説明

位相解析測定を行う装置および方法

位相解析を用いて対象物体を検査するための非接触法および装置。プロジェクタは、検査される対象物体の表面上に光学的パターンを投影する。次いで、光学的パターンが投影される表面の少なくとも第1の画像および第2の画像を得る。表面上の光学的パターンの位相は、対象物体に相対的にプロジェクタを移動することによって前記第1の画像と第2の画像との間で変化される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物体に接触することなく対象物体を測定するための方法および装置に関し、具体的には、対象物体上に投影された光学的パターンの位相を解析することによって対象物体の表面凹凸形状を決定することができる方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
対象物体上の周期的光学的パターンの位相解析を用いて表面の凹凸形状を測定するための非接触光学的測定システムが知られている。これらは、典型的には、構造化光パターンを表面上に投影するプロジェクタと、表面上の構造化光パターンを検出する、プロジェクタに対しある角度をなすように設定されたカメラとからなるものとしてよい。表面上の高さの変動は、パターンに歪みをもたらす。この歪みから、表面の幾何学的形状を計算することができる。このようなシステムは、構造化光解析、位相表面形状測定法、位相シフト解析、または干渉縞解析システムと通常呼ばれる。
【0003】
特許文献1では、このようなシステムで使用するためのプロジェクタを開示している。レーザビームがレンズ上に入射し、このレンズは液晶システム上にビームを発散させて、測定される表面上に少なくとも1つの干渉縞パターンを生成する。液晶システムによって生成される干渉縞パターンのピッチおよび位相を制御するために、コンピュータが使用される。写真機材は、表面上の干渉縞パターンを撮像するように位置決めされる。次いで、コンピュータおよび液晶システムは、位相シフト法を用い、新しい画像をもう1つ撮像する。これらの2つの画像を使用して、表面の凹凸形状の正確なマップを得ることが可能である。液晶システムを使用するには複雑なインターフェースを使用する必要があり、そのため消費電力が比較的大きくなり、その後熱が発生する。このようなシステムは高価な場合がある。
【0004】
特許文献2では、対象物体上の投影された干渉縞の位置を、したがって対象物体の表面の干渉縞の位相を、変化させるように操作することができる内部屈折媒体を備える干渉縞プロジェクタを有する構造化光解析システムも開示しており、また対象物体上の干渉縞の位置を変更するために対象物体を移動することも開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6,100,984号明細書
【特許文献2】国際公開第01/51887号パンフレット
【特許文献3】英国特許出願第0716080.7号明細書
【特許文献4】英国特許出願第0716088.0号明細書
【特許文献5】英国特許出願第0716109.4号明細書
【特許文献6】欧州特許第402440号明細書
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】J. Heikkila and O. Silven, "A four-step camera calibration procedure with implicit image correction", Proceedings of the 1997 Conference in Computer Vision and Pattern Recognition (CVPR '97)
【非特許文献2】J.G Fryer, "Camera Calibration" in K.B. Atkinson (ed.) "Close range photogrammetry and machine vision", Whittles publishing (1996)
【非特許文献3】Creath, K. "Comparison of phase measurement algorithms" Proc. SPIE 680, 19-28 (1986)
【非特許文献4】Carre. P. "Installation et utilisation du comparateur photoelectrique et interferential du Bureau International des Podis et Mesure" Metrologia 2 13-23 (1996)
【非特許文献5】G. Stoilov, T. Dragostinov, "Phase-stepping interferometry: five-frame algorithm with an arbitrary step", Opitcs and Lasers in Engineering 28, 61-69 (1997)
【非特許文献6】J.R. Parker, "Algorithms for image processing and computer vision", John Wiley and Sons, Inc (1997)
【非特許文献7】A. Gruen, "Least squares matching: a fundamental measurement algorithm" in K.B. Atkinson (ed.), "Close range photogrammetry and machine vision", Whittles Publishing (2001)
【非特許文献8】M.A.R Cooper with S. Robson, "Theory of close-range-photogrammetry" in K.B. Atkinson (ed.), "Close range photogrammetry and machine vision", Whittles Publishing (2001)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、光学的パターン発生源を対象物体に相対的に移動することによって位相がシフトされる、位相解析によって検査される対象物体上に投影された光学的パターンを位相シフトする方法を説明する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
位相解析を用いて対象物体を検査するための非接触法は、i)プロジェクタが検査される対象物体の表面上に光学的パターンを投影するステップと、ii)プロジェクタを対象物体に相対的に移動することによって表面の光学的パターンの位相が第1の画像と第2の画像との間で変化する、光学的パターンが投影される表面の少なくとも第1および第2の画像を得るステップとを含む。
【0009】
本発明の利点は、プロジェクタを移動することによって、対象物体における光学的パターンの位相を変位することができることである。いくつかの状況では、これにより、対象物体上の光学的パターンの位置の変化を取得するために、プロジェクタ内に高価な、および/または複雑な機器を備える必要性をなくすことができる。例えば、内部移動部分を有しないプロジェクタを実現することが可能である。プロジェクタが移動するので、大きな、および/または重い対象物体を容易に測定することができる。さらに、機械加工を継続するためのリダテューミングが不要になるように、機械加工時に対象物体のその場測定を実行することが可能である。理解されるように、プロジェクタによって投影されるような光学的パターンは、少なくとも第1および第2の位相シフト画像について同じであるものとすることが可能である。
【0010】
好ましくは、光学的パターンは、二次元に広がる。これにより、対象物体上の光学的パターンの単一像から二次元内の対象物体の表面のトポロジーを決定することができる。光学的パターンは、実質的に全視野である光学的パターンとすることができる。実質的に全視野の光学的パターンは、基準面で少なくとも第1および第2の画像のうちの少なくとも1つを得るために(以下でさらに詳しく説明される)、パターンが撮像デバイスの視野の少なくとも50%に広がっている、より好ましくは少なくとも75%に広がっている、特に好ましくは少なくとも95%に広がっている、例えば、基準面における撮像デバイスの実質的に視野全体に広がっているパターンとすることができる。基準面は、撮像デバイスから知られている距離だけ離れている平面とすることができる。適宜、基準面は、プロジェクタおよび撮像デバイスの光軸が交わる点を含む平面としてよい。基準面は、撮像デバイスの光軸に対し垂直に伸びるものとしてよい。
【0011】
好ましくは、光学的パターンは、実質的に周期的な光学的パターンである。理解されるように、周期的光学的パターンは、一定の有限な距離の後に繰り返すパターンとすることができる。繰り返しの間の最小距離をパターンの周期とすることができる。好ましくは、光学的パターンは、少なくとも一次元方向に周期的である。適宜、光学的パターンは、少なくとも2つの次元方向に周期的であるものとしてよい。少なくとも2つの次元方向は互いに垂直であるものとしてよい。
【0012】
好ましくは、少なくとも第1の画像および第2の画像内に画像化されるような光学的パターンが、対象物体の一領域上に投影される。好ましくは、パターンは対象物体のある領域上に広がり、これにより、本発明の方法を使用してその領域上にある対象物体の複数の点の測定を容易に行える。
【0013】
本発明とともに使用するのに適している光学的パターンとしては、同心円のパターン、様々な色の直線のパターン、陰影、および/または色調が挙げられる。色、陰影、および/または色調は、2つ以上の異なる値を交互に取るものとすることも可能であろう。適宜、色、陰影、および/または色調は、複数の離散値の範囲内の値を取るものとすることも可能であろう。好ましくは、色、陰影、および/または色調は、光学的パターン全体にわたって連続的に変化する。好ましくは、周期的光学的パターンは、干渉縞パターンである。例えば、周期的光学的パターンは、一組の正弦波縞模様である。この場合、この方法は、複数の干渉縞シフト画像を得ることを含む。
【0014】
光学的パターンは、赤外線から紫外線までの範囲内としてよい。好ましくは、光学的パターンは、可視の光学的パターンである。理解されるように、本発明などの方法で使用するための光学的パターンは、通常、構造化光パターンとも称される。
【0015】
光学的パターンに適したプロジェクタは、プロセッサデバイスから入力された画像を投影するように構成されているデジタル光プロジェクタを含む。このようなプロジェクタを使用することで、投影されるパターンを変更することができる。好適なプロジェクタは、光源および光学的パターンを生成するように配列された1つまたは複数の回折格子を備えることが可能である。(複数の)回折格子は、プロジェクタによって投影されるパターンを変更できるように移動可能であるものとすることも可能である。例えば、(複数の)回折格子を圧電変換器上に取り付けることもできる。適宜、回折格子は、プロジェクタによって投影される光学的パターンを変更できないように固定することも可能である。適宜、プロジェクタは、光源およびホログラムを備えることが可能である。さらに、プロジェクタは、光源およびパターン形成スライドを備えることが可能である。さらに、プロジェクタは、2つの相互に位相が揃っているコヒーレント光源を備えることが可能である。コヒーレント光源は、プロジェクタによって投影されるパターンを変更できるように移動可能であるものとすることも可能である。例えば、コヒーレント光源を圧電変換器上に取り付けることもできる。適宜、コヒーレント光源は、プロジェクタによって投影される光学的パターンを変更できないように固定することも可能である。
【0016】
この方法は、表面上の光学的パターンの少なくとも第3の位相シフト画像を得ることを含むことができる。得られる画像が多ければ多いほど、凹凸形状データを計算するために解析に利用可能な画像が増える。凹凸形状データのこの正確さおよび信頼性は、得られる画像の数が増えるほど高くなるものとしてよい。
【0017】
プロジェクタは、対象物体に相対的な投影された光学的パターンの位置を変化させる量だけ移動することができる。好ましくは、プロジェクタは、対象物体上のパターンの位置がパターンの周期の非整数倍だけ少なくとも名目上移動するように移動される。例えば、光学的パターンが干渉縞パターンである場合、プロジェクタは、対象物体上のパターンの位置が干渉縞の周期の非整数倍だけ少なくとも名目上移動するように移動できる。例えば、プロジェクタは、対象物体上のパターンの位置が干渉縞の周期の1/4だけ少なくとも名目上移動するように移動することができる。理解されるように、プロジェクタが対象物体上のパターンにおけるそのようなシフトを得ることに関して移動される実際の距離は、投影された周期的光学的パターンの周期および対象物体とプロジェクタとの間の距離を含む多くの因子に依存しうる。
【0018】
理解されるように、プロジェクタを移動すると、対象物体上の光学的パターンの位置の変化が引き起こされる。しかし、移動の前または後に撮られた対象物体上の光学的パターンの画像から、光学的パターンが移動していないように見える可能性がある。これは、見かけの移動と称することができる。移動が見かけの移動であるか、実際の移動であるかは、投影された光学的パターンの形態、プロジェクタに相対的な対象物体の表面の形状および/または方向を含む多数の因子に依存する。例えば、与えられた移動に対する表面上の光学的パターンの位置の変化は、異なる形状および方向の表面に対し異なる。実際に移動したのに表面の形状および/または方向のせいで光学的パターンが位置を変えていないように見えること、また異なる形状または位置にある対象物体上で移動しているように見えていたという可能性がある。重要なのは、プロジェクタに相対的な知られている形状および方向の基準面上の光学的パターンの位置の変化を引き起こすような移動があることが知られていることである。したがって、撮像されたときの光学的パターンの位置が知られている基準からどれだけ異なるかを効果的に測定することによって表面の形状および方向を決定することが可能である。
【0019】
測定空間内の所定の基準面に相対的な光学的パターンの位置が変化するようにプロジェクタを移動することが可能である。測定空間内の所定の基準面に相対的な光学的パターンの位置がパターンの周期の非整数倍だけ変化するようにプロジェクタを移動することが可能である。所定の基準面を画像センサの基準面とすることも可能である。ここでもまた、対象物体の表面の形状および/または方向は、次いで、基準面での同様の位置に相対的な表面上の光学的パターンの位置を効果的に比較することによって決定することができる。
【0020】
少なくとも第1の画像および第2の画像は、少なくとも1つの好適な撮像デバイスによって得ることができる。好適な撮像デバイスは、少なくとも1つの画像センサを備えることができる。例えば、好適な撮像デバイスは、CCD(電荷結合素子)、CMOS(相補形金属酸化膜半導体)などの光学的EMR(電磁放射線)高感度検出器を備えることができる。好適な撮像デバイスは、像面に集光するように適宜構成されうる。理解されるように、像面は、画像センサによって定められうる。例えば、好適な撮像デバイスは、光学的EMRを像面に集束するように構成された少なくとも1つの光学コンポーネントを備えることができる。適宜、少なくとも1つの光学コンポーネントはレンズを備える。
【0021】
好適な撮像デバイスは、撮像デバイスの透視中心とも称することができる、ピンホールからなるピンホールカメラモデルに基づくものとしてよく、EMR光線はこのピンホールを通過してから像面と交わると想定される。理解されるように、ピンホールを備えずに、代わりにEMR光線を集束させるレンズを備える撮像デバイスも透視中心を有し、これは、像面と交わるすべてのEMR光線が通過すると想定される点とすることができる。
【0022】
理解されるように、透視中心は、非特許文献1および非特許文献2で説明されているような較正手順を使用して画像センサに関して見つけることができる。レンズ収差を補正するパラメータなどの補正パラメータを与えることができ、このようなパラメータはよく知られており、例えば、これら2つの文献において説明されている。
【0023】
少なくとも第1および第2の画像は、少なくとも1つの撮像デバイスを備える撮像デバイスユニットによって得ることができる。撮像デバイスユニットは、単一の撮像デバイスを備えることが可能である。少なくとも1つの第1の画像および少なくとも1つの第2の画像は、単一の撮像デバイスによって得ることができる。単一の撮像デバイスは、単一の画像センサを備えることができる。したがって、第1の画像および第2の画像は、単一の画像センサによって得ることができる。
【0024】
ステップii)は、対象物体に相対的にプロジェクタおよび撮像デバイスを移動するステップを含むことができる。これは、特に、撮像デバイスおよびプロジェクタが互いに固定された空間関係にある場合である。これは、例えば、撮像デバイスおよびプロジェクタが単一のユニットとして備えられている場合としてよいであろう。例えば、撮像デバイスおよびプロジェクタは、単一のプローブデバイスとして備えることができる。
【0025】
対象物体および撮像デバイスが、互いに相対的に移動される場合、相対的移動の量は、画像のそれぞれにおいて撮像デバイスによって得られる対象物体の透視位置が実質的に同じになるように、十分小さい値であるべきである。具体的には、好ましくは、移動は、これらの画像が対象物体上の実質的に同じ点を撮像したものとなるように、十分に小さい。例えば、ステップii)で得られる画像は、少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも90%、特に好ましくは少なくとも95%、例えば、少なくとも97%だけ重なるものとしてよい。移動は、画像のそれぞれにおいて画像センサによって得られる対象物体の透視位置が実質的に同じになるくらい十分に小さい移動であり、これにより複数の画像の間の透視位置の変化を複数の画像を解析するステップで補正することができることが好ましいといえる(以下でさらに詳しく説明する)。
【0026】
理解されるように、透視位置は、対象物体の特定の視点であってよい。透視位置は、対象物体に相対的な画像センサの位置および/または方向によって定めることができる。
【0027】
プロジェクタは、表面上の光学的パターンを変位させるために対象物体に対し相対的に横方向へ変位させることが可能である。適宜、対象物体に関してプロジェクタが回転される。好ましい一実施形態では、プロジェクタおよび撮像デバイスは、撮像デバイスの透視中心を中心としてプロジェクタおよび撮像デバイスを回転させることによって画像と画像との間で移動される。撮像デバイスの透視中心を中心とする回転により、対象物体と撮像デバイスとの間の任意の相対的移動を補正するために画像を処理することが比較的容易にできることがわかっている(以下でさらに詳しく説明する)。具体的には、多数の画像にわたって対応するピクセルをマッチさせることが容易になる。例えば、対応するピクセルのマッチングは、対象物体と撮像デバイスとの間の距離と無関係である座標変換を使用すると可能である。したがって、画像を処理して対象物体と撮像デバイスとの間の任意の相対的移動を補正するのに対象物体と撮像デバイスとの間の距離を知る必要がない。
【0028】
適宜、この方法は、位相シフト画像を処理して凹凸形状表面データを取得するステップをさらに含む。したがって、この方法は、対象物体の表面に関する凹凸形状データを取得するために使用できる。理解されるように、対象物体は、未知の物体であってもよい。つまり、対象物体の寸法が知られていなくてもよい。理解されるように、この処理は、プロジェクタおよび/または撮像デバイスを制御するデバイスから分離しているプロセッサデバイスによって実行できる。
【0029】
この方法は、第1および第2の画像のうちの1つの画像の全体にわたって凹凸形状データを決定するステップを含むことができる。適宜、この方法は、第1および第2の画像のうちの1つの画像の一部のみにわたって凹凸形状データを決定するステップを含むことができる。具体的には、この方法は、光学的パターンが投影される対象物体の連続セクションに対する凹凸形状データを決定するステップを含む。対象物体の連続セクションは、以下でさらに詳しく説明されるような光学的パターン内の複数の不規則性または不連続性によって囲まれている対象物体の一部とすることもできる。
【0030】
理解されるように、凹凸形状表面データは、対象物体の表面の少なくとも一部の凹凸形状を示すデータとすることができる。凹凸形状データは、対象物体上の少なくとも1つの点、および好ましくは対象物体上の複数の点における、撮像デバイスに相対的な対象物体の表面の高さを示すデータとすることができる。凹凸形状データは、対象物体上の少なくとも1つの点、および好ましくは対象物体上の複数の点における、対象物体の表面の勾配を示すデータとすることができる。
【0031】
理解されるように、凹凸形状データは、表面上の光学的パターンの位相を効果的に解析することによって決定することができる。一組の位相シフト画像から凹凸形状データを決定するための多くの技術が知られており、これらは位相ステッピングアルゴリズムと称されることが多い。例えば、好適な位相ステッピングアルゴリズムは、非特許文献3で説明されている。
【0032】
知られている位相ステッピングアルゴリズムでは、画像上の対応する点が対象物体上の同じ点に対応していることが要求される場合がある。理解されるように、これは、撮像デバイスが対象物体に相対的に移動する実施形態ではそうならない。したがって、この方法は、少なくとも第1の画像および第2の画像を処理して、対象物体と撮像デバイスとの間の任意の相対的移動を補正するステップを含むことができる。補正された後、複数の画像上の対応する点は、対象物体上の同じ点を表すべきである。画像を処理するステップは、少なくとも第1の画像および第2の画像によって覆われる共通の画像領域を識別するステップを含むことができる。画像を処理するステップは、第1の画像および第2の画像のうちの少なくとも一方の画像座標を調整するステップを含むことができる。画像を処理するステップは、第1の画像および第2の画像のうちの少なくとも一方に座標変換を適用するステップを含むことができる。座標変換は、直線的平行移動とすることができる。これは、画像を刈り込む効果を有することができる。適宜、座標変換は、カメラ内部パラメータ(レンズ収差を含む)、変換される点の画像座標、対象物体と感知デバイスの相対運動、対象物体までの距離、および他のシステムパラメータに依存しうる非線形関数であってよい。理解されるように、最も適している座標変換は、対象物体と撮像デバイスの相対運動の下で変換された画像における対象物体の位置を最も正確に不変にする変換である。
【0033】
しかし、少なくとも第1の画像と第2の画像との間で対象物体と撮像デバイスとの間の任意の相対的移動を補正することなく、少なくとも第1の画像および第2の画像を処理して凹凸形状表面データを取得することが可能であることがわかっている。これは、撮像デバイスと対象物体の相対運動が正確に補正できない状況にあってもこの方法を実行できるという点で有利であることがわかっている。例えば、撮像デバイスが横方向に移動されていて、スタンドオフ距離が測定容積の深さに比べて大きくない場合である。例えば、少なくとも第1の画像および第2の画像は、被写界深度対スタンドオフの比が10:1未満、例えば5:1未満、例えば1:1である状況において得ることができる。したがって、ステップiii)は、少なくとも第1の画像および第2の画像上の対応する点が対象物体上の異なる点を表す、少なくとも第1の画像および第2の画像を処理するステップを伴うことが可能である。これは、例えば、少なくとも第1の画像および第2の画像上の対応する点にわたる光学的パターンの位相の変化を効果的に解析することによって行うことができる。言い換えると、これは、少なくとも第1の画像および第2の画像上の同じピクセルにわたる光学的パターンの位相の変化を効果的に解析することによって行うことができる。相対的移動を補正するために処理されていない少なくとも第1の画像および第2の画像を処理するのに適しているアルゴリズムとしては、公知の、例えば、非特許文献4で説明されているカレアルゴリズム、および非特許文献5で説明されているような5−フレームアルゴリズムも挙げられる。理解されるように、カレアルゴリズムを使用して位相シフト画像を処理すると、変調振幅および位相シフトデータさらには位相データが得られる。
【0034】
少なくとも第1の画像および第2の画像を処理するステップは、少なくとも第1の画像および第2の画像から位相マップを計算するステップを含むことができる。理解されるように、位相マップは、画像内の複数のピクセルについて対象物体の表面上に投影されるパターンの位相を含むマップである。具体的には、これは、少なくとも第1の画像および第2の画像からラップ位相マップを計算するステップを含むことができる。したがって、ステップiii)は、位相ステッピングアルゴリズムを使用してラップ位相マップを計算するステップを含むことができる。ステップiii)は、ラップ位相マップをアンラップするステップと、アンラップ位相マップから凹凸形状データを取得するステップとをさらに含むことができる。凹凸形状データは、高さデータの形態とすることが可能である。理解されるように、高さデータによって、撮像デバイスに相対的な表面上の複数の点の位置を詳細に示すことができる。
【0035】
理解されるように、対象物体および撮像デバイスが互いに関して一緒に移動した場合、ステップiii)は、a)第1の画像および第2の画像のうちの少なくとも1つを処理して、対象物体と撮像デバイスとの間の移動を補正するステップと、b)補正された画像を使用して(例えば、ラップ)位相マップを計算するステップとを含むことができる。ステップiii)は、c)ラップ位相マップをアンラップし、対象物体の表面に関する凹凸形状データを取得するステップをさらに含むことができる。
【0036】
したがって、ステップa)は、複数の画像によって覆われる共通の画像領域を識別するステップを含み、ステップb)は、共通の画像領域のみを使用して位相マップを計算するステップを含むことができる。特に、ステップa)は、対象物体と画像デバイスとの間の相対的移動を補正するように画像座標を調節するステップを含むことができる。
【0037】
少なくとも第1の画像および第2の画像解析するステップは、表面の勾配を決定するステップを含むことができる。これは、撮像デバイスに関する勾配としてよい。
【0038】
表面の勾配を決定するステップは、複数の画像から位相シフトマップを計算するステップを含むことができる。複数の画像から位相シフトマップを生成するのに適したアルゴリズムが多数存在する。例えば、カレアルゴリズムを使用することで、位相シフトマップを作成することができる。関係する表面の勾配を決定するステップは、位相シフトマップに基づき勾配マップを得るステップをさらに含むことができる。勾配マップは、位相シフトマップ上の複数の点のうちのそれぞれの点の値を勾配値に変換することによって得ることができる。位相シフトマップ内の点の値は、所定のマッピングプロシージャを使用して勾配値に変換することができる。理解されるように、位相シフトマップは、対象物体の表面上に投影された干渉縞の位置の変化により生じる表面上の複数の点に対する位相シフトを詳細に示すことができる。位相シフトは、360度の範囲内に束縛されるものとしてよい。勾配マップは、表面上の複数の点の表面勾配を詳細に示すことができる。
【0039】
この方法は、勾配マップを積分して高さデータを取得するステップをさらに含むことができる。上で説明されているように、高さデータによって、撮像デバイスに相対的な表面上の複数の点の位置を詳細に示すことができる。
【0040】
プロジェクタおよび撮像デバイスは、座標位置決め装置上に取り付けることができる。これにより、プロジェクタおよび撮像デバイスの配置および/または方向に関する正確な位置情報を取得することができる。
【0041】
対象物体は、測定空間内に配置することができ、この方法は、測定空間内の凹凸形状データの三次元座標を決定するステップをさらに含むことができる。
【0042】
上述のように、好ましくは、少なくとも第1の画像および第2の画像は、同じ第1の透視位置から得られる。したがって、この方法は、複数の画像からなる第1の画像群を得るステップを含む。この方法は、撮像デバイスが、第1の透視位置と異なる少なくとも第2の透視位置から対象物体の複数の画像からなる少なくとも第2の画像群を得るステップをさらに含むことができる。次いで、この方法は、複数の画像からなる第1の画像群および少なくとも第2の画像群から測定される対象物体上の少なくとも1つのターゲット特徴を識別し、次いで、撮像デバイスに相対的な対象物体上のターゲット特徴の位置を決定するステップをさらに含むことができる。対象物体の表面の凹凸形状データを識別し、さらに対象物体上のターゲット特徴の位置を識別および決定するための方法および装置の詳細は、出願人の参照番号743/WO/0を有し、特許文献3、特許文献4、特許文献5からの優先権を主張する、「NON-CONTACT PROBE」という表題を持つ、本出願と同日に出願された同時係属PCT出願において開示されている。その出願において開示されている発明対象は、参照により本出願の明細書に組み込まれている。
【0043】
ターゲット特徴は、対象物体上の所定のマークとしてよい。所定のマークは、対象物体の一部、例えば、対象物体の表面上に形成された所定のパターンとすることも可能である。適宜、マークは、ターゲット特徴を識別することを目的として対象物体に付けることが可能である。例えば、マークは、一意的な識別子をコード化する一組の白黒の同心円状のリングで囲まれ、透視位置に関して不変な一意的中心点を有するコード化された「標的」とすることも可能である。ターゲットの中心を特定し、一意的な識別子をさらに復号化するために、自動特徴認識法を使用することができる。このようなターゲットを用いることで、画像の自動分析を行い、「標的」中心の座標を返すようにすることができる。
【0044】
測定される対象物体上のターゲット特徴は、特徴認識技術によって識別することができる。例えば、ハフ変換を使用することで、対象物体上の直線状の特徴を識別することができる。
【0045】
好ましくは、画像解析装置は、少なくとも1つの第1および第2の画像内に画像化されたような光学的パターン内の少なくとも1つの不規則性を少なくとも1つのターゲット特徴として識別するように構成される。これは、ターゲット特徴が対象物体上に置かれているマーカーを使用せずに識別できるという点で有利である。これにより、対象物体の高精度な測定を迅速に実行できることが判明している。本発明の方法では、複雑な形状の対象物体上の点を識別するのに必要な処理資源が他の知られている画像処理技術に比べて少なくて済むことも判明している。少なくとも1つの第1および第2の画像のそれぞれの中の光学的パターン内の不規則性をターゲット特徴として識別する方法の詳細は、出願人の参照番号741/WO/0を有し、特許文献3、特許文献4、特許文献5からの優先権を主張する、「NON-CONTACT MEASUREMENT APPARATUS AND METHOD」という表題を持つ、本出願と同日に出願された同時係属PCT出願において開示されている。その出願において開示されている発明対象は、参照により本出願の明細書に組み込まれている。
【0046】
光学的パターン内の不規則性は、対象物体の不連続の特徴によって引き起こされる光学的パターンの変形とすることができる。光学的パターンのこのような変形は、対象物体の2つの連続するセクションの間の境界において発生しうる。例えば、境界は、立方体の2つの面が交わる立方体の稜線とすることが可能である。したがって、対象物体上の不連続な特徴は、対象物体の表面の勾配が著しく変化する場所であるとしてよい。表面の勾配が大きければ大きいほど、表面上のその点における光学的パターンの変形度合いは大きくなる。したがって、不連続性は、光学的パターンが所定の閾値を超えて変形される対象物体上の点を識別することによって識別することが可能である。この所定の閾値は、測定される対象物体のサイズおよび形状を含む、多くの因子に依存する。所定の閾値は、測定される対象物体に関する情報に基づきユーザが操作前に決定し設定できる。
【0047】
光学的パターンが干渉縞パターンである実施形態では、不規則性は、干渉縞パターンの位相が所定の閾値を超えて変化する対象物体上の点を識別することによって識別することができる。
【0048】
本発明の第2の態様によれば、位相解析を用いて対象物体を検査するための装置が提供され、この装置は、測定される対象物体の表面上に光学的パターンを投影するように構成されている、対象物体に相対的に移動可能であるプロジェクタと、光学的パターンが投影される対象物体の複数の画像を得るように構成されている撮像デバイスとを備え、プロジェクタは、位相シフト画像を得る間に対象物体に相対的に移動して、対象物体上の光学的パターンの位相を変化させるように構成されている。理解されるように、装置は、画像を解析して凹凸形状表面データを取得するように構成されている画像解析装置をさらに備えることができる。
【0049】
本発明の第3の態様によれば、位相解析を用いて対象物体を検査するための非接触法が提供され、この方法は、任意の適当な順序で、i)プロジェクタが、検査される対象物体の表面上に光学的パターンを投影するステップと、ii)撮像デバイスが、表面上の光学的パターンの複数の位相シフト画像を得るステップとを含み、プロジェクタおよび撮像デバイスは、互いに関して固定された空間的関係にあり、また対象物体上の光学的パターンの位置は、撮像デバイスの透視中心の周りにおけるプロジェクタと相対する対象物体との間の相対的移動によって画像間で移動される。透視中心を中心とする回転は、撮像デバイスから見た対象物体の透視位置は変化せず、そのため回転前に遮られていることで隠されている対象物体上の点が回転後も遮られていることで隠されるという点で有利なものと思われる。撮像デバイスの透視中心を中心とする回転により、対象物体と撮像デバイスとの間の任意の相対的移動を補正するために画像を処理することが比較的容易にできることがわかっている。特に、多数の画像にわたって対応するピクセルをマッチさせることが容易になる。例えば、対応するピクセルのマッチングは、対象物体と撮像デバイスとの間の距離と無関係である座標変換を使用すると可能である。したがって、画像を処理して対象物体と撮像デバイスとの間の任意の相対的移動を補正するのに対象物体と撮像デバイスとの間の距離を知る必要がない。
【0050】
この方法は、iii)位相シフト画像を処理して凹凸形状表面データを取得するステップをさらに含むことができる。
【0051】
本発明の第4の態様によれば、コントローラによって実行されると、機械コントローラに上述の方法に従って少なくとも1つのプロジェクタ、撮像デバイス、および画像解析装置を制御させる命令を含むコンピュータプログラムコードが提供される。
【0052】
本発明の第5の態様によれば、上述のようなコンピュータプログラムコードを格納する、コンピュータ可読媒体が提供される。
【0053】
したがって、本出願は、対象物体を測定する非接触法を説明するものであり、この方法は、任意の適当な順序で、i)プロジェクタが、測定される対象物体の表面上に構造化光パターンを投影するステップと、ii)画像センサが、表面上の構造化光パターンの複数の画像を得るステップと、iii)複数の画像を解析することによって表面に関する凹凸形状データを取得するステップとを含み、さらに、この方法は、複数の画像のうちのそれぞれの画像を得る間で対象物体とプロジェクタとを互いに関して移動するステップを含む。本出願は、測定空間内に配置されている対象物体を測定するための装置を説明するものでもあり、この装置は、測定される対象物体の表面上に構造化光パターンを投影されるように構成されているプロジェクタであって、表面上の構造化光パターンの位置が変化するように対象物体とプロジェクタとが互いに関して移動可能である、プロジェクタと、表面上の構造化光パターンの複数の画像を得るように構成されている画像センサと、表面上の構造化光パターンの位置が複数の画像のうちのそれぞれの画像内で異なる画像センサにより得られた複数の画像を解析することによって表面に関する凹凸形状データを取得するように構成されている画像解析装置とを備える。
【0054】
次に、本発明の一実施形態について、付属の図を参照しつつ、例としてのみ説明する。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明による非接触法を用いて対象物体を測定するためのプローブが取り付けられる三次元座標測定機を示す概略斜視図である。
【図2】3つの異なる透視位置からプローブによって得られた図1に示されている対象物体の様々な画像を例示する図である。
【図3】3つの異なる透視位置のそれぞれについて複数のラップ位相マップを例示する図である。
【図4】図1に示されている装置の高水準動作を例示する流れ図である。
【図5】透視画像セットを取り込む方法を例示する図である。
【図6】干渉縞シフト画像を得る方法を例示する図である。
【図7】画像を解析する方法を例示する図である。
【図8】ラップ位相マップを計算する方法を例示する図である。
【図9】高さマップを得るための第1の方法を例示する図である。
【図10】高さマップを得るための第2の方法を例示する図である。
【図11】図1に示されているプローブのコンポーネントの概略図である。
【図12】図11に示されているプローブの撮像デバイスとプロジェクタとの位置関係を示す概略図である。
【図13】図11に示されているプロジェクタの概略図である。
【図14】対象物体上の干渉縞の位置がそれぞれの画像内で異なっている一組の干渉縞シフト画像を例示する図である。
【図15】対象物体に相対的に画像センサを移動する効果を例示する図である。
【図16】対象物体表面の勾配を位相シフトからどのように決定できるかを例示する図である。
【図17】画像センサの透視中心を中心として回転させることによって干渉縞シフト画像を得る方法を例示する図である。
【図18】撮像デバイスのスタンドオフ距離と被写界深度を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
図1を参照すると、そこには、本発明による測定プローブ4が取り付けられる三次元座標測定機(CMM)2が示されている。
【0057】
CMM2は、クイール14を保持するフレーム12を支持する基盤10を備える。3本の相互に直交するX、Y、およびZ軸にそってクイール14を移動するために、モータ(図に示されていない)が備えられる。クイール14は、関節ヘッド16を保持する。ヘッド16は、クイール14に取り付けられる基部20、中間部22、およびプローブ保持部24を有する。基部20は、第1の回転軸18を中心として中間部22を回転させるための第1のモータ(図に示されていない)を備える。中間部22は、第1の回転軸に実質的に垂直な第2の回転軸を中心としてプローブ保持部24を回転させるための第2のモータ(図に示されていない)を備える。図に示されていないが、関節ヘッド16の可動部の間にベアリングを備えることもできる。さらに、図に示されていないが、基盤10上に配置されている工作物に関して測定プローブ4の位置を決定できるように基盤10、フレーム12、クイール14、および関節ヘッド16の相対的位置を測定するための測定エンコーダを備えることができる。
【0058】
プローブ4は、プローブ保持部分24上に取り外し可能なように取り付けられる(例えば、運動学的マウントを使用する)。プローブ4は、プローブ4およびプローブ保持部分24上に、またはプローブ4およびプローブ保持部分24内に備えられた対応する磁石(図に示されていない)を使用することによってプローブ保持部分24によって保持することができる。
【0059】
ヘッド16では、プローブ4をクイール14に対し自由度2で移動できる。ヘッド16とCMM2の3本の直線(X、Y、Z)並進軸によって与えられる自由度2の組合せで、プローブ4を5本の軸の周りで移動させることができる。
【0060】
CMM2の動作を制御するためのCMMコントローラ27を含むコントローラ26も備えられており、プローブ4の動作を制御するためのプローブコントローラ29およびプローブ4から得られた画像を解析するための画像解析装置31も備えられる。コントローラ26は、専用電子制御システムとすることができ、および/またはパーソナルコンピュータを含むものであってもよい。
【0061】
CMMコントローラ27は、使用時に、それぞれのモータが必要なトルクを与えるように第1および第2のモータに適切な駆動電流を供給するように配列構成される。それぞれのモータによって与えられるトルクを使用して、関連する回転軸を中心とする移動を引き起こすか、または特定の回転位置を維持することができる。したがって、使用時にヘッド16のそれぞれのモータに駆動電流を連続的に印加する必要がある、つまり、それぞれのモータは、関連する回転軸を中心とする移動が必要ない場合であっても給電される必要があることがわかる。
【0062】
図1は、CMM2の上位水準の説明のみを示していることに留意されたい。このような装置のさらに詳しい説明は、別のところでなされているが、例えば、参照により本明細書に組み込まれている特許文献6を参照されたい。
【0063】
次に図11を参照すると、プローブ4は、処理ユニット42の制御の下で、干渉縞パターンを対象物体28上に投影するためのプロジェクタ40、処理ユニット42の制御の下で、干渉縞パターンが投影される対象物体28の画像を得るための撮像デバイス44を備える。理解されるように、撮像デバイス44は、対象物体28の画像を取り込むのに適した光学系およびセンサを備える。説明されている実施形態では、撮像デバイスは、画像センサ、特に像面62を定めるCCDを備える。撮像デバイス44は、像面62に光を集束させるためのレンズ(図に示されていない)も備える。
【0064】
処理ユニット42は、コントローラユニット26内のプローブコントローラ29および画像解析装置31に、処理ユニット42が通信回線46を介して通信できるように接続される。理解されるように、通信回線46は、有線通信回線または無線通信回線とすることが可能である。プローブ4は、処理ユニット42によって使用される、画像データなどの、データを一時的に格納するためのランダムアクセスメモリ(RAM)デバイス48も備える。
【0065】
理解されるように、プローブ4は、処理ユニット42および/またはRAM48を必ずしも備えている必要はない。例えば、処理およびデータ格納はすべて、プローブ4に接続されているデバイス、例えば、コントローラ26またはプローブ4とコントローラ26との間に接続されている中間デバイスによって実行することができる。
【0066】
図12に例示されているように、プロジェクタ40の像面60および撮像デバイス44の像面62は、プロジェクタ40および撮像デバイスの光軸61、63が基準面64で交わる角をなす。使用中、プローブ4は、対象物体の表面上に投影される干渉縞が撮像デバイス44によって明瞭に撮像されうるように位置決めされる。
【0067】
図13を参照すると、プロジェクタ40は、コヒーレント光源を形成するためのレーザダイオード50、レーザダイオード50から放射される光をコリメートするためのコリメータ52、正弦波状干渉縞群を発生するための格子54、および基準面64に集光して干渉縞を形成するためのレンズ集合体56を備える。理解されるように、他の種類のプロジェクタも、本発明とともに使用するのに適しているであろう。例えば、プロジェクタは、光源およびプロジェクタからパターンで放射された光を選択的にブロックし、伝送するためのマスクを備えることが可能である。
【0068】
説明されている実施形態では、プロジェクタ40によって投影される周期的光学的パターンは、正弦波状干渉縞群である。しかし、理解されるように、他の形態の構造光、例えば、異なる色もしくは色調を有する一組の平行線(例えば、黒色線と白色線とが交互に並ぶ線、または平行な赤色線、青色線、および緑色線)、または例えば、一組の同心円などであっても、投影することが可能である。
【0069】
次に、図2から図10を参照しつつ、プローブ4の動作について説明する。
【0070】
最初に図4を参照すると、オペレータがCMM2をオンにしたときに、ステップ100で動作が開始する。ステップ102で、システムが初期化される。これは、プローブ4を関節ヘッド16に装填すること、測定される対象物体28を基盤10上に位置決めすること、CMM2に関する関節ヘッド16の位置が知られるようにCMMのエンコーダをホームまたは基準位置に送ること、さらにCMM2に関するプローブ4の基準点の位置が知られるようにCMM2およびプローブ4を較正することを含む。
【0071】
初期化が済み、適切に較正された後、制御は、ステップ104に渡り、その時点で対象物体28の一組の画像がプローブ4によって得られる。このステップは、複数の画像群が得られるように複数回実行され、それぞれの画像群は、対象物体28の異なる透視位置または視点に対応する。説明されている実施例では、3つの異なる透視位置に対応する3組の画像が得られる。一組の画像を得るプロセスについて、図5に関して以下でさらに詳しく説明する。
【0072】
画像すべてが得られた後、それらの画像は、コントローラ26内の画像解析装置31によってステップ106で解析される。画像解析装置31は、対象物体28の形状を記述するCMM2に関する一組の三次元(「3D」)座標を画像から計算する。画像を解析する方法は、図7に関してさらに詳しく説明される。次いで、ステップ108で3D座標が3D点雲として出力される。理解されるように、3D点雲は、後から使用できるようにメモリデバイス上に格納しておくことができる。3D点雲データを使用することで、対象物体の形状および寸法を決定し、それを所定の閾値データと比較して、対象物体28が所定の許容範囲内で作られた物体であるかどうかを評価することが可能である。適宜、3D点雲を、対象物体28の仮想3Dモデルをユーザに提示するグラフィカルユーザインターフェース上に表示することが可能である。
【0073】
この動作は、システムがオフにされるとステップ110で終了する。その代わりに、その後の動作は、ステップ104から108までを繰り返すことによって開始することが可能である。例えば、ユーザは、同じ対象物体28について複数組の測定データを取得するか、または異なる対象物体に対する測定データを取得することを望んでいる場合がある。
【0074】
次に図5を参照しつつ、1つの透視位置に対する画像群を取り込むプロセス104について説明する。このプロセスはステップ200から始まり、その時点で、プローブ4は第1の透視位置に移動される。説明されている実施形態では、ユーザは、クイール14を移動するためにCMM2のモータを制御するジョイスティック(図に示されていない)の制御の下でプローブ4を移動することができる。理解されるように、第1の(およびその後の)透視位置は、予め決定しておくことが可能であり、また測定動作時にプローブ4が所定の透視位置に自動的に移動されるようにCMMコントローラ27にロードすることができる。さらに、異なる位置決め装置上で、ユーザは、プローブ4を透視位置まで物理的に引きずることが可能であり、位置決め装置は、例えば、装置の移動部分に取り付けられたエンコーダを介して、プローブ4の位置を監視する。
【0075】
プローブ4が、第1の透視位置に位置決めされた後、初期化画像がステップ202で得られる。これは、プローブコントローラ29がプローブ4の処理ユニット42に信号を送信し、これにより撮像デバイス44を操作して対象物体28の画像を取り込むようにすることを伴う。
【0076】
初期化画像は、画像解析装置31に送り返され、ステップ204で、画質特性に関して画像が解析される。これは、例えば、画像の平均光度およびコントラストを決定すること、およびこれらを所定の閾値レベルと比較して、画質が測定プロセスを実行するのに十分かどうかを判定することとを含みうる。例えば、画像が暗すぎる場合、撮像デバイス44またはプロジェクタ40の特性を変えることで、投影された干渉縞パターンの明度を高め、および/または撮像デバイス44の露光時間または利得を調節することが可能である。初期化画像は、対象物体28に関する測定データを取得するためにその後のプロセスで使用されず、したがって、画像の解像度など、画像のいくつかの側面は、後述のように測定画像についてはそれほど高くなくてよい。さらに、代替実施形態では、撮像デバイスから分離されている、フォトダイオードなどの光センサをプローブ内に実装することで、透視位置での光の量を測定することが可能であり、フォトダイオードのこの出力を使用して、プロジェクタ40および/または撮像デバイス44をセットアップする。
【0077】
プロジェクタ40および撮像デバイス44がセットアップされた後、ステップ206で第1の測定画像が得られる。測定画像というのは、以下でさらに詳しく説明される「画像を解析する」プロセス106で使用されるものである。第1の測定画像を取得することは、プローブコントローラ29が信号をプローブ4の処理ユニット42に送り、これにより処理ユニット42が対象物体28上に干渉縞パターンが投影されるようにプロジェクタ40を動作させ、また撮像デバイス44が干渉縞パターンが載っている対象物体28の画像を同時に取り込むようにすることを伴う。
【0078】
第1の測定画像は、画像解析装置31に送り返され、ステップ208で、画質特性に関して第1の測定画像が再び解析される。画質が、後述の「画像を解析する」プロセス106で使用するのに十分である場合に、制御はステップ210に渡り、そうでなければ、制御はステップ204に戻される。
【0079】
ステップ210で、現在の透視位置について干渉縞シフト画像が得られる。干渉縞シフト画像は、実質的に同じ透視位置からであるが、干渉縞の位置はそれぞれの画像内でわずかに異なる対象物体の複数の画像である。このステップの方法は、図6を参照しつつ以下でさらに詳しく説明される。
【0080】
干渉縞シフト画像が得られた後、画像はすべて、ステップ212で解析するために画像解析装置31に送り返される。理解されるように、それぞれの画像が得られたときにプローブ4が指している位置および方向に関するデータは、それぞれの画像とともに画像解析装置31に送られ、CMM2に関する対象物体28の3D座標は、以下でさらに詳しく説明されるように取得できる。次いで、このプロセスは、ステップ214で終了する。
【0081】
上で説明されているように、透視画像群取り込みプロセス104は、複数の異なる透視位置について複数回繰り返される。この説明されている実施例では、透視画像群取り込みプロセスは、第1の透視位置、第2の透視位置、および第3の透視位置について、3回実行される。プローブ4は、上で説明されているようにユーザまたはコントローラの制御の下でそれぞれの透視位置に移動される。
【0082】
次に、図6を参照しつつ、干渉縞シフト画像を得るためのプロセス210について説明する。対象物体28上に投影された干渉縞は、対象物体28上の干渉縞の位置が前の位置と異なるようにある方向にわずかな距離だけプローブ4を物理的に移動することによってシフトされる。プローブ4がシフトされると、中にあるプロジェクタ40、したがってプロジェクタの光軸61も、対象物体28に相対的にシフトされる。これは、対象物体28の干渉縞の位置の変化を与えるものである。
【0083】
一実施形態では、プローブ4は、撮像デバイス44の像面に平行で、干渉縞の長さ方向に垂直である方向に移動される。
【0084】
しかし、これは、対象物体上の干渉縞の位置が移動する限り、必ずしもそうである必要はない。例えば、干渉縞シフトは、プローブ4を回転させることによって実現可能である。例えば、プローブ4は、プロジェクタの像面60に垂直な方向に伸びる軸を中心として回転させることが可能である。適宜、プローブは、撮像デバイス44の像面に垂直な方向に伸びる軸を中心として回転させることが可能である。他の好ましい実施形態では、プローブ4は、撮像デバイス44の透視中心を中心として回転させることができる。これは、これにより異なる画像上で撮像デバイス44によって取り込まれた特徴の透視位置が必ず同じになるので有利である。また、これにより、画像の任意の処理で対象物体と画像センサとの間の距離を知ることなく実行すべき対象物体および画像センサの相対的移動を補正することが可能になる。
【0085】
例えば、図17を参照すると、プローブ4が、検査される対象物体70に関して第1の位置(参照番号4’で示されている)に配置されている。この場合に、プローブのプロジェクタ40は、対象物体70上に点線の干渉縞マーキング72’によって例示される干渉縞パターンを投影する第1の位置(参照番号40’で示されている)にある。干渉縞マーキング72’を持つ対象物体の画像74は、参照番号44’によって示される第1の位置にある撮像デバイス44によって取り込まれる。
【0086】
次いで、プローブ4は、撮像デバイスの透視中心の周りで対象物体70に関してプローブ4を回転させることにより、参照番号4”で示される第2の位置に移動される。理解されるように、撮像デバイスの透視中心は、像面と交差するすべての光線が通過すると想定される点である。示されている図において、透視中心は、参照番号76で示されている。
【0087】
これからわかるように、第2の位置において、参照番号40”で示されている、プロジェクタは、対象物体70上の干渉縞パターンの位置が移動されるように移動した。対象物体70上の干渉縞パターンの新しい位置は、対象物体70上のストライプの干渉縞マーキング72”によって例示される。対象物体の画像74は、第2の位置44”のところで撮像デバイスによって取り込まれる。これからわかるように、撮像デバイス44上の対象物体の画像の位置は、撮像デバイスの第1の位置44’と第2の位置44”との間で変化しているけれども、撮像デバイス44が有する対象物体70の透視位置は、位置と位置との間で変化しない。したがって、例えば、1つの画像内で遮られるせいで隠れている特徴は、第2の画像内でも遮られて隠される。これは、対象物体上の背丈の高い特徴80の撮像デバイス44が有する視点を例示している光線78によって示される。これからわかるように、撮像デバイス44は、透視中心を中心として回転するので、光線78は、両方の位置について同一であり、したがって、撮像デバイス44上の特徴の位置のみが、位置と位置との間で変化し、特徴それ自体の形態では変化しない。
【0088】
したがって、透視中心を中心として回転することは、対象物体の画像センサの透視位置が変化しないという点で有利とすることができ、これにより、対象物体上の同じ点はそれぞれの位置について可視であることが保証される。さらに、任意の見える点について、カメラの相対的回転の前後のその画像点と対象物体との間の距離は、対象物体までの距離と無関係である。つまり、未知の対象物体について、カメラがそれ自体の透視中心の周りを回転する場合、回転前のそれぞれの結像点について、回転後に撮像される場所を予測することが可能である。回転後の像点の位置は、初期像点の位置、回転の角度(および軸)、ならびに内部カメラパラメータに依存し、これはすべて知られている値である。したがって、以下でさらに詳しく説明されるように、透視中心を中心とする回転により、対象物体までの距離を知ることなく、相対運動を補正することができる。
【0089】
プローブ4は、撮像デバイス44の光軸63が基準面64と交わる点で1/4周期の干渉縞シフトに対応する距離だけ移動される。理解されるように、プローブ4が移動する実際の距離は、投影される干渉縞の周期およびプロジェクタ40の倍率などの他の因子に依存する。
【0090】
プローブ4がシフトされた後、ステップ302で別の測定画像が得られる。プローブ300をシフトし、測定画像302を得るステップは、さらに2回繰り返される。各回、プローブは、測定画像毎に対象物体上の干渉縞パターンの位置が前のすべての画像について異なるようにシフトされる。したがって、干渉縞シフト画像を取得するプロセス210の終わりに、対象物体の4つの画像が、与えられた透視位置について得られており、それぞれの画像に対する対象物体上の干渉縞パターンの位置はわずかに異なっている。
【0091】
次に図2を参照する。行Aは、干渉縞が投影されていない3つの透視位置のそれぞれにおける対象物体28の図を示している。行Bは、第1、第2、および第3の透視位置のそれぞれについて、透視画像群104を取り込むためのプロセスのステップ206で撮像デバイス44によって得られる画像1000を例示している。これらの画像1000のそれぞれの背後には、第1、第2、および第3の透視位置のそれぞれについてステップ300および302を実行したときに得られる干渉縞シフト画像1002、1004、および1006の概略が示されている。図14(a)〜14(d)は、第1の透視位置について得られる画像1000〜1006の例を示している。図に示されているように、対象物体および撮像デバイスの相対的位置は、1つの透視位置について画像群内のそれぞれの画像を得る間にわずかに移動しており、これは、以下でさらに詳しく説明されるように(図8に関して特に説明されるように)画像の処理中に考慮し、および/または補正する必要がある。
【0092】
したがって、第1、第2、および第3の画像群を取り込むステップ104が完了した後、画像解析装置31は、第1、第2、および第3の透視位置のそれぞれについて一組の画像1000〜1006を有することになる。
【0093】
次に、画像を解析するためのプロセス106について、図7を参照しつつ説明することにする。このプロセスはステップ400から始まり、その時点で、4つのラップ位相マップが第1、第2、および第3の透視位置のそれぞれについて計算される。理解されるように、ラップ位相マップは、位相角が360度の範囲内に束縛されている、透視画像群内の測定画像のうちの1つの画像内の複数のピクセルについて対象物体の表面上に投影される干渉縞の位相を含むマップである。
【0094】
与えられた透視位置について、ラップ位相マップは、特定の順序でその透視位置に対し4つの位相シフト画像のうちのそれぞれの画像を使用して得られる。与えられた透視位置に対する4つのラップ位相マップは、異なる順序で4つの位相シフト画像のうちのそれぞれの画像を使用することによって得られる。ラップ位相マップを得るための方法は、図8に関してさらに以下でさらに詳しく説明される。
【0095】
理解されるように、それぞれの透視位置について4つのラップ位相マップを計算する必要はない。例えば、透視位置のそれぞれについて2つまたはそれ以上のラップ位相マップを計算することが可能である。理解されるように、計算するラップ位相マップが多ければ多いほど、以下でさらに詳しく説明するように実際の不連続の決定の信頼度は高くなるが、必要な処理資源は増える。
【0096】
図3を参照すると、列X、Y、およびZは、異なる透視位置のそれぞれについて、4つの異なるラップ位相マップ1010、1012、1014、および1016を例示している。与えられた透視位置に対するこれらのラップ位相マップのそれぞれは、その透視位置に対する4つの異なる画像1002〜1006の一意的順序を使用して計算されている。それぞれの透視位置に対する4つの異なるラップ位相マップ1010〜1016は、以下でさらに詳しく説明されるように、対象物体28上の特徴によって引き起こされる不連続とその位相のラッピングによって引き起こされる不連続とを区別できるように計算される。
【0097】
図2の行Bにおける画像を見るとわかるように、対象物体28上のエッジまたはコーナーなどの特徴により、干渉縞パターン内に不連続が生じる。例えば、対象物体28上のエッジ30は、干渉縞が投影されている対象物体28の画像内の直線32にそって干渉縞パターン内に不連続をもたらす。したがって、干渉縞パターン内の不連続を識別することによって対象物体28の特徴を識別することが可能である。
【0098】
ステップ402では、干渉縞パターン内の不連続は、透視位置のそれぞれについて識別される。これは、ラップ位相マップのそれぞれの中の不連続を識別することによって達成される。ラップ位相マップ内の不連続は、それぞれのピクセルの位相値を隣接する周囲ピクセルの位相値と比較することによって識別される。隣接するピクセル同士の間の位相値の差が、閾値レベルを超えている場合、それらのピクセルのうちのそれぞれによって、不連続点が識別される。理解されるように、これらのピクセルのうちのどのピクセルが不連続点として選択されるかは、その選択基準がすべての不連続点の選択に関して一貫している限り、つまり、隣接するピクセル同士の間の差が画像にそってx方向に計算されているか、y方向に計算されているかに応じて、差の左または差の上のピクセルを常に選択する限り、重要でない。理解されるように、不連続の位置は、上述の方法で見つかった後、必要ならば、画像処理技術を使用して、例えば、位相の勾配、または周囲領域内の測定画像における強度の勾配を見ることによって精密化することができ、これで、例えば、非特許文献6で説明されているようにサブピクセル精度で不連続の位置を見つけることができる。
【0099】
好ましい閾値レベルは、対象物体形状、画像中のノイズレベル、および干渉縞パターンの周期を含む多くの因子に依存する。閾値レベルは、動作の前にユーザによって設定されるか、または画像それ自体の解析結果から計算することが可能である。
【0100】
例えば、第1の透視位置について第1のラップ位相マップ1010(図3)を参照すると、エッジ30による干渉縞の直線32にそった歪みによって引き起こされる位相値の差により点34における隣接するピクセル間で不連続性が識別される。この不連続性は、同じ点34における他のラップ位相マップ1012、1014、および1016内でも識別される。
【0101】
他の不連続性も、エッジ30に対応する、例えばずっと直線32にそってなど、ラップ位相マップ1010〜1016内で識別される。
【0102】
上記のプロセスの実行の結果、位相マップがラップされることで偽不連続性が識別される可能性がある。例えば、隣接するピクセルが、例えば、0度および360度にそれぞれ近い位相値を有することがある。もしそうであれば、これは、それらのピクセルの間に大きな位相跳躍があったかのように見え、これは不連続性として識別されるであろう。しかし、位相跳躍は、単に、位相のラップアラウンドの結果として引き起こされたのであり、測定されている対象物体の表面の不連続性によるものではない。この例は、位相値が360度から0度に跳躍する点36における第1の透視位置に対する第1のラップ位相マップ1010内に見られる(それぞれ暗色ピクセルと明色ピクセルとによって例示される)。隣接するピクセルに対する位相値は、位相マップがラップされるせいで点36において著しい跳躍をする。
【0103】
したがって、すべての不連続性が、与えられた透視位置に対する4つのラップ位相マップのそれぞれについて識別された後、ステップ404で、誤って識別された不連続性が取り除かれる。これは、与えられた透視位置に対するラップ位相マップのそれぞれの不連続性を比較し、4つのラップ位相マップのうちの少なくとも2つのラップ位相マップ内に出現する不連続性を保持するだけで達成される。理解されるように、より厳格な試験を、例えば、ラップ位相マップのうちの3つまたは4つのラップ位相マップ内に出現する不連続性を保持するだけで適用することが可能である。こうすることで、画像上のノイズによって引き起こされる問題を解消しやすくなる。このプロセス404は、第1から第3の透視画像群のそれぞれの画像群について実行される。
【0104】
例えば、上述のように、第1の透視位置について第1のラップ位相マップ1010内の点36で不連続性が識別されている。しかし、第1の透視位置に対する他のラップ位相マップ1012から1016を見ると、その同じ点36で、不連続性は識別されていない。これは、干渉縞シフト画像1000から1006の異なる順序を使用して異なるラップ位相マップが計算されており、これにより、ラップ位相マップ内での位相ラッピングが異なる点で生じることが保証されるからである。したがって、第1のラップ位相マップ1010内の点36で識別された不連続性が他のラップマップ1012から1016でも識別されていないので、その不連続性は破棄できる。
【0105】
しかし、第1のラップ位相マップ1010内の点34における不連続性が、他のすべてのラップ位相マップ1012から1014内の同じ点34で識別された不連続性によって確認されると、点34は、実際の不連続性として、つまり、位相ラッピングの結果としてではなく、対象物体28上の特徴によって引き起こされた不連続性として識別される。
【0106】
ステップ406で、透視位置のそれぞれの間の対応する不連続点が識別される。対応する不連続点は、対象物体28上の同じ特徴によって引き起こされる不連続性を識別するラップ位相マップ内の点である。例えば、第1、第2、および第3の透視位置のそれぞれに対する第1のラップ位相マップ1010のそれぞれの上の不連続点38はすべて、対象物体28上の同じコーナー39を識別する。対応する不連続点は、公知のマッチング技術により、また例えば、エピポーラ幾何学を使用することによって決定できる。このような公知の技術は、例えば、非特許文献7で説明されている。次いで、相関する不連続点をターゲット点として使用することができ、プローブ4に関するその3D座標は、例えば、非特許文献8で説明されているような、公知の写真測量法によってステップ408で決定することができる。
【0107】
したがって、ステップ408の後、対象物体28上の多数の離散点が、識別されており、プローブ4に相対的なその位置が測定される。
【0108】
ステップ410で、対象物体28の連続セクションに対する高さマップが計算される。高さマップは、プローブ4に関する知られている基準面6より上の表面の高さに関する情報を与える。連続セクションは、不連続な特徴によって囲まれている対象物体の一領域、例えば、4つのエッジによって囲まれている立方体の面である。連続セクションは、ステップ402から406ですでに識別されている不連続点によって囲まれているラップ位相マップ内の領域を識別することによって識別することができる。高さマップは、これらの離散点の間の表面の形状に関する測定データを与える。図9および10を参照しつつ、連続セクションに対する高さマップを得るための方法について以下でさらに詳しく説明する。ステップ410は、異なる透視位置のうちの1つまたは複数の透視位置について異なる連続セクションに対し複数回実行することが可能である。
【0109】
類似の干渉縞解析システムでは通常のことだが、アンラップ位相マップは、値は知られていないが2πラジアンの数倍程度まで正しく、したがって、基準面64を超える高さは、この知られていない位相差に対応するどのような高さであっても誤りである可能性がある。これは、2π曖昧性と呼ばれることが多い。ステップ408で得られた実際の不連続性の測定された3D座標は、これらの曖昧性を解決するために使用される。
【0110】
この段階で、ステップ408で得られた実際の不連続点の3D座標とステップ410で得られた高さマップデータとから、プローブ4における所定の基準点に関する対象物体の位置が得られる。したがって、ステップ412で、これらの座標は、CMM2に関して3D座標に変換される。これは、普通の三角法を使用してCMM2の相対的位置として実行することができ、プローブ4内の基準点は、較正結果から、またそれぞれの画像が得られた点でのCMM2に相対的なプローブ4の位置と方向がそれぞれの画像とともに記録されたため知られている。
【0111】
次に、ラップ位相マップ400を計算するためのプロセスを、図8を参照して説明する。ラップ位相マップを計算することは、一組の干渉縞シフト画像の1つに対するそれぞれのピクセルについて位相を計算することを含む。これは、様々な技術を使用して実行することができるが、その技術の選択は干渉縞シフト画像を得るための方法を含む様々な因子に依存しうる。標準的な位相シフトアルゴリズムは、対象物体と撮像デバイス44との間の相対的位置が、干渉縞シフト画像のすべてにわたって同じであるという事実に依存する。しかし、上述の方法のいずれか(例えば、プローブ4を横方向に移動するか、または撮像デバイスの透視中心を中心として回転させる)が、干渉縞シフト画像を得るために使用される場合、撮像デバイス44は、対象物体に相対的にわずかな距離だけ移動している。したがって、透視画像群に含まれるそれぞれの連続画像について、それぞれの画像内の与えられたピクセルは、対象物体上の異なる点の強度を識別している。したがって、標準的な位相シフトアルゴリズムが使用される場合には、干渉縞シフト画像のすべてにわたってどのピクセルが対象物体上の同じ点に対応するかを識別し、次いでこれを補整する必要がある。撮像デバイス44が横方向に移動したときにこれを行う方法の1つは、それぞれの画像の間で撮像デバイス44がどれだけ、またどのような方向に移動したかにより、またその後、それぞれの画像がそれらのすべてに共通の画像データを含むように画像を刈り込むことによって判定する方法である。例えば、2つの画像の間での撮像デバイス44の移動が、対象物体上の1つの点が1つの次元方向に5ピクセルだけシフトしたことを意味する場合、5ピクセル幅分のデータが取り除かれるように第1の画像を刈り込むことができる。
【0112】
このことは、第1の画像1000、第2の画像1002、第3の画像1004、および第4の画像1006のそれぞれについてピクセルの対応する行の概略を例示している図15を参照するとさらに明確にわかる。これからわかるように、画像と画像との間における撮像デバイス44および対象物体28の相対的移動により、対象物体上の同じ点が、それぞれの画像内の異なるピクセルによって画像化される。例えば、対象物体28上の点Xは、第1の画像1000に対する左から7番目のピクセル、第2の画像1002に対する左から5番目のピクセル、第3の画像1004に対する左から3番目のピクセル、および第4の画像1006に対する左から4番目のピクセルによって画像化される。画像センサおよび対象物体28の相対的移動を補正する効果的な方法は、それぞれの画像1000〜1006が、図15の窓51によって強調されているような共通領域を表すデータを含むように画像データを刈り込むことである。
【0113】
画像の刈り込みは、座標変換の一例であり、この変換は一次関数である。これは、対象物体までの距離が知られている状況、または例えば、スタンドオフ距離が測定容積の深さに比べて大きい状況において最も正確なものとなりうる。理解されるように、図18を参照すると、スタンドオフ距離は、撮像デバイスの透視中心76から撮像デバイスの測定容積の中心までの距離であり、被写界深度65または測定容積の深さは、デバイスによって記録される画像がくっきりと見える範囲である。言い換えると、スタンドオフ距離は、プローブ4から測定される対象物体までの公称距離である。例えば、スタンドオフ距離と測定容積の深さとの比が、約10:1である場合、いくつかのピクセルの補正において誤差は最大10%になる可能性がある。スタンドオフ距離が測定容積の深さに比べて大きくないか、または相対運動が直線的平行移動でない場合、撮像デバイスおよび対象物体の相対運動を補正するために最も適している座標変換は、一般的に、対象物体までの距離と実運動に依存しうる。しかし、運動が撮像デバイス44の透視中心を中心とする回転である場合には、運動を最もよく補正する座標変換は、対象物体までの未知の距離には無関係であることが判明している。これは、システムの幾何学的形状と運動のせいである。さらに、これにより、スタンドオフ距離が測定容積の深さに比べて大きくない場合でも、例えば、スタンドオフ距離と測定容積の深さとの比が10:1未満、例えば、5:1未満、例えば、1:1である状況で、正確な補正を実行することが可能である。
【0114】
したがって、これにより、プローブが対象物体の近くに配置されたときでも対象物体の測定を実行することができる。
【0115】
それぞれの調整された画像内の同じピクセルが対象物体上の同じ点を表すように相対運動に関してピクセルデータを補正した後、次のステップ502で、位相シフトアルゴリズムを使用してラップ位相をピクセル毎に計算する必要がある。公知の位相シフトを必要としない好適な位相シフトアルゴリズム、例えば、カレアルゴリズムを使用して、ラップ位相、位相シフト、および変調振幅を計算することができる。
【0116】
ラップ位相マップ400を計算するためのプロセスは、それぞれの透視画像群についてさらに3回繰り返され、毎回位相シフト画像を異なる順序で使用し、それぞれの透視位置について4つのラップ位相マップを得る。したがって、ラップ位相マップ400を計算するためのプロセスは、合計12回実行されることになる。
【0117】
次に、高さマップ410を得るための第1のプロセスについて、図9を参照しつつ説明する。この方法は、ステップ600で、位相計算アルゴリズムによって見つかった不連続性を取り除くために必要に応じて360度の整数倍を個別ピクセルのラップ位相に加えることによって複数の位相マップのうちの1つの位相マップの連続セクションをアンラップすることを伴う。この方法は、次いで、ステップ602でその連続セクションについてアンラップ位相マップを高さマップに変換することを伴う。1つのピクセルに対する位相は、対象物体の表面の相対的高さに依存する。したがって、ステップ602で、所定のマッピングテーブルおよび手順を使用してそれぞれのピクセルの位相値を直接、高さ値にマッピングすることによってその位相から連続セクションに対する高さマップを作成することが可能である。
【0118】
図8に関連して上で説明されているラップ位相マップを計算するための方法、つまり、画像座標が補正される方法とは対照的に、対象物体と撮像デバイス44が互いに相対的に移動されたときにラップ位相を計算するための、画像座標補正を必要としない方法が他にあることがわかった。この方法は、撮像デバイス44のCCDのピクセルがそれぞれの異なる画像について対象物体上の異なる点を見ているという事実に依存する。複数の画像内で単一のピクセルによって見られている点が、撮像デバイス44まで異なる距離にある場合に、それぞれの画像内のそのピクセルにおいて異なる位相が記録される。つまり、そのピクセルにおける干渉縞パターンの位相は、それぞれの画像の間でシフトされることになる。実際の位相シフトは、対象物体までの距離および対象物体の勾配、さらには撮像デバイス44および対象物体の公知の相対運動および固定システムパラメータに依存する。したがって、位相シフトは、画像の一面にわたって変化する。
【0119】
例えば、図16を参照しつつ、カメラ平面内のxで撮像される、対象物体の点Xpを考える。撮像デバイス414が、その平面に関してあるベクトルdXだけ平行移動される場合、撮像デバイス44によって撮像される点は、図に示されているように変化する。わかりやすくするために、プロジェクタ40は図から省かれているが、撮像デバイス44およびプロジェクタ40は、互いに関して固定されていることは理解されるであろう。
【0120】
hは、撮像デバイス44の透視中心からxで撮像された対象物体の点までの距離であり、δhは、平行移動δXの後のこの距離の変化である。aは、撮像デバイスの光軸の公知の方向であり、Xcは、透視中心の位置であり、これも知られている。撮像デバイス44の運動のみにより生じるhの変化は、δX.aに等しい。この量がゼロであり、したがって、運動の方向が撮像デバイスの軸に垂直で、像面に平行である場合、hの残りの任意の変化は、対象物体の形状によるものでなければならない。
【0121】
hの変化は、実際には位相の変化δφとして記録され、ここでもまた、これは、対象物体の形状によって引き起こされる成分、および軸に対し平行な撮像デバイスの任意の運動によって引き起こされる成分からなる。
【0122】
与えられたピクセルにおいて位相を測定するために、複数の位相シフト画像を撮る。画像k内の1つのピクセルで記録された強度は
【0123】
【数1】

【0124】
で表すことができる。
【0125】
ただし、式中、
A=オフセット(つまり、任意の背景光を含む、そのピクセルによって記録された対象物体上に投影された干渉縞パターンの平均強度)、
B=そのピクセルによって記録された光度の振幅変調、
【0126】
【数2】

【0127】
このときに、平行移動δXが小さいと仮定して、一次のテイラー級数展開を使用する。
【0128】
カレアルゴリズムを使用し、画像群に含まれる与えられた1つの画像内のそれぞれのピクセルについて、4つの位相シフト画像から位相および位相シフトおよび変調振幅を計算する。カレアルゴリズムでは、位相が一致する4つのシフトは等しいと仮定する。これは、例えば、使用される運動が平行移動であり、表面が平面である場合である。その場合でなければ、表面勾配が運動のスケール上で著しく変化しないように十分に小さい運動を選択することによってよい近似が得られる。
【0129】
位相データは、高さデータに変換できる。適宜、図10に関連して以下で説明されている方法を使用して、位相シフトデータを勾配データに変換し、その後高さデータに変換することができる。
【0130】
上述の方法では、対象物体の反射率および表面勾配が相対運動のスケール上で実質的に一定である場合に最適な結果が得られる。したがって、画像群内の画像間の運動が小さいものであることが好ましいとしてよい。撮像デバイスに関して勾配が低すぎるか、または高すぎる、あるいは曲率が高い表面の領域は、カレアルゴリズムが返す変調振幅を検査することによって検出することができ、また位相シフトを引き起こすために使用される相対運動を変更し、必要ならば、異なる透視位置から対象物体を見ることによって引き続き測定することができる。
【0131】
カレアルゴリズムからは、画像内のそれぞれのピクセルについて位相と位相シフトの両方のデータが得られる。図9に関連して上で説明されている方法では、高さデータを得るために位相データを使用している。しかし、位相シフトデータを使用して高さ情報を得ることが可能となった。具体的に、高さマップ410を得るための第2のプロセスについて、図10を参照しつつ説明する。この方法は、ステップ700で、連続セクション(上で説明されているようにすでに識別されている不連続性から識別可能である)について、透視画像群内の画像のすべてにカレアルゴリズムを使用して位相シフトマップを計算することから始まる。1つのピクセルに対する位相シフトは、対象物体の表面の勾配および対象物体がプローブ4からどれだけ離れているかに依存する。したがって、ステップ702で、所定のマッピングテーブルおよび手順を使用してそれぞれのピクセルの位相シフト値を直接、勾配値にマッピングすることによってその位相シフトから連続セクションに対する勾配マップを作成することが可能である。次いで、ステップ704で、プローブ4に関して連続表面に対する高さマップを得るために、勾配マップを積分する。ステップ408で得られた実際の不連続性の測定された3D座標は、積分定数を求めて基準面64の上の高さを見つけるために使用される。
【0132】
本発明の利点は、プロジェクタが、単に格子、光源、および合焦光学系からなるものとすることができる点である。プロジェクタ内の可動部分またはプログラム可能なプロジェクタは必要ない、つまり、ただ1つのパターンを投影すればよい。さらに、対象物体(または対象物体の1つのセクション)が測定容積内に入っていることを除き、対象物体までの距離に関する情報が不要である、つまり、測定容積に比べて大きなスタンドオフ距離を有する必要はない。さらに、対象物体とプローブユニットとの間の運動は、必ずしも任意の特定の方向を向いている必要はなく、平行移動ではなくて回転によって、または回転と平行移動との組合せによって発生させることができる。
【0133】
理解されるように、上の説明は、本発明のただ1つの具体的な実施形態の詳細な説明となっているが、本質的ではない多くの特徴は、本発明に単に任意に選択でき、または好ましいものである。
【0134】
説明されている実施形態において、プローブは、CMMのクイールと同等の取り付け構造物上に取り付けられる。本発明は、他の種類の機械に取り付けられている測定デバイスの運動の方向を計画する作業と併せて使用するのにも適している。例えば、プローブ4は、工作機械に取り付けることも可能である。さらに、プローブ4は、例えば、複数の関節を有するロボットアームを備えることができる、検査ロボットの遠位端上に取り付けることもできる。
【0135】
理解されるように、具体的実施形態の説明は、画像を得て処理し、対象物体上に投影されたパターン中の不連続性を識別することによって写真測量ターゲット点を得ることを伴う。理解されるように、これは必ずしもその場合である必要はない。例えば、本発明のシステムおよび方法は、そもそも写真測量を行うことを目的としてターゲット点を決定するように構成されていない可能性もある。そうならば、ターゲット点は、他の公知の方法を使用して識別できる。例えば、ターゲット点は、対象物体上に置かれているマーカーによって、または対象物体上にマーカーを投影することによって識別することができる。
【0136】
さらに、本発明は、プロジェクタおよび撮像デバイスを収納した単一のプローブとして説明されているが、プロジェクタおよび撮像デバイスは、別々に備えることも可能である(例えば、互いに独立して物理的に操作することができるようにする)。さらに、複数の撮像デバイスを備えることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位相解析を用いて対象物体を検査するための非接触法であって、
i)プロジェクタが、検査される対象物体の表面上に光学的パターンを投影するステップと、
ii)前記光学的パターンが投影される前記表面の少なくとも第1の画像および第2の画像を得るステップとを含み、
前記表面の前記光学的パターンの位相は、前記対象物体に相対的に前記プロジェクタを移動することによって前記第1の画像と前記第2の画像との間で変化することとを特徴とする非接触法。
【請求項2】
前記プロジェクタによって投影されるような前記光学的パターンは、前記少なくとも第1および第2の画像について同じであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの第1および第2の画像は、撮像デバイスによって得られ、前記撮像デバイスおよび前記プロジェクタは、互いに関して固定された空間関係にあることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記プロジェクタおよび撮像デバイスは、前記撮像デバイスの透視中心を中心として前記プロジェクタおよび撮像デバイスを回転させることによって画像と画像との間で移動されることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
iii)前記少なくとも第1および第2の画像を処理して凹凸形状表面データを取得するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも第1および第2の画像を処理するステップは、前記表面上の前記光学的パターンの位相を解析するステップを含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ステップiii)は、前記少なくとも第1の画像および第2の画像のうちの少なくとも1つの画像を処理して、前記対象物体と前記撮像デバイスとの間の任意の相対的移動を補正するステップを含むことを特徴とする請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
ステップiii)において、前記少なくとも第1および第2の画像内の対応する点は、前記対象物体上の異なる点を表すことを特徴とする請求項5または6に記載の方法。
【請求項9】
ステップiii)は、前記少なくとも第1および第2の画像内の対応する点にわたる前記光学的パターンの位相の変化を解析するステップを含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記凹凸形状表面データを決定するステップは、前記複数の画像から位相マップを計算するステップを含むことを特徴とする請求項5から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記複数の画像を解析するステップは、前記表面の前記勾配を決定するステップを含むことを特徴とする請求項5から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
相対的な前記表面の前記勾配を決定するステップは、前記複数の画像から位相シフトマップを計算するステップと、前記位相シフトマップに基づき勾配マップを得るステップとを含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記勾配マップを積分して前記凹凸形状データを取得するステップをさらに含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記プロジェクタは、座標位置決め装置上に取り付けられることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記対象物体は、測定空間内に配置され、ステップiii)は、前記測定空間内の前記凹凸形状データの前記三次元座標を決定するステップを含むことを特徴とする請求項5から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記光学的パターンは、周期的光学的パターンであることを特徴とする請求項1乃至15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
位相解析を用いて対象物体を検査するための装置であって、
測定される対象物体の表面上に光学的パターンを投影するように構成されている、前記対象物体に相対的に移動可能であるプロジェクタと、
前記光学的パターンが投影される前記対象物体の複数の画像を得るように構成されている少なくとも1つの撮像デバイスとを備え、
前記プロジェクタは、位相シフト画像を得る間に前記対象物体に相対的に移動されて、前記対象物体上の前記周期的光学的パターンの位相を変化させるように構成されていることを特徴とする装置。
【請求項18】
位相解析を用いて対象物体を検査するための非接触法であって、任意の適当な順序で、
i)プロジェクタが、検査される対象物体の表面上に周期的光学的パターンを投影するステップと、
ii)少なくとも1つの撮像デバイスが、前記表面上の前記周期的光学的パターンの複数の位相シフト画像を得るステップとを含み、
前記プロジェクタおよび撮像デバイスは、互いに関して固定された空間関係にあり、前記対象物体上の前記周期的光学的パターンの位置は、前記撮像デバイスの透視中心を中心とする前記プロジェクタと対象物体との間の相対的回転によって画像間で移動されることとを特徴とする非接触法。
【請求項19】
iii)前記位相シフト画像を処理して凹凸形状表面データを取得するステップをさらに含むことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
コントローラによって実行されたときに、請求項1から16または18から19のいずれか一項に記載の方法に従って、前記機械コントローラに少なくとも1つのプロジェクタ、撮像デバイス、および画像解析装置を制御させる命令を含むことを特徴とするコンピュータプログラムコード。
【請求項21】
請求項20に記載のコンピュータプログラムコードを格納することを特徴とするコンピュータ可読媒体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図3】
image rotate

【図14】
image rotate


【公表番号】特表2010−537182(P2010−537182A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−521466(P2010−521466)
【出願日】平成20年8月15日(2008.8.15)
【国際出願番号】PCT/GB2008/002759
【国際公開番号】WO2009/024757
【国際公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(391002306)レニショウ パブリック リミテッド カンパニー (166)
【氏名又は名称原語表記】RENISHAW PUBLIC LIMITED COMPANY
【Fターム(参考)】