説明

ワーク搬送装置及びワーク加工装置

【課題】コンパクトな構成でワークを汚すことなく搬送することができるワーク搬送装置及びワーク加工装置を提供する。
【解決手段】移動可能な第1アーム60には、ウェーハ把持機構72と、第1吸着保持機構74とが備えられる。また、移動可能な第2アーム66には、トレイ76と位置決め機構78と、第2吸着保持機構80とが備えられる。カセットCに格納されたウェーハWは、縁部をウェーハ把持機構72に把持されてカセットCから引き出され、トレイ76の上に載置される。トレイ76に載置されたウェーハWは、位置決め機構78によって位置決めされた後、第1吸着保持機構74によって吸着保持されて、ワークテーブル30に搬送される。加工後、ウェーハWは第2吸着保持機構80に吸着保持されて、ワークテーブル30から回収され、ワーク洗浄装置56に搬送される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワーク搬送装置及びワーク加工装置に係り、特にカセットに格納されたワークをカセットから取り出し、位置決めしてワークテーブルに載置するワーク搬送装置及びワーク加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路などが形成されたウェーハを個々のチップに分割する装置としてダイシング装置が知られている。ダイシング装置は、ワークテーブルに吸着保持されたウェーハを高速回転するダイシングブレードでストリート(切断ライン)に沿って賽の目状に切削することにより、個々のチップに分割する。
【0003】
ウェーハを自動処理するダイシング装置では、ウェーハの搬送装置が備えられ、カセットに格納されたウェーハが、自動的にカセットから取り出されて、ワークテーブルに供給される。この際、ワークは位置決めされて、ワークテーブルに供給される。
【0004】
特許文献1、2には、カセットの前方に位置決め装置を設置し、カセットから取り出したウェーハを位置決め装置で位置決めした後、ワークテーブルに供給するダイシング装置が記載されている。このダイシング装置では、搬出手段によってウェーハをカセットから取り出して、位置決め装置に搬送し、位置決め装置で位置決めされたウェーハを搬送手段によってワークテーブルに移送する。
【0005】
また、特許文献3には、ウェーハをカセットから取り出して、位置決め装置に搬送する手段と、位置決め装置で位置決めされたウェーハをワークテーブルに移送する手段とを一体化した構成のダイシング装置が記載されている。
【0006】
更に、引用文献4には、位置決め装置を移動可能に設け、位置決め装置でウェーハをワークテーブルに供給、回収するダイシング装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−7058号公報
【特許文献2】特開2002−359211号公報
【特許文献3】特開2009−188296号公報
【特許文献4】特開2009−253225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特許文献1、2のダイシング装置では、ワークテーブルがウェーハを受け取る位置の上方に位置決め装置が設置される。このように加工部の近傍に位置決め装置を設置すると、加工中に発生するミストなどによって位置決め装置が汚れやすいという欠点がある。また、加工部の手前に位置決め装置が配置されるため、加工部のメンテナンスがしにくいという欠点もある。
【0009】
一方、特許文献3のダイシング装置では、加工部から離れた位置に位置決め装置を設置しているが、このように加工部から離して位置決め装置を設置すると、装置が大型化するという欠点がある。
【0010】
また、特許文献4のダイシング装置では、位置決め装置で加工前のウェーハを加工部に搬送し、加工後のウェーハも位置決め装置で搬送する構成とされている。しかしながら、このように加工後のウェーハも位置決め装置で搬送すると、加工時にウェーハに付着した汚れが位置決め装置に付着するという欠点がある。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、コンパクトな構成でワークを汚すことなく搬送することができるワーク搬送装置及びワーク加工装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
[1]ワーク搬送装置の第1の態様は、カセットに格納された板状のワークを前記カセットに形成された取出口から所定の取出方向に引き出して取り出し、所定の搬送位置に搬送するワーク搬送装置において、前記取出方向と平行な方向に水平移動するとともに、前記取出方向と直交する方向に垂直移動する第1移動手段と、前記取出方向と平行な方向に水平移動するとともに、前記取出方向と直交する方向に垂直移動する第2移動手段と、前記第1移動手段に設けられ、前記ワークの縁部を把持する把持手段と、前記第1移動手段に設けられ、前記ワークの上面を吸着保持する吸着保持手段と、前記第2移動手段に設けられ、前記ワークが載置されるトレイと、前記トレイに設けられ、前記トレイに載置された前記ワークを所定の基準位置に位置決めする位置決め手段と、を備え、前記カセットに格納された前記ワークの縁部を前記把持手段で把持して、前記把持手段を移動させることにより、前記ワークを前記カセットから取り出し、前記カセットから取り出された前記ワークの下方に前記トレイを移動させて、前記カセットから取り出した前記ワークを前記トレイに載置し、前記トレイに載置された前記ワークを前記位置決め手段で位置決めし、位置決めされた前記ワークの上方に前記吸着保持手段を移動させて、位置決めされた前記ワークの上面を前記吸着保持手段で保持し、前記吸着保持手段を移動させることにより、前記ワークを前記搬送位置に搬送することを特徴とする。
【0013】
本態様のワーク搬送装置では、次の手順でカセットからワークを取り出して、所定の搬送位置に搬送する。カセットに格納されたワークの縁部を把持手段で把持する。把持手段を移動させて、ワークをカセットから引き出す。カセットから引き出されたワークの下方にトレイを移動させる。ワークをトレイに載置する。トレイに載置されたワークを位置決め手段で位置決めする。位置決めされたワークの上方に吸着保持手段を移動させ、ワークの上面を吸着保持手段に吸着する。吸着保持手段を移動させて、ワークを搬送位置に搬送する。位置決め手段を備えたトレイは、移動可能な構成であるため、必要なとき以外は所定の位置に退避させておくことができる。同様に把持手段及び吸着保持手段も移動可能な構成であるため、必要なとき以外は所定の位置に退避させておくことができる。これにより、たとえば、汚れの影響を受けやすい環境に搬送位置が設定されている場合であっても、汚れの影響を受けるのを防止することができる。また、トレイ等を移動させることにより、搬送位置の上部空間を開放できるため、搬送位置の近辺に設置される製品(特に搬送位置の奥に設置される製品)のメンテナンスも容易に行うことができる。
【0014】
[2]ワーク搬送装置の第2の態様は、上記第1の態様のワーク搬送装置において、前記第1移動手段に設けられ、前記吸着保持手段を前記取出方向と直交する方向に水平移動させる第3移動手段を更に備えたことを特徴とする。
【0015】
本態様によれば、吸着保持手段が、取出方向と直交する方向に水平移動することができる。上記第1の態様のワーク搬送装置では、ワークをカセットから引き出す際のワークの移動経路の延長線上に搬送位置を設定する必要があるが、本態様によれば、この延長線上以外の位置に搬送位置を設定することができる。これにより、搬送位置の設定の自由度を向上させることができる。
【0016】
[3]ワーク搬送装置の第3の態様は、上記第1又は2の態様のワーク搬送装置において、前記吸着保持手段は、前記ワークの上面の少なくとも2箇所を吸着する吸着パッドと、前記ワークのサイズに応じて前記吸着パッドの間隔を調整するサイズ調整手段と、を備えることを特徴とする。
【0017】
本態様によれば、吸着保持手段に複数の吸着パッドが備えられ、ワークのサイズに応じて吸着パッドの設置間隔を調整することができる。これにより、さまざまなサイズのワークを安定して搬送することができる。吸着パッドの間隔の調整は、手動で行う構成とすることもできるし、また、自動で行う構成とすることもできる。手動で行う構成の場合であっても、吸着保持手段は、移動可能であるため、その作業を容易に行うことができる。
【0018】
[4]ワーク搬送装置の第4の態様は、上記第1から第3のいずれか1の態様のワーク搬送装置において、前記吸着保持手段に上面を吸着保持されて搬送される前記ワークを撮像する撮像手段を更に備えたことを特徴とする。
【0019】
本態様によれば、吸着保持手段に吸着保持されて搬送されるワークを撮像することができる。これにより、得られる映像を利用して、ワークを検査したり、ワークの状態を確認したりすることができる。撮像手段は、たとえば、ワークの下面を撮像する電子カメラや、ワークの下面をスキャンするスキャナ等で構成することができる。
【0020】
[5]ワーク搬送装置の第5の態様は、カセットに格納された板状のワークを前記カセットに形成された取出口から所定の取出方向に引き出して取り出し、所定の第1搬送位置に搬送するとともに、前記第1搬送位置から所定の第2搬送位置に搬送するワーク搬送装置において、前記取出方向と平行な方向に水平移動するとともに、前記取出方向と直交する方向に垂直移動する第1移動手段と、前記取出方向と平行な方向に水平移動するとともに、前記取出方向と直交する方向に垂直移動する第2移動手段と、前記第1移動手段に設けられ、前記ワークの縁部を把持する把持手段と、前記第1移動手段に設けられ、前記ワークの上面を吸着保持する第1吸着保持手段と、前記第2移動手段に設けられ、前記ワークが載置されるトレイと、前記トレイに設けられ、前記トレイに載置された前記ワークを所定の基準位置に位置決めする位置決め手段と、前記第2移動手段に設けられ、前記ワークの上面を吸着保持する第2吸着保持手段と、を備え、前記カセットに格納された前記ワークの縁部を前記把持手段で把持して、前記把持手段を移動させることにより、前記ワークを前記カセットから取り出し、前記カセットから取り出された前記ワークの下方に前記トレイを移動させて、前記カセットから取り出した前記ワークを前記トレイに載置し、前記トレイに載置された前記ワークを前記位置決め手段で位置決めし、位置決めされた前記ワークの上方に前記第1吸着保持手段を移動させて、位置決めされた前記ワークの上面を前記第1吸着保持手段で保持し、前記第1吸着保持手段を移動させることにより、前記ワークを前記第1搬送位置に搬送し、前記第1搬送位置の上方に前記第2吸着保持手段を移動させて、前記第1搬送位置にある前記ワークの上面を前記第2吸着保持手段で保持し、前記第2吸着保持手段を移動させることにより、前記ワークを前記第2搬送位置に搬送することを特徴とする。
【0021】
本態様のワーク搬送装置では、次の手順でカセットからワークを取り出して、第1搬送位置に搬送する。カセットに格納されたワークの縁部を把持手段で把持する。把持手段を移動させて、ワークをカセットから引き出す。カセットから引き出されたワークの下方にトレイを移動させる。ワークをトレイに載置する。トレイに載置されたワークを位置決め手段で位置決めする。位置決めされたワークの上方に第1吸着保持手段を移動させ、ワークの上面を第1吸着保持手段に吸着する。第1吸着保持手段を移動させて、ワークを第1搬送位置に搬送する。また、第1搬送位置から第2搬送位置へは、次の手順でワークを搬送する。第1搬送位置にあるワークの上方に第2吸着保持手段を移動させ、第2ワーク吸着保持手段でワークの上面を吸着保持する。第2ワーク吸着保持手段を移動させて、ワークを第2搬送位置に搬送する。位置決め手段を備えたトレイと、第2吸着保持手段は移動可能な構成であるため、必要なとき以外は所定の位置に退避させておくことができる。同様に把持手段及び第1吸着保持手段も移動可能な構成であるため、必要なとき以外は所定の位置に退避させておくことができる。これにより、たとえば、汚れの影響を受けやすい環境に第1搬送位置又は第2搬送位置が設定されている場合であっても、汚れの影響を受けるのを防止することができる。また、トレイ等を移動させることにより、第1搬送位置及び第2搬送位置の上部空間を開放できるため、第1搬送位置及び第2搬送位置の近辺に設置される製品のメンテナンスも容易に行うことができる。更に、カセットから第1搬送位置へのワークの搬送と、第1搬送位置から第2搬送位置へのワークの搬送を異なる搬送手段で行うことにより、ワークの状態(たとえば、汚れ状態)に応じて、使用する搬送手段を切り替えることができる。
【0022】
[6]ワーク搬送装置の第6の態様は、上記第5の態様のワーク搬送装置において、前記第1移動手段に設けられ、前記第1吸着保持手段を前記取出方向と直交する方向に水平移動させる第3移動手段と、前記第2移動手段に設けられ、前記第2吸着保持手段を前記取出方向と直交する方向に水平移動させる第4移動手段と、を更に備えたことを特徴とする。
【0023】
本態様によれば、第1吸着保持手段と第2吸着保持手段が、それぞれ取出方向と直交する方向に水平移動することができる。上記第5の態様のワーク搬送装置では、ワークをカセットから引き出す際のワークの移動経路の延長線上に第1搬送位置及び第2搬送位置を設定する必要があるが、本態様によれば、この延長線上以外の位置に第1搬送位置及び第2搬送位置を設定することができる。これにより、第1搬送位置と第2搬送位置の設定の自由度を向上させることができる。
【0024】
[7]ワーク搬送装置の第7の態様は、上記第5又は6の態様のワーク搬送装置において、前記1吸着保持手段は、前記ワークの上面の少なくとも2箇所を吸着する吸着パッドと、前記ワークのサイズに応じて前記吸着パッドの間隔を調整するサイズ調整手段と、を備え、前記2吸着保持手段は、前記ワークの上面の少なくとも2箇所を吸着する吸着パッドと、前記ワークのサイズに応じて前記吸着パッドの間隔を調整するサイズ調整手段と、を備えることを特徴とする。
【0025】
本態様によれば、第1吸着保持手段と第2吸着保持手段にそれぞれ複数の吸着パッドが備えられ、それぞれワークのサイズに応じて吸着パッドの設置間隔を調整することができる。これにより、さまざまなサイズのワークを安定して搬送することができる。吸着パッドの間隔の調整は、手動で行う構成とすることもできるし、また、自動で行う構成とすることもできる。手動で行う構成の場合であっても、第1吸着保持手段及び第2吸着保持手段は、移動可能であるため、その作業を容易に行うことができる。
【0026】
[8]ワーク搬送装置の第8の態様は、上記第5から7のいずれか1の態様のワーク搬送装置において、前記1吸着保持手段又は前記第2吸着保持手段に上面を吸着保持されて搬送される前記ワークを撮像する撮像手段を更に備えたことを特徴とする。
【0027】
本態様によれば、第1吸着保持手段又は第2吸着保持手段に吸着保持されて搬送されるワークを撮像することができる。これにより、得られる映像を利用して、ワークを検査したり、ワークの状態を確認したりすることができる。撮像手段は、たとえば、ワークの下面を撮像する電子カメラや、ワークの下面をスキャンするスキャナ等で構成することができる。
【0028】
[9]ワーク加工装置の第1の態様は、内部に格納された板状のワークが、所定の取出口から所定方向に引き出されて取り出されるカセットと、前記ワークが前記取出口から所定の取出方向に引き出されて取り出されるように前記カセットが載置されるカセットステージと、前記取出方向と平行な方向に水平移動するとともに、前記取出方向と直交する方向に垂直移動する第1移動手段と、前記取出方向と平行な方向に水平移動するとともに、前記取出方向と直交する方向に垂直移動する第2移動手段と、前記第1移動手段に設けられ、前記ワークの縁部を把持する把持手段と、前記第1移動手段に設けられ、前記ワークの上面を吸着保持する吸着保持手段と、前記第2移動手段に設けられ、前記ワークが載置されるトレイと、前記トレイに設けられ、前記トレイに載置された前記ワークを所定の基準位置に位置決めする位置決め手段と、前記ワークが載置され、ワーク交換位置とワーク加工位置との間を移動するワークテーブルと、前記ワーク加工位置に移動した前記ワークテーブル上の前記ワークを加工する加工手段と、を備え、前記カセットに格納された前記ワークの縁部を前記把持手段で把持して、前記把持手段を移動させることにより、前記ワークを前記カセットから取り出し、前記カセットから取り出された前記ワークの下方に前記トレイを移動させて、前記カセットから取り出した前記ワークを前記トレイに載置し、前記トレイに載置された前記ワークを前記位置決め手段で位置決めし、位置決めされた前記ワークの上方に前記吸着保持手段を移動させて、位置決めされた前記ワークの上面を前記吸着保持手段で保持し、前記吸着保持手段を移動させることにより、前記ワークを前記ワーク交換位置に位置した前記ワークテーブルの上に搬送することを特徴とする。
【0029】
本態様のワーク加工装置では、次の手順でワークの供給が行われる。カセットに格納されたワークの縁部を把持手段で把持する。把持手段を移動させて、ワークをカセットから引き出す。カセットから引き出されたワークの下方にトレイを移動させる。ワークをトレイに載置する。トレイに載置されたワークを位置決め手段で位置決めする。位置決めされたワークの上方に吸着保持手段を移動させ、ワークの上面を吸着保持手段に吸着する。吸着保持手段を移動させて、ワークをワーク交換位置に位置したワークテーブルの上に搬送する。位置決め手段を備えたトレイは、移動可能な構成であるため、必要なとき以外は所定の位置に退避させておくことができる。同様に把持手段及び吸着保持手段も移動可能な構成であるため、必要なとき以外は所定の位置に退避させておくことができる。これにより、必要なとき以外は加工手段から離れた位置に退避させておくことができ、加工手段の影響を受けて、トレイ等が汚れるのを防止することができる。また、トレイ等を移動させることにより、ワークテーブルの上部空間を開放できるので、ワークテーブルや加工手段のメンテナンスも容易に行うことができる。
【0030】
[10]ワーク加工装置の第2の態様は、上記第1の態様のワーク加工装置において、前記第1移動手段に設けられ、前記吸着保持手段を前記取出方向と直交する方向に水平移動させる第3移動手段を更に備えたことを特徴とする。
【0031】
本態様によれば、吸着保持手段が、取出方向と直交する方向に水平移動することができる。上記第1の態様のワーク加工装置では、ワークをカセットから引き出す際のワークの移動経路の延長線上にワーク交換位置を設定する必要があるが、本態様によれば、この延長線上以外の位置にワーク交換位置を設定することができる。これにより、ワーク交換位置の設定の自由度を向上させることができる。特に、ワーク交換位置をワーク加工位置側に近づけて設定することにより、汚れの影響をより受けにくくすることができる。また、ワーク交換位置とワーク加工位置との間を近くすることができ、装置のコンパクト化を図ることができる。
【0032】
[11]ワーク加工装置の第3の態様は、上記第1又は2の態様のワーク加工装置において、前記吸着保持手段は、前記ワークの上面の少なくとも2箇所を吸着する吸着パッドと、前記ワークのサイズに応じて前記吸着パッドの間隔を調整するサイズ調整手段と、を備えることを特徴とする。
【0033】
本態様によれば、吸着保持手段に複数の吸着パッドが備えられ、ワークのサイズに応じて吸着パッドの設置間隔を調整することができる。これにより、さまざまなサイズのワークを安定して搬送することができる。吸着パッドの間隔の調整は、手動で行う構成とすることもできるし、また、自動で行う構成とすることもできる。手動で行う構成の場合であっても、吸着保持手段は、移動可能であるため、その作業を容易に行うことができる。
【0034】
[12]ワーク加工装置の第4の態様は、上記第1から3のいずれか1の態様のワーク加工装置において、前記吸着保持手段に上面を吸着保持されて搬送される前記ワークを撮像する撮像手段を更に備えたことを特徴とする。
【0035】
本態様によれば、吸着保持手段に吸着保持されて搬送されるワークを撮像することができる。これにより、得られる映像を利用して、ワークを検査したり、ワークの状態を確認したりすることができる。撮像手段は、たとえば、ワークの下面を撮像する電子カメラや、ワークの下面をスキャンするスキャナ等で構成することができる。
【0036】
[13]ワーク加工装置の第5の態様は、内部に格納された板状のワークが、所定の取出口から所定方向に引き出されて取り出されるカセットと、前記ワークが前記取出口から所定の取出方向に引き出されて取り出されるように前記カセットが載置されるカセットステージと、前記取出方向と平行な方向に水平移動するとともに、前記取出方向と直交する方向に垂直移動する第1移動手段と、前記取出方向と平行な方向に水平移動するとともに、前記取出方向と直交する方向に垂直移動する第2移動手段と、前記第1移動手段に設けられ、前記ワークの縁部を把持する把持手段と、前記第1移動手段に設けられ、前記ワークの上面を吸着保持する第1吸着保持手段と、前記第2移動手段に設けられ、前記ワークが載置されるトレイと、前記トレイに設けられ、前記トレイに載置された前記ワークを所定の基準位置に位置決めする位置決め手段と、前記第2移動手段に設けられ、前記ワークの上面を吸着保持する第2吸着保持手段と、前記ワークが載置され、ワーク交換位置とワーク加工位置との間を移動するワークテーブルと、前記ワーク加工位置に移動した前記ワークテーブル上の前記ワークを加工する加工手段と、所定の後処理位置に設置され、加工後の前記ワークを後処理する後処理手段と、を備え、前記カセットに格納された前記ワークの縁部を前記把持手段で把持して、前記把持手段を移動させることにより、前記ワークを前記カセットから取り出し、前記カセットから取り出された前記ワークの下方に前記トレイを移動させて、前記カセットから取り出した前記ワークを前記トレイに載置し、前記トレイに載置された前記ワークを前記位置決め手段で位置決めし、位置決めされた前記ワークの上方に前記第1吸着保持手段を移動させて、位置決めされた前記ワークの上面を前記第1吸着保持手段で保持し、前記第1吸着保持手段を移動させることにより、前記ワークを前記ワーク交換位置に位置した前記ワークテーブルの上に搬送し、前記ワーク交換位置に位置した前記ワークテーブルの上方に前記第2吸着保持手段を移動させて、前記ワーク交換位置に位置した前記ワークテーブル上の前記ワークの上面を前記第2吸着保持手段で保持し、前記第2吸着保持手段を移動させることにより、前記ワークを後処理手段に搬送することを特徴とする。
【0037】
本態様のワーク加工装置では、次の手順でワークの供給が行われる。カセットに格納されたワークの縁部を把持手段で把持する。把持手段を移動させて、ワークをカセットから引き出す。カセットから引き出されたワークの下方にトレイを移動させる。ワークをトレイに載置する。トレイに載置されたワークを位置決め手段で位置決めする。位置決めされたワークの上方に第1吸着保持手段を移動させ、ワークの上面を第1吸着保持手段に吸着する。第1吸着保持手段を移動させて、ワークをワーク交換位置に位置したワークテーブルの上に搬送する。また、ワーク交換位置に位置したワークテーブルからから後処理手段へは、次の手順でワークを搬送する。ワーク交換位置に位置したワークテーブルの上にワークの上方に第2吸着保持手段を移動させ、第2ワーク吸着保持手段でワークの上面を吸着保持する。第2ワーク吸着保持手段を移動させて、ワークを後処理手段に搬送する。位置決め手段を備えたトレイと、第2吸着保持手段は移動可能な構成であるため、必要なとき以外は所定の位置に退避させておくことができる。同様に把持手段及び第1吸着保持手段も移動可能な構成であるため、必要なとき以外は所定の位置に退避させておくことができる。これにより、必要なとき以外は加工手段から離れた位置(たとえば、後処理位置)に退避させておくことができ、加工手段の影響を受けて、トレイ等が汚れるのを防止することができる。また、トレイ等を移動させることにより、ワークテーブルや後処理手段の上部空間を開放できるため、ワークテーブルや後処理手段、加工手段のメンテナンスも容易に行うことができる。また、トレイ等のメンテナンスも容易に行うことができる。更に、加工後の汚れたワークの搬送は第2吸着保持手段で行い、汚れていないワークの搬送は第1吸着保持手段で行うことにより、汚れていないワークが、搬送によって汚れることを防止することができる。なお、後処理後のワークの搬送は、たとえば、次のように行うことができる。後処理手段にあるワークの上方に第1吸着保持手段を移動させ、ワークの上面を第1吸着保持手段に吸着する。一方、トレイをカセットの前方に移動させる。第1吸着保持手段を移動させて、ワークをトレイに載置する。トレイに載置されたワークを位置決め手段で位置決めする。位置決めされたワークの縁部を把持手段で把持する。把持手段を移動させて、ワークをカセットに収納する。これにより、ワークをカセットに回収することができる。
【0038】
[14]ワーク加工装置の第6の態様は、上記第5の態様のワーク加工装置において、前記第1移動手段に設けられ、前記第1吸着保持手段を前記取出方向と直交する方向に水平移動させる第3移動手段と、前記第2移動手段に設けられ、前記第2吸着保持手段を前記取出方向と直交する方向に水平移動させる第4移動手段と、を更に備えたことを特徴とする。
【0039】
本態様によれば、第1吸着保持手段と第2吸着保持手段が、それぞれ取出方向と直交する方向に水平移動することができる。上記第5の態様のワーク加工装置では、ワークをカセットから引き出す際のワークの移動経路の延長線上にワーク交換位置及び後処理位置を設定する必要があるが、本態様によれば、この延長線上以外の位置にワーク交換位置及び後処理位置を設定することができる。これにより、ワーク交換位置と後処理位置の設定の自由度を向上させることができる。特に、ワーク交換位置をワーク加工位置側に近づけて設定することにより、汚れの影響をより受けにくくすることができる。また、ワーク交換位置とワーク加工位置との間を近くすることができ、装置のコンパクト化を図ることができる。
【0040】
[15]ワーク加工装置の第7の態様は、上記第5又は6の態様のワーク加工装置において、前記1吸着保持手段は、前記ワークの上面の少なくとも2箇所を吸着する吸着パッドと、前記ワークのサイズに応じて前記吸着パッドの間隔を調整するサイズ調整手段と、を備え、前記2吸着保持手段は、前記ワークの上面の少なくとも2箇所を吸着する吸着パッドと、前記ワークのサイズに応じて前記吸着パッドの間隔を調整するサイズ調整手段と、を備えることを特徴とする。
【0041】
本態様によれば、第1吸着保持手段と第2吸着保持手段とにそれぞれ複数の吸着パッドが備えられ、それぞれワークのサイズに応じて吸着パッドの設置間隔を調整することができる。これにより、さまざまなサイズのワークを安定して搬送することができる。吸着パッドの間隔の調整は、手動で行う構成とすることもできるし、また、自動で行う構成とすることもできる。手動で行う構成の場合であっても、第1吸着保持手段及び第2吸着保持手段は、移動可能であるため、その作業を容易に行うことができる。
【0042】
[16]ワーク加工装置の第8の態様は、上記第5から7のいずれか1の態様のワーク加工装置において、前記後処理位置は、前記ワークを前記カセットから引き出す際の前記ワークの移動経路の延長線上に設定され、前記ワーク交換位置は、前記カセットステージと前記後処理手段の間であって、前記延長線上の位置から前記ワーク加工位置側にズレた位置に設定されることを特徴とする。
【0043】
本態様によれば、ワーク交換位置が、カセットと後処理手段と結ぶ直線から加工手段側に退避した位置に設定される。これにより、ワーク交換位置の前方に解放空間を形成することができるとともに、ワーク交換位置の前方から加工手段までの距離を短くすることができる。これにより、装置内でのメンテナンス作業の作業性を向上させることができる。
【0044】
[17]ワーク加工装置の第9の態様は、上記第5から8のいずれか1の態様のワーク加工装置において、前記1吸着保持手段又は前記第2吸着保持手段に上面を吸着保持されて搬送される前記ワークを撮像する撮像手段を更に備えたことを特徴とする請求項13から16のいずれか1項に記載のワーク加工装置。
【0045】
本態様によれば、第1吸着保持手段又は第2吸着保持手段に吸着保持されて搬送されるワークを撮像することができる。これにより、得られる映像を利用して、ワークを検査したり、ワークの状態を確認したりすることができる。撮像手段は、たとえば、ワークの下面を撮像する電子カメラや、ワークの下面をスキャンするスキャナ等で構成することができる。
【0046】
[18]ワーク加工装置の第10の態様は、上記第5から9のいずれか1の態様のワーク加工装置において、前記後処理手段は、前記加工後のワークを洗浄することを特徴とする。
【0047】
本態様によれば、後処理手段が洗浄手段で構成される。これにより、装置内で加工後のワークを洗浄することができる。また、洗浄後のワークも汚さずにカセットに回収することができる。
【0048】
[19]ワーク加工装置の第11の態様は、上記第5から10のいずれか1の態様のワーク加工装置において、前記加工手段は、環状のフレームにテープを介してマウントされたウェーハを回転するダイシングブレードでチップに分割する手段であることを特徴とする。
【0049】
本態様によれば、ワークがフレームにマウントされたウェーハで構成される。加工手段は、このウェーハをダイシングブレードで切削して、チップに分割する。ダイシングブレードでワークを切削する場合、ミストが発生するが、加工手段から離れた位置でトレイ等を待機させることができるので、トレイ等が汚れるのを防止できる。
【0050】
[20]ワーク加工装置の第12の態様は、上記第5から11のいずれか1の態様のワーク加工装置において、前記ワーク交換位置と前記ワーク加工位置との間に開閉自在なシャッタが更に設けられ、前記加工手段が隔離可能であることを特徴とする。
【0051】
本態様によれば、加工手段がシャッタで隔離される。これにより、汚れの影響を更に効果的に防止することができる。
【発明の効果】
【0052】
本発明によれば、コンパクトな構成でワークを汚すことなく搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】ダイシング装置の第1の実施の形態の概略構成を示す平面図
【図2】ダイシング装置の第1の実施の形態の概略構成を示す正面図
【図3】加工部の概略構成を示す正面図
【図4】ウェーハ把持機構及び第1吸着保持機構の概略構成を示す正面図
【図5】ウェーハ把持機構及び第1吸着保持機構の概略構成を示す平面図
【図6】トレイ、位置決め機構及び第2吸着保持機構の概略構成を示す平面図
【図7】第2吸着保持機構の概略構成を示す下面図
【図8】供給・回収部、加工部、洗浄部のレイアウトと、搬送部による搬送経路を示す平面図
【図9】搬送部が待機状態(非動作状態)の時のダイシング装置の概略構成を示す正面図
【図10】第1吸着保持機構をX軸方向に移動させる機構の構成を示す正面図
【図11】第1吸着保持機構をX軸方向に移動させる機構の構成を示す平面図
【図12】第1吸着保持機構をX軸方向に移動させる機構の構成を示す平面図
【図13】第2吸着保持機構をX軸方向に移動させる機構の構成を示す平面図
【図14】第2の実施の形態のダイシング装置における供給・回収部、加工部、洗浄部のレイアウトと、搬送部による搬送経路を示す平面図
【図15】第1吸着保持機構の構成を示す正面図
【図16】第1吸着保持機構の構成を示す下面図
【図17】第2吸着保持機構の構成を示す下面図
【図18】ダイシング装置の外観構成を示す正面図
【図19】ダイシング装置の内部の概略構成を示す平面断面図
【図20】正面扉を開いた状態を示すダイシング装置の正面図
【図21】第5の実施の形態のダイシング装置の内部の概略構成を示す平面図
【図22】カバーの取り付け構造を示す側面図
【図23】カバーを閉じた状態を示す斜視図
【図24】カバーを開いた状態を示す斜視図
【図25】その他の例のカバーの取り付け状態を示す側面図
【図26】カバーを閉じた状態を示す斜視図
【図27】カバーを開いた状態を示す斜視図
【図28】ダイシング装置の第6の実施の形態の概略構成を示す正面図
【図29】ダイシング装置の第6の実施の形態の概略構成を示す平面図
【図30】ダイシング装置の他の例の概略構成を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0054】
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について説明する。
【0055】
[第1の実施の形態]
≪全体構成≫
図1、図2は、それぞれ本発明に係るワーク加工装置の第1の実施の形態の概略構成を示す平面図と正面図である。
【0056】
同図に示すワーク加工装置10は、ウェーハWを賽の目状に切削してチップ化するダイシング装置である(以下、ダイシング装置という。)。このダイシング装置10は、ウェーハWを供給・回収する供給・回収部12と、ウェーハWを加工する加工部14と、ウェーハWを洗浄する洗浄部16と、ウェーハWを搬送する搬送部18とを備えて構成される。
【0057】
〈供給・回収部〉
供給・回収部12は、ウェーハWを格納するカセットCと、カセットCが載置されるカセットステージ20と、カセットステージ20を昇降させるカセットステージ昇降機構22とを備えて構成される。
【0058】
カセットCは、正面部分が開口した四角い箱状に形成される。カセットCの内部は、水平な間仕切に仕切られて、格納室が複数段形成される。各格納室には、ウェーハWが1枚ずつ格納される。開口したカセットCの正面部分は、ウェーハWの取出口とされ、この取出口を介して各収納室にウェーハWが格納される。この際、ウェーハWは一方向に出し入れされる。すなわち、正面から背面に向けて水平に出し入れされる。
【0059】
カセットCには、ダイシングフレームFにマウントされたウェーハWが格納される。ダイシングフレームFは、環状に形成され、その外周部には直線部が4箇所に形成される。直線部は、隣り合う直線部同士が互いに直交するように形成される(対向する直線部同士が互いに平行になるように形成される。)。ダイシングフレームFの内周部には、ダイシングテープTが弛みなく取り付けられる。ダイシングテープTは、一方側の面が貼着面とされる。ウェーハWは、この貼着面に貼り付けられることにより、ダイシングフレームFにマウントされる。
【0060】
カセットステージ20は、矩形状に形成され、所定のワーク供給・回収位置に水平に設置される。カセットステージ20の上には位置決め枠24が設けられる。位置決め枠24は、カセットステージ20の上に載置されるカセットCの外周を囲うように設けられる。カセットCは、この位置決め枠24の内側に底部を嵌め込んで、カセットステージ20の上に載置する。これにより、カセットCが、カセットステージ20の上に位置決めされて載置される。
【0061】
なお、カセットCは、格納されたウェーハWが所定の取出方向で取り出されるように、取出口を所定方向に向けて水平な姿勢でカセットステージ20の上に載置される。カセットCは、底部を位置決め枠24の内側に嵌め込んでカセットステージ20の上に載置することにより、自動的にこのような姿勢でカセットステージ20の上に載置される。
【0062】
カセットステージ昇降機構22は、カセットステージ20を垂直方向(Z軸方向)に昇降させる。カセットステージ昇降機構22は、たとえば、モータによって駆動される送りねじ機構で構成される。
【0063】
〈加工部〉
加工部14は、ウェーハWを吸着保持するワークテーブル30と、ワークテーブル送り機構(不図示)と、一対のスピンドルユニット32A、32Bと、各スピンドルユニット32A、32BをY軸方向に送るスピンドルユニットY送り機構34A、34Bと、各スピンドルユニット32A、32BをZ軸方向に送るスピンドルユニットZ送り機構36A、36Bと、ワークテーブル30に載置されたウェーハWを撮像する撮像ユニット38とを備えて構成される。
【0064】
ワークテーブル30は、円盤状に形成され、その上面にウェーハWを載置するワーク載置面が形成される。ワークテーブル30は、このワーク載置面が水平になるように設置される。ワークテーブル30には、ワーク載置面に載置されたウェーハWを真空吸着する吸着機構(不図示)が備えられる。
【0065】
ワークテーブル送り機構(不図示)は、ワークテーブル30を所定の送り方向(X軸方向)に沿って水平移動させる。ワークテーブル送り機構は、たとえば、モータによって駆動される送りねじ機構で構成される。ワークテーブル30は、このワークテーブル送り機構によって「ワーク交換位置」と「ワーク加工位置」との間を移動する。
【0066】
なお、「ワーク交換位置」とは、加工対象とするウェーハWの交換処理(受け取り・受渡)を行う位置であり、「ワーク加工位置」とは、ウェーハWの加工処理を開始する位置である。ワーク加工位置に位置したワークテーブル30は、必要に応じて更にX軸方向に移動し、加工対象のウェーハWにX軸方向の送りを与える。
【0067】
一対のスピンドルユニット32A、32Bは、それぞれスピンドルユニット本体40A、40Bと、スピンドルユニット本体40A、40Bの先端に回転自在に設けられる主軸42A、42Bと、スピンドルユニット本体40A、40Bに内蔵されるモータ(不図示)とで構成される。この一対のスピンドルユニット32A、32Bは、ワーク加工位置に位置したワークテーブル30の上方に配置される。各スピンドルユニット32A、32Bは、ワークテーブル30の移動方向(X軸方向)と直交する方向(Y軸方向)に並列して配置され、互いの主軸42A、42Bが対向するように配置される。
【0068】
スピンドルユニット本体40A、40Bは、円筒状に形成され、先端に主軸42A、42Bが設けられる。各主軸42A、42Bは、スピンドルユニット本体40A、40Bに内蔵されたモータ(不図示)に駆動されて高速回転する。各主軸42A、42Bには、それぞれダイシングブレード44A、44Bが着脱可能に取り付けられる。ダイシングブレード44A、44Bは、円盤状に形成され、その外周に切削刃が形成される。ウェーハWは、このダイシングブレード44A、44Bによって切削される。
【0069】
図3に示すように、スピンドルユニットY送り機構34A、34Bは、Y軸方向に移動するスピンドルユニットY送りテーブル46A、46Bを有する。スピンドルユニットY送りテーブル46A、46Bは、Y軸方向に沿って配設されたスピンドルユニットY送りガイドレール48A、48BにガイドされてY軸方向にスライド自在に設けられる。また、スピンドルユニットY送りテーブル46A、46Bは、図示しない駆動機構(たとえば、モータによって駆動される送りねじ機構)に駆動されて、スピンドルユニットY送りガイドレール48A、48B上をY軸方向に移動する。
【0070】
スピンドルユニットY送りガイドレール48A、48Bは、スピンドルユニット支持フレーム50に配設される。スピンドルユニット支持フレーム50は、ダイシング装置10の本体フレーム(不図示)に支持されて、ワークテーブル30の上方位置に梁状に配設される。このスピンドルユニット支持フレーム50は、ダイシング装置10の正面側にYZ平面と平行な支持面が形成される。スピンドルユニットY送りガイドレール48A、48Bは、この支持面に沿って配設される。
【0071】
スピンドルユニットZ送り機構36A、36Bは、Z軸方向に移動するスピンドルユニットZ送りテーブル52A、52Bを有する。スピンドルユニットZ送りテーブル52A、52Bは、Z軸方向に沿って配設されたスピンドルユニットZ送りガイドレール54A、54BにガイドされてZ軸方向にスライド自在に設けられる。また、スピンドルユニットZ送りテーブル52A、52Bは、図示しない駆動機構(たとえば、モータによって駆動される送りねじ機構)に駆動されて、スピンドルユニットZ送りガイドレール54A、54B上をZ軸方向に移動する。
【0072】
スピンドルユニットZ送りガイドレール54A、54Bは、スピンドルユニットY送りテーブル46A、46Bに配設される。したがって、スピンドルユニットY送りテーブル46A、46Bが、Y軸方向に移動すると、スピンドルユニットZ送りテーブル52A、52BもY軸方向に移動する。
【0073】
一対のスピンドルユニット32A、32Bは、スピンドルユニットZ送りテーブル52A、52Bに取り付けられる。これにより、スピンドルユニットZ送りテーブル52A、52BをZ軸方向に移動させると、スピンドルユニット32A、32BをZ軸方向に移動させることができる。また、スピンドルユニットY送りテーブル46A、46BをY軸方向に移動させると、スピンドルユニット32A、32BをY軸方向に移動させることができる。
【0074】
スピンドルユニット32A、32Bは、Z軸方向に移動することにより、ダイシングブレード44A、44Bの高さを調整することができる。また、Y軸方向に移動することにより、ダイシングブレード44A、44BのY軸方向の位置を調整することができる。
【0075】
ウェーハWの加工は、ダイシングブレード44A、44BのY軸方向の位置、高さを調整した後、ダイシングブレード44A、44Bを高速回転させ、この高速回転するダイシングブレード44A、44Bに対して、ワークテーブル30をX軸方向に送ることにより行われる。これにより、ウェーハWの表面に高速回転するダイシングブレード44A、44Bが接触し、ウェーハWがX軸方向に沿って切削される。ダイシングブレード44A、44BのY軸方向の位置をストリート(切断ライン)に合わせて、ワークテーブル30をX軸方向に送ることにより、ウェーハWがストリートに沿って切削される。
【0076】
なお、この加工に際して、ダイシングブレード44A、44BとウェーハWとの接触部に向けて図示しないノズルから切削液(水)が供給され、切削部の冷却及び切削屑の洗い流しが行われる。
【0077】
図1に示すように、撮像ユニット38は、一方のスピンドルユニット32Aに撮像ユニット支持ブラケット38Aを介して取り付けられる。撮像ユニット38は、ワークテーブル30に保持されたウェーハWの表面を撮像する。この撮像ユニット38で撮像された画像に基づいてアライメント処理や加工状態の評価等が行われる。
【0078】
〈洗浄部〉
洗浄部16は、加工後のウェーハWを洗浄するワーク洗浄装置56を有する。ワーク洗浄装置56は、たとえば、スピン洗浄装置で構成され、ワーク洗浄位置に設置される。スピン洗浄装置は、ウェーハWを回転させながら、洗浄液を付与して、ウェーハWを洗浄する。洗浄後は、ウェーハWを回転させながら、エアを吹き付けて乾燥させる。なお、この種のワーク洗浄装置の構成は公知なので、その具体的な構成の説明については省略する。
【0079】
加工後のウェーハWは、ワーク洗浄装置56の上部からワーク洗浄装置56に受け渡される(ワーク洗浄装置56の上部から垂直に下降させて、ワーク洗浄装置56に受け渡される。)。また、洗浄後のウェーハWは、ワーク洗浄装置56の上部から回収される(ワーク洗浄装置56の上部から垂直に引き上げられて回収される。)。
【0080】
図1及び図2に示すように、搬送部18は、カセットステージ20に載置されたカセットCからウェーハWを取り出して、ワーク交換位置に位置したワークテーブル30に搬送するとともに、ワーク交換位置に位置したワークテーブル30から加工後のウェーハWを回収し、ワーク洗浄装置56に搬送する。また、洗浄後のウェーハWをワーク洗浄装置56から回収し、カセットステージ20に載置されたカセットCに収納する。
【0081】
〈搬送部〉
搬送部18は、Y軸方向及びZ軸方向に移動可能な第1アーム60と、第1アーム60をY軸方向に移動させる第1アームY移動機構62と、第1アーム60をZ軸方向に移動させる第1アームZ移動機構64と、Y軸方向及びZ軸方向に移動可能な第2アーム66と、第2アーム66をY軸方向に移動させる第2アームY移動機構68と、第2アーム66をZ軸方向に移動させる第2アームZ移動機構70と、第1アーム60に設けられ、ウェーハWを把持するウェーハ把持機構72と、第1アーム60に設けられ、ウェーハWの上面を吸着保持する第1吸着保持機構74と、第2アーム66に設けられ、カセットCから取り出されたウェーハWが載置されるトレイ76と、第2アーム66に設けられ、トレイ76に載置されたウェーハWを位置決め(プリアライメント)する位置決め機構78と、第2アーム66に設けられ、ウェーハWの上面を吸着保持する第2吸着保持機構80を備えて構成される。
【0082】
第1アーム60は、棒状に形成され、X軸方向に沿って水平に設置される。第1アーム60の先端には、ウェーハ把持機構72及び第1吸着保持機構74を取り付けるための第1取付ベース82が設けられる。第1取付ベース82は、所定の外形(本例では八角形)を有する平板状に形成され、第1アーム60の先端に水平に取り付けられる。
【0083】
第1アームY移動機構62は、Y軸方向に移動する第1アームY移動テーブル84を有する。第1アームY移動テーブル84は、Y軸方向に沿って配設された第1アームY移動ガイドレール86にガイドされてY軸方向にスライド自在に設けられる。また、第1アームY移動テーブル84は、図示しない駆動機構(たとえば、モータによって駆動される送りねじ機構)に駆動されて、Y軸方向に移動する。
【0084】
第1アームY移動ガイドレール86は、搬送部支持フレーム88に配設される。搬送部支持フレーム88は、ダイシング装置10の本体フレーム(不図示)に支持されて、ワークテーブル30の上方位置に梁状に配設される。搬送部支持フレーム88には、YZ平面と平行な前支持面88Aと後支持面88Bとが、ダイシング装置10の正面側と背面側とに形成される。第1アームY移動ガイドレール86は、この搬送部支持フレーム88の前支持面88Aに配設される。
【0085】
第1アームZ移動機構64は、Z軸方向にスライドする第1アームZスライドロッド90を有する。第1アームZスライドロッド90は、第1アームZスライドロッド支持部92に支持されて、Z軸方向にスライド自在に設けられる。また、第1アームZスライドロッド90は、図示しない駆動機構(たとえば、モータによって駆動される送りねじ機構、あるいは、シリンダ)に駆動されて、Z軸方向にスライドする。
【0086】
第1アームZスライドロッド支持部92は、第1アームY移動テーブル84に設けられる。したがって、第1アームY移動テーブル84がY軸方向に移動すると、第1アームZスライドロッド90もY軸方向に移動する。
【0087】
第1アーム60は、第1アームZスライドロッド90の先端に取り付けられる。これにより、第1アームZスライドロッド90をZ軸方向にスライドさせると、第1アーム60がZ軸方向に移動する。また、第1アームY移動テーブル84をY軸方向に移動させると、第1アーム60がZ軸方向に移動する。
【0088】
第2アーム66は、棒状に形成され、X軸方向に沿って水平に設置される。第2アーム66の先端には、トレイ76及び第2吸着保持機構80を取り付けるための第2取付ベース94が設けられる。第2取付ベース94は、所定の外形(本例では八角形)を有する平板状に形成され、第2アーム66の先端に水平に取り付けられる。
【0089】
第2アームY移動機構68は、Y軸方向に移動する第2アームY移動テーブル96を有する。第2アームY移動テーブル96は、Y軸方向に沿って配設された第2アームY移動ガイドレール98にガイドされてY軸方向にスライド自在に設けられる。また、第2アームY移動テーブル96は、図示しない駆動機構(たとえば、モータによって駆動される送りねじ機構)に駆動されて、Y軸方向に移動する。第2アームY移動ガイドレール98は、搬送部支持フレーム88の後支持面88Bに配設される。
【0090】
第2アームZ移動機構70は、Z軸方向にスライドする第2アームZスライドロッド100を有する。第2アームZスライドロッド100は、第2アームZスライドロッド支持部102に支持されて、Z軸方向にスライド自在に設けられる。また、第2アームZスライドロッド100は、図示しない駆動機構(たとえば、モータによって駆動される送りねじ機構、あるいは、シリンダ)に駆動されて、Z軸方向にスライドする。
【0091】
第2アームZスライドロッド支持部102は、第2アームY移動テーブル96に設けられる。したがって、第2アームY移動テーブル96がY軸方向に移動すると、第2アームZスライドロッド100もY軸方向に移動する。
【0092】
第2アーム66は、第2アームZスライドロッド100の先端に取り付けられる。これにより、第2アームZスライドロッド100をZ軸方向にスライドさせると、第2アーム66がZ軸方向に移動する。また、第2アームY移動テーブル96をY軸方向に移動させると、第2アーム66がZ軸方向に移動する。
【0093】
なお、第1アーム60と第2アーム66は、上下に重ねて配置することができるように構成される。この際、第1アーム60が第2アーム66の下に配置されるように構成される。
【0094】
図4及び図5に示すように、ウェーハ把持機構72は、ダイシングフレームFの縁部を把持するフィンガ104を有する。フィンガ104は、フィンガ本体104Aに備えられた上下一対の把持爪104BによってダイシングフレームFの縁部を把持する。一対の把持爪104Bは、それぞれ矩形の平板状に形成され、フィンガ本体104Aに内蔵された図示しない駆動機構に駆動されて、その隙間の間隔が開閉する。ダイシングフレームFは、この一対の把持爪104Bによって、縁部が上下から挟まれて、フィンガ104に把持される。
【0095】
フィンガ104は、フィンガ揺動アーム106の先端に取り付けられる。フィンガ揺動アーム106の基端部は、X軸方向に沿って配置された回転軸106Aに固定される。回転軸106Aは、第1取付ベース82に取り付けられたフィンガ揺動アーム支持ブラケット108に回転自在に支持される。フィンガ揺動アーム支持ブラケット108には、フィンガ移動モータ110が取り付けられる。フィンガ移動モータ110の出力軸は、回転軸106Aに連結される。回転軸106Aは、フィンガ移動モータ110を駆動することにより、所定の角度範囲で正逆回転する。そして、この回転軸106Aが回転することにより、フィンガ揺動アーム106が揺動し、フィンガ104が「フィンガ把持位置」と「フィンガ退避位置」との間を移動する。フィンガ104は、フィンガ把持位置に移動することにより、第1取付ベース82の下方に移動する。また、フィンガ退避位置に移動することにより、第1取付ベース82の上方に移動する。
【0096】
フィンガ把持位置に移動することにより、フィンガ104は、カセットステージ20に載置されたカセットCの取出口に対向して配置される。これにより、カセットCに格納されたウェーハWのダイシングフレームFの縁部を把持することが可能になる。
【0097】
図4及び図5に示すように、第1吸着保持機構74は、4つの第1吸着パッド112で構成される。4つの第1吸着パッド112は、ウェーハWのダイシングフレームFの上面部分を吸着保持するように、第1取付ベース82の下面部に取り付けられる。この4つの第1吸着パッド112は、第1取付ベース82の中心を中心とした同心円上に所定の間隔をもって配置され、ダイシングフレームFの上面部を吸着可能に配置される(ウェーハWの中心と第1取付ベース82の中心とを一致させたときにダイシングフレームFの上面部を吸着可能な位置に配置される。)。
【0098】
トレイ76は、第2取付ベース94の上面部に設けられる。このトレイ76は、一対のフレームガイドレール114で構成される。フレームガイドレール114は、L字状に形成され、水平部114Aと垂直部114Bとで構成される。水平部114Aは、XY平面と平行に設けられ、垂直部114Bは、YZ平面と平行に設けられる。一対のフレームガイドレール114は、互いの水平部114Aを内側にして、一定の間隔をもって平行に配置される。カセットCから取り出されたウェーハWは、この平行に配置された一対のフレームガイドレール114の水平部114Aに載置される。
【0099】
位置決め機構78は、トレイ76を構成する一対のフレームガイドレール114を互いに近づく方向/互いに離れる方向に移動させ、その間隔を拡縮させる。この位置決め機構78は、位置決め用ガイドレール116と、ピニオンギア118と、一対のラック120と、位置決め用シリンダ122とを備えて構成される。
【0100】
位置決め用ガイドレール116は、第2取付ベース94の上に設けられる。位置決め用ガイドレール116は、XY平面上をX軸方向に沿って配設される。フレームガイドレール114は、この位置決め用ガイドレール116にガイドされて、X軸方向に移動自在に設けられる。
【0101】
ピニオンギア118は、第2取付ベース94の中央に配置されたピニオンギア支持軸124に回転自在に支持される。ピニオンギア支持軸124は、第2取付ベース94の上面に垂直に立設され、Z軸方向に沿って配設される。
【0102】
一対のラック120は、ピニオンギア118を挟んで位置決め用ガイドレール116と平行に配設される。各ラック120は、ピニオンギア118に噛み合わされるとともに、一端がフレームガイドレール114に連結される。これにより、ピニオンギア118を回転させると、フレームガイドレール114が互いに近づく方向/互いに離れる方向に移動する。
【0103】
位置決め用シリンダ122は、そのシリンダ本体が第2取付ベース94の上に設けられる。位置決め用シリンダ122は、X軸方向に沿って配設され、そのロッドの先端部が、一方のフレームガイドレール114に連結される。
【0104】
位置決め用シリンダ122を駆動すると、一方のフレームガイドレール114がX軸方向に移動する。これにより、一対のフレームガイドレール114が、第2取付ベース94の中心を中心にして、互いに近づく方向/互いに離れる方向に移動して、その間隔が拡縮する。
【0105】
ウェーハWは、フレームガイドレール114の間隔を広げた状態でフレームガイドレール114の水平部114Aの上に載置される。水平部114Aの上に載置されたウェーハWは、フレームガイドレール114の垂直部114Bに挟まれて、位置決め(プリアライメント)される。
【0106】
図6及び図7に示すように、第2吸着保持機構80は、4つの第2吸着パッド126で構成される。4つの第2吸着パッド126は、ウェーハWのダイシングフレームFの上面部分を吸着保持するように、第2取付ベース94の下面部に取り付けられる。この4つの第2吸着パッド126は、第2取付ベース94の中心を中心とした同心円上に所定の間隔をもって配置され、ダイシングフレームFの上面部を吸着可能に配置される(ウェーハWの中心と第2取付ベース94の中心とを一致させたときにダイシングフレームFの上面部を吸着可能な位置に配置される。)。
【0107】
〈レイアウト〉
図8は、供給・回収部、加工部、洗浄部のレイアウトと、搬送部による搬送経路を示す平面図である。
【0108】
同図に示すように、供給・回収部12と洗浄部16は、Y軸と平行な直線L上に配置される。すなわち、カセットステージ20が設置されるワーク供給・回収位置と、ワーク洗浄装置56が設置されるワーク洗浄位置は直線L上に設定される。
【0109】
加工部14は、供給・回収部12と洗浄部16との間に配置される。この加工部14のワーク交換位置は、直線L上に設定されるとともに、ワーク供給・回収位置とワーク洗浄位置との間(ほぼ中間位置)に設定される。また、ワーク加工位置は、ワーク交換位置からX軸方向に所定距離離れた位置に設定される。
【0110】
搬送部18の第1アーム60に設けられたウェーハ把持機構72と第1吸着保持機構74、及び、第2アーム66に設けられたトレイ76と第2吸着保持機構80は、直線L上を移動する。
【0111】
カセットCは、取出口を洗浄部16に向けてカセットステージ20の上に載置される。カセットCに格納されたウェーハWは、取出口からY軸方向に出し入れされる。
【0112】
上記のように、ウェーハ把持機構72のフィンガ104は、フィンガ把持位置に移動することにより、カセットステージ20に載置されたカセットCの取出口に対向して配置される。
【0113】
〈ウェーハの搬送〉
ウェーハWの搬送は、次のように行われる。
【0114】
カセットCに格納されたウェーハWは、第1アーム60に設けられたウェーハ把持機構72によってカセットCから引き出される。ウェーハ把持機構72は、フィンガ104でダイシングフレームFの縁部を把持し、洗浄部16に向けてY軸方向に所定量移動することにより、ウェーハWをカセットCから引き出す。
【0115】
なお、ウェーハ把持機構72がカセットCからウェーハWを引き出す高さ位置は常に一定であり、カセットステージ20が上下方向に移動して、カセットCから引き出すウェーハWの高さ位置を調整する。
【0116】
カセットCから引き出されたウェーハWは、第2アーム66に設けられたトレイ76の上に載置される。なお、トレイ76は、ウェーハWの取り出しに連動して、あらかじめウェーハWが引き出される位置の下に位置している。
【0117】
ウェーハWをトレイ76に載置すると、ウェーハ把持機構72は、フィンガ104をフィンガ退避位置に移動させる。これにより、第1アーム60に設けられた第1吸着保持機構74でウェーハWを保持することが可能になる。
【0118】
トレイ76に載置されたウェーハWは、位置決め機構78によって位置決め(プリアライメント)される。位置決めは、一対のフレームガイドレール114の間隔を狭めることにより行われる。ウェーハWは、一対のフレームガイドレール114の間隔を広げた状態でトレイ76に載置される。ウェーハWが載置された後、この一対のフレームガイドレール114の間隔を狭めることにより、一対のフレームガイドレール114でウェーハWが挟持され、ウェーハWが位置決めされる。一対のフレームガイドレール114は、ウェーハWを位置決めすると、元の位置に戻り、その間隔を広げる。
【0119】
ウェーハWが位置決めされると、第1アーム60に設けられた第1吸着保持機構74によって、トレイ76からウェーハWが回収される。
【0120】
ウェーハWを回収した第1吸着保持機構74は、Y軸方向に移動して、ワーク交換位置に位置したワークテーブル30にウェーハWを搬送する。
【0121】
ウェーハWが搬送されたワークテーブル30は、ウェーハWを受け取った後、ワーク加工位置に向けて移動する。この後、ウェーハWは、ダイシングブレード44A、44Bによって、ダイシング加工される。
【0122】
ダイシング加工が終了すると、ワークテーブル30は、ワーク交換位置に移動する。
【0123】
ワークテーブル30が、ワーク交換位置に移動すると、第2アーム66に設けられた第2吸着保持機構80によって、ワークテーブル30からウェーハWが回収される。
【0124】
ウェーハWを回収した第2吸着保持機構80は、Y軸方向に移動して、ウェーハWをワーク洗浄装置56に搬送する。
【0125】
ウェーハWが搬送されたワーク洗浄装置56は、ウェーハWを受け取った後、そのウェーハWを洗浄処理する。
【0126】
洗浄が完了すると、洗浄後のウェーハWが、第1アーム60に設けられた第1吸着保持機構74によってワーク洗浄装置56から回収される。
【0127】
ウェーハWを回収した第1吸着保持機構74は、Y軸方向に移動して、カセットCの手前の位置であらかじめ待機したトレイ76の上にウェーハWを搬送する。
【0128】
トレイ76に載置されたウェーハWは、位置決め機構78によって位置決めされた後、カセットCの元の位置(そのウェーハWが格納されていた格納室)に格納される。カセットCへの格納は、第1アーム60に設けられたフィンガ104によって、トレイ76に載置されたウェーハWをカセットCに向けて押し込むことにより行われる。
【0129】
なお、このようにトレイ76に載置されたウェーハWは、フィンガ104によってカセットCに向けて押し込むことにより、カセットCに格納できる。したがって、トレイ76は、載置されたウェーハWをカセットCに向けて押し込むことにより、ウェーハWをカセットCに格納できる位置であらかじめ待機する。
【0130】
以上のように、ウェーハWは、第1アーム60に設けられたウェーハ把持機構72によってカセットCから引き出され、第2アーム66に設けられたトレイ76の上に載置された後、トレイ76の上で位置決めされる。そして、位置決めされたウェーハWは、第1アーム60に設けられた第1吸着保持機構74によってトレイ76からワークテーブル30に搬送され、ワークテーブル30によってワーク加工位置に搬送されて、ダイシング加工される。ダイシング加工されたウェーハWは、ワークテーブル30によってワーク交換位置に搬送された後、第2アーム66に設けられた第2吸着保持機構80によってワーク洗浄装置56に搬送され、洗浄処理される。洗浄されたウェーハWは、第1アーム60に設けられた第1吸着保持機構74によって、カセットCの手前まで搬送され、そのカセットCの手前に待機したトレイ76の上に載置される。そして、トレイ76の上で位置決めされた後、第1アーム60に設けられたウェーハ把持機構72によってカセットCの元の位置に格納される。
【0131】
なお、図9に示すように、第1アーム60と第2アーム66は、非動作時、所定の搬送機構退避位置で退避する。この搬送機構退避位置は、XY平面上でワーク洗浄位置と同じ位置に設定される。したがって、第1アーム60と第2アーム66は、ワーク洗浄装置56の上方に退避する。この際、第1アーム60と第2アーム66とは、上下に重なるようにして、搬送機構退避位置に退避する。
【0132】
このように、第1アーム60と第2アーム66を搬送機構退避位置に退避させることにより、加工部14の手前側(装置正面側)の空間が開放され、ダイシングブレード44A、44Bの交換や、ワークテーブル30のメンテナンス等を容易に行うことができる。
【0133】
≪作用≫
以上のように構成される本実施の形態のダイシング装置10によるウェーハWの加工処理は、次のように行われる。
【0134】
まず、加工処理対象のウェーハWが格納されたカセットCをカセットステージ20の上にセットする。上記のように、カセットCは、その取出口を所定の方向(洗浄部16の方向)に向けてカセットステージ20にセットされる。カセットCのセット後、加工処理がスタートされる。
【0135】
まず、1枚目のウェーハWがカセットCから引き出される。上記のように、ウェーハWは、第1アーム60に設けられたウェーハ把持機構72によってカセットCから引き出される。
【0136】
カセットCから引き出されたウェーハWは、第2アーム66に設けられたトレイ76の上に載置される。そして、そのトレイ76の上で位置決め(プリアライメント)される。
【0137】
位置決めされたウェーハWは、次に、第1アーム60に設けられた第1吸着保持機構74によってトレイ76から回収され、ワーク交換位置に位置したワークテーブル30に搬送される。
【0138】
ワークテーブル30は、第1吸着保持機構74によって搬送されたウェーハWを受け取り、吸着保持して、ワーク加工位置に移動する。
【0139】
ワーク加工位置に搬送されたウェーハWは、ダイシングブレード44A、44Bによりダイシング加工される。
【0140】
ウェーハWの加工は、ダイシングブレード44A、44BのY軸方向の位置、高さを調整した後、ダイシングブレード44A、44Bを高速回転させ、この高速回転するダイシングブレード44A、44Bに対して、ワークテーブル30をX軸方向に送ることにより行われる。これにより、ウェーハWの表面に高速回転するダイシングブレード44A、44Bが接触し、ウェーハWがX軸方向に沿って切削される。ダイシングブレード44A、44BのY軸方向の位置をストリート(切断ライン)に合わせて、ワークテーブル30をX軸方向に送ることにより、ウェーハWがストリートに沿って切削される。この処理を繰り返すことにより、ウェーハWがチップに分割される。
【0141】
ウェーハWの加工が終了すると、ワークテーブル30がワーク交換位置に移動する。ワークテーブル30がワーク交換位置に移動すると、第2アーム66に設けられた第2吸着保持機構80よってウェーハWがワークテーブル30から回収される。
【0142】
ワークテーブル30から回収されたウェーハWは、第2アーム66に設けられた第2吸着保持機構80によってワーク洗浄装置56に搬送される。
【0143】
ワーク洗浄装置56は、第2吸着保持機構80からウェーハWを受け取り、洗浄処理する。
【0144】
洗浄が終了すると、第1アーム60に設けられた第1吸着保持機構74によって、洗浄後のウェーハWがワーク洗浄装置56から回収される。
【0145】
第1吸着保持機構74は、回収したウェーハWをカセットCの手前まで搬送し、そのカセットCの手前であらかじめ待機したトレイ76の上にウェーハWを載置する。
【0146】
トレイ76に載置されたウェーハWは、位置決め機構78によって位置決めされた後、第1吸着保持機構74によってカセットCに向けて押し込まれる。これにより、取り出したときと同じ格納室にウェーハWが格納される。
【0147】
以上一連の工程で1枚目のウェーハWの加工処理が終了する。1枚目のウェーハWの加工処理が終了すると、カセットCが所定量上昇する(次に処理するウェーハWをウェーハ把持機構72によって取り出し可能な位置まで上昇する。)。そして、上記同様の手順で2枚目のウェーハWがカセットCから取り出されて加工処理される。
【0148】
本実施の形態のダイシング装置10によれば、カセットCからウェーハWを取り出すためのウェーハ把持機構72と、カセットCから取り出されたウェーハWを載置し、位置決め(プリアライメント)するためのトレイ76とが、それぞれ移動可能に設けられているので、必要なときにのみ移動させて使用することができる。これにより、別途、トレイやウェーハの取り出し機構を設置するためのスペースを確保する必要がなく、装置全体をコンパクト化することができる。
【0149】
また、加工部14のメンテナンス等を行う場合には、邪魔にならない位置に退避させることができるので、メンテナンス作業の作業性を向上させることができる。
【0150】
また、ウェーハ把持機構72が設けられる第1アーム60には、第1吸着保持機構74が設けられ、トレイ76が設けられる第2アーム66には、第2吸着保持機構80が設けられて、ウェーハWの搬送も行うことができるので、搬送機構の簡略化、コンパクト化も図ることができる。
【0151】
また、加工後の汚れたウェーハWは、第2吸着保持機構80で搬送し、汚れていない正常なウェーハWは、専ら第1吸着保持機構74で搬送するように構成されているので、加工前の清浄なウェーハWや洗浄後の清浄なウェーハWを二次的に汚すことなく搬送することができる。
【0152】
[第2の実施の形態]
上記第1の実施の形態では、第1吸着保持機構74が、第1アーム60に固定されているため、ウェーハWを直線Lに沿ってのみ搬送可能に構成されている。同様に、第2吸着保持機構80が、第2アーム66に固定されているため、ウェーハWを直線Lに沿ってのみ搬送可能に構成されている。この場合、装置のレイアウトとしては、ワーク供給・交換位置と、ワーク交換位置と、ワーク洗浄位置とを同一直線上(直線L上)に設定する必要がある。
【0153】
一方、メンテナンスの作業性等を考慮すると、ワーク交換位置とワーク加工位置は、可能な限り近く設定することが好ましい(スピンドルユニットまでのアクセスが容易になり、ダイシングブレードの交換作業等がしやすくなる。)。
【0154】
そこで、本実施の形態のワーク加工装置(ダイシング装置)では、第1吸着保持機構74と第2吸着保持機構80をそれぞれXY平面内でX軸方向に移動可能に設け、ウェーハWをX軸方向にも搬送できるように構成する。
【0155】
以下、上記第1の実施の形態のダイシング装置において、第1吸着保持機構74と第2吸着保持機構80をX軸方向に移動させるための構成について説明する。
【0156】
図10は、第1吸着保持機構をX軸方向に移動させる機構の構成を示す正面図である。また、図11は、第1吸着保持機構をX軸方向に移動させる機構の構成を示す平面図である。
【0157】
同図に示すように、第1吸着保持機構74を構成する4つの第1吸着パッド112は、第1吸着保持機構X送りテーブル130に取り付けられる。
【0158】
第1吸着保持機構X送りテーブル130は、矩形の平板状に形成される。この第1吸着保持機構X送りテーブル130は、第1取付ベース82と平行に設けられ、第1取付ベース82の下部に配置される。
【0159】
第1取付ベース82の下面には、一対の第1吸着保持機構X送りガイドレール132がX軸と平行に敷設される。第1吸着保持機構X送りテーブル130は、この第1吸着保持機構X送りガイドレール132にスライダを介してスライド自在に支持される。
【0160】
一対の第1吸着保持機構X送りガイドレール132の間には、第1吸着保持機構X送り用シリンダ134が配置される。第1吸着保持機構X送り用シリンダ134は、X軸と平行に配設され、そのシリンダ本体が第1取付ベース82の下面に固定される。また、そのシリンダロッドの先端が第1吸着保持機構X送りテーブル130に固定される。
【0161】
4つの第1吸着パッド112は、ウェーハWのダイシングフレームFの上面部分を吸着保持するように、第1吸着保持機構X送りテーブル130の下面部に取り付けられる。この4つの第1吸着パッド112は、第1吸着保持機構X送りテーブル130の中心を中心とした同心円上に所定の間隔をもって配置され、ダイシングフレームFの上面部を吸着可能に配置される(ウェーハWの中心と第1吸着保持機構X送りテーブル130の中心とを一致させたときにダイシングフレームFの上面部を吸着可能な位置に配置される。)。
【0162】
第1吸着保持機構X送り用シリンダ134を駆動すると、第1吸着保持機構X送りテーブル130が、第1吸着保持機構X送りガイドレール132に沿ってスライドし、図12に示すように、X軸方向に移動する。これにより、第1吸着保持機構74をX軸方向に移動させることが可能になり、第1吸着保持機構74によってウェーハWをX軸方向にも搬送することが可能になる。
【0163】
図13は、第2吸着保持機構をX軸方向に移動させる機構の構成を示す平面図である。
【0164】
同図に示すように、第2吸着保持機構80を構成する4つの第2吸着パッド126は、第2吸着保持機構X送りテーブル140に取り付けられる。
【0165】
第2吸着保持機構X送りテーブル140は、矩形の平板状に形成される。この第2吸着保持機構X送りテーブル140は、第2取付ベース94と平行に設けられ、第2取付ベース94の下部に配置される。
【0166】
第2取付ベース94の下面には、一対の第2吸着保持機構X送りガイドレール142がX軸と平行に敷設される。第2吸着保持機構X送りテーブル140は、この第2吸着保持機構X送りガイドレール142にスライダを介してスライド自在に支持される。
【0167】
一対の第2吸着保持機構X送りガイドレール142の間には、第2吸着保持機構X送り用シリンダ144が配置される。第2吸着保持機構X送り用シリンダ144は、X軸と平行に配設され、そのシリンダ本体が第2取付ベース94の下面に固定される。また、そのシリンダロッドの先端が第2吸着保持機構X送りテーブル140に固定される。
【0168】
4つの第2吸着パッド126は、ウェーハWのダイシングフレームFの上面部分を吸着保持するように、第2吸着保持機構X送りテーブル140の下面部に取り付けられる。この4つの第2吸着パッド126は、第2吸着保持機構X送りテーブル140の中心を中心とした同心円上に所定の間隔をもって配置され、ダイシングフレームFの上面部を吸着可能に配置される(ウェーハWの中心と第2吸着保持機構X送りテーブル140の中心とを一致させたときにダイシングフレームFの上面部を吸着可能な位置に配置される。)。
【0169】
第2吸着保持機構X送り用シリンダ144を駆動すると、第2吸着保持機構X送りテーブル140が、第2吸着保持機構X送りガイドレール142に沿ってスライドし、X軸方向に移動する。これにより、第2吸着保持機構80をX軸方向に移動させることが可能になり、第2吸着保持機構80によってウェーハWをX軸方向にも搬送することが可能になる。
【0170】
図14は、第2の実施の形態のダイシング装置における供給・回収部、加工部、洗浄部のレイアウトと、搬送部による搬送経路を示す平面図である。
【0171】
同図に示すように、第1アーム60に設けられる第1吸着保持機構74をX軸方向に移動可能とするとともに、第2アーム66に設けられる第2吸着保持機構80をX軸方向に移動可能に設けることにより、ワーク交換位置をワーク加工位置に近づけて設定することができる。
【0172】
これにより、装置正面からスピンドルユニット32A、32Bまでの距離を短縮することができるとともに、装置正面から装置内部に立ち入れるスペースを形成することができ、装置内部でのメンテナンス作業(たとえば、ダイシングブレードの効果など)の作業性を向上させることができる。
【0173】
[第3の実施の形態]
上記第1、2の実施の形態のダイシング装置では、第1吸着保持機構74を構成する4つの第1吸着パッド112が一定位置に固定して設置されている。同様に、第2吸着保持機構80を構成する4の第2吸着パッド126が一定位置に固定して設置されている。この場合、一定サイズのウェーハWしか搬送することができない。
【0174】
そこで、本実施の形態のダイシング装置では、第1吸着保持機構74及び第2吸着保持機構80において、さまざまなサイズのウェーハWを搬送できるように構成する。
【0175】
以下、上記第2の実施の形態のダイシング装置において、異なるサイズのウェーハWを搬送するための構成について説明する。
【0176】
図15は、吸着保持するウェーハWのサイズを切り替え可能な第1吸着保持機構の構成を示す正面図である。また、図16は、その下面図である。
【0177】
同図に示すように、第1吸着保持機構X送りテーブル130の上面には、一対の第1吸着保持機構サイズ調整用ガイドレール145Aが敷設される。この一対の第1吸着保持機構サイズ調整用ガイドレール145Aは、第1吸着保持機構X送りテーブル130の中心に対して左右対称に配置され、Y軸方向に沿って敷設される。
【0178】
各第1吸着保持機構サイズ調整用ガイドレール145Aには、それぞれ第1吸着保持機構サイズ調整用スライダ146Aが一定のフリクションをもってスライド可能に支持される(一定以上の力を付与することによりスライド可能に支持される。)。
【0179】
また、各第1吸着保持機構サイズ調整用スライダ146Aには、それぞれ第1吸着パッド支持アーム148Aが取り付けられる。第1吸着パッド支持アーム148Aは、矩形の棒状に形成され、第1吸着保持機構サイズ調整用ガイドレール145Aと直交して配置される。
【0180】
第1吸着保持機構74を構成する4つの第1吸着パッド112は、各第1吸着パッド支持アーム148Aに2つずつ配置される。各第1吸着パッド支持アーム148Aに配置される2つの第1吸着パッド112は、所定の間隔をもって配置され、鉛直下向きに取り付けられる。
【0181】
第1吸着保持機構サイズ調整用スライダ146Aを第1吸着保持機構サイズ調整用ガイドレール145Aに沿ってスライドさせることにより、第1吸着パッド支持アーム148AがY軸方向に沿って移動し、この結果、2つの第1吸着パッド112が、Y軸方向に沿って移動する。
【0182】
第1吸着保持機構X送りテーブル130には、この第1吸着パッド112が、Y軸方向に沿って移動できるように、Y軸方向に沿って切欠き149Aが形成される。
【0183】
一対の第1吸着保持機構サイズ調整用スライダ146Aを第1吸着保持機構サイズ調整用ガイドレール145Aに沿ってスライドさせることにより、一対の第1吸着パッド支持アーム148Aの間の間隔が拡大、縮小する。これにより、左右2つずつある第1吸着パッド112の間隔が拡大、縮小し、ウェーハWのサイズ(ダイシングフレームFのサイズ)に応じて、その位置を調整することができる。
【0184】
図17は、吸着保持するウェーハWのサイズを切り替え可能な第2吸着保持機構の構成を示す下面図である。
【0185】
同図に示すように、第2吸着保持機構X送りテーブル140の上面には、一対の第2吸着保持機構サイズ調整用ガイドレール145Bが敷設される。この一対の第2吸着保持機構サイズ調整用ガイドレール145Bは、第2吸着保持機構X送りテーブル140の中心に対して左右対称に配置され、Y軸方向に沿って敷設される。
【0186】
各第2吸着保持機構サイズ調整用ガイドレール145Bには、それぞれ第2吸着保持機構サイズ調整用スライダ146Bが、所定フリクションをもってスライド可能に支持される。
【0187】
また、各第2吸着保持機構サイズ調整用スライダ146Bには、それぞれ第2吸着パッド支持アーム148Bが取り付けられる。第2吸着パッド支持アーム148Bは、矩形の棒状に形成され、第2吸着保持機構サイズ調整用ガイドレール145Bと直交して配置される。
【0188】
第2吸着保持機構80を構成する4つの第2吸着パッド126は、各第2吸着パッド支持アーム148Bに2つずつ配置される。各第2吸着パッド支持アーム148Bに配置される2つの第2吸着パッド126は、所定の間隔をもって配置され、鉛直下向きに取り付けられる。
【0189】
第2吸着保持機構サイズ調整用スライダ146Bを第2吸着保持機構サイズ調整用ガイドレール145Bに沿ってスライドさせることにより、第2吸着パッド支持アーム148BがY軸方向に沿って移動し、この結果、2つの第2吸着パッド126が、Y軸方向に沿って移動する。
【0190】
第2吸着保持機構X送りテーブル140には、この第2吸着パッド126が、Y軸方向に沿って移動できるように、Y軸方向に沿って切欠き149Bが形成される。
【0191】
一対の第2吸着保持機構サイズ調整用スライダ146Bを第2吸着保持機構サイズ調整用ガイドレール145Bに沿ってスライドさせることにより、一対の第2吸着パッド支持アーム148Bの間の間隔が拡大、縮小する。これにより、左右2つずつある第2吸着パッド126の間隔が拡大、縮小し、ウェーハWのサイズ(ダイシングフレームFのサイズ)に応じて、その位置を調整することができる。
【0192】
以上のように構成される第1吸着保持機構及び第2吸着保持機構を用いることにより、異なるサイズのウェーハWを搬送することができる。
【0193】
なお、一般にウェーハのサイズは規格化されている。したがって、ウェーハのサイズに応じて第1吸着パッド及び第2吸着パッドの左右の間隔を一定の間隔で拡大、縮小できるように構成することが好ましい。たとえば、第1吸着保持機構サイズ調整用スライダと第1吸着保持機構サイズ調整用ガイドレールとの間にクリック機構を設け、所定の間隔で第1吸着保持機構サイズ調整用スライダが移動できるように構成する。同様に、第2吸着保持機構サイズ調整用スライダと第2吸着保持機構サイズ調整用ガイドレールとの間にクリック機構を設け、所定の間隔で第2吸着保持機構サイズ調整用スライダが移動できるように構成する。
【0194】
[第4の実施の形態]
本実施の形態では、本発明に係るダイシング装置の外観構成について説明する。
【0195】
図18は、ダイシング装置の外観構成を示す正面図である。また、図19は、ダイシング装置の内部の概略構成を示す平面断面図である。
【0196】
ダイシング装置10は、供給・回収部12の上部空間を除く全体がハウジング150で覆われる。供給・回収部12の上部空間については、カセットCの交換を容易にするため、ハウジング150で覆わずに解放される。
【0197】
カセットステージ20に載置されたカセットCの取出口と対向するハウジング150の壁面150Aには、ウェーハ取出用開口部152が形成される。ウェーハ取出用開口部152には、ウェーハ取出用開口部開閉シャッタ154が設けられる。ウェーハ取出用開口部開閉シャッタ154は、図示しない駆動手段に駆動されて開閉される。このウェーハ取出用開口部開閉シャッタ154は、カセットCからのウェーハWの取り出し、及び、カセットCへのウェーハWの格納に連動して自動で開閉される。
【0198】
また、ハウジング150は、装置正面に正面開口部156が形成される。正面開口部156は、加工部14におけるワークテーブル30の上方空間、及び、洗浄部16におけるワーク洗浄装置56の上方空間を解放するように、装置正面のほぼ上半分に形成される。
【0199】
正面開口部156には、正面扉158が設けられ、この正面扉158によって開閉される。正面扉158は、一方側(図18の右側)の側辺部に設けられた正面扉開閉用ヒンジ158Aを介してハウジング150に取り付けられ、横方向に揺動して正面開口部156を開閉する。この正面扉158は、板状に形成され、装置の内部状況を確認できるように、一部が透明体(ガラス板、アクリル板など)で形成される。また、この正面扉158には、開閉を容易にするため、取手160が設けられる。
【0200】
図20は、正面扉を開いた状態を示すダイシング装置の正面図である。同図に示すように、正面扉158を開けることにより、装置内部へのアクセスが可能になる。これにより、加工部14、洗浄部16及び搬送部18が露出し、これらのメンテナンス等を行うことが可能になる。
【0201】
また、このように装置全体をハウジング150で覆うことにより、動作中の機器(特にダイシングブレード)にオペレータが触れたりするのを防止でき、安全に装置を稼働させることができる。
【0202】
また、加工時に発生するミスト等が周囲に飛散して、周囲を汚染するのを防止できる。
【0203】
一方、供給・回収部12については、外部に露出して設置することにより、カセットCの交換を容易に行うことができる。また、加工中であっても、カセットCの交換を行うことが可能になり、使い勝手を向上させることができる。
【0204】
ところで、上記のように、ダイシング装置では、切削水を供給しながら加工を行うため、ミストが発生する。装置外部へのミストの飛散は、ハウジング150及び正面扉158によって防ぐことができる。
【0205】
一方、装置内部では、ミストが飛散する。一般にダイシング装置には、排気システムが設けられ、内部のミストを吸引できるように構成される。
【0206】
しかしながら、排気システムだけでは、完全にはミストを排除することはできない。ミストが、搬送部18を構成する機器に付着すると、加工前のウェーハWや洗浄後のウェーハWに汚れが付着する。
【0207】
そこで、本実施の形態のダイシング装置には、ハウジング150の内部に隔離壁162が設けられ(図20の斜格子部分)、加工部14が隔離して形成される。
【0208】
隔離壁162は、スピンドルユニット32A、32Bの設置部と搬送部18との間に設けられる。この隔離壁162には、装置正面側から加工部14のメンテナンスを行うことができるように、メンテナンス用開口部164が形成される。
【0209】
メンテナンス用開口部164は、ワークテーブル30の移動経路上に設けられ、装置正面側から加工部14(特にスピンドルユニット32A、32B)にアクセスできるように所定の大きさで形成される。本例では、ワークテーブル30の移動経路上に矩形状に形成されている。
【0210】
メンテナンス用開口部164には、メンテナンス用開口部開閉用シャッタ166が設けられる。メンテナンス用開口部開閉用シャッタ166は、隔離壁162に沿って横方向(Y軸方向)にスライド自在に設けられ、図示しない駆動手段に駆動されて、メンテナンス用開口部164を開閉する。
【0211】
メンテナンス用開口部開閉用シャッタ166は、ウェーハWの加工に連動して開閉する。すなわち、ウェーハWの加工が開始されると閉じられ、加工が終了すると開かれる。ワークテーブル30は、このメンテナンス用開口部開閉用シャッタ166の下を通過して、ワーク加工位置とワーク交換位置との間を移動する。
【0212】
なお、本例では、メンテナンス用開口部開閉用シャッタ166の開閉を図示しない駆動手段で自動的に行う構成としているが、手動で開閉する構成とすることもできる。
【0213】
このように、装置内で加工部14を隔離することにより、加工部14で発生するミストが、洗浄部16や搬送部18に飛散して、加工前のウェーハWを汚したり、洗浄後のウェーハWを汚したりするのを防止することができる。
【0214】
[第5の実施の形態]
上記第2、第3の実施の形態のダイシング装置では、ワーク交換位置をワーク加工位置に近づけて設定し、装置内にオペレータが立ち入れるスペースを形成している。この場合、ハウジング150は、装置正面部において、供給・回収部12と洗浄部16との間に窪みが形成される(天井部は除く。)。そして、このように装置正面部分に窪みが形成されたハウジング150の正面開口部156を板状に形成された正面扉158で閉じると、窪みの部分が開口してしまう。このような開口部が装置にあると、開口部から装置内に塵埃が入り込んだり、また、装置内で発生したミストが、開口部から外部に飛散したりするおそれがある。
【0215】
本実施の形態のダイシング装置では、この開口部を覆う開閉自在なカバーが備えられる。
【0216】
図21は、本実施の形態のダイシング装置の内部の概略構成を示す平面図である。
【0217】
同図に示すように、ハウジング150の正面部に形成される窪み170と、正面扉158との間には開口部172が形成される。カバー174は、この開口部172を覆うように形成される。本例では、開口部172は矩形状に形成される。カバー174は、この矩形の開口部172よりも一回り大きな矩形の板状に形成される。
【0218】
カバー174は、図22に示すように、ヒンジ176を介して、ハウジング150に取り付けられる。カバー174は、このヒンジ176によってY軸と平行な軸の周りを揺動自在に設けられる。
【0219】
図22(a)及び図23は、カバー174を閉じた状態を示している。また、図22(b)及び図24は、カバー174を開いた状態を示している。
【0220】
図22(a)及び図23に示すように、カバー174は、閉じたとき、その左右両縁部が供給・回収部12及び洗浄部16を構成するフレームの縁部に載置される。これにより、水平に支持されて、開口部172を遮蔽する。
【0221】
図22(b)及び図24に示すように、開いたカバー174は、180度回転して、水平に支持される。この時、カバー174は、ワークテーブル30の走行経路の両サイドに配置されたフレーム178の上に載置されて、水平に支持される。ワークテーブル30は、ワーク交換位置に位置したとき、この開かれたカバー174の下に配置される。
【0222】
ダイシング装置の運転中、カバー174は閉じられる。これにより、開口部172から装置内に塵埃が入り込んだり、装置内で発生したミストが装置外に飛散するのを防止できる。
【0223】
また、このカバー174は、ウェーハWの搬送経路上に配置されるため、たとえば、加工後のウェーハWに付着した切削水等が、落下した場合には、このカバー174で受けることができる。これにより、開口部172の下部が汚れるのを防止することができる。
【0224】
また、開口部172をカバー174で覆うことにより、巻き込み等を有効に防止でき、装置を安全に稼働させることができる。
【0225】
一方、メンテナンス時などは、カバー174を開ける。これにより、オペレータが装置内に立ち入る空間を確保することができる。
【0226】
また、開けられたカバー174は、ワーク交換位置に位置したワークテーブル30の上部を覆うようにして水平に配置されるため、オペレータがワークテーブルに接触するのを防止することができる。
【0227】
また、水平に支持されたカバー174は、メンテナンス時に工具等を一時的に載置するトレイとして使用することができる。これにより、メンテナンス時の作業性を向上させることができる。
【0228】
図25は、カバーの他の例を示す概略構成図である。同図に示すように、この例のカバー174は、3枚の板材174A、174B、174Cで構成される。
【0229】
3枚の板材174A、174B、174Cは、それぞれ同じサイズの矩形状の平板で構成され、隣り合う板材同士が連結用ヒンジ180で連結されて、折り畳み可能に形成される。
【0230】
折り畳み可能に連結されたカバー174は、一端に位置する板材174Aがヒンジ176を介して、ハウジング150に取り付けられる。
【0231】
図25(a)及び図26は、カバー174を閉じた状態を示している。また、図25(b)及び図27は、カバー174を開いた状態を示している。
【0232】
図25(a)及び図26に示すように、カバー174は、折り畳まれた状態で閉じられる。このとき、最下層に位置する板材174Aの左右両縁部が供給・回収部12及び洗浄部16を構成するフレームの縁部に載置される。これにより、水平に支持されて、開口部172を遮蔽する。
【0233】
図25(b)及び図27に示すように、カバー174は、展開された状態で開かれ、ワークテーブル30の走行経路の両サイドに配置されたフレーム178の上に載置されて、水平に支持される。ワークテーブル30は、ワーク交換位置に位置したとき、この開かれたカバー174の下に配置される。
【0234】
このように、カバー174を折り畳み可能に形成することにより、カバー174を開いたとき、より広範囲にワークテーブル30の移動経路をカバー174で覆うことができる。これにより、メンテナンス時の作業性を更に向上させることができる。
【0235】
なお、本例では、カバー174をハウジング150にヒンジ176で取り付けているが、着脱自在に設け、着脱して開口部172を開閉する構成とすることもできる。また、たとえば、X軸方向にスライド自在に設け、スライドさせて開口部172を開閉する構成とすることもできる。
【0236】
[第6の実施の形態]
図28、図29は、それぞれダイシング装置の第6の実施の形態の概略構成を示す正面図と平面図である。
【0237】
同図に示すように、本実施の形態のダイシング装置には、第1吸着保持機構74によって搬送されるウェーハWを撮像するためのラインスキャナ190が備えられている。
【0238】
ラインスキャナ190は、洗浄部16の上方に配置され、ウェーハWの搬送方向と直交する方向(X軸方向)に沿って配置される。
【0239】
洗浄部16で洗浄されたウェーハWは、第1吸着保持機構74に吸着保持されて搬送される過程でダイシングテープ越しに裏面が、ラインスキャナ190によって撮像される(読み取られる。)。
【0240】
ラインスキャナ190で撮像されたウェーハWの画像データは、図示しないダイシング装置の制御部(マイコン)に出力される。制御部は、得られた画像データを解析し、加工状態等を検出する。
【0241】
このように、本実施の形態のダイシング装置によれば、搬送部18で搬送されるウェーハWを搬送過程で撮像することができる。これにより、加工状態を効率よく把握することができる。
【0242】
なお、本例では、ラインスキャナで撮像する構成としているが、電子カメラで撮像する構成とすることもできる。また、ウェーハWの全面ではなく、一部のみを撮像する構成とすることもできる。
【0243】
また、本例では、第1吸着保持機構74によって吸着保持されて搬送されるウェーハWを撮像する構成としているが、その他の搬送手段で搬送されるウェーハWを撮像するようにしてもよい。また、複数か所に撮像手段を設置し、複数個所でウェーハWを撮像できるようにしてもよい。
【0244】
≪その他の実施の形態≫
上記各実施の形態では、本発明をブレード式のダイシング装置に適用した場合を例に説明したが、いわゆるレーザ方式のダイシング装置にも本発明は適用することができる。
【0245】
また、搬送部の構成については、他の加工装置にも同様に適用することができる。
【0246】
また、上記実施の形態では、ハウジングがほぼ直方体形状に形成されているが、ハウジングの形状は、これに限定されるものではない。たとえば、図30に示すように、背面部を直角二等辺三角形状に形成する構成とすることもできる。
【0247】
また、上記実施の形態では、ワークテーブルから洗浄装置へのウェーハの搬送(加工後のウェーハの搬送)を第2アームに備えられた第2吸着保持機構で行う構成としているが、加工後のウェーハの搬送については、別の搬送機構で行う構成とすることもできる。
【0248】
また、上記実施の形態では、トレイからワークテーブルへのウェーハの搬送(加工前のウェーハの搬送)を第1アームに備えられた第1吸着保持機構で行う構成としているが、加工前のウェーハの搬送については、別の搬送機構で行う構成とすることもできる。
【符号の説明】
【0249】
10…ワーク加工装置(ダイシング装置)、12…供給・回収部、14…加工部、16…洗浄部、18…搬送部、20…カセットステージ、22…カセットステージ昇降機構、24…位置決め枠、30…ワークテーブル、32A、32B…スピンドルユニット、34A、34B…スピンドルユニットY送り機構、36A、36B…スピンドルユニットZ送り機構、38…撮像ユニット、38A…撮像ユニット支持ブラケット、40A、40B…スピンドルユニット本体、42A、42B…主軸、44A、44B…ダイシングブレード、46A、46B…スピンドルユニットY送りテーブル、48A、48B…スピンドルユニットY送りガイドレール、50…スピンドルユニット支持フレーム、52A、52B…スピンドルユニットZ送りテーブル、54A、54B…スピンドルユニットZ送りガイドレール、56…ワーク洗浄装置、60…第1アーム、62…第1アームY移動機構、64…第1アームZ移動機構、66…第2アーム、68…第2アームY移動機構、70…第2アームZ移動機構、72…ウェーハ把持機構、74…第1吸着保持機構、76…トレイ、78…位置決め機構、80…第2吸着保持機構、82…第1取付ベース、84…第1アームY移動テーブル、86…第1アームY移動ガイドレール、88…搬送部支持フレーム、88A…前支持面、88B…後支持面、90…第1アームZスライドロッド、92…第1アームZスライドロッド支持部、94…第2取付ベース、96…第2アームY移動テーブル、98…第2アームY移動ガイドレール、100…第2アームZスライドロッド、102…第2アームZスライドロッド支持部、104…フィンガ、104A…フィンガ本体、104B…把持爪、106…フィンガ揺動アーム、106A…回転軸、108…フィンガ揺動アーム支持ブラケット、110…フィンガ移動モータ、112…第1吸着パッド、114…フレームガイドレール、114A…水平部、114B…垂直部、116…位置決め用ガイドレール、118…ピニオンギア、120…ラック、122…位置決め用シリンダ、124…ピニオンギア支持軸、126…第2吸着パッド、130…第1吸着保持機構X送りテーブル、132…第1吸着保持機構X送りガイドレール、134…第1吸着保持機構X送り用シリンダ、140…第2吸着保持機構X送りテーブル、142…第2吸着保持機構X送りガイドレール、144…第2吸着保持機構X送り用シリンダ、145A…第1吸着保持機構サイズ調整用ガイドレール、145B…第2吸着保持機構サイズ調整用ガイドレール、146A…第1吸着保持機構サイズ調整用スライダ、146B…第2吸着保持機構サイズ調整用スライダ、148A…第1吸着パッド支持アーム、148B…第2吸着パッド支持アーム、149A、149B…切欠き、150…ハウジング、150A…壁面、152…ウェーハ取出用開口部、154…ウェーハ取出用開口部開閉シャッタ、156…正面開口部、158…正面扉、158A…正面扉開閉用ヒンジ、160…取手、162…隔離壁、164…メンテナンス用開口部、166…メンテナンス用開口部開閉用シャッタ、170…窪み、172…開口部、174…カバー、174A、174B、174C…板材、176…ヒンジ、178…フレーム、180…連結用ヒンジ、190…ラインスキャナ、C…カセット、W…ウェーハ、F…ダイシングフレーム、T…ダイシングテープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カセットに格納された板状のワークを前記カセットに形成された取出口から所定の取出方向に引き出して取り出し、所定の搬送位置に搬送するワーク搬送装置において、
前記取出方向と平行な方向に水平移動するとともに、前記取出方向と直交する方向に垂直移動する第1移動手段と、
前記取出方向と平行な方向に水平移動するとともに、前記取出方向と直交する方向に垂直移動する第2移動手段と、
前記第1移動手段に設けられ、前記ワークの縁部を把持する把持手段と、
前記第1移動手段に設けられ、前記ワークの上面を吸着保持する吸着保持手段と、
前記第2移動手段に設けられ、前記ワークが載置されるトレイと、
前記トレイに設けられ、前記トレイに載置された前記ワークを所定の基準位置に位置決めする位置決め手段と、
を備え、
前記カセットに格納された前記ワークの縁部を前記把持手段で把持して、前記把持手段を移動させることにより、前記ワークを前記カセットから取り出し、
前記カセットから取り出された前記ワークの下方に前記トレイを移動させて、前記カセットから取り出した前記ワークを前記トレイに載置し、
前記トレイに載置された前記ワークを前記位置決め手段で位置決めし、
位置決めされた前記ワークの上方に前記吸着保持手段を移動させて、位置決めされた前記ワークの上面を前記吸着保持手段で保持し、
前記吸着保持手段を移動させることにより、前記ワークを前記搬送位置に搬送することを特徴とするワーク搬送装置。
【請求項2】
前記第1移動手段に設けられ、前記吸着保持手段を前記取出方向と直交する方向に水平移動させる第3移動手段を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載のワーク搬送装置。
【請求項3】
前記吸着保持手段は、前記ワークの上面の少なくとも2箇所を吸着する吸着パッドと、前記ワークのサイズに応じて前記吸着パッドの間隔を調整するサイズ調整手段と、を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のワーク搬送装置。
【請求項4】
前記吸着保持手段に上面を吸着保持されて搬送される前記ワークを撮像する撮像手段を更に備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のワーク搬送装置。
【請求項5】
カセットに格納された板状のワークを前記カセットに形成された取出口から所定の取出方向に引き出して取り出し、所定の第1搬送位置に搬送するとともに、前記第1搬送位置から所定の第2搬送位置に搬送するワーク搬送装置において、
前記取出方向と平行な方向に水平移動するとともに、前記取出方向と直交する方向に垂直移動する第1移動手段と、
前記取出方向と平行な方向に水平移動するとともに、前記取出方向と直交する方向に垂直移動する第2移動手段と、
前記第1移動手段に設けられ、前記ワークの縁部を把持する把持手段と、
前記第1移動手段に設けられ、前記ワークの上面を吸着保持する第1吸着保持手段と、
前記第2移動手段に設けられ、前記ワークが載置されるトレイと、
前記トレイに設けられ、前記トレイに載置された前記ワークを所定の基準位置に位置決めする位置決め手段と、
前記第2移動手段に設けられ、前記ワークの上面を吸着保持する第2吸着保持手段と、
を備え、
前記カセットに格納された前記ワークの縁部を前記把持手段で把持して、前記把持手段を移動させることにより、前記ワークを前記カセットから取り出し、
前記カセットから取り出された前記ワークの下方に前記トレイを移動させて、前記カセットから取り出した前記ワークを前記トレイに載置し、
前記トレイに載置された前記ワークを前記位置決め手段で位置決めし、
位置決めされた前記ワークの上方に前記第1吸着保持手段を移動させて、位置決めされた前記ワークの上面を前記第1吸着保持手段で保持し、
前記第1吸着保持手段を移動させることにより、前記ワークを前記第1搬送位置に搬送し、
前記第1搬送位置の上方に前記第2吸着保持手段を移動させて、前記第1搬送位置にある前記ワークの上面を前記第2吸着保持手段で保持し、
前記第2吸着保持手段を移動させることにより、前記ワークを前記第2搬送位置に搬送することを特徴とするワーク搬送装置。
【請求項6】
前記第1移動手段に設けられ、前記第1吸着保持手段を前記取出方向と直交する方向に水平移動させる第3移動手段と、
前記第2移動手段に設けられ、前記第2吸着保持手段を前記取出方向と直交する方向に水平移動させる第4移動手段と、
を更に備えたことを特徴とする請求項5に記載のワーク搬送装置。
【請求項7】
前記1吸着保持手段は、前記ワークの上面の少なくとも2箇所を吸着する吸着パッドと、前記ワークのサイズに応じて前記吸着パッドの間隔を調整するサイズ調整手段と、を備え、
前記2吸着保持手段は、前記ワークの上面の少なくとも2箇所を吸着する吸着パッドと、前記ワークのサイズに応じて前記吸着パッドの間隔を調整するサイズ調整手段と、を備えることを特徴とする請求項5又は6に記載のワーク搬送装置。
【請求項8】
前記1吸着保持手段又は前記第2吸着保持手段に上面を吸着保持されて搬送される前記ワークを撮像する撮像手段を更に備えたことを特徴とする請求項5から7のいずれか1項に記載のワーク搬送装置。
【請求項9】
内部に格納された板状のワークが、所定の取出口から所定方向に引き出されて取り出されるカセットと、
前記ワークが前記取出口から所定の取出方向に引き出されて取り出されるように前記カセットが載置されるカセットステージと、
前記取出方向と平行な方向に水平移動するとともに、前記取出方向と直交する方向に垂直移動する第1移動手段と、
前記取出方向と平行な方向に水平移動するとともに、前記取出方向と直交する方向に垂直移動する第2移動手段と、
前記第1移動手段に設けられ、前記ワークの縁部を把持する把持手段と、
前記第1移動手段に設けられ、前記ワークの上面を吸着保持する吸着保持手段と、
前記第2移動手段に設けられ、前記ワークが載置されるトレイと、
前記トレイに設けられ、前記トレイに載置された前記ワークを所定の基準位置に位置決めする位置決め手段と、
前記ワークが載置され、ワーク交換位置とワーク加工位置との間を移動するワークテーブルと、
前記ワーク加工位置に移動した前記ワークテーブル上の前記ワークを加工する加工手段と、
を備え、
前記カセットに格納された前記ワークの縁部を前記把持手段で把持して、前記把持手段を移動させることにより、前記ワークを前記カセットから取り出し、
前記カセットから取り出された前記ワークの下方に前記トレイを移動させて、前記カセットから取り出した前記ワークを前記トレイに載置し、
前記トレイに載置された前記ワークを前記位置決め手段で位置決めし、
位置決めされた前記ワークの上方に前記吸着保持手段を移動させて、位置決めされた前記ワークの上面を前記吸着保持手段で保持し、
前記吸着保持手段を移動させることにより、前記ワークを前記ワーク交換位置に位置した前記ワークテーブルの上に搬送することを特徴とするワーク加工装置。
【請求項10】
前記第1移動手段に設けられ、前記吸着保持手段を前記取出方向と直交する方向に水平移動させる第3移動手段を更に備えたことを特徴とする請求項9に記載のワーク加工装置。
【請求項11】
前記吸着保持手段は、前記ワークの上面の少なくとも2箇所を吸着する吸着パッドと、前記ワークのサイズに応じて前記吸着パッドの間隔を調整するサイズ調整手段と、を備えることを特徴とする請求項9又は10に記載のワーク加工装置。
【請求項12】
前記吸着保持手段に上面を吸着保持されて搬送される前記ワークを撮像する撮像手段を更に備えたことを特徴とする請求項9から11のいずれか1項に記載のワーク加工装置。
【請求項13】
内部に格納された板状のワークが、所定の取出口から所定方向に引き出されて取り出されるカセットと、
前記ワークが前記取出口から所定の取出方向に引き出されて取り出されるように前記カセットが載置されるカセットステージと、
前記取出方向と平行な方向に水平移動するとともに、前記取出方向と直交する方向に垂直移動する第1移動手段と、
前記取出方向と平行な方向に水平移動するとともに、前記取出方向と直交する方向に垂直移動する第2移動手段と、
前記第1移動手段に設けられ、前記ワークの縁部を把持する把持手段と、
前記第1移動手段に設けられ、前記ワークの上面を吸着保持する第1吸着保持手段と、
前記第2移動手段に設けられ、前記ワークが載置されるトレイと、
前記トレイに設けられ、前記トレイに載置された前記ワークを所定の基準位置に位置決めする位置決め手段と、
前記第2移動手段に設けられ、前記ワークの上面を吸着保持する第2吸着保持手段と、
前記ワークが載置され、ワーク交換位置とワーク加工位置との間を移動するワークテーブルと、
前記ワーク加工位置に移動した前記ワークテーブル上の前記ワークを加工する加工手段と、
所定の後処理位置に設置され、加工後の前記ワークを後処理する後処理手段と、
を備え、
前記カセットに格納された前記ワークの縁部を前記把持手段で把持して、前記把持手段を移動させることにより、前記ワークを前記カセットから取り出し、
前記カセットから取り出された前記ワークの下方に前記トレイを移動させて、前記カセットから取り出した前記ワークを前記トレイに載置し、
前記トレイに載置された前記ワークを前記位置決め手段で位置決めし、
位置決めされた前記ワークの上方に前記第1吸着保持手段を移動させて、位置決めされた前記ワークの上面を前記第1吸着保持手段で保持し、
前記第1吸着保持手段を移動させることにより、前記ワークを前記ワーク交換位置に位置した前記ワークテーブルの上に搬送し、
前記ワーク交換位置に位置した前記ワークテーブルの上方に前記第2吸着保持手段を移動させて、前記ワーク交換位置に位置した前記ワークテーブル上の前記ワークの上面を前記第2吸着保持手段で保持し、
前記第2吸着保持手段を移動させることにより、前記ワークを後処理手段に搬送することを特徴とするワーク加工装置。
【請求項14】
前記第1移動手段に設けられ、前記第1吸着保持手段を前記取出方向と直交する方向に水平移動させる第3移動手段と、
前記第2移動手段に設けられ、前記第2吸着保持手段を前記取出方向と直交する方向に水平移動させる第4移動手段と、
を更に備えたことを特徴とする請求項13に記載のワーク加工装置。
【請求項15】
前記1吸着保持手段は、前記ワークの上面の少なくとも2箇所を吸着する吸着パッドと、前記ワークのサイズに応じて前記吸着パッドの間隔を調整するサイズ調整手段と、を備え、
前記2吸着保持手段は、前記ワークの上面の少なくとも2箇所を吸着する吸着パッドと、前記ワークのサイズに応じて前記吸着パッドの間隔を調整するサイズ調整手段と、を備えることを特徴とする請求項13又は14に記載のワーク加工装置。
【請求項16】
前記後処理位置は、前記ワークを前記カセットから引き出す際の前記ワークの移動経路の延長線上に設定され、前記ワーク交換位置は、前記カセットステージと前記後処理手段の間であって、前記延長線上の位置から前記ワーク加工位置側にズレた位置に設定されることを特徴とする請求項13から15のいずれか1項に記載のワーク加工装置。
【請求項17】
前記1吸着保持手段又は前記第2吸着保持手段に上面を吸着保持されて搬送される前記ワークを撮像する撮像手段を更に備えたことを特徴とする請求項13から16のいずれか1項に記載のワーク加工装置。
【請求項18】
前記後処理手段は、前記加工後のワークを洗浄することを特徴とする請求項13から17のいずれか1項に記載のワーク加工装置。
【請求項19】
前記加工手段は、環状のフレームにテープを介してマウントされたウェーハを回転するダイシングブレードでチップに分割する手段であることを特徴とする請求項13から18のいずれか1項に記載のワーク加工装置。
【請求項20】
前記ワーク交換位置と前記ワーク加工位置との間に開閉自在なシャッタが更に設けられ、前記加工手段が隔離可能であることを特徴とする請求項13から19のいずれか1項に記載のワーク加工装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2012−222231(P2012−222231A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−88293(P2011−88293)
【出願日】平成23年4月12日(2011.4.12)
【出願人】(000151494)株式会社東京精密 (592)
【Fターム(参考)】