説明

先端上の触媒粒子

【課題】カーボンナノチューブ(CNT)をFEDの電界エミッタとして用いるには、電界の集中するカソード頂点周囲にCNTを形成して、電界エミッタを電気的に信頼性のあるものとする必要がある。そのための触媒粒子をカソードの頂点周囲に形成する方法を提供する。
【解決手段】外部電源301は電解質溶液203に電圧を印加する。電解質溶液に印加された電圧は、静電力を生成する。生成された静電力によって、金属触媒イオン204が、電解質溶液の表面に集まる。このとき閾値電圧を超える電圧が印加されると、金属触媒イオンは、電解質溶液の表面張力を超えて、電解質溶液の表面から放出される。電界は金属先端201の頂点202に集中し、電解質溶液から放出された金属触媒イオンは金属先端に向かい、頂点に付着する。付着した金属触媒イオンは金属先端で金属触媒原子になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
記載される技術は、概してナノ構造に関し、詳細には先端上の触媒粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
近年、カーボンナノチューブ(CNT)およびCNTの用途に関して、かなりの研究が実施されている。1つの用途として、CNTは電界放出デバイス(FED)の電子エミッタに適用されている。典型的にFEDは、外部電界を電子エミッタの表面に印加して、表面の電子を量子力学的トンネル効果を用いて外方に放出するものである。CNTは、良好な導電性、良好なフィールドエンハンスメント効果、金属よりも低い仕事関数、および良好な電界放出特性を有している。加えて、CNTは、良好な耐化学薬品性および良好な機械的強度を有しており、それゆえ耐久性のある電子エミッタを製造できる。
【0003】
熱化学蒸着(CVD)法により、FeおよびMoまたはFe金属粒子を触媒として用いてCNTを製造する方法は、J. KongらによりChem. Phys. Lett. 292, 567(1988)およびJ. HafnerらによりChem. Phys. 296, 195 (1998) の中で論じられている。ごく最近では、様々な金属触媒を用いて、CNTをカソードの上に形成する方法について研究が実施されている。例えば、プラズマエンハンスメントCVD法により、ニッケル触媒を用いて、多層CNTをタングステン先端上に形成する方法は、S.H. HeoらによりApplied Phys. Lett. 90, 183109(2007)に記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
CNTをFEDの電界エミッタとして用いるには、電界の集中するカソード頂点周囲にCNTを形成して、電界エミッタを電気的に信頼性のあるものとする必要がある。このように、触媒粒子をカソードの頂点周囲に形成する必要がある。現時点での1つの欠点は、触媒粒子を信頼性よく制御するのが難しいことである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
概要
一実施形態において、金属触媒粒子を金属先端上に形成する方法は、金属先端を、金属触媒イオンを含有する電解質溶液から間隔をあけて配置する工程を含む。この方法はまた、電解質溶液に電圧を印加して、電解質溶液から金属触媒イオンを放出し、放出された金属触媒イオンを金属先端に付着させる工程も含む。
【0006】
一実施形態において、金属先端上にナノ構造を形成する方法は、金属先端上に金属触媒粒子を形成する工程と、該金属触媒粒子から金属先端上にナノ構造を形成する工程を含む。金属先端上に金属触媒粒子を形成する工程は、金属触媒イオンを含む電解質溶液が電解質溶液から金属触媒イオンを放出するように電解質溶液に電圧を印加する工程と、放出された金属触媒イオンを金属先端に付着させる工程を含む。
【0007】
上記の概要は、概念のセレクションを単純化した形態で示すためのものであり、これについて、発明を実施するための形態に、さらに後述する。上記の概要は、クレームされる主題の主要な特徴または必須の特徴を特定するためのものではなく、クレームされる主題の範囲を判断する補助として用いることを意図するものでもない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】金属触媒粒子を金属先端上に形成する方法の例示的な実施形態のフローチャートである。
【図2】金属触媒粒子を金属先端上に形成する方法の例示的な実施形態の概略図である。
【図3】金属触媒粒子を金属先端上に形成する方法の例示的な実施形態の概略図である。
【図4】金属触媒粒子を金属先端上に形成する方法の例示的な実施形態の概略図である。
【図5】ナノ構造を金属先端上に形成する方法の例示的な実施形態のフローチャートである。
【図6】ナノ構造を金属先端上に形成する方法の例示的な実施形態の概略図である。
【図7A】電界放出エミッタの電界放出の安定性およびI−V特性の評価結果を示すグラフの例示的な実施形態を示す。
【図7B】電界放出エミッタの電界放出の安定性およびI−V特性の評価結果を示すグラフの例示的な実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
詳細な説明
以下の詳細な説明において、その一部を形成する添付の図面を参照する。図面において、特に断りのない限り、同様の符号は、典型的に、同様の構成要素を示す。詳細な説明に記載された例示の実施形態、図面、請求項は、限定されるものではない。ここに示した主題の趣旨または範囲から逸脱することなく、他の実施形態を用い、その他変更を行うことができる。概して、ここに記載され、図面に例示された本開示の構成要素は、様々な異なる構成でアレンジ、置換、結合および設計することができ、それらはすべて明確に意図されており、この開示の一部をなすことが容易に理解できる。
【0010】
要素または層が、他の要素または層「上に」あると言及されるとき、その要素または層は、他の要素または層の直接上にあってもよいし、または介在する要素または層が存在していてもよい。本明細書で用いる、「および/または」という用語には、関連して挙げられた項目の1つ以上のいずれかおよび全ての組み合わせを含み得る。
【0011】
金属触媒粒子を金属先端上に形成する方法
図1は、金属触媒粒子を金属先端上に形成する方法の例示的な実施形態のフローチャートである。図1を参照すると、ブロック110から始まり、金属先端が、電解質溶液から間隔をあけて配置される。例えば、金属先端は、電解質溶液の上に配置され得る。電解質溶液は金属触媒イオンを含む。ブロック120において、電源、例えば、外部電源、が電解質溶液に電圧を印加すると、電解質溶液が金属触媒イオンを放出する。ブロック130において、放出された金属触媒イオンは、金属先端周囲に形成された電界の結果、金属先端に付着する。その結果、金属触媒粒子が金属先端上に形成される。
【0012】
図2〜4は、金属先端上に金属触媒粒子を形成する方法の例示的な実施形態の概略図である。図2を参照すると、頂点202を有する金属先端201は、電解質溶液203から間隔をあけて配置されている。金属先端201は、例えば、タングステン、ニッケル、アルミニウム、モリブデン、タンタル、またはニオブ、またはそれらの合金等の金属で形成され得る。一実施形態において、金属先端201上の頂点202は、電解質溶液中で、金属ワイヤを電気化学的にエッチングすることにより形成され得る。例えば、タングステンワイヤは、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム溶液内で電気化学的にエッチングされて、頂点を有するタングステン先端を形成し得る。他の例については、アルミニウムワイヤは、硫化水素酸と混合した塩化水素溶液内で電気化学的にエッチングされて、頂点を有するアルミニウム先端を形成し得る。他の実施形態において、金属先端201上の頂点202は、金属ワイヤを機械的に研削することにより形成され得る。
【0013】
金属触媒イオン204を含む電解質溶液203は、電極容器205内に提供されてもよい。金属触媒イオン204は、電解質溶液203中の金属触媒から形成されてもよい。一実施形態において、金属触媒イオン204は、金属触媒が、電解質溶液203中に電子を放出する場合には、正電荷を有する金属カチオンであり得る。他の実施形態において、金属触媒イオン204は、金属触媒が、電解質溶液203から電子を得る場合には、負電荷を有する金属アニオンであり得る。金属触媒イオン204としては、例えば、ニッケルイオン、コバルトイオン、モリブデンイオン、鉄イオン等、またはこれらの組み合わせが挙げられ得る。
【0014】
図3を参照すると、外部電源301は電解質溶液203に電圧を印加する。これによって、電解質溶液203が金属触媒イオン204を電解質溶液203から外方に放出する。一実施形態において、外部電源301は、金属先端201と電極容器205との間を接続して、電解質溶液203に電圧を印加する。一実施形態において、金属触媒イオン204が正電荷を有する場合には、電圧を印加して、金属先端201が負電位を、電解質溶液203が正電位を有するようにしてもよい。他の実施形態において、金属触媒イオン204が負電荷を有する場合には、電圧を印加して、金属先端201が正電位を、電解質溶液203が負電位を有するようにし得る。
【0015】
電解質溶液203に印加された電圧は、静電力を生成する。生成された静電力によって、金属触媒イオン204が、電解質溶液203の表面に集まり得る。電解質溶液203の表面に集まった金属触媒イオン204は、互いに静電反発力を示し得る。このとき閾値電圧を超える電圧が印加されると、金属触媒イオン204は、電解質溶液203の表面張力を超えて、金属触媒イオン204が、電解質溶液203の表面から放出される。閾値電圧とは、電解質溶液203に印加された臨界電圧を意味し、金属触媒イオン650が、互いの静電反発力および電解質溶液203との静電反発力にも関わらず、電解質溶液203中に存在できる上限の電圧である。
【0016】
電圧により金属先端201周囲に形成された電界によって、電解質溶液203から放出された金属触媒イオン204が金属先端201に向かう。一実施形態において、電界は金属先端201の頂点202に集中し、放出された金属触媒イオン204は金属先端201の頂点202に付着するようになり得る。付着した金属触媒イオン204は、金属先端201から電子を受けるか、または金属先端201に電子を与えることができ、その結果、金属触媒イオン204が還元または酸化されて、金属先端201で金属触媒原子になる。
【0017】
図4を参照すると、金属触媒粒子401が金属先端201上に形成される。金属先端201で還元または酸化された金属触媒原子が互いに結合して、金属触媒粒子401を形成する。金属触媒粒子401は、薄膜の形態で、金属先端201上に形成され得る。一実施形態において、金属触媒粒子401は、電界が集中する金属先端201の頂点202周囲に形成され得る。金属触媒粒子401のサイズは、電解質溶液203から金属先端201へ移動する金属触媒イオン204の量を調整することにより決定されうる。電解質溶液203から金属先端201へ移動する金属触媒イオン204の量は、金属触媒イオン204により生成された電荷の量を測定することによりモニターされ、電解質溶液203へ印加された電圧または印加された電圧を維持するプロセス時間を変えることにより調整されうる。従って、金属先端201上に形成された金属触媒粒子401は、所望のサイズに制御される。
【0018】
上述したとおり、金属触媒イオンを電界を用いて供給することにより、金属触媒粒子のサイズは金属先端上で容易に制御されうる。金属触媒粒子は、電界が集中する金属先端の頂点周囲で形成され得る。さらに、1つ以上の実施形態において上述した金属触媒粒子を形成する方法によれば、金属先端の頂点周囲にナノ構造を形成することができる。これについては別に後述する。
【0019】
ナノ構造を金属先端上に形成する方法
図5は、金属先端上にナノ構造を形成する方法の例示的な実施形態のフローチャートである。図5を参照すると、ブロック510から始まり、金属触媒粒子が金属先端上に形成される。金属触媒粒子は、図1〜4を参照して上述したとおり、金属先端上に形成され得る。従って、金属触媒粒子を金属先端上に形成する方法の詳細な説明は、簡略のために省略する。
【0020】
ブロック520において、ナノ構造は、金属先端上の金属触媒粒子から形成される。ナノ構造は、例えば、化学蒸着(CVD)法または様々な周知の蒸着法を用いて、金属触媒粒子から形成され得る。
【0021】
図6は、金属先端上にナノ構造を形成する方法の例示的な実施形態の概略図である。ナノ構造は、例えば、カーボンナノチューブ、ナノワイヤまたはナノロッドを含み得る。ナノ構造の一例としてカーボンナノチューブを形成する方法についてここで説明する。図6を参照すると、カーボンナノチューブ601は、図4を参照して記載したように、金属先端201の表面で、金属触媒粒子401から形成される。一実施形態において、カーボンナノチューブ601は、CVD法により、例えば、熱、プラズマまたはマイクロ波をエネルギー源として用いて形成され得る。CVD法では、炭化水素を含む反応ガス603が、金属触媒粒子401に導入される。炭化水素の一例として、一酸化炭素、アセチレン、エチレン、エタン、メタン、プロパンまたはこれらの組み合わせが挙げられ得る。炭化水素を含む反応ガス603は、例えば、熱、プラズマまたはマイクロ波により、金属触媒粒子401上で溶解する。溶解した反応ガス603中の炭化水素から分離された炭素原子は、金属触媒粒子401中へ拡散して、その炭素原子は、金属触媒粒子401内に充填される。炭素原子が、金属触媒粒子401中の炭素の溶解度を超えて充填されると、炭素原子の析出が生じる。析出のために、炭素原子は、金属触媒粒子401から抽出される。このとき、抽出された炭素原子は、金属触媒粒子401との界面上に再配列する再び並ぶ。再配列した炭素原子は界面から成長して、カーボンナノチューブ601を形成する。
【0022】
カーボンナノチューブ601は、基部成長または先端成長により形成され得る。図6に示すとおり、基部成長の場合、金属触媒粒子401は金属先端201上に付着するが、金属触媒粒子401の上面より上に、カーボンナノチューブ601が形成される。代わりに、先端成長の場合、炭素原子は、金属触媒粒子の上面から下面へ拡散して、次に金属触媒粒子の下面から抽出され、それによって金属触媒粒子の下にカーボンナノチューブが形成される。カーボンナノチューブ601が金属触媒粒子401から形成されたあと、金属触媒粒子401はカーボンナノチューブ601上に残り得る。
【0023】
一実施形態において、電極(図示せず)が、金属先端201から間隔をあけて配置され、カーボンナノチューブ601が、CVD法により、金属先端201上に形成される際に外部電圧が金属先端201と電極との間に印加されてもよい。外部電圧により生成された電界は、カーボンナノチューブ601が金属先端201上で不規則に成長するのを防ぎ得る。電界は、金属先端201上で成長するカーボンナノチューブ601と相互作用し得る。電界は、カーボンナノチューブ601の内部双極子極性を変化させてトルクおよび力を生成して、カーボンナノチューブ601を整列させ得る。従って、電界は、金属先端201上におけるカーボンナノチューブ601の成長方向を変えることができ、これによりカーボンナノチューブ601を電界に沿って整列させることができる。図6に示すとおり、カーボンナノチューブ601は、金属先端201の長手方向に実質的に平行に整列し得る。
【0024】
カーボンナノチューブ以外のナノ構造を、図6を参照して説明したカーボンナノチューブを形成する方法と同様の方法により形成してもよい。すなわち、ナノ構造に対応する所定のソースガスを提供し、金属触媒粒子上で溶解し、溶解したソースガスと金属触媒粒子との間の反応により、ナノ構造を形成してもよい。一実施形態において、炭化ケイ素ナノロッドは、蒸発したC18Siガスをソースガスとして、鉄粒子を金属触媒粒子として用いて、CVD法により形成し得る。他の実施形態において、酸化ケイ素ナノワイヤを、蒸発したSiOガスをソースガスとして、鉄粒子を金属触媒粒子として用いて、蒸着法により形成し得る。
【0025】
以下に、本開示のナノ構造およびナノ構造を含む電界放出エミッタの電気的特性を、具体的な実施例により詳細に説明するが、これらの実施例は、本開示をより良く理解するためだけのものであり、本開示の範囲を限定しようとするものではない。
【実施例】
【0026】
金属先端上での金属触媒粒子およびカーボンナノチューブの形成
30Vの電圧を、1.5モル/Lの水酸化カリウム溶液内で、タングステンワイヤに印加して、タングステンワイヤを電気化学的にエッチングすることにより、頂点にタングステン先端を形成した。金属触媒イオンとしてニッケルイオンを含有する電解質溶液を、タングステン先端から50μmだけ間隔をあけて配置した。次に電圧を増大し、10V/秒の電圧速度で、タングステン先端と電解質溶液との間に印加して、ニッケル触媒イオンを、電解質溶液から抽出し、抽出したニッケル触媒イオンを、タングステン先端に付着させて、ニッケル触媒粒子を形成した。40sccmのアセチレン(C)を、ニッケル触媒粒子が形成されるタングステン先端に700℃で10分間供給した。このようにして、カーボンナノチューブがタングステン先端上に形成され、カーボンナノチューブを有する電界放出エミッタが製造された。
【0027】
電界放出エミッタの電気的特性の測定
カーボンナノチューブを有する電界放出エミッタのI−V特性および電界放出の安定性を評価した。1〜6V/μmの電界を、タングステン先端で形成し、タングステン先端のカーボンナノチューブから放出された電子により生成された電流を測定した。さらに、約5.2V/μmに対応する電界を、約50時間にわたって、タングステン先端に常に印加して、カーボンナノチューブにより生成された電流を、経時で測定した。
【0028】
評価
図7Aおよび7Bは、本実施例の電界放出エミッタの電界放出の安定性およびI−V特性の評価結果を示すグラフである。図7Aを参照すると、約4V/μm以上の電界を印加すると、カーボンナノチューブから放出された電子による電流が大幅に増大している。図7Bを参照すると、約5.2V/μmの電界をタングステン先端に常に印加すると、約150μAの電流が、約50時間にわたって安定して生成される。従って、本実施例の方法に従って金属先端上に形成されたカーボンナノチューブを有する電界放出エミッタは、安定した電流放出特性を示す。
【0029】
上述したとおり、ある実施形態によれば、電界が印加されて、金属先端の頂点周囲に金属触媒粒子が形成され得る。ナノ構造は、金属触媒粒子が配置される場所から形成されるため、ナノ構造は、関連技術に比べ、低コストで、単純な方法により、金属先端の頂点周囲に形成され得る。さらに、電解質溶液から金属先端まで移動する金属触媒イオンの電荷量を調整して、金属触媒粒子のサイズを制御することができる。従って、様々な直径および密度を有するナノ構造を、金属先端上のサイズの制御された金属触媒粒子から作製することができる。
【0030】
以上から、本開示の様々な実施形態が説明のために本明細書に記載され、そして本開示の範囲および精神から逸脱することなく、様々な修正を行えることは認識されよう。従って、本明細書に開示した様々な実施形態は、限定されるものではなく、その真の範囲および精神は、添付の特許請求の範囲により示される。
【符号の説明】
【0031】
201 金属先端
202 頂点
203 電解質溶液
204 金属触媒イオン
205 電極容器
301 外部電源
401 金属触媒粒子
601 カーボンナノチューブ
603 反応ガス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属先端を、金属触媒イオンを含有する電解質溶液から間隔をあけて配置する工程、
前記金属触媒イオンを前記電解質溶液から放出するために前記電解質溶液に電圧を印加する工程、及び、
前記放出された金属触媒イオンを前記金属先端に付着させる工程、を含む金属触媒粒子を金属先端上に形成する方法。
【請求項2】
前記金属先端が、金属水酸化物溶液中で金属ワイヤを電気化学的にエッチングすることにより形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記金属水酸化物溶液が、水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記金属先端が、タングステン、ニッケル、アルミニウム、モリブデン、タンタルおよびニオブからなる群から選択される少なくとも1つの材料で形成されている、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記金属触媒イオンが、ニッケルイオン、コバルトイオン、モリブデンイオンおよび鉄イオンからなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記金属触媒イオンを前記電解質溶液から放出するために前記電解質溶液に電圧を印加する工程が、前記金属触媒イオン間の静電反発力が、前記電解質溶液の表面張力に打ち勝つように前記電解質溶液に電圧を印加する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記放出された金属触媒イオンを前記金属先端に付着させる工程が、前記金属触媒の放出されたイオンを前記金属先端に引き付けるように前記金属先端に電圧を印加する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記放出された金属触媒イオンを前記金属先端に付着させる工程が、前記放出された金属触媒イオンを、前記金属先端上で金属触媒原子へ還元または酸化する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記電解質溶液が正電位に、かつ前記金属先端が負電位となるように前記電圧が印加される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記電解質溶液が負電位に、かつ前記金属先端が正電位となるように前記電圧が印加される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記放出された金属触媒イオンを前記金属先端に付着させる工程が、前記金属触媒粒子のサイズを決めるために前記電解質溶液から前記金属先端に向かって移動する前記金属触媒イオンの電荷量を調整する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
金属触媒粒子を金属先端上に形成する工程、及び、
前記金属触媒粒子から前記金属先端上にナノ構造を形成する工程を含み、
前記金属触媒粒子を前記金属先端上に形成する工程が、
金属触媒イオンを電解質溶液から放出するために金属触媒イオンを含有する電解質溶液に電圧を印加する工程、及び、
前記放出された金属触媒イオンを前記金属先端に付着させる工程を含む、
金属先端上にナノ構造を形成する方法。
【請求項13】
前記金属触媒イオンが、ニッケルイオン、コバルトイオン、モリブデンイオンおよび鉄イオンからなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記金属触媒イオンを前記電解質溶液から放出するために電解質溶液に電圧を印加する工程が、前記金属触媒イオン間の静電反発力が、前記電解質溶液の表面張力に打ち勝つように前記電解質溶液に電圧を印加する工程を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記放出された金属触媒イオンを前記金属先端に付着させる工程が、前記金属触媒の放出されたイオンを前記金属先端に引き付けるように前記金属先端に電圧を印加する工程を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記放出された金属触媒イオンを前記金属先端に付着させる工程が、前記放出された金属触媒イオンを、前記金属先端上で金属触媒原子へ還元または酸化する工程を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記放出された金属触媒イオンを前記金属先端に付着させる工程が、前記金属触媒粒子のサイズを決めるために前記電解質溶液から前記金属先端に向かって移動する前記金属触媒イオンの電荷量を調整する工程を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記ナノ構造がカーボンナノチューブを含み、前記金属触媒粒子から前記金属先端上にナノ構造を形成する工程が、前記カーボンナノチューブを前記金属触媒粒子から形成するために炭化水素を含有する反応ガスを提供する工程を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記炭化水素が、一酸化炭素、アセチレン、エチレン、エタン、メタンおよびプロパンからなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記金属触媒粒子から前記金属先端上にナノ構造を形成する工程が、熱、プラズマおよびマイクロ波からなる群から選択される少なくとも1つをエネルギー源として用いる化学蒸着法により実施される、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
金属先端と、
前記金属先端上に配置され、前記金属先端に金属イオンの形態で付着した少なくとも1つの金属触媒粒子と、
前記金属触媒粒子から形成されたナノ構造と
を含む電界放出エミッタ。
【請求項22】
前記金属先端の材料が、タングステン、ニッケル、アルミニウム、モリブデン、タンタルおよびニオブからなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項21に記載の電界放出エミッタ。
【請求項23】
前記金属触媒粒子が、ニッケル、コバルト、モリブデンおよび鉄からなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項21に記載の電界放出エミッタ。
【請求項24】
前記少なくとも1つの金属触媒粒子が、電解質溶液に印加された電圧により、前記電解質溶液から前記金属イオンの形態で抽出される、請求項21に記載の電界放出エミッタ。
【請求項25】
前記少なくとも1つの金属触媒粒子が、前記金属イオンから還元または酸化された金属原子から得られたものであり、前記金属先端上で互いに結合している、請求項21に記載の電界放出エミッタ。
【請求項26】
前記少なくとも1つの金属触媒粒子が、電界が集中する前記金属先端の頂点周囲に形成される、請求項21に記載の電界放出エミッタ。
【請求項27】
前記ナノ構造が、炭化水素を含有する反応ガスと前記少なくとも1つの金属触媒粒子との間の化学反応により形成されたカーボンナノチューブを含む、請求項21に記載の電界放出エミッタ。
【請求項28】
前記炭化水素が、一酸化炭素、アセチレン、エチレン、エタン、メタンおよびプロパンからなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項27に記載の電界放出エミッタ。

【図1】
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【図5】
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【図7A】
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【図7B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−46788(P2010−46788A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−310600(P2008−310600)
【出願日】平成20年12月5日(2008.12.5)
【出願人】(508298075)ソウル大学校産学協力団 (27)
【Fターム(参考)】