説明

プラズマ窒化処理方法および半導体装置の製造方法

【課題】高アスペクト比のトレンチ構造を有するポリシリコンに対し、プラズマを用いて均一な窒化処理を行なうことが可能なプラズマ窒化処理方法を提供する。
【解決手段】被処理体表面に露出したポリシリコン膜を窒素含有プラズマにより窒化するプラズマ窒化処理方法であって、複数のスロットを有する平面アンテナ31にて処理室内1にマイクロ波を導入してプラズマを発生させるプラズマ処理装置により、66.7Pa〜1333Paの処理圧力で前記ポリシリコン膜をプラズマ窒化処理することを特徴とする、プラズマ窒化処理方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマを用いてシリコンの窒化を行なうプラズマ窒化処理方法および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各種半導体装置の製造においては、電極として機能するポリシリコンを窒化処理するシリコン窒化工程が行なわれる。例えばDRAM(ダイナミックランダムアクセスメモリ)に組込まれるMIS(Metal Insulator Silicon)型のキャパシタでは、High−k膜(高誘電率膜)を形成する前に、耐酸化性を向上させる目的で下部電極であるポリシリコンを窒化し、シリコン窒化膜を形成する工程が設けられている。これは、High−k膜の改質や結晶化のためのアニールの際に下地のポリシリコン電極表面が酸化されるとキャパシタンスが低下するため、事前にポリシリコン表面を窒化しておくことが目的である。
【0003】
上記MIS型キャパシタなどを製造する際のシリコン窒化膜の形成には、従来、RTN(Rapid Thermal Nitridation)などの熱窒化法が採用されてきた(例えば、特許文献1)。しかし、熱窒化法は、NHガス雰囲気中で、800℃〜1100℃の高温で処理するため、ポリシリコンの窒化量を制御することが難しく、また、ゲート絶縁膜の劣化など膜への熱ダメージを伴う。そのため、近年では、熱負荷を軽減すべく低温成膜の要請が高まっており、熱窒化法に換えて、低温での処理が可能なプラズマを用いたプラズマ窒化方法が提案されている(例えば、特許文献2)。
【特許文献1】特開平7−221201号公報(段落0013など)
【特許文献2】特開2004−214655号公報(請求項7など)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献2などのプラズマを用いた窒化処理の場合、低温(例えば400℃〜500℃程度)で処理が可能であるため、熱窒化法の問題の多くが解決される。また、前記特許文献2のプラズマ処理の場合に特有の課題として、被処理体表面のシリコンの形状によっては、一様な窒化膜を形成することが難しいという問題がある。例えば、DRAMにおいては、キャパシタの蓄積電荷を増やすために電極面積を拡大しようとする要請と、集積度を高め大記憶容量化を図るためにメモリセルを小型化しようとする要請と、を両立させるため、キャパシタを例えばトレンチ構造にして電極面積を増大させている場合がある。このようなトレンチ構造のキャパシタでは、十分な蓄積電荷を確保するために、非常に深く、縦横のアスペクト比が大きなトレンチが必要になる。
【0005】
ところが、トレンチ構造のMIS型キャパシタの製造過程でポリシリコン電極をプラズマ窒化すると、トレンチが高アスペクト比であればあるほど、トレンチの部位、例えば上部と下部(溝の底付近)とで窒化の程度に差が生じてしまうという課題があった。この原因は活性種である窒素ラジカルや窒素イオンが、高アスペクト比の溝の底部に到達する前に失活してしまうためであると考えられる。
【0006】
本発明の目的は、高アスペクト比のトレンチ構造を有するポリシリコンに対し、プラズマを用いて均一な窒化処理を行なうことが可能なプラズマ窒化処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、以下の(1)〜(23)に存する。
(1) 被処理体表面に露出したポリシリコン膜を窒素含有プラズマにより窒化するプラズマ窒化処理方法であって、
複数のスロットを有する平面アンテナにて処理室内にマイクロ波を導入してプラズマを発生させるプラズマ処理装置により、66.7Pa〜1333Paの処理圧力で前記ポリシリコン膜をプラズマ窒化処理することを特徴とする、プラズマ窒化処理方法。
【0008】
(2) 前記処理圧力が、133.3Pa〜666.5Paであることを特徴とする、上記(1)に記載のプラズマ窒化処理方法。
【0009】
(3) 前記窒素含有プラズマは、少なくとも5%以上の窒素を含むことを特徴とする、上記(1)または(2)に記載のプラズマ窒化処理方法。
【0010】
(4) 前記窒素含有プラズマは、窒素ガスと希ガスとを含むガスにより生成されるプラズマであることを特徴とする、上記(1)から上記(3)のいずれかに記載のプラズマ窒化処理方法。
【0011】
(5)前記窒素ガスの流量が10〜500ml/minであり、前記希ガスの流量が1〜5000ml/minであることを特徴とする、上記(4)に記載のプラズマ窒化処理方法。
【0012】
(6) 処理温度が、250℃〜800℃であることを特徴とする、上記(1)から(5)のいずれかに記載のプラズマ窒化処理方法。
【0013】
(7) 前記ポリシリコン膜に形成される窒化膜の膜厚が0.5〜3nmであることを特徴とする、上記(1)から(6)のいずれかに記載のプラズマ窒化処理方法。
【0014】
(8) 前記被処理体表面のポリシリコン膜が、凹部を有する形状であることを特徴とする、上記(1)から(7)のいずれかに記載のプラズマ窒化処理方法。
【0015】
(9) 前記凹部の深さと開口幅との比(深さ/開口幅)が、1〜50であることを特徴とする、上記(8)に記載のプラズマ窒化処理方法。
【0016】
(10) 前記ポリシリコン膜が、MISキャパシタの下部電極であることを特徴とする、上記(1)から(9)のいずれかに記載のプラズマ窒化処理方法。
【0017】
(11) 半導体基板上に、下部電極としてのポリシリコン膜を形成する工程と、
前記ポリシリコン膜を窒化処理してシリコン窒化膜を形成する窒化工程と、
前記シリコン窒化膜上に誘電体層を形成する工程と、
前記誘電体層の上に、上部電極を形成する工程と、を含む半導体装置の製造方法であって、
前記窒化工程は、複数のスロットを有する平面アンテナにて処理室内にマイクロ波を導入して窒素含有プラズマを発生させるプラズマ処理装置により66.7Pa〜1333Paの処理圧力で前記ポリシリコン膜をプラズマ窒化処理するものであることを特徴とする、半導体装置の製造方法。
【0018】
(12) 前記処理圧力が、133.3Pa〜666.5Paであることを特徴とする、上記(11)に記載の半導体装置の製造方法。
【0019】
(13) 前記窒素含有プラズマは、少なくとも5%以上の窒素を含むことを特徴とする、上記(11)または(12)に記載の半導体装置の製造方法。
【0020】
(14) 前記窒素含有プラズマは、窒素ガスと希ガスとを含むガスにより生成されるプラズマであることを特徴とする、上記(11)から(13)のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【0021】
(15) 前記窒素ガスの流量が10〜500ml/minであり、前記希ガスの流量が1〜5000ml/minであることを特徴とする、上記(14)に記載の半導体装置の製造方法。
【0022】
(16) 処理温度が、250℃〜800℃であることを特徴とする、上記(11)から(15)のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【0023】
(17) 前記ポリシリコン膜に形成される窒化膜の膜厚が0.5〜3nmであることを特徴とする、上記(11)から(16)のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【0024】
(18) 前記被処理体表面のポリシリコン膜が、凹部を有する形状であることを特徴とする、上記(11)から(17)のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【0025】
(19) 前記凹部の深さと開口幅との比(深さ/開口幅)が、1〜50であることを特徴とする、上記(18)に記載の半導体装置の製造方法。
【0026】
(20) 前記ポリシリコン膜が、MISキャパシタの下部電極であることを特徴とする、上記(11)から(19)のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【0027】
(21) コンピュータ上で動作し、実行時に、上記(1)から(10)のいずれかに記載されたプラズマ窒化処理方法が行なわれるようにプラズマ処理装置を制御するものであることを特徴とする、制御プログラム。
【0028】
(22) コンピュータ上で動作する制御プログラムが記憶されたコンピュータ記憶媒体であって、
前記制御プログラムは、実行時に、上記(1)から(10)のいずれかに記載されたプラズマ窒化処理方法が行なわれるように、プラズマ処理装置を制御するものであることを特徴とする、コンピュータ記憶媒体。
【0029】
(23) 複数のスロットを有する平面アンテナにて真空排気可能な処理室内にマイクロ波を導入してプラズマを発生させるプラズマ処理装置であって、
前記処理室内で、上記(1)から(10)のいずれかに記載されたプラズマ窒化処理方法が行なわれるように制御する制御部を備えたことを特徴とする、プラズマ処理装置。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、ポリシリコン膜の窒化において、高密度プラズマで、かつ低電子温度での処理が可能なRLSA方式のプラズマ処理装置を使用することにより、かつ、66.7Pa〜1333Paの処理圧力でプラズマ窒化処理を行なうことにより、特に高アスペクト比の凹部を有する形状である場合においても、形成される窒化膜厚のばらつきを解消し、半導体ウエハ面内の窒化膜厚の均一性を向上させることができる。
【0031】
RLSA方式のプラズマ処理装置で処理圧力を制御することより、プラズマ中の活性種、例えば、ラジカルとイオンの比率を制御することができる。例えば、高圧側ではイオン比率が小さく、ラジカルの比率が高くなる。つまり、高圧側では高密度のラジカルが生成されるため、凹部の底部まで活性種であるラジカルが到達でき、凹部全体を均一に窒化できるものと考えられる。ラジカルの場合は、一旦トレンチ孔などの凹部内の壁へ衝突して窒化膜が形成されると、後から供給されるラジカルの当該窒化膜表面部位での窒化の反応確率が小さくなり、高圧と、大量のラジカルの供給によって、凹部の底部までラジカルを到達させることができるようになる。このように、高圧側では、プラズマのイオンエネルギーが減衰されるので、マイルドに作用するため、膜および基板へのダメージを低減しつつ、高アスペクト比の凹部でも均一な窒化膜を形成することができる。
【0032】
そして、プラズマ窒化処理の対象が、トレンチ構造のMIS型キャパシタの下部電極としてのポリシリコン膜である場合には、予め表面を窒化処理しておくことによって、高誘電率膜(High−k膜)の改質や結晶化のためのアニールの際にポリシリコン電極表面の酸化が抑制され、耐酸化性が向上する。従って、キャパシタンスの低下を確実に防止できるので、優れた電気的特性を有するDRAMなどの半導体装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい形態について説明する。
図1は、本発明のプラズマ窒化処理方法の実施に適したプラズマ処理装置の一例を模式的に示す断面図である。このプラズマ処理装置は、複数のスロットを有する平面アンテナ、特にRLSA(Radial Line Slot Antenna;ラジアルラインスロットアンテナ)にて処理室内にマイクロ波を導入してプラズマを発生させることにより、高密度かつ低電子温度のマイクロ波プラズマを発生させ得るRLSAマイクロ波プラズマ処理装置として構成されており、例えば、MIS型キャパシタの製造過程で下部電極であるポリシリコン膜を窒化処理する目的で好適に用いられる。
【0034】
このプラズマ処理装置100は、気密に構成され、接地された略円筒状のチャンバー1を有している。チャンバー1の底壁1aの略中央部には円形の開口部10が形成されており、底壁1aにはこの開口部10と連通し、下方に向けて突出する排気室11が設けられている。
【0035】
チャンバー1内には被処理基板であるウエハWを水平に支持するためのAlN等のセラミックスからなるサセプタ2が設けられている。このサセプタ2は、排気室11の底部中央から上方に延びる円筒状のAlN等のセラミックスからなる支持部材3により支持されている。サセプタ2の外縁部にはウエハWをガイドするためのガイドリング4が設けられている。また、サセプタ2には抵抗加熱型のヒータ5が埋め込まれており、このヒータ5はヒータ電源5aから給電されることによりサセプタ2を加熱して、その熱で被処理体であるウエハWを加熱する。また、載置台2には、熱電対6が配備されており、ウエハWの加熱温度を、例えば室温から900℃までの範囲で温度制御可能となっている。チャンバー1の内周には、石英からなる円筒状のライナー7が設けられ、チャンバー構成材料による金属汚染を防止している。また、載置台2の外周側には、チャンバー1内を均一排気するためのバッフルプレート8が環状に設けられ、このバッフルプレート8は、複数の支柱9により支持されている。
【0036】
サセプタ2には、ウエハWを支持して昇降させるためのウエハ支持ピン(図示せず)がサセプタ2の表面に対して突没可能に設けられている。
【0037】
チャンバー1の側壁には環状をなすガス導入部材15が設けられており、このガス導入部材15にはガス供給系16が接続されている。ガス導入部材はシャワー状に配置してもよい。このガス供給系16は、例えばArガス供給源17およびNガス供給源18を有しており、これらのガスが、それぞれガスライン20を介してガス導入部材15に至り、ガス導入部材15からチャンバー1内に導入される。ガスライン20の各々には、マスフローコントローラ21およびその前後の開閉バルブ22が設けられている。なお、前記Nガスに代えて、例えばNHガス、NとHとの混合ガスなどを用いることもできる。また、後述するようにArガスに代えて他の希ガス、例えばKr、He、Ne、Xeなどのガスを用いてもよく、また希ガスは含まなくてもよい。
【0038】
上記排気室11の側面には排気管23が接続されており、この排気管23には高速真空ポンプを含む排気装置24が接続されている。そしてこの排気装置24を作動させることによりチャンバー1内のガスが、排気室11の空間11a内へ均一に排出され、排気管23を介して排気される。これによりチャンバー1内を所定の真空度、例えば0.133Paまで高速に減圧することが可能となっている。
【0039】
チャンバー1の側壁には、プラズマ処理装置100に隣接する搬送室(図示せず)との間でウエハWの搬入出を行うための搬入出口25と、この搬入出口25を開閉するゲートバルブ26とが設けられている。
【0040】
チャンバー1の上部は開口部となっており、この開口部の周縁部に沿ってリング状の支持部27が設けられている。この支持部27に誘電体、例えば石英やAl、AlN等のセラミックスからなり、マイクロ波を透過するマイクロ波透過板28がシール部材29を介して気密に設けられている。したがって、チャンバー1内は気密に保持される。
【0041】
マイクロ波透過板28の上方には、サセプタ2と対向するように、円板状の平面アンテナ部材31が設けられている。この平面アンテナ部材31はチャンバー1の側壁上端に係止されている。平面アンテナ部材31は、例えば表面が銀または金メッキされた銅板またはアルミニウム板からなり、多数のマイクロ波放射孔32(スロット)が所定のパターンで貫通して形成された構成となっている。このマイクロ波放射孔32は、例えば図2に示すように長溝状をなし、典型的には隣接するマイクロ波放射孔32同士が「T」字状に配置され、これら複数のマイクロ波放射孔32が同心円状に配置されている。マイクロ波放射孔32の長さや配列間隔は、マイクロ波の波長(λg)に応じて決定され、例えばマイクロ波放射孔32の間隔は、1/2λgまたはλgとなるように配置される。なお、図2においては、同心円状に形成された隣接するマイクロ波放射孔32同士の間隔をΔrで示している。また、マイクロ波放射孔32は、円形状、円弧状等の他の形状であってもよい。さらに、マイクロ波放射孔32の配置形態は特に限定されず、同心円状のほか、例えば、螺旋状、放射状に配置することもできる。
【0042】
この平面アンテナ部材31の上面には、真空よりも大きい誘電率を有する遅波材33が設けられている。遅波材33は、例えば石英、セラミックス、フッ素系樹脂などの材質で形成することができる。この遅波材33は、真空中ではマイクロ波の波長が長くなることから、マイクロ波の波長を短くしてプラズマを調整する機能を有している。なお、平面アンテナ部材31とマイクロ波透過板28との間、また、遅波材33と平面アンテナ部材31との間は、それぞれ密着または離間させて配置することができる。
【0043】
チャンバー1の上面には、これら平面アンテナ部材31および遅波材33を覆うように、例えばアルミニウムやステンレス鋼、銅等の金属材からなるシールド蓋体34が設けられている。チャンバー1の上面とシールド蓋体34とはシール部材35によりシールされている。シールド蓋体34には、冷却水流路34aが形成されており、そこに冷却水を通流させることにより、シールド蓋体34、遅波材33、平面アンテナ31、マイクロ波透過板28を冷却するようになっている。なお、シールド蓋体34は接地されている。
【0044】
シールド蓋体34の上壁の中央には開口部36が形成されており、この開口部36には導波管37が接続されている。この導波管37の端部には、マッチング回路38を介してマイクロ波発生装置39が接続されている。これにより、マイクロ波発生装置39で発生した例えば周波数2.45GHzのマイクロ波が導波管37を介して上記平面アンテナ部材31へ伝搬されるようになっている。なお、マイクロ波の周波数としては、8.35GHz、1.98GHz等を用いることもできる。
【0045】
導波管37は、上記シールド蓋体34の開口部36から上方へ延出する断面円形状の同軸導波管37aと、この同軸導波管37aの上端部にモード変換器40を介して接続された水平方向に延びる矩形導波管37bとを有している。矩形導波管37bと同軸導波管37aとの間のモード変換器40は、矩形導波管37b内をTEモードで伝播するマイクロ波をTEMモードに変換する機能を有している。同軸導波管37aの中心には内導体41が延在しており、この内導体41の下端部は、平面アンテナ部材31の中心に接続固定されている。これにより、マイクロ波は、同軸導波管37aの内導体41を介して平面アンテナ部材31へ均一に効率よく伝播される。
【0046】
プラズマ処理装置100の各構成部は、CPUを備えたプロセスコントローラ50に接続されて制御される構成となっている。プロセスコントローラ50には、工程管理者がプラズマ処理装置100を管理するためにコマンドの入力操作等を行うキーボードや、プラズマ処理装置100の稼働状況を可視化して表示するディスプレイ等からなるユーザーインターフェース51が接続されている。
【0047】
また、プロセスコントローラ50には、プラズマ処理装置100で実行される各種処理をプロセスコントローラ50の制御にて実現するための制御プログラム(ソフトウエア)や処理条件データ等が記録されたレシピが格納された記憶部52が接続されている。
【0048】
そして、必要に応じて、ユーザーインターフェース51からの指示等にて任意のレシピを記憶部52から呼び出してプロセスコントローラ50に実行させることで、プロセスコントローラ50の制御下で、プラズマ処理装置100での所望の処理が行われる。また、前記制御プログラムや処理条件データ等のレシピは、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体、例えばCD−ROM、ハードディスク、フレキシブルディスク、フラッシュメモリなどに格納された状態のものを利用したり、あるいは、他の装置から、例えば専用回線を介して随時伝送させてオンラインで利用したりすることも可能である。
【0049】
このように構成されたプラズマ処理装置100は、800℃以下の低温で下地膜等へのダメージフリーなプラズマ処理を進めることができるとともに、プラズマ均一性に優れており、プロセスの均一性を実現できる。そして、プラズマ処理装置100で所定の圧力に制御してプラズマ窒化処理を行なうことによって、後述するように凹部が高アスペクト比で形成されている場合であっても、均等に窒化膜を形成できる。
【0050】
このように構成されたRLSA方式のプラズマ処理装置100においては、以下のような手順でウエハWの表面に露出したポリシリコン膜を直接窒化してシリコン窒化膜を形成する等の処理を行うことができる。
まず、ゲートバルブ26を開にして搬入出口25からポリシリコン膜が形成されたウエハWをチャンバー1内に搬入し、サセプタ2上に載置する。そして、ガス供給系16のArガス供給源17およびNガス供給源18から、Arガス、Nガスを所定の流量でガス導入部材15を介してチャンバー1内に導入する。
【0051】
具体的には、例えばArなどの希ガス流量を1〜5000mL/min(sccm)、Nガス流量を10〜500mL/min(sccm)に設定し、チャンバー内を66.7〜1333Pa(500mTorr〜10Torr)の処理圧力に調整し、ウエハWの温度を250〜800℃、好ましくは400〜800℃程度に加熱する。
【0052】
次に、マイクロ波発生装置39からのマイクロ波を、マッチング回路38を経て導波管37に導き、矩形導波管37b、モード変換器40、および同軸導波管37aを順次通過させて内導体41を介して平面アンテナ部材31に供給し、平面アンテナ部材31のマイクロ波放射孔32からマイクロ波透過板28を介してチャンバー1内におけるウエハWの上方空間に放射させる。マイクロ波は、矩形導波管37b内ではTEモードで伝搬し、このTEモードのマイクロ波はモード変換器40でTEMモードに変換されて、同軸導波管37a内を平面アンテナ部材31に向けて伝搬されていく。平面アンテナ部材31からマイクロ波透過板28を経てチャンバー1に放射されたマイクロ波によりチャンバー1内で電磁界が形成され、ArガスおよびNガスのプラズマが生成される。この際、マイクロ波発生装置39のパワーは、1〜5kWが好ましく、2〜4kWとすることがより好ましい。
【0053】
このマイクロ波プラズマは、マイクロ波が平面アンテナ部材31の多数のマイクロ波放射孔32から放射されることにより、略1×1010〜5×1012/cmの高密度で、かつウエハW近傍では略1.5eV以下、好ましくは略1.0eV以下の低電子温度プラズマとなる。なお、処理室内のプラズマ通過空間に多数の開口を有するシャワープレートを介在配備して処理を行ってもよい。これにより、プラズマの電子温度をより低減し、0.7eV以下にできる。このようにして形成されるマイクロ波プラズマは、下地膜へのイオン等によるプラズマダメージが少ないものである。そして、プラズマ中の活性種、主として窒素ラジカル(N)、などの作用によって、直接シリコン中にNが導入され、Si膜を形成してもよい。
【0054】
このようにして、露出するポリシリコン膜上に、窒化膜厚の差が少ない良好な窒化処理を行なうことができる。また、特にMIS型キャパシタのトレンチ構造のようにポリシリコン膜が高アスペクト比の凹部形状である場合には、好ましくは133.3〜666.5Pa(1Torr〜5Torr)、望ましくは400〜533Pa(3Torr〜4Torr)の処理圧力に設定することにより、後述するように、凹部の底までほぼ一様な窒化処理が実現する。
【0055】
次に、本発明方法による半導体装置を、トレンチ構造のMIS型キャパシタを例にとって説明する。図3は、DRAM等の半導体装置のメモリセルの断面構造を模式的に示すものである。なお、図3では、それぞれ一つのトランジスタ120と一つのキャパシタ110とから構成されるメモリセル2つを図示している。
【0056】
Si基板111には、Pウエル領域およびnウエル領域(いずれも図示せず)が形成されており、さらに素子分離膜116により絶縁分離された領域(アクティブ領域)には、ソース121b、ドレイン121aが形成されている。そして、Si基板111上には、符号122で示すゲート絶縁膜を介して、ポリシリコンや、タングステンなどの高融点金属もしくはそのシリサイドからなるゲート電極125が形成され、トランジスタ120を構成している。この例ではトランジスタ120は一対形成されている。これらのトランジスタ120,120のゲート電極122,122は、ワード線を兼ねている。
【0057】
また、トランジスタ120,120は、層間絶縁膜101で被覆されており、この層間絶縁膜101には、トランジスタ120,120に共通のビット線126が配設されている。このビット線126は、ドレイン121aに接続されている。
【0058】
キャパシタ110は、層間絶縁膜101に形成されており、下部電極としてのポリシリコン膜102と、そのポリシリコン膜102の凹部の表面が窒化されたシリコン窒化膜103と、さらにその上の誘電体層としてのTa膜104と、このTa膜104を覆うように、さらにその上に形成された上部電極であるTiN膜105と、によって構成されている。なお、キャパシタ110のポリシリコン膜102は、コンタクト孔を介して下方まで延在しており、ソース121b,121bに接続されている。
【0059】
このような構成のメモリセルの一部をなすキャパシタの製造工程について、図4を参照しつ説明する。
まず、層間絶縁膜101の表面に、図4(a)に示すように凹部130を有するポリシリコン膜102を形成する。このポリシリコン膜102は、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)により形成することができる。ポリシリコン膜102に形成されている凹部130の深さLと幅Dとの比(L/D;アスペクト比)は、例えば10〜40程度である。
【0060】
このポリシリコン膜102を、プラズマ処理装置100を用いてプラズマ処理し、図4(b)に示すようにシリコン窒化膜103を形成する。プラズマ処理装置100により、ArガスとNガスとを所定の流量比となるように制御しながらプラズマ窒化処理を行なう。本発明では、図1のプラズマ処理装置100を用い、前記処理圧力で窒化処理を行なうことにより、凹部130のアスペクト比が1以上、例えば1〜50であっても、また、好ましくは10以上の高アスペクト比の場合でも、凹部130を一様に窒化することが可能である。
【0061】
プラズマ窒化処理条件としては、シリコン窒化膜103のウエハWの面上における均一性、特に高アスペクトのトレンチ構造の部位(例えば、溝のトップ、ミドル、ボトム)によるポリシリコン膜102の窒化度合いの差を解消するために、高圧で処理することが好ましい。例えば6.7Pa程度の低圧条件では、イオン主体の活性種が生成されプラズマ中のイオンポテンシャルエネルギーが高く、窒化反応が供給律速となるのに対し、例えば、400Pa以上の比較的高圧条件では、窒素ラジカルを主体とする活性種が生成され、反応律速の窒化反応となることにより、ポリシリコン膜102の凹部形状に沿って均等に窒化反応を進行させて、窒化膜厚の均一性を確保できるものと考えられる。特に、0.5〜3nm程度の窒化膜厚でシリコン窒化膜103を形成する場合には、プラズマ処理装置100を用いて高圧側に制御することによる効果が大きく、均一な成膜が可能になる。
【0062】
従って、例えばチャンバー内処理圧力は66.7〜1333Pa(500mTorr〜10Torr)、好ましくは133.3〜666.5Pa(1Torr〜5Torr)、望ましくは400〜533Pa(3Torr〜4Torr)に設定することができる。処理ガスとしては、Nガスを5%以上、好ましくは10%以上含むガスを用いることが好ましく、Ar、He、Xe、Kr等から選ばれる希ガスを含むことが好ましい。処理ガス流量は、例えば、Ar等の希ガス:0〜5000mL/min、Nガス:10〜500mL/minが好ましく、具体的には、例えば希ガス:1000mL/min、Nガス:100mL/minで用いることができる。
また、処理温度は、250〜800℃とすることが可能であり、400〜800℃がより好ましい。
【0063】
このような条件でプラズマ窒化処理を行なうことにより、シリコン窒化膜(Si)103がポリシリコン膜102の表面に均一に形成される。このシリコン窒化膜103の上には、後の工程でTa膜104が形成されるが、シリコン窒化膜103がない場合、このTa膜104の形成に熱処理を伴うことから、熱処理過程でポリシリコン膜102の表面が酸化されてSiOが生じ、キャパシタ全体の膜厚が増える。ポリシリコン膜102にSiO膜が形成されるとリーク電流を低減できるというメリットがあるが、一方でキャパシタの容量低下を招くという側面がある。そのため、Ta膜104の形成前に、予めポリシリコン膜102表面を窒化しておくことにより、全体の容量の低下を防ぎながらリーク電流抑制を図ることができるので有利である。
【0064】
ポリシリコン膜102の表面を窒化処理してシリコン窒化膜103を成膜した後は、図4(c)に示すように、Taを例えばエトキシタンタルTa(OCを原料としてCVDにより成膜し、酸化雰囲気でRTP(Rapid Thermal Processing)によるアニール(600〜1000℃)を行ってTaを結晶化し、高誘電体層であるTa膜104を形成する。さらに、Ta膜104の上に、上部電極としての窒化チタン膜(TiN膜)105を堆積させることによってキャパシタを形成することができる。
【0065】
次に、本発明の効果を確認した試験結果について説明する。図1に示すプラズマ処理装置100を用い、単結晶シリコンのSi基板に形成したトレンチに対して処理圧力を変えて模擬的に窒化処理を行ない、Si膜を成膜した。その後、MIS型キャパシタの製造過程と同様に、CVDによりTaを成膜し、さらに425℃の条件でオゾンアニールを実施した。このサンプルに対し、トレンチの部位による窒化の程度を比較した。本試験に供したSi基板上のトレンチの形状を図5に示す。図5(a)はトレンチが形成されたSi基板の断面を示す。図5(b)はその表面の要部拡大図であり、Si膜が酸化され、SiON膜に改質されている状態を示している。なお、このトレンチの幅Dは0.25μmであり、アスペクト比(L/D)は、約30であった。
【0066】
処理圧力は、6.7Pa(50mTorr)の低圧処理と、400Pa(3Torr)の高圧処理の二通りで実施した。プラズマ窒化処理における他の条件は以下のとおりである。
【0067】
<低圧条件(6.7Pa)>
処理ガスの流量;Ar/N=1000/40mL/min(sccm)
処理温度;400℃
プラズマへの供給パワー;1.0kW
形成膜厚;1.5nmまたは2.0nm
【0068】
<高圧条件(400Pa)>
処理ガスの流量;Ar/N=1000/100mL/min(sccm)
処理温度;400℃
プラズマへの供給パワー;2.0kW
形成膜厚;1.5nm
【0069】
図5(a)に示すように、トレンチのトップT(この位置でアスペクト比を求めるとその値が略2となる深さ)、ミドルM(同略15となる深さ)、ボトムB(同略30となる深さ)の3カ所について、電子エネルギー損失分光法(Electron Energy-Loss Spectroscopy:EELS)により界面領域のNの存在を分析した。界面領域は、図5(b)に示すように、Si層とSiON膜との界面(Si/SiON界面)およびSiONとTa層との界面(SiON/TaO界面)とした。
【0070】
低圧処理(6.7Pa)により1.5nmの膜厚で窒化処理をしたサンプルのトップTにおける界面の分析結果を図6に、ミドルMにおける分析結果を図7に、ボトムにおける分析結果を図8に示した。
さらに、高圧処理(400Pa)により1.5nmの膜厚で窒化処理をしたサンプルのトップTにおける界面の分析結果を図9に、ミドルMにおける分析結果を図10に、ボトムにおける分析結果を図11に示した。
【0071】
図6〜図8に示す結果から、低圧条件(6.7Pa)の場合は、Si/SiON界面においてNの存在は検出されなかった。Si/SiON界面は、本来ならば窒化膜厚に相当する深さであるから、均等に窒化が行なわれていればトップT、ミドルM、ボトムBのいずれにおいてもNの存在が検出されるはずである。このことから、プラズマ処理装置100を用いても、低圧条件(6.7Pa)では、窒化膜を均等に成膜することは困難であると考えられた。
【0072】
一方、高圧処理の場合は、図9〜図11に示すように、測定部位とした3カ所(トップT、ミドルM、ボトムB)において、Si/SiON界面でNが検出され、十分な膜厚で窒化が進行したことが確認された。なお、SiON/TaO界面でNが殆ど検出されていないのは、Siの窒化後、Taの成膜およびOアニールにより、Ta側から酸化が進み、N濃度が検出限界以下になったものと考えられる。
【0073】
図12は、図1のプラズマ処理装置100を用いて上記高圧条件でSi基板に形成されたシリコン窒化膜(Si)のX線光電子分光分析法(XPS分析)によるN(1S)のプロファイルを示すものである。この図12より、サブ・ピークが検出されていないことから、高純度の良質なシリコン窒化膜を形成できることが確認された。
【0074】
また、図3と同様の構成のMIS構造のキャパシタを有する半導体装置を製造し、C−V特性を測定した結果、図1のプラズマ処理装置100を用いて上記高圧条件でシリコン窒化膜を成膜することにより、シリコン窒化膜を形成しなかった場合に比べて、キャパシタンスが22.7[pF]から27[pF]に向上したことが確認された。
【0075】
以上、本発明の実施形態を述べたが、本発明は上記実施形態に制約されることはなく、種々の変形が可能である。
例えば、図3および図4のポリシリコン膜102に換えて、下部電極として、HSG(Hemispherical Grained)層が形成されたポリシリコン膜を対象としてもよい。また、本発明方法は、DRAMなどの半導体装置のメモリセルの製造過程のほか、例えば、フラッシュメモリのFG−poly(フローティングゲートのポリシリコン層)の表面を窒化する場合など、シリコンを窒化させる必要のある液晶デバイス等や、化合物半導体などの種々の半導体装置の製造にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明方法の実施に適したプラズマ処理装置の一例を示す概略断面図。
【図2】平面アンテナ部材の構造を示す図面。
【図3】半導体装置の概略構造を説明するためのウエハ断面の模式図。
【図4】キャパシタの製造工程を説明するためのウエハ断面の模式図。
【図5】測定部位を説明するためのウエハ断面の模式図。
【図6】窒化膜厚1.5nm、低圧処理後のEELSによるトップの界面のNの検出結果のチャートを示す図面。
【図7】窒化膜厚1.5nm、低圧処理後のEELSによるミドルの界面のNの検出結果のチャートを示す図面。
【図8】窒化膜厚1.5nm、低圧処理後のEELSによるボトムの界面のNの検出結果のチャートを示す図面。
【図9】窒化膜厚1.5nm、高圧処理後のEELSによるトップの界面のNの検出結果のチャートを示す図面。
【図10】窒化膜厚1.5nm、高圧処理後のEELSによるミドルの界面のNの検出結果のチャートを示す図面。
【図11】窒化膜厚1.5nm、高圧処理後のEELSによるボトムの界面のNの検出結果のチャートを示す図面。
【図12】XPS分析によるSi膜の分析チャートを示す図面。
【符号の説明】
【0077】
1;チャンバー(処理室)
2;サセプタ
3;支持部材
5;ヒータ
15;ガス導入部材
16;ガス供給系
17;Arガス供給源
18;Nガス供給源
23;排気管
24;排気装置
25;搬入出口
26;ゲートバルブ
28;マイクロ波透過板
29;シール部材
31;平面アンテナ部材
32;マイクロ波放射孔
37;導波管
37a;同軸導波管
37b;矩形導波管
39;マイクロ波発生装置
40;モード変換器
50;プロセスコントローラ
100;プラズマ処理装置
101;層間絶縁膜
102;ポリシリコン膜
103;シリコン窒化膜
104;Ta
105;TiN膜
110;キャパシタ
W;ウエハ(基板)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理体表面に露出したポリシリコン膜を窒素含有プラズマにより窒化するプラズマ窒化処理方法であって、
複数のスロットを有する平面アンテナにて処理室内にマイクロ波を導入してプラズマを発生させるプラズマ処理装置により、66.7Pa〜1333Paの処理圧力で前記ポリシリコン膜をプラズマ窒化処理することを特徴とする、プラズマ窒化処理方法。
【請求項2】
前記処理圧力が、133.3Pa〜666.5Paであることを特徴とする、請求項1に記載のプラズマ窒化処理方法。
【請求項3】
前記窒素含有プラズマは、少なくとも5%以上の窒素を含むことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のプラズマ窒化処理方法。
【請求項4】
前記窒素含有プラズマは、窒素ガスと希ガスとを含むガスにより生成されるプラズマであることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のプラズマ窒化処理方法。
【請求項5】
前記窒素ガスの流量が10〜500ml/minであり、前記希ガスの流量が1〜5000ml/minであることを特徴とする、請求項4に記載のプラズマ窒化処理方法。
【請求項6】
処理温度が、250℃〜800℃であることを特徴とする、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のプラズマ窒化処理方法。
【請求項7】
前記ポリシリコン膜に形成される窒化膜の膜厚が0.5〜3nmであることを特徴とする、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のプラズマ窒化処理方法。
【請求項8】
前記被処理体表面のポリシリコン膜が、凹部を有する形状であることを特徴とする、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のプラズマ窒化処理方法。
【請求項9】
前記凹部の深さと開口幅との比(深さ/開口幅)が、1〜50であることを特徴とする、請求項8に記載のプラズマ窒化処理方法。
【請求項10】
前記ポリシリコン膜が、MISキャパシタの下部電極であることを特徴とする、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のプラズマ窒化処理方法。
【請求項11】
半導体基板上に、下部電極としてのポリシリコン膜を形成する工程と、
前記ポリシリコン膜を窒化処理してシリコン窒化膜を形成する窒化工程と、
前記シリコン窒化膜上に誘電体層を形成する工程と、
前記誘電体層の上に、上部電極を形成する工程と、を含む半導体装置の製造方法であって、
前記窒化工程は、複数のスロットを有する平面アンテナにて処理室内にマイクロ波を導入して窒素含有プラズマを発生させるプラズマ処理装置により66.7Pa〜1333Paの処理圧力で前記ポリシリコン膜をプラズマ窒化処理するものであることを特徴とする、半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記処理圧力が、133.3Pa〜666.5Paであることを特徴とする、請求項11に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記窒素含有プラズマは、少なくとも5%以上の窒素を含むことを特徴とする、請求項11または請求項12に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記窒素含有プラズマは、窒素ガスと希ガスとを含むガスにより生成されるプラズマであることを特徴とする、請求項11から請求項13のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記窒素ガスの流量が10〜500ml/minであり、前記希ガスの流量が1〜5000ml/minであることを特徴とする、請求項14に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項16】
処理温度が、250℃〜800℃であることを特徴とする、請求項11から請求項15のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項17】
前記ポリシリコン膜に形成される窒化膜の膜厚が0.5〜3nmであることを特徴とする、請求項11から請求項16のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項18】
前記被処理体表面のポリシリコン膜が、凹部を有する形状であることを特徴とする、請求項11から請求項17のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項19】
前記凹部の深さと開口幅との比(深さ/開口幅)が、1〜50であることを特徴とする、請求項18に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項20】
前記ポリシリコン膜が、MISキャパシタの下部電極であることを特徴とする、請求項11から請求項19のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項21】
コンピュータ上で動作し、実行時に、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載されたプラズマ窒化処理方法が行なわれるようにプラズマ処理装置を制御するものであることを特徴とする、制御プログラム。
【請求項22】
コンピュータ上で動作する制御プログラムが記憶されたコンピュータ記憶媒体であって、
前記制御プログラムは、実行時に、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載されたプラズマ窒化処理方法が行なわれるように、プラズマ処理装置を制御するものであることを特徴とする、コンピュータ記憶媒体。
【請求項23】
複数のスロットを有する平面アンテナにて真空排気可能な処理室内にマイクロ波を導入してプラズマを発生させるプラズマ処理装置であって、
前記処理室内で、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載されたプラズマ窒化処理方法が行なわれるように制御する制御部を備えたことを特徴とする、プラズマ処理装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−5696(P2007−5696A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−186526(P2005−186526)
【出願日】平成17年6月27日(2005.6.27)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】