメチロール系化合物、または一般式(3)で表されるメラミン系化合物を含む。
【0055】
【化15】

【0056】
一般式(2)におけるbは1〜4の整数;cは0〜3の整数(ただし、b+c≦4)であり、dは1〜6の整数である。
【0057】
一般式(2)におけるdが1である場合、Rは、1価の脂肪族炭化水素基、1価の脂環式炭化水素基、1価の芳香族炭化水素基であってもよい。ここで1価の芳香族炭化水素基には、複数の芳香環が単結合、−O−、−S−、−CO−、−C(CH−、−C(CF−または−SO−を介して結合していてもよい。
1価の脂肪族炭化水素基の例には、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基等が含まれる。1価の脂環式炭化水素基の例には、シクロヘキシル基等が含まれる。1価の芳香族炭化水素基の例には、フェニル基、ナフチル基等が含まれ、該芳香族炭化水素基に複数の芳香環が単結合またはその他の結合基を介して結合した例には、ビフェニル基、フェノキシフェニル基等が含まれる。
【0058】
一般式(2)におけるdが2である場合、Rは単結合であってもよいし、2価の脂肪族炭化水素基、または2以上の芳香環が単結合またはその他の結合基を介して結合している構造を含む2価の芳香族基であってもよい。
2価の脂肪族炭化水素基の例には、メチレン基、エチレン基、イソプロピレン基等が含まれる。2価の脂環式炭化水素基の例には、シクロヘキシレン基等が含まれる。2価の芳香族基の例には、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基等が含まれる。
【0059】
同様に、一般式(2)におけるdが3〜6である場合、Rは単結合であってもよいし、3〜6価の脂肪族炭化水素基、3〜6価の脂環式炭化水素基、または複数の芳香環が単結合またはその他の結合基を介して結合した3〜6価の有機基であってもよい。
【0060】
一般式(2)で表されるメチロール系化合物の例は、特開2005−10764号公報の段落0038〜0043に記載されている。なかでも、式(2−1)で表される化合物または式(2−2)で表される化合物が好ましい。
【0061】
【化16】

【0062】
【化17】

【0063】
一般式(3)におけるR〜R10は、それぞれ水素または−CHOR11であり;R11は、水素または炭素数1〜6のアルキル基またはシクロアルキル基である。
【0064】
一般式(3)で表されるメラミン系化合物の例には、一般式(3)において、R〜R10の全てが−CHOR11(R11は、炭素数1〜6のアルキル基またはシクロアルキル基)である化合物;一般式(3)において、R〜R10の全てが−CHOHである化合物(ヘキサアルコキシメチルメラミン(市販名:サイメル樹脂));一般式(3)において、R〜R10のうち5つが−CHOR11(R11は、炭素数1〜6のアルキル基またはシクロアルキル基)であり、1つが水素である化合物;一般式(3)において、R〜R10のうち5つが−CHOHであり、1つが水素である化合物等が含まれる。なかでも、式(3−1)で表される、ヘキサメトキシメチルメラミンが好ましい。
【0065】
【化18】

【0066】
(C)光酸発生剤
本発明のネガ型感光性樹脂組成物における(C)光酸発生剤は、350nm以上の波長を有する活性光線によって酸を発生させる。光酸発生剤から発生した酸は、(A)ブロック共重合体と、(B)架橋剤との架橋反応を促進することができる。
【0067】
光酸発生剤の例には、下記式で表される化合物が含まれる。ただし、活性紫外線の照射によって分解し、効率よく酸を発生する化合物であれば、これらに限定されるものではない。
【0068】
【化19】

【0069】
【化20】

【0070】
【化21】

【0071】
【化22】

【0072】
【化23】

【0073】
【化24】

【0074】
【化25】

ただし、Qは、水素原子または下記式で表される1価の基である。
【0075】
【化26】

【0076】
なかでも、光酸発生剤は、下記式(4)で表される化合物であることが好ましい。
【0077】
【化27】

【0078】
(D)極性溶媒
本発明のネガ型感光性基礎組成物における極性溶媒は特に制限されないが、(A)ブロック共重合体、(B)架橋剤、および(C)光酸発生剤を、それぞれ溶解するものであることが好ましい。
【0079】
極性溶媒の例には、ジメトキシエタン、エチレングリコールメチルエチルエーテル、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノールなどのグリコールエーテル類;
メチルセロソルブアセテート、エチルソロソルブアセテートなどのエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類;
ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルなどのジエチレングリコール誘導体類;
プロピレングリコールメチルエチルエーテルなどのプロピレングリコール誘導体類、
メチルアミルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;
エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、乳酸エチルなどのエステル類;
N−メチルピロリドン、N、N−ジメチルアセトアミド、γ−ブチロラクトンなどの非プロトン系双極子溶媒類が含まれる。
なかでも、(C)光酸発生剤から発生する酸の活性を阻害しない点で、塩基性の低い溶媒が好ましく、特にγ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン等が好ましい。
【0080】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物において、(A)ブロック共重合体100重量部に対して、(B)架橋剤の含有量は5重量部以上30重量部以下であることが好ましく、(C)光酸発生剤の含有量が2重量部以上5重量部以下であることが好ましく、(D)極性溶媒の含有量が150重量部以上2000重量部以下であることが好ましい。(C)光酸発生剤の含有量を比較的少なくすることで、ネガ型感光性樹脂組成物の硬化膜の耐折性を高めることができる。
【0081】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物には、上記成分(A)〜(D)以外にも、目的に応じて他の成分、例えば、増感剤、レベリング剤、カップリング剤、各種モノマー、オリゴマー、安定剤、湿潤剤、顔料、染料などが含まれていてもよい。
【0082】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、そのまま液状のインキまたはコート材料として提供されてもよいし、ドライフィルムとして提供されてもよい。ネガ型感光性樹脂組成物がドライフィルムとして提供される場合、ドライフィルムの膜厚は5〜100μmであることが好ましく、10〜50μmであることがより好ましい。
【0083】
ドライフィルムの膜厚が5μm以上であると絶縁信頼性が高く、100μm以下にすることで光透過性を高くし、高い解像度を得ることができる。ドライフィルムは、例えばフレキシブル回路基板の回路形成面に重ね合わされ、平面圧着やロール圧着等の公知の方法により熱圧着されて感光性皮膜となりうる。
【0084】
2.ネガ型パターンの形成方法
本発明のネガ型パターンの形成方法は、基板上にネガ型感光性樹脂組成物を塗布し、乾燥させて塗膜を得る工程(I)、塗膜の所定の部位に活性光線を露光する工程(II)、塗膜の非露光部を、アルカリ水溶液を用いて溶解除去することにより、所定のパターンを得る工程(III)、パターンが得られた基板を熱処理して、パターンをイミド化する工程(IV)、を含む。
【0085】
基板は、用途に応じて選択されるが、例えば金属配線を有するフレキシブルプリント配線板などである。
【0086】
まず基板上に、ネガ型感光性樹脂組成物を、例えばスピンコーター等の公知の方法で塗布した後、所定温度で乾燥して塗膜を得る(工程(I))。乾燥後の塗膜厚みを、例えば5〜100μmとなるようにすることが好ましい。塗布膜の乾燥温度は、ネガ型感光性樹脂組成物のブロック共重合体がイミド化することなく、溶媒を除去できる温度であればよい。具体的には50〜100℃とすることが好ましい。
【0087】
次いで、得られた塗膜上に、例えば所定のパターンが形成されたマスクを介して、350nm以上の活性光線を照射する(工程(II))。それにより、光酸発生剤から酸が発生する。活性光線の照射量は、塗膜の組成などにより異なるが、通常100〜1000mJ/cmである。活性光線は、350nm以上の波長を有する活性光線であればよく、例えば電子線、紫外線、X線等が含まれ、好ましくは紫外線である。光源としては、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ハロゲンランプ等を使用することができる。活性光線を選択的に照射する方法には、マスクを介して活性光線を照射する方法だけでなく、所定のパターンに走査露光する方法も含まれる。
【0088】
活性光線を照射した後に、塗膜を、例えば80〜150℃で10秒〜30分加熱処理(ポストベーク)することが好ましい。それにより、光酸発生剤から発生した酸が、ブロック共重合体と架橋剤との架橋反応を促進させることができる。
【0089】
次いで、塗膜の非露光部を、アルカリ水溶液を用いて溶解除去することにより、所定のパターンを得る(工程(III))。つまり、非露光部分はアルカリ水溶液に溶解するが、一方で、露光部分は架橋反応によりアルカリ水溶液への溶解性が低下しているため、現像が実現される。
【0090】
アルカリ水溶液の例には、水酸化ナトリウム水溶液;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属塩炭酸塩水溶液などが含まれる。なかでも、環境負荷をより低減でき、安価であること等から、炭酸ナトリウム水溶液が好ましい。
【0091】
現像方式としては、スプレー、パドル、浸漬、超音波等の方式が採用できる。これによって、対象とする基板上に、所望のネガ型パターンを得ることができる。
【0092】
そして現像により得られたパターンを、さらに熱処理する。例えば、180℃で2時間熱処理をすればよい。それにより、ブロック共重合体に含まれるアミド酸のイミド化が完結して、硬化膜が得られる(工程(IV))。
【0093】
前記のとおり、本発明のネガ型感光性樹脂組成物の塗膜に活性光線(たとえば紫外線)が照射されると、(C)光酸発生剤から酸が生成する。酸を触媒にして、(B)架橋剤は(A)ブロック共重合体と反応する。具体的に(B)架橋剤は、(A)ブロック共重合体の水酸基やベンゼン環に直接付加する。また、加熱により(A)ブロック共重合体のイミド化反応も進行することがある。
【0094】
このようにして得られる硬化膜は、一般式(5a)で表される繰り返し単位を含むイミドブロックと、一般式(5b)で表される繰り返し単位を含むイミドブロックと、を有するブロック共重合体を含む。
【0095】
【化28】

【0096】
一般式(5a)および一般式(5b)におけるRおよびR’は、前述した一般式(1a)におけるRおよび一般式(1b)中のR’と同じである。
一般式(5a)におけるRは、前述した一般式(1a)におけるRと同じであり、一般式(5b)におけるRおよびRは、前述した一般式(1b)におけるRおよびRと同じである。aは1〜68の整数である。mおよびnは、それぞれのポリイミドの共重合比(モル%)に相当し、30≦m≦70、70≧n≧30(ただし、m+n=100)である。
【0097】
また、一般式(5a)で表される繰り返し単位を含むイミドブロックと、一般式(5b)で表される繰り返し単位を含むイミドブロックと、を有するブロック共重合体は、前述の架橋剤によって架橋されている。
【0098】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物は光透過性が高いことから、光酸発生剤から高効率で酸を発生する。よって、光酸発生剤の含量が少なくなりうる。また、ブロック共重合体と架橋剤との反応性も十分高いことから、少ない光酸発生剤でもブロック共重合体と架橋剤との架橋反応が促進されうる。そして、ブロック共重合体が、柔軟性の高いオキシアルキレン骨格を含むため、良好な耐折性を有する硬化物となる。
【0099】
3.ネガ型感光性樹脂組成物を用いた回路基板材料および回路基板用カバーレイ
本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、良好な絶縁性や耐熱性を有し、かつフォトリソグラフィーによる高精度の微細加工を可能とする。そのため、多層配線基板の層間絶縁材料、フレキシブルプリント配線板における回路保護用のカバーレイ材料、ハードディスクサスペンション基板の保護膜材料などの回路基板材料として好適である。特に本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、高精度の微細加工が可能であり、その硬化物が良好な耐折性を有するので、フレキシブルプリント配線板の回路保護用カバーレイ材料に好適である。
【実施例】
【0100】
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例によって制限されるものではない。
【0101】
1.ブロック共重合体の特性
ブロック共重合体の各物性を、以下の方法で測定した。
(1)対数粘度:濃度0.5g/dlのブロック共重合体を含むN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)溶液の35℃における対数粘度を、ウベローデ粘度管を用いて測定した。
(2)E型機械粘度:ブロック共重合体溶液の粘度を、東機産業株式会社製、E型測定器TVH−22Hを用いて、25℃でローター4番を用いて測定した。
(3)光線透過率:島津製作所製Multi−spec−1500を用いて測定した。
(4)反り量:50mm×50mmのカプトンフィルム25μm上に、厚さ25μmのブロック共重合体の硬化膜を形成し、両端部の水平面からの高さを測定した。
(5)耐屈曲性試験:カプトンフィルム上にブロック共重合体の硬化膜を形成した(4)で用いたのと同様の試験片を用意した。この試験片を両面板にセットして180゜に折り曲げ、折り曲げ部に5kgの荷重をかけた。この操作を繰り返し、折り曲げ部を光学顕微鏡にて観察し、試験片の折り曲げ部に剥離が生じるまでの折り曲げ回数を測定した。
【0102】
[合成例1]
攪拌機、窒素導入管および温度計を備えた容器内に、ポリテトラメチレングリコールジアミン(ハンツマン製、ジェファーミンXTJ−542)45.6g(0.045mol)、γ-ブチロラクトン180g、および共沸溶媒としてトルエン60gをフラスコ内に投入した。これを攪拌しながら、ピロメリット酸二無水物21.8g(0.1mol)を加え、155℃に昇温し、2時間攪拌した。次いで、この溶液からトルエンを除去し、30℃になるまで冷却して、ポリイミド溶液を得た。
【0103】
このポリイミド溶液に、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(和歌山精化製、ODA)を9.0g(0.045mol)添加した後、20時間、窒素雰囲気下で攪拌を継続し、イミドブロックとアミド酸ブロックとからなるブロック共重合体溶液を得た。このブロック共重合体溶液の対数粘度は0.30dl/gであり、E型機械粘度は422mPa・秒であった。
【0104】
このブロック共重合体溶液を、石英板上にキャストした塗膜を、窒素気流下で100℃、10分加熱乾燥して、厚さ28μmの(未硬化の)ブロック共重合体フィルムを得た。このブロック共重合体フィルムの、波長365nmでの光線透過率は25%であった。
【0105】
一方で、このブロック共重合体溶液を、25μm厚のカプトンフィルム(登録商標)にオートアプリケーターにて塗布した後、160℃で1時間熱処理することにより、ブロック共重合体の膜厚25μmの硬化膜を形成して、試験片とした。この試験片の反り量は、2mmであった。また、これと同様の試験片の耐屈曲性試験を行った結果、試験片を20回繰り返し折り曲げても、折り曲げ部の剥離は観察されなかった。この結果を、表1に示す。
【0106】
[合成例2]
ポリテトラメチレングリコールジアミンと4,4’-ジアミノジフェニルエーテルのモル比率を70(モル%)/30(モル%)にした以外は、合成例1と同様にブロック共重合体溶液を得た。そして、合成例1と同様に、(未硬化の)ブロック共重合体フィルムの光透過性と、ブロック共重合体の硬化膜を有する試験片の耐屈曲性および反り量を測定した。表1にこれらの結果を示す。
【0107】
[合成例3]
ポリテトラメチレングリコールジアミンと4,4’-ジアミノジフェニルエーテルのモル比率を30(モル%)/70(モル%)にした以外は、合成例1と同様にブロック共重合体溶液を得た。そして、合成例1と同様に、(未硬化の)ブロック共重合体フィルムの光透過性と、ブロック共重合体の硬化膜を有する試験片の耐屈曲性および反り量を測定した。表1にこれらの結果を示す。
【0108】
[合成例4]
ブロック共重合体の合成に用いる溶媒を、γ-ブチロラクトンの代わりに、NMP(N−メチル−2−ピロリドン)にした以外は、合成例1と同様にブロック共重合体溶液を得た。そして、合成例1と同様に、(未硬化の)ブロック共重合体フィルムの光透過性と、ブロック共重合体の硬化膜を有する試験片の耐屈曲性および反り量を測定した。表1にこれらの結果を示す。
【0109】
[合成例5]
ポリテトラメチレングリコールジアミンと4,4’-ジアミノジフェニルエーテルのモル比率を80(モル%)/20(モル%)にした以外は、合成例1と同様にブロック共重合体溶液を得た。そして、合成例1と同様に、(未硬化の)ブロック共重合体フィルムの光透過性と、ブロック共重合体の硬化膜を有する試験片の耐屈曲性および反り量を測定した。表1にこれらの結果を示す。
【0110】
[合成例6]
ポリテトラメチレングリコールジアミンと4,4’-ジアミノジフェニルエーテルのモル比率を20(モル%)/80(モル%)にした以外は、合成例1と同様にブロック共重合体溶液を得た。そして、合成例1と同様に、(未硬化の)ブロック共重合体フィルムの光透過性と、ブロック共重合体の硬化膜を有する試験片の耐屈曲性および反り量を測定した。表1にこれらの結果を示す。
【0111】
[合成例7]
ポリテトラメチレングリコールジアミンと4,4’-ジアミノジフェニルエーテルのモル比率を0(モル%)/100(モル%)にした以外は、合成例1と同様にブロック共重合体溶液を得た。そして、合成例1と同様に、(未硬化の)ブロック共重合体フィルムの光透過性と、ブロック共重合体の硬化膜を有する試験片の耐屈曲性および反り量を測定した。表1にこれらの結果を示す。
【0112】
表1に示されるように、(未硬化の)ブロック共重合体フィルムの光透過性は、ポリテトラメチレングリコールジアミン(脂肪族ジアミン)のモル比率が高くなるほど、高いことがわかる。また、ブロック共重合体の硬化膜を有する試験片の反り量も、ポリテトラメチレングリコールジアミン(脂肪族ジアミン)のモル比率が高くなるほど少ないことがわかる。
【0113】
2.ネガ型感光性樹脂組成物の特性
ネガ型感光性樹脂組成物の硬化膜の特性を、以下の方法で測定した。
(1)解像度:ネガ型感光性樹脂組成物を露光・現像した後の硬化膜を、光学顕微鏡にて観察した。
(2)半田耐熱性試験:銅箔上に、ネガ型感光性樹脂組成物の硬化膜(保護膜)を形成した試験片を用意した。この試験片を、255〜265℃の溶融はんだ液面に、保護膜面を上にして、5秒間フロート(浮上)させた。その後、保護膜の膨れの有無を目視観察した。
(3)耐屈曲性試験:上記(2)と同様の試験片を両面板にセットして180゜に折り曲げ、折り曲げ部に5kgの荷重をかけた。荷重をかけた状態で、試験片を繰り返し折り曲げて、折り曲げ部を光学顕微鏡にて観察した。試験片の折り曲げ部に剥離が生じるまでの回数を測定した。
(4)耐マイグレーション試験:ライン/スペース=30/30μmの銅配線(9μm厚)付きポリイミド基板を用意した。ポリイミド基板の銅配線上に、ブロック共重合体の厚さ25μmの硬化膜(保護膜)を形成し、85℃、85%RH下にて5.5VDCを1000時間通電させて、絶縁劣化による短絡の有無を確認した。
【0114】
[実施例1]
合成例1で得られたブロック共重合体溶液100gに対し、式(2−1)で表されるメチロール化合物3.0g(ブロック共重合体溶液に対して10重量部)、式(4)で表される光酸発生剤1.5g(ブロック共重合体溶液に対して5重量部)を加えて、室温にて5時間攪拌した。この溶液を、テフロン(登録商標)フィルターを介してろ過して、ネガ型感光性樹脂組成物の溶液を得た。
【0115】
【化29】

【0116】
【化30】

【0117】
[現像性試験]
得られたネガ型感光性樹脂組成物の溶液を、1オンス圧延銅箔光沢面上に、オートアプリケーターにて塗布した。塗布膜を、70℃の乾燥オーブン中で5分間乾燥させた。28μmの塗膜が得られた。この塗膜の半分を、マスク(紫外線を通さないカプトンフィルム(登録商標))で覆った。塗膜全体に、ブロードバンド紫外線露光機によって、400mJ/cmのエネルギーの紫外線を照射した。その後、120℃で5分加熱した。
【0118】
次いで、この塗膜を、1%炭酸ナトリウム水溶液を用いて120秒間シャワー現像した後、純水にて洗浄した。この現像および洗浄により、紫外線を照射された塗膜部分は変化しなかったが、照射されなかった塗膜部分は、炭酸ナトリウム水溶液に溶解して洗浄除去された。このように、塗膜の照射部と非照射部との間で、炭酸ナトリウム水溶液に対する溶解度の差が明確に得られ、高い解像度のパターンが得られることがわかった。
【0119】
マスクとして、カプトンフィルム(登録商標)に代えて、所定のパターンが形成されたテストパターン(光透過部の線幅50〜300μm)を用いて、前述と同様に紫外線を照射し、現像性試験を行った。その結果、紫外線が照射されなかった塗膜部分のみが溶解除去された、ネガ型パターンを得ることができた。このパターンを光学顕微鏡で観察したところ、パターンの膜厚が28μmで、パターニングできたラインの最小線幅が75μmであることを確認することができた。
【0120】
[半田耐熱性試験、耐屈曲性試験および耐マイグレーション試験]
得られたパターンを、空気雰囲気下、160℃で1時間焼成してイミド化を完結させた。得られたポリイミド膜(硬化膜)は、パターン形状を良好に保持していた。そして前述の通り、この硬化膜を有する試験片の半田耐熱性試験、耐屈曲性試験および耐マイグレーション試験を実施した。
【0121】
半田耐熱性試験および耐屈曲性試験(10回繰り返し屈曲した)による外観異常は認められなかった。また、耐マイグレーション試験において、1000時間以内では不良は認められず、試験後の試験片の外観異常も認められなかった。表2にこれらの結果を示す。
【0122】
[実施例2]
合成例1で得られたブロック共重合体溶液の代わりに、合成例2で得られたブロック共重合体溶液を用いて、厚み30μmの塗膜を得た以外は、実施例1と同様にネガ型感光性樹脂組成物の溶液を調製した。そして、実施例1と同様に、ネガ型感光性樹脂組成物の現像性と、現像後熱処理して得られる硬化膜を有する試験片の特性(半田耐熱性、耐屈曲性、および耐マイグレーション特性)を評価した。表2にこれらの結果を示す。
【0123】
[実施例3]
合成例1で得られたブロック共重合体溶液の代わりに、合成例3で得られたブロック共重合体溶液を用いた以外は、実施例1と同様にネガ型感光性樹脂組成物の溶液を調製した。そして、実施例1と同様に、ネガ型感光性樹脂組成物の現像性と、現像後熱処理して得られる硬化膜を有する試験片の特性を評価した。表2にこれらの結果を示す。
【0124】
[実施例4]
式(2−1)で表されるメチロール系化合物の代わりに、式(3−1)で表されるメラミン系化合物3.0g(ブロック共重合体溶液に対して10重量部)を用いた以外は、実施例1と同様に、ネガ型感光性樹脂組成物溶液を調製した。そして、実施例1と同様に、ネガ型感光性樹脂組成物の現像性と、現像後熱処理して得られる硬化膜を有する試験片の特性を評価した。表2にこれらの結果を示す。
【0125】
【化31】

【0126】
[比較例1]
合成例1で得られたブロック共重合体溶液の代わりに、合成例4で得られたブロック共重合体溶液を用いた以外は、実施例1と同様に樹脂組成物の溶液を調製した。そして、実施例1と同様に、樹脂組成物の現像性等を評価した。表2にこれらの結果を示す。
【0127】
[比較例2]
合成例1で得られたブロック共重合体溶液の代わりに、合成例5で得られたブロック共重合体溶液を用いた以外は、実施例1と同様に樹脂組成物の溶液を調製した。そして、実施例1と同様に、樹脂組成物の現像性等を評価した。表2にこれらの結果を示す。
【0128】
[比較例3]
合成例1で得られたブロック共重合体溶液の代わりに、合成例6で得られたブロック共重合体溶液を用いた以外は、実施例1と同様に樹脂組成物の溶液を調製した。そして、実施例1と同様に、樹脂組成物の現像性等を評価した。表2にこれらの結果を示す。
【0129】
[比較例4]
合成例1で得られたブロック共重合体溶液の代わりに、合成例7で得られたブロック共重合体溶液を用いた以外は、実施例1と同様に樹脂組成物の溶液を調製した。そして、実施例1と同様に、樹脂組成物の現像性等を評価した。表2にこれらの結果を示す。
【0130】
[比較例5]
合成例1で得られたブロック共重合体溶液に、実施例1と同じ添加量のアクリル系架橋剤エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート(BPE−500,新中村化学工業社製)、および光開始剤としてビイミダゾール(黒金化成工業社製)を添加し、室温にて5時間攪拌した。この溶液を、テフロン(登録商標)フィルターを介してろ過し、樹脂組成物の溶液を調製した。そして、実施例1と同様に、樹脂組成物の現像性等を評価した。表2にこれらの結果を示す。
【0131】
表2に示されるように、実施例1〜4のネガ型感光性樹脂組成物からは、良好なパターンが得られた。これに対し、比較例1および3〜5の樹脂組成物は、アルカリ水溶液に全て溶解し、パターンを得ることができなかった。これは、ブロック共重合体と架橋剤との架橋反応が十分に起こらなかったためと考えられる。
【0132】
具体的には、比較例1の樹脂組成物は、NMPにより光酸発生剤から生成する酸が失活するため、架橋反応が十分に起こらなかったと考えられる。比較例3および4の樹脂組成物は、芳香環を多く含むため光透過性が低く、架橋反応が十分に起こらず;さらにアミド酸ブロックを多く含むためイミド化反応も不十分であったと考えられる。
【0133】
比較例5の樹脂組成物は、架橋剤とブロック共重合体との反応性が低いことから、活性紫外線を照射しても架橋反応が起こらないかったものと考えられる。
【0134】
比較例2の樹脂組成物は、ブロック共重合体と架橋剤とを架橋反応させることはできたが、現像後にパターンを得ることはできなかった。これは、活性紫外線が照射される前に既にイミド化しているイミドブロックを多く含むため、活性紫外線の照射部と未照射部とで十分な溶解度差が得られなかったためと推測される。
【0135】
このように、比較例1〜5の樹脂組成物からはパターンを得ることができなかった。このため、比較例1〜5の樹脂組成物を別途キャストした後、熱硬化させて得られるフィルムを用いて、硬化物の半田耐熱性等を評価した。この結果を、参考として表2の括弧内に示す。
【0136】
表2に示されるように、実施例1〜4のネガ型感光性樹脂組成物を露光・現像して得られる硬化膜は、比較例1〜5の樹脂組成物を熱硬化して得られる硬化膜と同様の、優れた耐屈曲性等を有することがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0137】
以上説明したように、本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、ブロック共重合体、特定のメチロール化合物またはメラミン系化合物、および活性光線の照射によって酸を発生する光酸発生剤と、を含むので、低濃度アルカリ水溶液で現像できる。このため、ハロゲン含有化合物類およびアンチモン化合物を含まなくても、高い現像性が得られるので、環境負荷を低減できる。また、現像後熱処理して得られる硬化膜が、良好な耐熱性、屈曲性および絶縁性を有しつつ、優れた長期絶縁信頼性を有する。このため、耐薬品性、電気絶縁性等を必要とするカバー材として好適に使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)一般式(1a)で表される繰り返し単位を含むアミド酸ブロックと、一般式(1b)で表される繰り返し単位を含むイミドブロックと、を有するブロック共重合体と、
(B)一般式(2)で表されるメチロール系化合物および/または一般式(3)で表されるメラミン系化合物からなる架橋剤と、
(C)350nm以上の波長を有する活性光線によって酸を発生する光酸発生剤と、
(D)前記ブロック共重合体、前記架橋剤、および前記光酸発生剤を溶解する極性溶媒とを含む、ネガ型感光性樹脂組成物。
【化1】

[一般式(1a)および一般式(1b)中、
RおよびR’は、下記式で表される基から選ばれる基であり、
【化2】

(X〜Xは、単結合、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−C(CH−、−C(CF−、−SO−、−NHCO−から選ばれ、相互に同一であっても異なっていてもよい)
は、下記式で表される基から選ばれる基であり、
【化3】

(Y〜Yは、単結合、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−C(CH−、−C(CF−、−SO−、−NHCO−から選ばれ、相互に同一であっても異なっていてもよい)
およびRは、炭素数1〜12の2価の脂肪族炭化水素基であり、相互に同一であっても異なっていてもよく、
aは1〜68の整数であり、
mおよびnは、それぞれポリアミド酸とポリイミドの共重合比(モル%)に相当し、30≦m≦70、70≧n≧30(ただし、m+n=100)である]
【化4】

[一般式(2)中、
dは1〜6の整数であり、
dが1である場合、Rは、1価の脂肪族炭化水素基、1価の脂環式炭化水素基、1価の芳香族炭化水素基であって、該1価の芳香族炭化水素基には、複数の芳香環が単結合、−O−、−S−、−CO−、−C(CH−、−C(CF−または−SO−を介して結合していてもよい。
dが2〜6である場合、Rは、単結合、2〜6価の脂肪族炭化水素基、2〜6価の脂環式炭化水素基、または2〜6価の芳香族基であり;該2〜6価の芳香族基は、2以上の芳香環が単結合、−O−、−S−、−CO−、−C(CH−、−C(CF−もしくは−SO−を介して結合した構造を有する2〜6価の芳香族基であってもよい。
bは1〜4の整数;cは0〜3の整数(ただし、b+c≦4)である]
【化5】

[一般式(3)中、R〜R10は、それぞれ水素または−CHOR11(R11は、水素または炭素数1〜6のアルキル基またはシクロアルキル基である)である]
【請求項2】
(A)ブロック共重合体100重量部に対して、(B)架橋剤の含有量が5重量部以上30重量部以下であり、(C)光酸発生剤の含有量が2重量部以上5重量部以下であり、(D)極性溶媒の含有量が150重量部以上2000重量部以下である、
請求項1記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項3】
(A)ブロック共重合体の膜厚20μmのドライフィルムは、波長365nmにおいて10%以上の光線透過率を有する、請求項1記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記メチロール系化合物が、式(2−1)および/または式(2−2)で表される化合物であり、
前記メラミン系化合物が、式(3−1)で表される化合物である、請求項1記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【化6】

【化7】

【請求項5】
光酸発生剤が、式(4)で表される化合物である、請求項1記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【化8】

【請求項6】
前記極性溶媒が、γ-ブチロラクトンである、請求項1記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項7】
濃度0.5g/dlの前記(A)ブロック共重合体を含むN,N−ジメチルアセトアミド溶液は、35℃において0.1〜1.0dl/gの対数粘度を有する、請求項1記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項8】
基板上に請求項1記載のネガ型感光性樹脂組成物を塗布し、乾燥させて塗膜を得る工程(I)、
前記塗膜の所定の部位に、活性光線を露光した後、加熱する工程(II)、
前記塗膜の非露光部を、アルカリ水溶液を用いて溶解除去して所定のパターンを得る工程(III)、および
前記パターンが得られた基板を熱処理して、前記パターンをイミド化してポリイミドとする工程(IV)、
を含む、ネガ型パターンの形成方法。
【請求項9】
前記アルカリ水溶液は炭酸ナトリウム水溶液である、請求項8記載のネガ型パターンの形成方法。
【請求項10】
工程(IV)においてイミド化されたポリイミドは、一般式(5a)で表される繰り返し単位を含むイミドブロックと、一般式(5b)で表される繰り返し単位を含むイミドブロックとを有するブロック共重合体である、請求項8記載のネガ型パターンの形成方法。
【化9】

[一般式(5a)および(5b)中、
RおよびR’は、下記式で表される基から選ばれる基であり、
【化10】

(X〜Xは、単結合、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−C(CH−、−C(CF−、−SO−、−NHCO−から選ばれ、相互に同一であっても異なっていても良い)
は、下記式で表される基から選ばれる基であり、
【化11】

(Y〜Yは、単結合、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−C(CH−、−C(CF−、−SO−、−NHCO−から選ばれ、相互に同一であっても異なっていてもよい)
およびRは、炭素数1〜12の2価の脂肪族炭化水素基であり、相互に同一であっても異なっていてもよく、aは1〜30の整数を表し、
mおよびnは、それぞれのポリイミドの共重合比(モル%)に相当し、30≦m≦70、70≧n≧30(ただし、m+n=100)である。]
【請求項11】
請求項8記載の方法により得られたネガ型パターンを有する回路基板材料。
【請求項12】
請求項8記載の方法により得られたネガ型パターンを有する回路基板用カバーレイ。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−169944(P2010−169944A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−13048(P2009−13048)
【出願日】平成21年1月23日(2009.1.23)
【出願人】(000005887)三井化学株式会社 (2,318)
【Fターム(参考)】