説明

光ディスク

【課題】高温高湿環境下における反射率変化や反り変化が少なく、耐摩耗性に優れた光透過層を与える紫外線硬化型組成物、及び高温高湿環境下においても特性変化が少なく耐摩耗性に優れた光ディスクを提供する。
【解決手段】エポキシ(メタ)アクリレートと、ウレタン(メタ)アクリレートと、式(1)


(式中、Xは式(2))


で表される紫外線硬化型組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも光反射層と光透過層とが形成され、前記光透過層を通して370nm〜430nmの範囲内に発振波長を有するブルーレーザーにより記録又は再生を行う光ディスクに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報技術や情報網の発展により大容量の情報記録の伝達が頻繁に行われるようになっている。これに伴い、大容量となる映像、音楽、コンピューターデータ等を記録及び再生出来る高密度大容量の光ディスクが要求されており、DVDよりも更に短波長のブルーレーザーの光学系を用いる新しい光ディスク構造による高密度記録方式が提案されている。
【0003】
この新しい光ディスクはポリカーボネート等のプラスチックで形成される透明又は不透明の基板上に記録層を形成し、次いで記録層上に約100μmの光透過層を積層してなり、該光透過層を通して記録光又は再生光が、あるいはその両方が入射する構造の光ディスクである。この光ディスクの光透過層には生産性の観点から、紫外線硬化型組成物を使用することがもっぱら研究されている。
【0004】
ブルーレーザーを使用した光ディスクは長期に安定した記録再生特性を保持する必要がある。このため、光透過層には形状安定性に優れるものが望まれ、また最外層として使用する場合には優れた耐磨耗性を有することが求められる。ブルーレーザーにより記録又は再生を行う光ディスクの光透過層に使用する紫外線硬化型組成物としては、例えば、エポキシアクリレートとウレタンアクリレートとを併用し、重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンを使用した紫外線硬化型組成物が開示されている(特許文献1参照)。当該紫外線硬化型組成物は、耐久性と高光透過率とを有する硬化被膜を与えるものであるが、高温高湿環境下における反り変化の更なる低減が望まれていた。
【0005】
初期および耐久時の光ディスクの反りを抑制可能な硬化物層を形成し得る光硬化型組成物として、ポリエーテル骨格のウレタン(メタ)アクリレートを含有する組成物が開示されている(特許文献2参照)。しかし当該組成物の硬化物は耐摩耗性が十分でなく、光ディスクの最外層の光透過層として適用すると傷つきが生じる場合があった。また、耐久試験における反り変化は好適であるが、反射率の変化が生じる場合があり、更なる改善が求められていた。
【0006】
また、防汚性に優れるハードコート用の紫外線硬化型組成物として、光硬化性化合物と反応する構造を側鎖構造として有する特定構造のシリコーン化合物を含有する紫外線硬化型組成物が開示されている(特許文献3参照)。しかし当該紫外線硬化型組成物は、光ディスクの最外層の光透過層として厚膜を形成した場合には、高温高湿環境下での反りや、外部環境変化による膜の反りが大きく、光透過層への適用は困難であった。
【0007】
【特許文献1】特開2002−109785号公報
【特許文献2】特開2007−42241号公報
【特許文献3】特開2007−46049号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、高温高湿環境下における反射率変化や反り変化が少なく、耐摩耗性に優れた光ディスクを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明においては、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレートおよび特定のシラン化合物を併用する紫外線硬化型組成物により、光を好適に透過し、磨耗に強く、かつ反りを生じにくい硬化被膜を形成でき、耐摩耗性に優れた光透過層を形成できる。
【0010】
すなわち本発明においては、エポキシ(メタ)アクリレートと、ウレタン(メタ)アクリレートと、式(1)
【0011】
【化1】

(式中、Xは式(2)
【0012】
【化2】

(式中、Rは、炭素数1〜18のアルキレン基、及び、炭素数2〜18の複数のアルキレン基がエーテル結合により連結された構造を有する2価の基から選択される1種又は2種以上の基を連結させた2価の基を表し、RはSiと直結していてもよいし、酸素原子を介して結合していてもよく、Rは水素原子又はメチル基を表す。)
で表されるn個の構造単位、
及び、式(3)
【0013】
【化3】

で表されるm個の構造単位が、ランダム状又はブロック状に連なった構造の基を表す。但し、nは1〜15の整数であり、n/mは1/5〜1/20である。また、式(2)及び式(3)で表される構造単位は、これらの構造単位同士で、又は分子内の他の構造部分と酸素−酸素結合により連結することはない。)
で表されるシリコーン化合物、とを含有することにより、高温高湿環境下における反射率変化や反り変化が少なく、耐摩耗性に優れた光ディスクを実現する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の光透過層用紫外線硬化型組成物は、高温高湿環境下においても反射率変化や反り変化が少ない光透過層を形成することができるため、高温高湿環境下においても、特性劣化の少ない光ディスクを実現できる。また、当該組成物の硬化膜は耐摩耗性に優れることから、光透過層を最外層として適用できるため、その表層にハードコート層を設けなくとも傷つきの少ない光ディスクを実現できる。このような組成物の硬化膜を光透過層とする光ディスクは、高温高湿環境下においても特性の低下が生じにくく、傷つきが少ないため、信号特性の劣化が少なく、短波長のブルーレーザーによっても好適に情報の記録・再生が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
[シリコーン化合物]
本発明の紫外線硬化型組成物において使用する、上記式(1)で表されるシリコーン化合物は、側鎖構造として、光硬化性化合物と適度な相溶性を有する部位と、光硬化性化合物と反応する部位とを特定の割合で有する。これを含有する紫外線硬化型組成物を膜状に塗付すると、その塗膜表面近傍では、相分離を生じやすい主鎖のシロキサン結合部位には光硬化性化合物と相分離しようとする力が働き、相溶性を有する側鎖部位は光硬化性化合物と相溶しようとする力が働くことにより、表層近傍にシロキサン構造部位の存在確率が高くなると考えられる。当該塗膜に紫外線を照射すると、光硬化性化合物が硬化する際に、シリコーン化合物の側鎖の反応性基とも反応し、硬化膜の表層にシロキサン構造が高い確率で存在することとなる。この際、一のシリコーン化合物に対して、複数の側鎖部位がアンカーとなるため、シリコーン化合物が硬化膜に強固に固定される。これにより本発明の紫外線硬化型組成物は、優れた防汚性や汚れの払拭性を有する硬化膜を形成でき、また、該硬化膜は長期間経過後や、高温高湿環境下で放置された際にも安定した防汚性を発現することができる。これに対し、本願発明のような構造を有さないシリコーン化合物では、複数のアンカー効果が得られずに固定化が充分でない場合や、相溶性の異なる部位を有さず表層近傍の存在確率を高くできない場合が生じるため、防汚性や汚れの払拭性に劣るものとなる。
【0016】
前記式(1)中のXは、前記式(2)で表されるn個の構造単位と前記式(3)で表されるm個の構造単位とがランダム状又はブロック状に連なった構造の基である。ランダム状とは、式(2)で表される構造単位と式(3)で表される構造単位とが順不同に、不規則な順で結合した構造を意味し、ブロック状とは、式(2)で表される構造単位が連続して結合した部分と式(3)で表される構造単位が連続して結合した部分とが交互に現れる構造を意味している。なお、前記nは1〜15の整数であり、1〜10の整数であることが好ましい。また、nに対するmの比(n/m)は1/5〜1/20であり、1/5〜1/15であることが好ましい。なお、式(2)及び式(3)で表される構造単位は、これらの構造単位同士で、又は分子内の他の構造部分と酸素−酸素結合により連結することはない。
【0017】
前記式(2)中のRは、下記(I)及び(II)に記載した基の中から選択される2種以上の基が連結した構造の基である。
(I)炭素数1〜18のアルキレン基
例えば、−CH−、−CHCHCH−、−CHCH(CH)−、−CH(CHCH−、−CHCH(CHCH)CHCHCHCH−、−CH(CH10CH−、−CH2(CH16CH−等がある。
(II)炭素数2〜18の複数のアルキレン基がエーテル結合により連結されたポリオキシアルキレン構造を有する2価の基
(II)の基を式で表すと、−(OR)−(式中、Rは分岐鎖を有していても良い炭素数2〜18のアルキレン基を表し、pは1以上の整数である。)となる。例えば、−(OCHCH−、−(OC−、−(OCHCHCHCH−、−(OCH(CH10CH−等がある。また、分子鎖が異なる長さの−OR−がランダムに連なった構造を有する基、例えば、−OCHCH−と−OCHCH(CH)−がランダムに結合した基であっても良い。なお、Rとして(ii)で表される基を用いる場合は、複数のエーテル結合を有するポリエーテル構造(ポリオキシアルキレン構造)の基を用いるのが好ましい。(ii)に記載した基は、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等のアルキレンオキシド、テトラヒドロフラン、アルキル置換テトラヒドロフラン等の環状エーテルの重合体またはこれらの2種以上の共重合体から得ることができる。
【0018】
上記の中でも、Rとしては、炭素数1〜6のアルキレン基、−(OR)−(式中、Rはエチレン基又はプロピレン基を表し、tは2〜20の整数を表す。)で表される2価の基及びエチレンオキシドとプロピレンオキシドをランダムに開環付加重合した2価の基から選択される1種の基、又はこれらから選択される2種以上の基が連結した基であることが好ましい。特に、それらの中でも、−CHCHCH−、−CHCHCH(OCHCH−(式中、pは2以上の整数)、−CHCHCHY−(式中、Yは−OC−と−OC−がランダムに結合した基)であることが好ましい。(ii)に記載した基とSi間の結合は、酸素原子を介していても構わないが、アルキレン基を介して結合した構造であることが好ましい。また、R中の(i)の基の一端は、Siと直結していてもよいし、酸素原子を介して結合していてもよいが、Siと直結していることが好ましい。また、前記式(2)中のRは水素原子又はメチル基を表すが、水素原子であることが好ましい。
【0019】
式(1)で表されるシリコーン化合物は市販品として入手可能であり、例えばdegussa社製のTEGO Rad 2200Nを例示できる。
【0020】
また、式(1)で表されるシリコーン化合物としては、数平均分子量が2000〜12000であることが好ましく、3000〜8000であることが更に好ましい。
【0021】
紫外線硬化型組成物に含有させる式(1)で表されるシリコーン化合物の含有量は、紫外線硬化型組成物に対して、0.05〜5質量部であり、好ましくは0.1〜2.0質量部である。上記範囲であると、本発明の光情報記録媒体の表面保護層は、表面に汚れが付着しにくく、また、付着した汚れを容易にふき取ることができ、優れた汚れ防止機能を長期にわたって安定に付与することができる。
【0022】
[エポキシ(メタ)アクリレート]
本発明に使用するエポキシ(メタ)アクリレートとしては、分子内にエポキシ基を1個以上有する化合物とアクリル酸を反応させて得られるものであれば、特に制限がなく、ポリエステル、ポリエーテル、ゴムなどにより変性されていてもよい。残留する全塩素量は2000ppm以下であることが好ましい。
【0023】
なかでも、ビスフェノール骨格を有するエポキシ(メタ)アクリレートは耐久性能に優れるため好ましく、式(i)、(iii)、(viii)で表されるエポキシ(メタ)アクリレートを特に好ましく使用できる。なかでも式(iii)で表されるエポキシ(メタ)アクリレートは、上記式(1)で表されるシリコーン化合物との相分離を生じにくく、優れた相溶性を有するため、組成物とした際に良好な透明性を実現でき、好適な光透過性を有する光透過層を実現できるため特に好ましい。
【0024】
【化4】

【0025】
[式(i)中、Aは式(ii)
【0026】
【化5】

【0027】
(式(ii)中、Eは−SO−、−CH−、−CH(CH)−又は−C(CH−を表し、iは0又は1以上の整数を表す。)
で表される基であり、Dはそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表す。]
【0028】
このようなビスフェノール型エポキシ(メタ)アクリレートとしては、油化シェルエポキシ社製エピコート802、1001、1004等のビスフェノールA型エポキシ樹脂、及びエピコート4001P、4002P、4003P等のビスフェノールF型エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応によって得られるエポキシアクリレート等が挙げられ、UNIDIC V−5810(大日本インキ化学工業(株))などが挙げられる。
【0029】
【化6】

【0030】
[式(iii)中、Aは、エステル基、エーテル基、芳香族炭化水素基、環式脂肪族基で置換されていてもよく、また、分岐鎖を有していてもよい重量平均分子量250〜10000の長鎖アルキルジオール基であり、Bは式(iv)
【0031】
【化7】

【0032】
(式(iv)中、Eは−SO−、−CH−、−CH(CH)−又は−C(CH−を表し、iは0〜8の整数を表す。)
で表される基であり、Dはそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表す。]
【0033】
また、上記式(iii)中のAは、式(v)〜(vii)で表される基であることが、シリコーン化合物との相溶性の観点から好ましい。
【0034】
【化8】

【0035】
(式(v)中、Jは、水素原子が炭素数1〜6のアルキル基により置換されていても良い2価の芳香族炭化水素基又は分岐鎖を有していても良い炭素数2〜10の2価の脂肪族炭化水素基を表し、Lは、分岐鎖を有していても良い炭素数2〜20の2価の脂肪族炭化水素基又は−(RO)−R−(Rは分岐鎖を有していても良い炭素数2〜8のアルキレン基を表し、pは1〜10の整数である。)で表される基であり、kは1〜20の整数を表す。)
【0036】
【化9】

【0037】
(式(vi)中、Jは、水素原子が炭素数1〜6のアルキル基により置換されていても良い2価の芳香族炭化水素基又は分岐鎖を有していても良い炭素数2〜10の2価の脂肪族炭化水素基を表し、Lは、数平均分子量が250〜10000の長鎖アルキルジオール残基又はポリエーテルジオール残基を表す。)
【0038】
【化10】

【0039】
(式(vii)中、Jは、水素原子が炭素数1〜6のアルキル基により置換されていても良い2価の芳香族炭化水素基又は分岐鎖を有していても良い炭素数2〜10の2価の脂肪族炭化水素基を表し、L、Lは各々独立して、分岐鎖を有していても良い炭素数2〜10の2価の脂肪族炭化水素基を表し、k、kは各々独立して1〜20の整数を表す。)
【0040】
このようなエポキシ(メタ)アクリレートとしては、DICLITE UE−8080(大日本インキ化学工業(株))等が挙げられる。
【0041】
【化11】

【0042】
[式(viii)中、Aは式(ix)
【0043】
【化12】

【0044】
(式(ix)中、Eは−SO−、−CH−、−CH(CH)−又は−C(CH−を表し、nは0〜8の整数を表す。)
で表される基であり、Bは、式(x)
【0045】
【化13】

【0046】
(式(x)中、Jは、水素原子が炭素数1〜6のアルキル基により置換されていても良い2価の芳香族炭化水素基又は分岐鎖を有していても良い炭素数2〜10の2価の脂肪族炭化水素基で表される基である。)
で表される基であり、Cは、式(xi)
【0047】
【化14】

【0048】
(L、Lは、各々独立して、分岐鎖を有していても良い炭素数2〜10の2価の脂肪族炭化水素基を表し、kは各々独立して1〜20の整数である。)
又は、式(xii)
【0049】
【化15】

【0050】
(L、Lは、各々独立して、分岐鎖を有していても良い炭素数2〜10の2価の脂肪族炭化水素基を表し、kは各々独立して1〜20の整数である。)
で表される基であり、Dはそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表す。]
【0051】
このようなエポキシ(メタ)アクリレートとしては、CNUVE151(SARTOMER)、EBECRYL3708(ダイセル・サイテック(株))等が挙げられる。
【0052】
本発明の紫外線硬化型組成物中のエポキシ(メタ)アクリレートの含有量は、紫外線硬化型組成物に含まれる紫外線硬化性化合物中の45〜80質量%であることが好ましく、50〜80質量%であることが好ましく、60〜70質量%であることが特に好ましい。エポキシ(メタ)アクリレート含有量を当該範囲とすることで、高温高湿環境下において優れた耐久性に加え、硬化時や高温高湿環境下での反りの低減等の特性制御を好適に行うことができる。
【0053】
本発明で使用するエポキシ(メタ)アクリレートのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量(Mw)としては、500〜20000であることが好ましく、800〜5000であることがより好ましい。エポキシ(メタ)アクリレートの構造、分子量を上記の範囲とすることにより、本発明の紫外線硬化型組成物を使用した光ディスクの耐久性及び耐光性がより優れたものとなる。なお、GPCによる重量平均分子量は、例えば、東ソー(株)社製 HLC−8020を用い、カラムはGMHxl−GMHxl−G200Hxl−G1000Hxlwを使用し、溶媒はTHFを用い、1.0ml/minの流量でカラム温度が40℃、検出器温度が30℃、分子量は標準ポリスチレン換算で測定を行うことで特定される。
【0054】
[ウレタン(メタ)アクリレート]
本発明の紫外線硬化型組成物は、ウレタン(メタ)アクリレートを含有する。ウレタン(メタ)アクリレートの有するウレタン結合により凝集性が向上し、凝集破壊が生じにくくなるため、得られる硬化物は好適な密着性を有する。また、酸素移動を抑制できることから、表面硬度の向上にも貢献する。
【0055】
本発明に使用するウレタン(メタ)アクリレートとしては、分子内に2個以上のイソシアネート基を有する化合物と、ヒドロキシル基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物と、分子内に2個以上のヒドロキシル基を有する化合物とから得られるウレタン(メタ)アクリレートを好ましく使用できる。また、ヒドロキシル基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物と、分子内に2個のイソシアネート基を有する化合物とを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレートは、上記式(1)で表されるシリコーン化合物との相溶性に特に優れるため好ましく使用できる。
【0056】
分子内に2個以上のイソシアネート基を有する化合物としては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、シクロヘキサンジイソシアネート、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネートなどのポリイソシアネート類が挙げられる。なかでも、分子内に2個のイソシアネート基を有するジイソシアネート化合物を好ましく使用でき、特にトリレンジイソシアネートは、色相の悪化が無く、かつ光線透過性も低下することがなく、また、シリコーン化合物との相溶性に貢献するため特に好ましい。
【0057】
ヒドロキシル基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物としては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等があり、さらにこれらの(メタ)アクリレートと2個以上のヒドロキシル基を有する化合物とを反応させて得られる化合物でも良い。あるいは2個以上のヒドロキシキル基を有する化合物と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる化合物でも良く、例えばグリシジルエーテル化合物と(メタ)アクリル酸との付加反応物、グリコール化合物のモノ(メタ)アクリレート体等が挙げられる。
【0058】
2個以上のヒドロキシル基を有する化合物としては、ポリオール類が好ましく用いられ、その具体例としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、エオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,3,5−トリメチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、グリセリン、1,2−ジメチロールシクロヘキサン、1,3−ジメチロールシクロヘキサン、1,4−ジメチロールシクロヘキサン等のアルキレンポリオール類等の多量体としての高分子ポリオールが挙げられる。
【0059】
なかでも、エーテル結合を有するポリエーテルポリオール、多塩基酸との反応や環状エステルの開環重合により得られるエステル結合を有するポリエステルポリオール、又は、カーボネートとの反応により得られるカーボネート結合を有するポリカーボネートポリオールであることが好ましい。これらポリオール類の少なくとも一部、好ましくはポリオール類全量中の15モル%以上、更に好ましくはポリオール類全量中の30モル%以上は、分子量500〜2500であるのが好ましい。
【0060】
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、前記ポリオール類の多量体のほかに、テトラヒドロフラン等の環状エーテルの開環重合体としてのポリテトラメチレングリコール等、及び、前記ポリオール類の、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−ブチレンオキサイド、1,3−ブチレンオキサイド、2,3−ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン、スチレンオキサイド、エピクロルヒドリン等のアルキレンオキサイドの付加物等が挙げられる。
【0061】
ポリエステルポリオールとしては、例えば、前記ポリオール類と、マレイン酸、フマール酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸等の多塩基酸との反応物、及び、カプロラクトン等の環状エステルの開環重合体としてのポリカプロラクトン等が挙げられる。
【0062】
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、前記ポリオール類と、エチレンカーボネート、1,2−プロピレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート等のアルキレンカーボネート、又は、ジフェニルカーボネート、4−メチルジフェニルカーボネート、4−エチルジフェニルカーボネート、4−プロピルジフェニルカーボネート、4,4’−ジメチルジフェニルカーボネート、2−トリル−4−トリルカーボネート、4,4’−ジエチルジフェニルカーボネート、4,4’−ジプロピルジフェニルカーボネート、フェニルトルイルカーボネート、ビスクロロフェニルカーボネート、フェニルクロロフェニルカーボネート、フェニルナフチルカーボネート、ジナフチルカーボネート等のジアリールカーボネート、あるいは、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、ジ−n−ブチルカーボネート、ジイソブチルカーボネート、ジ−t−ブチルカーボネート、ジ−n−アミルカーボネート、ジイソアミルカーボネート等のジアルキルカーボネート等との反応物等が挙げられる。
【0063】
使用するポリオールは、1種であっても2種以上を併用してもよいが、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール及びポリカーボネートポリオールの2種以上を併用したウレタン(メタ)アクリレートが好ましく、2種を併用することがより好ましい。これらポリオールを併用することで、得られる硬化膜の高温高湿環境下における耐変形性や、表面硬度を好適に調整しやすくなる。2種の併用の例としては、表面硬度を高くする場合には、ポリエステルポリオールとポリカーボネートポリオールとの併用が好ましく、耐湿熱変形性を向上させる場合には、ポリエーテルポリオールとを併用させることが好ましい。これらの中間的な特性とする場合には、ポリエーテルポリオールとポリカーボネートポリオールとを併用することが好ましい。
【0064】
ポリオール併用時における各ポリオールの含有量としては、使用するポリオールの全量に対して、ポリエーテルポリオールは20〜90質量%であることが好ましく30〜80質量%であることがより好ましい。ポリエステルポリオールの含有量としては、10〜70質量%であることが好ましく、20〜60質量%とすることがより好ましい。ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールの含有量を当該範囲とすることで、硬化物の表面硬度や耐湿熱特性が得られやすい。
【0065】
また、本発明に使用するウレタン(メタ)アクリレートは、芳香環を有さない構造のものであると透明性が高くなるため好ましい。
【0066】
本発明に使用するウレタン(メタ)アクリレートとしては、ポリエーテル骨格のウレタンアクリレートとして、大日本インキ化学工業(株)社製FAU−742TP、FAU−306、ポリエステル骨格のウレタンアクリレートとして、コグニスジャパン(株)社製Photomer−6892、ダイセルサイテック(株)社製Ebecryl−8405等が好ましく例示できる。
【0067】
本発明の紫外線硬化型組成物中のウレタン(メタ)アクリレートの含有量は、紫外線硬化型組成物に含まれる紫外線硬化性化合物中の5〜20質量%であることが好ましく、5〜15質量%であることが特に好ましい。ウレタン(メタ)アクリレート含有量を当該範囲とすることで硬化膜に適度な柔軟性を付与することが可能となり、特に湿度ショックを与えたときの反り変化が小さくなる。
【0068】
本発明で使用するウレタン(メタ)アクリレートのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量(Mw)としては、1000〜20000であることが好ましく、1500〜10000であることがより好ましい。これにより、本発明の紫外線硬化型組成物を使用した光ディスクの耐久性及び耐光性がより優れたものとなる。
【0069】
[単官能、二官能又は多官能アクリレート]
本発明においては、エポキシ(メタ)アクリレートやウレタン(メタ)アクリレート等のオリゴマーと併用して、一分子中に一の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート(以下、単官能(メタ)アクリレートと略記する)や、一分子中に二個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート(以下、二官能の(メタ)アクリレートと略記する。)、更には一分子中に三以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート(以下、多官能の(メタ)アクリレートと略記する。)等の(メタ)アクリレートモノマーを使用することで、所望の粘度、硬化後の弾性率を有する組成物を得ることができる。
【0070】
他の紫外線硬化性化合物としては、各種(メタ)アクリレートを使用でき、例えば単官能(メタ)アクリレートとしては、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の脂肪族(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチルテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の芳香族(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、テトラシクロドデカニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の脂環式(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−メチルビシクロヘプタンアダマンチル(メタ)アクリレート、などを使用できる。
【0071】
中でも、テトラヒドロフルフリルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、エトキシエトキシエチルアクリレートを用いた場合、膜厚変化量が少なく、反り変化量も少なくなるため、好ましい。
【0072】
二官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール1モルに4モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性アルキル化リン酸ジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、脂環式構造を有する(メタ)アクリレートとしては、脂環式の二官能(メタ)アクリレートとして、ノルボルナンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ノルボルナンジエタノールジ(メタ)アクリレート、ノルボルナンジメタノールにエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド2モル付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジエタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールにエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド2モル付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、ペンタシクロペンタデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ペンタシクロペンタデカンジエタノールジ(メタ)アクリレート、ペンタシクロペンタデカンジメタノールにエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド2モル付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、ペンタシクロペンタデカンジエタノールにエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド2モル付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、等を使用できる。
【0073】
なかでもトリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、等が好ましく、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0074】
また、硬化後の弾性率を高く調整したい場合に、三官能以上の(メタ)アクリレートを使用することができる。例えば、ビス(2−アクリロイルオキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、ビス(2−アクリロイルオキシプロピル)ヒドロキシプロピルイソシアヌレート、ビス(2−アクリロイルオキシブチル)ヒドロキシブチルイソシアヌレート、ビス(2−メタクリロイルオキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、ビス(2−メタクリロイルオキシプロピル)ヒドロキシプロピルイソシアヌレート、ビス(2−メタクリロイルオキシブチル)ヒドロキシブチルイソシアヌレート、トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2−アクリロイルオキシプロピル)イソシアヌレート、トリス(2−アクリロイルオキシブチル)イソシアヌレート、トリス(2−メタクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2−メタクリロイルオキシプロピル)イソシアヌレート、トリス(2−メタクリロイルオキシブチル)イソシアヌレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン1モルに3モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たトリオールのジ又はトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのポリ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート、等を使用できる。
【0075】
また、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、ビニルエーテルモノマー等の紫外線硬化性化合物も必要に応じて使用できる。
【0076】
本発明における紫外線硬化型組成物に含まれる紫外線硬化性化合物全量中の単官能(メタ)アクリレートの含有量としては、3〜40質量%であることが好ましく、5〜30質量%であることが好ましい。二官能(メタ)アクリレートの含有量は3〜40質量%であることが好ましく、5〜35質量%であることが好ましい。また、エポキシ(メタ)アクリレート以外の三官能以上の(メタ)アクリレートの含有量は、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることが好ましい。
【0077】
本発明の紫外線硬化型組成物は、上記紫外線硬化性化合物を調整し、粘度を800〜3000mPa・s、好ましくは1000〜2500mPa・sとすることで、厚膜の光透過層を好適に形成できる。
【0078】
本発明の紫外線硬化型組成物は、紫外線を照射した後の硬化膜の弾性率が、100〜2000MPa(25℃)となるように調整することが好ましい。中でも200〜1500MPaとなる組成であることがより好ましい。弾性率がこの範囲となる組成であると、硬化時の歪みが緩和され易く、高温高湿環境下に長時間曝されても反りの変化量が少ない光ディスクを得ることができる。耐磨耗性の向上に際し、硬化膜の弾性率を高くして硬い硬化膜としても反りが大きくなるため、光透過層、特に短波長のブルーレーザーにより信号の記録・再生を行う光ディスクにおける厚膜の光透過層として使用する際には、これら反りが生じない上記弾性率の範囲とすることで、好適に信号を記録・再生できる。
【0079】
[開始剤、添加剤]
本発明の光透過層用紫外線硬化型組成物中には、エポキシ(メタ)アクリレートおよび上記単官能、二官能又は多官能(メタ)アクリレートの以外に、公知の光重合開始剤、及び熱重合開始剤等を用いる事が出来る。
【0080】
本発明に使用できる光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインイソブチルエーテル、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ベンジル、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン及び2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン等の分子開裂型や、ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、イソフタルフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルスルフィド等の水素引き抜き型の光重合開始剤等がある。
【0081】
本発明に使用する紫外線硬化型組成物には、必要に応じて、添加剤として、界面活性剤、レベリング剤、熱重合禁止剤、ヒンダードフェノール、ホスファイト等の酸化防止剤、ヒンダードアミン等の光安定剤を使用することもできる。また、増感剤として、例えば、トリメチルアミン、メチルジメタノールアミン、トリエタノールアミン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、N,N−ジメチルベンジルアミン及び4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等が使用でき、更に、前記の光重合性化合物と付加反応を起こさないアミン類を併用することもできる。
【0082】
[光ディスク]
本発明の光ディスクは、基板上に、少なくとも光反射層と光透過層とが形成され、光透過層を通してレーザー光により記録又は再生を行う光ディスクであって、光透過層が、上記の紫外線硬化型組成物の硬化物からなるものである。本発明の光ディスクは、光透過層として、上記した紫外線硬化型組成物を使用することにより、高温高湿下でも、銀又は銀合金を反射膜として使用した場合に、優れた耐久性を得ることができるため、良好に情報の記録・再生を行うことができる。
【0083】
本発明の光ディスクにおける光透過層は、レーザー光の発振波長が370〜430nmであるブルーレーザーを効率良く透過することが好ましく、100μmの厚さにおいて405nmの光の透過率が85%以上であることが好ましく、90%以上であることが特に好ましい。
【0084】
本発明の光ディスクにおける光透過層の厚みは70〜110μmであることが好ましい。光透過層の厚みは、通常、約100μmに設定されるが、厚みは光透過率や信号の読み取り及び記録に大きく影響を及ぼすため、十分な管理が必要である。光透過層は、当該厚さの硬化層単層で形成されていても、複数層が積層されていてもよい。
【0085】
光反射層としては、レーザー光を反射し、記録・再生が可能な光ディスクを形成できるものであればよく、例えば、金、銅、アルミニウムなどの金属又はその合金、シリコンなどの無機化合物を使用できる。なかでも、400nm近傍の光の反射率が高いことから銀又は銀を主成分とする合金を使用することが好ましい。光反射層の厚さは、10〜60nm程度の厚さとすることが好ましい。
【0086】
基板としては、ディスク形状の円形樹脂基板を使用でき、当該樹脂としてはポリカーボネートを好ましく使用できる。光ディスクが再生専用の場合には、基板上に情報記録を担うピットが光反射層と積層される表面に形成される。
【0087】
また、書込可能な光ディスクの場合には、光反射層と光透過層との間に情報記録層が設けられる。情報記録層としては、情報の記録・再生が可能であればよく、相変化型記録層、光磁気記録層、あるいは有機色素型記録層のいずれであってもよい。
【0088】
情報記録層が相変化型記録層である場合には、当該情報記録層は通常、誘電体層と相変化膜から構成される。誘電体層は、相変化層に発生する熱を緩衝する機能、ディスクの反射率を調整する機能を求められ、ZnSとSiOの混合組成が用いられる。相変化膜は、膜の相変化により非晶状態と結晶状態で反射率差を生じるものであり、Ge−Sb−Te系、Sb−Te系、Ag−In−Sb−Te系合金を用いることができる。
【0089】
本願発明の光ディスクは、情報記録部位が二つ以上形成されていても良い。例えば、再生専用光ディスクの場合には、ピットを有する基板上に、第一の光反射層、第一の光透過層が積層され、当該第一の光透過層上又は他の層を積層し、当該層上に第二の光反射層、第二の光透過層を形成してもよい。この場合には第一の光透過層やこれに積層する他の層上にピットが形成される。また、記録・再生可能な光ディスクの場合は、基板上に、情報記録層、光反射層及び光透過層が積層された構成を有するものであるが、当該光透過層上に更に、第二の光反射層、第二の情報記録層、第二の光透過層を形成して二層の情報記録層を有する構成、あるいは、同様に層を積層して三層以上の情報記録層を有する構成としてもよい。複数層を積層する場合には、各層の層厚さの和が上記の厚さになるように適宜調整すればよい。
【0090】
また、本発明の光ディスクにおいては、光透過層が最表面の層であってもよいが、更にその表層に表面コート層を設けてもよいが、光透過層を最表層とすることで工程が簡略化できるため好ましい。
【0091】
本発明の光ディスクは、100μm厚の光透過層を有する光ディスクを、80℃85%RH240時間の高温高湿環境下に曝露した後の反射率変化量が、4.0%以下であることが好ましく、2.0%以下であることが特に好ましい。
【0092】
本発明の光ディスクは、100μm厚の光透過層を有する光ディスクを、80℃85%RH240時間の高温高湿環境下に曝露した後の反り変化量が±1.0°以内であることが好ましく、±0.5°以内であることが特に好ましい。さらに、25℃85%RHから25℃30%RHのように湿度のみを急激に変化させた場合の反り変化量のついても、±1.0°以内であることが好ましく、±0.5°以内であることが特に好ましい。
【0093】
また、光透過層を10日間蛍光灯暴露した際の反射率変化量化が、4.0%以内であることが好ましく、2.0%以内であることが特に好ましい。
【0094】
本発明の光ディスクには、再生専用のディスクと、記録・再生可能なディスクがある。再生専用のディスクは、1枚の円形樹脂基板を射出成形する際に、情報記録層であるピットを設け、次いで該情報記録層上に光反射層を形成し、更に、該光反射層上に紫外線硬化型組成物をスピンコート法等により塗布した後、紫外線照射により硬化させて光透過層を形成することにより製造することができる。また、記録・再生可能なディスクは、1枚の円形樹脂基板上に光反射層を形成し、次いで相変化膜、又は光磁気記録膜等の情報記録層を設け、更に、該光反射層上に紫外線硬化型組成物をスピンコート法等により塗布した後、紫外線照射により硬化させて光透過層を形成することにより製造することができる。
【0095】
光反射層上に塗布した紫外線硬化型組成物を紫外線照射することにより硬化させる場合、例えばメタルハライドランプ、高圧水銀灯などを用いた連続光照射方式で行うこともできるし、USP5904795記載の閃光照射方式で行うこともできる。効率よく硬化出来る点で閃光照射方式がより好ましい。
【0096】
紫外線を照射する場合、積算光量は0.05〜1J/cmとなるようにコントロールするのが好ましい。積算光量は0.05〜0.8J/cmであることがより好ましく、0.05〜0.6J/cmであることが特に好ましい。本発明の光ディスクに使用する紫外線硬化型組成物は、積算光量が少量であっても、十分に硬化し、光ディスク端面や表面のタックが発生せず、更に光ディスクの反りや歪みが発生しない。
【0097】
[実施態様]
以下、本発明の光ディスクの具体例として、単層型光ディスク及び二層型光ディスクの具体的構成の一例を以下に示す。
【0098】
本発明の光ディスクのうち、単層型光ディスクの好ましい実施態様としては、例えば、図1に示したように、基板1上に、光反射層2と、光透過層3とが積層され、光透過層側からブルーレーザーを入射して情報の記録又は再生を行う構成が例示できる。図中の凹凸は、記録トラック(グルーブ)を模式的に表したものである。光透過層3は、本発明の紫外線硬化型組成物の硬化物からなる層であり、その厚さは100±10μmの範囲である。基板1の厚さは1.1mm程度、光反射膜は銀等の薄膜である。
【0099】
図2は図1に示した構成の最表層にハードコート層4を設けた構成である。ハードコート層は、高硬度で、耐摩耗性に優れる層であることが好ましい。ハードコート層の厚さは、1〜10μmであることが好ましく、3〜5μmであることがより好ましい
多層型光ディスクの好ましい実施態様としては、例えば、図3に示したように、基板1上に、光反射層5と、光透過層6とが積層され、さらにその上に、光反射層2と、光透過層3とが積層され、光透過層3側からブルーレーザーを入射して情報の記録又は再生を行う二層型光ディスクの構成が例示できる。光透過層3及び光透過層6は、紫外線硬化型組成物の硬化物からなる層であり、少なくともいずれかの層が本発明の紫外線硬化型組成物からなる層である。層の厚さとしては、光透過層3の厚さと光透過層6の厚さの和が100±10μmの範囲である。基板1の厚さは1.1mm程度、光反射膜は銀等の薄膜である。
【0100】
当該構成の二層型光ディスクにおいては、記録トラック(グルーブ)が、光透過層6の表面にも形成されるため、光透過層6は、接着性に優れる紫外線硬化型組成物の硬化膜からなる層の上に、記録トラックを好適に形成できる紫外線硬化型組成物の硬化膜からなる層を積層した複層で形成されていてもよい。また当該構成においても最表層にハードコート層が設けられていてもよい。
【0101】
図1に示す光ディスクの製造方法を以下に説明する。
まず、ポリカーボネート樹脂を射出成形することによって、記録トラック(グルーブ)と呼ばれるレーザー光をトラッキングするための案内溝を有する基板1を作製する。次に基板1の記録トラック側の表面に、銀合金などをスパッタまたは蒸着することにより光反射層2を成膜する。この上に本発明の紫外線硬化型組成物を塗布し、ディスクの片面または両面から紫外線を照射して、紫外線硬化型組成物を硬化させ、光透過層3を形成し、図1の光ディスクを作製する。図2の光ディスクの場合には、この上に更にスピンコート等によりハードコート層4を形成する。
【0102】
図3に示す光ディスクの製造方法を以下に説明する。
まず、ポリカーボネート樹脂を射出成形にすることによって、記録トラック(グルーブ)と呼ばれるレーザー光をトラッキングするための案内溝を有する基板1を作製する。次に、基板1の記録トラック側の表面に、銀合金などをスパッタまたは蒸着することにより光反射層6を成膜する。
【0103】
この上に、本発明の紫外線硬化型組成物又は任意の紫外線硬化型組成物の光透過層5を形成するが、その際に型を用いて表面に記録トラック(グルーブ)を転写する。記録トラック(グルーブ)を転写する工程は次の通りである。基板1に形成された光反射層6上に紫外線硬化型組成物を塗布し、その上に記録トラック(グルーブ)を形成するための型と貼り合わせ、この貼り合わせたディスクの片面または両面から紫外線を照射して、紫外線硬化型組成物を硬化させる。その後、型を剥離して、光透過層5の記録トラック(グルーブ)を有する側の表面に、銀合金などをスパッタまたは蒸着することにより光反射層2を成膜し、この上に、紫外線硬化型組成物を塗付した後、紫外線照射により硬化させ、光透過層3を形成することで、図3の光ディスクを作製できる。また、光反射層に相変化型記録層を用いる場合でも上記と同様の方法により光ディスクを作成することができる。
【実施例】
【0104】
次に、合成例及び実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。以下実施例中の「部」は「質量部」を表す。
【0105】
下記表1に示した組成(表中の組成の数値は質量部を表す)により配合した各組成物を60℃で3時間加熱、溶解して、実施例1〜5及び比較例1〜5の各実施例及び比較例の紫外線硬化型組成物を調製した。得られた組成物について、下記の評価を行い、得られた結果を表1〜2に示す。
【0106】
<粘度の測定方法>
紫外線硬化型組成物について、25℃における粘度をB型粘度計((株)東京計器製、BM型)を用いて測定した。
【0107】
<透明性評価>
紫外線硬化型組成物について、調整した組成物の透明性を外観目視により観察した。
【0108】
<弾性率の測定方法>
紫外線硬化型組成物を、ガラス板上に硬化塗膜が100±10μmになるように塗布した後、メタルハライドランプ(コールドミラー付き、ランプ出力120W/cm)を用いて窒素雰囲気中で500mJ/cmで硬化させた。この硬化塗膜の弾性率をティー・エイ・インストルメント(株)社の自動動的粘弾性測定装置で測定し、25℃における動的弾性率E’を弾性率とした。
【0109】
<光ディスクの作成条件>
直径120mm、厚さ1.2mmの光ディスク基板を準備し、銀を主成分とするビスマスとの合金を20〜40nmの膜厚でスパッタした後、該金属反射膜上に、表2の各紫外線硬化型組成物をスピンコーターで膜厚が硬化後に100±10μmになるように塗布し、コールドミラー付きメタルハライドランプ120W/cmを用いて照射量500mJ/cm(アイグラフィックス社製光量計UVPF−36)の紫外線を2回照射、硬化して試験用ディスクサンプルを得た。
【0110】
<光ディスクの耐久試験>
各サンプルについて環境試験器「PR−2PK」(エスペック(株))を使用して、80℃85%RH240時間の高温高湿環境下での曝露(耐久試験)を行った。
【0111】
試験前後のサンプルについて、光透過層の側から、分光光度計「UV−3100」(島津製作所(株)製)で405nmにおける正反射率を測定し、下記基準に基づき評価を行った。
○:試験前後の反射率の変化が1.0%以内
×:試験前後の反射率の変化が1.0%を越える
【0112】
同様の試験前後のサンプルについて、Dr.Schwab社製 Argus Blu を用い、反りの変化量を測定した。半径位置が40mmから45mm位置でのRadial Tiltの平均値から反り変化量を測定し、下記基準に基づき評価を行った。
○:試験前後の反りの変化が±1.0°以内
×:試験前後の反りの変化が±1.0°を越える
【0113】
<光ディスクの湿度ショック試験>
各サンプルについて環境試験器「PR−2PK」(エスペック(株))を使用して、25℃85%RH48時間経過した後、25℃30%RHまで急速に湿度のみを下げた。(湿度ショック試験)。環境試験器から取り出して3時間後に、Dr.Schwab社製 Argus Blu を用い反り測定をおこなった。半径位置が40mmから45mm位置でのRadial Tiltの平均値から試験前後の反り変化量を求め、前述の評価基準に基づき反り変化を評価した。
【0114】
<光ディスクの摩耗試験>
各サンプルについて、テーバー摩耗試験器ロータリアブレッサー((株)東洋精機製)にて摩耗輪CS−10Fを用い加重250gにて50回転摩耗した。その後、JIS K7105に従い、分光光度計「UV−3100」(島津製作所(株)製)にて405nmにおける全光線透過光量と拡散光量を測定し拡散透過率を算出し、下記基準に基づき評価を行った。
○:試験前後の拡散透過率が 2.0以内
×:試験前後の拡散透過率が 2.0を越える
【0115】
【表1】

【0116】
【表2】

【0117】
表中の記号は以下のとおりである。
・UE−8080:大日本インキ化学工業(株)製 変性ビスフェノールA型エポキシアクリレート(式(iii)におけるAがエチレングリコールとアジピン酸からなるポリエステルジカルボン酸であり、Bが式(iv)(式(iv)中のEが−C(CH3)−、i2が0)で表される基であるエポキシ(メタ)アクリレート)
・V−5810:大日本インキ化学工業(株)製 エポキシアクリレート(ビスフェノールA型エポキシ樹脂のグリシジル基に直接アクリル酸が付加した構造のエポキシアクリレート/トリシクロデカンジメタノールジアクリレート/フェノキシエチルアクリレート=7/3/3質量比の混合物)
・UA1:ポリテトラメチレングリコール(Mw850)1モルとトリレンジイソシアネート2モル反応後ヒドロキシエチルアクリレート2モルを反応させて得たウレタンアクリレート
・UA−160TM:新中村化学工業(株)製 ウレタンアクリレート(ポリテトラメチレングリコール(Mw900)1モルとイソホロンジイソシアネート2モル反応後ヒドロキシエチルアクリレート2モルを反応させて得たウレタンアクリレート)
・UA2:カプロラクトン変性したヒドロキシエチルアクリレート2モルとトリレンジイソシアネート1モルを反応させて得たウレタンアクリレート
・Ph4017:コグニス製 1,6−ヘキサンジオールジアクリレート
・PETA:ペンタエリスリトールテトラアクリレート
・TMPTA:トリメチロールプロパントリアクリレート
・TPGDA:トリプロピレングリコールジアクリレート
・NPGDA:ネオペンチルグリコールジアクリレート
・PHE:大阪有機化学工業(株)製 フェノキシエチルアクリレート
・V−150:大阪有機化学工業(株)製 テトラヒドロフルフリールアクリレート
・A−CMP−1E:新中村化学工業製 パラクミルフェノキシエチレングリコールアクリレート
・HEA:2−ヒドロキシエチルアクリレート
・Irg184:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
・Dorocure1173:2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン
・TEGO Rad 2200N:反応性ポリシロキサン、degussa製、
*式(1)におけるnが3、n/mが1/10、Rが−CHCHCH−(式中、Xは平均20個の−OC−と平均6個の−OC−がランダムに結合した基を表す。なお、Xは式(1)中のアクリロイル基と結合する。)、Rが水素原子である化合物であり、数平均分子量4000である化合物。
【0118】
表1〜2に示すように、実施例の光ディスクは、光透過性に優れ、耐久試験後の反射率変化や反り変化、温度ショック時における反り変化が小さく、耐久試験において良好な結果を示した。また、耐摩耗性試験においても優れた耐摩耗性を示した。一方、シリコーン化合物を含有しない比較例2の光ディスクは耐摩耗性が良好でなく、更にエポキシアクリレートを含有しない比較例1の光ディスクは、耐摩耗性が劣ると共に、反射率の変化が大きいものであった。また、シリコーン化合物を含有せず、単に弾性率を向上させた比較例3及び4の光ディスクは耐久試験時の反り変化が大きく、光透過層へ適用できないものであった。また、ウレタンアクリレートを含有しない比較例5の光ディスクは、耐久試験時の収縮を緩和できず、反りが大きいものであった。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】本発明の単層型光ディスクの一例を示す図である。
【図2】本発明の単層型光ディスクの一例を示す図である。
【図3】本発明の二層型光ディスクの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0120】
1 基板
2 光反射層
3 紫外線硬化型組成物の光透過層
4 ハードコート層
5 光反射層
6 紫外線硬化型組成物の光透過層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、少なくとも光反射層と、光透過層とが積層され、前記光透過層側からブルーレーザーを入射して情報の再生を行う光ディスクであって、
前記光透過層が紫外線硬化型組成物の硬化物からなり、厚さが70〜110μm、25℃における弾性率が100〜2000MPaであり、
前記紫外線硬化型組成物が、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、アクリレートモノマー及び式(1)
【化1】

(式中、Xは式(2)
【化2】

(式中、Rは、炭素数1〜18のアルキレン基、及び、炭素数2〜18の複数のアルキレン基がエーテル結合により連結された構造を有する2価の基から選択される1種又は2種以上の基を連結させた2価の基を表し、RはSiと直結していてもよいし、酸素原子を介して結合していてもよく、Rは水素原子又はメチル基を表す。)
で表されるn個の構造単位、
及び、式(3)
【化3】

で表されるm個の構造単位が、ランダム状又はブロック状に連なった構造の基を表す。但し、nは1〜15の整数であり、n/mは1/5〜1/20である。また、式(2)及び式(3)で表される構造単位は、これらの構造単位同士で、又は分子内の他の構造部分と酸素−酸素結合により連結することはない。)
で表されるシリコーン化合物を含有し、25℃におけるB型粘度が800〜3000mPa・Sであることを特徴とする光ディスク。
【請求項2】
前記紫外線硬化型組成物中の式(1)で表されるシリコーン化合物の含有量が、紫外線硬化性組成物に対して0.05〜5質量部である請求項1に記載の光ディスク。
【請求項3】
前記式(1)で表されるシリコーン化合物の数平均分子量が2000〜12000である請求項1又は2に記載の光ディスク。
【請求項4】
前記紫外線硬化型組成物が、前記エポキシ(メタ)アクリレートを紫外線硬化型組成物に含まれる紫外線硬化性化合物中の45〜80質量%、前記ウレタン(メタ)アクリレートを紫外線硬化型組成物に含まれる紫外線硬化性化合物中の5〜20質量%含有し、前記アクリレートモノマーとして二官能(メタ)アクリレートを紫外線硬化型組成物に含まれる紫外線硬化性化合物中の3〜40質量%含有する請求項1〜3のいずれかに記載の光ディスク。
【請求項5】
前記エポキシ(メタ)アクリレートが、下式(iii)で表されるエポキシ(メタ)アクリレートである請求項1〜4のいずれかに記載の光ディスク。
【化4】


[式(iii)中、Aは、下式(v)
【化5】

(式(v)中、Jは、水素原子が炭素数1〜6のアルキル基により置換されていても良い2価の芳香族炭化水素基又は分岐鎖を有していても良い炭素数2〜10の2価の脂肪族炭化水素基を表し、Lは、分岐鎖を有していても良い炭素数2〜20の2価の脂肪族炭化水素基又は−(RO)−R−(Rは分岐鎖を有していても良い炭素数2〜8のアルキレン基を表し、pは1〜10の整数である。)で表される基であり、kは1〜20の整数を表す。)
で表わされる基であり、Bは式(iv)
【化6】

(式(iv)中、Eは−SO−、−CH−、−CH(CH)−又は−C(CH−を表し、iは0〜8の整数を表す。)
で表される基であり、Dはそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表す。]
【請求項6】
前記ウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量が500〜20000である請求項1〜5のいずれかに記載の光ディスク。
【請求項7】
前記ウレタン(メタ)アクリレートが、分子内に2個以上のイソシアネート基を有する化合物と、ヒドロキシル基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物と、分子内に2個以上のヒドロキシル基を有する化合物とから得られるウレタン(メタ)アクリレート、又は、ヒドロキシル基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物と、分子内に2個のイソシアネート基を有する化合物とを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレートである請求項1〜6のいずれかに記載の光ディスク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−44852(P2010−44852A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−224376(P2009−224376)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【分割の表示】特願2009−503342(P2009−503342)の分割
【原出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【出願人】(000002886)DIC株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】