説明

ホースクリップ組付け状態検査方法

【課題】ホースクリップが周方向の所定位置に組付けられているかどうかを容易に管理することが可能なホースクリップ組付け状態検査方法を提供する。
【解決手段】ゴムホース及びこのゴムホースに組み付けられたホースクリップをカメラで撮像する工程と、これらのゴムホース及びホースクリップの画像を検査パターンに画像処理する工程と、この検査パターンを、予めホースクリップの合格パターンとして記憶されたホースクリップの所定周方向組付け位置のパターンと比較する工程と、ホースクリップの周方向組付け位置の合否を判定する工程と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管同士の接続部を締め付けるホースクリップの組付け状態を検査するホースクリップ組付け状態検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジン側の配管にゴムホース等を接続する場合、気密性確保及び抜け防止のために、エンジン側の配管とゴムホース等の接続部にホースクリップが組み付けられ、接続部を締め付ける構造が採用されている。このようなホースクリップの組付け状態を検査することで組付け不良を無くし、上記接続部の気密性確保及び抜け防止を図ることが可能になる。
従来のホースクリップ組付け状態検査方法として、車両のフューエル配管の連結部分の連結状態を画像処理で検査するものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1の図3、図7によれば、フューエルチューブ1にフューエルホース2を差し込み、これらのフューエルチューブ1とフューエルホース2との連結部分をカメラで撮像し、撮像画像の配管画像Mに対して管径方向に画素の濃淡レベルをスキャンして、フューエルチューブ1に大径に形成されたスプール部1bとフューエルホース2の先端2eとの軸方向での位置座標を検出する。また、配管画像Mに対して軸方向の画素の濃淡レベルをスキャンしてホースクリップ3の端3eの位置座標を検出する。そして、スプール部1bとフューエルホース2の先端2eとの間の寸法L1、フューエルホース2の先端2eとホースクリップの端3eとの間の寸法L2を測定することで、連結部分の連結状態の良否を判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−82928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の図8に示すように、ホースクリップ3は、フューエルホース2の外周に弾性的に嵌合されるリング部3aと、このリング部3aの両端から外方向に延びる一対の把手部3b,3bとからなるが、これらの把手部3b,3bは外方向に突出するため、把手部3b,3bの周方向位置によってはエンジンの振動によって他の部品に干渉し、その部品に悪影響を及ぼしたりホースクリップ3自体の変形、ずれ、あるいは脱落等のおそれがあるため、ホースクリップ3の周方向組付け位置を管理する必要がある。
【0006】
また、上記のホースクリップ3の周方向組付け位置を検査する場合、例えば、ホースクリップの特定部分に注目し、その特定部分が周方向のどの位置にあるのかをセンサ等で検出することが考えられるが、センサをホースクリップ3の周囲で移動させたり、ホースクリップ3の周囲に複数のセンサを配置する必要があり、検査が煩雑になったりコストが嵩む。
【0007】
本発明の目的は、ホースクリップが周方向の所定位置に組付けられているかどうかを容易に管理することが可能なホースクリップ組付け状態検査方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、かかる目的を達成するため、第1配管の外周面に第2配管の内周面を嵌合させて前記第1配管と前記第2配管とを接続する際に、第1配管と第2配管との接続部を締め込むために第2配管の外周面に組み付けられるホースクリップの組付け状態を検査するホースクリップ組付け状態検査方法であって、前記第2配管及びこの第2配管に組み付けられた前記ホースクリップをカメラで撮像する工程と、これらの第2配管及びホースクリップの画像を検査パターンに画像処理する工程と、この検査パターンが、予めホースクリップの合格パターンとして記憶されたホースクリップの所定周方向組付け位置のパターンと合致するかどうか比較する工程と、前記ホースクリップの周方向組付け位置の合否を判定する工程と、を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、第2配管及びホースクリップの画像の検査パターンを合格パターンと比較することで、ホースクリップの周方向位置が正しいものを選別することができ、ホースクリップの周方向組付け位置が正しい位置になるように容易に管理することができる。この結果、ホースクリップの形状による他部品及びホースクリップ自体への影響に対処することができる。
【0010】
また、前記ホースクリップは、前記第2配管に1周を越えて巻き付くように延びる環状部と、この環状部の両端部に外方に突出するように形成された突出部とからなり、前記検査パターン及び前記合格パターンは、前記接続部の軸方向に並ぶ前記第2配管とホースクリップとの濃淡により構成されているのが好ましい。
【0011】
本発明によれば、第2配管とホースクリップとの濃淡が接続部の軸方向に並ぶことにより検査パターン及び合格パターンが形成され、検査パターンが合格パターンに合致することにより、ホースクリップの周方向組付け位置が合格となる。このような検査方法により、ホースクリップの周方向組付け位置の合否を容易に判定することができる。
【0012】
更に、前記合格パターンは、前記第1配管と第2配管とが接続された状態で該接続部の近傍に配設される組立て対象物から離れる方向に前記ホースクリップの2つの突出部が突出するように組み付けられた場合に得られるパターンであるのが好ましい。
【0013】
本発明によれば、ホースクリップの2つの突出部が組立て対象物から離れる方向に突出されている場合を合格パターンとすることで、組み付け後にホースクリップの2つの突出部が組立て対象物(エンジン)と干渉することが防止される。
また、2つの突出部が、組立て対象物から離れる方向に突出されることで、2つの突出部間に表れる軸方向の濃淡を正面からカメラで撮像することが容易となり、クリップ合否の判定を精度よく行うことが可能になる。
【0014】
また更に、好ましくは、前記カメラはロボットに搭載され、検査ライン上の前記対象物に設けられる前記接続部の前記第2配管及び前記ホースクリップが撮像される所定位置に前記ロボットに指示された位置情報に基づいてロボットにより前記カメラが移動され、撮像される。
本発明によれば、対象物の機種に応じて異なる第2配管及びホースクリップの撮像位置をそれぞれロボットに指示することで、多機種混合ラインでもホースクリップの組付け状態の検査に柔軟に対応することができる。
【0015】
更に、前記ロボットは、好ましくは、前記検査ラインの側方に複数設けられる。
本発明によれば、複数のロボットで同時に異なる箇所の第2配管及びホースクリップを撮像することができ、検査時間を短縮することができ、生産性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0016】
以上記載のごとく本発明によれば、第2配管及びホースクリップの画像の検査パターンを合格パターンと比較することで、ホースクリップの周方向位置が正しいものを選別することができ、ホースクリップの周方向組付け位置が正しい位置になるように容易に管理することができるため、ホースクリップの形状による他部品及びホースクリップ自体への影響に対処することができる。
【0017】
また、第2配管及びホースクリップの画像の検査パターン及び合格パターンは、第1配管と第2配管との接続部の軸方向に並ぶ第2配管とホースクリップとの濃淡により構成されているので、ホースクリップの周方向組付け位置の合否を容易に判定することができる。
【0018】
更に、合格パターンが、第1配管が取付けられる対象物から離れる方向にホースクリップの2つの突出部が突出するように組み付けられた場合に、これらの突出部間を撮像した画像から得られたパターンであるので、2つの突出部間では第2配管及びホースクリップをそれぞれ正面から撮像することができ、カメラがエンジン側と干渉する心配がなく、撮像しやすく、判定精度が向上する。
【0019】
また更に、対象物の機種に応じて異なる第2配管及びホースクリップの撮像位置をロボットに指示することで、多機種混合ラインでもホースクリップの組付け状態の検査に柔軟に対応することができる。
更に、複数のロボットで同時に異なる箇所の第2配管及びホースクリップを撮像することができ、検査時間を短縮することができて、生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係るホースクリップ組付け状態検査装置及びエンジンの検査ラインを示す斜視図である。
【図2】本発明に係るホースクリップ組付け状態検査装置及びエンジンの検査ラインを示す平面図である。
【図3】本発明の実施形態1に係るホースクリップの組付け状態を説明する斜視図であり、(a)はホースクリップが組み付けられた状態を示す斜視図、(b)はゴムホースが接続される前のチューブの斜視図である。
【図4】実施形態1に係るホースクリップの斜視図である。
【図5】本発明に係るホースクリップ組付け状態検査装置のブロック図である。
【図6】実施形態1に係るホースクリップ組付け状態の合格パターンの説明図であり、(a)は配管接続部とホースクリップの撮像範囲を示し、(b)は(a)のb−b線断面図を示し、(c)は合格パターンを示す。
【図7】実施形態1に係るホースクリップ組付け状態の不合格パターンの説明図であり、(a)は配管接続部とホースクリップの撮像範囲を示し、(b)は(a)のb−b線断面図を示し、(c)は不合格パターンを示す。
【図8】実施形態1に係るホースクリップ組付け状態の不合格パターンの説明図であり、(a)は配管接続部とホースクリップの撮像範囲を示し、(b)は(a)のb−b線断面図を示し、(c)は不合格パターンを示す。
【図9】本発明に係るホースクリップ組付け状態検査方法を説明するフローチャートである。
【図10】本発明の実施形態2に係るホースクリップの斜視図である。
【図11】実施形態2に係るホースクリップ組付け状態の合格パターンの説明図であり、(a)は配管接続部とホースクリップの撮像範囲を示し、(b)は(a)のb−b線断面図、(c)は合格パターンを示す。
【図12】実施形態2に係るホースクリップ組付け状態の不合格パターンの説明図であり、(a)は配管接続部とホースクリップの撮像範囲を示し、(b)は(a)のb−b線断面図を示し、(c)は不合格パターンを示す。
【図13】本発明に係るホースクリップ組付け状態検査方法で使用するエンジン機種毎の検査情報データベースを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではない。
【0022】
(実施形態1)
図1に示すように、エンジン11の生産ライン12の終盤は、エンジン11にワイヤリングハーネス、各種配管などが組み付けられるドレスアップライン13と呼ばれ、このドレスアップライン13の中に、各種配管の接続部を締め付けるホースクリップの組付け状態を検査する検査ライン14が設けられ、この検査ライン14にホースクリップ組付け状態検査装置20が設置されている。
【0023】
検査ライン14は、複数のローラーを有するコンベア16と、このコンベア16上の所定軌道を搬送される複数のパレット17(図中には1台のみ図示)とを備え、各パレット17に機種の異なるエンジン11がそれぞれ1台ずつ位置決めされた状態で載置されている多機種混合ラインである。
検査ライン14では、各パレット17及びエンジン11は、一定の流れの途中でホースクリップの組付け状態の検査のために一時停止される。
【0024】
ホースクリップ組付け状態検査装置20は、ホースクリップの組付け状態を撮像する2台のカメラ21,21と、これらのカメラ21,21にそれぞれ付設されて撮像対象としての配管接続部及びホースクリップを照らす照明灯22と、これらのカメラ21及び照明灯22をそれぞれ支持するために検査ライン14の両側に配置されたアーム型のロボット23,24と、これらのロボット23,24間でパレット17の位置を検知するとともにパレット17に載せられたエンジン11の各種情報を取得するパレットセンサ25と、ロボット23,24を制御するとともにカメラ21,21で撮像された画像に基づいて検査処理を行う検査処理装置26とからなる。なお、符号35は検査ライン14、カメラ21,21、照明灯22及びロボット23,24を覆う安全柵であり、外部からの光がカメラ21,21及び撮像対象へ入射しないようにする外乱光防止柵を兼ねている。
【0025】
図2に示すように、検査ライン14の両側にロボット23,24が配置され、各パレット17及びエンジン11が一時停止中に、ロボット23,24の先端に取付けられたカメラ21,21がそれぞれ独立してエンジン11近傍の異なる所定位置(エンジン11の機種毎に定められた位置)に移動され、配管接続部及びホースクリップがカメラ21,21で撮像される。
【0026】
図3(a)に示すように、エンジン11の壁部11aの表面にチューブ接続口11bが設けられ、このチューブ接続口11bに金属製のチューブ41が取付けられ、このチューブ41の先端部41aの外周面にゴムホース42の内周面が嵌められて接続され、チューブ41とゴムホース42との接続部43を締め付けてチューブ41内及びゴムホース42内を流れる流体の外部への漏れ防止と、チューブ41からのゴムホース42の抜け防止とを図るホースクリップ45がゴムホース42の外周面に組み付けられている。
【0027】
図3(b)は図3(a)の状態からゴムホース42及びホースクリップ45が外された状態を示している。
図3(b)に示すように、チューブ41は、エンジン11の壁部11aから垂直に延びて壁部11aに沿うように屈曲された屈曲部41cと、この屈曲部41cの延長上に一体に設けられた先端部41aとからなる。
先端部41aには、ゴムホース42(図3(a)参照)の嵌合を容易にする先端テーパ部41dが形成され、屈曲部41cの端部には、先端部41a及び屈曲部41cよりも大径に形成されることでゴムホース42の先端部41aへの嵌合長さを規制する環状膨出部41eが形成されている。
【0028】
図4に示すように、ホースクリップ45は、ばね鋼からなる帯状体がリング形に形成された部品であり、一周を越えて周方向に延びる環状部45aと、この環状部45aの両端に外方に突出するように曲げ形成された大幅突出部45b及び小幅突出部45cとからなる。
【0029】
環状部45aは、ゴムホース42(図3(a)参照)の外周面を縮径方向への弾性力により周方向のどの位置でも均一に締め込める部分であり、大幅突出部45b及び小幅突出部45cは二本の指で把持する部分である。二本の指に力を入れてホースクリップ45の弾性力に抗して大幅突出部45b、小幅突出部45c間の距離を狭めることで環状部45aを拡径することができる。
【0030】
環状部45aには窓部45e,45fが形成されている。
大幅突出部45bは環状部45aと同じ幅に形成され、環状部45a及び大幅突出部45bに亘って窓部45gが形成されている。
環状部45aには他の部分よりも幅が小さい小幅延出部45hが形成され、この小幅延出部45hの端部に小幅突出部45cが一体成形され、これらの小幅延出部45h及び小幅突出部45cは窓部45gを貫通するように窓部45gよりも幅が小さく形成されている。
【0031】
図5に示すように、ホースクリップ組付け状態検査装置20は、カメラ21と、パレットセンサ25と、このパレットセンサ25からのパレット位置信号PPSを受ける検査司令部51と、この検査司令部51からの指令信号SSを受けて各種処理及び制御を行う処理・制御部52と、この処理・制御部52に制御されるロボット23,24と、検査司令部51からの点灯指令信号TSSを受けて点灯する照明灯22とからなる。
【0032】
検査司令部51は、検査ライン14にパレットが到着し、パレットセンサ25がパレットの一時停止を検知した時点で照明灯22を点灯させるとともに処理・制御部52に各種処理及び制御の指令を発する。
【0033】
処理・制御部52は、カメラ21によって撮像された画像信号GSを処理してゴムホースとホースクリップとによる検査パターンを形成する画像処理部54と、エンジン機種毎の検査情報データベース(図13参照)が保存された記憶部55と、これらの画像処理部54から出力される検査パターンKP及び記憶部55から出力される合格パターンPPを比較する比較部56と、この比較部56から出力される比較信号CSを受けてホースクリップ組付け状態の合否を判定する判定部57と、この判定部57から出力される合否信号(合格信号PS又は不合格信号RS)を受けて合否を表示する表示部58と、パレットセンサ25からのパレット位置信号PPSに基づきパレットが一時停止したときに検査司令部51からの指令信号SSを受けてロボット23,24に駆動信号DSを送って制御するロボット制御部59とからなる。
【0034】
以上に述べたホースクリップ組付け状態検査方法の要領を次に説明する。ここでは、ロボットの説明はロボット23のみについて行う。
図6(a)はカメラ21により撮像された画像、図6(b)は図6(a)のb−b線断面図、図6(c)は図6(a)の画像の一部を処理して出来たパターン(合格パターン)を示している。
図1、図5及び図6(a)に示すように、まず、カメラ21をロボット23で所定位置に移動させ、チューブ41とゴムホース42との接続部43をホースクリップ45を含めて照明灯22の光を照射した状態で撮像する。図中の符号61がカメラによる撮像範囲を示す枠であり、この枠61内が撮像画像62として検査処理装置26に送られる。
【0035】
検査処理装置26では、画像処理部54において、撮像画像62に基づいて、接続部43の軸方向でのゴムホース42及びホースクリップ45のそれぞれの位置(軸方向組付け位置)を検査するため、チューブ41の環状膨出部41eとゴムホース42の端面42aとの距離d1、ゴムホース42の端面42aとホースクリップ45の端面45kとの距離d2を測定する。
【0036】
これらの距離d1,d2が規定の範囲に入っていれば、次に、ホースクリップ45の周方向組付け位置を検査する。
図6(a),(b)では、ホースクリップ45は、大幅突出部45b及び小幅突出部45cがエンジン11(図3(a)参照)から離れる方向に突出するようにゴムホース42に組み付けられており、エンジン11に取付けられる他の部品、例えばワイヤーハーネスや他の配管がエンジン11の振動に伴って振動したとしても、これらの部品と大幅突出部45b及び小幅突出部45cとは干渉しにくいので、このようなホースクリップ45の周方向の向き、即ち、周方向組付け位置が好ましい。従って、このようなホースクリップ45の周方向組付け位置が本検査では合格となる。
【0037】
この場合の合格の判定は、図6(a)において、撮像画像62内で接続部43の延びる方向、即ち接続部43の軸方向に長い検査範囲65内の各画素から画像処理されて得られる一定のパターンによって行われる。
即ち、図6(c)に示すように、ゴムホース42の色である黒色(濃色)とホースクリップ45の色である灰色(淡色)という2種類の濃淡(明度)で表されるパターンとしての合格パターンPPから判定される。
【0038】
合格パターンPPは、図の上(又は下)から順に濃色→淡色→濃色→淡色→濃色→淡色→濃色というように軸方向に並んだものである。
この合格パターンPPは、検査処理装置26の記憶部55に保存され、測定された検査パターンKPと合格パターンPPとを検査処理装置26の比較部56で比較したときに、検査パターンKPが合格パターンPPに合致すれば、ホースクリップ45の周方向組付け位置の判定は合格となる。
【0039】
上記したように、ゴムホース42とホースクリップ45の色の濃淡は共に無彩色(白、黒、そして白から黒に至る濃度の異なる中間色としての灰色であり、明度で区別される)で構成されるのが望ましい。
【0040】
図7(a)はカメラ21により撮像された画像、図7(b)は図7(a)のb−b線断面図、図7(c)は図7(a)の画像を処理して出来た検査パターンを示している。
図7(b)に示すように、ホースクリップ45が、図6(b)の周方向組付け位置に対して周方向に反時計回りにずれて組み付けられた場合には、図7(a)に示された検査範囲65内の画素から画像処理されて得られた図7(c)に示す検査パターンKP1は、図の上(又は下)から順に濃色→淡色→濃色→淡色→濃色というように軸方向に並んだものである。この検査パターンKP1と図6(c)の合格パターンPPとを比較すると、合致しないので、不合格となる。
【0041】
図8(a)はカメラ21により撮像された画像、図8(b)は図8(a)のb−b線断面図、図8(c)は図8(a)の画像を処理して出来た検査パターンを示している。
図8(b)に示すように、ホースクリップ45が、図6(b)の周方向組付け位置に対して周方向に時計回りにずれて組み付けられた場合には、図8(a)に示された検査範囲65内の画素から画像処理されて得られた図8(c)に示す検査パターンKP2は、図の上(又は下)から順に濃色→淡色→濃色というように軸方向に並んだものである。この検査パターンKP2と図6(c)の合格パターンPPとを比較すると、合致しないので、不合格となる。
【0042】
次に、フローチャートを用いて上記したホースクリップ組付け状態検査方法を説明する。
なお、図中のS1,S2,・・・はステップ番号を表している。
ステップS1では、検査ラインを流れてきたエンジン機種の検査情報を取得する。
ステップS2では、パレットに載置されたエンジンが検査ラインの所定位置に停止したかどうか判断する。
エンジンが検査ラインで停止しない(NO)場合は、再度ステップS2を実行する。
エンジンが検査ラインで停止した(YES)場合は、ステップS3に進む。
【0043】
ステップS3では、カメラをロボットによりそのエンジン機種の所定位置に移動させ、そして、カメラ位置を固定する。
ステップS4では、カメラをそのエンジン機種の所定の倍率までズームする。
尚、ズーム機能のないカメラを使用してもよい。その際は、ステップS4は省略される。
ステップS5では、カメラの撮像を開始する。
ステップS6では、カメラによる撮像画像から画像処理により検査パターンを得る。
ステップS7では、そのエンジン機種の検査パターンと合格パターンとを比較する。
【0044】
ステップS8では、検査パターンが合格パターンに合致しているかどうか判断する。
検査パターンが合格パターンに合致していない(NO)場合は、ステップS9に進む。
検査パターンが合格パターンに合致している(YES)場合は、ステップS10に進む。
ステップS9では、ホースクリップの組付け状態を不合格と判定し、「不合格」と表示する。
ステップS10では、ホースクリップの組付け状態を合格と判定し、「合格」と表示する。
【0045】
(実施形態2)
図10に示すように、ホースクリップ71は、ばね鋼からなる針金がリング形に形成された部品であり、一周を越えて周方向に延びる環状部71aと、この環状部71aの両端に外方に突出するように曲げ形成された突出部71b,71cとからなる。
【0046】
環状部71aは、ゴムホース42(図3(a)参照)の外周面を縮径方向への弾性力により周方向のどの位置でも均一に締め込める部分であり、突出部71b,71cは二本の指で把持する部分である。二本の指に力を入れてホースクリップ71の弾性力に抗して突出部71b,71c間の距離を狭めることで環状部71aを拡径することができる。
【0047】
図11(a)はカメラ21により撮像された画像、図11(b)は図11(a)のb−b線断面図、図11(c)は図11(a)の画像を処理して出来た合格パターンを示している。
図1、図5及び図11(a)に示すように、まず、カメラ21をロボット23で所定位置に移動させ、チューブ41とゴムホース42との接続部43をホースクリップ71を含めて照明灯22の光を照射した状態で撮像する。図中の符号73がカメラによる撮像範囲を示す枠であり、この枠73内が撮像画像74として検査処理装置26に送られる。
【0048】
検査処理装置26では、画像処理部54において、撮像画像74に基づいてチューブ41の環状膨出部41eとゴムホース42の端面42aとの距離d3、ゴムホース42の端面42aとホースクリップ71の端面71kとの距離d4を測定する。
【0049】
これらの距離d3,d4が規定の範囲に入っていれば、次に、ホースクリップ71の周方向組付け位置を検査する。
図11(a),(b)に示すように、ホースクリップ71は、突出部71b,71cがエンジン11(図3(a)参照)から離れる方向に突出するようにゴムホース42に組み付けられ、エンジン11に取付けられる他の部品、例えばワイヤーハーネスや他の配管と突出部71b,71cとは干渉しにくいので、このようなホースクリップ71の周方向組付け位置が本検査では合格となる。
【0050】
この場合の合格の判定は、図11(a)において、撮像画像74における検査範囲75内の各画素から画像処理されて得られる一定のパターンによって行われる。
即ち、図11(c)に示すように、ゴムホース42の色である黒色(濃色)とホースクリップ45の色である灰色(淡色)という2種類の濃淡(明度)で表されるパターンとしての合格パターンPP2から判定される。
合格パターンPP2は、図の上(又は下)から順に濃色→淡色→濃色というように軸方向に並んだものであり、且つ淡色の幅がW1となっている。
【0051】
この合格パターンPP2は、検査処理装置26の記憶部55に保存され、測定された検査パターンと合格パターンPP2とを検査処理装置26の比較部56で比較したときに、検査パターンが合格パターンPP2に合致すれば、ホースクリップ71の周方向組付け位置の判定は合格となる。
【0052】
図12(a)はカメラ21により撮像された画像、図12(b)は図12(a)のb−b線断面図、図12(c)は図12(a)の画像を処理して出来た検査パターンを示している。
図12(b)に示すように、ホースクリップ71が、図11(b)の周方向組付け位置に対して周方向に反時計回りにずれて組み付けられた場合には、図12(a)に示された検査範囲75内の画素から画像処理されて得られた図12(c)に示す検査パターンKP2は、図の上(又は下)から順に濃色→淡色→濃色というように軸方向に並んだものであるが、淡色の幅はW2である。この検査パターンKP2を図11(c)の合格パターンPP2と比較すると、合致しないので、不合格となる。
【0053】
図13はエンジン機種毎の検査情報データベースを示しており、図5に示した検査処理装置26の記憶部55に保存されている。
検査情報としては、エンジン機種毎に、右カメラと左カメラとで別々に撮像するためのカメラ位置のX座標、Y座標及びZ座標、ズームの倍率、合格パターンが設定されている。
なお、図中の「不使用」とは、そのエンジン機種では左カメラは使用しないということである。
【0054】
尚、本実施形態では、図9のステップS8に「検査パターンが合格パターンに合致しているか?」と記載したが、「合致」とは、少なくとも検査パターンと合格パターンとで濃色と淡色の数及び並びの順序が等しく、且つ少なくとも一カ所の淡色(ホースクリップ側)の幅(図11(c)に示したW1、図12(c)に示したW2)が所定の範囲内で等しいことをいう。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、ホースクリップの周方向組付け位置の検査に好適である。
【符号の説明】
【0056】
11 対象物(エンジン)
14 検査ライン
20 ホースクリップ組付け状態検査装置
21 カメラ
22 照明灯
23,24 ロボット
41 第1配管(チューブ)
42 第2配管(ゴムホース)
43 接続部
45,71 ホースクリップ
45a,71a 環状部
45b 突出部(大幅突出部)
45c 突出部(小幅突出部)
62、74 画像(撮像画像)
71b,71c 突出部
KP,KP1,KP2 検査パターン
PP,PP2 合格パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1配管の外周面に第2配管の内周面を嵌合させて前記第1配管と前記第2配管とを接続する際に、第1配管と第2配管との接続部を締め込むために第2配管の外周面に組み付けられるホースクリップの組付け状態を検査するホースクリップ組付け状態検査方法であって、
前記第2配管及びこの第2配管に組み付けられた前記ホースクリップをカメラで撮像する工程と、
これらの第2配管及びホースクリップの画像を検査パターンに画像処理する工程と、
この検査パターンが、予めホースクリップの合格パターンとして記憶されたホースクリップの所定周方向組付け位置のパターンと合致するかどうか比較する工程と、
前記ホースクリップの周方向組付け位置の合否を判定する工程と、
を備えることを特徴とするホースクリップ組付け状態検査方法。
【請求項2】
前記ホースクリップは、前記第2配管に1周を越えて巻き付くように延びる環状部と、この環状部の両端部に外方に突出するように形成された突出部とからなり、
前記検査パターン及び前記合格パターンは、前記接続部の軸方向に並ぶ前記第2配管とホースクリップとの濃淡により構成されていることを特徴とする請求項1記載のホースクリップ組付け状態検査方法。
【請求項3】
前記合格パターンは、前記第1配管と第2配管とが接続された状態で該接続部の近傍に配設される組立て対象物から離れる方向に前記ホースクリップの2つの突出部が突出するように組み付けられた場合に得られるパターンであることを特徴とする請求項2記載のホースクリップ組付け状態検査方法。
【請求項4】
前記カメラはロボットに搭載され、検査ライン上の前記対象物に設けられる前記接続部の前記第2配管及び前記ホースクリップが撮像される所定位置に前記ロボットに指示された位置情報に基づいてロボットにより前記カメラが移動され、撮像されることを特徴とする請求項3記載のホースクリップ組付け状態検査方法。
【請求項5】
前記ロボットは、前記検査ラインの側方に複数設けられることを特徴とする請求項4記載のホースクリップ組付け状態検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−24696(P2013−24696A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−159086(P2011−159086)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【Fターム(参考)】