説明

レトロウイルスプロテアーゼインヒビターの組合せ

【課題】本発明は、レトロウイルスの複製を容器内あるいは生体内で防止するのに有効なレトロウイルスプロテアーゼ阻害剤のコンビネーションを使用することにより、哺乳動物のレトロウイルス感染症(例えばHIV)を治療する方法を指向するものである。
【解決手段】特に、本発明はプロテアーゼ阻害剤化合物を他のプロテアーゼ阻害剤化合物とのコンビネーション療法で使用する方法に関する。本発明はまたプロテアーゼ阻害剤とプロテアーゼ阻害剤の外の抗ウイルス剤とのコンビネーションを用いるコンビネーション療法に関するものである。
リグノフェノール誘導体を利用した新規な樹脂組成物を提供することを課題とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、哺乳動物レトロウイルス(例えば、ヒト免疫不全症ウイルス(HIV))のインビトロおよびインビボでの複製の防止に有効なレトロウイルスプロテアーゼインヒビターの組合せを用いる、哺乳動物レトロウイルス(例えば、ヒト免疫不全症ウイルス(HIV))感染の治療法に関する。特に本発明は、他のプロテアーゼインヒビター化合物との併用療法で使用されるプロテアーゼインヒビター化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
レトロウイルスの複製サイクルの間、gagおよびgap−pol遺伝子転写産物はタンパク質として翻訳される。このタンパク質は次に、ウイルスにコードされるプロテアーゼ(またはプロテイナーゼ)により処理されて、ウイルス酵素およびウイルスコアの構造タンパク質を生成する。一般的には、gag前駆体タンパク質は処理されてコアタンパク質になり、pol前駆体タンパク質は処理されてウイルス酵素(例えば、逆転写酵素やレトロウイルスプロテアーゼ)になる。感染性ウイルス粒子を組み立てるには、レトロウイルスプロテアーゼによる前駆体タンパク質の正しい処理が必要であることは、証明されている。例えば、HIVのpol遺伝子のプロテアーゼ領域のフレームシフト突然変異は、gag前駆体タンパク質の処理を妨害することは証明されている。またgag前駆体タンパク質が防害されることは、HIVプロテアーゼ活性部位中のアスパラギン酸残基の部位特異的突然変異誘発によっても証明されている。すなわち、レトロウイルスプロテアーゼの作用を阻害することによりウイルス複製を阻害するという試みがなされている。
【0003】
レトロウイルスプロテアーゼ阻害は、典型的には遷移状態の模倣が関与し、こうしてレトロウイルスプロテアーゼは、gagおよびgap−polタンパク質と競合して酵素に結合(典型的には可逆的に)し、こうして構造タンパク質の特異的処理とレトロウイルスプロテアーゼ自身の放出を阻害する模倣化合物に接触される。この方法で、レトロウイルス複製プロテアーゼは有効に阻害される。
【0004】
特にプロテアーゼの阻害(例えば、HIVプロテアーゼの阻害)のためにいくつかのクラスの模倣化合物が提唱されている。そのような模倣化合物には、ヒドロキシエチルアミン同配体(isosteres)、還元アミド同配体および非ペプチド同配体がある。例えば、EP0346847(特許文献1);EP0342541(特許文献2);ロバーツ(Roberts)ら、「ペプチドベースのプロテアーゼインヒビターの合理的設計」、Scinece,248,358(1990)(非特許文献1);エリックソン(Erickson)ら、「HIV−1プロテアーゼと複合体を形成したC対称インヒビターの設計活性及び2.8Å結晶構造〕、Scinece,249,527(1990)(非特許文献2);およびエス・タイスリボングス(S.Thaisrivongs)、「非ペプチドHIVプロテアーゼインヒビターの構造ベースの設計」、第35回バッファロー医化学ミーティング(35th Annual Buffalo Medicinal Chemistry Meeting)、ニューヨーク州立大学バッファロー校、バッファロー、ニューヨーク、1994年5月22〜25日(非特許文献3)を参照。
HIVプロテアーゼインヒビターのようなレトロウイルスプロテアーゼインヒビターについての問題は、インヒビターに耐性のウイルス株の出現である。例えば、メルク社(Merck&Co.)のHIVプロテアーゼインヒビターであるL−735,524は、ヒトのHIV感染に有効であるが、後にL−735,524耐性のHIV株が患者に出現する(ワルドホルツ(Waldholz)、The Wall Street Journal,February 25,1994,page B3(非特許文献4);およびコンドラ(Condra)ら、Nature 374:569−571(1995)(非特許文献5))。他の例は、バッカ(Vacca)ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:4096−4100(1994)(非特許文献6);ホー(Ho)ら、J.Virol.68:2016−2020(1994);およびサルダナ(Sardana)ら、Biochem.33:2004−2010(1994)(非特許文献7)に見いだされる。
【0005】
【特許文献1】EP0346847
【特許文献2】EP0342541
【非特許文献1】Science,248,358(1990)
【非特許文献2】Science,249,527(1990)
【非特許文献3】「非ペプチドHIVプロテアーゼインヒビターの構造ベースの設計」、第35回バッファロー医化学ミーティング(35th Annual Buffalo Medicinal Chemistry Meeting)、ニューヨーク州立大学バッファロー校、バッファロー、ニューヨーク、1994年5月22〜25日
【非特許文献4】The Wall Street Journal,February 25,1994,page B3
【非特許文献5】Nature 374:569−571(1995)
【非特許文献6】Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:4096−4100(1994)
【非特許文献7】Biochem.33:2004−2010(1994)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、哺乳動物レトロウイルス(例えば、ヒト免疫不全症ウイルス(HIV))のインビトロおよびインビボでの複製の防止に有効なレトロウイルスプロテアーゼインヒビターの組合せを用いる、哺乳動物レトロウイルス(例えば、ヒト免疫不全症ウイルス(HIV))感染の治療法に関する。特に本発明は、他のプロテアーゼインヒビター化合物との併用療法で使用されるプロテアーゼインヒビター化合物に関する。さらに、この組合せはまた、他の抗ウイルス剤と組合せて使用することもできる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
レトロウイルスプロテアーゼは、レトロウイルス複製過程において決定的に重要な酵素である。レトロウイルス(例えば、HIV)の増殖は、ウイルスをレトロウイルスプロテアーゼインヒビターに曝すことにより妨害できる。しかしレトロウイルスをプロテアーゼインヒビターに長期間曝すと、変種レトロウイルスが選択されて、プロテアーゼインヒビターに耐性の新しい主要なレトロウイルス株が出現する。この新しい主要なレトロウイルス株は、プロテアーゼインヒビターに阻害されないか、またはより頻繁にはプロテアーゼインヒビターによる阻害が不十分であるプロテアーゼを産生し、インヒビターの濃度を実質的に増加させない限りプロテアーゼインヒビターの存在下でも自由に増殖する。本発明は、レトロウイルスプロテアーゼインヒビターに耐性のレトロウイルス株の出現を克服する方法を提供する。
【0008】
本発明は、哺乳動物(例えば、ヒト、サル、ネコなど)への、少なくとも2つの有効量のレトロウイルスプロテアーゼインヒビターの投与を提供する。投与は、少なくとも2つのレトロウイルスプロテアーゼインヒビターの同時投与により行われ、すなわち哺乳動物中である時点に少なくとも2つのインヒビターの有効量が存在するように2つまたはそれ以上のレトロウイルスプロテアーゼインヒビターが投与される。あるいは、投与は、少なくとも2つのレトロウイルスプロテアーゼインヒビターの連続的または交互の投与により行われ、すなわち哺乳動物中である時点に1つのインヒビターのみの有効量が存在するように2つまたはそれ以上のレトロウイルスプロテアーゼインヒビターが投与される。レトロウイルスプロテアーゼインヒビターを正しく選択することにより、この方法は、任意の1つのインヒビターに対して耐性の株の存在下でもレトロウイルスの増殖を有効に防止することができる。
【0009】
レトロウイルスプロテアーゼインヒビターは、レトロウイルスの増殖培養物にインヒビターを曝すことによりインビボまたはインビトロで出現するレトロウイルスの耐性株のプロフィールに基づき選択される。レトロウイルスプロテアーゼインヒビターは、少なくとも1つのレトロウイルス耐性株による交差耐性の欠如について選択される。レトロウイルス株が両方のインヒビターに対して耐性である時、レトロウイルス株は2つのプロテアーゼインヒビターに対して交差耐性であると見なされる。ある程度の交差耐性は許容されるが、群として考えた時選択されたレトロウイルスプロテアーゼの間に交差耐性がないことが好ましい。すなわち、第1のレトロウイルスプロテアーゼインヒビターに曝した後に出現するレトロウイルスの変種(突然変異株)は、第2のレトロウイルスプロテアーゼインヒビターにより阻害されるか、または第1と第2のレトロウイルスプロテアーゼインヒビターに曝した後に出現する変種は、第3のまたは第4のレトロウイルスプロテアーゼインヒビターにより阻害されるなど。
【0010】
種々のプロテアーゼインヒビターの間の交差耐性プロフィールの比較を行い、好ましくはほとんどまたは全く交差耐性を示さない併用療法のための化合物が選択される。薬剤耐性の表現型は、耐性無し、低レベルの耐性(EC50またはEC90で約10倍未満のシフト)、中レベルの耐性(EC50またはEC90で約10〜約100倍のシフト)、高レベルの耐性(EC50またはEC90で約100倍以上のシフト)に分類される。達成できるインビボインヒビター濃度が、耐性ウイルスに対して阻害効果が低下している時、薬剤耐性は患者のウイルス負荷への作用の低下と相関することが予測される。すなわち、プロテアーゼインヒビターのより好適な組合せは、最小の交差耐性プロフィール(すなわち、好ましくは中レベルの耐性以下であり、より好ましくは低レベル以下の耐性であり、そして最も好ましくは耐性無し)を示し、野性型および/または別のインヒビターに対して選択された耐性ウイルスに対して最大の本質的力価を示すものである。例えば、第1の化合物と組合せて使用するのに好適な化合物は、中レベル、より好ましくは高レベルで第1の化合物に耐性のウイルス株に対して有効であることが好ましい。各インヒビターおよび組合せの薬理および毒性は、併用療法のインヒビターの選択の因子でもある。
【0011】
より好ましくは、第1のレトロウイルスプロテアーゼインヒビターに対して耐性の少なくとも1つのウイルス株と、第2のレトロウイルスプロテアーゼインヒビターに対して耐性の少なくとも1つのウイルス株が、プロテアーゼの同じ基質結合部位領域に影響し観察されたインヒビター耐性に寄与するプロテアーゼペプチド配列中の異なるアミノ酸置換を有する時、レトロウイルスプロテアーゼインヒビターが選択される。すなわち、プロテアーゼ中の同じ部位で起きる可能なアミノ酸置換の数は限定される。これは、この部位が酵素の活性、有効性および/または安定性に決定的に重要である時、特に真実である。
【0012】
これは、本発明の例1および例2のHIVプロテアーゼインヒビターに関して観察された。例1の化合物に対するレトロウイルス耐性は、HIVプロテアーゼのアミノ酸88の部位突然変異(アスパラギン88のアスパラギン酸88による置換)により得られた。例2の化合物に対するレトロウイルス耐性も、HIVプロテアーゼのアミノ酸88の部位突然変異(アスパラギン88のセリン88による置換)により得られた。アミノ酸88のいくつかの置換は、酵素活性の喪失を引き起こすことが知られている(ロエブ(Loeb)ら、Nature 340:387−400(1989))。すなわち、例1と2のHIVプロテアーゼインヒビターの両方の投与は、両方のインヒビターに対して交差耐性のウイルスの耐性株のさらなる産生の可能性を実質的に低下させる。両方のインヒビターを組合せて6週間治療した場合、同期間の1つのインヒビターに対して耐性の表現型の出現と比較して、組合せて使用した両方のインヒビターに対する耐性は検出されていない。酵素活性に影響する部位突然変異以外に、酵素活性および/または耐性に実質的に影響しない同じ変種の他の部位突然変異も発生し得る。
【0013】
あるいは、より好ましくは、第1のレトロウイルスプロテアーゼインヒビターに対して少なくとも1つのウイルス耐性株が、第2のプロテアーゼインヒビターに対して感受性が上昇している時、または第2のレトロウイルスプロテアーゼインヒビターに対して少なくとも1つのウイルス耐性株が、第1のプロテアーゼインヒビターに対して感受性が上昇している時、レトロウイルスプロテアーゼインヒビターが選択される。
【0014】
本発明の方法での使用に適した代表的なレトロウイルスプロテアーゼインヒビターには、共有の同時係属米国特許出願第08/152,934号(1993年11月15日出願)、第08/253,531号(1994年6月3日出願)、第08/109、787号(1993年8月20日出願)、第08/110,911号(1993年8月24日出願)、第08/110,913号(1993年8月24日出願)、第08/110,912号(1993年8月24日出願)、第08/204,827号(1994年3月2日出願)、第07/886,556号(1992年5月20日出願)、第07/886,663号(1992年5月20日出願)、第07/886,531号(1992年5月20日出願)、第08/148,817号(1993年11月8日出願)、第08/886,700号(1992年5月21日出願)、および第07/998,187号(1992年12月29日出願)、およびPCT特許出願PCT/US93/10552号(1993年10月29日出願)、PCT/US93/10460号(1993年10月29日出願)、PCT/US93/10461号(1993年10月29日出願)に開示および記載されているプロテアーゼがあるが、これらに限定されない(これらはそれぞれ、参考のため本明細書に引用される)。本発明の方法での使用に適したさらなるレトロウイルスプロテアーゼインヒビターには、米国特許第5,157,041号;EP346,847号;米国特許出願第07/883,825号(1992年5月15日出願);WO93/09096号;Tet.Lett.35:673−676(1994);Proc.Natl.Acad.Sci.USA,91:4096−4100(1994);ワイ・エヌ・ウォング(Y.N.Wong)ら、Biopharm.&Drug Dispos.15:535−544(1994);エム・エル・ウェストとディー・ピー・フェアリー(M.L.West and D.P.Fairlie)、Trends Pharmacol.Sci.16:67−75(1995);およびエス・タイスリボングス(S.Thaisrivongs)、「HIVプロテアーゼインヒビター」、Ann.Reports Med.Chem.,Vol.29,Chap.14,pp133−144(1994)(アカデミックプレス(Academic Press)、ジェイ・ブリストル(J.Bristol)編)に開示および記載されているプロテアーゼがあるが、これらに限定されない(これらはそれぞれ、参考のため本明細書に引用される)。
【0015】
さらに説明しなくても、当業者は前記の記載を用いて、本発明を最大に利用できると考えられる。以下の好適な実施態様は、すべての可能な化合物の組合せを網羅するものではなく、有効であることが記載される薬剤組合せの例を提供するのみである。耐性ウイルス単離物(以下に記載するものに限定されない)を用いるこれらおよび他のプロテアーゼインヒビターの同様の試験は、適当な薬剤組合せを同定するのに有効であろう。従って以下の好適な実施態様は、単に例示のためであり、決して本発明を限定するものではない。
【0016】
例1
【化1】

【0017】
[1S−[1R(R*),2S]]−N−[3−[[[1,1−ジメチルエチル)アミノ]カルボニル])2−メチルプロピル)アミノ]−2−ヒドロキシ−1−(フェニルメチル)プロピル]−2−[(2−キノリニルカルボニル)アミノ]−ブタンジアミドは、共有の同時係属米国特許出願第08/152,934号(1993年11月15日出願)および第08/156,498号(1993年11月23日出願)に開示の方法(いずれも参考のため本明細書に引用される)に従って調製することができる。
【0018】
例2
【化2】

【0019】
(2R,3S)−3−(N−メチルアミノアセチル−L−tert−ブチルグリシニル)アミノ−1−(N−イソアミル−N−(tert−ブチルカルバモイル))アミノ−4−フェニル−2−ブタノールは、共有の同時係属米国特許出願第08/109,787号(1993年8月20日出願)、本出願と同時出願された代理人事件整理番号2766/1号、および第08/156,498号(1993年11月23日出願)に開示の方法(いずれも参考のため本明細書に引用される)に従って調製することができる。
【0020】
例3
【化3】

【0021】
[2R−ヒドロキシ−3−[[(4−メトキシフェニル)スルホニル](2−メチルプロピル)アミノ]−1S−(フェニルメチル)プロピル]カルバミン酸5−ピリミジルメチルエステルは、共有の同時係属米国特許出願第08/110,911号(1993年8月24日出願)および第08/156,498号(1993年11月23日出願)に開示の方法(いずれも参考のため本明細書に引用される)に従って調製することができる。
【0022】
例4
【化4】

【0023】
[1S−[1R(R),2S]]−N−[2−ヒドロキシ−3−[N−(2−メチルプロピル)−N−(4−メトキシフェニルスルホニル)アミノ]−1−(フェニルメチル)プロピル]−2−メチル−3−(メチルスルホニル)プロパンアミドは、共有の同時係属米国特許出願第08/110,913号(1993年8月24日出願)および第08/156,498号(1993年11月23日出願)に開示の方法(いずれも参考のため本明細書に引用される)に従って調製することができる。
【0024】
例5
【化5】

【0025】
N−(2(R)−ヒドロキシ−1(S)−インダニル)−2(R)−フェニルメチル−4(S)−ヒドロキシ−5−(1−(4−(3−ピリジルメチル)−2(S)−N’−(t−ブチルカルボキサミド)−ピペラジニル))−ペンタンアミド(L−735,524)は、米国特許出願第07/883,825号(1992年5月15日出願)、WO93/09096号、Tet.Lett.35:673−676(1994)およびProc.Natl.Acad.Sci.USA,91:4096−4100(1994)に開示の方法(いずれも参考のため本明細書に引用される)に従って調製することができる。
【0026】
例6
【化6】

【0027】
N−tert−ブチルデカヒドロ−2−[2(R)−ヒドロキシ−4−フェニル−3(S)−[[N−(2−キノリルカルボニル)−L−アスパラジニル]アミノ]ブチル]−(4aR,8aS)−イソキノリン−3(S)−カルボキサミド(Ro31−8959)は、米国特許第5,157,041号に開示の方法(参考のため本明細書に引用される)に従って調製することができる。
【0028】
例7
【化7】

【0029】
[1S−[1R(R),2S]]−N−[3−[[[(1−ジメチルエチル)アミノ]カルボニル](3−メチルブチル)アミノ]−2−ヒドロキシ−1−(フェニルメチル)プロピル]−2−[(2−キノリルカルボニル)アミノ]−ブタンジアミドは、共有の同時係属米国特許出願第08/152,934号(1993年11月15日出願)および第08/156,498号(1993年11月23日出願)に開示の方法(いずれも参考のため本明細書に引用される)に従って調製することができる。
【0030】
例8
【化8】

【0031】
N−[3−[N−[N−(1,1−ジメチルエチル)アミノスルホニル]−N−(2−メチルプロピル)アミノ]−2R−ヒドロキシ−1S−(フェニルメチル)プロピル]−2S−[(2−キノリニルカルボニル)アミノ]ブタンジアミドは、共有の同時係属PCT特許出願PCT/US93/10552号(1993年10月29日出願)および第08/156,498号(1993年11月23日出願)に開示の方法(いずれも参考のため本明細書に引用される)に従って調製することができる。
【0032】
例9
【化9】

【0033】
(2S,3R,4S,5S)−2,5−ビス−[N−[N−[[N−メチル−N−(2−ピリジニルメチル)アミノ]カルボニル]バリニル]アミノ]−3,4−ジヒドロキシ−1,6−ジフェニルヘキサン(A−77003)は、J.Med.Chem36:320−330(1993)に開示の方法(参考のため本明細書に引用される)に従って調製することができる。
【0034】
例10
【化10】

【0035】
(2S,3S,5S)5−(N−[N−[N−メチル−N−[(2−イソプロピル−4−チアゾリル)メチル]アミノ]カルボニル]バリニル]アミノ]−2−[N−[(5−チアゾリル)メトキシカルボニル]アミノ]−3−ヒドロキシ−1,6−ジフェニルヘキサン(A−84538、ABT−538)は、PCT特許出願WO94/14436号(1993年12月16日出願)に開示の方法(参考のため本明細書に引用される)に従って調製することができる。
【0036】
例11
【化11】

【0037】
[2R−ヒドロキシ−3−[[(4−アミノフェニル)スルホニル](2−メチルプロピル)アミノ]−1S−(フェニルメチル)プロピル]カルバミン酸3S−テトラヒドロフラニルエステル(VX−478)は、PCT特許出願WO94/05639号(1993年9月7日出願)に開示の方法(参考のため本明細書に引用される)に従って調製することができる。
【0038】
例12
【化12】

【0039】
N−tert−ブチルデカヒドロ−2−[2(R)−ヒドロキシ−4−(フェニルチオ)−3(S)−[[N−[(2−メチル−3−ヒドロキシフェニル)カルボニル]アミノ]ブチル]−(4aR,8aS)−イソキノリン−3(S)−カルボキサミド(AG−1343、AG−1350)は、Bioorg.&Med.Chem.Let.5:715−720,5:721−726および5:727−732(1995)に開示の方法(参考のため本明細書に引用される)に従って調製することができる。特に、3−ヒドロキシ−2−メチル安息香酸(Bioorg.&Med.Chem.Let.5:727−732(1995))のHOBT活性エステルは、N−tert−ブチルデカヒドロ−2−[2(R)−ヒドロキシ−4−(フェニルチオ)−3(S)−アミノブチル]−(4aR,8aS)−イソキノリン−3(S)−カルボキサミド(Bioorg.&Med.Chem.Let.5:715−720(1995))に結合することができる。
【0040】
例13
【化13】

【0041】
[4R−(4α,5α,6β,7β)]−1,3−ビス[(3−アミノフェニル)メチル]ヘキサヒドロ−5,6−ジヒドロキシ−4,7−ビス(フェニルメチル)−2H−1,3−ジアゼピン−2−オン(DMP−450、XM−412)は、PCT特許出願WO93/07128号に開示の方法(参考のため本明細書に引用される)に従って調製することができる。特に3−ニトロフェニルメチルハロゲン化物(例えば、3−ニトリルフェニルメチルクロリドまたはブロミド)は、[4R−(4α5α,6β,7β)]−ヘキサヒドロ−5,6−ジヒドロキシ−4,7−ビス(フェニルメチル)−2H−1,3−ジアゼピン−2−オンのヒドロキシ保護誘導体と反応させて、次にヒドロキシ基を脱保護(WO93/07128号参照)して、ニトロ基をアミノ基に還元する。そのような還元は、当業者に公知の標準的方法を用いて行われる。
【0042】
例14
【化14】

【0043】
N−[2R−ヒドロキシ−3−[[(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)スルホニル](2−メチルプロピル)アミノ]−1S−(フェニルメチル)プロピル]−2S−[[(ピロリジン−1−イル)アセチル]アミノ]−3,3−ジメチルブタンアミドの調製
パートA:1,3−ベンゾキオキソール−5−スルホニルクロリドの調製
0℃の4.25gの無水N,N−ジメチルホルムアミドの溶液に、窒素下で7.84gの塩化スルフリルを加えると、固体が生成した。15分間攪拌後、6.45gの1,3−ベンゾジオキソールを加え、混合物を100℃で2時間加熱した。反応物を冷却し、氷水中に注ぎ、塩化メチレンで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、濃縮して7.32gの粗物質を黒い油状物として得た。これを20%塩化メチレン/ヘキサンを用いてシリカゲルでクロマトグラフィーをして、1.9gの(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)スルホニルクロリドを得た。
【0044】
あるいは、機械攪拌器、冷却器、加熱用マントル、および圧力平衡化滴下ロートを取り付けた22リットルの丸底フラスコに、三酸化イオウDMF複合体(2778g,18.1モル)を加えた。次にジクロロメタン(4リットル)を加え、攪拌を始めた。次に1,3−ベンゾジオキソール(1905g,15.6モル)を、滴下ロートで5分間かけて加えた。次に温度を75℃に上げ、22時間維持した(NMRは、9時間後に反応が完了したことを示した)。反応物を26℃に冷却し塩化オキサリル(2290g,18.1モル)を、温度を40℃以下に維持するような速度で加えた(1.5時間)。混合物を67℃に5時間加熱し、次に氷浴で16℃に冷却した。反応を、温度を20℃以下に維持する速度で水(5リットル)で停止させた。水の添加終了後、混合物を10分間攪拌した。層を分離し、有機層を再度水(5リットル)で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウム(500g)で乾燥し、ろ過して、乾燥物質を除去した。溶媒を減圧下で50℃で除去した。得られた暖かい液体を冷却させると、固体が生成し始めた。1時間後固体をヘキサン(400ml)で洗浄し、ろ過し、乾燥して、目的の塩化スルホニル(2823g)を得た。ヘキサン洗浄物を濃縮して、得られた固体を400mlのヘキサンで洗浄して、さらに塩化スルホニル(464g)を得た。総収率は3287gであった(1,3−ベンゾジオキソールに基づき95.5%)。
【0045】
パートB:2S−[ビス(フェニルメチル)アミノ]−3−フェニルプロパノールの調製
方法1:N,N−ビス(フェニルメチル)−L−フェニルアラニンフェニルメチルエステルのDIBAL還元からの2S−[ビス(フェニルメチル)アミノ]−3−フェニルプロパノール
【0046】
工程1:水(500ml)中のL−フェニルアラニン(50.0g,0.302モル)、水酸化ナトリウム(24.2g,0.605モル)および炭酸カリウム(83.6g,0.605モル)の溶液を、97℃に加熱した。次に臭化ベンジル(108.5ml,0.605モル)を静かに加えた(添加時間−25分)。混合物を97℃で30分間窒素下で攪拌した。溶液を室温に冷却し、トルエン(2×250ml)で抽出した。合わせた有機層を水と食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、濃縮して、油状物を得た。N,N−ビス(フェニルメチル)−L−フェニルアラニンフェニルメチルエステルは、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、15%酢酸エチル/ヘキサン)で精製できる。通常この生成物は、直接使用するのに充分純粋であり、さらに精製することなく次の工程に使用できた。EIMS:m/z434(M−1)。
【0047】
工程2:前記の反応からのベンジル化フェニルアラニンフェニルメチルエステル(0.302モル)をトルエン(750ml)に溶解し、−55℃に冷却した。トルエン中の1.5MのDIBALの溶液(443.9ml,0.666モル)を、温度を−55〜−50℃に維持する速度で加えた(添加時間−1時間)。混合物を窒素下で20分間攪拌し、次にメタノール(37ml)を静かに加えて−55℃で反応を停止させた。冷却溶液を次に、冷却した(5℃)1.5NのHCl溶液(1.8リットル)に注いだ。沈殿した固体(約138g)をろ過して、トルエンで洗浄した。固体物質を、トルエン(400ml)と水(100ml)の混合液に懸濁した。混合液を5℃に冷却し、2.5NのNaOH(186ml)で処理し、固体が溶解するまで室温で攪拌した。トルエン層を水層から分離し、水と食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、75ml(89g)の容量に濃縮した。残渣に酢酸エチル(25ml)とヘキサン(25ml)を加えると、目的のアルコール産物が結晶化し始めた。30分後、さらに50mlのヘキサンを加えて、結晶化を促進させた。固体をろ過し、50mlのヘキサンで洗浄して、最初の産物34.9gを得た。母液を再度ろ過して第2の産物(5.6g)を単離した。2つの産物を合わせて、酢酸エチル(20ml)とヘキサン(30ml)から結晶化して、40gの2S−[ビス(フェニルメチル)アミノ]−3−フェニルプロパノールを得た(L−フェニルアラニンからの収率は40%)。C2325ONの元素分析、理論値:C,83.34;H,7.60;N,4.23。実測値:C,83.43,;H,7.59;N,4.22。
【0048】
方法2:L−フェニルアラニノールのN,N−ジベンジル化からのβS−2−[ビス(フェニルメチル)アミノ]ベンゼン−プロパノールの調製
L−フェニルアラニノール(176.6g,1.168モル)を、710mlの水中の炭酸カリウム(484.6g,3.506モル)の攪拌溶液に加えた。混合物を窒素下で65℃に加熱した。3Aエタノール(305ml)中の臭化ベンジル(400g,2.339モル)の溶液を、60〜68℃の温度を維持する速度で加えた。2相系の溶液を65℃で55分間攪拌し、次に激しく攪拌しながら10℃に冷却した。油状生成物を固化させて小さい顆粒にした。生成物を2.0リットルの水道水で希釈し、5分間攪拌して生成物の無機物質を溶解させた。減圧下でろ過して生成物を単離し、pHが7になるまで水で洗浄した。得られた粗生成物を、1.1リットルの酢酸エチル/ヘプタン(1:10)から再結晶した。生成物をろ過して(−8℃で)単離し、1.6リットルの冷(−10℃)酢酸エチル/ヘプタン(1:10)で洗浄して、空気乾燥して、339g(収率88%)の2S−[ビス(フェニルメチル)アミノ]−3−フェニルプロパノール(融点=71.5〜73.0℃)を得た。
【0049】
パートC:2S−[ビス(フェニルメチル)アミノ]−3−フェニルプロパンアルデヒドの調製
方法1:2S−[ビス(フェニルメチル)アミノ]−3−フェニルプロパノール(200g,0.604モル)を、トリエチルアミン(300ml,2.15モル)に溶解した。混合物を12℃に冷却し、DMSO(1.6リットル)中の3酸化イオウ/ピリジン複合体(380g,2.69モル)の溶液を、8〜17℃の温度を維持するような速度で加えた。溶液を窒素下で周囲温度で1.5時間攪拌した。反応混合物を氷水で冷却し、1.6リットルの冷水(10〜15℃)で45分間かけて反応を停止させた。得られた溶液を酢酸エチル(2.0リットル)で抽出し、5%クエン酸(2.0リットル)と食塩水(2.2リットル)で洗浄し、硫酸マグネシウム(280g)で乾燥し、ろ過した。溶媒を真空下で除去し、次に真空下で乾燥して198.8gの2S−[ビス(フェニルメチル)アミノ]−3−フェニルプロパンアルデヒドを淡黄色の油状物として得た(99.9%)。得られた粗生成物は、直接使用するのに充分純粋であり、さらに精製することなく次の工程に使用できた。
【0050】
方法2:ジクロロメタン(240ml)中の塩化オキサリル(8.4ml,0.096モル)の溶液を−74℃に冷却した。次にジクロロメタン(50ml)中のDMSO(12.0ml,0.155モル)の溶液を、温度を−74℃に維持するような速度で静かに加えた(添加時間、約1.25時間)。混合物を5分間攪拌して、次に100mlのジクロロメタン中の2S−[ビス(フェニルメチル)アミノ]−3−フェニルプロパノール(0.074モル)の溶液を加えた(添加時間−20分、温度−75℃〜−68℃)。溶液を−78℃で窒素下で35分間攪拌した。次にトリエチルアミン(41.2ml,0.295モル)を10分間かけて加える(温度−78℃〜−68℃)と、アンモニウム塩が沈殿した。冷混合物を30分間攪拌して、次に水(225ml)を加えた。ジクロロメタン層を水層から分離して、水、食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過して濃縮した。残渣を酢酸エチルとヘキサンで希釈し、次にろ過してアンモニウム塩をさらに除去した。濾液を濃縮して、2S−[ビス(フェニルメチル)アミノ]−3−フェニルプロパンアルデヒドを得た。このアルデヒドを精製することなく次の工程に使用した。
【0051】
方法3:1.0g(3.0ミリモル)の2S−[ビス(フェニルメチル)アミノ]−3−フェニルプロパノール、0.531g(4.53ミリモル)のN−メチルモルホリン、2.27gのモレキュラーシーブ(4Å)そして9.1mlのアセトニトリルの混合物に、53mg(0.15ミリモル)のテトラプロピルアンモニウム過ルテニウム酸(TRAP)を加えた。混合物を室温で40分間攪拌して、減圧下で濃縮した。残渣を15mlの酢酸エチルに懸濁して、シリカゲルのパッドでろ過した。濾液を減圧下で濃縮して、約50%の2S−[ビス(フェニルメチル)アミノ]−3−フェニルプロパンアルデヒドを含有する生成物を淡黄色の油状物として得た。
【0052】
方法4:9.0mlのトルエン中の1.0g(3.02ミリモル)の2S−[ビス(フェニルメチル)アミノ]−3−フェニルプロパノールの溶液に、4.69mg(0.03ミリモル)の2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ、遊離ラジカル(TEMPO)、0.32g(3.11ミリモル)の臭化ナトリウム、9.0mlの酢酸エチルおよび1.5mlの水を加えた。混合物を0℃に冷却し、0.735g(8.75ミリモル)の重炭酸ナトリウムを含有する5%家庭用漂白剤2.87mlと水8.53mlを、25分間かけて静かに加えた。混合物を0℃で60分間攪拌した。さらに2回(各回1.44ml)漂白剤を加え、次に10分間攪拌した。水層を、20mlの酢酸エチルで2回抽出した。合わせた有機層を、25mgのヨウ化カリウムと水(4.0ml)を含有する溶液4.0ml、20mlの10%チオ硫酸ナトリウム水溶液および次に食塩水溶液で洗浄した。有機溶液を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮して、少量の目的のアルデヒド、2S−[ビス(フェニルメチル)アミノ]−3−フェニルプロパンアルデヒドを含有する粗油状物1.34gを得た。
パートD:N,N−ジベンジル−3(S)−アミノ−1,2−(S)−エポキシ−4−フェニルブタンの調製
【0053】
方法1:テトラヒドロフラン(1.8リットル)中の2S−[ビス(フェニルメチル)アミノ]−3−フェニルプロパンアルデヒド(191.7g,0.58モル)とクロロヨードメタン(56.4ml,0.77モル)の溶液を、ステンレスの反応槽中で窒素下で−30〜−35℃に冷却した。次にヘキサン中のn−ブチルリチウムの溶液(1.6M,365ml,0.58モル)を、−25℃以下の温度を維持するような速度で加えた。添加後混合物を−30〜−35℃で10分間攪拌した。以下の方法でさらに試薬を加えた:(1)追加のクロロヨードメタン(17ml)を加え、次に−25℃以下でn−ブチルリチウム(110ml)を加えた。添加後混合物を−30〜−35℃で10分間攪拌した。これを1回繰り返した。(2)追加のクロロヨードメタン(8.5ml,0.11モル)を加え、次に−25℃以下でn−ブチルリチウム(55ml,0.088モル)を加えた。添加後混合物を−30〜−35℃で10分間攪拌した。これを5回繰り返した。
【0054】
(3)追加のクロロヨードメタン(8.5ml,0.11モル)を加え、次に−25℃以下でn−ブチルリチウム(37ml,0.059モル)を加えた。添加後混合物を−30〜−35℃で10分間攪拌した。これを1回繰り返した。外部冷却器を停止させ、混合物を4〜16時間かけて周囲温度まで暖めると、TLC(シリカゲル、20%酢酸エチル/ヘキサン)は、反応が完了したことを示していた。反応混合物を10℃に冷却し、23℃以下の温度を維持しながら、1452gの16%塩化アンモニウム溶液で反応を停止させた。この混合物を10分間攪拌し、有機層と水層を分離した。水層を酢酸エチル(2×500ml)で抽出した。酢酸エチル層を、テトラヒドロフラン層と合わせた。合わせた溶液を硫酸マグネシウム(220g)で乾燥し、ろ過し、真空下で濃縮した。褐色の油状残渣を真空下(0.8バール)で70℃で1時間乾燥して、222.8gの粗物質を得た。粗生成物は、精製することなく直接次の工程に使用される。
【0055】
方法2:テトラヒドロフラン(285ml)中の粗アルデヒド0.074モルとクロロヨードメタン(7.0ml,0.096モル)の溶液を、窒素下で−78℃に冷却した。次にヘキサン中1.6Mのn−ブチルリチウム溶液(25ml,0.040モル)を、−75℃の温度を維持するような速度で加えた。最初の添加後、クロロヨードメタン(1.6ml,0.022モル)を再度加え、温度を−75℃に維持して次にn−ブチルリチウム(23ml,0.037モル)を加えた。混合物を15分間攪拌した。クロロヨードメタン(0.70ml,0.010モル)とn−ブチルリチウム(5ml,0.008モル)の各試薬を、45分間かけて−75℃でさらに4回加えた。次に冷却浴を除き、溶液を1.5時間かけて22℃に暖めた。混合物を300mlの飽和塩化アンモニウム溶液中に注いだ。テトラヒドロフラン層を分離した。水層を酢酸エチル(1×300ml)で抽出した。合わせた有機層を食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、濃縮して、褐色の油状物を得た(27.4g)。生成物を精製することなく次の工程に使用した。
【0056】
方法3:テトラヒドロフラン(1.8リットル)中の2S−[ビス(フェニルメチル)アミノ]−3−フェニルプロパンアルデヒド(178.84g,0.54モル)とブロモクロロメタン(46ml,0.71モル)の溶液を、ステンレスの反応槽中で窒素下で−30〜−35℃に冷却した。次にヘキサン中のn−ブチルリチウムの溶液(1.6M,340ml,0.54モル)を、−25℃以下の温度を維持するような速度で加えた。添加後混合物を−30〜−35℃で10分間攪拌した。以下の方法でさらに試薬を加えた:(1)追加のブロモクロロメタン(14ml)を加え、次に−25℃以下でn−ブチルリチウム(102ml)を加えた。添加後混合物を−30〜−35℃で10分間攪拌した。これを1回繰り返した。(2)追加のブロモクロロメタン(7ml,0.11モル)を加え、次に−25℃以下でn−ブチルリチウム(51ml,0.082モル)を加えた。添加後混合物を−30〜−35℃で10分間攪拌した。これを5回繰り返した。(3)追加のブロモクロロメタン(7ml,0.11モル)を加え、次に−25℃以下でn−ブチルリチウム(51ml,0.082モル)を加えた。添加後混合物を−30〜−35℃で10分間攪拌した。これを1回繰り返した。外部冷却器を停止させ、混合物を4〜16時間かけて周囲温度まで暖めると、TLC(シリカゲル、20%酢酸エチル/ヘキサン)は、反応が完了したことを示していた。反応混合物を10℃に冷却し、23℃以下の温度を維持しながら、1452gの16%塩化アンモニウム溶液で反応を停止させた。混合物を10分間攪拌し、有機層と水層を分離した。水層を酢酸エチル(2×500ml)で抽出した。酢酸エチル層を、テトラヒドロフラン層と合わせた。合わせた溶液を硫酸マグネシウム(220g)で乾燥し、ろ過し、65℃でロータリーエバポレーターで濃縮した。褐色の油状残渣を真空下(0.8バール)で70℃で1時間乾燥して、222.8gの粗物質を得た。
【0057】
パートE:N−[3(S)−[N,N−ビス(フェニルメチル)アミノ]−2(R)−ヒドロキシ−4−フェニルブチル]−N−イソブチルアミン・シュウ酸塩の調製
工程1:イソプロパノール(2.7リットル)(または酢酸エチル)中の粗N,N−ジベンジル−3(S)−アミノ−1,2(S)−エポキシ−4−フェニルブタンの溶液(388.5g,1.13モル)の溶液に、2分間かけてイソブチルアミン(1.7kg,23.1モル)を加えた。温度は25℃から30℃に上昇した。溶液を82℃に加熱して、この温度で1.5時間攪拌した。暖かい溶液を真空下で濃縮した。褐色の油状残渣を16時間真空下で乾燥(0.8mmHg)して、450gの生成物を粗油状物として得た。
工程2:メタノール(76ml)中のシュウ酸の溶液(8.08g,89.72モル)に、酢酸エチル(90ml)中の粗3(S)−[N,N−ビス(フェニルメチル)アミノ]−1−(2−メチルプロピル)アミノ−4−フェニルブタン−2(R)−オールを15分間かけて加えた。混合物を室温で約2時間攪拌した。固体をろ過して単離し、酢酸エチル(2×20ml)で洗浄し、真空下で約1時間乾燥して、21.86gの97%ジアステレオ異性体的に純粋な塩を得た。融点=174.99℃;微量元素分析:理論値:C,71.05%;H,7.50%;N,5.53%。実測値:C,71.71%;H,7.75%;N,5.39%。
あるいは、粗3(S)−[N,N−ビス(フェニルメチル)アミノ]−1−(2−メチルプロピル)アミノ−4−フェニルブタン−2(R)−オール(5g)を、メチル−tert−ブチルエーテル(MTBE)(10ml)中に溶解し、メタノール(4ml)中のシュウ酸(1g)を加えた。混合物を約2時間攪拌した。得られた固体をろ過し、冷MTBEで洗浄し、乾燥して、約98.9%のジアステレオ異性体的に純粋な(HPLCピーク面積に基づく)2.1gの白色固体を得た。
【0058】
パートF:1−[N−[(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)スルホニル]−N−(2−メチルプロピル)アミノ]−3(S)−[N,N−ビス(フェニルメチル)アミノ]−4−フェニル−2(R)−ブタノールの調製
1,4−ジオキサン(2000ml)中のN−[3(S)−[N,N−ビス(フェニルメチル)アミノ]−2(R)−ヒドロキシ−4−フェニルブチル]−N−イソブチルアミン・シュウ酸塩(354.7g,0.7モル)に、水(250ml)中の炭酸カリウム(241.9g,1.75モル)の溶液を加えた。混合物を室温で2時間攪拌し、次に1,4−ジオキサン(250ml)中の1,3−ベンゾジオキソール−5−スルホニルクロリド(162.2g,0.735モル)を15分間かけて加えた。反応混合物を室温で18時間攪拌した。酢酸エチル(1000ml)と水(500ml)を加え、さらに1時間攪拌を続けた。水層を分離し、さらに酢酸エチル(200ml)で抽出した。合わせた酢酸エチル層を、25%食塩水(500ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。ろ過し、硫酸マグネシウムを酢酸エチル(200ml)で洗浄後、溶媒を真空下で除去して、目的のスルホンアミドを粘性の黄色の発泡性の油状物として得た(440.2g,収率105%)。HPLC/MS(電気スプレー)(m/z601[M+H])。
【0059】
あるいは、N−[3(S)−[N,N−ビス(フェニルメチル)アミノ]−2(R)−ヒドロキシ−4−フェニルブチル]−N−イソブチルアミン・シュウ酸塩(2800g,5.53モル)とTHF(4リットル)を、機械攪拌器を取り付けた22リットルの丸底フラスコに加えた。炭酸カリウム(1921g,13.9モル)を水(2.8リットル)に溶解し、THFスラリーに加えた。次に混合物を1時間攪拌した。1,3−ベンゾジオキソール−5−スルホニルクロリド(1281g,5.8モル)をTHF(1.4リットル)に溶解し、25分間かけて反応混合物に加えた。さらに200mlのTHFを使用して、滴下ロートをすすいだ。反応物を14時間攪拌し、次に水(4リットル)を加えた。この混合物を30分間攪拌し、層を分離させた。層を除去し、水層をTHF(500ml)で2回洗浄した。合わせたTHF層を硫酸マグネシウム(500g)で1時間乾燥した。次に溶液をろ過して、乾燥物質を除去し、次の反応に使用した。
【0060】
パートG:1−[N−[(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)スルホニル]−N−(2−メチルプロピル)アミノ]−3(S)−アミノ−4−フェニル−2(R)−ブタノール・メタンスルホン酸塩の調製
粗1−[N−[(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)スルホニル]−N−(2−メチルプロピル)アミノ]−3(S)−[ビス(フェニルメチル)アミノ]−4−フェニル−2(R)−ブタノール(6.2g,0.010モル)を、メタノール(40ml)に溶解した。次にメタンスルホン酸(0.969g,0.010モル)と水(5ml)をこの溶液に加えた。混合物を、20%Pd(OH)担持活性炭(255mg,50%水分含量)を含有する500mlのパール水素添加瓶中に入れた。瓶を水素添加装置に入れ、窒素を5回パージし、水素を5回パージした。反応を35℃で63PSI水素圧で18時間進ませた。さらに触媒(125mg)を加えて、パージ後、さらに20時間水素添加を続けた。混合物を、メタノール(2×10ml)で洗浄したセライトでろ過した。メタノールの約3分の1を減圧下で除去した。残りのメタノールを、80torrでトルエンと共沸蒸留させて除去した。トルエンを、15、10、10および10mlで加えた。生成物を混合物から結晶化し、ろ過し、10mlのトルエンで2回洗浄した。固体を室温で1torrで6時間乾燥して、アミン塩(4.5g,84%)を得た:m/z 421[M+H]
【0061】
あるいは、粗1−[N−[(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)スルホニル]−N−(2−メチルプロピル)アミノ]−3(S)−[ビス(フェニルメチル)アミノ]−4−フェニル−2(R)−ブタノールに、水(500ml)を加え、次にメタンスルホン酸(531g,5.5モル)を加えた。この溶液を完全に混合するように攪拌し、5ガロンのオートクレーブに入れた。パールマン(Peralman)触媒(200gの20%Pd(OH)担持活性炭/50%水)を、THF(500ml)とともにオートクレーブに加えた。反応槽に窒素を4回パージし、水素を4回パージした。反応槽に、60psigの水素を充填し、450rpmで攪拌を開始した。16時間後、HPLC解析は、少量のモノ−ベンジル中間体がまだ残存していることを示していた。追加の触媒(50g)を加え、反応を一晩続けた。次に溶液をセライト(500g)でろ過して触媒を除去し、5つの画分に分けて真空下で濃縮した。各画分にトルエン(500ml)を加え、残存水を共沸させて除去するために真空下で除去した。得られた溶液を3つの画分に分割し、各画分をメチルt−ブチルエーテル(2リットル)で洗浄しろ過した。残存溶媒を室温で真空オーブン中で1torr以下で除去して、2714gの目的の塩を得た。
【0062】
パートH:N−[2R−ヒドロキシ−3−[[(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)スルホニル](2−メチルプロピル)アミノ]−1S−(フェニルメチル)プロピル]−2S−[(フェニルメトキシカルボニル)アミノ]−3,3−ジメチルブタンアミドの調製
750mlの無水DMF中の118.8g(0.776モル)のN−ヒドロキシベンゾトリアゾールと137.1g(0.52モル)のN−カルボベンジルオキシカルボニル−L−tert−ロイシンを、0℃で窒素下で109.1g(0.57モル)のEDCに加えた。0℃で2時間攪拌後、あらかじめ228ml(210g,2.08モル)の4−メチルモルホリンで中和した、250mlの無水DMF中の273g(0.53モル)の2R−ヒドロキシ−3−[[(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)スルホニル](2−メチルプロピル)アミノ]−1S−(フェニルメチル)プロピルアミンメタンスルホン酸塩を加えた。0℃で30分間攪拌後、混合物を室温で18時間攪拌した。溶媒を減圧下で45℃で除去し、1.5リットルの酢酸エチルを加え、5%クエン酸、飽和重炭酸ナトリウム、食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、濃縮して、400gの粗物質を得た。これを、シリカゲルのPrep2000クロマトグラムで20%−50%酢酸エチル/ヘキサンを溶出液として用いて、3回のバッチでクロマトグラフィーをして、320gの精製物質を得た。m/e=674(M+Li)、HPLCで98%。
【0063】
パートI:N−[2R−ヒドロキシ−3−[[(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)スルホニル](2−メチルプロピル)アミノ]−1S−(フェニルメチル)プロピル]−2S−アミノ−3,3−ジメチルブタンアミドの調製
1リットルのテトラヒドロフラン中の312gのN−[2R−ヒドロキシ−3−[[(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)スルホニル](2−メチルプロピル)アミノ]−1S−(フェニルメチル)プロピル]−2S−[(フェニルメトキシカルボニル)アミノ]−3,3−ジメチルブタンアミドの溶液を、100gの4%白金担持活性炭触媒の存在下で60psigの水素下で室温で6時間水素添加した。触媒をろ過して除去して、溶媒を減圧下で除去して、240gの目的の化合物を得た。
【0064】
パートJ:N−[2R−ヒドロキシ−3−[[(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)スルホニル](2−メチルプロピル)アミノ]−1S−(フェニルメチル)プロピル]−2S−[(クロロアセチル)アミノ]−3,3−ジメチルブタンアミドの調製
1リットルの塩化メチレン中の234.3g(0.439モル)のN−[2R−ヒドロキシ−3−[[(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)スルホニル](2−メチルプロピル)アミノ]−1S−(フェニルメチル)プロピル]−2S−アミノ−3,3−ジメチルブタンアミドに、80ml(59.5g,0.46モル)のジイソプロピルエチルアミンを加え、次に温度を35℃以下に維持しながら室温の78.8g(0.46モル)の無水クロロ酢酸を加えた。さらに1時間攪拌後、HPLCで解析すると、少量の出発物質が残存しており、1.5gの無水クロロ酢酸を加えた。10分後、減圧下で溶媒を除去し、1リットルの酢酸エチルを加え、5%クエン酸、飽和重炭酸ナトリウム、食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、濃縮して、314gの粗物質を得た。これをシリカゲルのPrep2000クロマトグラムで20%−50%酢酸エチル/ヘキサンを用いて、3回のバッチでクロマトグラフィーをして、165gの目的の化合物を得た。m/e=616(M+Li)、HPLCで98%。
パートK:N−[2R−ヒドロキシ−3−[[(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)スルホニル](2−メチルプロピル)アミノ]−1S−(フェニルメチル)プロピル]−2S−[[(ピロリジン−1−イル)アセチル]アミノ]−3,3−ジメチルブタンアミドの調製
【0065】
164.2g(0.27モル)のN−[2R−ヒドロキシ−3−[[(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)スルホニル](2−メチルプロピル)アミノ]−1S−(フェニルメチル)プロピル]−2S−[(クロロアセチル)アミノ]−3,3−ジメチルブタンアミドに、500mlのテトラヒドロフランを加え、次に減圧下で溶媒を除去して酢酸エチルを除去し、次に350mlのテトラヒドロフランを加えた。この溶液に10℃で130ml(1.56モル)のピロリジンを加えた。1時間後、溶媒を減圧下で除去し、1リットルの酢酸エチルを加え、飽和重炭酸ナトリウム、食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、濃縮して、185gの粗物質を得て、これをHPLCで測定すると純度は98.9%であった。これを3つに分けて、Prep2000クロマトグラムで最初は50%酢酸エチル/ヘキサンを用いて、次に5%メタノール/酢酸エチルで3回のバッチでクロマトグラフィーをして、160gの精製物質を得た(HPLCで99%)。これを次に、460mlのジエチルエーテルと70mlのヘキサンから再結晶して、121gの目的の生成物を得た(HPLCで>99%)、m/e=651(M+Li)、融点=112〜114℃。
【0066】
例15
【化15】

【0067】
N−[2R−ヒドロキシ−3−[(2−メチルプロピル)[(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)スルホニル]アミノ]−1S−(フェニルメチル)プロピル]−2S−メチル−3−(メチルスルホニル)プロパンアミドの調製
パートA:2(S)−メチル−3−(メチルスルホニル)プロピオン酸の調製
工程1:1.0リットルのメタノール中の200g(1.23モル)のD−(−)−3−アセチル−b−メルカプトイソ酪酸に、氷欲で冷却して温度を10℃以下に維持しながら、500mlのメタノールに溶解した161.0g(2.47モル)の水酸化カリウムを加えた。さらに20分間攪拌後、温度を20℃以下に維持しながら117ml(156g,1.23モル)の硫酸ジメチルを加えた。氷浴を除去し、混合物をさらに60分間攪拌した。塩をろ過して除去し、溶媒を減圧下で除去し、酢酸エチルを加えた。水層を分離後、濃塩酸で酸性にし、酢酸エチルで抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、濃縮して、164g(99%)の目的の2S−メチル−3−(メチルチオ)プロピオン酸を得た、m/e=133(M−H)。
【0068】
工程2:氷浴で18℃に冷却した150mlのアセトン中の10.0g(74.6ミリモル)の2S−メチル−3−(メチルチオ)プロピオン酸と30mlの水に、161.8g(263ミリモル)のオキソン(Oxone)を加えた。約半分の物質を加えた後、温度が24℃に上昇し、添加を停止し、温度を18℃に下げ、浴を除去して、反応物を室温で1時間攪拌した。固体をろ過し、アセトンで洗浄し、濾液を約40mlに濃縮して、残渣を200mlの酢酸エチルに溶解した。酢酸エチル層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、濃縮して、11.4gの油状物を得た。これを最小量の酢酸エチルに溶解し、ヘキサンを加えて沈殿物を形成させた。これを集めて6.95gの目的の生成物を得た、m/e=167(M+H)。
【0069】
パートB:N−[2R−ヒドロキシ−3−[(2−メチルプロピル)[(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)スルホニル]アミノ]−1S−(フェニルメチル)プロピル]−2S−メチル−3−(メチルスルホニル)プロパンアミドの調製
30mlの無水DMF中の5.0g(30ミリモル)の2S−メチル−3−(メチルスルホニル)プロピオン酸と6.90g(45ミリモル)のN−ヒドロキシベンゾトリアゾールに、0℃で窒素下で6.34g(33ミリモル)のEDCを加えた。約10分後、EDCはすべて溶解した。0℃で60分後、3.4ml(31.6ミリモル)の4−メチルモルホリンであらかじめ中和した、30mlの無水DMF中の15.5g(30ミリモル)の2R−ヒドロキシ−3−[[(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)スルホニル](2−メチルプロピル)アミノ]−1S−(フェニルメチル)プロピルアミンメタンスルホン酸塩を加えた。0℃で3時間後、混合物を17時間一晩攪拌した。減圧下でDMFを除去し、酢酸エチルを加え、5%クエン酸、飽和重炭酸ナトリウム、水、食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、濃縮して16gの粗物質を得て、これはHPLCで純度88%であった。生成物を20%−80%酢酸エチル/ヘキサンを用いてシリカゲルでクロマトグラフィーをして、純粋な生成物を得て、これを酢酸エチル/ヘキサンから再結晶して、8.84gの純粋な生成物を得た、融点131.8〜133.8℃。
【0070】
あるいは、210mlの無水DMF中の35.0g(211ミリモル)の2S−メチル−3−(メチルスルホニル)プロピオン酸と48.3g(315ミリモル)のN−ヒドロキシベンゾトリアゾールに、0℃で窒素下で44.4g(231ミリモル)のEDCを加えた。約30分後、EDCはすべて溶解した。0℃で60分後、24ml(22.3g)の4−メチルモルホリンであらかじめ中和した、350mlの無水DMF中の108.8g(211ミリモル)の2R−ヒドロキシ−3−[[(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)スルホニル](2−メチルプロピル)アミノ]−1S−(フェニルメチル)プロピルアミンメタンスルホン酸塩を加えた。0℃で2時間後、混合物を18時間一晩攪拌した。減圧下でDMFを除去し、1リットルの酢酸エチルを加え、5%クエン酸、飽和重炭酸ナトリウム、水、食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、濃縮して120.4gの粗物質を得て、これはHPLCで純度90%であった。生成物を750〜1000mlの無水エタノールから再結晶して、82.6gの純粋な生成物を得た。
【0071】
例16
【化16】

【0072】
2S−[[N−メチルアミノ)アセチル]アミノ]−N−[2R−ヒドロキシ−3−[[(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)スルホニル](2−メチルプロピル)アミノ]−1S−(フェニルメチル)プロピル]−3,3−ジメチルブタンアミドの調製
N−[2R−ヒドロキシ−3−[[(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)スルホニル](2−メチルプロピル)アミノ]−1S−(フェニルメチル)プロピル]−2S−クロロアセチル)アミノ]−3,3−ジメチルブタンアミドに、25mlのテトラヒドロフランを加え、溶媒を減圧下で除去して酢酸エチルを除去し、次に25mlのテトラヒドロフランを加えた。10℃のこの溶液に19ml(214ミリモル)の40%メチルアミン水溶液を加えた。2時間後、溶媒を減圧下で除去し、1リットルの酢酸エチルを加え、飽和重炭酸ナトリウム、食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、濃縮して、6.0gの生成物(純度98%)を得た。
【0073】
例17
本発明のレトロウイルスプロテアーゼインヒビター化合物は、有効なHIVプロテアーゼインヒビターである。以下に記載する酵素測定法は、併用療法で使用するためのレトロウイルスプロテアーゼインヒビターの選択に使用することができる。このような化合物のIC50(インヒビター化合物が酵素活性を50%低下させる濃度)は、この方法を用いて計算できる。
【0074】
酵素法は以下の通りである。基質は、2−アミノベンゾイル−Ile−Nle−Phe(p−NO)−Gln−ArgNHである。陽性対照はMVT−101(エム・ミラー(Miller,M.)ら、Science 246,1149(1989))である。測定緩衝液は、20mMリン酸ナトリウム、pH6.4、20%グリセロール、1mM EDTA、1mM DTTおよび0.1%CHAPSである。基質はDMSOに溶解し、次に測定緩衝液で10倍に希釈する。測定液中の最終基質濃度は、約80μMである。HIVプロテアーゼは、分子量10,780に基づいて最終濃度が約12.3ナノモルになるように、測定緩衝液で希釈する。
DMSOの最終濃度は約14%であり、グリセロールの最終濃度は約18%である。試験化合物をDMSOに溶解し、DMSOで試験濃度の約10倍(10×)に希釈する。次に10μlの基質を加える。蛍光の増加を、周囲温度で4点(0、8、16、および24分)で追跡する。各測定は、2重測定のウェルで行う。
【0075】
例18
本発明の選択したHIVプロテアーゼインヒビター化合物の有効性は、上記の酵素測定法と以下のCD4+細胞株測定法で測定した。プロテアーゼインヒビターの抗ウイルス活性は、有効濃度50(EC50)および/または有効濃度90(EC90)値として表す。これらは、ウイルス複製をそれぞれ50%または90%阻害するのに必要なインヒビターの濃度である。
【0076】
急性感染細胞のHIV阻害測定法は、基本的にはパウウェルズ(Pauwels)らが報告した(J.Virol.Methods 20,309−321(1988))テトラゾリウムに基づく自動比色法である。測定は、96ウェル組織培養プレート中で行う。CD4+細胞株(例えば、CEM、MT−2、MT−4および類似の細胞株)を、10%胎児牛血清を補足したRPMI−1640培地(ギブコ(Gibco))中で増殖させ、次にポリブレン(2μg/ml)で処理する。1×10細胞を含有する80μl量の培地を、組織培養プレートの各ウェルに分注する。各ウェルに、組織培養培地に溶解した試験化合物(または、対照として試験化合物のない培地)100μlを添加して、目的の最終濃度として、37℃で1時間インキュベートする。HIV−1の凍結培養物を培地で、5×10TCID50/ml(TCID50=組織培養中の50%の細胞に感染するウイルス量)の濃度に希釈し、20μlのウイルス試料(1000TCID50のウイルスを含有する)を、試験化合物を含有するウェルおよび培地のみを含有するウェル(感染対照細胞)に添加する。数個のウェルに、ウイルスのない培地(非感染対照細胞)を入れる。同様に、試験化合物の本質的毒性は、試験化合物を含有する数個のウェルにウイルスのない培地を加えて測定する。要約すると、組織培養プレートは以下の実験系を含有する:
【0077】

【0078】
実験系2と4では、試験化合物の最終濃度は1、10、100および500μg/mlである。アジドチミジン(AZT)またはジデオキシイノシン(ddI)は、陽性薬剤対照として含める。試験化合物をDMSOに溶解し、組織培養培地に希釈して、いずれの場合も最終DMSO濃度が1.5%を越えないようにする。DMSOを、適当な濃度ですべての対照ウェルに加える。
ウイルスの添加後、細胞を37℃で加湿した5%CO雰囲気中で7日間インキュベートする。試験化合物を、必要であれば0、2、および5日目に加えることができる。感染後7日目に、各ウェルの細胞を再懸濁して、測定のために各細胞懸濁液100μlの試料を取る。5mg/mlの3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT)溶液20μlを、各1μlの細胞懸濁液に加え、細胞を37℃で加湿した5%CO雰囲気中で4時間インキュベートする。このインキュベートの間、MTTは生きている細胞により代謝されて減少し、細胞中に着色したホルマザン生成物が産生される。各試料に、0.01NのHCl中の10%ドデシル硫酸ナトリウム100μlを加えて細胞を溶解し、試料を一晩インキュベートする。モレキュラーデバイシーズ(Molecular Devices)マイクロプレートリーダーを用いて、各試料について590nmの吸光度を測定する。試験化合物の細胞毒性と抗ウイルス活性は、化合物とともにインキュベートした感染または非感染細胞を含有するウェル中で得られた吸光度を、非感染、未処理対照ウェルと比較して求める。
【0079】
HIV培養法
ドナーリンパ球の刺激
アメリカ赤十字(American Red Cross)またはワシントン大学医学部の血液銀行から、バッフィーコートを得た。これらの調製物を、HIV抗体とCMV抗体、およびHBV表面抗原(HBsAg)、および非A非B肝炎のマーカーとしてのALT(アラニントランスフェラーゼ活性)について、プレスクリーニングした。白血球を濃縮した血液(30ml)をプラスチック容器から採取し、15mlを50mlのネジふた遠心分離管に分注した。各試料を等量の無菌PBSで希釈して、ピペットで混合した。フィコール−ペーク(Ficoll−Paque)(15ml)またはLSMを、パスツールピペットを用いて、希釈した血液試料の下に入れ、溶液を管の底から排出させる。次に各管を、20℃で1300rpm(400×g)で45分間遠心分離する。遠心分離後、界面のリンパ球バンドを取り、50mlの管に移す。無菌PBSを加えて、分離したリンパ球を希釈し、次に1300rpmで8分間遠心分離した。細胞ペレットを、PBSに再懸濁し再遠心分離して2回洗浄する。最終細胞ペレットをピペットで20mlのPBSに再懸濁し、生存細胞の総数をトリパンブルー排除により測定する。
【0080】
臨床単離株を用いる急性感染性測定
約3×10個の細胞を、10%胎児牛血清とIL−2(10U/ml)を含有するRPMI中の約3〜5μg/mlのPHAで48時間活性化する。定量したウイルス株を、感染多重度約0.001〜0.01で、活性化リンパ球懸濁液に加える。細胞−ウイルス懸濁液を37℃で2時間インキュベートして、ウイルスを吸収させる。遠心分離して残存ウイルス接種株を除去し、細胞を10%FBSと10U/mlIL−2含有RPMI中に再懸濁する。これらの感染細胞を、96ウェルマイクロタイタープレート中のDMSO内のストック液(10mg/ml)からの完全組織培養培地で希釈した試験物質に加えて、200μl当たり約5×10細胞を得る。感染した未処理細胞、およびDMSOのみ(0.1%)またはAZTもしDDIで処理した細胞を、対照として用いた。培養物を融合細胞(syncytia)形成について、感染後7日目および11日目に観察するか、またはp24抗原の逆転写酵素活性について上澄液を試験する。
【0081】
慢性感染測定
HXB2(HIV−1の実験室株)で慢性に感染させたCEM細胞を、12ウェルマイクロタイタープレートの6ウェルに加えて、約5×10細胞/ウェルを得る。ウェルの半分は種々の濃度の試験化合物で処理し、同じ数の非感染CEM細胞を化合物を添加せずに維持する。試験化合物を含有するまたは含有しない新鮮な培地を、3日間連続して毎日加える。次に培養物を48時間、培地を交換することなくインキュベートする。細胞を遠心分離して採取し、PBSで2回洗浄し、0.125MトリスpH6.8、4%SDS、20%グリセロール、10%ベータメルカプトエタノールおよび0.02%ブロモフェノールブルーを含有する2×リームリ(Laemmli)緩衝液50μlに再懸濁する。培養上澄液を0.22μのフィルターに通し、細胞破片を除去し、50,000rpmで90分間遠心分離してウイルス粒子を濃縮する。ウイルスペレットを50μlの2×リームリ緩衝液に再懸濁する。細胞またはウイルス懸濁液を5分間沸騰させ、次に10〜20%SDS−ポリアクリルアミド勾配ゲル中で電気分離を行う。次にゲルの内容物を電気ブロッティングによりニトロセルロースに移す。p24およびp17に対するモノクローナル抗体を用い、次にビオチンに結合したヤギ−抗マウスIgGおよびHRPに結合したアビジンを用いてHIV特異的タンパク質を検出する。4−クロロ−1−ナフトールの酵素的変換を用いて、これらのモノクローナル抗体に認識される特異的タンパク質を可視化する。さらに、試験化合物の存在下でまたは非存在下で慢性に感染したCEM細胞により産生されるウイルスの感染性を調べる。ろ過した上澄液を連続希釈を行い、非感染CEM細胞(約1×10細胞/ウェル)を感染させるのに使用する。感染後7日目または11日目に融合細胞の形成について培養物を試験するか、または上澄液を逆転写酵素活性もしくはp24抗原について試験する。
【0082】
微量逆転写酵素(RT)測定
微量RT測定法は、いくつかの標準的RT測定法の1つの応用である。これは、少量の試料のHIV RT活性を測定するためおよび多くの試料の処理を促進するために開発された。
【0083】

【0084】
方法:
1.ウェル当たり50μlのRTカクテルを96ウェルU底マイクロタイタープレートに加える。
2.ウェル当たり10〜20μlの細胞を含まない上澄液を加える。
3.機械回転器を用いて充分混合する。
4.37℃で2時間インキュベートする。
5.TOMTEKを用いて吸引してDE81濾紙または同等物にのせる。
6.2×SSCを用いて4回すすぐ。
7.95%エタノールを用いて1回すすぐ。
8.濾紙を乾燥させる。
9.ベータ−プレートカウンター(ファルマシア(Pharmacia))を用いて計測する準備をする。
【0085】
例19
【化17】

【0086】
EC50のシフトが観察されるまで、化合物の濃度を増加させて複数回サイクルを繰り返す。
以下は、HIVプロテアーゼインヒビター耐性突然変異体の選択のために使用した培養法である。感染した細胞を、プロテアーゼインヒビターの存在下で連続的に増殖させる。いくつかの培養物を週毎に交互に高濃度または低濃度のインヒビターに接触させる。他のものは一定の濃度で継代する。EC50のシフトが観察されるまで、薬剤濃度を定期的に増加させる。用量応答曲線のシフトは、一般的に薬剤濃度0.5〜1μg/ml以上(EC90の5〜10倍)で検出され、処理されるウイルス単離物に依存する。HIVの実験室で適応させた単離物または初代臨床単離物を使用した。処理単離物および未処理単離物の間で直接ヌクレオシド配列が比較できるように、同じウイルス単離物を同じ方法で薬剤の非存在下で継代する。一般的にプロテアーゼインヒビターに耐性のHIV−1変種は、特定のプロテアーゼインヒビターのいくつかの阻害濃度の存在下で連続的に継代(増殖)させて選択される(マルコウィッツ(Markowitz)ら、Journal of Virology 69:701−706(1995)を参照)。下記のHIV−1変種は、選択されたウイルス単離物中に存在するが、対照、未処理ウイルス単離物には存在しない突然変異を示す。
【0087】
RFはHIV−1株HIV−1RFを示し、RFRは例1の化合物に対してRFの選択により得られた耐性株の混合物を示す。RFRは、プロテアーゼ遺伝子型G48V(14/40クローン);G48V、V82A(18/40クローン);G48V、L90S(2/40クローン);G48V、I54T、V82A(1/40クローン);G48M(1/40クローン);G48V、Q61H(1/40クローン);V13I、G48V(1/40クローン);G48V、F53L、V82A(1/40クローン);およびG48V、V82A、C95Y(1/40クローン)を有するウイルス株の混合物である。RFR2は、限界希釈の3回の増殖によりRFRをクローニングして得られた耐性株の混合物である。RFR2は、プロテアーゼ遺伝子型G48V、V82A(13/15クローン);G17E、G48V、V82A(1/15クローン);およびG48V、V82A、N37D、N88D(1/15クローン)を有するウイルス株の混合物よりなる。RFRRは、例1と2の化合物に対してRFの選択と次に限界希釈の3回の増殖によりクローニングして得られた耐性株の混合物である。RFRRは、プロテアーゼ遺伝子型G48V、I54T、L63P、V82A(7/9クローン);G48V、I54T、L63P、V82A、N88S(1/9クローン);およびG48V、I54T、L63P、G73M、V82A(1/9クローン)を有するウイルス株の混合物よりなる。SF162は、HIV−1株SF−162であり、SF162Rは、例1の化合物に対してSR162の選択により得られた耐性株の混合物である。SF162Rは、プロテアーゼ遺伝子型M46I、F53L、L63P、A71V、N88D(2/3クローン);およびM46I、F53L、L63P、A71V、N88D、Q92R(1/3クローン)を有するウイルス株の混合物よりなる。89−959はHIV−1株89−959であり、89−959Rは、例2の化合物に対して89−959の選択により得られた耐性株の混合物である。89−959Rは、プロテアーゼ遺伝子型N88S(4/5クローン);およびD25N、T26A、D30N、D37N、R41K、G73D、R87K、N88S(1/4クローン)を有するウイルス株の混合物よりなる。NL4はHIV−1株HIV−1NL4−3である。NL4(G48V)は、プロテアーゼ中でアミノ酸48位でグリシンからバリンへの合成法で作成した部位特異的突然変異を有する株である。NL4(I84V)は、プロテアーゼ中でアミノ酸84位でイソロイシンからバリンへの合成法で作成した部位特異的突然変異を有する株である。NL4(R8Q、M46I)は、プロテアーゼ中でアミノ酸8位でアルギニンからグルタミンへの合成法で作成した部位特異的突然変異とアミノ酸46位でメチオニンからイソロイシンへの合成法で作成した部位特異的突然変異を有する株である。NL4(P22−538)は、22回の継代後に例10の化合物に対してHIV−1NL4−3の選択により得られた耐性株の混合物であり、プロテアーゼ遺伝子型M46I、L63P、A71V、V82F、I84V(4/10);M46I、L63P、V82F、I84V(3/10);M46I、A71V、V82F、I84V(3/10)よりなる。NL4(P37−538)は、37回の継代後に例10の化合物に対してHIV−1NL4−3の選択により得られた耐性株であり、プロテアーゼ遺伝子型M46I、L63P、A71V、I84Aよりなる。NL4(538/524)は、24回の継代後に例5の化合物に対してNL4(P22−538)の選択により得られた耐性株であり、プロテアーゼ遺伝子型M46I、L63P、A71V、I84Aよりなる。NL4(538/P7−AG)は、7回の継代後に例12の化合物に対してNL4(P22−538)の選択により得られた耐性株の混合物であり、プロテアーゼ遺伝子型M46I、L63P、A71V、I84A;およびV32I、V82Iよりなる。NL4(538/P24−AG)は、24回の継代後に例12の化合物に対してNL4(P22−538)の選択により得られた耐性株であり、プロテアーゼ遺伝子型M46I、L63P、A71V、I84Aよりなる。NLA(P19−003)は、19回の継代後に例9の化合物に対してHIV−1NL4−3の選択により得られた耐性株であり、プロテアーゼ遺伝子型R8K、M46Iよりなる。NL4(P34−003)は、34回の継代後に例9の化合物に対してHIV−1NL4−3の選択により得られた耐性株であり、プロテアーゼ遺伝子型R8K、M46I、L63P、A71V、L90Mよりなる。ウイルス単離物の耐性は、表1〜11に要約する。
【0088】
例20
表1から表3に要約されたウイルス分離株耐性の結果は、下記の検定法あるいはそれを少し修飾した方法に従って得た。10%ウシ胎児血清およびIL−2(10単位/ml)を含むRPMI中約3×10個の細胞を約3〜5μg/mlのPHAで48時間活性化した。定量したウイルス原液をこの活性化されたリンパ球浮遊液へ約0.001〜0.01の感染多重度で加えた。細胞−ウイルス浮遊液を37℃で2時間インキュベーションしてウイルスを吸収させた。残留ウイルス接種材を遠心により除き、10%FBSおよび10単位/mlのIL−2を含むRPMI中に細胞を再浮遊させた。96穴(ウェル)マイクロタイタープレート中で、これら感染細胞をDMSO中の原液(10mg/ml)から得た試験化合物(完全組織培地で希釈)へ加え、細胞約5×10個/ウェル/200μlとした。感染した未処理細胞およびDMSOだけ(0.1%)で処理した細胞あるいはAZTまたはDDIいずれかで処理した細胞を対照として使用した。培養を感染後7日目と11日目にシンシチウム形成について調べるか、あるいは上澄を逆転写酵素活性またはp24抗原について試験した。
【0089】
【表1】


【表2】


【表3】

【0090】
例21
表4〜表6に要約されたウイルス分離株耐性の結果は、下記の検定法あるいはそれを少し修飾した方法に従って得た。検定は96穴組織培養プレートで行なった。CEM−T4細胞を90%RPMI培地(Gibco BRL Life Technologies,Inc.,Gaithsburg,マリーランド州)10%熱処理ウシ胎児血清(Gibco BRL Life Technologies,Inc.,Gaithsburg,マリーランド州)中に浮遊させ、最終濃度を生活力のある細胞5×10個/mlとした。冷凍したHIV培養(HIV−1RF株)の一部を迅速に融かし(37℃の水浴中で)、CEM−T4細胞へ加えて約0.001〜0.01感染単位/細胞の最終濃度とした。ウイルス−細胞浮遊液を回して迅速に混合し、直ちに100μlを96穴組織培養プレートの各ウェル中各試験化合物(90%RPMI、10%FBS中2×濃縮液として調製)希釈液100μlに加えた。各プレートは細胞とウイルスからなり試験化合物は含まない対照ウェルを含んだ。すべての検定で3’−アジド−3’−デオキシチミジン(AZT)を正の対照として含めた。
【0091】
これら組織培養プレートを加湿した5%CO雰囲気中37℃で7日間インキュベーションした。次にウイルスの複製レベルを標準法(前述した通り、例えばHIV Research,Aldovini&Walker,編、1990年、Stockton Press,ニューヨーク州、中の技術参照)を用いて、上澄中の逆転写酵素活性の測定により決定した。
【0092】
【表4】


【表5】


【表6】

【0093】
例22
表7〜表11に要約されたウイルス分離株耐性の結果は、Markowitz等、Journal of Virology,69巻、701−706(1995)(これは参考文献としてそのまま本明細書中に取り入れている)により記述された検定法あるいはそれを少し修飾した方法に従って得た。
【0094】
【表7】


【表8】


【表9】


【表10】


【表11】

【0095】
例23
独特のヒドロキシエチル尿素等配電子体を含む例1および例2のプロテアーゼ阻害剤を用いて、薬物耐性HIV−1変異株を容器内で選択した。臨床および研究室のHIV−1株を、T細胞系であるいは末梢血単核細胞(PBMC)で、存在する薬物の濃度を高めながら継代した。耐性変異株は、同一期間阻害剤欠如下で継代した対照ウイルスよりも、一貫して少なくとも10倍高いEC50値を示した。ウイルスDNAをPCRにより増幅し、プロテアーゼをコード化する遺伝子のヌクレオチド配列を標準法を用いて測定した。それぞれ例2および例1のプロテアーゼ阻害剤に対して耐性のあるウイルスにおいては、選ばれた変異株の多くで88位のアミノ酸の変化が一貫して観察された。88のAsn残基は、構造的に保存されたらせん領域内にあり、単量体および二量体両方のアスパラギン酸プロティナーゼ中に存在する。対応するカルボキシ末端配列Gly−Arg−Asp/Asn(残基86−88)は、レトロウイルスアスパラギン酸プロティナーゼに独特である。これらの結果に対するどんな説明も推測に過ぎないが、組換えHIV−1プロテアーゼに結合した基本型のヒドロキシエチル尿素阻害剤の高分解能X線構造から誘導された鋳型に基づくモデル化の研究は、Asn88突然変異がプロテアーゼの立体配座を変えるかもしれないことを示唆するようである。
【0096】
本発明に係るレトロウイルスプロテアーゼ阻害剤化合物は、有利に効果のある抗ウイルス化合物であり、そしてとりわけレトロウイルス、特に上に示したレンチウイルス、の有効な阻害剤である。従って、この主題化合物はHIVの有効な抑制物質である。本発明化合物はまたHIVの他の株、例えばHIV−2および他のウイルス類、例えばVISNAウイルスおよびサル免疫不全ウイルス(SIV)、HTLV−1およびHTLV−2も抑制するであろうことも企図されている。従って、本発明化合物はレトロウイルス感染症の治療および(または)予防に有効である。
【0097】
本発明はレトロウイルスプロテアーゼ阻害剤化合物の溶媒和物あるいは水和物を包含することも意味し、可能ならばこの分野で公知の方法により調製あるいは単離される。
本レトロウイルスプロテアーゼ阻害剤化合物は、無機酸または有機酸から誘導される塩の形で使用できる。これらの塩は次のものを包含するが、これらに限定しない:酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、クエン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、ジグルコン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、フマル酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、シュウ酸塩、パルモエート、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバリン酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシレート、メシレートおよびウンデカン酸塩。
【0098】
製薬上容認しうる酸付加塩をつくるために使用しうる酸の例として、無機酸、例えば塩酸、硫酸およびリン酸ならびに有機酸、例えばシュウ酸、マレイン酸、コハク酸およびクエン酸が挙げられるが、なるべくは塩酸塩が好ましい。他の例には、アルカリ金属またはアルカリ土類金属、例えばナトリウム、カリウム、カルシウムまたはマグネシウムとの塩あるいは有機塩基との塩が含まれる。
患者に対して一回分量または分割した用量で投与される全1日量は、例えば体重1kg当り0.01から50mg/日、より一般的には0.1から30mgの量でよい。投薬単位組成物は、このような量を分割してそれらを合わせて1日分量とする約量を含むことができる。
【0099】
担体材料と合わせて単一剤形をつくることのできる活性成分の量は、処置を受ける患者および特定の投与様式によって変化する。
レトロウイルスプロテアーゼ阻害剤化合物および(または)組成物を用いて病状を処置する用法・用量は、種々な因子、例えば患者のタイプ、年齢、体重、性別、食餌、および医学的症状、病気の重篤さ、投与経路、薬理学的な考慮すべき事柄、例えば使用した特定化合物の活性、効力、薬動学的および毒物学的プロフィル、薬物供給系を利用するかどうかまた化合物を薬剤コンビネーションの一部として投与するのかどうか、に従って選ばれる。従って、実際に用いられる用法・用量は広く変化することがあるので、前記の特に適当な用法・用量からそれることがある。
【0100】
本発明化合物は、必要に応じ、通常の無毒性製薬上容認しうる担体、補助剤、およびビヒクルを含有する投薬単位製剤として、経口的、非経口的に、吸入スプレーにより、直腸に、あるいは局所的に投与することができる。局所投与はまた経皮投与、例えば経皮パッチあるいはイオン導入装置の使用も含みうる。本明細書で用いた非経口的という用語は、皮下注射、静脈内、筋肉内、胸骨内注射、あるいは点滴技術を包含する。
【0101】
注射用製剤、例えば無菌の注射用水性または油性懸濁系は、公知の技術に従い適当な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を用いて処方できる。無菌注射用製剤はまた非経口的に容認しうる無毒性希釈剤あるいは溶剤中の無菌注射用溶液または懸濁系、例えば1,3−ブタンジオール中の溶液、のこともある。使用可能な容認することのできるビヒクルおよび溶媒は水、リンゲル液、および等張塩化ナトリウム溶液である。更にまた、無菌固定油も溶媒としてあるいは懸濁媒質として従来から使用されている。この目的に対して、合成モノグリセリドまたはジグリセリドを含めて刺激の少ない固定油はいずれも使用できる。更にまた、脂肪酸、例えばオレイン酸、を注射用製剤の製造に使用できる。
【0102】
薬剤の直腸投与に供される座剤は、薬剤を適当な無刺激性付形剤、例えばカカオ脂およびポリエチレングリコールと混合することにより製造できる。これら付形剤は常温では固体であるが、直腸温度では液体であるため直腸内で融解し、薬物を放出する。
【0103】
経口投与に供される固体剤形はカプセル、錠剤、丸剤、散剤、および顆粒剤を包含しうる。このような固体剤形においては、活性化合物を少なくとも1種の不活性希釈剤、例えばショ糖、乳糖またはデンプンと混合できる。このような剤形はまた普通の習慣にならって、不活性希釈剤の外の追加物質、例えば滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム、を含有しうる。カプセル、錠剤、および丸剤の場合、これら剤形は緩衝剤も含むことができる。錠剤および丸剤は更に腸溶性被覆を施して製造できる。
【0104】
経口投与用液体剤形は、この分野で常用される不活性希釈剤、例えば水を含む製薬上容認できる乳濁系、溶液、懸濁系、シロップ、およびエリキシルを包含しうる。このような組成物はまた補助剤、例えば湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、ならびに甘味剤、フレーバ付与剤、および香料も含有しうる。
本発明に係るレトロウイルスプロテアーゼ阻害剤化合物は唯一の活性医薬剤として投与することができるが、これらはまたHIV−1のようなレトロウイルスに対して有効な他の抗ウイルス剤とのコンビネーションとしても使用できる。このような化合物として、他のHIV−1プロテアーゼ阻害剤、種々なヌクレオシド類縁物質、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、タット拮抗物質およびグリコシダーゼ阻害剤が挙げられるがこれらに限定されない。
【0105】
HIV−1プロテアーゼ阻害剤の例には、Ro 31−859(Roberts,N.A.等、Science 1990,248,258−261およびDrugs of the Future 1991,16(3),210−212,KNI−272,(Kagayama,S.等、Antimicrobial Agents and Chemotherapy 1993,810−817)、環状尿素シリーズ(Lam,P.等、“De Novo Design and Discovery of Potent,Nonpeptidal HIV−1 Protease Inhibitors,”第205回アメリカ化学会国際学会、薬用化学部門における論文96、デンバー、コロラド州、3月28日〜4月2日、1993)L−735,524(Dorsey,B.D.等、“L−735,524:The Rational Design of a Potent and Orally Bioavailable HIV Protease Inhibitor,”第206回アメリカ化学会国際学会、医用化学部門における論文6、シカゴ市、イリノイ州、8月22日−27日、1993)およびその類縁体が含まれるがこれらに限定されない。
【0106】
競合型ヌクレオシド類縁体の例には、アジドチミジン(AZT)、ジデオキシイノシン(DDI)、DDC、3TC、D4TおよびPMEAが含まれるがこれらに限定されない。非ヌクレオシド、非競合型逆転写酵素阻害剤の例には、ピリドン類(Wei,J.S.等、J.Med.Chem.1993,36,249−255;Hoffman,J.M.等、J.Med.Chem.1992,35,3784−3791;Saari等、J.Med.Chem.1992,35,3792−3802;Drugs of the Future 1992,17(4),283−285、およびその類縁物質);ビス(ヘテロアリール)ピペラジン類(Romero,D.L.等、J.Med.Chem 1993,36,1505−1508;Romero,D.L.等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 1991,34,746〜751および3187〜3198;およびその類縁物質)および三環式ピリドベンゾ−およびデピリドジアゼピノン類(Hargrave,K.D.,J.Med.hem.1991,34,2231〜2241;Merluzzi,M.J.Science 1990,250,1411〜1413;およびその類縁物質)および5−クロロ−3−(フェニルスルホニル)インドール−2−カルボキサミドおよびその類縁物質(Williams,T.M.等、J.Med.Chem.1993,36,1291〜1294)が含まれるが、これらに限定されない。タット拮抗物質の例には、Ro 5−3335およびRo 24−7429(Hsu,M.C.等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 1993,909,6395〜6399;Tam,S.等、“TAT INHIBITORS:A NEW CLASS OF ANTI−HIV AGENTS,”論文372,第204回アメリカ化学会国際学会、有機化学部門、ワシントン、コロンビア地区、8月23日〜28日、1992)およびその類縁物質が含まれるがこれらに限定されない。グリコシダーゼ阻害剤の例には、カスタノスペルミン、カスタノスペルミン6−ブトリルエステル、N−ブチル−1−デオキシノジリマイシン、N−ブチル−1−デオキシノジリマイシンペル−ブトリルエステルおよびその類縁物質とプロドラッグが含まれるがこれらに限定されない。
【0107】
本治療剤は実質的に同時に投与される別個の組成物として処方することができ、あるいは本治療剤を活性剤のすべてが患者に治療上有効な量で与えられるように単一組成物として投与することもできる。別法として、本治療剤は、活性剤の一方のみ、あるいは二つがいつでも治療上有効な量で患者の中にあるように異なる時間に患者に投与することもできる。
【0108】
本発明化合物および方法は効果的な抗ウイルス性化合物であり、とりわけ前に示したように効果的なレトロウイルス抑制剤である。従って、本発明化合物は有効なHIVプロテアーゼ阻害剤である。本主題の化合物は他のレトロウイルス、例えば他のレンチウイルス、とりわけHIVの他の株、例えばHIV−2、ヒトT−細胞白血病ウイルス、ラウス肉腫ウイルス、サル免疫不全ウイルスなど、も抑制するであろうということが企図されている。従って、本発明化合物はレトロウイルス感染症の治療および(または)予防に有効である。
【0109】
本発明化合物および方法は溶液中でレトロウイルスの増殖を防止する際にも有効である。キャリブレーターおよび対照を含めて研究および診断手順といった種種な公知の目的に対し、ヒトおよび動物の細胞培養、例えばT−リンパ球培養が利用される。細胞培養の増殖および貯蔵の前、およびその途中において、細胞培養の中に不注意にあるいは気付かずに存在するかもしれないレトロウイルスの予期しない複製あるいは望まない複製を防止するために、本発明化合物を細胞の培地へ有効な濃度で添加することができる。ウイルスは最初から細胞培養の中に存在するかもしれず、例えばHIVはヒトT−リンパ球の中に、それが血液中に検出されるずっと以前から、あるいはウイルスへの曝露によって存在することが知られている。本発明化合物および方法のこの使用法は、研究者あるいは臨床医に対して潜在的に致命的となるレトロウイルスへの気付かない曝露あるいは不注意による曝露を防止するものである。
【0110】
上記の説明は本発明の単なる例示に過ぎないのであって、ここに開示された化合物に本発明を限定することは意図しない。当業者にとって明白な変化および変更は、請求の範囲に定義された本発明の範囲および本質内にあるものとする。
上記の説明から、当業者は本発明の本質的な特徴を容易に確かめることができ、そして本発明の主旨と範囲から離れることなく本発明を種々な用法および条件に適合させるように本発明に種々な変化および修飾を施すことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に投与するための第一のレトロウイルスプロテアーゼ阻害剤および第二のレトロウイルスプロテアーゼ阻害剤を選択する方法であって、
(a)レトロウイルスの増殖培養物を第一のレトロウイルスプロテアーゼ阻害剤に曝し、次いで
(b)工程(a)の後に出現するレトロウイルス株に対する、一つもしくはそれ以上のレトロウイルスプロテアーゼ阻害剤の該レトロウイルス抑制活性を測定する工程を含む方法であって、
該第二のレトロウイルスプロテアーゼ阻害剤は、該レトロウイルス株に対する効果に基づいて選択される、上記方法。
【請求項2】
第一のレトロウイルスプロテアーゼ阻害剤および第二のレトロウイルスプロテアーゼ阻害剤は、両者ともHIVプロテアーゼ阻害剤である、請求項1の方法。
【請求項3】
第一のレトロウイルスプロテアーゼ阻害剤および第二のレトロウイルスプロテアーゼ阻害剤は、HIV−1プロテアーゼ阻害剤またはHIV−2プロテアーゼ阻害剤である、請求項3の方法。
【請求項4】
該レトロウイルス株は、G48V、V82A、L90S、I54T、G48M、Q61H、V13I、F53L、C95Y、G17E、N37D、N88D、L63P、N88S、G73M、M46I、A71V、Q92R、D25N、T26A、D30N、D37N、R41K、G73D、R87K、I84V、R8Q、V82F、I84A、V32I、V82I、R8KおよびL90Mよりなる群から選ばれる少なくとも一つの変異を有するHIV−1変異体である、請求項3の方法。
【請求項5】
工程(a)は、一連の抑制濃度の該第一のレトロウイルスプロテアーゼ阻害剤の存在下でのHIV−1レトロウイルスの増殖培養物の一連の成長物を含む、請求項3の方法。
【請求項6】
工程(a)はin vitroで行う、請求項1の方法。
【請求項7】
該第二のレトロウイルスプロテアーゼ阻害剤が有効な該レトロウイルス株は、該第一のレトロウイルスプロテアーゼ阻害剤に対して中レベルの耐性を有し、該レトロウイルス株が、コントロールウイルスに比べて約10倍から約100倍高いEC50値を有する、請求項1の方法。
【請求項8】
該第二のレトロウイルスプロテアーゼ阻害剤が有効な該レトロウイルス株は、該第一のレトロウイルスプロテアーゼ阻害剤に対して高レベルの耐性を有し、該レトロウイルス株が、コントロールウイルスに比べて約100倍高いEC50値を有する、請求項1の方法。
【請求項9】
該レトロウイルス株は、該第一のレトロウイルスプロテアーゼ阻害剤に対して耐性を有し、第二のレトロウイルス株は、該第二のレトロウイルスプロテアーゼ阻害剤に対して耐性を有し、各々のレトロウイルス株が、プロテアーゼペプチド配列中に少なくとも1個のアミノ酸置換を有するレトロウイルスプロテアーゼをつくり出し、そしてこの置換がプロテアーゼの同じ基質結合部位領域に影響を及ぼし、観察された阻害剤耐性に寄与する、請求項1の方法。
【請求項10】
該第一のレトロウイルスプロテアーゼ阻害剤および該第二のレトロウイルスプロテアーゼ阻害剤に対して耐性を有するレトロウイルス株は、該第一および第二の阻害剤をレトロウイルス増殖培養物に曝して6週間後には、観察されない、請求項1の方法。
【請求項11】
該レトロウイルス株は、該第一のレトロウイルスプロテアーゼ阻害剤に対して耐性を有し、該第二のレトロウイルスプロテアーゼ阻害剤に対しては上昇した感受性を有する、請求項1の方法。
【請求項12】
第二のレトロウイルス株は、該第二のレトロウイルスプロテアーゼ阻害剤に対して耐性を有し、該第一のレトロウイルスプロテアーゼ阻害剤に対しては上昇した感受性を有する、請求項11の方法。
【請求項13】
該第一のレトロウイルスプロテアーゼ阻害剤および該第二のレトロウイルスプロテアーゼ阻害剤は、VISNA、SIV、HTLV−1、HTLV−2、ラウス肉腫ウイルス、ネコ白血病ウイルスおよびネコ免疫不全ウイルスからなる群から選ばれるレトロウイルスの阻害剤である、請求項1の方法。
【請求項14】
該患者は、ヒト、サルまたはネコである、請求項1の方法。

【公開番号】特開2007−20576(P2007−20576A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−242225(P2006−242225)
【出願日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【分割の表示】特願平8−501057の分割
【原出願日】平成7年6月2日(1995.6.2)
【出願人】(590003375)ジー.ディー.サール アンド カンパニー (1)
【Fターム(参考)】