説明

位置検出装置、重ね合わせ装置、位置検出方法およびデバイスの製造方法

【課題】予備的な位置合わせ装置において、透過型の光学系で積層ウェハの位置を検出しようとした場合、積層された最上段のウェハを直接観察することができず、最下段のウェハで位置を合わせることになるので、最上段のウェハに形成されたアライメントマークが位置合わせ装置の顕微鏡の観察視野内におさまらない場合があった。
【解決手段】ステージと、ステージ上に配置されたウェハの位置を検出する検出部と、予め定められた条件により、ウェハの位置を検出する異なる複数の検出制御を切り替えて検出部を制御する制御部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置検出装置、重ね合わせ装置、位置検出方法およびデバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のウェハを重ね合わせて接合した後に個片化することで立体構造を備える半導体チップを製造する重ね合わせ装置が近年注目を集めている。重ね合わせ装置は、複数のウェハを重ね合わせるときに、位置合わせ装置によって高精度に位置合わせをする(例えば、特許文献1を参照)。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特開2005−251972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
位置合わせ装置は、対向する2枚のウェハの表面に形成されたアライメントマークを顕微鏡で観察しながら、少なくとも片方のウェハを移動させることで、アライメントマークの位置を基準として2枚のウェハの位置を合わせる。ここで、位置合わせ装置が備える顕微鏡は高倍率に設定されており観察視野が狭くなっているので、ウェハを位置合わせ装置に搬入するときに顕微鏡の観察視野内にアライメントマークが収まるように、ウェハの位置を予備的に調整しておくことが望ましい。
【0004】
そこで位置合わせ装置にウェハを搬入する前に、ウェハのアライメントマークが位置合わせ装置の観察視野に入るように予備的に位置合わせをする予備位置合わせ装置が採用されている。この予備位置合わせ装置では、位置決めに各ウェハの外形を基準とする場合が多く、ウェハの外形を高いコントラストで認識するために、透過型の光学系を使用している。
【0005】
しかしながら、検出対象のウェハがすでに積層された積層ウェハであり、特に上段のウェハが下段のウェハよりも外形が小さい場合に、透過型の光学系では、上段のウェハの外形を正確に検出することが困難である。上段のウェハと下段のウェハが位置ずれなく積層されていれば、下段のウェハの位置と上段のウェハの位置が一致するので問題ないが、実際にはウェハを積層する段階で位置ずれが生じている場合がある。
【0006】
上段のウェハと下段のウェハの位置が合っていない場合、下段のウェハの位置を基準として位置合わせをしても、上段のウェハの位置はずれてしまうことになる。その結果、ウェハを本アライナに搬入したときに、上段のウェハに形成されたアライメントマークが、位置合わせ装置の顕微鏡の観察視野内に収まらない可能性がある。このように従来の予備位置合わせ装置では、条件によって、位置合わせ装置が観察する対象ウェハのアライメントマークが、顕微鏡の観察視野内に収まる位置に、位置合わせできない場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様に係る位置検出装置は、ステージと、ステージ上に配置されたウェハの位置を検出する検出部と、予め定められた条件により、ウェハの位置を検出する異なる複数の検出制御を切り替えて検出部を制御する制御部とを備える。
【0008】
また上記課題を解決するために、本発明の第2の態様に係る重ね合わせ装置は、ステージと、ステージ上に配置されたウェハの位置を検出する検出部と、予め定められた条件により、ウェハの位置を検出する異なる複数の検出制御を切り替えて検出部を制御する制御部と、制御部による制御によって、検出部が検出したウェハの位置に基づいて、ウェハを位置合わせする位置合わせ部と、位置合わせ部によって位置合わせされた2つのウェハを重ね合わせる重ね合わせ部とを備える。
【0009】
また上記課題を解決するために、本発明の第3の態様に係る位置検出方法は、ステージおよびステージ上に配置されたウェハの位置を検出する検出部を備える位置検出装置を制御する位置検出方法であって、予め定められた条件により、ウェハの位置を検出する異なる複数の検出制御から1つの検出制御を選択する選択ステップと、選択ステップで選択された検出制御により、ウェハの位置を検出する検出ステップとを有する。
【0010】
また上記課題を解決するために、本発明の第4の態様に係るデバイスの製造方法は、複数のウェハを重ね合わせて製造されるデバイスの製造方法であって、複数のウェハを重ね合わせる工程は、予め定められた条件により、複数のウェハの1つである第1ウェハの位置を検出する異なる複数の検出制御から、少なくとも1つの検出制御を選択して、その選択した検出制御によって、第1ウェハの位置を検出する第1検出ステップと、予め定められた条件により、複数のウェハの1つである第2ウェハの位置を検出する異なる複数の検出制御から、少なくとも1つの検出制御を選択して、その選択した検出制御によって、第2ウェハの位置を検出する第1検出ステップと、対向して配置されたステージに、第1ウェハと第2ウェハをそれぞれ載置して、第1検出ステップで検出した第1ウェハの位置と、第2検出ステップで検出した第2ウェハの位置に基づいて、第1ウェハと第2ウェハを位置合わせして重ね合わせる重ね合わせステップとを含む。
【0011】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】重ね合わせ装置の全体構造を概略的に示す平面図である。
【図2】ウェハの構造を概略的に示す上面図である。
【図3】上ウェハホルダの構造を概略的に示す上面図である。
【図4】下ウェハホルダの構造を概略的に示す上面図である。
【図5】位置検出部の構造を概略的に示す斜視図である。
【図6】第1照明ユニットにより照明されたウェハのエッジを第1撮像ユニットにより撮像している位置検出部の構成を概略的に示す部分断面図である。
【図7】第1撮像ユニットが撮影した撮影画像を表わす概念図である。
【図8】3つの第1撮像ユニットによって撮影される3つの撮影画像の例を示す概念図である。
【図9】第2照明ユニットにより照明されたウェハのエッジを第1撮像ユニットにより撮像している位置検出部の構成を概略的に示す部分断面図である。
【図10】第1撮像ユニットが撮影した撮影画像を表わす概念図である。
【図11】第3照明ユニットにより照明された積層ウェハのエッジを第2撮像ユニットにより撮影している位置検出部の構成を概略的に示す斜視図である。
【図12】第2撮像ユニットが取得した積層ウェハのエッジを含む撮影画像の概念図である。
【図13】ウェハの切欠の位置を特定する手法を説明する説明図である。
【図14】位置検出部によって実行される位置検出の制御の流れを示すフローチャートである。
【図15】積層ウェハを対象として透過光計測によって位置検出を実行する場合の例を示す図である。
【図16】位置検出部によって実行される位置検出の制御の流れを示すフローチャートである。
【図17】位置検出部によって実行される位置検出の制御の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0014】
図1は、本実施形態に係るデバイスの製造方法を実施する重ね合わせ装置100の全体構造を概略的に示す平面図である。図では、平面方向をXY軸方向、重力方向をZ軸方向としている。重ね合わせ装置100は、回路パターンが形成された複数のウェハを、接合すべき電極同士が接触するように重ね合わせて加熱加圧することにより接合する装置である。
【0015】
重ね合わせ装置100は、共通の筐体101の内部に形成された大気環境部102および真空環境部202を含む。大気環境部102は、筐体101の外部に面して、制御部110およびEFEM(Equipment Front End Module)112を有する。重ね合わせ装置100に含まれる各装置の各要素は、重ね合わせ装置100全体の制御および演算を司る制御部110、または要素ごとに設けられた制御演算部が、統合制御、協調制御をすることにより動作する。制御部110は、重ね合わせ装置100を制御するための情報を記憶する記憶部111を有する。
【0016】
EFEM112は、3つのロードポート113、114、115およびロボットアーム116を備える。各ロードポートには密閉型のウェハ格納用ポッドであるFOUP(Front Opening Unified Pod)が装着される。ロードポート113、114に装着されたFOUPには複数のウェハ120が収容されており、ロボットアーム116によって大気環境部102に搬入される。大気環境部102および真空環境部202によって接合されたウェハ120は、ロードポート115に装着されたFOUPに格納される。
【0017】
ここでいうウェハ120は、既に回路パターンが複数周期的に形成されているウェハが1枚からなる単層ウェハの場合と、複数のウェハが積層された積層ウェハの場合がある。ロボットアーム116によって大気環境部102に搬入されるウェハ120は、制御部110によって管理されており、搬入されたウェハ120が単層ウェハであるか積層ウェハであるかは制御部110によって把握されている。
【0018】
大気環境部102は、筐体101の内側にそれぞれ配置された、予備アライナ130、本アライナ140、ホルダラック150および分離機構160を備える。筐体101の内部は、重ね合わせ装置100が設置された環境の室温と略同じ温度が維持されるように温度管理される。
【0019】
予備アライナ130は、ウェハ120が本アライナ140に搬入されたときに、本アライナ140が備える顕微鏡の観察視野内にウェハ120のアライメントマークが収まるように、ウェハ120の位置を予備的に合わせる装置である。予備アライナ130は、位置検出部300および搭載部360を備えている。そして、ロボットアーム116によって、FOUPに収容されているウェハ120が位置検出部300に搬入される。ウェハ120の外周には切欠が設けられており、位置検出部300は、ウェハ120の切欠とエッジを撮影することで、ウェハ120の位置を検出する。位置検出部300の具体的な構成については後述する。
【0020】
搭載部360は、ホルダテーブル362および観察器364を備える。ホルダテーブル362にはウェハホルダ190が載置される。ウェハホルダ190はホルダラック150に収納されており、ロボットアーム175および第1搬送ユニット171または第2搬送ユニット172によってホルダテーブル362に搬送される。観察器364は予備アライナ130の天井フレームに設置されており、ホルダテーブル362に載置されたウェハホルダ190を観察する。ウェハホルダ190の外周には切欠が設けられており、搭載部360は、この切欠を観察器364によって観察しながら、ウェハホルダ190の位置を調整する。
【0021】
ウェハホルダ190のウェハ保持面には複数の挿通孔が設けられており、ウェハホルダ190の表裏を貫通する。またホルダテーブル362には複数の貫通孔が設けられており、複数のリフトピンが、この貫通孔およびウェハホルダ190の挿通孔を突き抜けて、リフトピン上にウェハ120を載置できるよう構成されている。
【0022】
そして、ウェハスライダによって位置検出部300からホルダテーブル362に搬送されたウェハ120が、複数のリフトピン上に載置される。このとき搭載部360は、ウェハ120およびウェハホルダ190を観察器364によって観察しながら位置合わせしてウェハ120をリフトピン上に載置する。そしてリフトピンを降下することでウェハ120はウェハホルダ190上に載置される。
【0023】
ホルダテーブル362には電力供給ピンが設けられており、ウェハホルダ190の裏面に設けられた電力供給端子と接続して、ウェハホルダ190に電力を供給する。電力供給端子から電力を供給されたウェハホルダ190は、その内部に設けられた静電チャックによりウェハ保持面に電位差を生じさせ、ウェハ120を静電吸着する。このようにして一体化されたウェハ120およびウェハホルダ190を、ワークと呼ぶ。予備アライナ130により形成されたワークは、ロボットアーム176によって本アライナ140に搬入される。
【0024】
本アライナ140は、2つのワークを対向させて、各ワークのウェハ120に形成された複数のアライメントマークを高精度に位置合わせして重ね合わせる装置である。本アライナ140は、固定ステージ141、移動ステージ142、制御部143、顕微鏡144、145および干渉計146、147を備える。また、本アライナ140を包囲してシャッタ148および断熱壁149が設けられる。
【0025】
固定ステージ141は、本アライナ140の天井部に設置されており、固定された状態でワークを下向きに保持する。固定ステージ141に保持されるワークを上ワークと呼び、上ワークを構成するウェハホルダ190を上ウェハホルダ191と呼ぶ。移動ステージ142は、ワークを上向きに保持する。そして、XY平面方向に移動可能に構成されており、ワークを保持して搬送する。移動ステージ142に載置されるワークを下ワークと呼び、下ワークを構成するウェハホルダ190を下ウェハホルダ192と呼ぶ。
【0026】
制御部143は、固定ステージ141に隣接して設置された顕微鏡144および移動ステージ142に隣接して設置された顕微鏡145によって、上ワークのウェハ120のアライメントマークおよび下ワークのウェハ120のアライメントマークを観察する。そして、アライメントマークを基準として移動ステージ142を、干渉計146、147によりその位置を監視しつつ精密に移動させることで、上ワークのウェハ120と下ワークのウェハ120を位置合わせする。
【0027】
このとき制御部143は、例えば、2枚のウェハそれぞれに形成された複数のアライメントマークが重ね合わされたときに相互の位置ずれ量が最も小さくなるように統計的に決定されるグローバルアライメント法等を用いて計算を実行する。位置合わせ終了後制御部143は、移動ステージ142により下ワークを上昇させて上ワークのウェハ120と下ワークのウェハ120の接合面を接触させて重ね合わせる。重ね合わされた2つのワークをまとめてワーク対と呼ぶ。
【0028】
本アライナ140はこのように、2枚のウェハ120を高精度に位置合わせすることが要求されるので、顕微鏡144、145は高倍率に設定されており観察視野が狭くなっている。その結果、ウェハ120に位置ずれが生じた状態でワークが本アライナ140に搬入されると、位置合わせに時間がかかり全体のスループットの低下を招いてしまう。特に、位置ずれが大きく、ウェハ120のアライメントマークが顕微鏡144、145の観察視野から外れている場合は、アライメントマークを探索する時間が更に余分にかかってしまう。
【0029】
また、本実施形態のように、干渉計146、147を用いて移動ステージ142の位置を監視する場合、回転方向の調整範囲が狭くなる。そのためウェハ120が移動ステージ142の回転方向の調整許容範囲を超える位置ずれを起こしている場合は、顕微鏡144、145の観察視野内にアライメントマークが入るように調整することができなくなり、位置合わせができなくなってしまう場合もある。そこで、ウェハ120のアライメントマークが本アライナ140の顕微鏡144、145の撮像視野内に入るように、予備アライナ130によって予めウェハ120の位置合わせを実行する。
【0030】
本アライナ140により形成されたワーク対は、ロボットアーム176によって本アライナ140から搬出され、第1搬送ユニット171または第2搬送ユニット172によって、分離機構160の上部に設けられた受け渡しポート173に載置される。第1搬送ユニット171と第2搬送ユニット172は、上下方向に並行して設けられたレール上をそれぞれ独立して走行する。そして第1搬送ユニット171は第2搬送ユニット172よりも上側に位置して、ウェハホルダ190、ワークおよびワーク対を保持したままでもすれ違うことができる構造になっている。受け渡しポート173に載置されたワーク対は、ロボットアーム175によって後述するロードロックチャンバ220に搬入される。
【0031】
真空環境部202は、断熱壁210、ロードロックチャンバ220、ロボットアーム230および複数の加熱加圧装置240を有する。断熱壁210は、真空環境部202を包囲して真空環境部202の内部温度を維持すると共に、真空環境部202の外部への熱輻射を遮断する。これにより、真空環境部202の熱が大気環境部102に及ぼす影響を抑制できる。ロボットアーム230は、ワーク対を搬送する搬送装置であり、保持したワーク対を、ロードロックチャンバ220と加熱加圧装置240の間で搬送する。
【0032】
ロードロックチャンバ220は、大気環境部102側と真空環境部202側とに、交互に開閉するシャッタ222、224を有する。ワーク対が大気環境部102から真空環境部202に搬入される場合、まず、大気環境部102側のシャッタ222が開かれ、ロボットアーム176がワーク対をロードロックチャンバ220に搬入する。次に大気環境部102側のシャッタ222を閉じ、ロードロックチャンバ220内の空気を排出することで、真空状態にする。
【0033】
ロードロックチャンバ220内が真空状態になった後、真空環境部202側のシャッタ224が開かれ、ロボットアーム230がワーク対を搬出する。このような真空環境部202への搬入動作により、大気環境部102の内部雰囲気を真空環境部202側に漏らすことなく、ワーク対を真空環境部202に搬入できる。
【0034】
次にロボットアーム230は、搬出したワーク対を複数の加熱加圧装置240のいずれかに搬入する。そして加熱加圧装置240は、ワーク対を加熱加圧する。これによりウェハホルダ190に挟まれた状態で搬入されたウェハ120は恒久的に接合される。
【0035】
加熱加圧装置240は、ワーク対を加熱する本体と、本体を配置する加熱加圧チャンバとを含む。またロボットアーム230は、ロボットアームチャンバに設置される。すなわち、真空環境部202を構成する複数の加熱加圧チャンバ、ロボットアームチャンバおよびロードロックチャンバ220は、それぞれ個別に仕切られ、別々に雰囲気を調整することができる。また、図に示すように、真空環境部202は、ロボットアームチャンバを中心として、複数の加熱加圧チャンバとロードロックチャンバ220が円周方向に並べて配置されている。
【0036】
真空環境部202から大気環境部102にワーク対を搬出する場合は、まず真空環境部202側のシャッタ224が開かれ、ロボットアーム230がワーク対をロードロックチャンバ220に搬入する。次に、真空環境部202側のシャッタ224が閉じられ、大気環境部102側のシャッタ222が開かれる。そして、ロボットアーム175によって、ワーク対がロードロックチャンバ220から搬出される。
【0037】
ロードロックチャンバ220から搬出されたワーク対は、分離機構160に搬入され、分離機構160によって、ウェハホルダ190に挟まれて接合された接合ウェハが取り出される。接合ウェハは、第1搬送ユニット171または第2搬送ユニット172によって、ロードポート115に装着されたFOUPに収容される。
【0038】
図2はウェハ120の構造を概略的に示す上面図である。図では、平面方向をXY軸方向、重力方向をZ軸方向としている。また、ウェハ120が予備アライナ130によってウェハホルダ190に載置されたときの向きを示している。ウェハ120は、その周囲の一部にウェハ120の結晶方向性を示す切欠123を備える。ここでいう切欠123は、ノッチおよびオリフラを含むものとする。また、ウェハ120には例えば、数十ショット〜数百ショット程度に回路パターン124が形成されているが、図では、回路パターン124が22個形成されている場合を例示している。
【0039】
回路パターン124の周辺には、フォトリソグラフィ工程にてアライメントマーク125が複数形成されている。ここでは、アライメントマーク125は十字形状で形成されている。ウェハ120は、本アライナ140の移動ステージ142に載置されたときに、切欠123が−Y方向の端に位置するように、予備アライナ130によって向きが調整される。
【0040】
図3は、ウェハ120を保持した上ウェハホルダ191を概略的に示す平面図である。上ウェハホルダ191は、ホルダ本体911およびマグネットユニット918を有している。ホルダ本体911は、セラミックス、金属等の高剛性材料により一体成形されており、ウェハ120を保持する領域をその表面に備える。この保持領域は研磨されて高い平坦性を有する。ウェハ120の保持は、静電力を利用した吸着により行われる。
【0041】
具体的には、ホルダ本体911に埋め込まれた静電チャックに、ホルダ本体911の裏面に設けられた電圧印加端子を介して電圧を加えることにより、上ウェハホルダ191とウェハ120との間に電位差を生じさせて、ウェハ120を上ウェハホルダ191に吸着させる。なお、ウェハ120の吸着面は、回路パターン124が設けられた面とは反対の面である。
【0042】
ホルダ本体911には、挿通孔912が設けられている。挿通孔912は、上ウェハホルダ191にウェハ120を載置した場合に、ウェハ120の外周に対応するラインに沿う位置に備えられる。そして、予備アライナ130が備えるリフトピンが挿通孔912を突き抜けることで、リフトピン上にウェハ120を載置できるように構成されている。リフトピン上に載置されたウェハ120は、リフトピンが降下することによって、ウェハホルダ190上に載置される。またホルダ本体911は、その外周の一部に切欠き916を有する。切欠き916は、予備アライナ130において、ウェハホルダ190にウェハ120を予備的に位置合わせするときの基準として用いられる。
【0043】
マグネットユニット918は、ウェハ120を保持する表面において、保持したウェハ120よりも外側である外周領域に複数配置される。図の場合、2個を一組として120度毎に合計6個のマグネットユニット918が配されている。
【0044】
図4は、ウェハ120を保持した下ウェハホルダ192を概略的に示す平面図である。上ウェハホルダ191と同様の構成要素については、上ウェハホルダ191と同じ符号を割り当ててその説明を省略する。下ウェハホルダ192は、マグネットユニット918の代わりに吸着ユニット922を有する点で上ウェハホルダ191と異なる。
【0045】
吸着ユニット922は、ウェハ120を保持する表面において、保持したウェハ120よりも外側である外周領域に複数配置される。図の場合、2個を一組として120度毎に合計6個の吸着ユニット922が配されている。吸着ユニット922は、磁性体で構成されており、上ウェハホルダ191のマグネットユニット918とそれぞれ対応するように配置されている。そして、ウェハ120を保持した上ウェハホルダ191と、ウェハ120を保持した下ウェハホルダ192を、互いに向かい合わせてマグネットユニット918と吸着ユニット922を作用させると、2つのウェハ120を重ね合わせた状態で挟持して固定することができる。
【0046】
図5は、位置検出部300の構造を概略的に示す斜視図である。位置検出部300は、台座部302、ステージ304、制御部306、第1照明部としての3つの第1照明ユニット311、312、313、第2照明部としての3つの第2照明ユニット321、322、323、第3照明部としての3つの第3照明ユニット331、332、333、334、第1撮像部としての3つの第1撮像ユニット341、342、343および第2撮像部としての4つの第2撮像ユニット351、352、353、354を備える。
【0047】
台座部302上にステージ304が設置されており、ロボットアーム116によって搬入されたウェハ120がステージ304上に載置される。図では、ウェハ120の載置面に平行な方向をXY軸方向、載置面に垂直方向な方向をZ軸方向として説明する。ステージ304はXY方向に対して平行移動する。また、ウェハ載置面の中心点を中心軸として、Z軸に対して回転移動する。
【0048】
第1照明ユニット311、312、313はステージ304に設置されており、ウェハの載置面に直交する方向に照明光を照射する。第1撮像ユニット341、342、343は、位置検出部300の天井部に設置されており、それぞれが第1照明ユニット311、312、313と対向している。
【0049】
ウェハ120は、ロボットアーム116によって、そのエッジが第1撮像ユニット341、342、343の撮影視野に入る位置に配置される。このとき第1照明ユニット311、312、313から照射された照明光は、一部がウェハ120に遮られて第1撮像ユニット341、342、343に到達することになる。
【0050】
第1撮像ユニット341、342、343に到達した照明光は、制御部306により光電変換され、画像処理される。そしてその結果として制御部306は、ウェハ120のエッジの3箇所に対応する3つの撮影画像データを取得する。制御部306は、取得した3つの撮影画像データに基づいて、ウェハ120の位置を検出する。具体的な検出制御については後述する。
【0051】
第2照明ユニット321、322、323は、それぞれが、第1撮像ユニット341、342、343と一体的に構成され鏡筒内に配置されたハーフミラーを介して、下方向に照明光を照射する。この下方向に向かって照射される照明光は、第1照明ユニット311、312、313から第1撮像ユニット341、342、343に向かう照明光とは反対向きで光路が共通になるよう調整されている。なお、ハーフミラーの代わりにハーフプリズムを用いてもかまわない。
【0052】
第2照明ユニット321、322、323から発せられた照明光は、少なくともその一部がウェハ120のエッジに到達し、そのエッジ部分の散乱光が第1撮像ユニット341、342、343に到達する。第1撮像ユニット341、342、343に到達した散乱光は、制御部306により光電変換され、画像処理される。そしてその結果として制御部306は、ウェハ120のエッジの3箇所に対応する3つの撮影画像データを取得する。制御部306は、取得した3つの撮影画像データに基づいて、ウェハ120の位置を検出する。具体的な検出制御については後述する。
【0053】
第3照明ユニット331、332、333、334は、ウェハ120の載置面方向に対して斜めから、ウェハ120を照明する照明光として、スリット像335、336、337、338を提供する。スリット像335、336、337、338は、円盤状のウェハ120の径方向に延伸する細長い形状を有しており、その照射範囲はウェハ120のエッジの一部分を含む。スリット像335、338の長手方向はX方向であり、スリット像336、337の長手方向はY方向である。第3照明ユニット331、332、333、334は、ウェハ120が目標位置に対して正しく配置された場合にエッジが来るべき位置を照明するように、その位置と照射方向が調整されている。
【0054】
第2撮像ユニット351、352、353、354は、ウェハ120のエッジの一部分を含む領域を、ウェハ120の面方向に対して斜めから撮像する。第2撮像ユニット351、352、353、354は、第3照明ユニット331、332、333、334が照射した照明光をウェハ120が反射した反射光が到達する位置に設置されている。
【0055】
第3照明ユニット331、332、333、334から照射された照明光は、少なくともその一部がウェハ120に反射され、その反射光が第2撮像ユニット351、352、353、354に到達する。第2撮像ユニット351、352、353、354に到達した反射光は、制御部306により光電変換され、画像処理される。そしてその結果として制御部306は、ウェハ120のエッジの4箇所に対応する4つの撮影画像データを取得する。制御部306は、取得した4つの撮影画像データに基づいて、ウェハ120の位置を検出する。具体的な検出制御については後述する。
【0056】
図6は、第1照明ユニット311により照明されたウェハ120のエッジを、第1撮像ユニット341により撮影している位置検出部300の構成を概略的に示す部分断面図である。断面の位置は図5のA−Aに対応する。第1照明ユニット311により、ステージ304側から第1撮像ユニット341側に向かって発せられた照明光は、一部がウェハ120に遮られて、ハーフミラー326を透過して第1撮像ユニット341に到達する。なお、ハーフミラー326による反射光は図示を省略している。
【0057】
図7は、第1撮像ユニット341で撮影した画像を、制御部306が画像処理して取得した撮影画像データ316を示す概念図である。制御部306は、第1撮像ユニット341が出力した8bitのグレースケール画像に対して、予め定められた閾値により2値化する画像処理を施すことで、図7に示す2値画像を得る。撮影画像データ316の斜線部分がウェハ120に遮られた部分を表しており、この遮られた部分が黒い領域、遮られていない部分が白い領域となる。
【0058】
上述したようにウェハ120の裏面側から垂直にエッジを照明して、その照明されたエッジをウェハ120の表面側から垂直方向に撮影した撮影画像を分析して、ウェハ120のエッジを計測する計測手法を透過光計測と呼ぶ。透過光によるグレースケール画像は明暗が急峻に分離されるので、2値化するときに実際のエッジを忠実に再現することができる。
【0059】
図8は、第1撮像部で撮影した画像を、制御部306が画像処理して取得した3つの撮影画像データ316、317、318の例を示す概念図である。斜線で示した部分が、第1照明部による照明をウェハ120が遮った部分に対応する。破線で示したウェハ127は、目標位置に正しく配置された場合の位置を表しており、中心位置128はウェハ127の中心点を表している。なお、ウェハ120に形成された回路パターン124およびアライメントマーク125は図示を省略している。
【0060】
ここで、制御部306が撮影画像データ316、317、318に基づいてウェハ120の位置を検出する手法について説明する。制御部306はウェハ120の位置として、並進方向の位置と回転方向の位置をともに検出する。ここで、ウェハ120の並進方向の位置とは、中心位置128に対するウェハ120の中心点126のX座標およびY座標である。また回転方向の位置とは、中心位置128からのウェハ127の切欠の方向と、ウェハ120の中心点126からの切欠123の方向とがなす角度θである。
【0061】
制御部306は、3つの撮影画像データ316、317、318を分析して、ウェハ120のエッジ上に位置する3点の座標を検出する。まず、撮影画像データ316からウェハ120のエッジ上の1点の座標を算出する流れについて説明する。中心点811は、第1撮像ユニット341の撮影視野の中心を表している。中心点811の座標は、中心位置128との位置関係からあらかじめ把握されており、制御部306が備える記憶部に記憶されている。ウェハ120が目標位置に正しく配置された場合、ウェハ120のエッジが中心点811に位置することになる。
【0062】
制御部306は、撮影画像データ316に対して、中心位置128と中心点811とを結んだ直線812とウェハ120のエッジとの交点813の座標を算出する。具体的には、直線812上の、黒い領域と白い領域の境界点を検出することで、交点813の位置を特定する。そして、中心点811の座標に対して、中心点811と交点813の相対座標を加えることで、交点813の座標を算出する。制御部306はこのようにして、ウェハ120のエッジ上の1点に対応する座標を取得する。
【0063】
なおここでは、中心位置128と中心点811とを結んだ直線812とウェハ120のエッジとの交点813を検出したが、これに限らない。例えば中心点811からY軸に平行な直線に沿って黒い領域と白い領域の境界点を検出するなど、黒い領域と白い領域の境界点の座標を求められる手法であれば他の手法を用いてもかまわない。
【0064】
撮影画像データ318についても撮影画像データ316と同様にして、中心位置128と中心点831とを結んだ直線832と、ウェハ120のエッジとの交点である交点833の座標を取得する。撮影画像データ317については、ウェハ120の切欠123を含んでおり、黒い領域と白い領域の境界点でありかつ切欠123上以外の点の座標を算出するので、撮影画像データ316とは異なる処理を適用する。
【0065】
撮影画像データ317において、中心点821は、第1撮像ユニット342の撮影視野の中心を表している。制御部306は、中心点821から+X方向に向かって、黒い領域と白い領域の境界点を連続的に検出していき、その境界点が切欠123上の点であるか否かを判断する。ここで、切欠123上の連続する境界点に比べて、切欠123以外のエッジ上の連続する境界点はY座標の差が小さいという特性の差が表れるので、制御部306はその特性の差を検出することで、切欠123上の点であるか否かを判断する。
【0066】
制御部306は、中心点821から+X方向に向かって検出した境界点と1つ前に検出した境界点とのY座標の差分を確認していき、差分が小さい特性を示す区間の境界点の座標を取得する。そして、取得した座標と中心点821の相対座標を、中心点821の座標に加えることで、ウェハ120のエッジ上の1点に対応する座標を取得する。
【0067】
以上の処理によって、ウェハ120のエッジ上の3点に対応する3つ座標を取得する。制御部306は、取得した3点の座標に対して公知の計算手法を適用してこの3点を通る円の中心座標を算出することで、円形状であるウェハ120の中心点126の座標を取得する。
【0068】
続いて、ウェハ120の回転方向の位置を検出する手法について説明する。ウェハ120の切欠123は、ウェハ120の中心線に対して対称な二等辺三角形の形状であり、ウェハ120が目標位置に正しく載置された場合に、その中心線がY軸と平行になる位置に設けられている。従って、位置検出部300に搬入されたウェハ120の回転方向の位置は、切欠123の中心線のY軸に対する傾きに相当することになる。
【0069】
制御部306は、撮影画像データ317に対して、まず切欠123に内接する内接円823を仮想的に形成する。次に、切欠123と内接円823との2つの法線について、その交点824の座標を算出する。そして、中心点821に対する交点824の相対座標を中心点821の座標に加えることで交点824の座標を取得する。この交点824の座標とウェハ120の中心点126を結ぶ直線825が、切欠123の中心線となる。制御部306は、中心位置128と中心点821とを結んだ直線822と直線825がなす角度θをウェハ120の回転方向の位置として算出する。
【0070】
第1照明部および第1撮像部により透過光計測を実行して、ウェハ120の位置を検出する流れは以上のとおりである。ここで、検出対象が単層ウェハの場合は、透過光計測によってウェハ120の位置を検出することができる。しかしながら、検出対象が積層ウェハであり、特に上段のウェハが下段のウェハよりも外形が小さい場合、透過光計測では上段のウェハのエッジを観察することができない。本アライナ140は、検出対象が積層ウェハの場合、最上段のウェハに形成されたアライメントマーク125を基準として位置合わせすることになるが、透過光計測では、最上段のウェハの位置を正しく検出できないという課題がある。
【0071】
それに対して、第2照明部と第1撮像部による検出制御によれば、最上段のウェハのエッジを直接観察することができ、最上段のウェハの位置を検出することができる。本実施形態では、第2照明部と第1撮像部による検出制御として、落射暗視野光学系を採用した例を挙げて説明する。図9は第2照明ユニット321により照明されたウェハ120のエッジを第1撮像ユニット341で撮像している位置検出部300の構成を概略的に示す部分断面図である。
【0072】
ここでは、検出対象ウェハとして、下部ウェハ122に上部ウェハ121が積層された積層ウェハ901が配置された場合を図示している。上部ウェハ121は、下部ウェハ122と積層された後に、接合面の反対面側が研磨されており、下部ウェハ122よりも薄くなっている。断面の位置は図6と同様に図5のA−Aの位置に対応する。
【0073】
第2照明ユニット321にはリング状の開口部を備えるリング状絞り325が設置されており、リング状絞り325を通過したリング状の照明光がハーフミラー326に到達する。そしてリング状の照明光はハーフミラー326によって反射され、ウェハ載置面に対して斜めに、上から下に向かって上部ウェハ121を照明する。照明光327は照明光の一部を例示している。そして上部ウェハ121によって正反射された正反射光328が、円形の開口部を備える開口絞り345によって妨げられ、上部ウェハ121のエッジ部の散乱光329が第1撮像ユニット341に到達する。
【0074】
制御部306は、第1撮像ユニット341が出力したグレースケース画像を2値化することにより、上部ウェハ121および下部ウェハ122のエッジ部のみが白い領域、その他の領域が黒い領域を示す2値画像を取得する。散乱光によって上部ウェハ121および下部ウェハ122のエッジを認識するので、上部ウェハ121と下部ウェハ122の段差が小さい場合でも精度良くエッジを検出できる。図10は、制御部306が取得した撮影画像データ324を表す概念図である。
【0075】
撮影画像データ324に示すように、第2照明部と第1撮像部による検出制御によれば、上部ウェハ121と下部ウェハ122のエッジを認識することができる。このように、積層ウェハ901の表面側から積層ウェハ901の載置面を照明して、その散乱光を積層ウェハ901の表面側から受けることで、最上段のウェハのエッジを計測する計測手法を第1反射光計測と呼ぶ。
【0076】
第1反射光計測によれば、積層ウェハの最上段のエッジを計測することができる。積層ウェハの最上段のウェハのエッジは、研磨装置によって研磨される前はR形状であることが多く、研磨されることによって上部が平板となるD形状になる。上部が平板となるD形状になったエッジは、下の段のウェハとの間でコントラストが出やすい状態となるので、第1反射光計測を適用した場合に精度良くエッジが検出できる。
【0077】
即ち、最上段のウェハが研磨されてエッジの形状が、上部が平板となるD形状となった積層ウェハに対して第1反射光計測を適用することは、単に最上段のウェハのエッジを計測することができるという効果にとどまらず、精度良く最上段のウェハのエッジを検出できるという効果を得られる場合がある。
【0078】
第1反射光計測で取得する上部ウェハ121のエッジの3箇所に対応する3つの撮影画像データに基づいて、上部ウェハ121の位置を検出する手法については、透過光計測と同様の手法であるので、ここでは説明を省略する。なお、第1反射光計測では、対象が積層ウェハではなく単層ウェハの場合でも、ウェハ120の位置を検出することができる。しかしながら、検出対象のエッジが例えばR形状になっていると、エッジのコントラストの差が出にくく、第1反射光計測ではエッジを正確に把握するのが難しい場合がある。そこで、単層ウェハを検出対象とする場合は、第1反射光計測ではなく透過光計測を優先して適用することが望ましい。
【0079】
上述したように第1反射光計測では、検出対象が積層ウェハの場合に、最上段のウェハの位置を検出することができる。しかしながら例えば、最上段のウェハ120が研磨装置によって研磨されて下の段のウェハとの段差が小さくなっていると、エッジの散乱光のみを取得しにくくなり最上段のウェハ120のエッジを正確に把握できない場合がある。そのように最上段のウェハ120と下の段のウェハとの段差が小さい場合には、第3照明部と第2撮像部による検出制御が有効である。
【0080】
図11は、第3照明部により照明された積層ウェハ1101のエッジを第2撮像部により撮影している位置検出部300の構成を概略的に示す斜視図である。位置検出対象は、下部ウェハ1103の上に上部ウェハ1102が積層された積層ウェハ1101の、上部ウェハ1102の位置である。
【0081】
第3照明ユニット331、332、333、334は、積層ウェハ1101の面方向に対して斜めから積層ウェハ1101を照明する照明光として、スリット像1110、1120、1130、1140を形成しており、これを第2撮像ユニット351、352、353、354が撮影する。そして制御部306が撮影画像に基づいて、上部ウェハ1102のエッジ上の4点に対応する4つの絶対座標と、上部ウェハ1102の切欠の回転方向の位置を検出することで、上部ウェハ1102の位置を検出する。なおここでも、上部ウェハ1102が目標位置に正しく載置された場合の上部ウェハ1102の中心位置を座標の基準点とする。
【0082】
図12は、第2撮像ユニット351が出力した上部ウェハ1102のエッジを含む撮影画像データ1200の概念図である。撮影画像データ1200における上部ウェハ反射像1202は、スリット像1110のうち上部ウェハ1102が反射した部分の画像である。一方、下部ウェハ反射像1203は、スリット像1110のうち下部ウェハ1103が反射した部分の画像である。実際は、上部ウェハ反射像1202の部分、下部ウェハ反射像1203の部分、他の領域の順に明度の低い画像データであるが、ここでは説明用として、明度が高い部分ほど暗い画像として図示している。
【0083】
上部ウェハ1102と下部ウェハ1103には高低差があるので、上部ウェハ反射像1202と下部ウェハ反射像1203との間には段差部Eが存在することになる。この段差部Eの位置は上部ウェハ1102のエッジの位置に対応するので、制御部306は、段差部Eの位置を分析することで、上部ウェハ1102のエッジの位置を特定する。
【0084】
具体的に制御部306はまず、選択ウィンドウ1204内の明度の差を認識することで、上部ウェハ反射像1202と他の領域の境界線を特定する。そして、選択ウィンドウ1204を左に移動させながら境界線の特定していき、境界線の縦の位置が下にずれた部分を、上部ウェハ反射像1202と下部ウェハ反射像1203との境界である段差部Eの位置として認識する。
【0085】
制御部306は、照射するスリット光のサイズおよび第2撮像ユニット351の光学倍率等に基づいて撮影画像データ1200内の座標と絶対座標を対応づけるデータを予め記憶しており、そのデータを用いて認識した段差部E上の1点の絶対座標を取得する。ここでは、上部ウェハ反射像1202の上側の境界線に対応するY座標と段差部Eに対応するX座標から、その交点1205の絶対座標を取得する。
【0086】
制御部306は、同様の手法を第2撮像ユニット351、353、354が取得するスリット像1110、1130、1140について適用することで、上部ウェハ1102のエッジ上の4点に対応する4つの絶対座標を取得する。そして、取得した4点のうち3点の絶対座標に対して公知の計算手法を適用して、3点を通る円の中心座標を算出することで、円形状である上部ウェハ1102の中心点126の座標を取得する。この中心座標の算出処理を異なる3点に対して実行し、算出した複数の中心座標の平均値をとることで、制御部306は、上部ウェハ1102の中心点126の座標を取得する。
【0087】
次に上部ウェハ1102の切欠の回転方向の位置を検出する手法について説明する。位置検出部300は、ステージ304によって積層ウェハ1101を移動させながら、第2撮像ユニット352で切欠およびその周辺を観察することで、複数の境界点を検出する。図13は、制御部306が検出した複数の境界点を示す概念図である。ここでは、点Aから点Iまでの9点の境界点を検出した例を挙げている。
【0088】
上部ウェハ1102の切欠の大きさは既知なので、制御部306が、切欠の大きさに対して、その形状を特定するのに十分な間隔で境界点を検出することで、上部ウェハ1102の切欠を特定することができる。例えば図に示すような間隔で境界点を検出することで、上部ウェハ1102の切欠を特定することができる。制御部306は、切欠に対して内接円を仮想的に形成して、その法線の交点と、中心点126を結ぶ直線のY軸に対する角度を算出することで、上部ウェハ1102の回転方向の位置を検出する。
【0089】
このように、積層ウェハの載置面に対して斜めから上部ウェハのエッジの一部分を含むようにスリット光を照射して、その反射光を積層ウェハの表面側で受けることで上部ウェハのエッジを含む領域を撮影し、撮影画像に含まれる段差の位置を分析して上部ウェハのエッジを計測する計測手法を第2反射光計測と呼ぶ。位置検出部300は、第2反射光計測により、積層ウェハの最上段のウェハの位置を検出することができる。
【0090】
次に、本実施形態に係る位置検出部300による位置検出処理の流れについて説明する。上述したように、本実施形態に係る位置検出部300は、異なる複数の検出制御を実行できるように構成されている。そして、位置検出部300は、予め定められた条件によって、検出制御を切り替えて、検出対象のウェハ120の位置を検出する。図14は、位置検出部300によって実行される位置検出の制御の流れを示すフローチャートである。
【0091】
ステップS1401では、ロボットアーム116が、ウェハ120を位置検出部300に搬入する。ロボットアーム116は、3つの第1撮像ユニット341、342、343の撮影視野内にウェハ120のエッジが入るようにウェハ120を配置する。ロボットアーム116は、ウェハ120のエッジが第1撮像ユニット341、342、343の撮影視野内に入るための移動量を予め記憶しておき、この移動量に従ってウェハ120を搬送することで、ウェハ120のエッジを撮影視野内に収めることができる。なお、制御部306とロボットアーム116を連携させ、第1撮像部により取得する撮影画像を確認しながら、ウェハ120のエッジが撮影視野内に入るようにウェハ120を移動させるように制御しても良い。
【0092】
ステップS1402では、制御部306が、搬入されたウェハ120が単層ウェハであるか積層ウェハであるかを判断する。搬入されるウェハ120は、制御部110によって管理されており、制御部306は、制御部110が管理する情報を参照することで、搬入されたウェハが単層ウェハであるか積層ウェハであるかを判断することができる。なお、例えばウェハ120の厚みを計測する計測装置を別途備えておき、計測装置が計測したウェハ120の厚みから、単層ウェハであるか積層ウェハであるかを判断するように構成しても良い。
【0093】
ステップS1402で、制御部306によって、搬入されたウェハ120が単層ウェハであると判断された場合はステップS1403に進み、単層ウェハではなく積層ウェハであると判断された場合は、ステップS1404に進む。ステップS1403では、制御部306が、上述した透過光計測によってウェハ120の位置を検出する。
【0094】
ステップS1404では、制御部306が、積層ウェハの最上段のウェハの表面と、その一つ下のウェハの表面との間隔が、予め定められた閾値よりも大きいか小さいかを判断する。間隔が、第1反射光計測によってウェハのエッジを認識できない程小さい場合は、第1反射光計測ではなく、第2反射光計測で位置検出するのが望ましい。一方、間隔が、第1反射光計測によってウェハのエッジを認識できる大きさである場合は、第2反射光計測よりも短い時間で位置検出ができる第1反射光計測を実行する方が望ましい。
【0095】
そこで、ステップS1404において、最上段のウェハの表面と、その一つ下のウェハの表面との間隔が、第1反射光計測によってウェハのエッジを認識できる大きさを越えているか否かを制御部306が判断する。最上段のウェハの表面と、その一つ下のウェハの表面との間隔については、制御部110が管理しており、制御部306が制御部110と通信することで、間隔の情報を取得する。制御部110は、たとえば積層ウェハの研磨を行う研磨装置から、積層ウェハの最上段のウェハの表面と、その一つ下のウェハの表面との間隔を示す情報を取得して管理することができる。
【0096】
ステップS1404で制御部306により、最上段のウェハの表面と、その一つ下のウェハの表面との間隔が閾値以上と判断された場合はステップS1405に進み、閾値以下と判断された場合はステップS1406に進む。ステップS1405では、制御部306が、第1反射光計測によって、ウェハ120の位置を検出する。ステップS1406では、制御部306が、第2反射光計測によって、ウェハ120の位置検出する。
【0097】
ステップS1407では、計測されたウェハ120の位置に基づいて、ウェハ120の位置が目標位置に一致するようにステージ304がウェハ120の位置を調整する。こうして位置が調整されたウェハ120は、予備アライナ130のウェハスライダによってホルダテーブル362上に搬送され、ウェハホルダ190上に載置される。
【0098】
上記フローチャートでは、ステップS1404において、積層ウェハの最上段のウェハの表面と、その一つ下のウェハの表面との間隔が閾値以上であるか否かを判断していたが、別の判断をするように制御してもよい。例えば、積層ウェハの最上段のウェハとその下のウェハが形成する段差部分に樹脂などの充填剤が付着しているか否かを判断する。
【0099】
ウェハ上にバンプを形成してウェハを積層する場合にウェハとウェハの間に樹脂を封入する場合がある。この樹脂が最上段のウェハの外周に付着していると、最上段のウェハのエッジとその下の段のウェハとの間に段差が生じず、樹脂とその下の段のウェハとの間に段差が生じることになる。その結果、第2反射光計測を実行した場合に、最上段のウェハのエッジが正しく検出できなくなってしまう。
【0100】
それに対して第1反射光計測を実行した場合、最上段のウェハのエッジと、エッジに付着する樹脂の境界を認識することができるので、最上段のウェハのエッジに樹脂が付着している場合は、第2反射光計測ではなく、第1反射光計測を実行することが望ましい。そこで、最上段のウェハのエッジに樹脂が付着しているか否かを判断して、樹脂が付着していると判断した場合はステップS1405に進んで第1反射光計測を実行して、樹脂が付着していないと判断した場合はステップS1406に進んで第2反射光計測を実行するように制御することができる。
【0101】
また上記フローチャートでは、ステップS1402において積層ウェハと判断された場合に、ステップS1404に進む場合を例に挙げて説明したが、これに限らない。ステップS1402によって積層ウェハと判断されたら、次に、積層ウェハであっても透過光計測を適用できるか否かを判断して、適用できる場合はステップS1403に進み、適用できない場合はステップS1404に進むように制御してもよい。
【0102】
検出対象が積層ウェハであっても透過光計測を適用できるか否かについては、2つの条件に適合するか否かで判断することができる。1つ目の条件は、検出対象の積層ウェハの積層精度に関する履歴に対して、予め定められた許容ずれ量を超えている可能性があるか否かである。積層ウェハは、積層する機器の精度等によって、位置がずれた状態で積層される場合がある。その場合、積層されたウェハ同士で、位置が一致しないことになる。
【0103】
その結果、最上段のウェハ以外のウェハの位置に基づいてウェハを位置合わせしても、最上段のウェハに形成されたアライメントマーク125の位置が合わなくなる可能性がある。しかしながらこの場合に、そのずれ量が、本アライナ140の顕微鏡の観察視野内に収まる程度に小さいずれ量の場合は、本アライナ140に搬入したときに顕微鏡の観察視野内にアライメントマーク125が収まることになる。そこで、制御部306により、検出対象の積層ウェハの積層精度に関する履歴に対して、予め定められた許容ずれを超えている可能性があるか否かを判断する。なお、ウェハ120の積層精度に関する履歴情報は、制御部110によって管理されており、制御部306は制御部110が管理する履歴情報を参照することで判断することができる。
【0104】
2つ目の条件は、積層されたウェハのうちいずれかのウェハの位置を検出できるか否かである。上述したように1つ目の条件を満たしていれば、積層されたウェハのうちいずれかの位置を検出して位置合わせをすれば、本アライナ140に搬入したときに顕微鏡の観察視野内にアライメントマーク125を収めることができる。積層されたウェハのうちいずれかのウェハの位置が検出できるか否かについては、例えば、次に示すように判断することができる。
【0105】
図15は積層ウェハを対象として透過光計測によってウェハの位置検出を実行する場合の例を示す図である。2つの撮影画像データ1510、1520は、第1照明ユニット312によって照明された積層ウェハの切欠を含むエッジの一部を第1撮像ユニット342によって撮影した画像を、制御部306が2値化処理して取得した撮影画像データを表している。図では、説明のために上部ウェハ1501と下部ウェハ1502とを区別して図示しているが、実際は、斜線部分は全て黒い領域である。
【0106】
切欠の形状および大きさは既知であり、制御部306は切欠の形状および大きさに対応する図形データを予め記憶部に記憶しておく。そして制御部306は、撮影画像データ1510、1520に対して、記憶部に記憶した切欠の図形データでパターンマッチングをすることで、撮影画像データ1510のように1つのウェハの切欠に対して内接する内接円1511を形成できるか否かを判断する。撮影画像データ1510の場合は、1つのウェハの切欠に対して内接する内接円を形成することができるので、積層ウェハに積層された少なくともいずれかのウェハの位置を正しく検出できると判断することができる。
【0107】
一方、撮影画像データ1520の場合は、記憶部に記憶した切欠の図形データに対して、小さい切欠形状しか認識できないので、切欠の部分で2つのウェハが重なっていると判断することができる。この切欠に対して内接円1521を形成したとしても、2つのウェハの切欠に内接する内接円が形成されることになり、上部ウェハ1501および下部ウェハ1502のいずれの位置も正しく検出することができない。そこで制御部306は、撮影画像データ1520の場合には、積層されたウェハのうちいずれのウェハについても、位置を正しく検出することができないと判断する。
【0108】
検出対象が積層ウェハの場合でも、上述した2つの条件を満たしている場合に、透過光計測を適用することができる。そこで、制御部306によって、ステップS1402で積層ウェハであると判断された後に、2つの条件によって透過光計測を適用できるか否かを判断して、適用できる場合はステップS1403に進み、適用できない場合はステップS1404に進むという制御を実現することができる。
【0109】
図16は、上述したフローチャートとは異なる、位置検出部300によって実行される位置検出の制御の流れを示すフローチャートである。ステップS1601では、ロボットアーム116が、ウェハ120を位置検出部300に搬入する。ロボットアーム116は、第1撮像ユニット341、342、343の撮影視野内に、ウェハ120のエッジが入る位置にウェハ120を配置する。ステップS1602では、透過光計測によってウェハ120の位置を検出する。
【0110】
ステップS1603では、制御部306がウェハ120の位置検出結果がエラーであるか否かを判断する。制御部306は、ウェハ120の位置が検出できない場合、予め設定してある許容範囲を超える場合に、検出結果がエラーであると判断する。
【0111】
ステップS1603で制御部306によって検出結果がエラーと判断された場合はステップS1604に、エラーと判断されなかった場合はステップS1609に進む。ステップS1604では、制御部306が、第1反射光計測によってウェハ120の位置を検出する。そしてステップS1605では、制御部306がウェハ120の位置検出結果がエラーであるか否かを判断する。
【0112】
ステップS1605で制御部306によって検出結果がエラーと判断された場合にはステップS1606に、エラーと判断されなかった場合はステップS1609に進む。ステップS1606では、制御部306が、第2反射光計測によってウェハ120の位置を検出する。そしてステップS1607では、ウェハ120の位置検出結果がエラーであるか否かを判断する。
【0113】
ステップS1607で制御部306によって検出結果がエラーと判断された場合には、ステップS1608に進み、エラーと判断されなかった場合にはステップS1609に進む。ステップS1608では、透過光計測、第1反射光計測および第2反射光計測全てでエラーが検出されたことになるので、制御部306の制御によって、ロボットアーム116がウェハ120を位置検出部300から搬出する。搬出されたウェハ120は、ロボットアーム116によってFOUPに戻される。
【0114】
ステップS1609では、計測されたウェハ120の位置に基づいて、ウェハ120の位置が目標位置に一致するように、ステージ304によって位置を調整する。こうして位置が調整されたウェハ120は、予備アライナ130のウェハスライダによってホルダテーブル362上に搬送され、ウェハホルダ190上に載置される。
【0115】
上記フローチャートでは、透過光計測、第1反射光計測、第2反射光計測の順番で位置検出を行う例を挙げて説明しているが、これに限らず、順番を入れ替えて実行してもかまわない。例えば、ステップS1602で第1反射光計測による位置検出を実行するように制御してもよい。
【0116】
搬入されたウェハが単層ウェハである場合は、上述したように第1反射光計測よりも透過光計測の方が精度良くエッジを特定することができる。しかしながら、透過光計測よりも精度の低い第1反射光計測で単層ウェハの位置検出を実行した場合であっても、アライメントマークが本アライナ140の顕微鏡の観察視野内に収まる精度で位置検出できるのであれば、第1反射光計測による検出結果を採用することができる。そこでステップS1602で第1反射光計測による位置検出を実行して、ステップS1603で、検出結果が、アライメントマークが本アライナ140の顕微鏡の観察視野内にアライメントマークが収まる精度であるかを判断するように制御する。また上記フローチャートに対して更に、物理的な位置決めピンにウェハの切欠を接触させて、ウェハの位置を検出する計測手法を追加しても良い。
【0117】
図17は、上述したフローチャートとは異なる、位置検出部300によって実行される位置検出の制御の流れを示すフローチャートである。ここでは、上部ウェハ121と下部ウェハ122を重ね合わせて1組とする処理を繰り返して、複数組形成するロット処理における位置検出部300の処理の流れについて説明する。なおここでは、同じ処理を実行しようとする一群のウェハを同一ロットのウェハとする。
【0118】
ステップS1701では、ロボットアーム116が、ウェハ120を位置検出部300に搬入する。ステップS1702では、制御部110が、同一ロットの最初のウェハ120であるか否かを判断する。制御部110により同一ロットの最初のウェハ120と判断された場合はステップS1703に進み、同一ロットの最初のウェハ120でないと判断された場合はステップS1708に進む。
【0119】
ステップS1703では、位置検出部300が、透過光計測、第1反射光計測および第2反射光計測の3つの計測制御をそれぞれ実行して、ウェハ120の位置を検出する。3つの計測制御の実行順は他の順番としてもかまわない。位置検出部300は、3つの計測制御を実行することにより3つの検出結果を取得する。3つの検出結果は記憶部111に記憶される。
【0120】
ステップS1704では、位置検出部300が、取得した3つの位置検出結果の少なくとも1つに従って、ウェハ120の位置を調整する。調整は、例えば3つの位置検出結果のうちの1つの位置検出結果に従って実行しても良いし、3つの位置検出結果の平均をとって実行しても良い。位置検出部300は、位置の調整後、ウェハ120をウェハホルダ190に載置してワークを形成する。
【0121】
ステップS1705では、ロボットアーム176が、位置検出部300によって形成されたワークを本アライナ140に搬送する。本アライナ140は、顕微鏡144、145によってウェハ120のアライメントマークを観察して、ウェハ120の位置を精度良く検出して、ウェハ120の位置合わせを実行する。このとき制御部110は、高精度に検出したウェハ120の位置の検出結果を記憶部111に記憶する。
【0122】
ステップS1706では、制御部110が、記憶部111に記憶された本アライナ140による検出結果と、位置検出部300による3つの検出結果とをそれぞれ比較して、最も差が小さい検出結果を判断する。そして、最も差が小さい検出結果を計測した計測制御を、選択計測制御として判断する。その後、ステップS1709に進む。
【0123】
続いて、ステップS1702で同一ロットの最初のウェハではないと判断された場合について説明する。ステップS1707では、位置検出部300は、ステップS1706で選択された計測制御によって、ウェハ120の位置を検出する。同一ロットのウェハ120は、上述したように同じ処理を実行しようとする一群のウェハである。
【0124】
ここで同じ処理とは、例えば、重ね合わせ対象ウェハの積層数が同じ場合の重ね合わせ処理とすることができる。即ち、上部ウェハを単層ウェハ、下部ウェハを3つのウェハを積層した積層ウェハとして重ね合わせる処理の場合、同一ロットの上部ウェハはすべて単層ウェハであり、下部ウェハはすべて3つのウェハを積層した積層ウェハである。このように同一ロットのウェハ120は条件が同一であるので、同一ロットの最初のウェハ120に対して最適な検出結果を出力した計測制御が、同一ロットの他のウェハ120に対しても最適であることが期待できる。
【0125】
ステップS1708では、ステップS1707で取得した検出結果に従って、ウェハ120の位置を調整する。ステップS1709では、ロボットアーム176が、位置検出部300によって形成されたワークを本アライナ140に搬送する。ステップS1710では、制御部110が、同一ロットの処理が終了したか否かを判断する。そして、同一ロットの処理が終了していないと判断した場合はステップS1701に戻り、同一ロットの処理が終了したと判断した場合は処理を終了する。同一ロット内のウェハ120は上述したように積層条件等が同一であるので、上述したフローに従って処理することで、複数の計測制御のうち最適な計測制御で、各ウェハ120の位置を検出することができる。
【0126】
なお図17に示すフローチャートでは、同一ロットのウェハ120として、積層数が同じものを例示したが、それに限らない。例えば、同じ加熱加圧装置240で加熱加圧されたウェハ、同じFOUPから搬出されたウェハおよび同じ露光装置で露光されたウェハ等を条件としてもよい。
【0127】
上記実施形態では、第1反射光計測として、暗視野光学系を採用した場合を例に挙げて説明したが、明視野光学系を採用してもよい。明視野光学系を採用した場合制御部110は、上部ウェハ121のエッジ部の幾何学的影によってエッジ部が暗い画像データを取得することで、上部ウェハ121のエッジを検出する。明視野光学系を採用することによって、暗視野光学系を採用するのに比べて第2照明部および第2撮像部の構成を簡略化することができる。
【0128】
また上記実施形態では、位置検出部300が、第1照明部、第2照明部、第3照明部、第1撮像部および第2撮像部を備える一つの装置であり、透過光計測、第1反射光計測および第2反射光計測をすべて実行できるように構成されている例を挙げて説明したが、これに限らない。透過光計測、第1反射光計測、第2反射光計測をそれぞれ実行する専用の装置を別々に備えて、位置検出部300が、使用する装置を切り替えるように構成しても良い。
【0129】
また上記実施形態では、ウェハ120をウェハホルダ190に搭載して本アライナ140に搬入する例を挙げて説明したが、これに限らず、ウェハホルダ190を用いずに、ウェハ120を直接本アライナ140に搬入するように構成しても良い。その場合、位置検出部300によって、位置が調整された後、ウェハ120はロボットアーム176によって、本アライナ140に搬入される。
【0130】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0131】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0132】
100 重ね合わせ装置、101 筐体、102 大気環境部、110 制御部、111 記憶部、112 EFEM、113、114、115 ロードポート、116 ロボットアーム、120 ウェハ、121 上部ウェハ、122 下部ウェハ、123 切欠、124 回路パターン、125 アライメントマーク、126 中心点、127 ウェハ、128 中心位置、130 予備アライナ、140 本アライナ、141 固定ステージ、142 移動ステージ、143 制御部、144、145 顕微鏡、146、147 干渉計、148 シャッタ、149 断熱壁、150 ホルダラック、160 分離機構、171 第1搬送ユニット、172 第2搬送ユニット、173 受け渡しポート、175、176 ロボットアーム、190 ウェハホルダ、191 上ウェハホルダ、192 下ウェハホルダ、202 真空環境部、210 断熱壁、220 ロードロックチャンバ、222、224 シャッタ、230 ロボットアーム、240 加熱加圧装置、300 位置検出部、302 台座部、304 ステージ、306 制御部、311、312、313 第1照明ユニット、316、317、318 撮影画像データ、321、322、323 第2照明ユニット、324 撮影画像データ、325 リング状絞り、326 ハーフミラー、327 照明光、328 正反射光、329 散乱光、331、332、333、334 第3照明ユニット、335、336、337、338 スリット像、341、342、343 第1撮像ユニット、345 開口絞り、351、352、353、354 第2撮像ユニット、360 搭載部、362 ホルダテーブル、364 観察器、811 中心点、812 直線、813 交点、821 中心点、823 内接円、824 交点、825 直線、831 中心点、832 直線、833 交点、901 積層ウェハ、911 ホルダ本体、912 挿通孔、918 マグネットユニット、922 吸着ユニット、1101 積層ウェハ、1102 上部ウェハ、1103 下部ウェハ、1110、1120、1130、1140 スリット像、1200 撮影画像データ、1202 上部ウェハ反射像、1203 下部ウェハ反射像、1204 選択ウィンドウ、1205 交点、1501 上部ウェハ、1502 下部ウェハ、1510 撮影画像データ、1511 内接円、1520 撮影画像データ、1521 内接円

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステージと、
前記ステージ上に配置されたウェハの位置を検出する検出部と、
予め定められた条件により、前記ウェハの前記位置を検出する異なる複数の検出制御を切り替えて前記検出部を制御する制御部と
を備える位置検出装置。
【請求項2】
前記検出部は、前記ステージ側である前記ウェハの裏面側から前記ウェハのエッジを照明する第1照明部と、前記裏面側とは反対の表面側から前記ウェハの前記エッジを照明する第2照明部と、前記エッジを含む領域を観察視野とする第1撮像部を有し、
前記複数の検出制御は、前記第1照明部によって照明された前記エッジを前記第1撮像部により撮像して、前記ウェハの前記位置を検出する第1検出制御と、前記第2照明部によって照明された前記エッジを前記第1撮像部により撮像して、前記ウェハの前記位置を検出する第2検出制御とを含む請求項1に記載の位置検出装置。
【請求項3】
前記第1照明部と前記第2照明部はそれぞれの照明光の方向が前記ウェハに対して直交するように配置され、
前記検出部は、前記表面側から前記第2照明部とは異なる角度で前記エッジを照明する第3照明部と、前記エッジを含む領域を観察視野とし、前記第3照明部の照明により前記エッジを撮像する第2撮像部を有し、
前記複数の検出制御は、前記第3照明部によって照明された前記エッジを前記第2撮像部により撮像して、前記ウェハの前記位置を検出する第3検出制御を含む請求項2に記載の位置検出装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記ウェハが1枚からなる単層ウェハであるときは前記第1検出制御により前記ウェハの前記位置を検出し、前記ウェハが複数のウェハが積層された積層ウェハであるときは前記第1検出制御以外の検出制御により前記ウェハの前記位置を検出する請求項2または3に記載の位置検出装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記ウェハが1枚からなる単層ウェハであるときは前記第1検出制御により前記ウェハの前記位置を検出し、前記ウェハが複数のウェハが積層された積層ウェハであって前記積層ウェハの最上段のウェハの表面と前記最上段のウェハの下に配置されたウェハの表面との間隔が閾値よりも大きいときは前記第2検出制御により前記ウェハの前記位置を検出し、前記ウェハが前記積層ウェハであって前記間隔が閾値よりも小さいときは前記第3検出制御により前記ウェハの前記位置を検出する請求項3に記載の位置検出装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記ウェハが1枚からなる単層ウェハであるときは前記第1検出制御により前記ウェハの前記位置を検出し、前記ウェハが複数のウェハが積層された積層ウェハであって、最上段のウェハとその下のウェハが形成する段差部分に充填剤が付着しているときは前記第2検出制御により前記ウェハの前記位置を検出し、前記ウェハが前記積層ウェハであって最上段のウェハとその下のウェハが形成する段差部分に充填剤が付着していないときは前記第3検出制御により前記ウェハの前記位置を検出する請求項3に記載の位置検出装置。
【請求項7】
前記制御部は、一の検出制御による検出結果がエラーであるときに、他の検出制御に切り替えて再度前記ウェハの前記位置を検出する請求項1から3のいずれか1項に記載の位置検出装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記ウェハの積層精度に関する履歴に対して、予め定められた許容ずれ量を超えている可能性がないと判断したときは前記第1検出制御により前記ウェハの前記位置を検出し、前記許容ずれ量を超えている可能性があると判断したときは前記第2検出制御により前記ウェハの前記位置を検出する請求項2に記載の位置検出装置。
【請求項9】
前記制御部は、一のウェハに対して、前記複数の検出制御を実行するように前記検出部を制御し、前記複数の検出制御を実行することにより検出した複数の検出結果に基づいて、前記複数の検出制御から一の検出制御を選択し、前記一のウェハと同一ロットの他のウェハに対して、選択した前記一の検出制御を実行するように前記検出部を制御する請求項1から3のいずれか1項に記載の位置検出装置。
【請求項10】
ステージと、
前記ステージ上に配置されたウェハの位置を検出する検出部と、
予め定められた条件により、前記ウェハの前記位置を検出する異なる複数の検出制御を切り替えて前記検出部を制御する制御部と、
前記制御部による制御によって、前記検出部が検出した前記ウェハの前記位置に基づいて、前記ウェハを位置合わせする位置合わせ部と、
前記位置合わせ部によって位置合わせされた2つのウェハを重ね合わせる重ね合わせ部と
を備える重ね合わせ装置。
【請求項11】
ステージ上に配置されたウェハの位置を検出する検出部を備える位置検出装置を制御する位置検出方法であって、
予め定められた条件により、前記ウェハの前記位置を検出する異なる複数の検出制御から1つの検出制御を選択する選択ステップと、
前記選択ステップで選択された検出制御により、前記ウェハの前記位置を検出する検出ステップと
を有する位置検出方法。
【請求項12】
複数のウェハを重ね合わせて製造されるデバイスの製造方法であって、
前記複数のウェハを重ね合わせる工程は、
予め定められた条件により、前記複数のウェハの1つである第1ウェハの位置を検出する異なる複数の検出制御から、少なくとも1つの検出制御を選択して、その選択した検出制御によって、前記第1ウェハの前記位置を検出する第1検出ステップと、
予め定められた条件により、前記複数のウェハの1つである第2ウェハの位置を検出する異なる複数の検出制御から、少なくとも1つの検出制御を選択して、その選択した検出制御によって、前記第2ウェハの前記位置を検出する第2検出ステップと、
対向して配置されたステージに、前記第1ウェハと前記第2ウェハをそれぞれ載置して、前記第1検出ステップで検出した前記第1ウェハの前記位置と、前記第2検出ステップで検出した前記第2ウェハの前記位置に基づいて、前記第1ウェハと前記第2ウェハを位置合わせして重ね合わせる重ね合わせステップと
を含むデバイスの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−216789(P2011−216789A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−85560(P2010−85560)
【出願日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】