説明

ノルボルネン系重合体フィルムの製造方法およびノルボルネン系重合体フィルム

【課題】生産効率に優れたノルボルネン系重合体フィルムの製造方法を提供すること、および光学特性に優れたノルボルネン系重合体フィルムを提供すること。
【解決手段】下記の触媒(A)と下記の助触媒(B)との存在下で、少なくとも1種のノルボルネン系単量体を含む単量体成分を付加重合し、得られたノルボルネン系重合体を溶媒に溶解または分散させた液をキャスト成形法により成形することを特徴とするノルボルネン系重合体フィルムの製造方法;
触媒(A):周期律表第8〜10族元素より選択された一種の遷移金属に、少なくともシクロペンタジェニル系配位子が配位した錯体
助触媒(B):有機アルミニウム化合物(a)、触媒(A)と反応してカチオン性遷移金属化合物を生成できるイオン性化合物(b)および触媒(A)をなす錯体の配位子の解離を促進する化合物(c)より選択された少なくとも一種の化合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はノルボルネン系重合体フィルムの製造方法およびこの方法により得られたノルボルネン系重合体フィルムに関し、さらに詳しくは、新規な触媒を用いてノルボルネン系重合体を合成する工程を含む生産効率に優れたノルボルネン系重合体フィルムの製造方法およびこの方法により得られた光学特性に優れたノルボルネン系重合体フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ノルボルネン系重合体を代表とする環状オレフィン系付加重合体は、耐熱性および透明性に優れる有機材料として、光学フィルム等の用途に好適に用いられている。当該環状オレフィン系付加重合体は、Ni、Pd、Ti、Zr、Crなどの遷移金属化合物を含む触媒を用いて、環状オレフィン系単量体を付加重合することにより得られてきた。
【0003】
しかしながら、従来使用されている触媒については、重合活性の点で十分ではない。また、環状オレフィン系付加重合体を光学用途に用いる際には、脱触処理をしなければ十分な光学特性を得ることは困難であるが、重合活性が不十分な触媒を用いると、重合に用いる触媒量が多くなり、十分な脱触が困難となる場合がある。
【0004】
従って、重合活性が高く、光学特性に優れた環状オレフィン系付加重合体を効率よく製造できる触媒を用いた光学フィルムの製造方法が求められてきた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、生産効率に優れたノルボルネン系重合体フィルムの製造方法を提供すること、および光学特性に優れたノルボルネン系重合体フィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば下記ノルボルネン系重合体フィルムの製造方法およびノルボルネン系重合体フィルムが提供されて、本発明の前記課題が達成される。
(1)
下記の触媒(A)と下記の助触媒(B)との存在下で、少なくとも1種のノルボルネン系単量体を含む単量体成分を付加重合し、得られたノルボルネン系重合体を溶媒に溶解または分散させた液体を用いキャスト成形法によりフィルムを成形することを特徴とするノルボルネン系重合体フィルムの製造方法;
触媒(A):周期律表第8族元素、第9族元素および第10族元素より選択された一種の遷移金属に、少なくともシクロペンタジエニル系配位子が配位した錯体
助触媒(B):有機アルミニウム化合物(a)、触媒(A)と反応してカチオン性遷移金属化合物を生成できるイオン性化合物(b)、および触媒(A)をなす錯体の配位子の解離を促進する化合物(c)より選択された少なくとも一種の化合物。
(2)
前記触媒(A)が、下記式(i)で表される錯体であることを特徴とする(1)に記載のノルボルネン系重合体フィルムの製造方法。
【0007】
MLn1X2Y3Z …(i)
(式中、Mは、周期律表第8族元素、第9族元素および第10族元素より選択された一種の遷移金属であり、Lは、シクロペンタジエニルおよびその誘導体から選択されたシクロ
ペンタジエニル系配位子であり、Kl、K2およびK3は、互いに異なる陰性配位子または
中性配位子であり、nは1〜3の整数であり、X、Y、Zは0〜7の整数である。)。
(3)
触媒(A)と助触媒(B)をあらかじめ混合し、1分間以上接触させた後に、当該混合物を反応系に添加して単量体成分の付加重合を行うことを特徴とする(1)または(2)に記載のノルボルネン系重合体フィルムの製造方法。
(4)
ノルボルネン系重合体と共に、ゴム質重合体および/または当該ノルボルネン系重合体以外の熱可塑性樹脂を、溶媒に共溶解あるいは共分散させた液体を用いキャスト成形法によりフィルムを成形することを特徴とする(1)ないし(3)のいずれかに記載のノルボルネン系重合体フィルムの製造方法。
(5)
成形後のフィルムを、減圧下および/または窒素気流下で温度30〜250℃で加熱することを特徴とする(1)ないし(4)のいずれかに記載のノルボルネン系重合体フィルムの製造方法。
(6)
(1)〜(5)に記載の方法により得られたことを特徴とするノルボルネン系重合体フィルム。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るノルボルネン系重合体フィルムの製造方法は、ノルボルネン系重合体フィルムを効率よく製造することができる。
本発明に係るノルボルネン系重合体フィルムは、光学特性に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下本発明に係るノルボルネン系重合体フィルムの製造方法およびノルボルネン系重合体フィルムについて具体的に説明する。
まず、本発明で用いられる触媒(A)、助触媒(B)について説明する。
【0010】
〔触媒(A)〕
本発明で用いられる触媒(A)は、周期律表第8族元素、第9族元素および第10族元素より選択された一種の遷移金属に、少なくともシクロペンタジエニル系配位子が配位した錯体からなる遷移金属錯体であり、下記式(i)で表される遷移金属錯体であることが好ましい。
【0011】
MLn1X2Y3Z …(i)
式中、Mは、周期律表第8族元素、第9族元素および第10族元素より選択された一種の遷移金属である。Mの具体例としては、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)および白金(Pt)などを挙げることができる。これらのうち、触媒の重合活性を高くする観点から好ましい元素は、コバルト、ニッケル、パラジウムおよび白金であり、ニッケルおよびパラジウムを用いることが特に好ましい。
【0012】
Lは、シクロペンタジエニルおよびその誘導体から選択されたシクロペンタジエニル系配位子である。
Lがシクロペンタジエニル誘導体である場合の具体例としては、シクロペンタジエニルの水素が後述するような置換基で置換された置換シクロペンタジエニル、インデニル、フルオレニル等が挙げられる。また、インデニルおよびフルオレニルの水素が同様の置換基で置換された誘導体も、シクロペンタジエニル誘導体として挙げられる。
【0013】
置換シクロペンタジエニルの置換基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、フェニル基、ベンジル基、ネオペンチル基などの炭素数1〜20の炭化水素基;トリメチルシリル基などの炭化水素置換シリル基が挙げられる。
【0014】
置換シクロペンタジエニルの置換基としては、また、ヘテロ原子、例えば、酸素原子、窒素原子、イオウ原子、リン原子、ハロゲン原子などを有し、極性を示す置換基が挙げられる。その例としては、RO基、RCO基、ROCO基、RCOO基、R2N基、R2NCO基、NC基、RS基、RCS基、RSO基、R2S基などが挙げられる。ここで、Rは
炭素数1〜12の炭化水素基を示し、複数個のRが存在する場合には同じであっても異なるものであってもよい。Rの具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基などのアルキル基、フェニルなどのアリール基、ベンジル基などのアラルキル基などが挙げられる。これらのうち、炭素数1〜4のアルキル基が特に好ましい。
【0015】
置換シクロペンタジエニルの置換基としては、さらに、メトキシ基、エトキシ基、t−ブトキシ基、アセチル基、プロピオニル基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ニトリル基、ジメチルアミノカルボニル基、ジエチルアミノカルボニル基が挙げられる。
【0016】
Lの好ましい例は、シクロペンタジエニル、1〜5個のメチル基を有するシクロペンタジエニル、フェニルシクロペンタジエニル、ベンジルシクロペンタジエニル、インデニルである。
【0017】
1、K2、K3は、互いに異なる陰性配位子または中性配位子である。
1、K2、K3が陰性配位子である場合の例を以下に挙げる。
水素原子;酸素原子;フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、イソブチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基などの炭素数1〜20の直鎖または分枝鎖を有するアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ベンジル基などの炭素数6〜20のアリール基、アルキルアリール基またはアリールアルキル基;
水酸基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などの炭素数1〜20のアルコキシ基;フェノキシ基、メチルフェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基、ナフチルオキシ基などの炭素数6〜20のアリールオキシ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ(n−プロピル)アミノ基、ジ(イソプロピル)アミノ基、ジ(n−ブチル)アミノ基、ジ(t−ブチル)アミノ基、ジ(イソブチル)アミノ基、ジフェニルアミノ基、メチルフェニルアミノ基などの炭素数1〜20のアルキル置換基を有するジアルキルアミノ基またはジアリールアミノ基;
π−アリル基;炭素数3〜20の置換アリル基;アセチルアセトナート基;炭素数5〜20の置換アセチルアセトナート基;トリメチルシリル基などの炭化水素置換シリル基;カルボニル基;カルボキシル基など。
【0018】
1、K2、K3が中性配位子である場合の例を以下に挙げる。
酸素分子;窒素分子;エチレン;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類;アセトニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル類;エチルベンゾエートなどのエステル類;トリエチルアミン、2,2−ビピリジン、フェナントロリンなどのアミン類;トリメチルホスフィンおよびトリエチルホスフィンなどのトリアルキルホスフィン類、ならびにトリフェニルホスフィンなどのトリアリールホスフィン類;
(トリメチルシリル)メチルなどのケイ素置換炭化水素基;スルフォキシド類、イソシアニド類、ホスホン酸類、チオシアネート類などのルイス塩基;ベンゼン、トルエンおよびキシレンなどの芳香族炭化水素、シクロヘプタトリエン、シクロオクタジエン、シクロ
オクタトリエン、シクロオクタテトラエンあるいはこれらの誘導体などの環状不飽和炭化水素など。
【0019】
前記(1)式において、K1、K2、K3は、全てが陰性配位子であってもよいし、全て
が中性配位子であってもよいし、いずれかが陰性配位子で残りが中性配位子であってもよい。
【0020】
nは1〜3の整数であり、X、Y、Zは0〜7の整数である。
触媒(A)が、下記式(i)
一般式(i)で表される触媒(A)の具体例としては、シクロペンタジエニル(メチル)(トリフェニルホスフィン)ニッケル、メチルシクロペンタジエニル(メチル)(トリフェニルホスフィン)ニッケル、ペンタメチルシクロペンタジエニル(メチル)(トリフェニルホスフィン)ニッケル、インデニル(メチル)(トリフェニルホスフィン)ニッケル、フルオレニル(メチル)(トリフェニルホスフィン)ニッケル、シクロペンタジエニル(メチル)(トリシクロヘキシルホスフィン)ニッケル、ペンタメチルシクロペンタジエニル(メチル)(トリシクロヘキシルホスフィン)ニッケル、インデニル(メチル)(トリシクロヘキシルホスフィン)ニッケル、フルオレニル(メチル)(トリシクロヘキシルホスフィン)ニッケル、シクロペンタジエニル(π-アリル)パラジウム、メチルシク
ロペンタジエニル(π-アリル)パラジウム、ペンタメチルシクロペンタジエニル(π-アリル)パラジウム、インデニル(π-アリル)パラジウム、フルオレニル(π-アリル)パラジウムなどが挙げられる。
【0021】
このような上記式(i)で表される遷移金属錯体は、例えば Yamazaki.H et al.,Bull.Chem.Soc.Jpn.,1964,37,907に記載の方法で製造することができる。
〔助触媒(B)〕
本発明で用いられる助触媒(B)は、有機アルミニウム化合物(a)、触媒(A)と反応してカチオン性遷移金属化合物を生成できるイオン性化合物(b)、および触媒(A)をなす錯体の配位子の解離を促進する化合物(c)より選択された少なくとも一種の化合物である。これらは単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。
【0022】
有機アルミニウム化合物(a)
有機アルミニウム化合物(a)とは、炭化水素基を有するアルミニウム化合物のことであり、その例としては、有機アルミニウム、ハロゲン化有機アルミニウム、水素化有機アルミニウム、有機アルミニウムオキシ化合物を挙げることができる。
【0023】
このうち、有機アルミニウムとしては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウムなどが挙げられる。ハロゲン化有機アルミニウムとしては、例えば、ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、セスキエチルアルミニウムクロライド、エチルアルミニウムジクロライドなどが挙げられる。水素化有機アルミニウムとしては、例えば、ジエチルアルミニウムハイドライド、セスキエチルアルミニウムハイドライドなどが挙げられる。有機アルミニウムオキシ化合物はアルミノキサンとも称され、一般式(−Al(R')O−)lで示される直鎖状、あるいは環状重合体である。ここで、R'は炭素数1〜l0の炭化水素基であり、一部ハロゲン原子および/またははR'O基で置換されたものも含む。lは重合度であり、5以上、好ましくは10以上である。R'としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソブチル基が挙げられる。
【0024】
有機アルミニウム化合物(a)として好ましいものは、ハロゲン化有機アルミニウムおよび有機アルミニウムオキシ化合物であり、特に、ジエチルアルミニウムクロライド、セスキエチルアルミニウムクロライド、メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、エ
チルクロロアルミノキサンが好ましい。
【0025】
イオン性化合物(b)
触媒(A)と反応してカチオン性錯体を形成できるイオン性化合物(b)としては、以下に例示する非配位性アニオンと以下に例示するカチオンとを組み合わせたイオン性化合物が挙げられる。
【0026】
非配位性アニオンとしては、例えば、テトラ(フェニル)ボレート、テトラ(フルオロフェニル)ボレート、テトラキス(ジフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(トリフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(テトラフルオロメチルフェニル)ボレート、テトラ(トリイル)ボレート、テトラ(キシリル)ボレート、(トリフェニル、ペンタフルオロフェニル)ボレート、[トリス(ペンタフルオロフェニル)、フェニル]ボレート、トリデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレートなどが挙げられる。
【0027】
前記カチオンとしては、カルボニウムカチオン、オキソニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプチルトリエニルカチオン、遷移金属を有するフェロセニウムカチオンなどが挙げられる。
【0028】
カルボニウムカチオンの具体例としては、トリフェニルカルボニウムカチオン、トリ置換フェニルカルボニウムカチオンなどの三置換カルボニウムカチオンが挙げられる。トリ置換フェニルカルボニウムカチオンの具体例としては、トリ(メチルフェニル)カルボニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)カルボニウムカチオンが挙げられる。
【0029】
アンモニウムカチオンの具体例としては、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリプロピルアンモニウムカチオン、トリブチルアンモニウムカチオン、トリ(n−ブチル)アンモニウムカチオンなどのトリアルキルアンモニウムカチオン、N,N−ジエチルアニリニウムカチオン、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムカチオンなどのN,N−ジアルキルアニリニウムカチオン、ジ(イソプロピル)アンモニウムカチオン、ジシクロヘキシルアンモニウムカチオンなどのジアルキルアンモニウムカチオンが挙げられる。
【0030】
ホスホニウムカチオンの具体例としては、トリフェニルホスホニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオンなどのトリアリールホスホニウムカチオンが挙げられる。
【0031】
イオン性化合物(b)の好ましい例は、トリチルテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルボニウムテトラ(フルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、1,1’−ジメチルフェロセニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート等である。
【0032】
化合物(c)
触媒(A)をなす錯体の配位子の解離を促進する化合物(c)としては、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン、トリス(モノフルオロフェニル)ボロン、トリス(ジフルオロフェニル)ボロン、トリフェニルボロン、ビスシクロオクタジエンニッケルなどが挙げられる。
【0033】
本発明では、触媒(A)として、前記式(i)において、Mがニッケル(Ni)またはパラジウム(Pd)であり、Lがシクロペンタジエニルまたはインデニルであり、他の配
位子がCH3(メチル)とPPh3(トリフェニルホスフィン)であるか、Cl(塩素)とPPh3であるか、C35(アリル)である錯体を用い、助触媒(B)として、トリス(
ペンタフルオロフェニル)ボロン[B(C65)3]、トリチルテトラ(ペンタフルオロフ
ェニル)ボレート{[Ph3C][B(C65)4]}またはメチルアルミノキサン(MAO)を用いて、ノルボルネン系重合体を製造することが好ましい態様の一つである。
【0034】
また触媒(A)として前記式(i)において、Mがニッケル(Ni)またはパラジウム(Pd)であり、Lがシクロペンタジエニルであり、他の配位子がCH3(メチル)とP
Ph3(トリフェニルホスフィン)であるか、C35(アリル)である錯体を用い、助触
媒(B)として、B(C65)3または[Ph3C][B(C65)4]用いて、ノルボルネン
系重合体を製造することも好ましい態様の一つである。
【0035】
次に、本発明で用いられるノルボルネン系単量体について説明する。
〔ノルボルネン系単量体〕
本発明ではノルボルネン系単量体として、例えば下記式(ii)または下記式(iii)で
表される化合物が用いられる。
【0036】
【化1】

【0037】
上記式(ii)中、m、p、q、rはそれぞれ独立に0以上の整数であり、好ましくは0、1または2である。
1〜R4は、それぞれ独立に、水素原子;フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子;酸素原子、イオウ原子、窒素原子もしくはケイ素原子を含む連結基を有してもよい、置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;または極性基を表す。
【0038】
上記炭素原子数1〜30の炭化水素基としては、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基等のアルケニル基などが挙げられる。また、上記炭化水素基は直接環構造に結合していてもよく、また連結基(linkage)を介して結合していて
もよい。
【0039】
このような連結基としては、炭素原子数1〜10の2価の炭化水素基(たとえば、−(
CH2)m−(mは1〜10の整数)で表されるアルキレン基);酸素、窒素、イオウまた
はケイ素を含む連結基(例えば、カルボニル基(−CO−)、オキシカルボニル基(−O(CO)−)、スルホン基(−SO2−)、エーテル結合(−O−)、チオエーテル結合(
−S−)、イミノ基(−NH−)、アミド結合(−NHCO−,−CONH−)、シロキサン結合(−OSi(R2)−(Rはメチル、エチル等のアルキル基))などが挙げられ、
これらの複数を含む連結基であってもよい。
【0040】
また、R1とR2および/またはR3とR4は一体化して2価の炭化水素基を形成してもよく、R1またはR2と、R3またはR4とは相互に結合して炭素環または複素環を形成してもよく、該炭素環または複素環は、単環構造でも多環構造でもよい。
【0041】
上記極性基としては、水酸基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基(たとえば、メトキシ基、エトキシ基等)、アルコキシカルボニル基(たとえば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等)、アリーロキシカルボニル基(たとえば、フェノキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基、フルオレニルオキシカルボニル基、ビフェニリルオキシカルボニル基等)、シアノ基、アミド基、イミド環含有基、トリオルガノシロキシ基(たとえば、トリメチルシロキシ基、トリエチルシロキシ基等)、トリオルガノシリル基(たとえば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基等)、アミノ基(たとえば、第1級アミノ基等)、アシル基、アルコキシシリル基(たとえば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基等)、スルホニル含有基およびカルボキシル基などが挙げられる。
【0042】
このような単量体(以下、「単量体(ii)」ともいう。)の具体例を以下に示すが、本発明はこれら具体例に限定されるものではない。また、単量体(ii)は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0043】
トリシクロ[5.2.1.02,6]−8−デセン、
テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデセン、
ペンタシクロ[7.4.0.12,5.19,12.08,13]−3−ペンタデセン、
トリシクロ[4.4.0.12,5]−3−ウンデセン、
8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセ
ン、
8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセ
ン、
8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン

8−フェノキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−
ドデセン、
8−メチル−8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−
ドデセン、
8−メチル−8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10
−3−ドデセン、
8−メチル−8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10
−3−ドデセン、
8−メチル−8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−
3−ドデセン、
8−メチル−8−フェノキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3
−ドデセン、
ペンタシクロ[8.4.0.12,5.19,12.08,13]−3−ヘキサデセン、
ヘプタシクロ[8.7.0.13,6.110,17.112,15.02,7.011,16]−4−エイコセン、
ヘプタシクロ[8.8.0.14,7.111,18.113,16.03,8.012,17]−5−ヘンエイコセン、
8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−フェニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−フェニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−フルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−フルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−ジフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−ベンタフルオロエチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−
ドデセン、
8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−
ドデセン、
8−メチル−8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−
ドデセン、
8,8,9−トリフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10
−3−ドデセン、
8,8,9,9−テトラフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデ
セン、
8,8,9,9−テトラキス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.
7,10]−3−ドデセン、
8,8−ジフルオロ−9,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.
2,5.17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロ−8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.
2,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.
7,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメトキシテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−ペンタフルオロプロポキシテトラシクロ[4.4.0.
2,5.17,10]−3−ドデセン、
8−フルオロ−8−ペンタフルオロエチル−9,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロ−8−ヘプタフルオロiso−プロピル−9−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−クロロ−8,9,9−トリフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3
−ドデセン、
8,9−ジクロロ−8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[44.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
などを挙げることができる。
【0044】
【化2】

【0045】
上記式(iii)中、R5〜R8は上記式(ii)中のR1〜R4と同義である。
また、R5とR6および/またはR7とR8は一体化して2価の炭化水素基を形成してもよく、R5またはR6と、R7またはR8とは相互に結合して炭素環または複素環を形成してもよく、該炭素環または複素環は、単環構造でも多環構造でもよい。
【0046】
このような単量体(以下、「単量体(iii)」ともいう。)の具体例を以下に示すが、
本発明はこれら具体例に限定されるものではない。また、単量体(iii)は単独で用いて
も、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0047】
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フェノキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−フェノキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−シアノビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−エチリデンビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(2−ナフチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(α,βの両タイプとも可)、
5−フルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ペンタフルオロエチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリス(フルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6,6−テトラフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6,6−テトラキス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ジフルオロ−6,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロ−5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フルオロ−5−ペンタフルオロエチル−6,6−ビス(トリフルオロメチソレ)ビシクロ[2.2.1]ヘプ卜−2−エン、
5,6−ジフルオロ−5−ヘプタフルオロ−iso−プロピル−6−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−クロロ−5,6,6−トリフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジクロロ−5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−6−トリフルオロメトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−6−ヘプタフルオロプロポキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(4−フェニルフェニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
4−(ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル)フェニルスルホニルベンゼン、
トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン
などを挙げることができる。
【0048】
これらのうち、一般式(iii)のR5〜R8が全て水素原子、または何れか1つが炭素原
子数1〜30の炭化水素基であり他が水素原子であるか、または何れか2つが炭素数3〜5のアルキレン基で連結されている単量体(iii)は、得られる光学用フィルムの靭性を
向上させる効果が大きい点で好ましく、特に、R5〜R8が全て水素原子、または何れか1つがメチル基、エチル基またはフェニル基であり他が全て水素原子である単量体は、耐熱性の観点からも好ましい。さらに、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエンは、その合成が容易である点で好ましい。
【0049】
本発明では、ノルボルネン系重合体の製造に用いる単量体としてまた、上記単量体(ii)および(iii)以外の単量体、たとえば、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘプ
テン、シクロオクテン、トリシクロ[5.2.1.02,6]−3−デセン、ジシクロペンタジエン等のシクロオレフィンなどを用いてもよい。
【0050】
〔重合〕
本発明では、上記触媒(A)および助触媒(B)を用いたノルボルネン系単量体の重合は塊状で行っても良いし、溶液中で行っても良い。溶液中で重合を行う場合には、触媒活性に悪影響を与えない溶媒を使用する必要がある。使用可能な溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素;シクロヘキサンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;ジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素;ニトロメタン、ニトロベンゼン、アセトニトリルなどの含窒素系炭化水素;ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類が挙げられる。これらの溶媒は混合して使用してもよい。
【0051】
重合を行う際には、重合させるノルボルネン系単量体と触媒(A)および助触媒(B)を混合するが、その混合順序は特に限定されない。予め触媒(A)成分と助触媒(B)を混合して反応組成物を得、重合させる単量体を含む溶液にこれを添加してもよい。また、重合させる単量体と触媒(A)を含む溶液に、助触媒(B)を添加してもよく、重合させる単量体と助触媒(B)の混合溶液中に触媒(A)を添加してもよい。
【0052】
本発明では、予め触媒(A)と助触媒(B)とを混合し、1分間以上、好ましくは30分〜1時間程度接触させた後に、反応系に添加することが好ましい。このような操作を行うことにより、より高い重合活性を発現することが可能になる。
【0053】
本発明の方法における触媒(A)と助触媒(B)との使用割合は、各種の条件により異なるため一義的には定められないが、通常は(A)/(B)(モル比)で1/0.1〜1/10,000であり、好ましくは1/0.5〜1/5,000、さらに好ましくは1/1〜1/2,000である。
【0054】
重合温度も特に制限されないが、一般には、−100℃〜150℃、好ましくは−50℃〜120℃である。温度が低すぎると重合速度が遅くなり、温度が高すぎると触媒の活性が低下する。上記範囲内で重合温度を選択することにより、重合速度や分子量などを調
整することができる。
【0055】
重合時間も特に制限はなく、例えば1分間〜100時間である。
〔ノルボルネン系重合体〕
このようにしてり得られたノルボルネン系重合体のクロロホルム中(30℃)で測定した固有粘度(ηinh)は、0.2〜5dl/g、好ましくは0.3〜4dl/g、特に好
ましくは0.5〜3dl/gである。上記範囲を超えると、溶液粘度が高くなりすぎ、加工性が悪化することがあり、上記範囲よりも低いと、フィルム強度が低下することがある。
【0056】
ノルボルネン系重合体の分子量としては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が、通常、8,000〜
1,000,000、好ましくは10,000〜500,000、特に好ましくは20,00
0〜100,000であり、また、重量平均分子量(Mw)が、通常、20,000〜3,
000,000、好ましくは30,000〜1,000000、特に好ましくは40,000〜500,000の範囲である。また、分子量分布は、上記のMw/Mnが、通常、1.
5〜10、好ましくは2〜8、特に好ましくは2.5〜5である。
【0057】
ノルボルネン系重合体の23℃における飽和吸水率は、通常、0.001〜1重量%、好ましくは0.01〜0.7重量%、さらに好ましくは0.1〜0.5重量%である、飽和吸水率がこの範囲内であると、各種光学特性、例えば透明性、位相差、位相差の均一性、および寸法精度が、高温多湿のような条件下でも維持され、他材料との密着性や接着性に優れるため使用途中で剥離などが発生せず、また、酸化防止剤等の添加物との相溶性も良好であるため、添加の自由度が大きくなる。なお、上記飽和吸水率はASTM D57
0に準拠し、23℃水中で1週間浸漬して増加重量を測定することにより求められる値である。
【0058】
ノルボルネン系重合体のSP値(溶解度パラメーター)は、好ましくは10〜30(MPa1/2)、さらに好ましくは12〜25(MPa1/2)、特に好ましくは15〜20(MPa1/2)である。SP値が上記範囲にあることにより、ノルボルネン系重合体を汎用の
溶剤に良好に溶解でき、安定したフィルムの製造ができるとともに、得られるフィルムの特性が均一となり、接着性・基板との密着性を良好なものとすることができ、さらに吸水率を適度にコントロールすることが可能となる。
【0059】
ノルボルネン系重合体のガラス転移温度(Tg)は、ノルボルネン系重合体の構成単位の種類、組成比、添加剤等の有無により異なるが、通常、80〜350℃、好ましくは100〜250℃、さらに好ましくは120〜200℃である。Tgが上記範囲よりも低いと、熱変形温度が低くなり、耐熱性に問題が生じるおそれがあり、また、得られる光学フィルムの温度による光学特性の変化が大きくなることがある。また、Tgが上記範囲よりも高いと、延伸加工等にTg近辺まで加熱して加工する場合に樹脂が熱劣化する可能性が高くなる。
【0060】
ノルボルネン系重合体には、透明性・耐熱性を損なわない範囲で公知の熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、ゴム質重合体、有機微粒子、無機微粒子、酸化防止剤、紫外線吸収剤、離型剤、難燃剤、抗菌剤、木粉、カップリング剤、石油樹脂、可塑剤、着色剤、滑剤、帯電防止剤、シリコーンオイル、発泡剤などを配合しても良い。
【0061】
〔フィルムの製造方法〕
本発明に係るノルボルネン系重合体フィルムは、上記のようにして得られたノルボルネン系重合体を溶液流延法(溶液キャスト法)により成膜することにより得ることができる

【0062】
溶液キャスト法としては、たとえば、ノルボルネン系重合体を適当な溶媒に溶解または分散させて適度の濃度の液体にし、これを適当な基材上に注ぐかまたは塗布して乾燥した後、得られる樹脂膜を基材から剥離させる方法が挙げられる。
【0063】
ノルボルネン系重合体溶液または分散液(以下これらを総称して「樹脂溶液」という。)中におけるノルボルネン系重合体成分の濃度は、通常、0.1〜90重量%、好ましくは1〜50重量%、さらに好ましくは5〜35重量%である。ノルボルネン系重合体成分の濃度が上記範囲よりも低い場合には、十分な厚みを有するフィルムが得られないことがあり、また、溶媒の蒸発に伴って生ずる発泡等によって、良好な表面平滑性を有するフィルムが得られないことがある。一方、ノルボルネン系重合体成分の濃度が上記範囲を超える場合には、樹脂溶液の粘度が高くなりすぎ、厚みや表面状態が均一なフィルムが得られないことがある。
【0064】
また、樹脂溶液は、室温における粘度が、通常、1〜1,000,000mPa・s、好ましくは10〜100,000mPa・s、さらに好ましくは100〜50,000mPa・s、特に好ましくは1,000〜40,000mPa・sである。
【0065】
樹脂溶液の調製に用いられる溶媒としては、たとえば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、1−メトキシ−2−プロパノール等のセロソルブ系溶媒;ジアセトンアルコール、アセトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、4−メチル−2−ペンタノン、シクロヘキサノン、エチルシクロヘキサノン、1,2−ジメチルシクロヘキサン等のケトン系溶媒;乳酸メチル、乳酸エチル等のエステル系溶媒;2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール、塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン含有溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒;1−ペンタノール、1−ブタノール等のアルコール系溶媒を挙げることができる。
【0066】
ノルボルネン系重合体を溶媒で溶解または分散する場合の温度は、室温でも高温でもよい。十分に撹拌することにより均一な樹脂溶液が得られる。また、必要に応じて樹脂溶液を加温、静置するなどして、樹脂溶液中に残存する気泡を除去する手段がとられる。なお、必要に応じて着色する場合には、樹脂溶液に染料、顔料等の着色剤を適宜添加することもできる。また、フィルムの表面平滑性を向上させるためにレベリング剤を添加してもよい。このようなレベリング剤としては、一般的なレベリング剤であれば特に限定されないが、たとえば、フッ素系ノニオン界面活性剤、特殊アクリル樹脂系レベリング剤、シリコーン系レベリング剤などを用いることができる。
【0067】
溶液キャスト法に用いられる基材としては、たとえば、金属ドラム、スチールベルト、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステルフィルム、ポリテトラフルオロエチレン製ベルトなどが挙げられる。
【0068】
上記基材としてポリエステルフィルムを用いる場合には、表面処理されたフィルムを使用してもよい。表面処理の方法としては、一般的に行われている親水化処理方法、たとえば、アクリル系樹脂やスルホン酸塩基含有樹脂をコーティングやラミネートにより積層する方法、あるいは、プラズマ処理やコロナ放電処理等によりフィルムの表面の親水性を向上させる方法などが挙げられる。
【0069】
基材に樹脂溶液を塗布する方法としては、ダイス、コーター、ハケなどを用いる方法、スプレー法、ロールコート法、スピンコート法、ディッピング法、グラビア法などを用いることができる。また、所望の厚みの光学用フィルムを得るために、樹脂溶液の塗布を繰
り返し行ってもよい。
【0070】
基材に塗布された樹脂溶液から溶媒を蒸発させる方法としては、特に制限されるものはなく、一般的に用いられる方法、たとえば、多数のローラーによって乾燥炉中を通過させる方法などを利用することができるが、溶媒の蒸発に伴って気泡が発生すると、得られる光学用フィルムの特性が著しく低下するので、気泡の発生を回避するために、溶媒の蒸発処理を複数の工程によって行うとともに、各工程における温度および風量を制御することが好ましい。
【0071】
本発明では成形後のフィルムを30〜250℃、好ましくは50〜200℃で加熱することが好ましい。この加熱は、減圧下、好ましくは10〜759mmHgの減圧下で行われ、窒素気流下で行うことも好ましい。
【0072】
ノルボルネン系重合体フィルム中に残留する溶媒の量は、通常は20重量%以下、好ましくは5重量%以下、さらに好ましくは1重量%以下、特に好ましくは0.5重量%以下である。残留溶媒量が上記範囲を超える場合には、当該樹脂フィルムを実際に使用したときに、経時的な寸法変化が大きくなることがあり、また、残留する溶媒によってガラス転移温度が低くなって耐熱性が低下することがある。
【0073】
また、後述する延伸工程を好適に行うためには、ノルボルネン系重合体フィルム中に残留する溶媒の量を上記範囲内で適宜調節することが必要となることがある。具体的には、延伸処理による位相差を安定して均一に発現させるために、残留する溶媒の量を、通常20〜0.1重量%、好ましくは5〜0.1重量%、さらに好ましくは1〜0.1重量%とすることがある。このような範囲に溶媒の量を制御することにより、容易に延伸処理を行うことができ、また、位相差の制御を容易に行うことができる。
【0074】
このようにして得られるノルボルネン系重合体フィルムの厚みは、通常5〜1,000μm、好ましくは15〜500μm、さらに好ましくは25〜300μm、特に好ましくは40〜150μmである。この厚みが上記範囲よりも小さい場合には、当該ノルボルネン系重合体フィルムのハンドリングが実際上困難となる。一方、この厚みが上記範囲を超える場合には、当該ノルボルネン系重合体フィルムをロール状に巻き取ることが困難になる。
【0075】
上記ノルボルネン系重合体フィルムにおける厚み分布は、平均値に対して通常±20%以内、好ましくは±10%以内、さらに好ましくは±5%以内、特に好ましくは±3%以内であり、また、1cmあたりの厚みの変動率は、通常は10%以下、好ましくは5%以下、さらに好ましくは1%以下、特に好ましくは0.5%以下であることが好ましい。このような厚み条件でノルボルネン系重合体フィルムを形成することにより、当該樹脂フィルムを延伸処理したときには、透過光の位相差ムラの発生を防止することができる。
【0076】
本発明の製造方法により得られたフィルムは、さらに延伸加工してもよく、具体的には、公知の一軸延伸法、二軸延伸法、Z軸延伸法により製造することができる。すなわち、テンター法による横一軸延伸法、ロール間圧縮延伸法、円周の速度の異なるロールを利用する縦一軸延伸法等あるいは横一軸と縦一軸を組み合わせた二軸延伸法、インフレーション法による延伸法等を用いることができる。
【0077】
一軸延伸法の場合、延伸速度は通常は1〜5,000%/分であり、好ましくは50〜
1,000%/分であり、さらに好ましくは100〜1,000%/分である。
二軸延伸法の場合、同時2方向に延伸を行う場合や一軸延伸後に最初の延伸方向と異なる方向に延伸処理する場合がある。この時、屈折率楕円体の形状を制御するための2つの
延伸軸の交わり角度は、所望する特性により決定されるため特に限定はされないが、通常は120〜60度の範囲である。また、延伸速度は各延伸方向で同じであってもよく、異なっていてもよく、通常は1〜5,000%/分であり、好ましくは50〜1,000%/分であり、さらに好ましくは100〜1,000%/分であり、特に好ましくは100〜
500%/分である。
【0078】
延伸加工温度は、特に限定されるものではないが、ノルボルネン系重合体のガラス転移温度Tgを基準として、通常はTg±30℃、好ましくはTg±15℃、さらに好ましくはTg−5〜Tg+15℃の範囲である。前記範囲内とすることで、位相差ムラの発生を抑えることが可能となり、また、屈折率楕円体の制御が容易になることから好ましい。
【0079】
延伸倍率は、所望する特性により決定されるため特に限定はされないが、通常は1.01〜10倍、好ましくは1.03〜5倍、さらに好ましくは1.03〜3倍である。延伸倍率が10倍以上の場合、位相差の制御が困難になる場合がある。
【0080】
延伸したフィルムは、そのまま冷却してもよいが、Tg−20℃〜Tgの温度雰囲気下に少なくとも10秒以上、好ましくは30秒〜60分間、さらに好ましくは1分〜60分間保持してヒートセットすることが好ましい。これにより、透過光の位相差の経時変化が少なく安定した位相差フィルムが得られる。
【0081】
本発明の製造方法により得られたフィルムは、たとえば、携帯電話、ディジタル情報端末、ポケットベル、ナビゲーション、車載用液晶ディスプレイ、液晶モニター、調光パネル、OA機器用ディスプレイ、AV機器用ディスプレイ等の各種液晶表示素子やエレクトロルミネッセンス表示素子あるいはタッチパネルなどに用いることができる。また、CD、CD−R、MD、MO、DVD等の光ディスクの記録・再生装置に使用される波長板としても有用である。
[実施例]
以下に、本発明の実施例を示す。なお、各実施例で得られたポリマーの重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)は、GPCにより、ポリスチレンを標準物質として用いて求めた。また、共重合体中のノルボルネンとノルボルネンカルボン酸メチルエステルの組成比は、1H−NMRにより得られたピーク[δ:3.5
−3.9ノルボルネンカルボン酸メチルエステルの「−COOMe」ユニット]とδ:0.8−3.0(ノルボルネンおよびノルボルネンカルボン酸メチルエステルの「−CH2
−」および「−CH=」ユニット)]の積分比から求めた。
【0082】
また、フィルムの各物性評価は、下記の条件で行った。
引張強度および伸び(TS、TE)
ASTM D638に準じて測定した。
全光線透過率(Tt):
ASTM D1003に準じて測定した。
黄色度(YI):
JIS K7103に従って測定した。
ガラス転移温度(Tg):
動的粘弾性で測定されるTanδ(貯蔵弾性率(E’)と損失弾性率(E”)との比(E”/E’)の温度分散のピーク温度で測定した。動的粘弾性の測定は、レオバイブロンDDV−01FP(オリエンテック製)を用い、測定周波数:10Hz、昇温速:4℃/分、加振モード:単一波形、加振振幅:2.5μmの条件でTanδのピーク温度を測定した。
抵抗率(ρ)(Ω・cm):
ASTM D257に準じて測定した。
耐光性:
フェードメータ(63℃、雨なし)500時間後の変色(ΔE)を測定した。
【0083】
また、シクロペンタジエニル(メチル)(トリフェニルホスフィン)ニッケルは、山崎らの合成法 (Yamazaki.H et al.,Bull.Chem.Soc.Jpn.,1964,37,907) にしたがって合成した。
ノルボルネン系重合体の製造
[実施例1]
窒素置換したガラス製容器に、シクロペンタジエニル(メチル)(トリフェニルホスフィン)ニッケル[C55NiCH3(PPh3)]を20μmol、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン[B(C65)3]を20μmol入れ、さらにトルエン5mLを入れて
これらを溶解させた。次いで、この容器に、ノルボルネン1.41g(0.015mol)およびノルボルネンカルボン酸メチルエステル0.77g(0.005mol)を含むトルエン溶液5mlを添加し、室温で15分間重合反応を行った。
【0084】
反応終了後に、容器の内容物を多量のメタノール中に注いでポリマーを析出させ、濾別および洗浄後、60℃で5時間減圧乾燥したところ、1.04gのポリマーが得られた。得られたポリマーは、THF、クロロホルム、ジクロロメタンなどの溶媒に容易に溶解した。このポリマーをGPCで測定したところ、分子量はMw=735,500、Mn=4
06,800、分子量分布(Mw/Mn)=1.81であった。また、1H−NMRスペクトルにより、共重合体中のノルボルネン/ノルボルネンカルボン酸メチルエステルの組成比は、モル比で84.8/15.2であることを確認した。以下、この共重合体を共重合体(p−1)という。
[実施例2]
ノルボルネンの量を0.47g(0.005mol)とし、ノルボルネンカルボン酸メチルエステルの量を1.53g(0.010mol)とし、重合反応時間を30分間とした。これ以外は実施例1と同じ方法で重合反応を行った。
その結果、0.59gのポリマーがえられた。分子量はMw=362,000、Mn=1
93,200、分子量分布(Mw/Mn)=1.87であり、重合体中のノルボルネン/
ノルボルネンカルボン酸メチルエステルの組成比は、モル比で67.9/32.1であることを確認した。以下、この共重合体を共重合体(p−2)という。
[実施例3]
ノルボルネンの量を0.47g(0.005mol)とし、ノルボルネンカルボン酸メチルエステルの量を2.23g(0.015mol)とし、重合反応時間を30分間とした。これ以外は実施例1と同じ方法で重合反応を行った。
【0085】
その結果、0.13gのポリマーがえられた。分子量はMw=242,200、Mn=
124,600、分子量分布(Mw/Mn)=1.94であり、重合体中のノルボルネン
/ノルボルネンカルボン酸メチルエステルの組成比は、モル比で43.5/56.5であることを確認した。以下、この共重合体を共重合体(p−3)という。
[比較例1]
55NiCH3(PPh3) の代わりに酢酸パラジウム[Pd(OCOCH3)2]を用いる
以外は実施例1と同じ方法で重合反応を行った。
その結果、ポリマー収量は0.10gとなり、実施例1と比較して著しく低活性となった。分子量はMw=173,100、Mn=76,000、分子量分布(Mw/Mn)=2.23であった。また、重合体中のノルボルネン/ノルボルネンカルボン酸メチルエステルの組成比は、モル比で95.2/4.8となり、ノルボルネンカルボン酸メチルエステルの共重合性が著しく低下した。以下、この共重合体を共重合体(r−1)という。
[実施例4〜7]
実施例1〜3で得られた共重合体(p−1、p−2、p−3)のジクロロメタン溶液(
濃度20%)をダイスに通し、均一厚みの未乾燥フィルムとし、これを150℃で乾燥して厚み100μmのフィルムを製造した。このフィルム槽の幅:100cmを表1の乾燥条件下で処理し、得られたフィルム(f−1〜f−4)の物性測定を行った。実施例4〜6は減圧下で、実施例7は減圧する代りに窒素を10cm3 /分で流した。
[実施例8]
共重合体(p−1)/熱可塑性エラストマー=90/10(重量%)のトルエン溶液(濃度25%)から、厚み200μmのフィルムを製造した(f−5)。このフィルム槽の幅100cmを表1の条件下で処理し、物性測定を行った。なお、熱可塑性エラストマーは、セプトン2002(商品名、クラレ製)を用いた。
[比較例2]
共重合体(r−1)を用い、実施例4と同じ方法でのフィルム製造を試みた。しかし、共重合体(r−1)はジクロロメタンやトルエン、シクロヘキサン、テトラヒドロフランなどの有機溶媒に溶解しなかったため、溶媒キャスト法でのフィルム化はできなかった。
【0086】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の触媒(A)と下記の助触媒(B)との存在下で、少なくとも1種のノルボルネン系単量体を含む単量体成分を付加重合し、得られたノルボルネン系重合体を溶媒に溶解または分散させた液体を用いキャスト成形法によりフィルムを成形することを特徴とするノルボルネン系重合体フィルムの製造方法;
触媒(A):周期律表第8族元素、第9族元素および第10族元素より選択された一種の遷移金属に、少なくともシクロペンタジエニル系配位子が配位した錯体
助触媒(B):有機アルミニウム化合物(a)、触媒(A)と反応してカチオン性遷移金属化合物を生成できるイオン性化合物(b)、および触媒(A)をなす錯体の配位子の解離を促進する化合物(c)より選択された少なくとも一種の化合物。
【請求項2】
前記触媒(A)が、下記式(i)で表される錯体であることを特徴とする請求項1に記載のノルボルネン系重合体フィルムの製造方法;
MLn1X2Y3Z …(i)
(式中、Mは、周期律表第8族元素、第9族元素および第10族元素より選択された一種の遷移金属であり、Lは、シクロペンタジエニルおよびその誘導体から選択されたシクロペンタジエニル系配位子であり、Kl、K2およびK3は、互いに異なる陰性配位子または
中性配位子であり、nは1〜3の整数であり、X、Y、Zは0〜7の整数である。)。
【請求項3】
触媒(A)と助触媒(B)とをあらかじめ混合し、1分間以上接触させた後に、当該混合物を反応系に添加して単量体成分の付加重合を行うことを特徴とする請求項1または2に記載のノルボルネン系重合体フィルムの製造方法。
【請求項4】
ノルボルネン系重合体と共に、ゴム質重合体および/または当該ノルボルネン系重合体以外の熱可塑性樹脂を、溶媒に共溶解あるいは共分散させた液体を用いキャスト成形法によりフィルムを成形することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のノルボルネン系重合体フィルムの製造方法。
【請求項5】
成形後のフィルムを、減圧下および/または窒素気流下で30〜250℃の温度で加熱することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のノルボルネン系重合体フィルムの製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の方法により得られたことを特徴とするノルボルネン系重合体フィルム。


【公開番号】特開2006−305816(P2006−305816A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−129536(P2005−129536)
【出願日】平成17年4月27日(2005.4.27)
【出願人】(899000057)学校法人日本大学 (650)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】