説明

プラズマチャンバ内の調整可能接地面

プラズマチャンバ内のプラズマ放電の強度および分布を制御する装置および方法が提供される。一実施形態では、径方向成分および軸方向成分を有する電界をチャンバ内部に得るために、成形された電極が基板サポート内に埋め込まれる。別の実施形態では、シャワーヘッドアセンブリのフェースプレート電極がアイソレータによって複数のゾーンに分割され、それによって、それぞれ異なる電圧が異なるゾーンに印加されることが可能になる。加えて、1つまたは複数の電極をチャンバ側壁内に埋め込むこともできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の諸実施形態は一般に、基板上で材料を堆積または除去する装置および方法に関する。より詳細には、本発明の諸実施形態は、プラズマチャンバ内のプラズマ放電の強度および/または分布を制御する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマ促進化学気相成長(PECVD)法、高密度プラズマ化学気相成長(HDPCVD)法、プラズマ浸漬イオン注入法、およびプラズマエッチング法などのプラズマ促進工法は、構造体を形成するために基板上に材料を堆積し、および/または、基板から材料を除去する際に使用される一般的な工法となっている。
【0003】
プラズマは、半導体デバイスを製造する上での多くの利点をもたらす。例えば、プラズマを使用すると、処理温度低下、高いアスペクト比のギャップのギャップ充填促進、および、より大きい堆積速度による広範囲の応用が可能になる。
【0004】
従来のプラズマ処理システムに関して存在する課題は、均一なエッチングおよび堆積を得るためのプラズマの制御である。エッチング速度および堆積の均一性に関する主要な要因は、処理中のプラズマの空間分布である。例えば、一般に平行板リアクタであるこれまでのPECVDチャンバでは、プラズマの空間分布に影響を及ぼす従来の要因は、他にも要因はあるが、チャンバ圧力、電極間距離、および化学作用である。PECVDチャンバ内のプラズマ分布の従来の制御でも満足な結果を生み出すが、その工程は改善することができる。プラズマ処理において残っている1つの課題は、基板上に薄膜を形成するための導電体材料、誘電体材料または半導体材料などのバルク材料の堆積が均一でない、すなわち平坦でないことである。
【0005】
図1A(従来技術)は、少なくとも一部には、従来のプラズマチャンバ内での不均一性によって引き起こされる1つの課題を示す、基板1の断面図である。基板1は、その中に形成されたトレンチ、ビアなどでありうる複数の構造物5を含む。その上に従来のプラズマ工法によって形成された導電体、誘電体または半導体の材料の層10は、ほぼ基板1を覆い、構造物5を充填する。基板1は寸法Dを有し、この寸法は、長方形の基板の場合には長さまたは幅になり、円形の基板の場合には外径になりうる。この例では、基板1は円形基板であり、寸法Dは、約300mmまたは200mmに等しくなりうる外径である。
【0006】
上述のように、層10は基板1をほぼ覆うが、実際には寸法Dのところで終わり、上に材料がほとんどまたは全くない基板1の周縁部が残る。一例では、寸法Dが300mmの場合、寸法Dは約298mmになることがあり、この寸法では、基板1の周縁部を取り囲む、上に材料がほとんどまたは全くない約1mmの部分が生じ、そのため、基板1の周縁部が実際上使用できないので、基板1のデバイス歩留まりが低下する。このような欠陥は、縁部効果またはプラズマ縁部効果と呼ばれることがある。
【0007】
図1B(従来技術)は、図1Aの基板1の分解断面図であり、基板1の周縁部上の表面区域20を示し、少なくとも一部には従来のプラズマチャンバ内での不均一性によって引き起こされる別の課題を例示する。縁部領域25は、上記のデバイス歩留まり低下により被覆されないで示されている。加えて、従来のプラズマ工法では、基板の周縁部に沿って、材料の過剰な堆積および積み重なりが発生する区域になりうる領域15を生み出すことがある。後続の工程で、基板1は、化学的機械的研磨(CMP)処理、あるいは他の平坦化処理または研磨処理にかけて層10の一部分を除去することができる。この後続の工程では、領域15は、層10とともに除去されなければならないので、課題を生じることがある。領域15は、層10の表面区域20の上に数百オングストローム(Å)から数千Åの間の高さDを含むことがあるので、後続の工程でスループットに悪影響が及ぶおそれがある。加えて、領域15の除去により表面区域20の過剰研磨を引き起こすことがあり、その結果、基板1上に形成されるデバイスまたは構造物に損傷が生じるおそれもある。
【0008】
したがって、上記の課題に対処するために、プラズマチャンバ内のプラズマの空間分布の制御を向上する装置および方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0009】
本明細書に記載の諸実施形態では一般に、二次接地面を使用してプラズマチャンバ内のプラズマの空間分布を制御する方法および装置が提供される。
【0010】
一実施形態では、基板サポートと、基板サポートに結合された1つまたは複数の電極と、基板サポートに対向するフェースプレートを有するシャワーヘッドアセンブリと、基板サポートから離れて径方向に間隔をおいて置かれた1つまたは複数の接地要素とを備える、基板を処理する装置が提供され、基板サポートとフェースプレートが協働的に処理容積を画定し、1つまたは複数の電極が、軸方向成分および径方向成分を有する調整可能な電界を処理容積内部に発生させるように適合される。
【0011】
別の実施形態では、処理チャンバ内で基板を支持する装置が提供され、この装置は、サポート面と、サポート面内に配置された熱制御要素と、第1の面を画定する第1の部分および傾斜面を画定する第2の部分を有し、傾斜面が第1の面と交差する、サポート面内に配置された電極と、電極に結合された調整器とを備える。
【0012】
別の実施形態では、容量結合プラズマの空間分布を制御する方法が提供され、この方法は、第1の電極を処理チャンバ内部に置くステップと、処理チャンバ内部に第1の接地面を置き、第1の電極と向かい合わせて処理容積を画定するステップと、RF電力を第1の電極に印加し直流電力を第1の接地面に印加することによって、軸方向成分および径方向成分を有する電界を処理容積内部に発生させるステップとを含む。
【0013】
上に列挙した本発明の特徴が詳細に理解できるように、上で簡潔に要約した本発明のより詳細な説明を、一部が添付の図面で例示されている諸実施形態を参照して行うことができる。しかし、添付の図面は、本発明の典型的な諸実施形態を例示するにすぎず、したがって、本発明で他の同様に効果的な実施形態を認めることができるので、本発明の範囲を限定すると考えられるべきではないことに注意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1A】(従来技術)従来技術の工法により加工された基板の断面図である。
【図1B】(従来技術)図1Aの基板の詳細図である。
【図2A】本発明の一実施形態によるプラズマ処理チャンバの概略断面図である。
【図2B】図2Aのプラズマ処理チャンバの概略側面図である。
【図3】本発明によるプラズマ処理チャンバの別の実施形態の概略側面図である。
【図4】本発明によるプラズマ処理チャンバの別の実施形態の概略側面図である。
【図5】本発明によるプラズマ処理チャンバの別の実施形態の概略側面図である。
【図6】本発明によるプラズマ処理チャンバの別の実施形態の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
理解を容易にするために、各図に共通の同じ要素を明示するのに、可能なところはどこでも同じ参照数字を使用した。1つの実施形態で開示された要素は、具体的な列挙なしに他の実施形態でも有利に利用できることも企図されている。
【0016】
本発明は一般に、平行電極を伴ったプラズマ発生器を有するプラズマリアクタ内での基板の処理中にプラズマの空間分布を制御する方法および装置を提供する。
【0017】
図2Aは、プラズマ促進化学気相成長(PECVD)システム100の一実施形態の概略断面図である。PECVDシステム100は一般に、チャンバ蓋104を支持するチャンバ本体102を備え、チャンバ蓋104は、ねじ、ボルト、ヒンジなどの1つまたは複数の留め具によってチャンバ本体102に取り付けることができる。チャンバ本体102は、基板サポート128とシャワーヘッドアセンブリ142の間にプラズマ103を封じ込めるための処理容積120を画定するチャンバ側壁112および底壁116を備える。他にも機能があるが、ガスの送出および排出、移送の機能などの処理制御を行うために、コントローラ175がシステム100に結合される。
【0018】
チャンバ蓋104は、シャワーヘッドアセンブリ142を介して処理容積120の中に反応ガスおよびクリーニングガスを送り出すガス配給システム108に結合される。シャワーヘッドアセンブリ142は、1つまたは複数のガス入口168、163および169から処理容積120の中にガスを送り出すガス入口通路140を含む。遠隔のプラズマ源(図示せず)を処理容積120とガス入口168、163および169との間に結合することができる。PECVDシステム100はまた、液体送出源150と、キャリアガスおよび/または前駆体ガスが得られるように構成されたガス源172とを含むこともできる。側壁112の中に形成され、ポンプシステム164に結合された外周ポンプチャネル125は、処理容積120からガスを排出して処理容積120内部の圧力を制御するように構成される。好ましくはセラミックなどでできているチャンバライナ127を処理容積120の中に配置して、腐食性の処理環境から側壁112を保護することができる。チャンバライナ127上に複数の排出ポート131を形成して、処理容積120をポンプチャネル125に結合することができる。
【0019】
ベースプレート148によりチャンバ蓋104と、ガス配給システム108と、シャワーヘッドアセンブリ142とを一体化する。ベースプレート148を動作中に冷却するために、ベースプレート148内に冷却チャネル147が形成される。冷却入口145が、冷却チャネル147の中に水などの冷媒流体を送り出す。冷媒流体は、冷却チャネル147を出て冷媒出口149を通り抜ける。
【0020】
基板サポート128は、処理中に基板121を支持して保持するように構成される。基板サポート128は、処理容積120内部で垂直に移動するように適合され、加えて、ステム122に結合された駆動システムによって回転するように構成することもできる。処理容積120へ基板を出し入れする移送を容易にするために、リフトピン161を基板サポート128に含むことができる。一実施形態では、基板サポート128は少なくとも1つの電極123を含み、電極123には、その上に基板121を静電気的に固定するための電圧が印加される。電極123は、電極123に結合された直流(DC)電源176から電力供給される。基板サポート128は単極DCチャックとして描かれているが、本明細書に記載の諸実施形態は、プラズマチャンバ内で接地面として機能するように適合されたどんな基板サポートにも用いることができ、加えて、双極チャック、三極チャック、DCチャック、インターディジテイテッドチャック、ゾーンチャックなどであってもよい。
【0021】
基板サポート128は、その上に置かれた基板121を所望の処理温度まで加熱するための、例えば抵抗加熱要素である加熱要素126を備えることができる。加熱要素126は、約208ボルトなどの電圧を加熱要素126に与えるように構成された交流(AC)電力供給部(図示せず)に結合することができる。
【0022】
無線周波(RF)電源165が、インピーダンス整合回路173を介してシャワーヘッドアセンブリ142に結合される。シャワーヘッドアセンブリ142のフェースプレート146と、コンデンサ190などの電子フィルタを介して接地できる電極123とで容量性プラズマ発生器を形成する。RF源165は、シャワーヘッドアセンブリ142にRFエネルギーを供給して、シャワーヘッドアセンブリ142のフェースプレート146と基板サポート128の間の容量性プラズマの発生を促進する。こうして電極123は、RF源165用の接地経路、およびDC電源176からの電気的バイアスの両方を供給して、基板121の静電気的クランピングを可能にする。
【0023】
基板サポート128は一般に、酸化アルミニウム(Al)、窒化アルミニウム(AlN)、二酸化シリコン(SiO)などのセラミック材料、または他のセラミック材料でできている本体を備える。一実施形態では、基板サポート128の本体は、約−20℃から約700℃の範囲の温度で使えるように構成される。電極123は、RFメッシュなどのメッシュ、あるいは、モリブデン(Mo)、タングステン(W)でできている材料からなる穴あきシート、または、基板サポート128の本体を形作るセラミック材料と膨張係数がほぼ同じような他の材料からなる穴あきシートとすることができる。基板サポート128に埋め込まれた電極123は、シャワーヘッドアセンブリ142のフェースプレート146と共に、協働的に処理容積120を画定する。
【0024】
RF源165は、例えば13.56MHzのRF発生器である高周波無線周波(HFRF)電源と、例えば300kHzのRF発生器である低周波無線周波(LFRF)電源とを備えることができる。LFRF電源は、低周波発生要素と固定整合要素の両方を設ける。HFRF電源は、固定整合と共に使用するように設計され、負荷へ送出される電力を調整し、それによって前方電力および反射電力に関する問題をなくす。
【0025】
電極123は、導電部材180に結合される。導電部材180は棒、管、線などとすることができ、モリブデン(Mo)、タングステン(W)などの導電材料、または、基板サポート128の本体を形作る他の材料とほぼ同じような膨張係数を有する他の材料で作ることができる。電極123は、RF電力の帰路として、また基板の静電気チャッキングを可能にするバイアス電極として機能する。基板121に電気的バイアスを供給するために、電極123は、バイアス電圧を電極123に与える電力供給システム182と連通している。電力供給システム182は、DC信号を電極123に供給するためのDC電源176と、DC電源176と電極123の間の、電圧変動をフィルタリングするように適合された電子フィルタ186とを含む。一実施形態では、DC電源176は24ボルトDC電力供給部であり、電気信号は正または負のバイアスを供給することができる。
【0026】
DC電源176を増幅器184に結合して、DC電源176からの電気信号を増幅することができる。DC電源176および増幅器184に電圧スパイクが加わらないように、電圧変動は電子フィルタ186でフィルタリングされる。一実施形態では、フィルタ186は、コンデンサ190および192を並列に伴うインダクタ188とすることができる。増幅されフィルタリングされた電気信号は、電極123および基板121に供給されて、基板121の静電気クランピングが可能になる。コンデンサ190および192もまた、電極123がRF電力の接地部材として機能することを可能にし、RF電力は、コネクタ194および196によって接地に結合される。コンデンサ190および192は、RF電力を通過させながら、DC電力がDC電源176から接地に向かうことを防止する。一実施形態では、コンデンサ190および192は、それぞれ10〜15アンペアおよび約2000ボルトで、それぞれ0.054マイクロファラド(μF)のコンデンサとすることができる。このようにして電極123は、基板バイアス電極、およびRF電力の帰還電極として機能する。
【0027】
上記のように、電極123は、DC電源176からバイアスを供給し、RF電源165からのRFエネルギーの接地経路として機能する。処理容積120内で発生される容量結合プラズマ103は、整合回路173によってコントローラ175からの信号に基づいて調整することができる。しかし、電極123の構成では、それがRFエネルギーの接地面として機能する際に、許容できるプラズマの放電または空間分布を得ることができない。例えば、基板121の周縁はプラズマ放電に断続的にしかさらされず、そのため周縁では不十分な、または低減された堆積になる。図1Aおよび図1Bに関して別の例では、プラズマ103の周縁で、基板の周縁に沿って領域15を生み出すことがあり、この領域は、堆積材料の過剰な堆積および積み重なりが基板121上に発生する区域になりうる。
【0028】
図2Aで例示された実施形態では、電極123は、図1Aおよび図1Bに関連して説明したプラズマ縁部効果を相殺するように成形することができる。この実施形態で示されたように電極123の周縁に傾斜を付けると、軸方向だけでなく径方向の成分を有する電界が処理容積120の内側に発生することになる。電極123とフェースプレート146の間の電位差は、電極123上のそれぞれ異なる点で異なる。これらの電位差により静電力が生じ、この静電力は、電界の軸方向成分が荷電粒子をフェースプレート146から電極123へと押しやり、電界の径方向成分が荷電粒子を押してチャンバの中心に近づけたり遠ざけたりする。加えて、電極123は、電極へのDC電力をコントローラ175からの信号に基づいて調節することによって、調整することもできる。このように、この実施形態で電極123によって例示的に示されたプラズマ発生器の接地面は、調整可能であり、プラズマ縁部効果の軽減を可能にする。
【0029】
図2Bは、図2Aのプラズマ処理チャンバの別の概略側面図であり、基板サポート128内部の電極123をより明瞭に示す。電界は、フェースプレート146を通して処理容積120に供給される処理ガスの容量結合によって、プラズマ103を生じさせる。この実施形態では、電極123は、平坦部分204および傾斜部分205を特徴とする。電極123の平坦部分204は、平面を画定する第1の部分を備え、傾斜部分205は、1つの面を画定する第2の部分を備える。基板サポート128は、第2の平面を画定する。この実施形態では、平坦部分204によって画定された第1の平面と、基板サポート128によって画定された第2の平面とはほぼ平行であるが、第1の平面は、傾斜部分205によって画定された面とは交差する。このように、電極123は三次元構造を呈示し、その結果、径方向成分および軸方向成分を有する電界が生じる。電極123の傾斜部分205は、処理容積120内部の電界線を、プラズマ103が広がって基板サポート128上に配置された基板121をより完全に覆うように曲げる。
【0030】
図2Bで例示されたように、傾斜縁部を伴う電極123を特徴とする諸実施形態では、傾斜部分205は平坦部分204と、断面で、約135°など約90°と約170°の間が好ましい角度を形成する。したがって、図2Bに示される実施形態では、電極123の傾斜部分205は、平坦部分204と鈍角を形成し、基板サポート128の表面から離して傾斜を付けられている。他の実施形態では、傾斜部分205は、基板サポート128の表面に向けて傾斜を付けることができ、あるいは基板サポート128の表面に向けたり離したりして曲げられることができる。いくつかの実施形態では、電極123の縁部は、基板サポート128上に配置された基板の縁部を越えて延びることができる。他の実施形態では、基板の縁部は、基板サポート128および電極123の縁部を越えて延びることができる。さらに他の実施形態では、電極123は、電極123の平坦部分204と基板サポート128の表面との間の距離が約5mmから10mmになるような深さで、基板サポート128に埋め込まれる。いくつかの実施形態では、傾斜部分205は、平坦部分204から最も遠い傾斜部分205の端部が、基板サポート128の表面から平坦部分204よりも約25%から約50%遠くなるように構成することができる。他の実施形態では、電極123の縁部を越えて延びる基板サポート128の部分は、幅が1mmから3mmになることができる。
【0031】
他の実施形態では、部分205は電極123の縁部であり、部分204は電極123の中央部である。部分205は、部分204と205がほぼ平行な平面を画定するように、部分204に対して上げられたり下げられたりすることができるが、部分205は、基板サポート128の表面により近くなってもより遠くなってもよい。いくつかの実施形態では、部分205は、部分204から約0.5mmから約2mmずれていることができる。部分204と205を接合する勾配を付けた部分があってもよく、この勾配を付けた部分は、部分204および205とある角度を形成し、あるいは部分204および205と湾曲接合部を形成することができる。
【0032】
加えて、部分205は、部分204に対して傾斜を付けられていようといまいと、部分204よりも厚くても薄くてもよい。部分205の厚さは、部分204の厚さから最大約0.5mmだけ差をつけることができ、そのため部分205は、部分204よりも最大0.5mmまで薄くなり、あるいは部分205は、部分204よりも最大0.5mmまで厚くなる。部分204または205の厚さはまた、徐々に減少してもよい。例えば、部分205は、それが部分204と接合するところで最大約3mmまでの厚さがあり、その縁部では0.5mm以下の厚さまで徐々に減少してよい。部分205には、断面が成形されたビーズなどの成形縁部を、部分205の縁部に取り付けられた円形ビーズなどと同様に備え付けることができる。このビーズは、三角形、正方形または台形などの、任意の有利な断面の形状を有することができる。
【0033】
図3は、別の実施形態によるプラズマ処理チャンバの概略側面図である。この実施形態では、チャンバ300は、ゾーン化シャワーヘッドアセンブリ360を特徴とする。シャワーヘッドアセンブリ360のフェースプレート146は、電気アイソレータ370によって個別の導電ゾーンに分離される。一実施形態では、RF電力は、独立したRF源165および330からそれぞれ、独立した整合ネットワーク173および340を介して、すべてコントローラ175の制御のもとに各ゾーンに別々に印加される。別の実施形態では、単一のRF源がそれぞれのゾーンに、またはすべてのゾーンに一括して、電力を供給する。上記のように電圧バイアスが、一括して要素350で表されているDCバイアス源により電極123に印加され、要素350は、上記のようにフィルタ186などのフィルタ、および増幅器184などの増幅器を含むことができ、コネクタで電極123に結合される。ゾーン化シャワーヘッドアセンブリ360は、独立したRF源165および330に結合され、これにより、独立したインピーダンス整合ネットワーク173および340を介して、処理容積120の内側の電界を調整するように各ゾーンに異なる電力レベルを印加して、プラズマ103の空間分布を制御することが可能になる。
【0034】
図4は、本発明の別の実施形態によるプラズマ処理チャンバの概略側面図である。この実施形態では、チャンバ400で、チャンバ側壁112に埋め込まれた電極410を利用する。チャンバ壁電極410は、アルミニウムなどの適切な導電材料でできており、アイソレータ320によって側壁112から分離され、アイソレータ105によってチャンバ蓋104から分離される。各アイソレータは、任意の適切な絶縁材料で作ることができるが、チャンバ壁の材料と同様な熱特性を有する材料でできていることが好ましい。このような材料の1つはセラミックである。この実施形態では、前記のように電圧バイアスが電極123に、図2Aに関して上のように、コネクタで電極123に結合されたDC要素350で一括して表されるDC源、増幅器およびフィルタにより印加される。同様なバイアス発生器420をチャンバ壁電極410に結合することができる。コントローラ175は、フェースプレート146へのRF電力の印加、電極123へのバイアス電力の印加、およびチャンバ壁電極410へのバイアス電力の印加を制御するように適合させて、プラズマ103によって基板121が適切に覆われることを確実にすることができる。
【0035】
図5は、本発明の別の実施形態によるプラズマ処理チャンバ500の概略側面図である。この実施形態では、チャンバ壁電極410は側壁112から分離されず、したがってプラズマ103は、電極123だけでなくチャンバ壁とも直接結合することができ、その結果、チャンバ壁電極410、側壁112、および電極123は、ひとまとめで接地面として働くことになる。こうして、チャンバ壁電極410に印加されるDCバイアスは、チャンバ壁全体に印加され、それによって、プラズマ103が処理容積120の周縁に向かって広がり、基板121を覆うことになる。側壁112からの放電を防止するために絶縁体520が設けられ、アイソレータ105で、チャンバの残りの部分から蓋アセンブリ148を分離する。
【0036】
図6は、本発明の別の実施形態によるプラズマ処理チャンバ600の概略側面図である。この実施形態では、2つの電極623Aおよび623Bが基板サポート128の内部に埋め込まれる。前述のように、各電極は、DC電圧バイアスを印加して基板121を適所にクランプしながら、RF電力の接地面として働くように構成される。各電極は、DCバイアス発生器610および620それぞれによって別々にバイアスされる。前述のように、各DCバイアス発生器はDC源を備え、必要に応じて増幅器およびフィルタを伴う。接地面を独立して調整できることにより、プラズマ103の空間分布を制御するための電界を処理容積120の内側で成形してプラズマ縁部効果を最小化する、またはなくする能力が得られる。
【0037】
上記の各実施形態は、本発明の諸要素を実証的に組み込む例である。縁部効果を伴わずに基板121を完全に覆うために、以上の諸要素の任意の組み合わせを用いて、処理容積120の内側でプラズマ103を調整し成形することができる。多電極、成形または未成形の接地部材、バイアス発生器、アイソレータなどの任意の組み合わせを使用することができる。例えば、多数の成形接地部材、または側壁電極を備える単一の成形接地部材を使用することができる。ゾーン化シャワーヘッド電極もまた、1つまたは複数の成形接地部材と共に、かつ1つまたは複数の側壁電極と共に使用することができる。
【0038】
作業工程では、基板が上記の実施形態のいずれかにより、プラズマ処理チャンバ内側の基板サポート上に配置される。処理ガスが、第1の電極を備えるシャワーヘッドアセンブリを通して処理チャンバに供給される。RF電力が、インピーダンス整合ネットワークを通してRF発生器を第1の電極に結合することによって、第1の電極に印加される。RF発生器は、約13.56MHzなどの高周波電力、または約300kHzなどの低周波電力を発生することができる。RF電力を第1の電極に印加すると、処理チャンバ内側に振動電界が生じ、処理ガスがプラズマ中にイオン化する。
【0039】
基板は基板サポート上に配置され、接地部材が基板サポートに埋め込まれる。接地部材は、DC電力を基板サポートに結合する電極として働き、第1の電極と共に、処理チャンバ内に処理容積を画定する。DC電力が、基板サポートを通るコネクタを使用して電極に結合される。DC電力は電極に印加されて電極内に電圧バイアスが生じ、これにより基板が基板サポートに確実にクランプされることになる。電子フィルタをDC電源と基板サポート内に配置された電極との間に、電極がDC電圧バイアスを基板に印可しながらRF電力の接地への通路として働くことができるように、設けることができる。このようにして、基板サポート内の電極は、RF電力の接地部材として働くことができる。コントローラを使用して整合ネットワークのインピーダンスを調整することによって、プラズマまで送り出される電力を調節することができる。このコントローラは、DC源の電力出力を調節して処理チャンバ内側の電界を調整するのに使用することもできる。このようにして、径方向成分ならびに軸方向成分を有する電界が発生され、それによって、チャンバの中心に向かう、またはそこから離れるようにプラズマの空間分布を調節して基板を完全にカバーすることが可能になる。
【0040】
この実施形態では、接地部材は、所望の電界特性を生み出すように成形される。例えば、その接地部材は、基板サポートの表面にほぼ平行な第1の部分と、この第1の部分から徐々に細くなる第2の部分とを特徴とすることができる。第1の部分は1つの平面を画定し、第2の部分は、その平面と交差する面を画定する。したがって、成形された接地部材が、交差する複数の面を画定する。
【0041】
一代替実施形態では、多数の接地部材を設けることができる。例えば、第1の接地部材と異なる形状を有する第2の接地部材を基板サポート内部に埋め込むことができる。コントローラは、各接地部材に印加されるバイアスを別々に調整して、所望の空間分布のプラズマを生じさせることができる。
【0042】
別の実施形態では、ゾーン化シャワーヘッド電極を使用して、調整可能な電界を発生させることができる。RF電力は、それぞれ異なる整合ネットワークを通して、異なるゾーンに別個に供給することができる。コントローラを使用して整合ネットワークのインピーダンスを調節することによって、各ゾーンに供給される電力を調整することができる。上で論じたように、基板サポート内に埋め込まれた電極にDC電圧バイアスが印加されて基板がクランプされ、接地までのRF電力の経路が得られる。この実施形態では、シャワーヘッド電極のそれぞれ異なるゾーンへの電力送出を調整することにより、径方向成分ならびに軸方向成分を有する電界が結果として得られ、プラズマの空間分布の制御が可能になる。
【0043】
別の実施形態では、電界およびプラズマは、処理チャンバの側壁内に電極を設けることによって径方向に調節することができる。いくつかの実施形態では、チャンバ壁自体を電極として使用することができる。この電極も、基板サポート内に埋め込まれた電極に加えて、接地またはバイアスすることができる。コントローラを使用して、基板サポート電極および側壁電極のバイアスと、シャワーヘッド電極に送り出される電力とを別個に調節し、プラズマの空間分布を調整することができる。
【0044】
以上は本発明の諸実施形態を対象とするが、本発明の他のさらなる実施形態を本発明の基本的な範囲から逸脱することなく考案することができ、その範囲は、添付の特許請求の範囲によって確定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する装置であって、
基板サポートと、
前記基板サポートに結合された1つまたは複数の電極と、
前記基板サポートに対向するフェースプレートを有するシャワーヘッドアセンブリと、
前記基板サポートから離れて径方向に間隔をおいて置かれた1つまたは複数の接地要素とを備え、前記基板サポートと前記フェースプレートが協働的に処理容積を画定し、前記1つまたは複数の電極が、軸方向成分および径方向成分を有する調整可能な電界を前記処理容積内部に発生させるように適合される、装置。
【請求項2】
前記1つまたは複数の電極が前記基板サポート内に配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記1つまたは複数の電極のうちの少なくとも1つの一部分が傾斜を付けられる、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
1つまたは複数の接地面のうちの少なくとも1つに結合された1つまたは複数の調整可能な回路をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記1つまたは複数の電極のうちの少なくとも1つに結合された1つまたは複数の調整可能な回路をさらに備える、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記フェースプレートが1つまたは複数のアイソレータによって分離されたゾーンに分割される、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記1つまたは複数の接地面の間に配置されたアイソレータをさらに備える、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
処理チャンバ内で基板を支持する装置であって、
サポート面と、
前記サポート面内に配置された熱制御要素と、
第1の面を画定する第1の部分および傾斜面を画定する第2の部分を有し、前記傾斜面が前記第1の面と交差する、前記サポート面内に配置された電極と、
前記電極に結合された調整器とを備える、装置。
【請求項9】
前記電極に結合された電子フィルタをさらに備える、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記サポート面が第2の面を画定し、前記第1の面が前記第2の面にほぼ平行である、請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記電極がRFメッシュである、請求項8に記載の装置。
【請求項12】
容量結合プラズマの空間分布を制御する方法であって、
第1の電極を処理チャンバ内部に置くステップと、
前記処理チャンバ内部に第2の電極を置き、前記第1の電極と向かい合わせて処理容積を画定するステップであって、前記第2の電極が、第1の面を画定する第1の部分、および前記第1の面と交差する傾斜面を画定する第2の部分を有するステップと、
無線周波(RF)電力を前記第1の電極に印加し直流(DC)電力を前記第2の電極に印加することによって、軸方向成分および径方向成分を有する電界を前記処理容積内部に発生させるステップとを含む、方法。
【請求項13】
前記処理チャンバ内部に第3の電極を置くステップをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の電極を使用して前記RF電力の接地までの経路を設け、前記処理容積内部に電圧バイアスを印加するステップをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
第2および第3の電極の少なくとも一方を調整するステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2011−519117(P2011−519117A)
【公表日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−500820(P2011−500820)
【出願日】平成21年1月26日(2009.1.26)
【国際出願番号】PCT/US2009/031966
【国際公開番号】WO2009/117173
【国際公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(390040660)アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド (1,346)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】