説明

ハイブリッド車両の制御システム及び制御方法

【課題】ハイブリッド車両の制御システムにおいて、モータジェネレータの温度及び車両の走行状態の変化にかかわらず、車両の燃費及びドライバビリティの向上を図ることである。
【解決手段】制御システム12は、第2モータジェネレータ24の温度を検出する温度センサ40と、制御部28とを備える。制御部28は、現在の車両の走行状態を推定する手段と、記憶手段と、損失取得手段と、発電制御手段とを含む。記憶手段は、車両の走行状態と第2モータジェネレータ24の温度及びモータ損失との損失関係を記憶する。損失取得手段は、第2モータジェネレータ24の温度と、推定された現在の車両走行状態とから損失関係に基づいて、モータ損失を取得する。発電制御手段は、取得されたモータ損失を用いて第2モータジェネレータ24の発電量目標値を算出し、発電量を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジン及びモータジェネレータの少なくとも一方を駆動源として駆動するハイブリッド車両の発電量を制御する制御システム及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、エンジン及び走行用モータを搭載し、エンジン及び走行用モータの少なくとも一方を駆動源として車輪を駆動させるハイブリッド車両が考えられ、実施されている。また、このようなハイブリッド車両において、エンジンを燃費効率が最も高い状態である最高効率点近傍で運転させ、さらなる燃費の向上を図ることが考えられている。例えば、図6は、従来のハイブリッド車両におけるエンジンの等燃費率曲線及び等トルク曲線の1例を示す図である。図6に点Qで示す最高効率点近傍でエンジンを運転させる場合には、エンジン回転数を所定回転数REとし、吸気管圧力を所定圧力PEとする。
【0003】
また、特許文献1には、モータ及び発電機としての機能を有するモータジェネレータを備えるハイブリッド車両における、モータジェネレータの発電量の制御方法が記載されている。モータジェネレータは、エンジンの駆動力が与えられて発電を行う。この制御方法では、エンジンからトランスミッションにいたる駆動系の機械損失を反映して、モータジェネレータの発電量を補正するように制御する。機械損失は、トランスミッションの油温信号が示すトランスミッションオイルの油温から求める。上記制御方法によれば、機械損失が大きな冷間時には発電量を小さくすることにより、機械損失と発電量の和を一定に保ち、外気温度にかかわらず同一の車速及び同一のアクセルペダル操作量に対して同一の走行トルクを確保できるとされている。また、エンジンを最高効率点近傍で駆動して燃費の向上を図れるとされている。
【0004】
また、特許文献2には、ハイブリッド自動車等の電動車両に搭載するモータジェネレータの制御装置が記載されている。この制御装置では、モータ損失電力をパラメータとして、各モータ損失電力におけるモータ回転速度及び出力トルクの対応関係を示す損失特性線を予めマップ化しておく。そして、モータ温度に対して、モータジェネレータでの発熱量に関係する損失電力について、損失電力許容値を設定する。そして、損失電力許容値に対応する損失特性線にしたがって、各回転速度に対するモータジェネレータのトルク上限値を設定し、トルク指令値を設定するとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−137518号公報
【特許文献2】特開2008−211861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の特許文献1に記載されたハイブリッド車両の発電量制御方法の場合、電動機であるモータジェネレータの温度に応じて変化する、モータジェネレータの損失を考慮していない。すなわち、モータジェネレータの損失は、走行状態及び温度に応じて変化する。これに対して、この損失を考慮しないでモータジェネレータの発電量を制御する、特許文献1に記載された制御方法では、発電量を最適化し、車両の燃費やドライバビリティの向上を図る面から改良の余地がある。
【0007】
これに対して、特許文献2に記載されたモータジェネレータの制御装置の場合、モータ温度に対応する損失電力許容値を設定し、この損失電力許容値に対応する損失特性線にしたがって、モータジェネレータのトルク上限値を設定している。ただし、このように設定するのは、モータジェネレータが過熱状態に至らない範囲での出力を確保するようにするためである。このような特許文献2の制御装置では、モータジェネレータの温度及び車両の走行状態の変化にかかわらず、モータジェネレータの損失を精度よく求めることは考慮されていない。すなわち、この制御装置では、発電量を最適化し、車両の燃費やドライバビリティの向上を図る面から改良の余地がある。
【0008】
本発明の目的は、ハイブリッド車両の制御システム及び制御方法において、モータジェネレータの温度及び車両の走行状態の変化にかかわらず、車両の燃費及びドライバビリティの向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るハイブリッド車両の制御システムは、エンジンと、二次電池の電力により駆動されるモータジェネレータであって、エンジンにより駆動されることにより発電し、二次電池に発電電力を供給するモータジェネレータと、を備え、エンジン及びモータジェネレータの少なくとも一方を駆動源として駆動するハイブリッド車両の発電量を制御する制御システムであって、モータジェネレータの温度を検出する温度検出手段と、現在の車両の走行状態を推定する走行推定手段と、車両の走行状態及びモータジェネレータの温度とモータジェネレータの損失との損失関係を記憶する記憶手段と、モータジェネレータの温度検出値と、推定された現在の車両走行状態とから、記憶手段で記憶された損失関係に基づいて、モータジェネレータの損失を取得する損失取得手段と、取得されたモータジェネレータの損失を用いてモータジェネレータの発電量目標値を算出し、モータジェネレータの発電量を制御する発電制御手段とを備えるハイブリッド車両の制御システムである。
【0010】
また、本発明に係るハイブリッド車両の制御システムにおいて好ましくは、記憶手段は、損失関係として、車両の走行状態及びモータジェネレータの温度とモータジェネレータの損失との関係を表すマップを記憶する。
【0011】
また、本発明に係るハイブリッド車両の制御システムにおいて好ましくは、記憶手段は、車両の走行状態が異なる、市街地走行損失マップと、高速走行損失マップとを記憶し、市街地走行損失マップは、車両の市街地走行時におけるモータジェネレータの温度及び損失の関係を表し、高速走行損失マップは、車両の高速走行時におけるモータジェネレータの温度及び損失の関係を表し、損失取得手段は、推定された現在の車両走行状態に基づいて、記憶手段から読み出すマップを選択し、選択されたマップと、モータジェネレータの温度検出値とから、モータジェネレータの損失を取得する。
【0012】
また、本発明に係るハイブリッド車両の制御システムにおいて好ましくは、車両の速度を検出する速度検出手段と、予め設定された所定時間における車両の速度分布を取得し、速度分布での車両の速度中央値及び速度ばらつきの関係値を取得する速度分布取得手段とを備え、走行推定手段は、取得された車両の速度中央値及び速度ばらつきの関係値から、予め設定された推定条件に基づいて、現在の車両走行状態が、市街地走行状態と高速走行状態とのいずれにあるかを推定する。
【0013】
また、本発明に係るハイブリッド車両の制御システムにおいて好ましくは、車両の加速指示量を検出する加速指示量検出手段と、車両の速度を検出する速度検出手段と、車両の加速指示量及び車両の速度に基づいて要求走行出力を算出し、要求走行出力を算出する要求出力算出手段と、予め設定された効率運転条件成立時に、エンジンを燃費効率が最も高い状態である最高効率点近傍で駆動するエンジン制御手段とを備え、発電制御手段は、最高効率点でのエンジン出力から要求走行出力とモータジェネレータの損失との和を減算して発電量目標値を算出する。
【0014】
また、本発明に係るハイブリッド車両の制御方法は、エンジンと、二次電池の電力により駆動されるモータジェネレータであって、エンジンにより駆動されることにより発電し、二次電池に発電電力を供給するモータジェネレータと、を備え、エンジン及びモータジェネレータの少なくとも一方を主駆動源として駆動するハイブリッド車両の発電量を制御する制御方法であって、モータジェネレータの温度を検出するステップと、現在の車両の走行状態を推定するステップと、記憶手段で記憶された車両の走行状態及びモータジェネレータの温度とモータジェネレータの損失との損失関係に基づいて、モータジェネレータの温度検出値と、推定された現在の車両走行状態とから、モータジェネレータの損失を取得するステップと、取得されたモータジェネレータの損失を用いてモータジェネレータの発電量目標値を算出し、モータジェネレータの発電量を制御するステップとを備えるハイブリッド車両の制御方法である。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るハイブリッド車両の制御装置及び制御方法によれば、モータジェネレータの温度及び車両の走行状態の変化に対応する、モータジェネレータの損失を精度よく求めることができる。このため、モータジェネレータの温度及び車両の走行状態の変化にかかわらず、モータジェネレータの損失を精度よく求めて、その損失から発電量を制御するので、発電量を最適化できる。この結果、モータジェネレータの温度及び車両の走行状態の変化にかかわらず、車両の燃費及びドライバビリティの向上を図れる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態の1例のハイブリッド車両の構成を示す略図である。
【図2】図1の制御部の構成を示すブロック図である。
【図3】市街地走行時のモータ温度と損失との関係を表す実験結果の1例を示す図である。
【図4】高速走行時のモータ温度と損失との関係を表す実験結果の1例を示す図である。
【図5】図1のハイブリッド車両の制御方法を示すフローチャートである。
【図6】従来のハイブリッド車両におけるエンジンの等燃費率曲線及び等トルク曲線の1例を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下において、図面を用いて本発明に係る実施の形態につき詳細に説明する。図1から図5は、本発明の実施の形態の1例を示している。
【0018】
本実施の形態に係るハイブリッド車両の制御システムは、ハイブリッド車両に搭載し、モータジェネレータ及びエンジンを制御するために使用する。図1に示すように、ハイブリッド車両10は、制御システム12と、動力分割機構14と、駆動軸16に連結された車輪18とを備える。また、制御システム12は、エンジン20と、エンジン20により駆動され、主として発電機として使用される第1モータジェネレータ(MG1)22と、主として走行用モータとして使用される第2モータジェネレータ(MG2)24と、制御部28とを含む。
【0019】
なお、図1では、ハイブリッド車両10が、前置エンジン付前輪駆動車であるFF車である場合を示している。ただし、ハイブリッド車両は、前置エンジン付後輪駆動車であるFR車や、四輪駆動車である4WD車等とすることもできる。
【0020】
動力分割機構14は、エンジン20からの動力を、駆動軸16への経路と、第1モータジェネレータ22への経路とに分割可能としている。動力分割機構14は、例えば、遊星歯車機構により構成する。例えば、第1モータジェネレータ22の回転軸を中空として、この回転軸の端部に遊星歯車機構のサンギヤを接続する。また、第1モータジェネレータ22の回転軸の内側を挿通したエンジン20の駆動軸に、遊星歯車機構のプラネタリギヤに接続したキャリアを接続する。また、遊星歯車機構のリングギヤに、出力軸30を接続し、出力軸30に直接または図示しない別の遊星歯車機構等の減速機を介して第2モータジェネレータ24の回転軸を接続する。出力軸30は、減速機32を介して車輪18に連結された駆動軸16に接続する。なお、エンジン20の駆動軸に図示しないダンパを介して動力分割機構14を接続することもできる。
【0021】
第1モータジェネレータ22は、3相交流モータであり、エンジン20の始動用モータとしても使用可能であるが、第1モータジェネレータ22をエンジン20により駆動される発電機として使用する場合には、エンジン20から、遊星歯車機構のキャリアを介して伝達されるトルクの少なくとも一部を、サンギヤを介して、第1モータジェネレータ22の回転軸に伝達する。
【0022】
第2モータジェネレータ24は、車両の駆動力を発生するための3相交流モータであり、かつ、発電機、すなわち電力回生用としても使用可能である。
【0023】
エンジン20の回転は、動力分割機構14を介して出力軸30側と第1モータジェネレータ22側とに取り出す。第1モータジェネレータ22の駆動により発生した電力は、二次電池であるバッテリ34に充電される。なお、ハイブリッド車両10の構成は、このような構成に限定するものではなく、エンジンと、二次電池の電力により駆動されるモータジェネレータであって、エンジンにより駆動されることにより発電し、二次電池に発電電力を供給するモータジェネレータとを備え、エンジン及びモータジェネレータの少なくとも一方を駆動源として駆動するハイブリッド車両の構成を有するものであれば、種々の構成を採用できる。また、ハイブリッド車両10をFR車として構成する場合には、出力軸30の回転を、プロペラシャフト、ディファレンシャルギヤを介して後輪に伝達し、後輪を駆動させる。
【0024】
また、制御システム12は、上記の各モータジェネレータ22,24及び制御部28と、第1モータジェネレータ22用の第1インバータ36と、第2モータジェネレータ24用の第2インバータ38と、第1インバータ36及び第2インバータ38とバッテリ34との間に接続された図示しないDC/DCコンバータと、第2モータジェネレータ24の温度を検出する温度センサ40と、アクセルペダル等の加速指示部の操作量、すなわち加速指示量であるアクセル操作量を検出するアクセル操作量センサ42と、車両の速度を検出する車速センサ44と、バッテリ34の充電量を検出するバッテリセンサ46とを含む。例えば、バッテリセンサ46は、電流センサを含む。
【0025】
DC/DCコンバータは、バッテリ34と第1インバータ36及び第2インバータ38との間に設けている。DC/DCコンバータは、2個直列に接続されたIGBT、トランジスタ等のスイッチング素子と、各スイッチング素子に逆並列に接続された2個のダイオードと、各スイッチング素子の間に一端が接続されたリアクトルとを含み、リアクトルの他端をバッテリ34に接続している。DC/DCコンバータは、バッテリ34から供給された直流電圧を昇圧して、第1インバータ36及び第2インバータ38に供給可能としている。また、DC/DCコンバータは、2個のインバータ36,38の一方または両方から供給された直流電圧を降圧して、バッテリ34に直流電力を供給する、すなわちバッテリ34を充電する機能を有する。DC/DCコンバータは、制御部28により制御される。
【0026】
バッテリ34は、ニッケル水素電池またはリチウムイオン電池等の二次電池である。また、バッテリ34とDC/DCコンバータとの間に図示しないシステムリレーを設けており、システムリレーは、制御部28によりオンまたはオフが制御される。すなわち、図示しない起動スイッチがユーザーによりオンされると、制御部28が起動され、制御部28がシステムリレーをオンして、バッテリ34の直流電圧が第1インバータ36及び第2インバータ38の入力側端子に供給される。また、起動スイッチがオフされると、システムリレーがオフされ、バッテリ34と第1インバータ36及び第2インバータ38との接続が遮断される。
【0027】
また、インバータ36,38は、U、V,W各相のアームを備える。それぞれのアームは、直列接続されたIGBT、トランジスタ等の2個ずつのスイッチング素子を含み、各アームの中点を、対応するモータジェネレータ22(または24)を構成する図示しない3相のコイルの一端にそれぞれに接続している。2個のインバータ36,38はバッテリ34に対し並列に接続している。また、各モータジェネレータ22,24において、3相コイルの他端は、中性点で互いに接続している。
【0028】
各インバータ36,38は、制御部28からトルク指令値に対応する制御信号が入力されることにより、それぞれのスイッチング素子のスイッチングが制御される。例えば、第1インバータ36は、制御部28から入力されるトルク指令値に対応する信号に基づいて、バッテリ34側から入力される直流電圧を交流電圧に変換して第1モータジェネレータ22を駆動する。また、第1インバータ36は、第1モータジェネレータ22がエンジン20の駆動に伴って発電した場合に、その発電により得られた交流電圧を、第1インバータ36で直流電圧に変換し、その変換した直流電圧をDC/DCコンバータに供給する。DC/DCコンバータは、その供給された直流電圧を降圧してからバッテリ34に供給し、バッテリ34を充電する。
【0029】
これに対して、第2インバータ38は、制御部28から入力されるトルク指令値に対応する信号に基づいて、バッテリ34側から入力される直流電圧を交流電圧に変換して、第2モータジェネレータ24を駆動する。また、第2インバータ38は、ハイブリッド車両10の回生制動時に、第2モータジェネレータ24により発電した交流電圧を直流電圧に変換し、その変換した直流電圧を、DC/DCコンバータに供給する。DC/DCコンバータは、その供給された直流電圧を降圧してからバッテリ34に供給し、バッテリ34を充電する。回生制動は、車両のアクセルペダルが踏まれていない状態であって、バッテリ34の充電量が少ない場合に実行され、第2モータジェネレータ24を回生制動状態とする。
【0030】
また、第2モータジェネレータ24は、エンジン20の始動後、出力軸30をエンジンの回転方向と同方向に回転させるように駆動力を与えて、エンジン20にトルクアシストを行う力行状態と、エンジン20の駆動力が出力軸30に与えられ、出力軸30により第2モータジェネレータ24が駆動され、第2モータジェネレータ24が発電する回生状態とを切り換え可能に構成している。すなわち、エンジン20の駆動とともに、第2モータジェネレータ24がトルクアシストを行うように力行状態となることで、所望の車輪駆動力が得られ、しかもエンジン20を効率のよい状態で駆動させることができる。例えば、上記の図6で示したように、エンジン20を燃費効率が最も高い状態である最高効率点Q(図6参照)近傍で駆動し、エンジン20の燃料消費量を低減することができる。また、エンジン20の駆動により第2モータジェネレータ24が発電した場合の発電電力もバッテリ34に供給され、バッテリ34が充電される。
【0031】
例えば、制御部28は、車両の走行時に車両全体で要求される出力である要求走行出力が上記の最高効率点でのエンジン20の出力以上である場合に、第2モータジェネレータ24によりエンジン20の出力を補助するトルクアシストを行うように第2モータジェネレータ24を制御する。また、制御部28は、要求走行出力が上記の最高効率点でのエンジン20の出力よりも低い場合に、エンジン20の出力を第2モータジェネレータ24に入力する。すなわち、エンジン20の出力により第2モータジェネレータ24を駆動して、第2モータジェネレータ24を発電させる。この場合、制御部28は、後述するように、車両の走行状態に基づいて要求走行出力を決定し、最高効率点でのエンジン20の出力から、要求走行出力と第2モータジェネレータ24の損失との和を減算して、第2モータジェネレータ24の目標発電量を決定する。このように第2モータジェネレータ24は、バッテリ34の電力により駆動されるとともに、エンジン20により駆動されることにより発電し、バッテリ34に発電電力を供給する。
【0032】
また、制御部28は、CPU、メモリ等を有するマイクロコンピュータを含み、例えば、モータECUと呼ばれるモータコントローラと、エンジンECUと呼ばれるエンジンコントローラとを含むものでもよい。なお、図示の例では、制御部28として1つの制御部28のみを図示しているが、制御部28は適宜複数の構成要素に分割して、互いに接続する構成とすることもできる。例えば、制御部28を、モータコントローラの機能を有する部分と、エンジンコントローラの機能を有する部分と、ハイブリッドECUと呼ばれる全体を統合制御する全体制御部とに分け、互いに接続した構成とすることもできる。
【0033】
また、制御部28には、アクセル操作量センサ42及び車速センサ44の検出信号等の各モータジェネレータ22,24のトルク指令値や発電量を算出するための検出信号が入力される。また、制御部28には、第2モータジェネレータ24の温度を検出する温度センサ40と、バッテリ34の充電量を検出するバッテリセンサ46との検出信号も入力される。また、制御部28には、第1モータジェネレータ22と第2モータジェネレータ24とに設けた図示しない電流センサで検出した、各モータジェネレータ22,24の各相のコイルを流れるモータ電流値や、各モータジェネレータ22,24の回転角度を表す信号も入力される。
【0034】
制御部28は、算出された第2モータトルク指令値に応じて、第2インバータ38に制御信号を出力し、制御信号に応じて第2インバータ38を構成するスイッチング素子をオンオフ動作、すなわちスイッチング動作させ、第2モータジェネレータ24において、トルク指令値に従ったトルクが出力されるように、第2モータジェネレータ24を駆動する。また、制御部28は、同様に、第1インバータ36に制御信号を出力し、制御信号に応じて第1インバータ36を構成するスイッチング素子をスイッチング動作させ、第1モータジェネレータ22において、算出した第1モータトルク指令値に従ったトルクが出力されるように、第1モータジェネレータ22を駆動する。このようなハイブリッド車両10は、エンジン20及び第2モータジェネレータ24の少なくとも一方を駆動源として駆動する。
【0035】
また、図2に示すように、制御部28は、記憶手段48と、エンジン制御手段50とを含む。記憶手段48は、最高効率運転制御プログラムと、走行トルク算出プログラムと、走行状態検知プログラムと、モータ損失算出プログラムと、発電制御プログラムとを記憶している。なお、以下の説明では、図1に示した要素と同一の要素には同一の符号を付して説明する。また、エンジン制御手段50は、エンジン20の燃料噴射弁に対して燃料噴射信号を出力し、エンジン20の点火プラグに対して点火信号であるイグニッションパルス信号を出力し、エンジン20の燃料噴射量及び点火タイミングを制御する。また、エンジン制御手段50は、予め設定された効率運転条件成立時に、エンジン20の燃料噴射量及び点火タイミングを制御して、エンジン20を燃費効率が最も高い状態である最高効率点近傍で駆動させる。また、最高効率運転制御プログラムは、予め設定された効率運転条件成立時に、エンジン制御手段50によりエンジン20の燃料噴射量及び点火タイミングを制御して、エンジン20を燃費効率が最も高い状態である最高効率点近傍で駆動させる。
【0036】
また、制御部28は、要求出力算出手段52と、速度分布取得手段54と、走行推定手段56と、損失取得手段58と、発電制御手段60と、トルクアシスト制御手段62とを含む。また、要求出力算出プログラムは、車両の加速指示量を表す信号及び車両の速度を表わす信号に基づいて、要求出力算出手段52により要求走行出力を算出する。すなわち、要求出力算出手段52は、車両の加速指示量及び車両の速度に基づいて要求走行出力を算出する。より具体的には、要求出力算出手段52は、アクセル操作量センサ42の検出信号であるアクセル操作量信号と、車速センサ44の検出信号である車速信号とが表す、アクセル操作量Am及び車速Vに基づいて、対応する要求走行出力RPを、予め記憶手段48に記憶させた要求出力マップから取得する、すなわち、対応する要求走行出力RPを算出する。このために、記憶手段48に、要求出力マップとして、アクセル操作量Am及び車速Vに対応する要求走行出力RPの関係を表すマップを記憶させている。
【0037】
また、走行状態検知プログラムは、車速センサ44の車速信号に基づいて、速度分布取得手段54及び走行推定手段56により、現在の車両の走行状態を推定する。例えば、速度分布取得手段54は、車速信号を用いて、予め設定された所定時間における車両の速度分布を取得し、さらに、その速度分布での車両の速度中央値及び速度ばらつきの関係値を取得する、すなわち算出する。また、走行推定手段56は、取得された車両の速度中央値及び速度ばらつきの関係値から、予め設定された推定条件に基づいて、現在の車両走行状態が、市街地走行状態と高速走行状態とのいずれにあるかを推定する。例えば、第1の推定条件として、速度中央値が設定速度以下であり、かつ、速度ばらつきの例えば3σが設定速度ばらつき以上であることが成立した場合に、市街地走行状態にあると推定する。また、第2の推定条件として、速度中央値が設定速度以上であり、かつ、速度ばらつきの例えば3σが設定速度ばらつき以下であることが成立した場合に、高速走行状態にあると推定する。また、第3の推定条件の成立として、その他の場合を市街地走行状態及び高速走行状態のうち、予め設定した1の状態と推定する。
【0038】
また、モータ損失算出プログラムは、第2モータジェネレータ24の温度検出値と、走行推定手段56により推定された現在の車両走行状態とから、損失取得手段58により、第2モータジェネレータ24の損失を、記憶手段48に記憶された損失関係に基づいて取得する。すなわち、損失取得手段58は、第2モータジェネレータ24の温度検出値と、走行推定手段56により推定された現在の車両走行状態とから、第2モータジェネレータ24の損失を、記憶手段48に記憶された損失関係に基づいて取得する。このために、記憶手段48は、損失関係として、車両の走行状態及び第2モータジェネレータ24の温度と、第2モータジェネレータ24の損失との関係を表すモータ損失マップを記憶している。
【0039】
すなわち、本実施の形態では、車両の走行状態に応じて大きく異なる、第2モータジェネレータ24の温度に応じた損失を考慮して、第2モータジェネレータ24の発電目標値またはアシスト出力目標値を算出し、第2モータジェネレータ24の発電量を制御したり、またはアシストトルクを出力するように制御する。このようなモータ損失を考慮する理由は次の通りである。すなわち、モータの損失(逆に言えば効率)は、モータの温度に応じて変化することが分かっている。また、この場合、モータの温度と損失との関係は、車両の走行状態によっても異なる。
【0040】
具体的には、モータの損失である損失電力は、主に、モータ電流によって発生する銅損と、モータコアに発生する渦電流によって生じる鉄損との和で示される。また、車両の高速走行時には、速度ばらつきが少なく、かつ、高い速度でモータが回転するため、モータ損失のうち、モータの鉄損が支配的となる。この場合、モータの温度が高くなるのにしたがってモータ損失が低下することが分かっている。これに対して、車両の加減速が頻繁に繰り返される市街地走行時には、モータにおいて比較的低い速度で、トルクが高くなる場合が多くなり、モータ損失のうち、銅損が支配的になる。この場合、モータの温度が高くなるのにしたがって、モータ損失が増大することが分かっている。従来は、このような車両の走行状態に応じて変化するモータ温度とモータ損失との関係を考慮していなかった。このため、従来は、この損失を精度よく求めて、モータの発電量やアシストトルクを最適に制御する面から改良の余地があった。すなわち、従来は、最適な発電量目標値を算出して、十分な発電量をバッテリに充電させる面から改良の余地があった。走行時にバッテリの充電量が少なくなると、モータの必要なアシストトルクを有効に得られなくなり、ドライバビリティが低下する可能性がある。したがって、従来は、モータジェネレータの温度や車両の走行状態にかかわらず、燃費とドライバビリティとの向上を図る面から改良の余地があった。本実施の形態は、このような改良余地がある点を改良すべく発明したものである。
【0041】
すなわち、本実施の形態では、記憶手段48に、車両の走行状態及び第2モータジェネレータ24の温度と第2モータジェネレータ24の損失(以下、「モータ損失」という。)との関係である、損失関係を記憶させている。より具体的には、記憶手段に、損失関係として、少なくとも2種類のモータ損失マップである、「市街地走行損失マップ」と、「高速走行損失マップ」とを記憶させている。「市街地走行損失マップ」は、車両の市街地走行時における第2モータジェネレータ24の温度とモータ損失との関係を表すものである。また、「高速走行損失マップ」は、車両の高速走行時における第2モータジェネレータ24の温度とモータ損失との関係を表すものである。
【0042】
図3は、市街地走行時のモータ温度と損失との関係を表す実験結果の1例を示す図であり、図4は、高速走行時のモータ温度と損失との関係を表す実験結果の1例を示す図である。なお、以下の説明では、図1,2に示した要素と同一の要素には同一の符号を付して説明する。図3に示すように、市街地走行時には、第2モータジェネレータ24のトルク及び回転数は、頻繁に変化するので、モータ損失のうち、銅損が支配的となり、第2モータジェネレータ24の温度が高くなるのにしたがって、モータ損失が増大する。これに対して、図4に示すように、高速走行時には、第2モータジェネレータ24のトルクと回転数とは、ばらつきが小さくなるように保たれるので、モータ損失のうち、鉄損が支配的となり、第2モータジェネレータ24の温度が高くなるのにしたがって、モータ損失は低下する。本実施の形態では、このような実験結果等から得られた、走行状態に応じた、第2モータジェネレータ24の温度とモータ損失との関係を表すマップを用いてモータ損失を補正して、第2モータジェネレータ24の発電量またはアシスト出力量の目標値を補正する。
【0043】
すなわち、損失取得手段58は、走行推定手段56により推定された現在の車両走行状態に基づいて、記憶手段48に記憶された2種類のモータ損失マップのうち、読み出すマップを選択し、選択した1のモータ損失マップから、第2モータジェネレータ24の温度検出値に基づいて、モータ損失を取得する。例えば、推定された車両走行状態が変更されると、使用するモータ損失マップが切り換わる。
【0044】
また、発電制御プログラムは、発電制御手段60により、取得されたモータ損失を用いて第2モータジェネレータ24の発電量目標値を算出し、第2モータジェネレータ24の発電量を、発電量目標値となるように制御する。すなわち、発電制御手段60は、取得されたモータ損失を用いて第2モータジェネレータ24の発電量目標値を算出し、第2モータジェネレータ24の発電量を制御する。より具体的には、発電制御手段60は、エンジン20の燃費効率が最も高い最高効率点でのエンジン出力ROから、要求走行出力RPとモータ損失MLとの和を減算して、発電量目標値Gを算出し、第2モータジェネレータ24の発電量を、発電量目標値Gとなるように制御し、その発電電力をバッテリ34に充電する。上記の各プログラムは、起動スイッチがオンされるごとに順次起動させてもよく、また、予め設定された条件が成立するごとに起動させてもよい。
【0045】
また、トルクアシスト制御手段62は、それぞれ取得された要求走行出力RPとモータ損失MLとの和から、上記の最高効率点でのエンジン出力ROを減算して、アシスト出力目標値PAを算出し、第2モータジェネレータ24でアシスト出力目標値PAに対応するアシストトルク目標値TAを出力するように、第2モータジェネレータ24を制御する。
【0046】
次に、本実施の形態のハイブリッド車両の制御方法を、図5に示すフローチャートを用いて説明する。このフローチャートは、上記の各プログラムにより実行される。まず、ステップS10(以下、「ステップS」は、単に「S」として説明する。)において、車速信号、アクセル操作量信号、バッテリ充電量検出信号、及び第2モータジェネレータ24の検出温度信号であるモータ温度信号の入力を制御部28で受け付ける。例えば、温度センサ40により第2モータジェネレータ24の温度を検出するステップを行い、制御部28でその温度を表すモータ温度信号の入力を受け付ける。次いで、S12において、要求出力算出手段52により、車速信号が表す車速V及びアクセル操作量信号が表すアクセル操作量Amに基づいて、上記の要求出力マップを参照して要求走行出力RPを算出する。
【0047】
次いで、S14において、上記の車速信号が表す車速Vに基づいて、速度分布取得手段54及び走行推定手段56により、現在の車両の走行状態を推定するステップを行う。例えば、この場合、予め設定した時間内での速度分布から求められる速度中央値及び3σ等の速度ばらつきに基づいて、現在の走行状態が、市街地走行状態であるか、または高速走行状態であるかを推定する。
【0048】
次いで、S16において、上記のモータ温度信号が表す第2モータジェネレータ24の温度検出値と、S14で推定した走行状態とに基づいて、モータ損失MLを算出するステップを行う。すなわち、第2モータジェネレータ24の温度検出値と、記憶手段48で記憶されている、S14で推定した走行状態に対応するモータ損失マップとに基づいて、モータ損失MLを算出する。
【0049】
次いで、S18において、最高効率点でのエンジン出力ROが、上記の要求走行出力RP及びモータ損失MLの和よりも大きい(RO>RP+ML)か否かを判定する。S18での判定が肯定である場合、S20に移行し、バッテリ充電量信号が表すバッテリ充電量Eが、予め設定した第1の所定値E1未満である(E<E1)か否かを判定する。S20での判定が肯定である場合、バッテリ充電量が少ないと判定し、S22に移行する。
【0050】
S22では、発電制御手段60により、最高効率点でのエンジン出力ROから、要求走行出力RPとモータ損失MLとの和を減算して発電量目標値Gを算出する。すなわち、発電量目標値Gを次式により算出するステップを行う。
G=RO−(RP+ML) ・・・(1)
【0051】
なお、この発電量目標値Gを算出する際に、(1)式の右辺で、第2モータジェネレータ24でのモータ損失を除いた、エンジンから駆動軸16に至る駆動要素での機械損失DLも、減算量である(−DL)として加えてもよい。
【0052】
次いで、S24で、発電制御手段60は、発電量目標値Gが得られるよう第2モータジェネレータ24の発電量を、第2インバータ等により制御し、バッテリ34に充電するステップを行う。また、同時に、S18とS20との判定がいずれも肯定となることを第1の効率運転条件の成立として、エンジン制御手段50により、最高効率点近傍でエンジン出力ROが出力されるよう、エンジン20を駆動する最高効率運転制御を行う。
【0053】
これに対して、S20での判定が否定である場合、S26に移行し、第2モータジェネレータ24の発電及びエンジン20の最高効率運転制御を中止し、例えば、エンジン20の出力のみで要求走行出力、または要求走行出力に機械損失を加えた値が得られるようにし、S10に戻る。
【0054】
また、S18での判定が否定である場合、S28に移行し、バッテリ充電量Eが、予め設定した、第1の所定値E1を上回る第2の所定値E2を上回る(E>E2)か否かを判定する。S28での判定が肯定である場合には、バッテリ充電量が多いと判定し、S30に移行する。
【0055】
S30では、トルクアシスト制御手段62により、要求走行出力RPとモータ損失MLとの和から、最高効率点でのエンジン出力ROを減算して、アシスト出力目標値PAを算出する。すなわち、アシスト出力目標値PAを次式により算出するステップを行う。
PA=RP+ML−RO ・・・(2)
【0056】
なお、このアシスト出力目標値PAを算出する際に、(2)式の右辺で、第2モータジェネレータ24でのモータ損失を除いた、エンジンから駆動軸16に至る駆動要素での機械損失DLも、加算量である(+DL)として加えてもよい。
【0057】
次いで、S32で、トルクアシスト制御手段62は、第2モータジェネレータ24でアシスト出力目標値PAに対応するアシストトルク目標値TAが出力されるように、第2モータジェネレータ24を、第2インバータ38等により制御するトルクアシスト制御を行う。例えば、アシスト出力目標値PAと、第2モータジェネレータ24の回転角度検出値から得られる回転速度等とに基づいて、アシストトルク目標値TAを算出する。また、同時に、S18の判定が否定で、かつ、S28の判定が肯定となることを第2の効率運転条件の成立として、エンジン制御手段50により、最高効率点近傍でエンジン出力ROが出力されるよう、エンジン20を駆動する最高効率運転制御を行う。
【0058】
これに対して、S28での判定が否定である場合、S34に移行し、第2モータジェネレータ24のトルクアシスト制御及びエンジン20の最高効率運転制御を中止し、例えば、エンジン20の出力のみで要求走行出力、または要求走行出力に機械損失を加えた値が得られるようにし、S10に戻る。
【0059】
このような制御システム及び制御方法によれば、第2モータジェネレータ24の温度及び車両の走行状態の変化に対応する、モータ損失MLを精度よく求めることができる。このため、第2モータジェネレータ24の温度及び車両の走行状態の変化にかかわらず、モータ損失MLを精度よく求めて、その損失MLから発電量目標値Gを補正し、発電量を制御するので、発電量を最適化できる。この結果、第2モータジェネレータ24の温度及び車両の走行状態の変化にかかわらず、車両の燃費を向上できるとともに、第2モータジェネレータ24で必要なアシストトルクを有効に出力でき、ドライバビリティの向上を図れる。特に、本実施の形態は、低温環境下で、市街地走行損失マップを使用した場合にモータ損失MLを小さくできるので、より有効に発電量を最適化でき、有効である。
【0060】
しかも、第2モータジェネレータ24のトルクアシスト量を求める際も、第2モータジェネレータ24の温度及び車両の走行状態の変化に対応する、モータ損失MLを求めて、その損失MLからアシスト出力目標値PAを補正し、トルクアシスト量を制御しているので、さらなる燃費向上及びドライバビリティの向上を図れる。
【0061】
なお、本実施の形態では、損失取得手段58は、損失関係として、モータ損失マップを用いてモータ損失MLを取得するようにしている。ただし、記憶手段に、損失関係として、車両の走行状態で異なる、第2モータジェネレータ24の温度とモータ損失MLとの関係を表す関係式を記憶させ、この関係式から、車両の走行状態及び第2モータジェネレータ24の温度に基づいてモータ損失MLを算出、すなわち取得する構成を採用することもできる。
【0062】
また、上記の実施の形態では、発電制御手段により発電量を制御するモータジェネレータを、第2モータジェネレータとした場合を説明した。ただし、本発明は、このような構成に限定するものではなく、例えば、第2モータジェネレータの故障時に第1モータジェネレータに、第2モータジェネレータの機能を持たせようとする場合に、発電制御手段により発電量を制御するモータジェネレータを、第1モータジェネレータとすることもできる。
【符号の説明】
【0063】
10 ハイブリッド車両、12 制御システム、14 動力分割機構、16 駆動軸、18 車輪、20 エンジン、22 第1モータジェネレータ(MG1)、24 第2モータジェネレータ(MG2)、28 制御部、30 出力軸、32 減速機、34 バッテリ、36 第1インバータ、38 第2インバータ、40 温度センサ、42 アクセル操作量センサ、44 車速センサ、46 バッテリセンサ、48 記憶手段、50 エンジン制御手段、52 要求出力算出手段、54 速度分布取得手段、56 走行推定手段、58 損失取得手段、60 発電制御手段、62 トルクアシスト制御手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、
二次電池の電力により駆動されるモータジェネレータであって、エンジンにより駆動されることにより発電し、二次電池に発電電力を供給するモータジェネレータと、を備え、
エンジン及びモータジェネレータの少なくとも一方を駆動源として駆動するハイブリッド車両の発電量を制御する制御システムであって、
モータジェネレータの温度を検出する温度検出手段と、
現在の車両の走行状態を推定する走行推定手段と、
車両の走行状態及びモータジェネレータの温度とモータジェネレータの損失との損失関係を記憶する記憶手段と、
モータジェネレータの温度検出値と、推定された現在の車両走行状態とから、記憶手段で記憶された損失関係に基づいて、モータジェネレータの損失を取得する損失取得手段と、
取得されたモータジェネレータの損失を用いてモータジェネレータの発電量目標値を算出し、モータジェネレータの発電量を制御する発電制御手段とを備えるハイブリッド車両の制御システム。
【請求項2】
請求項1に記載のハイブリッド車両の制御システムにおいて、
記憶手段は、損失関係として、車両の走行状態及びモータジェネレータの温度とモータジェネレータの損失との関係を表すマップを記憶することを特徴とするハイブリッド車両の制御システム。
【請求項3】
請求項2に記載のハイブリッド車両の制御システムにおいて、
記憶手段は、車両の走行状態が異なる、市街地走行損失マップと、高速走行損失マップとを記憶し、
市街地走行損失マップは、車両の市街地走行時におけるモータジェネレータの温度及び損失の関係を表し、
高速走行損失マップは、車両の高速走行時におけるモータジェネレータの温度及び損失の関係を表し、
損失取得手段は、推定された現在の車両走行状態に基づいて、記憶手段から読み出すマップを選択し、選択されたマップと、モータジェネレータの温度検出値とから、モータジェネレータの損失を取得することを特徴とするハイブリッド車両の制御システム。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1に記載のハイブリッド車両の制御システムにおいて、
車両の速度を検出する速度検出手段と、
予め設定された所定時間における車両の速度分布を取得し、速度分布での車両の速度中央値及び速度ばらつきの関係値を取得する速度分布取得手段とを備え、
走行推定手段は、取得された車両の速度中央値及び速度ばらつきの関係値から、予め設定された推定条件に基づいて、現在の車両走行状態が、市街地走行状態と高速走行状態とのいずれにあるかを推定することを特徴とするハイブリッド車両の制御システム。
【請求項5】
請求項1に記載のハイブリッド車両の制御システムにおいて、
車両の加速指示量を検出する加速指示量検出手段と、
車両の速度を検出する速度検出手段と、
車両の加速指示量及び車両の速度に基づいて要求走行出力を算出し、要求走行出力を算出する要求出力算出手段と、
予め設定された効率運転条件成立時に、エンジンを燃費効率が最も高い状態である最高効率点近傍で駆動するエンジン制御手段とを備え、
発電制御手段は、最高効率点でのエンジン出力から要求走行出力とモータジェネレータの損失との和を減算して発電量目標値を算出することを特徴とするハイブリッド車両の制御システム。
【請求項6】
エンジンと、
二次電池の電力により駆動されるモータジェネレータであって、エンジンにより駆動されることにより発電し、二次電池に発電電力を供給するモータジェネレータと、を備え、
エンジン及びモータジェネレータの少なくとも一方を主駆動源として駆動するハイブリッド車両の発電量を制御する制御方法であって、
モータジェネレータの温度を検出するステップと、
現在の車両の走行状態を推定するステップと、
記憶手段で記憶された車両の走行状態及びモータジェネレータの温度とモータジェネレータの損失との損失関係に基づいて、モータジェネレータの温度検出値と、推定された現在の車両走行状態とから、モータジェネレータの損失を取得するステップと、
取得されたモータジェネレータの損失を用いてモータジェネレータの発電量目標値を算出し、モータジェネレータの発電量を制御するステップとを備えるハイブリッド車両の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−235802(P2011−235802A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−110028(P2010−110028)
【出願日】平成22年5月12日(2010.5.12)
【出願人】(000004695)株式会社日本自動車部品総合研究所 (1,981)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】