説明

メンテナンス時期診断装置、メンテナンス時期診断方法、及び液体噴射装置

【課題】液体噴射装置におけるメンテナンス必要部材のメンテナンス必要時期を液体噴射装置毎に適切に診断することができるメンテナンス時期診断装置、メンテナンス時期診断方法、及び液体噴射装置を提供する。
【解決手段】制御装置は、プリンタの稼働日数Xを検出すると共に、キャリッジのキャリッジパス数Aを検出する。続いて、制御装置は、キャリッジパス数Aを稼働日数Xで除算し、その除算値がキャリッジパス数閾値AKよりも大きい場合には診断基準値CPKを第1のキャリッジパス用診断基準値Hに設定する一方、除算値がキャリッジパス数閾値AKよりも小さい場合には診断基準値CPKを第2のキャリッジパス用診断基準値Iに設定する。そして、制御装置は、キャリッジパス数Aが診断基準値CPK以上になった場合にキャリッジ、インク供給路及びリニアエンコーダについてはメンテナンス必要時期になったと診断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体噴射装置におけるメンテナンス必要部材のメンテナンス時期を診断するメンテナンス時期診断装置、メンテナンス時期診断方法、及びメンテナンス時期診断機能を備える液体噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体噴射装置の一種であるインクジェット式プリンタ(以下、「プリンタ」という。)は、プリンタの外郭を構成するフレームの他、液体噴射ヘッドとしての記録ヘッドを搭載して往復移動するキャリッジや、記録ヘッドのクリーニング時に駆動されるポンプなど、種々の部材から構成されている。そして、こうしたプリンタを構成する各部材のうちには、その部材の使用頻度の増加に伴いメンテナンスが必要となるメンテナンス必要部材(例えば、前述したキャリッジやポンプなど)が存在する。そこで、従来から、これらのメンテナンス必要部材のメンテナンス必要時期を診断する機能を備えたプリンタとして、例えば特許文献1に記載のプリンタが提案されている。
【0003】
この特許文献1のプリンタは、該プリンタにおける廃インク(液体)を回収する廃インクタンク内のインク吸収部材(メンテナンス必要部材の一種)の交換時期(メンテナンス必要時期)を診断する機能を有している。すなわち、このプリンタは、廃インクタンク内に排出される廃インクの廃棄量をカウントする廃棄量カウント手段と、そのカウントされた廃棄量に基づきインク吸収部材の交換時期を判断(診断)する制御装置と、該制御装置からの報知指令に基づきインク吸収部材の交換を促す旨の報知内容を外部に出力する報知手段とを備えている。
【0004】
そして、プリンタの制御装置は、上記廃棄量カウント手段によってカウントされた廃インクの廃棄量が予め設定された所定量(診断基準値)以上になった場合に、廃インクタンク内のインク吸収部材の交換時期になったものと判断し、報知手段へ報知指令を出力するようになっている。その結果、このような報知に基づきユーザがインク吸収部材の交換を行い、その後、プリンタが使用された場合には、廃インクタンク内に排出された廃インクが新たなインク吸収部材により十分に吸収されるため、廃インクタンク内から廃インクが外部へ漏れ出てしまうことを抑制できるようになる。
【特許文献1】特開2002−166540号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1のプリンタにおいてインク吸収部材の交換時期になったか否かを診断するための診断基準値となる「所定量」は、予め設定された一定値であって、その設定に当たっての前提となるプリンタの使用条件(使用態様や使用環境)は、一般に、ユーザにおけるプリンタの使用条件としては最悪の条件を想定したものとされている。そのため、ユーザ個々のプリンタにおける実際の使用条件については、この診断基準値(所定量)が設定された条件と大きく異なる場合もあり得る。
【0006】
したがって、このような場合には、インク吸収部材がまだ廃インクを十分に吸収できるにも拘わらず、上記廃棄量カウント手段によってカウントされた廃インクの廃棄量が所定量以上になってしまった結果、報知手段によってインク吸収部材の交換を促す旨が報知されてしまうことがあった。すなわち、特許文献1に記載のプリンタでは、そのプリンタにおけるメンテナンス必要部材(インク吸収部材)のメンテナンス必要時期(交換時期)が適切に診断できているとは言い難かった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、液体噴射装置におけるメンテナンス必要部材のメンテナンス必要時期を液体噴射装置毎に適切に診断することができるメンテナンス時期診断装置、メンテナンス時期診断方法、及び液体噴射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明のメンテナンス時期診断装置は、液体をターゲットに向けて噴射する液体噴射ヘッドを有する液体噴射装置に設けられ、該液体噴射装置を構成する部材のうち使用頻度の増加に伴いメンテナンスが必要となるメンテナンス必要部材のメンテナンス必要時期を診断するメンテナンス時期診断装置であって、前記メンテナンス必要部材の使用頻度を数値的に表す使用頻度値を検出する使用頻度値検出手段と、前記メンテナンス必要部材のメンテナンス必要時期を診断するための診断基準値を、前記使用頻度値検出手段によって検出された前記使用頻度値に対応した値に設定する設定手段と、前記使用頻度値検出手段によって検出された前記使用頻度値が前記設定手段により設定された前記診断基準値以上になった場合に前記メンテナンス必要部材についてはメンテナンス必要時期になったと診断し、該メンテナンス必要時期を報知するための制御信号を出力する制御手段とを備えた。
【0009】
この構成によれば、メンテナンス必要部材のメンテナンス必要時期を診断するための診断基準値が、その液体噴射装置におけるメンテナンス必要部材の使用頻度を表す使用頻度値を考慮して設定される。すなわち、使用条件が比較的緩やかな液体噴射装置の場合には、例えばヘビーユーザの使用に係る液体噴射装置のように使用条件が比較的過酷な場合よりも、メンテナンス必要時期を診断するための診断基準値が大きな値に設定される。したがって、液体噴射装置におけるメンテナンス必要部材のメンテナンス必要時期を液体噴射装置毎に適切に診断することができる。
【0010】
本発明のメンテナンス時期診断装置は、前記使用頻度値検出手段によって検出された前記使用頻度値に対応した判定値が予め設定された閾値よりも大きいか否かを判定する判定手段を更に備え、前記設定手段は、前記判定手段による判定結果が肯定判定である場合には前記診断基準値を第1の値に設定する一方、前記判定手段による判定結果が否定判定である場合には前記診断基準値を前記第1の値よりも大きな第2の値に設定する。
【0011】
この構成によれば、診断基準値は、上記使用頻度値に対応した判定値が予め設定された閾値よりも大きい場合には第1の値に設定される一方、上記判定値が閾値以下である場合には第2の値(>第1の値)に設定される。すなわち、その液体噴射装置の使用条件に応じて、診断基準値が第1の値又は第2の値に設定される。
【0012】
本発明のメンテナンス時期診断装置は、前記液体噴射装置の稼働頻度を数値的に表す稼働頻度値を検出する稼働頻度値検出手段を更に備え、前記判定手段は、前記使用頻度値検出手段によって検出された前記使用頻度値を前記稼働頻度値検出手段によって検出された前記稼働頻度値で除算することにより算出された判定値が予め設定された閾値よりも大きいか否かを判定する。
【0013】
一般に、液体噴射装置の稼働頻度は、その液体噴射装置を使用するユーザの使用の仕方によって液体噴射装置毎に異なっているのが通常である。そして、稼働頻度を表す稼働頻度値が大きい場合には、その過酷な使用条件ゆえに、メンテナンス必要部材についても、比較的低い使用頻度値の段階でメンテナンスが必要となる。そのため、メンテナンス必要部材のメンテナンス必要時期を診断するための診断基準値についても、そのメンテナンス必要部材が設けられた液体噴射装置の稼働頻度を表す稼働頻度値が小さい場合と大きい場合とでは、異なっていることが望ましい。この点、本発明では、使用頻度値検出手段によって検出された使用頻度値を稼働頻度値検出手段によって検出された稼働頻度値で除算することにより算出された判定値が予め設定された閾値よりも大きいか否かの判定結果に基づき、診断基準値を第1の値又は第2の値(>第1の値)に設定するようにしている。つまり、メンテナンス必要部材の使用頻度値に液体噴射装置の稼働頻度値を加味した使用条件に応じて診断基準値を設定している。したがって、より適切に、液体噴射装置毎のメンテナンス必要部材のメンテナンス必要時期を診断できる。
【0014】
本発明のメンテナンス時期診断装置において、前記稼働頻度値検出手段は、前記液体噴射装置が稼働した稼働日数、前記液体噴射ヘッドが前記ターゲットに向けて液体を噴射した累積時間、及び前記液体噴射ヘッドからの液体の噴射を受けたターゲットの累積枚数のうち何れか一つを、前記液体噴射装置の稼働頻度値として検出する。
【0015】
この構成によれば、液体噴射装置が稼働した稼働日数を稼働頻度値として検出すれば、診断基準値を、液体噴射装置の単位稼働日数当たりのメンテナンス必要部材の使用頻度値を基に設定することができる。また、液体噴射ヘッドがターゲットに向けて液体を噴射した累積時間を稼働頻度値として検出すれば、診断基準値を、液体噴射に係る単位時間当たりのメンテナンス必要部材の使用頻度値を基に設定することができる。また、液体噴射ヘッドからの液体の噴射を受けたターゲットの累積枚数を稼働頻度値として検出すれば、診断基準値を、液体噴射を受けたターゲットの単位枚数当たりのメンテナンス必要部材の使用頻度値を基に設定することができる。
【0016】
本発明のメンテナンス時期診断装置において、前記液体噴射装置には、前記液体噴射ヘッドを搭載した状態で往復移動可能なキャリッジが設けられており、前記使用頻度値検出手段は、前記キャリッジの移動回数を前記メンテナンス必要部材の使用頻度値として検出する。
【0017】
この構成によれば、キャリッジの移動回数を検出し、その検出した移動回数が診断基準値以上になった場合に、キャリッジの移動回数の増加に伴いメンテナンスが必要となるメンテナンス必要部材について、そのメンテナンス必要時期になったと診断する。そのため、キャリッジの移動回数の増加に伴いメンテナンスが必要となるメンテナンス必要部材を適切なタイミングでメンテナンスすることが可能になる。
【0018】
本発明のメンテナンス時期診断装置において、前記液体噴射装置には、前記液体噴射ヘッドから廃液として吐出された液体を一時貯留する液体受容手段内から前記液体を吸引するために駆動される吸引手段が設けられており、前記使用頻度値検出手段は、前記吸引手段の駆動回数を前記メンテナンス必要部材の使用頻度値として検出する。
【0019】
この構成によれば、吸引手段の駆動回数を検出し、その検出した駆動回数が診断基準値以上になった場合に、吸引手段の駆動回数の増加に伴いメンテナンスが必要となるメンテナンス必要部材について、そのメンテナンス必要時期になったと診断する。そのため、吸引手段の駆動回数の増加に伴いメンテナンスが必要となるメンテナンス必要部材を適切なタイミングでメンテナンスすることが可能になる。
【0020】
本発明のメンテナンス時期診断装置において、前記液体噴射装置には、前記液体噴射ヘッドのノズル形成面を封止した状態で該ノズル形成面に形成されたノズル内から液体を吸引することにより前記液体噴射ヘッドのクリーニングを実行するクリーニング手段が設けられており、前記使用頻度値検出手段は、前記クリーニング手段が前記液体噴射ヘッドのクリーニングを実行した回数を前記メンテナンス必要部材の使用頻度値として検出する。
【0021】
この構成によれば、クリーニング手段が液体噴射ヘッドのクリーニングを実行した回数を検出し、その検出されたクリーニングの実行回数が診断基準値以上になった場合に、クリーニング手段によるクリーニング回数の増加に伴いメンテナンスが必要となるメンテナンス必要部材について、そのメンテナンス必要時期になったと診断する。そのため、クリーニング手段によるクリーニング回数の増加に伴いメンテナンスが必要となるメンテナンス必要部材を適切なタイミングでメンテナンスすることが可能になる。
【0022】
本発明のメンテナンス時期診断装置において、前記液体噴射装置には、前記液体噴射ヘッドから廃液として排出された液体を回収する廃液タンクが設けられており、前記使用頻度値検出手段は、前記液体噴射ヘッドから液体が廃液として排出された排出量又は該排出量に対応する値を前記メンテナンス必要部材の使用頻度値として検出する。
【0023】
この構成によれば、液体噴射ヘッドから液体が廃液として排出された排出量又は該排出量に対応する値を検出し、その検出された排出量又は該排出量に対応する値が診断基準値以上になった場合に、液体噴射ヘッドから液体が廃液として排出された排出量又は該排出量に対応する値の増加に伴いメンテナンスが必要となるメンテナンス必要部材について、そのメンテナンス必要時期になったと診断する。そのため、液体噴射ヘッドから液体が廃液として排出された排出量又は該排出量に対応する値の増加に伴いメンテナンスが必要となるメンテナンス必要部材を適切なタイミングでメンテナンスすることが可能になる。
【0024】
本発明のメンテナンス時期診断装置において、前記液体噴射装置には、前記液体噴射ヘッドがターゲットに向けて液体を噴射する際に該ターゲットの両側縁の外側に位置する液体回収部が設けられ、前記液体噴射ヘッドが余白無し噴射を実行することにより、前記ターゲットの縁には、余白なく液体が噴射されるようになっており、前記使用頻度値検出手段は、前記液体噴射ヘッドによる余白無し噴射時の噴射量又は余白無し噴射時の噴射量に対応する値を前記メンテナンス必要部材の使用頻度値として検出する。
【0025】
この構成によれば、液体噴射ヘッドによる余白無し噴射時の噴射量又は余白無し噴射時の噴射量に対応する値を検出し、その検出された余白無し噴射時の噴射量又は余白無し噴射時の噴射量に対応する値が診断基準値以上になった場合に、液体噴射ヘッドによる余白無し噴射の回数の増加に伴いメンテナンスが必要となるメンテナンス必要部材について、そのメンテナンス必要時期になったと診断する。そのため、液体噴射ヘッドによる余白無し噴射時の噴射量又は余白無し噴射時の噴射量に対応する値の増加に伴いメンテナンスが必要となるメンテナンス必要部材を適切なタイミングでメンテナンスすることが可能になる。
【0026】
本発明のメンテナンス時期診断装置において、前記設定手段は、予め設定された所定周期毎、前記液体噴射装置の稼働開始時、前記液体噴射装置の稼働終了時、予め設けられた設定開始手段が操作された時、及び前記制御手段が前記制御信号を出力した時のうち少なくとも一つのときに、前記診断基準値を、前記使用頻度値検出手段によって検出された前記使用頻度値に対応した値に設定する。
【0027】
この構成によれば、前記設定手段は、予め設定された所定周期毎、前記液体噴射装置の稼働開始時、前記液体噴射装置の稼働終了時、予め設けられた設定開始手段が操作された時、及び前記制御手段が前記制御信号を出力した時のうち、少なくとも一つのときに、診断基準値が設定される。そのため、液体噴射装置の使い方が通常とは異なる時期があった場合に、その一時期の稼働頻度値や使用頻度値を基に診断基準値が不適切に設定されてしまうことが回避される。
【0028】
本発明の液体噴射装置は、液体をターゲットに向けて噴射する液体噴射ヘッドと、使用頻度の増加に伴いメンテナンスが必要となる少なくとも一つのメンテナンス必要部材と、上記記載のメンテナンス時期診断装置とを備えた。
【0029】
この構成によれば、メンテナンス時期を診断するために、液体噴射装置とは別体のメンテナンス時期診断装置を液体噴射装置に接続する場合とは異なり、液体噴射装置内において、診断基準値が設定されると共に、設定された診断基準値を基にメンテナンス時期が診断される。しかも、設定される診断基準値は、その液体噴射装置におけるメンテナンス必要部材の使用頻度を考慮した適切な値に設定される。そのため、液体噴射装置におけるメンテナンス必要部材のメンテナンス必要時期の診断を、ユーザの不注意により実行し忘れてしまうことが回避されると共に、液体噴射装置毎に適切なタイミングでのメンテナンスの実行が可能となる。
【0030】
本発明のメンテナンス時期診断方法は、液体をターゲットに向けて噴射する液体噴射ヘッドを有する液体噴射装置における該液体噴射装置を構成する部材のうち使用頻度の増加に伴いメンテナンスが必要となるメンテナンス必要部材のメンテナンス必要時期を診断するメンテナンス時期診断方法であって、前記メンテナンス必要部材の使用頻度を数値的に表す使用頻度値を検出し、前記メンテナンス必要部材のメンテナンス必要時期を診断するための診断基準値を、検出された前記使用頻度値に対応した値に設定し、前記検出された前記使用頻度値が前記診断基準値以上になった場合に前記メンテナンス必要部材についてはメンテナンス必要時期になったと診断するようにした。
【0031】
この構成によれば、メンテナンス必要部材のメンテナンス必要時期を診断するための診断基準値が、その液体噴射装置におけるメンテナンス必要部材の使用頻度を表す使用頻度値を考慮して設定される。すなわち、使用条件が比較的緩やかな液体噴射装置の場合には、例えばヘビーユーザの使用に係る液体噴射装置のように使用条件が比較的過酷な場合よりも、メンテナンス必要時期を診断するための診断基準値が大きな値に設定される。したがって、液体噴射装置におけるメンテナンス必要部材のメンテナンス必要時期を液体噴射装置毎に適切に診断することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を図1〜図6に従って説明する。なお、以下における本明細書中の説明において、「前後方向」、「左右方向」、「上下方向」をいう場合は図1及び図3に矢印で示す前後方向、左右方向、上下方向をそれぞれ示すものとする。また、本実施形態では、ターゲットとしての記録用紙に対して余白無く全面に亘って印刷を行うことを縁なし印刷というものとする。
【0033】
図1に示すように、液体噴射装置としてのインクジェット式プリンタ(以下、単に「プリンタ」という。)10は、平面視矩形状をなす本体フレーム11を備えると共に、該本体フレーム11内にはプラテン12が主走査方向となる左右方向に沿って延びるように架設されている。このプラテン12上には、紙送りモータ57(図4参照)の駆動によりターゲットとしての記録用紙13が副走査方向となる前後方向に沿って給送されるようになっている。また、本体フレーム11内には、プラテン12の長手方向(左右方向)と平行に棒状のガイド軸14が架設されている。
【0034】
このガイド軸14には、キャリッジ15が、該ガイド軸14の軸線方向(左右方向)への往復移動可能な状態で支持されている。キャリッジ15は、本体フレーム11の後壁内面に設けられた一対のプーリ16a間に張設された無端状のタイミングベルト16を介して本体フレーム11の背面に設けられたキャリッジモータ17に連結されている。したがって、キャリッジ15は、キャリッジモータ17の駆動により、ガイド軸14に沿って往復移動されるようになっている。
【0035】
キャリッジ15のプラテン12に対向する面側には、液体噴射ヘッドとしての記録ヘッド18が搭載されている。また、キャリッジ15上には、一時貯留した液体としてのインクを記録ヘッド18に供給するバルブユニット19が設けられている。また、記録ヘッド18の下面は、図3に示すように、複数(図3では4つのみ図示)のノズル20が開口するノズル形成面21とされている。そして、各ノズル20からプラテン12上に給送された記録用紙13にインク滴が噴射されることにより、印刷が行われるようになっている。
【0036】
本体フレーム11内の右端部には、カートリッジホルダ22が設けられると共に、該カートリッジホルダ22には、インクカートリッジ23が着脱可能に複数個(本実施形態では4個)装着されている。各インクカートリッジ23は、略直方体状をなすケース23aと、該ケース23a内に収容されると共にインクが内部に充填されるインクパック(図示略)とをそれぞれ備えている。
【0037】
そして、各インクカートリッジ23は、カートリッジホルダ22に装着された場合に供給流路としてのインク供給路24の上流端に接続されることにより、該インク供給路24を介してキャリッジ15上のバルブユニット19と接続されるようになっている。そのため、各インクカートリッジ23内のインクは、各インクカートリッジ23がカートリッジホルダ22に装着された状態において、インク供給路24内をバルブユニット19に向けてそれぞれ流動した後、バルブユニット19内に一時貯留されるようになっている。
【0038】
本体フレーム11の右端部においてカートリッジホルダ22の近傍には、空気供給路25を介して加圧空気をインクカートリッジ23内に個別に圧送する加圧ユニット26が配設されている。また、本体フレーム11内の右端部寄り位置であって、記録用紙13が至らない非印刷領域に設定されるキャリッジ15のホームポジションには、クリーニング手段としてのメンテナンスユニット27が配設されている。
【0039】
次に、本実施形態のプラテン12について図2(a)〜(e)に基づき以下説明する。
図2(a)〜(e)に示すように、プラテン12上には、複数の液体回収部としての溝部28が左右方向に一定間隔をおいて連続するように形成されると共に、左右方向に隣り合う溝部28の間には、凸部29が形成されている。そして、各溝部28内には、インク吸収材30がそれぞれ収容されている。各凸部29は、プラテン12が記録用紙13を支持する際に、記録用紙13と接触する部分であって、図2(c)に示すように、縁なし印刷時にインク滴が着弾しない位置に設けられている。このため、記録ヘッド18の余白無し噴射により縁なし印刷が行われた際に、記録用紙13の幅よりはみ出した部分(所謂、打ち漏らし領域)に吐出されたインク滴は、図2(b)(d)に示すように、溝部28内のインク吸収材30に吸収される。
【0040】
次に、本実施形態のメンテナンスユニット27について図3に基づき以下説明する。
図3に示すように、メンテナンスユニット27は、記録ヘッド18のノズル形成面21(具体的には、各ノズル20が形成された領域)を封止可能な上側が開口した有底四角箱状をなす合成樹脂製のキャップ(液体受容手段)31を備えている。キャップ31内には、該キャップ31の内底面全体を覆うように、可撓性を有する多孔質材料からなる四角板状のインク吸収材32が敷設されている。キャップ31の上面全体には、ゴム等の可撓性部材よりなる四角枠状のシール部材33が設けられている。
【0041】
また、キャップ31には、該キャップ31を昇降させるための昇降装置58(図4参照)が連結されている。そして、キャリッジ15を非印刷領域に移動させた状態で、キャップ31を昇降装置58によって上昇させることで、シール部材33の上面が記録ヘッド18のノズル形成面21に当接され、該ノズル形成面21がキャップ31により封止されるようになっている。なお、キャップ31がノズル形成面21を封止した状態では、インク吸収材32の上面は、ノズル形成面21から僅かに離間するようになっている。
【0042】
キャップ31の下面には、該キャップ31内からキャップ31外へインクを排出させる排出通路34aを内部に有する排出部34が下側に延びるように設けられている。排出部34には、可撓性材料よりなる排出チューブ35の一端部(上流側の端部)が接続されると共に、排出チューブ35の他端部(下流側の端部)は、直方体形状をなす廃インクタンク(廃液タンク)36内に挿入されている。したがって、キャップ31内と廃インクタンク36内とは、排出チューブ35を介して連通している。また、排出チューブ35の中間部35aには、キャップ31内に吸引力を及ぼすために駆動される吸引手段としてのチューブポンプ37が配設されている。なお、廃インクタンク36内には、該廃インクタンク36内に排出されたインクを吸収保持する廃インク吸収材38が収容されている。
【0043】
チューブポンプ37は、本体フレーム11に固定された円筒状のポンプケース40を備えている。このポンプケース40内には、平面視円形状をなすポンプホイル41がポンプケース40の軸心に設けられたホイル軸42を中心に回動可能に収容されている。そして、このポンプケース40内に、排出チューブ35の中間部35aがポンプケース40の内周壁40aに沿うようにして収容されている。
【0044】
ポンプホイル41には、一対の外側に膨らむ円弧状をなすローラ案内溝43,44がホイル軸42を挟んで対向するように形成されている。各ローラ案内溝43,44は、それらの一端がポンプホイル41の外周側に位置すると共に、それらの他端がポンプホイル41の内周側に位置している。すなわち、両ローラ案内溝43,44は、それらの一端から他端に向かうほど、徐々にポンプホイル41の外周部から遠ざかるように延びている。両ローラ案内溝43,44内には、一対のローラ45,46が、回動軸45a,46aを挿通した状態でそれぞれ支持されている。なお、両回動軸45a,46aは、両ローラ案内溝43,44内をそれぞれ摺動自在になっている。
【0045】
各ローラ45,46は、ポンプホイル41が正方向(図3の矢印方向)に回動すると、各ローラ案内溝43,44の一端側(ポンプホイル41の外周側)に移動するようになっている。そして、ポンプホイル41が更に正方向に回動した場合には、各ローラ45,46が、排出チューブ35の中間部35aを上流側から下流側へ順次押し潰すようになっている。すなわち、記録ヘッド18のノズル形成面21(各ノズル20)をキャップ31により封止した状態でポンプホイル41が正方向に回動した場合には、チューブポンプ37よりも上流側の排出チューブ35の内部が減圧され、キャップ31内に負圧が発生するようになっている。その結果、記録ヘッド18からは、各ノズル20内の増粘したインクが気泡等とともにキャップ31内に排出され、該排出されたインク(廃インク)が排出チューブ35を介して廃インクタンク36内に排出される、いわゆるクリーニングが行われるようになっている。
【0046】
一方、各ローラ45,46は、ポンプホイル41が逆方向(図3の矢印方向と反対方向)に回動すると、各ローラ案内溝43,44の他端側(ポンプホイル41の内周側)に移動するようになっている。この両ローラ45,46の移動により、両ローラ45,46が排出チューブ35の中間部35aにそれぞれ軽く接した状態となり、排出チューブ35の内部の減圧状態が解消されるようになっている。
【0047】
次に、上記プリンタ10の電気的構成について図4に基づき以下説明する。
図4に示すように、プリンタ10は、メンテナンス時期診断装置としての制御装置50を備えている。そして、この制御装置50は、入力側インターフェース(図示略)と、出力側インターフェース(図示略)と、デジタルコンピュータと、各装置を駆動させるための駆動回路(図示略)とを主体として構成されている。デジタルコンピュータには、CPU51、ROM52、RAM53、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)54及びタイマ55などが設けられている。
【0048】
入力側インターフェースには、電源スイッチSW1と、設定開始手段としての操作スイッチSW2と、リニアエンコーダ56とが電気的に接続されている。電源スイッチSW1は、プリンタ10への電力供給の停止及び開始の契機となるスイッチであると共に、操作スイッチSW2は、後述するキャリッジパス数用診断基準値設定処理を制御装置50に実行させるためのスイッチである。
【0049】
また、リニアエンコーダ56は、キャリッジ15(すなわち、記録ヘッド18)の移動速度を検出するためのものである。このリニアエンコーダ56は、本体フレーム11の後壁の内面に配設された、左右方向に沿った形状の被検出用テープ(図示略)と、キャリッジ15の後面に固着された検出センサ(図示略)とから構成されている。被検出用テープには、左右方向に沿って複数のスリットが一定ピッチで形成されている。また、検出センサは、キャリッジ15が移動した際に被検出用テープのスリットを検出し、キャリッジ速度に応じたパルス信号を制御装置50に向けて出力する。そして、制御装置50は、検出センサからのパルス信号に基づいて、キャリッジ15の移動速度を算出するようになっている。
【0050】
出力側インターフェースには、キャリッジモータ17、チューブポンプ37、紙送りモータ57、昇降装置58及び液晶画面を有する表示装置59がそれぞれ電気的に接続されている。そして、制御装置50は、各種センサからの検出信号などに基づいて各機構(キャリッジモータ17等)を各別に制御するようになっている。なお、表示装置59には、プリンタ10のステータス(印刷中など)が表示されるようになっている。
【0051】
デジタルコンピュータにおいて、ROM52には、プリンタ10を制御するための制御プログラムや、プリンタ10を構成する部材のうちメンテナンスが必要なメンテナンス必要部材(本実施形態では、キャリッジ15、インク供給路24、リニアエンコーダ56)のメンテナンス必要時期を診断するためのプログラムなどが記憶されている。RAM53には、プリンタ10の駆動中に適宜書き換えられる各種の情報(各種センサからの入力信号の大きさなど)が記憶されている。EEPROM54には、後述するキャリッジパス用の診断基準値CPK(図5参照)などが記憶されるようになっている。
【0052】
また、タイマ55は、プリンタ10の電源スイッチSW1がON操作されてからOFF操作されるまでの時間を計測するようになっている。そして、制御装置50は、タイマ55によって計測された時間と、EEPROM54の所定領域に記憶されている時間(それまでのプリンタ10の累積の稼働日数X(図6参照))とを加算し、該加算値をプリンタ10の累積の稼働日数XとしてEEPROM54の所定領域に上書き記憶させている。すなわち、制御装置50は、タイマ55の時間計測に基づいてプリンタ10の累積の稼働日数Xを検出することにより、プリンタ10の稼働頻度を推定している。したがって、本実施形態では、制御装置50が、プリンタ(液体噴射装置)10が稼働した稼働日数Xを、プリンタ10の稼働頻度を数値的に表す稼働頻度値として検出する稼働頻度値検出手段としても機能するようになっている。
【0053】
また、本実施形態では、制御装置50は、キャリッジ15の移動回数(以下、「キャリッジパス数」という。)の検出を行っている。具体的には、制御装置50は、一方向側(例えば右方向側)から他方向側(例えば左方向側)への移動を「1回」としてキャリッジパス数A(図5参照)を検出する。そのため、制御装置50は、キャリッジ15が左右方向に沿って往復移動した場合、このときのキャリッジパス数Aを「2回」とする。そして、制御装置50は、EEPROM54の所定領域に記憶されている値(それまでのキャリッジパス数Aの累計)と検出したキャリッジパス数Aを加算し、その加算値を累計のキャリッジパス数AとしてEEPROM54の所定領域に上書き記憶させている。すなわち、制御装置50は、キャリッジパス数Aを検出することにより、キャリッジ15の移動によってメンテナンスが必要になるキャリッジ15、インク供給路24及びリニアエンコーダ56の使用頻度を推定している。したがって、本実施形態では、制御装置50が、キャリッジパス数Aを、メンテナンス必要部材(キャリッジ15、インク供給路24及びリニアエンコーダ56)の使用頻度を数値的に表す使用頻度値として検出する使用頻度値検出手段としても機能するようになっている。
【0054】
次に、本実施形態の制御装置50が実行する各制御処理ルーチンのうち、メンテナンス必要部材のメンテナンス必要時期を診断するメンテナンス時期診断方法を具体化したメンテナンス判定処理ルーチンについて図5及び図6に基づき以下説明する。
【0055】
さて、制御装置50は、メンテナンス判定処理ルーチンを所定周期毎(例えば0.01秒毎)に実行する。そして、メンテナンス判定処理ルーチンにおいて、制御装置50は、メンテナンスフラグMflgが「OFF」にセットされているか否かを判定する(ステップS10)。このメンテナンスフラグMflgは、キャリッジ15、インク供給路24及びリニアエンコーダ56をメンテナンスする時期になった旨の報知表示を表示装置59に行わせた場合に「ON」にセットされるフラグである。そのため、メンテナンスフラグMflgは、キャリッジ15、インク供給路24及びリニアエンコーダ56のメンテナンス必要時期ではないと判断された場合や、メンテナンスが実際に行われた場合には「OFF」にセットされる。
【0056】
そして、ステップS10の判定結果が否定判定(Mflg=「ON」)である場合、制御装置50は、表示装置59にてキャリッジ15、インク供給路24及びリニアエンコーダ56をメンテナンスする時期になった旨の報知表示が行われたものと判断し、メンテナンス判定処理ルーチンを終了する。一方、ステップS10の判定結果が肯定判定(Mflg=「OFF」)である場合、制御装置50は、キャリッジ15のキャリッジパス数AをEEPROM54から読み出す(ステップS11)。
【0057】
続いて、制御装置50は、ステップS11にてEEPROM54から読み出したキャリッジパス数Aが、EEPROM54に記憶されているキャリッジパス用の診断基準値(以下、単に「診断基準値」という。)CPK以上であるか否かを判定する(ステップS12)。この診断基準値CPKは、キャリッジ15のキャリッジパス数Aの増加に伴いメンテナンスが必要となるキャリッジ15、インク供給路24及びリニアエンコーダ56のメンテナンス必要時期を設定するための値であって、後述するステップS16にてプリンタ10毎に適切な値に設定される。しかし、ステップS16が一回も実行されていない場合には、プリンタ10を最も悪い環境(高温・高湿度の雰囲気)で使用し続けたときにキャリッジ15、インク供給路24及びリニアエンコーダ56のメンテナンスが必要となる時期に相当する値が、診断基準値CPKとしてEEPROM54に記憶されている。なお、この場合の値のことを「最悪条件値」というものとする。
【0058】
ステップS12の判定結果が否定判定(A<CPK)である場合、制御装置50は、操作スイッチSW2がユーザに操作されたか否かを判定する(ステップS13)。すなわち、制御装置50は、操作スイッチSW2が操作されたことを示す信号を操作スイッチSW2側から入力されたか否かを判定する。そして、ステップS13の判定結果が否定判定である場合、制御装置50は、操作スイッチSW2が操作されていないものと判断し、メンテナンス判定処理ルーチンを終了する。一方、ステップS13の判定結果が肯定判定である場合、制御装置50は、操作スイッチSW2が操作されたものと判断し、その処理を後述するステップS16に移行する。
【0059】
その一方で、ステップS12の判定結果が肯定判定(A≧CPK)である場合、制御装置50は、報知処理を実行する(ステップS14)。すなわち、制御装置50は、キャリッジ15、インク供給路24及びリニアエンコーダ56をメンテナンスする時期になった旨を報知するための制御信号を表示装置59に向けて出力する。すると、表示装置59上には、キャリッジ15、インク供給路24及びリニアエンコーダ56をメンテナンスする時期になった旨のメッセージが表示される。したがって、この点で、本実施形態では、制御装置50が、キャリッジパス数Aが診断基準値CPK以上になった場合に、キャリッジ15、インク供給路24及びリニアエンコーダ56についてメンテナンス必要時期になったと診断し、該メンテナンス必要時期を報知するための制御信号を出力する制御手段としても機能する。その後、制御装置50は、メンテナンスフラグMflgを「ON」にセットし(ステップS15)、その処理をステップS16に移行する。
【0060】
ステップS16において、制御装置50は、キャリッジパス数用診断基準値設定処理(図6に詳述するキャリッジパス数用診断基準値設定処理ルーチン)を実行し、その後、メンテナンス判定処理ルーチンを終了する。
【0061】
次に、制御装置50が実行するキャリッジパス数用診断基準値設定処理ルーチンを図6に基づき以下説明する。
キャリッジパス数用診断基準値設定処理ルーチンにおいて、制御装置50は、プリンタ10の稼働日数XをEEPROM54から読み出し(ステップS20)、キャリッジ15のキャリッジパス数AをEEPROM54から読み出す(ステップS21)。続いて、制御装置50は、ステップS21にて読み出したキャリッジパス数AをステップS20にて読み出した稼働日数Xで除算し、その判定値としての除算値(A/X)が予め設定されたキャリッジパス数閾値AKよりも大きいか否かを判定する(ステップS22)。したがって、この点で、本実施形態では、制御装置50が、判定手段としても機能する。なお、キャリッジパス数閾値AKは、一日(単位稼働日数)当たりのプリンタ10の使用頻度が高いか否かを判断するための値であって、予め実験やシミュレーションなどによって設定される。
【0062】
そして、ステップS22の判定結果が肯定判定((A/X)>AK)である場合、制御装置50は、ROM52に記憶されている第1のキャリッジパス用診断基準値Hを読み出し、診断基準値CPKを第1のキャリッジパス用診断基準値Hに再設定する(ステップS23)。この第1のキャリッジパス用診断基準値Hは、プリンタ10の使用条件が比較的過酷である場合、即ちプリンタ10がヘビーユーザの使用に係るプリンタである場合に診断基準値CPKとして設定される値であって、予め実験やシミュレーションなどによって、上述した最悪条件値よりも大きい値に設定される。そして、制御装置50は、第1のキャリッジパス用診断基準値Hに再設定された診断基準値CPKをEEPROM54の所定領域に記憶させ、その後、キャリッジパス数用診断基準値設定処理ルーチンを終了する。
【0063】
一方、ステップS22の判定結果が否定判定((A/X)≦AK)である場合、制御装置50は、ROM52に記憶されている第2のキャリッジパス用診断基準値Iを読み出し、診断基準値CPKを第2のキャリッジパス用診断基準値Iに再設定する(ステップS24)。この第2のキャリッジパス用診断基準値Iは、プリンタ10の使用条件が比較的緩やかである場合、即ちプリンタ10がライトユーザの使用に係るプリンタである場合に診断基準値CPKとして設定される値であって、予め実験やシミュレーションなどによってヘビーユーザ用の第1のキャリッジパス用診断基準値Hよりも大きな値に設定される。
【0064】
そして、制御装置50は、第2のキャリッジパス用診断基準値Iに再設定された診断基準値CPKをEEPROM54の所定領域に記憶させ、その後、キャリッジパス数用診断基準値設定処理ルーチンを終了する。したがって、本実施形態では、制御装置50が、ステップS22の判定結果が肯定判定である場合には診断基準値CPKを第1のキャリッジパス用診断基準値Hに設定する一方、ステップS22の判定結果が否定判定である場合には診断基準値CPKを第2のキャリッジパス用診断基準値Iに設定する設定手段としても機能する。
【0065】
さて、印刷目的でキャリッジ15が左右方向に移動した場合には、キャリッジ15を構成する部材、及びキャリッジ15上のバルブユニット19とインクカートリッジ23との間を接続するインク供給路24が徐々に劣化していく。また、印刷時は、キャリッジ15の移動と共に記録ヘッド18からはインクが吐出されるため、リニアエンコーダ56には、ミスト状になったインクが付着するおそれがある。
【0066】
特にプリンタ10の稼働頻度値(稼働日数)が比較的高い場合には、プリンタ10の稼働頻度値が比較的低い場合に比して、プリンタ10の使用条件が過酷(ヘビー)であるといえる。そのため、キャリッジパス数Aが比較的小さい段階のうちから、キャリッジ15やインク供給路24の劣化が進みやすいと共に、ミスト状になったインクがリニアエンコーダ56に付着することにより、該リニアエンコーダ56の汚れ度合が大きくなる。したがって、本実施形態では、使用条件が過酷なヘビーユーザの使用に係るプリンタ10の場合、診断基準値CPKが、ライトユーザ用の第2のキャリッジパス用診断基準値Iよりも小さい第1のキャリッジパス用診断基準値Hに設定される。
【0067】
一方、プリンタ10の稼働頻度値(稼働日数)が比較的低い場合には、プリンタ10の稼働頻度値が比較的高い場合に比して、プリンタ10の使用条件は緩やか(ライト)であるといえる。そのため、キャリッジパス数Aが比較的大きい段階となるまで、キャリッジ15やインク供給路24などの劣化、リニアエンコーダ56の汚れなどが進行することはない。つまり、ヘビーユーザの使用に係るプリンタ10の場合ならば、キャリッジ15やインク供給路24の劣化などの進行が顕著に認められるようなキャリッジパス数Aになった場合であっても、ライトユーザの使用に係るプリンタ10の場合には、キャリッジ15、インク供給路24及びリニアエンコーダ56のメンテナンスが未だ不要になる。したがって、本実施形態では、使用条件が緩やかなライトユーザの使用に係るプリンタ10の場合、診断基準値CPKが、ヘビーユーザ用の第1のキャリッジパス用診断基準値Hよりも大きい第2のキャリッジパス用診断基準値Iに設定される。
【0068】
したがって、本実施形態では、以下に示す効果を得ることができる。
(1)メンテナンス必要部材(キャリッジ15、インク供給路24、リニアエンコーダ56)のメンテナンス必要時期を診断するための診断基準値CPKは、キャリッジパス数(使用頻度値)Aをプリンタ(液体噴射装置)10の稼働日数(稼働頻度値)Xで除算した除算値(A/X)に応じて設定される。すなわち、判定値としての除算値(A/X)がキャリッジパス数閾値AKよりも大きい場合、プリンタ10の使用条件が比較的過酷であると判断され、診断基準値CPKは、第2のキャリッジパス用診断基準値Iよりも小さい第1のキャリッジパス用診断基準値Hに設定される。そのため、例えば使用条件が比較的過酷なヘビーユーザの使用に係るプリンタ10の場合には、キャリッジ15、インク供給路24及びリニアエンコーダ56のメンテナンスが実際に必要となる比較的小さなキャリッジパス数(使用頻度値)Aの段階で、メンテナンス必要時期になった旨の報知がなされる。したがって、そのプリンタ10においては、実際問題としてメンテナンス必要時期になったにも拘わらず、その時期になった旨の報知がなされないことに起因してプリンタ10の印刷不良などが発生する可能性を抑制できる。
【0069】
一方、判定値としての除算値(A/X)がキャリッジパス数閾値AK以下である場合には、プリンタ10の使用条件が比較的緩やかであると判断され、診断基準値CPKは、第1のキャリッジパス用診断基準値Hよりも大きい第2のキャリッジパス用診断基準値Iに設定される。ここで、プリンタ10の使用条件が比較的緩やかな場合は、プリンタ10の使用条件が比較的過酷な場合に比して、同じキャリッジパス数(使用頻度値)Aになった場合でも、そのようなキャリッジパス数(使用頻度値)Aまで短期間のうちに到達したわけではないので、キャリッジ15、インク供給路24及びリニアエンコーダ56の疲労度合が小さい。そのため、例えば使用条件が比較的緩やかなライトユーザの使用に係るプリンタ10の場合には、キャリッジ15、インク供給路24及びリニアエンコーダ56のメンテナンスが実際に必要となる比較的大きなキャリッジパス数(使用頻度値)Aとなるまで、メンテナンス必要時期になった旨の報知がなされることはない。したがって、そのプリンタ10においては、実際問題としてキャリッジ15、インク供給路24、リニアエンコーダ56がメンテナンス無しでも十分に使用できる段階でメンテナンスに供されてしまうことが回避される。
【0070】
(2)キャリッジ15のキャリッジパス数(移動回数)Aを検出し、その検出したキャリッジパス数Aが診断基準値CPK以上になった場合に、キャリッジ15の移動回数の増加に伴いメンテナンスが必要となるメンテナンス必要部材(キャリッジ15、インク供給路24、リニアエンコーダ56)のメンテナンス必要時期を診断する。そのため、インク供給路24及びリニアエンコーダ56のメンテナンス必要時期を適切なタイミングでユーザに報知することができる。
【0071】
(3)また、本実施形態では、プリンタ(液体噴射装置)10の稼働日数Xが稼働頻度値として検出されている。そのため、診断基準値CPKを、キャリッジパス数(使用頻度値)Aを稼働日数Xで除算した値を基に設定することができる。つまり、診断基準値CPKを、キャリッジパス数(使用頻度値)Aとプリンタ(液体噴射装置)10の稼働日数X(稼働頻度値)とを加味することにより、より使用条件に対応させて適切に設定することができる。
【0072】
(4)操作スイッチ(設定開始手段)SW2が操作された場合、及びメンテナンス必要部材(キャリッジ15、インク供給路24、リニアエンコーダ56)をメンテナンスする時期になったことを表示装置59により報知表示させた場合に、診断基準値CPKが設定される。そのため、プリンタ(液体噴射装置)10の使い方が通常とは異なる時期があった場合に、その一時期のプリンタ10の稼働日数(稼働頻度値)Xやキャリッジ15のキャリッジパス数(使用頻度値)Aを基に診断基準値CPKが設定されてしまうことが回避される。したがって、一時的な特別のプリンタ10の使い方によって、診断基準値CPKがむやみに設定変更されることを回避できる。
【0073】
(5)もし仮にプリンタ10に外部装置を接続し、該外部装置によって診断基準値CPKを設定するように構成した場合、プリンタ10に外部装置を接続しない限り診断基準値CPKを再設定することはできない。そのため、プリンタ10と外部装置とを接続し忘れた場合には、診断基準値CPKを再設定できない。しかし、本実施形態では、プリンタ10の制御装置50が、当該プリンタ10の使用条件に応じた診断基準値CPKを設定する。したがって、診断基準値CPKを再設定し忘れてしまうことを回避できる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を図7に従って説明する。なお、第2の実施形態は、メンテナンス必要部材が第1の実施形態と異なっている。したがって、以下の説明においては、第1の実施形態と相違する部分について主に説明するものとし、第1の実施形態と同一又は相当する部材構成には同一符号を付して重複説明を省略するものとする。
【0074】
本実施形態の制御装置50は、メンテナンスユニット27を構成するチューブポンプ37の駆動回数、即ちチューブポンプ37のポンプホイル41の回転数B(図7参照)を検出する。そして、制御装置50は、EEPROM54の所定領域に記憶されている値(それまでのポンプホイル41の回転数Bの累計)と検出したポンプホイル41の回転数Bを加算し、その加算値をポンプホイル41の累計の回転数BとしてEEPROM54の所定領域に記憶させるようになっている。すなわち、制御装置50は、ポンプホイル41の回転数Bを検出することにより、ポンプホイル41の回転数の増加に伴いメンテナンスが必要となるメンテナンス必要部材(本実施形態ではチューブポンプ37)の使用頻度を推定している。したがって、本実施形態では、制御装置50が、チューブポンプ37の駆動回数(ポンプホイル41の回転数B)を、メンテナンス必要部材の使用頻度を数値的に表す使用頻度値として検出する使用頻度検出手段としても機能するようになっている。
【0075】
次に、本実施形態の制御装置50が実行するメンテナンス判定処理ルーチンについて以下説明する。
さて、制御装置50は、メンテナンス判定処理ルーチンを所定周期毎(例えば0.01秒毎)に実行する。そして、メンテナンス判定処理ルーチンにおいて、制御装置50は、メンテナンスフラグMflgが「ON」である場合にはメンテナンス判定処理ルーチンを終了する一方、メンテナンスフラグMflgが「OFF」である場合にはポンプホイル41の回転数BをEEPROM54から読み出す。
【0076】
続いて、制御装置50は、EEPROM54から読み出した回転数Bが、EEPROM54に記憶されているチューブポンプ37用の診断基準値(以下、単に「診断基準値」という。)以上であるか否かを判定する。この診断基準値は、ポンプホイル41の回転に伴いメンテナンスが必要となるチューブポンプ37のメンテナンス必要時期(交換時期)を設定するための値であって、後述するチューブポンプ用診断基準値設定処理にてプリンタ10毎に適切な値に設定される。しかし、チューブポンプ用診断基準値設定処理が一回も実行されていない場合には、プリンタ10を最も悪い環境で使用し続けたときにチューブポンプ37の交換が必要となる時期に相当する値(最悪条件値)が、診断基準値としてEEPROM54に記憶されている。
【0077】
そして、この判定結果が肯定判定である場合、制御装置50は、図5におけるステップS14,S15と同様の処理を行った後、チューブポンプ用診断基準値設定処理(図7に詳述する。)を実行し、その後、メンテナンス判定処理ルーチンを終了する。一方、上記判定結果が否定判定である場合、制御装置50は、図5におけるステップS13と同様の判定処理を実行し、操作スイッチSW2が操作されていないと判断した場合にはメンテナンス判定処理ルーチンを終了する。一方、制御装置は、操作スイッチSW2が操作されたと判断した場合にはチューブポンプ用診断基準値設定処理を実行し、メンテナンス判定処理ルーチンを終了する。
【0078】
次に、制御装置50が実行するチューブポンプ用診断基準値設定処理ルーチンを図7に基づき以下説明する。
チューブポンプ用診断基準値設定処理ルーチンにおいて、制御装置50は、プリンタ10の稼働日数XをEEPROM54から読み出し(ステップS30)、ポンプホイル41の回転数BをEEPROM54から読み出す(ステップS31)。続いて、制御装置50は、ステップS31にて読み出した回転数BをステップS30にて読み出した稼働日数Xで除算し、その判定値としての除算値(B/X)が予め設定された回転数閾値BKよりも大きいか否かを判定する(ステップS32)。この回転数閾値BKは、一日(単位稼働日数)当たりのプリンタ10の使用頻度が高いか否かを判断するための値であって、予め実験やシミュレーションなどによって設定される。
【0079】
そして、ステップS32の判定結果が肯定判定((B/X)>BK)である場合、制御装置50は、ROM52に記憶されている第1のチューブポンプ用診断基準値Jを読み出し、診断基準値TPKを第1のチューブポンプ用診断基準値Jに再設定する(ステップS33)。この第1のチューブポンプ用診断基準値Jは、プリンタ10の使用条件が比較的過酷な場合、即ちプリンタ10がヘビーユーザの使用に係るプリンタである場合に診断基準値TPKとして設定される値であって、予め実験やシミュレーションなどによって、上述した最悪条件値よりも大きい値に設定される。そして、制御装置50は、第1のチューブポンプ用診断基準値Jに再設定された診断基準値TPKをEEPROM54の所定領域に記憶させ、その後、チューブポンプ用診断基準値設定処理ルーチンを終了する。
【0080】
一方、ステップS32の判定結果が否定判定((B/X)≦BK)である場合、制御装置50は、ROM52に記憶されている第2のチューブポンプ用診断基準値Kを読み出し、診断基準値TPKを第2のチューブポンプ用診断基準値Kに再設定する(ステップS34)。この第2のチューブポンプ用診断基準値Kは、プリンタ10の使用条件が比較的緩やかである場合、即ちプリンタ10がライトユーザの使用に係るプリンである場合に診断基準値TPKとして設定される値であって、予め実験やシミュレーションなどによってヘビーユーザ用の第1のチューブポンプ用診断基準値Jよりも大きな値に設定される。そして、制御装置50は、第2のチューブポンプ用診断基準値Kに再設定された診断基準値TPKをEEPROM54の所定領域に記憶させ、その後、チューブポンプ用診断基準値設定処理ルーチンを終了する。
【0081】
さて、記録ヘッド18のクリーニングやキャップ31内に溜まったインクを吸引するためにチューブポンプ37を駆動させた場合には、ポンプホイル41の回転数Bの増加に伴いチューブポンプ37を構成する部材が劣化してしまう。特にプリンタ10の稼働頻度値(稼働日数)が比較的高い場合には、プリンタ10の稼働頻度値が比較的低い場合に比して、プリンタ10の使用条件が過酷(ヘビー)であるといえる。そのため、ポンプホイル41の回転数Bが比較的少ない段階から、チューブポンプ37の劣化が進みやすく、該チューブポンプ37の交換が必要になる。したがって、本実施形態では、使用条件が過酷なヘビーユーザの使用に係るプリンタ10の場合、診断基準値TPKが、ライトユーザ用の第2のチューブポンプ用診断基準値Kよりも小さい第1のチューブポンプ用診断基準値Jに設定される。
【0082】
一方、プリンタ10の稼働頻度値(稼働日数)が比較的低い場合には、プリンタ10の稼働頻度値が比較的高い場合に比して、プリンタ10の使用条件は緩やか(ライト)であるといえる。そのため、ポンプホイル41の回転数Bが比較的大きい段階となるまで、チューブポンプ37を構成する部材の劣化が進行することはない。つまり、ヘビーユーザの使用に係るプリンタ10の場合ならば、チューブポンプ37を構成する部材の劣化などの進行が顕著に認められるような回転数Bになった場合であっても、ライトユーザの使用に係るプリンタ10の場合には、チューブポンプ37を構成する部材のメンテナンスが未だ不要となる。したがって、本実施形態では、使用条件が緩やかなライトユーザの使用に係るプリンタ10の場合、診断基準値TPKが、ヘビーユーザ用の第1のチューブポンプ用診断基準値Jよりも大きい第2のチューブポンプ用診断基準値Kに設定される。
【0083】
本実施形態では、上記第1の実施形態の効果(1)、(3)、(4)、(5)と同等の効果に加え、さらに以下に示す効果を得ることができる。
(6)ポンプホイル41の回転数B(チューブポンプ(吸引手段)37の駆動回数)を検出し、その検出した回転数Bが診断基準値TPK以上になった場合に、ポンプホイル41の回転数増加に伴いメンテナンス(交換)が必要となるチューブポンプ(メンテナンス必要部材)37の交換時期になったと診断する。そのため、チューブポンプ37の交換時期を適切なタイミングでユーザに報知することができる。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態を図8に従って説明する。なお、第3の実施形態は、メンテナンス必要部材が第1の実施形態と異なっている。したがって、以下の説明においては、第1の実施形態と相違する部分について主に説明するものとし、第1の実施形態と同一又は相当する部材構成には同一符号を付して重複説明を省略するものとする。
【0084】
本実施形態の制御装置50は、メンテナンスユニット27が実行するクリーニングの実行回数C(図8参照)をカウント(検出)し、その実行回数CをEEPROM54の所定領域に記憶させるようになっている。すなわち、制御装置50は、クリーニングの実行回数Cを検出することにより、メンテナンスユニット27によるクリーニングの実行回数Cの増加に伴いメンテナンスが必要となるメンテナンス必要部材(本実施形態ではチューブポンプ37)の使用頻度を推定している。したがって、本実施形態では、制御装置50が、メンテナンスユニット(クリーニング手段)27によるクリーニングの実行回数Cを、メンテナンス必要部材の使用頻度を数値的に表す使用頻度値として検出する使用頻度検出手段としても機能するようになっている。
【0085】
次に、本実施形態の制御装置50が実行するメンテナンス判定処理ルーチンについて以下説明する。
さて、制御装置50は、メンテナンス判定処理ルーチンを所定周期毎(例えば0.01秒毎)に実行する。そして、メンテナンス判定処理ルーチンにおいて、制御装置50は、メンテナンスフラグMflgが「ON」である場合にはメンテナンス判定処理ルーチンを終了する一方、メンテナンスフラグMflgが「OFF」である場合にはクリーニングの実行回数CをEEPROM54から読み出す。
【0086】
続いて、制御装置50は、EEPROM54から読み出した実行回数Cが、EEPROM54に記憶されているチューブポンプ37用の診断基準値(以下、単に「診断基準値」という。)以上であるか否かを判定する。この診断基準値は、メンテナンスユニット27のクリーニング動作に伴いメンテナンスが必要となるチューブポンプ37のメンテナンス必要時期(交換時期)を設定するための値であって、後述するクリーニング回数用診断基準値設定処理にてプリンタ10毎に適切な値に設定される。しかし、クリーニング回数用診断基準値設定処理が一回も実行されていない場合には、プリンタ10を最も悪い環境で使用し続けたときにチューブポンプ37の交換が必要となる時期に相当する値(最悪条件値)が、診断基準値としてEEPROM54に記憶されている。
【0087】
そして、この判定結果が肯定判定である場合、制御装置50は、図5におけるステップS14,S15と同様の処理を行った後、クリーニング回数用診断基準値設定処理(図8に詳述する。)を実行し、その後、メンテナンス判定処理ルーチンを終了する。一方、上記判定結果が否定判定である場合、制御装置50は、図5におけるステップS13と同様の判定処理を実行し、操作スイッチSW2が操作されていないと判断した場合にはメンテナンス判定処理ルーチンを終了する。一方、制御装置50は、操作スイッチSW2が操作されたと判断した場合にはクリーニング回数用診断基準値設定処理を実行し、メンテナンス判定処理ルーチンを終了する。
【0088】
次に、制御装置50が実行するクリーニング回数用診断基準値設定処理ルーチンを図8に基づき以下説明する。
クリーニング回数用診断基準値設定処理ルーチンにおいて、制御装置50は、プリンタ10の稼働日数XをEEPROM54から読み出し(ステップS40)、クリーニングの実行回数CをEEPROM54から読み出す(ステップS41)。続いて、制御装置50は、ステップS41にて読み出した実行回数CをステップS40にて読み出した稼働日数Xで除算し、その判定値としての除算値(C/X)がクリーニングの実行回数閾値CKよりも大きいか否かを判定する(ステップS42)。この実行回数閾値CKは、一日(単位稼働日数)当たりのプリンタ10の使用頻度が高いか否かを判断するための値であって、予め実験やシミュレーションなどによって設定される。
【0089】
そして、ステップS42の判定結果が肯定判定((C/X)>CK)である場合、制御装置50は、ROM52に記憶されている第1のクリーニング回数用診断基準値Lを読み出し、診断基準値CCKを第1のクリーニング回数用診断基準値Lに再設定する(ステップS43)。この第1のクリーニング回数用診断基準値Lは、プリンタ10の使用条件が比較的過酷な場合、即ちプリンタ10がヘビーユーザの使用に係るプリンタである場合に診断基準値CCKとして設定される値であって、予め実験やシミュレーションなどによって、上述した最悪条件値よりも大きい値に設定される。そして、制御装置50は、第1のクリーニング回数用診断基準値Lに再設定された診断基準値CCKをEEPROM54の所定領域に記憶させ、その後、クリーニング回数用診断基準値設定処理ルーチンを終了する。
【0090】
一方、ステップS42の判定結果が否定判定((C/X)≦CK)である場合、制御装置50は、ROM52に記憶されている第2のクリーニング回数用診断基準値Mを読み出し、診断基準値CCKを第2のクリーニング回数用診断基準値Mに再設定する(ステップS44)。この第2のクリーニング回数用診断基準値Mは、プリンタ10の使用条件が比較的緩やかである場合、即ちプリンタ10がライトユーザの使用に係るプリンタである場合に診断基準値CCKとして設定される値であって、予め実験やシミュレーションなどによってヘビーユーザ用の第1のクリーニング回数用診断基準値Lよりも大きな値に設定される。そして、制御装置50は、第2のクリーニング回数用診断基準値Mに再設定された診断基準値CCKをEEPROM54の所定領域に記憶させ、その後、クリーニング回数用診断基準値設定処理ルーチンを終了する。
【0091】
さて、メンテナンスユニット27がクリーニング動作した場合には、記録ヘッド18からインクを吸引するために駆動するチューブポンプ37が徐々に劣化していく。特にプリンタ10の稼働頻度値(稼働日数)が比較的高い場合には、プリンタ10の稼働頻度値が比較的低い場合に比して、プリンタ10の使用条件が過酷(ヘビー)であるといえる。そのため、クリーニングの実行回数Cが比較的少ない段階から、チューブポンプ37の劣化が進みやすく、該チューブポンプ37の交換が必要になる。したがって、本実施形態では、使用条件が過酷なヘビーユーザの使用に係るプリンタ10の場合、診断基準値CCKが、ライトユーザ用の第2のクリーニング回数用診断基準値Mよりも小さい第1のクリーニング回数用診断基準値Lに設定される。
【0092】
一方、プリンタ10の稼働頻度値(稼働日数)が比較的低い場合には、プリンタ10の稼働頻度値が比較的高い場合に比して、プリンタ10の使用条件は緩やかであるといえる。そのため、クリーニングの実行回数Cが比較的多い段階となるまで、チューブポンプ37の劣化が進行することはない。つまり、ヘビーユーザの使用に係るプリンタ10の場合ならば、チューブポンプ37の劣化の進行が顕著に認められるようなクリーニングの実行回数Cになった場合であっても、ライトユーザの使用に係るプリンタ10の場合には、チューブポンプ37の交換が未だ不要となる。したがって、本実施形態では、使用条件が緩やかなライトユーザの使用に係るプリンタ10の場合、診断基準値CCKが、ヘビーユーザ用の第1のクリーニング回数用診断基準値Lよりも大きい第2のクリーニング回数用診断基準値Mに設定される。
【0093】
本実施形態では、上記第1の実施形態の効果(1)、(3)、(4)、(5)と同等の効果に加え、さらに以下に示す効果を得ることができる。
(7)メンテナンスユニット(クリーニング手段)27によるクリーニングの実行回数Cを検出し、その検出した実行回数Cが診断基準値CCK以上になった場合に、メンテナンスユニット27のクリーニングの実行回数Cの増加に伴いメンテナンス(交換)が必要となるチューブポンプ(メンテナンス必要部材)37の交換時期になったと診断する。そのため、チューブポンプ37の交換時期を適切なタイミングでユーザに報知することができる。
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態を図9に従って説明する。なお、第4の実施形態は、メンテナンス必要部材が第1の実施形態と異なっている。したがって、以下の説明においては、第1の実施形態と相違する部分について主に説明するものとし、第1の実施形態と同一又は相当する部材構成には同一符号を付して重複説明を省略するものとする。
【0094】
本実施形態の制御装置50に設けられたタイマ55は、プリンタ10が記録用紙13に対して印刷を行っている間の時間を計測するようになっている。そして、制御装置50は、タイマ55によって計測された時間と、EEPROM54の所定領域に記憶されている時間(プリンタ10による累積印刷時間Y(図9参照))とを加算し、該加算値をプリンタ10による累積印刷時間YとしてEEPROM54の所定領域に上書き記憶させるようになっている。すなわち、制御装置50は、タイマ55の時間計測に基づいてプリンタ10による累積印刷時間Yを検出することにより、プリンタ10の稼働頻度を推定している。
【0095】
また、制御装置50は、メンテナンスユニット27によるクリーニング動作や、記録ヘッド18のフラッシング動作によって、記録ヘッド18からインクが廃インク(廃液)として排出(吐出、噴射)される廃インク量Dをカウント(検出)し、その廃インク量DをEEPROM54の所定領域に記憶させるようになっている。すなわち、制御装置50は、記録ヘッド18からインクが廃インクとして排出された廃インク量Dを検出することにより、記録ヘッド18からの廃インクの廃インク量Dの増加に伴いメンテナンスが必要となるメンテナンス必要部材(本実施形態では廃液タンク36内の廃インク吸収材38)の使用頻度を推定している。なお、廃インク量Dを対応する値に換算し、該換算した値から廃インク吸収材38の使用頻度を推定するようにしてもよい。
【0096】
次に、本実施形態の制御装置50が実行するメンテナンス判定処理ルーチンについて以下説明する。
さて、制御装置50は、メンテナンス判定処理ルーチンを所定周期毎(例えば0.01秒毎)に実行する。そして、メンテナンス判定処理ルーチンにおいて、制御装置50は、メンテナンスフラグMflgが「ON」である場合にはメンテナンス判定処理ルーチンを終了する一方、メンテナンスフラグMflgが「OFF」である場合にはクリーニングの実行回数CをEEPROM54から読み出す。
【0097】
続いて、制御装置50は、EEPROM54から読み出した廃インク量Dが、EEPROM54に記憶されている廃インク用の診断基準値(以下、単に「診断基準値」という。)以上であるか否かを判定する。この診断基準値は、記録ヘッド18から排出された廃インクを廃インクタンク36内に回収させることにより、メンテナンス(交換)が必要となる廃インク吸収材38のメンテナンス必要時期(交換時期)を設定するための値であって、後述する廃インク回数用診断基準値設定処理にてプリンタ10毎に適切な値に設定される。しかし、廃インク用診断基準値設定処理が一回も実行されていない場合には、プリンタ10を最も悪い環境で使用し続けたときに廃インク吸収材38の交換が必要となる時期に相当する値(最悪条件値)が、診断基準値としてEEPROM54に記憶されている。
【0098】
そして、この判定結果が肯定判定である場合、制御装置50は、図5におけるステップS14,S15と同様の処理を行った後、廃インク用診断基準値設定処理(図9に詳述する。)を実行し、その後、メンテナンス判定処理ルーチンを終了する。一方、上記判定結果が否定判定である場合、制御装置50は、図5におけるステップS13と同様の判定処理を実行し、操作スイッチSW2が操作されていないと判断した場合にはメンテナンス判定処理ルーチンを終了する。一方、制御装置50は、操作スイッチSW2が操作されたと判断した場合には廃インク用診断基準値設定処理を実行し、メンテナンス判定処理ルーチンを終了する。
【0099】
次に、制御装置50が実行する廃インク用診断基準値設定処理ルーチンを図9に基づき以下説明する。
廃インク用診断基準値設定処理ルーチンにおいて、制御装置50は、プリンタ10による累積印刷時間YをEEPROM54から読み出し(ステップS50)、記録ヘッド18から廃インクが排出された廃インク量DをEEPROM54から読み出す(ステップS51)。続いて、制御装置50は、ステップS51にて読み出した廃インク量DをステップS50にて読み出した累積印刷時間Yで除算し、その判定値としての除算値(D/Y)が記録ヘッド18からの廃インクの廃インク量閾値DKよりも大きいか否かを判定する(ステップS52)。この廃インク量閾値DKは、単位時間当たりのプリンタ10の使用頻度が高いか否かを判断するための値であって、予め実験やシミュレーションなどによって設定される。
【0100】
そして、ステップS52の判定結果が肯定判定((D/Y)>DK)である場合、制御装置50は、ROM52に記憶されている第1の廃インク用診断基準値Nを読み出し、診断基準値WIKを第1の廃インク用診断基準値Nに再設定する(ステップS53)。この第1の廃インク用診断基準値Nは、プリンタ10の使用条件が比較的過酷な場合、即ちプリンタ10がヘビーユーザの使用に係るプリンタである場合に診断基準値WIKとして設定される値であって、予め実験やシミュレーションなどによって、上述した最悪条件値よりも大きい値に設定されている。そして、制御装置50は、第1の廃インク用診断基準値Nに再設定された診断基準値WIKをEEPROM54の所定領域に記憶させ、その後、廃インク用診断基準値設定処理ルーチンを終了する。
【0101】
一方、ステップS52の判定結果が否定判定((D/Y)≦DK)である場合、制御装置50は、ROM52に記憶されている第2の廃インク用診断基準値Oを読み出し、診断基準値WIKを第2の廃インク用診断基準値Oに再設定する(ステップS54)。この第2の廃インク用診断基準値Oは、プリンタ10の使用条件が比較的緩やかな場合、即ちプリンタ10がライトユーザの使用に係るプリンタである場合に診断基準値WIKとして設定される値であって、予め実験やシミュレーションなどによってヘビーユーザ用の第1の廃インク用診断基準値Nよりも大きな値に設定される。そして、制御装置50は、第2の廃インク用診断基準値Oに再設定された診断基準値WIKをEEPROM54の所定領域に記憶させ、その後、廃インク用診断基準値設定処理ルーチンを終了する。
【0102】
さて、記録ヘッド18のクリーニングやフラッシングの目的で該記録ヘッド18からインクが廃インクとして排出された場合、該廃インクは、廃インクタンク36内の廃インク吸収材38に吸収される。また、廃インク吸収材38に吸収されたインクの溶媒は、時間の経過と共に少しずつ揮発していく。
【0103】
プリンタ10の稼働頻度値(累積印刷枚数)が比較的高い場合には、稼働頻度値が比較的低い場合に比して、記録ヘッド18からの廃インクの吐出に伴い、廃インクタンク36の廃インク吸収材38に吸収される廃インク量と、廃インク吸収材38から揮発する廃インクの溶媒の揮発量との差が比較的大きくなる。そのため、プリンタ10の稼働頻度値が比較的高い場合には、記録ヘッド18からの廃インクの廃インク量Dが比較的少ない段階から、廃インク吸収材38が廃インクを吸収しきれなくなり、該廃インク吸収材38の交換が必要になる。したがって、本実施形態では、使用条件が過酷なヘビーユーザの使用に係るプリンタ10の場合、診断基準値WIKが、ライトユーザ用の第2のクリーニング回数用診断基準値Mよりも小さい第1の廃インク用診断基準値Nに設定される。
【0104】
一方、プリンタ10の稼働頻度値(累積印刷枚数)が比較的低い場合には、プリンタ10の稼働頻度値が比較的高い場合に比して、プリンタ10の使用条件は緩やかであるといえる。そのため、廃インクタンク36の廃インク吸収材38に吸収される廃インク量のうち揮発するインク量が多くなり、廃インクタンク36の廃インク吸収材38に残存する廃インク量は少なくなる。その結果、記録ヘッド18からの廃インクの廃インク量Dが比較的多い段階になるまで、廃インク吸収材38が廃インクを吸収することが可能になる。つまり、ヘビーユーザの使用に係るプリンタ10の場合ならば、廃インク吸収材38が廃インクを吸収しきれなくなり得るような廃インク量Dになった場合であっても、ライトユーザの使用に係るプリンタ10の場合には、廃インク吸収材38の交換が未だ不要となる。したがって、本実施形態では、使用条件が緩やかなライトユーザの使用に係るプリンタ10の場合、診断基準値WIKが、ヘビーユーザ用の第1の廃インク用診断基準値Nよりも大きい第2の廃インク用診断基準値Oに設定される。
【0105】
本実施形態では、上記第1の実施形態の効果(1)、(4)、(5)と同等の効果に加え、さらに以下に示す効果を得ることができる。
(8)記録ヘッド(液体噴射ヘッド)18からインクが廃インクとして排出された廃インク量Dを検出し、その検出した廃インク量Dが診断基準値WIK以上になった場合に、記録ヘッド18からの廃インクの廃インク量Dの増加に伴いメンテナンス(交換)が必要となる廃インク吸収材(メンテナンス必要部材)38の交換時期になったと診断する。そのため、廃インク吸収材38の交換時期を適切なタイミングでユーザに報知することができる。
【0106】
(9)また、本実施形態では、プリンタ(液体噴射装置)10による累積印刷時間Yが稼働頻度値として検出されている。そのため、診断基準値WIKを、廃インクの廃インク量(使用頻度値)Dを累積印刷時間Yで除算した値を基に設定することができる。つまり、診断基準値WIKを、廃インク量(使用頻度値)Dとプリンタ(液体噴射装置)10による累積印刷時間(稼働頻度値)Yとを加味することにより、より使用条件に対応させて適切に設定することができる。
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態を図10に従って説明する。なお、第5の実施形態は、メンテナンス必要部材が第1の実施形態と異なっている。したがって、以下の説明においては、第1の実施形態と相違する部分について主に説明するものとし、第1の実施形態と同一又は相当する部材構成には同一符号を付して重複説明を省略するものとする。
【0107】
本実施形態の制御装置50は、プリンタ10が印刷した記録用紙13の枚数(累積印刷枚数)をカウント(検出)し、その累積印刷枚数をEEPROM54の所定領域に上書き記憶させるようになっている。すなわち、制御装置50は、プリンタ10による累積印刷枚数Z(図10参照)を検出することにより、プリンタ10の稼働頻度を推定している。
【0108】
また、制御装置50は、記録ヘッド18による余白なし噴射時に使用されるインク量、即ちプリンタ10による縁なし印刷(余白なし印刷)時のインクの吐出量(噴射量)Eをカウント(検出)し、その吐出量EをEEPROM54の所定領域に記憶させるようになっている。すなわち、制御装置50は、プリンタ10による縁なし印刷時のインクの吐出量Eを検出することにより、プリンタ10による縁なし印刷時のインクの吐出量Eの増加に伴いメンテナンス(交換)が必要となるメンテナンス必要部材(本実施形態ではプラテン12の各溝28内のインク吸収材30)の使用頻度を推定している。なお、縁なし印刷時のインクの吐出量Eを対応する値に換算し、該換算した値からインク吸収材30の使用頻度を推定するようにしてもよい。
【0109】
次に、本実施形態の制御装置50が実行するメンテナンス判定処理ルーチンについて以下説明する。
さて、制御装置50は、メンテナンス判定処理ルーチンを所定周期毎(例えば0.01秒毎)に実行する。そして、メンテナンス判定処理ルーチンにおいて、制御装置50は、メンテナンスフラグMflgが「ON」である場合にはメンテナンス判定処理ルーチンを終了する一方、メンテナンスフラグMflgが「OFF」である場合には縁なし印刷時のインクの吐出量EをEEPROM54から読み出す。
【0110】
続いて、制御装置50は、EEPROM54から読み出した縁なし印刷時のインクの吐出量Eが、EEPROM54に記憶されている縁なし印刷用の診断基準値(以下、単に「診断基準値」という。)以上であるか否かを判定する。この診断基準値は、縁なし印刷時にプラテン12内のインク吸収材30にインク滴を吸収させることにより、メンテナンス(交換)が必要となるインク吸収材30のメンテナンス必要時期(交換時期)を設定するための値であって、後述する縁なし印刷用診断基準値設定処理にてプリンタ10毎に適切な値に設定される。しかし、縁なし印刷用診断基準値設定処理が一回も実行されていない場合には、プリンタ10を最も悪い環境で使用し続けたときにインク吸収材30の交換が必要となる時期に相当する値(最悪条件値)が、診断基準値としてEEPROM54に記憶されている。
【0111】
そして、この判定結果が肯定判定である場合、制御装置50は、図5におけるステップS14,S15と同様の処理を行った後、縁なし印刷用診断基準値設定処理(図10に詳述する。)を実行し、その後、メンテナンス判定処理ルーチンを終了する。一方、上記判定結果が否定判定である場合、制御装置50は、図5におけるステップS13と同様の判定処理を実行し、操作スイッチSW2が操作されていないと判断した場合にはメンテナンス判定処理ルーチンを終了する。一方、制御装置50は、操作スイッチSW2が操作されたと判断した場合には縁なし印刷用診断基準値設定処理を実行し、メンテナンス判定処理ルーチンを終了する。
【0112】
次に、制御装置50が実行する縁なし印刷用診断基準値設定処理ルーチンを図10に基づき以下説明する。
縁なし印刷用診断基準値設定処理ルーチンにおいて、制御装置50は、プリンタ10による累積印刷枚数ZをEEPROM54から読み出し(ステップS60)、プリンタ10による縁なし印刷時のインクの吐出量EをEEPROM54から読み出す(ステップS61)。続いて、制御装置50は、ステップS61にて読み出した吐出量EをステップS60にて読み出した累積印刷枚数Zで除算し、その判定値としての除算値(E/Z)がプリンタ10による縁なし印刷時の吐出量閾値EKよりも大きいか否かを判定する(ステップS62)。この吐出量閾値EKは、単位印刷枚数当たりのプリンタ10の使用頻度が高いか否かを判断するための値であって、予め実験やシミュレーションなどによって設定される。
【0113】
そして、ステップS62の判定結果が肯定判定((E/Z)>EK)である場合、制御装置50は、ROM52に記憶されている第1の縁なし印刷用診断基準値Pを読み出し、診断基準値HNKを第1の縁なし印刷用診断基準値Pに再設定する(ステップS63)。この第1の縁なし印刷用診断基準値Pは、プリンタ10の使用条件が比較的過酷な場合、即ちプリンタ10がヘビーユーザの使用に係るプリンタである場合に診断基準値HNKとして設定される値であって、予め実験やシミュレーションなどによって、上述した最悪条件値よりも大きい値に設定されている。そして、制御装置50は、第1の縁なし印刷用診断基準値Pに再設定された診断基準値HNKをEEPROM54の所定領域に記憶させ、その後、縁なし印刷用診断基準値設定処理ルーチンを終了する。
【0114】
一方、ステップS62の判定結果が否定判定((E/Z)≦EK)である場合、制御装置50は、ROM52に記憶されている第2の縁なし印刷用診断基準値Qを読み出し、診断基準値HNKを第2の縁なし印刷用診断基準値Qに再設定する(ステップS64)。この第2の縁なし印刷用診断基準値Qは、プリンタ10の使用条件が比較的緩やかな場合、即ちプリンタ10がライトユーザの使用に係るプリンタである場合に診断基準値HNKとして設定される値であって、予め実験やシミュレーションなどによってヘビーユーザ用の第1の縁なし印刷用診断基準値Pよりも大きな値に設定される。そして、制御装置50は、第2の縁なし印刷用診断基準値Qに再設定された診断基準値HNKをEEPROM54の所定領域に記憶させ、その後、縁なし印刷用診断基準値設定処理ルーチンを終了する。
【0115】
さて、プリンタ10により縁なし印刷が実行された場合、記録用紙13の左右両側縁の外側に位置するインク吸収材30は、記録ヘッド18から吐出されたインク滴の一部を吸収する一方、インク吸収材30からは、吸収されているインクの溶媒が揮発していく。
【0116】
プリンタ10の稼働頻度値(累積印刷枚数)が比較的高い場合には、稼働頻度値が比較的低い場合に比して、インク吸収材30がインクを吸収する吸収量と、インク吸収材30から揮発する廃インクの溶媒の揮発量との差が比較的大きくなる。そのため、プリンタ10の稼働頻度値が比較的高い場合には、プリンタ10による縁なし印刷時の吐出量Eが比較的少ない段階から、インク吸収材30がインクを吸収しきれなり、該インク吸収材30の交換が必要になる。したがって、本実施形態では、使用条件が過酷なヘビーユーザの使用に係るプリンタ10の場合、診断基準値HNKが、ライトユーザ用の第2の縁なし印刷用診断基準値Qよりも小さい第1の縁なし印刷用診断基準値Pに設定される。
【0117】
一方、プリンタ10の使用頻度値(累積印刷枚数)が比較的低い場合には、プリンタ10の稼働頻度値が比較的高い場合に比して、プリンタ10の使用条件は緩やかであるといえる。そのため、インク吸収材30に吸収されるインクのうち揮発するインク量が多くなり、インク吸収材30に残存するインク量は少なくなる。その結果、プリンタ10による縁なし印刷時の吐出量Eが比較的多い段階になるまで、インク吸収材30がインクを吸収することが可能になる。つまり、ヘビーユーザの使用に係るプリンタ10の場合ならば、インク吸収材30がインクを吸収しきれなくなり得るような吐出量Eになった場合であっても、ライトユーザの使用に係るプリンタ10の場合には、インク吸収材30の交換が未だ不要となる。したがって、本実施形態では、使用条件が緩やかなライトユーザの使用に係るプリンタ10の場合、診断基準値HNKが、ヘビーユーザ用の第1の縁なし印刷用診断基準値Pよりも大きい第2の縁なし印刷用診断基準値Qに設定される。
【0118】
本実施形態では、上記第1の実施形態の効果(1)、(4)、(5)と同等の効果に加え、さらに以下に示す効果を得ることができる。
(10)プリンタ(液体噴射装置)10による縁なし印刷時のインクの吐出量Eを検出し、その検出した吐出量Eが診断基準値HNK以上になった場合に、プリンタ10による縁なし印刷時のインクの吐出量Eの増加に伴いメンテナンス(交換)が必要となるインク吸収材(メンテナンス必要部材)30の交換時期になったと診断する。そのため、インク吸収材30の交換時期を適切なタイミングでユーザに報知することができる。
【0119】
(11)また、本実施形態では、プリンタ(液体噴射装置)10による累積印刷枚数Zが稼働頻度値として検出されている。そのため、診断基準値HNKを、単位印字枚数当たりの縁なし印刷時のインクの吐出量(使用頻度値)Eを基に設定することができる。つまり、診断基準値HNKを、縁なし印刷時のインクの吐出量(使用頻度値)Eとプリンタ(液体噴射装置)10の累積印刷枚数(稼働頻度値)Zとを加味することにより、より使用条件に対応させて適切に設定することができる。
【0120】
なお、上記各実施形態は以下のような別の実施形態(別例)に設定してもよい。
・上記各実施形態において、診断基準設定処理(キャリッジパス用診断基準設定処理、チューブポンプ用診断基準設定処理、クリーニング回数用診断基準設定処理、廃インク用診断基準設定処理、縁なし用診断基準設定処理)は、プリンタ10の電源スイッチSW1がON操作された場合にも実行されるようにしてもよい。また、診断基準設定処理は、電源スイッチSW1がOFF操作された場合にも実行されるようにしてよい。さらに、診断基準設定処理は、予め設定された所定周期毎(例えば、7日毎)に実行されるようにしてもよい。
【0121】
・上記各実施形態において、操作スイッチSW2を設けなくてもよい。この場合、診断基準設定処理(キャリッジパス用診断基準設定処理、チューブポンプ用診断基準設定処理、クリーニング回数用診断基準設定処理、廃インク用診断基準設定処理、縁なし用診断基準設定処理)は、報知処理(図5におけるステップS14)が実行された後にのみ実行されることになる。
【0122】
・上記第1〜第4の実施形態において、プリンタ10の稼働頻度を、累積印刷枚数Zから推定するようにしてもよい。また、上記第1〜第3及び第5の実施形態において、プリンタ10の稼働頻度を、累積印刷時間Yから推定するようにしてもよい。
【0123】
・また、第4及び第5の実施形態において、プリンタ10の稼働頻度を、プリンタ10の稼働日数Xから推定するようにしてもよい。
・上記各実施形態において、記録ヘッド18のノズル形成面21を払拭するワイパ部材(メンテナンス必要部材)の使用頻度(例えば、ワイパ部材によるノズル形成面21の払拭回数)を検出し、その使用頻度に応じたワイパ部材の交換時期を設定するようにしてもよい。すなわち、ワイパ部材による払拭回数をプリンタ10の稼働日数Xで除算し、その除算値が予め設定されたワイパ部材用閾値よりも大きい場合には診断基準値を第1の値に設定する一方、除算値がワイパ部材用閾値以下である場合には診断基準値を第2の値(>第1の値)に設定する。そして、ワイパ部材による払拭回数が診断基準値以上になった場合には、ワイパ部材の交換を促す旨のメッセージが表示装置59上に表示させることになる。
【0124】
・上記各実施形態において、診断基準値を設定するための閾値(キャリッジパス数閾値AKなど)を複数(例えば2つ)設けると共に、判定値に応じて診断基準値を設定するための値を3つ以上(例えば3つ)設けるようにしてもよい。この場合、判定値が第1の閾値(<第2の閾値)以下である場合には、診断基準値を3つの値のうち最も小さい値に設定する一方、判定値が第1の閾値よりも大きく且つ判定値が第2の閾値以下である場合には、診断基準値を3つの値のうち中間の値に設定する。また、判定値が第2の閾値よりも大きい場合には、診断基準値を3つの値のうち最も大きい値に設定することが望ましい。
【0125】
・上記各実施形態において、判定値は、メンテナンス必要部材の使用頻度値に対応した値であれば、使用頻度値を稼働頻度値で除算した値(除算値)ではなくてもよい。
・上記各実施形態において、判定値が閾値よりも大きいか否かで診断基準値を第1の値又は第2の値に設定していたが、診断基準値を、使用頻度値が大きくなるに連れて小さな値となるように設定してもよい。
【0126】
・上記各実施形態において、報知手段は、メンテナンス部材のメンテナンス必要時期を音声にて報知するスピーカであってもよい。また、メンテナンス部材のメンテナンス必要時期の報知を、プリンタ10に接続されているコンピュータの表示画面上に出力させるようにしてもよい。
【0127】
・上記各実施形態において、液体噴射装置を、インクカートリッジ23がキャリッジ15に搭載されるタイプ(いわゆるオンキャリタイプ)のプリンタに具体化してもよい。
・上記各実施形態において、液体噴射装置を記録用紙13への印刷に用いられるインクジェット式記録装置に具体化したが、この限りではなく、インク以外の他の液体を噴射する液体噴射装置に具体化してもよい。例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散または溶解のかたちで含む液状体を噴射する液体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとしての試料噴射装置であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】第1の実施形態のインクジェット式プリンタの概略平面図。
【図2】(a)〜(e)は、縁なし印刷を模式的に示す説明図。
【図3】メンテナンスユニットの模式図。
【図4】電気的構成を示すブロック回路図。
【図5】第1の実施形態のメンテナンス判定処理ルーチンを示すフローチャート。
【図6】キャリッジパス用診断基準値設定処理ルーチンを示すフローチャート。
【図7】チューブポンプ用診断基準値設定処理ルーチンを示すフローチャート。
【図8】クリーニング回数用診断基準値設定処理ルーチンを示すフローチャート。
【図9】廃インク用診断基準値設定処理ルーチンを示すフローチャート。
【図10】縁なし印刷用診断基準値設定処理ルーチンを示すフローチャート。
【符号の説明】
【0129】
10…インクジェット式プリンタ(液体噴射装置)、13…記録用紙(ターゲット)、15…キャリッジ(メンテナンス必要部材)、18…記録ヘッド(液体噴射ヘッド)、20…ノズル、21…ノズル形成面、24…インク供給路(メンテナンス必要部材)、27…メンテナンスユニット(クリーニング手段)、28…溝部(液体回収部)、30…インク吸収材(メンテナンス必要部材)、31…キャップ(液体受容手段)、36…廃インクタンク(廃液タンク)、37…チューブポンプ(メンテナンス必要部材、チューブポンプ)、38…廃インク吸収材(メンテナンス必要部材)、50…制御装置(メンテナンス診断装置、稼働頻度値検出手段、使用頻度値、設定手段、制御手段)、55…タイマ(稼働頻度値検出手段)、56…リニアエンコーダ(メンテナンス必要部材)、A…キャリッジパス数(使用頻度値、キャリッジの移動回数)、AK…キャリッジパス数閾値、B…回転数(使用頻度値、吸引手段の駆動回数)、BK…回転数閾値、C…実行回数(使用頻度値)、CCK,CPK,HNK,TPK,WIK…診断基準値、CK…実行回数閾値、D…廃インク量(使用頻度値)、DK…廃インク量閾値、E…吐出量(使用頻度値)、EK…吐出量閾値、H…第1のキャリッジパス用診断基準値、I…第2のキャリッジパス用診断基準値、J…第1のチューブポンプ用診断基準値、K…第2のチューブポンプ用診断基準値、L…第1のクリーニング回数用診断基準値、M…第2のクリーニング回数用診断基準値、N…第1の廃インク用診断基準値、O…第2の廃インク用診断基準値、P…第1の縁なし印刷用診断基準値、Q…第2の縁なし印刷用診断基準値、SW2…操作スイッチ(設定開始手段)、X…稼働日数(稼働頻度値)、Y…累積印刷時間(稼働頻度値)、Z…累積印刷枚数(稼働頻度値)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体をターゲットに向けて噴射する液体噴射ヘッドを有する液体噴射装置に設けられ、該液体噴射装置を構成する部材のうち使用頻度の増加に伴いメンテナンスが必要となるメンテナンス必要部材のメンテナンス必要時期を診断するメンテナンス時期診断装置であって、
前記メンテナンス必要部材の使用頻度を数値的に表す使用頻度値を検出する使用頻度値検出手段と、
前記メンテナンス必要部材のメンテナンス必要時期を診断するための診断基準値を、前記使用頻度値検出手段によって検出された前記使用頻度値に対応した値に設定する設定手段と、
前記使用頻度値検出手段によって検出された前記使用頻度値が前記設定手段により設定された前記診断基準値以上になった場合に前記メンテナンス必要部材についてはメンテナンス必要時期になったと診断し、該メンテナンス必要時期を報知するための制御信号を出力する制御手段と
を備えたメンテナンス時期診断装置。
【請求項2】
前記使用頻度値検出手段によって検出された前記使用頻度値に対応した判定値が予め設定された閾値よりも大きいか否かを判定する判定手段を更に備え、
前記設定手段は、前記判定手段による判定結果が肯定判定である場合には前記診断基準値を第1の値に設定する一方、前記判定手段による判定結果が否定判定である場合には前記診断基準値を前記第1の値よりも大きな第2の値に設定する請求項1に記載のメンテナンス時期診断装置。
【請求項3】
前記液体噴射装置の稼働頻度を数値的に表す稼働頻度値を検出する稼働頻度値検出手段を更に備え、
前記判定手段は、前記使用頻度値検出手段によって検出された前記使用頻度値を前記稼働頻度値検出手段によって検出された前記稼働頻度値で除算することにより算出された判定値が予め設定された閾値よりも大きいか否かを判定する請求項2に記載のメンテナンス時期診断装置。
【請求項4】
前記稼働頻度値検出手段は、前記液体噴射装置が稼働した稼働日数、前記液体噴射ヘッドが前記ターゲットに向けて液体を噴射した累積時間、及び前記液体噴射ヘッドからの液体の噴射を受けたターゲットの累積枚数のうち何れか一つを、前記液体噴射装置の稼働頻度値として検出する請求項3に記載のメンテナンス時期診断装置。
【請求項5】
前記液体噴射装置には、前記液体噴射ヘッドを搭載した状態で往復移動可能なキャリッジが設けられており、
前記使用頻度値検出手段は、前記キャリッジの移動回数を前記メンテナンス必要部材の使用頻度値として検出する請求項1〜請求項4のうち何れか一項に記載のメンテナンス時期診断装置。
【請求項6】
前記液体噴射装置には、前記液体噴射ヘッドから廃液として吐出された液体を一時貯留する液体受容手段内から前記液体を吸引するために駆動される吸引手段が設けられており、
前記使用頻度値検出手段は、前記吸引手段の駆動回数を前記メンテナンス必要部材の使用頻度値として検出する請求項1〜請求項4のうち何れか一項に記載のメンテナンス時期診断装置。
【請求項7】
前記液体噴射装置には、前記液体噴射ヘッドのノズル形成面を封止した状態で該ノズル形成面に形成されたノズル内から液体を吸引することにより前記液体噴射ヘッドのクリーニングを実行するクリーニング手段が設けられており、
前記使用頻度値検出手段は、前記クリーニング手段が前記液体噴射ヘッドのクリーニングを実行した回数を前記メンテナンス必要部材の使用頻度値として検出する請求項1〜請求項4のうち何れか一項に記載のメンテナンス時期診断装置。
【請求項8】
前記液体噴射装置には、前記液体噴射ヘッドから廃液として排出された液体を回収する廃液タンクが設けられており、
前記使用頻度値検出手段は、前記液体噴射ヘッドから液体が廃液として排出された排出量又は該排出量に対応する値を前記メンテナンス必要部材の使用頻度値として検出する請求項1〜請求項4のうち何れか一項に記載のメンテナンス時期診断装置。
【請求項9】
前記液体噴射装置には、前記液体噴射ヘッドがターゲットに向けて液体を噴射する際に該ターゲットの両側縁の外側に位置する液体回収部が設けられ、前記液体噴射ヘッドが余白無し噴射を実行することにより、前記ターゲットの縁には、余白なく液体が噴射されるようになっており、
前記使用頻度値検出手段は、前記液体噴射ヘッドによる余白無し噴射時の噴射量又は余白無し噴射時の噴射量に対応する値を前記メンテナンス必要部材の使用頻度値として検出する請求項1〜請求項4のうち何れか一項に記載のメンテナンス時期診断装置。
【請求項10】
前記設定手段は、予め設定された所定周期毎、前記液体噴射装置の稼働開始時、前記液体噴射装置の稼働終了時、予め設けられた設定開始手段が操作された時、及び前記制御手段が前記制御信号を出力した時のうち少なくとも一つのときに、前記診断基準値を、前記使用頻度値検出手段によって検出された前記使用頻度値に対応した値に設定する請求項1〜請求項9のうち何れか一項に記載のメンテナンス時期診断装置。
【請求項11】
液体をターゲットに向けて噴射する液体噴射ヘッドと、
使用頻度の増加に伴いメンテナンスが必要となる少なくとも一つのメンテナンス必要部材と、
請求項1〜請求項10のうち何れか一項に記載のメンテナンス時期診断装置とを備えた液体噴射装置。
【請求項12】
液体をターゲットに向けて噴射する液体噴射ヘッドを有する液体噴射装置における該液体噴射装置を構成する部材のうち使用頻度の増加に伴いメンテナンスが必要となるメンテナンス必要部材のメンテナンス必要時期を診断するメンテナンス時期診断方法であって、
前記メンテナンス必要部材の使用頻度を数値的に表す使用頻度値を検出し、前記メンテナンス必要部材のメンテナンス必要時期を診断するための診断基準値を、検出された前記使用頻度値に対応した値に設定し、前記検出された前記使用頻度値が前記診断基準値以上になった場合に前記メンテナンス必要部材についてはメンテナンス必要時期になったと診断するようにしたメンテナンス時期診断方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−23730(P2008−23730A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−195309(P2006−195309)
【出願日】平成18年7月18日(2006.7.18)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】