説明

位相検出装置、位相検出方法、再生装置及び再生方法

【課題】
記録媒体から再生される再生信号とクロック信号との位相差を正確に検出することが可能な位相検出装置、位相検出方法、該位相検出装置を備えた再生装置、再生方法を提供する。
【解決手段】
位相同期回路39がリミット位相ディテクタ41を備えるので、例えば図4に示すゼロクロスのタイミング(C)が検出されたとき(ST605でYES)、クロックカウンタ47によるカウント値と所定の値とを比較し(ST606)、カウント値が所定の値より小さいときに(ST606でNO)Cから次のクロックの立ち上がりまでの間、位相カウンタ51をイネブルでない状態とすることができる。つまり、リミット位相ディテクタ41(の位相カウンタ51)の出力を無効にすることができる。この結果、例えばノイズ等の影響を受け易い所定カウント値より小さいパルス幅のRF信号(入力信号)に基づき位相エラー信号が求められることを防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば記録媒体からの再生信号を用いてクロック信号を再生するために用いられる位相検出装置、位相検出方法、再生装置及び再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光ディスク装置などにおいて記録媒体から信号を再生するとき、一般に光ディスク装置内のPLL(Phase Locked Loop)などを用いて、クロックを再生している。その際、PLLの位相検出器は、例えば再生信号のゼロクロス時点(再生信号がDCレベルと交差するタイミング)をチェックし、このゼロクロス時点と参照クロックの位相と比較して、位相エラー信号を作っている(特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2002−64379号公報(段落[0017]、図1)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1の技術では、例えばマイクロリフレクター(Micro−Reflector)などの光ディスクを再生すると、光ディスク装置の光学系の伝達特性の影響により、一般的に短いマークおよびスペースから得られる再生信号の振幅は他のマークから得られる再生信号に比べて小さくなってしまう。例えばBlu−Rayや現在のマイクロリフレクターで用いられている17pp変調の場合、マークおよびスペースの長さは2Tから9Tまで変化する。しかし、マークおよびスペースの長さを短くしてマイクロリフレクターの記録密度を高めていくと、最も短い2Tマークおよび2Tスペースから得られる再生信号の振幅は限りなく小さくなってしまう。このような振幅の小さい信号では、ノイズの影響を受けやすくなり位相の検出誤差が大きくなる。
【0004】
また、17pp変調など従来光ディスクで用いられる変調方式では、2Tのような短いマークやスペースの出現頻度が高く、ノイズの影響を大きく受けた位相エラー信号が高い頻度でPLLに入力される。このため、PLLがLockした状態からはずれる可能性がある。
【0005】
PLLを構成するループフィルタ(Loop Filter)のカットオフ周波数を下げることにより、位相ノイズの影響を小さくすることができるが、PLLの応答特性が悪化し、収束時間などの特性も悪くなってしまう。
【0006】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、記録媒体から再生される再生信号とクロック信号との位相差を正確に検出することが可能な位相検出装置、位相検出方法、該位相検出装置を備えた再生装置、再生方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る位相検出装置は、記録マークが設けられた記録媒体にレーザ光を照射する照射手段と、前記記録マークからの再生光を受光し電気信号を再生する再生手段と、前記再生手段で再生された再生信号とこの再生信号から生成されたクロック信号との位相を比較して位相差信号を出力する位相比較手段と、前記再生手段で再生された再生信号の波形に基づき、前記位相比較手段の出力の有効期間を制限する制限手段とを具備する。
【0008】
本発明では、照射手段により記録マークが設けられた記録媒体にレーザ光を照射し、再生手段により、記録マークからの再生光を受光し電気信号を再生し、位相比較手段により、再生手段で再生された再生信号とこの再生信号から生成されたクロック信号との位相を比較して位相差信号を出力することができる。このとき、制限手段により、再生手段で再生された再生信号の波形に基づき、位相比較手段の出力の有効期間を制限することができる。制限手段により、例えばノイズの影響を受けた再生信号の波形に基づき選択的に位相比較手段の出力を無効にすることができる。これにより、例えばノイズの影響を受けていない再生信号とクロック信号との位相差を正確に検出することができる。
【0009】
前記制限手段は、前記クロック信号のクロック数をカウントするカウンタと、前記再生信号のレベルがゼロとなるタイミングを検出すると共に、前記クロック数をリセットするゼロクロス検出手段と、前記カウンタによるカウント値と所定の値とを比較する比較手段と、前記ゼロクロス検出手段により前記タイミングが検出されたとき、前記比較手段による比較の結果、カウント値が所定の値より小さいことが判定されたときから次の前記クロック信号の立ち上がりまでの間、前記位相比較手段の出力を無効にする切り替え手段とを有するようにしてもよい。
【0010】
これにより、ゼロクロス検出手段により再生信号のレベルがゼロとなるタイミングが検出されたとき、比較手段による比較の結果、カウント値が所定の値より小さいことが判定されたときから次のクロック信号の立ち上がりまでの間、位相比較手段の出力を無効にすることができる。
【0011】
前記制限手段は、前記再生信号のレベルがゼロとなるタイミングを検出するゼロクロス検出手段と、前記再生信号のレベルが所定レベル未満であるかを判定する判定手段と、前記ゼロクロス検出手段により前記再生信号のレベルがゼロとなる第1のタイミングから次に前記再生信号のレベルがゼロとなる第2のタイミングまでの間、前記再生信号のレベルが所定レベル未満であったときに、前記第2のタイミングから次の前記クロック信号の立ち上がりまでの間、前記位相比較手段の出力を無効にする切り替え手段とを有するようにしてもよい。
【0012】
これにより、ゼロクロス検出手段により再生信号のレベルがゼロとなる第1のタイミングから次に再生信号のレベルがゼロとなる第2のタイミングまでの間、再生信号のレベルが所定レベル未満であったときに、第2のタイミングから次のクロック信号の立ち上がりまでの間、位相比較手段の出力を無効にすることができる。
【0013】
前記制限手段は、前記再生信号のレベルがゼロとなるタイミングを検出するゼロクロス検出手段と、前記再生信号のレベルがゼロとなる第1のタイミングでの前記再生信号のレベルの変化率が所定の値未満であるかを判定する判定手段と、前記ゼロクロス検出手段により前記再生信号のレベルがゼロとなる第1のタイミングでの前記再生信号のレベルの変化率が所定の値未満であったときから次の前記クロック信号の立ち上がりまでの間、前記位相比較手段の出力を無効にする切り替え手段とを有するようにしてもよい。
【0014】
これにより、ゼロクロス検出手段により再生信号のレベルがゼロとなる第1のタイミングでの再生信号のレベルの変化率が所定の値未満であったときから次のクロック信号の立ち上がりまでの間、位相比較手段の出力を無効にすることができる。
【0015】
本発明に係る位相検出方法は、記録マークが設けられた記録媒体にレーザ光を照射し、前記記録マークからの再生光を受光し電気信号を再生し、前記再生された再生信号とこの再生信号から生成されたクロック信号との位相を比較して位相差信号を出力し、前記再生された再生信号の波形に基づき、前記位相差信号の有効期間を制限する。
【0016】
本発明では、記録マークが設けられた記録媒体にレーザ光を照射し、記録マークからの再生光を受光し電気信号を再生し、再生された再生信号とこの再生信号から生成されたクロック信号との位相を比較して位相差信号を出力することができる。このとき、再生された再生信号の波形に基づき、位相差信号の有効期間を制限することができる。例えばノイズの影響を受けた再生信号の波形に基づき選択的に位相差信号を無効にすることができる。これにより、例えばノイズの影響を受けていない再生信号とクロック信号との位相差を正確に検出することができる。
【0017】
本発明に係る再生装置は、記録マークが設けられた記録媒体にレーザ光を照射する照射手段と、前記記録マークからの再生光を受光し電気信号を再生する再生手段と、前記再生手段で再生された再生信号とこの再生信号から生成されたクロック信号との位相を比較して位相差信号を出力する位相比較手段と、前記再生手段で再生された再生信号の波形に基づき、前記位相比較手段の出力の有効期間を制限する制限手段と、前記クロック信号と前記再生信号とに基づき、二値のデータ信号を発生するデータ信号発生手段とを具備する。
【0018】
本発明では、照射手段により記録マークが設けられた記録媒体にレーザ光を照射し、再生手段により、記録マークからの再生光を受光し電気信号を再生し、位相比較手段により、再生手段で再生された再生信号とこの再生信号から生成されたクロック信号との位相を比較して位相差信号を出力することができる。このとき、制限手段により、再生手段で再生された再生信号の波形に基づき、位相比較手段の出力の有効期間を制限することができる。制限手段により、例えばノイズの影響を受けた再生信号の波形に基づき選択的に位相比較手段の出力を無効にすることができる。これにより、例えばノイズの影響を受けていない再生信号とクロック信号との位相差を正確に検出することができる。この結果、データ信号発生手段により、クロック信号と再生信号とに基づき、正確な二値のデータ信号を発生することができる。
【0019】
本発明に係る再生方法は、記録マークが設けられた記録媒体にレーザ光を照射し、前記記録マークからの再生光を受光し電気信号を再生し、前記再生された再生信号とこの再生信号から生成されたクロック信号との位相を比較して位相差信号を出力し、前記再生された再生信号の波形に基づき、前記位相差信号の有効期間を制限し、前記クロック信号と前記再生信号とに基づき、二値のデータ信号を発生する。
【0020】
本発明では、記録マークが設けられた記録媒体にレーザ光を照射し、記録マークからの再生光を受光し電気信号を再生し、再生された再生信号とこの再生信号から生成されたクロック信号との位相を比較して位相差信号を出力することができる。このとき、再生された再生信号の波形に基づき、位相差信号の有効期間を制限することができる。例えばノイズの影響を受けた再生信号の波形に基づき選択的に位相差信号を無効にすることができる。これにより、例えばノイズの影響を受けていない再生信号とクロック信号との位相差を正確に検出することができる。この結果、クロック信号と再生信号とに基づき、正確な二値のデータ信号を発生することができる。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明によれば、記録媒体から再生される再生信号とクロック信号との位相差を正確に検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
(第1の実施の形態)
図1は本発明の一実施形態に係る再生装置1のブロック図である。
【0023】
再生装置1は、同図に示すように、制御部2、駆動制御部3、信号処理部4、スピンドルモータ5、スレッドモータ6及び光ピックアップ7を備えている。
【0024】
制御部2は、光ディスク10が装填された状態で、図示しない外部機器から再生命令及び再生アドレス情報を受け取り、駆動制御部3に対して駆動命令を供給すると共に、再生命令を信号処理部4に供給する。また、制御部2は、信号処理部4からの再生情報を受け取り図示しない外部機器へ送出する。
【0025】
駆動制御部3は、駆動命令に従い、スピンドルモータ5を駆動制御することにより光ディスク10を所定の回転速度で回転させる。駆動制御部3は、駆動命令に従い、スレッドモータ6を駆動制御する。これにより、光ピックアップ7を移動軸8に沿って再生アドレス情報に対応した位置に移動させる。
【0026】
信号処理部4は、光ピックアップ7が光ディスク10から読み取った信号に対して復調処理等を施すことにより再生信号を生成し、この再生信号を制御部2に供給する。
【0027】
光ピックアップ7は、例えば光ディスク10に対して一面側から焦点を合わせて光を照射するために、移動軸8に設けられている。
【0028】
図2は再生装置1の光ピックアップ7の構成を示すブロック図である。
同図に示すように、再生装置1の光ピックアップ7は、情報光学系11と、サーボ光学系12と、例えば情報光学系11からのRF信号の処理を実行する信号処理部13とを備えている。
【0029】
情報光学系11は、レーザダイオード15、集光レンズ16、偏光板17、ビームスプリッタ18、偏光板19、リレーレンズ20、ダイクロイックプリズム21、対物レンズ22、対物レンズアクチュエータ23、集光レンズ24及びフォトディテクタ25を備えている。
【0030】
レーザダイオード15は、図2に示すように、例えば波長約405nmの発散光である所定光量の青色レーザ光Lbを集光レンズ16に向けて照射する。
【0031】
集光レンズ16は、青色レーザ光Lbを発散光から平行光に変換し、平行光を偏光板17に入射させる。
【0032】
偏光板17は、集光レンズ16から入射した青色レーザ光Lbの特定の偏向成分を透過する。
【0033】
ビームスプリッタ18は、偏光板17を透過した青色レーザ光Lbを偏光板19に入射させる。
【0034】
偏光板19は、ビームスプリッタ18からの青色レーザ光Lbをリレーレンズ20に入射させる。
【0035】
リレーレンズ20は、偏光板19からの青色レーザ光Lbの光路を調整し、ダイクロイックプリズム21に入射させる。リレーレンズ20は、集光レンズ20a、集光レンズアクチュエータ20b及びレンズ20cを備えている。集光レンズアクチュエータ20bにより集光レンズ20aの位置を調整される。
【0036】
ダイクロイックプリズム21は、入射した青色レーザ光Lbを対物レンズ22に向けて反射する。
【0037】
対物レンズ22は、ダイクロイックプリズム21で反射した青色レーザ光Lbを集光し、光ディスク10の後述する記録層に入射させる。
【0038】
光ディスク10の記録層の後述する記録マークで生成された戻り光は、対物レンズ22、ダイクロイックプリズム21、リレーレンズ20等を通過しビームスプリッタ18に入射する。
【0039】
ビームスプリッタ18は、この青色レーザ光Lbを反射面において集光レンズ24に向けて反射し、集光レンズ24に入射させる。
【0040】
集光レンズ24は、入射した青色レーザ光Lbを集光し、フォトディテクタ25に照射する。
【0041】
フォトディテクタ25は、集光レンズ24で集光された青色レーザ光Lbを受光し電気信号に変換し、例えば信号処理部13にこの電気信号を出力する。
【0042】
サーボ光学系12は、レーザダイオード31、コリメータレンズ32、ビームスプリッタ33、ダイクロイックプリズム21、対物レンズ22、対物レンズアクチュエータ23、集光レンズ34及びフォトディテクタ35を備えている。なお、例えばダイクロイックプリズム21、対物レンズ22及び対物レンズアクチュエータ23は、情報光学系11及びサーボ光学系12で共用されている。
【0043】
レーザダイオード31は、図2に示すように、波長約660nmの発散光である所定光量の赤色レーザ光Lrをコリメータレンズ32に向けて照射する。
【0044】
コリメータレンズ32は、赤色レーザ光Lrを発散光から平行光に変換し、ビームスプリッタ33に入射させる。
【0045】
ビームスプリッタ33は、入射した赤色レーザ光Lrをダイクロイックプリズム21に入射させる。ダイクロイックプリズム21に入射した赤色レーザ光Lrは、ダイクロイックプリズム21を通過し対物レンズ22に入射する。
【0046】
そして、対物レンズ22は、赤色レーザ光Lrを集光し、光ディスク10に向けて照射する。このとき、赤色レーザ光Lrは、光ディスク10の基準面(層)Rに照射される。この後、基準面(層)Rで反射された赤色レーザ光Lrは、対物レンズ22を通過した後、ダイクロイックプリズム21を通過し、ビームスプリッタ33の反射面で反射され、集光レンズ34に入射する。
【0047】
集光レンズ34は、入射した赤色レーザ光Lrに非点収差を持たせた上でフォトディテクタ35に集光する。
【0048】
フォトディテクタ35は、入射した赤色レーザ光Lrを電気信号に変換し出力する。
【0049】
再生装置1では、例えば赤色レーザ光Lrや青色レーザ光Lbの焦点が光ディスク10に対して接近又は離れる方向であるフォーカス方向にずれることがある。赤色レーザ光Lrや青色レーザ光Lbを目標のフォーカス位置に追従させるためには、焦点をフォーカス方向に移動させる必要がある。そこで、例えば対物レンズ22は、対物レンズアクチュエータ23によりフォーカス方向に駆動されるようになっている。また、集光レンズ20aは、集光レンズアクチュエータ20bによりフォーカス方向に駆動されるようになっている。
【0050】
図3は、信号処理部13の構成を示すブロック図、図4は信号処理部13の位相検出を説明するための図である。
信号処理部13は、位相同期回路(PLL Phase Rocked Loop)39及びクロック(データ)再生部40を備えている。
【0051】
位相同期回路39は、フォトディテクタ25側から入力された入力信号である図4(A)に示すRF信号に基づき、図4(C)に示すクロック信号をクロック(データ)再生部40に出力する。
【0052】
クロック(データ)再生部40は、位相同期回路39からの図4(C)に示すクロック信号に基づき、図4(A)に示す青色レーザ光LbのRF(データ)信号の二値データ化を行い出力する。
【0053】
図4(A)は、フォトディテクタ25側から位相同期回路39に入力された信号の波形である。図4(C)は、位相同期回路39から出力されるクロック信号の波形である。
【0054】
位相同期回路39は、図3に示すように、点線で示すリミット位相ディテクタ41、フリップフロップ42、ループフィルタ43及びデジタルVCO(Voltage Controled Osclator)44を備える。
【0055】
リミット位相ディテクタ41は、例えばゼロクロス検出部46、クロックカウンタ47、比較部48、AND回路49、フリップフロップ50及び位相カウンタ51を備えている。
【0056】
ゼロクロス検出部46は、フォトディテクタ25側から入力された図4(A)に示すRF信号のレベルがゼロクロスであるか否かを検出し、ゼロクロスのときに、クロックカウンタ47にクロックカウンタ47のカウント値をクリアするためのクリア信号を出力する。ゼロクロス検出部46は、RF信号のレベルがゼロクロスであるか否かを検出し、ゼロクロスであるときに1を、ゼロクロスでないときに0を、AND回路49に出力する。
【0057】
クロックカウンタ47は、デジタルVCO44から出力された図4(C)に示すクロック信号のクロック数をカウントし、比較部48にクロック数(カウント値)を出力する。
【0058】
比較部48は、クロックカウンタ47からのクロック数(カウント値)と、所定の値(例えば2)とを比較し、クロック数(カウント値)が所定の値以上であるときには1をAND回路49に出力し、所定の値より小さいときには0をAND回路49に出力する。
【0059】
AND回路49は、比較部48の出力信号と、ゼロクロス検出部46の出力信号とが入力され、入力結果に応じてフリップフロップ50に信号を出力する。
【0060】
フリップフロップ50は、AND回路49の出力信号と、デジタルVCO44の出力信号と、システムクロックが入力される。フリップフロップ50は、入力結果に応じて位相カウンタ51をイネブルにする信号を位相カウンタ51に出力したり、位相カウンタ51のカウントをクリアする信号を位相カウンタ51に出力したりする。
【0061】
位相カウンタ51は、図4(E)に示す位相エラー信号をフリップフロップ42に出力する。
【0062】
フリップフロップ42は、位相カウンタ51からの位相エラー信号と、デジタルVCO44からの図4(C)に示すクロック信号とが入力されており、このクロック信号の立ち上がりエッジのタイミングで位相エラー信号をサンプリングしてループフィルタ43に出力し、次の立ち上がりエッジのタイミングまでその信号を維持する。すなわちフリップフロップ42は、位相カウンタ51がリセットされる直前の位相エラー信号すなわち位相差の検出結果を、クロック信号の1周期の期間だけ維持し、これをループフィルタ43へ出力する。
【0063】
ループフィルタ43は、位相差信号の高周波成分を除去し位相エラー信号に応じた制御電圧をデジタルVCO44に出力する。
【0064】
デジタルVCO44は、入力された制御電圧に応じて図4(C)に示すクロック信号を、クロックカウンタ47、フリップフロップ50、フリップフロップ42、及びクロック(データ)再生部40に発振する。
【0065】
次に再生装置1の再生動作について説明する。
再生装置1の図示しない制御部は、同図に示すように、レーザダイオード31に赤色レーザ光Lrを射出させ、レーザダイオード15に青色レーザ光Lbを射出させる。
【0066】
これにより、図2に示すように、レーザダイオード31から射出した赤色レーザ光Lrは、コリメータレンズ32により平行光に変換され、ビームスプリッタ33、ダイクロイックプリズム21を通過し、対物レンズ22で集光されて、例えば基準面(層)Rに照射される。基準面(層)Rで反射した赤色レーザ光Lrは、対物レンズ22、ダイクロイックプリズム21を通過し、ビームスプリッタ33で反射し、集光レンズ34で集光され、フォトディテクタ35に入射する。フォトディテクタ35に入射した赤色レーザ光Lrは、フォトディテクタ35により、電気信号に変換される。
【0067】
一方、レーザダイオード15から射出された青色レーザ光Lbは、集光レンズ16により平行光に変換され、青色レーザ光Lbのうち特定の偏光成分が偏光板17を通過し、ビームスプリッタ18に入射する。ビームスプリッタ18に入射した青色レーザ光Lbは、ビームスプリッタ18、リレーレンズ20等を通過し、ダイクロイックプリズム21で反射し、対物レンズ22で集光されて、例えば光ディスク10の記録層の記録マークに照射される。記録マークで反射した青色レーザ光Lbは、対物レンズ22を通過しダイクロイックプリズム21で反射し、リレーレンズ20等を通過し、偏光板19で偏光され、ビームスプリッタ18で集光レンズ24に向けて反射する。集光レンズ24に入射した青色レーザ光Lbは、集光レンズ24で集光され、フォトディテクタ25に入射する。フォトディテクタ25に入射した青色レーザ光Lbは、電気信号に変換され、信号処理部13に出力される。
【0068】
図5は再生装置1の位相同期回路39の動作を示すフローチャートである。
再生装置1の図示しない制御部は、再生信号のインデックスを0とする(ST501)。
【0069】
制御部は、入力信号の末尾であるか否かを判断し(ST502)、末尾であるときには、処理を終了し、末尾でないときには、リミット位相ディテクタ41を呼び出す(ST503)。
【0070】
図6はリミット位相ディテクタ41の動作を示すフローチャートである。
以下、初期状態として位相カウンタ51がイネブルにセットされておらず(ST601でNO)、クロックカウンタ47のカウント数が初期値0であり、位相カウンタ51のカウント数が初期値0であり、図4(A)に示すRF信号(入力信号)のレベルがゼロクロスでない場合(図4(A)の時刻A)以降について説明する。
【0071】
図3に示すリミット位相ディテクタ41は、位相カウンタ51がイネブルにセットされているか否かを判断し(ST601)、イネブルにセットされているときには(ST601でYES)ST602に進み、イネブルにセットされていないときには(ST601でNO)ST605に進む。
【0072】
ST601でNOのときには、図3に示すゼロクロス検出部46は、図4(A)に示すRF信号(入力信号)と、予め定められたDCレベルとに基づき、RF信号の出力レベルが0であるか(RF信号がゼロクロスであるか)否かを判断する(ST605)。ゼロクロス検出部46は、RF信号(入力信号)のレベルがゼロクロスであるときにはクロックカウンタ47及びAND回路49に1を出力し、RF信号(入力信号)のレベルがゼロクロスでないときにはクロックカウンタ47及びAND回路49に0を出力する。
【0073】
例えば時刻が図4に示すAであり、ゼロクロスでないときには(ST605でNO)ST609に進む。
【0074】
図3に示すクロックカウンタ47は、図4(C)に示すクロック信号に基づき、クロックの立ち上がりであるか否かを判断する(ST609)。
【0075】
クロックの立ち上がりであるときには(ST609でYES)、クロックカウンタ47は、カウント値を1増加させ(ST610)、カウント値を図3に示す比較部48に出力する。クロックの立ち上がりでないときには(ST609でNO)クロックカウンタ47のカウント値を増加させずにST611に進む。
【0076】
リミット位相ディテクタ41の位相カウンタ51は、位相カウンタ51のカウント値を位相エラー信号としてフリップフロップ42に出力する(戻す)(ST611)。
【0077】
以降、図5に示す後述するST504〜ST507が実行され、入力信号の末尾に達するまで(ST502でYES)処理が繰り返される。
【0078】
入力信号の末尾でない場合(ST502でNO)には、再び図6に示す処理が実行される。
【0079】
これにより、図4(A)に示すRF信号(入力信号)の波形に応じて、図4(B)に示すクロックのカウント値が増加していく。
【0080】
時刻が図4(A)に示すBとなったときには、この時点ではまだ位相カウンタ51はイネブルがセットされていないままなので、再びST601の処理が実行されたときに否定判断されST605に進む。ゼロクロス検出部46は、例えば時刻BでRF信号(入力信号)のレベルがゼロクロスであると判断する(ST605でYES)。
【0081】
図3に示す比較部48は、クロックカウンタ47からのクロックのカウント値に基づき、クロックのカウント値が所定の値、例えば2以上であるか否かを判断する(ST606)。比較部48は、クロックカウンタ47のカウント値が所定カウント値以上であるときには、記録マークの読取り方向の長さが所定カウント値×Tマークより大きく、パルス幅が所定カウント値より小さいときには、記録マークの読取り方向の長さが所定カウント値×Tマークより小さいと判断する。比較部48は、クロックのカウント値が所定値以上であるときには(ST606でYES)、AND回路49に1を出力し、クロックのカウント値が所定値より小さいときには(ST606でNO)、AND回路49に0を出力する。
【0082】
つまり、RF信号(入力信号)のレベルがゼロクロスであり(ST605でYES)かつクロックのカウント値が所定値以上である(ST606でYES)ときには、AND回路49はその2つの入力端子に共に1が入力される。このとき、AND回路49は、フリップフロップ50のS端子に1を出力する。これにより、フリップフロップ50は位相カウンタ51をイネブルにセットする(ST607)。
【0083】
クロックのカウント値が所定値より小さいときには(ST606でNO)、位相カウンタ51をイネブルにセットせずにST608に進む。
【0084】
ゼロクロス検出部46は、RF信号(入力信号)のレベルがゼロクロスであるときには(ST605でYES)、ST606等の処理後、クロックカウンタ47にカウント値のリセット信号を出力する。これにより、クロックカウンタ47のカウント値はクリアされる(0となる)(ST608)。ゼロクロス検出部46は、図4(A)に示すRF信号のレベルがゼロクロスでないときには(ST605でNO)、クロックカウンタ47のカウント値をクリアせずにST609に進む。
【0085】
時刻が図4に示すBのときに上記ST607で位相カウンタ51がイネブルにセットされた後で、リミット位相ディテクタ41は、再びST601の処理を実行するときに、位相カウンタ51がイネブルにセットされたと判断する(ST601でYES)。位相カウンタ51は、システムクロックに基づき位相カウンタ51の位相カウント値を1増加させる(ST602)。これにより、図4(E)に示すように位相カウント値が増加する。
【0086】
フリップフロップ50は、デジタルVCO44からの図4(C)に示すクロック信号がR端子に入力される。フリップフロップ50は、R端子に入力されるクロック信号に基づき、図4(C)に示すPLLのクロックの立ち上がりが否かを判断する(ST603)。フリップフロップ50は、PLLのクロックの立ち上がりであると判断したときには(ST603でYES)、位相カウンタ51の位相カウント値を0にするクリア信号を位相カウンタ51に出力し、位相カウント値をクリアする(位相カウンタ51のイネブルをクリアする)(ST604)。フリップフロップ50は、PLLのクロックの立ち上がりでないと判断したときには(ST603でNO)、位相カウント値をクリアせずにST605に進む。
【0087】
つまり、図4に示すように、Bでゼロクロスが検出されてから図4(C)に示すクロック信号のクロックの立ち上がりが検出されるまで、図4(E)に示すように位相カウント値が増加し、立ち上がりが検出されたときに位相カウント値がゼロとなる。
【0088】
図3に示すリミット位相ディテクタ41の位相カウンタ51は、ST602で求めた位相カウント値又はST604でクリアされた位相カウント値をフリップフロップ42に出力する。
【0089】
図5に示すように、フリップフロップ42は、デジタルVCO44から入力される図4(C)に示すクロック信号に基づき、クロック信号の立ち上がりか否かを判断する(ST504)。
【0090】
フリップフロップ42は、デジタルVCO44からのクロック信号がクロックの立ち上がりであるときには(ST504でYES)、位相カウンタ51から供給される位相カウント値を取り込んで、新たな値をループフィルタ43に出力する。またデジタルVCO44からのクロック信号がクロックの立ち上がりでないときには(ST504でNO)、フリップフロップ42はその出力値を保持したままST507に進む。
【0091】
ループフィルタ43は、位相エラー信号の高周波成分を除去し位相エラー信号に応じた制御電圧をデジタルVCO44に出力する(ST505)。
【0092】
デジタルVCO44は、入力された制御電圧に応じて、次のPLLのクロックの立ち上がりを算出する(図4(C)に示すクロック信号を発振する)(ST506)。
【0093】
RF信号のインデックスを1増加させ(ST507)、ST502に戻り、入力信号の末尾でないときは(ST502でNO)ST503〜ST507を繰り返し、入力信号の末尾であるときには(ST502でYES)処理を終了する。
【0094】
クロック(データ)再生部40は、リミット位相ディテクタ41からのクロック信号に基づき、図4(A)に示す青色レーザ光LbのRF信号(入力信号)の二値データ化を行い出力する。
【0095】
このように本実施形態によれば、位相同期回路39がリミット位相ディテクタ41を備えるので、例えば図4に示すゼロクロスのタイミング(C)が検出されたとき(ST605でYES)、クロックカウンタ47によるカウント値と所定の値とを比較し(ST606)、カウント値が所定の値より小さいときに(ST606でNO)Cから次のクロックの立ち上がりまでの間、位相カウンタ51をイネブルでない状態とすることができる。つまり、図4(A)に示すRF信号のパルス幅が所定の幅より小さいときに、リミット位相ディテクタ41(の位相カウンタ51)の出力を無効にすることができる。この結果、例えばノイズ等の影響を受け易い所定カウント値より小さいパルス幅のRF信号(入力信号)に基づき位相エラー信号が求められることを防止することができる。従って、RF信号とクロック信号との位相差である図4(E)に示す位相エラー信号を正確に検出し、正確なクロック信号をクロック再生部40に出力することができる。
【0096】
図13は、従来の位相エラー検出を説明するための図である。
従来では、2Tマークのような短い記録マークから再生される図13(A)に示すRF信号と、図13(B)に示す位相同期回路で再生されたクロック信号とを用いて、位相同期回路により図13(C)に示す位相差(位相エラー)を検出するときに、図13(A)に示すノイズNzのゼロクロスと、図13(B)に示すクロックの位相差を位相エラー信号として採用しているので、ノイズNzの影響を受け易くなる。
【0097】
Blu−Rayや現在のマイクロリフレクターで用いられている17pp変調の場合には、光ディスク10に記録される記録マークの読取り方向の長さは、例えば2T〜9Tとされている。
【0098】
Micro-Reflectorなどの光ディスクから再生した再生(RF)信号においては、光学系の伝達特性の影響により、短い記録マークからの再生(RF)信号のパルス幅が小さい。このため、再生(RF)信号に位相同期回路により位相同期をかけるとき、再生(RF)信号中の短い記録マークに対応する部分では位相検出でエラーが発生し易い。
【0099】
その対策として、本実施形態では、短い記録マーク(例えば2Tマーク)に対応する再生(RF)信号を、リミット位相ディテクタ41で位相検出するとき無視している。例えば、リミット位相ディテクタ41により、短い記録マークに対応する再生(RF)信号と、クロック信号との位相差を用いずに正確な位相差を検出し、正確なクロック信号を発振し、クロック(データ)再生部40により、データ信号の正確な2値データ化を行うことができる。
【0100】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態の記録装置について説明する。なお、本実施形態以降においては、上記第1の実施の形態と同一の構成部材等には同一の符号を付しその説明を省略し異なる箇所を中心的に説明する。
【0101】
図7は、本発明に係る第2の実施形態の再生装置の信号処理部の構成を示すブロック図、図8は信号処理部の位相検出を説明するための図である。
図7に示すように、本実施形態の再生装置は、図3に示す信号処理部13の代わりにRF信号の出力レベルに基づきRF信号の処理を実行する信号処理部60を備えている点が異なる。
【0102】
信号処理部60は、図3に示す信号処理部13に比べて、図3に示すゼロクロス検出部46、クロックカウンタ47及び比較部48を備える代わりに、図7に示すレベル検出部62、ゼロクロス検出部63及びフリップフロップ64を備えている点が異なる。
【0103】
図7に示すレベル検出部62は、図8(A)に示すRF信号(入力信号)の出力レベルと、予め定められた閾値との絶対値を比較し、RF信号の出力レベルの絶対値が閾値の絶対値以上であるか否かを判断する。これにより、レベル検出部62は、図8(B)に示すレベルチェック信号をフリップフロップ64に出力する。つまり、レベル検出部62は、RF信号の出力レベルの絶対値が閾値の絶対値以上であるときに、フリップフロップ64のS端子にレベルチェック信号である1を出力する。レベル検出部62は、RF信号の出力レベルの絶対値が閾値の絶対値未満であるときに、フリップフロップ64にS端子にレベルチェック信号である0を出力する。
【0104】
図7に示すゼロクロス検出部63は、フォトディテクタ25側から入力された図8(A)に示すRF信号のレベルがゼロクロスであるか否かを検出し、ゼロクロスのときに、フリップフロップ64のR端子に1を出力すると共に、AND回路49の入力端子に1を出力する。ゼロクロス検出部63は、検出結果がゼロクロスでないときには、フリップフロップ64のR端子に0を出力すると共に、AND回路49の入力端子に0を出力する。
【0105】
図7に示すフリップフロップ64は、レベル検出部62からのレベルチェック信号と、ゼロクロス検出部63からのゼロクロスチェックの信号とに基づき、図8(C)に示すレベルロック信号をフリップフロップ64のS端子に出力する。
【0106】
AND回路49は、フリップフロップ64からのレベルロック信号と、ゼロクロス検出部63からの信号とに基づき、フリップフロップ50に信号を出力する。
【0107】
次に第2の実施の形態の再生装置の再生動作について説明する。なお、本実施形態では、図5に示すリミット位相ディテクタの処理(ST503)において、図3に示すリミット位相ディテクタ41が図6に示す処理を実行する代わりに、図7に示すリミット位相ディテクタ61が図9に示す処理を実行する点が異なる。
【0108】
以下、初期状態として位相カウンタ51がイネルブでない状態にセットされ、位相カウンタ51のカウント数が初期値0であり、図8(A)に示すRF信号(入力信号)のレベルがゼロクロスでない場合(図8(A)の時刻A)以降について説明する。この場合には、リミット位相ディテクタ61は、ST908に進み処理を実行する。
【0109】
レベル検出部62は、図8(A)に示すRF信号(入力信号)のレベルを検出し、検出したレベルが予め定められた閾値以上であるか否かを判断する(ST908)。
【0110】
レベルが閾値以上でないときには(ST908でNO)、レベル検出部62は、フリップフロップ64のS端子に0を出力する。時刻が図8に示すBとなったときには、レベル検出部62は、RF信号のレベルが閾値以上であると判断し(ST908でYES)、フリップフロップ64のS端子にレベルチェック信号である1を出力する(ST909)。つまり、レベル検出部62での判断結果が、RF信号のレベルが所定レベル値以上であるときに、RF信号のパルス幅が所定値以上である、つまり、記録マークの読取り方向の長さが所定値以上であると判断する。
【0111】
次いで、ST910で上記実施形態と同様に、位相カウンタ51は、位相カウンタの値をフリップフロップ42に出力する。その後、図7に示す位相同期回路により、図5に示すST504〜ST507が実行され、入力信号の末尾でない場合には(ST502でNO)、再びST503(図9に示す処理)が実行される。
【0112】
再びST901の処理が実行されるときには、位相カウンタ51がイネブルでないので(ST901でNO)、ST905に進む。
【0113】
ゼロクロス検出部63は、図8(A)に示すRF信号のレベルがゼロクロスであるか否かを判断する(ST905)。
【0114】
時刻が図8に示すCとなったときには、ゼロクロス検出部63は、レベルがゼロクロスであると判断し、AND回路49に1を出力する。これにより、AND回路49は、二つの入力端子に共に1が入力された状態となり(ST905でYES)、フリップフロップ50のS端子に1を出力する。フリップフロップ50は、位相カウンタ51をイネブルにセットする(ST906)。
【0115】
また、時刻がCとなったときには、ゼロクロス検出部63は、フリップフロップ64のR端子に1を出力する。これにより、図8(C)に示すようにCでレベルロック信号を0とする(ST907)。
【0116】
時刻がCとなったときにST906において位相カウンタ51がイネブルにセットされ(ST905でYES)、その後、再びST901の処理が実行されるときには、位相カウンタ51がイネブルにセットされているので、ST902に進む。
【0117】
位相カウンタ51は、システムクロックに基づき位相カウンタ51の位相カウント値を1増加させる(ST902)。これにより、図8(F)に示すように位相カウント値が増加する。
【0118】
フリップフロップ50は、デジタルVCO44からの図8(D)に示すクロック信号がR端子に入力される。フリップフロップ50は、R端子に入力されるクロック信号に基づき、図8(D)に示すPLLのクロックの立ち上がりが否かを判断する(ST903)。フリップフロップ50は、PLLのクロックの立ち上がりであると判断したときには(ST903でYES)、位相カウンタ51の位相カウント値を0にするクリア信号を位相カウンタ51に出力し、位相カウント値をクリアする(位相カウンタ51のイネブルをクリアする)(ST904)。フリップフロップ50は、PLLのクロックの立ち上がりでないと判断したときには(ST903でNO)、位相カウント値をクリアせずにST905に進む。
【0119】
つまり、図8に示すように、Cでゼロクロスが検出されてから図8(D)に示すクロック信号のクロックの立ち上がりが検出されるまで、図8(F)に示すように位相カウント値が増加し、立ち上がりが検出されたときに位相カウント値がゼロとなる。
【0120】
図7に示すリミット位相ディテクタ61の位相カウンタ51は、ST902で求めた位相カウント値又はST904でクリアされた位相カウント値をフリップフロップ42に出力する。以降、ST504〜ST507などについては、上記実施形態と同様である。
【0121】
このように本実施形態によれば、リミット位相ディテクタ61は、レベル検出部62を備えるので、RF信号のレベルが図8に示す時刻がDからEの間に所定レベル値以上となったか否かを判断することができる。リミット位相ディテクタ61は、ゼロクロス検出部63を備えるので、RF信号のレベルが所定レベル値以上とならずにゼロクロスとなったときに、位相カウンタ51をイネブルでない状態のままとすることができる。この結果、例えばノイズ等の影響を受け易いレベルが所定レベル値より小さいRF信号(入力信号)に基づき位相エラー信号が求められることを防止することができる。従って、RF信号とクロック信号との位相差である図8(F)に示す位相エラー信号を正確に検出し、正確なクロック信号をクロック再生部40に出力することができる。
【0122】
(第3の実施の形態)
次に、第3の実施の形態の記録装置について説明する。
図10は、本発明に係る第3の実施形態の再生装置の信号処理部の構成を示すブロック図、図11は信号処理部の位相検出を説明するための図である。
図10に示すように、本実施形態の再生装置は、図3に示す信号処理部13の代わりにRF信号のレベルの変化率(差分)に基づきRF信号の処理を実行する信号処理部70を備えている点が異なる。
【0123】
信号処理部70は、図3に示す信号処理部13に比べて、図3に示すゼロクロス検出部46、クロックカウンタ47及び比較部48を備える代わりに、図10に示す差分演算部72、ゼロクロス検出部73及び比較部74を備えている点が異なる。
【0124】
差分演算部72は、図11に示すRF信号(入力信号)のレベルを所定時間毎に検出しその差分を演算し、比較部74に差分を出力する。
【0125】
ゼロクロス検出部73は、図11に示すRF信号のレベルに基づき、レベルがゼロクロスであるか否かを判断し、AND回路49に判断結果に応じた信号を出力する。ゼロクロス検出部73は、例えばゼロクロスが検出されたときには1を出力し、ゼロクロスが検出されなかったときには0を出力する。
【0126】
比較部74は、差分演算部72からの差分と、予め定められた所定の設定値(閾値)とを比較し、比較結果に応じた信号をAND回路49に出力する。比較部74は、例えば入力された差分が設定値より大きいときに1を出力し、入力された差分が設定値以下のときには0を出力する。
【0127】
以下、初期状態として位相カウンタ51がイネブルでない状態にセットされ、位相カウンタ51のカウント数が初期値0であり、図11(A)に示すRF信号(入力信号)のレベルがゼロクロスである場合(図11(A)の時刻A)以降について説明する。この場合には、リミット位相ディテクタ71は、ST1205に進み処理を実行する。
【0128】
ゼロクロス検出部73は、図11(A)に示すRF信号のレベルがゼロクロスであるか否かを判断し(ST1205)、ゼロクロスであるときにはAND回路49に1を出力し、ゼロクロスでないときにはAND回路49に0を出力する。
【0129】
差分演算部72は、図11(A)に示すRF信号のレベルを所定時間毎に検出し、検出されたレベルの差分を演算し、差分を比較部74に出力する。
【0130】
比較部74は、差分の値と、予め定められた設定値とを比較し、差分の値が設定値より大きいときには(ST1205でYES)、AND回路49に1を出力し、差分の値が設定値以下のときには(ST1205でNO)、AND回路49に0を出力する。
【0131】
つまり、RF信号がゼロクロスでありかつ差分の値が設定値より大きいときに、AND回路49は、フリップフロップ50のS端子に1を出力する。この結果、フリップフロップ50は、位相カウンタ51をイネブルにセットする(ST1206)。
【0132】
図11に示すAでST1206において位相カウンタ51がイネブルにセットされた後に再びST1201の処理が実行されたときには、ST1202に進み、位相カウンタ51は、システムクロックに基づき位相カウンタ51の位相カウント値を1増加させる(ST1202)。これにより、図11(D)に示す位相エラーの位相カウント値が増加する。
【0133】
フリップフロップ50は、デジタルVCO44からの図11(A)に示すクロック信号がR端子に入力される。フリップフロップ50は、R端子に入力されるクロック信号に基づき、図11(B)に示すPLLのクロックの立ち上がりが否かを判断する(ST1203)。フリップフロップ50は、PLLのクロックの立ち上がりであると判断したときには(ST1203でYES)、位相カウンタ51の位相カウント値を0にするクリア信号を位相カウンタ51に出力し、位相カウント値をクリアする(位相カウンタ51のイネブルをクリアする)(ST1204)。フリップフロップ50は、PLLのクロックの立ち上がりでないと判断したときには(ST1203でNO)、位相カウントのイネブルをクリアせずにST1205に進む。
【0134】
図10に示すリミット位相ディテクタ71の位相カウンタ51は、ST1202で求めた位相カウント値又はST1204でクリアされた位相カウント値をフリップフロップ42に出力する。以降、ST504〜ST507などについては、上記実施形態と同様である。
【0135】
このように本実施形態によれば、リミット位相ディテクタ71は、差分演算部72、比較部74及びゼロクロス検出部73を備えるので、RF信号のゼロクロスでの差分(変化率)が所定の設定値より大きくなったか否かを判断することができる。つまり、差分演算部72で得られた差分の値が、所定の設定値より大きいときに、RF信号のパルス幅が所定値以上である、つまり、記録マークの読取り方向の長さが所定値以上であると判断する。リミット位相ディテクタ61は、図11のBでは、RF信号のゼロクロスでの差分(変化率)が所定設定値より大きくないので、位相カウンタ51をイネブルにすることができない。この結果、例えばノイズ等の影響を受け易いゼロクロスでの差分の値が所定の設定値以下であるRF信号(入力信号)に基づき位相エラー信号が求められることを防止することができる。従って、RF信号とクロック信号との位相差である図11(D)に示す位相エラー信号を正確に検出し、正確なクロック信号をクロック再生部40に出力することができる。
【0136】
本発明は以上説明した実施の形態には限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【0137】
上記第1の実施形態では、比較部48がクロックカウンタ47からのクロック数(カウント値)と、所定の値である2とを比較する例を示した。しかし、所定の値は2に限定されず、例えば3以上としてもよい。これにより、位相同期回路により、より確実に位相エラー信号を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【図1】本発明の一実施形態に係る再生装置のブロック図である。
【図2】再生装置の光ピックアップの構成を示すブロック図である。
【図3】信号処理部の構成を示すブロック図である。
【図4】信号処理部の位相検出を説明するための図である。
【図5】再生装置の位相同期回路の動作を示すフローチャートである。
【図6】リミット位相ディテクタの動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明に係る第2の実施形態の再生装置の情報信号処理部の構成を示すブロック図である。
【図8】信号処理部の位相検出を説明するための図である。
【図9】信号処理部の再生動作を示すフローチャートである。
【図10】本発明に係る第3の実施形態の再生装置の情報信号処理部の構成を示すブロック図である。
【図11】情報信号処理部の位相検出を説明するための図である。
【図12】情報信号処理部の再生動作を示すフローチャートである。
【図13】従来の位相エラー検出を説明するための図である。
【符号の説明】
【0139】
Lb 青色レーザ光
Lr 赤色レーザ光
R 基準面(層)
N 所定カウント値
Nz ノイズ
A、B、C、D 時刻(タイミング)
1 再生装置
2 制御部
7 光ピックアップ
10 光ディスク
11 情報光学系
12 サーボ光学系
13、60、70 信号処理部
15、31 レーザダイオード
16 集光レンズ
25、35 フォトディテクタ
39 位相同期回路
46、63、73 ゼロクロス検出部
47 クロックカウンタ
48、74 比較部
40 クロック(データ)再生部
42、50、64 フリップフロップ
43 ループフィルタ
44 デジタルVCO
51 位相カウンタ51
62 レベル検出部
72 差分演算部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録マークが設けられた記録媒体にレーザ光を照射する照射手段と、
前記記録マークからの再生光を受光し電気信号を再生する再生手段と、
前記再生手段で再生された再生信号とこの再生信号から生成されたクロック信号との位相を比較して位相差信号を出力する位相比較手段と、
前記再生手段で再生された再生信号の波形に基づき、前記位相比較手段の出力の有効期間を制限する制限手段と
を具備する位相検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の位相検出装置であって、
前記制限手段は、
前記クロック信号のクロック数をカウントするカウンタと、
前記再生信号のレベルがゼロとなるタイミングを検出すると共に、前記クロック数をリセットするゼロクロス検出手段と、
前記カウンタによるカウント値と所定の値とを比較する比較手段と、
前記ゼロクロス検出手段により前記タイミングが検出されたとき、前記比較手段による比較の結果、カウント値が所定の値より小さいことが判定されたときから次の前記クロック信号の立ち上がりまでの間、前記位相比較手段の出力を無効にする切り替え手段と
を有する位相検出装置。
【請求項3】
請求項1に記載の位相検出装置であって、
前記制限手段は、
前記再生信号のレベルがゼロとなるタイミングを検出するゼロクロス検出手段と、
前記再生信号のレベルが所定レベル未満であるかを判定する判定手段と、
前記ゼロクロス検出手段により前記再生信号のレベルがゼロとなる第1のタイミングから次に前記再生信号のレベルがゼロとなる第2のタイミングまでの間、前記再生信号のレベルが所定レベル未満であったときに、前記第2のタイミングから次の前記クロック信号の立ち上がりまでの間、前記位相比較手段の出力を無効にする切り替え手段と
を有する位相検出装置。
【請求項4】
請求項1に記載の位相検出装置であって、
前記制限手段は、
前記再生信号のレベルがゼロとなるタイミングを検出するゼロクロス検出手段と、
前記再生信号のレベルがゼロとなる第1のタイミングでの前記再生信号のレベルの変化率が所定の値未満であるかを判定する判定手段と、
前記ゼロクロス検出手段により前記再生信号のレベルがゼロとなる第1のタイミングでの前記再生信号のレベルの変化率が所定の値未満であったときから次の前記クロック信号の立ち上がりまでの間、前記位相比較手段の出力を無効にする切り替え手段と
を有する位相検出装置。
【請求項5】
記録マークが設けられた記録媒体にレーザ光を照射し、
前記記録マークからの再生光を受光し電気信号を再生し、
前記再生された再生信号とこの再生信号から生成されたクロック信号との位相を比較して位相差信号を出力し、
前記再生された再生信号の波形に基づき、前記位相差信号の有効期間を制限する位相差検出方法。
【請求項6】
記録マークが設けられた記録媒体にレーザ光を照射する照射手段と、
前記記録マークからの再生光を受光し電気信号を再生する再生手段と、
前記再生手段で再生された再生信号とこの再生信号から生成されたクロック信号との位相を比較して位相差信号を出力する位相比較手段と、
前記再生手段で再生された再生信号の波形に基づき、前記位相比較手段の出力の有効期間を制限する制限手段と、
前記クロック信号と前記再生信号とに基づき、二値のデータ信号を発生するデータ信号発生手段と
を具備する再生装置。
【請求項7】
記録マークが設けられた記録媒体にレーザ光を照射し、
前記記録マークからの再生光を受光し電気信号を再生し、
前記再生された再生信号とこの再生信号から生成されたクロック信号との位相を比較して位相差信号を出力し、
前記再生された再生信号の波形に基づき、前記位相差信号の有効期間を制限し、
前記クロック信号と前記再生信号とに基づき、二値のデータ信号を発生する再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−9637(P2010−9637A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−164494(P2008−164494)
【出願日】平成20年6月24日(2008.6.24)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】