説明

レジスト下層膜形成組成物及び半導体装置の製造方法

【課題】
均一に塗布することができ、架橋剤を必要としない、且つ有機レジストとの密着性のよいレジスト下層膜が得られる、レジスト下層膜形成組成物を得ることを目的とする。
【解決手段】
シラノール基の水素原子が少なくとも1種のキャッピング基で置換された基及びシラノール基を有する珪素含有重合体と溶剤を含み、前記キャッピング基は下記式(1):
【化1】


(式中、Q乃至Qの少なくとも1つはアルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、フェニル基、アダマンチル基及びノルボルネニル基からなる群から選択される置換基又は該置換基を含む有機基を示す)
で表される基を含むリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造過程におけるリソグラフィー工程に用いられる、珪素を含むレジスト下層膜を形成するための組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体素子の高集積化に伴い、配線などのパターンの微細化が求められている。微細なパターンを形成するために、露光用の光源としてArFエキシマレーザー(波長約193nm)のような短波長光を採用し、レジストパターンを形成することが行われている。
【0003】
レジストパターンのアスペクト比(高さ/幅)が大きくなるほど、パターン倒れが発生しやすくなる。パターン倒れを防ぐためには、レジストの膜厚を薄くする必要がある。しかしながら、膜厚の薄いレジストから形成されるレジストパターンは、当該レジストパターンをマスクとして被エッチング材料をドライエッチングする際、消失してしまうおそれがある。パターン倒れを防ぎ、且つ所望の断面形状を有するレジストパターンを形成するため、レジスト下層膜(反射防止膜)が設けられる。
【0004】
ポリシロキサンなどの珪素含有化合物を含む、反射防止膜形成用組成物が知られている。例えば特許文献1には、光吸収基(ベンゼン環、アントラセンまたはナフタレン環を有する基)および架橋基(エポキシ基またはオキセタニル基を有する有機基)を有するシロキサン化合物を含む組成物が記載されている。特許文献1に記載のシロキサン化合物は、トリメチルシリル基のようなキャッピング基で封止され、当該キャッピング基は前駆シロキサン化合物における反応性基に対してほぼ100%導入される。
【0005】
また、下記特許文献2及び特許文献3には、組成物中に含まれる材料改質剤はキャッピング剤を含んでもよい旨が記載されており、キャッピング剤としてトリメチルエトキシシランが例示されている。
【特許文献1】特開2006−343416号公報
【特許文献2】特表2005−509913号公報
【特許文献3】特表2007−520737号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
珪素含有化合物を含む組成物から形成される膜は、有機レジストとの密着性が良くない傾向がある。その原因は、膜の表面にシラノール基(珪素原子と結合したヒドロキシル基:Si−OH)が多数存在することにより、当該膜の表面が親水性を示すことに起因すると考えられる。特許文献1に記載されているようなキャッピング基が導入されたシロキサン化合物は、シラノール基が減少しているため、形成される膜は、表面が疎水性を持つようになり、有機レジストとの密着性が向上することが期待される。
【0007】
レジスト下層膜(反射防止膜)を形成するための組成物は、基板上に塗布し、加熱を行うことにより硬化させてレジスト下層膜(反射防止膜)を形成する際、均一に塗布できること、及び加熱時に昇華物が生じないことが求められている。
【0008】
しかしながら、光吸収基および架橋基を有し、経時安定性向上のためシラノール基のような反応性基に対しほぼ100%キャッピング基が導入されたシロキサン化合物を含む組成物は、基板上に塗布することが困難であり、且つ架橋剤を添加せずに硬化させることが困難であることが、本発明者の研究により判明した。架橋剤は珪素含有化合物よりも低分子量の化合物(モノマー)が用いられ、このような組成物中のモノマーは、昇華物発生の要因となるため、削減することが求められている。
【0009】
また、キャッピング基を導入しないことにより、シラノール基がまったくキャッピングされない場合、形成されるレジスト下層膜(反射防止膜)には、しばしばクラックが生じることが、本発明者の経験上わかっている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、シラノール基の水素原子が少なくとも1種のキャッピング基で置換された基及びシラノール基を有する珪素含有重合体と溶剤を含むリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物である。つまり、シラノール基の一部のみがキャッピングされ、キャッピングされていないシラノール基が存在している。ヒドロキシル基(−OH)の水素原子が少なくとも1種のキャッピング基で置換された基及びシラノール基を有する珪素含有重合体と溶剤を含むリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物である、と表現することもできる。
【0011】
シラノール基の水素原子がキャッピング基で置換された基及びシラノール基は、珪素含有重合体の主鎖でなく末端に存在する。シラノール基の水素原子がキャッピング基で置換された基の割合を正確に求めることは困難であるが、珪素含有重合体の原料モノマー(アルコキシシラン)の加水分解後にSi−OCH、Si−OCのようなアルコキシ部位は全てSi−OHになり、且つモノマー1分子につき2つのOH基のみが縮合反応に寄与し、環状構造を成さないSi−O−Si結合を有する珪素含有重合体が得られると仮定した場合、その珪素含有重合体のキャッピング前に存在する全シラノール基に対する、前記キャッピング基で置換された基の割合は、例えば3モル%以上40モル%以下、又は5モル%以上30モル%以下である。また、キャッピングされていないため親水性を示すシラノール基はキャッピングされることによって疎水性を示すことを利用し、水に対する接触角の変化から、キャッピングされたシラノール基の割合を見出すことができる。
【0012】
前記キャッピング基は下記式(1):
【化1】


(式中、Q乃至Qの少なくとも1つはアルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、フェニル基、アダマンチル基及びノルボルネニル基からなる群から選択される置換基又は該置換基を含む有機基を示す)
で表される基を含む。
【0013】
式(1)において、Q乃至Qの1つ又は2つがアルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、フェニル基、アダマンチル基及びノルボルネニル基からなる群から選択される置換基又は該置換基を含む有機基を示す場合、Q乃至Qの残りは直鎖状又は分岐状のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基など)とすることができる。
【0014】
前記キャッピング基はまた、下記式(2)又は式(3):
【化2】


(式中、R乃至Rはそれぞれ独立にアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、フェニル基、アダマンチル基及びノルボルネニル基からなる群から選択される置換基又は該置換基を含む有機基を示し、nは0,1又は2を示す)
で表される基を含む。
【0015】
式(2)又は式(3)において、nが0を示す場合、アルキレン基を介することなく2つのSi原子が単結合で結ばれた構造となる。本明細書において、式(2)又は式(3)とは、必ずしも式(2)、式(3)の一方のみを意味するわけではない。
【0016】
式(1)、式(2)、式(3)において、アルキニル基の例としてエチニル基(−C≡CH)、プロパルギル基(−CHC≡CH)などが挙げられ、シクロアルキル基の例としてシクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられ、シクロアルケニル基の例としてシクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基などが挙げられる。式(2)、式(3)において、アルキル基の例としてメチル基、エチル基などが挙げられ、アルケニル基の例としてビニル基(−CH=CH)、アリル基(−CHCH=CH)などが挙げられる。さらに、該置換基を含む有機基の例として、ノルボルネニルエチル基、アダマンチルエチル基などが挙げられる。
【0017】
式(1)で表されるキャッピング基の具体例を下記式(4)、式(5)、式(6)、式(7)、式(8)に示すが、式(1)で表されるキャッピング基は必ずしもこれらの例に限定されない。
【化3】


式(4)乃至式(8)において“Me”はメチル基を表す。本明細書に以後記載する式においても同様に、“Me”はメチル基を表す。
【0018】
式(2)又は式(3)で表されるキャッピング基の具体例を下記式(9)、式(10)に示すが、式(2)又は式(3)で表されるキャッピング基は必ずしもこれらの例に限定されない。
【化4】

【0019】
少なくとも1種のキャッピング基は、式(1)、式(2)又は式(3)で表されるキャッピング基とその他のキャッピング基とが併用されてもよく、例えば前記キャッピング基はジメチルシリル基をさらに含む少なくとも2種である。ジメチルシリル基とは、トリメチルシリル基の3つのメチル基のうち1つが水素原子に置換されたものである。式(1)で表されるキャッピング基と式(2)又は式(3)で表されるキャッピング基とが併用されてもよい。
【0020】
本発明に係るレジスト下層膜形成組成物に含まれる珪素含有重合体は、さらにフェニル基、ナフチル基又はアントラセニル基を有してもよい。当該珪素含有重合体は、例えば、珪素と酸素を主鎖に有するポリシロキサン(ポリシルセスキオキサンを含む)、珪素を主鎖に有するポリシランである。
【0021】
本発明に係るレジスト下層膜形成組成物に含まれる珪素含有重合体は、例えば、少なくとも1種のアルコキシシランを陽イオン交換樹脂及び有機溶剤の存在のもとで加水分解する工程と、前記陽イオン交換樹脂を除去する工程と、加熱した有機溶剤中で前記加水分解による生成物を縮合反応させる工程と、水を除去する工程とを経て得られるポリマーである。水を除去する工程は、縮合反応させる工程後に限らず、陽イオン交換樹脂を除去する工程後に行ってもよい。この陽イオン交換樹脂を用いる加水分解法は、加水分解反応を促進させるために、必ずしも酸(塩酸などの無機酸、又は有機酸)を用いる必要がない。一方、反応後の溶液中に残留する陽イオン交換樹脂を除去することは、塩酸などの酸を除去することに比べて容易である。
【0022】
前記加水分解する工程を酸性条件で行う場合、前記縮合反応させる工程を中性条件でおこなう。ここで、中性条件とは、水素イオン指数pHが7である条件に限定されず、中性付近、例えばpHが5.5〜8.0の範囲とする。
【0023】
本発明に係るレジスト下層膜形成組成物に含まれる溶剤として、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、乳酸エチル、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、アセチルアセトン、トルエンのような有機溶媒が挙げられる。本発明のレジスト下層膜形成組成物から溶剤を除いた成分を固形分とみなすと、当該組成物に対する固形分の割合は例えば1〜30質量%又は1〜10質量%である。
【0024】
本発明に係るレジスト下層膜形成組成物は、さらに第4級アンモニウム塩又は第4級ホスホニウム塩を含むことができる。これらの第4級塩の存在によって、架橋剤なしに、本発明に係るレジスト下層膜形成組成物を硬化させてレジスト下層膜を形成しやすくなる。第4級アンモニウム塩として、例えばベンジルトリエチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラプロピルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、トリブチルメチルアンモニウムクロライド、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド、フェニルトリメチルアンモニウムクロライド等が挙げられ、例えばベンジルトリエチルアンモニウムクロライドが選択される。第4級ホスホニウム塩として、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、エチルトリフェニルホスホニウムヨード、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド、ブチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、テトラブチルホスホニウムブロマイド等が挙げられ、例えばエチルトリフェニルホスホニウムブロマイド又はテトラブチルホスホニウムブロマイドが選択される。第4級アンモニウム塩又は第4級ホスホニウム塩の、本発明に係るレジスト下層膜形成組成物の固形分に対する割合は、例えば0.001〜3質量%又は0.005〜0.1質量%とすることができる。第4級アンモニウム塩又は第4級ホスホニウム塩は、本発明のようにキャッピング基で置換されていないシラノール基が存在する場合、シラノール基同士の縮合を促進し、硬化性を向上させると考えられる。
【0025】
本発明に係るレジスト下層膜形成組成物は、必要に応じて、界面活性剤が固形分に対し例えば0.01質量%以上2質量%以下添加されていてもよい。界面活性剤は、基板に対する塗布性を向上させることができ、例えばノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤が用いられる。さらに、必要に応じて、酸発生剤が固形分に対し例えば0.01質量%以上1質量%以下添加されていてもよい。酸発生剤として、ヨードニウム塩化合物、スルホニウム塩化合物などの光酸発生剤が挙げられる。光酸発生剤から発生する酸により、レジスト下層膜表面の酸性度を調整することができる。
【0026】
レジスト下層膜の上に形成されるレジストは、ポジ型レジスト、ネガ型レジストいずれでもよい。KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、EUV(極端紫外線)又は電子線に感光する化学増幅型レジストを用いることができる。
【0027】
また本発明は、半導体基板上に有機膜を形成する工程と、前記有機膜上に本発明に係るレジスト下層膜形成組成物を塗布し硬化させてレジスト下層膜を形成する工程と、前記レジスト下層膜上にレジストパターンを形成する工程と、前記レジストパターンをマスクとしてハロゲン系ガス(例えばCF及び/又はCHFを含むガス)を用いて前記レジスト下層膜をエッチングする工程と、エッチング後の前記レジスト下層膜をマスクとして酸素を含むガスを用いて前記有機膜をエッチングする工程、を含む半導体装置の製造方法である。
【0028】
前記半導体基板は、代表的にはシリコンウエハーであるが、SOI(Silicon on Insulator)基板、又は砒化ガリウム(GaAs)、リン化インジウム(InP)、リン化ガリウム(GaP)などの化合物半導体ウエハーを用いてもよい。前記半導体装置とは、上記半導体基板を用いて製造される半導体素子(ダイオード、トランジスタ、メモリなど)、及びその半導体素子を用いて製造される電子機器(携帯電話機、テレビ受像機、パーソナルコンピュータなど)を含む。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係るレジスト下層膜形成組成物は、ほとんどのシラノール基がキャッピングされる(即ち、水素原子がキャッピング基で置換されていないシラノール基がほとんど存在しない)場合と比較し、均一に塗布できると共に、架橋剤を添加することなく硬化させることができる。また、本発明に係るレジスト下層膜形成組成物は、シラノール基がキャッピングされない場合と比較し、保存安定性が向上する(ゲル化しにくい)。本発明のように、シラノール基の一部のみキャッピングされる場合、キャッピングされていないシラノール基同士が縮合することにより硬化する。よって、添加物に起因する、熱硬化時の昇華物の発生を抑制することができる。また、本発明に係るレジスト下層膜形成組成物は、特許文献1では必須である架橋基(エポキシ基またはオキセタニル基を有する有機基)は必ずしも必要ない。シラノール基の一部しかキャッピングされないためである。
【0030】
さらに、本発明に係るレジスト下層膜形成組成物を用いて形成されるレジスト下層膜は、上層に形成する有機レジストとの密着性を損なうことなく、式(1)で表されるキャッピング基を用いる場合、及び式(2)又は式(3)で表されるキャッピング基とその他のキャッピング基(ジメチルシリル基)を併用する場合、形成されるレジスト下層膜にクラックが発生しにくいことが確認できる。
【0031】
キャッピングされていない珪素含有重合体の珪素含有率が高くない(例えば30質量%)場合、当該珪素含有重合体は式(1)乃至式(3)で表されるキャッピング基でキャッピングされることによって、珪素含有率を高くすることができる。キャッピングされていない珪素含有重合体の珪素含有率が40質量%であっても、式(2)又は式(3)で表されるキャッピング基の具体例であるテトラメチルジシリル基、及び/又はジメチルシリル基をキャッピング基に用いる場合、珪素含有重合体の珪素含有率を高くすることができる。珪素含有率の高い珪素含有重合体を含むレジスト下層膜形成組成物を用いて形成されるレジスト下層膜は、酸素を含むエッチングガスに対する耐性が高くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明に係るレジスト下層膜形成組成物に含まれる珪素含有重合体は、ポリシロキサンの場合、原料モノマーとして少なくとも1種のアルコキシシランを用い、反応させて得られる生成物である。アルコキシシランとして、種々の市販品を用いることができる。また、シラノール基をキャッピングするための、キャッピング基を有する化合物も、種々の市販品を用いることができる。
【0033】
以下、本発明について具体的に説明する。ただし、本発明は下記合成例及び実施例の記載に限定されるものではない。
【0034】
本明細書に示すポリマーの平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCと略称する)による測定結果である。使用する装置、条件等は次のとおりである。
GPC装置:HLC−8220GPC(東ソー(株)製)
GPCカラム:Shodex〔登録商標〕KF803L,KF802,KF801(昭和電工(株)製)
カラム温度:40℃
溶媒:テトラヒドロフラン(THF)
流量:1.0ml/min
標準試料:ポリスチレン(昭和電工(株)製)
【実施例】
【0035】
(合成例1)
陽イオン交換樹脂(商品名:アンバーリスト15JWET、ローム・アンド・ハース社製)13.22gに対し、下記式(11)、式(12)、式(13):
【化5】


で表されるモノマー(いずれも東京化成工業(株)製)をそれぞれ3.97g、4.73g、24.35g、及び水13.69g、プロピレングリコールモノメチルエーテル33.05gを加え、室温にて48時間攪拌した。
【0036】
その後、上記陽イオン交換樹脂をろ過により除去した。ろ液を80℃に加熱したプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート79.78g中に滴下し、4時間攪拌してポリマーを得た。
【0037】
その後、減圧下でプロピレングリコールモノメチルエーテル、副生したメタノール、水を留去した。得られたポリマーのGPCによる分子量は、ポリスチレン換算で重量平均分子量34700、数平均分子量8200であった。
【0038】
(合成例2)
陽イオン交換樹脂(商品名:アンバーリスト15JWET、ローム・アンド・ハース社製)24.80gに対し、下記式(14)、式(15)、式(16)、式(17):
【化6】


で表されるモノマー(いずれも東京化成工業(株)製)をそれぞれ3.96g、2.96g、5.45g、48.71g及び水21.61g、プロピレングリコールモノメチルエーテル61.09gを加え、室温にて48時間攪拌した。
【0039】
その後、上記イオン交換樹脂をろ過により除去した。ろ液を80℃に加熱したプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート143.79g中に滴下し、4時間攪拌してポリマーを得た。
【0040】
その後、減圧下でプロピレングリコールモノメチルエーテル、副生したメタノール、水を留去した。得られたポリマーのGPCによる分子量は、ポリスチレン換算で重量平均分子量1500、数平均分子量1100であった。
【0041】
(実施例1)
本実施例では、式(2)又は式(3)の具体例である、式(9)で表されるキャッピング基を用いる。
【0042】
合成例2で得たポリマーのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(濃度14.6質量%)20.00gに対し、1,1,2,2−テトラメチルジシリルジクロリド(東京化成工業(株)製)0.13g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート40.79gを加え、副生した塩酸を減圧下留去した。このポリマー溶液を孔径0.1μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過し、レジスト下層膜形成組成物(溶液)を調製した。
【0043】
実施例1で得たレジスト下層膜形成組成物を、スピナーによりシリコンウエハー上に塗布した。ホットプレート上、240℃で1分間焼成し、レジスト下層膜(膜厚80nm)を形成した。このレジスト下層膜を、フォトレジスト組成物に使用される溶剤であるプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びプロピレングリコールモノメチルエーテル、現像液として使用される2.38質量%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液に1分間浸漬し、それらの溶剤に不溶であることを確認した。
【0044】
(実施例2)
本実施例では、式(2)又は式(3)の具体例である式(9)で表されるキャッピング基と、その他のキャッピング基としてジメチルシリル基とを併用する。
【0045】
合成例2で得たポリマーのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(濃度14.6質量%)40.00gに対し、1,1,2,2−テトラメチルジシリルジクロリド(東京化成工業(株)製)0.13g、ジメチルシリルクロリド(東京化成工業(株)製)0.13g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート81.60gを加え、副生した塩酸を減圧下留去した。このポリマー溶液を孔径0.1μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過し、レジスト下層膜形成組成物(溶液)を調製した。
【0046】
実施例2で得たレジスト下層膜形成組成物を、スピナーによりシリコンウエハー上に塗布した。ホットプレート上、240℃で1分間焼成し、レジスト下層膜(膜厚80nm)を形成した。このレジスト下層膜を、フォトレジスト組成物に使用される溶剤であるプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びプロピレングリコールモノメチルエーテル、現像液として使用される2.38質量%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液に1分間浸漬し、それらの溶剤に不溶であることを確認した。また、該レジスト下層膜はクラックが発生しにくいことを確認した。
【0047】
(実施例3)
本実施例では、式(1)の具体例である、式(4)で表されるキャッピング基を用いる。
【0048】
合成例2で得たポリマーのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(濃度14.6質量%)20.00gに対し、5−ノルボルネン−2−イル−(エチル)ジメチルシリルクロリド(シグマアルドリッチ(株)製)0.29g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート43.88gを加え、副生した塩酸を減圧下留去した。このポリマー溶液を孔径0.1μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過し、レジスト下層膜形成組成物(溶液)を調製した。
【0049】
実施例3で得たレジスト下層膜形成組成物を、スピナーによりシリコンウエハー上に塗布した。ホットプレート上、240℃で1分間焼成し、レジスト下層膜(膜厚80nm)を形成した。このレジスト下層膜をフォトレジスト組成物に使用される溶剤であるプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びプロピレングリコールモノメチルエーテル、現像液として使用される2.38質量%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液に1分間浸漬し、それらの溶剤に不溶であることを確認した。また、該レジスト下層膜はクラックが発生しにくいことを確認した。
【0050】
(参考例1)
本参考例では、キャッピング基としてトリメチルシリル基を用いる。
【0051】
合成例1で得たポリマーのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(濃度6.7質量%)20.00gに対し、トリメチルシリルクロリド(東京化成工業(株)製)0.13g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート9.35gを加え、副生した塩酸を減圧下留去した。このポリマー溶液を孔径0.1μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過し、レジスト下層膜形成組成物(溶液)を調製した。
【0052】
参考例1で得たレジスト下層膜形成組成物を、スピナーによりシリコンウエハー上に塗布した。ホットプレート上、240℃で1分間焼成し、レジスト下層膜(膜厚80nm)を形成した。このレジスト下層膜をフォトレジスト組成物に使用される溶剤であるプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びプロピレングリコールモノメチルエーテルに浸漬し、それらの溶剤に不溶であることを確認した。
【0053】
(参考例2)
本参考例でも、キャッピング基としてトリメチルシリル基を用いる。
【0054】
合成例2で得たポリマーのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(濃度14.6質量%)20.00gに対し、トリメチルシリルクロリド(東京化成工業(株)製)0.15g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート41.17gを加え、副生した塩酸を減圧下留去した。このポリマー溶液を孔径0.1μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過し、レジスト下層膜形成組成物(溶液)を調製した。
【0055】
参考例2で得たレジスト下層膜形成組成物を、スピナーによりシリコンウエハー上に塗布した。ホットプレート上、240℃で1分間焼成し、レジスト下層膜(膜厚80nm)を形成した。このレジスト下層膜を、フォトレジスト組成物に使用される溶剤であるプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びプロピレングリコールモノメチルエーテル、現像液として使用される2.38質量%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液に1分間浸漬し、それらの溶剤に不溶であることを確認した。
【0056】
(参考例3)
本参考例では、キャッピング基としてジメチルシリル基を用いる。
【0057】
合成例2で得たポリマーのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(濃度14.6質量%)20.00gに対し、ジメチルシリルクロリド(東京化成工業(株)製)0.13g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート40.82gを加え、副生した塩酸を減圧下留去した。このポリマー溶液を孔径0.1μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過し、レジスト下層膜形成組成物(溶液)を調製した。
【0058】
参考例3で得たレジスト下層膜形成組成物を、スピナーによりシリコンウエハー上に塗布した。ホットプレート上、240℃で1分間焼成し、レジスト下層膜(膜厚80nm)を形成した。このレジスト下層膜を、フォトレジスト組成物に使用される溶剤であるプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びプロピレングリコールモノメチルエーテル、現像液として使用される2.38質量%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液に1分間浸漬し、それらの溶剤に不溶であることを確認した。
【0059】
(比較例1)
本比較例では、キャッピング基を過剰に導入することにより、ほとんどのシラノール基がキャッピングされる。
【0060】
合成例1で得たポリマーのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(濃度6.7質量%)20.00gに対し、トリメチルシリルクロリド(東京化成工業(株)製)6.70g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート9.35gを加え、過剰のトリメチルシリルクロリド及び副生した塩酸を減圧下留去した。このポリマー溶液を孔径0.1μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過し、レジスト下層膜形成組成物(溶液)を調製した。
【0061】
比較例1で得たレジスト下層膜形成組成物を、スピナーによりシリコンウエハー上に塗布しようとしたところ、塗布ムラが生じ、均一な膜を形成することができなかった。
【0062】
(比較例2)
本比較例では、キャッピング基を導入しないことにより、シラノール基がキャッピングされない。
【0063】
合成例2で得たポリマーのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(濃度14.6質量%)20.00gに対し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート38.40gを加えた。このポリマー溶液を孔径0.1μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過し、レジスト下層膜形成組成物(溶液)を調製した。
【0064】
比較例2で得たレジスト下層膜形成組成物を、スピナーによりシリコンウエハー上に塗布した。ホットプレート上、240℃で1分間焼成し、レジスト下層膜(膜厚80nm)を形成した。該レジスト下層膜は、本明細書の各実施例の組成物から形成されるレジスト下層膜と比べてクラックが発生しやすい傾向がみられる。
【0065】
<レジストパターニング評価>
2−ビニルナフタレン30g、グリシジルメタクリレート3.5g、1−ブトキシエチルメタクリレート4.5gをシクロヘキサノン112gに溶解させた後、フラスコ内を窒素にて置換し60℃まで昇温した。昇温後、シクロヘキサノン48gに溶解したアゾビスイソブチロニトリル1.9gを窒素加圧下添加し、24時間、60℃で反応させた。反応溶液を冷却後、メタノールに投入し、ポリマーを再沈殿、加熱乾燥して下記式(18)で表されるポリマーを得た。得られたポリマーのGPCによる分子量は、ポリスチレン換算で重量平均分子量が12000であった。
【化7】

【0066】
式(18)において、全繰り返し単位を100モル%とすると、2−ビニルナフタレンを含む繰り返し単位aは80モル%、グリシジルメタクリレートを含む繰り返し単位bは10モル%、1−ブトキシエチルメタクリレートを含む繰り返し単位cは10モル%の割合である。
【0067】
得られたポリマー5gに、界面活性剤(大日本インキ化学工業(株)製、商品名:メガファックR−30)0.03gを混合し、シクロヘキサノン23g及びプロピレングリコールモノメチルエーテル23gに溶解させ溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過し、更に、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して、リソグラフィー工程に用いるレジスト下層膜形成組成物を調製した。この組成物から形成される珪素を含まないレジスト下層膜(A層)は、本明細書の実施例1乃至実施例3及び比較例2のレジスト下層膜形成組成物から形成される珪素を含むレジスト下層膜(B層)と組み合わせて、多層膜を構成する。
【0068】
式(18)で表されるポリマーを含むレジスト下層膜形成組成物をシリコンウエハー上に塗布し、ホットプレート上で240℃、1分間加熱し、膜厚250nmのレジスト下層膜(A層)を形成した。その上に、実施例1乃至実施例3及び比較例2のレジスト下層膜形成組成物をそれぞれスピンコート法により塗布し、ホットプレート上で240℃、1分間加熱し、膜厚80nmのレジスト下層膜(B層)を形成した。その上に市販のフォトレジスト溶液(住友化学(株)製、商品名:PAR855)をスピナーにより塗布し、ホットプレート上で100℃、1分間加熱し、膜厚150nmのフォトレジスト膜(C層)を形成した。
【0069】
スキャナ(ASML社製、PAS5500/1100、波長193nm、NA,σ:0.75,0.89/0.59(Dipole))を用いて、フォトレジスト膜(C層)のパターニングをおこなった。ターゲットは現像後のレジストパターンのライン幅及びそのライン間の幅が0.08μmである、いわゆるラインアンドスペース(デンスライン)であり、ライン本数が9本形成されるように設定されたフォトマスクを通して露光をおこなった。その後、ホットプレート上で105℃、1分間加熱し、冷却後、工業規格の60秒シングルパドル式工程にて現像液(2.38質量%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液)で現像した。
【0070】
フォーカス深度マージンは次のようにして決定した。すなわち、上記露光を、最適フォーカス位置を基準としてフォーカスの位置を上下に0.1μmずつずらしながらおこない、その後の現像処理によりレジストパターンを形成した。そして、形成されるべきレジストパターンのライン9本のうち、5本以上のラインが倒壊することなく形成されている場合を合格とし、残っているラインの数が5本未満の場合を不合格とした。そして、その合格の結果を得ることのできるフォーカス位置のずれの上下の幅をフォーカス深度マージンとした。したがって不合格の場合、フォーカス深度マージンの値は存在しない。
【0071】
〔表1〕
――――――――――――――――――――――――――――――――
フォーカス深度マージン ライン裾形状
(μm)
実施例1 0.6 良好
実施例2 0.5 良好
実施例3 0.7 良好
比較例2 0.3 良好
――――――――――――――――――――――――――――――――
上記表1は、本明細書の実施例1乃至実施例3及び比較例2に対応する、フォーカス深度マージンとレジストパターンのラインの裾形状を表している。表1において、ラインの裾形状は、レジストパターンの上面、及び基板と垂直方向におけるレジストパターンの断面形状を観察した結果を示しており、各ラインが概略矩形状であることが好ましい。フォーカス深度マージンの観点では、実施例3が最も好ましく、次いで実施例1が好ましいといえる。一方、比較例2は最もフォーカス深度マージンが狭い結果となった。実施例2におけるフォーカス深度マージンが実施例1及び実施例3におけるフォーカス深度マージンよりもやや狭いのは、式(1)、式(2)、式(3)のいずれにも該当しないキャッピング基による影響と考えられる。
【0072】
以上に示した結果は、シラノール基(Si−OH)の一部をキャッピングした珪素含有重合体をレジスト下層膜形成組成物に使用すること、特に式(1)、式(2)又は式(3)で表されるキャッピング基は、有用であることを示している。
【0073】
<半導体装置の製造>
シリコンウエハー上に、前記式(18)で表されるポリマーを含むレジスト下層膜形成組成物から形成される、前記A層に相当する有機膜を形成する。
【0074】
前記有機膜上に、実施例1乃至実施例3で得られたレジスト下層膜形成組成物を、スピナーにより塗布する。その後、240℃の温度に保持したホットプレート上で1分間焼成することで、塗布された溶液を硬化させ、前記B層に相当するレジスト下層膜を形成する。形成されたレジスト下層膜上に、市販のポジ型又はネガ型のフォトレジスト(化学増幅型フォトレジストなど)を用い、所定のプロセスを経てレジストパターンを形成する。そして、そのレジストパターンをマスクとして、CFを含むエッチングガスを用いてレジスト下層膜に対するドライエッチングをおこなう。エッチング後のレジスト下層膜は、レジストパターンが転写されている。このレジスト下層膜をマスクとして、酸素を含むエッチングガスを用いて前記有機膜に対するエッチングをおこなう。この段階では、レジストパターンは除去され、シリコンウエハー上にレジスト下層膜及び前記有機膜のパターンが形成される。
【0075】
引き続き、公知のプロセスを経て、各種半導体装置を作製することができる。なお、最終的に作製される半導体装置では、前記有機膜のパターンは除去されている。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
シラノール基の水素原子が少なくとも1種のキャッピング基で置換された基及びシラノール基を有する珪素含有重合体と溶剤を含み、前記キャッピング基は下記式(1):
【化1】


(式中、Q乃至Qの少なくとも1つはアルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、フェニル基、アダマンチル基及びノルボルネニル基からなる群から選択される置換基又は該置換基を含む有機基を示す)
で表される基を含むリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物。
【請求項2】
シラノール基の水素原子が少なくとも1種のキャッピング基で置換された基及びシラノール基を有する珪素含有重合体と溶剤を含み、前記キャッピング基は下記式(2)又は式(3):
【化2】


(式中、R乃至Rはそれぞれ独立にアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、フェニル基、アダマンチル基及びノルボルネニル基からなる群から選択される置換基又は該置換基を含む有機基を示し、nは0,1又は2を示す)
で表される基を含むリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物。
【請求項3】
請求項1において、前記キャッピング基は下記式(4)乃至式(8):
【化3】


からなる群から選択される少なくとも1種を含むリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物。
【請求項4】
請求項2において、前記キャッピング基は下記式(9)及び式(10):
【化4】


からなる群から選択される少なくとも1種を含むリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項において、前記キャッピング基はジメチルシリル基をさらに含む少なくとも2種であるリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一項において、前記珪素含有重合体はさらにフェニル基、ナフチル基又はアントラセニル基を有するリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項において、第4級アンモニウム塩又は第4級ホスホニウム塩をさらに含むリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか一項において、前記珪素含有重合体は、少なくとも1種のアルコキシシランを陽イオン交換樹脂及び有機溶剤の存在のもとで加水分解する工程と、前記陽イオン交換樹脂を除去する工程と、加熱した有機溶剤中で前記加水分解による生成物を縮合反応させる工程と、水を除去する工程とを経て得られるポリマーであるリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物。
【請求項9】
請求項1乃至請求項7のいずれか一項において、前記珪素含有重合体は、少なくとも1種のアルコキシシランを陽イオン交換樹脂及び有機溶剤の存在のもと酸性条件で加水分解する工程と、前記陽イオン交換樹脂を除去する工程と、加熱した有機溶剤中で前記加水分解による生成物を中性条件で縮合反応させる工程と、水を除去する工程とを経て得られるポリマーであるリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物。
【請求項10】
半導体基板上に有機膜を形成する工程と、前記有機膜上に請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載のレジスト下層膜形成組成物を塗布し硬化させてレジスト下層膜を形成する工程と、前記レジスト下層膜上にレジストパターンを形成する工程と、前記レジストパターンをマスクとしてハロゲン系ガスを用いて前記レジスト下層膜をエッチングする工程と、エッチング後の前記レジスト下層膜をマスクとして酸素を含むガスを用いて前記有機膜をエッチングする工程、を含む半導体装置の製造方法。


【公開番号】特開2009−128564(P2009−128564A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−302577(P2007−302577)
【出願日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(000003986)日産化学工業株式会社 (510)
【Fターム(参考)】