説明

パターン検査装置

【課題】パターン検査における空気揺らぎの影響を軽減する。
【解決手段】第1と第2の開口部が形成されたスリット板112と、スリット板112を介して照明光を照射する照明光学系110と、照明光の一部を反射し、照明光の残部をパターン形成された対象物面131側に通過させる半透過反射板123と、半透過反射板123で反射された第1の像と、対象物面131で反射された第2の像とを結像する結像光学系140と、第1の像の内、第1の開口部を通過した第1の部分像の変位を測定する変位計測センサ153と、第2の像の内、第2の開口部を通過した第2の部分像を撮像する撮像センサ151と、第2の部分像の光学画像と比較するための基準画像を生成する基準画像生成回路162と、第1の部分像の位置の変位量を演算する演算回路161と、第1の部分像の位置の変位量を用いて光学画像と基準画像とを比較する比較回路163とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体の製造に使用されるフォトマスクやシリコンウエハの試料に形成されたパターンにおける欠陥(例えば、断線、細り、又は異物の付着)を検査するパターン検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LSI等の半導体装置の高集積化に伴い、レチクル等のマスクおよびシリコンウエハの微細化が進んできている。そのため、パターン検査装置にも高性能なものが求められている。検査装置としては、対象物のパターンを高精度な光学系とCCD等の撮像素子で撮像し、その撮像画像を基準画像と比較することで、欠陥を検出するものが実用化されている。
【0003】
ここで、従来のパターン検査装置では、拡大光学系を用いてリソグラフィマスク等の試料上に形成されているパターンを所定の倍率で撮像した光学画像と、設計データ、あるいは試料上の同一パターンを撮像した光学画像と比較することにより検査を行うことが知られている(例えば特許文献1参照)。例えば、パターン検査方法として、同一マスク上の異なる場所の同一パターンを撮像した光学画像データ同士を比較する「die to die検査(ダイ−ダイ検査)」法や、マスクパターンを描画する時に使用したCADデータを検査装置入力フォーマットに変換した描画データ(設計データ)をベースに比較の基準となる画像データ(基準画像データ)を生成して、それとパターンを撮像した測定データとなる光学画像データとを比較する「die to database検査(ダイ−データベース検査)」法がある。かかる検査装置における検査方法では、試料はステージ上に載置され、ステージが動くことによって光束が試料上を走査し、検査が行われる。試料には、光源及び照明光学系によって光束が照射される。試料を透過あるいは反射した光は光学系を介して、センサ上に結像される。センサで撮像された画像は光学画像(測定画像)データとして比較回路へ送られる。比較回路では、画像同士の位置合わせの後、基準画像データと光学画像データとを適切なアルゴリズムに従って比較し、一致しない場合には、パターン欠陥有りと判定する。
【0004】
導体の微細化に伴い、検査装置に要求される性能が年々高くなっている。検査装置において撮像されるパターンの位置を正確に計測するためには、対象物の高精度な位置計測に加えて、光学系で生じる変位要因を除外する必要がある。対象物はXY方向に駆動するステージ上を走査するが、対象物の位置はレーザ干渉計等の測長系にて計測され、基準画像との比較の際に参照される。対象物から発した光は結像系によって撮像センサ上に結像される。
【0005】
一般的に、高解像の画像を取得するために、検査装置の撮像系は拡大系になっている。そのため、焦点距離の長いレンズを組み合わせる必要が有り、必然的に光路長が長くなる。そのため、空気揺らぎの影響を受けやすい状況になる。空気揺らぎは光路中の屈折率分布の変化に相当するため、光線を曲げる効果として働く。そのため、撮像センサ上でパターン像が変位する結果となる。この変位は基準画像と比較した際に誤差となるため、高精度の検査を妨げる要因となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−233342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
パターン検査において、空気の揺らぎによる検査誤差を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様のパターン検査装置は、第1と第2の開口部が形成されたスリット板と、前記スリット板を介して照明光を照射する照明光学系と、前記照明光の一部を反射し、前記照明光の残部をパターン形成された対象物面側に通過させる半透過反射板と、前記半透過反射板で反射された第1の像と、前記対象物面で反射された第2の像とを結像する結像光学系と、前記第1の像の内、前記第1の開口部を通過した第1の部分像の変位を測定する変位計測センサと、前記第2の像の内、前記第2の開口部を通過した第2の部分像を撮像する撮像センサと、前記第2の部分像の光学画像と比較するための基準画像を生成する基準画像生成回路と、前記第1の部分像の位置の変位量を演算する演算回路と、前記第1の部分像の位置の変位量を用いて、前記光学画像と前記基準画像とを比較する比較回路と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の他の態様のパターン検査装置は、第1と第2の開口部が形成されたスリット板と、前記スリット板を介して照明光を照射する照明光学系と、前記照明光を通過と反射で分岐するビームスプリッタと、前記ビームスプリッタで反射された前記照明光の一部を反射する反射板と、前記反射板で反射された第1の像と、前記ビームスプリッタを通過し、パターン形成された対象物面で反射された前記照明光の残部による第2の像とを結像する結像光学系と、前記第1の像の内、前記第1の開口部を通過した第1の部分像の変位を測定する変位計測センサと、前記第2の像の内、前記第2の開口部を通過した第2の部分像を撮像する撮像センサと、前記第2の部分像の光学画像と比較するための基準画像を生成する基準画像生成回路と、前記第1の部分像の位置の変位量を演算する演算回路と、前記第1の部分像の位置の変位量を用いて、前記光学画像と前記基準画像とを比較する比較回路と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の他の態様のパターン検査装置は、第1と第2の開口部が形成されたスリット板と、前記スリット板を介して照明光を照射する照明光学系と、前記照明光を通過と反射で分岐するビームスプリッタと、前記ビームスプリッタを通過した前記照明光の一部を反射する反射板と、前記反射板で反射された第1の像と、前記ビームスプリッタで反射され、パターン形成された対象物面で反射された前記照明光の残部による第2の像とを結像する結像光学系と、前記第1の像の内、前記第1の開口部を通過した第1の部分像の変位を測定する変位計測センサと、前記第2の像の内、前記第2の開口部を通過した第2の部分像を撮像する撮像センサと、前記第2の部分像の光学画像と比較するための基準画像を生成する基準画像生成回路と、前記変位計測センサによって測定された前記第1の部分像の位置の変位量を演算する演算回路と、前記第1の部分像の位置の変位量を用いて、前記光学画像と前記基準画像とを比較する比較回路と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の他の態様のパターン検査装置は、第1と第2の開口部が形成されたスリット板と、前記スリット板を介して照明光を照射する照明光学系と、前記照明光の一部を反射し、前記照明光の残部をパターン形成された対象物面側に通過させる第1と第2の半透過反射板と、前記第1の半透過反射板で反射された第1の像と、前記対象物面で反射された第2の像と、前記第2の半透過反射板で反射された第3の像とを結像する結像光学系と、前記第1の像の内、前記第1の開口部を通過した第1の部分像の変位を測定する第1の変位計測センサと、前記第2の像の内、前記第2の開口部を通過した第2の部分像を撮像する撮像センサと、前記第3の像の変位の内、前記第1の開口部を通過した第3の部分像を測定する第2の変位計測センサと、前記第2の部分像の光学画像と比較するための基準画像を生成する基準画像生成回路と、前記第1と第3の部分像の位置の変位量と第2の部分像の倍率変化値を演算する演算回路と、前記変位量と前記倍率変化値を用いて、前記光学画像と前記基準画像とを比較する比較回路と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の他の態様のパターン検査装置は、第1と第2の開口部が形成されたスリット板と、前記スリット板を介して照明光を照射する照明光学系と、前記照明光を通過と反射で分岐するビームスプリッタと、前記ビームスプリッタで反射された前記照明光の一部の内の一部を反射し、前記照明光の一部の内の残部を通過させる半透過反射板と、前記半透過反射板を通過した前記照明光の内の残部を反射する反射板と、前記半透過反射板で反射された第1の像と、前記ビームスプリッタを通過し、パターン形成された対象物面で反射された前記照明光の残部による第2の像と、前記反射板で反射された第3の像とを結像する結像光学系と、前記第1の像の内、前記第1の開口部を通過した第1の部分像の変位を測定する第1の変位計測センサと、前記第2の像の内、前記第2の開口部を通過した第2の部分像を撮像する撮像センサと、前記第3の像の内、前記第1の開口部を通過した第3の部分像の変位を測定する第2の変位計測センサと、前記第2の部分像の光学画像と比較するための基準画像を生成する基準画像生成回路と、前記第1と第3の部分像の位置の変位量と、前記2の部分像の倍率変化値を演算する演算回路と、記変位量と前記倍率変化値を用いて、前記光学画像と前記基準画像とを比較する比較回路と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明の他の態様のパターン検査装置は、第1と第2の開口部が形成されたスリット板と、前記スリット板を介して照明光を照射する照明光学系と、前記照明光を通過と反射で分岐するビームスプリッタと、前記ビームスプリッタを通過した前記照明光の一部の内の一部を反射し、前記照明光の一部の内の残部を通過する半透過反射板と、前記半透過反射板を通過した前記照明光の一部の内の残部を反射する反射板と、前記半透過反射板で反射された第1の像と、前記ビームスプリッタで反射され、パターン形成された対象物面で反射された前記照明光の残部による第2の像と、前記反射板で反射された第3の像とを結像する結像光学系と、前記第1の像の内、前記第1の開口部を通過した第1の部分像の変位を測定する第1の変位計測センサと、前記第2の像の内、前記第2の開口部を通過した第2の部分像を撮像する撮像センサと、前記第3の像の内、前記第1の開口部を通過した第3の部分像の変位を測定する第2の変位計測センサと、前記第2の部分像の光学画像と比較するための基準画像を生成する基準画像生成回路と、前記第1と第3の部分像の位置の変位量と前記第2の部分像の倍率変化値を演算する演算回路と、前記変位量と前記倍率変化値を用いて、前記光学画像と前記基準画像とを比較する比較回路と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
空気揺らぎによって生じる影響を低減したパターン検査をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施の形態1のパターン検査装置100−1の概念図である。
【図2】スリット板の概念図である。
【図3】第1と第2の像を同一面上に結像させた仮想図である。
【図4】基準パターンと変位計測センサの構成概念図である。
【図5】基準パターンと変位計測センサの構成概念図である。
【図6】実施の形態2のパターン検査装置100−2の概念図である。
【図7】実施の形態3のパターン検査装置100−3の概念図である。
【図8】第1、第3と第2の像を同一面上に結像させた仮想図である。
【図9】実施の形態3の変形例のパターン検査装置100−4の概念図である。
【図10】実施の形態4のパターン検査装置200−1の概念図である。
【図11】実施の形態4の変形例のパターン検査装置200−2の概念図である。
【図12】実施の形態5のパターン検査装置200−3の概念図である。
【図13】実施の形態5の変形例のパターン検査装置200−4の概念図である。
【図14】実施の形態6のパターン検査装置300−1の概念図である。
【図15】実施の形態6の変形例のパターン検査装置300−2の概念図である。
【図16】実施の形態7のパターン検査装置300−3の概念図である。
【図17】実施の形態7の変形例のパターン検査装置300−4の概念図である。
【図18】実施の形態8のパターン検査装置400−1の概念図である。
【図19】実施の形態8の変形例のパターン検査装置400−2の概念図である。
【図20】実施の形態9のパターン検査装置400−3の概念図である。
【図21】実施の形態9の変形例のパターン検査装置400−4の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(実施の形態1)
図1は実施の形態1におけるパターン検査装置100−1の概念図である。
図1において、パターン検査装置100−1は照明用光学系110と、反射照明用光学系120と、対象物系130と、結像光学系140と、センサ系150と、演算回路部160と、記憶装置181と、を備える。
照明光学系110は光源111と、スリット板112と、対物レンズ113と、を備える。反射照明用光学系120は偏光ビームスプリッタ121と、λ/4板122と、半透過反射板123と、対物レンズ124と、を有する。
対象物系130はパターン形成された対象物面の変位を計測するレーザ変位計132を有する。
なお、パターン検査の対象はパターン形成された対象物面131としては、例えば半導体装置を製造する等に用いる露光用マスクが含まれる。
結像光学系140は結像レンズ141を有する。
センサ系150は撮像センサ151、変位計測センサミラー152,変位計測センサ153を有する。
演算回路部は、演算回路161と,基準画像生成回路162と、比較回路163と、記憶装置181と、を有し、これらは図示しないバスにより互いに接続されている。記憶装置181としては、磁気ディスク装置やメモリなどが挙げられる。
スリット板112は、図2のように変位計測用のスリットとなる第1の開口部(基準パターンスリット)112−Aと撮像用に開口するスリットとなる第2の開口部(対象物面用スリット)112−Bとが形成されている。第1の開口部112−Aは例えば十字型に開口され、第2の開口部112−Bは例えば長方形に開口される。対象物面用スリット112−Bを通過する光の光路(破線)と基準パターンスリット112−Aを通過する光の光路(二点長鎖線)はほとんど同じで、互いに近傍に設置された別々のセンサで結像される。
なお、対象物面131の位置の変位は、例えば対象物を設置するステージのX−Y変位を計測するレーザ変位計132などのセンサを用いて計測されるようにしている。
【0017】
半透過反射板123とは反射性能と透過性能を併せ持ち、光の一部を反射し、反射した光の残りの全部又は一部を透過する性質を有する板(膜)である。半透過反射板として、例えば、片面ノンコートの石英板を使用することができる。片面ノンコートの石英板の他にも光の一部を反射し、残り(一部)を透過する板であれば同様に使用することができる。実施の形態1では反射率が例えば8%のものを用いているが、これに限定されず、前記変位計側センサおよび前記撮像センサの感度に応じて反射率が1%以上99%以下、透過率が99%以上1%以下の範囲の半透過反射板を使用しても好適である。
また、偏光ビームスプリッタ121とλ/4板122の替わりに、無偏光ビームスプリッタを使用しても良い。
【0018】
まず、基準パターン(第1の像)の光路(二点長鎖線)について説明する。
照明光学系110において、第1の開口部112−Aを通過した光源111からの照明光は対物レンズ113を通過する。そして、反射照明用光学系120では偏光ビームスプリッタ121で傾きをもって反射され、λ/4板122を通過し、半透過反射板123で照明光の一部が反射され、再び、反射照明用光学系120の、λ/4板122を通過し、偏光ビームスプリッタ121を通過する。次に、結像光学系140の結像レンズ141で第1の像として結像する。なお、照明光の内、半透過反射板123で反射される照明光の一部には第2の開口部112−Bを通過した光も含まれるが、第1の開口部112−Aを通過した光(第1の部分像)のみを変位計測センサ153に結像する。その際、途中で、傾きを有する変位計測センサミラー152で反射して、少なくとも第1の部分像をシフトして、変位計測センサ153上に第1の部分像を結像する。変位計測センサ153の位置は、対象物面131のパターン像の光が入射されない位置に調整される。
ここで、半透過反射板の位置では光線がコリメートされているため、かかる位置で反射した光は結像光学系140で結像可能であり、また、本半透過反射板を傾けることで、本半透過反射板の反射光によって形成される第1の像が撮像センサに写りこまないように像をシフトさせることができる。
なお、基準パターンの光路と対象物の光路をほぼ同じにするために、撮像センサ151、変位計測センサミラー152、変位計測センサ153は、近傍に設置されていることが好ましい。
【0019】
次に、対象物パターン(第2の像)の光路(破線)について説明する。
照明光学系110において、第2の開口部(対象物面用スリット)112−Bを通過した光源111の照明光は対物レンズ113を通過する。そして、反射照明用光学系120では偏光ビームスプリッタ121で傾きをもって反射され、λ/4板122を通過し、半透過反射板123で照明光の一部が反射され、その残りの照明光(照明光の残部)が半透過反射板123を通過し、さらに、対物レンズ124を通過する。対物レンズ124は例えば無限遠補正タイプのものを用いることができる。そして、対象物系130において、対物レンズ124を通過した照明光は対象物面131を照射する。対象物面131を反射した照明光(第2の像)は、再び、反射照明用光学系120の対物レンズ124、半透過反射板123、λ/4板122を通過し、偏光ビームスプリッタ121を通過する。次に、結像光学系140の結像レンズ141で第2の像を撮像センサ面に結像する。撮像センサ151は第2の開口部によって照明されたマスク上の領域を取得できる位置に配置し、第2の像の内、第2の開口部を通過した第2の部分像のみを撮像センサ151に結像する。
【0020】
図3は、半透過反射板123によって反射された第1の像と、対象物131によって反射された第2の像と同一面上に結像させたと仮定した場合の仮想図である。図3の仮想面上の各結像点にて、各像が形成され、基準パターンと対象物の光路が近ければ近いほど、各像の間の間隔も近くなる。変位計測センサ153の視野と撮像センサ151の視野は可能な限り近接させたほうが揺らぎの影響を同一にできるため、好ましい。しかし、センサの物理的制約及び基準パターン及び対象物の光路が近接することに起因する撮像対象外像のセンサへの映り込みの問題がある。そのために、結像点の直前に、少なくとも変位計測センサ視野領域を反射する変位計測センサミラー152を設置し、反射された光を変位計測センサにて計測する構成とする。第1の部分像は半透過反射板の角度調整によって所望の位置にシフト調整される。なお、変位計測センサミラー152による反射及び変位計測センサ153による撮像は基準パターンの撮像から、光路中の揺らぎの影響を測定できる構成であれば、変位計測センサミラー152及び変位計測センサ153は、いずれの実施の形態においても上記の構成以外であっても構わない。
【0021】
結像光学系140内で、基準パターンの光線(二点長鎖線)は、検査対象物の光線(破線)とほぼ同じ光路を通ってセンサ151に結像する。このため、特に光路長の長い結像光学系140の光路内で空気揺らぎが発生したとしても、検査対象物面131からの光線(破線)と基準パターンからの光線(二点長鎖線)がほぼ同一の影響を受けるため、変位計測センサ153で測定された像(第1の部分像)に生じた変位によって対象物面131の像(第2の部分像)の変位計測が可能となる。
【0022】
基準画像生成工程として、基準画像生成回路162は、まず、所定の領域毎に、例えば、磁気ディスク装置(記憶装置181)から設計データを読み出し、読み出された被検査試料となる対象物の設計データを2値ないしは多値のイメージデータである展開画像データに変換(展開処理)する。所定の領域は、光学画像と比較する画像の領域(エリア)とすればよい。例えば、1024×1024画素の領域(エリア)とする。
【0023】
設計データに定義されるパターンを構成する図形は長方形や三角形を基本図形としたもので、例えば、図形の基準位置における座標(x、y)、辺の長さ、長方形や三角形等の図形種を区別する識別子となる図形コードといった情報で各パターン図形の形、大きさ、位置等を定義した図形データが格納されている。
【0024】
かかる図形データが図形ごとのデータにまで展開し、その図形データの図形形状を示す図形コード、図形寸法などを解釈する。そして、所定の量子化寸法のグリッドを単位とするマス目内に配置されるパターンとして2値ないしは多値の画像データを展開する。そして、展開された画像データ(展開画像データ)は、回路内の図示しないパターンメモリ、或いは磁気ディスク装置内に格納される。言い換えれば、占有率演算部において、設計パターンデータを読み込み、検査領域を所定の寸法を単位とするマス目として仮想分割してできたマス目ごとに設計パターンにおける図形が占める占有率を演算し、nビットの占有率データをパターンメモリ、或いは磁気ディスク装置に出力する。例えば、1つのマス目を1画素として設定すると好適である。そして、1画素に1/2(=1/256)の分解能を持たせるとすると、画素内に配置されている図形の領域分だけ1/256の小領域を割り付けて画素内の占有率を演算する。そして、展開画像データは、各画素に対して8ビットの占有率データで定義されたエリア単位の画像データとしてパターンメモリ、或いは磁気ディスク装置に格納される。
【0025】
そして、画像処理工程として、基準画像生成回路162は、展開画像データを入力し、展開画像データに対してデータ処理(画像処理)を行い、光学画像データと比較するための基準画像データを生成する。基準画像生成回路162は、基準画像データ生成部の一例となる。基準画像生成回路162は、展開画像データに適切なフィルタ処理を施してもよい。
【0026】
出力された参照データ(基準画像データ)は、比較回路163に出力される。参照データは、各画素毎に例えば8ビットの符号なしデータであり、各画素の明るさの階調を例えば0〜255で表現している。
【0027】
次に、変位計測センサ153での測定と演算回路161について説明する。
基準パターンと変位計測センサの構成を図4に示す。本構成では、図4(a)の模式図に示すように、第1の開口部112−Aは例えば十字形状のものを用いた。基準パターンは十字の他にもX,Y変位を計測可能な形状であればよい。この像のパターン画像を上記に説明した光路(二点長鎖線)を経て変位計測センサ153に導入する。変位計測センサ153は図4(b)に示すように例えば、4分割センサであり、基準パターンの十字の中心が分割の中心に来るように配置されている。空気揺らぎによる変位が無い場合における変位計測センサ153に第1の開口部112−Aが結像されたイメージ図を図4(c)に示す。4分割センサでは4つの領域に入射する光の強度を独立に計測することができ、それぞれの出力をA(153−A)、B(153−B)、C(153−C)、D(153−D)とおくと、例えば、図4(d)のように変位計測センサ144に結像された場合の十字像X変位、Y変位は、演算回路系において、以下の演算によって算出できる。
X={(A+B)−(B+C)}/(A+B+C+D)
Y={(A+C)−(B+D)}/(A+B+C+D)
【0028】
また、第1の開口部112−A及び変位計測センサ153の構成はこれに限らず、図5に示すような構成もとり得る。この構成では、図5(a)のように第1の開口部112−Aとして複数のスリットが形成され、X変位計測用が2つとY変位計測用が2つである。X変位計測用のスリットはX方向(図では左右方向)に長い長方形でY方向の位置をずらして形成される。Y変位計測用のスリットはY方向(図では上下方向)に長い長方形で、X方向に位置をずらして形成される。このようなパターン像を変位計測センサに導入するが、変位計測センサ153に関しては、図5(b)に示すような複数の開口部153−F、153−Gが形成された変位計測センサスリット板153−Eを4分割センサ自体に結像される配置より前側に配置されるようにさらに備えられている。変位計測センサスリット板153−Eを有する場合、図5(c)のように重なっている場合、第1の開口部112−Aのうち、変位計測センサスリット板153−Eを通過したパターンのみが、図5(d)のように変位計測センサ153上に結像する。開口部153−F、153−Gを通過し、変位計測センサ153に結像された光の増減の比率から、例えば、以下の計算式によって変位量(X、Y)を算出できる。
X=(A−B)/(A+B)
Y=(C−D)/(C+D)
基準パターン、変位計測センサ(スリット板)の構成は上記のようにX及びYの変位を求められるような構成であれば特に限定はない。X、Yのどちらか一方のみの揺らぎの影響を知りたい場合は、センサ数、基準パターン形状、演算回路部などを調節して、どちらかの変位を測定する構成にすればよい。
【0029】
一方、撮像センサ151から出力された測定データ(光学画像データ)と、演算された変位量(X、Y)は、ステージ上における対象物の位置を示すレーザ変位計132のデータとともに比較回路163に出力される。測定データは、各画素毎に例えば8ビットの符号なしデータであり、各画素の明るさの階調を例えば0〜255で表現している。
【0030】
そして、比較工程として、比較回路163は、画素毎に、所定の判定条件で、該当する所定の領域の光学画像データと基準画像データとを比較する。以下、比較回路163内での処理を具体的に説明する。比較回路163内では、まず、1つのストライプ分の光学画像データを入力し、1つのストライプ分の光学画像データを基準画像と同じ領域サイズで切り出す。その際、切り出す領域は、基準画像を生成する際の領域に合わせることは言うまでもない。領域サイズが合わされた光学画像データは、比較回路163内の図示しないメモリに格納される。他方、生成された所定の領域の基準画像データも、比較回路163内の図示しない他のメモリに格納される。そして、レーザ変位計の変位量および基準パターンの変位量を使って、光学画像データの位置補正をする。この位置補正は、補間処理によってサブ画素単位で行われる。これにより、画像揺らぎの影響のない検査ができる。そして、アライメントされた光学画像データと基準画像データに対して、判定条件に従って画素毎に両者を比較し、欠陥の有無を判定する。判定条件としては、例えば、所定のアルゴリズムに従って画素毎に両者を比較し、欠陥の有無を判定する際の閾値Qmが該当する。或いは、例えば、両者を比較し、欠陥の有無を判定する際の比較アルゴリズムが該当する。
【0031】
そして、比較された結果は、例えば、記憶装置181に出力され、記憶される。記憶装置はさらに、モニタと接続され、結果をモニタに出力してもよいし、結果をプリンタで出力してもよい。記憶装置としては、磁気ディスク装置、磁気テープ装置、或いはFD等が挙げられる。
【0032】
(実施の形態2)
実施の形態2では光学系に像変位補正部を更に備えることで、リアルタイムで撮像された画像の変位補正(像変位補正)を行う。
この変位補正の方法は、図6のパターン検査装置100−2の模式図のような構成を有するパターン検査装置を例にとり説明する。実施の形態2におけるパターン検査装置は可動機構171と補正回路173とを追加する点以外は図1と同様である。可動機構171は、補正回路173の制御信号にもとづいて結像レンズ141をX−Y面内に動かして、リアルタイムで像変位補正をするものである。補正回路173は、変位計側センサ153における第1の像の変位が零(又は所望の範囲)になるように結像レンズ141を駆動する。例えばサーボ制御によって可動機構171を制御して、取得画像を安定化することができる。この方法では、露光時間内で生じる変位も高速に補正できることによりボケを低減できること、および、画像の補正で発生する誤差を即時に補正することができることが好ましい。なお、図6では例示として結像レンズ141を移動しているが、可動機構172を制御して、撮像センサ151を駆動するようにしても同様の効果を得ることができる。また、この他に像変位用平行平面板を傾ける構成としても同様の効果を得ることができる。
本構成の場合、実施の形態1と同様の演算回路部160で、第1の部分像の変位量を演算し、結果を比較することができる。そして、記憶装置181に結果を記憶し、さらに、結果をモニタ又はプリンタに出力することもできる。
なお、半透過反射板123の角度を調整する点は、実施の形態1における半透過反射板123の角度を調整する場合と同様である。
【0033】
(実施の形態3)
実施の形態3では、実施の形態1では単一の変位計測センサであったが、変位計測センサを複数設置することにより、倍率変化の補正も可能にする。図7のパターン検査装置100−3の模式図のような構成を有する。実施の形態3では、基準パターンからの光を異なる角度で反射するために、計2部の第1の半透過反射板123a、第2の半透過反射板123bをそれぞれ異なる角度で設置したこと、それぞれの半透過反射板で反射された基準パターンを結像する計2部の変位計測センサ(153a、153b)とセンサに光を当てるための計2部の変位計測センサミラー(152a、152b)を用いていること以外は図1と同様である。図7において、基準パターンの光路は一点長鎖線、二点長鎖線で示している。二点長鎖線が示す光路は実施の形態1において説明したものと同様であり、変位計測センサミラー152aで反射され、変位計測センサ153aで第1の部分像が結像される。一点長鎖線の基準パターンの光路は二点長鎖線の光路の、結像光学系140側の第1の半透過反射板123aを透過した照明光のうち、対象物系130側の第2の半透過反射板123bで反射された照明光である。そして、第2の半透過反射板123bで反射された照明光は、結像レンズ141で第3の像として結像される。
そして、第1の部分像と同様に、少なくとも第3の像のうち第1の開口部を通過した部分である第3の部分像が、変位計測センサミラー152bで反射され、変位計測センサ153bで結像される。第2の半透過反射板で反射された基準パターンの光路も対象物の光路をほぼ同じ光路を通るため、反射板である変位計測センサミラー152b、結像する変位計測センサ153bも撮像センサ142の近傍に設置されている。これらのセンサは、例えば、反射像が撮像センサ面上で撮像センサを挟む配置になるようにする。
【0034】
図8は、半透過反射板123a,bによって反射された第1と第3の像と、対象物131によって反射された第2の像と同一面上に結像させたと仮定した場合の仮想図である。図8の仮想面上の各結像点にて、各像が形成され、基準パターンと対象物の光路が近ければ近いほど、各像のセンサの間隔も近くなる。変位計測センサ153a,bの視野と撮像センサ151の視野は可能な限り近接させたほうが揺らぎの影響を同一にできるため、好ましい。しかし、センサの物理的制約及び基準パターン及び対象物の光路が近接することに起因する撮像対象外像のセンサへの映り込みの問題がある。そのために、結像点の直前に、少なくとも変位計測センサ視野領域を反射する変位計測センサミラー152a,bを設置し、反射された光を変位計測センサ153a,bにて計測する構成とする。第1と第3の部分像は半透過反射板123a,bの角度調整によって所望の位置にシフト調整される。
【0035】
図7のパターン検査装置の構成の場合は、演算回路161において、例えば、以下の計算式によって変位量と倍率変化値を算出できる。
X変位量=(X1+X2)/2
Y変位量=(Y1+Y2)/2
X倍率変化値=(X1−X2)/Lx
Y倍率変化値=(Y1−Y2)/Ly
なお、Lx、Lyは各変位計測センサ間の距離である。
なお、第1の半透過反射板123aと第2の半透過反射板123bの角度を調整する点は、実施の形態1における半透過反射板123の角度を調整する場合と同様である。
【0036】
図7のパターン検査装置の構成にすることで、空気揺らぎによる倍率変化の情報を得ることができ、さらに詳細な空気揺らぎの情報を得て補正することができるようになる。
実施の形態3では半透過反射板、変位計測センサミラーと変位計測センサを2部ずつ用いたが、2部より多く設置しても良い。なお、半透過反射板の数が増えるほど反射する基準パターンの光量や対象物に届く光量が少なくなるため、数多く設置する場合は、例えば、半透過反射板の透過率を高くすることが好ましい。
そして、変位量(X、Y)と倍率変化値(X、Y)を使って、取得した光学画像の位値と倍率を補正する。具体的には、光学画像の位値に変位量(X、Y)の変位量を足し合わせるとともに、画像の倍率をX、Y方向それぞれの倍率変化値(X、Y)の逆数を乗ずればよい。そして、補正された光学画像と基準画像との位置合わせを行えばよい。
本構成の場合、実施の形態1と同様の演算回路部160で、第1の部分像の変位量を演算し、結果を比較することができる。そして、記憶装置181に結果を記憶し、さらに、結果をモニタ又はプリンタに出力することもできる。
なお、図9のパターン検査装置100−4の模式図の構成を有するパターン検査装置は、結像レンズ141と撮像センサ151に可動機構171,172を、さらに、補正回路173を備えること以外は図7と同様である。図9のような構成の装置では実施の形態2と同様に変位量が0(又は所望の範囲)になるように、さらに、X、Y倍率変化値が1倍(又は所望の値)になるように補正回路173で演算し、例えばサーボ制御によって可動機構172,173を制御して、像変位補正と像倍率補正を併せて行い、取得画像を安定化することができる。
【0037】
(実施の形態4)
実施の形態4では図10のパターン検査装置200−1の模式図のような構成を有する。実施の形態4におけるパターン検査装置は、符号の番号が図1では100番台であったものが200番台であること、対物レンズ224と対象物面231とレーザ変位計232の位置が図1と異なり、対物レンズ224と対象物面231は光源211からの照明光が偏光ビームスプリッタ221を通過する方向に設置されていること、λ/4板222aとは別のλ/4板222bを対象物面231側にさらに有すること、基準パターンの光を反射する板が半透過反射板ではなく反射板223であること以外は図1と同様である。
第1の開口部212−A(基準パターン)を通過し、偏光ビームスプリッタ221で反射された照明光は、照明光が第1のλ/4板222aを通過し、理想的には全反射する反射板223で反射され、再度第1のλ/4板222aを通過する。そして、再度第1のλ/4板222aを通過した光は、偏光ビームスプリッタ221を通過して、実施の形態1と同様に少なくとも第1の部分像が、変位計測センサ253に結像される。第2の開口部212−B(対象物面)を通過し、偏光ビームスプリッタ221を通過した照明光は、第2のλ/4板222bを通過し、対物レンズ224を通過し、対象物231を照射する。対象物面231のパターンを照射して反射された反射光は、対物レンズ224、λ/4板222bを通過する。そして、偏光ビームスプリッタ221で反射され、実施の形態1と同様に第2の部分像のみが、撮像センサ251に結像される。以上のこと以外は実施の形態1と同様の構成の装置である。
本構成の場合、実施の形態1と同様の演算回路部260で、第1の部分像の変位量を演算し、結果を比較することができる。そして、記憶装置281に結果を記憶し、さらに、結果をモニタ又はプリンタに出力することもできる。
なお、反射板223の角度を調整する点は、実施の形態1における半透過反射板123の角度を調整する場合と同様である。
なお、図11のパターン検査装置200−2の模式図の構成を有するパターン検査装置は、結像レンズ241と撮像センサ251に可動機構271,272を、さらに、補正回路273を備えること以外は図10と同様である。図11のような構成の装置では実施の形態2と同様の像変位補正をさらにすることができる。
【0038】
(実施の形態5)
実施の形態5では図12のパターン検査装置200−3の模式図のような構成を有するパターン検査装置について説明する。基準パターンを反射する半透過反射板223a、反射板223bを用い、これらの(半透過)反射板の角度が異なり、計2部の変位計測センサミラー(252a、252b)と計2部の変位計測センサ(253a、253b)を用いること以外は図10と同様である。
図12において、基準パターンの光路は一点長鎖線、二点長鎖線で示している。二点長鎖線が示す光路は実施の形態4において説明したものと同様であり、照明光の内、半透過反射板223aで反射された照明光が、第1の変位計測センサミラー252aで反射され、第1の変位計測センサ253aで第1の部分像が結像される。一点長鎖線の基準パターンの光路は、結像光学系240側の半透過反射板223aを通過した照明光の内、対象物系230側の反射板223bで反射された照明光の光路である。そして、反射板223bで反射された照明光は、結像光学系240において第3の像として結像される。そして、実施の形態3と同様に、第3の像の内、少なくとも第1の開口部212−Aを通過した部分の第3の部分像が、第2の変位計測センサミラー252bで反射され、第2の変位計測センサ253bで結像される。
本構成の場合、実施の形態3と同様の演算回路部260で、第1と第3の部分像の変位量と、第2の部分像の倍率変化値を演算し、結果を比較することができる。そして、記憶装置281にこの結果を記憶し、さらに、結果をモニタ又はプリンタにその結果を出力することもできる。
なお、半透過反射板223aと反射板223bの角度を調整する点は、実施の形態1における半透過反射板123の角度を調整する場合と同様である。
なお、図13のパターン検査装置200−4の模式図の構成を有するパターン検査装置は、結像レンズ241と撮像センサ251に可動機構271,272を、さらに、補正回路273を備えること以外は図12と同様である。図13のような構成の装置では実施の形態3と同様の像変位補正と像倍率補正をさらにすることができる。
なお、(半透過)反射板、変位計測センサミラー、変位計測センサは2部より多い構成であってもよい。
【0039】
(実施の形態6)
実施の形態6では図14のパターン検査装置300−1の模式図のような構成を有する。実施の形態6におけるパターン検査装置は、符号の番号が図1では100番台であったものが300番台であること、半透過反射板がないこと、光源311からの照明光が偏光ビームスプリッタ321を通過する方向にλ/4板322bと反射板323が設置されていること以外は図1と同様である。
第2の開口部312−B(対象物面)を通過し、偏光ビームスプリッタ321で反射された照明光が、第1のλ/4板322aを通過し、対物レンズ324を通過し、対象物331を照射する。対象物面331のパターンを照射して反射された反射光は、対物レンズ324、λ/4板322bを通過し、偏光ビームスプリッタ221で反射され、実施の形態1と同様に第2の部分像のみが撮像センサ351に結像される。第1の開口部312−A(基準パターン)を通過し、偏光ビームスプリッタ321を通過した照明光は、第2のλ/4板322bを通過し、半透過反射板の代わりに理想的には全反射する反射板323で反射され、再度第2のλ/4板322aを通過する。再度第2のλ/4板322aを通過した光は、偏光ビームスプリッタ321で反射されて、実施の形態1と同様に第1の部分像が変位計測センサ353に結像される。以上のこと以外は実施の形態1と同様の構成の装置である。
本構成の場合、実施の形態1と同様の演算回路部360で、第1の部分像の変位量を演算し、結果を比較することができる。そして、記憶装置381に結果を記憶し、さらに、結果をモニタ又はプリンタに出力することもできる。
なお、反射板323の角度を調整する点は、実施の形態1における半透過反射板123の角度を調整する場合と同様である。
なお、図15のパターン検査装置300−2の模式図の構成を有するパターン検査装置は、結像レンズ341と撮像センサ351に可動機構371,372を、さらに、補正回路373を備えること以外は図14と同様である。図15のような構成の装置では実施の形態2と同様の像変位補正をさらにすることができる。
【0040】
(実施の形態7)
実施の形態7では図16のパターン検査装置300−3の模式図のような構成を有するパターン検査装置について説明する。実施の形態7におけるパターン検査装置は、基準パターンを反射する半透過反射板323a、反射板323bを用い、これらの(半透過)反射板の角度が異なること、計2部の変位計測センサミラー(352a、352b)と計2部の変位計測センサ(353a、353b)を用いること以外は図14と同様である。
図16において、基準パターンの光路は一点長鎖線、二点長鎖線で示している。二点長鎖線が示す光路は実施の形態6において説明したものと同様であり、照明光の内、半透過反射板323aで反射された照明光が、第1の変位計測センサミラー343aで反射され、第1の変位計測センサ344aで第1の部分像が結像される。一点長鎖線の基準パターンの光路は二点長鎖線の光路は、結像光学系340側の半透過反射板323aを透過した光の内、対象物系330側の反射板323bで反射された照明光の光路である。そして、反射板323bで反射された照明光は、結像光学系340において、第3の像として結像される。そして、実施の形態3と同様に、第3の像の内、少なくとも第1の開口部312−Aを通過した部分の第3の部分像が、第2の変位計測センサミラー343bで反射され、第2の変位計測センサ344bで結像される。
図16において、対象物パターンの光路は実施の形態1と同様に、第2の部分像が撮像センサ351で撮像される。
本構成の場合、実施の形態3と同様の演算回路部360で、第1と第3の部分像の変位量と、第2の部分像の倍率変化値を演算し、結果を比較することができる。そして、記憶装置381にこの結果を記憶し、さらに、結果をモニタ又はプリンタにその結果を出力することもできる。
本構成の場合、実施の形態3と同様の演算回路部360で、第1と第3の部分像の変位量と、第2の部分像の倍率変化値を演算し、さらに、演算結果を出力することが可能になる。
なお、半透過反射板323aと反射板323bの角度を調整する点は、実施の形態1における半透過反射板123の角度を調整する場合と同様である。
なお、図17のパターン検査装置300−4の模式図の構成を有するパターン検査装置は、結像レンズ341と撮像センサ351に可動機構371,372を、さらに、補正回路373を備えること以外は図16と同様である。図17のような構成の装置では実施の形態3と同様の像変位補正と像倍率補正をすることができる。
なお、(半透過)反射板、変位計測センサミラー、変位計測センサは2部より多い構成であってもよい。
【0041】
(実施の形態8)
実施の形態8では図18のパターン検査装置400−1の模式図のような構成を有するパターン検査装置について説明する。実施の形態8のパターン検査装置は符号の番号が図1では100番台であったものが400番台であること、λ/4板422と,半透過反射板423と、対物レンズ424と、対象物面431と、レーザ変位計432の配置が図1と異なり、光源411からの照明光が偏光ビームスプリッタ421を通過する方向にλ/4板422と,半透過反射板423と、対物レンズ424と、対象物面431が設けられていること以外は図1と同様である。
図18において、実施の形態8の光路は、第1と第2の開口部412−A,Bを通過した照明光が、偏光ビームスプリッタ421を通過し、第1の半透過反射板423a、第2の半透過反射板423b、対象物面431で反射された照明光が偏光ビームスプリッタ421で反射され、結像光学系440に導入すること以外は第1の実施の形態と同様の光路である。そして、実施の形態1と同様に第1の部分像が、変位計測センサ453に結像され、第2の部分像が撮像センサ451で撮像される。
本構成の場合、実施の形態1と同様の演算回路部460で、第1の部分像の変位量を演算し、結果を比較することができる。そして、記憶装置481に結果を記憶し、さらに、結果をモニタ又はプリンタに出力することもできる。
なお、第1の半透過反射板423aと第2の半透過反射板423bの角度を調整する点は、実施の形態1における半透過反射板123の角度を調整する場合と同様である。
なお、図19のパターン検査装置400−2の模式図の構成を有するパターン検査装置は、結像レンズ441と撮像センサ451に可動機構471,472を、さらに、補正回路473を備えること以外は図18と同様である。図19のような構成の装置では実施の形態2と同様の像変位補正をさらにすることができる。
【0042】
(実施の形態9)
実施の形態9では図20のパターン検査装置400−3の模式図のような構成を有するパターン検査装置について説明する。実施の形態9におけるパターン検査装置は基準パターンを反射する計2部の第1と第2の半透過反射板(423a、423b)を用いること、これらの半透過反射板の角度が異なること、計2部の変位計測センサミラー(452a、452b)と計2部の変位計測センサ(453a、453b)を用いること以外は図18と同様である。
図20において、基準パターンの光路は一点長鎖線、二点長鎖線で示している。二点長鎖線が示す光路は実施の形態8において説明したものと同様であり、照明光の内、第1の半透過反射板で反射された照明光が、第1の変位計測センサミラー452aで反射され、第1の変位計測センサ453aで第1の部分像が結像される。一点長鎖線の基準パターンの光路は二点長鎖線の光路は、結像光学系440側の第1の半透過反射板423aを通過した照明光の内、対象物系430側の第2の半透過反射板423bで反射された照明光の光路である。そして、第2の半透過反射板反射板423bで反射された照明光は結像光学系440において、第3の像として結像される。そして、実施の形態3と同様に第3の像の内、第1の開口部412−Aを通過した部分の第3の部分像が第2の変位計測センサミラー443bで反射され、変位計測センサ444bで結像される。
本構成の場合、実施の形態3と同様の演算回路部460で、第1と第3の部分像の変位量と、第2の部分像の倍率変化値を演算し、結果を比較することができる。そして、記憶装置481にこの結果を記憶し、さらに、結果をモニタ又はプリンタにその結果を出力することもできる。
本構成の場合、実施の形態3と同様の演算回路部460で、第1と第3の部分像の変位量と、第2の部分像の倍率変化値を演算し、さらに、演算結果を出力することが可能になる。
なお、第1の半透過反射板423aと第2の半透過反射板423bの角度を調整する点は、実施の形態1における半透過反射板123の角度を調整する場合と同様である。
なお、結像レンズ441や撮像センサ451にチルトないしシフト機構471,472と補正回路473を備えることで、図21のパターン検査装置400−4の模式図のような構成の装置を用いて、実施の形態3と同様の像変位補正と像倍率補正をさらにすることができる。
なお、半透過反射板、変位計測センサミラー、変位計測センサは2部より多い構成であってもよい。
【0043】
以上の説明において、「〜部」、「〜回路」或いは「〜工程」と記載したものは、コンピュータで動作可能なプログラムにより構成することができる。或いは、ソフトウェアとなるプログラムだけではなく、ハードウェアとソフトウェアとの組合せにより実施させても構わない。或いは、ファームウェアとの組合せでも構わない。また、プログラムにより構成される場合、プログラムは、磁気ディスク装置、磁気テープ装置、FD、或いはROM(リードオンリメモリ)等の記憶媒体に記憶される。例えば、演算制御部を構成する演算回路、基準画像生成回路、比較回路等は、電気的回路で構成されていても良いし、制御計算機によって処理することのできるソフトウェアとして実現してもよい。また電気的回路とソフトウェアの組み合わせで実現しても良い。
また、演算回路、基準画像生成回路、比較回路、補正回路等は図示しない配線によって記憶装置、モニタ、プリンタ等と接続されていてもよい。
【0044】
以上、具体例を参照しつつ実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。
例えば、上述したDie to Database検査だけでなく、Die to Die検査を行う際の位置合わせにも同様に適用可能である。
【0045】
また、装置構成や制御手法等、本発明の説明に直接必要しない部分等については記載を省略したが、必要とされる装置構成や制御手法を適宜選択して用いることができる。
【0046】
その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更しうる全てのパターン検査装置或いはパターン検査方法は、本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0047】
100…パターン検査装置
110…照明光学系
111…光源
112…照明スリット
112−A…第1の開口部(基準パターン)
112−B…第2の開口部(対象物面)
113…対物レンズ
120…反射照明光学系
121…偏光ビームスプリッタ
122…λ/4板
123…半透過反射板(123a:第1の半透過反射板、123b:第2の半透過反射板)
124…対物レンズ
130…対象物系
131…対象物面
132…レーザ変位計
140…結像光学系
141…結像レンズ
151…撮像センサ
152…変位計測センサミラー(152a:第1の変位計測センサミラー、152b:第2の変位計測センサミラー)
153…変位計測センサ(153a:第1の変位計測センサ、153b:第2の変位計測センサ)
161…演算回路
162…基準画像生成回路
163…比較回路
171…対物レンズ可動機構
172…撮像センサ可動機構
173…補正回路
181…記憶装置
222a…第1のλ/4板
222b…第2のλ/4板
223…反射板(223a:半透過反射板、223b:反射板)
322a…第1のλ/4板
322b…第2のλ/4板
323…反射板(323a:半透過反射板、323b:反射板)
未記載の符号の説明は実施の形態を参照

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1と第2の開口部が形成されたスリット板と、
前記スリット板を介して照明光を照射する照明光学系と、
前記照明光の一部を反射し、前記照明光の残部をパターン形成された対象物面側に通過させる半透過反射板と、
前記半透過反射板で反射された第1の像と、前記対象物面で反射された第2の像とを結像する結像光学系と、
前記第1の像の内、前記第1の開口部を通過した第1の部分像の変位を測定する変位計測センサと、
前記第2の像の内、前記第2の開口部を通過した第2の部分像を撮像する撮像センサと、
前記第2の部分像の光学画像と比較するための基準画像を生成する基準画像生成回路と、
前記第1の部分像の位置の変位量を演算する演算回路と、
前記第1の部分像の位置の変位量を用いて、前記光学画像と前記基準画像とを比較する比較回路と、
を備えたことを特徴とするパターン検査装置。
【請求項2】
第1と第2の開口部が形成されたスリット板と、
前記スリット板を介して照明光を照射する照明光学系と、
前記照明光を通過と反射で分岐するビームスプリッタと、
前記ビームスプリッタで反射された前記照明光の一部を反射する反射板と、
前記反射板で反射された第1の像と、前記ビームスプリッタを通過し、パターン形成された対象物面で反射された前記照明光の残部による第2の像とを結像する結像光学系と、
前記第1の像の内、前記第1の開口部を通過した第1の部分像の変位を測定する変位計測センサと、
前記第2の像の内、前記第2の開口部を通過した第2の部分像を撮像する撮像センサと、
前記第2の部分像の光学画像と比較するための基準画像を生成する基準画像生成回路と、
前記第1の部分像の位置の変位量を演算する演算回路と、
前記第1の部分像の位置の変位量を用いて、前記光学画像と前記基準画像とを比較する比較回路と、
を備えたことを特徴とするパターン検査装置。
【請求項3】
第1と第2の開口部が形成されたスリット板と、
前記スリット板を介して照明光を照射する照明光学系と、
前記照明光を通過と反射で分岐するビームスプリッタと、
前記ビームスプリッタを通過した前記照明光の一部を反射する反射板と、
前記反射板で反射された第1の像と、前記ビームスプリッタで反射され、パターン形成された対象物面で反射された前記照明光の残部による第2の像とを結像する結像光学系と、
前記第1の像の内、前記第1の開口部を通過した第1の部分像の変位を測定する変位計測センサと、
前記第2の像の内、前記第2の開口部を通過した第2の部分像を撮像する撮像センサと、
前記第2の部分像の光学画像と比較するための基準画像を生成する基準画像生成回路と、
前記変位計測センサによって測定された前記第1の部分像の位置の変位量を演算する演算回路と、
前記第1の部分像の位置の変位量を用いて、前記光学画像と前記基準画像とを比較する比較回路と、
を備えたことを特徴とするパターン検査装置。
【請求項4】
第1と第2の開口部が形成されたスリット板と、
前記スリット板を介して照明光を照射する照明光学系と、
前記照明光の一部を反射し、前記照明光の残部をパターン形成された対象物面側に通過させる第1と第2の半透過反射板と、
前記第1の半透過反射板で反射された第1の像と、前記対象物面で反射された第2の像と、前記第2の半透過反射板で反射された第3の像とを結像する結像光学系と、
前記第1の像の内、前記第1の開口部を通過した第1の部分像の変位を測定する第1の変位計測センサと、
前記第2の像の内、前記第2の開口部を通過した第2の部分像を撮像する撮像センサと、
前記第3の像の変位の内、前記第1の開口部を通過した第3の部分像を測定する第2の変位計測センサと、
前記第2の部分像の光学画像と比較するための基準画像を生成する基準画像生成回路と、
前記第1と第3の部分像の位置の変位量と第2の部分像の倍率変化値を演算する演算回路と、
前記変位量と前記倍率変化値を用いて、前記光学画像と前記基準画像とを比較する比較回路と、
を備えたことを特徴とするパターン検査装置。
【請求項5】
第1と第2の開口部が形成されたスリット板と、
前記スリット板を介して照明光を照射する照明光学系と、
前記照明光を通過と反射で分岐するビームスプリッタと、
前記ビームスプリッタで反射された前記照明光の一部の内の一部を反射し、前記照明光の一部の内の残部を通過させる半透過反射板と、
前記半透過反射板を通過した前記照明光の内の残部を反射する反射板と、
前記半透過反射板で反射された第1の像と、前記ビームスプリッタを通過し、パターン形成された対象物面で反射された前記照明光の残部による第2の像と、前記反射板で反射された第3の像とを結像する結像光学系と、
前記第1の像の内、前記第1の開口部を通過した第1の部分像の変位を測定する第1の変位計測センサと、
前記第2の像の内、前記第2の開口部を通過した第2の部分像を撮像する撮像センサと、
前記第3の像の内、前記第1の開口部を通過した第3の部分像の変位を測定する第2の変位計測センサと、
前記第2の部分像の光学画像と比較するための基準画像を生成する基準画像生成回路と、
前記第1と第3の部分像の位置の変位量と、前記2の部分像の倍率変化値を演算する演算回路と、
前記変位量と前記倍率変化値を用いて、前記光学画像と前記基準画像とを比較する比較回路と、
を備えたことを特徴とするパターン検査装置。
【請求項6】
第1と第2の開口部が形成されたスリット板と、
前記スリット板を介して照明光を照射する照明光学系と、
前記照明光を通過と反射で分岐するビームスプリッタと、
前記ビームスプリッタを通過した前記照明光の一部の内の一部を反射し、前記照明光の一部の内の残部を通過する半透過反射板と、
前記半透過反射板を通過した前記照明光の一部の内の残部を反射する反射板と、
前記半透過反射板で反射された第1の像と、前記ビームスプリッタで反射され、パターン形成された対象物面で反射された前記照明光の残部による第2の像と、前記反射板で反射された第3の像とを結像する結像光学系と、
前記第1の像の内、前記第1の開口部を通過した第1の部分像の変位を測定する第1の変位計測センサと、
前記第2の像の内、前記第2の開口部を通過した第2の部分像を撮像する撮像センサと、
前記第3の像の内、前記第1の開口部を通過した第3の部分像の変位を測定する第2の変位計測センサと、
前記第2の部分像の光学画像と比較するための基準画像を生成する基準画像生成回路と、
前記第1と第3の部分像の位置の変位量と前記第2の部分像の倍率変化値を演算する演算回路と、
前記変位量と前記倍率変化値を用いて、前記光学画像と前記基準画像とを比較する比較回路と、
を備えたことを特徴とするパターン検査装置。
【請求項7】
前記結像光学系と撮像センサのどちらか又は両方に配置された少なくとも1つの可動機構と、
前記演算回路で演算した前記第1の部分像の位置の変位量を補正するように、前記可動機構を制御する補正回路と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のパターン検査装置。
【請求項8】
前記結像光学系と撮像センサのどちらか又は両方に配置された少なくとも1つの可動機構と、
前記演算回路で演算した前記第1と第3の部分像の位置の変位量を補正するように、前記可動機構を制御する補正回路と、
をさらに備えることを特徴とする請求項4乃至6のいずれかに記載のパターン検査装置。
【請求項9】
前記結像光学系と撮像センサのどちらか又は両方に配置された少なくとも1つの可動機構と、
前記演算回路で演算した前記第1と第3の部分像の位置の変位量を補正するように、前記可動機構を制御する補正回路と、
をさらに備えることを特徴とする請求項4乃至6のいずれかに記載のパターン検査装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2011−257164(P2011−257164A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−129570(P2010−129570)
【出願日】平成22年6月7日(2010.6.7)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【出願人】(000220343)株式会社トプコン (904)
【Fターム(参考)】