説明

低圧プラズマ工程による適応性ナノコーティングの被覆方法

本発明は、低圧プラズマ工程によって被覆された適応性ナノコーティングに関する。本発明はまた、そのような適応性ナノコーティングを、三次元ナノ構造体、特に導電性および非導電性要素を含む三次元構造体の上に形成する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元構造体上に適応してナノコーティングを被覆するための低圧プラズマ法に関する。本発明は、また、そのような適応性コーティングの、異なる材料から形成される三次元ナノ構造体、特に導電性および非導電性要素を含有する三次元構造体上への被覆に関する。
【背景技術】
【0002】
ほとんどの電子デバイスは、本質的に導電性材料および電気絶縁性材料の三次元構造体である。そのような電子デバイスには、機器だけでなく、アセンブリ、実装前および実装後のプリント基板(PCB)並びに個々の部品、例えば集積回路(IC)およびトランジスタも包含する。そのような構造体の導電性部分は通常、金属、例えば銅、アルミニウム、銀または金、導電性ポリマー或いは半導体材料から成る。これらの構造体の非導電性部分または絶縁体は通常、ポリマー、例えばガラス繊維補強された、またはされていないポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、シリコーンまたはポリアミド、あるいは紙系材料から成る。上記構造体またはアセンブリ中の絶縁体には、ガラスなどのセラミック材料を含んでいてもよい。電子デバイスの全寿命期間中には、様々な形の汚染にさらされる。上記材料のいくつかの導電率は、大気腐食によって低下するかもしれず、汚染により導電性路がトラック間または導体間に形成されることになり、デンドライトがこのメカニズムの一例である。
【0003】
電子デバイスは、ますます不良環境および汚染環境において使用されており、汚染から保護するために適応性コーティングの使用が増大している。そのような適応性コーティングは、通常は非導電性である。
【0004】
適応性コーティングは伝統的に、実装後の回路基板および実装後のユニットに被覆されてきたが、ハンダ付け前に銅パッドが酸化するのを防止するために、およびアセンブリ工程後の汚染からのある一定レベルの保護を提供するために、実装前の回路基板上にも使用することができる。
【0005】
適応性コーティングに最低限要求されることは、上記デバイスと環境との間に有効なバリアを提供すべきであり、電気的に絶縁することである。上記適応性コーティングは、例えば上記構造体または絶縁体の非導電性部分を横切る導電性の増大につながるかもしれない物理的汚染を防止するべきであり、そのような導電性の増大はやがて回路の短絡につながる。そのような汚染の例には、ある条件下で表面を横切って成長するデンドライトおよび部品の導線間に空気を通過して成長する「錫ウィスカー」がある。上記コーティングは、上記金属空気中で酸化されず、他の環境ガス中で腐食されないことも保証しなければならない。上記コーティングは、電子デバイスの全寿命期間中に生じるそのような問題を防止すべきである。環境は更に厳しくなるので、適応性コーティングに対する要求はますます大きくなる。上記コーティングは、高温、高湿度、およびダスト、塩、酸、溶剤などの高汚染に耐えなければならなくなる。
【0006】
従来の適応性コーティングは、シリコーン(特許文献1)、エポキシ(特許文献2)、アクリル(特許文献3)またはウレタン(特許文献4)をベースとするポリマーであり、通常、厚さ数十〜数百μmである。それらは、普通、上記デバイスをスプレーまたはディッピングすることによって被覆する。上記コーティングを被覆する前に、上記デバイスをまず乾燥し、徹底的にきれいにすることが重要である。上記コーティングの被覆後に通常、別の乾燥工程を有する。従って、多くのエネルギーおよび化学物質を必要とするいくつかの異なる工程を有する製造方法であり、環境にも大きなダメージを与える。従来の伝統的なコーティングを複雑な三次元構造体上に被覆することは、特にこれらの構造体のスケールがますます小さくなるので、容易ではなく、不可能であるかもしれない。従来のコーティングの多くは、脆弱であり、フレキシブル構造体には不向きである。デバイスに繰り返し加熱サイクルを行う際に、制限された接着力および膨張特性の違いによって、多くの従来のコーティングが上記デバイスから離れるという上記コーティングに関する更なる問題が生じる。上記のような多くの従来のコーティングに関して、上記コーティングを貫通してハンダ付けを行うことはできないため、修理またはアップグレードを実施する前に、上記コーティングを除去することが必要となる。
【0007】
上記のような制限に対して一部解決方法を提供するために、パリレン(Parylene)コーティングが開発された(特許文献5)。上記コーティングは真空下で被覆されるため、複雑な三次元構造体上に被覆するのに非常に好適である。開始するために昇華させなければならない固形前駆体を用い、次いで気相中で有用なモノマーを生成する前に高温熱分解を実施しなければならないため、製造方法が複雑である。パリレンコーティングは従来の適応性コーティングより薄く、通常、1μm未満〜10μmの厚さである。アセンブリまたはサブアセンブリなどの三次元構造を有するすべての部品への適当な接着力のため、および上記接着力を製品の寿命期間中に維持することを保証するために、異なる前処理が必要である。ほとんどの従来の適応性コーティングと同様に、パリレンコーティングは、修理を実施する前に、除去しなければならない。そのようなパリレンコーティングを除去することは容易ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭60‐47024号公報
【特許文献2】欧州特許第0187595号明細書
【特許文献3】欧州特許第0492828号明細書
【特許文献4】カナダ特許第1144293号明細書
【特許文献5】米国特許第6389690号明細書
【発明の概要】
【0009】
本発明では、チャンバー内で生成される有機モノマーのプラズマと接触する表面上に薄いポリマー膜を被覆させる方法であるプラズマ重合を用いる。プラズマパラメータとも呼ばれる、電力、圧力、温度、供給量などの上記被覆条件に依存して、デバイスの被覆の要求に上記膜の特性を適合させることができる。
【0010】
本発明では、ナノ適応性コーティングを低圧プラズマ法によって被覆する。通常、層の厚さは、5〜500nm、好ましくは25〜250nmであり、基本的には現存する適応性コーティング技術の如何なるものより薄いものである。従って、上記コーティングは、非常に微小なコーナーにおいてさえ均一なコーティングを提供し、非常に複雑かつ微小な構造体に非常に好適である。
【0011】
上記プラズマ重合工程は、上記工程を制御する上記パラメータが電力、圧力、温度、モノマーの種類、供給量、プラズマ発生器の周波数および工程時間を含む、真空プラズマチャンバー内で行われる。上記プラズマ発生器の周波数は、kHz、MHzおよびGHzの範囲であってもよく、パルス化されていても連続的であってもよい。電極の数および位置も種々に変化させてもよい。
【0012】
上記プラズマ重合工程を行う圧力は、通常、10〜1000ミリトールである。上記工程は、所望のコーティング厚さが得られるまで行う。
【0013】
用いられる電力は、使用するモノマーに高い依存性を有するが、通常、5〜5000Wの範囲で変化してもよく、連続印加またはパルス印加してもよい。パルス電力モードでは、パルス繰り返し周波数は、通常、1Hz〜100kHzであり、マークスペース比は、通常、0.05〜50%である。
【0014】
電力を印加する方法は、通常、使用するモノマーに高い依存性を有する。分子がより大きいおよび/またはより不安定であると、高電力によって容易に分解するが、これは品質の悪いコーティングである。そのような場合、より低い電力操作で、および/または周波数10〜100kHz、マークスペース比0.05〜1%を有するパルス電力を印加することによって、高品質コーティングを最も良好に得ることができる。
【0015】
プラズマ形成ガスからの重合性粒子を表面に被覆させてコーティングを形成する。出発材料用に用いられるモノマーをガス状形態で、グロー放電によって開始させたプラズマ中に導入する。グロー放電により形成された励起電子が、モノマー分子をイオン化する。上記モノマー分子は分解して自由電子、イオン、励起分子およびラジカルを形成する。上記ラジカルは、基板上で、吸収、縮合および重合を行う。上記電子およびイオンは、既に基板表面上に被覆されている上記材料を用いて、架橋、または化学結合を形成する。
【0016】
フリーラジカルの形成は、好ましくは、プラズマ重合工程において使用されるモノマーガスを用いることによって達成される。
【0017】
本発明に用いられる上記前駆体は好ましくはガス状であるので、容易に上記プラズマチャンバー内に導入することができる。更に、大気圧または減圧下で液状または固形の前駆体を用いてもよく、通常、200℃を超えない温度での簡単な加熱によって蒸発させる。このことは、それ自体、上記パリレンコーティング法と比較して、かなり簡素化されていることを表している。
【0018】
ある一定の範囲の異なる前駆体を、前述の電子デバイス上の上記適応性ナノコーティングに使用することができる。
【0019】
これらの前駆体は、好ましくは、ハロゲンおよび/またはリンおよび/または窒素および/またはシリコーン、例えば
前駆体CF、C、C、C、C、C12、C14および/または他の飽和または不飽和ハイドロフルオロカーボン(C)の内の1つ以上から得られるモノマー、
アクリレート(例えばC1317)、メタクリレート(例えば、C1417)またはそれらの混合物から得られるモノマー、
トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリプロピルホスフェートまたは他のリン酸誘導体の内の1つ以上から得られるモノマー、
前駆体エチルアミン、トリエチルアミン、アリルアミンまたはアクリロニトリルの内の1つ以上から得られるモノマー、或いは
シロキサン、シランまたはそれらの混合物の内の1つ以上から得られるモノマー
を含有するべきである。
【0020】
上記プラズマ重合工程は、このましくは、実際には、同様の電極配置を用い、かつできるだけ同様の工程パラメータの範囲内で、1つ以上のプラズマ工程によって進む。
【0021】
上記適応性コーティング並びに上記構造体またはアセンブリ内のすべての部品および材料の間の良好な接着力を得るため、および最終製品の全寿命期間中にそのような接着力を維持するために、必要に応じて、上記構造体またはアセンブリのすべての構成部品および材料を洗浄および/またはエッチングすることが必要である。洗浄とは表面上の有機汚染を除去することを意味する。エッチングとは、上記材料自体を除去および/または粗くすることを意味する。エッチングによって、ある材料上の良好な接着力を促進することを必要とされるかもしれない。
【0022】
表面張力によって制限される液状系適応性コーティングと違って、反応ガスがすべての三次元構造体中に浸透することができるため、低圧プラズマ工程は特に上記のような場合に好適である。上記工程はまた乾式であり、作業者にとってより安全な環境を提供する。適応性コーティングの従来の方法と比べて、低圧プラズマ工程は一般的に環境により優しい。
【0023】
選択されるガスまたはガス混合物に依存して、導体、半導体および絶縁体などの全構成材料に洗浄および/またはエッチングを実施することができる。プラズマ洗浄またはエッチングに用いられる典型的なガスは、O、N、H、CF、Ar、Heまたはそれらの混合物である。
【0024】
上記洗浄、エッチングおよびコーティングをすべて同一のチャンバー中で行うことができるため、現在の適応性コーティング方法と比べて大幅な経費節減を達成することができる。
【0025】
上記適応性コーティングと上記構造体またはアセンブリの全部品および材料との結合を更に向上するために、上記構造体の構成部品および材料を活性化することができる。活性化は、適応性コーティングを被覆する表面の親和力を高める表面張力によって、新しい化学基を上記材料の表面に形成することを意味する。プラズマ活性化に用いられる典型的なガスは、O、NO、N、NH、H、CF、Ar、Heまたはそれらの混合物である。上記活性化およびコーティングをすべて同一のチャンバー中で行うことの結果として、従来の適応性コーティング方法と比べて、同様にかなりの経費節減を達成することができる。
【0026】
最後に、上記適応性コーティングと複雑な三次元構造体またはアセンブリの全部品および材料との間の良好な接着力を達成および維持するために、トラップしたガスまたは水を除去することは非常に重要である。これにより上記プラズマ工程のガスを、構造体の中心まで浸透させることができる。この処理は、従来の適応性コーティング技術において、上記構造体をプラズマチャンバーに配置する前にベーキングすることによって行うことができる。本発明により、この脱ガスを、少なくとも一部、予備洗浄、エッチングおよびプラズマ重合と同一チャンバー中で行うことを可能にする。
【0027】
真空処理は、上記構造体から湿分を除去するのに有用であり、それによって接着力を向上し、製品の寿命期間中の熱サイクルにおいて遭遇する問題を防止する。脱ガスのための圧力範囲は、温度範囲5〜200℃で、10ミリトール〜760トールであり、1〜120分間行うことができるが、通常、数分間である。予備脱ガスおよびコーティングを同一チャンバー中で行うことによって、現存する適応性コーティング解決策と比べて、同様に、かなりの経費節減を実現することができる。
【0028】
工程パラメータおよびガス混合物の適当な選択によって、材料および部品のいくつかの組み合わせのために、洗浄、エッチングおよび活性化をすべて単一工程で実施することができる。
【0029】
適応性コーティングを、例えば個々のトランジスタまたは集積回路などの電子部品用に使用することができることが実験によって示された。より大規模なシステム構成部品に実装後、本発明の方法に従って被覆することができる、そのような個々の部品を被覆してもよい。これらのコーティングが、実装前および実装後のプリント基板(PCB)に特に好適であることもわかった。
【0030】
従って、本発明の適応性ナノコーティングは、複雑な構造体のコーティングにおいて特に優位性を示し、ここで、複雑な構造体には三次元構造体および/または異なる材料および/または部品の組み合わせを含む。
【0031】
本発明の方法は、異なる材料を同一工程において(同時に)単一ナノコーティングに組み合わせることを可能にする。本発明の方法はまた、ナノコーティングをより複雑な三次元構造体に被覆することを可能にする。
【0032】
本発明の好ましい態様において、ナノコーティングを既に搭載された部品を有するプリント基板に被覆して、アセンブリの適応性ナノコーティングを提供する。本発明の他の好ましい態様において、複雑な下部構造体をまず適応性ナノコーティングで被覆し、次いで相互に接続して、全体の適応性コーティングを提供するために続いて被覆されるナノコーティングを有する単一の複雑なアセンブリを形成する。本発明に記載されているように、上記ナノコーティングは、上記構造体またはアセンブリの全表面および一部に、撥水性、撥油性、耐塩性、耐酸性および難燃剤保護を提供する。
【0033】
上記ナノコーティングは、200℃を超える高温にも耐えることが実験によって示された。
【0034】
上記ナノコーティングは、フレキシブル構造体または耐衝撃性を有することが要求される用途に適応させる弾性も示す。
【0035】
本発明に記載されたナノコーティングは、標準ハンダ付け工程を用いることによってハンダ付けすることができる重要な特性をも有する。
【0036】
別の態様において、本発明は、実装前および実装後のナノコート電子部品および小型電子部品、集積回路およびプリント基板(PCB)への、前述の方法の使用方法に関する。
【0037】
本発明は、ナノコーティングを上記構造体の全表面および一部に被覆する前述の方法の使用方法に関し、それによって上記ナノコーティングは撥水性、撥油性、耐塩性、耐酸性および難燃性を有する。
【0038】
本発明はまた、弾性を有し、ハンダ付け可能となるナノコーティングを被覆する前述の方法の使用方法に関する。
【0039】
更に別の態様では、本発明は、異なる材料の導電性および非導電性部分および/または部品の三次元構造体に被覆された適応性ナノコーティングに関する。上記コーティングは、厚さ5〜500nm、好ましくは25〜250nmを有する。上記適応性ナノコーティングは、前述の方法の手段によって被覆される。
【0040】
更なる態様では、本発明は、前述のような適応性ナノコーティングを有するプリント基板アセンブリに関する。上記適応性ナノコーティングは、低圧プラズマ工程によって被覆される。
【0041】
本発明の更なる優位性は、実施態様の1つ以上の非限定的例示を説明する図1および図2と合わせて考慮されるべき、以下の例示的実施態様の詳細な説明を参照することによって明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
詳細な説明において、以下の内容を有する添付の図面を参照する。
【図1】本発明の個々の電極の図面である。
【図2】本発明の真空チャンバーに好適である多電極配列の1つの態様を説明する図面である。
【実施例】
【0043】
(実施例1)反応チャンバー中の電極配置
電極を図1および図2に示すように配列した。低圧プラズマを発生する電極配列には、中空で、湾曲した、円形1組の浮遊電極1を含み、真空チャンバー5は集団(mass)として機能する。上記電極1は液体を用いて供給され、上記液体は冷却および加熱することができ、上記プラズマ工程を温度範囲5〜200℃で、好ましくは20〜90℃の制御された温度で行うことを可能とする。
【0044】
上記配置の典型的電極1は、直径5〜50mm、壁厚0.25〜2.5mm、回転角度180度を有する端に向かっての湾曲加工を有し、湾曲部の前後の管の間の距離が管直径の1〜10倍、好ましくは5倍であった。
【0045】
クラッチ板4上に搭載した接続板2によって電力を上記電極1に印加した。薄い絶縁層または遮蔽層3を、上記クラッチ板4および上記チャンバー5の間に被覆した。上記層の厚さは、プラズマが通過できないように、通常、数mmである。
【0046】
電極間を押すことができる穿孔処理した金属容器またはトレイ6を用いることによって、ナノコーティングが被覆される三次元構造体または装置を、電極間に配置した。上記電極および/または基板の間に、数mmの最小距離を維持することが好ましい。前述の装置中の上記浮遊電極によって、均一な三次元コーティングを単一工程で被覆することが可能である。構造体の上部および底部を、2つの異なる工程で被覆する必要はない。
【0047】
上記電極は、周波数20kHz〜2.45GHz、好ましくは40kHz〜13.56MHz,より好ましくは13.56MHzで、高周波電場を発生した。
【0048】
そのような電極配置は、CD1000プラズマ装置に好適であった。
【0049】
(実施例2)電話用埋め込み型回路基板のCによる低圧プラズマ重合
実装後の携帯電話用回路基板を、実施例1に記載したように、CD1000プラズマ装置中に2分以上配置し、圧力100〜1000ミリトールで脱ガスした。次いで、上記基板を、Arを用いて洗浄およびエッチングし、50ミリトールおよび室温で、Cを用いて10分間プラズマ重合を行った。上記プラズマ重合工程によって被覆されたフルオロポリマー適応性コーティングの厚さを測定すると、約80nmであった。
【0050】
次いで、上記回路基板を、湿度、高温および塩の煙霧への長期曝露などの種々のエージング工程に曝露した。見たところ、適応性ナノコーティングを有する回路基板は、未処理の回路基板より、かなり小さい腐食作用を示すことがわかった。電気的試験を行ったところ、ナノ適応性コーティングを有する回路基板アセンブリは見たところ電気的故障を示さず、未処理の回路基板より、かなり少ないこともわかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
形状適応性ナノコーティングを導電性および非導電性要素から構成される三次元構造体またはアセンブリの上に被覆させる方法であって、該コーティングを低圧プラズマ工程によって被覆させることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記コーティングが、低圧プラズマ重合工程によって被覆される請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記プラズマ重合工程が、プラズマ洗浄および/またはエッチング工程によって進む請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記プラズマ重合工程が、プラズマ活性化工程によって進む請求項2記載の方法。
【請求項5】
前記プラズマ重合工程が、前記構造体またはアセンブリの脱ガス工程によって進む請求項2〜4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
(a)請求項5記載の脱ガス工程、
(b)請求項3記載のプラズマ洗浄および/またはエッチング工程、および
(c)請求項1または2記載の被覆工程
を含む請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
(a)請求項5記載の脱ガス工程、
(b)請求項3記載のプラズマ洗浄および/またはエッチング工程、
(c)請求項4記載の活性化工程、および
(d)請求項1または2記載の被覆工程
を含む請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記洗浄および/またはエッチング工程並びに活性化工程が単一工程に組み合わされる請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記脱ガス工程、洗浄および/またはエッチング工程並びに活性化工程が単一工程に組み合わされる請求項7または8記載の方法。
【請求項10】
全工程が同一プラズマチャンバー内で処理される請求項3〜9のいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記コーティングが、厚さ5〜500nm、好ましくは25〜250nmを有する請求項1〜10のいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
前記プラズマ工程が、圧力10〜1000ミリトールで行われる請求項1〜10のいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
前記プラズマ工程が、温度5〜200℃、好ましくは20〜90℃で行われる請求項1〜10のいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
前記プラズマ工程が、周波数20kHz〜2.45GHz、好ましくは40kHz、より好ましくは13.56MHzで行われる請求項1〜10のいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
RFパワーが、前記プラズマ重合工程の間、連続的に維持される請求項1〜14のいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
前記RFパワーが、前記プラズマ重合工程の間、パルスを生じ、マークとスペースとの比が概して0.05〜50%であると共に、前記パルスの周波数が概して1Hz〜100kHzである請求項1〜14のいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
前記洗浄および/またはエッチング工程が、ガス状のO、N、H、CF、Ar、Heまたはそれらの混合物によって行われる請求項3記載の方法。
【請求項18】
前記活性化工程が、O、NO、N、NH、H、CF、Ar、Heまたはそれらの混合物のガスによって行われる請求項4記載の方法。
【請求項19】
請求項17または18記載のガスと混合して、ガス状重合性モノマーまたはそれらの混合物を使用する請求項2〜18のいずれか1項記載の方法。
【請求項20】
液状前駆体を加熱するか、固形前駆体を加熱するか、またはそれらの組み合わせによって、ガス状重合性モノマーがガス状前駆体から生成される請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記モノマーが、ハロゲン、硫黄、リン、窒素および/またはシリコーンを含む請求項19または20記載の方法。
【請求項22】
前記モノマーが、前駆体CF、C、C、C、C、C12、C14および/または他の飽和または不飽和ハイドロフルオロカーボン(C)の内の1つ以上から誘導される請求項19または20記載の方法。
【請求項23】
前記モノマーが、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリプロピルホスフェートまたは他のリン酸誘導体の内の1つ以上から誘導される請求項19または20記載の方法。
【請求項24】
前記モノマーが、前駆体エチルアミン、トリエチルアミン、アリルアミンまたはアクリロニトリルの内の1つ以上から誘導される請求項19または20記載の方法。
【請求項25】
前記モノマーが、アクリレート、メタクリレートまたはそれらの混合物から誘導される請求項19または20記載の方法。
【請求項26】
前記モノマーが、シロキサン、シラン、シラザンまたはそれらの混合物から誘導される請求項19または20記載の方法。
【請求項27】
前記構造体またはアセンブリの導電性部分が、銅、アルミニウム、銀または金を含む金属を含有する請求項1〜26のいずれか1項記載の方法。
【請求項28】
前記構造体またはアセンブリの導電性部分が、半導体材料または導電性ポリマーを含む請求項1〜26のいずれか1項記載の方法。
【請求項29】
前記構造体またはアセンブリの非導電性部分が、ガラス繊維補強された、またはされていないポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、シリコーンまたはポリアミドを含むポリマー、あるいは紙を含有する請求項1〜26のいずれか1項記載の方法。
【請求項30】
前記構造体またはアセンブリの非導電性部分が、ガラスを含むセラミック材料を含有する請求項1〜26のいずれか1項記載の方法。
【請求項31】
前記三次元構造体またはアセンブリが硬質である請求項1〜26のいずれか1項記載の方法。
【請求項32】
前記三次元構造体またはアセンブリがフレキシブルである請求項1〜26のいずれか1項記載の方法。
【請求項33】
電子部品および小型電子部品を被覆するための請求項1〜32のいずれか1項記載の方法の使用方法。
【請求項34】
集積回路を被覆するための請求項1〜32のいずれか1項記載の方法の使用方法。
【請求項35】
実装前のプリント基板を被覆するための請求項1〜32のいずれか1項記載の方法の使用方法。
【請求項36】
電子部品実装後のプリント基板を被覆するための請求項1〜32のいずれか1項記載の方法の使用方法。
【請求項37】
前記構造体またはアセンブリの全表面および一部に、撥水性、撥油性、耐塩性、耐酸性および難燃剤保護を提供するためにナノコーティングを被覆するための請求項1〜36のいずれか1項記載の方法の使用方法。
【請求項38】
弾性を有するナノコーティングを被覆するための請求項1〜36のいずれか1項記載の方法の使用方法。
【請求項39】
ハンダ付けすることができるナノコーティングを被覆するための請求項1〜36のいずれか1項記載の方法の使用方法。
【請求項40】
異なる材料の導電性および非導電性部分および/または部品の三次元構造体に被覆された適応性ナノコーティング。
【請求項41】
厚さ5〜500nm、好ましくは25〜250nmを有する請求項40記載の適応性ナノコーティング。
【請求項42】
請求項1〜32のいずれか1項記載の方法によって被覆される請求項40または41記載の適応性ナノコーティング。
【請求項43】
請求項40〜42のいずれか1項記載の適応性ナノコーティングを含むプリント基板アセンブリ。
【請求項44】
前記適応性ナノコーティングが低圧プラズマ工程によって被覆される請求項43記載のプリント基板アセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−517382(P2013−517382A)
【公表日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−549293(P2012−549293)
【出願日】平成23年1月21日(2011.1.21)
【国際出願番号】PCT/EP2011/000242
【国際公開番号】WO2011/089009
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(505273442)
【氏名又は名称原語表記】EUROPLASMA
【Fターム(参考)】