説明

光モジュール

【課題】ミラー部材を用いながら、コアと光電変換素子との間での光の損失が低減された光モジュールを提供する。
【解決手段】光トランシーバ(10)は、透光性を有するとともに、少なくとも表面の一部にアンダークラッド層(58)を有する基板と、アンダークラッド層(58)に沿って延びるコア(60)と、アンダークラッド層(58)と協働してコア(60)を囲むオーバークラッド層(62)と、基板に設けられた導体パターンと、基板に対し、コア(60)とは反対側に固定された光電変換素子(38)と、コア(60)の端面と光電変換素子(38)との間を延びる光路に配置されるミラー面(56)を有し、アンダークラッド層(58)に固定されるミラー部材(48)と、コア(60)の端面とミラー面(56)との間に設けられ、アンダークラッド層(58)よりも高い屈折率を有する光導波部材(64)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばデータセンターにおけるサーバとスイッチ間の接続や、デジタルAV(オーディオ・ビジュアル)機器間の接続では、伝送媒体として、メタル線の外に、光ファイバーも用いられている。
光ファイバーを用いる場合、電気信号を光信号に、或いは、光信号を電気信号に変換する光トランシーバが必要になる。
【0003】
光トランシーバとして、例えば、ハウジング内にFPC(フレキシブルプリント回路)基板を有する構成が検討されている。FPC基板には、ポリマー光導波路が一体に設けられるとともに、ミラー、光電変換素子、及び、ICチップが実装される。
光電変換素子が面発光型若しくは面受光型である場合、光電変換素子は、ポリマー光導波路及びミラーとは反対側に実装される。すなわち、ポリマー光導波路と光電変換素子との間の光路は、ミラーで曲げられてFPC基板を貫通して延びる。
また、短距離の伝送として、例えば、携帯電話へのポリマー光導波路の利用が検討されている。この場合も、上記と同様の構成でミラーが必要となる。
【0004】
ミラーとしては、ポリマー光導波路の端面に金属膜を蒸着して形成されるものの外に、特許文献1が開示するミラー付光導波路の場合のように、ミラーブロックを採用することができる。特許文献1では、ミラーブロックは、接着剤としてクラッド材を用いて、FPC基板に対して固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−183467号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ミラーブロックを用いた場合、コアの端面とミラーブロックのミラー面との間に不可避的に隙間が生じる。この隙間の存在により、コアの端面から出射した光が拡散し、ミラー面から外れてしまう。とくに、ミラー面は傾斜しており、コアの端面とミラー面との間の距離はFPC基板側で広くなっているため、FPC基板側において、光がミラー面から外れてしまう。また、この隙間の存在により、コアの端面で光が反射されてしまう。
【0007】
このため、ミラーブロックを用いた場合、コアと光電変換素子との間で光の損失が発生してしまうという問題が生じる。なおこのような問題は、隙間にクラッド材が充填されていても生じる。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされ、その目的とするところは、ミラー部材を用いながら、コアと光電変換素子との間での光の損失が低減された光モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の一態様によれば、透光性を有するとともに、少なくとも一方の表面の一部にアンダークラッド層を有する基板と、前記アンダークラッド層に沿って延びるコアと、前記アンダークラッド層と協働して前記コアを囲むオーバークラッド層と、前記基板に設けられた導体パターンと、前記基板に対し前記コアとは反対側に固定され、前記導体パターンの一部と電気的に接続された光電変換素子と、前記コアの端面と前記光電変換素子との間を延びる光路に配置されるミラー面を有し、前記アンダークラッド層に固定されるミラー部材と、前記コアの端面と前記ミラー面との間に設けられ、前記アンダークラッド層よりも高い屈折率を有する光導波部材とを備える光モジュールが提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ミラー部材を用いながら、コアと光電変換素子との間での光の損失が低減された光モジュールが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】一実施形態の光トランシーバを備える光アクティブケーブルの概略的な構成を示す斜視図である。
【図2】図1の光トランシーバ近傍を拡大して示す斜視図である。
【図3】図2の光トランシーバを分解して示す概略的な斜視図である。
【図4】図3中の光電変換アセンブリの一方の側を概略的に示す斜視図である。
【図5】図4の光電変換アセンブリにおけるICチップ及び光電変換素子の周辺を拡大して概略的に示す平面図である。
【図6】図3中の光電変換アセンブリの他方の側を概略的に示す斜視図である。
【図7】図6の光電変換アセンブリから補強板を外した状態を概略的に示す斜視図である。
【図8】図7中のミラー部材の一方の側を概略的に示す斜視図である。
【図9】図6の光電変換アセンブリにおけるミラー部材周辺の縦断面を概略的に示す図である。
【図10】図6の光電変換アセンブリにおける、ミラー部材のマーカ凹部と、FPC基板のマーカパターンとの相対的な位置関係を説明するための平面図である。
【図11】図4の光電変換アセンブリの製造工程で用いられる、FPC基板に対するミラー部材の位置合わせの方法を説明するための概略的な断面図である。
【図12】変形例に係る光電変換アセンブリにおけるミラー部材周辺の縦断面を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、一実施形態の光トランシーバ10を備える光アクティブケーブル12の構成を概略的に示す斜視図である。光アクティブケーブル12は、1本の光ケーブル14と、光ケーブル14の両端に取り付けられた2個の光トランシーバ10からなる。光アクティブケーブル12は、例えば、スイッチングハブ等の中継装置同士の接続に適用される。
【0012】
図2は、光ケーブル14の一部とともに、光トランシーバ10を拡大して示す斜視図である。
光トランシーバ10は例えば金属製のハウジング16を有し、ハウジング16は例えば箱形状を有する。ハウジング16の一端からは、シール部材18を介して光ケーブル14が延出する一方、ハウジング16の他端には、開口が形成されている。
ハウジング16の開口内には、例えば1枚の回路基板20の端部が位置している。回路基板20の端部は、中継装置に設けられたスロットに挿入可能である。
【0013】
図3は、光トランシーバ10を分解して概略的に示す斜視図であり、ハウジング16は、例えば相互に分離可能な第1ケース16a及び第2ケース16bからなる。
回路基板20は、例えばガラスエポキシ製のリジッドな基板であって、第2ケース16bに対して固定されている。回路基板20には、例えば銅等の金属からなる所定の導体パターンが形成されており、導体パターンは、回路基板20の端部に配置された複数の電極端子22を含む。電極端子22は、中継装置に設けられた電極端子に電気的に接続される。
【0014】
また、回路基板20には、電極端子22に電気的に繋がっているコネクタ24が取り付けられており、コネクタ24に、光電変換アセンブリ26の一端が接続されている。
一方、光ケーブル14は、少なくとも1本の光ファイバー28を含み、本実施形態では4本の光ファイバー28を含む。光ファイバー28は、シール部材18を通じて、ハウジング16の内部まで延びている。そして、ハウジング16の内部に位置する光ファイバー28の先端は、光電変換アセンブリ26の他端に固定されている。
【0015】
光電変換アセンブリ26は、光ファイバー28から受け取った光信号を電気信号に変換し、電極端子22を通じて中継装置に渡す機能、或いは、中継装置から受け取った電気信号を光信号に変換して光ファイバー28に渡す機能を有する。
図4は、光電変換アセンブリ26の第2ケース16b側を示す斜視図である。光電変換アセンブリ26は、FPC基板(フレキシブルプリント回路基板)30を含み、FPC基板30は、例えば、ポリイミド製の可撓性及び透光性を有するフィルム32と、フィルム32に設けられた例えば銅等の金属からなる導体パターンとからなる。FPC基板30の導体パターンは、フィルム32の一端部に形成された複数の電極端子34を含む。
なお導体パターンは、例えば、フィルム32に成膜された金属膜をエッチングすることにより作成することができる。
【0016】
FPC基板30の一方の面には、所定の位置にICチップ36及び光電変換素子38が例えばフリップチップ実装され、ICチップ36及び光電変換素子38は導体パターンに電気的に接続されている。
本実施形態では、光ファイバー28の数に対応して4つの光電変換素子38が実装され、光電変換素子38は、ICチップ36の一辺の近傍に沿うように並べられている。各光電変換素子38は、LD(レーザダイオード)等の発光素子又はPD(フォトダイオード)等の受光素子であり、ICチップ36は、発光素子のための駆動回路、又は、受光素子のための増幅回路を構成している。
光電変換素子38は、面発光型若しくは面受光型であり、光電変換素子38は、自身の光の出射面若しくは入射面がFPC基板30の面と対向するように配置されている。
【0017】
図5は、図4のICチップ36及び光電変換素子38の周辺を拡大して概略的に示す平面図である。ICチップ36と光電変換素子38とは、導体パターンの一部を構成する電極(第1電極)40a,40bによって電気的に接続されている。そして、ICチップ36は、導体パターンの一部を構成する複数の電極(第2電極)42によって、電極端子34と電気的に接続されている。
【0018】
本実施形態では、好ましい態様として、第2電極42のうちの1つのグランド電極42aが、ICチップ36の端から端まで延びている。そして、ICチップ36の中央に対向する位置にて、グランド電極42aには、例えば四角形の枠形状のマーカパターン44が一体に設けられている。マーカパターン44は、第1電極40a,40b及び第2電極42と同様に、導体パターンの一部を構成している。
【0019】
図6は、光電変換アセンブリ26の第1ケース16a側を示す斜視図であり、FPC基板30の他方の面には、電極端子34とは反対側の端部に、シート状のポリマー光導波路部材46が一体に設けられている。
また、FPC基板30の他方の面には、ミラー部材48が接着剤を用いて固定されている。接着剤としては、例えば、熱硬化型樹脂又はUV硬化型樹脂を用いることができる。そして、ミラー部材48及びポリマー光導波路部材46上には、接着剤を用いて例えば金属やガラス製の補強板50が固定されている。
【0020】
図7は、光電変換アセンブリ26から、補強板50を外した状態を示す概略的な斜視図である。
ポリマー光導波路部材46の端部には、光ファイバー28の数に対応して、ストライプ状に4本の溝が形成され、各溝内に光ファイバー28の先端部が配置されている。
【0021】
図8は、ミラー部材48のFPC基板30側を概略的に示す斜視図である。図8に示したように、ミラー部材48は四角錐台形状を有し、ミラー部材48の1つの壁面(底壁)は、FPC基板30に沿って密着させられる。FPC基板30の長さ方向及び幅方向でのミラー部材48の長さは、好ましくはICチップ36の長さと同等かそれらよりも長い。
【0022】
本実施形態では、好ましい態様として、ミラー部材48の底壁には、例えば1つのマーカ凹部54が形成され、マーカ凹部54は、ミラー部材48の底壁の中央付近に位置している。マーカ凹部54は、FPC基板30に向けて開口しており、例えば、平面でみて四角形状を有する。平面でみたときのマーカ凹部54の大きさは、導体パターンのマーカパターン44の大きさに対応しており、好ましくは、マーカ部凹部54の開口の1辺の長さは50μm以上500μm以下であり、開口面積は7500μm以上250000μm以下である。また、好ましくは、マーカ凹部54の深さは30μm以上300μm以下である。
【0023】
ポリマー光導波路部材46側に位置するミラー部材48の壁面(側壁)は、ミラー面56を構成しており、ミラー部材48の底壁に対して略45°傾いている。従って、ミラー面56は、FPC基板30に対しても略45°傾くことになる。ミラー面56は、溝とは反対側のポリマー光導波路部材46の端面と対向するように配置され、ミラー面56の長手方向は、ポリマー光導波路部材46の端面の長手方向、及び、FPC基板30の幅方向に一致させられている。
【0024】
なお、本実施形態で用いられるミラー部材48は、例えば、樹脂を一体成形してから、ミラー面56になる樹脂の壁面に、金等の金属膜を蒸着して製造される。マーカ凹部54は、樹脂を一体成形する時に形成することができる。
【0025】
図9は、光電変換アセンブリ26のミラー部材48周辺の縦断面を概略的に示す図である。なお、図9中において、補強板50は省略されている。
ポリマー光導波路部材46は、アンダークラッド層58、コア60、及び、オーバークラッド層62を含む。アンダークラッド層58は、FPC基板30に積層され、光の伝送方向から見て断面形状が四角形のコア60がアンダークラッド層58上を延びている。
【0026】
コア60の数は、光ファイバー28の数に対応して4本であり、4本のコア60は相互に離間して平行に配置され、光ファイバー28の先端部と同軸上に位置している。オーバークラッド層58は、アンダークラッド層58と協働してコア60を囲むように、アンダークラッド層58及びコア60の上に積層されている。
アンダークラッド層58、コア60、及び、オーバークラッド層62の材料としては、特に限定されることはないが、例えば、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂及びポリイミド系樹脂等を用いることができる。
【0027】
本実施形態では、アンダークラッド層58が、ミラー面56まで到達するように、フィルム32の表面全域を覆っており、コア60及びオーバークラッド層62が、アンダークラッド層58の端部に積層されている。この場合、アンダークラッド層58が、FPC基板30の表面を構成していると見なすこともできる。
【0028】
コア60の両端は、ポリマー光導波路部材46において、溝の端面及びミラー面56と対向する端面にて表出している。そして、コア60の一端は、光ファイバー28の端部と当接して光学的に結合され、コア60の他端は、対向するミラー面56と光学的に結合されている。
【0029】
また、ミラー部材48は、ミラー面56の位置が、FPC基板30の厚さ方向にて、光電変換素子38の出射面若しくは入射面に対応するように配置されている。つまり、コア60の他端と光電変換素子38との間にて、光路は、ミラー面56によって90°曲げられ、FPC基板30を貫通している。
なおこの配置において、ミラー部材48は、FPC基板30の長手方向にて、ICチップ36の端部近傍から光電変換素子38まで延びている。
【0030】
そして本実施形態では、アンダークラッド層58上におけるコア60とミラー面56との間には、光導波部材64が設けられている。つまり、コア60とミラー面56との間の光路上には光導波部材64が介在している。
光導波部材64は、好ましくは、ミラー部材48の固定に用いられる接着剤からなり、コア60の端面、ミラー面56及びアンダークラッド層58の表面に密着している。光導波部材64は、透光性を有するのは勿論、アンダークラッド層58及びオーバークラッド層62よりも高い屈折率を有する材料からなり、好ましくは、コア60と同じ屈折率を有する材料からなる。別の表現をすれば、光導波部材64の屈折率は、アンダークラッド層58及びオーバークラッド層62よりも、コア60の屈折率に近い。
また好ましくは、光導波部材64は、コア60の材料と同じ材料からなる。
【0031】
図10は、光電変換アセンブリ26における、マーカ凹部54と、FPC基板30の導体パターンのマーカパターン44との相対的な位置関係を説明するための平面図である。図10に示したように、マーカ凹部54がマーカパターン44に重なるように、ミラー部材48は、FPC基板30に対して位置合わせされている。
【0032】
なお、ハウジング16内で光電変換アセンブリ26を安定させるために、例えば、回路基板20のコネクタ24側の面には、ガラス板からなる支持部材が配置され、FPC基板30は、例えば、ミラー部材48、補強板50及び支持部材を介して、第1ケース16a及び回路基板20によって挟持される。
【0033】
以下、上述した光トランシーバ10の製造に用いられる好ましい方法として、FPC基板30に対してミラー部材48を固定する際に、FPC基板30に対しミラー部材48を位置合わせする方法について説明する。
図11は、位置合わせ方法を説明するための図であり、ステージ66上に配置されたFPC基板30の上方に、図示しない適当なホルダーによって支持されたミラー部材48が配置される。
【0034】
そして、FPC基板30とミラー部材48との間に撮像装置としてカメラ68が配置される。カメラ68は、上方と下方の2つの視野を同時に撮影可能な2視野カメラであり、一方の視野にマーカ凹部54が含まれ、他方の視野にマーカパターン44が含まれる。
それから、カメラ68によって撮影された画像に基づいて、マーカ凹部54とマーカパターン44との相対的な位置関係が予め定められた位置関係になるように、ステージ66又はホルダーが水平方向、即ちFPC基板30と平行な方向に移動させられる。
【0035】
かくして位置合わせが終了した後、カメラ68をFPC基板30及びミラー部材48から離れるように水平方向に移動させてから、FPC基板30及びポリマー光導波路部材46の所定位置に接着剤を付与する。
そして、ステージ66又はホルダーを上下方向、即ちFPC基板30の厚さ方向に移動させてミラー部材48とFPC基板30とを密着させてから、熱を加えるか若しくは紫外線を照射して、接着剤を硬化させる。これにより、光導波部材64が形成されると同時に、FPC基板30に対するミラー部材48の固定が終了する。
【0036】
上述した一実施形態の光トランシーバ10によれば、アンダークラッド層58がミラー面56の下まで延び、アンダークラッド層58上に、アンダークラッド層58よりも高い屈折率を有する光導波部材64が設けられているので、コア60の端面から出射した光がFPC基板30に向けて拡がることが抑制される。従って、光トランシーバ10においては、コア60の端面から出射した光が効率的にミラー面56に導かれ、コア60と光電変換素子38との間での光の損失が低減される。また、コア60の端面での光の散乱が低減される。
【0037】
一方、上述した光トランシーバ10においては、その製造工程において、FPC基板30に対してミラー部材48を固定する際、マーカ凹部54とマーカパターン44を目印として用いることによって、FPC基板30に対するミラー部材48の位置合わせが、容易且つ高精度にて行われる。
このため、光トランシーバ10の製造時間が短縮され、ひいては光トランシーバ10の製造コストが削減される。
【0038】
また、位置合わせが高精度にて行われる結果、ミラー面56がポリマー光導波路部材46と衝突することが防止される。これによって、衝突によりミラー面56又はポリマー光導波路部材46のコア60の端面が傷付くことが防止され、光電変換アセンブリ26の歩留まりが向上する。この結果としても、光トランシーバ10の製造コストが削減される。
その上、マーカパターン44はグランド電極42aに繋がっているので、マーカパターン44の電位が浮くことがなく、電位が浮くことによる不具合が生じない。
更に、マーカ凹部54は、FPC基板30と対向するミラー部材48の底壁に形成されているので、マーカ凹部54を設けたことによって、ミラー部材48が大型化することはない。
【0039】
本発明は、上述した一実施形態に限定されることはなく、一実施形態に変更を加えた形態も含む。
【0040】
例えば、上述した一実施形態の光トランシーバ10では、マーカ凹部54及びマーカパターン44の平面形状は、四角形に限定されることはなく他の多角形、円形、若しくは、楕円形等であってもよく、特に限定されることはない。
また、マーカ凹部54は、ミラー部材48のミラー部材48の底壁に形成されていたが、底壁と対向するミラー部材48の天井壁に形成されていてもよい。
また、マーカ凹部54及びマーカパターン44の数はそれぞれ1個に限定されることはなく、2個以上であってもよい。
【0041】
そして、上述した一実施形態の光トランシーバ10の組み立てに際して、1台の2視野カメラにて位置合わせを行ったけれども、2台の1視野カメラを用いてもよい。この場合、2台のカメラのうち1台を、ミラー部材48とFPC基板30との間ではなく、ミラー部材48の上方に配置し、ミラー部材48を天井壁側から撮影するようにしてもよい。
【0042】
上述した一実施形態の光トランシーバ10では、ミラー部材48の材料は樹脂に限定されることはなく、金属やガラス等を用いてもよい。金属製のミラー部材48によれば、ICチップ36及び光電変換素子38で発生した熱を効率的に逃がすことができ、更に信頼性が向上する。
なお、金属製のミラー部材48は、例えば、鋳造によって製造することができ、この場合も、鋳造時にマーカ凹部54を形成することができる。そして、金属製のミラー部材48の場合、材質によっては、ミラー面56のための金属膜を省略してもよい。
【0043】
更に、上述した一実施形態の光トランシーバ10では、FPC基板30がフィルム32を含んでいたけれども、図12に示したように、フィルム32を省略し、アンダークラッド層58に直接導体パターンを形成してもよい。換言すれば、フィルム32がアンダークラッド層58としての機能を有していてもよい。つまり、FPC基板30がポリマー光導波路部材46の一部を兼ねていてもよく、FPC基板30は、一方の表面の少なくとも一部にアンダークラッド層を有していればよい。
【0044】
そこで本明細書では、フィルム32上にアンダークラッド層58が設けられている場合には、フィルム32とアンダークラッド層58を合わせて「基板」というものとし、フィルム32がアンダークラッド層58を兼ねているときには、フィルム32を「基板」という。
最後に、本発明は、光トランシーバ以外の光モジュールにも適用可能であるのは勿論である。
【符号の説明】
【0045】
10 光トランシーバ(光モジュール)
16 ハウジング
20 回路基板
26 光電変換アセンブリ
28 光ファイバー
30 FPC基板
32 フィルム(基板)
36 ICチップ
38 光電変換素子
44 マーカパターン
46 ポリマー光導波路部材
48 ミラー部材
54 マーカ凹部
56 ミラー面
58 アンダークラッド層(基板)
60 コア
62 オーバークラッド層
64 光導波部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性を有するとともに、少なくとも一方の表面の一部にアンダークラッド層を有する基板と、
前記アンダークラッド層に沿って延びるコアと、
前記アンダークラッド層と協働して前記コアを囲むオーバークラッド層と、
前記基板に設けられた導体パターンと、
前記基板に対し前記コアとは反対側に固定され、前記導体パターンの一部と電気的に接続された光電変換素子と、
前記コアの端面と前記光電変換素子との間を延びる光路に配置されるミラー面を有し、前記アンダークラッド層に固定されるミラー部材と、
前記コアの端面と前記ミラー面との間に設けられ、前記アンダークラッド層よりも高い屈折率を有する光導波部材と
を備える光モジュール。
【請求項2】
前記光導波部材は、前記アンダークラッド層に前記ミラー部材を固定するための接着剤からなり、前記ミラー面、前記コアの端面及び前記アンダークラッド層の表面に密着している、
請求項1に記載の光モジュール。
【請求項3】
前記光導波部材は、前記コアの屈折率と同じ屈折率を有する、請求項1又は2に記載の光モジュール。
【請求項4】
前記光導波部材は、前記コアの材料と同じ材料からなる、請求項1乃至3の何れか一項に記載の光モジュール。
【請求項5】
前記基板は、前記アンダークラッド層を構成する材料のみからなる、請求項1乃至4の何れか一項に記載の光モジュール。
【請求項6】
前記ミラー部材は、前記基板に対する位置合わせ用のマーカとしての凹部を有し、
前記導体パターンは、前記ミラー部材に対する位置合わせ用のマーカパターンを含む、
請求項1乃至5の何れか一項に記載の光モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−163648(P2012−163648A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−22316(P2011−22316)
【出願日】平成23年2月4日(2011.2.4)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】