説明

ピラートリムの取付構造

【課題】ピラートリムを成形する成形型の構造をシンプルにして低コストとなるピラートリムの取付構造とする。
【解決手段】ピラー部Pとの間にエアバッグAbを覆うように樹脂製ピラートリム3が取り付けられている。トリム本体3b裏面には、第1空間部S1を有する取付座5が形成され、第1空間部S1の第1開放口55の開放方向は取付座5の突出方向と略直交する方向に形成されている。着座部53には、係合部73を有する一対の側壁部71間に第1開放口55と同一側に開放された第2空間部S2の第2開放口79を有する突出部7が突設されている。ピラー部Pにはグロメット9が嵌着される嵌着孔Hが形成され、グロメット9には、突出部7が挿入される挿入孔93と係合部73が係脱可能に係合する被係合部97bが形成されている。エアバッグAb膨張時、膨張圧で係合部73が被係合部97bから離脱し、ピラートリム3が車内1側に移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体側部衝突時の安全対策として車体のピラー部にエアバッグが装着され、該エアバッグを車内側から覆うようにピラー部に取り付けるピラートリムの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の車体側部衝突時に乗員を十分に保護するために、フロントガラス側方の車体の一部を構成するピラー部と該ピラー部を車内側から覆う樹脂製のピラートリムとの間にはエアバッグが配置されている。例えば、特許文献1に開示されているように、ピラートリムの裏面には、突出部が車体のピラー部側に向かって一体に突設され、ピラー部に形成された嵌着孔にグロメットを嵌着するとともに上記グロメットの挿入孔に上記突出部を挿入して、ピラートリムがピラー部に取り付けられるようになっている。上記突出部は、略平行で可撓性の2つの板状脚と、該脚の先端に互いに離間する方向に突設された鈎部とを備えている。上記2つの脚の基端側には、上記鈎部と同一方向に突設され、且つ、ピラートリム裏面と脚基端側とを繋ぐ複数のL字状補強リブが形成されている。そして、上記突出部をグロメットの挿入孔へ挿入する際、補強リブで補強された上記脚の基端側を支点として各々の脚の先端側が互いに近接するように撓んで挿入力が緩和されるようになっている。そしてエアバッグ膨張時には、ピラートリムがエアバッグの膨張圧によって車内側へ押され、上記脚の鈎部とグロメットの係止孔と係合した当該グロメットが車内側に所定量移動して上記鈎部が上記嵌合孔周縁に車外側から係止するように構成され、ピラートリムを車内側に移動させてエアバッグを膨出し易くするとともにピラートリムが車内に飛散しないようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−67856号公報(段落0018〜0019欄、図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1のピラートリムは、2つの板状脚が離間して略平行に並んで突設されるとともに鈎部及び複数の補強リブが一対の上記脚の外側平面部と交差するように突設されているので、ピラートリムを一体成形しようとすると、鈎部がアンダーカットになるため、成形型の型抜き方向と異なる方向に抜くスライド型を少なくとも2つ用意する必要があり、型構造が複雑となるうえに、型費が高くなってしまう。
【0005】
また、ピラートリムから裏側に向けて突設した開放口を有する門型状の取付座に、特許文献1のように形成された2つの板部及び複数の補強リブを突設した場合、さらに開放口を形成するためのスライド型が必要となり、少なくとも合計3つのスライド型を要することとなって、さらなる型構造の複雑化とコストの増加とを招来するようになる。
【0006】
本発明は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ピラートリムを成形する成形型の構造をシンプルにして低コストに成形したピラートリムの取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明は、ピラートリム裏面に形成された車体のピラー部への取付部分において、当該部分に形成された複数の空間部における開放口を同一方向に形成したことを特徴とする。
【0008】
具体的には、車体のピラー部に配置されたエアバッグを車内側から覆うように上記ピラー部に取り付けられ、車体側部衝突時に上記エアバッグの膨張圧で車内側に移動することでエアバッグを車内に膨出するように構成された樹脂製ピラートリムの取付構造において、次のような解決手段を講じた。
【0009】
すなわち、第1の発明では、上記ピラートリムのトリム本体裏面には、互いに離間して上記ピラー部側に向かって一体に突出する一対の板状脚部と、該脚部の突出端同士を互いに一体に連結する板状着座部とを備えた略門型状の取付座が形成される一方、これら一対の脚部、着座部及びピラートリム本体によって第1空間部が形成されるとともに該第1空間部には、当該取付座の突出方向と略直交するように第1開放口が形成され、上記着座部には、互いに離間して上記取付座の突出する方向に一体に突出する一対の可撓性板状側壁部と、該側壁部の突出端同士を互いに一体に連結する架橋部とを備えた突出部が形成される一方、これら一対の側壁部、架橋部及び着座部によって第2空間部が形成されるとともに該第2空間部には、上記第1開放口の開放方向と同一方向に第2開放口が形成され、且つ、上記一対の側壁部における突出方向中間部の外側面には、互いに離間する方向に膨出する係合部が形成され、上記ピラー部には、グロメットが嵌着される嵌着孔が形成され、上記グロメットには、上記突出部が挿入される挿入孔と、上記係合部が係脱可能に係合する被係合部とが形成され、上記ピラートリムの取付状態で、上記グロメットがピラー部の嵌着孔に車内外方向に移動不能に嵌着される一方、上記突出部がグロメットの挿入孔に車内側から挿入されて、該突出部の係合部がグロメットの被係合部に係合しており、エアバッグ膨張時には、エアバッグの膨張圧が上記ピラートリム本体裏面に作用して上記側壁部同士が互いに近接するように撓むことで係合部が被係合部から離脱して上記突出部が挿入孔を車内側に移動することにより、ピラートリムが車内側に移動するように構成されていることを特徴とする。
【0010】
第2の発明では、第1の発明において、上記グロメットは、伸張可能な連結部材を介して上記ピラートリム本体の被係止部に連結され、エアバッグ膨張時には、エアバッグの膨張圧が上記ピラートリム本体裏面に作用して上記側壁部同士が互いに近接するように撓むことで係合部が被係合部から離脱して上記突出部が挿入孔内を車内側に移動するとともにピラートリムが車内側に移動して上記連結部材が伸張することにより該連結部材によりピラートリムが上記ピラー部に離間保持されるように構成されていることを特徴とする。
【0011】
第3の発明では、第1の発明において、上記突出部の先端側には、上記各側壁部を延長した一対の可撓性延長側壁部と、該延長側壁部の延長端同士を互いに一体に連結する挿入部とを備えた延長突出部が形成される一方、これら一対の延長側壁部、挿入部及び架橋部によって第3空間部が形成されるとともに該第3空間部には、上記第1開放口及び第2開放口の開放方向と同一方向に第3開放口が形成され、上記挿入部には、上記各延長側壁部の先端側外側面から互いに離間する方向に突出する鈎部が設けられ、上記ピラートリムの取付状態で、上記グロメットがピラー部の嵌着孔に車内外方向に移動不能に嵌着される一方、上記挿入部がグロメットの挿入孔に車内側から挿入されるとともに上記突出部の係合部がグロメットの被係合部に係合しており、エアバッグ膨張時には、エアバッグの膨張圧が上記ピラートリム本体裏面に作用して上記側壁部同士が互いに近接するように撓むことで係合部が被係合部から離脱して挿入孔内を車内側に移動するとともに上記延長突出部が挿入孔内を車内側に移動することで上記鈎部が上記被係合部に車外側から係止し、ピラートリムが上記ピラー部に離間保持されるように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
第1の発明では、取付座の第1開放口と突出部の第2開放口とを同一開放方向になるように形成したことにより、ピラートリムの成形において、1つのスライド型を用いて第1空間部を有する取付座と、第2空間部を有する突出部とを成形できるので、ピラートリムを成形する成形型の構造がシンプル化し、その結果ピラートリムを低コストで成形することができる。
【0013】
第2の発明では、エアバッグ膨張時に、膨張圧によりピラートリムが車内側に移動するとともに突出部がグロメットから抜脱し、グロメットの連結部材が伸張することによってピラートリムがピラー部に離間保持される。したがって、ピラートリムがエアバッグの膨張圧によって車内に飛散することが防止され、乗員の安全を確保できる。また、ピラートリムが離間保持される際、エアバッグの膨張圧の大部分は、グロメットと該グロメットの連結部材に連結されたピラートリムの被係止部とにかかるため、エアバッグ膨張圧が突出部に直接加わらず、該突出部の形状を膨張圧に耐えうるように大きくする必要はなくコンパクトにできる。すなわち、上記突出部を、ピラートリムをピラー部に取付保持できる必要最小限の強度を有するコンパクトな形状にできる。
【0014】
第3の発明では、エアバッグ膨張時に、膨張圧によりピラートリムが車内側に移動して鈎部がグロメットの被係合部に係合し、ピラートリムがピラー部に離間保持される。したがって、第2の発明と同じく、ピラートリムがエアバッグの膨張圧によって車内に飛散することが防止され、乗員の安全を確保できる。また、ピラートリムをピラー部に取り付ける際には、ピラートリム本体裏面からピラー部に向かって延びる延長突出部及び突出部をグロメットの挿入孔に挿入し、しかる後該グロメットをピラー部の嵌着孔に嵌着するだけでよいため、ピラートリムの取付作業が極めて簡単容易である。
【0015】
さらに、延長突出部の第3開放口を取付座の第1開放口及び突出部の第2開放口と同一開放方向となるように形成したことにより、ピラートリムの成形において、1つのスライド型を用いて第1空間部を有する取付座、第2空間部を有する突出部及び第3空間部を有する延長突出部を成形できるので、当該延長突出部のような離間保持構造を有するピラートリムであっても成形型の構造がシンプル化し、その結果ピラートリムを低コストで成形することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係るピラートリム取付構造が適用された自動車の車内図である。
【図2】本発明の実施形態1に係るピラートリムの上端部近傍を、ピラー部を省略して裏側から見た斜視図である。
【図3】図2の分解斜視図である。
【図4】図2のA−A線断面図であり、(a)はピラートリムがピラー部に取り付けられた状態を、(b)はエアバッグが膨張してピラートリムが車内側へ移動した状態をそれぞれ示す。
【図5】図2のB−B線断面図であり、(a)はピラートリムがピラー部に取り付けられた状態を、(b)はエアバッグが膨張してピラートリムが車内側へ移動した状態をそれぞれ示す。
【図6】本発明の実施形態2に係る図2相当図である。
【図7】本発明の実施形態2に係る図3相当図である。
【図8】本発明の実施形態2に係るピラートリム裏面に形成された取付座、突出部及び延長突出部の斜視図である。
【図9】本発明の実施形態2に係る図4相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
《発明の実施形態1》
図1は、本発明の実施形態1に係るピラートリムの取付構造が適用された自動車Cの車内1を示す。上記車内1の車体側部におけるフロントサイドウインド2前方の車体ピラー部P(以下ピラー部Pという)には、上端が車体後方に傾斜するように上下方向に延びる樹脂製のピラートリム(Aピラートリム)3が配設されている。該ピラートリム3は、図4に示すように、ピラー部Pの嵌着孔Hに嵌着されたグロメット9にピラートリム3の突出部7を挿入することによって、該ピラー部Pに配置されたエアバッグAbを車内1側から覆うように取り付けられている。上記ピラートリム3は、車内1側に膨出するように幅方向が湾曲した板状のトリム本体3bを有し、当該トリム本体3bの長手方向上端側裏面における幅方向略中央には、取付座5が一体に突設されている。上記トリム本体3b裏面には、幅方向に延びる複数のリブ3aが長手方向に間隔をあけて略平行に突設されている。そして上記エアバッグAbは、上記取付座5の幅方向(サイドウインド2側)に、ピラートリム3の長手方向に沿って配置されている。
【0018】
上記取付座5は、図2乃至図5に示すように、トリム本体3bの長手方向上端近傍に幅方向に離間して当該トリム本体3bの長手方向に沿うようにピラー部P側に一体に突出した一対の板状第1脚部51aと、該第1脚部51aの突出端同士を互いに一体に連結する板状着座部53とを備えた略門型状をなしている。さらに、上記取付座5には、トリム本体3bの長手方向下端の開口を閉塞するように板状第2脚部51bが一対の第1脚部51a、着座部53及びトリム本体3bにそれぞれ一体に形成されていて、該第2脚部51bの板面略中央部分には、上記取付座5の突出方向に延びる被係止部としての長孔51cが貫通形成されている。これら一対の第1脚部51a、着座部53及びトリム本体3bによって、第1空間部S1が形成されるとともに、上記第1空間部S1のトリム本体3bの長手方向上側には、当該取付座5の突出方向と略直交するように第1開放口55が形成されている。
【0019】
上記着座部53には、略門型状の突出部7が上記取付座5の突出方向に一体に突設されている。上記突出部7は、トリム本体3bの幅方向において互いに離間して当該トリム本体3bの長手方向に沿うように上記取付座5の突出方向に一体に突出する一対の可撓性板状側壁部71と、該側壁部71の突出端同士を互いに一体に連結する非可撓性厚肉架橋部76とを備えている。該架橋部76は、上記グロメット9に形成された挿入孔93に突出部7を挿入し易くするために、突出方向先端側が細くなるように4つのテーパ面76aが形成されている。そして、上記一対の側壁部71、架橋部76及び着座部53によって第2空間部S2が形成されるとともに、該第2空間部S2には、上記第1開放口55の開放方向と同一方向に第2開放口79が形成されている。
【0020】
上記一対の側壁部71における突出方向中間部の外側面、即ち、トリム本体3bの幅方向外側面には、互いに離間する方向に膨出する一対の略くの字状の係合部73が一体に形成されている。該係合部73は、離間する方向に行くにしたがって突出部7突出方向の幅が徐々に狭くなる略三角形状をなしていて、その頂点を境に突出部7突出方向先端側にガイド面73aが、基端側に上記ガイド面73aより傾斜角が大きい係合面73bがそれぞれ傾斜形成されている。
【0021】
また、上記両側壁部71の間には、突出部7を補強する板状補強部78が設けられていて、該補強部78は、上記一対の側壁部71間におけるトリム本体3b幅方向中央部を突出方向に延び、その先端側が上記架橋部76及び両側壁部71の先端側に一体に繋がるとともに基端側が着座部53及び両側壁部71の基端側に一体に繋がる略H字状に形成されている。さらに該補強部78は、トリム本体3b長手方向下側の板面が、側壁部71のトリム本体3b長手方向下側と面一になるように形成されているとともにトリム本体3b長手方向上側の板面が、側壁部71のトリム本体3bの長手方向中央部よりも長手方向下側寄りに形成されている。また、上記突出部7の第2空間部S2は、トリム本体3bの長手方向下側が上記補強部78と一対の側壁部71とによって形成される一対の矩形状連通孔80によりトリム本体3b長手方向下側が開放して形成されている。上記連通孔80を形成することにより、一対の側壁部71が互いに近接する方向あるいは離間する方向に撓むのを容易にしている。また、補強部78を形成することにより、特に突出部7をグロメット9の挿入孔93に挿入する際、突出部7が反挿入方向に座屈することなく挿入できるとともにピラートリム3をピラー部Pに取り付けた状態で、係合部73が被係合部97bから容易に抜脱することなく安定して取り付けることができる。尚、補強部78のトリム本体3b長手方向上側の板面は、第2開放口79と面一になるように延長形成してもよい。
【0022】
このように、上記突出部7の補強部78におけるトリム本体3bの長手方向下側には、アンダーカット部が形成されていない。よって、取付座5及び突出部7を形成する際、トリム本体3bの長手方向にスライドする1つのスライド型を用いて第1空間部S1を有する取付座5と、第2空間部S2を有する突出部7とを成形できる。
【0023】
即ち、上記1つのスライド型は、取付座5の着座部53及び突出部7のトリム本体3b幅方向各外面を形成するとともに、取付座5の第1空間部S1及び長孔51c、突出部7の第2空間部S2及び連通孔80をも形成する。尚、上記取付座5、突出部7のトリム本体3b長手方向下側の各外面は、トリム本体3bの裏側(車外方向の面)を成形する可動型によって成形されるとともにトリム本体3bの表面(車内1側の面)は固定型によって成形される。
【0024】
上記グロメット9は、図2、図3及び図5に示すように、樹脂材を一体成形してなり、略矩形の板状のベース部91を有している。該ベース部91の中央には、ピラートリム3の突出部7が挿入される略矩形状の挿入孔93が形成されており(図4及び図5参照)、該挿入孔93のトリム本体3b幅方向に沿う両周縁には、トリム本体3b幅方向に沿うようにピラー部P側に向かって一対の板状第1係合壁95が突設されるとともに、挿入孔93のトリム本体3b長手方向周縁には、一対の上記第1係合壁95と一体に連結しトリム本体3b長手方向に沿うようにピラー部P側に向けて一対の板状第2係合壁97が突設され、上記第1係合壁95及び第2係合壁97により突出端が開放した矩形の筒状部9aをなしている。上記第1係合壁95及び第2係合壁97の先端側外面には、ピラー部Pの嵌着孔Hにグロメット9の上記筒状部9aを車内1側から挿入し易くするために、先端が細くなるようにテーパ面95a及び97aが形成されている。そして、一対の上記両第1係合壁95の基端側には、互いに外方に突出する係止爪95cが上記筒状部9aの先端側を支軸として互いに近接するように撓むことができるようにコ字状のスリット95bに囲まれて形成されている。そして、上記係止爪95cは、上記ピラー部Pの上記嵌着孔Hへの挿入を容易にするとともに該筒状部9aが嵌着孔Hへ挿入された後は、当該筒状部9a、即ちグロメット9が嵌着孔Hから車内1側へ抜脱しないように形成されている。また、上記両第2係合壁97の基端側には、それぞれ上記突出部7の係合部73が係脱可能に係合する矩形孔状被係合部97bが貫通形成されている。
【0025】
また、上記ベース部91の上記トリム本体3b長手方向下側における一辺には、伸張可能な帯状の連結部材94の一端が一体に連結されている。該連結部材94は、グロメット9と同種の樹脂材で成形され、途中で折り返されて弛んだ状態になっていて、その他端には、長方形の板状係止部92が膨出形成されている。上記係止部92は、その長手方向が連結部材94の伸張方向と直交するように形成されており、即ち係止部92の一方の板面に対して連結部材94の他端が略垂直になるように形成されており、当該係止部92の長手方向の長さは、上記長孔51cの短径よりも長く、該長孔51cの長径よりも短く設定されている。また、上記係止部92の幅方向(短辺)の長さは、該長孔51cの短径よりも短く設定されている。そして、グロメット9の挿入孔93に突出部7を挿入した状態では、上記連結部材94の係止部92は、その長手方向が長孔51cの短径方向に向いて、つまり係止部92の長手方向と長孔51cの長手方向とが略直交して、係止部92が長孔51cから抜脱しないように構成されている。
【0026】
尚、上記連結部材94は、グロメット9と一体に成形されているが、別部材として形成し、一端を該グロメット9に連結するとともに他端を被係止部としての上記長孔51cに連結してもよい。この場合、ピラートリム3をピラー部Pに取り付けた状態で、上記連結部材の両端がグロメット9及び長孔51cから外れないように連結する。
【0027】
次に、ピラートリム3をピラー部Pに取り付ける要領について説明する。
【0028】
まず、連結部材94の係止部92の長辺側が長孔51cの長径側に沿うようにグロメット9の向きを変えて該長孔51cに上記係止部92を第2脚部51bの外側から内側に向けて挿入した後、係止部92の長辺側が長孔51cの短径側に向くようにグロメット9を回転させると、係止部92が長孔51cの長辺側の内側(第1空間部S1側)縁部に係止される。
【0029】
次に、グロメット9を持って連結部材94を伸ばして、グロメット9の一対の被係合部97bが突出部7の一対の係合部73に対応するように挿入孔93を突出部7の先端側に移動させて、該挿入孔93に突出部7を挿入する。このとき、挿入孔93周縁に両係合部73が接触して、挿入力でガイド面73aが挿入孔93周縁に摺接しながら側壁部71が互いに近接するように撓み、係合部73の頂点が挿入孔93を通過した後、側壁部71が復元して係合部73の係合面73bが被係合部97bにおける筒状部9aの基端側縁部に筒状部9aの先端側から接触し、係合部73と被係合部97bとが係合する。このとき、連結部材94は、図2に示すように弛んだ状態となっている。
【0030】
次いで、ピラートリム3の突出部7に取り付けられたグロメット9をピラー部Pの嵌着孔Hに車内1側から挿入すると、グロメット9がテーパ面95a、97aによって嵌着孔Hに挿入案内される。そして、グロメット9をさらに挿入すると、嵌着孔H周縁に接触する係止爪95cが挿入力によって互いに近接するように撓んで上記嵌着孔Hを通過し、その後、復元して外側から嵌着孔H周縁に係止する。これにより、図5(a)に示すように、ピラートリム3の取付状態で、グロメット9がベース部91と係止爪95cとの間にピラー部Pの嵌着孔H周縁を挟持して該嵌着孔Hから車内外方向に移動不能に嵌着される。これにより、ピラートリム3はグロメット9を介してピラー部Pに取り付けられる。
【0031】
尚、上記連結部材94の係止部92の長孔51cへの取り付けは、グロメット9を突出部7に取り付けた後、上記係止部92の長手方向が長孔51cの長辺に沿うように手で持って連結部材94を捩って係止部92を長孔51cに挿入貫通させ、しかる後その捩り力を解除することにより連結部材94の弾力が復元して、係止部92が長孔51cに係合するようにしてもよい。
【0032】
このように、ピラー部Pにピラートリム3を取り付けた状態(図4(a),図5(a)参照)において、車体側部衝突(以下衝突という)時には、エアバッグAbが膨張し、膨張圧が上記トリム本体3b裏面に作用すると、突出部7の係合面73bを介してグロメット9を車内1側へ移動させようとする作用力が働くが、グロメット9は、係止爪95cによりピラー部Pの嵌着孔Hに車内1側へ移動不能に取り付けられているため、上記膨張圧では車内1側に移動しない。したがって、グロメット9が嵌着孔Hに嵌着された状態で、係脱可能に嵌合された上記係合部73の係合面73bが被係合部97bに摺接しながら上記両側壁部71同士が互いに近接するように撓む。そして、上記係合部73の架橋部76が被係合部97bを車内1側へ通過することで、係合部73が被係合部97bから離脱して上記突出部7が挿入孔93を車内1側に移動し、これにより、ピラートリム3が車内1側に移動して、エアバッグAbがピラートリム3とピラー部Pとの間から車内1側に膨出する。このとき、ピラートリム3の移動に伴って連結部材94が伸張して、図4(b)及び図5(b)に示すように、連結部材94によりピラートリム3がピラー部Pに離間保持される。このように、エアバッグAb膨張時に、膨張圧によりピラートリム3が車内1側に移動するとともに突出部7がグロメット9から抜脱し、グロメット9の連結部材94が伸張することによって、ピラートリム3がピラー部Pに離間保持される。したがって、ピラートリム3がエアバッグAbの膨張圧によって車内1に飛散されることが防止され、乗員の安全を確保できる。
【0033】
このように、本実施形態1によれば、突出部7にトリム本体3bの幅方向に膨出する係合部73が形成されていても、取付座5の第1空間部S1における第1開放口55と突出部7の第2空間部S2における第2開放口79とを同一開放方向になるように形成したことにより、ピラートリム3の成形において、トリム本体3bの長手方向にスライドする1つのスライド型を用いて、第1空間部S1を有する取付座5と、第2空間部S2を有する突出部7とを成形できるので、ピラートリム3を成形する成形型の構造がシンプル化し、その結果ピラートリム3を低コストで成形することができる。
【0034】
また、ピラートリム3がエアバッグAbの膨張圧によって車内1側に移動される際、該膨張圧の大部分は、グロメット9と該グロメット9の連結部材94に連結されたピラートリム3における取付座5の長孔51cを有する第2脚部51bとにかかるため、エアバッグAb膨張圧が突出部7に直接加わらず、該突出部7の形状を膨張圧に耐えうるように大きくする必要はなくコンパクトにできる。すなわち、上記突出部7を、ピラートリム3をピラー部Pに取付保持できる必要最小限の強度を有するコンパクトな形状にできる。
【0035】
尚、本実施形態1では、連結部材94の係止部92を取付座5の長孔51cに係止し、ピラートリム3の突出部7をグロメット9の挿入孔93に挿入した後、ピラー部Pの嵌着孔Hにグロメット9を嵌着したが、ピラー部Pの嵌着孔Hにグロメット9を嵌着した後、係止部92を長孔51cに係止し、しかる後ピラートリム3の突出部7をグロメット9の挿入孔93に挿入してピラートリム3をピラー部Pに取り付けてもよい。
【0036】
また、本実施形態1では、被係止部としての長孔51cは、取付座5の第1脚部51aに形成したが、長孔51cを取付座5以外の部分に形成してもよい。例えば、取付座5のピラートリム3幅方向側方におけるトリム本体3bの裏面に、新たに門型状の連結部材専用取付座を形成し、該連結部材専用取付座の上面に長孔51cを形成する。この際、連結部材専用取付座は、上記第1開放口及び第2開放口の開放方向と同じ方向に開放口を形成することで、取付座5、突出部7及び連結部材専用取付座を1つのスライド型にて形成する。
《発明の実施形態2》
図6乃至図9は、本発明の実施形態2に係るピラートリム3の取付構造を示す。この実施形態2では、突出部7及びグロメット9の形状が異なる点と、該突出部7の先端側に延長突出部70が設けられている点と、取付座5に長孔51cが形成されていない点とが実施形態1と異なっているだけで、他の部分は同じであるため、以下、異なる部分のみを詳細に説明する。
【0037】
上記突出部7は、側壁部71の突出端同士を互いに一体に連結する矩形状で薄肉の架橋部76が形成され、一対の側壁部71、架橋部76及び取付座5の着座部53によって第2空間部S2が形成されている。上記一対の両側壁部71間には、上記架橋部76のトリム本体3bの幅方向における中央部から着座部53側に当該突出部7の突出方向に延びて該着座部53及び両側壁部71の基端側に繋がる略T字状の板状補強部78が形成されている。
【0038】
上記架橋部76及び補強部78は、トリム本体3b長手方向下側の板面が側壁部71のトリム本体3b長手方向下側と面一になるように形成されているとともにトリム本体3b長手方向上側の板面が、側壁部71のトリム本体3bの長手方向中央部よりも長手方向下側寄りに形成されている。また、上記突出部7の第2空間部S2は、トリム本体3b長手方向下側が上記補強部78、一対の側壁部71及び架橋部76によって形成される一対の矩形状連通孔80によりトリム本体3b長手方向下側が開放して形成されている。上記連通孔80を形成することにより、一対の側壁部71が互いに近接する方向あるいは離間する方向に撓むのを容易にしている。また、補強部78を形成することにより、特に突出部7をグロメット9の挿入孔93に挿入する際、突出部7が反挿入方向に座屈することなく挿入できるとともにピラートリム3をピラー部Pに取り付けた状態で、係合部73が、グロメット9における第2係合壁97の被係合部97cから容易に抜脱することなく安定して取り付けることができる。尚、補強部78のトリム本体3b長手方向上側の板面は、第2開放口79と面一になるように延長形成してもよい。
【0039】
このように、上記架橋部76及び補強部78におけるトリム本体3b長手方向下側にはアンダーカット部が形成されていない。
【0040】
上記突出部7の先端側には、矢印形状の延長突出部70が、ピラー部Pに向かって即ち突出部7の突出方向に沿って一体に突設されている。上記延長突出部70には、上記各側壁部71を延長形成した一対の可撓性を有する板状の延長側壁部72と、該延長側壁部72の延長端同士を互いに一体に連結する挿入部75とを備えている。上記挿入部75は、先端側に向かうにつれてトリム本体3bの幅方向が狭くなる略三角形状をなし、その頂点を境にガイド面75aが一対傾斜して形成されている。上記挿入部75には、上記各延長側壁部72の先端側外側面において互いに離間する方向に突出する鈎部75bが設けられていて、該鈎部75bには、延長側壁部72と交差するように係止面75cが形成されている。
【0041】
これら一対の延長側壁部72、挿入部75及び架橋部76によって第3空間部S3が形成されるとともに、該第3空間部S3には、上記第1開放口55及び第2開放口79の開放方向と同一方向に第3開放口74が形成されている。また、上記第3空間部S3は、上記挿入部75の突出方向中間部まで、即ち上記一対の鈎部75bよりも延長突出部70の突出方向先端側まで延びて形成されて、延長突出部70を上記グロメット9の挿入孔93に挿入する際に鈎部75bが互いに接近するようにして挿入を容易にしている。
【0042】
そして、上記一対の延長側壁部72の間には、上記架橋部76のトリム本体3bにおける幅方向中央部から挿入部75まで延長突出部70の延長方向に沿って延びる板状延長補強部77が形成されている。
【0043】
上記延長補強部77のトリム本体3bの長手方向下側の板面が、側壁部71、補強部78及び延長側壁部72のトリム本体3b長手方向下側と面一になるように形成されているとともにトリム本体3b長手方向上側の板面が、延長側壁部72のトリム本体3bの長手方向中央部よりも長手方向下側寄りに形成されている。また、上記延長突出部70の第3空間部S3は、トリム本体3b長手方向下側が上記延長補強部77、一対の延長側壁部72、架橋部76及び挿入部75によって形成される一対の矩形状延長連通孔82よりトリム本体3b長手方向下側が開放して形成されている。上記延長連通孔82を形成することにより、一対の延長側壁部72及び鈎部75bが互いに近接する方向あるいは離間する方向に撓むのを容易にしている。また、延長補強部77を形成することにより、特に延長突出部70をグロメット9の挿入孔93に挿入する際、延長突出部70が反挿入方向に座屈することなく挿入できる。さらに、エアバッグAb展開時において、上記鈎部75bの係止面75cがグロメット9における第2係合壁97の被係合部97cに車外側から係止して、ピラートリム3を離間保持する際、エアバッグAbの膨張圧によって上記鈎部75bが変形及び破損することがなく安定した離間保持が行える。
【0044】
このように、上記延長突出部70の延長補強部77におけるトリム本体3bの長手方向下側には、アンダーカット部が形成されていない。よって、取付座5、突出部7及び延長突出部70を形成する際、突出部7及び延長突出部70にトリム本体3bの幅方向に膨出する係合部73及び鈎部75bが形成されていても、トリム本体3bの長手方向にスライドする1つのスライド型を用いて第1空間部S1を有する取付座5、第2空間部S2を有する突出部7及び第3空間部S3を有する延長突出部70を成形することができる。
【0045】
即ち、上記1つのスライド型は、取付座5の着座部53、突出部7の一対の側壁部71、延長突出部70の一対の延長側壁部72及び挿入部75のトリム本体3b幅方向各外面を形成するとともに、取付座5の第1空間部S1、突出部7の第2空間部S2及び連通孔80、延長突出部70の第3空間部S3及び延長連通孔82をも形成する。尚、取付座5、突出部7、延長突出部70及び挿入部75のトリム本体3b長手方向下側の各外面は、トリム本体3bの裏側(車外方向の面)を成形する可動型によって成形されるとともにトリム本体3bの表面(車内1側の面)は固定型によって成形される。
【0046】
上記グロメット9は、図6、図7及び図9に示すように、一対の第1係合壁95及び一対の第2係合壁97が実施形態1よりも突出方向に短い形状をなしている。一対の上記第1係合壁95の先端側外面には、それぞれ先端に向かって断面先細となるように傾斜するテーパ面95aが形成されている。そして、一対の上記第2係合壁97は、上記第1係合壁95の基端側と一体に連結していて、その突出端面が、被係合部97cを形成するとともに当該グロメット9をピラー部Pに取り付けた状態でピラー部Pの外面(車外方向の面)と略面一になるように形成されている。したがって、第2係合壁97の突出先端側には、一対の第1係合壁95によってトリム本体3bの幅方向及び車外側(ピラー部P側)が開放された空間部S4が形成されている。
【0047】
次に、ピラートリム3をピラー部Pに取り付ける要領について説明する。
【0048】
まず、図7に示すように、グロメット9の一対の第1係合壁95の並設方向がピラートリム3の幅方向に沿うようにグロメット9を突出部7の挿入部75に位置合わせして、グロメット9の挿入孔93(図9参照)に挿入部75をピラートリム3側から挿入する。このとき、挿入孔93周縁に両ガイド面75aが接触して、挿入力でガイド面75aが互いに近接するとともに延長側壁部72同士も互いに近接するように撓むことにより一対の鈎部75bが互いに近接して該鈎部75bが挿入孔93を挿入方向に通過する。さらに、突出部7をグロメット9に挿入し、係合部73の先端側にグロメット9の挿入孔93が近づくと、その挿入力でガイド面73aが挿入孔93周縁に摺接しながら上記側壁部71同士が互いに近接するように撓むことで係合部73の頂点(トリム本体3bの幅方向外側に膨出している部分)が挿入孔93を通過した側壁部71が復元して係合部73の係合面73bがグロメット9の第2係合壁97の先端縁に当該先端側から当接することにより、係合部73と第2係合壁97とが係合する(図9(a)参照)。
【0049】
次いで、グロメット9が突出部7の基端側に取り付けられた当該突出部7の延長突出部70をピラー部Pの嵌着孔Hに車内1側から挿入すると、延長突出部70における挿入部75の基端側が互いに近接するように撓み、嵌着孔Hを挿入方向に通過した後、グロメット9がテーパ面95aによって嵌着孔Hに挿入案内される。そして、グロメット9をさらに車内1側から車外方向に挿入すると、嵌着孔H周縁に一対の係止爪95cが圧接し、該係止爪95cが挿入力によって互いに近接するように撓んで上記嵌着孔Hを通過した後、復元して車外側から嵌着孔H周縁に係止する(図6及び図9(a)参照)。これにより、実施形態1と同様に、グロメット9がベース部91と係止爪95cとの間にピラー部Pを挟持して該ピラー部Pの嵌着孔Hに車内外方向に移動不能に嵌着される一方、上記突出部7がグロメット9の挿入孔93に車内1側から挿入されて、該突出部7の係合部73がグロメット9の第2係合壁97の被係合部97cに係合する。
【0050】
このように、ピラー部Pにピラートリム3を取り付けた状態(図9(a)参照)において、車体側部が衝突したときには、エアバッグAbが膨張し、その膨張圧が上記トリム本体3b裏面に作用すると、グロメット9がピラー部Pの嵌着孔Hに嵌着された状態で、上記係合部73の係合面73bが第2係合壁97に摺接しながら上記両側壁部71同士が互いに近接するように撓む。そして、係合部73の頂点が第2係合壁97を車内1側に通過することで、係合部73が第2係合壁97から離脱して挿入孔93内を車内1側に移動し、続いて上記延長突出部70が挿入孔93内を車内1側に移動する。そして、図9(b)に示すように、挿入部75における鈎部75bの係止面75cがグロメット9における第2係合壁97の被係合部97cに車外側から係止して、ピラートリム3がピラー部Pに離間保持され、エアバッグAbが車内1側に膨出する。したがって、ピラートリム3がエアバッグAbの膨張圧によって車内1に飛散されることが防止され、乗員の安全を確保できる。
【0051】
以上より、この実施形態2によれば、実施形態1と同様の効果が得られるとともに、ピラートリム3をピラー部Pに取り付ける際には、トリム本体3b裏面からピラー部Pに向かって延びる延長突出部70及び突出部7をグロメット9の挿入孔93に挿入し、しかる後該グロメット9をピラー部Pの嵌着孔Hに嵌着するだけでよいため、ピラートリム3の取付作業が極めて簡単容易である。
【0052】
また、延長突出部70の第3開放口74を取付座5の第1開放口55及び突出部7の第2開放口79と同一開放方向となるように形成したことにより、ピラートリム3の成形において、1つのスライド型を用いて第1空間部S1を有する取付座5、第2空間部S2を有する突出部7及び第3空間部S3を有する延長突出部70を成形できるので、当該延長突出部70のような離間保持構造を有するピラートリム3であっても成形型の構造がシンプル化し、その結果ピラートリムを低コストで成形することができる。
【0053】
尚、本実施形態2では、グロメット9をピラートリム3の突出部7に取り付けた後、ピラー部Pの嵌着孔Hにグロメット9を嵌着したが、ピラー部Pの嵌着孔Hにグロメット9を嵌着した後、該グロメット9にピラートリム3の突出部7を挿入して取り付けるようにしてもよい。
【0054】
また、上記実施形態1,2では、フロントガラス側方のピラートリム3に本発明を適用した例を示したが、本発明は、センターピラートリムやリアピラートリム等の他のピラートリムにも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、例えば、側突時の安全対策としてエアバッグを装着した車両のピラー部分のピラートリム取付構造に適している。
【符号の説明】
【0056】
1 車内
3 ピラートリム
3a トリム本体
5 取付座
7 突出部
9 グロメット
51a 第1脚部
51c 長孔(被係止部)
53 着座部
55 第1開放口
70 延長突出部
71 側壁部
72 延長側壁部
73 係合部
75 挿入部
75b 鈎部
76 架橋部
79 第2開放口
93 挿入孔
94 連結部材
97b 被係合部
97c 被係合部
H 嵌着孔
Ab エアバッグ
P ピラー部
S1 第1空間部
S2 第2空間部
S3 第3空間部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体のピラー部に配置されたエアバッグを車内側から覆うように上記ピラー部に取り付けられ、車体側部衝突時に上記エアバッグの膨張圧で車内側に移動することでエアバッグを車内に膨出するように構成された樹脂製ピラートリムの取付構造であって、
上記ピラートリムのトリム本体裏面には、互いに離間して上記ピラー部側に向かって一体に突出する一対の板状脚部と、該脚部の突出端同士を互いに一体に連結する板状着座部とを備えた略門型状の取付座が形成される一方、これら一対の脚部、着座部及びピラートリム本体によって第1空間部が形成されるとともに該第1空間部には、当該取付座の突出方向と略直交するように第1開放口が形成され、
上記着座部には、互いに離間して上記取付座の突出する方向に一体に突出する一対の可撓性板状側壁部と、該側壁部の突出端同士を互いに一体に連結する架橋部とを備えた突出部が形成される一方、これら一対の側壁部、架橋部及び着座部によって第2空間部が形成されるとともに該第2空間部には、上記第1開放口の開放方向と同一方向に第2開放口が形成され、且つ、上記一対の側壁部における突出方向中間部の外側面には、互いに離間する方向に膨出する係合部が形成され、
上記ピラー部には、グロメットが嵌着される嵌着孔が形成され、
上記グロメットには、上記突出部が挿入される挿入孔と、上記係合部が係脱可能に係合する被係合部とが形成され、
上記ピラートリムの取付状態で、上記グロメットがピラー部の嵌着孔に車内外方向に移動不能に嵌着される一方、上記突出部がグロメットの挿入孔に車内側から挿入されて、該突出部の係合部がグロメットの被係合部に係合しており、
エアバッグ膨張時には、エアバッグの膨張圧が上記ピラートリム本体裏面に作用して上記側壁部同士が互いに近接するように撓むことで係合部が被係合部から離脱して上記突出部が挿入孔を車内側に移動することにより、ピラートリムが車内側に移動するように構成されていることを特徴とするピラートリムの取付構造。
【請求項2】
請求項1に記載のピラートリムの取付構造において、
上記グロメットは、伸張可能な連結部材を介して上記ピラートリム本体の被係止部に連結され、
エアバッグ膨張時には、エアバッグの膨張圧が上記ピラートリム本体裏面に作用して上記側壁部同士が互いに近接するように撓むことで係合部が被係合部から離脱して上記突出部が挿入孔内を車内側に移動するとともにピラートリムが車内側に移動して上記連結部材が伸張することにより該連結部材によりピラートリムが上記ピラー部に離間保持されるように構成されていることを特徴とするピラートリムの取付構造。
【請求項3】
請求項1に記載のピラートリムの取付構造において、
上記突出部の先端側には、上記各側壁部を延長した一対の可撓性延長側壁部と、該延長側壁部の延長端同士を互いに一体に連結する挿入部とを備えた延長突出部が形成される一方、これら一対の延長側壁部、挿入部及び架橋部によって第3空間部が形成されるとともに該第3空間部には、上記第1開放口及び第2開放口の開放方向と同一方向に第3開放口が形成され、
上記挿入部には、上記各延長側壁部の先端側外側面から互いに離間する方向に突出する鈎部が設けられ、
上記ピラートリムの取付状態で、上記グロメットがピラー部の嵌着孔に車内外方向に移動不能に嵌着される一方、上記挿入部がグロメットの挿入孔に車内側から挿入されるとともに上記突出部の係合部がグロメットの被係合部に係合しており、
エアバッグ膨張時には、エアバッグの膨張圧が上記ピラートリム本体裏面に作用して上記側壁部同士が互いに近接するように撓むことで係合部が被係合部から離脱して挿入孔内を車内側に移動するとともに上記延長突出部が挿入孔内を車内側に移動することで上記鈎部が上記被係合部に車外側から係止し、ピラートリムが上記ピラー部に離間保持されるように構成されていることを特徴とするピラートリムの取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−194897(P2011−194897A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−60241(P2010−60241)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(390026538)ダイキョーニシカワ株式会社 (492)
【Fターム(参考)】