説明

光学式位置検出装置

【課題】より低消費電力で高速・高精度に指示体の検出が可能な光学式位置検出装置を提供する。
【解決手段】光学式位置検出装置は、複数の光源部10とカメラ部20と検出部30と制御部40とからなる。複数の光源部10は、検出面の所定の領域を照らす光をそれぞれ発し、これらを組み合わせて検出面全面を選択的に照らす。カメラ部20は、検出面全面を撮像可能な画角を有し、光源部10により照らされる指示体2の像を撮像する。検出部30は、カメラ部20により撮像される指示体2の像を用いて指示体2の指示位置を算出する。制御部40は、初期スキャン時に複数の光源部10を所定の順序で点灯させると共に、一旦検出部30により指示体2の指示位置が検出されると、検出される指示体2の指示位置をカバーする範囲を照らす光源部10を点灯させ、それ以外の光源部10を消灯させるよう制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光学式位置検出装置に関し、特に、低消費電力で高速な指示体検出が可能な光学式位置検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、指示体の指示位置を検出するために、光源にLED等を用いた光学式位置検出装置が知られている。例えば、本願発明者と同一発明者による特許文献1は、光源の個数を減らして低消費電力、低コスト化を図ったものである。この光学式位置検出装置は、検出面の周辺3辺に設けられる再帰反射部材と、指示体の影の像を撮像するための2つの撮像ユニットとを有するものである。そして、撮像ユニットは、カメラ部と光源とからなるものである。光源は、カメラ部の水平方向左右の一方側近傍に設けられている。これにより、撮像ユニットに用いられる光源の個数を1つに減らすことができ、低消費電力、低コストとなると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−107607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、検出面が大きくなった場合、光源が1つだと、検出面全体をカバーするような光を照射するのは難しかった。光源にLEDを用いた場合、1つのLEDだけで広範囲を照射するためにはある程度強力なものを用いる必要があり、低消費電力化、低コスト化を図れない場合があった。
【0005】
また、撮像ユニットの光源以外からの外来光の影響を排除するために、外来光よりも強い光を照射できる光源を用いることが好ましいが、強い光を照射可能なLED等は消費電力やコストも高くなってしまう場合があった。外来光の影響を排除するための他の方法として、光源に赤外LEDを用い、カメラ部に赤外透過フィルタを用いて指示体を撮像するものもある。しかしながら、この場合でも赤外透過フィルタを用いるため、ここでの光量ロスを考慮すると、ある程度強い光を照射できる光源を用いなければならない。
【0006】
さらに、指示体の検出感度を高め、高速な動きにも追従して検出できるようにするには、毎秒60コマ程度の高速撮像が必要となるが、撮像速度が速くなると、その分シャッタ速度も短くなるため、より光量が必要となる。したがって、このような場合にも、光源の低消費電力化の実現は難しかった。
【0007】
そして、光学式位置検出装置を例えばコンピュータに接続するデジタイザに適用した場合、USBを用いて接続することが多い。このとき、USBバスパワーにより電源を供給するように構成した場合には、USBバスパワーでは最大で消費電流は500mAであるという制限がある。したがって、強い光を照射できる光源を用いたデジタイザでは、このようなUSBバスパワーで電源を供給しようとすると、最大消費電流を超えてしまう場合もあり得るため、USBバスパワーによる電源供給は難しかった。
【0008】
本発明は、斯かる実情に鑑み、より低消費電力で高速・高精度に指示体の検出が可能な光学式位置検出装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した本発明の目的を達成するために、本発明による光学式位置検出装置は、検出面の所定の領域を照らす光をそれぞれ発し、これらを組み合わせて検出面全面を選択的に照らすことが可能な複数の光源部と、検出面全面を撮像可能な画角を有し、光源部により照らされる指示体の像を撮像するカメラ部と、カメラ部により撮像される指示体の像を用いて指示体の指示位置を算出する検出部と、初期スキャン時に複数の光源部を同時に又は所定の順序で点灯させると共に、一旦検出部により指示体の指示位置が検出されると、検出される指示体の指示位置をカバーする範囲を照らす光源部を点灯させ、それ以外の光源部を消灯させる又は点灯パワーを減らすよう制御する制御部と、を具備するものである。
【0010】
ここで、複数の光源部のそれぞれは、検出面方向で帯状の領域を照らす光を発すれば良い。
【0011】
また、複数の光源部のそれぞれは、検出面方向で扇状の領域を照らす光を発しても良い。
【0012】
また、複数の光源部のそれぞれは、検出面方向で方形状の領域を照らす光を発しても良い。
【0013】
また、複数の光源部のそれぞれは、検出面方向で円形状の領域を照らす光を発しても良い。
【0014】
また、複数の光源部のそれぞれは、ビーム形成レンズとLEDとを具備するものであれば良い。
【0015】
また、複数の光源部のそれぞれは、シリンドリカルレンズとLEDとを具備するものであっても良い。
【0016】
また、検出面が光を透過し、複数の光源部のそれぞれは、検出面の裏面側に設けられる導光板と、LEDとを具備するものであっても良い。
【0017】
また、検出面が光を透過し、複数の光源部は、検出面の裏面側に設けられる拡散板と、複数のLEDとを具備するものであっても良い。
【0018】
また、複数の光源部のそれぞれは、検出面に対して垂直方向に離れた検出面の表面側に設けられても良い。
【0019】
また、検出面が光を透過し、複数の光源部のそれぞれは、検出面に対して垂直方向に離れた検出面の裏面側に設けられても良い。
【0020】
また、複数の光源部のそれぞれは赤外LEDを具備し、カメラ部は赤外透過フィルタを具備するものであっても良い。
【0021】
また、制御部は、初期スキャン時の光源部を同時に又は所定の順序で点灯させるときの各光源部の照射パワーよりも、指示体の指示位置をカバーする範囲を照らす光源部の照射パワーのほうが強くなるように制御しても良い。
【0022】
また、カメラ部は、検出面に対して垂直方向に離れた検出面の表面側から検出面全面を撮像しても良い。
【0023】
また、検出面が光を透過し、カメラ部は、検出面に対して垂直方向に離れた検出面の裏面側から検出面全面を撮像しても良い。
【0024】
さらに、カメラ部は、撮像可能な画角のうちの任意の場所の任意の大きさに画定されるウィンドウの領域を撮像するウィンドウイング機能を具備するものであっても良い。
【0025】
また、検出部は、分離度フィルタを用いて指示体の像を検出しても良い。
【0026】
さらに、表示装置を具備し、該表示装置の表示面が検出面であっても良い。
【0027】
また、表示装置は、その表示面が光透過性材料からなり、表示面の裏面側に光源部を配置するものであっても良い。
【発明の効果】
【0028】
本発明の光学式位置検出装置には、低消費電力化が図れ、高速・高精度に指示体の指示位置の検出が可能であるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は、本発明の第1実施例の光学式位置検出装置を説明するための概略構成図である。
【図2】図2は、本発明の第2実施例の光学式位置検出装置を説明するための概略構成図である。
【図3】図3は、本発明の第3実施例の光学式位置検出装置を説明するための概略構成図である。
【図4】図4は、本発明の第4実施例の光学式位置検出装置を説明するための概略構成図である。
【図5】図5は、本発明の第5実施例の光学式位置検出装置を説明するための概略構成図である。
【図6】図6は、本発明の光学式位置検出装置のカメラ部のウィンドウ機能を説明するための概略上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明を実施するための形態を図示例と共に説明する。図1は、本発明の第1実施例の光学式位置検出装置を説明するための概略構成図である。図示の通り、本発明の光学式位置検出装置は、検出面1に入力される指示体2の指示位置を検出するものであり、光源部10と、カメラ部20と、検出部30と、制御部40から主に構成されている。
【0031】
光源は、検出面1の所定の領域を照らす光を発する複数の光源部10からなり、これらを組み合わせて検出面全面を選択的に照らすことが可能である。図示例では、10個の光源部を有するように示しているが、本発明はこれに限定されず、検出面1の大きさや各光源部10の照射領域に応じて、任意の個数であれば良い。また、図示例の光源部10は、検出面方向で帯状の領域を照らす光を発するように構成されている。より具体的には、光源部10は、ビーム形成レンズ11とLED12とからなる。ビーム形成レンズ11は、凹面と凸面を有するレンズからなり、LED12からの光を、水平方向では各LED12からの光が略平行な帯状の光となるように屈折(集光)させると共に、垂直方向には検出面1に対して略平行な光となるように屈折(集光)させるものである。即ち、検出面1に平行であり、検出面方向で帯状の光を照射可能とするものである。ビーム形成レンズ11の屈折面や湾曲率は、検出面方向に沿う光とすると共に、複数の光源部10で検出面全面をカバー可能な帯状の光となるように決定されれば良い。また、ビーム形成レンズ11は、例えば、レンズ用樹脂で構成されれば良い。レンズ用樹脂とは、プラスチックやアクリル、ポリカーボネート等の樹脂である。レンズ用樹脂でレンズを成形すれば、研磨加工が必要なく安価に製造可能となる。なお、図示例では、複数の光源部10のビーム形成レンズ11がそれぞれ一体的に成形されている。
【0032】
カメラ部20は、検出面全面を撮像可能な画角を有し、光源部10により照らされる指示体2の像を撮像するものである。図示例では、2つのカメラ部20が検出面1の左右の上角にそれぞれ配置される例を示している。各カメラ部20は、検出面全面を撮像可能な画角を有するものである。より具体的には、検出面1上に入力される指示体2を、検出面1に平行な視線方向で検出可能なように、検出面1に平行な視線、且つ検出面方向に広がる視野を有する。カメラ部20は、例えばレンズとイメージセンサからなるものである。レンズは、検出面全面を撮像可能な画角のものである。例えば水平画角が広い広角レンズからなり、検出面1に平行な視線で検出面方向に広がる視野を有するように配置される。また、広角レンズは、例えばレンズ用樹脂で構成されれば良い。イメージセンサは、CCDやCMOS等の固体撮像素子である。イメージセンサは、リニアイメージセンサやエリアイメージセンサであれば良い。エリアイメージセンサの場合には、指示体の検出面へのタッチ検出の前後の指示体の高さ方向の動きも検出可能なため、より高度な検出が可能となる。
【0033】
なお、本発明の光学式位置検出装置に用いられるカメラ部20は、上述のものには限定されず、検出面全面を撮像可能な画角を有し、光源部10により照らされる指示体2の像を撮像可能なものであれば、いかなる構成であっても良い。例えば、検出面方向全体をカバー可能な画角を有するレンズ構成であれば、いかなるレンズであっても構わない。
【0034】
また、外来光の影響により指示体を誤認識することを防止するために、光源部10のLEDを赤外LEDとし、カメラ部20は赤外透過フィルタを具備するように構成しても良い。また、光源部による光をパルス光等にし、パルス光に連動してカメラ部にて撮像するようにしても良い。
【0035】
検出部30は、カメラ部20により撮像される指示体2の像を用いて指示体2の指示位置を算出するものである。検出部30は、2つのカメラ部20によりそれぞれ撮像された指示体2の像の位置と、2つのカメラ部20間の距離とを用いて、三角測量の原理により指示体の指示位置(2次元座標)を算出する。検出面1上に指示体2が入力されていない(置かれてない)場合には、カメラ部20では指示体は撮像されない。検出面1上に指示体2が入力されると(置かれると)、光源部10により照らされた指示体2が、各カメラ部20にてそれぞれ撮像される。したがって、この2つの像の位置を用いれば、三角測量の原理により、検出面1上における指示位置座標を算出可能となる。
【0036】
なお、検出部30における指示体2の検出は、カメラ部20により撮像された指示体2の像を、例えばパターン認識等により行われれば良い。指示体2のパターン認識による検出には、例えば、分離度フィルタを用いれば良い。分離度フィルタとは、狭い範囲の濃淡値の分布が2重の環形にどの程度近いかを測定するものであり、分離度が所定のしきい値以上であれば指示体の像であると認識できるものである。分離度フィルタを用いることで、外来光や紛らわしい像を排除し、安定的に指示体の検出を行える。
【0037】
さて、本発明の光学式位置検出装置は、このような構成の装置に対して以下に説明するような制御を行う制御部を有することが、特に特徴的な点である。制御部40は、初期スキャン時に複数の光源部10を同時に又は所定の順序で点灯させるよう制御する。ここで、初期スキャン時とは、指示体2が検出されるまでの走査期間をいう。なお、複数の光源部10を同時に点灯させる場合、消費電流が規定値を超える場合があるため、個々の光源部10の点灯パワーを減らして、トータルの消費電流を規定値内に収めるように制御しても良い。また、光源部10を所定の順序で点灯させる場合には、端から順番に点灯させても良いし、ランダムに点灯させても良い。
【0038】
そして、制御部40は、一旦検出部30により指示体2の指示位置が検出されると、検出される指示体2の指示位置をカバーする範囲(図のグレー部分)を照らす光源部10を点灯させ、それ以外の光源部10を消灯させる又は点灯パワーを減らすよう制御する。また、各光源部10の初期スキャン時の発光量と、検出される指示体の指示位置をカバーする範囲を照らすときの発光量を異ならせることも可能である。即ち、制御部は、初期スキャン時の光源部を同時に又は所定の順序で点灯させるときの各光源部の照射パワーよりも、指示体の指示位置をカバーする範囲を照らす光源部の照射パワーのほうが強くなるように制御する。これにより、初期スキャン時の消費電流を減少させつつ、指示体撮像時には照射パワーを強めて検出感度を高めることも可能である。
【0039】
指示体2が移動する場合には、指示体の動きに追従して指示体の指示位置を検出し続けることも可能である。この場合、制御部40は、指示体2の移動に追従して指示体2を照らす光源部10を切り替えながら指示体2を照らし続け、指示体2を照らす以外の光源部10を消灯させるよう、フィードバック制御を行う。即ち、検出部30により検出された指示体2の指示位置座標から、その位置を照らす光源部10を決定してこれを点灯させ、それ以外の光源部10を消灯させるが、検出された指示位置座標が変化した場合には、これに応じてその位置を照らす光源部10を新たに決定してこれを点灯させ、それ以外の光源部10を消灯させることを繰り返す。
【0040】
このような制御により、指示体2を照らす光源部10の点灯数は最小限となり、消費電流も最小限に抑えることが可能となる。光源部10を少なくとも1つのみ点灯させれば良いので、非常に強い光を放つことも可能であるため、シャッタ速度の短い高速撮像時にも、十分な光量を確保できるようになる。したがって、低消費電力化を図ったまま、高速に移動する指示体の検出を高精度に行うことが可能となる。
【0041】
初期スキャン時には、シャッタ速度と露光時間との関係や消費電力の関係で、指示体2を撮像するのに十分な光量とならない場合もあるが、初期スキャン時は簡易的な検出にとどめ、指示体2がある程度確認できたところで、指示体2を照らす光源部10のみを点灯させ、正確な指示体2の像を検出するように制御することも可能である。なお、指示体検出時には、指示体を照らす以外の光源部を消灯しても良いが、点灯パワーを減らすように制御することで、検出面上で常に指示体2の検出の待機状態となるため、他の指示体が新たに入力された場合に、初期スキャンを行わずに、即、指示体を検出できるようにもなる。
【0042】
なお、検出部30や制御部40は、マイクロプロセッサやパーソナルコンピュータ等の電子計算機を用いて実現することが可能である。制御部40に制御信号を入力し、制御部40から複数の光源部10への点灯信号を出力する。以下、制御信号の詳細を説明する。例えば10個の光源部に対して4ビットの制御信号により、連続する3つの光源部を同時に点灯させるよう制御するには、以下に示す表のようにすれば良い。なお、ABCD、P1−P10は、図1における制御部40の制御信号と出力信号(点灯信号)に対応している。
【表1】

初期スキャン時には、上記の表1の制御信号ABCDのすべてのパターンを入力し、検出面全面を順に走査する。走査中に指示体2が検出されると、検出部30から制御部40に指示体の指示位置情報が送られる。例えばP5の点灯信号が入力される光源部10が照らす範囲内に指示体2の指示位置座標が存在する場合には、P5に対応する光源部10を中心に連続する3つの光源部10を点灯させるために、制御信号ABCDは0100とする。指示体2が移動した場合、例えば、P6に対応する光源部10が照らす範囲内に指示体2の指示位置座標が移動した場合には、P6に対応する光源部10を中心に連続する3つの光源部10を点灯させるために、制御信号ABCDは0101とする。このように連続した3つの光源部を同時に点灯させた場合、指示体を照らす光の範囲(幅)が1つ点灯するのに比べて広いため、高速に移動する指示体でも照らし続けることが可能となる。指示体が検出されなくなった場合には、制御信号ABCDを0000の初期状態とし、改めて検出面全面をスキャンするように制御すれば良い。なお、制御信号やビット数等については、これに限定されず、本願発明の意図する光源部の制御が行えれば如何なるものであっても良い。
【0043】
また、本発明の光学式位置検出装置は、表示装置の表示面を検出面とするタッチパネルディスプレイとして構成されても良い。例えば、液晶ディスプレイの表示面を検出面とし、液晶ディスプレイのバックライト等の近傍に本発明の位置検出装置の光源部を配置しても良い。さらに、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ、電子ペーパ等の表示面が光透過性材料からなる表示装置の表示面を検出面とし、裏面側に光源部を配置するものであっても良い。表示装置のバックライトの影響を受けないように、光源部に赤外LEDを用い、カメラ部に赤外透過フィルタを設けても良い。
【0044】
次に、本発明の第2実施例の光学式位置検出装置を説明する。図2は、本発明の第2実施例の光学式位置検出装置を説明するための概略構成図である。図中、図1と同一の符号を付した部分は概ね同一物を表わしているため、重複説明は省略する。
【0045】
第1実施例では、光源部が検出面方向で帯状の領域を照らす光を発するものであったが、第2実施例の光学式位置検出装置は、図示の通り、複数の光源部10aが、扇状の領域を照らす光を発している。より具体的には、光源部10aは、シリンドリカルレンズ11aとLED12aとからなる。シリンドリカルレンズ11aは、円筒形の屈折面を有し、レンズ平面側が拡散面である平凸レンズであり、LED12aからの光を水平方向では各LED12aからの光が扇状に広がる光となるように屈折(拡散)させると共に、垂直方向には検出面1に対して略平行な光となるように屈折(集光)させるものである。即ち、検出面1に平行であり、検出面方向で扇状の光を照射可能とするものである。シリンドリカルレンズ11aの屈折面や湾曲率は、検出面方向に沿う光とすると共に、複数の光源部10で検出面全面をカバー可能な光となるように決定されれば良い。また、複数のLED12aは、図示のように横方向に直線上に並ぶと共に、放射状に広がるようにそれぞれ所定の傾きで配置されれば良い。また、LED12aは、扇状に配置されても良い。第1実施例のビーム形成レンズと同様、第2実施例のシリンドリカルレンズも、例えば、レンズ用樹脂で構成されれば良い。
【0046】
また、図示例のカメラ部20aは、超広角レンズとイメージセンサとからなるものであり、検出面1の上辺にそれぞれ配置される例を示している。各カメラ部20aは、検出面全面を撮像可能な画角を有するものであり、例えば水平画角が170度以上程度であれば良い。
【0047】
このように構成された本発明の第2実施例の光学式位置検出装置でも、第1実施例と同様に制御部40にて光源部10aの点灯制御を行う。即ち、制御部40は、初期スキャン時に複数の光源部10aを所定の順序で点灯させる。そして、一旦検出部30により指示体2の指示位置が検出されると、検出される指示体2の指示位置をカバーする範囲を照らす光源部10aを点灯させ、それ以外の光源部10aを消灯させるよう制御する。これにより、第1実施例と同様の作用効果が得られる。
【0048】
次に、本発明の第3実施例の光学式位置検出装置を説明する。図3は、本発明の第3実施例の光学式位置検出装置を説明するための概略構成図である。図中、図1と同一の符号を付した部分は概ね同一物を表わしているため、重複説明は省略する。
【0049】
第1実施例や第2実施例では、光源部にレンズを用いた構成を示したが、第3実施例では、光源部から発せられた光を導光板を用いて検出面に導く構成を示している。検出面1bは、光を透過するものからなる。例えば、検出面1bは、ガラスやポリカーボネート樹脂等、光透過性材料であれば良い。そして、複数の光源部10bは、導光板13とLED12bとからなる。導光板13とLED12bは、検出面1bの裏面側に設けられるエッジライト方式とする。図示例において、複数のLED12bは、照射方向が左側となるように検出面1bの右側辺に並べられる。そして、LED12bに対応する複数の帯状の導光板が長手方向を左右に配置されている。LED12bからの光が導光板13の側部から入射し、導光板13内で表面反射を繰り返して導光板13の全面が照らされる。このような構成の光源部10bを複数組み合わせて用いることで、検出面全面を選択的に照らすことが可能となる。
【0050】
第1実施例や第2実施例では、レンズを用いてLEDからの光を検出面方向で帯状や扇状にしていたが、第3実施例では、導光板を用いて検出面方向で帯状の光を発光させている。なお、導光板を帯状ではなく扇状のものとすれば、第2実施例と同様に検出面方向で扇状の光を発光させることも可能となる。
【0051】
このように構成された本発明の第3実施例の光学式位置検出装置でも、制御部40にて光源部10bの点灯制御を行う。即ち、制御部40は、初期スキャン時に複数の光源部10bを所定の順序で点灯させる。そして、カメラ部20bにより撮像し、一旦検出部30により指示体2の指示位置が検出されると、検出される指示体2の指示位置をカバーする範囲を照らす光源部10bを点灯させ、それ以外の光源部10bを消灯させるよう制御する。これにより、第1実施例や第2実施例と同様の作用効果が得られる。
【0052】
次に、本発明の第4実施例の光学式位置検出装置を説明する。図4は、本発明の第4実施例の光学式位置検出装置を説明するための概略構成図である。図中、図1と同一の符号を付した部分は概ね同一物を表わしているため、重複説明は省略する。
【0053】
第3実施例では、光源をエッジライト方式として構成したが、第4実施例では、直下型方式の光源としている。第4実施例では、光源部から発せられた光を拡散板を用いて検出面に導いている。検出面1cは、光を透過するものからなる。例えば、検出面1cは、ガラスやポリカーボネート樹脂等、光透過性材料であれば良い。そして、光源部10cは、拡散板14と複数のLED12cとからなる。拡散板14とLED12cは、検出面1cの裏面側に設けられる直下型方式とする。図示例において、複数のLED12cは、所定の間隔を開けてマトリックス状に検出面1cの裏面側に配置され、裏面側から拡散板14に光を入射するように構成されている。LED12cからの光が拡散板14に入射すると、拡散板14により拡散して所定の範囲を照らす。拡散板14に複数のLED12cからの光を組み合わせて入射することで、検出面全面を選択的に照らすことが可能となる。
【0054】
このように構成された本発明の第4実施例の光学式位置検出装置でも、制御部40にて光源部10cの点灯制御を行う。即ち、制御部40は、初期スキャン時に複数のLED12cを所定の順序で点灯させる。そして、カメラ部20cにより撮像し、一旦検出部30により指示体2の指示位置が検出されると、検出される指示体2の指示位置をカバーする範囲を照らすLED12cを点灯させ、それ以外のLED12cを消灯させるよう制御する。これにより、第1実施例乃至第3実施例と同様の作用効果が得られる。
【0055】
なお、第4実施例では、光源部により照らされる指示体の直接像をカメラ部により撮像する例を示したが、本発明はこれに限定されず、カメラ部を検出面に対して垂直方向に離れた位置に配置し、検出面の表面側から指示体を撮像するように構成し、直下型方式やエッジライト方式のバックライトを背景として、指示体の影の像をカメラ部により撮像するものであっても良い。
【0056】
次に、本発明の第5実施例の光学式位置検出装置を説明する。図5は、本発明の第5実施例の光学式位置検出装置を説明するための概略構成図であり、図5(a)はその正面図、図5(b)はその側面図である。図中、図1と同一の符号を付した部分は概ね同一物を表わしているため、重複説明は省略する。
【0057】
第5実施例では、検出面の表面側の離れた位置から指示体の指示位置を検出するものである。図示の通り、複数の光源部10d及びカメラ部20dが、それぞれ検出面に1dに対して垂直方向に離れた検出面1dの表面側に設けられている。例えば、検出面1dは室内の壁面等とし、光源部10d及びカメラ部20dが天井面に吊り下げられて設置される。複数の光源部10dは、検出面1dに対して垂直方向に離れた位置から、これらを組み合わせて検出面全面を選択的に照らすことが可能なように配置される。即ち、例えば右上に配置されたLEDで検出面の右上を照らし、右下に配置されたLEDで検出面の右下を照らすというように、複数のLEDを組み合わせて検出面全面を隈なく照らすように構成する。光源部10dは、検出面1dに対して垂直方向に離れた位置から検出面1d上を照らすので、隈なく照らすように、検出面方向で円形状の領域を照らす光を発する場合には、照射領域が隣の照射領域と一部重なるようにLEDの照射方向を調整すれば良い。また、方形状の領域を照らす光を発するように構成しても良い。
【0058】
カメラ部20dは、第5実施例では1つのカメラ部としている。第1実施例等では、カメラ部は検出面に平行な視線方向で検出可能なものであったが、第5実施例では、カメラ部20dは、検出面1dに対して垂直方向に離れた検出面1dの表面側から検出面全面を撮像するものである。即ち、指示体2を上部からの視線で撮像するものである。
【0059】
なお、第5実施例では、カメラ部20dが1つであり、上部から指示体2を撮像するため、指示体2の指示位置は、撮像された画像内における指示体2の像の存在する位置で検出すれば良い。したがって、第5実施例の検出部30dでは、三角測量の原理による演算は行わない。
【0060】
このように構成された本発明の第5実施例の光学式位置検出装置でも、制御部40にて光源部10dの点灯制御を行う。即ち、制御部40は、初期スキャン時に複数の光源部10dを所定の順序で点灯させる。そして、カメラ部20dにより撮像し、一旦検出部30により指示体2の指示位置が検出されると、検出される指示体2の指示位置をカバーする範囲を照らす光源部10dを点灯させ、それ以外の光源部10dを消灯させる又は点灯パワーを減らすよう制御する。これにより、第1実施例乃至第4実施例と同様の作用効果が得られる。
【0061】
ここで、カメラ部20dは、ウィンドウイング機能を有するものであっても良い。図6を用いて、ウィンドウイング機能について説明する。図6は、本発明の光学式位置検出装置のカメラ部のウィンドウ機能を説明するための概略上面図である。なお、光源部やカメラ部等の構成は基本的に第5実施例のものを用いることとし、図示は省略した。
【0062】
本発明の光学式位置検出装置では、光源部により検出面を部分的に選択的に照らすものであるため、カメラ部としてはその照らされた範囲に画定されたウィンドウの領域のみを撮像可能なウィンドウイング機能を有するものが好ましい。カメラ部は、撮像可能な画角のうちの任意の場所の任意の大きさに画定されるウィンドウ25の領域を撮像する。ウィンドウ25は、光源部により照らされる範囲(図のグレー部分)に掛かるように画定されれば良い。そして、必要により撮像されたウィンドウ25の画像情報に対して、検出部では分離度フィルタ35を適用して指示体2の像の検出を行えば良い。ウィンドウイング機能により、カメラ部の視野全体よりも狭い領域を撮像することで、撮像画像のデータ容量は小さくなるため、カメラ部における撮像速度も高速となり、さらに検出部における処理も高速となるので、高速に移動する指示体に対しても反応良く指示位置を検出可能となる。
【0063】
また、本発明の光学式位置検出装置は、マルチタッチにも適用可能である。即ち、複数の指示体を検出することも可能である。例えばウィンドウイング機能を有するカメラ部にて複数の指示体を検出する場合には、ウィンドウ25の位置を切り替えると共に、光源部の点灯させるLEDの位置を切り替えて2回撮像すれば良い。さらに、複数のウィンドウを同時に撮像可能なマルチウィンドウイング機能を有するカメラ部を用いれば、光源部の点灯させるLEDを制御部にて複数選択し、1回の撮像で複数の指示体の指示位置検出も可能となる。
【0064】
なお、ウィンドウイング機能を有するカメラ部は、第5実施例だけでなく、第1実施例乃至第4実施例の2つのカメラ部を用いる構成の位置検出装置にも適用可能である。第1実施例乃至第4実施例の光学式位置検出装置であっても、光源部により照らされた領域のみをウィンドウイング機能で撮像することで、より高速な検出が可能となる。
【0065】
また、第5実施例では、複数の光源部が、それぞれ検出面に対して垂直方向に離れた検出面の表面側に設けられている例を示したが、本発明はこれに限定されず、検出面が光を透過するものであれば、光源部は、検出面に対して垂直方向に離れた検出面の裏面側に設けられても良い。この場合、カメラ部は表面側に設けられて表側から撮像しても良いし、裏面側から撮像しても良い。
【0066】
なお、本発明の光学式位置検出装置は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、光源部とカメラ部の組み合わせは各実施例においてそれぞれ置換可能であり、置換した場合にもそれぞれ同様の作用効果が得られる。
【符号の説明】
【0067】
1 検出面
2 指示体
10 光源部
11 ビーム形成レンズ
11a シリンドリカルレンズ
13 導光板
14 拡散板
20 カメラ部
25 ウィンドウ
30 検出部
35 分離度フィルタ
40 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出面に入力される指示体の指示位置を検出可能な光学式位置検出装置であって、該光学式位置検出装置は、
検出面の所定の領域を照らす光をそれぞれ発し、これらを組み合わせて検出面全面を選択的に照らすことが可能な複数の光源部と、
検出面全面を撮像可能な画角を有し、前記光源部により照らされる指示体の像を撮像するカメラ部と、
前記カメラ部により撮像される指示体の像を用いて指示体の指示位置を算出する検出部と、
初期スキャン時に前記複数の光源部を同時に又は所定の順序で点灯させると共に、一旦検出部により指示体の指示位置が検出されると、検出される指示体の指示位置をカバーする範囲を照らす光源部を点灯させ、それ以外の光源部を消灯させる又は点灯パワーを減らすよう制御する制御部と、
を具備することを特徴とする光学式位置検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光学式位置検出装置において、前記複数の光源部のそれぞれは、検出面方向で帯状の領域を照らす光を発することを特徴とする光学式位置検出装置。
【請求項3】
請求項1に記載の光学式位置検出装置において、前記複数の光源部のそれぞれは、検出面方向で扇状の領域を照らす光を発することを特徴とする光学式位置検出装置。
【請求項4】
請求項1に記載の光学式位置検出装置において、前記複数の光源部のそれぞれは、検出面方向で方形状の領域を照らす光を発することを特徴とする光学式位置検出装置。
【請求項5】
請求項1に記載の光学式位置検出装置において、前記複数の光源部のそれぞれは、検出面方向で円形状の領域を照らす光を発することを特徴とする光学式位置検出装置。
【請求項6】
請求項2に記載の光学式位置検出装置において、前記複数の光源部のそれぞれは、ビーム形成レンズとLEDとを具備することを特徴とする光学式位置検出装置。
【請求項7】
請求項3に記載の光学式位置検出装置において、前記複数の光源部のそれぞれは、シリンドリカルレンズとLEDとを具備することを特徴とする光学式位置検出装置。
【請求項8】
請求項1に記載の光学式位置検出装置において、検出面が光を透過し、前記複数の光源部のそれぞれは、検出面の裏面側に設けられる導光板と、LEDとを具備することを特徴とする光学式位置検出装置。
【請求項9】
請求項1に記載の光学式位置検出装置において、検出面が光を透過し、前記複数の光源部は、検出面の裏面側に設けられる拡散板と、複数のLEDとを具備することを特徴とする光学式位置検出装置。
【請求項10】
請求項1乃至請求項5の何れかに記載の光学式位置検出装置において、前記複数の光源部のそれぞれは、検出面に対して垂直方向に離れた検出面の表面側に設けられることを特徴とする光学式位置検出装置。
【請求項11】
請求項1乃至請求項5の何れかに記載の光学式位置検出装置において、検出面が光を透過し、前記複数の光源部のそれぞれは、検出面に対して垂直方向に離れた検出面の裏面側に設けられることを特徴とする光学式位置検出装置。
【請求項12】
請求項1乃至請求項11の何れかに記載の光学式位置検出装置において、前記複数の光源部のそれぞれは赤外LEDを具備し、前記カメラ部は赤外透過フィルタを具備することを特徴とする光学式位置検出装置。
【請求項13】
請求項1乃至請求項12の何れかに記載の光学式位置検出装置において、前記制御部は、初期スキャン時の光源部を同時に又は所定の順序で点灯させるときの各光源部の照射パワーよりも、指示体の指示位置をカバーする範囲を照らす光源部の照射パワーのほうが強くなるように制御することを特徴とする光学式位置検出装置。
【請求項14】
請求項1乃至請求項13の何れかに記載の光学式位置検出装置において、前記カメラ部は、検出面に対して垂直方向に離れた検出面の表面側から検出面全面を撮像することを特徴とする光学式位置検出装置。
【請求項15】
請求項1乃至請求項13の何れかに記載の光学式位置検出装置において、検出面が光を透過し、前記カメラ部は、検出面に対して垂直方向に離れた検出面の裏面側から検出面全面を撮像することを特徴とする光学式位置検出装置。
【請求項16】
請求項1乃至請求項15の何れかに記載の光学式位置検出装置において、前記カメラ部は、撮像可能な画角のうちの任意の場所の任意の大きさに画定されるウィンドウの領域を撮像するウィンドウイング機能を具備することを特徴とする光学式位置検出装置。
【請求項17】
請求項1乃至請求項16の何れかに記載の光学式位置検出装置において、前記検出部は、分離度フィルタを用いて指示体の像を検出することを特徴とする光学式位置検出装置。
【請求項18】
請求項1乃至請求項17の何れかに記載の光学式位置検出装置であって、さらに、表示装置を具備し、該表示装置の表示面が検出面であることを特徴とする光学式位置検出装置。
【請求項19】
請求項18に記載の光学式位置検出装置において、前記表示装置は、その表示面が光透過性材料からなり、表示面の裏面側に光源部を配置することを特徴とする光学式位置検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−28402(P2011−28402A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−171582(P2009−171582)
【出願日】平成21年7月22日(2009.7.22)
【出願人】(506210211)株式会社ニューコム (17)
【Fターム(参考)】