パターン形成方法、カラーフィルター付基板及び表示素子
【課題】 ITO膜をその上に形成した場合に、面内での抵抗値変動を小さく維持したまま、且つ低抵抗なITO膜とすることができるパターンの形成方法、該パターン形成方法によって画素を形成したカラーフィルター付基板、及び該カラーフィルター付基板を備えた表示素子を提供する。
【解決手段】 基板上に光重合系感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂層を設ける樹脂層形成工程と、レーザーにより露光を行うパターン露光工程と、前記パターン露光後の感光性樹脂層を現像する現像工程と、前記現像後の感光性樹脂層を熱処理するポストベーク工程と、を少なくとも経てカラーフィルターのパターンを得るパターン形成方法、該形成方法によってカラーフィルターを形成したカラーフィルター付基板、及び該カラーフィルター付基板を備えた表示素子
【解決手段】 基板上に光重合系感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂層を設ける樹脂層形成工程と、レーザーにより露光を行うパターン露光工程と、前記パターン露光後の感光性樹脂層を現像する現像工程と、前記現像後の感光性樹脂層を熱処理するポストベーク工程と、を少なくとも経てカラーフィルターのパターンを得るパターン形成方法、該形成方法によってカラーフィルターを形成したカラーフィルター付基板、及び該カラーフィルター付基板を備えた表示素子
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型モバイル機器、大型ディスプレイ等に用いられる表示素子、該表示素子に用いるカラーフィルター付基板、及び該カラーフィルタの形成等に用いるパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置や有機EL表示装置は、非常にコンパクトであると共に、従来主流であったCRTディスプレイと同等以上の性能を有することから、近年ではCRTディスプレイから置き換わりつつある。
このような表示装置で表示されるカラー画像は、複数色よりなるカラーフィルタやITO(酸化インジウムスズ)透明導電膜等からなる基板を通過した光がそのままカラーフィルタを構成する各色に着色され、着色された複数の色の光が画像様に合成されることで形成される。そして現在、カラーフィルタを構成する赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3色の画素でカラー画像が形成されることが一般的である。
【0003】
これらの画素は、基板上に樹脂層を形成し、露光して現像することを色の数だけ繰り返すなどの方法によって製造することができ、従来において前記露光は、露光マスクを用い水銀ランプ等で露光してパターンを形成する方法等が用いられてきた。しかし、これらの露光方法で画素を形成した場合、その画素(パターン)上に形成されるITO膜では、面内で抵抗値の変動が発生し、それが駆動電圧の差となって、特に大面積LCDパネル等においては画像の色ムラ発生の原因となる。
【0004】
これに対し近年では、ITO抵抗値の面内変動を抑制することができる、レーザー等を用いたマスクレス露光が行われている。該マスクレス露光としては、例えば、半導体レーザー等のレーザーを用い、また光を変調しながら相対走査する方法としてポリゴンミラーを用いた方法(例えば、特許文献1参照。)、DMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)を用いた方法(例えば、特許文献2参照。)等がある。
しかし、これらのレーザーを用いた露光方法では、ITOの抵抗値が高くなってしまうという欠点があった。ITO膜は液晶を駆動させるためには低抵抗である必要があり、更なる改善が求められていた。
【特許文献1】特開2002−523905号公報
【特許文献2】特開2004−56080号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来における欠点に鑑みてなされたものである。
即ち、本発明の目的は、ITO膜をその上に形成した場合に、面内での抵抗値変動を小さく維持したまま、且つ低抵抗なITO膜とすることができるパターンの形成方法、該パターン形成方法によって画素を形成したカラーフィルター付基板、及び該カラーフィルター付基板を備えた表示素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記従来における課題は、以下の本発明によって達成される。
即ち、本発明のパターン形成方法は、
<1> 基板上に光重合系感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂層を設ける樹脂層形成工程(a)と、レーザーにより前記感光性樹脂層に露光を行うパターン露光工程(b)と、前記パターン露光後の感光性樹脂層を現像する現像工程(c)と、前記現像後の感光性樹脂層を熱処理するポストベーク工程(d)と、を少なくとも経てカラーフィルターのパターンを得ることを特徴とするパターン形成方法である。
【0007】
<2> 前記樹脂層形成工程(a)から前記ポストベーク工程(d)までのパターン形成工程を2回以上繰り返して、前記基板上に2種以上のパターンを設けることを特徴とする前記<1>に記載のパターン形成方法である。
【0008】
<3> 前記現像工程(c)とポストベーク工程(d)との間に、前記感光性樹脂層を全面露光するポスト露光工程(e)を有することを特徴とする前記<1>又は<2>に記載のパターン形成方法である。
【0009】
<4> 前記ポストベーク工程(d)における熱処理の温度が180℃以上であることを特徴とする前記<1>〜<3>の何れか1項に記載のパターン形成方法である。
【0010】
<5> 前記熱処理の温度が180〜260℃であり、且つ室温から該温度まで5〜60分間かけて昇温することを特徴とする前記<4>に記載のパターン形成方法である。
【0011】
<6> 前記熱処理の温度での加熱時間が10〜300分であることを特徴とする前記<4>又は<5>に記載のパターン形成方法である。
【0012】
<7> 少なくとも、レッド(R)、グリーン(G)及びブルー(B)の3色の着色パターンを設けることを特徴とする前記<2>〜<6>の何れか1項に記載のパターン形成方法である。
【0013】
また、本発明のカラーフィルター付基板は
<8> 前記<1>〜<7>の何れか1項に記載のパターン形成方法によって、基板上に着色画素を形成したことを特徴とするカラーフィルター付基板である。
【0014】
<9> ITO透明電極を形成したことを特徴とする前記<8>に記載のカラーフィルター付基板である。
【0015】
更に、本発明の表示素子は、
<10> 前記<8>又は<9>に記載のカラーフィルター付基板を備えることを特徴とする表示素子である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ITO膜をその上に形成した場合に、面内での抵抗値変動を小さく維持したまま、且つ低抵抗なITO膜とすることができるパターンの形成方法、該パターン形成方法によって画素を形成したカラーフィルター付基板、及び該カラーフィルター付基板を備えた表示素子を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明のパターン形成方法は、基板上に光重合系感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂層を設ける樹脂層形成工程(a)と、レーザーにより露光を行うパターン露光工程(b)と、レーザー露光後の前記感光性樹脂層を現像する現像工程(c)と、現像後の前記感光性樹脂層を熱処理するポストベーク工程(d)と、を少なくとも有することを特徴とする。
上記の方法によってカラーフィルターのパターンを形成することで、該パターン上にITO膜を設けた場合の該ITO膜を、面内での抵抗値変動を抑制しつつ低抵抗なITO膜とすることができる。
【0018】
上記ITO膜の抵抗値は、表示素子における液晶等を良好に駆動させるという観点から、30Ω/□以下が好ましく、特に大面積LCDパネル等に用いる場合においては20Ω/□以下がより好ましい。尚、下限値としては、製造が可能である範囲として5Ω/□以上が一般的である。
また、ITO抵抗値の面内変動は、駆動電圧の差を抑制して色むらの発生を防止するという観点から、10%未満であることが好ましく、5%以下であることがより好ましい。尚、下限値としては、製造が可能である範囲として1%以上が一般的である。
【0019】
ここで、本発明において、前記ITO膜の抵抗値の測定は、三菱油化(株)製のロレスタを用い4端子法にて行った。具体的な測定方法を説明すると、23℃、65%湿度の環境下で作製した試料に上記ロレスタの4端子プローブを圧着し、測定は5Vで実施した。
また、前記ITO抵抗値の面内変動は、500×600mmのITO作製基板の面内のITO抵抗を、上記の抵抗値の測定方法に基づき20点無作為に測定し求めた。
以下、本発明を詳細に説明するにあたり、まずパターン形成方法について詳述し、その後カラーフィルター付基板及び表示素子について述べる。
【0020】
<パターン形成方法>
本発明におけるパターンは、光重合系の感光性樹脂組成物(以下、単に「樹脂組成物」ということがある。)を用いて形成されるものであり、基板上に2種以上のパターンを形成するものであっても、1種のパターンを形成するものであってもよい。尚、カラーフィルターとしては、レッド(R)、グリーン(G)及びブルー(B)の3色の画素(パターン)を形成することが好ましく、必要により更にブラックマトリックス(K)のパターンを形成することも好ましい。
【0021】
前記パターン形成方法は、基板上に樹脂層を形成する樹脂層形成工程(a)と、レーザーによって露光するパターン露光工程(b)と、現像を行う現像工程(c)と、現像後の樹脂層を熱処理するポストベーク工程(d)と、を有することを特徴とし、これらの工程をパターンの種類の数(例えば、色の数)だけ繰り返すことにより形成することができる。また、必要により現像工程(c)の後に樹脂層に全面露光を行うポスト露光工程(e)を行うことも好ましい。
【0022】
(樹脂層形成工程(a))
上記のパターン形成方法において、基板上に樹脂層を形成する方法としては、(a-1)樹脂組成物を公知の塗布装置等によって塗布する方法、及び(a-2)樹脂転写材料を用い、ラミネーターによって貼り付ける方法などが挙げられる。尚、ここでは塗布方法及びラミネート方法についてのみ説明し、樹脂組成物及び樹脂転写材料については後に詳述する。
【0023】
(a-1)塗布装置による塗布
本発明のパターン形成方法における、樹脂組成物の塗布には、公知の塗布方法、例えばスピンコート法、カーテンコート法、スリットコート法、ディップコート法、エアーナイフコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、あるいは、米国特許第2681294号明細書に記載のホッパーを使用するエクストルージョンコート法等の方法を用いることができる。中でも特に、液が吐出する部分にスリット状の穴を有するスリット状ノズル(スリットコータ)によって塗布を行うスリットコート法が好適に用いられる。尚、前記スリット状ノズルの好ましい具体例としては、特開2004−89851号公報、特開2004−17043号公報、特開2003−170098号公報、特開2003−164787号公報、特開2003−10767号公報、特開2002−79163号公報、特開2001−310147号公報等に記載のスリット状ノズル及びスリットコータが挙げられる。
樹脂層を塗布により形成する場合、その膜厚としては、1.0〜3.0μmが好ましく、1.0〜2.5μmがより好ましく、1.0〜2.0μmが特に好ましい。
【0024】
尚、本発明のパターン形成方法においては、樹脂組成物の塗布によって樹脂層を形成する場合には、後述のパターン露光工程における露光感度をアップする目的で、該樹脂層上に更に酸素遮断膜を設けることができる。該酸素遮断膜としては、後述の<樹脂転写材料>の(中間層)の項において説明するものと同様のものが挙げられる。尚、特に限定されるわけではないが、酸素遮断膜の膜厚としては、0.5〜3.0μmが好ましい。
【0025】
(a-2)ラミネーターによる貼り付け
後述の樹脂転写材料を用い、フイルム状に形成した樹脂層を加熱及び/又は加圧した、ローラー又は平板を用い、圧着又は加熱圧着することによって基板上に貼り付けることができる。具体的には、特開平7−110575号公報、特開平11−77942号公報、特開2000−334836号公報、特開2002−148794号公報に記載のラミネーター及びラミネート方法が挙げられるが、低異物の観点で、特開平7−110575号公報に記載の方法を用いるのが好ましい。
【0026】
(パターン露光工程(b))
【0027】
本発明におけるパターン露光は、光源としてレーザーを用いたマスクレス露光であり、2次元状に並んだ空間光変調デバイスを用いて、画像データに基づいて光を変調しながら相対走査することで2次元画像の形成を行う。
露光光を透過させない、または、弱めて透過させる材質で画像(パターン)を形成した「マスク」と呼ばれる物体を露光光の光路に配置し、樹脂層を、該画像に対応したパターン状に露光する従来の露光方式(マスク露光と言う)に対し、上記マスクレス露光とは、前記の「マスク」を使用せずに樹脂層をパターン状に露光する露光方式の事である。
【0028】
−レーザーの説明−
本発明のパターン露光では、光源としてレーザーが用いられる。
レーザーとは、英語のLight Amplification by Stimulated Emission of Radiation(誘導放出による光の増幅)の頭字語である。反転分布を持った物質中で起きる誘導放出の現象を利用し、光波の増幅、発振によって干渉性と指向性が一層強い単色光を作り出す発振器及び増幅器によって照射される。励起媒質としては、結晶、ガラス、液体、色素、気体などがあり、これらの媒質から固体レーザー(YAGレーザー)、液体レーザー、気体レーザー(アルゴンレーザー、He−Neレーザー、炭酸ガスレーザー、エキシマレーザー)、半導体レーザーなどの公知のレーザーを用いることができる。
【0029】
前記半導体レーザーとは、搬送子の注入、電子ビームによる励起、衝突によるイオン化、光励起などによって電子と正孔とが接合部に流出する時、pn接合で可干渉光を誘導放出するような発光ダイオードを用いるレーザーである。この放出される可干渉光の波長は半導体化合物によって決まる。
【0030】
本発明に用いられるレーザーの波長は特に限定されないが、中でも解像度とレーザー装置のコスト、入手のしやすさの観点から、上記半導体レーザーにおいては、300〜500nmの波長域から選択するのが好ましく、340〜450nmがより好ましく、特に360〜415nmが好ましい。
また固体レーザーでは、YAG-SHG固体レーザーの532nmが好ましいものとして挙げられる。更に、半導体励起固体レーザーでは532・355・266nmが挙げられ、それらの中でも従来のレジスト用光重合開始剤が感度を有すという点では355nmが好ましく選ばれる。気体レーザーでは、KrFレーザーの249nm、ArFレーザーの193nmが好ましく用いられる。
これらの光源の中で、表示装置の製造工程で、感光性材料を露光する場合を考えると、露光波長が405nmとなる光源を選択することが、表示領域の透過率を高くする観点で好ましい。
【0031】
レーザーのビーム径は、特に限定されないが、中でも、パターンの解像度の観点から、ガウシアンビームの1/e2値で5〜30μmが好ましく、7〜20μmがより好ましい。
レーザービームのエネルギー量としては、特に限定されないが、中でも、露光時間と解像度の観点から、1〜100mJ/cm2が好ましく、5〜20mJ/cm2がより好ましい。
【0032】
−相対走査露光−
次いで、本発明における光を変調しながら相対走査する方法について説明する。
そのひとつの代表的な方法は、DMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス、例えば、1987年、米国テキサス・インスツルメンツのラリー・ホーンベック博士他が開発した光半導体)のような、微小なミラーが二次元に並んだ空間変調素子を用いる方法である。
この場合、光源からの光は、適切な光学系によってDMD上に照射され、DMDに二次元に並んだ各ミラーからの反射光が、別の光学系などを経て、樹脂層上に、二次元に並んだ光点の像を形成する。このままでは光点と光点の間は露光されないが、前記二次元に並んだ光点の像を、二次元の並び方向に対して、やや傾いた方向に移動させると、最初の列の光点と光点の間を、後方の列の光点が露光する、という形で、樹脂層の全面を露光することができる。DMDの各ミラーの角度を制御し、前記光点をON-OFFする事で、画像パターンを形成することができる。このようなDMDを有す露光ヘッドを並べて用いることで色々な幅の基板に対応することができる。
前記DMDでは、前記光点の輝度は、ONかOFFの2階調しかないが、ミラー階調型空間変調素子を用いると、256階調の露光を行うことができる。
【0033】
一方、本発明の光を変調しながら相対走査する別の代表的な方法としては、ポリゴンミラーを用いる方法が挙げられる。ポリゴンミラー(polygon mirror)とは、周囲に一連の平面反射面を持った回転部材のことである。樹脂層上に光源からの光を反射して照射するが、反射光の光点は、該平面鏡の回転によって走査される。この走査方向に対して直角に基板を相対移動させることで、基板上の樹脂層の全面を露光することができる。光源からの光の強度を適切な方法でON-OFFまたは、中間調に制御することで、画像パターンを形成することができる。また、光源からの光を複数本とすることで、走査時間を短縮することができる。
【0034】
本発明の光を変調しながら相対走査する方法としては、例えば、以下の方法も適用することができる。
特開平5−150175に記載のポリゴンミラーを用いて描画する例、特表2004−523101(WO2002/039793)に記載の下部レイヤの画像の一部を視覚的に取得し、ポリゴンミラーを用いた装置で上部レイヤの位置を下部レイヤ位置に揃えて露光する例、特開2004−56080に記載のDMDを用いて露光する例、特表2002−523905に記載のポリゴンミラーを備えた露光装置、特開2001−255661に記載のポリゴンミラーを備えた露光装置、特開2003−50469に記載のDMD、LD、多重露光を組み合わせた例、特開2003−156853に記載の基板の部位により露光量を変える露光方法の例、特開2005−43576に記載の位置ずれ調整を行う露光方法の例等である。
【0035】
以下にレーザー光を用いた3次元露光装置の一例を示すが、本発明における露光装置はこれに限定されるものではない。
露光ユニットは、図1に示すように、ガラス基板150を表面に吸着して保持する平板状のステージ152を備えている。4本の脚部154に支持された厚い板状の設置台156の上面には、ステージ移動方向に沿って延びた2本のガイド158が設置されている。ステージ152は、その長手方向がステージ移動方向を向くように配置されると共に、ガイド158によって往復移動可能に支持されている。なお、この露光装置には、ステージ152をガイド158に沿って駆動するための図示しない駆動装置が設けられている。
【0036】
設置台156の中央部には、ステージ152の移動経路を跨ぐようにコ字状のゲート160が設けられている。コ字状のゲート160の端部の各々は、設置台156の両側面に固定されている。このゲート160を挟んで一方の側にはスキャナ162が設けられ、他方の側には感光材料150の先端及び後端を検知する複数(例えば、2個)の検知センサ164が設けられている。スキャナ162及び検知センサ164はゲート160に各々取り付けられて、ステージ152の移動経路の上方に固定配置されている。なお、スキャナ162及び検知センサ164は、これらを制御する図示しないコントローラに接続されている。
【0037】
スキャナ162は、図2及び図3(B)に示すように、m行n列(例えば、3行5列)の略マトリックス状に配列された複数(例えば、14個)の露光ヘッド166を備えている。この例では、感光材料150の幅との関係で、3行目には4個の露光ヘッド166を配置した。なお、m行目のn列目に配列された個々の露光ヘッドを示す場合は、露光ヘッド166mnと表記する。
【0038】
露光ヘッド166による露光エリア168は、副走査方向を短辺とする矩形状である。従って、ステージ152の移動に伴い、感光材料150には露光ヘッド166毎に帯状の露光済み領域170が形成される。なお、m行目のn列目に配列された個々の露光ヘッドによる露光エリアを示す場合は、露光エリア168mnと表記する。
【0039】
また、図3(A)及び(B)に示すように、帯状の露光済み領域170が副走査方向と直交する方向に隙間無く並ぶように、ライン状に配列された各行の露光ヘッドの各々は、配列方向に所定間隔(露光エリアの長辺の自然数倍、ここでは2倍)ずらして配置されている。このため、1行目の露光エリア16811と露光エリア16812との間の露光できない部分は、2行目の露光エリア16821と3行目の露光エリア16831とにより露光することができる。
【0040】
露光ヘッド16611〜166mn各々は、図4、図5(A)及び(B)に示すように、入射された光ビームを画像データに応じて各画素毎に変調する空間光変調素子として、デジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)50を備えている。このDMD50は、データ処理部とミラー駆動制御部とを備えた図示しないコントローラに接続されている。このコントローラのデータ処理部では、入力された画像データに基づいて、各露光ヘッド166毎にDMD50の制御すべき領域内の各マイクロミラーを駆動制御する制御信号を生成する。なお、制御すべき領域については後述する。また、ミラー駆動制御部では、画像データ処理部で生成した制御信号に基づいて、各露光ヘッド166毎にDMD50の各マイクロミラーの反射面の角度を制御する。なお、反射面の角度の制御に付いては後述する。
【0041】
DMD50の光入射側には、光ファイバの出射端部(発光点)が露光エリア168の長辺方向と対応する方向に沿って一列に配列されたレーザー出射部を備えたファイバアレイ光源66、ファイバアレイ光源66から出射されたレーザ光を補正してDMD上に集光させるレンズ系67、レンズ系67を透過したレーザー光をDMD50に向けて反射するミラー69がこの順に配置されている。
【0042】
レンズ系67は、ファイバアレイ光源66から出射されたレーザー光を平行光化する1対の組合せレンズ71、平行光化されたレーザー光の光量分布が均一になるように補正する1対の組合せレンズ73、及び光量分布が補正されたレーザー光をDMD50上に集光する集光レンズ75で構成されている。組合せレンズ73は、レーザー出射端の配列方向に対しては、レンズの光軸に近い部分は光束を広げ且つ光軸から離れた部分は光束を縮め、且つこの配列方向と直交する方向に対しては光をそのまま通過させる機能を備えており、光量分布が均一となるようにレーザー光を補正する。
【0043】
また、DMD50の光反射側には、DMD50で反射されたレーザー光を感光材料150の走査面(被露光面)56上に結像するレンズ系54、58が配置されている。レンズ系54及び58は、DMD50と被露光面56とが共役な関係となるように配置されている。
【0044】
DMD50は、図6に示すように、SRAMセル(メモリセル)60上に、微小ミラー(マイクロミラー)62が支柱により支持されて配置されたものであり、画素(ピクセル)を構成する多数の(例えば、600個×800個)の微小ミラー62を格子状に配列して構成されたミラーデバイスである。各ピクセルには、最上部に支柱に支えられたマイクロミラー62が設けられており、マイクロミラー62の表面にはアルミニウム等の反射率の高い材料が蒸着されている。なお、マイクロミラー62の反射率は90%以上である。また、マイクロミラー62の直下には、ヒンジ及びヨークを含む支柱を介して通常の半導体メモリの製造ラインで製造されるシリコンゲートのCMOSのSRAMセル60が配置されており、全体はモノリシック(一体型)に構成されている。
【0045】
DMD50のSRAMセル60にデジタル信号が書き込まれると、支柱に支えられたマイクロミラー62が、対角線を中心としてDMD50が配置された基板側に対して±α度(例えば±10度)の範囲で傾けられる。図7(A)は、マイクロミラー62がオン状態である+α度に傾いた状態を示し、図7(B)は、マイクロミラー62がオフ状態である−α度に傾いた状態を示す。従って、画像信号に応じて、DMD50の各ピクセルにおけるマイクロミラー62の傾きを、図6に示すように制御することによって、DMD50に入射された光はそれぞれのマイクロミラー62の傾き方向へ反射される。
【0046】
なお、図6には、DMD50の一部を拡大し、マイクロミラー62が+α度又は−α度に制御されている状態の一例を示す。それぞれのマイクロミラー62のオンオフ制御は、DMD50に接続された図示しないコントローラによって行われる。なお、オフ状態のマイクロミラー62により光ビームが反射される方向には、光吸収体(図示せず)が配置されている。
【0047】
また、DMD50は、その短辺が副走査方向と所定角度θ(例えば、1°〜5°)をなすように僅かに傾斜させて配置するのが好ましい。図8(A)はDMD50を傾斜させない場合の各マイクロミラーによる反射光像(露光ビーム)53の走査軌跡を示し、図8(B)はDMD50を傾斜させた場合の露光ビーム53の走査軌跡を示している。
【0048】
DMD50には、長手方向にマイクロミラーが多数個(例えば、800個)配列されたマイクロミラー列が、短手方向に多数組(例えば、600組)配列されているが、図8(B)に示すように、DMD50を傾斜させることにより、各マイクロミラーによる露光ビーム53の走査軌跡(走査線)のピッチP1が、DMD50を傾斜させない場合の走査線のピッチP2より狭くなり、解像度を大幅に向上させることができる。一方、DMD50の傾斜角は微小であるので、DMD50を傾斜させた場合の走査幅W2と、DMD50を傾斜させない場合の走査幅W1とは略同一である。
【0049】
また、異なるマイクロミラー列により同じ走査線上が重ねて露光(多重露光)されることになる。このように、多重露光されることで、露光位置の微少量をコントロールすることができ、高精細な露光を実現することができる。また、主走査方向に配列された複数の露光ヘッドの間のつなぎ目を微少量の露光位置制御により段差無くつなぐことができる。
【0050】
なお、DMD50を傾斜させる代わりに、各マイクロミラー列を副走査方向と直交する方向に所定間隔ずらして千鳥状に配置しても、同様の効果を得ることができる。
【0051】
ファイバアレイ光源66は、図9(A)に示すように、複数(例えば、6個)のレーザーモジュール64を備えており、各レーザモジュール64には、マルチモード光ファイバ30の一端が結合されている。マルチモード光ファイバ30の他端には、コア径がマルチモード光ファイバ30と同一で且つクラッド径がマルチモード光ファイバ30より小さい光ファイバ31が結合され、図9(C)に示すように、光ファイバ31の出射端部(発光点)が副走査方向と直交する主走査方向に沿って1列に配列されてレーザー出射部68が構成されている。なお、図9(D)に示すように、発光点を主走査方向に沿って2列に配列することもできる。
【0052】
光ファイバ31の出射端部は、図9(B)に示すように、表面が平坦な2枚の支持板65に挟み込まれて固定されている。また、光ファイバ31の光出射側には、光ファイバ31の端面を保護するために、ガラス等の透明な保護板63が配置されている。保護板63は、光ファイバ31の端面と密着させて配置してもよく、光ファイバ31の端面が密封されるように配置してもよい。光ファイバ31の出射端部は、光密度が高く集塵し易く劣化し易いが、保護板63を配置することにより端面への塵埃の付着を防止することができると共に劣化を遅らせることができる。
【0053】
ここでは、クラッド径が小さい光ファイバ31の出射端を隙間無く1列に配列するために、クラッド径が大きい部分で隣接する2本のマルチモード光ファイバ30の間にマルチモード光ファイバ30を積み重ね、積み重ねられたマルチモード光ファイバ30に結合された光ファイバ31の出射端が、クラッド径が大きい部分で隣接する2本のマルチモード光ファイバ30に結合された光ファイバ31の2つの出射端の間に挟まれるように配列されている。
【0054】
このような光ファイバは、例えば、図10に示すように、クラッド径が大きいマルチモード光ファイバ30のレーザー光出射側の先端部分に、長さ1〜30cmのクラッド径が小さい光ファイバ31を同軸的に結合することにより得ることができる。2本の光ファイバは、光ファイバ31の入射端面が、マルチモード光ファイバ30の出射端面に、両光ファイバの中心軸が一致するように融着されて結合されている。上述した通り、光ファイバ31のコア31aの径は、マルチモード光ファイバ30のコア30aの径と同じ大きさである。
【0055】
また、長さが短くクラッド径が大きい光ファイバにクラッド径が小さい光ファイバを融着させた短尺光ファイバを、フェルールや光コネクタ等を介してマルチモード光ファイバ30の出射端に結合してもよい。コネクタ等を用いて着脱可能に結合することで、クラッド径が小さい光ファイバが破損した場合等に先端部分の交換が容易になり、露光ヘッドのメンテナンスに要するコストを低減できる。なお、以下では、光ファイバ31を、マルチモード光ファイバ30の出射端部と称する場合がある。
【0056】
マルチモード光ファイバ30及び光ファイバ31としては、ステップインデックス型光ファイバ、グレーテッドインデックス型光ファイバ、及び複合型光ファイバの何れでもよい。例えば、三菱電線工業(株)製のステップインデックス型光ファイバを用いることができる。ここでは、マルチモード光ファイバ30及び光ファイバ31は、ステップインデックス型光ファイバであり、マルチモード光ファイバ30は、クラッド径=125μm、コア径=25μm、NA=0.2、入射端面コートの透過率=99.5%以上であり、光ファイバ31は、クラッド径=60μm、コア径=25μm、NA=0.2である。
【0057】
一般に、赤外領域のレーザー光では、光ファイバのクラッド径を小さくすると伝搬損失が増加する。このため、レーザー光の波長帯域に応じて好適なクラッド径が決定されている。しかしながら、波長が短いほど伝搬損失は少なくなり、GaN系半導体レーザーから出射された波長405nmのレーザー光では、クラッドの厚み{(クラッド径−コア径)/2}を800nmの波長帯域の赤外光を伝搬させる場合の1/2程度、通信用の1.5μmの波長帯域の赤外光を伝搬させる場合の約1/4にしても、伝搬損失は殆ど増加しない。従って、クラッド径を60μmと小さくすることができる。
【0058】
但し、光ファイバ31のクラッド径は60μmには限定されない。従来のファイバ光源に使用されている光ファイバのクラッド径は125μmであるが、クラッド径が小さくなるほど焦点深度がより深くなるので、マルチモード光ファイバのクラッド径は80μm以下が好ましく、60μm以下がより好ましく、40μm以下が更に好ましい。一方、コア径は少なくとも3〜4μm必要であることから、光ファイバ31のクラッド径は10μm以上が好ましい。
【0059】
レーザーモジュール64は、図11に示す合波レーザー光源(ファイバ光源)によって構成されている。この合波レーザー光源は、ヒートブロック10上に配列固定された複数(例えば、7個)のチップ状の横マルチモード又はシングルモードのGaN系半導体レーザーLD1,LD2,LD3,LD4,LD5,LD6,及びLD7と、GaN系半導体レーザLD1〜LD7の各々に対応して設けられたコリメータレンズ11,12,13,14,15,16,及び17と、1つの集光レンズ20と、1本のマルチモード光ファイバ30と、から構成されている。なお、半導体レーザーの個数は7個には限定されない。例えば、クラッド径=60μm、コア径=50μm、NA=0.2のマルチモード光ファイバには、20個もの半導体レーザー光を入射することが可能であり、露光ヘッドの必要光量を実現して、且つ光ファイバ本数をより減らすことができる。
【0060】
GaN系半導体レーザーLD1〜LD7は、発振波長が総て共通(例えば、405nm)であり、最大出力も総て共通(例えば、マルチモードレーザでは100mW、シングルモードレーザーでは30mW)である。なお、GaN系半導体レーザーLD1〜LD7としては、350nm〜450nmの波長範囲で、上記の405nm以外の発振波長を備えるレーザーを用いてもよい。
【0061】
上記の合波レーザー光源は、図12及び図13に示すように、他の光学要素と共に、上方が開口した箱状のパッケージ40内に収納されている。パッケージ40は、その開口を閉じるように作成されたパッケージ蓋41を備えており、脱気処理後に封止ガスを導入し、パッケージ40の開口をパッケージ蓋41で閉じることにより、パッケージ40とパッケージ蓋41とにより形成される閉空間(封止空間)内に上記合波レーザー光源が気密封止されている。
【0062】
パッケージ40の底面にはベース板42が固定されており、このベース板42の上面には、前記ヒートブロック10と、集光レンズ20を保持する集光レンズホルダー45と、マルチモード光ファイバ30の入射端部を保持するファイバホルダー46とが取り付けられている。マルチモード光ファイバ30の出射端部は、パッケージ40の壁面に形成された開口からパッケージ外に引き出されている。
【0063】
また、ヒートブロック10の側面にはコリメータレンズホルダー44が取り付けられており、コリメータレンズ11〜17が保持されている。パッケージ40の横壁面には開口が形成され、この開口を通してGaN系半導体レーザーLD1〜LD7に駆動電流を供給する配線47がパッケージ外に引き出されている。
【0064】
なお、図13においては、図の煩雑化を避けるために、複数のGaN系半導体レーザーのうちGaN系半導体レーザーLD7にのみ番号を付し、複数のコリメータレンズのうちコリメータレンズ17にのみ番号を付している。
【0065】
図14は、上記コリメータレンズ11〜17の取り付け部分の正面形状を示すものである。コリメータレンズ11〜17の各々は、非球面を備えた円形レンズの光軸を含む領域を平行な平面で細長く切り取った形状に形成されている。この細長形状のコリメータレンズは、例えば、樹脂又は光学ガラスをモールド成形することによって形成することができる。コリメータレンズ11〜17は、長さ方向がGaN系半導体レーザLD1〜LD7の発光点の配列方向(図14の左右方向)と直交するように、上記発光点の配列方向に密接配置されている。
【0066】
一方、GaN系半導体レーザーLD1〜LD7としては、発光幅が2μmの活性層を備え、活性層と平行な方向、直角な方向の拡がり角が各々例えば10°、30°の状態で各々レーザビームB1〜B7を発するレーザーが用いられている。これらGaN系半導体レーザーLD1〜LD7は、活性層と平行な方向に発光点が1列に並ぶように配設されている。
【0067】
従って、各発光点から発せられたレーザービームB1〜B7は、上述のように細長形状の各コリメータレンズ11〜17に対して、拡がり角度が大きい方向が長さ方向と一致し、拡がり角度が小さい方向が幅方向(長さ方向と直交する方向)と一致する状態で入射することになる。つまり、各コリメータレンズ11〜17の幅が1.1mm、長さが4.6mmであり、それらに入射するレーザービームB1〜B7の水平方向、垂直方向のビーム径は各々0.9mm、2.6mmである。また、コリメータレンズ11〜17の各々は、焦点距離f1=3mm、NA=0.6、レンズ配置ピッチ=1.25mmである。
【0068】
集光レンズ20は、非球面を備えた円形レンズの光軸を含む領域を平行な平面で細長く切り取って、コリメータレンズ11〜17の配列方向、つまり水平方向に長く、それと直角な方向に短い形状に形成されている。この集光レンズ20は、焦点距離f2=23mm、NA=0.2である。この集光レンズ20も、例えば、樹脂又は光学ガラスをモールド成形することにより形成される。
【0069】
次に、上記露光装置の動作について説明する。
スキャナ162の各露光ヘッド166において、ファイバアレイ光源66の合波レーザー光源を構成するGaN系半導体レーザーLD1〜LD7の各々から発散光状態で出射したレーザビームB1,B2,B3,B4,B5,B6,及びB7の各々は、対応するコリメータレンズ11〜17によって平行光化される。平行光化されたレーザービームB1〜B7は、集光レンズ20によって集光され、マルチモード光ファイバ30のコア30aの入射端面に収束する。
【0070】
ここでは、コリメータレンズ11〜17及び集光レンズ20によって集光光学系が構成され、その集光光学系とマルチモード光ファイバ30とによって合波光学系が構成されている。即ち、集光レンズ20によって上述のように集光されたレーザービームB1〜B7が、このマルチモード光ファイバ30のコア30aに入射して光ファイバ内を伝搬し、1本のレーザービームBに合波されてマルチモード光ファイバ30の出射端部に結合された光ファイバ31から出射する。
【0071】
各レーザーモジュールにおいて、レーザービームB1〜B7のマルチモード光ファイバ30への結合効率が0.85で、GaN系半導体レーザーLD1〜LD7の各出力が30mWの場合には、アレイ状に配列された光ファイバ31の各々について、出力180mW(=30mW×0.85×7)の合波レーザービームBを得ることができる。従って、6本の光ファイバ31がアレイ状に配列されたレーザー出射部68での出力は約1W(=180mW×6)である。
【0072】
ファイバアレイ光源66のレーザー出射部68には、この通り高輝度の発光点が主走査方向に沿って一列に配列されている。単一の半導体レーザーからのレーザー光を1本の光ファイバに結合させる従来のファイバ光源は低出力であるため、多数列配列しなければ所望の出力を得ることができなかったが、合波レーザー光源は高出力であるため、少数列、例えば1列でも所望の出力を得ることができる。
【0073】
例えば、半導体レーザーと光ファイバを1対1で結合させた従来のファイバ光源では、通常、半導体レーザーとしては出力30mW(ミリワット)程度のレーザーが使用され、光ファイバとしてはコア径50μm、クラッド径125μm、NA(開口数)0.2のマルチモード光ファイバが使用されているので、約1W(ワット)の出力を得ようとすれば、マルチモード光ファイバを48本(8×6)束ねなければならず、発光領域の面積は0.62mm2(0.675mm×0.925mm)であるから、レーザー出射部68での輝度は1.6×106(W/m2)、光ファイバ1本当りの輝度は3.2×106(W/m2)である。
【0074】
これに対して上述した通り、マルチモード光ファイバ6本で約1Wの出力を得ることができ、レーザー出射部68での発光領域の面積は0.0081mm2(0.325mm×0.025mm)であるから、レーザー出射部68での輝度は123×106(W/m2)となり、従来に比べ約80倍の高輝度化を図ることができる。また、光ファイバ1本当りの輝度は90×106(W/m2)であり、従来に比べ約28倍の高輝度化を図ることができる。
【0075】
ここで、図15(A)及び(B)を参照して、露光ヘッドによる焦点深度の違いについて説明する。図15(A)において、露光ヘッドのバンドル状ファイバ光源の発光領域の副走査方向の径は0.675mmであり、図15(B)において、露光ヘッドのファイバアレイ光源の発光領域の副走査方向の径は0.025mmである。図15(A)に示すように、この露光ヘッドでは、光源(バンドル状ファイバ光源)1の発光領域が大きいので、DMD3へ入射する光束の角度が大きくなり、結果として走査面5へ入射する光束の角度が大きくなる。このため、集光方向(ピント方向のずれ)に対してビーム径が太りやすい。
【0076】
一方、図15(B)に示すように、この露光ヘッドでは、ファイバアレイ光源66の発光領域の副走査方向の径が小さいので、レンズ系67を通過してDMD50へ入射する光束の角度が小さくなり、結果として走査面56へ入射する光束の角度が小さくなる。即ち、焦点深度が深くなる。この例では、発光領域の副走査方向の径は従来の約30倍になっており、略回折限界に相当する焦点深度を得ることができる。従って、微小スポットの露光に好適である。この焦点深度への効果は、露光ヘッドの必要光量が大きいほど顕著であり、有効である。この例では、露光面に投影された1画素サイズは10μm×10μmである。なお、DMDは反射型の空間変調素子であるが、図15(A)及び(B)は、光学的な関係を説明するために展開図とした。
【0077】
露光パターンに応じた画像データが、DMD50に接続された図示しないコントローラに入力され、コントローラ内のフレームメモリに一旦記憶される。この画像データは、画像を構成する各画素の濃度を2値(ドットの記録の有無)で表したデータである。
【0078】
感光材料150を表面に吸着したステージ152は、図示しない駆動装置により、ガイド158に沿ってゲート160の上流側から下流側に一定速度で移動される。ステージ152がゲート160下を通過する際に、ゲート160に取り付けられた検知センサ164により感光材料150の先端が検出されると、フレームメモリに記憶された画像データが複数ライン分ずつ順次読み出され、データ処理部で読み出された画像データに基づいて各露光ヘッド166毎に制御信号が生成される。そして、ミラー駆動制御部により、生成された制御信号に基づいて各露光ヘッド166毎にDMD50のマイクロミラーの各々がオンオフ制御される。
【0079】
ファイバアレイ光源66からDMD50にレーザー光が照射されると、DMD50のマイクロミラーがオン状態のときに反射されたレーザー光は、レンズ系54、58により感光材料150の被露光面56上に結像される。このようにして、ファイバアレイ光源66から出射されたレーザー光が画素毎にオンオフされて、感光材料150がDMD50の使用画素数と略同数の画素単位(露光エリア168)で露光される。また、感光材料150がステージ152と共に一定速度で移動されることにより、感光材料150がスキャナ162によりステージ移動方向と反対の方向に副走査され、各露光ヘッド166毎に帯状の露光済み領域170が形成される。
【0080】
図16(A)及び(B)に示すように、DMD50には、主走査方向にマイクロミラーが800個配列されたマイクロミラー列が、副走査方向に600組配列されているが、ここではコントローラにより一部のマイクロミラー列(例えば、800個×100列)だけが駆動されるように制御する。
【0081】
図16(A)に示すように、DMD50の中央部に配置されたマイクロミラー列を使用してもよく、図16(B)に示すように、DMD50の端部に配置されたマイクロミラー列を使用してもよい。また、一部のマイクロミラーに欠陥が発生した場合は、欠陥が発生していないマイクロミラー列を使用するなど、状況に応じて使用するマイクロミラー列を適宜変更してもよい。
【0082】
DMD50のデータ処理速度には限界があり、使用する画素数に比例して1ライン当りの変調速度が決定されるので、一部のマイクロミラー列だけを使用することで1ライン当りの変調速度が速くなる。一方、連続的に露光ヘッドを露光面に対して相対移動させる露光方式の場合には、副走査方向の画素を全部使用する必要はない。
【0083】
例えば、600組のマイクロミラー列の内、300組だけ使用する場合には、600組全部使用する場合と比較すると1ライン当り2倍速く変調することができる。また、600組のマイクロミラー列の内、200組だけ使用する場合には、600組全部使用する場合と比較すると1ライン当り3倍速く変調することができる。即ち、副走査方向に500mmの領域を17秒で露光できる。更に、100組だけ使用する場合には、1ライン当り6倍速く変調することができる。即ち、副走査方向に500mmの領域を9秒で露光できる。
【0084】
使用するマイクロミラー列の数、即ち、副走査方向に配列されたマイクロミラーの個数は、10以上で且つ200以下が好ましく、10以上で且つ100以下がより好ましい。1画素に相当するマイクロミラー1個当りの面積は15μm×15μmであるから、DMD50の使用領域に換算すると、12mm×150μm以上で且つ12mm×3mm以下の領域が好ましく、12mm×150μm以上で且つ12mm×1.5mm以下の領域がより好ましい。
【0085】
使用するマイクロミラー列の数が上記範囲にあれば、図17(A)及び(B)に示すように、ファイバアレイ光源66から出射されたレーザー光をレンズ系67で略平行光化して、DMD50に照射することができる。DMD50によりレーザー光を照射する照射領域は、DMD50の使用領域と一致することが好ましい。照射領域が使用領域よりも広いとレーザー光の利用効率が低下する。
【0086】
一方、DMD50上に集光させる光ビームの副走査方向の径を、レンズ系67により副走査方向に配列されたマイクロミラーの個数に応じて小さくする必要があるが、使用するマイクロミラー列の数が10未満であると、DMD50に入射する光束の角度が大きくなり、走査面56における光ビームの焦点深度が浅くなるので好ましくない。また、使用するマイクロミラー列の数が200以下が変調速度の観点から好ましい。なお、DMDは反射型の空間変調素子であるが、図17(A)及び(B)は、光学的な関係を説明するために展開図とした。
【0087】
スキャナ162による感光材料150の副走査が終了し、検知センサ164で感光材料150の後端が検出されると、ステージ152は、図示しない駆動装置により、ガイド158に沿ってゲート160の最上流側にある原点に復帰し、再度、ガイド158に沿ってゲート160の上流側から下流側に一定速度で移動される。
【0088】
以上説明した通り、露光ユニット(露光装置)は、主走査方向にマイクロミラーが800個配列されたマイクロミラー列が、副走査方向に600組配列されたDMDを備えているが、コントローラにより一部のマイクロミラー列だけが駆動されるように制御するので、全部のマイクロミラー列を駆動する場合に比べて、1ライン当りの変調速度が速くなる。これにより高速での露光が可能になる。
【0089】
(現像工程(c))
用いる現像液としては、特に制約はなく、特開平5−72724号公報に記載のものなど、公知の現像液を使用することができる。尚、現像液は樹脂層が溶解型の現像挙動をするものが好ましく、例えば、pKa=7〜13の化合物を0.05〜5mol/Lの濃度で含むものが好ましいが、更に水と混和性を有する有機溶剤を少量添加してもよい。
水と混和性を有する有機溶剤としては、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ベンジルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、乳酸エチル、乳酸メチル、ε−カプロラクタム、N−メチルピロリドン等を挙げることができる。該有機溶剤の濃度は0.1質量%〜30質量%が好ましい。
また、上記現像液には、更に公知の界面活性剤を添加することができる。界面活性剤の濃度は0.01質量%〜10質量%が好ましい。
【0090】
現像の方式としては、パドル現像、シャワー現像、シャワー&スピン現像、ディプ現像等、公知の方法を用いることができる。
ここで、上記シャワー現像について説明すると、露光後の樹脂層に現像液をシャワーにより吹き付けることにより、未硬化部分を除去することができる。尚、現像の前に樹脂層の溶解性が低いアルカリ性の液をシャワーなどにより吹き付け、熱可塑性樹脂層、中間層などを除去しておくことが好ましい。また、現像の後に、洗浄剤などをシャワーにより吹き付け、ブラシなどで擦りながら、現像残渣を除去することが好ましい。
洗浄液としては公知のものを使用できるが、(燐酸塩・珪酸塩・ノニオン界面活性剤・消泡剤・安定剤含有、商品名「T−SD1(富士写真フイルム製)」、或いは、炭酸ナトリウム・フェノキシオキシエチレン系界面活性剤含有、商品名「T−SD2(富士写真フイルム製)」)が好ましい。
現像液の液温度は20℃〜40℃が好ましく、また、現像液のpHは8〜13が好ましい。
【0091】
(ポスト露光工程(e))
前記現像工程によって現像化された樹脂層をより硬化させるため、本発明のパターン形成方法においては、ポスト露光を行うことが好ましい。ここで、ポスト露光に用いる光源としては、樹脂層を硬化しうる波長域の光(例えば、365nm、405nmなど)を照射できるものであれば適宜選定して用いることができる。具体的には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ等が特に好ましく用いられる。露光量としては、通常10〜10000mJ/cm2であり、好ましくは100〜1000mJ/cm2である。
【0092】
(ポストベーク工程(d))
本発明におけるパターンを形成した後、その上に製膜されるITO膜を所望の低抵抗とするため、本発明のパターン形成方法においてはポストベークが行われる。
ポストベークの温度は、ITO製膜時のクラック発生をより効果的に防止し、それによって所望の抵抗値を得る観点から180℃以上であることが好ましく、更に180〜260℃であることが好ましく、特に200℃〜240℃が好ましい。またその時間としては、前記の温度を保ったまま10〜300分ベークすることが好ましく、更には15〜200分、特には20〜150分が好ましい。
また、上記クラックの発生を更に効果的に防止するため、室温から前記ポストベーク温度までの昇温は徐々に行うことが好ましく、具体的には一定速度で1〜100分、更には5〜60分、特には5〜20分かけて前記温度にまで昇温することが好ましい。
【0093】
本発明におけるパターンは上述のようにして形成されるが、例えば、K(ブラック)・R・G・Bの4色からなるカラーフィルターの形成のように、樹脂組成物を順次塗布して重ねる場合には、塗布液のレベリングのため重ねるごとに膜厚が薄くなってしまうことがある。このため、該パターンの上には更に分割配向用突起を重ねることが好ましい。一方、熱可塑性樹脂層を有する転写材料を用いる場合は、厚みが一定に保たれるため、重ねる色は3又は2色とすることが好ましい。
【0094】
<光重合系感光性樹脂組成物>
次いで、本発明のパターン形成方法に用いられる樹脂組成物について説明する。
該樹脂組成物としては、(1)アルカリ可溶性樹脂と、(2)モノマー又はオリゴマーと、(3)光重合開始剤又は光重合開始剤系と、(4)着色剤と、を含む感光性の樹脂組成物が好ましい。
以下、これら(1)〜(4)の成分について順次述べる。
【0095】
(1)アルカリ可溶性樹脂
本発明におけるアルカリ可溶性樹脂(以下、単に「バインダー」ということがある。)としては、側鎖にカルボン酸基やカルボン酸塩基などの極性基を有するポリマーが好ましい。その例としては、特開昭59−44615号公報、特公昭54−34327号公報、特公昭58−12577号公報、特公昭54−25957号公報、特開昭59−53836号公報及び特開昭59−71048号公報に記載されているようなメタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等を挙げることができる。また側鎖にカルボン酸基を有するセルロース誘導体も挙げることができ、またこの他にも、水酸基を有するポリマーに環状酸無水物を付加したものも好ましく使用することができる。また、特に好ましい例として、米国特許第4139391号明細書に記載のベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸との共重合体や、ベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸と他のモノマーとの多元共重合体を挙げることができる。これらの極性基を有するバインダーポリマーは、単独で用いてもよく、或いは通常の膜形成性のポリマーと併用する組成物の状態で使用してもよく、樹脂組成物の全固形分に対する含有量は20〜50質量%が一般的であり、25〜45質量%が好ましい。
【0096】
(2)モノマー又はオリゴマー
本発明におけるモノマー又はオリゴマーとしては、エチレン性不飽和二重結合を2個以上有し、光の照射によって付加重合するモノマー又はオリゴマーであることが好ましい。そのようなモノマー及びオリゴマーとしては、分子中に少なくとも1個の付加重合可能なエチレン性不飽和基を有し、沸点が常圧で100℃以上の化合物を挙げることができる。その例としては、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート及びフェノキシエチル(メタ)アクリレートなどの単官能アクリレートや単官能メタクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)シアヌレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパンやグリセリン等の多官能アルコールにエチレンオキシド又はプロピレンオキシドを付加した後(メタ)アクリレート化したもの等の多官能アクリレートや多官能メタクリレートを挙げることができる。
【0097】
更に特公昭48−41708号公報、特公昭50−6034号公報及び特開昭51−37193号公報に記載されているウレタンアクリレート類;特開昭48−64183号公報、特公昭49−43191号公報及び特公昭52−30490号公報に記載されているポリエステルアクリレート類;エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸の反応生成物であるエポキシアクリレート類等の多官能アクリレー卜やメタクリレートを挙げることができる。
これらの中で、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジぺンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートが好ましい。
また、この他、特開平11−133600号公報に記載の「重合性化合物B」も好適なものとして挙げることができる。
これらのモノマー又はオリゴマーは、単独でも、二種類以上を混合して用いてもよく、樹脂組成物の全固形分に対する含有量は5〜50質量%が一般的であり、10〜40質量%が好ましい。
【0098】
(3)光重合開始剤又は光重合開始剤系
樹脂組成物を硬化させる方法としては、本発明では光重合開始剤又は光重合開始系が用いられる。ここで用いる光重合開始剤は、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等の放射線の照射(露光ともいう)により、後述の多官能性モノマーの重合を開始する活性種を発生し得る化合物であり、公知の光重合開始剤若しくは光重合開始剤系の中から適宜選択することができる。
例えば、トリハロメチル基含有化合物、アクリジン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、ベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、α−ジケトン系化合物、多核キノン系化合物、キサントン系化合物、ジアゾ系化合物、等を挙げることができる。
【0099】
具体的には、特開2001−117230公報に記載の、トリハロメチル基が置換したトリハロメチルオキサゾール誘導体又はs−トリアジン誘導体、米国特許第4239850号明細書に記載のトリハロメチル−s−トリアジン化合物、米国特許第4212976号明細書に記載のトリハロメチルオキサジアゾール化合物などのトリハロメチル基含有化合物;
9−フェニルアクリジン、9−ピリジルアクリジン、9−ピラジニルアクリジン、1,2−ビス(9−アクリジニル)エタン、1,3−ビス(9−アクリジニル)プロパン、1,4−ビス(9−アクリジニル)ブタン、1,5−ビス(9−アクリジニル)ペンタン、1,6−ビス(9−アクリジニル)ヘキサン、1,7−ビス(9−アクリジニル)ヘプタン、1,8−ビス(9−アクリジニル)オクタン、1,9−ビス(9−アクリジニル)ノナン、1,10−ビス(9−アクリジニル)デカン、1,11−ビス(9−アクリジニル)ウンデカン、1,12−ビス(9−アクリジニル)ドデカン等のビス(9−アクリジニル)アルカン、などのアクリジン系化合物;
6−(p−メトキシフェニル)−2,4−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、6−〔p−(N,N−ビス(エトキシカルボニルメチル)アミノ)フェニル〕−2,4−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジンなどのトリアジン系化合物;
その他、9,10−ジメチルベンズフェナジン、ミヒラーズケトン、ベンゾフェノン/ミヒラーズケトン、ヘキサアリールビイミダゾール/メルカプトベンズイミダゾール、ベンジルジメチルケタール、チオキサントン/アミン、2,2'−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾールなどが挙げられる。
【0100】
上記のうち、トリハロメチル基含有化合物、アクリジン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物から選択される少なくとも一種が好ましく、特に、ビイミダゾール系化合物、トリハロメチル基含有化合物及びアクリジン系化合物から選択される少なくとも一種を含有することが好ましい。ビイミダゾール系化合物、トリハロメチル基含有化合物、アクリジン系化合物は、汎用性でかつ安価である点でも有用である。
【0101】
特に好ましいのは、トリハロメチル基含有化合物としては、2−トリクロロメチル−5−(p−スチリルスチリル)−1,3,4−オキサジアゾールであり、アクリジン系化合物としては、9−フェニルアクリジンであり、更に、6−〔p−(N,N−ビス(エトキシカルボニルメチル)アミノ)フェニル〕−2,4−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−ブトキシスチリル)−5−トリクロロメチル−1,3,4−オキサジアゾールなどのトリハロメチル基含有化合物、及びミヒラーズケトン、2,2'−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾールである。
【0102】
前記光重合開始剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。前記光重合開始剤の樹脂組成物における総量としては、樹脂組成物の全固形分(質量)の0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜10質量%が特に好ましい。前記総量が、0.1質量%未満であると、組成物の光硬化の効率が低く露光に長時間を要することがあり、20質量%を超えると、現像する際に、形成された画像パターンが欠落したり、パターン表面に荒れが生じやすくなることがある。
【0103】
樹脂層への露光における露光感度や感光波長を調製する目的で、前記光重合開始剤に加えて、増感剤を添加することが可能である。
前記増感剤は、光照射手段としての可視光線や紫外光・可視光レーザなどにより適宜選択することができる。
前記増感剤は、活性エネルギー線により励起状態となり、他の物質(例えば、ラジカル発生剤、酸発生剤等)と相互作用(例えば、エネルギー移動、電子移動等)することにより、ラジカルや酸等の有用基を発生することが可能である。
【0104】
前記増感剤としては、特に制限はなく、公知の増感剤の中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、公知の多核芳香族類(例えば、ピレン、ペリレン、トリフェニレン)、キサンテン類(例えば、フルオレセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、シアニン類(例えば、インドカルボシアニン、チアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)、アクリドン類(例えば、アクリドン、クロロアクリドン、N−メチルアクリドン、N−ブチルアクリドン、10−N−ブチル−2−クロロアクリドン等)、クマリン類(例えば、3−(2−ベンゾフロイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(2−ベンゾフロイル)−7−(1−ピロリジニル)クマリン、3−ベンゾイル−7−ジエチルアミノクマリン、3−(2−メトキシベンゾイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(4−ジメチルアミノベンゾイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3,3’−カルボニルビス(5,7−ジ−n−プロポキシクマリン)、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、3−ベンゾイル−7−メトキシクマリン、3−(2−フロイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(4−ジエチルアミノシンナモイル)−7−ジエチルアミノクマリン、7−メトキシ−3−(3−ピリジルカルボニル)クマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジプロポキシクマリン等が挙げられ、他に特開平5−19475号、特開平7−271028号、特開2002−363206号、特開2002−363207号、特開2002−363208号、特開2002−363209号等の各公報に記載のクマリン化合物など)が挙げられる。
【0105】
前記光重合開始剤と前記増感剤との組合せとしては、例えば、特開2001−305734号公報に記載の電子移動型開始系[(1)電子供与型開始剤及び増感色素、(2)電子受容型開始剤及び増感色素、(3)電子供与型開始剤、増感色素及び電子受容型開始剤(三元開始系)]などの組合せが挙げられる。
【0106】
前記増感剤の含有量としては、前記感光性樹脂組成物中の全成分に対し、0.05〜30質量%が好ましく、0.1〜20質量%がより好ましく、0.2〜10質量%が特に好ましい。該含有量が、0.05質量%以上であることにより、活性エネルギー線への感度が向上し、露光プロセス時間を短縮でき、生産性を向上することができる。一方30質量%以下であることにより、保存時における樹脂層からの増感剤析出を効果的に防止することができる。
【0107】
前記光重合開始剤は、水素供与体を併用して構成されてもよい。該水素供与体としては、感度をより良化することができる点で、以下で定義するメルカプタン系化合物、アミン系化合物等が好ましい。ここでの「水素供与体」とは、露光により前記光重合開始剤から発生したラジカルに対して、水素原子を供与することができる化合物をいう。
【0108】
前記メルカプタン系化合物は、ベンゼン環或いは複素環を母核とし、該母核に直接結合したメルカプト基を1個以上、好ましくは1〜3個、更に好ましくは1〜2個有する化合物(以下、「メルカプタン系水素供与体」という)である。また、前記アミン系化合物は、ベンゼン環或いは複素環を母核とし、該母核に直接結合したアミノ基を1個以上、好ましくは1〜3個、更に好ましくは1〜2個有する化合物(以下、「アミン系水素供与体」という)である。尚、これらの水素供与体は、メルカプト基とアミノ基とを同時に有していてもよい。
【0109】
上記のメルカプタン系水素供与体の具体例としては、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプト−2,5−ジメチルアミノピリジン、等が挙げられる。これらのうち、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾールが好ましく、特に2−メルカプトベンゾチアゾールが好ましい。
【0110】
上記のアミン系水素供与体の具体例としては、4、4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4、4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−ジエチルアミノアセトフェノン、4−ジメチルアミノプロピオフェノン、エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノベンゾニトリル等が挙げられる。これらのうち、4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが好ましく、特に4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが好ましい。
【0111】
前記水素供与体は、単独で又は2種以上を混合して使用することができ、形成された画像が現像時に永久支持体上から脱落し難く、かつ強度及び感度も向上させ得る点で、1 種以上のメルカプタン系水素供与体と1種以上のアミン系水素供与体とを組合せて使用することが好ましい。
【0112】
前記メルカプタン系水素供与体とアミン系水素供与体との組合せの具体例としては、2−メルカプトベンゾチアゾール/4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、2−メルカプトベンゾチアゾール/4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2−メルカプトベンゾオキサゾール/4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、2−メルカプトベンゾオキサゾール/4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられる。より好ましい組合せは、2−メルカプトベンゾチアゾール/4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2−メルカプトベンゾオキサゾール/4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンであり、特に好ましい組合せは、2−メルカプトベンゾチアゾール/4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンである。
【0113】
前記メルカプタン系水素供与体とアミン系水素供与体とを組合せた場合の、メルカプタン系水素供与体(M)とアミン系水素供与体(A)との質量比(M:A)は、通常1:1〜1:4が好ましく、1:1〜1:3がより好ましい。前記水素供与体の樹脂組成物における総量としては、樹脂組成物の全固形分(質量)の0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜10質量%が特に好ましい。
【0114】
(4)着色剤
本発明における着色剤としては、R(レッド)の樹脂組成物においてはC.I.ピグメント・レッド(C.I.P.R.)254が、G(グリーン)の樹脂組成物においてはC.I.ピグメント・グリーン(C.I.P.G.)36が、B(ブルー)の樹脂組成物においてはC.I.ピグメント・ブルー(C.I.P.B.)15:6が好適なものとして挙げられる。
【0115】
また上記顔料の他には、下記に記載のカラーインデックス(C.I.)番号が付されている公知の染料、顔料等を挙げることができる。尚、該公知の着色剤のうち顔料を用いる場合には、樹脂組成物中に均一に分散されていることが望ましく、そのため粒径が0.1μm以下、特には0.08μm以下であることが好ましい。
上記公知の染料ないし顔料としては、具体的には、前記顔料として、特開2005−17716号公報[0038]〜[0054]に記載の顔料及び染料や、特開2004−361447号公報[0068]〜[0072]に記載の顔料や、特開2005−17521号公報[0080]〜[0088]に記載の着色剤を好適に用いることができる。
【0116】
本発明において、併用するのが好ましい上記記載の顔料の組合せは、C.I.ピグメント・レッド254では、C.I.ピグメント・レッド177、C.I.ピグメント・レッド224、C.I.ピグメント・イエロー139又はC.I.ピグメント・バイオレット23との組合せが挙げられ、C.I.ピグメント・グリーン36では、C.I.ピグメント・イエロー150、C.I.ピグメント・イエロー139、C.I.ピグメント・イエロー185、C.I.ピグメント・イエロー138又はC.I.ピグメント・イエロー180との組合せが挙げられ、C.I.ピグメント・ブルー15:6では、C.I.ピグメント・バイオレット23又はC.I.ピグメント・ブルー60との組合せが挙げられる。
【0117】
このように、併用する場合の顔料中のC.I.ピグメント・レッド.254、C.I.P.G.36、C.I.P.B.15:6の含有量は、C.I.ピグメント・レッド.254は、80質量%以上が好ましく、特に90質量%以上が好ましい。C.I.P.G.36は、50質量%以上が好ましく、特に60質量%以上が好ましい。、C.I.P.B.15:6は、80質量%以上が好ましく、特に90質量%以上が好ましい。
【0118】
上記顔料はまず分散液とすることが望ましい。この分散液は、前記顔料と顔料分散剤とを予め混合して得られる組成物を、後述する有機溶媒(又はビヒクル)に添加して分散させることによって調製することができる。前記ビビクルとは、塗料が液体状態にあるときに顔料を分散させている媒質の部分をいい、液状であって前記顔料と結合して塗膜を固める部分(バインダー)と、これを溶解希釈する成分(有機溶媒)とを含む。前記顔料を分散させる際に使用する分散機としては、特に制限はなく、例えば、朝倉邦造著、「顔料の事典」、第一版、朝倉書店、2000年、438頁に記載されているニーダー、ロールミル、アトライダー、スーパーミル、ディゾルバ、ホモミキサー、サンドミル等の公知の分散機が挙げられる。さらに該文献310頁記載の機械的摩砕により、摩擦力を利用し微粉砕してもよい。
【0119】
本発明で用いる着色剤(顔料)は、数平均粒径0.001〜0.1μmのものが好ましく、更に0.01〜0.08μmのものが好ましい。顔料数平均粒径が0.001μm未満であると、粒子表面エネルギーが大きくなり凝集し易くなり、顔料分散が難しくなるとともに、分散状態を安定に保つことも難しくなり好ましくない。また、数平均粒径が0.1μmを超えると、顔料による偏光の解消が生じ、コントラストが低下し、好ましくない。なお、本明細書でいう「粒径」とは、電子顕微鏡写真画像を同面積の円としたときの直径を言い、「数平均粒径」とは多数の粒子について該粒径を求め、この100個平均値を言う。
【0120】
尚、粒径を小さくするには顔料分散物の分散時間を調整することで達成できる。分散には、上記記載の公知の分散機を用いることができ、分散時間としては、好ましくは10〜30時間であり、更に好ましくは18〜30時間、最も好ましくは24〜30時間である。分散時間が10時間未満であると、顔料粒径が大きく顔料による偏光の解消が生じコントラストが低下することがある。一方、分散時間が30時間を超えると、分散液の粘度が上昇し、塗布が困難になることがある。
【0121】
(その他の添加剤)
−溶媒−
本発明の樹脂組成物においては、上記成分の他に、更に有機溶媒を用いてもよい。有機溶媒の例としては、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、シクロヘキサノール、メチルイソブチルケトン、乳酸エチル、乳酸メチル、カプロラクタム等を挙げることができる。
【0122】
−界面活性剤−
従来カラーフィルターを形成する場合には、高い色純度を実現するために各画素の色が濃くなり、画素の膜厚のムラが、そのまま色ムラとして認識されるという問題があった。そのため、画素の膜厚に直接影響する、樹脂層の形成(塗布)時の、膜厚変動の良化が求められていた。
本発明においては、均一な膜厚に制御でき、塗布ムラ(膜厚変動による色ムラ)を効果的に防止するという観点から、該樹脂組成物中に適切な界面活性剤を含有させることが好ましい。上記界面活性剤としては、特開2003−337424号公報、特開平11−133600号公報に開示されている界面活性剤が、好適なものとして挙げられる。
【0123】
−熱重合防止剤−
本発明の樹脂組成物は、熱重合防止剤を含むことが好ましい。該熱重合防止剤の例としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4'−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−メルカプトベンズイミダゾール、フェノチアジン等が挙げられる。
【0124】
−紫外線吸収剤−
本発明の樹脂組成物には、必要に応じて紫外線吸収剤を含有することができる。紫外線吸収剤としては、特開平5−72724号公報記載の化合物のほか、サリシレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系、ニッケルキレート系、ヒンダードアミン系などが挙げられる。
具体的には、フェニルサリシレート、4−t−ブチルフェニルサリシレート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3',5'−ジ−t−4'−ヒドロキシベンゾエート、4−t−ブチルフェニルサリシレート、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3'−t−ブチル−5'−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、2,2'−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、ニッケルジブチルジチオカーバメート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピリジン)−セバケート、4−t−ブチルフェニルサリシレート、サルチル酸フェニル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン縮合物、コハク酸−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリデニル)−エステル、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、7−{[4−クロロ−6−(ジエチルアミノ)−5−トリアジン−2−イル]アミノ}−3−フェニルクマリン等が挙げられる。
【0125】
また、本発明における樹脂組成物においては、上記添加剤の他に、特開平11−133600号公報に記載の「接着助剤」や、その他の添加剤等を含有させることができる。
【0126】
<樹脂転写材料>
次いで、本発明のパターン形成方法に用いられる樹脂転写材料について説明する。
樹脂転写材料としては、特開平5−72724号公報に記載されている樹脂転写材料、すなわち一体型となったフイルムを用いて形成することが好ましい。該一体型フイルムの構成の例としては、仮支持体/熱可塑性樹脂層/中間層/感光性樹脂層/保護フイルム、仮支持体/熱可塑性樹脂層/感光性樹脂層/保護フイルムを、この順に積層した構成が好適なものとして挙げられる。
尚、この樹脂転写材料は、上記感光性樹脂組成物の感光性樹脂層を設けることが必須である。
【0127】
−仮支持体−
上記樹脂転写材料の仮支持体としては、可撓性を有し、加圧若しくは加圧及び加熱下においても著しい変形、収縮若しくは伸びを生じないことが必要である。そのような支持体の例としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、トリ酢酸セルロースフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム等を挙げることができ、中でも2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが特に好ましい。
仮支持体の厚さに特に制限はないが、5〜200μmの範囲が一般的で、特に10〜150μmの範囲のものが取扱い易さ、汎用性などの点から有利であり好ましい。また、仮支持体は、透明でもよいし、染料化ケイ素、アルミナゾル、クロム塩、ジルコニウム塩などを含有していても良い。
【0128】
−熱可塑性樹脂層−
熱可塑性樹脂層に用いる成分としては、特開平5−72724号公報に記載されている有機高分子物質が好ましく、ヴイカーVicat法(具体的にはアメリカ材料試験法エーエステーエムデーASTMD1235によるポリマー軟化点測定法)による軟化点が約80℃以下の有機高分子物質より選ばれることが特に好ましい。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、エチレンと酢酸ビニル或いはそのケン化物の様なエチレン共重合体、エチレンとアクリル酸エステル或いはそのケン化物、ポリ塩化ビニル、塩化ビニルと酢酸ビニル及びそのケン化物の様な塩化ビニル共重合体、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン共重合体、ポリスチレン、スチレンと(メタ)アクリル酸エステル或いはそのケン化物の様なスチレン共重合体、ポリビニルトルエン、ビニルトルエンと(メタ)アクリル酸エステル或いはそのケン化物の様なビニルトルエン共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸ブチルと酢酸ビニル等の(メタ)アクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル共重合体ナイロン、共重合ナイロン、N−アルコキシメチル化ナイロン、N−ジメチルアミノ化ナイロンの様なポリアミド樹脂等の有機高分子が挙げられる。
【0129】
−中間層−
上記樹脂転写材料においては、複数の塗布層の塗布時、及び塗布後の保存時における成分の混合を防止する目的から、中間層を設けることが好ましい。該中間層としては、特開平5−72724号公報に「分離層」として記載されている、酸素遮断機能のある酸素遮断膜を用いることが好ましく、この場合、露光時感度がアップし、露光機の時間負荷が減り、生産性が向上する。
該酸素遮断膜としては、低い酸素透過性を示し、水又はアルカリ水溶液に分散又は溶解するものが好ましく、公知のものの中から適宜選択することができる。これらの内、特に好ましいのは、ポリビニルアルコールとポリビニルピロリドンとの組み合わせである。
【0130】
−保護フイルム−
樹脂層の上には、貯蔵の際の汚染や損傷から保護するために薄い保護フイルムを設けることが好ましい。保護フイルムは仮支持体と同じか又は類似の材料からなってもよいが、樹脂層から容易に分離されねばならない。保護フイルム材料としては例えばシリコーン紙、ポリオレフィン若しくはポリテトラフルオロエチレンシートが適当である。
【0131】
−樹脂転写材料の作製方法−
本発明における樹脂転写材料は、仮支持体上に熱可塑性樹脂層の添加剤を溶解した塗布液(熱可塑性樹脂層用塗布液)を塗布し、乾燥することにより熱可塑性樹脂層を設け、その後熱可塑性樹脂層上に熱可塑性樹脂層を溶解しない溶剤からなる中間層材料の溶液を塗布、乾燥し、その後に感光性樹脂組成物の感光性樹脂層を、中間層を溶解しない溶剤で塗布、乾燥して設けることにより作製することができる。
また、前記の仮支持体上に熱可塑性樹脂層及び中間層を設けたシート、及び保護フイルム上に感光性樹脂層を設けたシートを用意し、中間層と感光性樹脂層が接するように相互に貼り合わせることによっても、更には、前記の仮支持体上に熱可塑性樹脂層を設けたシート、及び保護フイルム上に感光性樹脂層及び中間層を設けたシートを用意し、熱可塑性樹脂層と中間層が接するように相互に貼り合わせることによっても、作製することができる。
尚、樹脂転写材料において、感光性樹脂組成物の感光性樹脂層の膜厚としては、1.0〜5.0μmが好ましく、1.0〜4.0μmがより好ましく、1.0〜3.0μmが特に好ましい。
また、特に限定されるわけではないが、その他の各層の好ましい膜厚としては、熱可塑性樹脂層は2〜30μm、中間層は0.5〜3.0μm、保護フイルムは4〜40μmが、好ましい。
【0132】
尚、上記樹脂転写材料の作製方法における塗布は、前記<パターン形成方法>における(樹脂層形成工程)の項で列挙したような公知の塗布装置等によって行うことができるが、本発明においては、特にスリット状ノズルを用いた塗布装置(スリットコータ)によって行うことが好ましい。
【0133】
<基板>
本発明のパターン形成方法で用いる基板としては、例えば、透明基板が用いられ、表面に酸化ケイ素皮膜を有するソーダガラス板、低膨張ガラス、ノンアルカリガラス、石英ガラス板等の公知のガラス板、或いは、プラスチックフィルム等を挙げることができる。
また、上記基板は、予めカップリング処理を施しておくことにより、樹脂組成物、又は樹脂転写材料との密着を良好にすることができる。該カップリング処理としては、特開2000−39033号公報記載の方法が好適に用いられる。尚、特に限定されるわけではないが、基板の膜厚としては、700〜1200μmが一般的に好ましい。
【0134】
<ITO透明電極>
上述のパターン形成方法によって基板上に設けられるパターンは、その上にITO透明電極(ITO膜)を形成した場合に、低抵抗で面内の抵抗値変動が小さいITO膜が得られるという効果を有する。
ここで、上記ITO膜の形成は、一般的に用いられる公知の方法を適宜選択して行うことができ、例えば、スパッタ装置を用いてITOをスパッタし形成することができる。尚、より低抵抗で、且つ面内の抵抗値変動がより小さいITO膜を得るという観点から、スパッタするの際の条件としては、真空度が1×10-3Pa以下であることが好ましく、1×10-5Pa以下がより好ましい。また、加速電圧は1kV〜100kVであることが好ましく、5kV〜50kVがより好ましい。また、温度は100〜300℃が好ましく、特に150〜250℃が好ましい。上記の方法によって得られるITO膜は、抵抗値と透明性という観点から、膜厚500〜5000Åであることが好ましく、1000〜3000Åであることがより好ましい。
【0135】
<カラーフィルター付基板及び表示素子>
本発明のカラーフィルター付基板は、前述のパターン形成方法によってカラーフィルターの画素を形成することを特徴とし、また該カラーフィルター上にITO膜が形成された態様であってもよい。
尚、カラーフィルターの形成においては、特開平11−248921号公報、特許3255107号公報に記載のように、カラーフィルターを形成する樹脂組成物を重ねることで土台を形成し、その上に透明電極(ITO膜)を形成し、更に分割配向用の突起を重ねることでスペーサーを形成することが、コストダウンの観点で好ましい。
【0136】
また、本発明の表示素子(表示装置)は、上記カラーフィルター付基板を備えるものであれば、特に限定するものではなく、液晶表示素子や有機EL素子などが挙げられる。液晶表示装置としては、ECB(Electrically Controlled Birefringence)、TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)、HAN(Hybrid Aligned Nematic)、GH(Guest Host)のような様々な表示モードが採用でき、ノートパソコン用ディスプレイやテレビモニター等の大画面の液晶表示装置等にも好適に用いることができる。
【実施例】
【0137】
以下、本発明を実施例を用いて更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、以下において「部」、「%」及び「分子量」は「質量部」、「質量%」及び「質量平均分子量」を表す。
【0138】
(実施例1)
[ITO付カラーフィルター基板の作製]
−感光性樹脂転写材料の作製−
厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム仮支持体の上に、スリット状ノズルを用いて、下記処方H1からなる熱可塑性樹脂層用塗布液を塗布、乾燥させた。次に、下記処方P1から成る中間層用塗布液を塗布、乾燥させた。更に、下記表1記載の処方K1の組成よりなる着色感光性樹脂組成物K1を塗布、乾燥させ、該仮支持体の上に乾燥膜厚が14.6μmの熱可塑性樹脂層と、乾燥膜厚が1.6μmの中間層と、乾燥膜厚が2.4μmの感光性樹脂層を設け、保護フイルム(厚さ12μmポリプロピレンフィルム)を圧着した。
こうして仮支持体と熱可塑性樹脂層と中間層(酸素遮断膜)とブラック(K)の感光性樹脂層とが一体となった感光性樹脂転写材料を作製し、サンプル名を感光性樹脂転写材料K1とした。
【0139】
熱可塑性樹脂層用塗布液:処方H1
・メタノール 11.1部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 6.36部
・メチルエチルケトン 52.4部
・メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/ベンジル
メタクリレート/メタクリル酸共重合体(共重合組成比(モル比)
=55/11.7/4.5/28.8、分子量=10万、Tg≒70℃) 5.83部
・スチレン/アクリル酸共重合体(共重合組成比(モル比)
=63/37、分子量=1万、Tg≒100℃) 13.6部
・ビスフェノールAにペンタエチレングリコールモノメタクリート
を2当量脱水縮合した化合物
(新中村化学工業(株)製、2,2−ビス[4−
(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパン) 9.1部
・界面活性剤1(大日本インキ化学工業(株)製、商品名:メガファックF780F)
0.54部
【0140】
中間層用塗布液:処方P1
・PVA205(ポリビニルアルコール、(株)クラレ製、
鹸化度=88%、重合度550) 32.2部
・ポリビニルピロリドン(アイエスピー・ジャパン(株)製、K−30) 14.9部
・蒸留水 524部
・メタノール 429部
【0141】
次に、前記感光性樹脂転写材料K1の作製において用いた前記着色感光性樹脂組成物K1を、下記表1に記載の組成よりなる下記着色感光性樹脂組成物R1、G1及びB1に変更し、それ以外は上記と同様の方法により、感光性樹脂転写材料R1、G1及びB1を作製した。
【0142】
【表1】
【0143】
−ブラック(K)画像の形成−
無アルカリガラス基板を、25℃に調整したガラス洗浄剤液をシャワーにより20秒間吹き付けながらナイロン毛を有する回転ブラシで洗浄し、純水シャワー洗浄後、シランカップリング液(N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン0.3%水溶液、商品名:KBM603、信越化学工業(株)製)をシャワーにより20秒間吹き付け、純水シャワー洗浄した。この基板を基板予備加熱装置で100℃2分加熱した。
【0144】
前記感光性樹脂転写材料K1の保護フイルムを剥離後、ラミネーター((株)日立インダストリイズ社製(LamicII型))を用い、前記100℃に加熱した基板に、ゴムローラー温度130℃、線圧100N/cm、搬送速度2.2m/分でラミネートした。
保護フイルムを剥離後、レーザーによるパターン露光を行った。具体的には、中心波長405nmを有する半導体レーザーにより(1W)膜面に光路が並行になる光学系を介して露光した。露光量は40mJ/cm2であった。
【0145】
次に、トリエタノールアミン系現像液(2.5%のトリエタノールアミン含有、ノニオン界面活性剤含有、ポリプロピレン系消泡剤含有、商品名:T−PD1、富士写真フイルム(株)製)にて30℃50秒、フラットノズル圧力0.04MPaでシャワー現像し熱可塑性樹脂層と中間層を除去した。
【0146】
引き続き炭酸Na系現像液(0.06モル/リットルの炭酸水素ナトリウム、同濃度の炭酸ナトリウム、1%のジブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アニオン界面活性剤、消泡剤、安定剤含有、商品名:T−CD1、富士写真フイルム(株)製)を用い、29℃30秒、コーン型ノズル圧力0.15MPaでシャワー現像し感光性樹脂層を現像しパターニング画像を得た。
引き続き洗浄剤(燐酸塩・珪酸塩・ノニオン界面活性剤・消泡剤・安定剤含有、商品名「T−SD1(富士写真フイルム(株)製)」)を用い、33℃20秒、コーン型ノズル圧力0.02MPaでシャワーとナイロン毛を有す回転ブラシにより残渣除去を行い、ブラック(K)の画像を得た。
【0147】
その後更に、該基板を室温から220℃まで5分間かけ一定の速度で昇温し、220℃のまま15分熱処理(ポストベーク)した。
このKの画像を形成した基板を再び、前記のようにブラシで洗浄し、純水シャワー洗浄後、シランカップリング液は使用せずに、基板予備加熱装置により100℃2分加熱した。
【0148】
−レッド(R)画素の形成−
前記感光性樹脂転写材料R1を用い、ブラック(K)の画素を形成した基板上に、前記感光性樹脂転写材料K1と同様の工程で、レッド(R)の画素を得た。但し、パターン露光の露光量は20mJ/cm2、炭酸Na系現像液による現像は35℃35秒とした。
【0149】
該感光性樹脂層R1の膜厚は2.0μmであり、顔料C.I.ピグメント・レッド254及びC.I.ピグメント・レッド.177の塗布量はそれぞれ、0.88及び0.22g/m2であった。
このRの画素を形成した基板を再び、前記のようにブラシで洗浄し、純水シャワー洗浄後、シランカップリング液は使用せずに、基板予備加熱装置により100℃2分加熱した。
【0150】
−グリーン(G)画素の形成−
前記感光性樹脂転写材料G1を用い、前記レッド(R)画素を形成した基板上に、前記感光性樹脂転写材料R1と同様の工程で、グリーン(G)の画素を得た。但し、パターン露光の露光量は20mJ/cm2、炭酸Na系現像液による現像は34℃45秒とした。
該感光性樹脂層G1の膜厚は2.0μmであり、顔料C.I.ピグメント・グリーン36及びC.I.ピグメント・イエロー150の塗布量はそれぞれ、1.12及び0.48g/m2であった。
RとGの画像を形成した基板を再び、前記のようにブラシで洗浄し、純水シャワー洗浄後、シランカップリング液は使用せずに、基板予備加熱装置により100℃2分加熱した。
【0151】
−ブルー(B)画素の形成−
前記感光性樹脂転写材料B1を用い、前記レッド(R)画素とグリーン(G)画素を形成した基板上に、前記感光性樹脂転写材料R1と同様の工程で、ブルー(B)の画素を得た。但し、パターン露光の露光量は10mJ/cm2、炭酸Na系現像液による現像は36℃40秒とした。
該感光性樹脂層B1の膜厚は2.0μmであり、顔料C.Iピグメント・ブルー15:6及びC.I.ピグメント・バイオレット23の塗布量はそれぞれ、0.63及び0.07g/m2であった。
このR、G、B及びKの画像を形成した基板を240℃で50分ベークして、目的のカラーフィルターを得た。
【0152】
ここで、表1に記載の着色感光性樹脂組成物K1、R1、G1、B1の調製について説明する。
着色感光性樹脂組成物K1は、まず表1に記載の量のK顔料分散物1、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートをはかり取り、温度24℃(±2℃)で混合して150rpmで10分間攪拌し、次いで、メチルエチルケトン、バインダー1、DPHA液、B−CIM(2,2−ビス(2−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、保土谷化学工業社製)、NBCA(黒金化学製)、N−フェニルメルカプトベンズイミダゾール、ハイドロキノンモノメチルエーテル、界面活性剤1をはかり取り、温度25℃(±2℃)でこの順に添加して、温度40℃(±2℃)で150rpmで30分間攪拌することによって得られる。
【0153】
尚、処方K1に記載の組成物の内、
K顔料分散物1の組成は、
・カーボンブラック(デグッサ社製、商品名Special Black 250) 13.1部
・N,N'−ビス−(3−ジエチルアミノプロピル)−5−{4−
[2−オキソ−1−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−
ベンゾイミダゾール−5−イルカルバモイル)−プロピルアゾ]
−ベンゾイルアミノ}−イソフタルアミド 0.65部
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=72/28
モル比のランダム共重合物、分子量3.7万) 6.72部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 79.53部
【0154】
着色感光性樹脂組成物R1は、まず表1に記載の量のR顔料分散物1、R顔料分散物2、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートをはかり取り、温度24℃(±2℃)で混合して150rpmで10分間攪拌し、次いで、表1に記載の量のメチルエチルケトン、バインダー2、DPHA液、B−CIM(2,2−ビス(2−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、保土谷化学工業社製)、NBCA(10−n−ブチル−2−クロロアクリドン、黒金化成社製)、N−フェニルメルカプトベンズイミダゾール、フェノチアジンをはかり取り、温度24℃(±2℃)でこの順に添加して150rpmで30分間攪拌し、更に、表1に記載の量の界面活性剤1をはかり取り、温度24℃(±2℃)で添加して30rpmで5分間攪拌し、ナイロンメッシュ♯200で濾過することによって得られた。
【0155】
尚、表1に記載の組成物の内、
R顔料分散物1の組成は、
・C.I.P.R.254 8部
・N,N'−ビス−(3−ジエチルアミノプロピル)−5−{4−[2
−オキソ−1−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール
−5−イルカルバモイル)−プロピルアゾ]−ベンゾイルアミノ}
−イソフタルアミド 0.8部
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=72/28
モル比のランダム共重合物、分子量3.7万) 8部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 83.2部
【0156】
R顔料分散物2の組成は、
・C.I.P.R.177 18部
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=72/28
モル比のランダム共重合物、分子量3.7万) 12部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 70部
である。
上記組成物を、モーターミルM−50(アイガー社製)と、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで27時間分散し、顔料分散物を調製した。
【0157】
着色感光性樹脂組成物G1は、まず表1に記載の量のG顔料分散物1、Y顔料分散物1、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートをはかり取り、温度24℃(±2℃)で混合して150rpmで10分間攪拌し、次いで、表1に記載の量のメチルエチルケトン、シクロヘキサノン、DPHA液、B−CIM(保土谷化学製)、NBCA(黒金化学製)、N−フェニルメルカプトベンズイミダゾール、フェノチアジンをはかり取り、温度24℃(±2℃)でこの順に添加して150rpmで30分間攪拌し、更に、表1に記載の量の界面活性剤1をはかり取り、温度24℃(±2℃)で添加して30rpmで5分間攪拌し、ナイロンメッシュ♯200で濾過することによって得られる。
【0158】
尚、表1に記載の組成物の内、
G顔料分散物1の組成は、
・C.I.P.G.36 14部
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=72/28
モル比のランダム共重合物、分子量3.7万) 23部
・N,N'−ビス−(3−ジエチルアミノプロピル)−5−{4−[2−オキソ
−1−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−
イルカルバモイル]−プロピルアゾ]−ベンゾイルアミノ}−イソフタルアミド
1.4部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 61.6部
である。
【0159】
Y顔料分散物1の組成は、
・C.I.P.Y.150 15部
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=72/28
モル比のランダム共重合物、分子量3.7万) 9部
・N,N'−ビス−(3−ジエチルアミノプロピル)−5−{4−[2−オキソ
−1−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−
イルカルバモイル)−プロピルアゾ]−ベンゾイルアミノ}−イソフタルアミド
1.5部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 74.5部
である。上記組成物を、モーターミルM−50(アイガー社製)と、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで28時間分散し、顔料分散物を調製した。
【0160】
着色感光性樹脂組成物B1は、まず表1に記載の量のB顔料分散物1、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートをはかり取り、温度24℃(±2℃)で混合して150rpmで10分間攪拌し、次いで、メチルエチルケトン、バインダー3、DPHA液、B−CIM(保土谷化学製)、NBCA(黒金化学製)、N−フェニルメルカプトベンズイミダゾール、フェノチアジンをはかり取り、温度25℃(±2℃)でこの順に添加して、温度40℃(±2℃)で150rpmで30分間攪拌し、更に、表1に記載の量の界面活性剤1をはかり取り、温度24℃(±2℃)で添加して30rpmで5分間攪拌し、ナイロンメッシュ♯200で濾過することによって得られる。
【0161】
尚、表1に記載の組成物の内、
B顔料分散物1の組成は、
・C.I.P.B.15:6 11.28部
・C.I.P.V.23 0.72部
・EFKA−745(EFKA ADDITIVES B.V.社製) 0.6部
・ディスパロンDA−725(楠本化成(株)製) 0.75部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 86.65部
である。上記組成物を、モーターミルM−50(アイガー社製)と、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで27時間分散し、顔料分散物を調製した。
【0162】
また、ここで表1に記載の組成物のうち、
バインダー1の組成は、
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=78/22
モル比のランダム共重合物、分子量3.7万) 27部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 73部
【0163】
バインダー2の組成は、
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸/メチルメタクリレート
=38/25/37モル比のランダム共重合物、
分子量3.8万) 27部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 73部
【0164】
バインダー3の組成は、
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸/メチルメタクリレート
=36/22/42モル比のランダム共重合物、分子量3.8万) 27部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 73部
である。
【0165】
DPHA液の組成は、
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(重合禁止剤MEHQ500ppm
含有、日本化薬(株)製、商品名:KAYARAD DPHA) 76部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 24部
・界面活性剤1(大日本インキ化学工業(株)製、商品名:メガファックF780F)
30部
・メチルエチルケトン 70部
である。
【0166】
界面活性剤1(大日本インキ化学工業(株)製、商品名:メガファックF780F)の組成は、
・C6F13CH2CH2OCOCH=CH2 40部と
H(OCH(CH3)CH2)7OCOCH=CH2 55部と
H(OCH2CH2)7OCOCH=CH2 5部 との共重合体、
(分子量3万) 30部
・メチルエチルケトン 70部
である。
【0167】
上記で得たカラーフィルターの画素上に、スパッタ装置(SIH3030、アルバック社製)を用い、真空度1×10-4Pa、加速電圧40kVにて温度200℃にてITO(Indium TinOxide)をスパッタして、膜厚2000ÅのITO膜を形成し、ITO付きのカラーフィルター基板を作製した。
【0168】
[評価]
−ITO抵抗値及び面内変動−
上記ITO付カラーフィルター基板のITO抵抗値を、三菱油化(株)製のロレスタを用い、4端子法にて測定した。具体的には、23℃、65%湿度の環境下で作製した試料に上記ロレスタの4端子プローブを圧着し、測定は5Vで実施した。
また、上記ITO抵抗値の面内変動は、500×600mmのITO作製基板の面内のITO抵抗を、上記の抵抗値の測定方法に基づき20点無作為に測定し求めた。評価結果を、表2に示す。
【0169】
[液晶表示装置の作製]
上記で作製したITO付カラーフィルター基板上に、ポリイミドの配向膜を設けた。カラーフィルターの画素群の周囲に設けられたブラックマトリックスの外枠に相当する位置に、スペーサ粒子を含有するエポキシ樹脂のシール剤を印刷し、カラーフィルター基板を対向基板と貼り合わせた。次いで、貼り合わされたガラス基板を熱処理し、シール剤を硬化させ、2枚のガラス基板の積層体を得た。このガラス基板積層体を真空下で脱気し、その後大気圧に戻して2枚のガラス基板の間隙に液晶を注入し、液晶セルを得た。該液晶表示装置では、色ムラもなく、良好な画像を得ることができた。
【0170】
(実施例2)
実施例1において、K,R,G,Bのそれぞれのパターン形成の際、ポストベークを行う前に、基板に対して樹脂層の側から超高圧水銀灯で500mJ/cm2の光でポスト露光を施したこと以外は、実施例1と同様の方法にてITO付基板を作製し、評価した。また、実施例1と同様にして液晶表示装置を作製したところ、良好な画像を得ることができた。
【0171】
(比較例1)
実施例1において、K,R,G,Bのそれぞれのパターン形成の際、パターン露光を下記の方法によって行ったこと以外は、実施例1と同様の方法にてITO付基板を作製し、評価した。
該パターン露光の方法としては、超高圧水銀灯を有するプロキシミティー型露光機(日立デコ社製)を用い、基板とマスク(画像パターンを有す石英露光マスク)を垂直に立てた状態で、露光マスク面と該感光性樹脂層の間の距離を200μmに設定し、露光量70mJ/cm2で行った。
尚、実施例1と同様にして液晶表示装置を作製したところ、その画像は色ムラが見いだされた。
【0172】
【表2】
【0173】
(実施例3)
実施例1において、K,R,G,Bのそれぞれのパターン形成の際、ポストベーク工程における温度を220℃から140℃に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法にてITO付基板を作製した。また、実施例1と同様の方法にてITO抵抗値を測定した。結果を表3に示す。
【0174】
(実施例4)
実施例1において、K,R,G,Bのそれぞれのパターン形成の際、室温からポストベーク工程における温度(220℃)にまで5分間かけて昇温したところを2分間に変更し、また上記温度での保持時間を15分から18分に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法にてITO付基板を作製した。また、実施例1と同様の方法にてITO抵抗値を測定した。結果を表3に示す。
【0175】
(実施例5)
実施例1において、K,R,G,Bのそれぞれのパターン形成の際、ポストベーク工程における温度を220℃から280℃に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法にてITO付基板を作製した。また、実施例1と同様の方法にてITO抵抗値を測定した。結果を表3に示す。
【0176】
【表3】
【図面の簡単な説明】
【0177】
【図1】本発明に係る露光ユニットの外観を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る露光ユニットのスキャナの構成を示す斜視図である。
【図3】(A)は感光材料に形成される露光済み領域を示す平面図であり、(B)は各露光ヘッドによる露光エリアの配列を示す図である。
【図4】本発明に係る露光ヘッドの概略構成を示す斜視図である。
【図5】(A)は図4に示す露光ヘッドの構成を示す光軸に沿った副走査方向の断面図であり、(B)は(A)の側面図である。
【図6】デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)の構成を示す部分拡大図である。
【図7】(A)及び(B)はDMDの動作を説明するための説明図である。
【図8】(A)及び(B)は、DMDを傾斜配置しない場合と傾斜配置する場合とで、露光ビームの配置及び走査線を比較して示す平面図である。
【図9】(A)はファイバアレイ光源の構成を示す斜視図であり、(B)は(A)の部分拡大図であり、(C)及び(D)はレーザ出射部における発光点の配列を示す平面図である。
【図10】マルチモード光ファイバの構成を示す図である。
【図11】合波レーザ光源の構成を示す平面図である。
【図12】レーザモジュールの構成を示す平面図である。
【図13】図12に示すレーザモジュールの構成を示す側面図である。
【図14】図12に示すレーザモジュールの構成を示す部分側面図である。
【図15】(A)及び(B)は、露光装置における焦点深度を示す断面図である。
【図16】(A)及び(B)は、DMDの使用領域の例を示す図である。
【図17】(A)はDMDの使用領域が適正である場合の側面図であり、(B)は(A)の光軸に沿った副走査方向の断面図である。
【符号の説明】
【0178】
50…デジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)
54…レンズ系
66…ファイバアレイ光源
166…露光ヘッド
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型モバイル機器、大型ディスプレイ等に用いられる表示素子、該表示素子に用いるカラーフィルター付基板、及び該カラーフィルタの形成等に用いるパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置や有機EL表示装置は、非常にコンパクトであると共に、従来主流であったCRTディスプレイと同等以上の性能を有することから、近年ではCRTディスプレイから置き換わりつつある。
このような表示装置で表示されるカラー画像は、複数色よりなるカラーフィルタやITO(酸化インジウムスズ)透明導電膜等からなる基板を通過した光がそのままカラーフィルタを構成する各色に着色され、着色された複数の色の光が画像様に合成されることで形成される。そして現在、カラーフィルタを構成する赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3色の画素でカラー画像が形成されることが一般的である。
【0003】
これらの画素は、基板上に樹脂層を形成し、露光して現像することを色の数だけ繰り返すなどの方法によって製造することができ、従来において前記露光は、露光マスクを用い水銀ランプ等で露光してパターンを形成する方法等が用いられてきた。しかし、これらの露光方法で画素を形成した場合、その画素(パターン)上に形成されるITO膜では、面内で抵抗値の変動が発生し、それが駆動電圧の差となって、特に大面積LCDパネル等においては画像の色ムラ発生の原因となる。
【0004】
これに対し近年では、ITO抵抗値の面内変動を抑制することができる、レーザー等を用いたマスクレス露光が行われている。該マスクレス露光としては、例えば、半導体レーザー等のレーザーを用い、また光を変調しながら相対走査する方法としてポリゴンミラーを用いた方法(例えば、特許文献1参照。)、DMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)を用いた方法(例えば、特許文献2参照。)等がある。
しかし、これらのレーザーを用いた露光方法では、ITOの抵抗値が高くなってしまうという欠点があった。ITO膜は液晶を駆動させるためには低抵抗である必要があり、更なる改善が求められていた。
【特許文献1】特開2002−523905号公報
【特許文献2】特開2004−56080号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来における欠点に鑑みてなされたものである。
即ち、本発明の目的は、ITO膜をその上に形成した場合に、面内での抵抗値変動を小さく維持したまま、且つ低抵抗なITO膜とすることができるパターンの形成方法、該パターン形成方法によって画素を形成したカラーフィルター付基板、及び該カラーフィルター付基板を備えた表示素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記従来における課題は、以下の本発明によって達成される。
即ち、本発明のパターン形成方法は、
<1> 基板上に光重合系感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂層を設ける樹脂層形成工程(a)と、レーザーにより前記感光性樹脂層に露光を行うパターン露光工程(b)と、前記パターン露光後の感光性樹脂層を現像する現像工程(c)と、前記現像後の感光性樹脂層を熱処理するポストベーク工程(d)と、を少なくとも経てカラーフィルターのパターンを得ることを特徴とするパターン形成方法である。
【0007】
<2> 前記樹脂層形成工程(a)から前記ポストベーク工程(d)までのパターン形成工程を2回以上繰り返して、前記基板上に2種以上のパターンを設けることを特徴とする前記<1>に記載のパターン形成方法である。
【0008】
<3> 前記現像工程(c)とポストベーク工程(d)との間に、前記感光性樹脂層を全面露光するポスト露光工程(e)を有することを特徴とする前記<1>又は<2>に記載のパターン形成方法である。
【0009】
<4> 前記ポストベーク工程(d)における熱処理の温度が180℃以上であることを特徴とする前記<1>〜<3>の何れか1項に記載のパターン形成方法である。
【0010】
<5> 前記熱処理の温度が180〜260℃であり、且つ室温から該温度まで5〜60分間かけて昇温することを特徴とする前記<4>に記載のパターン形成方法である。
【0011】
<6> 前記熱処理の温度での加熱時間が10〜300分であることを特徴とする前記<4>又は<5>に記載のパターン形成方法である。
【0012】
<7> 少なくとも、レッド(R)、グリーン(G)及びブルー(B)の3色の着色パターンを設けることを特徴とする前記<2>〜<6>の何れか1項に記載のパターン形成方法である。
【0013】
また、本発明のカラーフィルター付基板は
<8> 前記<1>〜<7>の何れか1項に記載のパターン形成方法によって、基板上に着色画素を形成したことを特徴とするカラーフィルター付基板である。
【0014】
<9> ITO透明電極を形成したことを特徴とする前記<8>に記載のカラーフィルター付基板である。
【0015】
更に、本発明の表示素子は、
<10> 前記<8>又は<9>に記載のカラーフィルター付基板を備えることを特徴とする表示素子である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ITO膜をその上に形成した場合に、面内での抵抗値変動を小さく維持したまま、且つ低抵抗なITO膜とすることができるパターンの形成方法、該パターン形成方法によって画素を形成したカラーフィルター付基板、及び該カラーフィルター付基板を備えた表示素子を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明のパターン形成方法は、基板上に光重合系感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂層を設ける樹脂層形成工程(a)と、レーザーにより露光を行うパターン露光工程(b)と、レーザー露光後の前記感光性樹脂層を現像する現像工程(c)と、現像後の前記感光性樹脂層を熱処理するポストベーク工程(d)と、を少なくとも有することを特徴とする。
上記の方法によってカラーフィルターのパターンを形成することで、該パターン上にITO膜を設けた場合の該ITO膜を、面内での抵抗値変動を抑制しつつ低抵抗なITO膜とすることができる。
【0018】
上記ITO膜の抵抗値は、表示素子における液晶等を良好に駆動させるという観点から、30Ω/□以下が好ましく、特に大面積LCDパネル等に用いる場合においては20Ω/□以下がより好ましい。尚、下限値としては、製造が可能である範囲として5Ω/□以上が一般的である。
また、ITO抵抗値の面内変動は、駆動電圧の差を抑制して色むらの発生を防止するという観点から、10%未満であることが好ましく、5%以下であることがより好ましい。尚、下限値としては、製造が可能である範囲として1%以上が一般的である。
【0019】
ここで、本発明において、前記ITO膜の抵抗値の測定は、三菱油化(株)製のロレスタを用い4端子法にて行った。具体的な測定方法を説明すると、23℃、65%湿度の環境下で作製した試料に上記ロレスタの4端子プローブを圧着し、測定は5Vで実施した。
また、前記ITO抵抗値の面内変動は、500×600mmのITO作製基板の面内のITO抵抗を、上記の抵抗値の測定方法に基づき20点無作為に測定し求めた。
以下、本発明を詳細に説明するにあたり、まずパターン形成方法について詳述し、その後カラーフィルター付基板及び表示素子について述べる。
【0020】
<パターン形成方法>
本発明におけるパターンは、光重合系の感光性樹脂組成物(以下、単に「樹脂組成物」ということがある。)を用いて形成されるものであり、基板上に2種以上のパターンを形成するものであっても、1種のパターンを形成するものであってもよい。尚、カラーフィルターとしては、レッド(R)、グリーン(G)及びブルー(B)の3色の画素(パターン)を形成することが好ましく、必要により更にブラックマトリックス(K)のパターンを形成することも好ましい。
【0021】
前記パターン形成方法は、基板上に樹脂層を形成する樹脂層形成工程(a)と、レーザーによって露光するパターン露光工程(b)と、現像を行う現像工程(c)と、現像後の樹脂層を熱処理するポストベーク工程(d)と、を有することを特徴とし、これらの工程をパターンの種類の数(例えば、色の数)だけ繰り返すことにより形成することができる。また、必要により現像工程(c)の後に樹脂層に全面露光を行うポスト露光工程(e)を行うことも好ましい。
【0022】
(樹脂層形成工程(a))
上記のパターン形成方法において、基板上に樹脂層を形成する方法としては、(a-1)樹脂組成物を公知の塗布装置等によって塗布する方法、及び(a-2)樹脂転写材料を用い、ラミネーターによって貼り付ける方法などが挙げられる。尚、ここでは塗布方法及びラミネート方法についてのみ説明し、樹脂組成物及び樹脂転写材料については後に詳述する。
【0023】
(a-1)塗布装置による塗布
本発明のパターン形成方法における、樹脂組成物の塗布には、公知の塗布方法、例えばスピンコート法、カーテンコート法、スリットコート法、ディップコート法、エアーナイフコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、あるいは、米国特許第2681294号明細書に記載のホッパーを使用するエクストルージョンコート法等の方法を用いることができる。中でも特に、液が吐出する部分にスリット状の穴を有するスリット状ノズル(スリットコータ)によって塗布を行うスリットコート法が好適に用いられる。尚、前記スリット状ノズルの好ましい具体例としては、特開2004−89851号公報、特開2004−17043号公報、特開2003−170098号公報、特開2003−164787号公報、特開2003−10767号公報、特開2002−79163号公報、特開2001−310147号公報等に記載のスリット状ノズル及びスリットコータが挙げられる。
樹脂層を塗布により形成する場合、その膜厚としては、1.0〜3.0μmが好ましく、1.0〜2.5μmがより好ましく、1.0〜2.0μmが特に好ましい。
【0024】
尚、本発明のパターン形成方法においては、樹脂組成物の塗布によって樹脂層を形成する場合には、後述のパターン露光工程における露光感度をアップする目的で、該樹脂層上に更に酸素遮断膜を設けることができる。該酸素遮断膜としては、後述の<樹脂転写材料>の(中間層)の項において説明するものと同様のものが挙げられる。尚、特に限定されるわけではないが、酸素遮断膜の膜厚としては、0.5〜3.0μmが好ましい。
【0025】
(a-2)ラミネーターによる貼り付け
後述の樹脂転写材料を用い、フイルム状に形成した樹脂層を加熱及び/又は加圧した、ローラー又は平板を用い、圧着又は加熱圧着することによって基板上に貼り付けることができる。具体的には、特開平7−110575号公報、特開平11−77942号公報、特開2000−334836号公報、特開2002−148794号公報に記載のラミネーター及びラミネート方法が挙げられるが、低異物の観点で、特開平7−110575号公報に記載の方法を用いるのが好ましい。
【0026】
(パターン露光工程(b))
【0027】
本発明におけるパターン露光は、光源としてレーザーを用いたマスクレス露光であり、2次元状に並んだ空間光変調デバイスを用いて、画像データに基づいて光を変調しながら相対走査することで2次元画像の形成を行う。
露光光を透過させない、または、弱めて透過させる材質で画像(パターン)を形成した「マスク」と呼ばれる物体を露光光の光路に配置し、樹脂層を、該画像に対応したパターン状に露光する従来の露光方式(マスク露光と言う)に対し、上記マスクレス露光とは、前記の「マスク」を使用せずに樹脂層をパターン状に露光する露光方式の事である。
【0028】
−レーザーの説明−
本発明のパターン露光では、光源としてレーザーが用いられる。
レーザーとは、英語のLight Amplification by Stimulated Emission of Radiation(誘導放出による光の増幅)の頭字語である。反転分布を持った物質中で起きる誘導放出の現象を利用し、光波の増幅、発振によって干渉性と指向性が一層強い単色光を作り出す発振器及び増幅器によって照射される。励起媒質としては、結晶、ガラス、液体、色素、気体などがあり、これらの媒質から固体レーザー(YAGレーザー)、液体レーザー、気体レーザー(アルゴンレーザー、He−Neレーザー、炭酸ガスレーザー、エキシマレーザー)、半導体レーザーなどの公知のレーザーを用いることができる。
【0029】
前記半導体レーザーとは、搬送子の注入、電子ビームによる励起、衝突によるイオン化、光励起などによって電子と正孔とが接合部に流出する時、pn接合で可干渉光を誘導放出するような発光ダイオードを用いるレーザーである。この放出される可干渉光の波長は半導体化合物によって決まる。
【0030】
本発明に用いられるレーザーの波長は特に限定されないが、中でも解像度とレーザー装置のコスト、入手のしやすさの観点から、上記半導体レーザーにおいては、300〜500nmの波長域から選択するのが好ましく、340〜450nmがより好ましく、特に360〜415nmが好ましい。
また固体レーザーでは、YAG-SHG固体レーザーの532nmが好ましいものとして挙げられる。更に、半導体励起固体レーザーでは532・355・266nmが挙げられ、それらの中でも従来のレジスト用光重合開始剤が感度を有すという点では355nmが好ましく選ばれる。気体レーザーでは、KrFレーザーの249nm、ArFレーザーの193nmが好ましく用いられる。
これらの光源の中で、表示装置の製造工程で、感光性材料を露光する場合を考えると、露光波長が405nmとなる光源を選択することが、表示領域の透過率を高くする観点で好ましい。
【0031】
レーザーのビーム径は、特に限定されないが、中でも、パターンの解像度の観点から、ガウシアンビームの1/e2値で5〜30μmが好ましく、7〜20μmがより好ましい。
レーザービームのエネルギー量としては、特に限定されないが、中でも、露光時間と解像度の観点から、1〜100mJ/cm2が好ましく、5〜20mJ/cm2がより好ましい。
【0032】
−相対走査露光−
次いで、本発明における光を変調しながら相対走査する方法について説明する。
そのひとつの代表的な方法は、DMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス、例えば、1987年、米国テキサス・インスツルメンツのラリー・ホーンベック博士他が開発した光半導体)のような、微小なミラーが二次元に並んだ空間変調素子を用いる方法である。
この場合、光源からの光は、適切な光学系によってDMD上に照射され、DMDに二次元に並んだ各ミラーからの反射光が、別の光学系などを経て、樹脂層上に、二次元に並んだ光点の像を形成する。このままでは光点と光点の間は露光されないが、前記二次元に並んだ光点の像を、二次元の並び方向に対して、やや傾いた方向に移動させると、最初の列の光点と光点の間を、後方の列の光点が露光する、という形で、樹脂層の全面を露光することができる。DMDの各ミラーの角度を制御し、前記光点をON-OFFする事で、画像パターンを形成することができる。このようなDMDを有す露光ヘッドを並べて用いることで色々な幅の基板に対応することができる。
前記DMDでは、前記光点の輝度は、ONかOFFの2階調しかないが、ミラー階調型空間変調素子を用いると、256階調の露光を行うことができる。
【0033】
一方、本発明の光を変調しながら相対走査する別の代表的な方法としては、ポリゴンミラーを用いる方法が挙げられる。ポリゴンミラー(polygon mirror)とは、周囲に一連の平面反射面を持った回転部材のことである。樹脂層上に光源からの光を反射して照射するが、反射光の光点は、該平面鏡の回転によって走査される。この走査方向に対して直角に基板を相対移動させることで、基板上の樹脂層の全面を露光することができる。光源からの光の強度を適切な方法でON-OFFまたは、中間調に制御することで、画像パターンを形成することができる。また、光源からの光を複数本とすることで、走査時間を短縮することができる。
【0034】
本発明の光を変調しながら相対走査する方法としては、例えば、以下の方法も適用することができる。
特開平5−150175に記載のポリゴンミラーを用いて描画する例、特表2004−523101(WO2002/039793)に記載の下部レイヤの画像の一部を視覚的に取得し、ポリゴンミラーを用いた装置で上部レイヤの位置を下部レイヤ位置に揃えて露光する例、特開2004−56080に記載のDMDを用いて露光する例、特表2002−523905に記載のポリゴンミラーを備えた露光装置、特開2001−255661に記載のポリゴンミラーを備えた露光装置、特開2003−50469に記載のDMD、LD、多重露光を組み合わせた例、特開2003−156853に記載の基板の部位により露光量を変える露光方法の例、特開2005−43576に記載の位置ずれ調整を行う露光方法の例等である。
【0035】
以下にレーザー光を用いた3次元露光装置の一例を示すが、本発明における露光装置はこれに限定されるものではない。
露光ユニットは、図1に示すように、ガラス基板150を表面に吸着して保持する平板状のステージ152を備えている。4本の脚部154に支持された厚い板状の設置台156の上面には、ステージ移動方向に沿って延びた2本のガイド158が設置されている。ステージ152は、その長手方向がステージ移動方向を向くように配置されると共に、ガイド158によって往復移動可能に支持されている。なお、この露光装置には、ステージ152をガイド158に沿って駆動するための図示しない駆動装置が設けられている。
【0036】
設置台156の中央部には、ステージ152の移動経路を跨ぐようにコ字状のゲート160が設けられている。コ字状のゲート160の端部の各々は、設置台156の両側面に固定されている。このゲート160を挟んで一方の側にはスキャナ162が設けられ、他方の側には感光材料150の先端及び後端を検知する複数(例えば、2個)の検知センサ164が設けられている。スキャナ162及び検知センサ164はゲート160に各々取り付けられて、ステージ152の移動経路の上方に固定配置されている。なお、スキャナ162及び検知センサ164は、これらを制御する図示しないコントローラに接続されている。
【0037】
スキャナ162は、図2及び図3(B)に示すように、m行n列(例えば、3行5列)の略マトリックス状に配列された複数(例えば、14個)の露光ヘッド166を備えている。この例では、感光材料150の幅との関係で、3行目には4個の露光ヘッド166を配置した。なお、m行目のn列目に配列された個々の露光ヘッドを示す場合は、露光ヘッド166mnと表記する。
【0038】
露光ヘッド166による露光エリア168は、副走査方向を短辺とする矩形状である。従って、ステージ152の移動に伴い、感光材料150には露光ヘッド166毎に帯状の露光済み領域170が形成される。なお、m行目のn列目に配列された個々の露光ヘッドによる露光エリアを示す場合は、露光エリア168mnと表記する。
【0039】
また、図3(A)及び(B)に示すように、帯状の露光済み領域170が副走査方向と直交する方向に隙間無く並ぶように、ライン状に配列された各行の露光ヘッドの各々は、配列方向に所定間隔(露光エリアの長辺の自然数倍、ここでは2倍)ずらして配置されている。このため、1行目の露光エリア16811と露光エリア16812との間の露光できない部分は、2行目の露光エリア16821と3行目の露光エリア16831とにより露光することができる。
【0040】
露光ヘッド16611〜166mn各々は、図4、図5(A)及び(B)に示すように、入射された光ビームを画像データに応じて各画素毎に変調する空間光変調素子として、デジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)50を備えている。このDMD50は、データ処理部とミラー駆動制御部とを備えた図示しないコントローラに接続されている。このコントローラのデータ処理部では、入力された画像データに基づいて、各露光ヘッド166毎にDMD50の制御すべき領域内の各マイクロミラーを駆動制御する制御信号を生成する。なお、制御すべき領域については後述する。また、ミラー駆動制御部では、画像データ処理部で生成した制御信号に基づいて、各露光ヘッド166毎にDMD50の各マイクロミラーの反射面の角度を制御する。なお、反射面の角度の制御に付いては後述する。
【0041】
DMD50の光入射側には、光ファイバの出射端部(発光点)が露光エリア168の長辺方向と対応する方向に沿って一列に配列されたレーザー出射部を備えたファイバアレイ光源66、ファイバアレイ光源66から出射されたレーザ光を補正してDMD上に集光させるレンズ系67、レンズ系67を透過したレーザー光をDMD50に向けて反射するミラー69がこの順に配置されている。
【0042】
レンズ系67は、ファイバアレイ光源66から出射されたレーザー光を平行光化する1対の組合せレンズ71、平行光化されたレーザー光の光量分布が均一になるように補正する1対の組合せレンズ73、及び光量分布が補正されたレーザー光をDMD50上に集光する集光レンズ75で構成されている。組合せレンズ73は、レーザー出射端の配列方向に対しては、レンズの光軸に近い部分は光束を広げ且つ光軸から離れた部分は光束を縮め、且つこの配列方向と直交する方向に対しては光をそのまま通過させる機能を備えており、光量分布が均一となるようにレーザー光を補正する。
【0043】
また、DMD50の光反射側には、DMD50で反射されたレーザー光を感光材料150の走査面(被露光面)56上に結像するレンズ系54、58が配置されている。レンズ系54及び58は、DMD50と被露光面56とが共役な関係となるように配置されている。
【0044】
DMD50は、図6に示すように、SRAMセル(メモリセル)60上に、微小ミラー(マイクロミラー)62が支柱により支持されて配置されたものであり、画素(ピクセル)を構成する多数の(例えば、600個×800個)の微小ミラー62を格子状に配列して構成されたミラーデバイスである。各ピクセルには、最上部に支柱に支えられたマイクロミラー62が設けられており、マイクロミラー62の表面にはアルミニウム等の反射率の高い材料が蒸着されている。なお、マイクロミラー62の反射率は90%以上である。また、マイクロミラー62の直下には、ヒンジ及びヨークを含む支柱を介して通常の半導体メモリの製造ラインで製造されるシリコンゲートのCMOSのSRAMセル60が配置されており、全体はモノリシック(一体型)に構成されている。
【0045】
DMD50のSRAMセル60にデジタル信号が書き込まれると、支柱に支えられたマイクロミラー62が、対角線を中心としてDMD50が配置された基板側に対して±α度(例えば±10度)の範囲で傾けられる。図7(A)は、マイクロミラー62がオン状態である+α度に傾いた状態を示し、図7(B)は、マイクロミラー62がオフ状態である−α度に傾いた状態を示す。従って、画像信号に応じて、DMD50の各ピクセルにおけるマイクロミラー62の傾きを、図6に示すように制御することによって、DMD50に入射された光はそれぞれのマイクロミラー62の傾き方向へ反射される。
【0046】
なお、図6には、DMD50の一部を拡大し、マイクロミラー62が+α度又は−α度に制御されている状態の一例を示す。それぞれのマイクロミラー62のオンオフ制御は、DMD50に接続された図示しないコントローラによって行われる。なお、オフ状態のマイクロミラー62により光ビームが反射される方向には、光吸収体(図示せず)が配置されている。
【0047】
また、DMD50は、その短辺が副走査方向と所定角度θ(例えば、1°〜5°)をなすように僅かに傾斜させて配置するのが好ましい。図8(A)はDMD50を傾斜させない場合の各マイクロミラーによる反射光像(露光ビーム)53の走査軌跡を示し、図8(B)はDMD50を傾斜させた場合の露光ビーム53の走査軌跡を示している。
【0048】
DMD50には、長手方向にマイクロミラーが多数個(例えば、800個)配列されたマイクロミラー列が、短手方向に多数組(例えば、600組)配列されているが、図8(B)に示すように、DMD50を傾斜させることにより、各マイクロミラーによる露光ビーム53の走査軌跡(走査線)のピッチP1が、DMD50を傾斜させない場合の走査線のピッチP2より狭くなり、解像度を大幅に向上させることができる。一方、DMD50の傾斜角は微小であるので、DMD50を傾斜させた場合の走査幅W2と、DMD50を傾斜させない場合の走査幅W1とは略同一である。
【0049】
また、異なるマイクロミラー列により同じ走査線上が重ねて露光(多重露光)されることになる。このように、多重露光されることで、露光位置の微少量をコントロールすることができ、高精細な露光を実現することができる。また、主走査方向に配列された複数の露光ヘッドの間のつなぎ目を微少量の露光位置制御により段差無くつなぐことができる。
【0050】
なお、DMD50を傾斜させる代わりに、各マイクロミラー列を副走査方向と直交する方向に所定間隔ずらして千鳥状に配置しても、同様の効果を得ることができる。
【0051】
ファイバアレイ光源66は、図9(A)に示すように、複数(例えば、6個)のレーザーモジュール64を備えており、各レーザモジュール64には、マルチモード光ファイバ30の一端が結合されている。マルチモード光ファイバ30の他端には、コア径がマルチモード光ファイバ30と同一で且つクラッド径がマルチモード光ファイバ30より小さい光ファイバ31が結合され、図9(C)に示すように、光ファイバ31の出射端部(発光点)が副走査方向と直交する主走査方向に沿って1列に配列されてレーザー出射部68が構成されている。なお、図9(D)に示すように、発光点を主走査方向に沿って2列に配列することもできる。
【0052】
光ファイバ31の出射端部は、図9(B)に示すように、表面が平坦な2枚の支持板65に挟み込まれて固定されている。また、光ファイバ31の光出射側には、光ファイバ31の端面を保護するために、ガラス等の透明な保護板63が配置されている。保護板63は、光ファイバ31の端面と密着させて配置してもよく、光ファイバ31の端面が密封されるように配置してもよい。光ファイバ31の出射端部は、光密度が高く集塵し易く劣化し易いが、保護板63を配置することにより端面への塵埃の付着を防止することができると共に劣化を遅らせることができる。
【0053】
ここでは、クラッド径が小さい光ファイバ31の出射端を隙間無く1列に配列するために、クラッド径が大きい部分で隣接する2本のマルチモード光ファイバ30の間にマルチモード光ファイバ30を積み重ね、積み重ねられたマルチモード光ファイバ30に結合された光ファイバ31の出射端が、クラッド径が大きい部分で隣接する2本のマルチモード光ファイバ30に結合された光ファイバ31の2つの出射端の間に挟まれるように配列されている。
【0054】
このような光ファイバは、例えば、図10に示すように、クラッド径が大きいマルチモード光ファイバ30のレーザー光出射側の先端部分に、長さ1〜30cmのクラッド径が小さい光ファイバ31を同軸的に結合することにより得ることができる。2本の光ファイバは、光ファイバ31の入射端面が、マルチモード光ファイバ30の出射端面に、両光ファイバの中心軸が一致するように融着されて結合されている。上述した通り、光ファイバ31のコア31aの径は、マルチモード光ファイバ30のコア30aの径と同じ大きさである。
【0055】
また、長さが短くクラッド径が大きい光ファイバにクラッド径が小さい光ファイバを融着させた短尺光ファイバを、フェルールや光コネクタ等を介してマルチモード光ファイバ30の出射端に結合してもよい。コネクタ等を用いて着脱可能に結合することで、クラッド径が小さい光ファイバが破損した場合等に先端部分の交換が容易になり、露光ヘッドのメンテナンスに要するコストを低減できる。なお、以下では、光ファイバ31を、マルチモード光ファイバ30の出射端部と称する場合がある。
【0056】
マルチモード光ファイバ30及び光ファイバ31としては、ステップインデックス型光ファイバ、グレーテッドインデックス型光ファイバ、及び複合型光ファイバの何れでもよい。例えば、三菱電線工業(株)製のステップインデックス型光ファイバを用いることができる。ここでは、マルチモード光ファイバ30及び光ファイバ31は、ステップインデックス型光ファイバであり、マルチモード光ファイバ30は、クラッド径=125μm、コア径=25μm、NA=0.2、入射端面コートの透過率=99.5%以上であり、光ファイバ31は、クラッド径=60μm、コア径=25μm、NA=0.2である。
【0057】
一般に、赤外領域のレーザー光では、光ファイバのクラッド径を小さくすると伝搬損失が増加する。このため、レーザー光の波長帯域に応じて好適なクラッド径が決定されている。しかしながら、波長が短いほど伝搬損失は少なくなり、GaN系半導体レーザーから出射された波長405nmのレーザー光では、クラッドの厚み{(クラッド径−コア径)/2}を800nmの波長帯域の赤外光を伝搬させる場合の1/2程度、通信用の1.5μmの波長帯域の赤外光を伝搬させる場合の約1/4にしても、伝搬損失は殆ど増加しない。従って、クラッド径を60μmと小さくすることができる。
【0058】
但し、光ファイバ31のクラッド径は60μmには限定されない。従来のファイバ光源に使用されている光ファイバのクラッド径は125μmであるが、クラッド径が小さくなるほど焦点深度がより深くなるので、マルチモード光ファイバのクラッド径は80μm以下が好ましく、60μm以下がより好ましく、40μm以下が更に好ましい。一方、コア径は少なくとも3〜4μm必要であることから、光ファイバ31のクラッド径は10μm以上が好ましい。
【0059】
レーザーモジュール64は、図11に示す合波レーザー光源(ファイバ光源)によって構成されている。この合波レーザー光源は、ヒートブロック10上に配列固定された複数(例えば、7個)のチップ状の横マルチモード又はシングルモードのGaN系半導体レーザーLD1,LD2,LD3,LD4,LD5,LD6,及びLD7と、GaN系半導体レーザLD1〜LD7の各々に対応して設けられたコリメータレンズ11,12,13,14,15,16,及び17と、1つの集光レンズ20と、1本のマルチモード光ファイバ30と、から構成されている。なお、半導体レーザーの個数は7個には限定されない。例えば、クラッド径=60μm、コア径=50μm、NA=0.2のマルチモード光ファイバには、20個もの半導体レーザー光を入射することが可能であり、露光ヘッドの必要光量を実現して、且つ光ファイバ本数をより減らすことができる。
【0060】
GaN系半導体レーザーLD1〜LD7は、発振波長が総て共通(例えば、405nm)であり、最大出力も総て共通(例えば、マルチモードレーザでは100mW、シングルモードレーザーでは30mW)である。なお、GaN系半導体レーザーLD1〜LD7としては、350nm〜450nmの波長範囲で、上記の405nm以外の発振波長を備えるレーザーを用いてもよい。
【0061】
上記の合波レーザー光源は、図12及び図13に示すように、他の光学要素と共に、上方が開口した箱状のパッケージ40内に収納されている。パッケージ40は、その開口を閉じるように作成されたパッケージ蓋41を備えており、脱気処理後に封止ガスを導入し、パッケージ40の開口をパッケージ蓋41で閉じることにより、パッケージ40とパッケージ蓋41とにより形成される閉空間(封止空間)内に上記合波レーザー光源が気密封止されている。
【0062】
パッケージ40の底面にはベース板42が固定されており、このベース板42の上面には、前記ヒートブロック10と、集光レンズ20を保持する集光レンズホルダー45と、マルチモード光ファイバ30の入射端部を保持するファイバホルダー46とが取り付けられている。マルチモード光ファイバ30の出射端部は、パッケージ40の壁面に形成された開口からパッケージ外に引き出されている。
【0063】
また、ヒートブロック10の側面にはコリメータレンズホルダー44が取り付けられており、コリメータレンズ11〜17が保持されている。パッケージ40の横壁面には開口が形成され、この開口を通してGaN系半導体レーザーLD1〜LD7に駆動電流を供給する配線47がパッケージ外に引き出されている。
【0064】
なお、図13においては、図の煩雑化を避けるために、複数のGaN系半導体レーザーのうちGaN系半導体レーザーLD7にのみ番号を付し、複数のコリメータレンズのうちコリメータレンズ17にのみ番号を付している。
【0065】
図14は、上記コリメータレンズ11〜17の取り付け部分の正面形状を示すものである。コリメータレンズ11〜17の各々は、非球面を備えた円形レンズの光軸を含む領域を平行な平面で細長く切り取った形状に形成されている。この細長形状のコリメータレンズは、例えば、樹脂又は光学ガラスをモールド成形することによって形成することができる。コリメータレンズ11〜17は、長さ方向がGaN系半導体レーザLD1〜LD7の発光点の配列方向(図14の左右方向)と直交するように、上記発光点の配列方向に密接配置されている。
【0066】
一方、GaN系半導体レーザーLD1〜LD7としては、発光幅が2μmの活性層を備え、活性層と平行な方向、直角な方向の拡がり角が各々例えば10°、30°の状態で各々レーザビームB1〜B7を発するレーザーが用いられている。これらGaN系半導体レーザーLD1〜LD7は、活性層と平行な方向に発光点が1列に並ぶように配設されている。
【0067】
従って、各発光点から発せられたレーザービームB1〜B7は、上述のように細長形状の各コリメータレンズ11〜17に対して、拡がり角度が大きい方向が長さ方向と一致し、拡がり角度が小さい方向が幅方向(長さ方向と直交する方向)と一致する状態で入射することになる。つまり、各コリメータレンズ11〜17の幅が1.1mm、長さが4.6mmであり、それらに入射するレーザービームB1〜B7の水平方向、垂直方向のビーム径は各々0.9mm、2.6mmである。また、コリメータレンズ11〜17の各々は、焦点距離f1=3mm、NA=0.6、レンズ配置ピッチ=1.25mmである。
【0068】
集光レンズ20は、非球面を備えた円形レンズの光軸を含む領域を平行な平面で細長く切り取って、コリメータレンズ11〜17の配列方向、つまり水平方向に長く、それと直角な方向に短い形状に形成されている。この集光レンズ20は、焦点距離f2=23mm、NA=0.2である。この集光レンズ20も、例えば、樹脂又は光学ガラスをモールド成形することにより形成される。
【0069】
次に、上記露光装置の動作について説明する。
スキャナ162の各露光ヘッド166において、ファイバアレイ光源66の合波レーザー光源を構成するGaN系半導体レーザーLD1〜LD7の各々から発散光状態で出射したレーザビームB1,B2,B3,B4,B5,B6,及びB7の各々は、対応するコリメータレンズ11〜17によって平行光化される。平行光化されたレーザービームB1〜B7は、集光レンズ20によって集光され、マルチモード光ファイバ30のコア30aの入射端面に収束する。
【0070】
ここでは、コリメータレンズ11〜17及び集光レンズ20によって集光光学系が構成され、その集光光学系とマルチモード光ファイバ30とによって合波光学系が構成されている。即ち、集光レンズ20によって上述のように集光されたレーザービームB1〜B7が、このマルチモード光ファイバ30のコア30aに入射して光ファイバ内を伝搬し、1本のレーザービームBに合波されてマルチモード光ファイバ30の出射端部に結合された光ファイバ31から出射する。
【0071】
各レーザーモジュールにおいて、レーザービームB1〜B7のマルチモード光ファイバ30への結合効率が0.85で、GaN系半導体レーザーLD1〜LD7の各出力が30mWの場合には、アレイ状に配列された光ファイバ31の各々について、出力180mW(=30mW×0.85×7)の合波レーザービームBを得ることができる。従って、6本の光ファイバ31がアレイ状に配列されたレーザー出射部68での出力は約1W(=180mW×6)である。
【0072】
ファイバアレイ光源66のレーザー出射部68には、この通り高輝度の発光点が主走査方向に沿って一列に配列されている。単一の半導体レーザーからのレーザー光を1本の光ファイバに結合させる従来のファイバ光源は低出力であるため、多数列配列しなければ所望の出力を得ることができなかったが、合波レーザー光源は高出力であるため、少数列、例えば1列でも所望の出力を得ることができる。
【0073】
例えば、半導体レーザーと光ファイバを1対1で結合させた従来のファイバ光源では、通常、半導体レーザーとしては出力30mW(ミリワット)程度のレーザーが使用され、光ファイバとしてはコア径50μm、クラッド径125μm、NA(開口数)0.2のマルチモード光ファイバが使用されているので、約1W(ワット)の出力を得ようとすれば、マルチモード光ファイバを48本(8×6)束ねなければならず、発光領域の面積は0.62mm2(0.675mm×0.925mm)であるから、レーザー出射部68での輝度は1.6×106(W/m2)、光ファイバ1本当りの輝度は3.2×106(W/m2)である。
【0074】
これに対して上述した通り、マルチモード光ファイバ6本で約1Wの出力を得ることができ、レーザー出射部68での発光領域の面積は0.0081mm2(0.325mm×0.025mm)であるから、レーザー出射部68での輝度は123×106(W/m2)となり、従来に比べ約80倍の高輝度化を図ることができる。また、光ファイバ1本当りの輝度は90×106(W/m2)であり、従来に比べ約28倍の高輝度化を図ることができる。
【0075】
ここで、図15(A)及び(B)を参照して、露光ヘッドによる焦点深度の違いについて説明する。図15(A)において、露光ヘッドのバンドル状ファイバ光源の発光領域の副走査方向の径は0.675mmであり、図15(B)において、露光ヘッドのファイバアレイ光源の発光領域の副走査方向の径は0.025mmである。図15(A)に示すように、この露光ヘッドでは、光源(バンドル状ファイバ光源)1の発光領域が大きいので、DMD3へ入射する光束の角度が大きくなり、結果として走査面5へ入射する光束の角度が大きくなる。このため、集光方向(ピント方向のずれ)に対してビーム径が太りやすい。
【0076】
一方、図15(B)に示すように、この露光ヘッドでは、ファイバアレイ光源66の発光領域の副走査方向の径が小さいので、レンズ系67を通過してDMD50へ入射する光束の角度が小さくなり、結果として走査面56へ入射する光束の角度が小さくなる。即ち、焦点深度が深くなる。この例では、発光領域の副走査方向の径は従来の約30倍になっており、略回折限界に相当する焦点深度を得ることができる。従って、微小スポットの露光に好適である。この焦点深度への効果は、露光ヘッドの必要光量が大きいほど顕著であり、有効である。この例では、露光面に投影された1画素サイズは10μm×10μmである。なお、DMDは反射型の空間変調素子であるが、図15(A)及び(B)は、光学的な関係を説明するために展開図とした。
【0077】
露光パターンに応じた画像データが、DMD50に接続された図示しないコントローラに入力され、コントローラ内のフレームメモリに一旦記憶される。この画像データは、画像を構成する各画素の濃度を2値(ドットの記録の有無)で表したデータである。
【0078】
感光材料150を表面に吸着したステージ152は、図示しない駆動装置により、ガイド158に沿ってゲート160の上流側から下流側に一定速度で移動される。ステージ152がゲート160下を通過する際に、ゲート160に取り付けられた検知センサ164により感光材料150の先端が検出されると、フレームメモリに記憶された画像データが複数ライン分ずつ順次読み出され、データ処理部で読み出された画像データに基づいて各露光ヘッド166毎に制御信号が生成される。そして、ミラー駆動制御部により、生成された制御信号に基づいて各露光ヘッド166毎にDMD50のマイクロミラーの各々がオンオフ制御される。
【0079】
ファイバアレイ光源66からDMD50にレーザー光が照射されると、DMD50のマイクロミラーがオン状態のときに反射されたレーザー光は、レンズ系54、58により感光材料150の被露光面56上に結像される。このようにして、ファイバアレイ光源66から出射されたレーザー光が画素毎にオンオフされて、感光材料150がDMD50の使用画素数と略同数の画素単位(露光エリア168)で露光される。また、感光材料150がステージ152と共に一定速度で移動されることにより、感光材料150がスキャナ162によりステージ移動方向と反対の方向に副走査され、各露光ヘッド166毎に帯状の露光済み領域170が形成される。
【0080】
図16(A)及び(B)に示すように、DMD50には、主走査方向にマイクロミラーが800個配列されたマイクロミラー列が、副走査方向に600組配列されているが、ここではコントローラにより一部のマイクロミラー列(例えば、800個×100列)だけが駆動されるように制御する。
【0081】
図16(A)に示すように、DMD50の中央部に配置されたマイクロミラー列を使用してもよく、図16(B)に示すように、DMD50の端部に配置されたマイクロミラー列を使用してもよい。また、一部のマイクロミラーに欠陥が発生した場合は、欠陥が発生していないマイクロミラー列を使用するなど、状況に応じて使用するマイクロミラー列を適宜変更してもよい。
【0082】
DMD50のデータ処理速度には限界があり、使用する画素数に比例して1ライン当りの変調速度が決定されるので、一部のマイクロミラー列だけを使用することで1ライン当りの変調速度が速くなる。一方、連続的に露光ヘッドを露光面に対して相対移動させる露光方式の場合には、副走査方向の画素を全部使用する必要はない。
【0083】
例えば、600組のマイクロミラー列の内、300組だけ使用する場合には、600組全部使用する場合と比較すると1ライン当り2倍速く変調することができる。また、600組のマイクロミラー列の内、200組だけ使用する場合には、600組全部使用する場合と比較すると1ライン当り3倍速く変調することができる。即ち、副走査方向に500mmの領域を17秒で露光できる。更に、100組だけ使用する場合には、1ライン当り6倍速く変調することができる。即ち、副走査方向に500mmの領域を9秒で露光できる。
【0084】
使用するマイクロミラー列の数、即ち、副走査方向に配列されたマイクロミラーの個数は、10以上で且つ200以下が好ましく、10以上で且つ100以下がより好ましい。1画素に相当するマイクロミラー1個当りの面積は15μm×15μmであるから、DMD50の使用領域に換算すると、12mm×150μm以上で且つ12mm×3mm以下の領域が好ましく、12mm×150μm以上で且つ12mm×1.5mm以下の領域がより好ましい。
【0085】
使用するマイクロミラー列の数が上記範囲にあれば、図17(A)及び(B)に示すように、ファイバアレイ光源66から出射されたレーザー光をレンズ系67で略平行光化して、DMD50に照射することができる。DMD50によりレーザー光を照射する照射領域は、DMD50の使用領域と一致することが好ましい。照射領域が使用領域よりも広いとレーザー光の利用効率が低下する。
【0086】
一方、DMD50上に集光させる光ビームの副走査方向の径を、レンズ系67により副走査方向に配列されたマイクロミラーの個数に応じて小さくする必要があるが、使用するマイクロミラー列の数が10未満であると、DMD50に入射する光束の角度が大きくなり、走査面56における光ビームの焦点深度が浅くなるので好ましくない。また、使用するマイクロミラー列の数が200以下が変調速度の観点から好ましい。なお、DMDは反射型の空間変調素子であるが、図17(A)及び(B)は、光学的な関係を説明するために展開図とした。
【0087】
スキャナ162による感光材料150の副走査が終了し、検知センサ164で感光材料150の後端が検出されると、ステージ152は、図示しない駆動装置により、ガイド158に沿ってゲート160の最上流側にある原点に復帰し、再度、ガイド158に沿ってゲート160の上流側から下流側に一定速度で移動される。
【0088】
以上説明した通り、露光ユニット(露光装置)は、主走査方向にマイクロミラーが800個配列されたマイクロミラー列が、副走査方向に600組配列されたDMDを備えているが、コントローラにより一部のマイクロミラー列だけが駆動されるように制御するので、全部のマイクロミラー列を駆動する場合に比べて、1ライン当りの変調速度が速くなる。これにより高速での露光が可能になる。
【0089】
(現像工程(c))
用いる現像液としては、特に制約はなく、特開平5−72724号公報に記載のものなど、公知の現像液を使用することができる。尚、現像液は樹脂層が溶解型の現像挙動をするものが好ましく、例えば、pKa=7〜13の化合物を0.05〜5mol/Lの濃度で含むものが好ましいが、更に水と混和性を有する有機溶剤を少量添加してもよい。
水と混和性を有する有機溶剤としては、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ベンジルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、乳酸エチル、乳酸メチル、ε−カプロラクタム、N−メチルピロリドン等を挙げることができる。該有機溶剤の濃度は0.1質量%〜30質量%が好ましい。
また、上記現像液には、更に公知の界面活性剤を添加することができる。界面活性剤の濃度は0.01質量%〜10質量%が好ましい。
【0090】
現像の方式としては、パドル現像、シャワー現像、シャワー&スピン現像、ディプ現像等、公知の方法を用いることができる。
ここで、上記シャワー現像について説明すると、露光後の樹脂層に現像液をシャワーにより吹き付けることにより、未硬化部分を除去することができる。尚、現像の前に樹脂層の溶解性が低いアルカリ性の液をシャワーなどにより吹き付け、熱可塑性樹脂層、中間層などを除去しておくことが好ましい。また、現像の後に、洗浄剤などをシャワーにより吹き付け、ブラシなどで擦りながら、現像残渣を除去することが好ましい。
洗浄液としては公知のものを使用できるが、(燐酸塩・珪酸塩・ノニオン界面活性剤・消泡剤・安定剤含有、商品名「T−SD1(富士写真フイルム製)」、或いは、炭酸ナトリウム・フェノキシオキシエチレン系界面活性剤含有、商品名「T−SD2(富士写真フイルム製)」)が好ましい。
現像液の液温度は20℃〜40℃が好ましく、また、現像液のpHは8〜13が好ましい。
【0091】
(ポスト露光工程(e))
前記現像工程によって現像化された樹脂層をより硬化させるため、本発明のパターン形成方法においては、ポスト露光を行うことが好ましい。ここで、ポスト露光に用いる光源としては、樹脂層を硬化しうる波長域の光(例えば、365nm、405nmなど)を照射できるものであれば適宜選定して用いることができる。具体的には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ等が特に好ましく用いられる。露光量としては、通常10〜10000mJ/cm2であり、好ましくは100〜1000mJ/cm2である。
【0092】
(ポストベーク工程(d))
本発明におけるパターンを形成した後、その上に製膜されるITO膜を所望の低抵抗とするため、本発明のパターン形成方法においてはポストベークが行われる。
ポストベークの温度は、ITO製膜時のクラック発生をより効果的に防止し、それによって所望の抵抗値を得る観点から180℃以上であることが好ましく、更に180〜260℃であることが好ましく、特に200℃〜240℃が好ましい。またその時間としては、前記の温度を保ったまま10〜300分ベークすることが好ましく、更には15〜200分、特には20〜150分が好ましい。
また、上記クラックの発生を更に効果的に防止するため、室温から前記ポストベーク温度までの昇温は徐々に行うことが好ましく、具体的には一定速度で1〜100分、更には5〜60分、特には5〜20分かけて前記温度にまで昇温することが好ましい。
【0093】
本発明におけるパターンは上述のようにして形成されるが、例えば、K(ブラック)・R・G・Bの4色からなるカラーフィルターの形成のように、樹脂組成物を順次塗布して重ねる場合には、塗布液のレベリングのため重ねるごとに膜厚が薄くなってしまうことがある。このため、該パターンの上には更に分割配向用突起を重ねることが好ましい。一方、熱可塑性樹脂層を有する転写材料を用いる場合は、厚みが一定に保たれるため、重ねる色は3又は2色とすることが好ましい。
【0094】
<光重合系感光性樹脂組成物>
次いで、本発明のパターン形成方法に用いられる樹脂組成物について説明する。
該樹脂組成物としては、(1)アルカリ可溶性樹脂と、(2)モノマー又はオリゴマーと、(3)光重合開始剤又は光重合開始剤系と、(4)着色剤と、を含む感光性の樹脂組成物が好ましい。
以下、これら(1)〜(4)の成分について順次述べる。
【0095】
(1)アルカリ可溶性樹脂
本発明におけるアルカリ可溶性樹脂(以下、単に「バインダー」ということがある。)としては、側鎖にカルボン酸基やカルボン酸塩基などの極性基を有するポリマーが好ましい。その例としては、特開昭59−44615号公報、特公昭54−34327号公報、特公昭58−12577号公報、特公昭54−25957号公報、特開昭59−53836号公報及び特開昭59−71048号公報に記載されているようなメタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等を挙げることができる。また側鎖にカルボン酸基を有するセルロース誘導体も挙げることができ、またこの他にも、水酸基を有するポリマーに環状酸無水物を付加したものも好ましく使用することができる。また、特に好ましい例として、米国特許第4139391号明細書に記載のベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸との共重合体や、ベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸と他のモノマーとの多元共重合体を挙げることができる。これらの極性基を有するバインダーポリマーは、単独で用いてもよく、或いは通常の膜形成性のポリマーと併用する組成物の状態で使用してもよく、樹脂組成物の全固形分に対する含有量は20〜50質量%が一般的であり、25〜45質量%が好ましい。
【0096】
(2)モノマー又はオリゴマー
本発明におけるモノマー又はオリゴマーとしては、エチレン性不飽和二重結合を2個以上有し、光の照射によって付加重合するモノマー又はオリゴマーであることが好ましい。そのようなモノマー及びオリゴマーとしては、分子中に少なくとも1個の付加重合可能なエチレン性不飽和基を有し、沸点が常圧で100℃以上の化合物を挙げることができる。その例としては、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート及びフェノキシエチル(メタ)アクリレートなどの単官能アクリレートや単官能メタクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)シアヌレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパンやグリセリン等の多官能アルコールにエチレンオキシド又はプロピレンオキシドを付加した後(メタ)アクリレート化したもの等の多官能アクリレートや多官能メタクリレートを挙げることができる。
【0097】
更に特公昭48−41708号公報、特公昭50−6034号公報及び特開昭51−37193号公報に記載されているウレタンアクリレート類;特開昭48−64183号公報、特公昭49−43191号公報及び特公昭52−30490号公報に記載されているポリエステルアクリレート類;エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸の反応生成物であるエポキシアクリレート類等の多官能アクリレー卜やメタクリレートを挙げることができる。
これらの中で、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジぺンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートが好ましい。
また、この他、特開平11−133600号公報に記載の「重合性化合物B」も好適なものとして挙げることができる。
これらのモノマー又はオリゴマーは、単独でも、二種類以上を混合して用いてもよく、樹脂組成物の全固形分に対する含有量は5〜50質量%が一般的であり、10〜40質量%が好ましい。
【0098】
(3)光重合開始剤又は光重合開始剤系
樹脂組成物を硬化させる方法としては、本発明では光重合開始剤又は光重合開始系が用いられる。ここで用いる光重合開始剤は、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等の放射線の照射(露光ともいう)により、後述の多官能性モノマーの重合を開始する活性種を発生し得る化合物であり、公知の光重合開始剤若しくは光重合開始剤系の中から適宜選択することができる。
例えば、トリハロメチル基含有化合物、アクリジン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、ベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、α−ジケトン系化合物、多核キノン系化合物、キサントン系化合物、ジアゾ系化合物、等を挙げることができる。
【0099】
具体的には、特開2001−117230公報に記載の、トリハロメチル基が置換したトリハロメチルオキサゾール誘導体又はs−トリアジン誘導体、米国特許第4239850号明細書に記載のトリハロメチル−s−トリアジン化合物、米国特許第4212976号明細書に記載のトリハロメチルオキサジアゾール化合物などのトリハロメチル基含有化合物;
9−フェニルアクリジン、9−ピリジルアクリジン、9−ピラジニルアクリジン、1,2−ビス(9−アクリジニル)エタン、1,3−ビス(9−アクリジニル)プロパン、1,4−ビス(9−アクリジニル)ブタン、1,5−ビス(9−アクリジニル)ペンタン、1,6−ビス(9−アクリジニル)ヘキサン、1,7−ビス(9−アクリジニル)ヘプタン、1,8−ビス(9−アクリジニル)オクタン、1,9−ビス(9−アクリジニル)ノナン、1,10−ビス(9−アクリジニル)デカン、1,11−ビス(9−アクリジニル)ウンデカン、1,12−ビス(9−アクリジニル)ドデカン等のビス(9−アクリジニル)アルカン、などのアクリジン系化合物;
6−(p−メトキシフェニル)−2,4−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、6−〔p−(N,N−ビス(エトキシカルボニルメチル)アミノ)フェニル〕−2,4−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジンなどのトリアジン系化合物;
その他、9,10−ジメチルベンズフェナジン、ミヒラーズケトン、ベンゾフェノン/ミヒラーズケトン、ヘキサアリールビイミダゾール/メルカプトベンズイミダゾール、ベンジルジメチルケタール、チオキサントン/アミン、2,2'−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾールなどが挙げられる。
【0100】
上記のうち、トリハロメチル基含有化合物、アクリジン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物から選択される少なくとも一種が好ましく、特に、ビイミダゾール系化合物、トリハロメチル基含有化合物及びアクリジン系化合物から選択される少なくとも一種を含有することが好ましい。ビイミダゾール系化合物、トリハロメチル基含有化合物、アクリジン系化合物は、汎用性でかつ安価である点でも有用である。
【0101】
特に好ましいのは、トリハロメチル基含有化合物としては、2−トリクロロメチル−5−(p−スチリルスチリル)−1,3,4−オキサジアゾールであり、アクリジン系化合物としては、9−フェニルアクリジンであり、更に、6−〔p−(N,N−ビス(エトキシカルボニルメチル)アミノ)フェニル〕−2,4−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−ブトキシスチリル)−5−トリクロロメチル−1,3,4−オキサジアゾールなどのトリハロメチル基含有化合物、及びミヒラーズケトン、2,2'−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾールである。
【0102】
前記光重合開始剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。前記光重合開始剤の樹脂組成物における総量としては、樹脂組成物の全固形分(質量)の0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜10質量%が特に好ましい。前記総量が、0.1質量%未満であると、組成物の光硬化の効率が低く露光に長時間を要することがあり、20質量%を超えると、現像する際に、形成された画像パターンが欠落したり、パターン表面に荒れが生じやすくなることがある。
【0103】
樹脂層への露光における露光感度や感光波長を調製する目的で、前記光重合開始剤に加えて、増感剤を添加することが可能である。
前記増感剤は、光照射手段としての可視光線や紫外光・可視光レーザなどにより適宜選択することができる。
前記増感剤は、活性エネルギー線により励起状態となり、他の物質(例えば、ラジカル発生剤、酸発生剤等)と相互作用(例えば、エネルギー移動、電子移動等)することにより、ラジカルや酸等の有用基を発生することが可能である。
【0104】
前記増感剤としては、特に制限はなく、公知の増感剤の中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、公知の多核芳香族類(例えば、ピレン、ペリレン、トリフェニレン)、キサンテン類(例えば、フルオレセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、シアニン類(例えば、インドカルボシアニン、チアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)、アクリドン類(例えば、アクリドン、クロロアクリドン、N−メチルアクリドン、N−ブチルアクリドン、10−N−ブチル−2−クロロアクリドン等)、クマリン類(例えば、3−(2−ベンゾフロイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(2−ベンゾフロイル)−7−(1−ピロリジニル)クマリン、3−ベンゾイル−7−ジエチルアミノクマリン、3−(2−メトキシベンゾイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(4−ジメチルアミノベンゾイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3,3’−カルボニルビス(5,7−ジ−n−プロポキシクマリン)、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、3−ベンゾイル−7−メトキシクマリン、3−(2−フロイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(4−ジエチルアミノシンナモイル)−7−ジエチルアミノクマリン、7−メトキシ−3−(3−ピリジルカルボニル)クマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジプロポキシクマリン等が挙げられ、他に特開平5−19475号、特開平7−271028号、特開2002−363206号、特開2002−363207号、特開2002−363208号、特開2002−363209号等の各公報に記載のクマリン化合物など)が挙げられる。
【0105】
前記光重合開始剤と前記増感剤との組合せとしては、例えば、特開2001−305734号公報に記載の電子移動型開始系[(1)電子供与型開始剤及び増感色素、(2)電子受容型開始剤及び増感色素、(3)電子供与型開始剤、増感色素及び電子受容型開始剤(三元開始系)]などの組合せが挙げられる。
【0106】
前記増感剤の含有量としては、前記感光性樹脂組成物中の全成分に対し、0.05〜30質量%が好ましく、0.1〜20質量%がより好ましく、0.2〜10質量%が特に好ましい。該含有量が、0.05質量%以上であることにより、活性エネルギー線への感度が向上し、露光プロセス時間を短縮でき、生産性を向上することができる。一方30質量%以下であることにより、保存時における樹脂層からの増感剤析出を効果的に防止することができる。
【0107】
前記光重合開始剤は、水素供与体を併用して構成されてもよい。該水素供与体としては、感度をより良化することができる点で、以下で定義するメルカプタン系化合物、アミン系化合物等が好ましい。ここでの「水素供与体」とは、露光により前記光重合開始剤から発生したラジカルに対して、水素原子を供与することができる化合物をいう。
【0108】
前記メルカプタン系化合物は、ベンゼン環或いは複素環を母核とし、該母核に直接結合したメルカプト基を1個以上、好ましくは1〜3個、更に好ましくは1〜2個有する化合物(以下、「メルカプタン系水素供与体」という)である。また、前記アミン系化合物は、ベンゼン環或いは複素環を母核とし、該母核に直接結合したアミノ基を1個以上、好ましくは1〜3個、更に好ましくは1〜2個有する化合物(以下、「アミン系水素供与体」という)である。尚、これらの水素供与体は、メルカプト基とアミノ基とを同時に有していてもよい。
【0109】
上記のメルカプタン系水素供与体の具体例としては、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプト−2,5−ジメチルアミノピリジン、等が挙げられる。これらのうち、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾールが好ましく、特に2−メルカプトベンゾチアゾールが好ましい。
【0110】
上記のアミン系水素供与体の具体例としては、4、4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4、4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−ジエチルアミノアセトフェノン、4−ジメチルアミノプロピオフェノン、エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノベンゾニトリル等が挙げられる。これらのうち、4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが好ましく、特に4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが好ましい。
【0111】
前記水素供与体は、単独で又は2種以上を混合して使用することができ、形成された画像が現像時に永久支持体上から脱落し難く、かつ強度及び感度も向上させ得る点で、1 種以上のメルカプタン系水素供与体と1種以上のアミン系水素供与体とを組合せて使用することが好ましい。
【0112】
前記メルカプタン系水素供与体とアミン系水素供与体との組合せの具体例としては、2−メルカプトベンゾチアゾール/4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、2−メルカプトベンゾチアゾール/4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2−メルカプトベンゾオキサゾール/4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、2−メルカプトベンゾオキサゾール/4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられる。より好ましい組合せは、2−メルカプトベンゾチアゾール/4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2−メルカプトベンゾオキサゾール/4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンであり、特に好ましい組合せは、2−メルカプトベンゾチアゾール/4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンである。
【0113】
前記メルカプタン系水素供与体とアミン系水素供与体とを組合せた場合の、メルカプタン系水素供与体(M)とアミン系水素供与体(A)との質量比(M:A)は、通常1:1〜1:4が好ましく、1:1〜1:3がより好ましい。前記水素供与体の樹脂組成物における総量としては、樹脂組成物の全固形分(質量)の0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜10質量%が特に好ましい。
【0114】
(4)着色剤
本発明における着色剤としては、R(レッド)の樹脂組成物においてはC.I.ピグメント・レッド(C.I.P.R.)254が、G(グリーン)の樹脂組成物においてはC.I.ピグメント・グリーン(C.I.P.G.)36が、B(ブルー)の樹脂組成物においてはC.I.ピグメント・ブルー(C.I.P.B.)15:6が好適なものとして挙げられる。
【0115】
また上記顔料の他には、下記に記載のカラーインデックス(C.I.)番号が付されている公知の染料、顔料等を挙げることができる。尚、該公知の着色剤のうち顔料を用いる場合には、樹脂組成物中に均一に分散されていることが望ましく、そのため粒径が0.1μm以下、特には0.08μm以下であることが好ましい。
上記公知の染料ないし顔料としては、具体的には、前記顔料として、特開2005−17716号公報[0038]〜[0054]に記載の顔料及び染料や、特開2004−361447号公報[0068]〜[0072]に記載の顔料や、特開2005−17521号公報[0080]〜[0088]に記載の着色剤を好適に用いることができる。
【0116】
本発明において、併用するのが好ましい上記記載の顔料の組合せは、C.I.ピグメント・レッド254では、C.I.ピグメント・レッド177、C.I.ピグメント・レッド224、C.I.ピグメント・イエロー139又はC.I.ピグメント・バイオレット23との組合せが挙げられ、C.I.ピグメント・グリーン36では、C.I.ピグメント・イエロー150、C.I.ピグメント・イエロー139、C.I.ピグメント・イエロー185、C.I.ピグメント・イエロー138又はC.I.ピグメント・イエロー180との組合せが挙げられ、C.I.ピグメント・ブルー15:6では、C.I.ピグメント・バイオレット23又はC.I.ピグメント・ブルー60との組合せが挙げられる。
【0117】
このように、併用する場合の顔料中のC.I.ピグメント・レッド.254、C.I.P.G.36、C.I.P.B.15:6の含有量は、C.I.ピグメント・レッド.254は、80質量%以上が好ましく、特に90質量%以上が好ましい。C.I.P.G.36は、50質量%以上が好ましく、特に60質量%以上が好ましい。、C.I.P.B.15:6は、80質量%以上が好ましく、特に90質量%以上が好ましい。
【0118】
上記顔料はまず分散液とすることが望ましい。この分散液は、前記顔料と顔料分散剤とを予め混合して得られる組成物を、後述する有機溶媒(又はビヒクル)に添加して分散させることによって調製することができる。前記ビビクルとは、塗料が液体状態にあるときに顔料を分散させている媒質の部分をいい、液状であって前記顔料と結合して塗膜を固める部分(バインダー)と、これを溶解希釈する成分(有機溶媒)とを含む。前記顔料を分散させる際に使用する分散機としては、特に制限はなく、例えば、朝倉邦造著、「顔料の事典」、第一版、朝倉書店、2000年、438頁に記載されているニーダー、ロールミル、アトライダー、スーパーミル、ディゾルバ、ホモミキサー、サンドミル等の公知の分散機が挙げられる。さらに該文献310頁記載の機械的摩砕により、摩擦力を利用し微粉砕してもよい。
【0119】
本発明で用いる着色剤(顔料)は、数平均粒径0.001〜0.1μmのものが好ましく、更に0.01〜0.08μmのものが好ましい。顔料数平均粒径が0.001μm未満であると、粒子表面エネルギーが大きくなり凝集し易くなり、顔料分散が難しくなるとともに、分散状態を安定に保つことも難しくなり好ましくない。また、数平均粒径が0.1μmを超えると、顔料による偏光の解消が生じ、コントラストが低下し、好ましくない。なお、本明細書でいう「粒径」とは、電子顕微鏡写真画像を同面積の円としたときの直径を言い、「数平均粒径」とは多数の粒子について該粒径を求め、この100個平均値を言う。
【0120】
尚、粒径を小さくするには顔料分散物の分散時間を調整することで達成できる。分散には、上記記載の公知の分散機を用いることができ、分散時間としては、好ましくは10〜30時間であり、更に好ましくは18〜30時間、最も好ましくは24〜30時間である。分散時間が10時間未満であると、顔料粒径が大きく顔料による偏光の解消が生じコントラストが低下することがある。一方、分散時間が30時間を超えると、分散液の粘度が上昇し、塗布が困難になることがある。
【0121】
(その他の添加剤)
−溶媒−
本発明の樹脂組成物においては、上記成分の他に、更に有機溶媒を用いてもよい。有機溶媒の例としては、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、シクロヘキサノール、メチルイソブチルケトン、乳酸エチル、乳酸メチル、カプロラクタム等を挙げることができる。
【0122】
−界面活性剤−
従来カラーフィルターを形成する場合には、高い色純度を実現するために各画素の色が濃くなり、画素の膜厚のムラが、そのまま色ムラとして認識されるという問題があった。そのため、画素の膜厚に直接影響する、樹脂層の形成(塗布)時の、膜厚変動の良化が求められていた。
本発明においては、均一な膜厚に制御でき、塗布ムラ(膜厚変動による色ムラ)を効果的に防止するという観点から、該樹脂組成物中に適切な界面活性剤を含有させることが好ましい。上記界面活性剤としては、特開2003−337424号公報、特開平11−133600号公報に開示されている界面活性剤が、好適なものとして挙げられる。
【0123】
−熱重合防止剤−
本発明の樹脂組成物は、熱重合防止剤を含むことが好ましい。該熱重合防止剤の例としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4'−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−メルカプトベンズイミダゾール、フェノチアジン等が挙げられる。
【0124】
−紫外線吸収剤−
本発明の樹脂組成物には、必要に応じて紫外線吸収剤を含有することができる。紫外線吸収剤としては、特開平5−72724号公報記載の化合物のほか、サリシレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系、ニッケルキレート系、ヒンダードアミン系などが挙げられる。
具体的には、フェニルサリシレート、4−t−ブチルフェニルサリシレート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3',5'−ジ−t−4'−ヒドロキシベンゾエート、4−t−ブチルフェニルサリシレート、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3'−t−ブチル−5'−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、2,2'−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、ニッケルジブチルジチオカーバメート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピリジン)−セバケート、4−t−ブチルフェニルサリシレート、サルチル酸フェニル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン縮合物、コハク酸−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリデニル)−エステル、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、7−{[4−クロロ−6−(ジエチルアミノ)−5−トリアジン−2−イル]アミノ}−3−フェニルクマリン等が挙げられる。
【0125】
また、本発明における樹脂組成物においては、上記添加剤の他に、特開平11−133600号公報に記載の「接着助剤」や、その他の添加剤等を含有させることができる。
【0126】
<樹脂転写材料>
次いで、本発明のパターン形成方法に用いられる樹脂転写材料について説明する。
樹脂転写材料としては、特開平5−72724号公報に記載されている樹脂転写材料、すなわち一体型となったフイルムを用いて形成することが好ましい。該一体型フイルムの構成の例としては、仮支持体/熱可塑性樹脂層/中間層/感光性樹脂層/保護フイルム、仮支持体/熱可塑性樹脂層/感光性樹脂層/保護フイルムを、この順に積層した構成が好適なものとして挙げられる。
尚、この樹脂転写材料は、上記感光性樹脂組成物の感光性樹脂層を設けることが必須である。
【0127】
−仮支持体−
上記樹脂転写材料の仮支持体としては、可撓性を有し、加圧若しくは加圧及び加熱下においても著しい変形、収縮若しくは伸びを生じないことが必要である。そのような支持体の例としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、トリ酢酸セルロースフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム等を挙げることができ、中でも2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが特に好ましい。
仮支持体の厚さに特に制限はないが、5〜200μmの範囲が一般的で、特に10〜150μmの範囲のものが取扱い易さ、汎用性などの点から有利であり好ましい。また、仮支持体は、透明でもよいし、染料化ケイ素、アルミナゾル、クロム塩、ジルコニウム塩などを含有していても良い。
【0128】
−熱可塑性樹脂層−
熱可塑性樹脂層に用いる成分としては、特開平5−72724号公報に記載されている有機高分子物質が好ましく、ヴイカーVicat法(具体的にはアメリカ材料試験法エーエステーエムデーASTMD1235によるポリマー軟化点測定法)による軟化点が約80℃以下の有機高分子物質より選ばれることが特に好ましい。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、エチレンと酢酸ビニル或いはそのケン化物の様なエチレン共重合体、エチレンとアクリル酸エステル或いはそのケン化物、ポリ塩化ビニル、塩化ビニルと酢酸ビニル及びそのケン化物の様な塩化ビニル共重合体、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン共重合体、ポリスチレン、スチレンと(メタ)アクリル酸エステル或いはそのケン化物の様なスチレン共重合体、ポリビニルトルエン、ビニルトルエンと(メタ)アクリル酸エステル或いはそのケン化物の様なビニルトルエン共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸ブチルと酢酸ビニル等の(メタ)アクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル共重合体ナイロン、共重合ナイロン、N−アルコキシメチル化ナイロン、N−ジメチルアミノ化ナイロンの様なポリアミド樹脂等の有機高分子が挙げられる。
【0129】
−中間層−
上記樹脂転写材料においては、複数の塗布層の塗布時、及び塗布後の保存時における成分の混合を防止する目的から、中間層を設けることが好ましい。該中間層としては、特開平5−72724号公報に「分離層」として記載されている、酸素遮断機能のある酸素遮断膜を用いることが好ましく、この場合、露光時感度がアップし、露光機の時間負荷が減り、生産性が向上する。
該酸素遮断膜としては、低い酸素透過性を示し、水又はアルカリ水溶液に分散又は溶解するものが好ましく、公知のものの中から適宜選択することができる。これらの内、特に好ましいのは、ポリビニルアルコールとポリビニルピロリドンとの組み合わせである。
【0130】
−保護フイルム−
樹脂層の上には、貯蔵の際の汚染や損傷から保護するために薄い保護フイルムを設けることが好ましい。保護フイルムは仮支持体と同じか又は類似の材料からなってもよいが、樹脂層から容易に分離されねばならない。保護フイルム材料としては例えばシリコーン紙、ポリオレフィン若しくはポリテトラフルオロエチレンシートが適当である。
【0131】
−樹脂転写材料の作製方法−
本発明における樹脂転写材料は、仮支持体上に熱可塑性樹脂層の添加剤を溶解した塗布液(熱可塑性樹脂層用塗布液)を塗布し、乾燥することにより熱可塑性樹脂層を設け、その後熱可塑性樹脂層上に熱可塑性樹脂層を溶解しない溶剤からなる中間層材料の溶液を塗布、乾燥し、その後に感光性樹脂組成物の感光性樹脂層を、中間層を溶解しない溶剤で塗布、乾燥して設けることにより作製することができる。
また、前記の仮支持体上に熱可塑性樹脂層及び中間層を設けたシート、及び保護フイルム上に感光性樹脂層を設けたシートを用意し、中間層と感光性樹脂層が接するように相互に貼り合わせることによっても、更には、前記の仮支持体上に熱可塑性樹脂層を設けたシート、及び保護フイルム上に感光性樹脂層及び中間層を設けたシートを用意し、熱可塑性樹脂層と中間層が接するように相互に貼り合わせることによっても、作製することができる。
尚、樹脂転写材料において、感光性樹脂組成物の感光性樹脂層の膜厚としては、1.0〜5.0μmが好ましく、1.0〜4.0μmがより好ましく、1.0〜3.0μmが特に好ましい。
また、特に限定されるわけではないが、その他の各層の好ましい膜厚としては、熱可塑性樹脂層は2〜30μm、中間層は0.5〜3.0μm、保護フイルムは4〜40μmが、好ましい。
【0132】
尚、上記樹脂転写材料の作製方法における塗布は、前記<パターン形成方法>における(樹脂層形成工程)の項で列挙したような公知の塗布装置等によって行うことができるが、本発明においては、特にスリット状ノズルを用いた塗布装置(スリットコータ)によって行うことが好ましい。
【0133】
<基板>
本発明のパターン形成方法で用いる基板としては、例えば、透明基板が用いられ、表面に酸化ケイ素皮膜を有するソーダガラス板、低膨張ガラス、ノンアルカリガラス、石英ガラス板等の公知のガラス板、或いは、プラスチックフィルム等を挙げることができる。
また、上記基板は、予めカップリング処理を施しておくことにより、樹脂組成物、又は樹脂転写材料との密着を良好にすることができる。該カップリング処理としては、特開2000−39033号公報記載の方法が好適に用いられる。尚、特に限定されるわけではないが、基板の膜厚としては、700〜1200μmが一般的に好ましい。
【0134】
<ITO透明電極>
上述のパターン形成方法によって基板上に設けられるパターンは、その上にITO透明電極(ITO膜)を形成した場合に、低抵抗で面内の抵抗値変動が小さいITO膜が得られるという効果を有する。
ここで、上記ITO膜の形成は、一般的に用いられる公知の方法を適宜選択して行うことができ、例えば、スパッタ装置を用いてITOをスパッタし形成することができる。尚、より低抵抗で、且つ面内の抵抗値変動がより小さいITO膜を得るという観点から、スパッタするの際の条件としては、真空度が1×10-3Pa以下であることが好ましく、1×10-5Pa以下がより好ましい。また、加速電圧は1kV〜100kVであることが好ましく、5kV〜50kVがより好ましい。また、温度は100〜300℃が好ましく、特に150〜250℃が好ましい。上記の方法によって得られるITO膜は、抵抗値と透明性という観点から、膜厚500〜5000Åであることが好ましく、1000〜3000Åであることがより好ましい。
【0135】
<カラーフィルター付基板及び表示素子>
本発明のカラーフィルター付基板は、前述のパターン形成方法によってカラーフィルターの画素を形成することを特徴とし、また該カラーフィルター上にITO膜が形成された態様であってもよい。
尚、カラーフィルターの形成においては、特開平11−248921号公報、特許3255107号公報に記載のように、カラーフィルターを形成する樹脂組成物を重ねることで土台を形成し、その上に透明電極(ITO膜)を形成し、更に分割配向用の突起を重ねることでスペーサーを形成することが、コストダウンの観点で好ましい。
【0136】
また、本発明の表示素子(表示装置)は、上記カラーフィルター付基板を備えるものであれば、特に限定するものではなく、液晶表示素子や有機EL素子などが挙げられる。液晶表示装置としては、ECB(Electrically Controlled Birefringence)、TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)、HAN(Hybrid Aligned Nematic)、GH(Guest Host)のような様々な表示モードが採用でき、ノートパソコン用ディスプレイやテレビモニター等の大画面の液晶表示装置等にも好適に用いることができる。
【実施例】
【0137】
以下、本発明を実施例を用いて更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、以下において「部」、「%」及び「分子量」は「質量部」、「質量%」及び「質量平均分子量」を表す。
【0138】
(実施例1)
[ITO付カラーフィルター基板の作製]
−感光性樹脂転写材料の作製−
厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム仮支持体の上に、スリット状ノズルを用いて、下記処方H1からなる熱可塑性樹脂層用塗布液を塗布、乾燥させた。次に、下記処方P1から成る中間層用塗布液を塗布、乾燥させた。更に、下記表1記載の処方K1の組成よりなる着色感光性樹脂組成物K1を塗布、乾燥させ、該仮支持体の上に乾燥膜厚が14.6μmの熱可塑性樹脂層と、乾燥膜厚が1.6μmの中間層と、乾燥膜厚が2.4μmの感光性樹脂層を設け、保護フイルム(厚さ12μmポリプロピレンフィルム)を圧着した。
こうして仮支持体と熱可塑性樹脂層と中間層(酸素遮断膜)とブラック(K)の感光性樹脂層とが一体となった感光性樹脂転写材料を作製し、サンプル名を感光性樹脂転写材料K1とした。
【0139】
熱可塑性樹脂層用塗布液:処方H1
・メタノール 11.1部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 6.36部
・メチルエチルケトン 52.4部
・メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/ベンジル
メタクリレート/メタクリル酸共重合体(共重合組成比(モル比)
=55/11.7/4.5/28.8、分子量=10万、Tg≒70℃) 5.83部
・スチレン/アクリル酸共重合体(共重合組成比(モル比)
=63/37、分子量=1万、Tg≒100℃) 13.6部
・ビスフェノールAにペンタエチレングリコールモノメタクリート
を2当量脱水縮合した化合物
(新中村化学工業(株)製、2,2−ビス[4−
(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパン) 9.1部
・界面活性剤1(大日本インキ化学工業(株)製、商品名:メガファックF780F)
0.54部
【0140】
中間層用塗布液:処方P1
・PVA205(ポリビニルアルコール、(株)クラレ製、
鹸化度=88%、重合度550) 32.2部
・ポリビニルピロリドン(アイエスピー・ジャパン(株)製、K−30) 14.9部
・蒸留水 524部
・メタノール 429部
【0141】
次に、前記感光性樹脂転写材料K1の作製において用いた前記着色感光性樹脂組成物K1を、下記表1に記載の組成よりなる下記着色感光性樹脂組成物R1、G1及びB1に変更し、それ以外は上記と同様の方法により、感光性樹脂転写材料R1、G1及びB1を作製した。
【0142】
【表1】
【0143】
−ブラック(K)画像の形成−
無アルカリガラス基板を、25℃に調整したガラス洗浄剤液をシャワーにより20秒間吹き付けながらナイロン毛を有する回転ブラシで洗浄し、純水シャワー洗浄後、シランカップリング液(N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン0.3%水溶液、商品名:KBM603、信越化学工業(株)製)をシャワーにより20秒間吹き付け、純水シャワー洗浄した。この基板を基板予備加熱装置で100℃2分加熱した。
【0144】
前記感光性樹脂転写材料K1の保護フイルムを剥離後、ラミネーター((株)日立インダストリイズ社製(LamicII型))を用い、前記100℃に加熱した基板に、ゴムローラー温度130℃、線圧100N/cm、搬送速度2.2m/分でラミネートした。
保護フイルムを剥離後、レーザーによるパターン露光を行った。具体的には、中心波長405nmを有する半導体レーザーにより(1W)膜面に光路が並行になる光学系を介して露光した。露光量は40mJ/cm2であった。
【0145】
次に、トリエタノールアミン系現像液(2.5%のトリエタノールアミン含有、ノニオン界面活性剤含有、ポリプロピレン系消泡剤含有、商品名:T−PD1、富士写真フイルム(株)製)にて30℃50秒、フラットノズル圧力0.04MPaでシャワー現像し熱可塑性樹脂層と中間層を除去した。
【0146】
引き続き炭酸Na系現像液(0.06モル/リットルの炭酸水素ナトリウム、同濃度の炭酸ナトリウム、1%のジブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アニオン界面活性剤、消泡剤、安定剤含有、商品名:T−CD1、富士写真フイルム(株)製)を用い、29℃30秒、コーン型ノズル圧力0.15MPaでシャワー現像し感光性樹脂層を現像しパターニング画像を得た。
引き続き洗浄剤(燐酸塩・珪酸塩・ノニオン界面活性剤・消泡剤・安定剤含有、商品名「T−SD1(富士写真フイルム(株)製)」)を用い、33℃20秒、コーン型ノズル圧力0.02MPaでシャワーとナイロン毛を有す回転ブラシにより残渣除去を行い、ブラック(K)の画像を得た。
【0147】
その後更に、該基板を室温から220℃まで5分間かけ一定の速度で昇温し、220℃のまま15分熱処理(ポストベーク)した。
このKの画像を形成した基板を再び、前記のようにブラシで洗浄し、純水シャワー洗浄後、シランカップリング液は使用せずに、基板予備加熱装置により100℃2分加熱した。
【0148】
−レッド(R)画素の形成−
前記感光性樹脂転写材料R1を用い、ブラック(K)の画素を形成した基板上に、前記感光性樹脂転写材料K1と同様の工程で、レッド(R)の画素を得た。但し、パターン露光の露光量は20mJ/cm2、炭酸Na系現像液による現像は35℃35秒とした。
【0149】
該感光性樹脂層R1の膜厚は2.0μmであり、顔料C.I.ピグメント・レッド254及びC.I.ピグメント・レッド.177の塗布量はそれぞれ、0.88及び0.22g/m2であった。
このRの画素を形成した基板を再び、前記のようにブラシで洗浄し、純水シャワー洗浄後、シランカップリング液は使用せずに、基板予備加熱装置により100℃2分加熱した。
【0150】
−グリーン(G)画素の形成−
前記感光性樹脂転写材料G1を用い、前記レッド(R)画素を形成した基板上に、前記感光性樹脂転写材料R1と同様の工程で、グリーン(G)の画素を得た。但し、パターン露光の露光量は20mJ/cm2、炭酸Na系現像液による現像は34℃45秒とした。
該感光性樹脂層G1の膜厚は2.0μmであり、顔料C.I.ピグメント・グリーン36及びC.I.ピグメント・イエロー150の塗布量はそれぞれ、1.12及び0.48g/m2であった。
RとGの画像を形成した基板を再び、前記のようにブラシで洗浄し、純水シャワー洗浄後、シランカップリング液は使用せずに、基板予備加熱装置により100℃2分加熱した。
【0151】
−ブルー(B)画素の形成−
前記感光性樹脂転写材料B1を用い、前記レッド(R)画素とグリーン(G)画素を形成した基板上に、前記感光性樹脂転写材料R1と同様の工程で、ブルー(B)の画素を得た。但し、パターン露光の露光量は10mJ/cm2、炭酸Na系現像液による現像は36℃40秒とした。
該感光性樹脂層B1の膜厚は2.0μmであり、顔料C.Iピグメント・ブルー15:6及びC.I.ピグメント・バイオレット23の塗布量はそれぞれ、0.63及び0.07g/m2であった。
このR、G、B及びKの画像を形成した基板を240℃で50分ベークして、目的のカラーフィルターを得た。
【0152】
ここで、表1に記載の着色感光性樹脂組成物K1、R1、G1、B1の調製について説明する。
着色感光性樹脂組成物K1は、まず表1に記載の量のK顔料分散物1、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートをはかり取り、温度24℃(±2℃)で混合して150rpmで10分間攪拌し、次いで、メチルエチルケトン、バインダー1、DPHA液、B−CIM(2,2−ビス(2−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、保土谷化学工業社製)、NBCA(黒金化学製)、N−フェニルメルカプトベンズイミダゾール、ハイドロキノンモノメチルエーテル、界面活性剤1をはかり取り、温度25℃(±2℃)でこの順に添加して、温度40℃(±2℃)で150rpmで30分間攪拌することによって得られる。
【0153】
尚、処方K1に記載の組成物の内、
K顔料分散物1の組成は、
・カーボンブラック(デグッサ社製、商品名Special Black 250) 13.1部
・N,N'−ビス−(3−ジエチルアミノプロピル)−5−{4−
[2−オキソ−1−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−
ベンゾイミダゾール−5−イルカルバモイル)−プロピルアゾ]
−ベンゾイルアミノ}−イソフタルアミド 0.65部
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=72/28
モル比のランダム共重合物、分子量3.7万) 6.72部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 79.53部
【0154】
着色感光性樹脂組成物R1は、まず表1に記載の量のR顔料分散物1、R顔料分散物2、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートをはかり取り、温度24℃(±2℃)で混合して150rpmで10分間攪拌し、次いで、表1に記載の量のメチルエチルケトン、バインダー2、DPHA液、B−CIM(2,2−ビス(2−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、保土谷化学工業社製)、NBCA(10−n−ブチル−2−クロロアクリドン、黒金化成社製)、N−フェニルメルカプトベンズイミダゾール、フェノチアジンをはかり取り、温度24℃(±2℃)でこの順に添加して150rpmで30分間攪拌し、更に、表1に記載の量の界面活性剤1をはかり取り、温度24℃(±2℃)で添加して30rpmで5分間攪拌し、ナイロンメッシュ♯200で濾過することによって得られた。
【0155】
尚、表1に記載の組成物の内、
R顔料分散物1の組成は、
・C.I.P.R.254 8部
・N,N'−ビス−(3−ジエチルアミノプロピル)−5−{4−[2
−オキソ−1−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール
−5−イルカルバモイル)−プロピルアゾ]−ベンゾイルアミノ}
−イソフタルアミド 0.8部
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=72/28
モル比のランダム共重合物、分子量3.7万) 8部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 83.2部
【0156】
R顔料分散物2の組成は、
・C.I.P.R.177 18部
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=72/28
モル比のランダム共重合物、分子量3.7万) 12部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 70部
である。
上記組成物を、モーターミルM−50(アイガー社製)と、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで27時間分散し、顔料分散物を調製した。
【0157】
着色感光性樹脂組成物G1は、まず表1に記載の量のG顔料分散物1、Y顔料分散物1、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートをはかり取り、温度24℃(±2℃)で混合して150rpmで10分間攪拌し、次いで、表1に記載の量のメチルエチルケトン、シクロヘキサノン、DPHA液、B−CIM(保土谷化学製)、NBCA(黒金化学製)、N−フェニルメルカプトベンズイミダゾール、フェノチアジンをはかり取り、温度24℃(±2℃)でこの順に添加して150rpmで30分間攪拌し、更に、表1に記載の量の界面活性剤1をはかり取り、温度24℃(±2℃)で添加して30rpmで5分間攪拌し、ナイロンメッシュ♯200で濾過することによって得られる。
【0158】
尚、表1に記載の組成物の内、
G顔料分散物1の組成は、
・C.I.P.G.36 14部
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=72/28
モル比のランダム共重合物、分子量3.7万) 23部
・N,N'−ビス−(3−ジエチルアミノプロピル)−5−{4−[2−オキソ
−1−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−
イルカルバモイル]−プロピルアゾ]−ベンゾイルアミノ}−イソフタルアミド
1.4部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 61.6部
である。
【0159】
Y顔料分散物1の組成は、
・C.I.P.Y.150 15部
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=72/28
モル比のランダム共重合物、分子量3.7万) 9部
・N,N'−ビス−(3−ジエチルアミノプロピル)−5−{4−[2−オキソ
−1−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−
イルカルバモイル)−プロピルアゾ]−ベンゾイルアミノ}−イソフタルアミド
1.5部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 74.5部
である。上記組成物を、モーターミルM−50(アイガー社製)と、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで28時間分散し、顔料分散物を調製した。
【0160】
着色感光性樹脂組成物B1は、まず表1に記載の量のB顔料分散物1、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートをはかり取り、温度24℃(±2℃)で混合して150rpmで10分間攪拌し、次いで、メチルエチルケトン、バインダー3、DPHA液、B−CIM(保土谷化学製)、NBCA(黒金化学製)、N−フェニルメルカプトベンズイミダゾール、フェノチアジンをはかり取り、温度25℃(±2℃)でこの順に添加して、温度40℃(±2℃)で150rpmで30分間攪拌し、更に、表1に記載の量の界面活性剤1をはかり取り、温度24℃(±2℃)で添加して30rpmで5分間攪拌し、ナイロンメッシュ♯200で濾過することによって得られる。
【0161】
尚、表1に記載の組成物の内、
B顔料分散物1の組成は、
・C.I.P.B.15:6 11.28部
・C.I.P.V.23 0.72部
・EFKA−745(EFKA ADDITIVES B.V.社製) 0.6部
・ディスパロンDA−725(楠本化成(株)製) 0.75部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 86.65部
である。上記組成物を、モーターミルM−50(アイガー社製)と、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで27時間分散し、顔料分散物を調製した。
【0162】
また、ここで表1に記載の組成物のうち、
バインダー1の組成は、
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=78/22
モル比のランダム共重合物、分子量3.7万) 27部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 73部
【0163】
バインダー2の組成は、
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸/メチルメタクリレート
=38/25/37モル比のランダム共重合物、
分子量3.8万) 27部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 73部
【0164】
バインダー3の組成は、
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸/メチルメタクリレート
=36/22/42モル比のランダム共重合物、分子量3.8万) 27部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 73部
である。
【0165】
DPHA液の組成は、
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(重合禁止剤MEHQ500ppm
含有、日本化薬(株)製、商品名:KAYARAD DPHA) 76部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 24部
・界面活性剤1(大日本インキ化学工業(株)製、商品名:メガファックF780F)
30部
・メチルエチルケトン 70部
である。
【0166】
界面活性剤1(大日本インキ化学工業(株)製、商品名:メガファックF780F)の組成は、
・C6F13CH2CH2OCOCH=CH2 40部と
H(OCH(CH3)CH2)7OCOCH=CH2 55部と
H(OCH2CH2)7OCOCH=CH2 5部 との共重合体、
(分子量3万) 30部
・メチルエチルケトン 70部
である。
【0167】
上記で得たカラーフィルターの画素上に、スパッタ装置(SIH3030、アルバック社製)を用い、真空度1×10-4Pa、加速電圧40kVにて温度200℃にてITO(Indium TinOxide)をスパッタして、膜厚2000ÅのITO膜を形成し、ITO付きのカラーフィルター基板を作製した。
【0168】
[評価]
−ITO抵抗値及び面内変動−
上記ITO付カラーフィルター基板のITO抵抗値を、三菱油化(株)製のロレスタを用い、4端子法にて測定した。具体的には、23℃、65%湿度の環境下で作製した試料に上記ロレスタの4端子プローブを圧着し、測定は5Vで実施した。
また、上記ITO抵抗値の面内変動は、500×600mmのITO作製基板の面内のITO抵抗を、上記の抵抗値の測定方法に基づき20点無作為に測定し求めた。評価結果を、表2に示す。
【0169】
[液晶表示装置の作製]
上記で作製したITO付カラーフィルター基板上に、ポリイミドの配向膜を設けた。カラーフィルターの画素群の周囲に設けられたブラックマトリックスの外枠に相当する位置に、スペーサ粒子を含有するエポキシ樹脂のシール剤を印刷し、カラーフィルター基板を対向基板と貼り合わせた。次いで、貼り合わされたガラス基板を熱処理し、シール剤を硬化させ、2枚のガラス基板の積層体を得た。このガラス基板積層体を真空下で脱気し、その後大気圧に戻して2枚のガラス基板の間隙に液晶を注入し、液晶セルを得た。該液晶表示装置では、色ムラもなく、良好な画像を得ることができた。
【0170】
(実施例2)
実施例1において、K,R,G,Bのそれぞれのパターン形成の際、ポストベークを行う前に、基板に対して樹脂層の側から超高圧水銀灯で500mJ/cm2の光でポスト露光を施したこと以外は、実施例1と同様の方法にてITO付基板を作製し、評価した。また、実施例1と同様にして液晶表示装置を作製したところ、良好な画像を得ることができた。
【0171】
(比較例1)
実施例1において、K,R,G,Bのそれぞれのパターン形成の際、パターン露光を下記の方法によって行ったこと以外は、実施例1と同様の方法にてITO付基板を作製し、評価した。
該パターン露光の方法としては、超高圧水銀灯を有するプロキシミティー型露光機(日立デコ社製)を用い、基板とマスク(画像パターンを有す石英露光マスク)を垂直に立てた状態で、露光マスク面と該感光性樹脂層の間の距離を200μmに設定し、露光量70mJ/cm2で行った。
尚、実施例1と同様にして液晶表示装置を作製したところ、その画像は色ムラが見いだされた。
【0172】
【表2】
【0173】
(実施例3)
実施例1において、K,R,G,Bのそれぞれのパターン形成の際、ポストベーク工程における温度を220℃から140℃に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法にてITO付基板を作製した。また、実施例1と同様の方法にてITO抵抗値を測定した。結果を表3に示す。
【0174】
(実施例4)
実施例1において、K,R,G,Bのそれぞれのパターン形成の際、室温からポストベーク工程における温度(220℃)にまで5分間かけて昇温したところを2分間に変更し、また上記温度での保持時間を15分から18分に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法にてITO付基板を作製した。また、実施例1と同様の方法にてITO抵抗値を測定した。結果を表3に示す。
【0175】
(実施例5)
実施例1において、K,R,G,Bのそれぞれのパターン形成の際、ポストベーク工程における温度を220℃から280℃に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法にてITO付基板を作製した。また、実施例1と同様の方法にてITO抵抗値を測定した。結果を表3に示す。
【0176】
【表3】
【図面の簡単な説明】
【0177】
【図1】本発明に係る露光ユニットの外観を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る露光ユニットのスキャナの構成を示す斜視図である。
【図3】(A)は感光材料に形成される露光済み領域を示す平面図であり、(B)は各露光ヘッドによる露光エリアの配列を示す図である。
【図4】本発明に係る露光ヘッドの概略構成を示す斜視図である。
【図5】(A)は図4に示す露光ヘッドの構成を示す光軸に沿った副走査方向の断面図であり、(B)は(A)の側面図である。
【図6】デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)の構成を示す部分拡大図である。
【図7】(A)及び(B)はDMDの動作を説明するための説明図である。
【図8】(A)及び(B)は、DMDを傾斜配置しない場合と傾斜配置する場合とで、露光ビームの配置及び走査線を比較して示す平面図である。
【図9】(A)はファイバアレイ光源の構成を示す斜視図であり、(B)は(A)の部分拡大図であり、(C)及び(D)はレーザ出射部における発光点の配列を示す平面図である。
【図10】マルチモード光ファイバの構成を示す図である。
【図11】合波レーザ光源の構成を示す平面図である。
【図12】レーザモジュールの構成を示す平面図である。
【図13】図12に示すレーザモジュールの構成を示す側面図である。
【図14】図12に示すレーザモジュールの構成を示す部分側面図である。
【図15】(A)及び(B)は、露光装置における焦点深度を示す断面図である。
【図16】(A)及び(B)は、DMDの使用領域の例を示す図である。
【図17】(A)はDMDの使用領域が適正である場合の側面図であり、(B)は(A)の光軸に沿った副走査方向の断面図である。
【符号の説明】
【0178】
50…デジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)
54…レンズ系
66…ファイバアレイ光源
166…露光ヘッド
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に光重合系感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂層を設ける樹脂層形成工程(a)と、レーザーにより前記感光性樹脂層に露光を行うパターン露光工程(b)と、前記パターン露光後の感光性樹脂層を現像する現像工程(c)と、前記現像後の感光性樹脂層を熱処理するポストベーク工程(d)と、を少なくとも経てカラーフィルターのパターンを得ることを特徴とするパターン形成方法。
【請求項2】
前記樹脂層形成工程(a)から前記ポストベーク工程(d)までのパターン形成工程を2回以上繰り返して、前記基板上に2種以上のパターンを設けることを特徴とする請求項1に記載のパターン形成方法。
【請求項3】
前記現像工程(c)とポストベーク工程(d)との間に、前記感光性樹脂層を全面露光するポスト露光工程(e)を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のパターン形成方法。
【請求項4】
前記ポストベーク工程(d)における熱処理の温度が180℃以上であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項5】
前記熱処理の温度が180〜260℃であり、且つ室温から該温度まで5〜60分間かけて昇温することを特徴とする請求項4に記載のパターン形成方法。
【請求項6】
前記熱処理の温度での加熱時間が10〜300分であることを特徴とする請求項4又は5に記載のパターン形成方法。
【請求項7】
少なくとも、レッド(R)、グリーン(G)及びブルー(B)の3色の着色パターンを設けることを特徴とする請求項2〜6の何れか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか1項に記載のパターン形成方法によって、基板上に着色画素を形成したことを特徴とするカラーフィルター付基板。
【請求項9】
ITO透明電極を形成したことを特徴とする請求項8に記載のカラーフィルター付基板。
【請求項10】
請求項8又は9に記載のカラーフィルター付基板を備えることを特徴とする表示素子。
【請求項1】
基板上に光重合系感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂層を設ける樹脂層形成工程(a)と、レーザーにより前記感光性樹脂層に露光を行うパターン露光工程(b)と、前記パターン露光後の感光性樹脂層を現像する現像工程(c)と、前記現像後の感光性樹脂層を熱処理するポストベーク工程(d)と、を少なくとも経てカラーフィルターのパターンを得ることを特徴とするパターン形成方法。
【請求項2】
前記樹脂層形成工程(a)から前記ポストベーク工程(d)までのパターン形成工程を2回以上繰り返して、前記基板上に2種以上のパターンを設けることを特徴とする請求項1に記載のパターン形成方法。
【請求項3】
前記現像工程(c)とポストベーク工程(d)との間に、前記感光性樹脂層を全面露光するポスト露光工程(e)を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のパターン形成方法。
【請求項4】
前記ポストベーク工程(d)における熱処理の温度が180℃以上であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項5】
前記熱処理の温度が180〜260℃であり、且つ室温から該温度まで5〜60分間かけて昇温することを特徴とする請求項4に記載のパターン形成方法。
【請求項6】
前記熱処理の温度での加熱時間が10〜300分であることを特徴とする請求項4又は5に記載のパターン形成方法。
【請求項7】
少なくとも、レッド(R)、グリーン(G)及びブルー(B)の3色の着色パターンを設けることを特徴とする請求項2〜6の何れか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか1項に記載のパターン形成方法によって、基板上に着色画素を形成したことを特徴とするカラーフィルター付基板。
【請求項9】
ITO透明電極を形成したことを特徴とする請求項8に記載のカラーフィルター付基板。
【請求項10】
請求項8又は9に記載のカラーフィルター付基板を備えることを特徴とする表示素子。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2007−11231(P2007−11231A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−195469(P2005−195469)
【出願日】平成17年7月4日(2005.7.4)
【出願人】(000005201)富士フイルムホールディングス株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月4日(2005.7.4)
【出願人】(000005201)富士フイルムホールディングス株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】
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