説明

フォトレジスト組成物

【課題】フォトレジスト組成物、該組成物を使用したフォトレジストパターンを形成する方法、パターン化樹脂組成物及びフォトリソグラフィーの形成方法を提供する
【解決手段】 エチレン性不飽和二重結合を有する重合性水溶性化合物A、エポキシ基含有不飽和化合物B及び下記一般式(1)


で示される化合物Cを重合して得られるポリマー、並びに溶媒を含むフォトレジスト組成物であって、モノマー成分の合計量中、化合物Aの割合が0〜90重量%、化合物Bの割合が0〜50重量%及び化合物Cの割合が15〜100重量%であるフォトレジスト組成物

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォトレジスト組成物、該組成物を使用したフォトレジストパターンを形成する方法、パターン化樹脂組成物及びフォトリソグラフィーの形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
感光画像形成性コーティングは、現在、様々な半導体及び微細加工用途において広く使用されている。基板上のコーティングをパターニングした活性線に露光させた後、適切な現像液で処理し、露光又は非露光領域を選択的に除去することができるようにコーティング内の溶解性変化を誘発することによって、光像形成が達成される。
【0003】
感光画像形成性コーティング(フォトレジスト)は、ポジ型又はネガ型のいずれかとすることができ、その場合、活性線への露光は、現像液中への溶解性をそれぞれ増加させるか又は減少させるかのいずれかである。
【0004】
高アスペクト比(像形成したフィーチャの高さ対幅の比と定義される)での高密度相互接続体を要する先進的な電子パッケージ用途、又は微小電子機械デバイス(MEMS)の製作を包含する用途では、均質なスピンコートした塗膜及び百ミクロンを超える厚さを有する塗膜において垂直な側壁プロフィルを有する高アスペクト比画像を作り出すことが可能な感光画像形成性層がしばしば要求される。このような状況下、光官能基を有する多くのフォトレジストが開発され、市販されてきた。
【0005】
レジスト組成物は、ある種のレオロジ的特性を要し、例えば、スピンコート等のコーティング方法により塗布することができるように配合しなければならない。
【0006】
更に、レジスト組成物は、塗膜の厚さの端から端まで光開始剤を光活性化するように、露光活性線の十分な透過性をもたらす性質を有しなければならず、著しく劣化したりすることなく、又は接着性を失うことなく、耐はんだ性、耐インキ性又は靭性等の適用に耐える適正な物理的及び化学的性質を有しなければならない。このフォトレジスト組成物を、エッチフォトレジスト等の他の目的に使用しようとする場合、さらに他の性質が要求され得る。
【0007】
特表2007-522531号公報には、ビスフェノールA−ノボラックエポキシ樹脂を用いた厚膜感光画像形成性組成物及びその用途について詳細に記載されている(特許文献1)。しかしながら、該組成物の合成の際に金属成分として、アンチモン、ヒ素等の有害金属を使用するので、該組成物中には有害な金属が含まれている。さらに、有機溶媒で現像するものであるため、該組成物を使用することによる環境に対する負荷は計り知れない。
【0008】
また、特開2005−133096号公報には、主鎖にエポキシ基及びカルコン基を有する化合物を用いたフォトレジスト組成物が開示されている(特許文献2)。しかしながら、特許文献2に記載されたフォトレジスト組成物は、有機溶媒又はアルカリ性現像水溶液で現像するものである。前記の通り、有機溶媒で現像するものは、例えば、エステル系の透明樹脂表面に塗布した際に表面が加水分解により濁ることがあり、また環境に対する負荷が大きい。また、アルカリ性水溶液を使用すると、同様に、エステル系の透明樹脂表面に塗布した際に表面が加水分解により濁ることがあるという問題点がある。
【特許文献1】特表2007-522531号公報
【特許文献2】特開2005−133096号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、フォトレジスト組成物、該組成物を使用したフォトレジストパターンを形成する方法、パターン化樹脂組成物及びフォトリソグラフィーの形成方法を提供することを主な課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、側鎖に感光画像形成性カルコン基を有するポリマーを含む特定のフォトレジスト組成物が、良好な画像解像度を有し、さらに該フォトレジスト組成物を硬化して得られる樹脂組成物は、熱安定性、耐薬品性を有し、同時に接着性、層間剥離、亀裂、クレイジング、応力、及び柔軟性特性に関する性能に優れていることを見出した。また、本発明のフォトレジスト組成物中に含まれるポリマーの合成には金属触媒を使用する必要がなく、さらにポリマー及びポリマーを硬化して得られる樹脂組成物は、水系溶媒(酸性水溶液)で現像、剥離を行うことができることを見出した。本発明は、この様な知見に基づき、さらに検討を重ねて完成されたものである。
【0011】
本発明は、下記項1〜14に示す、フォトレジスト組成物、該組成物を使用したフォトレジストパターンを形成する方法、該方法により得られるパターン化樹脂組成物、及びフォトリソグラフィーの形成方法に関する。
【0012】
項1. エチレン性不飽和二重結合を有する重合性水溶性化合物A、エポキシ基含有不飽和化合物B及び下記一般式(1)
【0013】
【化1】

【0014】
[式中、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基、R1は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、炭素数1〜4のN,N-ジアルキルアミノ基、アジド基又はニトロ基である]
で示される化合物Cを重合して得られるポリマー、並びに溶媒を含むフォトレジスト組成物であって、モノマー成分の合計量中、化合物Aの割合が0〜90重量%、化合物Bの割合が0〜50重量%及び化合物Cの割合が15〜100重量%であるフォトレジスト組成物。
項2. モノマー成分の合計量中、前記化合物Aの割合が10〜75重量%、化合物Bの割合が0〜40重量%及び化合物Cの割合が25〜60重量%である項1に記載のフォトレジスト組成物。
項3. エチレン性不飽和二重結合を有する重合性水溶性化合物Aが、4’-オキシカルコンである項1又は2に記載のフォトレジスト組成物。
項4. エポキシ基含有不飽和化合物Bが、メタクリル酸グリシジルである項1〜3のいずれかに記載のフォトレジスト組成物。
項5. ポリマーの重量平均分子量が1×10〜4×10である項1〜4のいずれかに記載のフォトレジスト組成物。
項6. 溶媒が炭化水素、ハロゲン化炭化水素、ニトロ化合物、ニトリル、エーテル、ケトン、エステル、カーボネートからなる群から選ばれる少なくとも1種である項1〜5のいずれかに記載のフォトレジスト組成物。
項7. ポリマー100重量部に対して溶媒5〜9900重量部を含む項1〜6のいずれかに記載のフォトレジスト組成物。
項8. フォトレジストパターンを形成する方法であって、
(1)項1〜7のいずれかに記載のフォトレジスト組成物を基板に塗布する工程、
(2)フォトレジスト組成物で被覆した基板を加熱することにより溶媒の大部分を蒸発させて、基板上にポリマーの膜を形成する工程、
(3)ポリマーの膜を形成した基板にマスクを通して活性線を照射する工程、
(4)現像液により画像を現像して、基板上にマスクのレリーフ画像を形成する工程
を含む方法。
項9. 活性線が、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線又はX線である項8に記載の方法。
項10. 現像液が酸性水溶液である項8又は9に記載の方法。
項11. 前記工程(4)の後に、(5)加熱することにより前記現像したレリーフ画像を架橋させる工程を含む項8〜10のいずれかに記載の方法。
項12. 画像アスペクト比が1〜100である、項8〜11のいずれかに記載の方法により作製した剥離可能なパターン化樹脂組成物。
項13. 剥離可能なパターン化樹脂組成物が、MEMS又はマイクロマシン部品の製造において使用されるものである項12に記載のパターン化樹脂組成物。
項14. 項8〜11のいずれかに記載の方法によりパターンを形成した後、酸性水溶液でパターン化樹脂組成物を剥離する工程を含むフォトリソグラフィーの形成方法。
【0015】
フォトレジスト組成物
本発明のフォトレジスト組成物は、エチレン性不飽和二重結合を有する重合性水溶性化合物A(以下、「化合物A」ということがある)、エポキシ基含有不飽和化合物B(以下、「化合物B」ということがある)及び下記一般式(1)
【0016】
【化2】

【0017】
[式中、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基、R1は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、炭素数1〜4のN,N-ジアルキルアミノ基、アジド基又はニトロ基である]
で示される化合物C(以下、「化合物C」ということがある)を重合して得られるポリマー、並びに溶媒を含み、モノマー成分の合計量中、化合物Aの割合が0〜90重量%程度、化合物Bの割合が0〜50重量%程度及び化合物Cの割合が15〜100重量%程度であることを特徴とする。
【0018】
本発明においては、前記化合物A、化合物B及び化合物C、さらにこれらの化合物と共重合可能な後述の他の重合性モノマーを総称してモノマー成分という。
【0019】
化合物A
本発明で使用するエチレン性不飽和二重結合を有する重合性水溶性化合物Aとしては、例えば、(メタ)アクリレート誘導体、(メタ)アクリルアミド誘導体、N,N-ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート誘導体、窒素原子含有ビニルモノマー誘導体、不飽和カルボン酸、不飽和スルホン酸、(メタ)アクリロイルポリオキシアルキレン(炭素数1〜6)硫酸エステル等が挙げられる。
【0020】
前記(メタ)アクリレート誘導体としては、例えば、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0021】
前記(メタ)アクリルアミド誘導体としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N-メチル-(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル-(メタ)アクリルアミド、N-メチロール-(メタ)アクリルアミド、3-メタクリルアミド-N,N-ジメチルプロピルアミン等が挙げられる。
【0022】
前記N,N-ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N-ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジプロピルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N-メチル,N-エチル-アミノエチル(メタ)アクリレート、N-メチル,N-エチル-アミノプロピル(メタ)アクリレート、N-メチル,N-プロピル-アミノエチル(メタ)アクリレート、N-メチル,N-プロピル-アミノプロピル(メタ)アクリレート、N-エチル,N-プロピル-アミノエチル(メタ)アクリレート、N-エチル,N-プロピル-アミノプロピル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0023】
前記窒素原子含有ビニルモノマー誘導体としては、例えば、アクリロニトリル、N-ビニル-2-ピロリドン、ビニルイミダゾール、N-ビニルスクシンイミド、p-アミノスチレン、N-ビニルカルバゾール、2-ビニルピリジン、ビニルモルホリン、2-シアノエチル-(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0024】
前記不飽和カルボン酸としては、例えば、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ビニル安息香酸等が挙げられる。
【0025】
前記不飽和スルホン酸としては、例えば、炭素数2〜20の脂肪族不飽和スルホン酸、炭素数6〜20の芳香族不飽和スルホン酸、スルホン酸基含有(メタ)アクリレート、スルホン酸基含有(メタ)アクリルアミド、炭素数1〜20のアルキル基を有する(メタ)アリルスルホコハク酸エステル等が挙げられる。
【0026】
炭素数2〜20の脂肪族不飽和スルホン酸としては、例えば、ビニルスルホン酸等が挙げられる。
【0027】
また、前記炭素数6〜20の芳香族不飽和スルホン酸としては、例えば、スチレンスルホン酸等が挙げられる。
【0028】
スルホン酸基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、2-(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン酸、2-(メタ)アクリロイルオキシプロパンスルホン酸、3-(メタ)アクリロイルオキシプロパンスルホン酸、2-(メタ)アクリロイルオキシブタンスルホン酸、4-(メタ)アクリロイルオキシブタンスルホン酸、2-(メタ)アクリロイルオキシ-2,2-ジメチルエタンスルホン酸、p-(メタ)アクリロイルオキシメチルベンゼンスルホン酸等が挙げられる。
【0029】
スルホン酸基含有(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、2-(メタ)アクリロイルアミノエタンスルホン酸、2-(メタ)アクリロイルアミノプロパンスルホン酸、3-(メタ)アクリロイルアミノプロパンスルホン酸、2-(メタ)アクリロイルアミノブタンスルホン酸、4-(メタ)アクリロイルアミノブタンスルホン酸、2-(メタ)アクリロイルアミノ-2,2-ジメチルエタンスルホン酸、p-(メタ)アクリロイルアミノメチルベンゼンスルホン酸等が挙げられる。
【0030】
炭素数1〜20のアルキル基を有する(メタ)アリルスルホコハク酸エステルとしては、例えば、メチル(メタ)アリルスルホコハク酸エステル等が挙げられる。
【0031】
前記(メタ)アクリロイルポリオキシアルキレン(炭素数1〜6)硫酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリロイルポリオキシエチレン(モル数2〜50のエチレンオキシド付加物)硫酸エステル等が挙げられる。
【0032】
本発明で使用する化合物Aは、これらの中でも(メタ)アクリルアミド誘導体が好ましく、3-メタクリルアミド-N,N-ジメチルプロピルアミンが特に好ましい。
【0033】
化合物Aは1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
【0034】
化合物Aの使用量は、モノマー成分の合計量中、通常0〜90重量%程度、好ましくは10〜75重量%程度、より好ましくは20〜70重量%程度である。
【0035】
化合物B
本発明で使用するエポキシ基含有不飽和化合物Bとしては、例えば、アクリル酸グリシジル、α-エチルアクリル酸グリシジル、α-N-プロピルアクリル酸グリシジル、α-N-ブチルアクリル酸グリシジル、アクリル酸-β-メチルグリシジル、アクリル酸-3,4-エポキシブチル、アクリル酸-6,7-エポキシヘプチル、α-エチルアクリル酸-6,7-エポキシヘプチルメタクリル酸グリシジル等のエポキシ基含有アクリル酸;メタクリル酸-β-メチルグリシジル、メタクリル酸-3,4-エポキシブチル、メタクリル酸-6,7-エポキシヘプチル等のエポキシ基含有メタクリル酸;o-ビニルベンジルグリシジルエ-テル、m-ビニルベンジルグリシジルエ-テル、p-ビニルベンジルグリシジルエ-テル等のエポキシ基含有ビニルベンジル化合物等が挙げられる。
【0036】
本発明で使用する化合物Bは、これらの中でもエポキシ基含有メタクリル酸等が好ましく、メタクリル酸グリシジル等が特に好ましい。
【0037】
化合物Bは1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
【0038】
化合物Bの使用量は、モノマー成分の合計量中、通常0〜50重量%程度、好ましくは0〜40重量%程度、より好ましくは0〜30重量%程度である。
【0039】
化合物C
本発明で使用する化合物Cは、下記一般式(1)
【0040】
【化3】

【0041】
[式中、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基、R1は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、アミノ基、炭素数1〜4のN,N-ジアルキルアミノ基、アジド基又はニトロ基である]
で示される化合物である。
【0042】
一般式(1)で表される化合物において、Rは、メチル基であることが好ましい。また、Rは、水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基であることが好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
【0043】
化合物Cの好ましい具体的な化合物としては、例えば、4'-アクリロキシカルコン、4'-メタクリロキシカルコン、4'-(α-エチル)-アクリロキシカルコン、4'-(α-プロピル)-アクリロキシカルコン、4'-(α-ブチル)-アクリロキシカルコン、4'-アクリロキシ-4-メトキシカルコン、4'-アクリロキシ-4-エトキシカルコン、4'-メタクリロキシ-4-メトキシカルコン、4'-メタクリロキシ-4-エトキシカルコン、4'-アクリロキシ-4-ブトキシカルコン、4'-メタクリロキシ-4-ブトキシカルコン、4'-(α-エチル)アクリロキシ-4-メトキシカルコン、4'-(α-ブチル)アクリロキシ-4-メトキシカルコン、4'-(α-ブチル)アクリロキシ-4-エトキシカルコン、4'-アクリロキシ-4-メチルカルコン、4'-アクリロキシ-4-エチルカルコン、4'-アクリロキシ-4-ブチルカルコン、4'-アクリロキシ-4-アミノカルコン、4'-アクリロキシ-4-(N,N-ジメチル)アミノカルコン、4'-アクリロキシ-4-(N,N-ジエチル)アミノカルコン、4'-メタクリロキシ-4-アミノカルコン、4'-メタクリロキシ-4-(N,N-ジメチル)アミノカルコン、4'-メタクリロキシ-4-(N,N-ジエチル)アミノカルコン、4'-アクリロキシ-4-ニトロカルコン、4'-メタクリロキシ-4-ニトロカルコン、4'-アクリロキシ-4-クロロカルコン、4'-メタクリロキシ-4-クロロカルコン、4'-メタクリロキシ-4-アジドカルコン等が挙げられる。
【0044】
本発明で使用する化合物Cは、これらの中でも4'-メタクリロキシカルコン等が特に好ましい。化合物Cは1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
【0045】
化合物Cの使用量は、モノマー成分の合計量中、通常15〜100重量%程度、好ましくは25〜60重量%程度、より好ましくは30〜50重量%程度である。本発明のフォトレジスト組成物中に含まれるポリマーは、モノマーとして化合物Cを必須成分として重合して得られるものである。
【0046】
他の重合成モノマー
本発明のフォトレジスト組成物中に含まれるポリマーは、前記化合物A、化合物B及び化合物Cの他に、さらにこれらの化合物と共重合可能な他の重合性モノマーを重合して得られるものであってもよい。
【0047】
このような他の重合性モノマーとしては、例えば、メタクリル酸等のラジカル重合性不飽和化合物が挙げられる。
【0048】
他の重合性モノマーは1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
【0049】
他の重合性モノマーの使用量は、モノマー成分の合計量中、通常0〜50重量%程度、好ましくは0〜10重量%程度、より好ましくは0〜5重量%程度である。
【0050】
ポリマーの製造方法
前記化合物A、化合物B、化合物C及び必要に応じて他の重合性モノマーを重合してなるポリマーを製造する方法は、従来公知の方法を採用すればよく、特に限定されないが、例えば、溶液重合法等が挙げられる。
【0051】
溶液重合法によってポリマーを製造する場合、溶液重合法で一般的に行われる慣用の操作方法等を用いることができ、前記の割合からなるモノマー成分を溶媒と混合して重合させればよい。
【0052】
溶液重合法に用いられる溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン等のエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート等のエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル等のジエチレングリコール類;プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類;プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテートプロピレングリコールブチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類;プロピレングリコールメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールエチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールプロピルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールブチルエーテルプロピオネート等のプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン等のケトン類;及び酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、ヒドロキシ酢酸メチル、ヒドロキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、3-ヒドロキシプロピオン酸メチル、3-ヒドロキシプロピオン酸エチル、3-ヒドロキシプロピオン酸プロピル、3-ヒドロキシプロピオン酸ブチル、2-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸メチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸プロピル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、エトキシ酢酸プロピル、エトキシ酢酸ブチル、プロポキシ酢酸メチル、プロポキシ酢酸エチル、プロポキシ酢酸プロピル、プロポキシ酢酸ブチル、ブトキシ酢酸メチル、ブトキシ酢酸エチル、ブトキシ酢酸プロピル、ブトキシ酢酸ブチル、2-メトキシプロピオン酸メチル、2-メトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシプロピオン酸プロピル、2-メトキシプロピオン酸ブチル、2-エトキシプロピオン酸メチル、2-エトキシプロピオン酸エチル、2-エトキシプロピオン酸プロピル、2-エトキシプロピオン酸ブチル、2-ブトキシプロピオン酸メチル、2-ブトキシプロピオン酸エチル、2-ブトキシプロピオン酸プロピル、2-ブトキシプロピオン酸ブチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸プロピル、3-メトキシプロピオン酸ブチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸プロピル、3-エトキシプロピオン酸ブチル、3-プロポキシプロピオン酸メチル、3-プロポキシプロピオン酸エチル、3-プロポキシプロピオン酸プロピル、3-プロポキシプロピオン酸ブチル、3-ブトキシプロピオン酸メチル、3-ブトキシプロピオン酸エチル、3-ブトキシプロピオン酸プロピル、3-ブトキシプロピオン酸ブチル等のエステル類等が挙げられる。これらの中でも、1,4-ジオキサンが好ましい。溶液重合法に用いられる溶媒は、モノマーの種類、混合割合に応じて、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
【0053】
溶液重合法によりポリマーを製造する場合、該溶媒の使用量は、モノマー成分の合計100重量部に対して、通常0〜50000重量部程度、好ましくは1000〜10000重量部程度である。
【0054】
溶液重合法によりポリマーを製造する場合、重合開始剤を使用してもよい。本発明において、重合開始剤としては、一般的にラジカル重合開始剤として知られているものが使用できる。例えば2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス-(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス-(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物;ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、t-ブチルペルオキシピバレート、1,1’-ビス-(t-ブチルペルオキシ)シクロヘキサン等の有機過酸化物;及び過酸化水素が挙げられる。ラジカル重合開始剤として過酸化物を用いる場合には、過酸化物を還元剤とともに用いてレドックス型開始剤としてもよい。
【0055】
重合開始剤の使用量は、モノマー成分100重量部に対して、通常、0.1〜20重量部程度、好ましくは1〜5重量部程度である。
【0056】
溶液重合法において、各成分の混合順序は特に限定されないが、重合開始剤を使用する場合は、モノマー成分と溶媒との混合液に、重合開始剤を徐々に滴下することが好ましい(いわゆる滴下重合法)。
【0057】
溶液重合法においては、重合温度は、通常20〜100℃程度、好ましくは60〜80℃程度、重合時間は、通常2〜24時間程度、好ましくは8〜12時間程度である。
【0058】
溶液重合法によりポリマーを製造した場合、ポリマーは、上記溶媒を減圧等により除去して得られる。減圧等により得られたポリマー残渣をそのままフォトレジスト組成物の調製に用いてもよく、ポリマー残渣を沈殿、再沈殿等の方法により精製後、十分に乾燥させて得られたポリマーをフォトレジスト用樹脂組成物の調製に供してもよい。
【0059】
本発明のフォトレジスト組成物に含まれるポリマーは、金属触媒を用いなくても製造することができるので、有害な金属を全く含まないフォトレジスト組成物、及び該組成物を硬化して得られる樹脂組成物を得ることができる。
【0060】
本発明のフォトレジスト組成物中に含まれるポリマーの重量平均分子量(Mw)は、通常1×10〜4×10程度、好ましくは1×10〜1×10程度である。また、該ポリマーの分散度(Mw/Mn)は、通常1.00〜3.00程度、好ましくは1.10〜1.50程度である。本発明におけるポリマーの重量平均分子量及び分散度の測定方法は、実施例に記載の方法により測定した値である。
【0061】
フォトレジスト組成物用溶媒
本発明のフォトレジスト組成物は、前記のようにして得られたポリマーとフォトレジスト組成物用溶媒(以下、「レジスト用溶媒」ということがある)とを混合することにより得られる。
【0062】
レジスト用溶媒としては、前記ポリマーを均一に溶解し、ポリマー、基板等の各成分と反応しないものが用いられる。
【0063】
レジスト用溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール等のアルコール類;テトラヒドロフラン等のエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート等のエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のジエチレングリコール類;プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類;プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテートプロピレングリコールブチルエーテルアセテート、等のプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類;プロピレングリコールメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールエチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールプロピルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールブチルエーテルプロピオネート等のプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン等のケトン類;及び酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、ヒドロキシ酢酸メチル、ヒドロキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、3-ヒドロキシプロピオン酸メチル、3-ヒドロキシプロピオン酸エチル、3-ヒドロキシプロピオン酸プロチル、3-ヒドロキシプロピオン酸ブチル、2-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸メチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸プロピル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、エトキシ酢酸プロピル、エトキシ酢酸ブチル、プロポキシ酢酸メチル、プロポキシ酢酸エチル、プロポキシ酢酸プロピル、プロポキシ酢酸ブチル、ブトキシ酢酸メチル、ブトキシ酢酸エチル、ブトキシ酢酸プロピル、ブトキシ酢酸ブチル、2-メトキシプロピオン酸メチル、2-メトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシプロピオン酸プロピル、2-メトキシプロピオン酸ブチル、2-エトキシプロピオン酸メチル、2-エトキシプロピオン酸エチル、2-エトキシプロピオン酸プロピル、2-エトキシプロピオン酸ブチル、2-ブトキシプロピオン酸メチル、2-ブトキシプロピオン酸エチル、2-ブトキシプロピオン酸プロピル、2-ブトキシプロピオン酸ブチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸プロピル、3-メトキシプロピオン酸ブチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸プロピル、3-エトキシプロピオン酸ブチル、3-プロポキシプロピオン酸メチル、3-プロポキシプロピオン酸エチル、3-プロポキシプロピオン酸プロピル、3-プロポキシプロピオン酸ブチル、3-ブトキシプロピオン酸メチル、3-ブトキシプロピオン酸エチル、3-ブトキシプロピオン酸プロピル、3-ブトキシプロピオン酸ブチル等のエステル類が挙げられる。これらの中でも、溶解性、塗膜の形成のしやすさから、グリコールエーテル類、エチレングリコールアルキルエーテルアセテート類、エステル類及びジエチレングリコール類が好ましく用いられる。レジスト用溶媒は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
【0064】
さらに、レジスト用溶媒は、前記溶媒とともに高沸点溶媒を併用してもよい。併用できる高沸点溶媒としては、例えば、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルホルムアニリド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アセトニルアセトン、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1-オクタノール、1-ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ-ブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、フェニルセロソルブアセテート等が挙げられる。これら高沸点溶媒は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
【0065】
レジスト用溶媒の使用量は、ポリマー100重量部に対して、通常5〜9900重量部程度、好ましくは5〜900重量部程度、より好ましくは11〜566重量部程度である。
【0066】
レジスト用溶媒の正確な使用量は、所望の膜厚によって決まる。より少ない量の溶媒を含有する組成物はより高い固形分濃度をもたらし、厚膜を調製するのに有用である。一方、より多量の溶媒を含有する組成物は固形分含量を減少させ、このような組成物は薄膜を調製するのに有用である。
【0067】
フォトレジストパターンの形成方法
本発明のフォトレジストパターンを形成する方法は、
(1)前記フォトレジスト組成物を基板に塗布する工程、
(2)フォトレジスト組成物で被覆した基板を加熱することにより前記レジスト用溶媒の大部分を蒸発させて、基板上にポリマーの膜を形成する工程、
(3)ポリマーの膜を形成した基板にマスクを通して活性線を照射する工程、
(4)現像液により画像を現像して、基板上にマスクのレリーフ画像を形成する工程
を含むことを特徴とする。以下、工程(1)〜(4)について詳述する。
【0068】
工程(1)は、前記フォトレジスト組成物を下地基板表面に塗布する工程である。フォトレジスト組成物の塗布方法としては、例えば、スプレー法、ロールコート法、回転塗布法等の各種公知の方法を採用することができる。
【0069】
フォトレジスト組成物の塗布量は、フォトレジスト組成物中の各成分の種類、配合割合、目的とするレジスト相の厚み等によっても異なるが、通常0.1〜10ml程度、好ましくは2〜5ml程度である。
【0070】
基板としては、ポリカーボネート、ポリエステル等の有機フィルム(プラスチック)、シリコン、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、アルミナ、ガラス、ガラス−セラミックス、ヒ化ガリウム、リン化インジウム、銅、アルミニウム、ニッケル、鉄、鋼、銅−シリコン合金、インジウム−スズ酸化物被覆ガラス、金属、半導体、及び絶縁材料のパターニング領域を含有する任意の基板等が含まれるが、それらに限定されない。必要に応じて、フォトレジスト組成物を塗布する前に、基板に吸収された湿分を除去するために基板上でベークステップを実施してもよい。
【0071】
工程(2)は、工程(1)においてフォトレジスト組成物で被覆した基板を加熱することにより前記レジスト用溶媒の大部分を蒸発させて、基板上にポリマーの膜を形成する工程である。溶媒は、プリベーグ等により除去することができる。プリベーグの条件は、フォトレジスト組成物中の各成分の種類、配合割合等によっても異なるが、通常90〜150℃で1〜180分間程度である。
【0072】
工程(2)で形成されるポリマーの膜の厚みは、通常1μm〜2000μm程度、好ましくは50μm〜100μm程度である。
【0073】
工程(3)は、ポリマーの膜を形成した基板に所定パターンマスクを通して活性線を照射する工程である。活性線は、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等が包含され、これらの中でも紫外線が好ましい。
【0074】
例えば、紫外線(高圧水銀灯、光強度30mW/cm2)を使用する場合は、通常10分間以上、好ましくは30〜60分間程度照射すればよい。
【0075】
工程(4)は、現像液により画像を現像して、基板上にマスクのレリーフ画像を形成する工程である。工程(3)における活性線の照射により、ポリマーの膜が硬化し、樹脂組成物が得られる。硬化した以外の部分(マスクで覆われた不要な部分)は、工程(4)で現像液に溶解し、樹脂組成物のみが残り、マスクのレリーフ画像(所定パターン)が形成される。
【0076】
現像方法は、液盛り法、ディッピング法、シャワー法等のいずれでもよく、現像時間は通常180〜600秒間程度である。
【0077】
現像液としては、酸性水溶液を用いる。酸性水溶液の作製に用いる酸及び酸塩の種類は、特に制限は無く、無機酸、無機酸塩、有機酸、有機酸塩のいずれも使用できる。
【0078】
無機酸、無機酸塩としては、例えば、フッ酸、フッ酸塩、塩酸、塩酸塩、次亜塩素酸、次亜塩素酸塩、塩素酸、塩素酸塩、過塩素酸、過塩素酸塩、ヨウ化水素酸、ヨウ化水素酸塩、次亜ヨウ素酸、次亜ヨウ素酸塩、ヨウ素酸、ヨウ素酸塩、過ヨウ素酸、過ヨウ素酸塩、臭化水素酸、臭化水素酸塩、次亜臭素酸、次亜臭素酸塩、臭素酸、臭素酸塩、過臭素酸、過臭素酸塩、硫酸、硫酸塩、亜硫酸、亜硫酸塩、過硫酸、過硫酸塩、硝酸、硝酸塩、亜硝酸、亜硝酸塩、リン酸、リン酸塩、亜リン酸、亜リン酸塩、次亜リン酸、次亜燐酸塩、炭酸、炭酸塩等が挙げられる。
【0079】
また、有機酸、有機酸塩としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、トリクロロ酢酸等のカルボン酸、シュウ酸、クエン酸、マロン酸、リンゴ酸、グリコール酸、マレイン酸、フタル酸、フマル酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、グルタミン酸等のポリカルボン酸、フェノール、サリチル酸等のフェノール類、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸等のスルホン酸類、これらの酸の塩が挙げられる。
【0080】
これらの無機酸、無機酸塩、有機酸、有機酸塩は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
【0081】
現像液に使用される無機酸、無機酸塩、有機酸、有機酸塩の中でも、リン酸、酢酸が好ましく、リン酸が特に好ましい。
【0082】
現像液(酸性水溶液)に含まれる水の割合は、水、酸及び/又は酸塩の合計体積の70〜99体積%程度、好ましくは80〜99体積%程度、より好ましくは90〜99体積%程度である。現像液に含まれる酸及び/又は酸塩の割合は、水、酸及び/又は酸塩の合計体積の1〜30体積%程度、好ましくは1〜20体積%程度、より好ましくは1〜10体積%程度である。
【0083】
また、上記酸性水溶液にメタノール、エタノール、テトラヒドロフラン等の水溶性有機溶媒及び/又は界面活性剤を適当量添加した酸性水溶液を現像液として使用することもできる。
【0084】
水溶性有機溶媒及び/又は界面活性剤を添加する場合、水の割合は、水、酸及び/又は酸塩並びに水溶性有機溶媒及び/又は界面活性剤の合計体積の70〜99体積%程度、好ましくは80〜99体積%程度、より好ましくは90〜99体積%程度である。酸及び/又は酸塩の割合は、水、酸及び/又は酸塩並びに水溶性有機溶媒及び/又は界面活性剤の合計体積の0.1〜15体積%程度、好ましくは0.5〜10体積%程度、より好ましくは0.9〜5体積%程度である。水溶性有機溶媒及び/又は界面活性剤の割合は、水、酸及び/又は酸塩並びに水溶性有機溶媒及び/又は界面活性剤の合計体積の0.01〜10体積%程度、好ましくは0.05〜5体積%程度、より好ましくは0.1〜2体積%程度である。
【0085】
現像液としては、水、リン酸及びテトラヒドロフランの混合溶媒が特に好ましい。該混合溶媒中の水の割合は、通常、水、リン酸及びテトラヒドロフランの合計体積の70〜99体積%程度、好ましくは80〜99体積%程度、より好ましくは90〜99体積%程度である。リン酸の割合は、水、リン酸及びテトラヒドロフランの合計体積の0.1〜15体積%程度、好ましくは0.5〜10体積%程度、より好ましくは0.9〜5体積%程度である。テトラヒドロフランの割合は、水、リン酸及びテトラヒドロフランの合計体積の0.01〜10体積%程度、好ましくは0.05〜5体積%程度、より好ましくは0.1〜2体積%程度である。
【0086】
本発明のフォトレジスト組成物(ポリマー)を硬化して得られる樹脂組成物は、上記のような酸性水溶液で現像できるので、有機フィルム(プラスチック)等の有機溶媒に可溶性の基板にも適用することができる。
【0087】
工程(4)の現像工程によりフォトレジストパターンを形成した後、流水洗浄を30〜90秒間行い、さらに圧縮空気や圧縮窒素で風乾させることによって、剥離可能なパターン化樹脂組成物が形成される。
【0088】
現像によって得られるパターン化樹脂組成物の画像アスペクト比(レジストパターンの高さ対横幅比)は、通常1〜100程度、好ましくは1〜5程度である。
【0089】
パターン形成後、パターン化樹脂組成物で覆われていない部分(基板)を処理した後、基板上に残存する樹脂組成物のパターン(露光部分)を剥離してフォトリソグラフィーを形成することができる。
【0090】
パターン化樹脂組成物を剥離する前の基板への処理としては、例えば、金属めっき処理、エッチング処理等が挙げられる。
【0091】
金属めっき処理としては、例えば、無電解めっき法、電解めっき法のいずれも採用できる。めっき処理によって析出させる金属皮膜は、特に限定されないが、例えば、銅皮膜、ニッケル皮膜、パラジウム皮膜、スズ皮膜、タングステン皮膜、コバルト皮膜、及びこれらの合金膜等が挙げられ、これらの中でも、ニッケル皮膜が好ましい。
【0092】
無電解めっき処理を行う場合、無電解めっき液としては、従来公知の自己触媒型の無電解めっき液を使用すればよいが、例えば、次亜リン酸ナトリウム等を還元剤とする無電解ニッケル-リンめっき液、ジメチルアミンボランを還元剤とする無電解ニッケル-ホウ素めっき液、次亜リン酸アンモニウム、次亜リン酸、水素化硼素アンモニウム、ヒドラジン、ホルマリン等を還元剤とする無電解銅めっき液、無電解パラジウムめっき液、次亜リン酸ナトリウムを還元剤とする無電解パラジウム-リンめっき液、無電解金めっき液、無電解銀めっき液、次亜リン酸ナトリウムを還元剤とする無電解ニッケル-コバルト-リンめっき液等の無電解めっき液を用いることができる。
【0093】
金属皮膜層の厚み(合計厚み)は、パターン化樹脂組成物の厚みによって異なり、通常、0.05μm〜5μm程度、好ましくは0.05μm〜3μm程度、より好ましくは0.1μm〜1μm程度である。
【0094】
また、例えば、金属皮膜を有する基板上にレジストパターンを形成した場合、開口部を利用して、金属皮膜をエッチング処理することにより、不必要な金属皮膜を除去し、次に、レジスト膜を除去することにより、所望の金属パターンを形成することもできる。
【0095】
エッチング処理は、湿式エッチング処理又は乾式エッチング処理の何れの方法でもよい。
【0096】
湿式エッチング処理による金属パターンの形成は、加熱した硝酸・塩化第二鉄混合水溶液に浸漬することにより、不必要なニッケル膜が除去できる。硝酸・塩化第二鉄混合水溶液中の硝酸濃度は、通常、5〜30%程度、好ましくは10〜20%程度であり、塩化第二鉄濃度は、通常、1〜20%程度、好ましくは3〜10%程度である。
【0097】
湿式エッチング処理によって金属パターンを形成する場合、浸漬温度は、通常、40〜80℃程度、好ましくは50〜70℃程度、浸漬時間は、通常、10秒〜5分間程度、好ましくは30秒〜2分間程度とすることが好ましい。
【0098】
乾式エッチング処理によって金属パターンを形成する場合は、開口部からアルゴンプラズマを金属皮膜に当てることにより不必要な金属皮膜を除去すればよい。
【0099】
基板上に残存する樹脂組成物のパターンを剥離する方法としては、基板を室温〜50℃にて攪拌中の剥離液に1〜120分間浸漬する方法が挙げられる。
【0100】
剥離液としては、酸性水溶液を用いるが、酸及び/又は酸塩に特に制限は無く、無機酸、無機酸塩、有機酸、有機酸塩のいずれも使用できる。
【0101】
無機酸、無機酸塩としては、例えば、フッ酸、フッ酸塩、塩酸、塩酸塩、次亜塩素酸、次亜塩素酸塩、塩素酸、塩素酸塩、過塩素酸、過塩素酸塩、ヨウ化水素酸、ヨウ化水素酸塩、次亜ヨウ素酸、次亜ヨウ素酸塩、ヨウ素酸、ヨウ素酸塩、過ヨウ素酸、過ヨウ素酸塩、臭化水素酸、臭化水素酸塩、次亜臭素酸、次亜臭素酸塩、臭素酸、臭素酸塩、過臭素酸、過臭素酸塩、硫酸、硫酸塩、亜硫酸、亜硫酸塩、過硫酸、過硫酸塩、硝酸、硝酸塩、亜硝酸、亜硝酸塩、リン酸、リン酸塩、亜リン酸、亜リン酸塩、次亜リン酸、次亜燐酸塩、炭酸、炭酸塩等が挙げられる。
【0102】
また有機酸、有機酸塩をとしては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、トリクロロ酢酸等のカルボン酸、シュウ酸、クエン酸、マロン酸、リンゴ酸、グリコール酸、マレイン酸、フタル酸、フマル酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、グルタミン酸等のポリカルボン酸、フェノール、サリチル酸等のフェノール類、メタンスルホン酸、スルファミン酸、トルエンスルホン酸等のスルホン酸類、これらの酸の塩が挙げられる。
【0103】
剥離液に使用されるこれら無機酸、無機酸塩、有機酸、有機酸塩の中でも、酢酸、燐酸が好ましく、酢酸が特に好ましい。
【0104】
剥離液(酸性水溶液)に含まれる水の割合は、水、酸及び/又は酸塩の合計体積の1〜99体積%程度、好ましくは80〜95体積%程度、より好ましくは90〜95体積%程度である。剥離液に含まれる酸及び/又は酸塩の割合は、水、酸及び/又は酸塩の合計体積の1〜99体積%程度、好ましくは5〜20体積%程度、より好ましくは5〜10体積%程度である。
【0105】
剥離液は、単独で使用しても良いし、2種類以上の混合物として使用しても良い。
【0106】
本発明においては、現像液、剥離液共に、酸性水溶液を使用することができるので、有機フィルム(プラスチック)等の有機溶媒に可溶性の基板上にフォトレジストパターンを形成する際に好適である。また、酸性水溶液により現像及び剥離工程を行うことができるので、エステル系の透明樹脂表面が加水分解されることがなく、基板及び樹脂組成物共に濁りのない透明なフォトレジストパターン形成物を得ることができる。
【0107】
必要に応じて、前記工程(4)の後に、(5)加熱することにより前記現像したレリーフ画像を架橋させる工程を含んでいてもよい。加熱することにより前記現像したレリーフ画像をさらに架橋させ、パターン化樹脂組成物をより完全に硬化させることができる場合がある。具体的には、レリーフ画像についてポストベークを実施して、より高い変換度まで架橋反応を進ませる。架橋反応は、例えば、ホットプレート、対流オーブン等の加熱設備を使用することにより容易に行うことができる。
【0108】
以上の方法により、パターン化樹脂組成物が得られ、基板にフォトレジストパターンを形成することができる。
【0109】
本発明のパターン化樹脂組成物は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)及びマイクロマシン部品を含めた製造物品におけるレジスト型として使用できる。例えば、それは日本国特開2000−343463号公報に開示されているようなマイクロマシン部品;日本国特開2001−10068号公報に開示されているようなインクジェットヘッド用オフィス部品;日本国特開2001−71299号公報に開示されているような磁気アクチュエータ(MEMS)部品;日本国特開2001−157855号公報に開示されているような毛管ゲル電気泳動用マイクロチップ(μ−TAS);並びに生物学的MEMデバイス向けマイクロ流体チャンネル及び細胞成長プラットフォーム、マイクロ反応器部品、誘電体層、絶縁層、及び樹脂基板の製造に使用することができる。
【0110】
本発明のフォトレジスト組成物を塗布し、画像形成し、現像によって得られたパターン化樹脂組成物は、米国特許公報第2003/0059344号に開示されているような生物学的インキ印刷向け高密度エリアアレイ印刷板の製作、米国特許第6652878号及び第6670129号に開示されているような細胞トランスフェクションプレート及びトランスフェクション装置の製作、反応性イオンエッチマスクを形成するのに使用できる。
【0111】
本発明による組成物は、生物学的用途として、米国特許第6576478号及び第6682942号において教示されるような生体分子活性のパラレル生体内スクリーニング用デバイスにおける複数のマイクロ流体チャンネルを製作するのに使用できる。
【0112】
MEMSの分野において、本発明のパターン化樹脂組成物は、米国特許第6506989号に教示されるような微小パワースイッチングデバイス;米国特許第6624730号に教示されるようなマイクロリレーデバイス;米国特許第6663615号に教示されるような医薬送達デバイス及びセンサー;米国特許第6582890号において記述されるような多層レリーフ構造体;並びに米国特許第6674350号において記述されるような電磁アクチュエータの製作において使用できる。
【0113】
さらに、センサーの領域では、本発明のフォトレジスト組成物は、例えば米国特許第6506313号に教示されるような超小型光ファイバー圧力変換器の製作において、又米国特許第6219140号に教示されるような原子間力顕微鏡(AFM)における用途向けカンチレバーチップの製作に使用できる。
【0114】
本発明のパターン化樹脂組成物は、米国特許第6544902号に教示されるような半導体ウェハ及び特異化デバイス上への保護コーティング形成に関連した電子パッケージ用途において使用できる。
【0115】
また、例えば、米国特許第5859655号、第6193359号、第5969736号、第6062681号、第6419346号、第6447102号、第6305790号、及び第6375313号等には、インクジェットプリンターカートリッジのプリントヘッド部品の製作におけるエポキシ樹脂含有フォトレジストの有用性が開示されており、本発明のフォトレジスト組成物は、これらの用途にも好適に使用できる。
【0116】
本発明のフォトレジスト組成物は、基板接合接着剤としても使用できる。すなわち、熱及び圧力の適切な条件下で2つの基板の間に接着性結合が形成されるように、本発明のフォトレジスト組成物で被覆した基板を第2の基板と接触させる接着剤としても使用できる。使用する熱及び圧力の条件に応じて、この接着性接合は一時的、又は永久的のいずれかとしてよい。この使用において、一時的な接着性接合は、接合させた基板を溶媒で処理することにより破壊することができる接着性接合であるが、永久的接合は、溶媒処理により弱められない接着性結合である。
【発明の効果】
【0117】
本発明のフォトレジスト組成物は、優れた画像形成特性を有し、良好な画像解像度、熱安定性、耐薬品性を有し、同時に接着性、層間剥離、亀裂、クレイジング、応力、及び柔軟性特性に関する性能に優れている。また、本発明のフォトレジスト組成物の合成には金属触媒を使用する必要がなく、さらにポリマー及びポリマーを硬化して得られる樹脂組成物は、水系溶媒(酸性水溶液)で現像、剥離を行うことができるので、基板が有機フィルム(プラスチック)等の有機溶媒に溶解するものに対しても適用することができる。さらに、酸性水溶液により現像及び剥離工程を行うことができるので、エステル系の透明樹脂表面が加水分解されることがなく、基板及び樹脂組成物共に濁りのない透明なフォトレジストパターン形成物を得ることができる。該樹脂組成物は、アルカリ、酸に対する優れた耐薬品性を有し、且つ良好な熱安定性性質を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0118】
[実施例]
以下に、ポリマーの合成例、フォトレジスト組成物の製造例、試験例を挙げて、本発明を一層明らかにするが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0119】
ポリマーの合成例1〜7
窒素気流下、3-メタクリルアミド-N,N-ジメチルプロピルアミン(下記表1の成分A)、メタクリル酸グリシジル(下記表1の成分B)、2-メチル-アクリル酸-4-(3-フェニルアクリロイル)-フェニルエステル(下記表1の成分C)を表1に示す量、1,4-ジオキサン200mlを4つ口フラスコに入れ、70℃に加熱した。これに、重合開始剤2,2’ -アゾビス-(2,4-ジメチルバレロニトリル)20mmolを徐々に滴下して添加した。滴下終了後、さらに70℃で8時間反応させ、成分A,B,Cの共重合物反応液を得た。表1の成分A、B及びCの反応式を下記に示す。
【0120】
【化4】

【0121】
[式中、a、b及びcは、それぞれ表1の成分C、B及びAの割合を示し、各繰り返し単位はこの順に限られず、ブロックでもよくランダムでもよい。]
得られた反応液を1000mlのメタノールに展開し、減圧濃縮にて1,4-ジオキサン及びメタノールを除去し、黄色重合体を得た。GPC測定から標準ポリスチレン換算にて得られた重合体の重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を算出した。結果を表1に示す。
【0122】
【表1】

【0123】
ポリマーの合成例8〜16
窒素気流下、メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル(表2の成分A)、メタクリル酸グリシジル(表2の成分B)、2-メチル-アクリル酸-4-(3-フェニルアクリロイル)-フェニルエステル(表2の成分C)を表2に示す量を入れ、1,4-ジオキサン200mlを4つ口フラスコに入れ、70℃に加熱した。これに、重合開始剤2,2’-アゾビス-(2,4-ジメチルバレロニトリル)を20mmolを徐々に滴下して添加した。滴下終了後、さらに70℃で8時間反応させ、成分A,B,Cの共重合物反応液を得た。表2の成分A、B及びCの反応式を下記に示す。
【0124】
【化5】

【0125】
[式中、d、e及びfは、それぞれ表2の成分C、B及びAの割合を示し、各繰り返し単位はこの順に限られず、ブロックでもよくランダムでもよい。]
得られた反応液を1000mlのメタノールに展開し、減圧濃縮にて1,4-ジオキサン及びメタノールを除去し、黄色重合体を得た。GPC測定から標準ポリスチレン換算にて得られた重合体の重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を算出した。各実施例及び結果を表2に示す。また、得られた重合物(ポリマー12)のGPC測定結果を図1に、赤外吸収スペクトルを図2に、NMRチャートを図3及び図4に、感度曲線を図5に示す。
【0126】
【表2】

【0127】
比較例1〜17及び実施例1〜11(フォトレジスト組成物の作製及び現像評価)
前記ポリマー1〜16をそれぞれ乳酸エチルに溶解させて固形分濃度40質量%溶液を調製し、これを0.2μmのポリエチレンフィルターでろ過してネガ型フォトレジスト組成物を調製した。
【0128】
無電解Niメッキ処理を表面に施したポリカーボネート基板上に各ネガ型レジスト溶液をバーコーター(#40)にて塗布し、100℃で2時間乾燥を行い、30μmのレジスト膜を形成させた。
【0129】
このレジスト膜に対し、直径1mmのマスクパターンを通して両面マスクアライナー((株)ユニオン光学社製PEM−800)で30分間露光(高圧水銀灯で全波長;出力は光強度30mW/cm2)し、露光後、表3に示す現像液を用いて20℃で現像を行い、30秒間純水でリンスした後、20℃にて乾燥してレジストパターンを得た。結果を表3に示す。
【0130】
【表3】

【0131】
実施例12〜21(レジストの剥離評価試験例)
パターニングが特に良好であったポリマー12を用いて、前記実施例の方法によりレジストパターンを10個作成し、それぞれ、室温にて下記表4に記載の剥離液に浸漬し、剥離、溶解の様子を調べた。その結果を表4に示す。
【0132】
【表4】

【産業上の利用可能性】
【0133】
評価試験結果から明らかなように、本発明のフォトレジスト組成物は、有機フィルム(プラスチック)基板上で優れたパターニング性能を有する。また、現像液、剥離液ともに、水系溶媒であり、従来のフォトレジストにはなかった優れた性能を有する。さらに、酸性水溶液により現像及び剥離工程を行うことができるので、エステル系の透明樹脂表面が加水分解されることがなく、基板及び樹脂組成物共に濁りのない透明なフォトレジストパターン形成物を得ることができる。そのため、電鋳技術を利用して作製されるMEMS及びマイクロマシン向けの構造用材料、マイクロ反応器及びμ−TAS向け、インクジェットプリンターヘッド向け厚膜フォトレジストに使用することができる。本発明は、上記においてその特定の実施形態を参照して記述しているが、本明細書において開示した本発明の概念から逸脱せずに、多くの変更、修正及び変形を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】合成例12で得られたポリマー12のGPC測定結果
【図2】合成例12で得られたポリマー12の赤外吸収スペクトル
【図3】合成例12で得られたポリマー12のNMRチャート(低磁場側)
【図4】合成例12で得られたポリマー12のNMRチャート(高磁場側)
【図5】合成例12で得られたポリマー12の感度曲線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン性不飽和二重結合を有する重合性水溶性化合物A、エポキシ基含有不飽和化合物B及び下記一般式(1)
【化1】

[式中、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基、R1は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、炭素数1〜4のN,N-ジアルキルアミノ基、アジド基又はニトロ基である]
で示される化合物Cを重合して得られるポリマー、並びに溶媒を含むフォトレジスト組成物であって、モノマー成分の合計量中、化合物Aの割合が0〜90重量%、化合物Bの割合が0〜50重量%及び化合物Cの割合が15〜100重量%であるフォトレジスト組成物。
【請求項2】
モノマー成分の合計量中、前記化合物Aの割合が10〜75重量%、化合物Bの割合が0〜40重量%及び化合物Cの割合が25〜60重量%である請求項1に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項3】
エチレン性不飽和二重結合を有する重合性水溶性化合物Aが、4’-オキシカルコンである請求項1又は2に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項4】
エポキシ基含有不飽和化合物Bが、メタクリル酸グリシジルである請求項1〜3のいずれかに記載のフォトレジスト組成物。
【請求項5】
ポリマーの重量平均分子量が1×10〜4×10である請求項1〜4のいずれかに記載のフォトレジスト組成物。
【請求項6】
溶媒が炭化水素、ハロゲン化炭化水素、ニトロ化合物、ニトリル、エーテル、ケトン、エステル、カーボネートからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜5のいずれかに記載のフォトレジスト組成物。
【請求項7】
ポリマー100重量部に対して溶媒5〜9900重量部を含む請求項1〜6のいずれかに記載のフォトレジスト組成物。
【請求項8】
フォトレジストパターンを形成する方法であって、
(1)請求項1〜7のいずれかに記載のフォトレジスト組成物を基板に塗布する工程、
(2)フォトレジスト組成物で被覆した基板を加熱することにより溶媒の大部分を蒸発させて、基板上にポリマーの膜を形成する工程、
(3)ポリマーの膜を形成した基板にマスクを通して活性線を照射する工程、
(4)現像液により画像を現像して、基板上にマスクのレリーフ画像を形成する工程
を含む方法。
【請求項9】
活性線が、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線又はX線である請求項8に記載の方法。
【請求項10】
現像液が酸性水溶液である請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
前記工程(4)の後に、(5)加熱することにより前記現像したレリーフ画像を架橋させる工程を含む請求項8〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
画像アスペクト比が1〜100である、請求項8〜11のいずれかに記載の方法により作製した剥離可能なパターン化樹脂組成物。
【請求項13】
剥離可能なパターン化樹脂組成物が、MEMS又はマイクロマシン部品の製造において使用されるものである請求項12に記載のパターン化樹脂組成物。
【請求項14】
請求項8〜11のいずれかに記載の方法によりパターンを形成した後、酸性水溶液でパターン化樹脂組成物を剥離する工程を含むフォトリソグラフィーの形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−122274(P2010−122274A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−293262(P2008−293262)
【出願日】平成20年11月17日(2008.11.17)
【出願人】(000205627)大阪府 (238)
【出願人】(591134937)株式会社三宝化学研究所 (7)
【Fターム(参考)】