位置推定装置および位置推定方法
【課題】 情報を有効に利用しつつ、他のデバイス情報を用いることなく、実際の状態との整合率の高い位置推定手段を提供する。
【解決手段】 位置推定装置10は、情報取得部12、情報記憶部18、演算処理部20を備える。情報取得部12は、情報から移動体の位置情報を取得する位置情報取得部14と、誤差情報を取得する誤差情報取得部16とを備える。情報記憶部18は、位置情報取得部12から送られた位置情報と誤差情報をその測定時刻ごとに記憶する。演算処理部20は、位置情報取得部12からの位置情報と誤差情報とから位置を推定する。移動体の単位時間あたりの移動エリアを推定する第1ステップと、移動体の現在における存在エリアを推定する第2ステップ、移動体の現在における位置を推定する第3ステップが、位置推定装置の演算処理部20によって順次行われて移動体の位置を推定する。
【解決手段】 位置推定装置10は、情報取得部12、情報記憶部18、演算処理部20を備える。情報取得部12は、情報から移動体の位置情報を取得する位置情報取得部14と、誤差情報を取得する誤差情報取得部16とを備える。情報記憶部18は、位置情報取得部12から送られた位置情報と誤差情報をその測定時刻ごとに記憶する。演算処理部20は、位置情報取得部12からの位置情報と誤差情報とから位置を推定する。移動体の単位時間あたりの移動エリアを推定する第1ステップと、移動体の現在における存在エリアを推定する第2ステップ、移動体の現在における位置を推定する第3ステップが、位置推定装置の演算処理部20によって順次行われて移動体の位置を推定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置推定装置および位置推定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両や携帯電話機を所持したユーザ等の移動体の存在位置を特定するため、GPS(Global Positioning System)衛星等から送信されてくる測位用情報を用いて移動体の現在位置を特定することが広く行われている。この場合の測位用情報は、不連続な時点での位置情報であり、その位置情報はある程度の範囲の誤差を含んでいる。そのため、実際の状態との整合率を高めようとする試みが提案されている。例えば、測定した測位用情報の内、精度の悪い情報を破棄しつつ移動体の位置を推定する方法が提案されている(特許文献1および2参照)。あるいは、加速度センサ情報のような他のデバイス情報を用いて実際の状態との整合率を向上させる方法も提案されている(特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2002−341010号公報
【特許文献2】特開2002−341011号公報
【特許文献3】特開2003−90872号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のような精度の悪い情報を破棄する方法の場合、情報の有効利用の観点から効率が悪く、加速度センサ情報のような他のデバイス情報を用いる方法では、デバイスコストが増加するという問題がある。
【0004】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、情報を有効に利用しつつ、他のデバイス情報を用いることなく、実際の状態との整合率の高い位置推定手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、現在および過去における複数の時点で測定された移動体の位置情報と誤差情報とを取得する情報取得手段と、情報取得手段が取得した位置情報と誤差情報とを演算処理する演算処理手段と、を備え、演算処理手段は、情報取得手段が取得した過去における複数の時点で測定された移動体の位置情報と誤差情報とから、移動体の単位時間あたりの移動エリアを推定する第1ステップと、移動体の単位時間あたりの移動エリアと、情報取得手段が取得した過去における時点で測定された移動体の位置情報と誤差情報とから、移動体の現在における存在エリアを推定する第2ステップと、移動体の現在における存在エリアと、情報取得手段が取得した現在における時点で測定された移動体の位置情報と誤差情報とから、移動体の現在における位置を推定する第3ステップと、を実行する位置推定装置である。
【0006】
この構成によれば、演算処理手段は、情報取得手段が取得した過去における複数の時点で測定された位置情報と誤差情報とから、移動体の単位時間あたりの移動エリアを推定し、当該移動エリアと過去における時点で測定された移動体の位置情報と誤差情報とから、移動体の現在における存在エリアを推定する。そして演算処理手段は、推定された移動体の現在の存在エリアと、現在の測定された位置情報と誤差情報とから、移動体の現在における位置を推定するので、情報を有効に利用しつつ、他のデバイス情報を用いることなく、実際の状態との整合率の高い位置推定を行うことができる。
【0007】
この場合、演算処理手段は、第1ステップにおいて、推定される移動エリアの面積が一定値以下になるまで、情報取得手段が取得した過去における複数の時点で測定された移動体の位置情報と誤差情報とから移動エリアの推定を行うことが好適である。
【0008】
この構成によれば、演算処理手段は、推定される移動エリアの面積が一定値以下になるまで、過去における複数の時点で測定された位置情報と誤差情報とから移動エリアの推定を行うので、推定される移動体の移動エリアの面積は一定値以下となり、より精度の高い位置推定を行うことができる。
【0009】
また、演算処理手段は、第1ステップにおいて、推定される移動エリアに誤差情報に基づくポイント値を付与し、ポイント値が一定値以上になるまで、情報取得手段が取得した過去における複数の時点で測定された移動体の位置情報と誤差情報とから移動エリアの推定を行うことが好適である。
【0010】
この構成によれば、演算処理手段は、推定される移動エリアに誤差情報に基づくポイント値を付与し、ポイント値が一定値以上になるまで、過去における複数の時点で測定された位置情報と誤差情報とから移動エリアの推定を行うので、推定される移動体の移動エリアの精度は一定以上のものになり、より精度の高い位置推定を行うことができる。
【0011】
また、演算処理手段は、第2ステップにおいて、移動体の単位時間あたりの移動エリアと、情報取得手段が取得した過去における複数の時点で測定された移動体の位置情報と誤差情報とから、移動体の現在における存在エリアを推定することが好適である。
【0012】
この構成によれば、演算処理手段は、移動エリアと情報取得手段が取得した過去における複数の時点で測定された位置情報と誤差情報とから、移動体の現在における存在エリアを推定するので、過去における一の時点で測定された誤差情報の誤差が大きく精度が低い場合であっても、複数の時点で測定された位置情報と誤差情報に基づいて存在エリアを推定することにより存在エリアの範囲を狭めることができ、より精度の高い位置推定を行うことができる。
【0013】
また、本発明の別の態様によれば、過去における複数の時点で測定された移動体の位置情報と誤差情報とから、移動体の単位時間あたりの移動エリアを推定する第1ステップと、移動体の単位時間あたりの移動エリアと、過去における時点で測定された移動体の位置情報と誤差情報とから、移動体の現在における存在エリアを推定する第2ステップと、移動体の現在における存在エリアと、現在における時点で測定された移動体の位置情報と誤差情報とから、移動体の現在における位置を推定する第3ステップと、を含む位置推定方法が提供される。
【0014】
この場合、第1ステップにおいて、推定される移動エリアの面積が一定値以下になるまで、情報取得手段が取得した過去における複数の時点で測定された移動体の位置情報と誤差情報とから移動エリアの推定を行う、ことが好適である。
【0015】
また、第1ステップにおいて、推定される移動エリアに誤差情報に基づくポイント値を付与し、ポイント値が一定値以上になるまで、情報取得手段が取得した過去における複数の時点で測定された移動体の位置情報と誤差情報とから移動エリアの推定を行う、ことが好適である。
【0016】
また、第2ステップにおいて、移動体の単位時間あたりの移動エリアと、情報取得手段が取得した過去における複数の時点で測定された移動体の位置情報と誤差情報とから、移動体の現在における存在エリアを推定する、ことが好適である。
【発明の効果】
【0017】
本発明による位置推定装置および位置推定方法によれば、情報を有効に利用しつつ、他のデバイス情報を用いることなく、実際の状態との整合率の高い位置推定を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態に係る位置推定装置について添付図面を参照して説明する。同一符号を付けた構成要素は同一の構成要素を示すものとし、重複する説明は省略する。
【0019】
最初に本発明の第1実施形態に係る位置推定装置の構成について説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る位置推定装置の構成を示す図である。図1に示すように、本実施形態の位置推定装置10は、情報取得部12(情報取得手段)、情報記憶部18、演算処理部20(演算処理手段)、および表示部22を備えており、GPS衛星からのGPS信号や、セル情報(基地局情報)、タグ情報等の情報を受信して自動車や携帯電話機を所持したユーザの位置を推定する装置として構成されている。
【0020】
情報取得部12は、物理的には、アンテナ受信部、RF回路、信号変換器等から構成されており、GPS信号等の情報を受信する。情報取得部12は、情報から移動体の位置情報を取得する位置情報取得部14と、情報から移動体の位置情報の誤差情報を取得する誤差情報取得部16とを備えている。位置情報取得部12からの位置情報と誤差情報は、直接に演算処理部20に送られる他、情報記憶部18に送られて情報記憶部18に一度記憶されてから演算処理部20に送られる。
【0021】
情報記憶部18は、物理的には、ROM(ReadOnly Memory),RAM(Random AccessMemory)等から構成され、位置情報取得部12から送られた位置情報と誤差情報をその測定時刻ごとに記憶する。図2は、本発明の第1実施形態に係る情報記憶部に記憶された位置情報と誤差情報の例を示す図である。図2に示すように、情報記憶部18には、時刻ごとに、緯度および経度からなる位置情報と、その誤差範囲を示す誤差情報が記憶されている。
【0022】
図1に戻り、演算処理部20は、物理的には、CPU(中央処理装置:Central Processing Unit)、ROM、RAM等から構成され、後述するような手法で、位置情報取得部12から得られた位置情報と誤差情報とから、現在の位置を推定する。制御部18が推定した推定位置は、液晶表示器等からなる表示部22に送られて、ユーザに表示される。
【0023】
以下、本実施形態の位置推定装置の動作を説明するとともに、本実施形態の位置推定方法について説明する。図3は、本発明の第1実施形態に係る位置推定装置の動作を示すフロー図である。本実施形態の位置推定方法は、大まかには3つのステップからなり、移動体の単位時間あたりの移動エリアを推定する第1ステップ(S100)と、移動体の現在における存在エリアを推定する第2ステップ(S200)、移動体の現在における位置を推定する第3ステップ(S300)が、位置推定装置の演算処理部によって順次行われて移動体の位置を推定する。
【0024】
図4は、本発明の第1実施形態に係るモデルケースを示す図である。このケースでは、それぞれ、時刻T(0),T(1),T(2)間が単位時間と仮定した場合を示す。図4に示すように、過去における時刻T(0),T(1)と、現在における時刻T(2)において、それぞれ測定誤差R0,R1,R2を伴う測定位置T0,T1,T2が、時刻T(0),T(1)では測定誤差R0,R1が小さいために、実際の位置t0,t1とよく整合していたのが、現在における時刻T(2)では測定誤差R2が大きいために、実際の位置t2と整合しなくなっている様子を示している。
【0025】
本実施形態の位置推定方法では、まず移動体の単位時間あたりの移動エリアを推定する。図5は、本発明の第1実施形態に係る移動エリアの推定方法を示す図である。図5に示すように、まず、それぞれ測定位置T0,T1における測定誤差R0,R1において、測定誤差R0の範囲を始点50として、測定誤差R1の範囲を終点52とする矢印を引く。次に、各々の矢印の始点50を集約すると、各々の矢印における終点52の集合により、半径r=R0+R1とする移動エリアrを推定することができる。
【0026】
図6は、本発明の第1実施形態に係る移動エリアの推定を示すフロー図である。推定される移動エリアは、利用する過去2点の位置情報の誤差情報に影響されるため、移動エリアが一定の精度に達するまで、絞込みを行う。本実施形態では、推定される移動エリアの面積が一定値以下になるまで、過去における複数の時点で測定された位置情報と誤差情報とから移動エリアの推定を行う。
【0027】
まず、測定位置T0,T1の2点から移動エリアを推定する(S101)。次に、移動エリアの面積を測定する(S102)。移動エリアの面積が一定値以下の場合は、移動エリアの推定を完了する(S103,S104)。移動エリアの面積が一定値以下でない場合は、他の時刻における2点、例えば時刻T(−2),T(−1)における測定位置T−2,T−1から移動エリアを推定する(S103,S105)。そして、先に推定した移動エリアとの重複部の面積を測定する(S106)。面積が一定値以下のときは、その重複部を移動エリアとして移動エリアの推定を完了し(S103,S104)、面積が一定値以下でない場合はさらに他の2点から移動エリアを推定して、先に推定された各々の移動エリアとの重複部の面積が一定値以下であるか否かを検討するステップを繰り返す(S105,S106)。このような方法により、より高精度で移動エリアを推定できる。
【0028】
次に、移動体の現在における存在エリアを推定する。図7は、本発明の第1実施形態に係る存在エリアの推定方法を示す図である。図7に示すように、測定位置T1における測定誤差R1において、R1の範囲を始点54として、破線で示すように先のステップで推定した移動エリアrの集合体を形成する。そうすると、破線で示す移動エリアの集合体により、半径r2=R0+2R1とする存在エリアr2を推定することができる。
【0029】
存在エリアは、始点54と移動エリアrによって推定されるため、測定誤差R1が大きく始点54の精度が悪い場合には、存在エリアr2の範囲が大きくなってしまう。存在エリアの範囲が大きい場合には、図8に示すように、他の時刻における点、例えば時刻T(0)における測定誤差R0の範囲を始点とした存在エリアr2’を推定し、存在エリアr2,r2’の重複部56を時刻T(2)における存在エリアとすることにより、より高精度で存在エリアを推定することができる。
【0030】
最後に、移動体の現在における存在エリアと、現在における時点で測定された移動体の位置情報と誤差情報とから、移動体の現在における位置を推定する。図9は、本発明の第1実施形態に係る位置の推定方法を示す図である。図9に示すように、現在の時刻T(2)における存在エリアr2の範囲と、測定位置T2における測定誤差R2の範囲との重複部58の重心を算出して、その重心位置を推定位置T2’とすることにより、移動体の実際の位置t2とよく整合のとれた位置を推定できる。
【0031】
図10は、本発明の第1実施形態に係る位置の推定を示すフロー図であり、図11〜14は、本発明の第1実施形態に係る存在エリアと測定位置と測定誤差との関係を示す図である。図10に示すように存在エリアr2と測定誤差R2の円に重複部があるか否かを検討する(S301)。図11〜13のように重複部58がある場合には次のステップに進み、図14のように重複部がない場合には、存在エリアの精度に問題があるため、図8に示したような手法で再度、存在エリアを推定する(S301,S304)。次に、図10に示すように存在エリアr2に測定誤差R2の円が包含されていないか否か検討する(S302)。図11および12のように、r2<R2およびr2>R2のいずれの場合であっても、存在エリアr2に測定誤差R2の円が包含されていない場合には、図9に示した手法で現在の位置を推定する(S302,S303)。図13に示すように、存在エリアr2に測定誤差R2の円が包含されている場合は、存在エリアの精度に問題があるため、図8に示したような手法で再度、存在エリアを推定する(S302,S304)。
【0032】
このような本実施形態の位置推定方法によれば、情報を有効に利用しつつ、他のデバイス情報を用いることなくとも、実際の状態との整合率の高い位置推定を行うことができる。
【0033】
次に、本発明の第2実施形態に係る位置推定装置および位置推定方法について説明する。本実施形態においては、移動エリアを推定する第1ステップにおいて、推定される移動エリアに誤差情報に基づくポイント値を付与し、ポイント値が一定値以上になるまで、過去における複数の時点で測定された位置情報と誤差情報とから移動エリアの推定を行う点が上記第1実施形態と異なっている。
【0034】
図15は本発明の第2実施形態に係る移動エリアの推定を示すフロー図であり、図16は本発明の第2実施形態に係る移動エリアの推定方法を示す図である。まず、測定位置T0,T1の2点から移動エリアを推定する(S1101)。次に、測定位置T0,T1の誤差情報R0,R1に応じてポイント値を付与する(S1102)。図16の例では、4ポイントが付与されている。
【0035】
ポイント値が一定の閾値以上である場合には、移動エリアの推定を完了する(S1103,S1104)。ポイント値が一定の閾値以上でない場合には、他の2点から移動エリアを推定する(S1105)。図16の例では、測定位置T−1,T−2の2点から移動エリアr’の推定が行われている。次に、その2点の誤差情報に応じてポイント値を付与する(S1106)。図16の例では、測定位置T−1,T−2の誤差情報R−1,R−2に応じて6ポイントが付与されている。そして、先に指定した移動エリアとの重複部を求め、合計のポイント値を算出する(S1107)。図16の例では、移動エリアr,r’の重複部60に、4+6=10ポイントが付与される。その後、再度、ポイント値が一定値以上であるかの検討が行われ(S1103)、ポイント値が一定値以上である場合には、その重複部60を移動エリアとして移動エリアの推定を完了し(S1104)、ポイント値が一定値以上でない場合には、再度、他の2点から移動エリアの推定を行い、先に推定された各々の移動エリアとの重複部におけるポイント値が一定値以上であるか否かを検討するステップを繰返す(S1105〜S1107)。
【0036】
本実施形態においては、誤差情報に応じて推定される移動エリアにポイントを付与するため、より高精度で移動エリアを推定することができる。
【0037】
次に、本発明の第3実施形態に係る位置推定装置について説明する。図17は、本発明の第3実施形態に係る位置推定装置を示す図である。本実施形態においては、位置推定装置10は、ユーザの所持する移動機30ではなく、ネットワーク40の側に実装されている点が上述の第1および第2実施形態と異なっている。
【0038】
図17に示すように、本実施形態においては、位置推定装置10はサービスを提供するサーバ等に実装されており、ネットワーク40を介してユーザの所持する移動機30に接続されている。位置推定装置10は上述の第1および第2実施形態と同様に情報取得部12、情報記憶部18、演算処理部20を備える。位置推定装置10は、ネットワーク40を介して、移動機30から情報を受信し、推定位置を送信するようになっている。移動機30には、位置推定装置10から受信した推定位置を表示する表示部22を備える。
【0039】
位置推定装置10の情報取得部12が移動機30からネットワーク40を介して情報を取得すると、位置推定装置10の演算処理部20は、上述の第1および第2実施形態と同様に、情報から取得した位置情報と誤差情報から推定位置を算出する。算出された推定位置は、ネットワーク40を介して移動機30に送信される。推定位置を受信した移動機30は、当該推定位置を表示部22に表示する。
【0040】
このように本実施形態においては、ネットワークの側に位置推定装置を搭載することにより、ネットワークの側に改変を加えるだけで、本発明の位置推定方法を実現することができる。
【0041】
尚、本発明の位置推定装置および位置推定方法は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の第1実施形態に係る位置推定装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る情報記憶部に記憶された位置情報と誤差情報の例を示す図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る位置推定装置の動作を示すフロー図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係るモデルケースを示す図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る移動エリアの推定方法を示す図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る移動エリアの推定を示すフロー図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係る存在エリアの推定方法を示す図である。
【図8】本発明の第1実施形態に係る存在エリアの推定方法を示す図である。
【図9】本発明の第1実施形態に係る位置の推定方法を示す図である。
【図10】本発明の第1実施形態に係る位置の推定を示すフロー図である。
【図11】本発明の第1実施形態に係る存在エリアと測定位置と測定誤差との関係を示す図である。
【図12】本発明の第1実施形態に係る存在エリアと測定位置と測定誤差との関係を示す図である。
【図13】本発明の第1実施形態に係る存在エリアと測定位置と測定誤差との関係を示す図である。
【図14】本発明の第1実施形態に係る存在エリアと測定位置と測定誤差との関係を示す図である。
【図15】本発明の第2実施形態に係る移動エリアの推定を示すフロー図である。
【図16】本発明の第2実施形態に係る移動エリアの推定方法を示す図である。
【図17】本発明の第3実施形態に係る位置推定装置を示す図である。
【符号の説明】
【0043】
10…位置推定装置、12…情報取得部、14…位置情報取得部、16…誤差情報取得部、18…情報記憶部、20…演算処理部、22…表示部、30…移動機、40…ネットワーク、50…始点、52…終点、54…始点、56…重複部、58…重複部、60…重複部、T−2,T−1,T0,T1,T2…測定位置、R−2,R−1,R0,R1,R2…測定誤差、t0,t1,t2…実際の位置、r,r’…移動エリア、r2,r2’…存在エリア、T2…推定位置
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置推定装置および位置推定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両や携帯電話機を所持したユーザ等の移動体の存在位置を特定するため、GPS(Global Positioning System)衛星等から送信されてくる測位用情報を用いて移動体の現在位置を特定することが広く行われている。この場合の測位用情報は、不連続な時点での位置情報であり、その位置情報はある程度の範囲の誤差を含んでいる。そのため、実際の状態との整合率を高めようとする試みが提案されている。例えば、測定した測位用情報の内、精度の悪い情報を破棄しつつ移動体の位置を推定する方法が提案されている(特許文献1および2参照)。あるいは、加速度センサ情報のような他のデバイス情報を用いて実際の状態との整合率を向上させる方法も提案されている(特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2002−341010号公報
【特許文献2】特開2002−341011号公報
【特許文献3】特開2003−90872号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のような精度の悪い情報を破棄する方法の場合、情報の有効利用の観点から効率が悪く、加速度センサ情報のような他のデバイス情報を用いる方法では、デバイスコストが増加するという問題がある。
【0004】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、情報を有効に利用しつつ、他のデバイス情報を用いることなく、実際の状態との整合率の高い位置推定手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、現在および過去における複数の時点で測定された移動体の位置情報と誤差情報とを取得する情報取得手段と、情報取得手段が取得した位置情報と誤差情報とを演算処理する演算処理手段と、を備え、演算処理手段は、情報取得手段が取得した過去における複数の時点で測定された移動体の位置情報と誤差情報とから、移動体の単位時間あたりの移動エリアを推定する第1ステップと、移動体の単位時間あたりの移動エリアと、情報取得手段が取得した過去における時点で測定された移動体の位置情報と誤差情報とから、移動体の現在における存在エリアを推定する第2ステップと、移動体の現在における存在エリアと、情報取得手段が取得した現在における時点で測定された移動体の位置情報と誤差情報とから、移動体の現在における位置を推定する第3ステップと、を実行する位置推定装置である。
【0006】
この構成によれば、演算処理手段は、情報取得手段が取得した過去における複数の時点で測定された位置情報と誤差情報とから、移動体の単位時間あたりの移動エリアを推定し、当該移動エリアと過去における時点で測定された移動体の位置情報と誤差情報とから、移動体の現在における存在エリアを推定する。そして演算処理手段は、推定された移動体の現在の存在エリアと、現在の測定された位置情報と誤差情報とから、移動体の現在における位置を推定するので、情報を有効に利用しつつ、他のデバイス情報を用いることなく、実際の状態との整合率の高い位置推定を行うことができる。
【0007】
この場合、演算処理手段は、第1ステップにおいて、推定される移動エリアの面積が一定値以下になるまで、情報取得手段が取得した過去における複数の時点で測定された移動体の位置情報と誤差情報とから移動エリアの推定を行うことが好適である。
【0008】
この構成によれば、演算処理手段は、推定される移動エリアの面積が一定値以下になるまで、過去における複数の時点で測定された位置情報と誤差情報とから移動エリアの推定を行うので、推定される移動体の移動エリアの面積は一定値以下となり、より精度の高い位置推定を行うことができる。
【0009】
また、演算処理手段は、第1ステップにおいて、推定される移動エリアに誤差情報に基づくポイント値を付与し、ポイント値が一定値以上になるまで、情報取得手段が取得した過去における複数の時点で測定された移動体の位置情報と誤差情報とから移動エリアの推定を行うことが好適である。
【0010】
この構成によれば、演算処理手段は、推定される移動エリアに誤差情報に基づくポイント値を付与し、ポイント値が一定値以上になるまで、過去における複数の時点で測定された位置情報と誤差情報とから移動エリアの推定を行うので、推定される移動体の移動エリアの精度は一定以上のものになり、より精度の高い位置推定を行うことができる。
【0011】
また、演算処理手段は、第2ステップにおいて、移動体の単位時間あたりの移動エリアと、情報取得手段が取得した過去における複数の時点で測定された移動体の位置情報と誤差情報とから、移動体の現在における存在エリアを推定することが好適である。
【0012】
この構成によれば、演算処理手段は、移動エリアと情報取得手段が取得した過去における複数の時点で測定された位置情報と誤差情報とから、移動体の現在における存在エリアを推定するので、過去における一の時点で測定された誤差情報の誤差が大きく精度が低い場合であっても、複数の時点で測定された位置情報と誤差情報に基づいて存在エリアを推定することにより存在エリアの範囲を狭めることができ、より精度の高い位置推定を行うことができる。
【0013】
また、本発明の別の態様によれば、過去における複数の時点で測定された移動体の位置情報と誤差情報とから、移動体の単位時間あたりの移動エリアを推定する第1ステップと、移動体の単位時間あたりの移動エリアと、過去における時点で測定された移動体の位置情報と誤差情報とから、移動体の現在における存在エリアを推定する第2ステップと、移動体の現在における存在エリアと、現在における時点で測定された移動体の位置情報と誤差情報とから、移動体の現在における位置を推定する第3ステップと、を含む位置推定方法が提供される。
【0014】
この場合、第1ステップにおいて、推定される移動エリアの面積が一定値以下になるまで、情報取得手段が取得した過去における複数の時点で測定された移動体の位置情報と誤差情報とから移動エリアの推定を行う、ことが好適である。
【0015】
また、第1ステップにおいて、推定される移動エリアに誤差情報に基づくポイント値を付与し、ポイント値が一定値以上になるまで、情報取得手段が取得した過去における複数の時点で測定された移動体の位置情報と誤差情報とから移動エリアの推定を行う、ことが好適である。
【0016】
また、第2ステップにおいて、移動体の単位時間あたりの移動エリアと、情報取得手段が取得した過去における複数の時点で測定された移動体の位置情報と誤差情報とから、移動体の現在における存在エリアを推定する、ことが好適である。
【発明の効果】
【0017】
本発明による位置推定装置および位置推定方法によれば、情報を有効に利用しつつ、他のデバイス情報を用いることなく、実際の状態との整合率の高い位置推定を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態に係る位置推定装置について添付図面を参照して説明する。同一符号を付けた構成要素は同一の構成要素を示すものとし、重複する説明は省略する。
【0019】
最初に本発明の第1実施形態に係る位置推定装置の構成について説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る位置推定装置の構成を示す図である。図1に示すように、本実施形態の位置推定装置10は、情報取得部12(情報取得手段)、情報記憶部18、演算処理部20(演算処理手段)、および表示部22を備えており、GPS衛星からのGPS信号や、セル情報(基地局情報)、タグ情報等の情報を受信して自動車や携帯電話機を所持したユーザの位置を推定する装置として構成されている。
【0020】
情報取得部12は、物理的には、アンテナ受信部、RF回路、信号変換器等から構成されており、GPS信号等の情報を受信する。情報取得部12は、情報から移動体の位置情報を取得する位置情報取得部14と、情報から移動体の位置情報の誤差情報を取得する誤差情報取得部16とを備えている。位置情報取得部12からの位置情報と誤差情報は、直接に演算処理部20に送られる他、情報記憶部18に送られて情報記憶部18に一度記憶されてから演算処理部20に送られる。
【0021】
情報記憶部18は、物理的には、ROM(ReadOnly Memory),RAM(Random AccessMemory)等から構成され、位置情報取得部12から送られた位置情報と誤差情報をその測定時刻ごとに記憶する。図2は、本発明の第1実施形態に係る情報記憶部に記憶された位置情報と誤差情報の例を示す図である。図2に示すように、情報記憶部18には、時刻ごとに、緯度および経度からなる位置情報と、その誤差範囲を示す誤差情報が記憶されている。
【0022】
図1に戻り、演算処理部20は、物理的には、CPU(中央処理装置:Central Processing Unit)、ROM、RAM等から構成され、後述するような手法で、位置情報取得部12から得られた位置情報と誤差情報とから、現在の位置を推定する。制御部18が推定した推定位置は、液晶表示器等からなる表示部22に送られて、ユーザに表示される。
【0023】
以下、本実施形態の位置推定装置の動作を説明するとともに、本実施形態の位置推定方法について説明する。図3は、本発明の第1実施形態に係る位置推定装置の動作を示すフロー図である。本実施形態の位置推定方法は、大まかには3つのステップからなり、移動体の単位時間あたりの移動エリアを推定する第1ステップ(S100)と、移動体の現在における存在エリアを推定する第2ステップ(S200)、移動体の現在における位置を推定する第3ステップ(S300)が、位置推定装置の演算処理部によって順次行われて移動体の位置を推定する。
【0024】
図4は、本発明の第1実施形態に係るモデルケースを示す図である。このケースでは、それぞれ、時刻T(0),T(1),T(2)間が単位時間と仮定した場合を示す。図4に示すように、過去における時刻T(0),T(1)と、現在における時刻T(2)において、それぞれ測定誤差R0,R1,R2を伴う測定位置T0,T1,T2が、時刻T(0),T(1)では測定誤差R0,R1が小さいために、実際の位置t0,t1とよく整合していたのが、現在における時刻T(2)では測定誤差R2が大きいために、実際の位置t2と整合しなくなっている様子を示している。
【0025】
本実施形態の位置推定方法では、まず移動体の単位時間あたりの移動エリアを推定する。図5は、本発明の第1実施形態に係る移動エリアの推定方法を示す図である。図5に示すように、まず、それぞれ測定位置T0,T1における測定誤差R0,R1において、測定誤差R0の範囲を始点50として、測定誤差R1の範囲を終点52とする矢印を引く。次に、各々の矢印の始点50を集約すると、各々の矢印における終点52の集合により、半径r=R0+R1とする移動エリアrを推定することができる。
【0026】
図6は、本発明の第1実施形態に係る移動エリアの推定を示すフロー図である。推定される移動エリアは、利用する過去2点の位置情報の誤差情報に影響されるため、移動エリアが一定の精度に達するまで、絞込みを行う。本実施形態では、推定される移動エリアの面積が一定値以下になるまで、過去における複数の時点で測定された位置情報と誤差情報とから移動エリアの推定を行う。
【0027】
まず、測定位置T0,T1の2点から移動エリアを推定する(S101)。次に、移動エリアの面積を測定する(S102)。移動エリアの面積が一定値以下の場合は、移動エリアの推定を完了する(S103,S104)。移動エリアの面積が一定値以下でない場合は、他の時刻における2点、例えば時刻T(−2),T(−1)における測定位置T−2,T−1から移動エリアを推定する(S103,S105)。そして、先に推定した移動エリアとの重複部の面積を測定する(S106)。面積が一定値以下のときは、その重複部を移動エリアとして移動エリアの推定を完了し(S103,S104)、面積が一定値以下でない場合はさらに他の2点から移動エリアを推定して、先に推定された各々の移動エリアとの重複部の面積が一定値以下であるか否かを検討するステップを繰り返す(S105,S106)。このような方法により、より高精度で移動エリアを推定できる。
【0028】
次に、移動体の現在における存在エリアを推定する。図7は、本発明の第1実施形態に係る存在エリアの推定方法を示す図である。図7に示すように、測定位置T1における測定誤差R1において、R1の範囲を始点54として、破線で示すように先のステップで推定した移動エリアrの集合体を形成する。そうすると、破線で示す移動エリアの集合体により、半径r2=R0+2R1とする存在エリアr2を推定することができる。
【0029】
存在エリアは、始点54と移動エリアrによって推定されるため、測定誤差R1が大きく始点54の精度が悪い場合には、存在エリアr2の範囲が大きくなってしまう。存在エリアの範囲が大きい場合には、図8に示すように、他の時刻における点、例えば時刻T(0)における測定誤差R0の範囲を始点とした存在エリアr2’を推定し、存在エリアr2,r2’の重複部56を時刻T(2)における存在エリアとすることにより、より高精度で存在エリアを推定することができる。
【0030】
最後に、移動体の現在における存在エリアと、現在における時点で測定された移動体の位置情報と誤差情報とから、移動体の現在における位置を推定する。図9は、本発明の第1実施形態に係る位置の推定方法を示す図である。図9に示すように、現在の時刻T(2)における存在エリアr2の範囲と、測定位置T2における測定誤差R2の範囲との重複部58の重心を算出して、その重心位置を推定位置T2’とすることにより、移動体の実際の位置t2とよく整合のとれた位置を推定できる。
【0031】
図10は、本発明の第1実施形態に係る位置の推定を示すフロー図であり、図11〜14は、本発明の第1実施形態に係る存在エリアと測定位置と測定誤差との関係を示す図である。図10に示すように存在エリアr2と測定誤差R2の円に重複部があるか否かを検討する(S301)。図11〜13のように重複部58がある場合には次のステップに進み、図14のように重複部がない場合には、存在エリアの精度に問題があるため、図8に示したような手法で再度、存在エリアを推定する(S301,S304)。次に、図10に示すように存在エリアr2に測定誤差R2の円が包含されていないか否か検討する(S302)。図11および12のように、r2<R2およびr2>R2のいずれの場合であっても、存在エリアr2に測定誤差R2の円が包含されていない場合には、図9に示した手法で現在の位置を推定する(S302,S303)。図13に示すように、存在エリアr2に測定誤差R2の円が包含されている場合は、存在エリアの精度に問題があるため、図8に示したような手法で再度、存在エリアを推定する(S302,S304)。
【0032】
このような本実施形態の位置推定方法によれば、情報を有効に利用しつつ、他のデバイス情報を用いることなくとも、実際の状態との整合率の高い位置推定を行うことができる。
【0033】
次に、本発明の第2実施形態に係る位置推定装置および位置推定方法について説明する。本実施形態においては、移動エリアを推定する第1ステップにおいて、推定される移動エリアに誤差情報に基づくポイント値を付与し、ポイント値が一定値以上になるまで、過去における複数の時点で測定された位置情報と誤差情報とから移動エリアの推定を行う点が上記第1実施形態と異なっている。
【0034】
図15は本発明の第2実施形態に係る移動エリアの推定を示すフロー図であり、図16は本発明の第2実施形態に係る移動エリアの推定方法を示す図である。まず、測定位置T0,T1の2点から移動エリアを推定する(S1101)。次に、測定位置T0,T1の誤差情報R0,R1に応じてポイント値を付与する(S1102)。図16の例では、4ポイントが付与されている。
【0035】
ポイント値が一定の閾値以上である場合には、移動エリアの推定を完了する(S1103,S1104)。ポイント値が一定の閾値以上でない場合には、他の2点から移動エリアを推定する(S1105)。図16の例では、測定位置T−1,T−2の2点から移動エリアr’の推定が行われている。次に、その2点の誤差情報に応じてポイント値を付与する(S1106)。図16の例では、測定位置T−1,T−2の誤差情報R−1,R−2に応じて6ポイントが付与されている。そして、先に指定した移動エリアとの重複部を求め、合計のポイント値を算出する(S1107)。図16の例では、移動エリアr,r’の重複部60に、4+6=10ポイントが付与される。その後、再度、ポイント値が一定値以上であるかの検討が行われ(S1103)、ポイント値が一定値以上である場合には、その重複部60を移動エリアとして移動エリアの推定を完了し(S1104)、ポイント値が一定値以上でない場合には、再度、他の2点から移動エリアの推定を行い、先に推定された各々の移動エリアとの重複部におけるポイント値が一定値以上であるか否かを検討するステップを繰返す(S1105〜S1107)。
【0036】
本実施形態においては、誤差情報に応じて推定される移動エリアにポイントを付与するため、より高精度で移動エリアを推定することができる。
【0037】
次に、本発明の第3実施形態に係る位置推定装置について説明する。図17は、本発明の第3実施形態に係る位置推定装置を示す図である。本実施形態においては、位置推定装置10は、ユーザの所持する移動機30ではなく、ネットワーク40の側に実装されている点が上述の第1および第2実施形態と異なっている。
【0038】
図17に示すように、本実施形態においては、位置推定装置10はサービスを提供するサーバ等に実装されており、ネットワーク40を介してユーザの所持する移動機30に接続されている。位置推定装置10は上述の第1および第2実施形態と同様に情報取得部12、情報記憶部18、演算処理部20を備える。位置推定装置10は、ネットワーク40を介して、移動機30から情報を受信し、推定位置を送信するようになっている。移動機30には、位置推定装置10から受信した推定位置を表示する表示部22を備える。
【0039】
位置推定装置10の情報取得部12が移動機30からネットワーク40を介して情報を取得すると、位置推定装置10の演算処理部20は、上述の第1および第2実施形態と同様に、情報から取得した位置情報と誤差情報から推定位置を算出する。算出された推定位置は、ネットワーク40を介して移動機30に送信される。推定位置を受信した移動機30は、当該推定位置を表示部22に表示する。
【0040】
このように本実施形態においては、ネットワークの側に位置推定装置を搭載することにより、ネットワークの側に改変を加えるだけで、本発明の位置推定方法を実現することができる。
【0041】
尚、本発明の位置推定装置および位置推定方法は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の第1実施形態に係る位置推定装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る情報記憶部に記憶された位置情報と誤差情報の例を示す図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る位置推定装置の動作を示すフロー図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係るモデルケースを示す図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る移動エリアの推定方法を示す図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る移動エリアの推定を示すフロー図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係る存在エリアの推定方法を示す図である。
【図8】本発明の第1実施形態に係る存在エリアの推定方法を示す図である。
【図9】本発明の第1実施形態に係る位置の推定方法を示す図である。
【図10】本発明の第1実施形態に係る位置の推定を示すフロー図である。
【図11】本発明の第1実施形態に係る存在エリアと測定位置と測定誤差との関係を示す図である。
【図12】本発明の第1実施形態に係る存在エリアと測定位置と測定誤差との関係を示す図である。
【図13】本発明の第1実施形態に係る存在エリアと測定位置と測定誤差との関係を示す図である。
【図14】本発明の第1実施形態に係る存在エリアと測定位置と測定誤差との関係を示す図である。
【図15】本発明の第2実施形態に係る移動エリアの推定を示すフロー図である。
【図16】本発明の第2実施形態に係る移動エリアの推定方法を示す図である。
【図17】本発明の第3実施形態に係る位置推定装置を示す図である。
【符号の説明】
【0043】
10…位置推定装置、12…情報取得部、14…位置情報取得部、16…誤差情報取得部、18…情報記憶部、20…演算処理部、22…表示部、30…移動機、40…ネットワーク、50…始点、52…終点、54…始点、56…重複部、58…重複部、60…重複部、T−2,T−1,T0,T1,T2…測定位置、R−2,R−1,R0,R1,R2…測定誤差、t0,t1,t2…実際の位置、r,r’…移動エリア、r2,r2’…存在エリア、T2…推定位置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在および過去における複数の時点で測定された移動体の位置情報と誤差情報とを取得する情報取得手段と、
前記情報取得手段が取得した位置情報と誤差情報とを演算処理する演算処理手段と、
を備え、
前記演算処理手段は、
前記情報取得手段が取得した過去における複数の時点で測定された移動体の位置情報と誤差情報とから、前記移動体の単位時間あたりの移動エリアを推定する第1ステップと、
前記移動体の単位時間あたりの移動エリアと、前記情報取得手段が取得した過去における時点で測定された移動体の位置情報と誤差情報とから、前記移動体の現在における存在エリアを推定する第2ステップと、
前記移動体の現在における存在エリアと、前記情報取得手段が取得した現在における時点で測定された移動体の位置情報と誤差情報とから、前記移動体の現在における位置を推定する第3ステップと、
を実行する位置推定装置。
【請求項2】
前記演算処理手段は、前記第1ステップにおいて、
推定される前記移動エリアの面積が一定値以下になるまで、前記情報取得手段が取得した過去における複数の時点で測定された移動体の位置情報と誤差情報とから移動エリアの推定を行う、
請求項1に記載の位置推定装置。
【請求項3】
前記演算処理手段は、前記第1ステップにおいて、
推定される前記移動エリアに前記誤差情報に基づくポイント値を付与し、前記ポイント値が一定値以上になるまで、前記情報取得手段が取得した過去における複数の時点で測定された移動体の位置情報と誤差情報とから移動エリアの推定を行う、
請求項1に記載の位置推定装置。
【請求項4】
前記演算処理手段は、前記第2ステップにおいて、
前記移動体の単位時間あたりの移動エリアと、前記情報取得手段が取得した過去における複数の時点で測定された移動体の位置情報と誤差情報とから、前記移動体の現在における存在エリアを推定する、
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の位置推定装置。
【請求項5】
過去における複数の時点で測定された移動体の位置情報と誤差情報とから、前記移動体の単位時間あたりの移動エリアを推定する第1ステップと、
前記移動体の単位時間あたりの移動エリアと、過去における時点で測定された移動体の位置情報と誤差情報とから、前記移動体の現在における存在エリアを推定する第2ステップと、
前記移動体の現在における存在エリアと、現在における時点で測定された移動体の位置情報と誤差情報とから、前記移動体の現在における位置を推定する第3ステップと、
を含む位置推定方法。
【請求項6】
前記第1ステップにおいて、
推定される前記移動エリアの面積が一定値以下になるまで、前記情報取得手段が取得した過去における複数の時点で測定された移動体の位置情報と誤差情報とから移動エリアの推定を行う、
請求項5に記載の位置推定方法。
【請求項7】
前記第1ステップにおいて、
推定される前記移動エリアに前記誤差情報に基づくポイント値を付与し、前記ポイント値が一定値以上になるまで、前記情報取得手段が取得した過去における複数の時点で測定された移動体の位置情報と誤差情報とから移動エリアの推定を行う、
請求項5に記載の位置推定方法。
【請求項8】
前記第2ステップにおいて、
前記移動体の単位時間あたりの移動エリアと、前記情報取得手段が取得した過去における複数の時点で測定された移動体の位置情報と誤差情報とから、前記移動体の現在における存在エリアを推定する、
請求項5ないし7のいずれか1項に記載の位置推定方法。
【請求項1】
現在および過去における複数の時点で測定された移動体の位置情報と誤差情報とを取得する情報取得手段と、
前記情報取得手段が取得した位置情報と誤差情報とを演算処理する演算処理手段と、
を備え、
前記演算処理手段は、
前記情報取得手段が取得した過去における複数の時点で測定された移動体の位置情報と誤差情報とから、前記移動体の単位時間あたりの移動エリアを推定する第1ステップと、
前記移動体の単位時間あたりの移動エリアと、前記情報取得手段が取得した過去における時点で測定された移動体の位置情報と誤差情報とから、前記移動体の現在における存在エリアを推定する第2ステップと、
前記移動体の現在における存在エリアと、前記情報取得手段が取得した現在における時点で測定された移動体の位置情報と誤差情報とから、前記移動体の現在における位置を推定する第3ステップと、
を実行する位置推定装置。
【請求項2】
前記演算処理手段は、前記第1ステップにおいて、
推定される前記移動エリアの面積が一定値以下になるまで、前記情報取得手段が取得した過去における複数の時点で測定された移動体の位置情報と誤差情報とから移動エリアの推定を行う、
請求項1に記載の位置推定装置。
【請求項3】
前記演算処理手段は、前記第1ステップにおいて、
推定される前記移動エリアに前記誤差情報に基づくポイント値を付与し、前記ポイント値が一定値以上になるまで、前記情報取得手段が取得した過去における複数の時点で測定された移動体の位置情報と誤差情報とから移動エリアの推定を行う、
請求項1に記載の位置推定装置。
【請求項4】
前記演算処理手段は、前記第2ステップにおいて、
前記移動体の単位時間あたりの移動エリアと、前記情報取得手段が取得した過去における複数の時点で測定された移動体の位置情報と誤差情報とから、前記移動体の現在における存在エリアを推定する、
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の位置推定装置。
【請求項5】
過去における複数の時点で測定された移動体の位置情報と誤差情報とから、前記移動体の単位時間あたりの移動エリアを推定する第1ステップと、
前記移動体の単位時間あたりの移動エリアと、過去における時点で測定された移動体の位置情報と誤差情報とから、前記移動体の現在における存在エリアを推定する第2ステップと、
前記移動体の現在における存在エリアと、現在における時点で測定された移動体の位置情報と誤差情報とから、前記移動体の現在における位置を推定する第3ステップと、
を含む位置推定方法。
【請求項6】
前記第1ステップにおいて、
推定される前記移動エリアの面積が一定値以下になるまで、前記情報取得手段が取得した過去における複数の時点で測定された移動体の位置情報と誤差情報とから移動エリアの推定を行う、
請求項5に記載の位置推定方法。
【請求項7】
前記第1ステップにおいて、
推定される前記移動エリアに前記誤差情報に基づくポイント値を付与し、前記ポイント値が一定値以上になるまで、前記情報取得手段が取得した過去における複数の時点で測定された移動体の位置情報と誤差情報とから移動エリアの推定を行う、
請求項5に記載の位置推定方法。
【請求項8】
前記第2ステップにおいて、
前記移動体の単位時間あたりの移動エリアと、前記情報取得手段が取得した過去における複数の時点で測定された移動体の位置情報と誤差情報とから、前記移動体の現在における存在エリアを推定する、
請求項5ないし7のいずれか1項に記載の位置推定方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2006−308472(P2006−308472A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−132723(P2005−132723)
【出願日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】
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