説明

レーザ加工方法

【課題】変形により平面度がレーザ光の焦点位置に対して許容範囲を超えた基材について、簡単な構造の装置により、効率的なスクライブ加工或いは分断加工を可能とするレーザ加工方法を提供する。
【解決手段】照射部2の下方の2ヶ所に突設された脚部7において、ローラR1、R2を回動可能に支持するようにした。このローラR1、R2間の中間位置は、レーザ光5の集光部6と一致するように配置されている。そして、照射部2の移動と共にローラR1、R2を転動させて、ローラR1、R2の間にある基材8を載置面9に押し付けるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、サファイアガラス、水晶板、ウエハ等の脆性材料からなる基材にスクライブ線を形成したり、スクライブ線に沿って基材を分断したりするためのレーザ加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ光を用いて被加工物である基材を分断したりする加工技術には、レーザ光による加熱と冷却手段による冷却との熱的ショックによって基材にクラックを発生させる方法や、集光したパルスレーザ光により基材の一部を溶融し、その溶融により改質領域を形成する等して基材にクラックを形成する方法等がある。いずれの場合においても、レーザ光を集光する集光レンズと基材との距離が一定となっていなければ、クラック形成にレーザ光を効率的に作用させることができない。
【0003】
ところが、レーザ加工によるクラック形成の対象の基材の厚さは、数100μmのものがあり、更に薄肉化の傾向がみられる。この薄肉の基材は、必ずしも平面度が所定の範囲内にあるとは限らず、加工テーブル上に載置された時、上記のように集光レンズと基材との距離が一定とはならない場合がある。このような問題を解決するために種々提案がなされている。
【0004】
特許文献1に開示されているレーザ加工方法では、基材表面の変位の測定のために、距離を測るためのレーザ光をレンズで集光して基材に照射し、照射面からの反射光を検出することにより、切断予定ラインに沿った表面の変位を検知している。そして、検知された変位に基づいて加工用対物レンズと表面との間隔を調整しながら、加工用対物レンズと基材とを相対移動させて、切断予定ラインに沿って改質領域を形成するようにしている。
【0005】
特許文献2に開示されているスクライブ装置では、基材の内部にレーザ光を集光して改質領域を形成する際、その改質領域の深さを精度良くするため、集光レンズと基材との距離を測長器で測定している。そして、その測定値と設定値との差分に相当する距離分、基材を光軸方向に移動して、集光レンズと基材との距離を設定値に近づけるようにしている。このとき、間隔調整テーブルを作動して基材を移動し、集光レンズと基材との距離を設定値に近づけている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−193285号公報
【特許文献2】特開2007−290931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の加工方法では、加工用対物レンズと基材との距離に対応して加工用対物レンズをアクチュエータにより作動して、基材の所定の位置にレーザ光を集光させるようにしている。この時、レーザ光の光軸と加工用対物レンズの光軸との間に傾きが生じる可能性があり、レーザ光の集光位置が、その光軸の傾きにより、基材の表面に沿う方向において切断予定ラインからそれる虞がある。
【0008】
特許文献2のスクライブ装置では、間隔調整テーブルの作動により加工用対物レンズと基材との距離を設定値に近づけるようにしているので、上記のような光軸の傾きは起こり難い。従って、レーザ光の焦点が移動する虞はないが、基材を載置して移動するテーブルの構造が複雑なものとならざるを得ない。
【0009】
上記のいずれの場合も、基材の平面度がレーザ光の焦点位置に対して許容できる範囲内にない時、基材の変形をそのままにして、レーザ光の焦点位置と基材との距離を調整するようにしている。
【0010】
本発明は、このような問題に着目してなされたものであり、その目的とするところは、平面度がレーザ光の焦点位置に対して許容範囲を超えた基材について、簡単な構造の装置により、効率的なスクライブ加工或いは分断加工を可能とするレーザ加工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記問題を解決するために請求項1に記載のレーザ加工方法の発明は、集光レンズで集光したレーザ光の照射により脆性材料からなる基材を分断するためのレーザ加工方法において、ローラにより前記基材を載置面に押し付けて、前記集光レンズとの距離が一定に保たれた前記基材に対し、前記レーザ光を照射することを特徴とするものである。
【0012】
上記構成によれば、レーザ光が照射される部分の近傍の基材がローラにより載置面に押し付けられるので、載置面を基準として高さが設定される集光レンズと、基材の表面との距離を常に一定に保つことができる。従って、レーザ光により基材に対して効率よくスクライブ線を形成したりすることができる。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のレーザ加工方法において、前記レーザ光と基材とが相対的に移動する移動方向において、前記レーザ光の前後又は左右に配置された前記ローラを転動させて、前記基材を前記載置面に押し付けることを特徴とするものである。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のレーザ加工方法において、前記レーザ光の前後に配置されたローラのうち、後方に配置されたローラに対して冷却媒体が供給されることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、レーザ光が照射される部分の近傍の基材がローラにより載置面に押し付けられるので、載置面を基準として高さが設定される集光レンズと、基材の表面との距離を常に一定に保つことができる。従って、レーザ光により基材に対して効率よくスクライブ線を形成したり、スクライブ線に沿って基材を分断したりすることができるレーザ加工方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1実施形態のレーザ加工装置を示す正面図。
【図2】レーザ光の前後にローラを配置した態様を示す平面図。
【図3】スクライブ開始時のレーザ加工装置を示す正面図。
【図4】ローラの作用を示す正面図。
【図5】第2実施形態のローラの配置を示す平面図。
【図6】第3実施形態のローラの配置を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態を図1〜図4を用いて説明する。
図1に示すように、本実施形態のレーザ加工装置1は、脆性材料である基材8にスクライブ線を形成する装置であり、テーブル10の載置面9には基材8が載置されている。このテーブル10は、基材8に対するスクライブ方向を適宜選択できるように、水平面内を回転して任意の角度に配置することができるようになっている。そして、テーブル10に対して図の左右方向に移動できるように、照射部2が図示しない移動手段により支持されている。なお、テーブル10に対して照射部2が移動する方向を白抜きの矢印FWで示している。
【0018】
照射部2には、炭酸ガスレーザを発振するレーザ光源3が備えられ、そのレーザ光源3から発せられたレーザ光5が集光レンズ4で集光されて、基材8の集光部6で焦点を結ぶようになっている。なお、本実施形態では、テーブル10の載置面9を基準面として、集光レンズ4の上下方向の位置決めを行っているが、各種厚さの基材8の表面でレーザ光5が焦点を結ぶことができるように、照射部2の上下方向の位置を微調節できるようになっている。
【0019】
照射部2の下方の2ヶ所に突設された脚部7には、ローラR1、R2が回動可能に支持されている。このローラR1、R2間の中間位置は、レーザ光5の集光部6と一致するように配置されている。
【0020】
また、ローラR2の後方(図1の右側)には、照射部2の図示しない支持部により冷却ノズル11が支持されている。この冷却ノズル11から、冷却水、窒素ガス或いは炭酸ガス等の低温ガス等の冷却媒体をローラR2及び基材8に向かって噴出し、ローラR2及び基材8を冷却するようになっている。
【0021】
次に、本実施形態のレーザ加工方法を説明する。
基材8にスクライブ線を形成するに際し、先ず、図3に示すように、テーブル10の載置面9上に基材8を載置する。載置面9には図示しない複数の吸引口が穿設されており、その吸引口からの吸引により基材8を載置面9に吸着させる。
【0022】
次に、図示しない移動手段により、基材8の外側から照射部2を矢印FW方向へ移動させ、基材8上にローラR1を転動させながら、ローラR1により基材8を載置面9に押し付ける。そして、レーザ光5の集光部6の位置が基材8の端部に掛かった時にレーザ光5の照射を開始する。この時、基材8はローラR1により載置面9に押し付けられているので、レーザ光5の集光部6は適切に基材8の表面の所定位置にある。
【0023】
図1に示すように、更に照射部2を矢印FW方向へ移動させ、転動するローラR1、R2により基材8を載置面9に押し付けながら、基材8に対してレーザ光5を照射する。レーザ光5の照射により加熱されて加熱部12aとなった基材8は、図2に示すように、冷却媒体11aにより冷却されるローラR2により載置面9に押し付けられると共に冷却される。また、基材8は、その冷却ゾーン15に冷却媒体11aが供給されるので、更に冷却される。この加熱と冷却とにより熱的ショックを受けた部分の基材8にスクライブ線12が形成される。
【0024】
図4に示すように、載置面9に載置された基材8が変形部13において載置面9から浮き上がっている場合、ローラR1、R2により載置面9に押し付けられた変形部13は、一時的に矯正されて十分な平面度を有する状態の基材8となる。そうすると、焦点が結ばれる集光部6とは異なり、変形部13の表面において焦点が結ばれない、擬似集光部14の現出が防止される。その結果、レーザ光5による基材8に対する加熱条件が一定となるので、集光部6を基材8に沿って移動させて加熱部を形成する時、その加熱部を基材8の表面から一定の範囲に形成することができる。
【0025】
一般に、基材8を載置面9に適切に沿わせるために、載置面9に吸引孔を設けてエア吸引することが行われるが、この時、吸引力を強めるために、吸引孔の径を大きくすれば、載置面9の表面形状は必然的に凹凸状となる。すると、基材8と載置面9との間の熱伝達条件が所によって異なるため、熱的ショックの度合いに変化が現れて、一様なスクライブ線の形成を難しくする。ところが、本実施形態では、ローラR1、R2により基材8を載置面9に押し付けて、基材8の変形を一時的に矯正するようにしたので、基材8を吸着するために、載置面9の吸引孔からエアを強く引く必要がなくなる。従って、吸引孔の径を小さくできるので、基材8と載置面9との間の熱伝達条件を好ましい状態に維持することができる。
【0026】
なお、本実施形態ではレーザ加工装置1を、基材8にスクライブ線を形成する装置として説明したが、予めホイールカッター等でスクライブ線が形成された基材8を用いて、そのスクライブ線に沿ってレーザ光5を照射するようにすれば、基材8をスクライブ線に沿って分断することができる。この時、レーザ加工装置1は、基材8を所定位置で分断する分断装置となる。
【0027】
従って、上記第1実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)上記実施形態では、レーザ光5の前後に配置されたローラR1、R2により基材8を載置面9に押し付けるようにしたので、基材8の浮き上がりを防止することができる。また、後方に配置されたローラR2により、加熱されて変形しやすい状態の基材8を抑えることができる。このため、基材8を載置面9に吸着するエア吸引力が小さい場合であっても、レーザ光5が照射される部分の基材8を載置面9に沿わせることができる。従って、載置面9を基準として高さが設定される集光レンズ4と、基材8の表面との距離を常に一定に保つことができるので、レーザ光5により基材8に対して効率よくスクライブ線12を形成することができる。また、予めスクライブ線が形成された基材8にレーザ光5を照射すれば、基材8を効率よく分断することができる。
【0028】
(2)上記実施形態では、レーザ光5により加熱された基材8の加熱部12aに対し、ローラR2を冷却媒体11aで冷却しながら押し付けるようにした。このため、ローラR2により、基材8の変形を一時的に矯正できるばかりでなく、加熱部12aを急冷することができるので、効率的なレーザ加工が可能なレーザ加工方法を提供することができる。
【0029】
(3)上記実施形態では、照射部2と共にローラR1、R2が、テーブル10に対して相対的に移動するようにした。そして、照射部2がレーザ光5を基材8に照射しながら移動する時、その照射される部分の前後に配置されたローラR1、R2により、基材8を基準面としての載置面9に押し付けることができるようにした。また、集光レンズ4の上下方向の位置決めを載置面9を基準とした。このため、集光レンズ4と基材8との距離を一定に保つことができる簡単な構造のレーザ加工装置1を提供することができる。
【0030】
(4)上記実施形態では、ローラR2の後方に照射部2に支持された冷却ノズル11を設けた。そして、冷却ノズル11から冷却媒体11aをローラR2と基材8の加熱部12aとに向かって噴出し、冷却されたローラR2の押圧と冷却媒体11aの供給とにより、加熱部12aを急冷するようにした。このため、効率的な熱的ショックを生じさせることが可能なレーザ加工装置1を提供することができる。
【0031】
(5)上記実施形態では、基材8を載置面9に押し付けるために、レーザ光5の前後にローラR1、R2を配置し、基材8の浮き上がりを防止するようにした。このため、基材8を載置面9に吸着するためのエア吸引力を、基材8が載置面9上を移動しない程度の弱いものとすることができるので、載置面9に形成する吸引孔の開口を小径とすることができる。従って、基材8と載置面9との間の熱伝達条件が、吸引孔の存在により載置面9の部位によって異なることを防止することができるので、基材8に対して熱的ショックを一様に与えることができる。
【0032】
(第2の実施形態)
次に、本発明を具体化した第2実施形態を、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。なお、本実施形態は、第1実施形態とはローラの配置が異なるのみなので、その異なる部分を説明し、同様部分の説明を省くものとする。
【0033】
図5に示すように、本実施形態においては、矢印FWが示す照射部2の進行方向に向かって、レーザ光5が照射される集光部6の左右にローラR3、R4を配置した。このローラR3、R4により、集光部6周辺の基材8は載置面9に押し付けられ、基材8と集光レンズ4とは所定の距離に保たれる。このため、冷却ノズル11から噴出された冷却媒体11aの大部分を基材8の冷却ゾーン15に供給することができる。また、集光部6と冷却ゾーン15との距離を任意に調整できるので、加熱部12aの急冷条件を適宜選択することができる。
【0034】
そして、この第2実施形態においては、第1実施形態における効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
(6)上記実施形態では、照射部2の進行方向に向かって、レーザ光5が照射される集光部6の左右にローラR3、R4を配置して集光部6周辺の基材8を載置面9に押し付けるようにした。このため、冷却ノズル11から噴出された冷却媒体11aの全てを基材8の冷却ゾーン15に供給できると共に、集光部6と冷却ゾーン15との距離を任意に調整して、加熱部12aの急冷条件を適宜選択することができる。
【0035】
(第3の実施形態)
次に、本発明を具体化した第3実施形態を、第1、2実施形態と異なる部分を中心に説明する。なお、本実施形態は、第1、2実施形態とはローラの配置が異なるのみなので、その異なる部分を説明し、同様部分の説明を省くものとする。
【0036】
図6に示すように、本実施形態においては、矢印FWが示す照射部2の進行方向に向かって、レーザ光5が照射される集光部6の前後及び左右にローラR1、R2、R3、R4を配置した。このローラR1〜R4により、集光部6周辺の基材8は載置面9に押し付けられ、基材8と集光レンズ4とは所定の距離に保たれる。
【0037】
このローラR1〜R4により、基材8を載置面9に対してより確実に押し付けることができる点は、第1実施形態のローラR1、R2及び第2実施形態のローラR3、R4と同様である。しかし、照射部2の移動に伴って、このローラR1〜R4が、矢印FWが示す方向に向かって基材8の端部付近を転動する場合は、この4個のローラR1〜R4の配置は更に効果を発揮する。
【0038】
即ち、照射部2が基材8の左端部付近を移動する場合、スクライブ開始位置となる基材8の前端部においては、ローラR1、R4が基材8上を転動し、スクライブ終了位置となる基材8の後端部においては、ローラR2、R4が基材8上を転動して、基材8を載置面9に対してより確実に押し付けることができる。また、基材8の前端部と後端部との間においては、ローラR1、R2、R4が基材8上を転動して、基材8を載置面9に対してより確実に押し付けることができる。
【0039】
同様に、照射部2が基材8の右端部付近を移動する場合、スクライブ開始位置となる基材8の前端部においては、ローラR1、R3が基材8上を転動し、スクライブ終了位置となる基材8の後端部においては、ローラR2、R3が基材8上を転動して、基材8を載置面9に対してより確実に押し付けることができる。また、また、基材8の前端部と後端部との間においては、ローラR1、R2、R3が基材8上を転動して、基材8を載置面9に対してより確実に押し付けることができる。
【0040】
また、照射部2が基材8の左右の端部の間を移動する場合、スクライブ開始位置となる基材8の前端部においては、ローラR1、R3、R4が基材8上を転動し、スクライブ終了位置となる基材8の後端部においては、ローラR2、R3、R4が基材8上を転動して、基材8を載置面9に対してより確実に押し付けることができる。
【0041】
そして、この第3実施形態においては、第1、2実施形態における効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
(7)上記実施形態では、矢印FWが示す照射部2の進行方向に向かって、レーザ光5が照射される集光部6の前後及び左右にローラR1、R2、R3、R4を配置した。このため、基材8の前後及び左右の端部付近では、4個のローラR1〜R4のうちの2個又は3個が基材8上を転動して、基材8を載置面9に対してより確実に押し付けることができる。
【0042】
(変更例)
なお、上記実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 上記実施形態では、各種厚さの基材8の表面でレーザ光5が焦点を結ぶことができるように、照射部2の上下方向の位置を微調節できるようにしたが、照射部2の上下方向の位置を固定して、集光レンズ4の上下方向の位置を微調節できるようにすること。また、照射部2に対してテーブル10の上下方向の位置を微調節できるようにすること。
・ 上記実施形態では、固定したテーブル10に対して照射部2が移動するようにしたが、固定した照射部2に対してテーブル10が移動するようにすること。
・ 上記実施形態では、レーザ光を用いて基材8の一部を加熱した後に冷却して、基材8にスクライブ線を形成したり、基材8を分断したりするようにしたが、パルスレーザ光を用いた多光子吸収により基材8の一部を溶融し、その溶融により改質領域を形成する等してスクライブ線を形成すること。
【0043】
さらに、上記実施形態より把握できる技術的思想について、それらの効果と共に以下に記載する。
(イ)請求項1に記載のレーザ加工方法に用いられるレーザ加工装置であって、前記基材を載置するための基準面を有するテーブルと、前記レーザ光を前記基材に照射する照射部と、前記基材上を転動して基材を前記載置面に押し付ける前記ローラと、前記テーブルと前記照射部及びローラとを相対移動させる移動手段とを備えたことを特徴とするレーザ加工装置。このように構成した場合、レーザ光が基材を照射しながら移動する時、その照射される部分の近傍において、ローラは基材をテーブルの基準面に押し付けることができる。この照射部と共に移動するローラを設けた簡単な構造の装置によって、レーザ光の集光レンズと基材との距離を常に一定に保つことができる。
【0044】
(ロ)前記ローラは、前記移動手段により前記レーザ光と基材とが相対的に移動する移動方向において、前記レーザ光の前後又は左右に配置されていることを特徴とする(イ)に記載のレーザ加工装置。このように構成した場合、基材を、その端部においても、レーザ光の前後又は左右に配置されたローラにより適切に載置面に押し付けることができる。
【0045】
(ハ)前記レーザ光の後方に配置されたローラに対して冷却媒体を供給する冷却ノズルが設けられたことを特徴とする(ロ)に記載のレーザ加工装置。このように構成した場合、基材を、冷却されながら転動するローラにより、載置面に押し付けると共に冷却することができる。
【符号の説明】
【0046】
R1,R2,R3,R4…ローラ、1…レーザ加工装置、2…照射部、4…集光レンズ、5…レーザ光、8…基材、9…載置面、10…テーブル、11…冷却ノズル、11a…冷却媒体、12…スクライブ線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
集光レンズで集光したレーザ光の照射により脆性材料からなる基材を分断するためのレーザ加工方法において、ローラにより前記基材を載置面に押し付けて、前記集光レンズとの距離が一定に保たれた前記基材に対し、前記レーザ光を照射することを特徴とするレーザ加工方法。
【請求項2】
前記レーザ光と基材とが相対的に移動する移動方向において、前記レーザ光の前後又は左右に配置された前記ローラを転動させて、前記基材を前記載置面に押し付けることを特徴とする請求項1に記載のレーザ加工方法。
【請求項3】
前記レーザ光の前後に配置されたローラのうち、後方に配置されたローラに対して冷却媒体が供給されることを特徴とする請求項2に記載のレーザ加工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−67856(P2011−67856A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−222628(P2009−222628)
【出願日】平成21年9月28日(2009.9.28)
【出願人】(000150604)株式会社ナガセインテグレックス (35)
【Fターム(参考)】