マーク検出方法及び装置、並びに露光方法及び装置
【課題】物体に設けられた複数のマークをより短時間に高精度に検出する。
【解決手段】ウエハマークの位置を検出するマーク検出方法であって、複数のアライメント系AL1,AL21〜AL24の検出領域に対してウエハWを移動中に、アライメント系AL1,AL21〜AL24とウエハWの表面とのデフォーカス量を計測し、この計測結果に基づいてウエハWの面位置及び傾斜角の少なくとも一方を制御し、ウエハマークWMC1,WMA1,WMD1がアライメント系AL22,AL1,AL23の検出領域内に達したときに、ウエハWを静止させて、アライメント系AL22,AL23で対応するウエハマークWMC1,WMD1の位置を検出する。
【解決手段】ウエハマークの位置を検出するマーク検出方法であって、複数のアライメント系AL1,AL21〜AL24の検出領域に対してウエハWを移動中に、アライメント系AL1,AL21〜AL24とウエハWの表面とのデフォーカス量を計測し、この計測結果に基づいてウエハWの面位置及び傾斜角の少なくとも一方を制御し、ウエハマークWMC1,WMA1,WMD1がアライメント系AL22,AL1,AL23の検出領域内に達したときに、ウエハWを静止させて、アライメント系AL22,AL23で対応するウエハマークWMC1,WMD1の位置を検出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ又はガラス基板等の物体に配置されたマークの位置情報を検出するためのマーク検出技術、このマーク検出技術を用いる露光技術、及びこの露光技術を用いるデバイス製造技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば半導体デバイスを製造するリソグラフィ工程で使用される露光装置は、半導体ウエハ(以下、単にウエハという。)の複数の層間での重ね合わせ精度を高く維持するために、アライメント系を用いて複数のショット領域から選択されたショット領域(アライメントショット)に付設されたマーク(ウエハマーク)の位置を検出している。そして、検出されたマーク位置を例えばEGA方式で統計処理して、各ショット領域の配列座標を求め、この配列座標に基づいてウエハを駆動することによって、ウエハの各ショット領域にレチクルのパターンの像を高精度に重ね合わせて露光している。
【0003】
最近では、ウエハアライメントを効率的に行うために、3眼以上の複数軸のアライメント系を備え、これらのアライメント系に対してウエハを所定方向に相対移動することと、複数軸のアライメント系とウエハとを相対的に静止させて、複数軸のアライメント系でウエハの一列のアライメントショットに付設されたマークの位置を検出することとを繰り返すようにした露光装置が開発されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。この露光装置では、複数軸のアライメント系の被検マーク(被検面)に対するデフォーカス量が互いに異なっている場合には、それらのアライメント系に対して同時に被検マークを合焦させることが困難である。そこで、複数軸のアライメント系の検出領域に被検マークが入った状態で、各アライメント系のデフォーカス量を計測し、この計測結果に基づいて、例えば2軸ずつのアライメント系または1軸のアライメント系で順次合焦及び被検マークの検出を行っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2007/097379号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2008/029757号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のウエハアライメントにおいては、複数軸のアライメント系を用いているため、ウエハの多くのアライメントショットに付設されたマークの位置を効率的に計測できる。しかしながら、複数軸のアライメント系の検出領域内に被検マークが入ってからそれぞれデフォーカス量を計測し、この計測結果に基づいて各アライメント系に対する被検マークの合焦を行っていたため、各アライメント系に対して被検マークを合焦させるまでの時間が長いという問題があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑み、ウエハ等の物体に設けられた複数のマークの位置情報をより短時間に高精度に検出できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、物体の表面に設けられた複数のマークの位置情報を検出するマーク検出方法が提供される。このマーク検出方法は、複数のマーク検出系の複数の検出領域とその物体とを相対移動することと、その物体の相対移動中に、その複数のマーク検出系とその物体の表面との第1のデフォーカス量を計測し、該計測結果に基づいてその物体の面位置及び傾斜角の少なくとも一方を制御することと、その複数のマークがその複数の検出領域内に達したときに、その検出領域とその物体とを相対的に静止させて、その複数のマーク検出系のうち少なくとも2個の第1組のマーク検出系で対応する1組のマークの位置情報を検出することと、を含むものである。
【0008】
また、第2の態様によれば、露光光でパターンを介して物体を露光する露光方法が提供される。この露光方法は、本発明のマーク検出方法を用いてその物体の表面の複数のマークの位置情報を検出する工程と、この検出結果に基づいて、その物体とそのパターンとの位置合わせを行う工程と、を含むものである。
また、第3の態様によれば、物体の表面に設けられた複数のマークの位置情報を検出するマーク検出装置が提供される。このマーク検出装置は、それぞれそのマークの位置情報を検出するとともにその物体の表面に対するデフォーカス量を計測可能な複数のマーク検出系と、その複数のマーク検出系の検出領域とその物体とを相対移動する移動機構と、その物体の面位置及び傾斜角を制御可能な面位置制御装置と、そのマーク検出系、その移動機構、及びその面位置制御装置を制御する制御装置と、を備え、その制御装置は、その移動機構によるその物体の相対移動中に、その複数のマーク検出系によって計測される第1のデフォーカス量に基づいて、その面位置制御装置を駆動してその物体の面位置及び傾斜角の少なくとも一方を制御し、その複数のマークがその複数の検出領域内に達したときに、その検出領域とその物体とを相対的に静止させて、その複数のマーク検出系のうち少なくとも2個の第1組のマーク検出系で対応する1組のマークの位置情報を検出させるものである。
【0009】
また、第4の態様によれば、露光光でパターンを介して物体を露光する露光装置が提供される。この露光装置は、本発明のマーク検出装置を備え、そのマーク検出装置のその複数のマーク検出系の検出結果に基づいてその物体とそのパターンとの位置合わせを行うものである。
また、第5の態様によれば、本発明の露光方法又は露光装置を用いて物体に感光パターンを形成することと、その露光された物体をその感光パターンに基づいて処理することと、を含むデバイス製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、その物体の相対移動中に、その複数のマーク検出系とその物体の表面との第1のデフォーカス量を計測し、この計測結果に基づいて例えばその複数のマーク検出系のうちの第1組のマーク検出系に合焦されるようにその物体の面位置及び傾斜角の少なくとも一方を制御することができる。この後、その検出領域とその物体とを相対的に静止させて、その第1組のマーク検出系で対応する1組のマークの位置情報を検出するときにはほぼ合焦が行われている。従って、その複数のマーク検出系に対する合焦を短時間に行うことができ、物体に設けられた複数のマークをより短時間に高精度に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施形態の一例に係る露光装置の概略構成を示す図である。
【図2】図1のアライメント系及び位置計測用のエンコーダの配置を示す図である。
【図3】セカンダリアライメント系AL21〜AL24を駆動した状態を示す図である。
【図4】(A)は5眼のAF系を備えたアライメント系の概略構成を示す図、(B)はAF系のフォーカス信号の一例を示す図である。
【図5】図1の露光装置の制御系の主要な構成を示すブロック図である。
【図6】(A)はファーストアライメントショットの計測を行う状態を示す図、(B)はサードアライメントショットの計測を行う状態を示す図、(C)はアライメントショットの配列の一例を示す図である。
【図7】(A)は5眼のアライメント系でデフォーカス量を計測している状態を示す図、(B)は内側の2眼のアライメント系に合焦している状態を示す図である。
【図8】(A)は外側の2眼のアライメント系に合焦している状態を示す図、(B)は内側の2眼のアライメント系に合焦している状態を示す図である。
【図9】プライマリアライメント系AL1に合焦している状態を示す図である。
【図10】アライメント及び露光方法の一例を示すフローチャートである。
【図11】(A)はウエハのショット配列の一部を示す平面図、(B)は図11(A)のウエハマークを示す拡大図、(C)はウエハマークの検出方法の説明図である。
【図12】電子デバイスの製造工程の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態の一例につき図面を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る露光装置EXの概略構成を示す。露光装置EXは、一例としてスキャニングステッパー(スキャナー)よりなる走査露光型の投影露光装置(走査型露光装置)である。後述するように本実施形態では、投影光学系PLが設けられており、以下においては、投影光学系PLの光軸AXと平行にZ軸を取り、これに直交する面内でレチクルとウエハとが相対走査される方向にY軸を、Z軸及びY軸に直交する方向にX軸を取り、X軸、Y軸、及びZ軸の回りの回転(傾斜)方向をそれぞれθx、θy、及びθz方向として説明を行う。
【0013】
図1において、露光装置EXは、露光用の照明光(露光光)ILによりレチクルRを照明する照明系10、レチクルRを保持して移動するレチクルステージRST、レチクルRから射出された照明光ILをウエハWの表面に投射する投影光学系PLを含む投影ユニットPU、ウエハWを保持して移動するウエハステージWST、及びこれらの制御系等を備えている。さらに、露光装置EXは、ウエハWの表面に設けられたアライメントマークとしてのウエハマークの検出を行うウエハアライメント装置80を備えている。
【0014】
照明系10は、例えば特開2001−313250号公報(対応する米国特許出願公開第2003/0025890号明細書)などに開示されるように、光源と、照明光学系とを有し、照明光学系は、一例として回折光学素子または空間光変調器等を含む光量分布形成光学系と、オプティカルインテグレータ(フライアイレンズ又はロッドインテグレータなど)と、レチクルブラインド等(いずれも不図示)とを有する。照明系10は、レチクルブラインドで規定されたレチクルRのパターン面(レチクル面)のスリット状の照明領域IARを照明光ILによりほぼ均一な照度分布で照明する。照明光ILとしては、一例としてArFエキシマレーザ光(波長193nm)が用いられている。なお、照明光としては、KrFエキシマレーザ光(波長248nm)、YAGレーザの高調波、固体レーザ(半導体レーザなど)の高調波、又は水銀ランプの輝線(i線等)なども使用できる。
【0015】
レチクルステージRSTの上面には、回路パターンなどが形成されたレチクルRが、例えば真空吸着により保持されている。レチクルステージRSTは、XY平面内で微少駆動可能であるとともに、走査方向(Y方向)に指定された走査速度で駆動可能となっている。レチクルステージRSTの移動面内の位置情報(X方向、Y方向の位置、及びθz方向の回転角を含む)は、レーザ干渉計よりなるレチクル干渉計116によって、移動鏡15を介して例えば0.5〜0.1nm程度の分解能で常時検出される。レチクル干渉計116の計測値は、図5の主制御装置20に送られる。主制御装置20は、その計測値に基づいてレチクルステージ駆動系11を制御することで、レチクルステージRSTの位置及び速度を制御する。
【0016】
図1において、レチクルステージRSTの下方に配置された投影ユニットPUは、鏡筒40と、該鏡筒40内に所定の位置関係で保持された複数の光学素子を有する投影光学系PLとを含む。投影光学系PLは、例えば両側(又はウエハ側に片側)テレセントリックで所定の投影倍率β(例えば1/4倍、1/5倍など)を有する。投影光学系PLを介して照明領域IAR内のレチクルRの回路パターンの像が、ウエハWの一つのショット領域の露光領域IA(照明領域IARに共役な領域)に形成される。ウエハW(半導体ウエハ)は、例えば直径が200mmから450mm程度の円板状のシリコン等よりなる基材の表面に、感光剤(感光層)であるフォトレジストを所定の厚さ(例えば数10〜200nm程度)で塗布したものを含む。本実施形態のウエハWの各ショット領域には、これまでのパターン形成工程によって所定の単層又は複数層の回路パターン及び対応するウエハマークが形成されている。
【0017】
なお、露光装置EXでは、液浸法を適用した露光を行うため、投影光学系PLを構成する最も像面側(ウエハW側)の光学素子である先端レンズ191を保持する鏡筒40の下端部周囲を取り囲むように、局所液浸装置8の一部を構成するノズルユニット32が設けられている。ノズルユニット32は、露光用の液体Lqを供給可能な供給口と、液体Lqを回収可能な回収口とを有する。その供給口は、供給管31Aを介して、液体Lqを送出可能な液体供給装置5(図5参照)に接続されている。その回収口は、回収管31Bを介して、液体Lqを回収可能な液体回収装置6(図5参照)に接続されている。
【0018】
図5の液体供給装置5から送出された露光用の液体Lqは、図1の供給管31A、及びノズルユニット32の供給流路を流れた後、その供給口より照明光ILの光路空間に供給される。また、ノズルユニット32の回収口から回収された液体Lqは、回収管31Bを介して液体回収装置6に回収される。この動作によって、走査露光中、先端レンズ191とウエハWとの間の照明光ILの光路空間を含む液浸領域14(図2参照)が液体Lqで満たされる。
【0019】
図1において、ベース盤12の上面にウエハステージWSTが配置され、ウエハステージWSTの位置情報を計測するY軸干渉計16を含む干渉計システム118(図5参照)が設けられている。なお、ベース盤12の上面には、投影光学系PLの結像特性を計測する装置等を有する計測用ステージ(不図示)も配置されている。ウエハステージWSTは、X方向、Y方向に移動するXYステージ93XY(図5参照)を有するステージ本体91と、ステージ本体91の上面に搭載されたウエハテーブルWTBと、ステージ本体91内に設けられて、ステージ本体91に対してZ方向、θx方向、及びθy方向にウエハテーブルWTB(ウエハW)を相対的に微小駆動するZステージ93Z(図5参照)とを備えている。XYステージ93XY及びZステージ93Zは、それぞれ図5のステージ駆動系124A及びZステージ駆動系124Bによって駆動される。
【0020】
ウエハテーブルWTBの中央には、ウエハWを真空吸着等によって保持するウエハホルダ(不図示)が設けられている。また、ウエハテーブルWTBの上面には、ウエハホルダ上に載置されるウエハの表面とほぼ同じ高さの、液体Lqに対して撥液化処理された表面(撥液面)を有し、かつ外形(輪郭)が矩形でその中央部にウエハホルダ(ウエハの載置領域)よりも一回り大きな円形の開口が形成された低熱膨張率のプレート(撥液板)28が設けられている。プレート28の一部には、ベースライン計測用の基準マークが形成されるとともに、レチクルRのパターンの像の位置を計測するためのスリットが形成された基準部材FM(図2参照)が設けられている。基準部材FMの底面には、そのスリットを通過した光束を受光する空間像計測装置45(図5参照)が設けられている。
【0021】
図2に示すように、プレート28の周囲の枠状の領域には後述のエンコーダシステムのための1対のYスケール39Y1,39Y2及び1対のXスケール39X1,39X2が形成されている。Yスケール39Y1,39Y2はそれぞれY方向に所定ピッチの回折格子であり、スケール39X1,39X2はそれぞれX方向に所定ピッチの回折格子である。その所定ピッチは例えば138nm〜4μm程度である。
【0022】
図1において、ウエハテーブルWTBの−Y方向及び−X方向の端面は、それぞれ鏡面加工が施されて反射面とされている。干渉計16等はこれらの反射面にそれぞれ測長ビームを投射して、ウエハステージWSTのXY平面内の位置情報(X方向、Y方向の位置、θx方向、θy方向、θz方向の角度)を例えば0.5〜0.1nm程度の分解能で計測し、この計測値を主制御装置20に供給する。
【0023】
但し、本実施形態では、ウエハステージWST(ウエハテーブルWTB)のXY平面内の位置情報は、主として、上述のYスケール及びXスケールなどを含む、後述するエンコーダシステムによって計測され、干渉計16等の計測値は、そのエンコーダシステムの計測値の長期的変動を補正する場合などに補助的に用いられる。また、干渉計16は、ウエハ交換のため、アンローディングポジション及びローディングポジション付近においてウエハテーブルWTBのY方向の位置等を計測するのにも用いられる。
【0024】
また、ウエハテーブルWTBの上面(又は不図示の計測用ステージの上面)には、図3に示すように、断面矩形の低熱膨張率の棒状部材から成る基準部材としてのコンフィデンシャルバー(以下、CDバーと略述する)46がX方向に延設されている。このCDバー46の上面には、所定の配置で複数の基準マークMが形成されている。各基準マークMとしては、後述するプライマリ及びセカンダリのアライメント系によって検出可能な2次元マークが用いられている。これらの基準マークMの位置関係は予め高精度に計測されており、その位置関係の情報が主制御装置20の記憶部に記憶されている。
【0025】
本実施形態の露光装置EXでは、図1では図面の錯綜を避ける観点から図示が省略されているが、実際には、図2に示すように、投影光学系PLの光軸AXを通りかつY軸と平行な直線LV上で、光軸AXから−Y方向側に所定距離隔てた位置に検出中心を有するプライマリアライメント系AL1が配置されている。不図示のメインフレームに支持されるプライマリアライメント系AL1を挟んで、X方向の両側に、その直線LVに関してほぼ対称に検出中心が配置される2眼のセカンダリアライメント系AL21,AL22、及び2眼のセカンダリアライメント系AL23,AL24がそれぞれ設けられている。すなわち、5眼のアライメント系AL1,AL21〜AL24はその検出領域(検出中心)がX方向に沿って配置されている。
【0026】
各セカンダリアライメント系AL21〜AL24は、それぞれ回転中心(例えば中心O)を中心として回動可能なアーム56の先端(回動端)に固定されている。各アーム56は、それぞれバキュームパッド58を介して不図示のメインフレームに固定可能である。本実施形態では、各セカンダリアライメント系AL21〜AL24は、その一部(例えば、アライメント光を検出領域に照射し、かつ検出領域内の被検マークから発生する光を受光素子に導く光学系を少なくとも含む部分)がアーム56に固定され、残りの一部はメインフレームに設けられる。主制御装置20の制御のもとで、回転駆動機構60(図5参照)を介してセカンダリアライメント系AL21〜AL24のアーム56をそれぞれ回動することで、各検出領域のX位置が調整される。各検出領域のX位置は不図示のエンコーダによって計測されている。
【0027】
本実施形態では、アライメント系AL1,AL21〜AL24として、それぞれ例えば画像処理方式のFIA(Field Image Alignment)系が用いられている。このFIA系では、ウエハのレジストを感光させないブロードバンドな検出光を被検マークに照射し、その被検マークからの反射光により受光面に結像された被検マークの像を撮像素子(CCD型又はCMOS型等)を用いて撮像し、それらの撮像信号を出力する。この場合、例えば撮像素子内の所定画素の位置を基準として被検マークの像の位置を検出する。
【0028】
図4(A)は、5眼のアライメント系AL1,AL21〜AL24がそれぞれ図3(A)のCDバー46上の基準マークM1,M21,M22,M23,M24(図3(A)の基準マークMのいずれかに対応する)を検出している状態を示している。図4(A)において、プライマリアライメント系AL1は、被検マークからの反射光を受光する第1対物レンズ系5aと、その反射光を分岐するビームスプリッタ5bと、開口絞り(不図示)と、第1対物レンズ系5aからの反射光を集光して被検マークの拡大像を形成する第2対物レンズ系5cと、その像を撮像する2次元の撮像素子5dとを含んでいる。実際には、例えば第2対物レンズ系5cとビームスプリッタ5bとの間に、不図示の光源からのアライメント光ALを被検マークに導くビームスプリッタ(不図示)が備えられている。また、撮像素子5dの撮像面と共役な被検面上の視野が、プライマリアライメント系AL1の検出領域ALF1である。
【0029】
セカンダリアライメント系AL21〜AL24も、基本的な構成はプライマリアライメント系AL1と同様であり、被検マークの拡大像を形成する対物レンズ系と、その像を撮像する2次元の撮像素子5dとを含んでいる。また、セカンダリアライメント系AL21〜AL24の各撮像素子の撮像面と共役な被検面上の視野が検出領域ALF21〜ALF24(図7(A)参照)である。さらに、一例として、アライメント系AL1,AL21〜AL24の撮像素子5dの中心の画素(原点)に対応する被検面上の点がアライメント系AL1,AL21〜AL24の検出中心である。
【0030】
アライメント系AL1,AL21〜AL24の撮像素子5dからの撮像信号はそれぞれ検出信号処理部131A,131B,131C,131D,131Eに供給される。検出信号処理部131A〜131Eでは、各撮像素子5dの撮像信号を所定範囲で被検面上でのY方向、X方向に対応する方向に積算して、それぞれX方向及びY方向に周期的なマークの像の撮像信号SX,SYを生成し、撮像信号SX,SYをアライメント制御部132に供給する。アライメント制御部132では、それぞれの撮像信号SX,SYを例えば所定の閾値でスライスして、対応するマークの検出中心に対するX方向、Y方向の位置ずれ量を求める。この位置ずれ量は主制御装置20を介して図5のEGA演算部134に供給される。EGA演算部134では、その位置ずれ量、各アライメント系のベースライン、及びウエハステージWSTの座標(X,Y)より、被検マークのステージ座標系(X,Y)での座標値を求める。
【0031】
また、各アライメント系AL1,AL21〜AL24のベストフォーカス位置と被検面とのZ方向のずれ量(デフォーカス量)を計測するために、アライメント系AL1,AL21〜AL24には、それぞれ同一構成のオートフォーカス系(以下、AF系という)6A,6B〜6Eが装着されている。一例として、AF系6Aは、プライマリアライメント系AL1のビームスプリッタ5b(又は部分反射ミラー等)で分岐(又は反射)された焦点検出光FLを瞳面近傍で2分割して反射する瞳分割用のミラー6bと、ミラー6bからの光を集光して被検面のパターンの2つの拡大像を形成する集光レンズ系6cと、その2つの拡大像を撮像する1次元のラインセンサ(2次元の撮像素子でもよい)6dとを含んで構成されている。実際には、AF系6Aには、不図示の光源からの焦点検出光FLによって照明された焦点検出用パターン(スリットパターン等)を通過した光をビームスプリッタ5b側に送光する光学部材(不図示)が組み込まれており、そのラインセンサ6d上にはその焦点検出用パターンの2つの像が形成される。ラインセンサ6dの検出信号は検出信号処理部131Aに供給される。この場合、被検面がZ方向にデフォーカス量δFだけ変位すると、ラインセンサ6d上の2つのパターン像の間隔が変化するため、検出信号処理部131Aでは、その間隔に対応する図4(B)のフォーカス信号FSをアライメント制御部132に供給する。
【0032】
他のAF系6B〜6EもAF系6Aと同様に構成され、AF系6B〜6Eのラインセンサからの検出信号が供給された検出信号処理部131B〜131Eは、それぞれセカンダリアライメント系AL21〜AL24(撮像素子5d)のベストフォーカス位置に対する被検面のデフォーカス量に対応するフォーカス信号をアライメント制御部132に供給する。なお、AF系6A〜6Eとしては、瞳面のほぼ半面の光束を用いるオートフォーカス系等も使用可能である。
【0033】
アライメント制御部132は、それらのフォーカス信号に予め求められている係数を乗じて得られるアライメント系AL1,AL21〜AL24毎のデフォーカス量(図4(A)では、δF1,δF21〜δF24)の情報を主制御装置20に供給する。主制御装置20は、そのデフォーカス量の情報を用いて、後述のように被検面がそれぞれアライメント系AL1,AL21〜AL24のベストフォーカス位置に合焦されるように、Zステージ駆動系124Bを介してウエハステージWST内のZステージ93Zを駆動する。
【0034】
ウエハアライメント装置80は、AF系6A〜6Eを備えたアライメント系AL1,AL21〜AL24、主制御装置20、XYステージ93XY、及びZステージ93Zを含んで構成されている。本実施形態では5眼のアライメント系AL1,AL21〜AL24を設けているため、アライメントを効率的に行うことができる。しかしながら、アライメント系の数は5つに限られるものでなく、2つ以上かつ4つ以下、あるいは6つ以上でも良いし、奇数ではなく偶数でも良い。
【0035】
本実施形態の露光装置EXでは、図2に示すように、前述したノズルユニット32の周囲を四方から囲む状態で、エンコーダシステムの4つのヘッドユニット62A〜62Dが配置されている。これらのヘッドユニット62A〜62Dを構成する複数のYヘッド64及びXヘッド66は、メインフレーム(不図示)の底面に固定されている。
図2において、ヘッドユニット62A,62Cは、投影ユニットPUの±X方向側に、それぞれ投影光学系PLの光軸AXを通りかつX軸と平行な直線LH上にX方向に所定間隔で配置された複数のYヘッド64を備えている。Yヘッド64は、それぞれYスケール39Y1又は39Y2を用いて、ウエハステージWST(ウエハテーブルWTB)のY方向の位置をレーザ干渉計と同じ程度の分解能で計測する。また、ヘッドユニット62B,62Dは、投影ユニットPUの±Y方向側にそれぞれ光軸AXを通りかつY軸と平行な直線LV上にY方向にほぼ所定間隔で配置された複数のXヘッド66を備えている。Xヘッド66は、それぞれXスケール39X1又は39X2を用いて、ウエハステージWST(ウエハテーブルWTB)のX方向の位置をレーザ干渉計と同じ程度の分解能で計測する。Yヘッド64及びXヘッド66の構成の一例は、国際公開第2008/029757号パンフレット(及びこれに対応する米国特許出願公開第2008/094593号明細書)に開示されている。
【0036】
図2のヘッドユニット62A及び62Cは、それぞれYスケール39Y1及び39Y2を用いて、ウエハステージWSTのY位置を計測する多眼のY軸のリニアエンコーダ(以下、Yエンコーダと略述する)70A及び70C(図5参照)を構成する。Yエンコーダ70A,70Cはそれぞれ複数のYヘッド64の計測値の切り替えを行う切り替え制御部を備えている。
【0037】
また、ヘッドユニット62B及び62Dは、それぞれXスケール39X1及び39X2を用いて、ウエハステージWSTのX位置を計測する、多眼のX軸のリニアエンコーダ(以下、Xエンコーダと略述する)70B及び70D(図5参照)を構成する。Xエンコーダ70B,70Dはそれぞれ複数のXヘッド66の計測値の切り替えを行う切り替え制御部を備えている。さらに、本実施形態では、後述するセカンダリアライメント系のベースライン計測時などに、ウエハステージWSTのY位置を計測するためのYヘッド(不図示)によって構成されるリニアエンコーダであるY軸エンコーダ70E,70F(図5参照)も設けられている。
【0038】
上述した6つのエンコーダ70A〜70Fの計測値は、主制御装置20及びEGA演算部134に供給され、主制御装置20は、エンコーダ70A〜70Fの計測値に基づいて、ウエハステージWST等のXY平面内の位置を制御する。
本実施形態の露光装置EXは、図2に示すように、照射系90a及び受光系90bから成る、例えば特開平6−283403号公報(対応する米国特許第5,448,332号明細書)等に開示されるものと同様の構成の斜入射方式の多点焦点位置検出系(以下、多点AF系と略述する)が設けられている。本実施形態では、一例として、前述のヘッドユニット62Cの−Y方向側に照射系90aが配置され、これに対向する状態で、前述のヘッドユニット62Aの−Y方向側に受光系90bが配置されている。
【0039】
図2の多点AF系(90a,90b)の複数の検出点は、被検面上でX方向に延びる細長い検出領域AF内にX方向に沿って所定間隔で配置される。本実施形態では、その複数の検出点は、例えば1行M列(Mは検出点の総数)又は2行N列(Nは検出点の総数の1/2)のマトリックス状に配置される。その検出領域AFは、X方向の長さがウエハWの直径と同程度に設定されているので、ウエハWをY方向に1回スキャンするだけで、ウエハWのほぼ全面でZ方向の位置情報(面位置情報)を計測できる。また、検出領域AFは、Y方向に関して、前述の液浸領域14(露光領域IA)とアライメント系(AL1,AL21〜AL24)の検出領域との間に配置されているため、多点AF系とアライメント系とでその検出動作を並行して行うことが可能となっている。多点AF系は、投影ユニットPUを保持するメインフレームに設けても良い。
【0040】
さらに、前述したヘッドユニット62C及び62Aは、複数のYヘッド64を結ぶ直線LHを挟むX軸に平行な2本の直線にそれぞれ沿って且つ所定間隔で配置された複数のZセンサ74及び76を備えている。各Zセンサ74,76としては、例えばCDピックアップ方式のセンサが用いられている。Zセンサ74,76は計測フレーム21の底面に固定されている。また、この図2において、符号78は、多点AF系(90a,90b)のビーム路近傍に所定温度に温度調整されたドライエアーを、図2中の白抜き矢印で示されるように、例えばダウンフローにて送風する局所空調システムを示す。また、符号UP及びLPは、それぞれ投影光学系PLに対して−Y方向に所定間隔で並行に配置され、ウエハテーブルWTBに対してウエハのアンロード及びロードが行われるアンロードポジション及びローディングポジションを示す。
【0041】
図5には、露光装置EXの制御系の主要な構成が示されている。この制御系は、装置全体を統括的に制御するコンピュータから成る主制御装置20を中心として構成されている。
上述のようにして構成された本実施形態の露光装置EXでは、前述したようなウエハテーブルWTBのXスケール、Yスケールの配置及び前述したようなXヘッド、Yヘッドの配置を採用したことから、図6(B)などに例示されるように、ウエハステージWSTの有効ストローク範囲では、必ず、Xスケール39X1,39X2とヘッドユニット62B,62D(Xヘッド66)とがそれぞれ対向し、かつYスケール39Y1,39Y2とヘッドユニット62A,62C(Yヘッド64)又は不図示のYヘッドとがそれぞれ対向するようになっている。
【0042】
このため、主制御装置20は、前述のウエハステージWSTの有効ストローク範囲では、エンコーダ70A〜70Fの少なくとも3つの計測値に基づいて、ステージ駆動系124Aを構成する各モータを制御することで、ウエハステージWSTのXY平面内の位置(θz方向の回転角を含む)を、高精度に制御することができる。エンコーダ70A〜70Fの計測値が受ける空気揺らぎの影響は、干渉計に比べては無視できるほど小さいので、空気揺らぎに起因する計測値の短期安定性は、干渉計に比べて格段に良い。
【0043】
以下、本実施形態の露光装置EXにおいて、主制御装置20の制御のもとで1ロットのウエハに順次レチクルRのパターンの像を露光する際のアライメント及び露光動作の一例につき、図10のフローチャートを参照して説明する。
先ず図10のステップ302において、図1のレチクルステージRSTにレチクルRをロードし、主制御装置20は、不図示の露光データファイルより露光対象のウエハのショット配列の情報を読み出し、このショット配列の情報から、ウエハの各ショット領域に付設されているウエハマークのX方向の間隔(設計上の間隔)を求める。
【0044】
ウエハのショット配列は、一例として図6(C)に示すように設定され、ウエハWの全部のショット領域から選ばれた例えば黒色で区別される16個のアライメントショット(サンプルショット)ASに付設されたウエハマーク(不図示)をアライメント系AL1,AL21〜AL24で計測するものとする。この場合、アライメントショットASは、+Y方向から順にX方向に4つのショット領域の幅を配列ピッチとして、3つのファーストアライメントショット、2列の5つのセカンド及びサードアライメントショット及び3つのフォースアライメントショットから構成されている。なお、ウエハマークは、ショット領域内に形成されていてもよいが、本実施形態では、ウエハマークはショット領域間のストリートラインに形成されているものとする。主制御装置20は、検出対象のウエハマークのX方向の間隔に合わせて、図3に示すように、回転駆動機構60を介してセカンダリアライメント系AL21〜AL24のX方向の位置を調整する。
【0045】
その後、ウエハステージWST(又は不図示の計測ステージ)を駆動して、図3に示すように、CDバー46の複数の基準マークM1,M21〜M24(図4参照)をアライメント系AL1,AL21〜AL24の検出領域に移動する。この状態で、アライメント系AL1,AL21〜AL24で基準マークM1,M21〜M24の位置ずれ量を検出し、検出結果をEGA演算部134に供給する。この際に、図4(A)に示すように、各アライメント系AL1,AL21〜AL24において、例えばCDバー46をZ方向に移動して撮像素子5dで検出される被検マークの像の検出信号のコントラストが最大になるときのZ位置をそれぞれのベストフォーカス位置としてもよい。さらに、各ベストフォーカス位置でフォーカス信号FSが0になるようにフォーカス信号のキャリブレーションを行ってもよい。
【0046】
また、本実施形態では、5眼のアライメント系AL1,AL21〜AL24のベストフォーカス位置は一直線上にはなく、さらに、3眼のアライメント系のベストフォーカス位置が一直線上にあることもないとする。次のステップ304において、EGA演算部134では、その基準マークの位置ずれ量及び主制御装置20から供給された既知の基準マークM1,M21〜M24の配列座標から、プライマリアライメント系AL1の検出中心に対するセカンダリアライメント系AL21〜AL24の検出中心のX方向の間隔SBL1〜SBL4及びY方向の間隔よりなるセカンダリベースラインを算出する。
【0047】
次のステップ306において、未露光のウエハWをウエハステージWSTにロードする。次のステップ308において、ウエハステージWSTを+Y方向に駆動し、図2に示すように、基準マーク部材FM中の所定の基準マークをプライマリアライメント系AL1の検出領域に移動し、プライマリアライメント系AL1でその基準マークの位置ずれ量を検出する。この位置ずれ量及びその基準マークの位置情報から、EGA演算部134はプライマリアライメント系AL1のベースラインを求める。なお、本実施形態では、レチクルRのレチクルマークの像の検出が後で行われるため、その検出後にそのベースラインが補正される。
【0048】
次のステップ310で、例えばアライメント系AL1,AL22,AL24でウエハWの複数のサーチアライメントマーク(不図示)を検出することによって、ウエハWのおおまかなショット配列の算出(サーチアライメント)が行われる。次のステップ312において、ウエハステージWSTのXYステージ93XYの駆動によりウエハWの+Y方向への移動が開始される。この後、ウエハWの移動中に、ステップ314において、図7(A)に示すように、5眼のアライメント系AL1,AL22〜AL24のAF系6A〜6Eによって、ウエハW(又はプレート28)の表面のベストフォーカス位置からのデフォーカス量δF1,δF21〜δF24を計測し、計測結果を主制御装置20に供給する。この計測はウエハWの移動中に行われるため、デフォーカス量のラフ計測とも呼ぶ。
【0049】
ウエハWの移動中の次のステップ316において、主制御装置20は、この段階では内側の2つのセカンダリアライメント系AL22,AL23のデフォーカス量δF22,δF23を用いて、ウエハWの表面が2つのセカンダリアライメント系AL22,AL23のベストフォーカス位置に合致するように、ウエハステージWSTのZステージ93Zを駆動して、ウエハWの傾斜角及びZ位置(線形成分)を補正する。次のステップ318で、サーチアライメントの結果を用いて、複数のファーストアライメントショットのウエハマークがアライメント系AL1,AL22,AL23の検出領域に入ったかどうかを判定する。複数のウエハマークが対応する検出領域に入っていない場合には、ステップ314及び316が繰り返される。ステップ318で複数のウエハマークが対応する検出領域に入ったときには、ステップ320に移行して、図6(A)に示すようにウエハステージWST(ウエハW)を停止させる。
【0050】
このようにウエハWが停止した状態では、ステップ316のウエハWの線形成分の補正動作によって、図7(B)に示すように、ウエハWの表面は内側の2眼のセカンダリアライメント系AL22,AL23のベストフォーカス位置にほぼ合致している。次のステップ322において、5眼のアライメント系AL1,AL22〜AL24のAF系6A〜6Eによって焦点検出光FLを照射して、ウエハWの表面のベストフォーカス位置からの残存しているデフォーカス量を計測し、計測結果を主制御装置20に供給する。この計測はウエハWの停止中に行われるため、デフォーカス量のファイン計測とも呼ぶ。次のステップ322において、主制御装置20は、そのファイン計測の結果を用いてウエハステージWSTのZステージ93Zを駆動して、ウエハWの表面を2眼のセカンダリアライメント系AL22,AL23のベストフォーカス位置に合焦させる。この際に、デフォーカス量のラフ計測によって、ウエハWの表面はほぼセカンダリアライメント系AL22,AL23のベストフォーカス位置に合焦していたため、ステップ322のデフォーカス量のファイン計測及びステップ324の合焦は極めて短時間に行われる。従って、アライメント時間が短縮される。
【0051】
そのように合焦した状態で、主制御装置20の制御のもとで、図7(B)に示すように、2眼のセカンダリアライメント系AL22,AL23は、アライメント光ALを照射して、ウエハWの表面の対応するウエハマークWMC1,WMD1の位置ずれ量を検出する。検出結果はEGA演算部134に供給される(以下同様)。次のステップ326において、同一列(ここではファーストアライメントショット)中で計測されていないウエハマークが一つかどうかを判定する。この段階では、計測されていないのは中央のウエハマークWMA1だけであるため、動作はステップ328に移行して、ウエハステージWST(Zステージ93Z)をZ方向に駆動してウエハWの表面をプライマリアライメント系AL1のベストフォーカス位置A1に合焦させる。そして、プライマリアライメント系AL1によってウエハマークWMA1の位置ずれ量を検出する。次のステップ330で、計測対象のウエハマーク(アライメントショット)が残っているかどうかを判定する。この段階では計測対象のウエハマークが残っているため、動作はステップ312に戻り、ウエハWの+Y方向への移動が開始され、デフォーカスのラフ計測(ステップ314)、この段階では外側の2眼のセカンダリアライメント系AL21,AL24に対するウエハWの合焦(ステップ316)が行われる。
【0052】
そして、セカンドアライメントショットのウエハマークがアライメント系AL1,AL22〜AL24の検出領域内に入ったときに、ウエハWが停止され(ステップ320)、デフォーカス量のファイン計測が行われる(ステップ322)。次のステップ324では、図8(A)に示すように、主制御装置20は、そのファイン計測の結果を用いて、ウエハWの表面を外側の2眼のセカンダリアライメント系AL21,AL24のベストフォーカス位置に合焦させて、2眼のセカンダリアライメント系AL21,AL24に対応するウエハマークWMB2,WME2の位置ずれ量を検出させる。
【0053】
次のステップ326において、同一列(ここではセカンドアライメントショット)中で計測されていないウエハマークは3つであるため、動作はステップ324に戻る。そして、主制御装置20は、上述のファイン計測の結果を用いて、ウエハWの表面を内側の2眼のセカンダリアライメント系AL22,AL23のベストフォーカス位置に合焦させて、図8(B)に示すように、2眼のセカンダリアライメント系AL22,AL23に対応するウエハマークWMC2,WMD2の位置ずれ量を検出させる。次のステップ326において、計測されていないのは中央のウエハマークWMA2だけである。そのため動作はステップ328に移行し、図9に示すように、ウエハWの表面をプライマリアライメント系AL1のベストフォーカス位置に合焦させ、プライマリアライメント系AL1によってウエハマークWMA2の位置ずれ量を検出させる。
【0054】
同様にして、ステップ312〜328を繰り返すことで、図6(B)に示すように、アライメント系AL1,AL22〜AL24によってサードアライメントショットの5つのウエハマークの位置ずれ量が検出される。一例としてこの途中で、レチクルRのレチクルマークの空間像を空間像計測装置45で計測することで、プライマリアライメント系AL1のベースラインが補正される。さらに、ステップ312〜328を繰り返すことで、アライメント系AL1,AL22,AL23によってフォースアライメントショットの3つのウエハマークの位置ずれ量が検出される。その後、計測対象のウエハマークがなくなってから、動作はステップ330からステップ332に移行して、EGA演算部134は、全部のアライメントショットASのウエハマークの座標から例えばEGA方式でウエハWの全部のショット領域の配列座標を算出する。さらに、アライメントと並行して、多点AF系(90a,90b)によってウエハWの表面のZ位置の分布が計測されている。その配列座標及びZ位置の分布を用いて、次のステップ334でウエハWの各ショット領域に対してレチクルRのパターンの像が走査露光される。次のステップ336で次のウエハに対する露光が同様に行われる。
【0055】
このように、本実施形態では、ウエハステージWSTをY方向に移動させ、その移動経路上における4箇所にウエハステージWSTを位置決めすることにより、5眼のアライメント系AL1,AL21〜AL24を用いて合計16箇所のアライメントショットASにおけるウエハマークの位置情報を検出できる。この際に、ウエハステージWSTをX方向に移動させる必要が無いため、単一のアライメント系を用いてウエハステージをX方向、Y方向に駆動して順次ウエハマークを検出する場合などに比べて、格段に短時間に多数のウエハマークの位置情報を得ることができる。従って、短時間にアライメントを行うことができる。
【0056】
上述のように本実施形態のウエハアライメント装置80は、ウエハWの表面に設けられたウエハマークWMA2〜WME2等の位置ずれ量を検出するとともにウエハWの表面に対するデフォーカス量を計測可能な5眼のアライメント系AL1,AL22〜AL24と、これらのアライメント系の検出領域ALF1,ALF21〜ALF24に対してウエハWをY方向に移動するXYステージ93XY(移動機構)と、ウエハWのZ位置(面位置)並びにθx方向及びθy方向の傾斜角を制御可能なZステージ93Z(面位置制御装置)と、主制御装置20と、を備えている。そして、主制御装置20は、XYステージ93XYによるウエハWの移動中に(ステップ312)、アライメント系AL1,AL22〜AL24によって計測されるデフォーカス量に基づいて、Zステージ93Zを駆動してウエハWのZ位置及び傾斜角の少なくとも一方を制御し(ステップ314,316)、ウエハマークWMA2等が検出領域ALF1,ALF21〜ALF24内に達したときに、ウエハWを静止させて、アライメント系AL1,AL22〜AL24のうち1組のセカンダリアライメント系AL21,AL24で対応する1組のウエハマークWMB2,WME2の位置情報を検出させている(ステップ324)。
【0057】
本実施形態によれば、ウエハWの移動中に、アライメント系AL1,AL22〜AL24とウエハWの表面とのデフォーカス量が計測され、この計測結果に基づいて例えばセカンダリアライメント系AL21,AL24に合焦されるようにウエハWのZ位置及び傾斜角の少なくとも一方が制御される。この後、ウエハWを静止させて、セカンダリアライメント系AL21,AL24で対応するウエハマークWMB2,WME2の位置情報を検出するときにはほぼ合焦が行われている。従って、セカンダリアライメント系AL21,AL24に対する合焦を短時間に行うことができ、ウエハWに設けられた複数のウエハマークをより短時間に高精度に検出できる。
【0058】
また、本実施形態では、ウエハWを静止させたときに、アライメント系AL1,AL22〜AL24とウエハWの表面とのデフォーカス量を計測し(ステップ322)、この計測結果に基づいてセカンダリアライメント系AL21,AL24に対するウエハWの表面の合焦を行うように、ウエハWのZ位置及び傾斜角の少なくとも一方を制御している(ステップ324の一部)。従って、被検マークをより高精度にセカンダリアライメント系AL21,AL24に合焦させることができる。なお、ステップ316における合焦動作で、ウエハWの表面がセカンダリアライメント系AL21,AL24に対して許容範囲内の精度で合焦しているときには、ステップ322のデフォーカス量の計測及びステップ324の前半での合焦動作を省略してもよい。
【0059】
また、本実施形態では、そのセカンダリアライメント系AL21,AL24によるマーク検出に続いて、セカンダリアライメント系AL22,AL23に対してウエハWの表面が合焦されるようにウエハWのZ位置及び傾斜角の少なくとも一方を制御し、セカンダリアライメント系AL22,AL23によって対応するウエハマークWMC2,WMD2の位置情報を検出している(ステップ324)。その後、プライマリアライメント系AL1に対してウエハWの表面が合焦されるようにウエハWのZ位置及び傾斜角の少なくとも一方を制御し、プライマリアライメント系AL1によって対応するウエハマークWMA2の位置情報を検出している(ステップ328)。従って、5眼のアライメント系AL1,AL22〜AL24によるウエハマークの検出を効率的に行うことができる。
【0060】
また、本実施形態の露光装置EXは、照明光ILでレチクルRのパターンを介してウエハWを露光する露光装置であって、ウエハアライメント装置80を備え、ウエハアライメント装置80のアライメント系AL1,AL22〜AL24の検出結果に基づいてXYステージ93XY(ウエハステージWST)を駆動してウエハWとレチクルRのパターンとの位置合わせを行っている。
【0061】
また、露光装置EXによる露光方法は、ウエハアライメント装置80を用いたアライメント方法を用いてウエハWの表面の複数のウエハマークの位置情報を検出するステップ308〜330と、この検出結果に基づいて、ウエハWとレチクルRのパターンとの位置合わせを行いながらウエハWを走査露光するステップ334とを含んでいる。
これらの露光装置EX及び露光方法によれば、多数のウエハマークの位置情報を効率的に検出できるため、露光工程のスループットを向上できる。
【0062】
なお、本実施形態では、5眼のアライメント系AL1,AL22〜AL24が用いられている。しかしながら、偶数個(例えば4眼又は6眼等)のアライメント系が用いられている場合には、2眼のアライメント系ずつ対応する被検マークに対する合焦及び位置情報の検出を行うようにしてもよい。さらに、本実施形態では、2眼のアライメント系に対する合焦を行っているが、例えば3眼のアライメント系のベストフォーカス位置が一直線状に配置されている場合には、これらの3眼のアライメント系に対して一度に被検面の合焦を行って、同時に被検マークの位置情報を検出するようにしてもよい。
【0063】
また、本実施形態では、アライメント系AL1,AL22〜AL24の検出領域に対してウエハステージWSTによってウエハWをY方向に移動(相対移動)している。しかしながら、例えばアライメント系AL1,AL22〜AL24の検出領域をY方向に移動する機構を設け、ウエハWに対してアライメント系AL1,AL22〜AL24の検出領域をY方向に移動してもよい。
【0064】
また、上記の実施形態のウエハマークとして、図11(B)に示すような2次元のウエハマーク22を使用してもよい。
図11(A)はウエハの一部の複数のショット領域SAを示す。図11(A)において、ショット領域SAのY方向(及びX方向)の間のスクライブライン領域SLAの幅は50μm以下で、例えば40μmと従来よりも狭く設定されている。従来の2次元のウエハマークをスクライブライン領域SLAに形成することは困難である。そこで、この変形例では、図11(B)の拡大図で示すように、全体としてスクライブライン領域SLAの長手方向に沿って細長い格子状のウエハマーク22を使用している。
【0065】
ウエハマーク22は、X方向(長手方向)に所定の線幅の凸部(凹部でもよい)よりなる多数のライン部22Xを配列し、Y方向(短手方向)に所定の線幅の凸部(凹部でもよい)よりなる複数のX方向に細長いライン部22Yを配列したものである。ライン部22Xの長さは40μmよりも僅かに短く、ライン部22Yの長さは100〜300μm程度(例えば200μm程度)である。ライン部22Xは、中央のスペース部をX方向に挟むように10〜20個程度ずつが対称に設けられ、ライン部22Yは、中央のスペース部をY方向に挟むように数個(例えば3個)程度ずつが対称に設けられている。
【0066】
ウエハマーク22の位置情報を画像処理方式のアライメント系で検出する場合、一例としてウエハマーク22の像を図11(C)の像22Pとして、図11(B)のX方向、Y方向に対応する方向を図11(C)のX方向、Y方向とする。図11(C)には、スクライブライン領域SLAの像SLAPも示されている。一例として、撮像素子の受光面内で、全部のライン部22Xの像22XPをX方向に含む積算領域24X内で、撮像信号をY方向に積算することによって、X軸の積算信号SXを求め、積算信号SXを所定の閾値でスライスし、そのX方向の中央の位置をウエハマークの像22PのX方向の位置Xiとする。一方、全部のライン部22Yの像22YPをY方向に含む積算領域24Y内で、撮像信号をX方向に積算することによって、Y軸の積算信号SYを求め、積算信号SYを所定の閾値でスライスし、そのY方向の中央の位置をウエハマークの像22PのY方向の位置Yiとする。そして、例えばその撮像素子の中心画素とその位置Xi,Yiとの位置ずれ量に、アライメント系の倍率の逆数を乗ずることによって、ウエハマーク22の中心のX方向、Y方向の位置ずれ量を求めることができる。
【0067】
このように細長い格子型のウエハマーク22を用いることによって、ショット領域間のスクライブライン領域SLAの幅が狭くなっても、そのスクライブライン領域SLAに2次元のウエハマークを容易に配置できる。さらに、そのウエハマークの像22Pの撮像信号をY方向及びX方向に積算することによって、像22Pの位置、ひいてはウエハマーク22の位置ずれ量を高精度に求めることができる。
【0068】
また、上記の実施形態の露光装置(又は露光方法)を用いて半導体デバイス等の電子デバイス(マイクロデバイス)を製造する場合、電子デバイスは、図12に示すように、電子デバイスの機能・性能設計を行うステップ221、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ222、デバイスの基材である基板(ウエハ)を製造するステップ223、前述した実施形態の露光装置EX(露光方法)によりレチクルのパターンを基板に露光する工程、露光した基板を現像する工程、現像した基板の加熱(キュア)及びエッチング工程などを含む基板処理ステップ224、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程などの加工プロセスを含む)225、並びに検査ステップ226等を経て製造される。
【0069】
言い換えると、このデバイスの製造方法は、上記の実施形態の露光装置又は露光方法を用いて基板(物体)を露光することと、その露光された基板を現像することと、を含んでいる。この際に、複数のアライメント系を用いて効率的に基板のアライメント(ウエハマークの検出)を行うことができるため、デバイスを高いスループットで量産することができる。
【0070】
なお、上記の実施形態において、上述の走査露光型の露光装置(スキャナ)の他に、ステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパー等)も使用できる。さらに、液浸型露光装置以外の、ドライ露光型の露光装置も同様に使用することができる。
また、上記の実施形態は、半導体デバイス製造用の露光装置に限らず、液晶表示素子やプラズマディスプレイなどを含むディスプレイの製造に用いられる、デバイスパターンをガラスプレート上に転写する露光装置、薄膜磁気ヘッドの製造に用いられるデバイスパターンをセラミックスウエハ上に転写する露光装置、並びに撮像素子(CCDなど)、有機EL、マイクロマシーン、MEMS(Microelectromechanical Systems)、及びDNAチップなどの製造に用いられる露光装置などにも適用することができる。また、半導体素子などの電子デバイス(マイクロデバイス)だけでなく、光露光装置及びEUV露光装置などで使用されるマスクを製造するために、ガラス基板又はシリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。
【0071】
このように、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の構成を取り得る。
【符号の説明】
【0072】
AL1…プライマリアライメント系、AL21〜AL24…セカンダリアライメント系、R…レチクル、W…ウエハ、WST…ウエハステージ、WMA1,WMC1,WMD1,WMA2〜WME2…ウエハマーク、6A〜6E…アライメント系のAF系、20…主制御装置、80…ウエハアライメント装置、93XY…XYステージ、93Z…Zステージ、
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ又はガラス基板等の物体に配置されたマークの位置情報を検出するためのマーク検出技術、このマーク検出技術を用いる露光技術、及びこの露光技術を用いるデバイス製造技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば半導体デバイスを製造するリソグラフィ工程で使用される露光装置は、半導体ウエハ(以下、単にウエハという。)の複数の層間での重ね合わせ精度を高く維持するために、アライメント系を用いて複数のショット領域から選択されたショット領域(アライメントショット)に付設されたマーク(ウエハマーク)の位置を検出している。そして、検出されたマーク位置を例えばEGA方式で統計処理して、各ショット領域の配列座標を求め、この配列座標に基づいてウエハを駆動することによって、ウエハの各ショット領域にレチクルのパターンの像を高精度に重ね合わせて露光している。
【0003】
最近では、ウエハアライメントを効率的に行うために、3眼以上の複数軸のアライメント系を備え、これらのアライメント系に対してウエハを所定方向に相対移動することと、複数軸のアライメント系とウエハとを相対的に静止させて、複数軸のアライメント系でウエハの一列のアライメントショットに付設されたマークの位置を検出することとを繰り返すようにした露光装置が開発されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。この露光装置では、複数軸のアライメント系の被検マーク(被検面)に対するデフォーカス量が互いに異なっている場合には、それらのアライメント系に対して同時に被検マークを合焦させることが困難である。そこで、複数軸のアライメント系の検出領域に被検マークが入った状態で、各アライメント系のデフォーカス量を計測し、この計測結果に基づいて、例えば2軸ずつのアライメント系または1軸のアライメント系で順次合焦及び被検マークの検出を行っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2007/097379号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2008/029757号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のウエハアライメントにおいては、複数軸のアライメント系を用いているため、ウエハの多くのアライメントショットに付設されたマークの位置を効率的に計測できる。しかしながら、複数軸のアライメント系の検出領域内に被検マークが入ってからそれぞれデフォーカス量を計測し、この計測結果に基づいて各アライメント系に対する被検マークの合焦を行っていたため、各アライメント系に対して被検マークを合焦させるまでの時間が長いという問題があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑み、ウエハ等の物体に設けられた複数のマークの位置情報をより短時間に高精度に検出できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、物体の表面に設けられた複数のマークの位置情報を検出するマーク検出方法が提供される。このマーク検出方法は、複数のマーク検出系の複数の検出領域とその物体とを相対移動することと、その物体の相対移動中に、その複数のマーク検出系とその物体の表面との第1のデフォーカス量を計測し、該計測結果に基づいてその物体の面位置及び傾斜角の少なくとも一方を制御することと、その複数のマークがその複数の検出領域内に達したときに、その検出領域とその物体とを相対的に静止させて、その複数のマーク検出系のうち少なくとも2個の第1組のマーク検出系で対応する1組のマークの位置情報を検出することと、を含むものである。
【0008】
また、第2の態様によれば、露光光でパターンを介して物体を露光する露光方法が提供される。この露光方法は、本発明のマーク検出方法を用いてその物体の表面の複数のマークの位置情報を検出する工程と、この検出結果に基づいて、その物体とそのパターンとの位置合わせを行う工程と、を含むものである。
また、第3の態様によれば、物体の表面に設けられた複数のマークの位置情報を検出するマーク検出装置が提供される。このマーク検出装置は、それぞれそのマークの位置情報を検出するとともにその物体の表面に対するデフォーカス量を計測可能な複数のマーク検出系と、その複数のマーク検出系の検出領域とその物体とを相対移動する移動機構と、その物体の面位置及び傾斜角を制御可能な面位置制御装置と、そのマーク検出系、その移動機構、及びその面位置制御装置を制御する制御装置と、を備え、その制御装置は、その移動機構によるその物体の相対移動中に、その複数のマーク検出系によって計測される第1のデフォーカス量に基づいて、その面位置制御装置を駆動してその物体の面位置及び傾斜角の少なくとも一方を制御し、その複数のマークがその複数の検出領域内に達したときに、その検出領域とその物体とを相対的に静止させて、その複数のマーク検出系のうち少なくとも2個の第1組のマーク検出系で対応する1組のマークの位置情報を検出させるものである。
【0009】
また、第4の態様によれば、露光光でパターンを介して物体を露光する露光装置が提供される。この露光装置は、本発明のマーク検出装置を備え、そのマーク検出装置のその複数のマーク検出系の検出結果に基づいてその物体とそのパターンとの位置合わせを行うものである。
また、第5の態様によれば、本発明の露光方法又は露光装置を用いて物体に感光パターンを形成することと、その露光された物体をその感光パターンに基づいて処理することと、を含むデバイス製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、その物体の相対移動中に、その複数のマーク検出系とその物体の表面との第1のデフォーカス量を計測し、この計測結果に基づいて例えばその複数のマーク検出系のうちの第1組のマーク検出系に合焦されるようにその物体の面位置及び傾斜角の少なくとも一方を制御することができる。この後、その検出領域とその物体とを相対的に静止させて、その第1組のマーク検出系で対応する1組のマークの位置情報を検出するときにはほぼ合焦が行われている。従って、その複数のマーク検出系に対する合焦を短時間に行うことができ、物体に設けられた複数のマークをより短時間に高精度に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施形態の一例に係る露光装置の概略構成を示す図である。
【図2】図1のアライメント系及び位置計測用のエンコーダの配置を示す図である。
【図3】セカンダリアライメント系AL21〜AL24を駆動した状態を示す図である。
【図4】(A)は5眼のAF系を備えたアライメント系の概略構成を示す図、(B)はAF系のフォーカス信号の一例を示す図である。
【図5】図1の露光装置の制御系の主要な構成を示すブロック図である。
【図6】(A)はファーストアライメントショットの計測を行う状態を示す図、(B)はサードアライメントショットの計測を行う状態を示す図、(C)はアライメントショットの配列の一例を示す図である。
【図7】(A)は5眼のアライメント系でデフォーカス量を計測している状態を示す図、(B)は内側の2眼のアライメント系に合焦している状態を示す図である。
【図8】(A)は外側の2眼のアライメント系に合焦している状態を示す図、(B)は内側の2眼のアライメント系に合焦している状態を示す図である。
【図9】プライマリアライメント系AL1に合焦している状態を示す図である。
【図10】アライメント及び露光方法の一例を示すフローチャートである。
【図11】(A)はウエハのショット配列の一部を示す平面図、(B)は図11(A)のウエハマークを示す拡大図、(C)はウエハマークの検出方法の説明図である。
【図12】電子デバイスの製造工程の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態の一例につき図面を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る露光装置EXの概略構成を示す。露光装置EXは、一例としてスキャニングステッパー(スキャナー)よりなる走査露光型の投影露光装置(走査型露光装置)である。後述するように本実施形態では、投影光学系PLが設けられており、以下においては、投影光学系PLの光軸AXと平行にZ軸を取り、これに直交する面内でレチクルとウエハとが相対走査される方向にY軸を、Z軸及びY軸に直交する方向にX軸を取り、X軸、Y軸、及びZ軸の回りの回転(傾斜)方向をそれぞれθx、θy、及びθz方向として説明を行う。
【0013】
図1において、露光装置EXは、露光用の照明光(露光光)ILによりレチクルRを照明する照明系10、レチクルRを保持して移動するレチクルステージRST、レチクルRから射出された照明光ILをウエハWの表面に投射する投影光学系PLを含む投影ユニットPU、ウエハWを保持して移動するウエハステージWST、及びこれらの制御系等を備えている。さらに、露光装置EXは、ウエハWの表面に設けられたアライメントマークとしてのウエハマークの検出を行うウエハアライメント装置80を備えている。
【0014】
照明系10は、例えば特開2001−313250号公報(対応する米国特許出願公開第2003/0025890号明細書)などに開示されるように、光源と、照明光学系とを有し、照明光学系は、一例として回折光学素子または空間光変調器等を含む光量分布形成光学系と、オプティカルインテグレータ(フライアイレンズ又はロッドインテグレータなど)と、レチクルブラインド等(いずれも不図示)とを有する。照明系10は、レチクルブラインドで規定されたレチクルRのパターン面(レチクル面)のスリット状の照明領域IARを照明光ILによりほぼ均一な照度分布で照明する。照明光ILとしては、一例としてArFエキシマレーザ光(波長193nm)が用いられている。なお、照明光としては、KrFエキシマレーザ光(波長248nm)、YAGレーザの高調波、固体レーザ(半導体レーザなど)の高調波、又は水銀ランプの輝線(i線等)なども使用できる。
【0015】
レチクルステージRSTの上面には、回路パターンなどが形成されたレチクルRが、例えば真空吸着により保持されている。レチクルステージRSTは、XY平面内で微少駆動可能であるとともに、走査方向(Y方向)に指定された走査速度で駆動可能となっている。レチクルステージRSTの移動面内の位置情報(X方向、Y方向の位置、及びθz方向の回転角を含む)は、レーザ干渉計よりなるレチクル干渉計116によって、移動鏡15を介して例えば0.5〜0.1nm程度の分解能で常時検出される。レチクル干渉計116の計測値は、図5の主制御装置20に送られる。主制御装置20は、その計測値に基づいてレチクルステージ駆動系11を制御することで、レチクルステージRSTの位置及び速度を制御する。
【0016】
図1において、レチクルステージRSTの下方に配置された投影ユニットPUは、鏡筒40と、該鏡筒40内に所定の位置関係で保持された複数の光学素子を有する投影光学系PLとを含む。投影光学系PLは、例えば両側(又はウエハ側に片側)テレセントリックで所定の投影倍率β(例えば1/4倍、1/5倍など)を有する。投影光学系PLを介して照明領域IAR内のレチクルRの回路パターンの像が、ウエハWの一つのショット領域の露光領域IA(照明領域IARに共役な領域)に形成される。ウエハW(半導体ウエハ)は、例えば直径が200mmから450mm程度の円板状のシリコン等よりなる基材の表面に、感光剤(感光層)であるフォトレジストを所定の厚さ(例えば数10〜200nm程度)で塗布したものを含む。本実施形態のウエハWの各ショット領域には、これまでのパターン形成工程によって所定の単層又は複数層の回路パターン及び対応するウエハマークが形成されている。
【0017】
なお、露光装置EXでは、液浸法を適用した露光を行うため、投影光学系PLを構成する最も像面側(ウエハW側)の光学素子である先端レンズ191を保持する鏡筒40の下端部周囲を取り囲むように、局所液浸装置8の一部を構成するノズルユニット32が設けられている。ノズルユニット32は、露光用の液体Lqを供給可能な供給口と、液体Lqを回収可能な回収口とを有する。その供給口は、供給管31Aを介して、液体Lqを送出可能な液体供給装置5(図5参照)に接続されている。その回収口は、回収管31Bを介して、液体Lqを回収可能な液体回収装置6(図5参照)に接続されている。
【0018】
図5の液体供給装置5から送出された露光用の液体Lqは、図1の供給管31A、及びノズルユニット32の供給流路を流れた後、その供給口より照明光ILの光路空間に供給される。また、ノズルユニット32の回収口から回収された液体Lqは、回収管31Bを介して液体回収装置6に回収される。この動作によって、走査露光中、先端レンズ191とウエハWとの間の照明光ILの光路空間を含む液浸領域14(図2参照)が液体Lqで満たされる。
【0019】
図1において、ベース盤12の上面にウエハステージWSTが配置され、ウエハステージWSTの位置情報を計測するY軸干渉計16を含む干渉計システム118(図5参照)が設けられている。なお、ベース盤12の上面には、投影光学系PLの結像特性を計測する装置等を有する計測用ステージ(不図示)も配置されている。ウエハステージWSTは、X方向、Y方向に移動するXYステージ93XY(図5参照)を有するステージ本体91と、ステージ本体91の上面に搭載されたウエハテーブルWTBと、ステージ本体91内に設けられて、ステージ本体91に対してZ方向、θx方向、及びθy方向にウエハテーブルWTB(ウエハW)を相対的に微小駆動するZステージ93Z(図5参照)とを備えている。XYステージ93XY及びZステージ93Zは、それぞれ図5のステージ駆動系124A及びZステージ駆動系124Bによって駆動される。
【0020】
ウエハテーブルWTBの中央には、ウエハWを真空吸着等によって保持するウエハホルダ(不図示)が設けられている。また、ウエハテーブルWTBの上面には、ウエハホルダ上に載置されるウエハの表面とほぼ同じ高さの、液体Lqに対して撥液化処理された表面(撥液面)を有し、かつ外形(輪郭)が矩形でその中央部にウエハホルダ(ウエハの載置領域)よりも一回り大きな円形の開口が形成された低熱膨張率のプレート(撥液板)28が設けられている。プレート28の一部には、ベースライン計測用の基準マークが形成されるとともに、レチクルRのパターンの像の位置を計測するためのスリットが形成された基準部材FM(図2参照)が設けられている。基準部材FMの底面には、そのスリットを通過した光束を受光する空間像計測装置45(図5参照)が設けられている。
【0021】
図2に示すように、プレート28の周囲の枠状の領域には後述のエンコーダシステムのための1対のYスケール39Y1,39Y2及び1対のXスケール39X1,39X2が形成されている。Yスケール39Y1,39Y2はそれぞれY方向に所定ピッチの回折格子であり、スケール39X1,39X2はそれぞれX方向に所定ピッチの回折格子である。その所定ピッチは例えば138nm〜4μm程度である。
【0022】
図1において、ウエハテーブルWTBの−Y方向及び−X方向の端面は、それぞれ鏡面加工が施されて反射面とされている。干渉計16等はこれらの反射面にそれぞれ測長ビームを投射して、ウエハステージWSTのXY平面内の位置情報(X方向、Y方向の位置、θx方向、θy方向、θz方向の角度)を例えば0.5〜0.1nm程度の分解能で計測し、この計測値を主制御装置20に供給する。
【0023】
但し、本実施形態では、ウエハステージWST(ウエハテーブルWTB)のXY平面内の位置情報は、主として、上述のYスケール及びXスケールなどを含む、後述するエンコーダシステムによって計測され、干渉計16等の計測値は、そのエンコーダシステムの計測値の長期的変動を補正する場合などに補助的に用いられる。また、干渉計16は、ウエハ交換のため、アンローディングポジション及びローディングポジション付近においてウエハテーブルWTBのY方向の位置等を計測するのにも用いられる。
【0024】
また、ウエハテーブルWTBの上面(又は不図示の計測用ステージの上面)には、図3に示すように、断面矩形の低熱膨張率の棒状部材から成る基準部材としてのコンフィデンシャルバー(以下、CDバーと略述する)46がX方向に延設されている。このCDバー46の上面には、所定の配置で複数の基準マークMが形成されている。各基準マークMとしては、後述するプライマリ及びセカンダリのアライメント系によって検出可能な2次元マークが用いられている。これらの基準マークMの位置関係は予め高精度に計測されており、その位置関係の情報が主制御装置20の記憶部に記憶されている。
【0025】
本実施形態の露光装置EXでは、図1では図面の錯綜を避ける観点から図示が省略されているが、実際には、図2に示すように、投影光学系PLの光軸AXを通りかつY軸と平行な直線LV上で、光軸AXから−Y方向側に所定距離隔てた位置に検出中心を有するプライマリアライメント系AL1が配置されている。不図示のメインフレームに支持されるプライマリアライメント系AL1を挟んで、X方向の両側に、その直線LVに関してほぼ対称に検出中心が配置される2眼のセカンダリアライメント系AL21,AL22、及び2眼のセカンダリアライメント系AL23,AL24がそれぞれ設けられている。すなわち、5眼のアライメント系AL1,AL21〜AL24はその検出領域(検出中心)がX方向に沿って配置されている。
【0026】
各セカンダリアライメント系AL21〜AL24は、それぞれ回転中心(例えば中心O)を中心として回動可能なアーム56の先端(回動端)に固定されている。各アーム56は、それぞれバキュームパッド58を介して不図示のメインフレームに固定可能である。本実施形態では、各セカンダリアライメント系AL21〜AL24は、その一部(例えば、アライメント光を検出領域に照射し、かつ検出領域内の被検マークから発生する光を受光素子に導く光学系を少なくとも含む部分)がアーム56に固定され、残りの一部はメインフレームに設けられる。主制御装置20の制御のもとで、回転駆動機構60(図5参照)を介してセカンダリアライメント系AL21〜AL24のアーム56をそれぞれ回動することで、各検出領域のX位置が調整される。各検出領域のX位置は不図示のエンコーダによって計測されている。
【0027】
本実施形態では、アライメント系AL1,AL21〜AL24として、それぞれ例えば画像処理方式のFIA(Field Image Alignment)系が用いられている。このFIA系では、ウエハのレジストを感光させないブロードバンドな検出光を被検マークに照射し、その被検マークからの反射光により受光面に結像された被検マークの像を撮像素子(CCD型又はCMOS型等)を用いて撮像し、それらの撮像信号を出力する。この場合、例えば撮像素子内の所定画素の位置を基準として被検マークの像の位置を検出する。
【0028】
図4(A)は、5眼のアライメント系AL1,AL21〜AL24がそれぞれ図3(A)のCDバー46上の基準マークM1,M21,M22,M23,M24(図3(A)の基準マークMのいずれかに対応する)を検出している状態を示している。図4(A)において、プライマリアライメント系AL1は、被検マークからの反射光を受光する第1対物レンズ系5aと、その反射光を分岐するビームスプリッタ5bと、開口絞り(不図示)と、第1対物レンズ系5aからの反射光を集光して被検マークの拡大像を形成する第2対物レンズ系5cと、その像を撮像する2次元の撮像素子5dとを含んでいる。実際には、例えば第2対物レンズ系5cとビームスプリッタ5bとの間に、不図示の光源からのアライメント光ALを被検マークに導くビームスプリッタ(不図示)が備えられている。また、撮像素子5dの撮像面と共役な被検面上の視野が、プライマリアライメント系AL1の検出領域ALF1である。
【0029】
セカンダリアライメント系AL21〜AL24も、基本的な構成はプライマリアライメント系AL1と同様であり、被検マークの拡大像を形成する対物レンズ系と、その像を撮像する2次元の撮像素子5dとを含んでいる。また、セカンダリアライメント系AL21〜AL24の各撮像素子の撮像面と共役な被検面上の視野が検出領域ALF21〜ALF24(図7(A)参照)である。さらに、一例として、アライメント系AL1,AL21〜AL24の撮像素子5dの中心の画素(原点)に対応する被検面上の点がアライメント系AL1,AL21〜AL24の検出中心である。
【0030】
アライメント系AL1,AL21〜AL24の撮像素子5dからの撮像信号はそれぞれ検出信号処理部131A,131B,131C,131D,131Eに供給される。検出信号処理部131A〜131Eでは、各撮像素子5dの撮像信号を所定範囲で被検面上でのY方向、X方向に対応する方向に積算して、それぞれX方向及びY方向に周期的なマークの像の撮像信号SX,SYを生成し、撮像信号SX,SYをアライメント制御部132に供給する。アライメント制御部132では、それぞれの撮像信号SX,SYを例えば所定の閾値でスライスして、対応するマークの検出中心に対するX方向、Y方向の位置ずれ量を求める。この位置ずれ量は主制御装置20を介して図5のEGA演算部134に供給される。EGA演算部134では、その位置ずれ量、各アライメント系のベースライン、及びウエハステージWSTの座標(X,Y)より、被検マークのステージ座標系(X,Y)での座標値を求める。
【0031】
また、各アライメント系AL1,AL21〜AL24のベストフォーカス位置と被検面とのZ方向のずれ量(デフォーカス量)を計測するために、アライメント系AL1,AL21〜AL24には、それぞれ同一構成のオートフォーカス系(以下、AF系という)6A,6B〜6Eが装着されている。一例として、AF系6Aは、プライマリアライメント系AL1のビームスプリッタ5b(又は部分反射ミラー等)で分岐(又は反射)された焦点検出光FLを瞳面近傍で2分割して反射する瞳分割用のミラー6bと、ミラー6bからの光を集光して被検面のパターンの2つの拡大像を形成する集光レンズ系6cと、その2つの拡大像を撮像する1次元のラインセンサ(2次元の撮像素子でもよい)6dとを含んで構成されている。実際には、AF系6Aには、不図示の光源からの焦点検出光FLによって照明された焦点検出用パターン(スリットパターン等)を通過した光をビームスプリッタ5b側に送光する光学部材(不図示)が組み込まれており、そのラインセンサ6d上にはその焦点検出用パターンの2つの像が形成される。ラインセンサ6dの検出信号は検出信号処理部131Aに供給される。この場合、被検面がZ方向にデフォーカス量δFだけ変位すると、ラインセンサ6d上の2つのパターン像の間隔が変化するため、検出信号処理部131Aでは、その間隔に対応する図4(B)のフォーカス信号FSをアライメント制御部132に供給する。
【0032】
他のAF系6B〜6EもAF系6Aと同様に構成され、AF系6B〜6Eのラインセンサからの検出信号が供給された検出信号処理部131B〜131Eは、それぞれセカンダリアライメント系AL21〜AL24(撮像素子5d)のベストフォーカス位置に対する被検面のデフォーカス量に対応するフォーカス信号をアライメント制御部132に供給する。なお、AF系6A〜6Eとしては、瞳面のほぼ半面の光束を用いるオートフォーカス系等も使用可能である。
【0033】
アライメント制御部132は、それらのフォーカス信号に予め求められている係数を乗じて得られるアライメント系AL1,AL21〜AL24毎のデフォーカス量(図4(A)では、δF1,δF21〜δF24)の情報を主制御装置20に供給する。主制御装置20は、そのデフォーカス量の情報を用いて、後述のように被検面がそれぞれアライメント系AL1,AL21〜AL24のベストフォーカス位置に合焦されるように、Zステージ駆動系124Bを介してウエハステージWST内のZステージ93Zを駆動する。
【0034】
ウエハアライメント装置80は、AF系6A〜6Eを備えたアライメント系AL1,AL21〜AL24、主制御装置20、XYステージ93XY、及びZステージ93Zを含んで構成されている。本実施形態では5眼のアライメント系AL1,AL21〜AL24を設けているため、アライメントを効率的に行うことができる。しかしながら、アライメント系の数は5つに限られるものでなく、2つ以上かつ4つ以下、あるいは6つ以上でも良いし、奇数ではなく偶数でも良い。
【0035】
本実施形態の露光装置EXでは、図2に示すように、前述したノズルユニット32の周囲を四方から囲む状態で、エンコーダシステムの4つのヘッドユニット62A〜62Dが配置されている。これらのヘッドユニット62A〜62Dを構成する複数のYヘッド64及びXヘッド66は、メインフレーム(不図示)の底面に固定されている。
図2において、ヘッドユニット62A,62Cは、投影ユニットPUの±X方向側に、それぞれ投影光学系PLの光軸AXを通りかつX軸と平行な直線LH上にX方向に所定間隔で配置された複数のYヘッド64を備えている。Yヘッド64は、それぞれYスケール39Y1又は39Y2を用いて、ウエハステージWST(ウエハテーブルWTB)のY方向の位置をレーザ干渉計と同じ程度の分解能で計測する。また、ヘッドユニット62B,62Dは、投影ユニットPUの±Y方向側にそれぞれ光軸AXを通りかつY軸と平行な直線LV上にY方向にほぼ所定間隔で配置された複数のXヘッド66を備えている。Xヘッド66は、それぞれXスケール39X1又は39X2を用いて、ウエハステージWST(ウエハテーブルWTB)のX方向の位置をレーザ干渉計と同じ程度の分解能で計測する。Yヘッド64及びXヘッド66の構成の一例は、国際公開第2008/029757号パンフレット(及びこれに対応する米国特許出願公開第2008/094593号明細書)に開示されている。
【0036】
図2のヘッドユニット62A及び62Cは、それぞれYスケール39Y1及び39Y2を用いて、ウエハステージWSTのY位置を計測する多眼のY軸のリニアエンコーダ(以下、Yエンコーダと略述する)70A及び70C(図5参照)を構成する。Yエンコーダ70A,70Cはそれぞれ複数のYヘッド64の計測値の切り替えを行う切り替え制御部を備えている。
【0037】
また、ヘッドユニット62B及び62Dは、それぞれXスケール39X1及び39X2を用いて、ウエハステージWSTのX位置を計測する、多眼のX軸のリニアエンコーダ(以下、Xエンコーダと略述する)70B及び70D(図5参照)を構成する。Xエンコーダ70B,70Dはそれぞれ複数のXヘッド66の計測値の切り替えを行う切り替え制御部を備えている。さらに、本実施形態では、後述するセカンダリアライメント系のベースライン計測時などに、ウエハステージWSTのY位置を計測するためのYヘッド(不図示)によって構成されるリニアエンコーダであるY軸エンコーダ70E,70F(図5参照)も設けられている。
【0038】
上述した6つのエンコーダ70A〜70Fの計測値は、主制御装置20及びEGA演算部134に供給され、主制御装置20は、エンコーダ70A〜70Fの計測値に基づいて、ウエハステージWST等のXY平面内の位置を制御する。
本実施形態の露光装置EXは、図2に示すように、照射系90a及び受光系90bから成る、例えば特開平6−283403号公報(対応する米国特許第5,448,332号明細書)等に開示されるものと同様の構成の斜入射方式の多点焦点位置検出系(以下、多点AF系と略述する)が設けられている。本実施形態では、一例として、前述のヘッドユニット62Cの−Y方向側に照射系90aが配置され、これに対向する状態で、前述のヘッドユニット62Aの−Y方向側に受光系90bが配置されている。
【0039】
図2の多点AF系(90a,90b)の複数の検出点は、被検面上でX方向に延びる細長い検出領域AF内にX方向に沿って所定間隔で配置される。本実施形態では、その複数の検出点は、例えば1行M列(Mは検出点の総数)又は2行N列(Nは検出点の総数の1/2)のマトリックス状に配置される。その検出領域AFは、X方向の長さがウエハWの直径と同程度に設定されているので、ウエハWをY方向に1回スキャンするだけで、ウエハWのほぼ全面でZ方向の位置情報(面位置情報)を計測できる。また、検出領域AFは、Y方向に関して、前述の液浸領域14(露光領域IA)とアライメント系(AL1,AL21〜AL24)の検出領域との間に配置されているため、多点AF系とアライメント系とでその検出動作を並行して行うことが可能となっている。多点AF系は、投影ユニットPUを保持するメインフレームに設けても良い。
【0040】
さらに、前述したヘッドユニット62C及び62Aは、複数のYヘッド64を結ぶ直線LHを挟むX軸に平行な2本の直線にそれぞれ沿って且つ所定間隔で配置された複数のZセンサ74及び76を備えている。各Zセンサ74,76としては、例えばCDピックアップ方式のセンサが用いられている。Zセンサ74,76は計測フレーム21の底面に固定されている。また、この図2において、符号78は、多点AF系(90a,90b)のビーム路近傍に所定温度に温度調整されたドライエアーを、図2中の白抜き矢印で示されるように、例えばダウンフローにて送風する局所空調システムを示す。また、符号UP及びLPは、それぞれ投影光学系PLに対して−Y方向に所定間隔で並行に配置され、ウエハテーブルWTBに対してウエハのアンロード及びロードが行われるアンロードポジション及びローディングポジションを示す。
【0041】
図5には、露光装置EXの制御系の主要な構成が示されている。この制御系は、装置全体を統括的に制御するコンピュータから成る主制御装置20を中心として構成されている。
上述のようにして構成された本実施形態の露光装置EXでは、前述したようなウエハテーブルWTBのXスケール、Yスケールの配置及び前述したようなXヘッド、Yヘッドの配置を採用したことから、図6(B)などに例示されるように、ウエハステージWSTの有効ストローク範囲では、必ず、Xスケール39X1,39X2とヘッドユニット62B,62D(Xヘッド66)とがそれぞれ対向し、かつYスケール39Y1,39Y2とヘッドユニット62A,62C(Yヘッド64)又は不図示のYヘッドとがそれぞれ対向するようになっている。
【0042】
このため、主制御装置20は、前述のウエハステージWSTの有効ストローク範囲では、エンコーダ70A〜70Fの少なくとも3つの計測値に基づいて、ステージ駆動系124Aを構成する各モータを制御することで、ウエハステージWSTのXY平面内の位置(θz方向の回転角を含む)を、高精度に制御することができる。エンコーダ70A〜70Fの計測値が受ける空気揺らぎの影響は、干渉計に比べては無視できるほど小さいので、空気揺らぎに起因する計測値の短期安定性は、干渉計に比べて格段に良い。
【0043】
以下、本実施形態の露光装置EXにおいて、主制御装置20の制御のもとで1ロットのウエハに順次レチクルRのパターンの像を露光する際のアライメント及び露光動作の一例につき、図10のフローチャートを参照して説明する。
先ず図10のステップ302において、図1のレチクルステージRSTにレチクルRをロードし、主制御装置20は、不図示の露光データファイルより露光対象のウエハのショット配列の情報を読み出し、このショット配列の情報から、ウエハの各ショット領域に付設されているウエハマークのX方向の間隔(設計上の間隔)を求める。
【0044】
ウエハのショット配列は、一例として図6(C)に示すように設定され、ウエハWの全部のショット領域から選ばれた例えば黒色で区別される16個のアライメントショット(サンプルショット)ASに付設されたウエハマーク(不図示)をアライメント系AL1,AL21〜AL24で計測するものとする。この場合、アライメントショットASは、+Y方向から順にX方向に4つのショット領域の幅を配列ピッチとして、3つのファーストアライメントショット、2列の5つのセカンド及びサードアライメントショット及び3つのフォースアライメントショットから構成されている。なお、ウエハマークは、ショット領域内に形成されていてもよいが、本実施形態では、ウエハマークはショット領域間のストリートラインに形成されているものとする。主制御装置20は、検出対象のウエハマークのX方向の間隔に合わせて、図3に示すように、回転駆動機構60を介してセカンダリアライメント系AL21〜AL24のX方向の位置を調整する。
【0045】
その後、ウエハステージWST(又は不図示の計測ステージ)を駆動して、図3に示すように、CDバー46の複数の基準マークM1,M21〜M24(図4参照)をアライメント系AL1,AL21〜AL24の検出領域に移動する。この状態で、アライメント系AL1,AL21〜AL24で基準マークM1,M21〜M24の位置ずれ量を検出し、検出結果をEGA演算部134に供給する。この際に、図4(A)に示すように、各アライメント系AL1,AL21〜AL24において、例えばCDバー46をZ方向に移動して撮像素子5dで検出される被検マークの像の検出信号のコントラストが最大になるときのZ位置をそれぞれのベストフォーカス位置としてもよい。さらに、各ベストフォーカス位置でフォーカス信号FSが0になるようにフォーカス信号のキャリブレーションを行ってもよい。
【0046】
また、本実施形態では、5眼のアライメント系AL1,AL21〜AL24のベストフォーカス位置は一直線上にはなく、さらに、3眼のアライメント系のベストフォーカス位置が一直線上にあることもないとする。次のステップ304において、EGA演算部134では、その基準マークの位置ずれ量及び主制御装置20から供給された既知の基準マークM1,M21〜M24の配列座標から、プライマリアライメント系AL1の検出中心に対するセカンダリアライメント系AL21〜AL24の検出中心のX方向の間隔SBL1〜SBL4及びY方向の間隔よりなるセカンダリベースラインを算出する。
【0047】
次のステップ306において、未露光のウエハWをウエハステージWSTにロードする。次のステップ308において、ウエハステージWSTを+Y方向に駆動し、図2に示すように、基準マーク部材FM中の所定の基準マークをプライマリアライメント系AL1の検出領域に移動し、プライマリアライメント系AL1でその基準マークの位置ずれ量を検出する。この位置ずれ量及びその基準マークの位置情報から、EGA演算部134はプライマリアライメント系AL1のベースラインを求める。なお、本実施形態では、レチクルRのレチクルマークの像の検出が後で行われるため、その検出後にそのベースラインが補正される。
【0048】
次のステップ310で、例えばアライメント系AL1,AL22,AL24でウエハWの複数のサーチアライメントマーク(不図示)を検出することによって、ウエハWのおおまかなショット配列の算出(サーチアライメント)が行われる。次のステップ312において、ウエハステージWSTのXYステージ93XYの駆動によりウエハWの+Y方向への移動が開始される。この後、ウエハWの移動中に、ステップ314において、図7(A)に示すように、5眼のアライメント系AL1,AL22〜AL24のAF系6A〜6Eによって、ウエハW(又はプレート28)の表面のベストフォーカス位置からのデフォーカス量δF1,δF21〜δF24を計測し、計測結果を主制御装置20に供給する。この計測はウエハWの移動中に行われるため、デフォーカス量のラフ計測とも呼ぶ。
【0049】
ウエハWの移動中の次のステップ316において、主制御装置20は、この段階では内側の2つのセカンダリアライメント系AL22,AL23のデフォーカス量δF22,δF23を用いて、ウエハWの表面が2つのセカンダリアライメント系AL22,AL23のベストフォーカス位置に合致するように、ウエハステージWSTのZステージ93Zを駆動して、ウエハWの傾斜角及びZ位置(線形成分)を補正する。次のステップ318で、サーチアライメントの結果を用いて、複数のファーストアライメントショットのウエハマークがアライメント系AL1,AL22,AL23の検出領域に入ったかどうかを判定する。複数のウエハマークが対応する検出領域に入っていない場合には、ステップ314及び316が繰り返される。ステップ318で複数のウエハマークが対応する検出領域に入ったときには、ステップ320に移行して、図6(A)に示すようにウエハステージWST(ウエハW)を停止させる。
【0050】
このようにウエハWが停止した状態では、ステップ316のウエハWの線形成分の補正動作によって、図7(B)に示すように、ウエハWの表面は内側の2眼のセカンダリアライメント系AL22,AL23のベストフォーカス位置にほぼ合致している。次のステップ322において、5眼のアライメント系AL1,AL22〜AL24のAF系6A〜6Eによって焦点検出光FLを照射して、ウエハWの表面のベストフォーカス位置からの残存しているデフォーカス量を計測し、計測結果を主制御装置20に供給する。この計測はウエハWの停止中に行われるため、デフォーカス量のファイン計測とも呼ぶ。次のステップ322において、主制御装置20は、そのファイン計測の結果を用いてウエハステージWSTのZステージ93Zを駆動して、ウエハWの表面を2眼のセカンダリアライメント系AL22,AL23のベストフォーカス位置に合焦させる。この際に、デフォーカス量のラフ計測によって、ウエハWの表面はほぼセカンダリアライメント系AL22,AL23のベストフォーカス位置に合焦していたため、ステップ322のデフォーカス量のファイン計測及びステップ324の合焦は極めて短時間に行われる。従って、アライメント時間が短縮される。
【0051】
そのように合焦した状態で、主制御装置20の制御のもとで、図7(B)に示すように、2眼のセカンダリアライメント系AL22,AL23は、アライメント光ALを照射して、ウエハWの表面の対応するウエハマークWMC1,WMD1の位置ずれ量を検出する。検出結果はEGA演算部134に供給される(以下同様)。次のステップ326において、同一列(ここではファーストアライメントショット)中で計測されていないウエハマークが一つかどうかを判定する。この段階では、計測されていないのは中央のウエハマークWMA1だけであるため、動作はステップ328に移行して、ウエハステージWST(Zステージ93Z)をZ方向に駆動してウエハWの表面をプライマリアライメント系AL1のベストフォーカス位置A1に合焦させる。そして、プライマリアライメント系AL1によってウエハマークWMA1の位置ずれ量を検出する。次のステップ330で、計測対象のウエハマーク(アライメントショット)が残っているかどうかを判定する。この段階では計測対象のウエハマークが残っているため、動作はステップ312に戻り、ウエハWの+Y方向への移動が開始され、デフォーカスのラフ計測(ステップ314)、この段階では外側の2眼のセカンダリアライメント系AL21,AL24に対するウエハWの合焦(ステップ316)が行われる。
【0052】
そして、セカンドアライメントショットのウエハマークがアライメント系AL1,AL22〜AL24の検出領域内に入ったときに、ウエハWが停止され(ステップ320)、デフォーカス量のファイン計測が行われる(ステップ322)。次のステップ324では、図8(A)に示すように、主制御装置20は、そのファイン計測の結果を用いて、ウエハWの表面を外側の2眼のセカンダリアライメント系AL21,AL24のベストフォーカス位置に合焦させて、2眼のセカンダリアライメント系AL21,AL24に対応するウエハマークWMB2,WME2の位置ずれ量を検出させる。
【0053】
次のステップ326において、同一列(ここではセカンドアライメントショット)中で計測されていないウエハマークは3つであるため、動作はステップ324に戻る。そして、主制御装置20は、上述のファイン計測の結果を用いて、ウエハWの表面を内側の2眼のセカンダリアライメント系AL22,AL23のベストフォーカス位置に合焦させて、図8(B)に示すように、2眼のセカンダリアライメント系AL22,AL23に対応するウエハマークWMC2,WMD2の位置ずれ量を検出させる。次のステップ326において、計測されていないのは中央のウエハマークWMA2だけである。そのため動作はステップ328に移行し、図9に示すように、ウエハWの表面をプライマリアライメント系AL1のベストフォーカス位置に合焦させ、プライマリアライメント系AL1によってウエハマークWMA2の位置ずれ量を検出させる。
【0054】
同様にして、ステップ312〜328を繰り返すことで、図6(B)に示すように、アライメント系AL1,AL22〜AL24によってサードアライメントショットの5つのウエハマークの位置ずれ量が検出される。一例としてこの途中で、レチクルRのレチクルマークの空間像を空間像計測装置45で計測することで、プライマリアライメント系AL1のベースラインが補正される。さらに、ステップ312〜328を繰り返すことで、アライメント系AL1,AL22,AL23によってフォースアライメントショットの3つのウエハマークの位置ずれ量が検出される。その後、計測対象のウエハマークがなくなってから、動作はステップ330からステップ332に移行して、EGA演算部134は、全部のアライメントショットASのウエハマークの座標から例えばEGA方式でウエハWの全部のショット領域の配列座標を算出する。さらに、アライメントと並行して、多点AF系(90a,90b)によってウエハWの表面のZ位置の分布が計測されている。その配列座標及びZ位置の分布を用いて、次のステップ334でウエハWの各ショット領域に対してレチクルRのパターンの像が走査露光される。次のステップ336で次のウエハに対する露光が同様に行われる。
【0055】
このように、本実施形態では、ウエハステージWSTをY方向に移動させ、その移動経路上における4箇所にウエハステージWSTを位置決めすることにより、5眼のアライメント系AL1,AL21〜AL24を用いて合計16箇所のアライメントショットASにおけるウエハマークの位置情報を検出できる。この際に、ウエハステージWSTをX方向に移動させる必要が無いため、単一のアライメント系を用いてウエハステージをX方向、Y方向に駆動して順次ウエハマークを検出する場合などに比べて、格段に短時間に多数のウエハマークの位置情報を得ることができる。従って、短時間にアライメントを行うことができる。
【0056】
上述のように本実施形態のウエハアライメント装置80は、ウエハWの表面に設けられたウエハマークWMA2〜WME2等の位置ずれ量を検出するとともにウエハWの表面に対するデフォーカス量を計測可能な5眼のアライメント系AL1,AL22〜AL24と、これらのアライメント系の検出領域ALF1,ALF21〜ALF24に対してウエハWをY方向に移動するXYステージ93XY(移動機構)と、ウエハWのZ位置(面位置)並びにθx方向及びθy方向の傾斜角を制御可能なZステージ93Z(面位置制御装置)と、主制御装置20と、を備えている。そして、主制御装置20は、XYステージ93XYによるウエハWの移動中に(ステップ312)、アライメント系AL1,AL22〜AL24によって計測されるデフォーカス量に基づいて、Zステージ93Zを駆動してウエハWのZ位置及び傾斜角の少なくとも一方を制御し(ステップ314,316)、ウエハマークWMA2等が検出領域ALF1,ALF21〜ALF24内に達したときに、ウエハWを静止させて、アライメント系AL1,AL22〜AL24のうち1組のセカンダリアライメント系AL21,AL24で対応する1組のウエハマークWMB2,WME2の位置情報を検出させている(ステップ324)。
【0057】
本実施形態によれば、ウエハWの移動中に、アライメント系AL1,AL22〜AL24とウエハWの表面とのデフォーカス量が計測され、この計測結果に基づいて例えばセカンダリアライメント系AL21,AL24に合焦されるようにウエハWのZ位置及び傾斜角の少なくとも一方が制御される。この後、ウエハWを静止させて、セカンダリアライメント系AL21,AL24で対応するウエハマークWMB2,WME2の位置情報を検出するときにはほぼ合焦が行われている。従って、セカンダリアライメント系AL21,AL24に対する合焦を短時間に行うことができ、ウエハWに設けられた複数のウエハマークをより短時間に高精度に検出できる。
【0058】
また、本実施形態では、ウエハWを静止させたときに、アライメント系AL1,AL22〜AL24とウエハWの表面とのデフォーカス量を計測し(ステップ322)、この計測結果に基づいてセカンダリアライメント系AL21,AL24に対するウエハWの表面の合焦を行うように、ウエハWのZ位置及び傾斜角の少なくとも一方を制御している(ステップ324の一部)。従って、被検マークをより高精度にセカンダリアライメント系AL21,AL24に合焦させることができる。なお、ステップ316における合焦動作で、ウエハWの表面がセカンダリアライメント系AL21,AL24に対して許容範囲内の精度で合焦しているときには、ステップ322のデフォーカス量の計測及びステップ324の前半での合焦動作を省略してもよい。
【0059】
また、本実施形態では、そのセカンダリアライメント系AL21,AL24によるマーク検出に続いて、セカンダリアライメント系AL22,AL23に対してウエハWの表面が合焦されるようにウエハWのZ位置及び傾斜角の少なくとも一方を制御し、セカンダリアライメント系AL22,AL23によって対応するウエハマークWMC2,WMD2の位置情報を検出している(ステップ324)。その後、プライマリアライメント系AL1に対してウエハWの表面が合焦されるようにウエハWのZ位置及び傾斜角の少なくとも一方を制御し、プライマリアライメント系AL1によって対応するウエハマークWMA2の位置情報を検出している(ステップ328)。従って、5眼のアライメント系AL1,AL22〜AL24によるウエハマークの検出を効率的に行うことができる。
【0060】
また、本実施形態の露光装置EXは、照明光ILでレチクルRのパターンを介してウエハWを露光する露光装置であって、ウエハアライメント装置80を備え、ウエハアライメント装置80のアライメント系AL1,AL22〜AL24の検出結果に基づいてXYステージ93XY(ウエハステージWST)を駆動してウエハWとレチクルRのパターンとの位置合わせを行っている。
【0061】
また、露光装置EXによる露光方法は、ウエハアライメント装置80を用いたアライメント方法を用いてウエハWの表面の複数のウエハマークの位置情報を検出するステップ308〜330と、この検出結果に基づいて、ウエハWとレチクルRのパターンとの位置合わせを行いながらウエハWを走査露光するステップ334とを含んでいる。
これらの露光装置EX及び露光方法によれば、多数のウエハマークの位置情報を効率的に検出できるため、露光工程のスループットを向上できる。
【0062】
なお、本実施形態では、5眼のアライメント系AL1,AL22〜AL24が用いられている。しかしながら、偶数個(例えば4眼又は6眼等)のアライメント系が用いられている場合には、2眼のアライメント系ずつ対応する被検マークに対する合焦及び位置情報の検出を行うようにしてもよい。さらに、本実施形態では、2眼のアライメント系に対する合焦を行っているが、例えば3眼のアライメント系のベストフォーカス位置が一直線状に配置されている場合には、これらの3眼のアライメント系に対して一度に被検面の合焦を行って、同時に被検マークの位置情報を検出するようにしてもよい。
【0063】
また、本実施形態では、アライメント系AL1,AL22〜AL24の検出領域に対してウエハステージWSTによってウエハWをY方向に移動(相対移動)している。しかしながら、例えばアライメント系AL1,AL22〜AL24の検出領域をY方向に移動する機構を設け、ウエハWに対してアライメント系AL1,AL22〜AL24の検出領域をY方向に移動してもよい。
【0064】
また、上記の実施形態のウエハマークとして、図11(B)に示すような2次元のウエハマーク22を使用してもよい。
図11(A)はウエハの一部の複数のショット領域SAを示す。図11(A)において、ショット領域SAのY方向(及びX方向)の間のスクライブライン領域SLAの幅は50μm以下で、例えば40μmと従来よりも狭く設定されている。従来の2次元のウエハマークをスクライブライン領域SLAに形成することは困難である。そこで、この変形例では、図11(B)の拡大図で示すように、全体としてスクライブライン領域SLAの長手方向に沿って細長い格子状のウエハマーク22を使用している。
【0065】
ウエハマーク22は、X方向(長手方向)に所定の線幅の凸部(凹部でもよい)よりなる多数のライン部22Xを配列し、Y方向(短手方向)に所定の線幅の凸部(凹部でもよい)よりなる複数のX方向に細長いライン部22Yを配列したものである。ライン部22Xの長さは40μmよりも僅かに短く、ライン部22Yの長さは100〜300μm程度(例えば200μm程度)である。ライン部22Xは、中央のスペース部をX方向に挟むように10〜20個程度ずつが対称に設けられ、ライン部22Yは、中央のスペース部をY方向に挟むように数個(例えば3個)程度ずつが対称に設けられている。
【0066】
ウエハマーク22の位置情報を画像処理方式のアライメント系で検出する場合、一例としてウエハマーク22の像を図11(C)の像22Pとして、図11(B)のX方向、Y方向に対応する方向を図11(C)のX方向、Y方向とする。図11(C)には、スクライブライン領域SLAの像SLAPも示されている。一例として、撮像素子の受光面内で、全部のライン部22Xの像22XPをX方向に含む積算領域24X内で、撮像信号をY方向に積算することによって、X軸の積算信号SXを求め、積算信号SXを所定の閾値でスライスし、そのX方向の中央の位置をウエハマークの像22PのX方向の位置Xiとする。一方、全部のライン部22Yの像22YPをY方向に含む積算領域24Y内で、撮像信号をX方向に積算することによって、Y軸の積算信号SYを求め、積算信号SYを所定の閾値でスライスし、そのY方向の中央の位置をウエハマークの像22PのY方向の位置Yiとする。そして、例えばその撮像素子の中心画素とその位置Xi,Yiとの位置ずれ量に、アライメント系の倍率の逆数を乗ずることによって、ウエハマーク22の中心のX方向、Y方向の位置ずれ量を求めることができる。
【0067】
このように細長い格子型のウエハマーク22を用いることによって、ショット領域間のスクライブライン領域SLAの幅が狭くなっても、そのスクライブライン領域SLAに2次元のウエハマークを容易に配置できる。さらに、そのウエハマークの像22Pの撮像信号をY方向及びX方向に積算することによって、像22Pの位置、ひいてはウエハマーク22の位置ずれ量を高精度に求めることができる。
【0068】
また、上記の実施形態の露光装置(又は露光方法)を用いて半導体デバイス等の電子デバイス(マイクロデバイス)を製造する場合、電子デバイスは、図12に示すように、電子デバイスの機能・性能設計を行うステップ221、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ222、デバイスの基材である基板(ウエハ)を製造するステップ223、前述した実施形態の露光装置EX(露光方法)によりレチクルのパターンを基板に露光する工程、露光した基板を現像する工程、現像した基板の加熱(キュア)及びエッチング工程などを含む基板処理ステップ224、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程などの加工プロセスを含む)225、並びに検査ステップ226等を経て製造される。
【0069】
言い換えると、このデバイスの製造方法は、上記の実施形態の露光装置又は露光方法を用いて基板(物体)を露光することと、その露光された基板を現像することと、を含んでいる。この際に、複数のアライメント系を用いて効率的に基板のアライメント(ウエハマークの検出)を行うことができるため、デバイスを高いスループットで量産することができる。
【0070】
なお、上記の実施形態において、上述の走査露光型の露光装置(スキャナ)の他に、ステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパー等)も使用できる。さらに、液浸型露光装置以外の、ドライ露光型の露光装置も同様に使用することができる。
また、上記の実施形態は、半導体デバイス製造用の露光装置に限らず、液晶表示素子やプラズマディスプレイなどを含むディスプレイの製造に用いられる、デバイスパターンをガラスプレート上に転写する露光装置、薄膜磁気ヘッドの製造に用いられるデバイスパターンをセラミックスウエハ上に転写する露光装置、並びに撮像素子(CCDなど)、有機EL、マイクロマシーン、MEMS(Microelectromechanical Systems)、及びDNAチップなどの製造に用いられる露光装置などにも適用することができる。また、半導体素子などの電子デバイス(マイクロデバイス)だけでなく、光露光装置及びEUV露光装置などで使用されるマスクを製造するために、ガラス基板又はシリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。
【0071】
このように、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の構成を取り得る。
【符号の説明】
【0072】
AL1…プライマリアライメント系、AL21〜AL24…セカンダリアライメント系、R…レチクル、W…ウエハ、WST…ウエハステージ、WMA1,WMC1,WMD1,WMA2〜WME2…ウエハマーク、6A〜6E…アライメント系のAF系、20…主制御装置、80…ウエハアライメント装置、93XY…XYステージ、93Z…Zステージ、
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体の表面に設けられた複数のマークの位置情報を検出するマーク検出方法において、
複数のマーク検出系の複数の検出領域と前記物体とを相対移動することと、
前記物体の相対移動中に、前記複数のマーク検出系と前記物体の表面との第1のデフォーカス量を計測し、該計測結果に基づいて前記物体の面位置及び傾斜角の少なくとも一方を制御することと、
前記複数のマークが前記複数の検出領域内に達したときに、前記検出領域と前記物体とを相対的に静止させて、前記複数のマーク検出系のうち少なくとも2個の第1組のマーク検出系で対応する1組のマークの位置情報を検出することと、
を含むことを特徴とするマーク検出方法。
【請求項2】
前記検出領域と前記物体とを相対的に静止させたときに、
前記複数のマーク検出系と前記物体の表面との第2のデフォーカス量を計測することと、
前記第2のデフォーカス量に基づいて前記第1組のマーク検出系と前記物体との合焦を行うように、前記物体の面位置及び傾斜角の少なくとも一方を制御することと、
を含むことを特徴とする請求項1に記載のマーク検出方法。
【請求項3】
前記複数のマーク検出系は少なくとも3個で、前記第1組のマーク検出系は2個であり、
前記第1組のマーク検出系で対応する前記1組のマークの位置情報を検出した後、
他の第2組のマーク検出系に対して前記物体の表面が合焦されるように前記物体の面位置及び傾斜角の少なくとも一方を制御して、前記第2組のマーク検出系で対応する1組のマークの位置情報を検出すること、
を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のマーク検出方法。
【請求項4】
前記複数のマーク検出系は5個で、前記第2組のマーク検出系は2個であり、
前記第2組のマーク検出系で対応する前記1組のマークの位置情報を検出した後、
他の一つのマーク検出系に対して前記物体の表面が合焦されるように前記物体の面位置を制御して、前記他の一つマーク検出系で対応するマークの位置情報を検出すること、
を含むことを特徴とする請求項3に記載のマーク検出方法。
【請求項5】
前記複数のマーク検出系の前記検出領域はほぼ一列に配置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のマーク検出方法。
【請求項6】
前記物体の表面に設けられた前記マークは、
第1方向に配列された複数の第1ライン部と、
前記第1方向に直交する第2方向に、前記第1ライン部よりも少ない数で配列されるとともに、前記第1ライン部よりも長い複数の第2ライン部とを有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のマーク検出方法。
【請求項7】
露光光でパターンを介して物体を露光する露光方法において、
請求項1〜6のいずれか一項に記載のマーク検出方法を用いて前記物体の表面の複数のマークの位置情報を検出する工程と、
該検出結果に基づいて、前記物体と前記パターンとの位置合わせを行う工程と、
を含むことを特徴とする露光方法。
【請求項8】
物体の表面に設けられた複数のマークの位置情報を検出するマーク検出装置において、
それぞれ前記マークの位置情報を検出するとともに前記物体の表面に対するデフォーカス量を計測可能な複数のマーク検出系と、
前記複数のマーク検出系の検出領域と前記物体とを相対移動する移動機構と、
前記物体の面位置及び傾斜角を制御可能な面位置制御装置と、
前記マーク検出系、前記移動機構、及び前記面位置制御装置を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記移動機構による前記物体の相対移動中に、前記複数のマーク検出系によって計測される第1のデフォーカス量に基づいて、記面位置制御装置を駆動して前記物体の面位置及び傾斜角の少なくとも一方を制御し、
前記複数のマークが前記複数の検出領域内に達したときに、前記検出領域と前記物体とを相対的に静止させて、前記複数のマーク検出系のうち少なくとも2個の第1組のマーク検出系で対応する1組のマークの位置情報を検出させることを特徴とするマーク検出装置。
【請求項9】
前記制御装置は、
前記検出領域と前記物体とを相対的に静止させたときに、
前記複数のマーク検出系に前記物体の表面との第2のデフォーカス量を計測させ、
前記第2のデフォーカス量に基づいて前記第1組のマーク検出系と前記物体との合焦を行うように、前記面位置制御装置を駆動して前記物体の面位置及び傾斜角の少なくとも一方を制御することを特徴とする請求項8に記載のマーク検出装置。
【請求項10】
前記複数のマーク検出系は少なくとも3個で、前記第1組のマーク検出系は2個であり、
前記制御装置は、
前記第1組のマーク検出系で対応する前記1組のマークの位置情報を検出させた後、
他の第2組のマーク検出系に対して前記物体の表面が合焦されるように前記ステージを駆動して前記物体の面位置及び傾斜角の少なくとも一方を制御して、前記第2組のマーク検出系で対応する1組のマークの位置情報を検出させることを特徴とする請求項8又は9に記載のマーク検出装置。
【請求項11】
前記複数のマーク検出系は5個で、前記第2組のマーク検出系は2個であり、
前記制御装置は、
前記第2組のマーク検出系で対応する前記1組のマークの位置情報を検出させた後、
他の一つのマーク検出系に対して前記物体の表面が合焦されるように前記面位置制御装置を駆動して前記物体の面位置を制御して、前記他の一つマーク検出系で対応するマークの位置情報を検出させることを特徴とする請求項10に記載のマーク検出装置。
【請求項12】
前記複数のマーク検出系の前記検出領域はほぼ一列に配置されていることを特徴とする請求項8〜11のいずれか一項に記載のマーク検出装置。
【請求項13】
露光光でパターンを介して物体を露光する露光装置において、
請求項8〜12のいずれか一項に記載のマーク検出装置を備え、
前記マーク検出装置の前記複数のマーク検出系の検出結果に基づいて前記移動機構を駆動して前記物体と前記パターンとの位置合わせを行うことを特徴とする露光装置。
【請求項14】
請求項7に記載の露光方法を用いて物体に感光パターンを形成することと、
前記露光された物体を前記感光パターンに基づいて処理することと、
を含むデバイス製造方法。
【請求項15】
請求項13に記載の露光装置を用いて物体に感光パターンを形成することと、
前記露光された物体を前記感光パターンに基づいて処理することと、
を含むデバイス製造方法。
【請求項1】
物体の表面に設けられた複数のマークの位置情報を検出するマーク検出方法において、
複数のマーク検出系の複数の検出領域と前記物体とを相対移動することと、
前記物体の相対移動中に、前記複数のマーク検出系と前記物体の表面との第1のデフォーカス量を計測し、該計測結果に基づいて前記物体の面位置及び傾斜角の少なくとも一方を制御することと、
前記複数のマークが前記複数の検出領域内に達したときに、前記検出領域と前記物体とを相対的に静止させて、前記複数のマーク検出系のうち少なくとも2個の第1組のマーク検出系で対応する1組のマークの位置情報を検出することと、
を含むことを特徴とするマーク検出方法。
【請求項2】
前記検出領域と前記物体とを相対的に静止させたときに、
前記複数のマーク検出系と前記物体の表面との第2のデフォーカス量を計測することと、
前記第2のデフォーカス量に基づいて前記第1組のマーク検出系と前記物体との合焦を行うように、前記物体の面位置及び傾斜角の少なくとも一方を制御することと、
を含むことを特徴とする請求項1に記載のマーク検出方法。
【請求項3】
前記複数のマーク検出系は少なくとも3個で、前記第1組のマーク検出系は2個であり、
前記第1組のマーク検出系で対応する前記1組のマークの位置情報を検出した後、
他の第2組のマーク検出系に対して前記物体の表面が合焦されるように前記物体の面位置及び傾斜角の少なくとも一方を制御して、前記第2組のマーク検出系で対応する1組のマークの位置情報を検出すること、
を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のマーク検出方法。
【請求項4】
前記複数のマーク検出系は5個で、前記第2組のマーク検出系は2個であり、
前記第2組のマーク検出系で対応する前記1組のマークの位置情報を検出した後、
他の一つのマーク検出系に対して前記物体の表面が合焦されるように前記物体の面位置を制御して、前記他の一つマーク検出系で対応するマークの位置情報を検出すること、
を含むことを特徴とする請求項3に記載のマーク検出方法。
【請求項5】
前記複数のマーク検出系の前記検出領域はほぼ一列に配置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のマーク検出方法。
【請求項6】
前記物体の表面に設けられた前記マークは、
第1方向に配列された複数の第1ライン部と、
前記第1方向に直交する第2方向に、前記第1ライン部よりも少ない数で配列されるとともに、前記第1ライン部よりも長い複数の第2ライン部とを有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のマーク検出方法。
【請求項7】
露光光でパターンを介して物体を露光する露光方法において、
請求項1〜6のいずれか一項に記載のマーク検出方法を用いて前記物体の表面の複数のマークの位置情報を検出する工程と、
該検出結果に基づいて、前記物体と前記パターンとの位置合わせを行う工程と、
を含むことを特徴とする露光方法。
【請求項8】
物体の表面に設けられた複数のマークの位置情報を検出するマーク検出装置において、
それぞれ前記マークの位置情報を検出するとともに前記物体の表面に対するデフォーカス量を計測可能な複数のマーク検出系と、
前記複数のマーク検出系の検出領域と前記物体とを相対移動する移動機構と、
前記物体の面位置及び傾斜角を制御可能な面位置制御装置と、
前記マーク検出系、前記移動機構、及び前記面位置制御装置を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記移動機構による前記物体の相対移動中に、前記複数のマーク検出系によって計測される第1のデフォーカス量に基づいて、記面位置制御装置を駆動して前記物体の面位置及び傾斜角の少なくとも一方を制御し、
前記複数のマークが前記複数の検出領域内に達したときに、前記検出領域と前記物体とを相対的に静止させて、前記複数のマーク検出系のうち少なくとも2個の第1組のマーク検出系で対応する1組のマークの位置情報を検出させることを特徴とするマーク検出装置。
【請求項9】
前記制御装置は、
前記検出領域と前記物体とを相対的に静止させたときに、
前記複数のマーク検出系に前記物体の表面との第2のデフォーカス量を計測させ、
前記第2のデフォーカス量に基づいて前記第1組のマーク検出系と前記物体との合焦を行うように、前記面位置制御装置を駆動して前記物体の面位置及び傾斜角の少なくとも一方を制御することを特徴とする請求項8に記載のマーク検出装置。
【請求項10】
前記複数のマーク検出系は少なくとも3個で、前記第1組のマーク検出系は2個であり、
前記制御装置は、
前記第1組のマーク検出系で対応する前記1組のマークの位置情報を検出させた後、
他の第2組のマーク検出系に対して前記物体の表面が合焦されるように前記ステージを駆動して前記物体の面位置及び傾斜角の少なくとも一方を制御して、前記第2組のマーク検出系で対応する1組のマークの位置情報を検出させることを特徴とする請求項8又は9に記載のマーク検出装置。
【請求項11】
前記複数のマーク検出系は5個で、前記第2組のマーク検出系は2個であり、
前記制御装置は、
前記第2組のマーク検出系で対応する前記1組のマークの位置情報を検出させた後、
他の一つのマーク検出系に対して前記物体の表面が合焦されるように前記面位置制御装置を駆動して前記物体の面位置を制御して、前記他の一つマーク検出系で対応するマークの位置情報を検出させることを特徴とする請求項10に記載のマーク検出装置。
【請求項12】
前記複数のマーク検出系の前記検出領域はほぼ一列に配置されていることを特徴とする請求項8〜11のいずれか一項に記載のマーク検出装置。
【請求項13】
露光光でパターンを介して物体を露光する露光装置において、
請求項8〜12のいずれか一項に記載のマーク検出装置を備え、
前記マーク検出装置の前記複数のマーク検出系の検出結果に基づいて前記移動機構を駆動して前記物体と前記パターンとの位置合わせを行うことを特徴とする露光装置。
【請求項14】
請求項7に記載の露光方法を用いて物体に感光パターンを形成することと、
前記露光された物体を前記感光パターンに基づいて処理することと、
を含むデバイス製造方法。
【請求項15】
請求項13に記載の露光装置を用いて物体に感光パターンを形成することと、
前記露光された物体を前記感光パターンに基づいて処理することと、
を含むデバイス製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−195377(P2012−195377A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−56938(P2011−56938)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
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