説明

光源装置

【課題】照射径が小さい極細径の光源装置を提供する。
【解決手段】光源装置は、コアの外周にクラッドが設けられているコア・クラッド型光ファイバ10の少なくとも2本以上が個々の光ファイバ10の一方の端面側の出射端10dにおいて、コア径はそのままとしクラッドの外径が縮小され近接されて並列に束ねられフェルール40に挿入されて配置され、個々の光ファイバ10の他方の端面側の入射端10cでは、個々の光ファイバ10が1本ずつ独立してなる端面近接多芯光ファイバ100と、端面近接多芯光ファイバ100の入射端10cと光源20とをそれぞれ光学的に連結する等倍光学系ユニット又は縮小光学系ユニットからなる光学系ユニット30とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光通信および光情報伝送分野あるいは画像処理分野において用いられる近接多芯光ファイバを使用した光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常の光ファイバは屈折率の異なるコアとクラッドからなり、比較的に屈折率の高いコア材からなるコアを、比較的に屈折率の低いクラッド材からなるクラッドで覆った構成である。したがって、コアの断面は円形であり、またクラッドの断面はドーナッツ型である。また、屈折率の異なるコアとクラッドを用いる代わりに、光が進行する実質的コア部分の周辺を「空孔(ホール;屈折率は極めて低い)」で取り囲んだ「ホーリーファイバ」の開発も進められている。このような「コア・クラッド型光ファイバ」および「ホーリーファイバ」ともに、光の透過するコア部分の直径約数μmないし10μmに対して、1本の光ファイバ全体としての外径・直径は、通常100μm以上である(非特許文献1)。この直径は、光学的な要請でなく、製造上、断線を避けるための強度を維持するために大きさが定められており、1本の光ファイバとして、非常に注意深く製造する場合、直径80μm程度までは小さくすることができるとされている。
【0003】
一方、光通信および光情報伝送分野において、通常、「多芯光ファイバ」とは、通常の光ファイバを単純に束ねたものをいう。一般にシングルモードあるいはマルチモードにかかわらず、個々のクラッド直径125μmの多芯光ファイバが広く用いられている。
【0004】
本発明者らは、特願2006−255002号において、コア・クラッド型シングルモード光ファイバの一方の端面において複数の隣接するシングルモード光ファイバのクラッドの外径が縮小され近接されて並列に束ねられ配置された端面近接多芯光ファイバ及びその製造方法を提案した。
【0005】
そして、この提案では、端面近接多芯光ファイバの1本から制御光を隣接するもう1本から信号光を出射させることによって、熱レンズ方式光制御式光路偏向光路偏向スイッチに有用であることを示した。
【0006】
一方、近年、情報量の増大により益々高密度化が要求されてきているDVD等の光情報伝送分野あるいは検査対象がより微小化されてきていると共に、より高精度が要求されるようになってきている検査機器用照明装置等の画像処理の分野においては、従来より細径で照射密度が高い光源装置が切望されている。
【0007】
【非特許文献1】末松安晴、伊賀健一、「光ファイバ通信入門(改訂第3版)」、株式会社オーム社(1989)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、端面近接多芯光ファイバを応用した、DVD等の光情報伝送分野あるいは検査機器用照明装置等の画像処理の分野において有用な細径で照射密度が高い光源装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の光源装置は以下の特徴を有する。
【0010】
(1)コアの外周にクラッドが設けられているコア・クラッド型光ファイバの少なくとも2本以上が個々の光ファイバの一方の端面において、前記コア径はそのままとし前記クラッドの外径が縮小され近接されて並列に束ねられ配置され、個々の光ファイバの他方の端面では、個々の光ファイバが1本ずつ独立してなる端面近接多芯光ファイバと、前記端面近接多芯光ファイバの各他方の端面と光源とをそれぞれ光学的に連結する等倍光学系ユニット又は縮小光学系ユニットと、を有する光源装置である。
【0011】
(2)上記(1)に記載の光源装置において、前記光源がRGB(赤、緑、青)からなるレーザである。
【0012】
(3)上記(1)または(2)に記載の光源装置において、前記縮小光学系ユニットの縮小倍率が1倍〜0.5倍である。
【0013】
(4)コアの外周にクラッドが設けられているコア・クラッド型光ファイバの少なくとも2本以上が個々の光ファイバの一方の端面において、前記コア径はそのままとし前記クラッドの外径が縮小され近接されて並列に束ねられ配置され、個々の光ファイバの他方の端面では、個々の光ファイバが1本ずつ独立してなる端面近接多芯光ファイバと、前記端面近接多芯光ファイバの一方の端面とマルチモード光ファイバとを光学的に連結する等倍光学系ユニット又は縮小光学系ユニットと、を有する光源装置である。
【0014】
(5)上記(4)に記載の光源装置において、前記縮小光学系ユニットの縮小倍率が1倍〜0.5倍である。
【0015】
(6)コアの外周にクラッドが設けられているコア・クラッド型光ファイバの少なくとも2本以上が個々の光ファイバの一方の端面において、前記コア径はそのままとし前記クラッドの外径が縮小され近接されて並列に束ねられ配置され、個々の光ファイバの他方の端面では、個々の光ファイバが1本ずつ独立してなる端面近接多芯光ファイバと、前記端面近接多芯光ファイバの一方の端面とマルチモード光ファイバとが屈折率マッチングオイルを介して直接接続されている光源装置である。
【0016】
(7)上記(4)から(6)のいずれか1つに記載の光源装置において、前記マルチモード光ファイバの外径が50μm〜400μmである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、上述の構成にすることにより、照射径が小さい極細径の光源装置が得られる。また、光源をRGBとすることにより、細径の白色光源あるいは色調整により任意の色の出射光も得られる。
【0018】
また、マルチモード光ファイバを使用したことにより、均一光化されるとともに高密度な出射光が得られる光源装置が提供できる。
【0019】
さらに、屈折率マッチングオイルを介して端面近接多芯光ファイバとマルチモード光ファイバを密着接続した態様によれば、小型でしかもコストが低減された光源装置が提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(第1の実施の形態)
図1に示す光源装置において、端面近接多芯光ファイバ100は、コア10aの外周にクラッド10bが設けられているコア・クラッド型光ファイバ10の少なくとも2本以上が、個々の光ファイバ10の一方の端面において、コア10aの径はそのままとしクラッド10bの外径が縮小され近接されて並列に束ねられ配置されフェルール40内に挿入され、一方、個々の光ファイバ10の他方の端面では、個々の光ファイバ10が1本ずつ独立してなるように構成されている。さらに、図1に示す個々の光ファイバ10は、1本ずつ独立している他方の端面側が入射端10cであり、近接されて並列に束ねられ配置されフェルール40に挿入される側が出射端10dである。
【0021】
また、図1に示す等倍光学系ユニット又は縮小光学系ユニットからなる光学系ユニット30は、光源としてのLD(レーザダイオード)20と光ファイバ10の入射端10cとを光学的に連結する。
【0022】
このような構成とすることにより照射径が小さい極細径の光源装置が得られる。また、光源をRGBとすることにより、細径の白色光源あるいは色調整により任意の色の出射光も得られる。
【0023】
以下、光源20として可視光(波長635nm)の7個のLD(レーザダイオード)、光学系ユニット30として40倍の縮小光学系ユニットを使用した例について説明する。
【0024】
図1に示すように、例えば、7本の光ファイバ10から構成される端面近接多芯光ファイバ100の個々の光ファイバが1本ずつ独立してなる各入射端10cに、可視光(波長635nm)の7個のLD(レーザダイオード)(波長635nm)が個々に接続されている。
【0025】
一方、端面近接多芯光ファイバ100の出射端100aは、図2の断面図に示すように、同径の7本の光ファイバ10の出射端10dが同心円状に近接配置されている。なお、フェルール40は、出射端10dにおける端面近接多芯光ファイバ100を束ねて収納・固定するものであり、またフェルール40の内部にはコネクタ60が設けられている。
【0026】
本実施の形態における端面近接多芯光ファイバ100の外径は、製造可能な範囲でしかも細径スポットを得るため、図3に示すように、60μm〜240μmであることが望ましい。同様に、端面近接多芯光ファイバ100の隣り合う光ファイバ10の中心間距離は20μm〜160μmであることが望ましい。更に詳しく言えば個々の光ファイバ10のコア径は8μm〜10μmであり、クラッド径は20μm〜80μmであることが望ましい。以上の構成により、7個のLD(レーザダイオード)による可視光(波長635nm)が端面近接多芯光ファイバ100の出射端100aに集束することになる。そして、端面近接多芯光ファイバ100の出射端100aに集束した光は、例えば縮小光学系ユニットからなる光学系ユニット30に入射し縮小化・高密度化されて出射する。なお、光学系30は必ずしも縮小光学系ユニットに限定されず等倍系の光学系ユニットでも良い。なお、本実施の形態における「〜」及び「から」という用語を用いた数値範囲の記載において、その上限値と下限値はその数値範囲に含まれるものであることは言うまでもない。
【0027】
光学系ユニット30が縮小光学系ユニットの場合、縮小光学系ユニットの縮小倍率が1倍〜0.5倍であることが望ましい。なお、縮小光学系ユニットは通常の石英ガラスレンズ、多成分ガラスレンズ、プラスチックレンズ等からなる凸レンズで構成すればよく、殊に、高密度ビームに適し、挿入損失が少なく色収差も少ない石英ガラスレンズが好ましい。
【0028】
端面近接多芯光ファイバ100を構成する光ファイバ10の本数に関しては、照射光量、外径を考慮すると3本〜19本程度が好ましい範囲であり、その中でも図2の断面図に示す7本同心配置が構造的に安定していて、しかも細径であるので特に好ましい。
【0029】
次に光源20としては、上述した可視光(波長635nm)のLD(レーザダイオード)以外に用途により紫外域から赤外域のレーザあるいはLED(発光ダイオード)も使用する事が可能である。その中でも自然光(白色光源)を得たい場合にはRGB(赤、緑、青)からなるレーザが好適である。以上の構成により、図3の照射スポットが示すように、光学系ユニット30として用いた縮小光学系ユニットから縮小化・高密度化された極細径の出射光が出射する。
【0030】
端面近接多芯光ファイバ100の隣り合う光ファイバ10の外径及び中心間距離と縮小光学系の縮小倍率にも依るが、照射ビーム径が45μm〜90μmの極小径の高密度ビームが照射可能な光源装置が得られる。
【0031】
(第2の実施の形態)
次にマルチモード光ファイバを使用した本発明の光源装置の第2の実施形態につき説明する。図4にその概略構成図を示すが、構成上は、第1の実施の形態において説明した図1の光学系の後段にマルチモード光ファイバ42が付加されたものであり、すなわち、端面近接多芯光ファイバ100の一方の端面側の出射端100aとマルチモード光ファイバ42とが等倍光学系ユニット又は縮小光学系ユニットからなる光学系ユニット30を介して光学的に連結する構成となっており、他の部分の構成は図1と同様である。したがって、同一構成については同一符号を付しその説明を省略する。
【0032】
本実施の形態では、出射端100aが7本同心円状配置された端面近接多芯光ファイバ100を使用すると共に、7本の光ファイバ10が1本ずつ独立してなる入射端10cには、図1と同様に、光源20(図1)として、RGB(赤、緑、青)各2個ずつからなるレーザを7本同心円状配置された出射端100aでRGBの順序となるよう接続している。なお、中心に配置される光ファイバには可視光(波長532nm)のDPSSレーザを接続した。
【0033】
照射径とビーム密度等を考慮し、マルチモード光ファイバ42の外径は10μm〜400μmが好ましい範囲である。マルチモード光ファイバ42の長さは出射光の均一性の確保と挿入ロスを考慮すると1mmから1000mmが好ましい範囲である。
【0034】
マルチモード光ファイバ42としては、光学系ユニット30の1つである上述した縮小光学系ユニットと同様、通常の石英ガラスファイバ、多成分ガラスファイバ、プラスチックファイバ等から構成すればよく、取り分け、耐熱性が有り挿入損失が少ない石英ガラスファイバが好ましい。
【0035】
一方、本実施の形態の光学系ユニット30は、石英硝子の凸レンズからなる等倍光学系ユニットを用いた。
【0036】
以上の構成により、RGB(赤、緑、青)のレーザがマルチモード光ファイバ42内部にて拡散・均一光化されるので、マルチモード光ファイバ42の出射端からは極細径で均一且つ高密度の自然色(白色)が照射できる光源装置が得られる。なお、自然色以外の任意の照射光を得たい場合には、RGB(赤、緑、青)のレーザの代わりに、RGB(赤、緑、青)の可視光LED(発光ダイオード)の色調整あるいはRGB(赤、緑、青)の可視光LED(発光ダイオード)と中心に配置されるLEDの色調整により任意の色の出射光も得られる。
【0037】
(第3の実施の形態)
次に、光学系ユニット30の代わりに屈折率マッチングオイル50を使用した本発明の光源装置の第3の実施形態について、図5を用いて説明する。
【0038】
本実施の態様は、上述した第2の実施の形態において、光学系ユニット30の代わりに屈折率マッチングオイル50を使用したものであり、第1及び第2の実施の形態と同じ構成には同一の符号を付しその説明を省略する。
【0039】
ここで屈折率マッチングオイル50とは、2本の光ファイバを光学的に接続する際、接続部の光の接続損失を低減するために使用するオイル状塗布剤である。光の接続損失を少なくするため、オイルの屈接率は接続する光ファイバのクラッドの屈接率に応じて近いものを選択する。
【0040】
本実施の形態では、端面近接多芯光ファイバ100とマルチモード光ファイバ42の接続部となる端面近接多芯光ファイバ100の出射端面100aとマルチモード光ファイバ42の入射端面42aに、この屈折率マッチングオイル50を塗布する。
【0041】
屈折率マッチングオイル50を塗布する厚さは、光ファイバ端面の凹凸を無くす程度でよく、通常0.1μm〜1μmが好ましい範囲である。こうすることにより、光ファイバの屈接率を維持しながら、しかも、光ファイバ端面の凹凸に起因する光ファイバ端面の接続部での隙間を完全に無くすることができるとともに接続部での不要な光反射や吸収が防止でき、端面近接多芯光ファイバ100の出射端面100aとマルチモード光ファイバ42の入射端面42aとが密着接続されるので接続損失を低減することが可能となる。
【0042】
上記実施の態様によれば、第2の実施の形態のように光学系ユニット30を用いる必要が無く、端面近接多芯光ファイバ100の出射端面100aとマルチモード光ファイバ42の入射端面42aに屈折率マッチングオイル50を薄く塗布し密着接続するだけでよいので光源装置を小型化することができる。又、高価なレンズを用いる必要が無いのでコストダウンが可能となる。
【0043】
次に、本発明の光源装置の製造方法につき、第1の実施の形態の場合を例にとって以下に説明するが、端面近接多芯光ファイバ100の製造方法については、図6から図9を用いて以下に説明する。なお、本出願人の特願2006−255002号に記載したものと同じである。
【0044】
図6に示すように、たとえば通常市販されているシングルモード光ファイバ11を用いた場合の製造例について説明する。シングルモード光ファイバ11は、比較的屈折率の高いコア10aからなり直径10μmのコア10aと、コア10aの外周を覆うようにコア10aに比べ屈折率の低い直径125μmのクラッド12と、上記コア10aおよびクラッド12を収容する直径0.9mmのジャケット13とからなる。
【0045】
端面近接多芯光ファイバ100となる一方端側(出射側)を形成するために、まず、図7に示す構成の光ファイバ11の先端から所定長のところまで、上記ジャケット13を剥離しクラッド12を露出させる。
【0046】
次に、図8に示すように、材質がたとえばポリエチレンからなる筒状容器70内にクラッド12を浸食可能な透明液体72、例えば、フッ酸水溶液、ホウフッ化水素酸水溶液、ヘキサフルオロリン酸水溶液の中から選択し、この浸食可能な透明液体に、ストリップした光ファイバ11の先端から所定長、クラッド12を浸す。一方、実体顕微鏡80等を用いて、筒状容器の外側からクラッド12の浸食による細線化を確認し、クラッド12の直径が20μmから125μm程度のクラッド10bになったところで光ファイバを取り出し、図9に示すような細線化したクラッド10bを有する光ファイバ10を作製した。
【0047】
次に、細線化したクラッド10bを有する光ファイバ10を7本作製し、この7本の光ファイバ10の細線化したクラッド10bの端部を、内径0.060mm〜0.875mm、外径1mm〜5mm、長さ10mm〜50mmの例えば、図2に示すコネクタ60にそれぞれ挿入しクラッド10bを保護する。
【0048】
こうして、図2の断面図に示すように、コネクタ60内には、細線化したクラッド10bからなる光ファイバ10が中央に1本、さらにこの1本を囲むように6本の同芯状に挿入される。なお、光ファイバ10間の隙間及びコネクタ60と光ファイバ10間の隙間にはエポキシ系あるいは無機系の接着用樹脂を充填して固定する。その後、端面を鏡面研磨して、端面近接多芯光ファイバ100が完成する。
【0049】
その他の光源20である7個のLD(レーザーダイオード)を端面近接多芯光ファイバ100の1本ずつ独立してなる入射端10cに接続し、第1の実施の形態の光源装置が完成する。なお、第2及び第3の実施の形態についても上記製造方法により同様に光源装置を完成することができることは言うまでもない。
【実施例】
【0050】
(1)端面近接多芯光ファイバの作成
(1)-1 光ファイバの準備:
図6に示す通常市販されている光ファイバ11として、全長1000mm、石英硝子からなるコア径10μm、クラッド径125μm、ジャケット径0.9mmの光ファイバ10を7本用意した。
【0051】
(1)-2 光ファイバクラッドの細線化:
端面近接多芯光ファイバ100となる一方端側を形成するために、上記7本の各光ファイバ11に対し、図7に示すように、光ファイバ11の先端から40mmのところまで、上記ジャケット13を剥離し、クラッド12を露出させる。
【0052】
次に、図8に示すように、材質がたとえばポリエチレンからなる筒状容器70内に、46%のフッ酸水溶液を入れておき、ここにストリップした7本の光ファイバ11の先端から40mmのクラッド12を浸す。一方、実体顕微鏡80を用いて、筒状容器70の外側からクラッド12の浸食による細線化を確認し、7本の光ファイバ11の全てのクラッド12の直径が30μmになったところで光ファイバ11を取り出し、7本の細線化したクラッド10bを有する光ファイバ10を作成した。
【0053】
(1)-3 光ファイバ端部の結束:
次に、上記にて作成した7本の光ファイバ10の細線化したクラッド10bを有する側の端部を、内径0.12mm、外径4.0mm、長さ40mmのアルミニウムからなるコネクタに中央に1本、さらにこの1本を囲むように6本の同芯状に挿入する。そして、コネクタ内のファイバ10の隙間にはエポキシ系接着用樹脂を充填して固定する。その後、端面を鏡面研磨して、端面近接多芯光ファイバ100が完成する。
【0054】
(2)光源の準備
光源20として、出力30w、波長635nmの赤(R)、出力50w、波長405nmの青(B)各2個ずつのLD、および出力50W、波長532nmの緑(G)DPSSレーザを端面近接多芯光ファイバ100での出射端面100aでの配置が周上にRGBRGBと互い違いの配置となるよう上記で作成した端面近接多芯光ファイバ100の一本ずつ独立した入射端10cに接続する。
【0055】
次に上記にて作成した端面近接多芯光ファイバ100の出射端100aから30mmの位置に、外径20mmで円形の石英硝子からなる等倍レンズを配置し、更に、等倍レンズから30mmの距離に、外径100μm、長さ50mmの多成分系硝子からなるマルチモード光ファイバ42を配置して本発明の光源装置が完成した。
【0056】
そして、図4及び図5のマルチモード光ファイバ42の出射端42bからは照射径50μmの極細径(マルチモード光ファイバ42から10mmの位置)で照射出力10mWの十分均一光化された白色光源が得られた。
【0057】
以上、端面近接7芯光ファイバで白色光源を例に取ったが、これに限るものではなく、偶数芯又は奇数芯の端面近接多芯光ファイバに、本発明は適当することができる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明の光源装置は、光通信分野および光情報処理分野、画像処理分野のみならず医療分野あるいはレーザ加工分野においても有効に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】7本の端面近接多芯光ファイバを使用した本発明の光源装置の第1の実施形態にかかる概略構成例である。
【図2】図1の端面近接多芯光ファイバ出射端での断面図である。
【図3】図1の光源装置から照射される照射スポットの図である。
【図4】マルチモード光ファイバを使用した本発明の光源装置の第2の実施形態にかかる概略構成例である。
【図5】光学系を省略し、端面近接多芯光ファイバとマルチモード光ファイバとを直接接続した本発明の光源装置における第3の実施形態にかかる概略構成例である。。
【図6】従来のシングルモード光ファイバの断面図である。
【図7】図6に示すシングルモード光ファイバの端部において外周被覆部を剥離した状態を説明する斜視図である。
【図8】細線化クラッドを作製する方法の一例を説明する図である。
【図9】細線化クラッドを有する本発明のシングルモード光ファイバの一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0060】
10 コア・クラッド型光ファイバ、10a コア、10b クラッド、10c 入射端、10d 出射端、20 光源、30 光学系ユニット、40 フェルール、42 マルチモード光ファイバ、50 屈折率マッチングオイル、100 端面近接多芯光ファイバ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアの外周にクラッドが設けられているコア・クラッド型光ファイバの少なくとも2本以上が個々の光ファイバの一方の端面において、前記コア径はそのままとし前記クラッドの外径が縮小され近接されて並列に束ねられ配置され、個々の光ファイバの他方の端面では、個々の光ファイバが1本ずつ独立してなる端面近接多芯光ファイバと、
前記端面近接多芯光ファイバの各他方の端面と光源とをそれぞれ光学的に連結する等倍光学系ユニット又は縮小光学系ユニットと、を有することを特徴とする光源装置。
【請求項2】
前記光源がRGBからなるレーザであることを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記縮小光学系ユニットの縮小倍率が1倍〜0.5倍であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光源装置。
【請求項4】
コアの外周にクラッドが設けられているコア・クラッド型光ファイバの少なくとも2本以上が個々の光ファイバの一方の端面において、前記コア径はそのままとし前記クラッドの外径が縮小され近接されて並列に束ねられ配置され、個々の光ファイバの他方の端面では、個々の光ファイバが1本ずつ独立してなる端面近接多芯光ファイバと、
前記端面近接多芯光ファイバの一方の端面とマルチモード光ファイバとを光学的に連結する等倍光学系ユニット又は縮小光学系ユニットと、を有することを特徴とする光源装置。
【請求項5】
前記縮小光学系ユニットの縮小倍率が1倍〜0.5倍であることを特徴とする請求項4に記載の光源装置。
【請求項6】
コアの外周にクラッドが設けられているコア・クラッド型光ファイバの少なくとも2本以上が個々の光ファイバの一方の端面において、前記コア径はそのままとし前記クラッドの外径が縮小され近接されて並列に束ねられ配置され、個々の光ファイバの他方の端面では、個々の光ファイバが1本ずつ独立してなる端面近接多芯光ファイバと、
前記端面近接多芯光ファイバの一方の端面とマルチモード光ファイバとが屈折率マッチングオイルを介して直接接続されていることを特徴とする光源装置。
【請求項7】
前記マルチモード光ファイバの外径が50μm〜400μmであることを特徴とする請求項4から請求項6のいずれか1項に記載の光源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−216506(P2008−216506A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−52081(P2007−52081)
【出願日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【出願人】(000226932)日星電気株式会社 (98)
【Fターム(参考)】