説明

位置合わせ性に優れたはんだペーストを用いた基板と被搭載物の接合方法

【課題】はんだペーストを用いて基板に対して被搭載物を同じ位置および方向となるように接合する方法を提供する。
【解決手段】メタライズ層を形成した基板におけるメタライズ層とメタライズ層を形成した正方形状を有する被搭載物4におけるメタライズ層との間にはんだペースト3を搭載または塗布したのちリフロー処理して基板と正方形状を有する被搭載物4をはんだペーストを用いた基板と正方形状を有する被搭載物を接合する際に、前記基板の表面に形成されるメタライズ層の面積が被搭載物4のメタライズ層の面積よりも小さいメタライズ層本体部分6と前記メタライズ層本体部分6の周囲から突出した少なくとも2個のはんだ誘引部メタライズ層7とからなる平面形状を有していると、リフロー処理中に正方形状の被搭載物4の対角線と前記はんだ誘引部メタライズ層7の突出方向とが一致するように回転してはんだ付けされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、はんだペーストを用いて基板に対して被搭載物を同じ位置および方向となるように接合する方法に関するものであり、特にAu−Sn合金はんだペーストを用いて基板に対して素子を同じ位置および方向となるように接合する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、LED(発光ダイオード)素子、GaAs光素子、GaAs高周波素子、熱伝素子などの半導体素子と基板との接合などにAu−Sn合金はんだペーストなどが使用されるようになってきた。このAu−Sn合金はんだペーストは、Sn:15〜25質量%(好ましくはSn:20質量%)を含有し、残りがAuおよび不可避不純物からなる組成を有するAu−Sn共晶合金ガスアトマイズ粉末とロジン、活性剤、溶剤および増粘剤からなる市販のフラックスとを混合して作られることが知られている。
【0003】
このAu−Sn合金はんだペーストを使用して素子と基板を接合するとAu−Sn合金はんだ接合層がAu−Snはんだ合金であるので熱伝導性が良く接合信頼性も高いこと、ペーストであるので複数の接合部に一括供給でき、さらに一括熱処理できること、リフロー時にフラックスがAu−Snはんだ合金表面を覆っているために酸化膜が少なく、そのため、接合時の溶融Au−Snはんだ合金の流動性が大きく、濡れが良くなって素子全面を接合することができること、さらに接合時に素子に過剰な荷重をかける必要がないことなどのメリットがあるとされている。
【0004】
このAu−Sn合金はんだペーストを用いて基板と素子を接合するには、まず、図10(a)の断面側面図に示されるように、基板1の表面に形成されたメタライズ層2の上にAu−Sn合金はんだペースト3を搭載または塗布し、このAu−Sn合金はんだペースト3の上に素子4を素子4のメタライズ層2´がAu−Sn合金はんだペースト3に接するように搭載し、この状態で加熱してリフロー処理を施したのち冷却すると、図10(b)の断面側面図に示されるように、Au−Sn合金はんだ接合層5を介して基板1と素子4が接合する(特許文献1など参照)。この時、基板1の表面に形成されるメタライズ層2の面積は、素子4のメタライズ層2´の面積と同じかまたは素子4のメタライズ層2´の面積よりも大きくとることが普通である。また、素子4は一般に正方形状を有しているが、長方形状を有しているものもある。
【特許文献1】特開2007−61857
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図11は、図10(a)を上方向から見た平面図である。図10(a)および図11に示されるように、基板1のメタライズ層2の上にAu−Sn合金はんだペースト3を搭載または塗布し、このAu−Sn合金はんだペースト3の上に正方形状の素子4を基板1のメタライズ層2の中心部に同軸でかつ同一方向となるように搭載し、この状態で加熱してリフロー処理を施したのち冷却すると、正方形状の素子4は基板1のメタライズ層2の中心部に同軸でかつ同一方向となるようにはんだ付けされる。しかし、リフロー処理時に溶融したAu−Sn合金はんだは、基板1におけるメタライズ層2の全面に広がると同時に一時的に素子4が溶融したAu−Sn合金はんだの上に浮んだ状態になり、このとき素子4が回転または移動するなどして、冷却後は、図10(b)の上方向から見た平面図である図12に示されるように、素子4はメタライズ層2の上のAu−Sn合金はんだ接合層5の上に、基板1のメタライズ層2に対して基板1のメタライズ層2の中心部よりずれたり傾いた状態ではんだ接合されることが多い。特に工業的に素子4を基板にはんだ接合するには、広い基板の上に多数の整列したメタライズ層を形成し、この多数のメタライズ層の上にそれぞれAu−Sn合金はんだペーストを搭載または塗布し、このAu−Sn合金はんだペーストの上に素子を規則正しく搭載した状態で加熱炉に装入し、多数個の素子を1回のリフロー処理により素子を基板にはんだ接合するが、リフロー処理時に素子が回転して、整列した基板のメタライズ層に対して中心部よりランダムな方向にずれて傾いて素子がはんだ接合され、出荷するための製品としては好ましくない。また、今後のパッケージサイズの更なる微小化の際に、素子同士の距離が近づくと、素子同士の接触が生じることも懸念される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明者らは、基板のメタライズ層に対して素子が常に同じ位置でかつ一定の方向を向くようにはんだ付けすることができるAu−Sn合金はんだペーストを用いた基板と素子の接合方法を開発すべく研究を行った。その結果、
(イ)図1(a)の平面図に示されるように、基板表面に形成されるメタライズ層を、メタライズ層本体部分6とこのメタライズ層本体部分6の周囲から正方形状の素子4の対角線と同じ角度で交差して突出したはんだ誘引部メタライズ層7を有する平面形状とし、このメタライズ層本体部分6の上にAu−Sn合金はんだペースト3を搭載し、このAu−Sn合金はんだペースト3の上に前記メタライズ層本体部分6の面積よりも大きな面積を有する正方形状の素子4を任意の方向に搭載しリフロー処理すると、溶融はんだの表面張力が作用して図1(b)の平面図に示されるように、リフロー処理中に正方形状の素子4の対角線と前記はんだ誘引部メタライズ層7の突出方向とが一致するように回転してはんだ付けされ、正方形状の素子は一定の方向に向いてはんだ付けされる、
(ロ)素子が長方形状を有する素子4´である場合は、図2(a)の平面図に示されるように、基体表面に、メタライズ層本体部分6と長方形状を有する素子4´の対角線と同じ角度で交差するようにメタライズ層本体部分6から突出して形成されたはんだ誘引部メタライズ層7を有するメタライズ層を形成し、前記メタライズ層本体部分6の上にAu−Sn合金はんだペースト3を搭載し、このAu−Sn合金はんだペースト3の上に長方形状を有する素子4´を任意の方向を向くように搭載したのちリフロー処理すると、長方形状を有する素子4´の対角線方向とはんだ誘引部メタライズ層7の方向は一致するように一定の方向に向いて長方形状を有する素子4をはんだ付けすることができる、
(ハ)前記(イ)に示される現象は、基板と正方形状素子に限定されるものではなく、基板に対する一般の正方形状を有する被搭載物に対しても生じるものであり、さらに前記(ロ)に示される現象は、基板と長方形状の素子に限定されるものではなく、基板に対して接合する一般の長方形状を有する被搭載物に対しても生じるものであることから、この現象を基板と正方形状を有する被搭載物または基板と長方形状を有する被搭載物とのはんだ接合に適用して被搭載物を基板に対して一定の位置および方向にはんだ接合することができる、
(ニ)前記メタライズ層本体部分6とこのメタライズ層本体部分6の周囲から突出したはんだ誘引部メタライズ層7は電極膜として使用することができる、などの研究結果が得られたのである。
【0007】
この発明は、かかる研究結果に基づいて成されたものであって、
(1)メタライズ層を形成した基板におけるメタライズ層とメタライズ層を形成した正方形状を有する被搭載物におけるメタライズ層との間にはんだペーストを搭載または塗布したのち非酸化性雰囲気中でリフロー処理して基板と正方形状を有する被搭載物を接合するはんだペーストを用いた基板と正方形状を有する被搭載物の接合方法において、
前記基板の表面に形成されるメタライズ層は、面積が被搭載物のメタライズ層の面積よりも小さいメタライズ層本体部分と前記メタライズ層本体部分の周囲から突出した少なくとも2個のはんだ誘引部メタライズ層とからなる平面形状を有し、前記はんだ誘引部メタライズ層は隣のはんだ誘引部メタライズ層と前記正方形状を有する被搭載物の対角線と同じ角度で交差するように突出している位置合わせ性に優れたはんだペーストを用いた基板と被搭載物の接合方法、
(2)前記正方形状を有する被搭載物は正方形状を有する素子である前記(1)記載の位置合わせ性に優れたはんだペーストを用いた基板と被搭載物の接合方法、
(3)基板に形成されるメタライズ層は、電極膜である前記(1)または(2)記載の位置合わせ性に優れたはんだペーストを用いた基板と被搭載物の接合方法、
(4)メタライズ層を形成した基板におけるメタライズ層とメタライズ層を形成した長方形状を有する被搭載物におけるメタライズ層との間にはんだペーストを搭載または塗布したのち非酸化性雰囲気中でリフロー処理して基板と長方形状を有する被搭載物を接合するはんだペーストを用いた基板と被搭載物の接合方法において、
前記基板の表面に形成されるメタライズ層は、面積が長方形状を有する被搭載物のメタライズ層の面積よりも小さいメタライズ層本体部分と前記メタライズ層本体部分の周囲から突出した少なくとも2個のはんだ誘引部メタライズ層とからなる平面形状を有し、前記はんだ誘引部メタライズ層は前記長方形状を有する被搭載物の対角線と同じ角度で交差するように突出している位置合わせ性に優れたはんだペーストを用いた基板と被搭載物の接合方法、
(5)前記長方形状を有する被搭載物は長方形状を有する素子である前記(4)記載の位置合わせ性に優れたはんだペーストを用いた基板と被搭載物の接合方法、
(6)基板に形成されるメタライズ層は、電極膜である前記(4)または(5)記載の位置合わせ性に優れたはんだペーストを用いた基板と被搭載物の接合方法、に特徴を有するものである。
【0008】
この発明の位置合わせ性に優れたはんだペーストを用いた基板と被搭載物の接合方法において形成されるメタライズ層のその他の平面形状を図面に基づいて説明する。
図3〜7は、いずれもメタライズ層本体部分6とこのメタライズ層本体部分6の周囲から正方形状の被搭載物(素子)4の対角線と同じ角度で交差して突出したはんだ誘引部メタライズ層7を有するメタライズ層の平面形状を示し、このメタライズ層本体部分6の上にAu−Sn合金はんだペーストを搭載し、このAu−Sn合金はんだペーストの上に前記メタライズ層本体部分6の面積よりも大きな面積を有する正方形状の被搭載物(素子)4を任意の方向に搭載しリフロー処理した後の正方形状の被搭載物(素子)4がはんだ付けされた状態を示す平面図である。
この発明の位置合わせ性に優れたはんだペーストを用いた基板と正方形状を有する被搭載物(素子)4の接合方法において、メタライズ層本体部分6の形状は、図1に示されるように正方形であることが好ましいが、特に正方形に限定されるものではなく、例えば、円形など任意の形状を有していても良い。また、メタライズ層本体部分6の大きさは、例えば図3に示されるように、はんだ誘引部メタライズ層7の幅と同じ大きさであってもよく、はんだペーストを搭載または塗布できる面積があればよい。さらに、はんだ誘引部メタライズ層7の形状は、図1に示されるように帯状であることが好ましいが、これに限定されるものではなく、例えば図4および図7に示されるように三角形状を有するものであっても良い。さらに、はんだ誘引部メタライズ層7の数は図1、図3および図4に示されるように4個あることが好ましいが、図5〜7に示されるように2個であってもよく、2個以上あれば良い。
【0009】
図8〜9は、いずれもメタライズ層本体部分6とこのメタライズ層本体部分6の周囲から長方形状の被搭載物(素子)4´の対角線と同じ角度で交差して突出したはんだ誘引部メタライズ層7を有するメタライズ層の平面形状を示し、このメタライズ層本体部分6´の上にAu−Sn合金はんだペーストを搭載し、このAu−Sn合金はんだペーストの上に前記メタライズ層本体部分6´の面積よりも大きな面積を有する長方形状の被搭載物(素子)4´を任意の方向に搭載しリフロー処理した後の長方形状の被搭載物(素子)4´がはんだ付けされた状態を示す平面図である。
この発明の位置合わせ性に優れたはんだペーストを用いた基板と被搭載物の接合方法において、被搭載物の形状が長方形状を有する被搭載物(素子)4´であるときは、メタライズ層本体部分6´の形状は、図2、図8および図9に示されるように、長方形であることが好ましいが、特に長方形に限定されるものではなく、例えば楕円形など任意の形状を有していても良い。さらに、はんだ誘引部メタライズ層7の数は図2および図8〜9に示されるように、2個以上あれば良い。
【0010】
この発明の位置合わせ性に優れたはんだペーストを用いた基板と被搭載物の接合方法、特に基板と素子の接合方法において使用するはんだペーストはAu−Sn合金はんだペーストであることが好ましいが、前記Au−Sn合金はんだペーストに換えて、Pb:35〜60質量%を含有し、残部:Snおよび不可避不純物であるPb−Snはんだ合金粉末にフラックスを混合したPb−Sn合金はんだペースト、Pb:90〜95質量%を含有し、残部:Snおよび不可避不純物であるPb−Snはんだ合金粉末にフラックスを混合したPb−Sn合金はんだペースト、またはSn:40〜100質量%を含有し、残部:Ag、Au、Cu、Bi、Sb、In及びZnからなる群より選ばれた1種又は2種以上の金属および不可避不純物であるPbフリーはんだ合金粉末にフラックスを混合したPbフリーはんだペーストであっても同じ作用を奏する。
【0011】
したがって、この発明は、
(7)前記はんだペーストは、Sn:20〜25質量%を含有し、残部:Auおよび不可避不純物であるAu−Snはんだ合金粉末にフラックスを混合したAu−Sn合金はんだペーストである前記(1)、(2)、(3)、(4)、(5)または(6)記載の位置合わせ性に優れたはんだペーストを用いた基板と被搭載物の接合方法、
(8)前記はんだペーストは、Pb:35〜60質量%を含有し、残部:Snおよび不可避不純物であるPb−Snはんだ合金粉末にフラックスを混合したPb−Sn合金はんだペーストである前記(1)、(2)、(3)、(4)、(5)または(6)記載の位置合わせ性に優れたはんだペーストを用いた基板と被搭載物の接合方法、
(9)前記はんだペーストは、Pb:90〜95質量%を含有し、残部:Snおよび不可避不純物であるPb−Snはんだ合金粉末にフラックスを混合したPb−Sn合金はんだペーストである前記(1)、(2)、(3)、(4)、(5)または(6)記載の位置合わせ性に優れたはんだペーストを用いた基板と被搭載物の接合方法、
(10)前記はんだペーストは、Sn:40〜100質量%を含有し、残部:Ag、Au、Cu、Bi、Sb、In及びZnからなる群より選ばれた1種又は2種以上の金属および不可避不純物であるPbフリーはんだ合金粉末にフラックスを混合したPbフリーはんだペーストである前記(1)、(2)、(3)、(4)、(5)または(6)記載の位置合わせ性に優れたはんだペーストを用いた基板と被搭載物の接合方法、に特徴を有するものである。
【発明の効果】
【0012】
この発明の基板と被搭載物の接合方法によると、すべての被搭載物を所望の位置および方向に合わせてはんだ接合することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
実施例1
Sn:20質量%を含有し、残部がAuからなる成分組成を有し平均粒径D50:11.1μm、最大粒径:20.1μmを有するAu−Sn合金はんだ粉末を用意し、このAu−Sn合金はんだ粉末に市販のRMAフラックスを、RMAフラックス:8.0質量%、残部がAu−Sn合金はんだ粉末の配合組成となるように配合し、混合してペースト粘度:85Pa・sを有するAu−Sn合金はんだペーストを作製し、このAu−Sn合金はんだペーストをシリンジに充填してディスペンサー装置(武蔵エンジニアリング製、型番:ML−606GX)に装着した。
【0014】
さらに、縦:400μm、横:400μmの寸法を有する正方形状を有する50個のLED素子を用意し、これらLED素子の片面全面に厚さ:3μm、縦:400μm、横:400μmの寸法を有するAuメッキを施した。
さらに、アルミナ製基板を用意し、このアルミナ製基板の表面に、縦:200μm、横:200μmの寸法を有し、厚さ:10μmを有するCu層、厚さ:5μmを有するNi層および厚さ:0.1μmを有するAu層からなる複合メタライズ層を形成したメタライズ層本体部分と、前記メタライズ層本体部分から十字状に突出した幅:50μm、長さ:150μmの寸法を有し前記メタライズ層本体部分と同じ複合メタライズ層からなるはんだ誘引部メタライズ層とからなる図1に示される平面形状のメタライズ層を50個所形成した。
【0015】
これらメタライズ層本体部分およびはんだ誘引部からなる50個所のメタライズ層におけるメタライズ層本体部中心位置に、先に用意したディスペンサー装置により0.03mgの量のAu−Sn合金はんだペーストを塗布し、このAu−Sn合金はんだペーストの上に先に用意した50個のLED素子をマウンターを用いて搭載し、窒素雰囲気中、温度:300℃、30秒間保持する条件のリフロー処理を施し、その後、冷却し、一列に配列した50個のLED素子位置を3次元測定機(Nikon製 NEXIV VMR−3020)を用いて、素子中心位置を測定した。ここでは50個接合したLED素子の中心位置のX軸方向のブレおよびy軸方向のブレをそれぞれ平均x軸位置に対する標準偏差および平均y軸位置に対する標準偏差として算出した。その結果、素子中心位置のx軸ぶれは±4.8μmであり、y軸ぶれは±5.2μmであり、素子の位置精度が非常に高いことがわかった。
【0016】
実施例2
Pb:37質量%を含有し、残部がSnからなる成分組成を有し平均粒径D50:11.4μm、最大粒径:14.5μmを有するPb−Sn合金はんだ粉末を用意し、このPb−Sn合金はんだ粉末に市販のRMAフラックスを、RMAフラックス:11.0質量%、残部がPb−Sn合金はんだ粉末の配合組成となるように配合し、混合してペースト粘度:120Pa・sを有するPb−Sn合金はんだペーストを作製し、このPb−Sn合金はんだペーストをシリンジに充填してディスペンサー装置(武蔵エンジニアリング製、型番:ML−606GX)に装着した。
【0017】
さらに、縦:200μm、横:400μmの寸法を有する長方形状を有する50個のLED素子を用意し、これらLED素子の片面全面に厚さ:3μm、縦:200μm、横:400μmの寸法を有するAuメッキを施した。
さらに、アルミナ製基板を用意し、このアルミナ製基板の表面に、縦:100μm、横:200μmの寸法を有し、厚さ:10μmを有するCu層、厚さ:5μmを有するNi層および厚さ:0.1μmを有するAu層からなる複合メタライズ層を形成したメタライズ層本体部分と、前記メタライズ層本体部分から長方形状のLED素子の対角線と同じ角度で突出した幅:50μm、長さ:150μmの寸法を有し前記メタライズ層本体部分と同じ複合メタライズ層からなるはんだ誘引部メタライズ層とからなる図2に示される平面形状のメタライズ層を50個所形成した。
【0018】
これらメタライズ層本体部分およびはんだ誘引部からなる50個所のメタライズ層におけるメタライズ層本体部中心位置に、先に用意したディスペンサー装置により0.02mgの量のPb−Sn合金はんだペーストを塗布し、このPb−Sn合金はんだペーストの上に先に用意した50個のLED素子をマウンターを用いて搭載し、窒素雰囲気中、温度:220℃、30秒間保持する条件のリフロー処理を施し、その後、冷却し、一列に配列した50個のLED素子位置を3次元測定機(Nikon製 NEXIV VMR−3020)を用いて、素子中心位置を測定した。ここでは50個接合したLED素子の中心位置のX軸方向のブレおよびy軸方向のブレをそれぞれ平均x軸位置に対する標準偏差および平均y軸位置に対する標準偏差として算出した。その結果、素子中心位置のx軸ぶれは±7.1μmであり、y軸ぶれは±6.8μmであり、素子の位置精度が非常に高いことがわかった。
【0019】
実施例3
Pb:95質量%を含有し、残部がSnからなる成分組成を有し平均粒径D50:11.7μm、最大粒径:14.8μmを有するPb−Sn合金はんだ粉末を用意し、このPb−Sn合金はんだ粉末に市販のRAフラックスを、RAフラックス:10.0質量%、残部がPb−Sn合金はんだ粉末の配合組成となるように配合し、混合してペースト粘度:80Pa・sを有するPb−Sn合金はんだペーストを作製し、このPb−Sn合金はんだペーストをシリンジに充填してディスペンサー装置(武蔵エンジニアリング製、型番:ML−606GX)に装着した。
【0020】
さらに、縦:200μm、横:400μmの寸法を有する長方形状を有する50個のLED素子を用意し、これらLED素子の片面全面に厚さ:3μm、縦:200μm、横:400μmの寸法を有するAuメッキを施した。
さらに、アルミナ製基板を用意し、このアルミナ製基板の表面に、縦:100μm、横:200μmの寸法を有し、厚さ:10μmを有するCu層、厚さ:5μmを有するNi層および厚さ:0.1μmを有するAu層からなる複合メタライズ層を形成したメタライズ層本体部分と、前記メタライズ層本体部分から長方形状のLED素子の対角線と同じ角度で突出した幅:100μm、長さ:150μmの寸法を有し前記メタライズ層本体部分と同じ複合メタライズ層からなるはんだ誘引部メタライズ層とからなる図8に示される平面形状のメタライズ層を50個所形成した。
【0021】
これらメタライズ層本体部分およびはんだ誘引部からなる50個所のメタライズ層におけるメタライズ層本体部中心位置に、先に用意したディスペンサー装置により0.03mgの量のPb−Sn合金はんだペーストを塗布し、このPb−Sn合金はんだペーストの上に先に用意した50個のLED素子をマウンターを用いて搭載し、窒素雰囲気中、温度:330℃、30秒間保持する条件のリフロー処理を施し、その後、冷却し、一列に配列した50個のLED素子位置を3次元測定機(Nikon製 NEXIV VMR−3020)を用いて、素子中心位置を測定した。ここでは50個接合したLED素子の中心位置のX軸方向のブレおよびy軸方向のブレをそれぞれ平均x軸位置に対する標準偏差および平均y軸位置に対する標準偏差として算出した。その結果、素子中心位置のx軸ぶれは±6.6μmであり、y軸ぶれは±7.2μmであり、素子の位置精度が非常に高いことがわかった。
【0022】
実施例4
Sn:96.5質量%、Ag:3.0質量%を含有し、残部がCuからなる成分組成を有し平均粒径D50:10.8μm、最大粒径:14.1μmを有するPbフリーはんだ粉末を用意し、このPbフリーはんだ粉末に市販のRMAフラックスを、RMAフラックス:12.5質量%、残部がPbフリーはんだ粉末の配合組成となるように配合し、混合してペースト粘度:72Pa・sを有するPbフリーはんだペーストを作製し、このPbフリーはんだペーストをシリンジに充填してディスペンサー装置(武蔵エンジニアリング製、型番:ML−606GX)に装着した。
【0023】
さらに、縦:400μm、横:400μmの寸法を有する正方形状を有する50個のLED素子を用意し、これらLED素子の片面全面に厚さ:3μm、縦:400μm、横:400μmの寸法を有するAuメッキを施した。
さらに、アルミナ製基板を用意し、このアルミナ製基板の表面に、縦:200μm、横:200μmの寸法を有し、厚さ:10μmを有するCu層、厚さ:5μmを有するNi層および厚さ:0.1μmを有するAu層からなる複合メタライズ層を形成したメタライズ層本体部分と、前記メタライズ層本体部分からL字状に突出した幅:100μm、長さ:200μmの寸法を有し前記メタライズ層本体部分と同じ複合メタライズ層からなるはんだ誘引部メタライズ層とからなる図5に示される平面形状のメタライズ層を50個所形成した。
【0024】
これらメタライズ層本体部分およびはんだ誘引部からなる50個所のメタライズ層におけるメタライズ層本体部中心位置に、先に用意したディスペンサー装置により0.02mgの量のPbフリーはんだペーストを塗布し、このPbフリーはんだペーストの上に先に用意した50個のLED素子をマウンターを用いて搭載し、窒素雰囲気中、温度:240℃、30秒間保持する条件のリフロー処理を施し、その後、冷却し、一列に配列した50個のLED素子位置を3次元測定機(Nikon製 NEXIV VMR−3020)を用いて、素子中心位置を測定した。ここでは50個接合したLED素子の中心位置のX軸方向のブレおよびy軸方向のブレをそれぞれ平均x軸位置に対する標準偏差および平均y軸位置に対する標準偏差として算出した。その結果、素子中心位置のx軸ぶれは±9.3μmであり、y軸ぶれは±8.9μmであり、素子の位置精度が非常に高いことがわかった。
【0025】
従来例1
Sn:20質量%を含有し、残部がAuからなる成分組成を有し平均粒径D50:11.1μm、最大粒径:20.1μmを有するAu−Sn合金はんだ粉末を用意し、このAu−Sn合金はんだ粉末に市販のRMAフラックスを、RMAフラックス:8.0質量%、残部がAu−Sn合金はんだ粉末の配合組成となるように配合し、混合してペースト粘度:85Pa・sを有するAu−Sn合金はんだペーストを作製し、このAu−Sn合金はんだペーストをシリンジに充填してディスペンサー装置(武蔵エンジニアリング製、型番:ML−606GX)に装着した。
さらに、50個のLED素子を用意し、これらLED素子の片面全面に厚さ:3μm、縦:400μm、横:400μmの寸法を有するAuメッキを施した。
さらに、アルミナ製基板を用意し、このアルミナ製基板の表面に、縦:500μm、横:500μmの寸法を有し、厚さ:10μmを有するCu層、厚さ:5μmを有するNi層および厚さ:0.1μmを有するAu層からなる複合メタライズ層を形成したメタライズ層を400μm間隔で50個所一列に形成した。
【0026】
これらメタライズ層からなる50個所のメタライズ層の中心位置に、先に用意したディスペンサー装置により0.03mgの量のAu−Sn合金はんだペーストを塗布し、このAu−Sn合金はんだペーストの上に先に用意した50個のLED素子をマウンターを用いて搭載し、窒素雰囲気中、温度:300℃、30秒間保持する条件のリフロー処理を施し、その後、冷却し、一列に配列した50個のLED素子位置を3次元測定機(Nikon製 NEXIV VMR−3020)を用いて、素子中心位置を測定した。ここではX軸方向に一列に50個接合したLED素子の中心位置のX軸方向のブレおよびy軸方向のブレをそれぞれ平均x軸位置に対する標準偏差および平均y軸位置に対する標準偏差として算出した。その結果、素子中心位置のx軸ぶれは±42.1μmであり、y軸ぶれは±37.5μmであり、素子の位置精度が低いことがわかった。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】この発明の方法により基板と素子を接合した結果を説明するための平面図である。
【図2】この発明の方法により基板と素子を接合した結果を説明するための平面図である。
【図3】この発明の方法で使用する基板表面に形成されるメタライズ層の形状およびはんだ付けされた被搭載物(素子)の状態を説明するための平面図である。
【図4】この発明の方法で使用する基板表面に形成されるメタライズ層の形状およびはんだ付けされた被搭載物(素子)の状態を説明するための平面図である。
【図5】この発明の方法で使用する基板表面に形成されるメタライズ層の形状およびはんだ付けされた被搭載物(素子)の状態を説明するための平面図である。
【図6】この発明の方法で使用する基板表面に形成されるメタライズ層の形状およびはんだ付けされた被搭載物(素子)の状態を説明するための平面図である。
【図7】この発明の方法で使用する基板表面に形成されるメタライズ層の形状およびはんだ付けされた被搭載物(素子)の状態を説明するための平面図である。
【図8】この発明の方法で使用する基板表面に形成されるメタライズ層の形状およびはんだ付けされた被搭載物(素子)の状態を説明するための平面図である。
【図9】この発明の方法で使用する基板表面に形成されるメタライズ層の形状およびはんだ付けされた被搭載物(素子)の状態を説明するための平面図である。
【図10】従来の方法により基板と素子を接合する工程を説明するための断面側面図である。
【図11】図10(a)の断面側面図における上方向から見た平面図である。
【図12】図10(b)の断面側面図における上方向から見た平面図である。
【符号の説明】
【0028】
1:基板、
2:メタライズ層
2´:メタライズ層
3:Au−Sn合金はんだペースト、
4:正方形状を有する素子、被搭載物
4´:長方形状を有する素子、被搭載物
5:Au−Sn合金はんだ接合層、
6:メタライズ層本体部分、
6´:メタライズ層本体部分、
7:はんだ誘引部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタライズ層を形成した基板におけるメタライズ層とメタライズ層を形成した正方形状を有する被搭載物におけるメタライズ層との間にはんだペーストを搭載または塗布したのち非酸化性雰囲気中でリフロー処理して基板と正方形状を有する被搭載物を接合するはんだペーストを用いた基板と正方形状を有する被搭載物の接合方法において、
前記基板の表面に形成されるメタライズ層は、面積が被搭載物のメタライズ層の面積よりも小さいメタライズ層本体部分と前記メタライズ層本体部分の周囲から突出した少なくとも2個のはんだ誘引部メタライズ層とからなる平面形状を有し、前記はんだ誘引部メタライズ層は隣のはんだ誘引部メタライズ層と前記正方形状を有する被搭載物の対角線と同じ角度で交差するように突出していることを特徴とする位置合わせ性に優れたはんだペーストを用いた基板と被搭載物の接合方法。
【請求項2】
前記正方形状を有する被搭載物は正方形状を有する素子であることを特徴とする請求項1記載の位置合わせ性に優れたはんだペーストを用いた基板と被搭載物の接合方法。
【請求項3】
基板に形成されるメタライズ層は、電極膜であることを特徴とする請求項1または2記載の位置合わせ性に優れたはんだペーストを用いた基板と被搭載物の接合方法。
【請求項4】
メタライズ層を形成した基板におけるメタライズ層とメタライズ層を形成した長方形状を有する被搭載物におけるメタライズ層との間にはんだペーストを搭載または塗布したのち非酸化性雰囲気中でリフロー処理して基板と長方形状を有する被搭載物を接合するはんだペーストを用いた基板と長方形状を有する被搭載物の接合方法において、
前記基板の表面に形成されるメタライズ層は、面積が長方形状を有する被搭載物のメタライズ層の面積よりも小さいメタライズ層本体部分と前記メタライズ層本体部分の周囲から突出した少なくとも2個のはんだ誘引部メタライズ層とからなる平面形状を有し、前記はんだ誘引部メタライズ層は前記長方形状を有する被搭載物の対角線と同じ角度で交差するように突出していることを特徴とする位置合わせ性に優れたはんだペーストを用いた基板と被搭載物の接合方法。
【請求項5】
前記長方形状を有する被搭載物は長方形状を有する素子であることを特徴とする請求項4記載の位置合わせ性に優れたはんだペーストを用いた基板と被搭載物の接合方法。
【請求項6】
基板に形成されるメタライズ層は、電極膜であることを特徴とする請求項4または5記載の位置合わせ性に優れたはんだペーストを用いた基板と被搭載物の接合方法。
【請求項7】
前記はんだペーストは、Sn:20〜25質量%を含有し、残部:Auおよび不可避不純物であるAu−Snはんだ合金粉末にフラックスを混合したAu−Sn合金はんだペーストであることを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6記載の位置合わせ性に優れたはんだペーストを用いた基板と被搭載物の接合方法。
【請求項8】
前記はんだペーストは、Pb:35〜60質量%を含有し、残部:Snおよび不可避不純物であるPb−Snはんだ合金粉末にフラックスを混合したPb−Sn合金はんだペーストであることを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6記載の位置合わせ性に優れたはんだペーストを用いた基板と被搭載物の接合方法。
【請求項9】
前記はんだペーストは、Pb:90〜95質量%を含有し、残部:Snおよび不可避不純物であるPb−Snはんだ合金粉末にフラックスを混合したPb−Sn合金はんだペーストであることを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6記載の位置合わせ性に優れたはんだペーストを用いた基板と被搭載物の接合方法。
【請求項10】
前記はんだペーストは、Sn:40〜100質量%を含有し、残部:Ag、Au、Cu、Bi、Sb、In及びZnからなる群より選ばれた1種又は2種以上の金属および不可避不純物であるPbフリーはんだ合金粉末にフラックスを混合したPbフリーはんだペーストであることを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6記載の位置合わせ性に優れたはんだペーストを用いた基板と被搭載物の接合方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−56399(P2010−56399A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−221633(P2008−221633)
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【出願人】(000006264)三菱マテリアル株式会社 (4,417)
【Fターム(参考)】