説明

ハイブリッド車両用駆動装置

【課題】内燃機関とモータとを併用する車両加速中に、2つの変速機構のうちモータのロータが入力軸に係合する変速機構において、より高速側の変速段に変速する変速動作を行うことが可能なハイブリッド車両用駆動装置を提供する。
【解決手段】ハイブリッド車両1の駆動装置10は、第1及び第2クラッチ21,22の係合/解放状態と、第1及び第2変速機構30,40における変速動作と、モータ50がロータ52から出力するモータ出力トルクを制御可能な制御手段としてECU100を有している。ECU100は、原動機として内燃機関5とモータ50とを併用する車両加速中において、第1変速機構30の変速段を、より高速側の変速段に変速する場合、第2クラッチ22を係合状態にしている間に、モータ出力トルクをゼロにして第1変速機構30の変速動作を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原動機として内燃機関とモータを備えたハイブリッド車両に用いられ、内燃機関の機関出力軸及びモータのロータからの機械的動力を、変速機構により変速して、駆動輪と係合する駆動軸に向けて出力可能なハイブリッド車両用駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用の変速機においては、近年、変速時における機械的動力の伝達の途切れをなくすために、第1群の変速段で構成される第1変速機構と、第1群以外の変速段で構成される第2変速機構との2つの変速機構を備え、さらに、第1変速機構の入力軸(以下、第1入力軸と記す)と内燃機関の出力軸(以下、機関出力軸と記す)とを係合可能な第1クラッチと、第2変速機構の入力軸(以下、第2入力軸と記す)と機関出力軸とを係合可能な第2クラッチとを備え、これら2つのクラッチを交互につなぎ替えることで変速を行う、いわゆるデュアルクラッチ式変速機を用いたものが知られている。
【0003】
また、車両用の駆動装置には、変速機構として上述のデュアルクラッチ式変速機を、原動機としてモータを備え、当該モータのロータが第1変速機構の第1入力軸に係合し、モータのロータから出力される機械的動力を、第1変速機構により変速して、駆動輪に係合する第1出力軸に伝達可能なものが提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0004】
また、下記の特許文献2には、原動機として内燃機関(エンジン)とモータジェネレータ(以下、単に「モータ」と記す)とを備え、変速機構としてデュアルクラッチ式の変速機が設けられたハイブリッド車両の駆動装置が開示されている。特許文献2には、モータによるトルクアシスト、すなわち原動機として内燃機関とモータとを併用して車両走行を行うことに加えて、2つのクラッチをつなぎ替える際に、モータが出力するトルクを調整することが記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開2002−89594号公報
【特許文献2】特開2005−147312号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のようなハイブリッド車両にあっては、原動機として内燃機関とモータとを併用して車両を加速させる車両加速中において、2つの変速機構のうち、モータのロータが第1入力軸に係合する第1変速機構において、より高速側の変速段に変速することが求められている。高速側の変速段に変速することで、モータのモータ回転速度(以下、単に「モータ回転速度」と記す)を、モータから効率よく機械的動力を出力可能な回転速度に変化させることができる。
【0007】
しかし、上述のようなハイブリッド車両においては、モータを力行させながら、モータのロータが入力軸に係合する第1変速機構において、より高速側の変速段に変速する変速動作を行うことはできない。第1変速機構において変速動作を行うためには、当該変速機構の入力軸と出力軸との間においてトルクが作用しない状態を作り出す必要がある。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、内燃機関とモータとを併用する車両加速中に、2つの変速機構のうちモータのロータが入力軸に係合する変速機構において、より高速側の変速段に変速する変速動作を行うことが可能なハイブリッド車両用駆動装置の制御技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明に係るハイブリッド車両用駆動装置は、原動機として内燃機関とモータとを備えたハイブリッド車両に用いられ、内燃機関の機関出力軸及びモータのロータから出力される機械的動力を変速機構により変速して、駆動輪と係合する駆動軸に伝達可能なハイブリッド車両用駆動装置であって、機関出力軸及びロータからの機械的動力を、当該ロータと係合する第1入力軸で受け、複数の変速段のうちいずれか1つにより変速して、駆動軸に向けて出力可能な第1変速機構と、機関出力軸からの機械的動力を第2入力軸で受け、複数の変速段のうちいずれか1つにより変速して、駆動軸に向けて出力可能な第2変速機構と、機関出力軸と第1入力軸とを係合可能な第1クラッチと、機関出力軸と第2入力軸とを係合可能な第2クラッチと、第2クラッチの係合/解放状態と、第1変速機構における変速動作と、モータがロータから出力するトルクであるモータ出力トルクとを制御可能な制御手段と、を有し、制御手段は、原動機として内燃機関とモータとを併用する車両加速中において、第1変速機構の変速段を、より高速側の変速段に変速する場合、第2クラッチを係合状態にしている間に、モータ出力トルクをゼロにして第1変速機構の変速動作を行うことを特徴とする。
【0010】
本発明に係るハイブリッド車両用駆動装置において、制御手段は、モータの力行を停止すると共に第1変速機構の変速動作を開始して、第1変速機構の変速動作が完了すると共にモータの力行を再開するものとすることができる。
【0011】
本発明に係るハイブリッド車両用駆動装置において、制御手段は、第1変速機構の変速動作を行う際に、モータ出力トルクを現在値からゼロまで徐変させるものとすることができる。
【0012】
本発明に係るハイブリッド車両用駆動装置において、制御手段は、第1変速機構において選択されている変速段が、第2変速機構において選択されている変速段よりも低速側の変速段である場合に、モータ出力トルクをゼロにして第1変速機構において変速動作を行うものとすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、制御手段は、原動機として内燃機関とモータとを併用する車両加速中において、第1変速機構の変速段を、より高速側の変速段に変速する場合、第2クラッチを係合状態にして、機関出力軸からの機械的動力を、第2変速機構を介して車両推進軸に伝達させているときに、モータ出力トルクをゼロにして第1変速機構の変速動作を行うものとしたので、車両加速中において、上昇したモータ回転速度を低下させて、モータから効率よく機械的動力を発生させて車両を加速させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【実施例1】
【0015】
まず、本実施例に係るハイブリッド車両及び駆動装置の構成について、図1〜図3を用いて説明する。図1は、ハイブリッド車両の概略構成を示す模式図である。図2は、駆動装置に設けられたデュアルクラッチ機構の構造を示す模式図である。図3は、変形例のデュアルクラッチ機構の構造を示す模式図である。
【0016】
ハイブリッド車両1は、駆動輪88を回転駆動するための原動機として、内燃機関5とモータ50とを備えている。モータ50は、内燃機関5からの機械的動力を変速して車両推進軸66に伝達する駆動装置10に含まれている。内燃機関5は、モータ50を備えた駆動装置10と共に結合されて、ハイブリッド車両1に搭載される。ハイブリッド車両1には、これを構成する原動機や変速機構を制御する制御手段として、ハイブリッド車両用電子制御装置100(以下、ECUと記す)が設けられている。
【0017】
内燃機関5は、図示しない燃料噴射装置、点火装置、及びスロットル弁装置を備えている。これら装置は、ECU100により制御される。内燃機関5が発生した機械的動力は、出力軸(クランク軸)8から出力される。内燃機関5の出力軸8(以下、機関出力軸と記す)には、後述する駆動装置10のデュアルクラッチ機構20の入力側、例えば、クラッチハウジング14a(図2参照)が結合される。ECU100は、内燃機関5の機関出力軸8から出力する機械的動力を調整することが可能となっている。
【0018】
また、ハイブリッド車両1には、原動機としての内燃機関5及びモータ50からの機械的動力を駆動輪88に伝達する動力伝達装置として、機関出力軸8及びモータ50からの機械的動力を変速してトルクを変化させて駆動軸80に伝達可能な駆動装置10が設けられている。
【0019】
駆動装置10は、第1クラッチ21及び第2クラッチ22のいずれかを用いて内燃機関5からの機械的動力を後述する変速機構に伝達するデュアルクラッチ機構20と、内燃機関5から第1クラッチ21を介して伝達される機械的動力を、第1入力軸27で受けて、第1群の変速段のうちいずれか1つにより変速して、第1出力軸37から車両推進軸66に伝達可能な第1変速機構30と、内燃機関5から第2クラッチ22を介して伝達される機械的動力を、第2入力軸28で受けて、第2群の変速段のうちいずれか1つにより変速して、第2出力軸48から車両推進軸66に伝達可能な第2変速機構40と、車両推進軸66に伝達された機械的動力を、減速すると共に駆動輪88に係合する左右の駆動軸80に分配する終減速装置70とを有している。
【0020】
第1変速機構30及び第2変速機構40は、前進に第1速ギヤ段31から第5速ギヤ段35までの5つの変速段を有しており、後進に1つの変速段(後進ギヤ段)49を有している。前進の変速段である第1速〜第5速ギヤ段31〜44の減速比は、第1速ギヤ段31、第2速ギヤ段42、第3速ギヤ段33、第4速ギヤ段44、第5速ギヤ段35の順に小さくなるよう設定されている。
【0021】
第1変速機構30は、複数の歯車対を備えた平行軸歯車装置として構成されており、第1群の変速段は、奇数段、すなわち第1速ギヤ段31と、第3速ギヤ段33と、第5速ギヤ段35により構成されている。第1変速機構30の前進の変速段31,33,35のうち、第5速ギヤ段35が最も高速側の変速段となっている。第1変速機構30の入力軸(以下、第1入力軸と記す)には、後述するモータ50のロータ52が結合されている。
【0022】
第1速ギヤ段31は、第1入力軸27に結合されている第1速メインギヤ31aと、第1出力軸37を中心に回転可能に設けられ、第1速メインギヤ31aと噛み合う第1速カウンタギヤ31cと、第1速カウンタギヤ31cと第1出力軸37とを係合させることが可能な第1速カップリング機構31eを有している。
【0023】
ECU100が第1速ギヤ段31を選択する、即ち第1速カップリング機構31eを係合状態にして、第1速カウンタギヤ31cと第1出力軸37を係合させることで、第1入力軸27からの機械的動力は、第1速メインギヤ31a及び第1速カウンタギヤ31cを介して第1出力軸37に伝達される。これにより、第1変速機構30は、第1入力軸27から受けた機械的動力を、第1速ギヤ段31により変速し、トルクを変化させて第1出力軸37に伝達することが可能となっている。
【0024】
第3速ギヤ段33は、第1速ギヤ段31と同様に、第1入力軸27に結合されている第3速メインギヤ33aと、第1出力軸37を中心に回転可能に設けられ、第3速メインギヤ33aと噛み合う第3速カウンタギヤ33cと、第3速カウンタギヤ33cと第1出力軸37とを係合可能な第3速カップリング機構33eを有している。
【0025】
ECU100が第3速ギヤ段33を選択する、即ち第3速カップリング機構33eを係合状態にして、第3速カウンタギヤ33cと第1出力軸37を係合させることで、第1変速機構30は、第1入力軸27から受けた機械的動力を、第3速ギヤ段33により変速し、トルクを変化させて、第1出力軸37に伝達することが可能となっている。
【0026】
また、第5速ギヤ段35は、第1入力軸27に結合されている第5速メインギヤ35aと、第1出力軸37を中心に回転可能に設けられ、第5速メインギヤ35aと噛み合う第5速カウンタギヤ35cと、第5速カウンタギヤ35cと第1出力軸37とを係合可能な第5速カップリング機構35eを有している。
【0027】
ECU100が第5速ギヤ段35を選択する、即ち第5速カップリング機構35eを係合状態にして、第5速カウンタギヤ35cと第1出力軸37とを係合させることで、第1変速機構30は、第1入力軸27から受けた機械的動力を、第5速ギヤ段35により変速し、トルクを変化させて、第1出力軸37に伝達することが可能となっている。
【0028】
第1変速機構30の第1出力軸37には、第1駆動ギヤ37cが結合されており、当該第1駆動ギヤ37cは、動力統合ギヤ58と噛み合っている。動力統合ギヤ58には、車両推進軸66が結合されている。車両推進軸66は、後述する終減速装置70を介して、駆動軸80及び駆動輪88と係合している。つまり、第1変速機構30の第1出力軸37と駆動輪88は、係合している。
【0029】
第1変速機構30の各変速段31,33,35にそれぞれ対応して設けられた各カップリング機構31e,33e,35eの係合状態と非係合状態(解放状態)との切替え、すなわち第1変速機構30において選択される変速段は、図示しないアクチュエータを介してECU100により制御される。
【0030】
一方、第2変速機構40は、第1変速機構30と同様に、複数の歯車対を備えた平行軸歯車装置として構成されており、第2群の変速段は、偶数段、すなわち第2速ギヤ段42と、第4速ギヤ段44に加えて、後進ギヤ段49で構成されている。
【0031】
第2速ギヤ段42は、第2入力軸28に結合されている第2速メインギヤ42aと、第2出力軸48を中心に回転可能に設けられ、第2速メインギヤ42aと噛み合う第2速カウンタギヤ42cと、第2速カウンタギヤ42cと第2出力軸48とを係合可能な第2速カップリング機構42eを有している。
【0032】
ECU100が第2速ギヤ段42を選択する、即ち第2速カップリング機構42eを係合状態にして、第2速カウンタギヤ42cと第2出力軸48とを係合させることで、第2入力軸28からの機械的動力は、第2速メインギヤ42a及び第2速カウンタギヤ42cを介して第2出力軸48に伝達される。これにより、第2変速機構40は、第2入力軸28から受けた機械的動力を、第2速ギヤ段42により変速し、トルクを変化させて、第2出力軸48に伝達させることが可能となっている。
【0033】
第4速ギヤ段44は、第2入力軸28に結合されている第4速メインギヤ44aと、第2出力軸48を中心に回転可能に設けられ、第4速メインギヤ44aと噛み合う第4速カウンタギヤ44cと、第4速カウンタギヤ44cと第2出力軸48とを係合可能な第4速カップリング機構44eを有している。
【0034】
ECU100が第4速ギヤ段44を選択する、即ち第4速カップリング機構44eを係合状態にして、第4速カウンタギヤ44cと第2出力軸48とを係合させることで、第2変速機構40は、第2入力軸28から受けた機械的動力を、第4速ギヤ段44により変速し、トルクを変化させて、第2出力軸48に伝達することが可能となっている。
【0035】
また、後進ギヤ段49は、第2入力軸28に結合されている後進メインギヤ49aと、後進メインギヤ49aと噛み合う後進中間ギヤ49bと、後進中間ギヤ49bと噛み合い、第2出力軸48を中心に回転可能に設けられた後進カウンタギヤ49cと、後進カウンタギヤ49cと第2出力軸48とを係合可能な後進カップリング機構49eを有している。
【0036】
ECU100が後進ギヤ段49を選択する、即ち後進カップリング機構49eを係合状態にして、後進カウンタギヤ49cと第2出力軸48とを係合させることで、第2変速機構40は、第2入力軸28から受けた機械的動力を、後進ギヤ段49により、回転方向を逆方向に変えると共に変速し、トルクを変化させて第2出力軸48に伝達することが可能となっている。
【0037】
第2変速機構40の第2出力軸48には、第2駆動ギヤ48cが結合されており、当該第2駆動ギヤ48cは、車両推進軸66に結合された動力統合ギヤ58と噛み合っている。車両推進軸66は、上述のように、終減速装置70を介して駆動輪88と係合している。つまり、第2変速機構40の第2出力軸48と駆動輪88は、係合している。
【0038】
第2変速機構40の各変速段42,44,49に対応して設けられた各カップリング機構42e,44e,49eの係合状態と非係合状態(解放状態)との切替え、すなわち第2変速機構40において選択される変速段は、図示しないアクチュエータを介してECU100により制御される。
【0039】
また、ハイブリッド車両1の駆動装置10には、内燃機関5の機関出力軸8からの機械的動力を、第1変速機構30及び第2変速機構40のうちいずれか一方に伝達させる動力伝達手段として、デュアルクラッチ機構20が設けられている。デュアルクラッチ機構20は、機関出力軸8と第1変速機構30の第1入力軸27とを係合させることが可能な第1クラッチ21と、機関出力軸8と第2変速機構40の第2入力軸28とを係合させることが可能な第2クラッチ22とを有している。
【0040】
第1クラッチ21は、円板状の摩擦板を有し、摩擦板の摩擦力により機械的動力を伝達する摩擦式ディスククラッチ等で構成されている。第1クラッチ21は、内燃機関5の機関出力軸8と第1変速機構30の第1入力軸27とを係合させることが可能に構成されている。第1クラッチ21を係合状態にすることで、機関出力軸8と第1入力軸27が係合して一体に回転することが可能となる。
【0041】
第2クラッチ22は、第1クラッチ21と同様に、摩擦式ディスククラッチ等で構成されており、内燃機関5の機関出力軸8と第2変速機構40の第2入力軸28とを係合させることが可能に構成されている。第2クラッチ22を係合状態にすることで、機関出力軸8と第2入力軸28が係合して一体に回転することが可能となる。なお、第1クラッチ21及び第2クラッチ22には、湿式多板クラッチや、乾式単板クラッチを用いることができる。
【0042】
第1クラッチ21及び第2クラッチ22の係合状態と非係合状態(解放状態)との切替えは、図示しないアクチュエータを介してECU100により制御される。ECU100は、デュアルクラッチ機構20において、第1クラッチ21又は第2クラッチ22のうちいずれか一方を係合状態にして、他方を解放状態にすることで、内燃機関5からの機械的動力を、第1変速機構30及び第2変速機構40のうちいずれか一方を介して車両推進軸66に伝達させることが可能となっている。
【0043】
ここで、第1クラッチ21及び第2クラッチ22から構成されるデュアルクラッチ機構20の詳細な構造について図2を用いて説明する。図2に示すように、デュアルクラッチ機構20において、機関出力軸8には、デュアルクラッチ機構20のクラッチハウジング14aが結合されている。すなわち、クラッチハウジング14aは、機関出力軸8と一体に回転する。クラッチハウジング14aは、後述する摩擦板27a,28aを収容可能に構成されている。これに対して、第1変速機構30の第1入力軸27と、第2変速機構40の第2入力軸28は、同軸に配置されており、2重軸構造となっている。具体的には、第1入力軸27は、中空シャフトとして構成されており、第1入力軸27内には、第2入力軸28が延びている。内側の軸である第2入力軸28は、外側の軸である第1入力軸27に比べて長く構成されている。機関出力軸8側から車両推進軸66側に向かうに従って、まず、第1変速機構30の各変速段のメインギヤ31a,33a,35aが配設されており、次に、第2変速機構40の各変速段のメインギヤ42a,44a,49aが配設されている。
【0044】
第1入力軸27の端には、円板状の摩擦板27aが結合されており、一方、第2入力軸28の端にも、同様に、摩擦板28aが結合されている。これら摩擦板27a,28aは、上述のクラッチハウジング14a内に収容されている。第1クラッチ21は、摩擦板27aと対向して設けられた摩擦相手板(図示せず)と、摩擦相手板を駆動するアクチュエータ(図示せず)とを有している。摩擦相手板が摩擦板27aをクラッチハウジング14aに押し付けることで、第1クラッチ21は、機関出力軸8と、第1変速機構30の第1入力軸27とを係合することが可能となっている。
【0045】
これと同様に、第2クラッチ22は、摩擦板28aに対向して設けられた摩擦相手板(図示せず)が、摩擦板28aをクラッチハウジング14aに押し付けることで、機関出力軸8と、第2変速機構40の第2入力軸28とを係合することが可能となっている。デュアルクラッチ機構20における、第1及び第2クラッチ21,22にそれぞれ対応して設けられた摩擦相手板の駆動は、ECU100により制御されることとなる。
【0046】
また、本実施例に係る変形例のデュアルクラッチ機構20においては、図3に示すように、機関出力軸8の端に、駆動ギヤ14cが結合されている。駆動ギヤ14cには、第1ギヤ16と、第2ギヤ18が噛み合っており、第1ギヤ16は、第1クラッチ21に結合されており、第2ギヤ18は、第2クラッチ22に結合されている。第1クラッチ21は、第1変速機構30の第1入力軸27と、機関出力軸8に係合する第1ギヤ16とを係合可能に構成されている。一方、第2クラッチ22は、第2変速機構40の第2入力軸28と、機関出力軸8に係合する第2ギヤ18とを係合可能に構成されている。
【0047】
第1及び第2クラッチ21,22は、それぞれ摩擦式クラッチ等の任意のクラッチで構成することができる。第1クラッチ21及び第2クラッチ22において交互に係合状態と解放状態を切替ることで、機関出力軸8から出力される内燃機関5の機械的動力は、駆動ギヤ14cから、第1変速機構30の第1入力軸27、又は第2変速機構40の第2入力軸28のいずれかに伝達されることとなる。
【0048】
また、ハイブリッド車両1の駆動装置10には、原動機としてモータ50が設けられている。モータ50は、供給された電力を機械的動力に変換して出力する電動機としての機能と、入力された機械的動力を電力に変換して回収する発電機としての機能とを兼ね備えた回転電機、いわゆる「モータジェネレータ」である。モータ50は、永久磁石式交流同期電動機で構成されており、後述するインバータ110から三相の交流電力の供給を受けて回転磁界を形成するステータ54と、回転磁界に引き付けられて回転するロータ52とを有している。モータ50には、ロータ52の回転角位置を検出するレゾルバ(図示せず)が設けられており、ロータ52の回転角位置に係る信号をECU100に送出している。
【0049】
モータ50のロータ52は、第1変速機構30の第1入力軸27に結合されており、モータ50がロータ52から出力するトルク(以下、出力トルクと記す)は、第2変速機構40の第2入力軸28に伝達される。つまり、モータ50のロータ52と第1変速機構30の第1入力軸27は係合している。また、モータ50は、第1出力軸37からロータ52に伝達された機械的動力(トルク)を交流電力に変換して二次電池120に回収することも可能となっている。
【0050】
なお、以下の説明において、モータ50を電動機として機能させて、モータ50のロータ52から機械的動力を出力することを「力行」と記す。加えて、モータ50がロータ52から出力するトルクを「モータ出力トルク」と記す。つまり、モータ50がロータ52から出力する機械的動力[kW]は、モータ50のロータ52の回転速度(以下、モータ回転速度と記す)にモータ出力トルクを乗じた値となる。
【0051】
また、ハイブリッド車両1には、モータ50に交流電力を供給する電力供給装置として、インバータ110が設けられている。インバータ110は、二次電池120から供給される直流電力を交流電力に変換してモータ50に供給することが可能に構成されている。また、インバータ110は、モータ50からの交流電力を直流電力に変換して二次電池120に回収することも可能に構成されている。このようなインバータ110からモータ50への電力供給、及びモータ50からの電力回収は、ECU100により制御される。
【0052】
また、駆動装置10には、原動機から車両推進軸66に伝達された機械的動力を、減速すると共に、駆動輪88に係合する左右の駆動軸80に分配する終減速装置70が設けられている。終減速装置70は、車両推進軸66に結合された駆動ピニオン68と、駆動ピニオン68とリングギヤ72が直交して噛み合う差動機構74とを有している。終減速装置70は、原動機すなわち内燃機関5及びモータ50のうち少なくとも一方から車両推進軸66に伝達された機械的動力を、駆動ピニオン68及びリングギヤ72により減速し、差動機構74により左右の駆動軸80に分配して、駆動軸80に結合されている駆動輪88を回転駆動することが可能となっている。
【0053】
また、ハイブリッド車両1には、内燃機関5及びモータ50と、第1及び第2変速機構30,40における変速動作と、第1及び第2クラッチ21,22と、摩擦ブレーキ90とを協調して制御する制御手段として、ECU100が設けられている。ECU100は、機関出力軸8の回転角位置(以下、クランク角と記す)に係る信号と、二次電池120の蓄電状態(SOC)に係る信号と、モータ50のロータ52の回転角位置に係る信号等を検出している。また、ECU100は、第1変速機構30及び第2変速機構40において選択されている変速段、すなわちカップリング機構31e〜49eの係合/解放状態と、第1及び第2クラッチ21,22の係合/解放状態とを検出している。また、ECU100は、運転者により操作される、アクセルペダル(図示せず)の操作量に係る信号を検出している。
【0054】
これら信号に基づいて、ECU100は、各種制御変数を算出している。制御変数には、内燃機関5の機関出力軸8の回転速度(以下、機関回転速度と記す)と、内燃機関5が機関出力軸8から出力するトルク(以下、機関出力トルクと記す)と、モータ回転速度と、モータ出力トルクと、ハイブリッド車両1の走行速度(以下、車速と記す)と、二次電池120の蓄電状態等が含まれている。また、制御変数には、内燃機関5が機関出力軸8から出力する機械的動力[kW](以下、機関出力動力と記す)と、モータ50がロータ52から出力する機械的動力[kW](以下、モータ出力動力と記す)が含まれている。
【0055】
これら制御変数に基づいて、ECU100は、第1及び第2変速機構30,40における変速動作、すなわち各カップリング機構31e〜49eの係合/解放状態の切替えと、第1クラッチ21及び第2クラッチ22の係合/解放状態の切替えを制御することが可能となっている。また、ECU100は、モータ出力トルク及びモータ回転速度と、内燃機関5の機関出力トルク及び機関回転速度とを制御することが可能となっている。
【0056】
以上のように構成されたハイブリッド車両1において、ECU100が、第1変速機構30の第1群の変速段31,33,35のうちいずれか1つの変速段を選択して対応するカップリング機構を係合状態にして、さらに第1クラッチ21を係合状態にすると共に第2クラッチ22を解放状態することで、機関出力軸8は、第1入力軸27、第1出力軸37、動力統合ギヤ58、車両推進軸66、終減速装置70を介して駆動軸80と係合する。これにより、第1変速機構30は、内燃機関5の機関出力軸8及びモータ50のロータ52から出力された機械的動力を、第1入力軸27で受けて、各変速段(奇数段)31,33,35のうちいずれか1つにより変速しトルクを変化させて、駆動輪88に係合する駆動軸80に向けて出力することが可能となっている。
【0057】
この場合、駆動輪88の回転は、動力統合ギヤ58を介して第2変速機構40の第2出力軸48に伝達される。ECU100が第2変速機構40の第2群の変速段42,44,49のうちいずれか1つの変速段を選択して、対応するカップリング機構42e,44e,49eを係合状態にしているとき、動力統合ギヤ58から第2出力軸48に伝達された機械的動力は、第2変速機構40の各変速段(偶数段及び後進段)42,44,49のうちいずれか1つにより変速され、第2入力軸28に伝達されて、当該第2入力軸27を回転させることとなる。
【0058】
一方、ECU100が、第2変速機構40の第2群の変速段42,44,49のうちいずれか1つの変速段を選択して、対応するカップリング機構42e,44e,49eを係合状態にして、さらに第2クラッチ22を係合状態にすると共に第1クラッチ21を解放状態にすることで、機関出力軸8は、第2入力軸28、第2出力軸48、動力統合ギヤ58、車両推進軸66、終減速装置70を介して駆動軸80と係合する。これにより、第2変速機構40は、内燃機関5から出力された機械的動力を、第2入力軸28で受けて、各変速段(偶数段及び後進段)42,44,49のうちいずれか1つの変速段により変速して、駆動輪88に係合する駆動軸80に向けて出力することが可能となる。
【0059】
この場合、駆動輪88の回転は、動力統合ギヤ58を介して第1変速機構30の第1出力軸37に伝達される。ECU100が第1変速機構30の第1群の変速段31,33,35のうちいずれか1つの変速段を選択して、対応するカップリング機構31e,33e,35eを係合状態にしているとき、動力統合ギヤ58から第1出力軸37に伝達された機械的動力は、第1変速機構30の各変速段(奇数段)31,33,35のうちいずれか1つにより変速されて、モータ50のロータ52が係合する第1入力軸27に伝達されて、当該第1入力軸27を回転させることとなる。
【0060】
以上のように構成されたハイブリッド車両1は、第1クラッチ21及び第2クラッチ22を交互につなぎ替えることで、変速時において、機関出力軸8と車両推進軸66との間における動力伝達の途切れを抑制することが可能となっており、以下に説明する。
【0061】
まず、ECU100が第1及び第2変速機構30,40の変速段31〜44のうちいずれか1つの変速段を選択する。例えば、選択した変速段が第1変速機構30の第1群(奇数段)の変速段31,33,35のうち第1速ギヤ段31である場合、ECU100は、第1速ギヤ段31に対応する第1速カップリング機構31eを係合状態にすると共にカップリング機構33e,35eを解放状態にする。これと共に、ECU100は、第1クラッチ21を係合状態にすると共に第2クラッチ22を解放状態にする。これにより、駆動装置10は、内燃機関5からの機械的動力を、第1入力軸27で受け、第1群(奇数段)の変速段31,33,35のうち選択した変速段である第1速ギヤ段31により変速し、第1出力軸37から駆動軸80に伝達して、駆動輪88を回転駆動することができる。
【0062】
このとき、ECU100は、第2変速機構40の第2群(偶数段)の変速段42,44のうち、第1変速機構30において選択している第1速ギヤ段31より一段高速(ハイギヤ)側の変速段である第2速ギヤ段42に対応する第2速カップリング機構42eを係合状態にすることで、第2変速機構40の第2入力軸28を空転させて、次の第2速ギヤ段42への変速(アップシフト)時における第2クラッチ22の係合動作に備えている。
【0063】
そして、第2変速機構40の第2群(偶数段)の変速段である第2速ギヤ段42への変速(アップシフト)が選択されると、ECU100が、第1クラッチ21を解放状態にしながら第2クラッチ22を係合状態にすることで、駆動装置10は、第1クラッチ21と第2クラッチ22とを掴み替える動作、いわゆる「クラッチ・トゥ・クラッチ」を行う。この動作により、駆動装置10は、機関出力軸8からの動力伝達経路を、徐々に第1変速機構30の第1入力軸27から第2変速機構40の第2入力軸28に移していき、第2速ギヤ段42への変速が完了することとなる。
【0064】
このようにして、駆動装置10は、奇数段である第1速ギヤ段31から、偶数段である第2速ギヤ段42への変速時において、機関出力軸8から駆動軸80への動力伝達に途切れを生じさせることなく変速することができる。
【0065】
また、ハイブリッド車両1は、原動機として内燃機関5とモータ50とを併用又は選択使用することで、様々な車両走行(走行モード)を実現することができる。例えば、原動機として内燃機関5のみを選択使用する「エンジン走行」、原動機として内燃機関5及びモータ50を併用する「HV走行」、原動機としてモータ50のみを選択使用する「モータ走行」等がある。
【0066】
これら車両走行は、運転者が要求する車両駆動力や、モータ50に供給する電力を貯蔵する二次電池120の蓄電状態に応じて、ECU100により、逐次、自動的に切替えられる。以下に、各走行モードにおけるECU100の制御と、内燃機関5、第1クラッチ21及び第2クラッチ22、第1変速機構30及び第2変速機構40、及びモータ50の動作を併せて説明する。
【0067】
ECU100が、第1クラッチ21を係合状態にすると共に第2クラッチ22を解放状態にすることで、駆動装置10は、内燃機関5の機関出力軸8からの機械的動力を、第1入力軸27で受け、第1変速機構30の変速段31,33,35のいずれか1つにより変速し、第1出力軸37から動力統合ギヤ58を介して駆動軸80に伝達し、駆動輪88を回転駆動することができる。このようにして、ハイブリッド車両1は、原動機として内燃機関5のみを選択使用する「エンジン走行」を実現することができる。
【0068】
この場合、駆動輪88及び駆動軸80には、動力統合ギヤ58を介して第2出力軸48が係合しているため、第2変速機構40のカップリング機構42e,44eのいずれか1つが係合状態にある場合、第2入力軸28は、ハイブリッド車両1の走行速度(以下、車速と記す)に応じて回転することとなる。
【0069】
このとき、ECU100がモータ50を力行させて、ロータ52から第1入力軸27に出力トルクを伝達することで、駆動装置10は、内燃機関5の機関出力軸8からの機械的動力とモータ50のロータ52からの機械的動力とを、第1入力軸27で統合し、第1変速機構30により変速して、動力統合ギヤ58を介して駆動軸80に伝達することができる。このようにして、ハイブリッド車両1は、第1クラッチを係合状態にした場合に、原動機として内燃機関5とモータ50とを併用する「HV走行」を実現することができる。
【0070】
一方、ECU100が第1クラッチ21を解放状態にすると共に第2クラッチ22を係合状態にすることで、駆動装置10は、機関出力軸8からの機械的動力を、第2入力軸28で受け、第2変速機構40の変速段42,44のいずれか1つにより変速し、第2出力軸48から動力統合ギヤ58を介して駆動軸80に伝達し、駆動輪88を回転駆動することができ、ハイブリッド車両1は、原動機として内燃機関5のみを選択使用する「エンジン走行」を実現することができる。
【0071】
この場合、駆動輪88及び駆動軸80には、動力統合ギヤ58を介して第1出力軸37が係合しているため、第1変速機構30のカップリング機構31e,33e,35eのいずれか1つが係合状態にある場合、第1入力軸27は、ハイブリッド車両1の走行速度(以下、車速と記す)に応じて回転することとなる。
【0072】
このとき、ECU100がモータ50を力行させて、ロータ52から第1入力軸27に出力トルクを伝達することで、駆動装置10は、モータ50のロータ52からの機械的動力と内燃機関5の機関出力軸8からの機械的動力とを、それぞれ第1変速機構30、第2変速機構40により変速し、動力統合ギヤ58で統合して駆動軸80に伝達することができる。このようにして、ハイブリッド車両1は、第2クラッチ22を係合状態にした場合に、原動機として内燃機関5とモータ50とを併用する「HV走行」を実現することができる。
【0073】
また、ハイブリッド車両1にモータ走行を行わせる場合、上述のエンジン走行及びHV走行の制御とは異なり、ECU100は、第1クラッチ21及び第2クラッチ22をいずれも解放状態に制御すると共に、モータ50を力行させる。ECU100は、第1変速機構30の変速段31,33,35のうち、いずれか1つの変速段を選択して、当該変速段に対応するカップリング機構を係合状態にする。駆動装置10は、モータ50からの機械的動力を、第1入力軸27で受け、第1変速機構30の変速段31,33、35のうち選択した変速段で変速して、動力統合ギヤ58から駆動軸80に伝達する。
【0074】
このようなハイブリッド車両1において、上述のHV走行を行って、内燃機関5とモータ50とを併用してハイブリッド車両1を加速させる車両加速中において、モータ50のロータ52が第1入力軸27に係合する第1変速機構30において、より高速側の変速段に変速することが求められている。高速側の変速段に変速することで、モータ回転速度が極端に上昇することを抑制し、モータ回転速度を、モータ50から効率よく機械的動力を出力可能な回転速度にすることができる。
【0075】
しかし、上述のようなハイブリッド車両1においては、モータ50を力行させながら、第1変速機構30において、より高速側の変速段に変速する変速動作を行うことはできない。第1変速機構30において変速動作を行うためには、第1入力軸27と駆動輪88との間においてトルクが作用しない状態を作り出す必要がある。加えて、内燃機関5とモータ50とを併用する車両加速中において、モータ50の力行を瞬間的に停止すると、その分、駆動輪88に作用する駆動トルクが減少するため、ハイブリッド車両1の加速度に変動が生じるという問題も生じる。
【0076】
そこで、本実施例に係るハイブリッド車両用駆動装置において、制御手段としてのECUは、原動機として内燃機関とモータとを併用する車両加速中において、第1変速機構の変速段を、より高速側に変速する場合、第2クラッチを係合状態にしている間に、モータ出力トルクをゼロにして、第1変速機構の変速動作を行うことを特徴としており、以下に、HV走行を行う場合の車両加速に係る制御処理(以下、単に「加速制御」と記す)について、図1、図4及び図5を用いて説明する。
【0077】
図4は、ECUが実行する加速制御を示すフローチャートである。図5は、加速制御を行っている場合のハイブリッド車両及び駆動装置の動作を説明するタイミングチャートである。なお、本実施例では、一例として、車両停止状態(図5に時点T1aで示す)から、HV走行によりハイブリッド車両1を加速させる場合について説明する。以下の加速制御は、HV走行によりハイブリッド車両1を加速させる場合に、繰り返し実行される。
【0078】
図4に示すように、ステップS100において、ECU100は、加速制御に係る各種制御変数を取得している。具体的には、内燃機関5の機関回転速度、機関出力トルク、機関出力動力、モータ回転速度、モータ出力トルク、第1クラッチ21及び第2クラッチ22の係合/解放状態、第1変速機構30及び第2変速機構40において選択されている変速段、アクセルペダルの操作量に係る信号等を取得している。
【0079】
図5に示すように、時点T1aからハイブリッド車両1は、車速がゼロの状態から車両加速を開始する。このとき、ECU100は、第1変速機構30において第1速ギヤ段31を選択すると共に、第1クラッチ21を係合状態にしている。ECU100は、内燃機関5を作動させて機関出力トルクを発生させると共に、モータ50を力行させてモータ出力トルクを発生させて、車両加速を開始する。駆動装置10は、内燃機関5の機関出力軸8からの機械的動力を、第1クラッチ21を介して第1入力軸27で受けると共に、モータ50のロータ52からの機械的動力を同じく第1入力軸27で受ける。駆動装置10は、内燃機関5からの機械的動力とモータ50からの機械的動力を、第1入力軸27で統合し、第1変速機構30の第1速ギヤ段31で変速して、第1出力軸37から動力統合ギヤ58を介して駆動輪88に伝達して、ハイブリッド車両1を推進する。
【0080】
これにより時点T1aから車速の上昇に略比例して、機関回転速度及びモータ回転速度が上昇する。このとき、ECU100は、第2変速機構40において第2速ギヤ段42を選択すると共に、第2クラッチを解放状態にしている。これにより、駆動装置10は、車両推進軸66の回転速度に応じて、第2入力軸28を空転させて、第1速ギヤ段31から第2速ギヤ段42への変速に備えている。
【0081】
このとき、ステップS102において、ECU100は、機関出力トルクがゼロを上回るか否かを判定する。すなわち、内燃機関5が作動して機関出力軸8から機械的動力を出力しているか否かを判定している。なお、この判定には、機関出力動力がゼロを上回るか否か等、他の手法で判定することもできる。機関出力トルクがゼロを上回らない(No)と判定された場合には、再びステップS100に戻る。
【0082】
一方、機関出力トルクがゼロを上回る(Yes)と判定された場合、すなわち内燃機関5が機関出力軸8から機械的動力を出力している場合には、ステップS104に進み、ECU100は、第2クラッチ22が係合状態であるか否かを判定する。すなわち、内燃機関5の機関出力軸8からの機械的動力を、第2クラッチ22及び第2変速機構40を介して、駆動輪88に係合する車両推進軸66に伝達させているか否かを判定する。
【0083】
ステップS104において第2クラッチ22が係合状態ではない(No)と判定された場合、すなわち第1クラッチ21が係合状態であり、機関出力軸8からの機械的動力を、第1クラッチ21及び第1変速機構30を介して車両推進軸66に伝達させている場合には、ステップS100に戻る。
【0084】
そして、内燃機関5の機関回転速度が、第1速ギヤ段31から第2速ギヤ段42への変速回転速度に達した時点T1eから、ECU100は、第1クラッチ21を係合状態から解放状態にすると共に、第2クラッチ22を解放状態から係合状態にして第1速ギヤ段31から第2速ギヤ段42に変速する。この変速は、時点T2aにおいて完了する。なお、変速回転速度は、予め適合実験等により求められており、制御定数としてECU100のROM(図示せず)に記憶されている。
【0085】
この時点T2aから、駆動装置10は、内燃機関5の機関出力軸8からの機械的動力を、第2入力軸28で受けて、第2変速機構40の第2速ギヤ段42に変速して、第2出力軸48から車両推進軸66に伝達する。また、駆動装置10は、モータ50のロータ52からの機械的動力を、第1入力軸27で受けて、第1変速機構30の第1速ギヤ段31で変速して、第1出力軸37から動力統合ギヤ58を介して駆動軸80に伝達する。機関出力軸8からの機械的動力とロータ52からの機械的動力は、動力統合ギヤ58で統合されて、駆動輪88に伝達される。
【0086】
この状態において、ステップS104において第2クラッチ22が係合状態であり(Yes)、駆動装置10は、機関出力軸8からの機械的動力を第2クラッチ22及び第2変速機構40を介して車両推進軸66に伝達させているものと判定して、ステップS106に進む。
【0087】
ステップS106において、ECU100は、モータ出力トルクがゼロを上回るか否か、すなわちモータ50を力行させているか否かを判定する。モータ出力トルクがゼロ以下である(No)すなわちモータ50を力行させていないと判定された場合には、ステップS100に戻る。
【0088】
一方、図5に示す時点T2aの直後の状態のように、モータ出力トルクがゼロを上回る(Yes)と判定された場合、ステップS108において、第1変速機構30において選択されている変速段は、第2変速機構40において選択されている変速段より低速側であるか否かを判定する。第1変速機構30の変速段が、第2変速機構40の変速段より、高速側である(No)と判定された場合には、ステップS100に戻る。
【0089】
一方、時点T2aの直後のように、第1変速機構30において選択されている変速段が第1速ギヤ段31であり、第2変速機構40において選択されている第2速ギヤ段42より、低速側である(Yes)と判定された場合には、ステップS110において、ECU100は、モータ出力トルクの目標値をゼロに設定する。
【0090】
そして、ステップS112において、ECU100は、モータ出力トルクをゼロに向けて低下させる制御を行う。詳細には、ECU100は、モータ出力トルクを現在値からゼロまで徐変させて低下させる。例えば、内燃機関5が機関出力軸8から出力する機械的動力に、モータ50がロータ52から出力する機械的動力を加えた値が、時点T2aからの時間経過に従って上昇するように、ECU100は、内燃機関5の機関出力トルクとモータ50のモータ出力トルクとを協調して制御する。これにより、車両加速中において、モータ出力トルクをゼロまで低下させる際に、運転者が減速感を覚えることを極力抑制することができる。
【0091】
そして、ステップS114において、ECU100は、モータ出力トルクがゼロに達したか否かを判定する。すなわち、モータ50のロータ52が係合する第1入力軸27が空転状態となり、第1変速機構30において変速動作を行うことが可能となったか否かを判定している。モータ出力トルクがゼロに達していない(No)と判定された場合には、ステップS112に戻り、モータ出力トルクの低下を継続する。
【0092】
一方、モータ出力トルクがゼロである(Yes)と判定された場合、第1変速機構30の第1入力軸27が空転状態となり、第1入力軸27と第1出力軸37との間には、トルクが作用しない状態が作り出されたものと判断して、図5に(1→3変速)で示すように、ECU100は、第1変速機構30において、第1速ギヤ段31から、より高速側の第3速ギヤ段33に変速する変速動作を実行する。具体的には、第1変速機構30における変速動作を開始して、第1速カップリング機構31eを係合状態から解放状態にした後、第3速カップリング機構33eを解放状態から係合状態にする変速動作を行う。この変速動作は、モータ50の力行を停止させて、モータ出力トルクがゼロとなった時点T2cから開始する。
【0093】
そして、ステップS118において、ECU100は、第1変速機構30における変速動作が完了したか否かを判定する。変速動作が完了していない(No)と判定された場合、ステップS116に戻る。
【0094】
一方、第1変速機構30における変速動作が完了した(Yes)と判定された場合、ステップS120において、ECU100は、モータ50の力行を再開する。第1変速機構30において変速動作が完了した時点T2dにおいて、ECU100は、モータ出力トルクをゼロから時間経過に応じて徐変させて増大させる。このように、第1変速機構30において、より高速側の変速段に変速することで、モータの力行を再開した時点T2dのモータ回転速度を、変速前の時点T2cに比べて低下させることができる。これにより、モータ50において効率良く機械的動力を発生させることができる。
【0095】
駆動装置10は、モータ50が第1入力軸27に出力した機械的動力を、第1変速機構30の第3速ギヤ段33により変速して、第1出力軸37から車両推進軸66に伝達する。一方、駆動装置10は、内燃機関5の機関出力軸8からの機械的動力を、第2クラッチ22を介して第2変速機構40に伝達し、第2速ギヤ段42により変速して、第2出力軸48から車両推進軸66に伝達する。駆動装置10は、内燃機関5の機関出力軸8及びモータ50のロータ52からの機械的動力を、動力統合ギヤ58で統合し、駆動輪88を駆動して、ハイブリッド車両1を加速させる。そして、再びステップS100に戻る。
【0096】
そして、内燃機関5の機関回転速度が、第2速ギヤ段42から第3速ギヤ段33への変速回転速度に達した時点T2eから、ECU100は、第1クラッチ21を解放状態から係合状態にすると共に、第2クラッチ22を係合状態から解放状態にして第2速ギヤ段42から第3速ギヤ段33に変速する。この変速は、時点T3aにおいて完了する。
【0097】
この時点T3aから、駆動装置10は、内燃機関5の機関出力軸8からの機械的動力を、第1クラッチ21を介して第1入力軸27で受けると共に、モータ50のロータ52からの機械的動力を第1入力軸27で受ける。駆動装置10は、内燃機関5からの機械的動力とモータ50からの機械的動力を、第1入力軸27で統合し、第1変速機構30の第3速ギヤ段33で変速して、第1出力軸37から動力統合ギヤ58を介して駆動輪88に伝達し、ハイブリッド車両1を推進する。
【0098】
この時点T3aから、機関回転速度が第3速ギヤ段33から第4速ギヤ段44への変速回転速度に達する時点T3eまで、第2クラッチ22が解放状態にある間に、図5に(2→4変速)で示すように、ECU100は、第2変速機構40において第2速ギヤ段42から第4速ギヤ段44に変速して、第4速ギヤ段44を待機状態にする、いわゆるアップ待機を行うことで、時点T3eから開始される第4速ギヤ段44への変速に備える。
【0099】
そして、機関回転速度が、第3速ギヤ段33から第4速ギヤ段44への変速回転速度に達した時点T3eから、ECU100は、第1クラッチ21を係合状態から解放状態にすると共に第2クラッチ22を解放状態から係合状態にして、第4速ギヤ段に変速する。この変速は、時点T4aにおいて完了する。
【0100】
この時点T4aから、第2クラッチ22は係合状態となっており、駆動装置10は、機関出力軸8からの機械的動力を、第2変速機構40の第4速ギヤ段44により変速して、動力統合ギヤ58から駆動軸80に伝達している。この間に、ECU100は、図4のステップS104〜S120の制御を実行し、時点T4cにおいてモータ50の力行を停止してモータ出力トルクをゼロにすることで、第1変速機構30において、第3速ギヤ段33から、より高速側の第5速ギヤ段35に変速する変速動作を行わせる。そして、この変速動作が完了した時点T4dにおいて、ECU100は、モータ50の力行を再開して、内燃機関5とモータ50とを原動機として併用してハイブリッド車両1を加速させる。
【0101】
以上のようにハイブリッド車両1の駆動装置10において、制御手段としてのECU100は、原動機として内燃機関5とモータ50とを併用する車両加速中(時点T1a以降)において、モータ50のロータ52が第1入力軸27に係合する第1変速機構30の変速段を、より高速側の変速段に変速する場合、第2クラッチ22を係合状態にして、内燃機関5の機関出力軸8からの機械的動力を、第2変速機構40を介して車両推進軸66に伝達させている間(例えば、時点T2a〜時点T2e)に、モータ50の力行を停止してモータ出力トルクをゼロにすることで、第1変速機構30の第1入力軸27と第1出力軸37との間にトルクが作用しない期間(例えば、時点T2c〜時点T2d)を作り出すことができる。
【0102】
このモータ出力トルクがゼロとなる期間内において、第1変速機構30の変速段(例えば、第1速ギヤ段31を、より高速側の変速段(第3速ギヤ段33)に変速する変速動作を行うことで、モータ回転速度を低下させることができる。これにより、内燃機関5とモータ50とを原動機として併用する車両加速中において、上昇したモータ回転速度を低下させて、モータ50から効率よく機械的動力を発生させてハイブリッド車両1を加速させることができる。
【0103】
以上に説明したように本実施例に係る駆動装置10は、機関出力軸8及びロータ52からの機械的動力を、当該ロータ52と係合する第1入力軸27で受け、複数の変速段31,33,35のうちいずれか1つにより変速して、駆動軸80に向けて出力可能な第1変速機構30と、機関出力軸8からの機械的動力を第2入力軸28で受け、複数の変速段42,44,49のうちいずれか1つにより変速して、駆動軸80に向けて出力可能な第2変速機構40と、機関出力軸8と第1入力軸27とを係合可能な第1クラッチ21と、機関出力軸8と第2入力軸28とを係合可能な第2クラッチ22と、第1及び第2クラッチ21,22の係合/解放状態と、第1及び第2変速機構30,40における変速動作と、モータ50がロータ52から出力するモータ出力トルクを制御可能な制御手段としてのECU100とを有している。
【0104】
ECU100は、原動機として内燃機関5とモータ50とを併用する車両加速中において、第1変速機構30の変速段を、より高速側の変速段に変速する場合、第2クラッチ22を係合状態にして、機関出力軸8からの機械的動力を、第2変速機構40を介して駆動軸80に伝達させている間に、モータ出力トルクをゼロにして第1変速機構30の変速動作を行うものとしたので、内燃機関5とモータ50とを併用する車両加速中において、上昇したモータ回転速度を低下させて、モータ50から効率よく機械的動力を発生させてハイブリッド車両1を加速させることができる。
【0105】
また、本実施例において、ECU100は、モータ50の力行を停止すると共に、第1変速機構30の変速動作を開始して、第1変速機構30の変速動作が完了すると共に、モータ50の力行を再開するものとした。第1変速機構30における変速動作を行っている期間以外は、モータ50を力行させることができ、ハイブリッド車両1の加速度を極力、高いものにすることができる。
【0106】
また、本実施例において、ECU100は、第1変速機構30の変速動作を行う際に、モータ出力トルクを現在値からゼロまで徐変させるものとしたので、上述の第1変速機構30の変速動作を行う際に、ハイブリッド車両1の加速度が瞬間的に低下して運転者に減速感を与えてしまうことを抑制することができる。
【0107】
なお、本実施例において、ECU100は、第1変速機構30の変速動作を行う際に、内燃機関5の機関出力軸から出力される機械的動力にモータ50のロータ52から出力される機械的動力を加えた値が時間経過に従って上昇するよう、モータ出力トルクを現在値からゼロまで徐変させるものとしたが、モータ出力トルクをゼロまで徐変させる手法は、これに限定されるものではない。ハイブリッド車両1の加速度に変動が生じることを極力抑制することができれば良く、様々な手法を用いることができる。
【0108】
また、本実施例において、モータ50のロータ52が第1入力軸27と係合する第1変速機構30の第1群の変速段31,33,35は、奇数段で構成されており、これに対して第2変速機構40の第2群の変速段42,44は、偶数段及び後進段で構成されているものとしたが、第1及び第2変速機構における変速段の構成は、これに限定されるものではない。例えば、第1変速機構の第1群の変速段を偶数段及び後進段で構成し、第2変速機構の第2群の変速段を奇数段で構成するものとしても良い。
【0109】
また、本実施例において、原動機として設けられたモータ50は、供給された電力を機械的動力に変換して出力する電動機としての機能と、入力された機械的動力を電力に変換する発電機としての機能とを兼ね備えたモータジェネレータであるものとしたが、本発明に係るモータは、これに限定されるものではない。原動機としてのモータは、ロータから変速機構の入力軸に機械的動力を出力できれば良く、例えば、供給電力を機械的動力に変換して出力する機能のみを有する電動機で構成するものとしても良い。
【0110】
また、本実施例において、駆動装置10は、内燃機関5の機関出力軸8及びモータ50のロータ52からの機械的動力を、第1変速機構30及び第2変速機構40のうち少なくとも一方により変速して、動力統合ギヤ58から、車両推進軸66、終減速装置70の差動機構74を介して駆動軸80に伝達するものとしたが、第1変速機構30及び第2変速機構40からの駆動軸80への動力伝達の態様は、これに限定されるものではない。駆動装置10において、第1変速機構30及び第2変速機構40は、それぞれ第1入力軸27及び第2入力軸28で受けた機械的動力を、駆動軸80に向けて出力可能であれば良く、例えば、動力統合ギヤ58や、当該動力統合ギヤ58と噛み合う第1及び第2駆動ギヤ37c,48cが、直接、差動機構74のリングギヤ72を駆動するものとしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0111】
以上のように、本発明は、原動機として内燃機関とモータとを備えたハイブリッド車両に有用であり、特に、2つの変速機構のうち一方の変速機構の入力軸にモータのロータが係合しているハイブリッド車両に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】本実施例に係るハイブリッド車両の概略構成を示す模式図である。
【図2】本実施例に係るデュアルクラッチ機構の構造を説明する模式図である。
【図3】本実施例に係る変形例のデュアルクラッチ機構の構造を説明する模式図である。
【図4】本実施例に係るハイブリッド車両の制御手段(ECU)が実行する加速制御を示すフローチャートである。
【図5】本実施例に係る制御手段(ECU)が実行する加速制御を行っている場合のハイブリッド車両及び駆動装置の動作の一例を説明するタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0113】
1 ハイブリッド車両
5 内燃機関
8 機関出力軸
10 駆動装置(ハイブリッド車両用駆動装置)
20 デュアルクラッチ機構
21 第1クラッチ
22 第2クラッチ
27 第1入力軸
28 第2入力軸
30 第1変速機構
31,33,35 ギヤ段(変速段)
37 第1出力軸
48 第2出力軸
40 第2変速機構
42,44,49 ギヤ段(変速段)
50 モータ(モータジェネレータ)
52 モータのロータ
58 動力統合ギヤ
66 車両推進軸
70 終減速装置
80 駆動軸
88 駆動輪
100 ハイブリッド車両用駆動装置の電子制御装置(ECU、制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原動機として内燃機関とモータとを備えたハイブリッド車両に用いられ、内燃機関の機関出力軸及びモータのロータから出力される機械的動力を変速機構により変速して、駆動輪と係合する駆動軸に伝達可能なハイブリッド車両用駆動装置であって、
機関出力軸及びロータからの機械的動力を、当該ロータと係合する第1入力軸で受け、複数の変速段のうちいずれか1つにより変速して、駆動軸に向けて出力可能な第1変速機構と、
機関出力軸からの機械的動力を第2入力軸で受け、複数の変速段のうちいずれか1つにより変速して、駆動軸に向けて出力可能な第2変速機構と、
機関出力軸と第1入力軸とを係合可能な第1クラッチと、
機関出力軸と第2入力軸とを係合可能な第2クラッチと、
第2クラッチの係合/解放状態と、第1変速機構における変速動作と、モータがロータから出力するトルクであるモータ出力トルクとを制御可能な制御手段と、
を有し、
制御手段は、
原動機として内燃機関とモータとを併用する車両加速中において、第1変速機構の変速段を、より高速側の変速段に変速する場合、第2クラッチを係合状態にしている間に、モータ出力トルクをゼロにして第1変速機構の変速動作を行う
ことを特徴とするハイブリッド車両用駆動装置。
【請求項2】
請求項1に記載のハイブリッド車両用駆動装置において、
制御手段は、
モータの力行を停止すると共に第1変速機構の変速動作を開始して、第1変速機構の変速動作が完了すると共にモータの力行を再開する
ことを特徴とするハイブリッド車両用駆動装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のハイブリッド車両用駆動装置において、
制御手段は、
第1変速機構の変速動作を行う際に、モータ出力トルクを現在値からゼロまで徐変させる
ことを特徴とするハイブリッド車両用駆動装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のハイブリッド車両用駆動装置において、
制御手段は、
第1変速機構において選択されている変速段が、第2変速機構において選択されている変速段よりも低速側の変速段である場合に、モータ出力トルクをゼロにして第1変速機構において変速動作を行う
ことを特徴とするハイブリッド車両用駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−120065(P2009−120065A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−297019(P2007−297019)
【出願日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】