説明

フォークリフト

【課題】車体の地上高さや駆動輪の輪重等を簡単に調整できるようにする。
【解決手段】駆動輪10を上下に揺動するためのドライブシリンダ11と、補助輪20を上下に揺動するためのキャスタシリンダ21と、ドライブシリンダ11の第1室とキャスタシリンダ21の第1室とを接続する第1管路31と、ドライブシリンダ11の第2室とキャスタシリンダ21の第2室とを接続する第2管路32と、作動油ポンプ81と制御弁73,74,75との間を第1管路31に接続する第3管路91と、第3管路91を開閉する切換バルブ90とを備え、制御弁73,74,75は、アンロード状態のときに絞り回路が構成されるようになっており、センサー94の検出結果に基づいて、制御弁73,74,75がアンロード状態のときに、作動油ポンプ81を駆動して切換バルブ90を開く調整動作を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォークで荷役を昇降するフォークリフトに関するものである。
【背景技術】
【0002】
フォークリフトは、フォークで荷役を昇降するものであって、図6の通り、車体後方に駆動輪10と補助輪20とを備える。駆動輪10と補助輪20とは車体左右の両側に設けられており、駆動輪10は、走行モータ15及び操舵モータ18で車体6の走行と操舵を行い、補助輪20は、駆動輪10に追従して補助する。そして、駆動輪10と補助輪20とは、機械式のリンク機構8で連結されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
リンク機構8は、第1から第4のリンク部81〜84を有しており、各リンク部81〜84で駆動輪10と補助輪20とを連結する。フォークリフトが必要な駆動力を発揮するために、各リンク部81〜84によって、駆動輪10及び補助輪20におけるそれぞれの荷重が変化するようになっている。例えば走行時に路面が平滑でない場合に、補助輪20に上向きの負荷がかかると、駆動輪10に下向きの負荷がかかり、駆動輪10に上向きの負荷がかかると、補助輪20に下向きの負荷がかかる。また、リンク機構8は、スプリング等からなる第1及び第2のサスペンション部85,86を有しており、駆動輪10及び補助輪20の振動を吸収して輪圧を調整する。
【0004】
ところで、走行中等に車体6が路面と接触しないように、車体6と路面との間の地上高Hを所定距離だけ確保する必要がある。しかし、駆動輪10の磨耗等によって、車体6が下がって路面と接触する場合がある。また、上りスロープを走行する際に、駆動輪10の輪重が不足すると、スリップして適切な走行をできないことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−45395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、上記した問題点に鑑みて、車体の地上高さや駆動輪の輪重等を簡単な構成で調整できるフォークリフトを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するために、本発明に係るフォークリフトは、
フォークを操作するためのフォークシリンダと、フォークシリンダを制御する制御弁と、フォークシリンダに作動油を供給する作動油ポンプとを備え、
駆動輪を上下に揺動するためのドライブシリンダと、補助輪を上下に揺動するためのキャスタシリンダと、ドライブシリンダの第1室とキャスタシリンダの第1室とを接続する第1管路と、ドライブシリンダの第2室とキャスタシリンダの第2室とを接続する第2管路と、作動油ポンプと制御弁との間を第1管路に接続する第3管路と、第3管路を開閉する切換バルブと、車体状態を検出するセンサーとを備え、
制御弁は、アンロード状態のときに絞り回路が構成されるようになっており、
センサーの検出結果に基づいて、制御弁がアンロード状態のときに、作動油ポンプを駆動して切換バルブを開く調整動作を行う。
【0008】
好ましくは、センサーは、車体の地上高を検出する地上高センサーからなり、この検出結果が基準値から外れたときに調整動作を行う。
【0009】
好ましくは、センサーは、駆動輪のスリップ状態を検出するスリップセンサーからなり、この検出結果が基準値から外れたときに調整動作を行う。
【0010】
好ましくは、第1管路を開閉するロックバルブを備え、ロックバルブは、補助輪側に設けられ、調整動作の際にロックバルブを閉じて駆動輪のみを調整する。
【発明の効果】
【0011】
上記の通り、本発明に係るフォークリフトは、駆動輪を上下に揺動するためのドライブシリンダと、補助輪を上下に揺動するためのキャスタシリンダと、ドライブシリンダ及びキャスタシリンダの第1室を接続する第1管路と、ドライブシリンダ及びキャスタシリンダの第2室を接続する第2管路とを備える。これにより、フォークリフトが必要な駆動力を発揮するために、駆動輪と補助輪とがそれぞれ逆方向に上下に揺動する。
【0012】
さらに、フォークリフトは、フォークを操作するための制御弁に作動油ポンプが接続されているが、本発明では作動油ポンプと制御弁との間を第1管路に接続するための第3管路を備える。また、フォークリフトは、第3管路を開閉する切換バルブを備える。そして、制御弁は、アンロード状態(作動油をフォークシリンダに供給せずに作動油タンクに戻す無負荷回路(アンロード回路))のときに、絞り回路が構成されるようになっている。
【0013】
通常時では、切換バルブが第3管路を閉じることで、フォークを操作するための制御弁と、駆動輪及び補助輪を揺動するための管路とを遮断し、作動油ポンプはフォークを操作する制御弁にだけ作動油を供給する。ところが、例えば、車体の地上高が不足しているときには、制御弁をアンロード状態にした状態で、作動油ポンプを駆動すると共に、切換バルブを切り換えて第3管路を開く。これにより、制御弁は絞り回路が構成されるので、作動油ポンプと制御弁との間の作動油が、絞り回路によって高圧化され、そして、作動油が第3管路を通じて低圧の第1管路を流れ、絞り回路を構成するという簡単な構成であるにもかかわらず、ドライブシリンダ及びキャスタシリンダに作動油を供給できる。これにより、ドライブシリンダ及びキャスタシリンダが、駆動輪及び補助輪を下に押して、車体を持ち上げて、必要な地上高を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】リーチ式フォークリフトの外観を示す斜視図。
【図2】フォーク用シリンダを説明するための斜視図。
【図3】フォークリフトの後輪機構を示す概略図。
【図4】第1実施形態におけるフォークリフトを示す油圧回路図。
【図5】第2実施形態におけるフォークリフトを示す油圧回路図。
【図6】従来のフォークリフトの後輪機構を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面に基づいて、本発明に係るフォークリフトについて説明する。
【0016】
図1の通り、リーチ式フォークリフトは、車体6に、前側に延出された左右のストラドルアーム62を備える。リーチ式フォークリフトは、左右のストラドルアーム62に沿って前後に進退可能なキャリッジ64を備える。キャリッジ64には、マスト63が上下方向に立設されている。リーチ式フォークリフトは、マスト63に沿って昇降案内されるリフトブラケット65を備える。リフトブラケット65には左右一対のフォーク66が傾倒可能に支持されている。キャリッジ64には、マスト63に沿ってリフトシリンダ70が立設されており、リフトシリンダ70が伸縮動作することで、リフトブラケット65と共にフォーク66が昇降する。また、リフトブラケット65には、ティルトシリンダ71が設けられ(図2)、ティルトシリンダ71が伸縮動作することで、フォーク66の傾倒がなされる。車体6とキャリッジ64とにわたってリーチシリンダ72が設けられ(図2)、リーチシリンダ72が伸縮動作することで、キャリッジ64の進退がなされる。
【0017】
車体6の左後部は、開閉可能なドアにより閉塞される機器収納室61となっており、この機器収納室61内に後述する作動油タンク80、作動油ポンプ81、モータ82などが搭載されている。車体6の右後部は、後方に開放されて形成された運転席60となっており、機器収納室61の上部から運転席60の前方にかけてトップカバー67により覆われている。このトップカバー67上には、運転席60の左方位置に、操舵をなすためのハンドル68が設けられ、運転席60の前方位置に、フォーク操作やアクセル操作をなすための各種操作レバー69が設けられている。
また、リーチ式フォークリフトは、前方には荷役の荷重が負荷される荷重輪(前輪)30を備え、後方には車体を駆動する駆動輪10、及び補助輪20を備える。
【0018】
図2の通り、キャリッジ64は、左右のサイドプレートと、これらの下縁部を連結するボトムプレートとを備える。キャリッジ64の各サイドプレートの外側に回転自在に支持させたガイドローラ(図示せず)をストラドルアーム62の内側に形成されたコ字形のガイドレールに転接させることで、キャリッジ64がストラドルアーム62に案内されて進退するようになっている。また、キャリッジ64のサイドプレートの前端部にマスト63が固定され、このマスト63の後側のボトムプレート上にリフトシリンダ70が支持されている。
【0019】
図3の通り、リーチ式フォークリフトは、駆動輪10を有するドライブユニット1と、補助輪20を有するキャスタユニット2とを備える。ドライブユニット1は、車体6を走行させるドライブモータ(図示略)と、ドライブモータ等を支持するドライブサポート16とを備える。また、ドライブサポート16は、ドライブモータの動力を駆動輪10に伝達するギアユニット17、駆動輪10を操舵するための操舵モータ(図示略)等を支持する。ドライブユニット1は、ドライブシリンダ11を備える。ドライブシリンダ11は、後述するようにドライブサポート16に接続されている。そして、ドライブシリンダ11の伸縮によって、駆動輪10が上下に揺動する。
【0020】
キャスタユニット2は、補助輪20を支持するキャスタサポート22を備える。キャスタユニット2は、後述するようにキャスタサポート22を押し当てるキャスタシリンダ21を備える。そして、キャスタシリンダ21の伸縮によって、キャスタサポート22を介して補助輪20が上下に揺動する。
【0021】
ドライブシリンダ11は、ピストン部110及びロッド部111を備える。ドライブシリンダ11は、その内部がピストン部110を介して、ピストン部110側の第1室11とロッド部111側の第2室11bとに分けられている。そして、ドライブシリンダ11は、第1室11a及び第2室11bに作動油などの作動流体が収納(充填)されている。同様に、キャスタシリンダ21は、ピストン部210及びロッド部211を備える。キャスタシリンダ21は、その内部がピストン部210を介して、ピストン部210側の第1室21aとロッド部211側の第2室21bとに分けられている。そして、キャスタシリンダ21は、第1室21a及び第2室21bに作動流体が収納(充填)されている。
【0022】
ドライブシリンダ11は、車体6に軸支され、ロッド部111がドライブサポート16に接続されており、ロッド部111の移動によって、駆動輪10が上下に揺動するよう構成されている。また、キャスタシリンダ21は、車体6に固定され、ロッド部211がキャスタサポート22を押し当て、ロッド部211の移動によって、補助輪20が上下に揺動するよう構成されている。
【0023】
ドライブシリンダ11の第1室11aとキャスタシリンダ21の第1室21aとは、第1管路31で接続されている。ドライブシリンダ11の第2室11bとキャスタシリンダ21の第2室21bとは、第2管路32で接続されている。これにより、駆動輪10と補助輪20とがそれぞれ逆方向に上下に揺動する。
【0024】
即ち、例えば、補助輪20に上方向の負荷がかかると、作動流体がキャスタシリンダ21の第1室21aから排出され、第1管路31を通じて、ドライブシリンダ11の第1室11aに供給され、さらに、作動流体がドライブシリンダ11の第2室11bから排出され、第2管路32を通じて、キャスタシリンダ21の第2室21bに供給され、これによって、駆動輪10に下方向の負荷がかかる。同様に、駆動輪10に上方向の負荷がかかると、作動流体がドライブシリンダ11の第1室11aから排出され、第1管路31を通じて、キャスタシリンダ21の第1室21aに供給され、さらに、作動流体がキャスタシリンダ21の第2室21bから排出され、第2管路32を通じて、ドライブシリンダ11の第2室11bに供給され、これによって、補助輪20に下方向の負荷がかかる。
【0025】
また、第1管路31には、ロックバルブ33が設けられている。ロックバルブ33は、作動流体の流れを連通及び遮断に切り換える。これにより、ロックバルブ33のポジションがロック側になることで、ドライブシリンダ11及びキャスタシリンダ21の伸縮が規制され、駆動輪10及び補助輪20の上下揺動を停止できる。例えば、ロックバルブ33と運転室60のキースイッチ(主電源)とを連動させて、キースイッチをオフすると、ロックバルブ33のポジションがロック側になるように制御することで、停止時では揺動しない安定した車体姿勢を保持できる。また、センサー等によってフォークにおける荷役の有無を判別して、荷役が有るときはロックバルブ33をロック側にすることで、安定した車体姿勢で作業できる。
【0026】
[第1実施形態]
第1実施形態について説明する。図4の通り、リーチ式フォークリフトの油圧回路7は、作動油を貯留する作動油タンク80と、作動油タンク80からの作動油を吐出する作動油ポンプ81と、作動油ポンプ81を回転駆動するモータ82とを備える。油圧回路7は、フォークシリンダ70,71,72を制御するための制御弁73,74,75を備える。リフト用制御弁73は、リフトシリンダ70への作動油の給排を制御し、ティルト用制御弁74は、ティルトシリンダ71への作動油の給排を制御し、リーチ用制御弁75は、リーチシリンダ72への作動油の給排を制御する。油圧回路7は、作動油を制御弁73,74,75を介してフォークシリンダ70,71,72へ供給するための管路83を備える。油圧回路7は、作動油をフォークシリンダ70,71,72から制御弁73,74,75を介して排出するための管路84を備える。
【0027】
フォーク66を動作しないとき、制御弁73,74,75は、作動油を各シリンダ70,71,72に供給しないアンロード状態(無負荷回路(アンロード回路))になる。即ち、アンロード状態では、各制御弁73,74,75は、管路83が管路84に通じるポジションとなり(図4)、作動油は、管路83から各制御弁73,74,75を通って、管路84から作動油タンク80へ戻る。アンロード状態のときに、管路83を高圧化するために、リフト用制御弁73は絞り弁73aが配置され、絞り回路が構成される。なお、制御弁73,74,75がアンロード状態のときに絞り回路に構成されればよいので、絞り弁73aは各制御弁73,74,75のいずれかに設ければよい。
【0028】
フォークリフトは、管路83と第1管路31とを接続するための第3管路91を備える。第3管路91には、切換バルブ90が設けられている。切換バルブ90は、作動油の流れを連通及び遮断に切り換える。切換バルブ90のポジションがロック側になることで、作動油タンク80からの作動油が第1管路31に流れないようにできる。通常時では、切換バルブ90はロック側になっており、作動油タンク80からの作動油はフォークシリンダ70,71,72にだけ給排される。
【0029】
フォークリフトは、切換バルブ90及びロックバルブ33を制御するための制御部93を備える。フォークリフトは、車体6と路面との距離(地上高H)を検出するための地上高センサー94(反射型レーザーセンサーなど)を備える。地上高センサー94は、車体6に固定されており、ドライブサポート16との距離Lを計測するようになっている。ドライブサポート16の高さ位置は一定なので、距離Lが小さくなると、車体6が下がっていることが判る。また、地上高センサー94は、路面との距離を直接計測してもよい。
そして、地上高センサー94によって、地上高Hが予め設定した高さ(閾値)より小さいことを認識すると、以下の調整動作を開始する。
【0030】
先ず、制御部93は、制御弁73,74,75がアンロード状態であることを確認して、絞り弁73aによる絞り回路の状態で、作動油ポンプ81を駆動し、切換バルブ90及びロックバルブ33を開く。作動油ポンプ81で供給される作動油は、管路83において絞り弁73aで高圧化されるので、管路91を通じて第1管路31へ供給される。これにより、作動油が、ドライブシリンダ11及びキャスタシリンダ21の第1室11a,21aに供給されるので、路面を押し付ける駆動輪10及び補助輪20の反作用で車体6が持ち上がり、地上高Hを調整できるようになっている。また、ドライブシリンダ11及びキャスタシリンダ21の第2室11b,21bからの余分な作動油が、第2管路32から管路92を通じて、作動油タンク80に戻る。そして、地上高Hが予め設定した高さ範囲内になると、制御部93は、切換バルブ90をロック側に切り換えて第3管路91を閉じて、調整動作が終了する。
【0031】
上記した調整動作は、例えば、メインスイッチをオンにした直後に行われる。メインスイッチをオフにして数時間が経過すると、車体6の重量などによってドライブシリンダ11及びキャスタシリンダ21に内部リークが生じ、ピストン部110,210の隙間から第2室11b,21bの作動油が第1室11a,21aに漏れる。これによって、車体6が数ミリ程度下がって地上高Hが不足することがある。そして、メインスイッチをオンすると、地上高センサー94が距離Lを計測して、地上高Hが不足していると、切換バルブ90及びロックバルブ33を上記したように切り換えて、作動油をドライブシリンダ11及びキャスタシリンダ21に供給する。メインスイッチをオンにした直後に、数秒程度の調整動作を行うが、その間基本的に作業者はフォーク66を操作しないので、制御弁73,74,75はアンロード状態となっている。そして、制御部93が、制御弁73,74,75のアンロード状態を確認すると、油圧ポンプ81を駆動する。ここで、エンジン車の場合は油圧ポンプ81を常に駆動する構造となっているが、バッテリー車の場合は調整動作の間だけ油圧ポンプ81を駆動するよう制御する。また、制御弁73,74,75が電磁式操作弁の場合は、調整動作の間だけ強制的にアンロード状態になるよう制御してもよい。
【0032】
また、上記した実施形態と異なる地上高センサーを設けても良い。
(1)駆動輪10等のタイヤ減りを検出することで、地上高Hを検出すると共に、車体の左右のバランス等も検出するようにしてもよい。この場合、地上高センサー98は、リンク部材12の角度αを検出する(角度センサーなど)。リンク部材12は、一方がドライブサポート16に固定され、他方が車体6に軸支されている。タイヤが減ると角度αは変化するので、角度αが基準範囲から外れると、地上高Hが予め設定した高さ(閾値)より小さいことを認識して、制御部93が、上記した調整動作を開始する。そして、傾斜角度αが予め設定した角度範囲内になると、調整動作が終了する。
(2)また、フォークリフトは、車体6の傾きθを検出するための地上高センサー95(ジャイロセンサーなど)でもよい。駆動輪10のタイヤが減ると、車体6が後方に傾いて地上高Hが不足する。従って、傾斜センサー95によって、傾斜角度θが予め設定した角度(閾値)より大きいことを認識すると、制御部93が、上記した調整動作を開始する。そして、傾斜角度θが予め設定した角度範囲内になると、調整動作が終了する。
【0033】
[第2実施形態]
第2実施形態について説明する。なお、上記した第1実施形態と異なる点を詳細に説明して、同じ点についてはできるだけ省略する。上記した第1実施形態では、ロックバルブ33は、メインスイッチをオフにしたときなどに、ドライブシリンダ11及びキャスタシリンダ21の揺動を抑止して姿勢を安定させるものなので、第1管路31におけるドライブシリンダ11側の管路31aに設けても良く(図4)、また、キャスタシリンダ21側の管路31bに設けても良い。しかし、図5の通り、第2実施形態では、ロックバルブ33は、第1管路31におけるキャスタシリンダ側の管路31bに設けられている。
【0034】
フォークリフトがスロープなどを上る際に、駆動輪10の輪重(輪圧)が不足していると、駆動輪10がスリップすることがある。そのため、スリップセンサー96,97を設けてスリップ状態を検知し、駆動輪10の輪重を調整する。フォークリフトは、荷重輪(前輪)30の回転数を検出するスリップセンサー96(回転センサーなど)を備える。フォークリフトは、駆動輪10を駆動するドライブモータ15を備え、ドライブモータ15の回転数を検出するスリップセンサー97(回転センサーなど)を備える。そして、それぞれのスリップセンサー96,97の検出結果が制御部93に送られ、駆動輪10がスリップしていると、ドライブモータ15の回転数よりも荷重輪30の回転数が小さくなるので、各回転数の差が予め設定した閾値より大きくなると、制御部93は、以下の調整動作を行う。
【0035】
先ず、制御部93は、ロックバルブ33をロック側に切り換える。さらに、制御部93は、制御弁73,74,75がアンロード状態であることを確認して、絞り弁73aによる絞り回路の状態で、作動油ポンプ81を駆動し、切換バルブ90を開く。作動油ポンプ81で供給される作動油は、管路83において絞り弁73aで高圧化するので、管路91を通じて第1管路31へ供給される。また、ロックバルブ33によって、第1管路31のドライブシリンダ側の管路31aだけが開いているので、作動油は、ドライブシリンダ11の第1室11aにだけ供給される。これにより、駆動輪10の路面に押し付ける力が大きくなり、駆動輪10の輪重(輪圧)を大きくできるようになっている。また、ドライブシリンダ11の第2室11bからの余分な作動油が、第2管路32から管路92を通じて、作動油タンク80に戻る。そして、それぞれの回転数の差が予め設定した範囲内になると、制御部93は、切換バルブ90をロック側に切り換えて第3管路91を閉じて、ロックバルブ33を開いて、調整動作が終了する。
【0036】
また、上記した実施形態と異なるスリップセンサーを設けても良い。
(1)荷重輪30と駆動輪10との回転数の差でスリップ状態を検出してもよい。この場合、荷重輪30の回転数を検出するスリップセンサー96(回転センサーなど)と共に、駆動輪10の回転数を検出するスリップセンサー99(回転センサーなど)を備える。そして、それぞれのスリップセンサー96,99の検出結果が制御部93に送られ、駆動輪10がスリップしていると、駆動輪10の回転数が荷重輪30の回転数よりも大きくなるので、各回転数の差が予め設定した閾値より大きくなると、制御部93は、上記した調整動作を行う。
(2)また、コントローラ(不図示)はモータ15へ出力トルクを指示するが、この出力指示と駆動輪10の回転との差でスリップ状態を検出してもよい。この場合、出力指示におけるスリップしないときの駆動輪10の加速や回転数(基準値)を制御部93に予め記憶させ、駆動輪10がスリップすると、駆動輪10の加速等が基準値よりも大きくなるので、制御部93は、上記した調整動作を行う。
なお、第2実施形態においても、第1実施形態と同様に地上高センサー94,95,98を設けることができる。
【符号の説明】
【0037】
1 ドライブユニット
10 駆動輪
11 ドライブシリンダ
11a ドライブシリンダの第1室
11b ドライブシリンダの第2室
2 キャスタユニット
20 補助輪
21 キャスタシリンダ
21a キャスタシリンダの第1室
21b キャスタシリンダの第2室
22 キャスタサポート
31 第1管路
32 第2管路
33 ロックバルブ
6 車体
70,71,72 フォークシリンダ
73,74,75 制御弁
73a 絞り弁
81 作動油ポンプ
91 第3管路
90 切換バルブ
93 制御部
94,95,98 地上高センサー
96,97,99 スリップセンサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォークを操作するためのフォークシリンダと、前記フォークシリンダを制御する制御弁と、前記フォークシリンダに作動油を供給する作動油ポンプとを備えたフォークリフトにおいて、
駆動輪を上下に揺動するためのドライブシリンダと、補助輪を上下に揺動するためのキャスタシリンダと、前記ドライブシリンダの第1室と前記キャスタシリンダの第1室とを接続する第1管路と、前記ドライブシリンダの第2室と前記キャスタシリンダの第2室とを接続する第2管路と、前記作動油ポンプと前記制御弁との間を前記第1管路に接続する第3管路と、前記第3管路を開閉する切換バルブと、車体状態を検出するセンサーとを備え、
前記制御弁は、アンロード状態のときに絞り回路が構成されるようになっており、
前記センサーの検出結果に基づいて、前記制御弁がアンロード状態のときに、前記作動油ポンプを駆動して前記切換バルブを開く調整動作を行うことを特徴とするフォークリフト。
【請求項2】
前記センサーは、前記車体の地上高を検出する地上高センサーからなり、この検出結果が基準値から外れたときに前記調整動作を行うことを特徴とする請求項1に記載のフォークリフト。
【請求項3】
前記センサーは、前記駆動輪のスリップ状態を検出するスリップセンサーからなり、この検出結果が基準値から外れたときに前記調整動作を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のフォークリフト。
【請求項4】
前記第1管路を開閉するロックバルブを備え、前記ロックバルブは、前記補助輪側に設けられ、前記調整動作の際に前記ロックバルブを閉じて前記駆動輪のみを調整することを特徴とする請求項3に記載のフォークリフト。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−240838(P2011−240838A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−115258(P2010−115258)
【出願日】平成22年5月19日(2010.5.19)
【出願人】(000232807)日本輸送機株式会社 (320)
【Fターム(参考)】