説明

ブレーキ装置内に設定可能な終端圧力を再現可能に発生させるための方法および装置

ブレーキ回路の少なくとも1つ部分内に設定可能したがって再現可能な終端圧力を達成させるために、はじめに、弁(18)が閉鎖されているとき、圧力を上昇ないしは低下させるためにポンプ(26)が操作される。第1の所定の目標圧力が到達されたとき、ないしは圧力しきい値が超えられたとき、前記弁(18)は第1の操作により開放位置に移動される。本発明により、ポンプ(26)が遮断されたのちに、前記弁(18)の操作は、設定可能な時間の間、第1の操作から第2の操作への連続的な変化が行われ、この変化において、特に弁(18)にかかっている圧力差を考慮しながら弁(18)が保持位置をとるように、前記弁(18)の操作が修正される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項の上位概念に記載の油圧式または空気式ブレーキ装置の制御方法ないしは装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の技術
自動車用油圧式ブレーキ装置は種々の変更態様において既知である。この場合、このようなブレーキ装置は少なくとも1つのブレーキ回路を有し、ブレーキ回路内に少なくとも1つの圧力媒体供給手段、特に戻しポンプとも呼ばれるポンプが配置されている。さらに、オプションとして、少なくとも1つの他の圧力媒体供給手段特に自給式チャージ・ポンプが設けられ、自給式チャージ・ポンプは吸込配管により圧力媒体貯蔵容器に接続されている。ブレーキ回路への圧力媒体の流入およびそれからの流出は、それぞれの車輪ブレーキ・シリンダへの圧力媒体の流入およびそれからの流出と同様に、圧力媒体の流入および/または流出および/または通過のための遮断装置特に弁を介して制御される。これが例えばドイツ特許公開第19546682号に開示されている。ドイツ特許公開第19548248号に記載のような電気油圧式ブレーキ装置においてもまた原理的にこの装置が使用され、この装置においては、圧力媒体が、ポンプにより、中間に設けられた蓄圧器を介して弁に供給され、ないしは弁から戻される。この場合、圧力媒体は、ドライバのブレーキ希望に対応して、および/または例えばアンチロック装置、駆動滑り制御または走行動特性制御のような介在論理装置の操作信号に対応して入口弁および出口弁を開閉することにより、車輪ブレーキ・シリンダ内に供給ないしは車輪ブレーキ・シリンダから排出される。
【0003】
したがって、上記の原理的装置は、例えば電気油圧式ブレーキ装置において入口弁および出口弁を備えた蓄圧ポンプにより与えられているのと同様に、例えば油圧式ブレーキ装置においては入口弁および出口弁を備えた戻しポンプによりまたはチャージ弁および切換弁を備えたチャージ・ポンプによって与えられている。
【0004】
必要に応じて圧力を上昇ないしは低下させるとき、ポンプ操作が制御されない場合にはこれにより騒音が発生したり、ないしは振動したりすることがあり、これが客室に不快感を与えることがある。このために、圧力上昇ないしは圧力低下が完了したのちにはポンプを遮断するように設計されていてもよい。しかしながら、このような方法においては、ポンプの遮断後においてこのときブレーキ回路内に発生する終端圧力は再現可能(一定)ではないことが欠点である。この原因は、特に、ポンプの惰性回転が、発生負荷、摩擦、回転速度、摩耗または温度のような種々の周囲条件に基づいて変化し、したがって終端圧力に異なる大きさの値を提供することにある。しかしながら、さらに、ブレーキ回路内に存在する弁の切換特性は通常一義的に設定可能ではなく、その理由は、各弁はそこにかかっている圧力に基づいてある程度の公差を有しているからである。
【特許文献1】ドイツ特許公開第19546682号
【特許文献2】ドイツ特許公開第19548248号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、少なくとも1つの切換弁の操作により再現可能な終端圧力を達成することが本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の利点
本発明は油圧式または空気式ブレーキ装置の制御方法および装置を開示する。この場合、ブレーキ装置は少なくとも1つのブレーキ回路を有し、ブレーキ回路の圧力は少なくとも1つの電気操作可能なポンプ・モータにより上昇または低下可能である。さらに、例えば切換弁の形の少なくとも1つの電気操作可能な弁が設けられ、弁はブレーキ回路内の圧力を制御するために使用可能であり且つ無通電に切り換えられたときには開放状態におかれる。
【0007】
ブレーキ回路の少なくとも1つの部分内に設定可能したがって再現可能な終端圧力を達成させるために、はじめに、弁が閉鎖されているとき、圧力を上昇ないしは低下させるためにポンプが操作される。第1の所定の目標圧力が到達されたとき、ないしは圧力しきい値が超えられたとき、前記弁は第1の操作により開放位置に移動される。本発明により、ポンプが遮断されたのちに、設定可能な時間の間、第1の操作から第2の操作への連続的な変化が行われ、この変化において、特に弁にかかっている圧力差を考慮しながら弁が保持位置をとるように、前記弁の操作が修正される。
【0008】
弁のこのような操作により、遮断後のポンプの惰性回転とは無関係に、ブレーキ装置のブレーキ回路内に設定可能したがって再現可能な(一定の)圧力が設定可能である。
本発明の一形態においては、第1の操作がスタート電流によりおよび第2の操作が保持電流により行われるように設計されている。この場合、スタート電流が保持電流より大きいことが適切であり、この場合、逆の操作もまた可能である。
【0009】
弁に(高い)圧力差がかかっている場合、弁に全く圧力差がないかまたはきわめて僅かな圧力差がかかっているときよりも少ない電力消費量を弁は必要とするにすぎないことが有利である。
【0010】
スタート電流、および/または例えばスタート電流が保持電流に連続的に導かれる設定可能な時間を決定するために、ポンプの遮断後におけるポンプの惰性回転が検出される。即ち、例えば1つまたは複数の先行ポンプ・サイクルから、必要なスタート電流ないしは必要な設定可能な時間が推測されてもよい。この場合、ポンプの惰性回転を表わす典型的な変数は、回転速度、発電電圧および操作なしにポンプが停止するまでの時間である。
【0011】
本発明の一変更態様においては、弁の第1の操作から第2の操作への連続変化が、弁により分離されたブレーキ回路内に第2の目標圧力が設定されるように行われる。この場合、第2の目標圧力の関数として、その間に連続変化が行われる時間が設定されることは有利である。
【0012】
本発明の一形態においては、ブレーキ回路内に圧力を達成させるために、第2の操作ないしは保持電流により弁を閉鎖するように設計されている。
ブレーキ回路内の圧力を測定するために、圧力センサまたは圧力評価モデルのいずれが使用されてもよい。この場合、典型的なモデルは、供給容積を評価するために、回転速度、操作および/または操作の間の惰性回転電圧のようなパラメータを使用する。しかしながら、さらに、ブレーキ回路内の圧力を求めるために、弁を通過する容積流量を評価することもまた可能である。
【0013】
他の利点が実施例に関する以下の説明ないしは従属請求項から得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は、2回路マスタ・ブレーキ・シリンダ12を備えた油圧式車両ブレーキ装置10を略図で示し、2回路マスタ・ブレーキ・シリンダ12に、相互に独立の2つのブレーキ回路IおよびIIが接続されている。しかしながら、図1においては、図面を簡単にするために、ブレーキ回路Iのみが示され、この場合、他方のブレーキ回路IIはそれに対応して形成される。しかしながら、同様な対応設備を有する空気式車両ブレーキ装置が、本発明の方法により駆動可能であることを明確に記載しておく。
【0015】
分岐しているマスタ・ブレーキ配管14は、マスタ・ブレーキ・シリンダ12から、ブレーキ回路Iに接続されている2つの車輪ブレーキ15および16に連絡している。この実施例においては、両方の車輪ブレーキ15および16は、付属車両の1つの前車輪と、対角線上で向かい合う1つの後車輪とに付属され、この場合、ブレーキ回路IIは他方の2つの車輪に付属されている。しかしながら、このいわゆるXブレーキ回路分割のほかに、ブレーキ回路の他の各分割もまた考えられる。
【0016】
マスタ・ブレーキ配管14の共通部分内において、マスタ・ブレーキ・シリンダ12とポンプ26との間に切換弁18が配置されている。さらに、マスタ・ブレーキ配管14の分岐部分内に、その基本位置において開放している2つの入口弁20および21が配置され、入口弁20および21はそれぞれ、車輪ブレーキ15および16のいずれかの手前に配置されている。車輪ブレーキ15および16から、1つに集合する戻り配管22が、戻しポンプとも呼ばれる油圧ポンプ26の吸込側に伸長し、戻り配管22内には、両方の車輪ブレーキ15および16の各々に対して、その基本位置において閉鎖されている出口弁24ないしは25が設けられている。さらに、戻り配管22に油圧蓄圧器28が接続され、ブレーキ圧力が低下されるべき場合のために、油圧蓄圧器28は、ポンプ26が遮断され且つ出口弁24ないしは25が開放されているとき、ブレーキ液を車輪ブレーキ15ないしは16から受け取ることができる。オプションとして、油圧ポンプ26の圧力側が、緩衝室30および絞り32を介して、切換弁18と入口弁20および21との間のマスタ・ブレーキ配管14に接続されている。その基本位置において閉鎖されている吸込弁36がその中に配置されている吸込配管34を介して、油圧ポンプ26の吸込側がマスタ・ブレーキ・シリンダ12と接続されている。対応センサ49により、マスタ・ブレーキ・シリンダ12内の圧力が測定可能であり、マスタ・ブレーキ・シリンダ12内の圧力は、ブレーキ・ペダルの操作によるドライバのブレーキ希望に対応している。
【0017】
図示されているブレーキ回路Iおよび図示されていないブレーキ回路IIの、例えば6気筒ポンプの油圧ポンプ26は、別々のポンプ・モータにより駆動可能である。しかしながら、さらに、他の実施例においては、1つの共通の電気ポンプ・モータ38によりポンプを駆動することもまた可能である。切換弁18、入口弁20および21、出口弁24および25並びに高圧切換弁36は、この実施例においては、特にアンチロック制御および駆動滑り制御のために1つの電子式制御装置40により制御可能な電磁弁として設計されている。この制御装置40は、さらに、ポンプ・モータ38の制御もまた行い且つ車輪回転速度センサ42および場合により少なくとも1つの車輪圧力センサ48から信号を受け取り、この場合、センサは、ブレーキ作動における車両車輪のロック傾向を特定するために、または発進時において滑りを特定するために評価されてもよい。さらに、制御装置40はブレーキ・ペダル・センサ(ストップ・ランプ・スイッチ)44の信号を受け取り、この信号により、マスタ・ブレーキ・シリンダ12の操作が特定可能である。
【0018】
図2に、制御ユニット160例えばマイクロ・プロセッサを備えた制御装置100が略図で示され、マイクロ・プロセッサは、ポンプ110の運転の関数として操作信号を切換弁130に提供する。典型的には、制御装置100は図1の制御装置40と同じであるが、制御装置100は、別個に例えば非集中化方式で実行されるように設計されていてもよい。代替態様ないしは追加態様として、制御装置100は、ブレーキ回路内の圧力特性p(t)ないしは容積流量Q(t)に関する情報を評価し且つ切換弁130の操作においてそれを考慮してもよい。圧力特性ないしは容積流量を検出するために、そのために必要なパラメータを提供する手段120が設けられていてもよい。この場合、圧力の検出のために、例えばブレーキ回路内に圧力センサが設けられていてもよく、一方、容積流量の決定のために、ブレーキ装置内の種々の圧力の差の形成が行われてもよい。さらに、ポンプ110ないしは26の運転パラメータから、同様にブレーキ回路内の圧力ないしは圧力特性が推測されてもよいことを注記しておく。切換弁130の操作のために必要な(ポンプおよび弁に固有の)パラメータt並びにI、IおよびIがメモリ140内に記憶されてもよい。これらのパラメータは外部インタフェース150を介して修正可能である。
【0019】
図3a−3eは切換弁130の既知の典型的な操作におけるブレーキ装置の種々の操作パラメータないしは運転パラメータの時間線図を示す。この場合、図3aに、ポンプ110の操作電流I並びに回転速度nが示され、ここで、ポンプは時点tに投入され且つ時点tに再び遮断される。慣性による遅れに基づき、ポンプの回転速度nは投入後においてステップ状に上昇せず、放物線状に上昇し、ある時間オフセットを有してはじめて最大回転速度に到達する。それに対応して、ポンプ内に蓄積されている運動エネルギーは、時点tにおいて操作電流Iを遮断したのちにおいても、油圧媒体によるダンピングがポンプを静止させるまでポンプの運動を継続させる。ポンプのこの惰性回転においてポンプ内に発電電圧が発生され、この発電電圧は検出可能である。図3bは、初期圧力ないしはスタート圧力pから始まるブレーキ回路内の圧力特性p(t)を示す。この場合、時点tにおけるポンプの投入後において、ブレーキ回路内の圧力は、時点tにおいて最大圧力に到達するまで放物線状に上昇する。切換弁の操作IUSVが図3cに示されている。この場合、切換弁は無通電状態において開放されていることから出発される。切換弁の急速な閉鎖を達成させるために、一実施例においては、切換弁は低い電流Iで予通電される。他の実施例においては、この予通電は行われなくてもよい。時点tにおいて切換弁の制御作動がスタートされ、この時点tにおいて、弁は電流Iで操作される。この電流I(>I)により、弁は部分開放状態におかれ、これにより、弁の開度ないしはリフト(図3c参照)は弁を通過する容積流量QUSV(図3d参照)の関数である。図3a−3eの全体を見たときにわかるように、容積流量QUSVはポンプの投入後に放物線状に上昇する。圧力差の関数である開度特性を有する切換弁を使用することにより、大きな容積流量QUSVは切換弁を開放状態に保持する。これにより、切換弁のリフトは、ポンプが遮断される時点tまで、同様に放物線状に上昇する。ポンプが遮断されたのち、達成可能な終端圧力ないしは保持圧力pは特にポンプの惰性回転および切換弁18の開度特性の関数である。ポンプが停止するまでの時間t(ポンプの惰性回転時間)または部分開放状態(制御作動)から閉鎖状態への弁の移行のいずれも、多くの周囲条件(負荷、摩擦、ポンプの回転速度、温度、切換弁を通過する容積流量)に基づいて再現可能ではないので、所定の保持圧力pがブレーキ回路内に設定可能ではない。
【0020】
図3a−3eの時間線図に対応して、図4a−4eに、本発明による方法を使用したときの線図が示されている。ここで、図4aにおけるポンプの切換特性は図3aに示されている切換特性に対応している。従来の切換弁の操作においては保持圧力が所定の値に設定可能ではなかったが、図4bは、本発明の方法により再現可能な終端圧力pが達成可能であることを示している。このために、図4cに記載されているように、tにおいてポンプが投入されたとき、切換弁は、はじめに保持電流Iより大きい設定可能な電流Iで操作される。ポンプが遮断されたのちに、電流Iは、そのときに切換弁が閉鎖されたままである保持電流Iに連続的に戻される。この場合、電流が戻される間の時間tは次に示すようにポンプの惰性回転時間よりも大きくなければならない。
=Δ(t−t)>Δ(t−t
ここで図4dから、ポンプの惰性回転特性が、はじめに時点tまでの間に、容積流量QUSVのみならず、切換弁のリフトHubUSVもまた決定することがわかる。この場合、保持電流Iは、所定の容積流量Qにおいて一定に、弁は少なくとも部分開放されたままであるように選択されている。時点tにおいて弁の両側の圧力差の平衡が達成され、これにより容積流量が一定になったのちにはじめて切換弁は閉鎖される。
【0021】
したがって、電流Iが保持電流Iに戻されるまでの時間tの設定により、ブレーキ回路内に所定の保持圧力pが達成可能であり、またはその逆も可能である。これに対して、ポンプの惰性回転時間はもはや保持圧力の設定にいかなる影響も与えない。
【0022】
時間tは使用されるポンプの惰性回転過程に対する経験値に基づいて設定され且つメモリ140内に記憶されていてもよい。この場合、この値がポンプ110を交換したときにオペレータ150によって更新ないしは上書き可能であるとき、それは有利である。時間tの決定および設定における他の可能性は、ブレーキ装置の作動の間にポンプの惰性回転過程に関する連続データが収集され且つメモリ140内に記憶されることにある。これらのデータから、例えば重みづけ平均値形成により、ポンプの惰性回転過程に対して実際に必要な時間Δ(t−t)が推測可能である。即ち、この必要な時間に緩衝時間を加算することにより、時間tが決定可能である。
【0023】
他の実施形態においては、ポンプが投入されたのちに、特定の目標圧力(p+x)が到達されたときに切換弁が開放され、これによりオーバフローされるように設計されている。それに続いて、切換弁は、圧力平衡のために必要な容積流量により、ポンプが遮断されるまで切換弁は開放されたままである。ブレーキ回路内の圧力平衡により、および切換弁における操作電流IUSVの、IからIへの所定の低下により、切換弁はゆっくり閉鎖される。操作電流Iは切換弁の閉鎖状態を確保する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1にブレーキ装置のブレーキ回路が略ブロック回路図で示されている。
【図2】図2に本発明による装置が略図で示されている。
【図3】図3a−3bは対応ポンプ操作の関数として既知の弁操作を示す。
【図4】図4a−4eは同様に対応ポンプ操作の関数として本発明による弁操作を示す。
【符号の説明】
【0025】
10 ブレーキ装置
12 マスタ・ブレーキ・シリンダ
14 マスタ・ブレーキ配管
15、16 車輪ブレーキ
18、130 切換弁
20、21 入口弁
22 戻り配管
24、25 出口弁
26、110 ポンプ
28 蓄圧器
30 緩衝室
32 絞り
34 吸込配管
36 吸込弁(高圧切換弁)
38、110 ポンプ・モータ
40、100 制御装置
42 車輪回転速度センサ
44 ブレーキ・ペダル・センサ
48、49、50、65 圧力センサ
120 パラメータ提供手段
140 メモリ
150 インタフェース(オペレータ)
160 制御ユニット
I、II ブレーキ回路
HubUSV 弁リフト
、I、I、IUSV 切換弁の操作電流
ポンプの操作電流
n 回転速度
p 圧力
第2の目標圧力(終端圧力、保持圧力)
スタート圧力
、QUSV 容積流量
t 時間
、t、t、t 時点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧式または空気式ブレーキ装置の制御方法であって、
ブレーキ装置が、
− ブレーキ装置(10)のブレーキ回路内の圧力を上昇させるための少なくとも1つの電気操作可能なポンプ・モータ(38、110)と、
− 前記ブレーキ回路内の圧力を制御するための少なくとも1つの電気操作可能な弁(18、130)とを有し、
− 前記弁(18、130)が閉鎖されているとき、前記装置内の圧力を上昇または低下させるためにポンプ(26、110)が操作され、
− 前記装置内の第1の目標圧力(p+x)を表わす圧力しきい値が到達されたとき、第1の操作(I)により前記弁が開放位置に移動され、
− 前記ポンプが遮断されたのちに、第2の操作(I)により前記弁が保持位置に移動され、
前記第1の操作が、設定可能な時間(t)内に、連続的に第2の操作に移動されることを特徴とする油圧式または空気式ブレーキ装置の制御方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
前記第1の操作がスタート電流により行われ、前記第2の操作が保持電流により行われ、この場合、特に、スタート電流が保持電流より大きいように行われることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法において、
− 前記ポンプの遮断後におけるポンプの惰性回転が検出され、
− 前記スタート電流および/または前記設定可能な時間が、前記ポンプの遮断後におけるポンプの惰性回転の関数として設定可能であり、この場合、特に、
− 前記ポンプの惰性回転を検出するために、回転速度および/または発電電圧が検出され、および/または
− 前記惰性回転が先行の圧力上昇サイクルないしは圧力低下サイクルから導かれる、
ように行われることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の方法において、
前記第1の操作から前記第2の操作への連続変化により、前記ブレーキ装置内に第2の目標圧力(p)が設定可能であり、この場合、特に、前記設定可能な時間が前記第2の目標圧力の関数として設定されるように行われることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の方法において、
前記保持位置が、前記弁の閉鎖位置を表わすことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の方法において、
前記ブレーキ装置内の第1の目標圧力が、
− 圧力センサにより、または
− 前記弁内の容積流量(QUSV)および/または前記ポンプの操作の関数として、
検出されることを特徴とする方法。
【請求項7】
油圧式または空気式ブレーキ装置の制御装置であって、
ブレーキ装置が、
− ブレーキ装置(10)のブレーキ回路内に少なくとも1つの電気操作可能なポンプ・モータ(38、110)と、
− 前記ブレーキ回路内の圧力を制御するための少なくとも1つの電気操作可能な弁(18、130)と、
− 前記ポンプ・モータおよび/または前記弁を操作するための少なくとも1つの手段(40、100)とを有し、
− 前記弁(18、130)が閉鎖されているとき、前記装置内の圧力を上昇または低下させるために適切な手段(40)によりポンプ(26、110)が操作され、
− 前記装置内の第1の目標圧力(p+x)を表わす圧力しきい値が到達されたとき、第1の操作(I)により前記弁が開放位置に移動され、
− 前記ポンプが遮断されたのちに、第2の操作(I)により前記弁が保持位置に移動され、
前記第1の操作を、設定可能な時間(t)内に、連続的に第2の操作に移動させる手段(100)が設けられていることを特徴とする油圧式または空気式ブレーキ装置の制御装置。
【請求項8】
請求項7の装置において、
前記手段が、前記弁を、前記第1の操作においてスタート電流によりおよび前記第2の操作において保持電流により操作し、この場合、特に、スタート電流が保持電流より大きいように行われることを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項7または8の装置において、
− 前記ポンプの遮断後におけるポンプの惰性回転を検出し、
− 前記スタート電流および/または前記設定可能な時間を、検出されたポンプの惰性回転の関数として、少なくとも1つの先行の圧力上昇サイクルないしは圧力低下サイクルから導く手段(100)が設けられ、
この場合、特に、前記ポンプの惰性回転を検出するために、回転速度および/または発電電圧が検出されるように行われることを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項7の装置において、
前記第1の操作から前記第2の操作への連続変化により、前記ブレーキ装置内に第2の目標圧力(p)が設定可能であり、この場合、特に、前記設定可能な時間が前記第2の目標圧力の関数として設定されるように行われることを特徴とする装置。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図3d】
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【図3e】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図4d】
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【図4e】
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【公表番号】特表2009−519167(P2009−519167A)
【公表日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−544925(P2008−544925)
【出願日】平成18年11月22日(2006.11.22)
【国際出願番号】PCT/EP2006/068755
【国際公開番号】WO2007/068558
【国際公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(591245473)ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (591)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【Fターム(参考)】