説明

光干渉システム、基板処理装置及び計測方法

【課題】測定可能な膜厚の上限値を容易に変更することができる光干渉システム、基板処理装置及び計測方法を提供する。
【解決手段】光干渉システム1は、光源10、コリメータ12、単一の受光素子41、チューナブルフィルタ40及び演算装置15を備える。コリメータ12は、光源10からの測定光を測定対象物の第1主面へ出射するとともに、第1主面及び第2主面からの反射光を入射する。単一の受光素子41は、コリメータ12からの光の強度を取得する。チューナブルフィルタ40は、受光素子41に入射される光の波長を掃引する。演算装置15は、チューナブルフィルタ40及び受光素子41を用いて、波長に依存した強度分布であって第1主面及び第2主面からの反射光の強度分布である干渉強度分布を測定し、干渉強度分布をフーリエ変換して得られる波形に基づいて測定対象物の厚さ又は温度を計測する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の種々の側面及び実施形態は、光干渉システム、基板処理装置及び計測方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、一種の光干渉システムが記載されている。特許文献1に記載された光干渉システムは、光源からの光を測定対象物へ放出し、測定対象物の表面及び裏面の干渉光を受光手段で検出し、干渉光を分光させた分光スペクトルを用いて周波数解析法(周波数領域光干渉法)により膜厚を測定する。受光手段として、受光素子を複数配列させたCCD等のラインセンサや、シリコンフォトダイオードを複数配列させたシリコンフォトダイオード列を用いることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−139360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
周波数領域光干渉法においては、測定可能な最大の光路長は、光源の波長及びサンプリング数に比例し、測定波長域に反比例する。サンプリング数(波長分解能すなわち分光器の波長範囲内での波長分割数)は、配列された受光素子の数によって規定されるため、固定値である。このため、測定可能な膜厚をより厚くする場合には、光源の波長を長くするか、あるいは測定波長域を狭くする必要がある。しかしながら、波長及び測定波長域を調整した場合であっても、例えばSiを材料とする場合には数mmオーダーまでの膜厚が限界であり、測定可能な厚さを数十mmオーダーにすることは困難である。
【0005】
このため、当技術分野においては、測定可能な膜厚の上限値を容易に変更することができる光干渉システム及び基板処理装置、そして及び計測方法が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る光干渉システムは、第1主面及び第1主面に対向する第2主面を有する測定対象物の厚さ又は温度を計測するシステムである。この光干渉システムは、光源、コリメータ、単一の受光素子、掃引部、スペクトル取得部及び計測部を備える。光源は、測定対象物を透過する波長を有する測定光を発生させる。コリメータは、光源に接続され、光源からの測定光を測定対象物の第1主面へ出射するとともに、第1主面及び第2主面からの反射光を入射する。単一の受光素子は、コリメータからの光を入射し、光の強度を取得する。掃引部は、受光素子に入射される光の波長を掃引する。スペクトル取得部は、掃引部及び受光素子を用いて、波長に依存した強度分布であって第1主面及び第2主面からの反射光の強度分布である干渉強度分布を測定する。計測部は、干渉強度分布をフーリエ変換して得られる波形に基づいて測定対象物の厚さ又は温度を計測する。
【0007】
この光干渉システムでは、単一の受光素子へ入射される光の波長が掃引部によって掃引される。このため、サンプリング数を任意に調整することができる。従って、計測波長範囲内のサンプリング数をより多くすることにより、測定可能な膜厚の上限値を大きく増やすことができる。
【0008】
一実施形態においては、掃引部が測定光又は反射光の波長を変更可能なフィルタであってもよい。また、一実施形態においては、掃引部が測定光又は反射光の波長を、回折格子を用いて制御してもよい。さらに、一実施形態においては、掃引部は、光源の波長を変更してもよい。このように構成することで、単一の受光素子に入射される光の波長が変更される。
【0009】
一実施形態においては、計測部は、波長に依存した窓関数であって掃引部による波長掃引範囲によって定まる中心波長を最大とし中心波長からの差が大きくなるほど漸次減衰する釣鐘型の窓関数を干渉強度分布に適用してもよい。さらに、計測部は、適用後の干渉強度分布をフーリエ変換して得られる波形に基づいて測定対象物の厚さ又は温度を計測してもよい。このように構成することで、フーリエ変換前の波形をフーリエ変換に適した波形とすることができるので、フーリエ変換後のピーク波形にある程度の幅を持たせることが可能となる。よって、ピーク位置の検出精度を向上させることができる。
【0010】
一実施形態においては、計測部は、窓関数の適用の前に、予め取得された光源の測定光の強度分布を用いて干渉強度分布を規格化してもよい。このように構成することで、測定光の強度分布の形状が非対象であったり歪んでいる場合であっても、フーリエ変換前の波形をフーリエ変換に適した波形とすることができる。
【0011】
一実施形態においては、窓関数は、ガウス関数、ローレンツ関数又はガウス関数及びローレンツ関数の合成関数であってもよい。これらの関数は、中心波長からの差が大きくなるほど漸次減衰する釣鐘型の窓関数として適切に採用することができる。
【0012】
本発明の他の側面に係る基板処理装置は、光干渉システムを備える基板処理装置である。この光干渉システムは、光源、コリメータ、単一の受光素子、掃引部、スペクトル取得部及び計測部を備える。光源は、測定対象物を透過する波長を有する測定光を発生させる。コリメータは、光源に接続され、光源からの測定光を測定対象物の第1主面へ出射するとともに、第1主面及び第2主面からの反射光を入射する。単一の受光素子は、コリメータからの光を入射し、光の強度を取得する。掃引部は、受光素子に入射される光の波長を掃引する。スペクトル取得部は、掃引部及び受光素子を用いて、波長に依存した干渉強度分布であって第1主面及び第2主面からの反射光の干渉強度分布を測定する。計測部は、干渉強度分布をフーリエ変換して得られる波形に基づいて測定対象物の厚さ又は温度を計測する。
【0013】
また、本発明のさらに他の側面に係る計測方法は、光干渉システムを用いて第1主面及び第1主面に対向する第2主面を有する測定対象物の厚さ又は温度を計測する計測方法である。この光干渉システムは、光源、コリメータ、単一の受光素子及び掃引部を備える。光源は、測定対象物を透過する波長を有する測定光を発生させる。コリメータは、光源に接続され、光源からの測定光を測定対象物の第1主面へ出射するとともに、第1主面及び第2主面からの反射光を入射する。単一の受光素子は、コリメータからの光を入射し、光の強度を取得する。掃引部は、受光素子に入射される光の波長を掃引する。計測方法は、スペクトル取得ステップ及び計測ステップを備える。スペクトル取得ステップでは、掃引部により受光素子に入射される光の波長を掃引して、波長に依存した干渉強度分布であって第1主面及び第2主面からの反射光の干渉強度分布を測定する。計測ステップでは、干渉強度分布をフーリエ変換して得られる波形に基づいて測定対象物の厚さ又は温度を計測する。
【0014】
上述した基板処理装置及び計測方法は、上述した光干渉システムと同様の効果を奏する。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明の種々の側面及び実施形態によれば、測定可能な膜厚の上限値を容易に変更することができる光干渉システム、基板処理装置及び計測方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】一実施形態に係る光干渉システムを概略的に示す図である。
【図2】図1に示す演算装置の機能ブロック図である。
【図3】波長変換フィルタにおける印加電圧と透過波長との関係を示すグラフである。
【図4】(a)は、電圧の時間サンプリングのグラフである。(b)は、光強度の時間サンプリングのグラフである。(c)は、光強度と電圧との関係を示すグラフである。
【図5】波長変換フィルタを用いた場合の波長−強度スペクトルである。
【図6】入射光スペクトル及び反射光スペクトルを説明する概要図である。
【図7】反射光スペクトルのフーリエ変換を説明する概要図である。
【図8】最大計測厚さを説明する概要図である。
【図9】最小空間分解能を説明する概要図である。(a)は、位置に依存した強度分布を示すスペクトルである。(b)は、波数に依存した強度分布を示すスペクトルである。
【図10】(a)は、反射光スペクトルの一例である。(b)は、(a)に示す反射光スペクトルのFFT後のピーク波形である。
【図11】(a)は、反射光スペクトルの一例である。(b)は、(a)に示す反射光スペクトルのFFT後のピーク波形である。
【図12】(a)は、反射光スペクトルの一例である。(b)は、(a)に示す反射光スペクトルのFFT後のピーク波形である。
【図13】(a)及び(b)は、ガウス関数の一例である。(c)は、重心を好適に算出するために必要なガウス関数を説明する概要図である。
【図14】(a)は、反射光スペクトルの一例である。(b)は、ガウス関数の一例である。(c)は、(a)に示す反射光スペクトルを(b)に示すガウス関数で調整した後のスペクトルである。
【図15】(a)は、反射光スペクトルの一例である。(b)は、FFT後の波形である。(c)は、(b)に示す波形の一部拡大図である。
【図16】(a)は、反射光スペクトルの一例である。(b)は、FFT後の波形である。(c)は、(b)に示す波形の一部拡大図である。
【図17】光源の半値半幅とFFT後の波形の幅との関係を示すグラフである。
【図18】演算装置の動作を示すフローチャートである。
【図19】演算装置の動作を説明するためのグラフである。(a)が波長に依存した強度分布を示す光源スペクトルである。(b)が波長に依存した強度分布を示す反射光スペクトルである。(c)が波長の逆数に依存した強度分布を示す反射光スペクトルである。
【図20】演算装置の動作を説明するためのグラフである。(a)が波長の逆数に依存した強度分布を示す反射光スペクトルを線形補間したスペクトルである。(b)が(a)の反射光スペクトルを高速フーリエ変換したスペクトルである。(c)が(b)の一部拡大図である。
【図21】温度校正データの一例である。
【図22】(a)は、光源スペクトルの測定光のスペクトルの一例である。(b)は、反射光スペクトルの一例である。
【図23】(a)は、反射率の一例である。(b)は、ガウス関数の一例である。(c)は、調整後の反射光スペクトルの一例である。
【図24】光干渉システムの他の例を示す機能ブロック図である。
【図25】光干渉システムの他の例を示す機能ブロック図である。
【図26】光干渉システムの他の例を示す機能ブロック図である。
【図27】一実施形態に係る基板処理装置の一例である。
【図28】(a)は、反射光スペクトルの計測結果である。(b)は、ガウス関数の一例である。(c)は、調整後の反射光スペクトルである。
【図29】(a)は、調整前のFFT処理後のピーク波形、(b)は、調整後のFFT処理後のガウス関数の一例である。(c)は、調整後の反射光スペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して種々の実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0018】
図1は、一実施形態に係る光干渉システムの一例を示す構成図である。図1に示すように、光干渉システム1は、測定対象物13の温度を計測するシステムである。光干渉システム1は、光干渉を利用して温度を計測する。光干渉システム1は、光源10、光サーキュレータ11、コリメータ12、チューナブルフィルタ40、受光素子41、A/D変換部42、波長制御部43及び演算装置(計測部)15を備えている。なお、光源10、光サーキュレータ11、コリメータ12、チューナブルフィルタ40及び受光素子41のそれぞれの接続は光ファイバーケーブルを用いて行われる。
【0019】
光源10は、測定対象物13を透過する波長を有する測定光を発生させる。光源10として、例えばSLD(Super Luminescent Diode)が用いられる。なお、測定対象物13は、例えば板状を呈し、第1主面13a及び第1主面13aに対向する第2主面13bを有している。以下では、必要に応じて、第1主面13aを表面13a、第2主面13bを裏面13bと称して説明する。計測対象とする測定対象物13としては、例えばSi(シリコン)の他にSiO(石英)又はAl(サファイア)等が用いられる。Siの屈折率は、波長4μmにおいて3.4である。SiOの屈折率は、波長1μmにおいて1.5である。Alの屈折率は、波長1μmにおいて1.8である。
【0020】
光サーキュレータ11は、光源10、コリメータ12及びチューナブルフィルタ40に接続されている。光サーキュレータ11は、光源10で発生した測定光をコリメータ12へ出射する。コリメータ12は、測定光を測定対象物13の表面13aへ出射する。コリメータ12は、平行光線として調整された測定光を測定対象物13へ出射する。そして、コリメータ12は、測定対象物13からの反射光を入射する。反射光には、表面13aの反射光だけでなく裏面13bの反射光が含まれる。コリメータ12は、反射光を光サーキュレータ11へ出射する。光サーキュレータ11は、反射光をチューナブルフィルタ40へ出射する。
【0021】
チューナブルフィルタ40は、入力光の波長を変更可能な波長可変フィルタである。チューナブルフィルタ40は、ファブリペロー方式、回折格子方式、干渉フィルタ方式、音響光学方式等、印加電圧や印加周波数を制御することによりフィルタを透過させた透過光の波長を制御できるものであれば何でもよい。印加電圧や印加周波数は後述する波長制御部43により制御される。チューナブルフィルタ40は、透過光を受光素子41へ出射する。
【0022】
受光素子41は、光を検出する素子であり、例えば光の強度に応じた信号を出力する。ここでは単一の受光素子41が用いられる。受光素子41として、例えばフォトダイオードや光電子増倍管が用いられる。受光素子41は出力信号をA/D変換部42へ出力する。
【0023】
A/D変換部42は、受光素子41のアナログ出力信号をデジタル信号に変換する。A/D変換タイミングは後述する波長制御部43により制御される。A/D変換部42は、デジタル信号を演算装置15へ出力する。
【0024】
波長制御部43は、チューナブルフィルタ40に接続され、チューナブルフィルタ40への印加電圧を制御する。また、波長制御部43は、A/D変換部42に接続され、印加電圧の制御タイミングとA/D変換タイミングとの同期をとる。
【0025】
チューナブルフィルタ40、受光素子41、A/D変換部42及び波長制御部43によって、反射光の反射光スペクトル(干渉強度分布)が測定される(すなわち、これらの構成要素がスペクトル取得部として機能する)。反射光スペクトルは、反射光の波長又は周波数に依存した強度分布を示す。A/D変換部42から演算装置15へ出力されるデジタル信号は、反射光スペクトルとなる。
【0026】
演算装置15は、反射光スペクトルに基づいて測定対象物13の膜厚又は温度を計測する。図2は、演算装置15の機能ブロック図である。図2に示すように、演算装置15は、規格化部30、波形調整部31、光路長算出部16、温度算出部20及び温度校正データ21を備えている。
【0027】
規格化部30は、反射光スペクトルの波形を、予め取得された光源10の測定光のスペクトルを用いて規格化する。例えば、光源10の光源スペクトル(測定光のスペクトル)のプロファイルが歪んでいる場合や非対称である場合には、後述する処理後の信号も歪んでしまい、結果として精度の高い測定をすることができないおそれがある。このため、反射光スペクトルを光源スペクトルで除算して規格化する。すなわち、反射率の波形とする。規格化部30は、算出した波形を波形調整部31へ出力する。
【0028】
波形調整部31は、波長に依存した窓関数を用いて波形を調整する。窓関数は、掃引部による波長掃引範囲によって定まる中心波長を最大とし、中心波長からの差が大きくなるほど漸次減衰する釣鐘型の関数である。中心波長は、例えば波長掃引範囲の中央値が採用される。窓関数としては、ガウス関数、ローレンツ関数、及び、ガウス関数及びローレンツ関数の合成関数等が用いられる。波形調整部31は、窓関数を規格化部30により出力された反射率の波形に対して適用する。波形調整部31は、調整後の波形を光路長算出部16へ出力する。
【0029】
光路長算出部16は、フーリエ変換部17、データ補間部18及び重心計算部19を備えている。フーリエ変換部17は、反射光スペクトルを高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)によりフーリエ変換する。例えば、時間領域におけるフーリエ変換であれば、周波数(単位時間あたりの振動数)に依存した強度分布を示す反射光スペクトルを、時間に依存した強度分布を示す反射光スペクトルへ変換する。また、例えば、空間領域におけるフーリエ変換であれば、空間周波数(単位長さあたりの振動数)に依存した強度分布を示す反射光スペクトルを、位置に依存した強度分布を示す反射光スペクトルへ変換する。データ補間部18は、フーリエ変換後の反射光スペクトルの所定のピーク値を含む範囲において、データ点を補間する。重心計算部19は、フーリエ変換後の反射光スペクトルの所定のピーク値の重心位置を計算する。光路長算出部16は、重心位置に基づいて光路長を算出する。
【0030】
温度算出部20は、光路長に基づいて、測定対象物13の温度を算出する。温度算出部20は、温度校正データ21を参照して測定対象物13の温度を算出する。温度校正データ21は、予め測定されたデータであり、温度と光路長との関係を示すものである。
【0031】
なお、規格化部30は、光源スペクトルが計測波長範囲内に収まる場合には備えなくても良い。この場合、波形調整部31は、A/D変換部42により出力されたデジタル信号に対して窓関数を適用する。
【0032】
以下ではチューナブルフィルタ40及びA/D変換部42を用いた波長掃引の動作原理について詳細を説明する。ここでは説明理解の容易性を考慮して印加電圧を用いて波長を変更する場合を説明する。図3は、チューナブルフィルタ40における印加電圧と透過波長との関係を示すグラフである。図3に示すように、予め印加電圧と透過光の波長との関係を取得しておく。次に、図4に示すように、A/D変換部42において時間サンプリングを行う。図4の(a)は、電圧Vに対して時間サンプリングしたグラフであり、(b)は、光強度Iに対して時間サンプリングのグラフである。(a)と(b)に基づいて、(c)に示すように、電流と光強度との関係を導出できる。なお、(c)に示すグラフを計測結果から直接プロットしてもよい。図3に示すグラフ及び図4の(c)に示すグラフを用いて、波長と強度のスペクトルが取得できる。図5は、光スペクトルの一例である。なお、図5に示すグラフを測定結果から直接プロットしてもよい。図3〜図5を用いて説明したように、チューナブルフィルタ40を用いることで、単一の受光素子を用いた場合であっても光スペクトルを取得することができる。
【0033】
上記構成を有する光干渉システム1によって、測定対象物13の表面13aと裏面13bとの光干渉を利用して温度を測定する(FFT周波数領域法)。以下、光干渉の原理について説明する。図6は、入射光スペクトル及び反射光スペクトルを説明する概要図である。図6に示すように、光源10からの測定光を入射光とする。入射光スペクトルの強度S(k)は、空間周波数1/λ(単位長さあたりの振動数)に依存する。光源10の波長をλとすると波数kは2π/λである。測定対象物13の厚さをd、屈折率をn、反射率をRとする。反射光Eは、複数の反射成分を重ねたものになる。例えば、Eは、表面13aにおける反射成分である。Eは、裏面13bにおける反射成分である。Eは、表面13aで一回、裏面13bで2回反射された反射成分である。なお、E以降の反射成分は省略している。複数の成分が重なり、反射光スペクトルの強度I(k)が得られる。反射光スペクトルの強度I(k)は、入射光スペクトルの強度S(k)と以下の数式で示す関係がある。
【数1】


上記の式1において、第2項は表裏面干渉の項である。第3項は表裏面多重干渉の項である。式1をフーリエ変換すると、位置に依存した反射光スペクトルを得ることができる。
【0034】
図7は、反射光スペクトルI(k)のフーリエ変換を説明する概要図である。図7に示すように、空間領域フーリエ変換により、空間周波数1/λを位置xに変換している。位置xに変換された反射光スペクトルの強度I(x)は、式1をフーリエ変換することにより、以下の通りとなる。
【数2】


上記の式2に示すように、2ndごとにピーク値が出現する。2ndは表裏面の光路差である。すなわちndは、表裏面間の光路長である。上述した通り、予め計測された光路長ndと温度との関係から、光路長ndを特定することで温度を算出することができる。なお、上記説明では空間領域フーリエ変換を用いたが、時間領域フーリエ変換を用いてもよい。周波数をvとすると位置xとは以下の関係を満たす。
【数3】

【0035】
次に、光干渉システム1の測定可能な最大の厚さ(最大計測厚さ)と反射光スペクトルのフーリエ変換後のデータ間隔について説明する。図8は、反射光について説明する概要図である。図8に示すように、厚さd、屈折率nの測定対象物13において、表面の位置を0、裏面の位置をxとしている。このとき、FFTにおける時間Δτと角周波数Δωとの関係は、以下のように表される。
【数4】


ここで、角周波数ω,Δωを、光源スペクトルの波長λ、半値半幅Δλで表現すると、以下のようになる。
【数5】


周波数は正の値であるから、
【数6】


従って、
【数7】


である。
【0036】
屈折率n(平均屈折率nave)の測定対象物13中を光が時間Δτで移動する距離をΔx’とすると、距離Δx’は、上記式3及び式5を用いて、以下のように表現される。
【数8】


表面を透過し裏面で反射するため、往復距離を考慮してΔx’=2Δxとする。以上より、FFT後の反射光スペクトルのデータ間隔Δxは以下の通りとなる。
【数9】


周波数領域法では、実際のスペクトル強度I(k)は、波長軸方向のサンプリング数Nの離散的な値となる。従って、FFT後のデータは、Δx間隔のN/2個の離散的なデータとなる。従って、最大計測光学厚さxmaxは、以下の式で表すことができる。
【数10】

【0037】
これは実空間の座標に変換したときの値であり、FFT後の分光スペクトルのデータはこの値の2nave倍となる。従って、FFT後の空間における最大計測光学厚さXmax、及びデータ間隔ΔXは、以下の式で表すことができる。
【数11】


【数12】

【0038】
これらは媒質の屈折率によらない一般式であり、測定系の条件のみで決定される。実際の測定系においては、ΔλはFFTの最小周期と考えることができるため、ここでは、Δλは分光器の測定波長範囲、または波長スキャンレンジと考えることができる。波長スパン(測定波長域)をΔw、分光器の中心波長をλとすると、式10,11は以下の式で表される。
【数13】


【数14】


ここで具体的な例を用いて、測定対象物の厚さについて検討する。例えば従来のCCDアレイを用いた手法を採用した場合であって、波長λ=1550nm、サンプリング数N=512,波長スパンΔw=40nmとすると、式12より最大計測光学厚さXmaxは15.4mmとなる。これをSi(n=3.65)に適用すると、厚さd=2.1mmとなる。また、Qz(n=1.47)に適用すると、厚さd=5.2mmとなる。また、サファイア(n=1.8)に適用すると、厚さd=4.3mmとなる。
【0039】
式12により、より厚い測定対象物を測定するためには、波長λを長くする手法、波長スパンΔwを狭くする手法が考えられる。しかし、波長λをできるだけ長く設定した場合であっても約10%長くする程度が限界である。また、波長スパンΔwをできるだけ狭く設定する場合であっても1桁小さくする程度が限界である。このため、これらのパラメータを変更する手法では、Siに換算して数十mmオーダーの厚さを測定することができない。
【0040】
一方、式12により、サンプリング数Nを大きくすれば、より厚い媒質を計測することができる。従来のCCDセンサ等であれば、サンプリング数Nは配列数であるため固定値であり、変更することが容易ではない。これに対して、チューナブルフィルタ40で反射光の波長を掃引して単一の受光素子41で検出することにより、波長軸方向のサンプリング数Nをいかようにも設定することができる。例えばサンプリング数Nを5000等に設定した場合には、512個を配列させたCCDアレイに比べて10倍程度の厚い測定対象物を測定することができる。
【0041】
また、式12により、分光器の波長範囲Δwを広くすれば、FFT後のデータ間隔ΔXを小さくすることができる。これにより、データ間隔を小さくすることと、計測可能厚さを厚くすることとは、両立しないことがわかる。以上は、屈折率によらない一般式である。よって、屈折率naveの媒質中においての実スケールに変換する場合は、それぞれ2naveで除すればよい。
【0042】
次に、最小空間分解能について考察する。図9は、最小空間分解能を説明する概要図である。図9の(b)は、ガウス関数で近似できる光源の波数kに依存した強度分布を示すスペクトルである。図9の(b)に示すスペクトルの強度S(k)は、ピーク値の波数をk、ピーク値の強度を1/Δk・(π)1/2、半値半幅をΔkとすると、以下の式で表すことができる。
【数15】


なお、
【数16】


である。また、
【数17】


との関係が成立する。式15,16を用いて半値半幅Δkは以下のように表現できる。
【数18】

【0043】
一方、図9の(b)に示すスペクトルをFFT変換すると図9の(a)に示すスペクトルとなる。図9の(a)は、位置xに依存した強度分布を示すガウス関数のスペクトルである。図9の(a)に示すスペクトルの強度S(x)は、ピーク値の位置を0、ピークの強度を1とすると、以下の式で表すことができる。
【数19】


なお、半値半幅Δkと、S(x)の半値半幅Δxは以下の関係を満たす。
【数20】


半値半幅をlとすると、式19に基づいて、S(x)の半値半幅Δxは以下の式で表現できる。
【数21】


強度S(x)のスペクトルの半値半幅lがコヒーレンス長となる。空間の最小分解能は、lであり、光源10のスペクトルの中心波長と半値幅で決定される。
【0044】
次に、上述した最大計測光学厚さxmaxに基づいて、必要なサンプリング数Nの条件を導出する。光源10の中心波長をλ、光源スペクトルの半値半幅をΔλ、チューナブルフィルタ40の波長掃引範囲である波長スパンをΔw、測定対象物13の屈折率をnとすると、式9に基づいて、最大計測光学厚さxmaxは以下の式で表される。
【数22】


ここで、最大計測厚さdと最大計測光学厚さxmaxとは、以下の条件を満たす必要がある。
【数23】


すなわち、以下の関係を満たすサンプリング数Nが必要となる。
【数24】


例えば、最大計測厚さd=0.775mm、光源10の中心波長λ=1550nm、測定対象物13の屈折率n=3.7であれば、以下のようになる。
【数25】


なお、波長スパンΔw[m]をΔw’[nm]へ変換して表現すると、以下のようになる。
【数26】


光干渉システム1にあっては、式25に示す関係を満たす波長スパンΔw’[nm]で掃引するとともにサンプリング数Nでサンプリングを行う。例えば、波長スパンΔw’[nm]が40nmである場合には、サンプリング数Nが200より大きい値となるようにサンプリングを行う。
【0045】
次に、測定対象物の温度計測に必要な分解能について検討する。例えば、波長域が1200nm〜2000nmのSuper Continuum光源を用いた場合、コヒーレンス長は、数式20を用いて0.7umとなる。コヒーレンス長は、ガウス関数の半値半幅となるため、空間分解能はその2倍の1.4um程度とすることができる。一方、周波数ドメイン方式では、SC光源を用いた場合、FFT後のデータ間隔ΔXは、式13を用いて3.2umとなる。実空間のデータ間隔Δxは、FFT後のデータ間隔ΔXを屈折率nで除算することにより得られるため、例えば、Si(屈折率3.6)であればΔx=0.9um、Qz(屈折率1.46)であればΔx=1.46umとなる。このため、Siであれば1um程度、Qzであれば2um程度の分解能となる。
【0046】
温度計測では通常0.1℃程度の分解能が要求される。例えば、Siの厚さdが0.8mm程度であるとすると、光路長2ndの変化を0.04um以下の精度で捉える必要がある。FFT後のデータ間隔ΔXが0.04um、λ=1550nmとすると、式13を用いて光源の帯域幅Δwは60umが必要となり、現実的ではない。
【0047】
このため、周波数ドメイン方式を利用した温度計測では、FFT後の2ndの位置を正確に求めるために、あえてある程度の幅を持つ2nd信号の重み付け重心を計算する。そして、重み付け重心の位置の変化に基づいて温度変化を検出する。ここで、重み付け重心を高精度に求めるためには、FFT後の2ndの信号形状がガウス関数に近く、かつ、2l内に少なくとも3個以上の複数のサンプリング点が必要となる。また、2ndの信号形状がガウス関数となるには、光源スペクトル自体もガウス関数となる必要がある。すなわち、Gaussianスペクトル光源で、かつ、検出範囲内にガウス関数の裾部分が十分に含まれる必要がある。例えば、図10の(a)に示す反射光スペクトルは、ガウス関数に近いスペクトルの一例である。図10の(b)は、図10の(a)に示す反射光スペクトルのFFT後の信号である。このような反射光スペクトルであれば、FFT後の信号形状がガウス関数に近く、裾部分も検出範囲1540〜1580nm内に十分含まれているため、適切に重心位置を求めることができる。しかしながら、図11の(a)に示す反射光スペクトルのように、裾部分が検出範囲から大きくはみ出している場合には、図11の(b)に示す信号のようにピークが鋭くなり、重心位置の精度が低下する。また、図12の(a)に示す反射光スペクトルのように、検出範囲の中心と反射光スペクトルの中心波長が異なる場合には、図12の(b)に示す信号のように形状がガウス関数とはならず、重心位置の精度が低下する。
【0048】
Gaussianスペクトル光源や、任意のGaussianスペクトル光源のための光学フィルタの設計は困難であるため、FFTの実行前にデータ自体を加工することが考えられる。すなわち、任意のスペクトルを有する光源を用いて、サンプルからの反射光スペクトルを得た後、FFTの実行前に、窓関数を用いて反射スペクトルを加工することが考えられる。加工後の信号を反射光スペクトルとして取り扱うことで、FFTの重心の精度を精度良く求めることができる。
【0049】
窓関数としては例えばガウス関数が用いられる。以下ではガウス関数の一例を説明する。ガウス関数としては、面積を1に規格化するものと、高さを1に規格化するものがある。図13の(a)は、面積を1に規格化するガウス関数の一例である。中心波長をλ0、半値半幅をΔλHWHMとすると、図13の(a)に示すガウス関数は以下のように表現される。
【数27】


また、図13の(b)は、高さを1に規格化するガウス関数の一例である。中心波長をλ0、半値半幅をΔλHWHMとすると、図13の(b)に示すガウス関数は以下のように表現される。
【数28】

【0050】
窓関数として用いられるガウス関数は、図13の(c)に示すように、半値全幅内に3つのサンプリング点が入るように波形を変形でいるものが採用される。このため、以下の関係を満たす必要がある。
【数29】


変形すると、
【数30】


となる。式31より、測定範囲の波長域Δwが40nmであるとすると、8.8nm以下の半値半幅を有する光源が必要となるため、8.8nm以下の半値半幅のガウス関数を窓関数に設定する。なお、図13の(c)に示すガウス関数が高さを1に規格化するガウス関数として、式31を満たす場合には、式29を用いて測定領域の端の強度を求めることができる。すなわち、λ−λ=20nm、ΔλHWHM=8.8nmとすると、2.7867×10−2となる。このように、測定領域の端が97%程度減衰していれば、FFT後の2nd信号の形状もガウス関数に近くなるといえる。窓関数を用いることで、光源の波長、スペクトル幅、分光器等の測定系の中心波長、帯域等を気にすることなく測定することができる。
【0051】
以下では、具体的に窓関数を用いた場合を説明する。図14の(a)は、中心波長λ=1548nm、半値半幅ΔλHWHM=30nm、サンプル厚さd=775um、サンプルの屈折率n=3.7とした場合の反射光スペクトルの一例である。図14の(b)は、ガウス関数の一例であり、半値半幅ΔλHWHM=5nmである。図14の(c)は、図14の(a)に示す反射光スペクトルに、図14の(b)に示すガウス関数を適用して得られる信号である。
【0052】
図15の(a)(すなわち図14の(a))に示すように、中心波長λ=1548nm、半値半幅ΔλHWHM=30nm、サンプル厚さd=775um、サンプルの屈折率n=3.7とした場合の反射光スペクトルを用いた場合には、FFT後の2nd信号は、図15の(b)に示すものとなる。図15の(c)は、(b)のピーク部分の拡大図である。このように、ピーク自体が1つのサンプリング点のみで決定されているため、重心位置の精度が低下する。
【0053】
これに対して、図16の(a)(すなわち図14の(c))に示すように、窓関数を適用した後の信号を用いることで、FFT後の2nd信号は、図16の(b),(c)に示すように幅の持ったピークを有することとなる。このため、重心位置の精度を向上させることができる。
【0054】
また、図17は、光源の半値半幅ΔλHWHMとFFT後の波形の幅との関係を示すグラフである。図17に示すように、光源の半値半幅ΔλHWHMの大きさを変更すると、FFT後の2ndの波形の幅が変化する。FFT後のピーク形状を構成する点が多い程、重心の計算精度が向上する。すなわち、光源の半値半幅ΔλHWHMが小さくなるほどFFT後の2ndの波形の幅を大きくすることができる。
【0055】
次に、光干渉システム1の温度計測動作について説明する。図18は、光干渉システム1の動作を示すフローチャートであり、温度の計測方法(スペクトル取得ステップ、計測ステップ)に関するものである。図18に示す制御処理は、例えば光源10及び演算装置15の電源がONされたタイミングから所定の間隔で繰り返し実行される。なお、図18の実行前に、チューナブルフィルタ40の事前設定が済んでいるものとする。すなわち、事前に、例えば図5に示すような印加電圧(又は印加周波数)と透過光の波長との関係が取得されているものとする。
【0056】
図18に示すように、反射光スペクトルの入力処理から開始する(S10)。光源10は、測定光を発生する。例えば、図19の(a)に示すスペクトルの測定光となる。受光素子41は、測定対象物13の表面13a及び裏面13bで反射した反射光のスペクトルを取得する。すなわち、チューナブルフィルタ40によって波長掃引しつつ、受光素子41で検出する。これにより、例えば、図19の(b)に示すスペクトルの反射光となる。光路長算出部16は、受光素子41から反射光のスペクトルを入力する。S10の処理が終了すると、波形調整処理へ移行する(S11)。
【0057】
S11の処理では、波形調整部31が波形を調整する。すなわち、上述した窓関数を反射光スペクトルに適用する。S11の処理が終了すると、座標変換処理へ移行する(S12)。
【0058】
S12の処理では、光路長算出部16が、S11の処理で得られたスペクトルの座標軸を、波長λから空間周波数(1/λ)へ変換する。例えば、図19の(c)に示すスペクトルとなる。S12の処理が終了すると、第1データ補間処理へ移行する(S14)。
【0059】
S14の処理では、光路長算出部16が、S12の処理で得られたスペクトルのデータ補間を行う。例えば、サンプリング数をNとし、スペクトルのデータとして、空間周波数の配列を(x,x,x,…,xN−1)とし、強度の配列を(y,y,y,…,yN−1)とする。まず、光路長算出部16は、空間周波数の配列を等間隔に再配列する。例えば、再配列後の空間周波数の配列に含まれる空間周波数をXとすると、以下の式を用いて再配列を行う。
【数31】


次に、光路長算出部16は、再配列後の空間周波数Xにおける強度を、線形補間で計算する。このときの強度をYとすると、以下の式を用いて算出する。
【数32】


ただし、jはX>xとなる最大の整数である。これにより、例えば図20の(a)に示すスペクトルとなる。S14の処理が終了すると、FFT処理へ移行する(S16)。
【0060】
S16の処理では、フーリエ変換部17が、S14の処理で補間されたスペクトルをフーリエ変換する(フーリエ変換工程)。これにより、例えば、図20の(b)に示すように、縦軸が振幅、横軸が位相のスペクトルとなる。S16の処理が終了すると、フィルタリング処理へ移行する(S18)。
【0061】
S18の処理では、光路長算出部16が、S16の処理で得られたスペクトルからX=0のピーク値をフィルタリングする。例えば、X=0からX=Z(所定値)までの範囲の強度データYに0を代入する。S18の処理が終了すると、抽出処理へ移行する(S20)。
【0062】
S20の処理では、光路長算出部16が、S18の処理で得られたスペクトルからX=2ndのピーク値を抽出する。例えば、ピークの最大値をYとした場合、Yi−10からデータ点を20点抽出する。これは、ピークの中心から裾までのデータを抽出するためである。例えば、ピークの最大値を1としたときに、最大値から0.5までの範囲が含まれるように抽出する。例えば、図20の(c)に示すスペクトルが抽出される。S20の処理が終了すると、第2データ補間処理へ移行する(S22)。
【0063】
S22の処理では、データ補間部18が、S20の処理で得られた2ndピークのデータを補間する(データ補間工程)。データ補間部18は、例えばデータ点間を補間数Nで等間隔に線形補間する。補間数Nは、例えば必要な温度精度に基づいて予め設定される。
【0064】
ここで、補間数Nについて概説する。例えば、測定対象物13が半径300mmのSi基板である場合には、FFT後のピーク間隔Δ2ndが0.4μm/℃となる。したがって、1℃の精度が必要な場合には、データ間隔が0.4μmとなるように補間数Nを設定する。システムが有するノイズレベルを考慮して補間数Nを決定してもよい。例えば、以下の数式を用いてデータ補間を行う。
【数33】


ここで、jは強度の配列に用いた指標である。データ補間部18は、上記式32をi=0〜N−1の範囲で実行する。すなわち、S20の処理で得られた20点の間隔全てを対象にして算出する。このように、フーリエ変換後のデータ間隔を、必要な分割数(補間数N)で分割し、分割数に応じたデータ数を線形補間する。S22の処理が終了すると、抽出処理へ移行する(S24)。
【0065】
S24の処理では、重心計算部19が、S22の処理で補間されたデータから重心の計算に利用するデータ範囲のみを抽出する。例えば、重心計算部19は、重心計算に使用する閾値をA%とし、ピークの最大強度YMAX×A以下の強度データYに0を代入する。S24の処理が終了すると、重心計算処理へ移行する(S26)。
【0066】
S26の処理では、重心計算部19が、S24の処理で補間されたデータから重み付け重心を計算する(重み付け重心計算工程)。例えば、以下の式を用いる。
【数34】


なお、Nは重心範囲抽出後のデータ点数である。式35を用いることで光路長ndを算出することができる。S26の処理が終了すると、温度計算処理へ移行する(S28)。
【0067】
S28の処理では、温度算出部20が、S26の処理で得られた光路長ndを用いて温度を算出する(温度算出工程)。温度算出部20は、例えば図21に示す温度校正データ21を用いて温度を算出する。図21は、横軸が光路長ndであり、縦軸が温度である。温度校正データ21は予め測定対象物13ごとに取得される。以下では、温度校正データ21の事前作成例について説明する。例えば、温度制御に黒体炉を使用して実測する。温度Tと、温度Tにおける光路長ndを同時に計測する。温度Tは、熱電対等の温度計を用いて測定する。また、光路長ndは、上述したFFTを利用した手法で測定する。そして、温度計の測定値が40℃の時の光路長nd40を1000として光路長ndを規格化する。そして、温度と規格化された光路長ndを100℃ごとに区分して、3次式で近似することで、近似曲線の係数を導出する。図21の左上に示す数式が3次式の数式である。なお、温度Tに依存した規格化された光路長ndの関数を以下式で表す。
【数35】


また、f(T)の逆関数を以下のように示す。
【数36】


光路長nd40は、イニシャル温度T0とその時の光路長ndT0に基づいて以下の数式により算出される。
【数37】


式36に基づいて得られた光路長nd40及び光路長ndに基づいて、温度Tを上述した式35の数式を用いて導出する。S28の処理が終了すると、図18に示す制御処理を終了する。
【0068】
以上で図18に示す制御処理を終了する。図18に示す制御処理を実行することで、反射光スペクトルのサンプリング数を任意に設定しつつ、ガウス関数を用いて精度のよい反射光スペクトルとすることができる。さらに、少ないデータ点であっても高精度に温度を測定することができる。データ補間工程にて直線補間をすることで、FFT後の信号プロファイルに依存することなく、重心位置を決定することができる。また、温度精度に合わせてデータ点を補間することができるので、精度よく安定な温度計測をすることができる。
【0069】
以上、一実施形態に係る光干渉システム1及びその方法によれば、単一の受光素子41へ入射される光の波長がチューナブルフィルタ40によって掃引される。このため、サンプリング数を任意に調整することができる。従って、計測波長範囲内のサンプリング数をより多くすることにより、測定可能な膜厚の上限値を容易に変更することができる。例えば測定可能な膜厚の上限値を大きく増やすことができる。また、窓関数を用いてフーリエ変換前の波形をフーリエ変換に適した波形とすることができるので、フーリエ変換後のピーク波形にある程度の幅を持たせることが可能となる。よって、ピーク位置の検出精度を向上させることができる。
【0070】
なお、上述した実施形態は光干渉システム及びアライメント調整方法の一例を示すものであり、実施形態に係る装置及び方法を変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。
【0071】
例えば、図18に示す制御処理の実行前に、光源スペクトルを事前に取得して記録しておき、S11に示す調整処理の前に、規格化部30によって反射光スペクトルを規格化してもよい。例えば、図22の(a)に示す光源スペクトルを予め取得しているものとする。そして、図22の(b)に示すSi基板の反射光スペクトルを取得したものとする。規格化部30は、光源スペクトルを用いて反射光スペクトルを規格化する。例えば、反射光スペクトルを光源スペクトルで除算して、反射率とする。図23の(a)は反射率に規格化したスペクトルの例である。図23の(a)に示すスペクトルに、図23の(b)に示すガウス関数を積算すると、図23の(c)に示すスペクトルとなる。これにより、FFT後の信号は、完全なガウス関数となる。
【0072】
また、図1に示すA/D変換部42及び波長制御部43を演算装置15に組み込んでもよい。また、図1に示すチューナブルフィルタ40は、光源10と光サーキュレータ11との間に設けてもよいし、光サーキュレータ11とコリメータ12との間に設けてもよい。また、図1では、チューナブルフィルタ40を用いる例を説明したが、可動グレーティングの分光器を用いる場合であってもよい。図24は、分光器14aが可動グレーディングのスペクトルメータ及び単一の受光素子を備えており、演算装置15及びスペクトルメータが協働して透過光の波長λを制御する。また、図25に示すように、可動グレーディングの分光器として光スペクトルアナライザを用いてもよい。この場合には、波長−強度のスペクトルが直接取得できる。さらに、図26に示すように、演算装置15が光源10の波長を制御してもよい。例えば、温度制御等により光源10の波長を変更する。このように、波長の掃引部は何であってもよい。
【0073】
また、基板処理装置に一実施形態で説明した光干渉システム1を搭載させてもよい。図27は、一実施形態にかかる基板処理装置100の要部縦断面構成を模式的に示す図である。ここでは、プラズマエッチング装置などの基板処理装置における測定対象物13の例として、ウエハ、フォーカスリング又は対向電極(上部電極)の温度測定に適用する場合を例に挙げて説明する。
【0074】
図27に示すように、基板処理装置100は、基板としての半導体ウエハWを収容してプラズマにより処理するための真空チャンバ200を具備している。
【0075】
真空チャンバ200は、その内部に処理室202を画成する。処理室202は、真空排気可能に構成されている。処理室202には、半導体ウエハWを載置するための載置台39が設けられている。この載置台39は、導電性材料から構成され、高周波電力が印加されるRFプレート38と、このRFプレート38上に設けられ、半導体ウエハWを吸着するための静電チャック機構50とを具備しており、RFプレート38の中央部には、高周波電源(不図示)と電気的に接続された給電棒60が接続されている。
【0076】
載置台39の周囲には、載置台39の周囲を囲むように、環状に形成されたバッフル板70が設けられており、バッフル板70の下部には、載置台39の周囲から均一に排気を行うための環状の排気空間80が形成されている。また、真空チャンバ200の底部には、ベースプレート90が設けられており、RFプレート38とベースプレート90との間には、空隙101が形成されている。この空隙101は、RFプレート38とベースプレート90を絶縁するための十分な広さとなっている。また、搬送アームから半導体ウエハWを受け取り載置台39に載置又は半導体ウエハWを載置台39より持ち上げて搬送アームに受け渡すプッシャーピンの駆動機構(不図示)が、この空隙101内に設けられている。また、この空隙101は、真空雰囲気ではなく大気雰囲気となっている。
【0077】
載置台39の上方には、載置台39と間隔を設けて対向するように対向電極110が設けられている。この対向電極110は、所謂シャワーヘッドによって構成されており、載置台39上に載置された半導体ウエハWに対して、シャワー状に所定の処理ガスを供給できるように構成されている。この対向電極110は、接地電位とされるか或いは高周波電力が印加されるようになっている。また、載置台39上の半導体ウエハWの周囲には、フォーカスリング290が設けられている。このフォーカスリング290は、半導体ウエハWのプラズマ処理の面内均一性を向上させるためのものである。
【0078】
上記真空チャンバ200は、載置台39の上部の空間である処理室202が真空雰囲気となり、載置台39の下部の空隙101が常圧雰囲気となるように構成されている。したがって、載置台39が真空雰囲気と常圧雰囲気とを仕切る仕切り壁の一部を構成するようになっている。そして、載置台39には、複数の温度測定用窓120,130,140、150及び151が形成されている。温度測定用窓120,130,140及び150は、載置台39の上面と下面とを測定光が透過可能なように光学的に連通し、かつ、気密封止された構造となっている。温度測定用窓151は、真空チャンバ200の上方から下方に向けて形成されており、光学的に連通し、かつ、気密封止された構造となっている。
【0079】
なお、一実施形態では、温度測定用窓120,130,140、150及び151のうち、載置台39の最も外周側の位置に設けられた温度測定用窓150は、フォーカスリング290の温度を測定するためのものであり、他の温度測定用窓120,130、140及び151は、半導体ウエハWの温度、又は、対向電極110の温度を測定するためのものである。
【0080】
上記温度測定用窓120,130,140及び150に対応して、ベースプレート90には、貫通孔160,170,180及び190が設けられており、これらの貫通孔には、夫々温度測定手段からの測定光を導くための光ファイバ201,210,220及び230の出口部分に設けられたコリメータ240,250,260及び270が固定されている。また、ベースプレート90と載置台39(RFプレート38)との間の空隙101には、ベースプレート90と載置台39(RFプレート38)とを連結する連結部材300が配置されている。また、温度測定用窓151に対応して貫通孔が設けられており、該貫通孔には、温度測定手段からの測定光を導くための光ファイバ231の出口部分に設けられたコリメータ271が固定されている。なお、図27には、連結部材300を1つのみ図示してあるが、この連結部材300は、周方向に沿って複数(例えば4個以上)配置されている。これらの連結部材300は、載置台39の変形や振動を抑制するためのものである。
【0081】
上記光ファイバ201,210,220、230及び231は、図1に示す光干渉システム1に接続されている。すなわち、コリメータ240,250,260、270及び271が図1に示すコリメータ12に対応する。
【0082】
光源としては、測定光と参照光との干渉が測定できれば、任意の光を使用することが可能である。半導体ウエハWの温度測定を行う場合には、少なくとも半導体ウエハWの表面と裏面との間の距離(通常は800〜1500μm程度)からの反射光が干渉を生じない程度の光が好ましい。具体的には例えば低コヒーレンス光を用いることが好ましい。低コヒーレンス光とは、コヒーレンス長の短い光をいう。低コヒーレンス光の中心波長は例えば0.3〜20μmが好ましく、更に0.5〜5μmがより好ましい。また、コヒーレンス長としては、例えば0.1〜100μmが好ましく、更に3μm以下がより好ましい。このような低コヒーレンス光を光源として使用することにより、余計な干渉による障害を回避でき、半導体ウエハWの表面又は内部層からの反射光に基づく参照光との干渉を容易に測定することができる。
【0083】
上記低コヒーレンス光を使用した光源としては、例えばSLD(Super Luminescent Diode)、LED、高輝度ランプ(タングステンランプ、キセノンランプなど)、超広帯域波長光源等を使用することができる。これらの低コヒーレンス光源の中でも、輝度の高いSLD(波長、例えば1300nm)を光源として用いることが好ましい。
【0084】
上記光干渉システム1における参照光は、コリメータ240,250,260、270及び271から出力され、載置台39から測定対象物であるウエハW、フォーカスリング290及び対向電極110へ出力される。
【0085】
以上、基板処理装置100に光干渉システム1を搭載することで、ウエハW、フォーカスリング290及び対向電極110の厚さ及び温度を計測できる。なお、処理室内に収容されているフォーカスリング290又は対向電極110等のチャンバ内パーツを測定対象物とする場合には、これらのパーツが測定光に対して透過性を有する材質で形成されている必要がある。例えば、チャンバ内パーツの材質として、シリコン、石英又はサファイア等が用いられる。
【0086】
また、上述した実施形態では、光サーキュレータ11を備える例を説明したが、2×1又は2×2のフォトカプラであってもよい。2×2のフォトカプラを採用する場合、参照ミラーは備えなくてもよい。
【0087】
また、上述した実施形態では、基板処理装置が複数のコリメータを備える例を説明したが、コリメータは1つであってもよい。
【0088】
また、上述した実施形態では、光干渉システム1が測定対象物13の温度を測定する場合を例に説明したが、光路長ndから厚さを測定してもよい。
【実施例】
【0089】
以下、上記効果を説明すべく本発明者が実施した実施例及び比較例について述べる。
【0090】
まず、図1に示す光干渉システム1を用いて反射光スペクトルを取得した。光源として、DenseLight社製のSuper Luminescent Diode DL−CS5107A(S/N:0919QZ1000K)を用いた。120mAを入力とし、25℃でオペレーションした。この光源の出力は、1.5mW、中心波長は、1568nm、スペクトル幅FWHMは、60nmである。サンプリング数Nを1024とした。図28の(a)に結果を示す。
(実施例1)
図28の(b)に示すガウス関数を用いて反射光スペクトルを調整した。調整後の波形を図28の(c)に示す。その後、FFTを行った。図29の(b)に結果を示す。
(比較例1)
図28の(a)に示す反射光スペクトルを用いてFFTを行った。図29の(a)に結果を示す。
【0091】
図29の(a)に示すように、比較例1のピークは重心位置を求めるのが困難であり、窓関数を用いることで、図29の(b)に示すように重心位置を求めることが容易となることが確認された。
【符号の説明】
【0092】
1…光干渉システム、10…光源、11…光サーキュレータ、12…コリメータ、15…制御部、16…光路長算出部、17…フーリエ変換部、18…データ補間部、19…重心計算部、20…温度算出部、21…温度校正データ、30…規格化部、31…波形調整部、40…チューナブルフィルタ、41…受光素子、42…A/D変換部、43…波長制御部、100…基板処理装置、151…ピーク強度取得部、152…調整位置導出部、153…信号生成部、202…処理室。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面及び前記第1主面に対向する第2主面を有する測定対象物の厚さ又は温度を計測する光干渉システムであって、
前記測定対象物を透過する波長を有する測定光の光源と、
前記光源に接続され、前記光源からの測定光を前記測定対象物の前記第1主面へ出射するとともに、前記第1主面及び前記第2主面からの反射光を入射するコリメータと、
前記コリメータからの光を入射し、光の強度を取得する単一の受光素子と、
前記受光素子に入射される光の波長を掃引する掃引部と、
前記掃引部及び前記受光素子を用いて、波長に依存した強度分布であって前記第1主面及び前記第2主面からの反射光の強度分布である干渉強度分布を測定するスペクトル取得部と、
前記干渉強度分布をフーリエ変換して得られる波形に基づいて前記測定対象物の厚さ又は温度を計測する計測部と、
を備える光干渉システム。
【請求項2】
前記掃引部は、前記測定光又は前記反射光の波長を変更可能なフィルタである請求項1に記載の光干渉システム。
【請求項3】
前記掃引部は、前記測定光又は前記反射光の波長を、回折格子を用いて制御する請求項1に記載の光干渉システム。
【請求項4】
前記掃引部は、前記光源の波長を変更する請求項1に記載の光干渉システム。
【請求項5】
前記計測部は、
波長に依存した窓関数であって前記掃引部による波長掃引範囲によって定まる中心波長を最大とし前記中心波長からの差が大きくなるほど漸次減衰する釣鐘型の窓関数を前記干渉強度分布に適用し、適用後の前記干渉強度分布をフーリエ変換して得られる波形に基づいて前記測定対象物の厚さ又は温度を計測する請求項1〜4の何れか一項に記載の光干渉システム。
【請求項6】
前記計測部は、窓関数の適用の前に、予め取得された前記光源の測定光の強度分布を用いて前記干渉強度分布を規格化する請求項5に記載の光干渉システム。
【請求項7】
窓関数は、ガウス関数である請求項5又は6に記載の光干渉システム。
【請求項8】
窓関数は、ローレンツ関数である請求項5又は6に記載の光干渉システム。
【請求項9】
窓関数は、ガウス関数及びローレンツ関数の合成関数である請求項5又は6に記載の光干渉システム。
【請求項10】
第1主面及び前記第1主面に対向する第2主面を有する測定対象物の厚さ又は温度を計測する光干渉システムを備える基板処理装置であって、
真空排気可能に構成され、前記測定対象物を収容する処理室を有し、
該光干渉システムは、
前記測定対象物を透過する波長を有する測定光の光源と、
前記光源に接続され、前記光源からの測定光を前記測定対象物の前記第1主面へ出射するとともに、前記第1主面及び前記第2主面からの反射光を入射するコリメータと、
前記コリメータからの光を入射し、光の強度を取得する単一の受光素子と、
前記受光素子に入射される光の波長を掃引する掃引部と、
前記掃引部及び前記受光素子を用いて、波長に依存した強度分布であって前記第1主面及び前記第2主面からの反射光の強度分布である干渉強度分布を測定するスペクトル取得部と、
前記干渉強度分布をフーリエ変換して得られる波形に基づいて前記測定対象物の厚さ又は温度を計測する計測部と、
を備える基板処理装置。
【請求項11】
光干渉システムを用いて第1主面及び前記第1主面に対向する第2主面を有する測定対象物の厚さ又は温度を計測する計測方法であって、
該光干渉システムは、
前記測定対象物を透過する波長を有する測定光の光源と、
前記光源に接続され、前記光源からの測定光を前記測定対象物の前記第1主面へ出射するとともに、前記第1主面及び前記第2主面からの反射光を入射するコリメータと、
前記コリメータからの光を入射し、光の強度を取得する単一の受光素子と、
前記受光素子に入射される光の波長を掃引する掃引部と、
を備え、
該計測方法は、
前記掃引部により前記受光素子に入射される光の波長を掃引して、波長に依存した強度分布であって前記第1主面及び前記第2主面からの反射光の強度分布である干渉強度分布を測定するスペクトル取得ステップと、
前記干渉強度分布をフーリエ変換して得られる波形に基づいて前記測定対象物の厚さ又は温度を計測する計測ステップと、
を備える計測方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−96858(P2013−96858A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240304(P2011−240304)
【出願日】平成23年11月1日(2011.11.1)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】