光計測装置および光計測方法
【課題】サンプルの形状情報を正確に計測することができる光計測装置を提供する。
【解決手段】光計測装置は、流路内を流れる液体に分散させたサンプルに対して光を照射することで、前記サンプルの光情報を測定するために用いられ、液体11に照射光Lを照射する光源部20と、照射光に対してサンプルSの相対位置が等速で変化される状態で、光源部20の照射光を液体に照射して、液体を透過した照射光を含むサンプルSの光情報を受光して受光信号SG1を発生する受光部31と、サンプルによる受光信号の変動を測定する測定部120と、を備える。
【解決手段】光計測装置は、流路内を流れる液体に分散させたサンプルに対して光を照射することで、前記サンプルの光情報を測定するために用いられ、液体11に照射光Lを照射する光源部20と、照射光に対してサンプルSの相対位置が等速で変化される状態で、光源部20の照射光を液体に照射して、液体を透過した照射光を含むサンプルSの光情報を受光して受光信号SG1を発生する受光部31と、サンプルによる受光信号の変動を測定する測定部120と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光計測装置および光計測方法に関し、特に流路内を流れる液体に分散させた細胞のようなサンプルの光情報を測定するために照射光をサンプルに照射するための光計測装置および光計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液体にサンプル(被検微小物)を分散させた液体が毛細管内を流れるようにして、光源からの光がこの液体流に照射されることで、液体流中のサンプルの光情報(蛍光情報)を測定することが提案されている。(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第2973387号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、特許文献1に開示されている測定装置では、レーザ光は、光ファイバを通じて毛細管内の液体を通過するサンプルに照射されるようになっているが、透過光を用いてサンプルに関する形状情報を正確に計測ことが難しい。
そこで、本発明は上記課題を解消するために、サンプルの形状情報を正確に計測することができる光計測装置および光計測方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解消するために、本発明の光計測装置は、流路内を流れる液体に分散させたサンプルに対してシングルモード光を照射することで、前記サンプルの光情報を測定するための光計測装置であり、
前記液体に前記照射光を照射する光源部と、
前記照射光に対して前記サンプルの相対位置が等速で変化される状態で、前記光源部の前記照射光を前記液体に照射して、前記液体を透過した前記照射光を含む前記サンプルの光情報を受光して受光信号を発生する受光部と、
前記サンプルによる前記受光信号の変動を測定する測定部と、測定信号からサンプルの大きさ、形状、内部構造を解析する制御部を備えることを特徴とする。
【0005】
本発明の光計測装置は、好ましくは前記サンプルは、前記流路内を流れる前記液体に分散されていることを特徴とする。
本発明の光計測装置は、好ましくは前記測定用の前記照射光は、光ファイバにより照射される非集光の光であることを特徴とする。
本発明の光計測装置は、好ましくは前記液体を通過した前記照射光は、前記光ファイバにより受光されることを特徴とする。
【0006】
本発明の光計測装置は、好ましくは前記サンプルによる前記受光信号の変動は、前記照射光に対して前記サンプルの相対位置が等速で変化されることによる前記受光信号の変化であることを特徴とする。
【0007】
本発明の光計測装置は、好ましくは前記サンプルによる前記受光信号の変動のパターンを解析することを特徴とする。
【0008】
本発明の光計測装置は、好ましくは前記受光信号の変動のパターンにおけるパルス形状部の最大値、幅、あるいは面積を測定することを特徴とする。
【0009】
本発明の光計測装置は、好ましくは前記受光信号の変動のパターンにおけるパルス形状部の最大値から、サンプルの大きさを識別することを特徴とする。
【0010】
本発明の光計測装置は、好ましくは前記受光信号の変動のパターンにおけるパルス形状部の近似曲線の統計情報により判別することを特徴とする。
【0011】
本発明の光計測装置は、好ましくは前記受光信号は、パルス形状部のパターン解析をすることを特徴とする。
【0012】
本発明の光計測装置は、好ましくは前記受光信号は、変動のパターンから複数のピーク値を補正して単一パルス近似曲線を解析することを特徴とする。
【0013】
本発明の光計測装置は、好ましくは前記受光信号は、変動のパターンの任意領域を情報解析し、サンプルの形状を識別することを特徴とする。
【0014】
本発明の光計測装置は、好ましくは前記サンプルは、複数の波長からの受光信号により解析することを特徴とする。
【0015】
本発明の光計測装置は、好ましくは前記受光信号は、変動のパターンを解析し、細胞の種類を識別することを特徴とする。
【0016】
本発明の光計測装置は、好ましくは前記サンプルである細胞周期の任意期の特定領域または多倍体核の領域の認識をすることを特徴とする。
【0017】
本発明の光計測装置は、好ましくは前記照射光の変動のパターンを解析した複数の情報からサンプルの大きさ、形状、内部構造を識別することを特徴とする。
【0018】
本発明の光計測装置は、好ましくは前記照射光を受光する複数の前記受光部を備えることを特徴とする。
【0019】
本発明の光計測装置は、好ましくは前記受光部は、前記サンプルの蛍光情報と側方散乱光の受光信号と合わせて解析することを特徴とする。
【0020】
本発明の光計測装置は、好ましくは前記識別結果から、任意のサンプルを分取することを特徴とする。
【0021】
本発明の光計測方法は、液体に分散させたサンプルに対してシングルモード光を照射することで、前記サンプルの大きさ、形状、内部構造光情報を測定するための光計測方法であり、
光源部から前記液体に前記照射光を照射し、
前記照射光に対して前記サンプルの相対位置が等速で変化される状態で、前記光源部の前記照射光を前記液体に照射して、前記液体を透過した前記照射光を含む前記サンプルの光情報を受光部により受光して受光信号を発生し、
測定部により前記サンプルによる前記受光信号の変動を測定することを特徴とする光計測方法。本発明の光計測装置は、好ましくは前記受光信号のパルス最大値、幅、あるいは面積を測定することを特徴とする。
【0022】
液体に分散させたサンプルに対してシングルモード光を照射することで、前記サンプルの大きさ、形状、内部構造光情報を測定するための光計測方法であり、
光源部から前記液体に前記照射光を照射し、
前記照射光に対して前記サンプルの相対位置が等速で変化される状態で、前記光源部の前記照射光を前記液体に照射して、前記液体を通過した測定光を含む前記サンプルの光情報を受光部により受光して受光信号を発生し、
測定部により前記サンプルによる前記受光信号の変動を測定することを特徴とする。
【0023】
本発明の光計測方法は、好ましくは液体中の細胞に対して照射光を照射して前記液体及び前記細胞を通過して得られる透過光を受光することで、前記細胞の光情報を測定するための光計測方法であり、
光源部から前記細胞に前記照射光を照射し、
前記照射光に対して前記細胞の相対位置が等速で変化される状態で、前記光源部の前記照射光を前記液体に照射して、前記透過光を受光して受光信号を発生する際に、前記透過光の強さが時間的に変化することを計測することを特徴とする光計測方法。
【0024】
本発明の光計測方法は、好ましくは前記透過光の強さの減衰と増幅が計測できることを特徴とする。
本発明の光計測方法は、好ましくは前記透過光の強さは、前記細胞種または細胞核の数によって、経時的に変化して二以上の減衰波形部を持つ波形となることを特徴とする。特に細胞周期の多倍体核領域における前記波形の変化によって、該当細胞の状態を特定する。
【0025】
本発明の光計測方法は、好ましくは前記透過光の強さは、前記細胞種または細胞核の数によって、経時的に変化して減衰波形部と増幅波形部を繰り返す波形となることを特徴とする。
【0026】
本発明の光計測方法は、好ましくは前記透過光の強さは、前記細胞核の数と前記細胞核の大きさで表せる前記細胞の属性と性質により、時間的に変化することを特徴とする。
本発明の光計測方法は、好ましくは液体中の細胞に対して照射光を照射して前記液体の前記細胞を通過して得られる透過光を受光することで、前記細胞の光情報を測定するための光計測方法であり、
光源部から前記細胞に前記照射光を照射し、
前記照射光に対して前記細胞の相対位置が等速で変化される状態で、前記光源部の前記照射光を前記液体に照射して、前記透過光を受光部で受光して、
前記時間的に変化した前記透過光の強さの波形形状は、予め用意された1つ又は複数の標準的なテンプレート波形に近似させることにより層別して、前記細胞の性質を特定することを特徴とする。
【0027】
本発明の光計測方法は、好ましくは前記透過光の強さを用いて、経時的に変化して減衰波形部と増幅波形部を繰り返す波形により前記細胞の種類、または同種類の前記細胞中の異なる性質を示すがん細胞を特定することを特徴とする。
【0028】
本発明の光計測方法は、好ましくは前記透過光の強さを用いて、A種類特殊細胞、B種類特殊細胞、C種類特殊細胞の内のB種類特殊細胞を特定し、またはA種類特殊細胞中の異常細胞をがん細胞として特定することを特徴とする。
本発明の光計測方法は、好ましくは前記透過光の強さは、血液細胞を含む特定の前記細胞を特定することを特徴とする。
【0029】
本発明の光計測方法は、好ましくは前記透過光の波長は、325nm〜900nmであることを特徴とする。
本発明の光計測方法は、好ましくは前記光源部から前記細胞に向かって照射された前記照射光は、前記光源部から前記受光部に向けて広がることを特徴とする。
【0030】
本発明の光計測方法は、好ましくは前記受光部は、電荷結合素子カメラであり、前記細胞が流路に流れること、あるいは細胞が液中に静止の状態でも、前記細胞、前記照射部、および前記受光部の三者間の相対位置の静止または変化することによって、受光信号の強さ及びその強さの二次元分布状態が計測されることを特徴とする。
【0031】
本発明の光計測方法は、好ましくは母集団の前記細胞に対する前記透過光強度の波形変化波形を複数のグループ別に分けて、前記グループ別の頻度分布を持って、前記細胞の前記母集団の違いを見分けて評価することを特徴とする。
本発明の光計測方法は、好ましくは前記複数個の細胞から取得した透過光波形の計測結果を、波形を複数の種類に層別し、各前記種類の全体に対する統計情報から、前記細胞の種類及び状態を特定することを特徴とする。
【0032】
本発明の光計測方法は、好ましくは前記透過光の増幅は、前記細胞の大きさや細胞核の数と大きさの細胞の属性と性質による前記透過光の干渉現象が引き起こされることによって計測される前記透過光の強さの時間的変化であることを特徴とする。
【0033】
本発明の光計測方法は、好ましくは前記識別結果から、任意のサンプルを分取することを特徴とする。本発明の光計測方法は、好ましくは特定された前記細胞を分注して選別することを特徴とする。本発明の光計測方法は、好ましくは選別された前記細胞に対して、培養することや所定の試薬を加えることによって、選別された前記細胞の経時変化を評価することを特徴とする。
【発明の効果】
【0034】
本発明の光計測装置と光計測方法によれば、サンプルの形状情報を正確に計測することができる。
本発明の光計測方法によれば、細胞の種類の判別ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。
図1と図2は、本発明の光計測装置の好ましい実施形態を示している。図1は、光測定装置の側面図であり、図2は、図1におけるK−K線における断面図である。図1と図2に示す光計測装置1の構成例について説明する。
【0036】
図1に示す光計測装置10は、一例としてフローサイトメータの光計測部として用いられている。フローサイトメータ1は、この光計測装置10と、液体にサンプル(被検微小物)Sが分散された液体11を供給するための供給部12と、サンプルの分注部13を有している。
【0037】
供給部12は、このサンプルSが分散された液体11を、サンプル流11Sとしてシース流19と共にZ1方向に(図1の例では、上側からした側に向けて)チューブ14を通じてキャピラリー30に供給することができる。
【0038】
光計測装置10のキャピラリー30を通過した液体11のサンプルSは、分注部13において必要なものと不要なものに分けることができる。
図1に示す光計測装置10は、照射光Lをキャピラリー30内の液体11のサンプル流11SとサンプルSに照射する光源部20と、サンプルSを含むサンプル流11Sを流すための流路としてのキャピラリー30と、透過光の受光部31と、側方散乱光の受光部50と、制御部100を有している。制御部100は、解析部ともいい、測定信号からサンプルの大きさ、形状、内部構造を解析する。
【0039】
上記サンプルは、微小物ともいう。シングルモードは、ガウス分布の強度パターンである。サンプルの光情報を測定するための光計測装置は、サンプル計測装置や微小物計測装置ともいい、サンプルの大きさ、形状、内部構造を測定する装置である。
【0040】
光計測装置10の光源部20は、キャピラリー30内の液体11に対して、照射光Lを照射して、受光部31は、照射光Lを含む任意領域を受光情報L1を受光部31により受光する。これにより、受光部31は、受光信号SG1を測定部120に送る。測定部120は、サンプルSによる受光信号SG1の変動を解析することで、例えばサンプルSの大きさ情報、形状認識、細胞認識などの形状情報を識別するようになっている。
【0041】
一例として、光源部20は、例えばレーザダイオードのようなレーザ光源21と、照射用の光ファイバ22から構成されている。受光部13は、例えば図2に示すように、受光用の光ファイバ32と、フォトダイオードのような受光素子33から構成されている。図1に示すように、光源部20の第1光軸D1と受光部31の第2光軸D2は、好ましくは一致している。
【0042】
光計測装置10では、レーザ光源21が発生するシングルモードの励起光(照射光)Lを、キャピラリー30内の液体11のサンプル流11Sと、この液体11のサンプル流11Sを通過するサンプルサンプルSに照射して、サンプルSの光情報(蛍光情報)を測定する。すなわち、受光部31は、照射光Lに対してサンプルSの相対位置が等速で変化される状態で、光源部20の照射光Lを液体11のサンプル流11Sに照射して、液体11のサンプル流11Sを透過した照射光Lを含む光情報を、受光部31により受光する。受光部31は、受光信号SG1を測定部120に送る。
【0043】
側方散乱光の受光部50は、キャピラリー30の側方に配置されており、液体11のサンプル流11SとサンプルSから得られる散乱光を受光することができる。
受光部31からの受光信号SG1と、受光部50からの受光信号SG2は、制御部100の測定部120により処理されるようになっている。
【0044】
図1と図2に示すサンプルSとしては、例えば大きさが5μmの細胞であり、サンプル流11Sはシース流19で包み込むような形で、光計測装置10のキャピラリー30内を通過させるようにして流すようになっている。このシース流19を用いたシースフロー技術は、サンプル流11Sとシース流19の圧力差によりサンプル流11Sの幅を任意に制御して、サンプル流11Sの圧損の低減と詰まりの防止を図っている。
【0045】
ここで、図1と図2に示す光計測装置10の動作例を、簡単に説明する。
図1に示す供給部12は、サンプルSを分散した液体11を、キャピラリー30内においてサンプル流11Sとしてシース流19と共にZ1方向に(図1の例では、上側からした側に向けて)チューブ14を通じて供給する。
【0046】
レーザ光源21が発生する照射光Lは、キャピラリー30内の液体11のサンプル流11Sと、このサンプル流11Sを通過するサンプルSに照射して、サンプル流11Sを透過する照射光Lを含む任意領域の光をサンプルSの光情報(透過光情報)として受光部31において受光する。また、側方散乱光の受光部50は、サンプル流11SとサンプルSから得られる散乱光及び蛍光を受光する。受光部31からの受光信号SG1と、受光部50からの受光信号SG2は、制御部100の測定部120により処理される。制御部100は、レーザ光源21の駆動を制御する。
【0047】
図3は、縦軸に側方散乱光を示し、横軸に透過光を示している。図3に示すように、塚光は、側方散乱光に比べて、分散しておらずバラツキが少ない。例えば、図3は、大きさの異なる粒子を測定した結果を、縦軸に側方散乱光を示し、横軸に透過光情報として、変動の最大値(ピーク値)を示して表した散布図であり、それぞれの粒子ごとに分布が分かれていることが確認できる。
【0048】
図4は、各分布の透過光情報の平均値を縦軸に、横軸に粒子径を示した散布図で、粒子径と透過光測定値から求めた近似曲線M1と、粒子径と粒子面積から求めた近似曲線M2とを比較して示しており、曲線M1と透過光の計算値の曲線M2は非常に近似していることから、透過光の変動の最大値と、サンプル径(投影面積)には、相関がある。
【0049】
図4は、図1の受光部31が実際に受光した照射光L1を含む透過光を示す曲線M1と、透過光の計算値の曲線M2とを比較して示しており、縦軸が透過光(面積値)であり、横軸がサンプルSのサイズである。図4において、透過光を示す曲線M1と透過光の計算値の曲線M2は非常に近似している。透過光のピーク値と、サンプル径(投影面積)には、相関がある。
【0050】
図5は、図1の透過光の受光部31から得られる受光信号SG1の例を示している。図5(A)は、受光信号SG1の歪度=ゼロ(正規分布)の例であり、図5(B)は、歪度>ゼロの分布例であり、図5(C)は、尖度>ゼロの例を示している。図5(D)は、受光信号SG1のフィッティング(Fitting)解析例を示し、図5(E)は、受光信号SG1のピーク補正例を示している。図5(F)は、受光信号SG1のパルスパターンの例を示し、2つの極値を有している例であり、図5(G)は、受光信号SG1における任意領域の解析対象部分210の例を示している。フィッティングにより、受光信号SG1からノイズを除去して整形して補正する。
【0051】
図6は、図5(D)に示す受光信号SG1のフィッティング解析例を拡大して示している。図6に示すのは、実際の受光信号SG1の形状例と、その受光信号SG1をフィッティング解析した結果を示すフィッティング曲線Hの形状例である。実際の受光信号SG1は、ノイズを含んでいて滑らかな形状ではなく、ピーク値が波形の中心位置にない場合など、フィッティング曲線Hから特徴量を求めることでバラツキを低減している。
【0052】
図7は、受光信号SG1のパルス形状が単一ピーク値ではなく第1極値P1と第2極値P2を有している場合を示しており、受光信号SG1は正規分布とは相関が低い。この場合には、中心を除く解析対象部分(裾部分Cから第1極値P1まで)210の近似曲線から、破線で示すピーク値220を予測して算出して解析することで、受光信号SG1のバラツキを低減することができる。
【0053】
図8は、サンプルSの例として球状の細胞300の例を示し、図9は、サンプルSの別の例として長細い細胞310の例を示している。
図8(A)は、球状の細胞300を測定した場合の受光信号SG1を示しており、図8(B)は、球状の細胞300と照射光Lの照射領域400を示している。図8(B)では、照射領域400が円形状であり、球状細胞300がZ1方向に通過することで、図8(A)に示す受光信号SG1が得られる。
【0054】
同様にして、図9(A)は、長細い細胞310を測定した場合の受光信号SG1を示しており、図9(B)は、長細い細胞310と照射光Lの照射領域500を示している。図9(B)では、照射領域500が円形状であり、長細い細胞310がZ1方向に通過することで、図9(A)に示す受光信号SG1が得られる。
【0055】
図8(A)に示す受光信号SG1の解析対象部分210と、図9(A)に示す受光信号SG1の解析対象部分210と比較すると、球状の細胞300と長細い細胞310が同体積の細胞であっても、球状の細胞300の形状と長細い細胞310の形状が異なることから、球状の細胞300と長細い細胞310がそれぞれ照射領域400,500に入る時と、照射領域400,500から出る時には、図8(A)に示す受光信号SG1の解析対象部分210のパターンの立ち上がりと立ち下がりの傾きと、図9(A)に示す受光信号SG1の解析対象部分210のパターンの立ち上がりと立ち下がりの傾きがそれぞれ異なる。しかし、球状の細胞300と長細い細胞310がそれぞれ照射領域400,500に入ってしまうとほぼ同じパターンになることが分かる。なお、照射領域400,500の領域の大きさは同じである。
【0056】
図10は、本発明の他の実施形態を示しており、図1の実施形態とは異なり、複数の光源部20と受光部31の組211,212が配置されている。一方の光源部20と受光部31の組211と、他方の光源部20と受光部31の組212とは、互いに異なる波長の例えばレーザ光を液体11のサンプルSに対して照射することができる。つまり、複数の光源部が発生する照射光の波長を2つ以上に変えることで、それぞれ独立して光情報を得ることができ、波長に対する波形の変化を解析してサンプルSを識別することができる。これにより、サンプルの種類を、より確実に判別することができる。
【0057】
なお、本発明では、光源部が液体と計測対象物(サンプル)である細胞等に照射する光を照射光と呼び、計測対象物(サンプル)である細胞を通過した照射光を透過光、と呼んで区別している。透過光の波長は、325nm〜900nmを採用できるが、特に透過光の波長は635nmまたは488nmが望ましい。
【0058】
図11に示すように、本発明の実施形態では、照射光Lは、光源部20の例えばレーザ光源から液体と細胞S1のようなサンプルSに対して照射されるが、この照射光Lは光源部20から受光部31に向けて広がる。受光部31の受光素子としては、例えば光電子増倍管、CCD(電荷結合素子)、フォトダイオードなどを採用できる。光源部から前記細胞に向かって照射された照射光は、光源部から受光部に向けて平行であるか光源部から受光部に向けて広がる。
【0059】
本発明の光計測方法の実施形態では、図11に示すように流路に流れる液体11S中の細胞S1に対して照射光Lを照射して液体の細胞を通過して得られる透過光を受光することで、細胞S1の光情報を測定する。光源部20から細胞S1に照射光Lを照射し、照射光Lに対して細胞S1の相対位置が図11の紙面垂直方向に沿って等速で変化される状態で、光源部20の照射光Lを液体に照射して、透過光を受光部31で受光して受光信号を発生する際に、透過光の強さが時間的に変化することを測定部120により計測する。これにより、透過光の強さが時間的に変化することからこの時間的な変化から細胞S1の種類の判別ができる。
【0060】
この計測の際には、透過光の強さの減衰と増幅が計測できる。透過光の強さは、細胞種または細胞核の数によって、経時的に変化して二以上の減衰波形部を持つ波形となる。透過光の強さは、前記細胞種または細胞核の数によって、経時的に変化して減衰波形部と増幅波形部を繰り返す波形となる透過光の強さは、細胞核の数と細胞核の大きさで表せる細胞の属性と性質により、時間的に変化する。
【0061】
液体中の細胞に対して照射光を照射して液体の細胞を通過して得られる透過光を受光することで、細胞の光情報を測定する際に、光源部から前記細胞に前記照射光を照射し、照射光に対して細胞の相対位置が等速で変化される状態で、光源部の照射光を液体に照射して、透過光を受光部で受光して、時間的に変化した透過光の強さの波形形状は、予め用意された1つ又は複数の標準的なテンプレート波形に近似させることにより層別して、細胞の性質を特定することができる。
【0062】
透過光の強さを用いて、経時的に変化して減衰波形部と増幅波形部を繰り返す波形により細胞の種類、または同種類の前記細胞中の異なる性質を示すがん細胞を特定する。透過光の強さを用いて、A種類特殊細胞、B種類特殊細胞、C種類特殊細胞の内のB種類特殊細胞を特定し、またはA種類特殊細胞中の異常細胞をがん細胞として特定する。透過光の強さは、血液細胞を含む特定の細胞を特定する。透過光の波長は、325nm〜900nmである。
【0063】
複数個の細胞から取得した透過光波形の計測結果を、波形を複数の種類に層別し、各種類の全体に対する統計情報から、細胞の種類及び状態を特定する。透過光の増幅は、細胞の大きさや細胞核の数と大きさの細胞の属性と性質による透過光の干渉現象が引き起こされることによって計測される透過光の強さの時間的変化である。この識別結果から、細胞の評価方法では任意のサンプルを分取することができる。細胞の取得方法としては、特定された前記細胞を分注して選別する。選別された細胞に対して、培養することや所定の試薬を加えることによって、選別された細胞の経時変化を評価する。
【0064】
例えば、図12は、透過光を受光した場合の図1に示す受光信号SG1の波形形状例を示している。
図12(A)は、通常の単一ピークを有する透過光パターン波形形状を示している。この単一ピークを有する透過光パターン波形形状は、非透過性ビーズおよびある種の細胞の透過光強度の減衰波形データであり、下側に1つの凸部を有する単一ピーク波形形状である。この場合には、波形の谷が1つであり、通常の前方散乱に対応する信号である。
【0065】
図12(B)と図12(C)は、細胞によって確認される透過光パターン波形形状(マルチピーク)の例を示しており、例えばマウス細胞で多く確認されている。従って、サンプルSである細胞S1の種類により、透過光を受光した場合の透過光パターン波形形状が異なる。この場合には、波形の谷が2つで山が1つであり、本来は図12(A)のような波形が出るはずであるが、細胞の内部の状態の変化でこのような波形が出る。
図12(B)に示す透過光パターン波形形状は、2つの下に凸部を有するマルチピーク波形形状であり、干渉などの光現象による減衰度合いの変化波形を示すある細胞の透過光の強さを示している。
【0066】
さらに、図12(C)に示す透過光パターン波形形状は、2つの下に凸部を有するマルチピーク波形形状であり、図12(B)の透過光パターン波形形状に比べて、干渉などの光現象による減衰度合いの更に大きい変化波形を示すある細胞の透過光の強さを示している。
【0067】
図12(B)と図12(C)に示す透過光パターン波形形状を得て、透過光の強さは、細胞種を表す細胞核の数によって、二つ以上の減衰波形から形成される。透過光の強さは、細胞種を表す細胞核の数によって、時間経過とともに減衰波形と増幅波形を繰り返すことで形成される。透過光の強さは、細胞核の数や細胞核の大きさ等で表せる細胞の属性と性質により、時間的に変化する。
【0068】
これにより、透過光パターン波形形状を得ることにより、図12(A)に示す透過光パターン波形形状のように、非透過性のビーズあるいはある種の細胞では、透過光の強さが単一ピーク波形形状となって減衰する。これに対して、図12(B)と図12(C)に示す透過光パターン波形形状のように、透過光の強さが減衰波形と増幅波形の繰り返し挙動を示す。
【0069】
また、本発明の光計測方法の実施形態では、流路に流れる液体中の細胞に対して照射光を照射して液体の細胞を通過して得られる透過光を受光することで、細胞の光情報を測定する。この際に、光源部20から細胞S1に照射光Lを照射し、照射光Lに対して細胞S1の相対位置が等速で変化される状態で、光源部20の照射光Lを液体に照射して、透過光を受光して受光信号を発生する際に、透過光の強さが時間的に変化することを測定部120により計測し、時間的に変化した透過光の強さの波形形状は、予め用意された標準的なテンプレート波形に近似させることにより、細胞の性質を特定する。透過光の強さは、時間経過とともに減衰波形と増幅波形を繰り返すことで形成され、細胞の種類、または同種類の前記細胞中の異なる性質を示すがん細胞を特定する。特定された細胞は、分注して選別することができる。選別された細胞に対して、培養することや所定の試薬等を加えることによって、その細胞の経時変化を評価することができる。
【0070】
透過光の強さを用いて、例えばA種類特殊細胞、B種類特殊細胞、C種類特殊細胞の内のB種類特殊細胞を特定し、またはA種類細胞中の異常細胞をがん細胞として特定する。また、透過光の強さを用いて、血液細胞中の細胞の特定を行う。
【0071】
図13は、透過光を受光した場合の透過光パターン波形形状の別の波形形状例を示している。図13(A)と図13(B)は、ある種のがん細胞と思われる細胞から得られる透過光パターン波形形状(マルチピーク)D1,D2の例をそれぞれ示しており、透過光パターン波形形状D1,D2は、それぞれ三つ以上の減衰波形と増幅波形を有している。これらの透過光パターン波形形状は、干渉などの光現象による複数の減衰波形と増幅波形を有する。
【0072】
図14は、測定対象のある種の細胞ががん細胞である性質を特定するための予め用意された標準的なテンプレート波形(比較検討用の波形)Dの一例を示している。図14の標準的なテンプレート波形には、複数の計算用パラメータH1,H2,L1,L2,L3,A1,A2,B1などがある。
【0073】
図13(A)と図13(B)に示すある種の細胞による透過光パターン波形形状D1,D2が実測される。実測された透過光パターン波形形状D1,D2に対して、予め用意された標準的なテンプレート波形Dに属する処理が高速で行われて、このある種の細胞ではがん細胞の性質を特定することができる。つまり、同じ細胞種の正常細胞とがん細胞の識別を行うことができる。図13(A)と図13(B)の場合では、波形の谷が3つで山が2つであり、山と谷の数が同じであるが異なる。波形の周波数解析を用いるとパワースペクトルのピーク位置が変化してアナログ的に波形を特定できる。谷の数と山の数で種別する場合はデジタル的になる。
【0074】
透過光の強さは、血液細胞を含む特定の細胞を特定することができる。
受光部は、上述したように電荷結合素子カメラであり、細胞が細い流路に流れること、あるいは細胞が液中に静止の状態でも、細胞、照射部、および受光部の三者間の相対位置の静止または変化することによって、計測される。これにより、細胞が細い流路に流れていても、あるいは細胞が液中に静止の状態でも、細胞、照射部、および受光部の三者間の相対位置の静止または変化することによって、透過光の強さを計測することができる。
【0075】
母集団の前記細胞に対する前記透過光強度の波形変化波形を複数のグループ別に分けて、前記グループ別の頻度分布を持って、前記細胞の前記母集団の違いを見分けて評価するができる。一例として、図15は、細胞A,B,Cの母集団(1)と母集団(2)を示す。図15に示す2つの母集団(1)の細胞と母集団(2)の細胞におけるA,B,Cの波形の分布が異なる。この際に、母集団(1)と母集団(2)が異なる状態の細胞であることと、母集団(1)の細胞にある種の試薬を加えたことによって、経時的に母集(1)の細胞の変化状況が反映できたことを意味する。
【0076】
従来の細胞認識・解析には、細胞の核染色や細胞表面の抗原・抗体反応によって行われていた。しかし、細胞の核染色が細胞を死滅させる欠点があり、細胞表面の抗原・抗体反応にも抗原・抗体反応によって細胞にダメージを与えることに加え、抗体がなければ、細胞の認識ができない問題がある。
本発明の実施形態では、無染色でも細胞の認識・分析ができるので、特に細胞の培養や薬などによる細胞の経時的変化を評価する必要がある用途には、必要不可欠とされている。
【0077】
本発明の実施形態では、透過光は、細胞を通過した光であり、通過の際に生じる回折光及び散乱光を含む。本発明の実施形態では、透過光の強さの経時的な変化の波形は、透過光の強さの変動パターンともいう。本発明の実施形態では、光源部からの照射光は細胞に照射する光である。
【0078】
細胞の計測を行う場合に、1つの細胞に対する透過光の強度の時間変化を波形パターンと認識し、この波形の数、波形の谷と波形の山の関係により、この波形パターンの特徴量とすることができる。波形パターンを周波数解析した結果を元に、波形パターンの特徴量を決める。具体的には、波形パターンの特徴量としては、パワースペクトルの最大値やピーク値、ピーク値の数や比率を用いる。細胞を解析する場合には、この波形パターンの特徴量と細胞種や細胞の内部状態や細胞核の数や核の状態を判別することができる。
【0079】
励起光と、少なくとも細胞を透過した光(これらを全て合わせて透過光と呼ぶ)を計測できる位置に、受光部のような計測手段を設ける。この場合、励起光と、細胞を通過した光や細胞により反射・前方散乱した光(この場合にはこれらを全て合わせて透過光と呼ぶ)を計測できる位置に、受光部のような計測手段を設ける。この計測手段が、光ファイバであり、光ファイバのコア部は、透過光の計測手段の励起光スポットよりも小さい。
【0080】
透過光の波形パターン計測の情報を用いて、細胞の種類または同種類の細胞中の異なる性質を示すがん細胞を解析する。この場合に、透過光の波形パターン計測の情報より波形パターンの特徴量を抽出して、特徴量を用いて細胞の種類または、同種類の細胞中の異なる性質を示すがん細胞を解析する。
【0081】
透過光の波形パターン計測の情報を用いて、複数の細胞の中より特定の細胞を識別するか、同一の細胞の中より細胞内の状態が異なる細胞を識別する。例えば、透過光の波形パターン計測の情報を用いて、複数の細胞の中よりがん細胞を識別するか、同一のがん細胞の中より細胞内の状態が異なるがん細胞を識別する。
【0082】
細胞の状態とは、細胞の大きさや細胞核の数と大きさの細胞の属性と性質だけではなく、例えば細胞質の中のタンパク質の状態やその他の組織の状態なども含む。細胞の大きさや細胞核の数と大きさや細胞質の中のタンパク質の状態などにより透過光の干渉現象が引き起こされる。
【0083】
受光部は、例えば電荷結合素子カメラであるが、細胞が流路に流れること、あるいは細胞が液中に静止の状態でも、前記細胞、前記照射部、および前記受光部の三者間の相対位置の静止または変化することによって、受光信号の強さ及びその強さの二次元分布状態が計測される。
【0084】
本発明の実施形態では、光源部が発生する照射光(入射光)は、平行光、あるいは平行光に近い光(光ファイバのNA(開口数)の広がり角までの範囲)である。受光部で検出する検出光は、透過光情報と側方散乱光や後方散乱光などの散乱光情報を用いることができる。ここで透過光は、照射光(入射光)が直接測定できる位置で計測した光情報である。
【0085】
また、受光信号の変動、すなわち透過光の変動とは、照射領域にサンプルSが存在しない場合の照射光Lを直接受光している受光信号値を基準とした、サンプルSが照射領域を通過した際の経時的な信号変化である。サンプルSが照射領域にかかることで、照射光Lは、サンプルによる散乱、吸収、透過(回折、干渉を含む)により、受光される光量が変化する。例えば、均一物質の粒子であれば、照射光は正規分布の強度パターン(シングルモード)であることから、照射領域中心にサンプルが位置したときに受光信号は一番小さくなり、単一ピークのパルス形状の信号変化が得られる。このピーク値から、サンプルの大きさが同定可能である。
【0086】
対象物であるサンプルSは、流路内を流れる細胞、粒子、細菌などの生体、あるいは無機の物質である。
【0087】
透過光情報や散乱光情報を処理して、サンプルSの大きさや内部構造の情報を得ることができる。照射光としては、シングルモードの光を照射する。液体を透過した照射光を含む光情報が受光部により検出されることにより、受光信号SG1の時間的変化の波形の形状の変化(周波数成分の変化)あるいは、標準波形からの変化を検出してサンプルSの種類を判別する。
【0088】
本発明の実施形態では、フローセルとしてのキャピラリー30内の液体11に照射光
を照射して、照射光を含む任意領域を受光部で受光することにより、受光部は受光信号SG1を発生し、受光信号SG1のサンプルSによる変動を解析することで、大きさ情報の精度向上および形状の認識、細胞認識を行う。
【0089】
本発明の光計測装置は、流路内を流れる液体に分散させたサンプルに対して光を照射することで、前記サンプルの光情報を測定するために用いられ、液体11に照射光Lを照射する光源部20と、照射光に対してサンプルSの相対位置が等速で変化される状態で、光源部20の照射光を液体に照射して、液体を透過した照射光を含むサンプルSの光情報を受光して受光信号SG1を発生する受光部31と、サンプルによる受光信号の変動を測定する測定部120と、を備える。これにより、サンプルの形状情報(大きさ、細胞の種類、円形、長細などの外形形状など)を正確に計測することができる。識別結果から、任意のサンプルを分取することができる。
【0090】
光計測装置では、サンプルSは、流路内を流れる液体に分散されている。これにより、サンプルSは、液体を流路に流すだけで照射光に対してサンプルSの相対位置を等速で変化させることができる。
【0091】
光計測装置では、測定用の照射光Lは、光ファイバ22により照射される非集光の光である。これにより、液体内の任意の範囲のサンプルSに対して照射光を照射することができる。
【0092】
光計測装置では、液体を通過した照射光Lは、光ファイバ32により受光される。これにより、サンプルSの光情報を含む照射光Lは、光ファイバ32を用いて受光部31において確実に受光できる。
【0093】
光計測装置では、サンプルSによる受光信号SG1の変動は、照射光Lに対してサンプルSの相対位置が等速で変化されることにより受光信号SG1の変化である。これにより、サンプルSの形状が正確に得られる。
光計測装置では、サンプルSによる受光信号SG1の変動のパターンを解析することで、サンプルSの違いを確実に識別できる。
【0094】
光計測装置は、受光信号の変動のパターンにおけるパルス形状部の最大値、幅、あるいは面積を測定する。
【0095】
光計測装置は、受光信号の変動のパターンにおけるパルス形状部の最大値から、サンプルの大きさを識別する。
【0096】
光計測装置は、受光信号の変動のパターンにおけるパルス形状部の近似曲線の統計情報により判別する。
【0097】
光計測装置は、受光信号は、パルス形状部のパターン解析をする。
光計測装置は、受光信号は、変動のパターンから複数のピーク値を補正して単一パルス近似曲線を解析する。
【0098】
光計測装置は、受光信号は、変動のパターンの任意領域を情報解析し、サンプルの形状を識別する。
光計測装置は、サンプルは、複数の波長からの受光信号により解析する。
光計測装置は、受光信号は、変動のパターンを解析し、細胞の種類を識別する。
光計測装置は、サンプルである細胞周期の任意期の特定領域の認識をする。
光計測装置は、照射光の変動のパターンを解析した複数の情報からサンプルの大きさ、形状、内部構造を識別する。
【0099】
光計測装置は、照射光を受光する複数の前記受光部を備える。
光計測装置は、受光部は、前記サンプルの蛍光情報と側方散乱光を受光する。これにより、例えば細胞の種類を確実に計測することができる。
【0100】
光計測装置は、識別結果から、任意のサンプルを分取する。これにより、複数のサンプルから識別した任意のサンプルを分けて取り除くことができる。
【0101】
ところで、本発明は、上記実施形態に限定されず種々の変形例を採用できる。
図1に示す光源部20は、光ファイバ22とレーザ光源21により構成されていても、レーザ光源21だけで構成されていても良い。透過光の受光部31は、図1に示すように光ファイバ32と受光素子33から構成されていても良いし、受光素子33だけで構成されていても良い。側方散乱光の受光部50は、光ファイバ51と受光素子52から構成されていて良いし、受光素子52だけで構成されていても良い。また、側方散乱光の受光部50は、光ファイバ51に代えて、レンズ系を用いても良い。
【0102】
図1と図2に示すキャピラリー30は例えば断面正方形を有する中空部材であるが、例えば断面長方形やその他の断面形状であっても良い。
本発明の光計測装置は、遺伝子、免疫系、タンパク質、アミノ酸、糖類の生体高分子に関する検査、解析、分析が要求される分野、例えば工学分野、食品、農産、水産加工等の農学全般、薬学分野、衛生、保健、免疫、疫病、遺伝等の医学分野、化学もしくは生物学等の理学分野等、あらゆる分野に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明の光計測装置の好ましい実施形態を含むフローサイトメータの一例を示す斜視図である。
【図2】図1におけるK−K線における断面図である。図1の光計測装置の平面図である。
【図3】縦軸に側方散乱光を示し、横軸に透過光を示している図である。
【図4】図1の受光部が実際に受光した照射光を含む透過光を示す曲線M1と、透過光の計算値の曲線M2とを比較して示す図である。
【図5】図1の透過光の受光部31から得られる受光信号SG1の例を示す図である。
【図6】図である。
【図7】図である。
【図8】サンプルSの例として球状の細胞の例を示す図である。
【図9】サンプルSの別の例として長細い細胞の例を示す図である。
【図10】本発明の他の実施形態を示す図である。
【図11】光源部からの照射光が広がっている様子を示す図である。
【図12】透過光を受光した場合の受光信号の波形形状例を示す図である。
【図13】透過光を受光した場合の受光信号の別の波形形状例を示す図である。
【図14】予め用意された標準的なテンプレート波形例を示す図である。
【図15】細胞A,B,Cの母集団(1)と母集団(2)を示す図である。
【符号の説明】
【0104】
10 光計測装置
11 液体
11S サンプル流
19 シース流
20 光源部
30 キャピラリー(流路の一例)
31 受光部
120 測定部
S サンプル
L 照射光
【技術分野】
【0001】
本発明は、光計測装置および光計測方法に関し、特に流路内を流れる液体に分散させた細胞のようなサンプルの光情報を測定するために照射光をサンプルに照射するための光計測装置および光計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液体にサンプル(被検微小物)を分散させた液体が毛細管内を流れるようにして、光源からの光がこの液体流に照射されることで、液体流中のサンプルの光情報(蛍光情報)を測定することが提案されている。(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第2973387号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、特許文献1に開示されている測定装置では、レーザ光は、光ファイバを通じて毛細管内の液体を通過するサンプルに照射されるようになっているが、透過光を用いてサンプルに関する形状情報を正確に計測ことが難しい。
そこで、本発明は上記課題を解消するために、サンプルの形状情報を正確に計測することができる光計測装置および光計測方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解消するために、本発明の光計測装置は、流路内を流れる液体に分散させたサンプルに対してシングルモード光を照射することで、前記サンプルの光情報を測定するための光計測装置であり、
前記液体に前記照射光を照射する光源部と、
前記照射光に対して前記サンプルの相対位置が等速で変化される状態で、前記光源部の前記照射光を前記液体に照射して、前記液体を透過した前記照射光を含む前記サンプルの光情報を受光して受光信号を発生する受光部と、
前記サンプルによる前記受光信号の変動を測定する測定部と、測定信号からサンプルの大きさ、形状、内部構造を解析する制御部を備えることを特徴とする。
【0005】
本発明の光計測装置は、好ましくは前記サンプルは、前記流路内を流れる前記液体に分散されていることを特徴とする。
本発明の光計測装置は、好ましくは前記測定用の前記照射光は、光ファイバにより照射される非集光の光であることを特徴とする。
本発明の光計測装置は、好ましくは前記液体を通過した前記照射光は、前記光ファイバにより受光されることを特徴とする。
【0006】
本発明の光計測装置は、好ましくは前記サンプルによる前記受光信号の変動は、前記照射光に対して前記サンプルの相対位置が等速で変化されることによる前記受光信号の変化であることを特徴とする。
【0007】
本発明の光計測装置は、好ましくは前記サンプルによる前記受光信号の変動のパターンを解析することを特徴とする。
【0008】
本発明の光計測装置は、好ましくは前記受光信号の変動のパターンにおけるパルス形状部の最大値、幅、あるいは面積を測定することを特徴とする。
【0009】
本発明の光計測装置は、好ましくは前記受光信号の変動のパターンにおけるパルス形状部の最大値から、サンプルの大きさを識別することを特徴とする。
【0010】
本発明の光計測装置は、好ましくは前記受光信号の変動のパターンにおけるパルス形状部の近似曲線の統計情報により判別することを特徴とする。
【0011】
本発明の光計測装置は、好ましくは前記受光信号は、パルス形状部のパターン解析をすることを特徴とする。
【0012】
本発明の光計測装置は、好ましくは前記受光信号は、変動のパターンから複数のピーク値を補正して単一パルス近似曲線を解析することを特徴とする。
【0013】
本発明の光計測装置は、好ましくは前記受光信号は、変動のパターンの任意領域を情報解析し、サンプルの形状を識別することを特徴とする。
【0014】
本発明の光計測装置は、好ましくは前記サンプルは、複数の波長からの受光信号により解析することを特徴とする。
【0015】
本発明の光計測装置は、好ましくは前記受光信号は、変動のパターンを解析し、細胞の種類を識別することを特徴とする。
【0016】
本発明の光計測装置は、好ましくは前記サンプルである細胞周期の任意期の特定領域または多倍体核の領域の認識をすることを特徴とする。
【0017】
本発明の光計測装置は、好ましくは前記照射光の変動のパターンを解析した複数の情報からサンプルの大きさ、形状、内部構造を識別することを特徴とする。
【0018】
本発明の光計測装置は、好ましくは前記照射光を受光する複数の前記受光部を備えることを特徴とする。
【0019】
本発明の光計測装置は、好ましくは前記受光部は、前記サンプルの蛍光情報と側方散乱光の受光信号と合わせて解析することを特徴とする。
【0020】
本発明の光計測装置は、好ましくは前記識別結果から、任意のサンプルを分取することを特徴とする。
【0021】
本発明の光計測方法は、液体に分散させたサンプルに対してシングルモード光を照射することで、前記サンプルの大きさ、形状、内部構造光情報を測定するための光計測方法であり、
光源部から前記液体に前記照射光を照射し、
前記照射光に対して前記サンプルの相対位置が等速で変化される状態で、前記光源部の前記照射光を前記液体に照射して、前記液体を透過した前記照射光を含む前記サンプルの光情報を受光部により受光して受光信号を発生し、
測定部により前記サンプルによる前記受光信号の変動を測定することを特徴とする光計測方法。本発明の光計測装置は、好ましくは前記受光信号のパルス最大値、幅、あるいは面積を測定することを特徴とする。
【0022】
液体に分散させたサンプルに対してシングルモード光を照射することで、前記サンプルの大きさ、形状、内部構造光情報を測定するための光計測方法であり、
光源部から前記液体に前記照射光を照射し、
前記照射光に対して前記サンプルの相対位置が等速で変化される状態で、前記光源部の前記照射光を前記液体に照射して、前記液体を通過した測定光を含む前記サンプルの光情報を受光部により受光して受光信号を発生し、
測定部により前記サンプルによる前記受光信号の変動を測定することを特徴とする。
【0023】
本発明の光計測方法は、好ましくは液体中の細胞に対して照射光を照射して前記液体及び前記細胞を通過して得られる透過光を受光することで、前記細胞の光情報を測定するための光計測方法であり、
光源部から前記細胞に前記照射光を照射し、
前記照射光に対して前記細胞の相対位置が等速で変化される状態で、前記光源部の前記照射光を前記液体に照射して、前記透過光を受光して受光信号を発生する際に、前記透過光の強さが時間的に変化することを計測することを特徴とする光計測方法。
【0024】
本発明の光計測方法は、好ましくは前記透過光の強さの減衰と増幅が計測できることを特徴とする。
本発明の光計測方法は、好ましくは前記透過光の強さは、前記細胞種または細胞核の数によって、経時的に変化して二以上の減衰波形部を持つ波形となることを特徴とする。特に細胞周期の多倍体核領域における前記波形の変化によって、該当細胞の状態を特定する。
【0025】
本発明の光計測方法は、好ましくは前記透過光の強さは、前記細胞種または細胞核の数によって、経時的に変化して減衰波形部と増幅波形部を繰り返す波形となることを特徴とする。
【0026】
本発明の光計測方法は、好ましくは前記透過光の強さは、前記細胞核の数と前記細胞核の大きさで表せる前記細胞の属性と性質により、時間的に変化することを特徴とする。
本発明の光計測方法は、好ましくは液体中の細胞に対して照射光を照射して前記液体の前記細胞を通過して得られる透過光を受光することで、前記細胞の光情報を測定するための光計測方法であり、
光源部から前記細胞に前記照射光を照射し、
前記照射光に対して前記細胞の相対位置が等速で変化される状態で、前記光源部の前記照射光を前記液体に照射して、前記透過光を受光部で受光して、
前記時間的に変化した前記透過光の強さの波形形状は、予め用意された1つ又は複数の標準的なテンプレート波形に近似させることにより層別して、前記細胞の性質を特定することを特徴とする。
【0027】
本発明の光計測方法は、好ましくは前記透過光の強さを用いて、経時的に変化して減衰波形部と増幅波形部を繰り返す波形により前記細胞の種類、または同種類の前記細胞中の異なる性質を示すがん細胞を特定することを特徴とする。
【0028】
本発明の光計測方法は、好ましくは前記透過光の強さを用いて、A種類特殊細胞、B種類特殊細胞、C種類特殊細胞の内のB種類特殊細胞を特定し、またはA種類特殊細胞中の異常細胞をがん細胞として特定することを特徴とする。
本発明の光計測方法は、好ましくは前記透過光の強さは、血液細胞を含む特定の前記細胞を特定することを特徴とする。
【0029】
本発明の光計測方法は、好ましくは前記透過光の波長は、325nm〜900nmであることを特徴とする。
本発明の光計測方法は、好ましくは前記光源部から前記細胞に向かって照射された前記照射光は、前記光源部から前記受光部に向けて広がることを特徴とする。
【0030】
本発明の光計測方法は、好ましくは前記受光部は、電荷結合素子カメラであり、前記細胞が流路に流れること、あるいは細胞が液中に静止の状態でも、前記細胞、前記照射部、および前記受光部の三者間の相対位置の静止または変化することによって、受光信号の強さ及びその強さの二次元分布状態が計測されることを特徴とする。
【0031】
本発明の光計測方法は、好ましくは母集団の前記細胞に対する前記透過光強度の波形変化波形を複数のグループ別に分けて、前記グループ別の頻度分布を持って、前記細胞の前記母集団の違いを見分けて評価することを特徴とする。
本発明の光計測方法は、好ましくは前記複数個の細胞から取得した透過光波形の計測結果を、波形を複数の種類に層別し、各前記種類の全体に対する統計情報から、前記細胞の種類及び状態を特定することを特徴とする。
【0032】
本発明の光計測方法は、好ましくは前記透過光の増幅は、前記細胞の大きさや細胞核の数と大きさの細胞の属性と性質による前記透過光の干渉現象が引き起こされることによって計測される前記透過光の強さの時間的変化であることを特徴とする。
【0033】
本発明の光計測方法は、好ましくは前記識別結果から、任意のサンプルを分取することを特徴とする。本発明の光計測方法は、好ましくは特定された前記細胞を分注して選別することを特徴とする。本発明の光計測方法は、好ましくは選別された前記細胞に対して、培養することや所定の試薬を加えることによって、選別された前記細胞の経時変化を評価することを特徴とする。
【発明の効果】
【0034】
本発明の光計測装置と光計測方法によれば、サンプルの形状情報を正確に計測することができる。
本発明の光計測方法によれば、細胞の種類の判別ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。
図1と図2は、本発明の光計測装置の好ましい実施形態を示している。図1は、光測定装置の側面図であり、図2は、図1におけるK−K線における断面図である。図1と図2に示す光計測装置1の構成例について説明する。
【0036】
図1に示す光計測装置10は、一例としてフローサイトメータの光計測部として用いられている。フローサイトメータ1は、この光計測装置10と、液体にサンプル(被検微小物)Sが分散された液体11を供給するための供給部12と、サンプルの分注部13を有している。
【0037】
供給部12は、このサンプルSが分散された液体11を、サンプル流11Sとしてシース流19と共にZ1方向に(図1の例では、上側からした側に向けて)チューブ14を通じてキャピラリー30に供給することができる。
【0038】
光計測装置10のキャピラリー30を通過した液体11のサンプルSは、分注部13において必要なものと不要なものに分けることができる。
図1に示す光計測装置10は、照射光Lをキャピラリー30内の液体11のサンプル流11SとサンプルSに照射する光源部20と、サンプルSを含むサンプル流11Sを流すための流路としてのキャピラリー30と、透過光の受光部31と、側方散乱光の受光部50と、制御部100を有している。制御部100は、解析部ともいい、測定信号からサンプルの大きさ、形状、内部構造を解析する。
【0039】
上記サンプルは、微小物ともいう。シングルモードは、ガウス分布の強度パターンである。サンプルの光情報を測定するための光計測装置は、サンプル計測装置や微小物計測装置ともいい、サンプルの大きさ、形状、内部構造を測定する装置である。
【0040】
光計測装置10の光源部20は、キャピラリー30内の液体11に対して、照射光Lを照射して、受光部31は、照射光Lを含む任意領域を受光情報L1を受光部31により受光する。これにより、受光部31は、受光信号SG1を測定部120に送る。測定部120は、サンプルSによる受光信号SG1の変動を解析することで、例えばサンプルSの大きさ情報、形状認識、細胞認識などの形状情報を識別するようになっている。
【0041】
一例として、光源部20は、例えばレーザダイオードのようなレーザ光源21と、照射用の光ファイバ22から構成されている。受光部13は、例えば図2に示すように、受光用の光ファイバ32と、フォトダイオードのような受光素子33から構成されている。図1に示すように、光源部20の第1光軸D1と受光部31の第2光軸D2は、好ましくは一致している。
【0042】
光計測装置10では、レーザ光源21が発生するシングルモードの励起光(照射光)Lを、キャピラリー30内の液体11のサンプル流11Sと、この液体11のサンプル流11Sを通過するサンプルサンプルSに照射して、サンプルSの光情報(蛍光情報)を測定する。すなわち、受光部31は、照射光Lに対してサンプルSの相対位置が等速で変化される状態で、光源部20の照射光Lを液体11のサンプル流11Sに照射して、液体11のサンプル流11Sを透過した照射光Lを含む光情報を、受光部31により受光する。受光部31は、受光信号SG1を測定部120に送る。
【0043】
側方散乱光の受光部50は、キャピラリー30の側方に配置されており、液体11のサンプル流11SとサンプルSから得られる散乱光を受光することができる。
受光部31からの受光信号SG1と、受光部50からの受光信号SG2は、制御部100の測定部120により処理されるようになっている。
【0044】
図1と図2に示すサンプルSとしては、例えば大きさが5μmの細胞であり、サンプル流11Sはシース流19で包み込むような形で、光計測装置10のキャピラリー30内を通過させるようにして流すようになっている。このシース流19を用いたシースフロー技術は、サンプル流11Sとシース流19の圧力差によりサンプル流11Sの幅を任意に制御して、サンプル流11Sの圧損の低減と詰まりの防止を図っている。
【0045】
ここで、図1と図2に示す光計測装置10の動作例を、簡単に説明する。
図1に示す供給部12は、サンプルSを分散した液体11を、キャピラリー30内においてサンプル流11Sとしてシース流19と共にZ1方向に(図1の例では、上側からした側に向けて)チューブ14を通じて供給する。
【0046】
レーザ光源21が発生する照射光Lは、キャピラリー30内の液体11のサンプル流11Sと、このサンプル流11Sを通過するサンプルSに照射して、サンプル流11Sを透過する照射光Lを含む任意領域の光をサンプルSの光情報(透過光情報)として受光部31において受光する。また、側方散乱光の受光部50は、サンプル流11SとサンプルSから得られる散乱光及び蛍光を受光する。受光部31からの受光信号SG1と、受光部50からの受光信号SG2は、制御部100の測定部120により処理される。制御部100は、レーザ光源21の駆動を制御する。
【0047】
図3は、縦軸に側方散乱光を示し、横軸に透過光を示している。図3に示すように、塚光は、側方散乱光に比べて、分散しておらずバラツキが少ない。例えば、図3は、大きさの異なる粒子を測定した結果を、縦軸に側方散乱光を示し、横軸に透過光情報として、変動の最大値(ピーク値)を示して表した散布図であり、それぞれの粒子ごとに分布が分かれていることが確認できる。
【0048】
図4は、各分布の透過光情報の平均値を縦軸に、横軸に粒子径を示した散布図で、粒子径と透過光測定値から求めた近似曲線M1と、粒子径と粒子面積から求めた近似曲線M2とを比較して示しており、曲線M1と透過光の計算値の曲線M2は非常に近似していることから、透過光の変動の最大値と、サンプル径(投影面積)には、相関がある。
【0049】
図4は、図1の受光部31が実際に受光した照射光L1を含む透過光を示す曲線M1と、透過光の計算値の曲線M2とを比較して示しており、縦軸が透過光(面積値)であり、横軸がサンプルSのサイズである。図4において、透過光を示す曲線M1と透過光の計算値の曲線M2は非常に近似している。透過光のピーク値と、サンプル径(投影面積)には、相関がある。
【0050】
図5は、図1の透過光の受光部31から得られる受光信号SG1の例を示している。図5(A)は、受光信号SG1の歪度=ゼロ(正規分布)の例であり、図5(B)は、歪度>ゼロの分布例であり、図5(C)は、尖度>ゼロの例を示している。図5(D)は、受光信号SG1のフィッティング(Fitting)解析例を示し、図5(E)は、受光信号SG1のピーク補正例を示している。図5(F)は、受光信号SG1のパルスパターンの例を示し、2つの極値を有している例であり、図5(G)は、受光信号SG1における任意領域の解析対象部分210の例を示している。フィッティングにより、受光信号SG1からノイズを除去して整形して補正する。
【0051】
図6は、図5(D)に示す受光信号SG1のフィッティング解析例を拡大して示している。図6に示すのは、実際の受光信号SG1の形状例と、その受光信号SG1をフィッティング解析した結果を示すフィッティング曲線Hの形状例である。実際の受光信号SG1は、ノイズを含んでいて滑らかな形状ではなく、ピーク値が波形の中心位置にない場合など、フィッティング曲線Hから特徴量を求めることでバラツキを低減している。
【0052】
図7は、受光信号SG1のパルス形状が単一ピーク値ではなく第1極値P1と第2極値P2を有している場合を示しており、受光信号SG1は正規分布とは相関が低い。この場合には、中心を除く解析対象部分(裾部分Cから第1極値P1まで)210の近似曲線から、破線で示すピーク値220を予測して算出して解析することで、受光信号SG1のバラツキを低減することができる。
【0053】
図8は、サンプルSの例として球状の細胞300の例を示し、図9は、サンプルSの別の例として長細い細胞310の例を示している。
図8(A)は、球状の細胞300を測定した場合の受光信号SG1を示しており、図8(B)は、球状の細胞300と照射光Lの照射領域400を示している。図8(B)では、照射領域400が円形状であり、球状細胞300がZ1方向に通過することで、図8(A)に示す受光信号SG1が得られる。
【0054】
同様にして、図9(A)は、長細い細胞310を測定した場合の受光信号SG1を示しており、図9(B)は、長細い細胞310と照射光Lの照射領域500を示している。図9(B)では、照射領域500が円形状であり、長細い細胞310がZ1方向に通過することで、図9(A)に示す受光信号SG1が得られる。
【0055】
図8(A)に示す受光信号SG1の解析対象部分210と、図9(A)に示す受光信号SG1の解析対象部分210と比較すると、球状の細胞300と長細い細胞310が同体積の細胞であっても、球状の細胞300の形状と長細い細胞310の形状が異なることから、球状の細胞300と長細い細胞310がそれぞれ照射領域400,500に入る時と、照射領域400,500から出る時には、図8(A)に示す受光信号SG1の解析対象部分210のパターンの立ち上がりと立ち下がりの傾きと、図9(A)に示す受光信号SG1の解析対象部分210のパターンの立ち上がりと立ち下がりの傾きがそれぞれ異なる。しかし、球状の細胞300と長細い細胞310がそれぞれ照射領域400,500に入ってしまうとほぼ同じパターンになることが分かる。なお、照射領域400,500の領域の大きさは同じである。
【0056】
図10は、本発明の他の実施形態を示しており、図1の実施形態とは異なり、複数の光源部20と受光部31の組211,212が配置されている。一方の光源部20と受光部31の組211と、他方の光源部20と受光部31の組212とは、互いに異なる波長の例えばレーザ光を液体11のサンプルSに対して照射することができる。つまり、複数の光源部が発生する照射光の波長を2つ以上に変えることで、それぞれ独立して光情報を得ることができ、波長に対する波形の変化を解析してサンプルSを識別することができる。これにより、サンプルの種類を、より確実に判別することができる。
【0057】
なお、本発明では、光源部が液体と計測対象物(サンプル)である細胞等に照射する光を照射光と呼び、計測対象物(サンプル)である細胞を通過した照射光を透過光、と呼んで区別している。透過光の波長は、325nm〜900nmを採用できるが、特に透過光の波長は635nmまたは488nmが望ましい。
【0058】
図11に示すように、本発明の実施形態では、照射光Lは、光源部20の例えばレーザ光源から液体と細胞S1のようなサンプルSに対して照射されるが、この照射光Lは光源部20から受光部31に向けて広がる。受光部31の受光素子としては、例えば光電子増倍管、CCD(電荷結合素子)、フォトダイオードなどを採用できる。光源部から前記細胞に向かって照射された照射光は、光源部から受光部に向けて平行であるか光源部から受光部に向けて広がる。
【0059】
本発明の光計測方法の実施形態では、図11に示すように流路に流れる液体11S中の細胞S1に対して照射光Lを照射して液体の細胞を通過して得られる透過光を受光することで、細胞S1の光情報を測定する。光源部20から細胞S1に照射光Lを照射し、照射光Lに対して細胞S1の相対位置が図11の紙面垂直方向に沿って等速で変化される状態で、光源部20の照射光Lを液体に照射して、透過光を受光部31で受光して受光信号を発生する際に、透過光の強さが時間的に変化することを測定部120により計測する。これにより、透過光の強さが時間的に変化することからこの時間的な変化から細胞S1の種類の判別ができる。
【0060】
この計測の際には、透過光の強さの減衰と増幅が計測できる。透過光の強さは、細胞種または細胞核の数によって、経時的に変化して二以上の減衰波形部を持つ波形となる。透過光の強さは、前記細胞種または細胞核の数によって、経時的に変化して減衰波形部と増幅波形部を繰り返す波形となる透過光の強さは、細胞核の数と細胞核の大きさで表せる細胞の属性と性質により、時間的に変化する。
【0061】
液体中の細胞に対して照射光を照射して液体の細胞を通過して得られる透過光を受光することで、細胞の光情報を測定する際に、光源部から前記細胞に前記照射光を照射し、照射光に対して細胞の相対位置が等速で変化される状態で、光源部の照射光を液体に照射して、透過光を受光部で受光して、時間的に変化した透過光の強さの波形形状は、予め用意された1つ又は複数の標準的なテンプレート波形に近似させることにより層別して、細胞の性質を特定することができる。
【0062】
透過光の強さを用いて、経時的に変化して減衰波形部と増幅波形部を繰り返す波形により細胞の種類、または同種類の前記細胞中の異なる性質を示すがん細胞を特定する。透過光の強さを用いて、A種類特殊細胞、B種類特殊細胞、C種類特殊細胞の内のB種類特殊細胞を特定し、またはA種類特殊細胞中の異常細胞をがん細胞として特定する。透過光の強さは、血液細胞を含む特定の細胞を特定する。透過光の波長は、325nm〜900nmである。
【0063】
複数個の細胞から取得した透過光波形の計測結果を、波形を複数の種類に層別し、各種類の全体に対する統計情報から、細胞の種類及び状態を特定する。透過光の増幅は、細胞の大きさや細胞核の数と大きさの細胞の属性と性質による透過光の干渉現象が引き起こされることによって計測される透過光の強さの時間的変化である。この識別結果から、細胞の評価方法では任意のサンプルを分取することができる。細胞の取得方法としては、特定された前記細胞を分注して選別する。選別された細胞に対して、培養することや所定の試薬を加えることによって、選別された細胞の経時変化を評価する。
【0064】
例えば、図12は、透過光を受光した場合の図1に示す受光信号SG1の波形形状例を示している。
図12(A)は、通常の単一ピークを有する透過光パターン波形形状を示している。この単一ピークを有する透過光パターン波形形状は、非透過性ビーズおよびある種の細胞の透過光強度の減衰波形データであり、下側に1つの凸部を有する単一ピーク波形形状である。この場合には、波形の谷が1つであり、通常の前方散乱に対応する信号である。
【0065】
図12(B)と図12(C)は、細胞によって確認される透過光パターン波形形状(マルチピーク)の例を示しており、例えばマウス細胞で多く確認されている。従って、サンプルSである細胞S1の種類により、透過光を受光した場合の透過光パターン波形形状が異なる。この場合には、波形の谷が2つで山が1つであり、本来は図12(A)のような波形が出るはずであるが、細胞の内部の状態の変化でこのような波形が出る。
図12(B)に示す透過光パターン波形形状は、2つの下に凸部を有するマルチピーク波形形状であり、干渉などの光現象による減衰度合いの変化波形を示すある細胞の透過光の強さを示している。
【0066】
さらに、図12(C)に示す透過光パターン波形形状は、2つの下に凸部を有するマルチピーク波形形状であり、図12(B)の透過光パターン波形形状に比べて、干渉などの光現象による減衰度合いの更に大きい変化波形を示すある細胞の透過光の強さを示している。
【0067】
図12(B)と図12(C)に示す透過光パターン波形形状を得て、透過光の強さは、細胞種を表す細胞核の数によって、二つ以上の減衰波形から形成される。透過光の強さは、細胞種を表す細胞核の数によって、時間経過とともに減衰波形と増幅波形を繰り返すことで形成される。透過光の強さは、細胞核の数や細胞核の大きさ等で表せる細胞の属性と性質により、時間的に変化する。
【0068】
これにより、透過光パターン波形形状を得ることにより、図12(A)に示す透過光パターン波形形状のように、非透過性のビーズあるいはある種の細胞では、透過光の強さが単一ピーク波形形状となって減衰する。これに対して、図12(B)と図12(C)に示す透過光パターン波形形状のように、透過光の強さが減衰波形と増幅波形の繰り返し挙動を示す。
【0069】
また、本発明の光計測方法の実施形態では、流路に流れる液体中の細胞に対して照射光を照射して液体の細胞を通過して得られる透過光を受光することで、細胞の光情報を測定する。この際に、光源部20から細胞S1に照射光Lを照射し、照射光Lに対して細胞S1の相対位置が等速で変化される状態で、光源部20の照射光Lを液体に照射して、透過光を受光して受光信号を発生する際に、透過光の強さが時間的に変化することを測定部120により計測し、時間的に変化した透過光の強さの波形形状は、予め用意された標準的なテンプレート波形に近似させることにより、細胞の性質を特定する。透過光の強さは、時間経過とともに減衰波形と増幅波形を繰り返すことで形成され、細胞の種類、または同種類の前記細胞中の異なる性質を示すがん細胞を特定する。特定された細胞は、分注して選別することができる。選別された細胞に対して、培養することや所定の試薬等を加えることによって、その細胞の経時変化を評価することができる。
【0070】
透過光の強さを用いて、例えばA種類特殊細胞、B種類特殊細胞、C種類特殊細胞の内のB種類特殊細胞を特定し、またはA種類細胞中の異常細胞をがん細胞として特定する。また、透過光の強さを用いて、血液細胞中の細胞の特定を行う。
【0071】
図13は、透過光を受光した場合の透過光パターン波形形状の別の波形形状例を示している。図13(A)と図13(B)は、ある種のがん細胞と思われる細胞から得られる透過光パターン波形形状(マルチピーク)D1,D2の例をそれぞれ示しており、透過光パターン波形形状D1,D2は、それぞれ三つ以上の減衰波形と増幅波形を有している。これらの透過光パターン波形形状は、干渉などの光現象による複数の減衰波形と増幅波形を有する。
【0072】
図14は、測定対象のある種の細胞ががん細胞である性質を特定するための予め用意された標準的なテンプレート波形(比較検討用の波形)Dの一例を示している。図14の標準的なテンプレート波形には、複数の計算用パラメータH1,H2,L1,L2,L3,A1,A2,B1などがある。
【0073】
図13(A)と図13(B)に示すある種の細胞による透過光パターン波形形状D1,D2が実測される。実測された透過光パターン波形形状D1,D2に対して、予め用意された標準的なテンプレート波形Dに属する処理が高速で行われて、このある種の細胞ではがん細胞の性質を特定することができる。つまり、同じ細胞種の正常細胞とがん細胞の識別を行うことができる。図13(A)と図13(B)の場合では、波形の谷が3つで山が2つであり、山と谷の数が同じであるが異なる。波形の周波数解析を用いるとパワースペクトルのピーク位置が変化してアナログ的に波形を特定できる。谷の数と山の数で種別する場合はデジタル的になる。
【0074】
透過光の強さは、血液細胞を含む特定の細胞を特定することができる。
受光部は、上述したように電荷結合素子カメラであり、細胞が細い流路に流れること、あるいは細胞が液中に静止の状態でも、細胞、照射部、および受光部の三者間の相対位置の静止または変化することによって、計測される。これにより、細胞が細い流路に流れていても、あるいは細胞が液中に静止の状態でも、細胞、照射部、および受光部の三者間の相対位置の静止または変化することによって、透過光の強さを計測することができる。
【0075】
母集団の前記細胞に対する前記透過光強度の波形変化波形を複数のグループ別に分けて、前記グループ別の頻度分布を持って、前記細胞の前記母集団の違いを見分けて評価するができる。一例として、図15は、細胞A,B,Cの母集団(1)と母集団(2)を示す。図15に示す2つの母集団(1)の細胞と母集団(2)の細胞におけるA,B,Cの波形の分布が異なる。この際に、母集団(1)と母集団(2)が異なる状態の細胞であることと、母集団(1)の細胞にある種の試薬を加えたことによって、経時的に母集(1)の細胞の変化状況が反映できたことを意味する。
【0076】
従来の細胞認識・解析には、細胞の核染色や細胞表面の抗原・抗体反応によって行われていた。しかし、細胞の核染色が細胞を死滅させる欠点があり、細胞表面の抗原・抗体反応にも抗原・抗体反応によって細胞にダメージを与えることに加え、抗体がなければ、細胞の認識ができない問題がある。
本発明の実施形態では、無染色でも細胞の認識・分析ができるので、特に細胞の培養や薬などによる細胞の経時的変化を評価する必要がある用途には、必要不可欠とされている。
【0077】
本発明の実施形態では、透過光は、細胞を通過した光であり、通過の際に生じる回折光及び散乱光を含む。本発明の実施形態では、透過光の強さの経時的な変化の波形は、透過光の強さの変動パターンともいう。本発明の実施形態では、光源部からの照射光は細胞に照射する光である。
【0078】
細胞の計測を行う場合に、1つの細胞に対する透過光の強度の時間変化を波形パターンと認識し、この波形の数、波形の谷と波形の山の関係により、この波形パターンの特徴量とすることができる。波形パターンを周波数解析した結果を元に、波形パターンの特徴量を決める。具体的には、波形パターンの特徴量としては、パワースペクトルの最大値やピーク値、ピーク値の数や比率を用いる。細胞を解析する場合には、この波形パターンの特徴量と細胞種や細胞の内部状態や細胞核の数や核の状態を判別することができる。
【0079】
励起光と、少なくとも細胞を透過した光(これらを全て合わせて透過光と呼ぶ)を計測できる位置に、受光部のような計測手段を設ける。この場合、励起光と、細胞を通過した光や細胞により反射・前方散乱した光(この場合にはこれらを全て合わせて透過光と呼ぶ)を計測できる位置に、受光部のような計測手段を設ける。この計測手段が、光ファイバであり、光ファイバのコア部は、透過光の計測手段の励起光スポットよりも小さい。
【0080】
透過光の波形パターン計測の情報を用いて、細胞の種類または同種類の細胞中の異なる性質を示すがん細胞を解析する。この場合に、透過光の波形パターン計測の情報より波形パターンの特徴量を抽出して、特徴量を用いて細胞の種類または、同種類の細胞中の異なる性質を示すがん細胞を解析する。
【0081】
透過光の波形パターン計測の情報を用いて、複数の細胞の中より特定の細胞を識別するか、同一の細胞の中より細胞内の状態が異なる細胞を識別する。例えば、透過光の波形パターン計測の情報を用いて、複数の細胞の中よりがん細胞を識別するか、同一のがん細胞の中より細胞内の状態が異なるがん細胞を識別する。
【0082】
細胞の状態とは、細胞の大きさや細胞核の数と大きさの細胞の属性と性質だけではなく、例えば細胞質の中のタンパク質の状態やその他の組織の状態なども含む。細胞の大きさや細胞核の数と大きさや細胞質の中のタンパク質の状態などにより透過光の干渉現象が引き起こされる。
【0083】
受光部は、例えば電荷結合素子カメラであるが、細胞が流路に流れること、あるいは細胞が液中に静止の状態でも、前記細胞、前記照射部、および前記受光部の三者間の相対位置の静止または変化することによって、受光信号の強さ及びその強さの二次元分布状態が計測される。
【0084】
本発明の実施形態では、光源部が発生する照射光(入射光)は、平行光、あるいは平行光に近い光(光ファイバのNA(開口数)の広がり角までの範囲)である。受光部で検出する検出光は、透過光情報と側方散乱光や後方散乱光などの散乱光情報を用いることができる。ここで透過光は、照射光(入射光)が直接測定できる位置で計測した光情報である。
【0085】
また、受光信号の変動、すなわち透過光の変動とは、照射領域にサンプルSが存在しない場合の照射光Lを直接受光している受光信号値を基準とした、サンプルSが照射領域を通過した際の経時的な信号変化である。サンプルSが照射領域にかかることで、照射光Lは、サンプルによる散乱、吸収、透過(回折、干渉を含む)により、受光される光量が変化する。例えば、均一物質の粒子であれば、照射光は正規分布の強度パターン(シングルモード)であることから、照射領域中心にサンプルが位置したときに受光信号は一番小さくなり、単一ピークのパルス形状の信号変化が得られる。このピーク値から、サンプルの大きさが同定可能である。
【0086】
対象物であるサンプルSは、流路内を流れる細胞、粒子、細菌などの生体、あるいは無機の物質である。
【0087】
透過光情報や散乱光情報を処理して、サンプルSの大きさや内部構造の情報を得ることができる。照射光としては、シングルモードの光を照射する。液体を透過した照射光を含む光情報が受光部により検出されることにより、受光信号SG1の時間的変化の波形の形状の変化(周波数成分の変化)あるいは、標準波形からの変化を検出してサンプルSの種類を判別する。
【0088】
本発明の実施形態では、フローセルとしてのキャピラリー30内の液体11に照射光
を照射して、照射光を含む任意領域を受光部で受光することにより、受光部は受光信号SG1を発生し、受光信号SG1のサンプルSによる変動を解析することで、大きさ情報の精度向上および形状の認識、細胞認識を行う。
【0089】
本発明の光計測装置は、流路内を流れる液体に分散させたサンプルに対して光を照射することで、前記サンプルの光情報を測定するために用いられ、液体11に照射光Lを照射する光源部20と、照射光に対してサンプルSの相対位置が等速で変化される状態で、光源部20の照射光を液体に照射して、液体を透過した照射光を含むサンプルSの光情報を受光して受光信号SG1を発生する受光部31と、サンプルによる受光信号の変動を測定する測定部120と、を備える。これにより、サンプルの形状情報(大きさ、細胞の種類、円形、長細などの外形形状など)を正確に計測することができる。識別結果から、任意のサンプルを分取することができる。
【0090】
光計測装置では、サンプルSは、流路内を流れる液体に分散されている。これにより、サンプルSは、液体を流路に流すだけで照射光に対してサンプルSの相対位置を等速で変化させることができる。
【0091】
光計測装置では、測定用の照射光Lは、光ファイバ22により照射される非集光の光である。これにより、液体内の任意の範囲のサンプルSに対して照射光を照射することができる。
【0092】
光計測装置では、液体を通過した照射光Lは、光ファイバ32により受光される。これにより、サンプルSの光情報を含む照射光Lは、光ファイバ32を用いて受光部31において確実に受光できる。
【0093】
光計測装置では、サンプルSによる受光信号SG1の変動は、照射光Lに対してサンプルSの相対位置が等速で変化されることにより受光信号SG1の変化である。これにより、サンプルSの形状が正確に得られる。
光計測装置では、サンプルSによる受光信号SG1の変動のパターンを解析することで、サンプルSの違いを確実に識別できる。
【0094】
光計測装置は、受光信号の変動のパターンにおけるパルス形状部の最大値、幅、あるいは面積を測定する。
【0095】
光計測装置は、受光信号の変動のパターンにおけるパルス形状部の最大値から、サンプルの大きさを識別する。
【0096】
光計測装置は、受光信号の変動のパターンにおけるパルス形状部の近似曲線の統計情報により判別する。
【0097】
光計測装置は、受光信号は、パルス形状部のパターン解析をする。
光計測装置は、受光信号は、変動のパターンから複数のピーク値を補正して単一パルス近似曲線を解析する。
【0098】
光計測装置は、受光信号は、変動のパターンの任意領域を情報解析し、サンプルの形状を識別する。
光計測装置は、サンプルは、複数の波長からの受光信号により解析する。
光計測装置は、受光信号は、変動のパターンを解析し、細胞の種類を識別する。
光計測装置は、サンプルである細胞周期の任意期の特定領域の認識をする。
光計測装置は、照射光の変動のパターンを解析した複数の情報からサンプルの大きさ、形状、内部構造を識別する。
【0099】
光計測装置は、照射光を受光する複数の前記受光部を備える。
光計測装置は、受光部は、前記サンプルの蛍光情報と側方散乱光を受光する。これにより、例えば細胞の種類を確実に計測することができる。
【0100】
光計測装置は、識別結果から、任意のサンプルを分取する。これにより、複数のサンプルから識別した任意のサンプルを分けて取り除くことができる。
【0101】
ところで、本発明は、上記実施形態に限定されず種々の変形例を採用できる。
図1に示す光源部20は、光ファイバ22とレーザ光源21により構成されていても、レーザ光源21だけで構成されていても良い。透過光の受光部31は、図1に示すように光ファイバ32と受光素子33から構成されていても良いし、受光素子33だけで構成されていても良い。側方散乱光の受光部50は、光ファイバ51と受光素子52から構成されていて良いし、受光素子52だけで構成されていても良い。また、側方散乱光の受光部50は、光ファイバ51に代えて、レンズ系を用いても良い。
【0102】
図1と図2に示すキャピラリー30は例えば断面正方形を有する中空部材であるが、例えば断面長方形やその他の断面形状であっても良い。
本発明の光計測装置は、遺伝子、免疫系、タンパク質、アミノ酸、糖類の生体高分子に関する検査、解析、分析が要求される分野、例えば工学分野、食品、農産、水産加工等の農学全般、薬学分野、衛生、保健、免疫、疫病、遺伝等の医学分野、化学もしくは生物学等の理学分野等、あらゆる分野に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明の光計測装置の好ましい実施形態を含むフローサイトメータの一例を示す斜視図である。
【図2】図1におけるK−K線における断面図である。図1の光計測装置の平面図である。
【図3】縦軸に側方散乱光を示し、横軸に透過光を示している図である。
【図4】図1の受光部が実際に受光した照射光を含む透過光を示す曲線M1と、透過光の計算値の曲線M2とを比較して示す図である。
【図5】図1の透過光の受光部31から得られる受光信号SG1の例を示す図である。
【図6】図である。
【図7】図である。
【図8】サンプルSの例として球状の細胞の例を示す図である。
【図9】サンプルSの別の例として長細い細胞の例を示す図である。
【図10】本発明の他の実施形態を示す図である。
【図11】光源部からの照射光が広がっている様子を示す図である。
【図12】透過光を受光した場合の受光信号の波形形状例を示す図である。
【図13】透過光を受光した場合の受光信号の別の波形形状例を示す図である。
【図14】予め用意された標準的なテンプレート波形例を示す図である。
【図15】細胞A,B,Cの母集団(1)と母集団(2)を示す図である。
【符号の説明】
【0104】
10 光計測装置
11 液体
11S サンプル流
19 シース流
20 光源部
30 キャピラリー(流路の一例)
31 受光部
120 測定部
S サンプル
L 照射光
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体に分散させたサンプルに対してシングルモード光を照射することで、前記サンプルの光情報を測定するための光計測装置であり、
前記液体に前記照射光を照射する光源部と、
前記照射光に対して前記サンプルの相対位置が等速で変化される状態で、前記光源部の前記照射光を前記液体に照射して、前記液体を透過した前記照射光を含む前記サンプルの光情報を受光して受光信号を発生する受光部と、
前記サンプルによる前記受光信号の変動を測定する測定部と、測定信号からサンプルの大きさ、形状、内部構造を解析する制御部を備えることを特徴とする光計測装置。
【請求項2】
前記サンプルは、前記流路内を流れる前記液体に分散されていることを特徴とする請求項1に記載の光計測装置。
【請求項3】
前記測定用の前記照射光は、光ファイバにより照射される非集光の光であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光計測装置。
【請求項4】
前記液体を通過した前記照射光は、光ファイバにより受光されることを特徴とする請求項3に記載の光計測装置。
【請求項5】
前記サンプルによる前記受光信号の変動は、前記照射光に対して前記サンプルの相対位置が等速で変化されることによる前記受光信号の変化であることを特徴とする請求項1に記載の光計測装置。
【請求項6】
前記サンプルによる前記受光信号の変動のパターンを解析することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つの項に記載の光計測装置。
【請求項7】
前記受光信号の変動のパターンにおけるパルス形状部の最大値、幅、あるいは面積を測定することを特徴とする請求項6に記載の光計測装置。
【請求項8】
前記受光信号の変動のパターンにおけるパルス形状部の最大値から、サンプルの大きさを識別することを特徴とする請求項6に記載の光計測装置。
【請求項9】
前記受光信号の変動のパターンにおけるパルス形状部の近似曲線の統計情報により判別することを特徴とする請求項6に記載の光計測装置。
【請求項10】
前記受光信号は、パルス形状部のパターン解析をすることを特徴とする請求項6に記載の光計測装置。
【請求項11】
前記受光信号は、変動のパターンから複数のピーク値を補正して単一パルス近似曲線を解析することを特徴とする請求項1に記載の光計測装置。
【請求項12】
前記受光信号は、変動のパターンの任意領域を情報解析し、サンプルの形状を識別することを特徴とする請求項1に記載の光計測装置。
【請求項13】
前記サンプルは、複数の波長からの受光信号により解析することを特徴とする請求項1に記載の光計測装置。
【請求項14】
前記受光信号は、変動のパターンを解析し、細胞の種類を識別することを特徴とする請求項1に記載の光計測装置。
【請求項15】
前記サンプルである細胞周期の任意期の特定領域または多倍体核の領域の認識をすることを特徴とする請求項1に記載の光計測装置。
【請求項16】
前記照射光の変動のパターンを解析した複数の情報からサンプルの大きさ、形状、内部構造を識別することを特徴とする請求項1に記載の光計測装置。
【請求項17】
前記照射光を受光する複数の前記受光部を備えることを特徴とする請求項1に記載の光計測装置。
【請求項18】
前記受光部は、前記サンプルの蛍光情報と側方散乱光の受光信号と合わせて解析することを特徴とする請求項17に記載の光計測装置。
【請求項19】
前記識別結果から、任意のサンプルを分取することを特徴とする請求項1に記載の光計測装置。
【請求項20】
液体に分散させたサンプルに対してシングルモード光を照射することで、前記サンプルの大きさ、形状、内部構造光情報を測定するための光計測方法であり、
光源部から前記液体に前記照射光を照射し、
前記照射光に対して前記サンプルの相対位置が等速で変化される状態で、前記光源部の前記照射光を前記液体に照射して、前記液体を通過した測定光を含む前記サンプルの光情報を受光部により受光して受光信号を発生し、
測定部により前記サンプルによる前記受光信号の変動を測定することを特徴とする光計測方法。
【請求項21】
液体中の細胞に対して照射光を照射して前記液体及び前記細胞を通過して得られる透過光を受光することで、前記細胞の光情報を測定するための光計測方法であり、
光源部から前記細胞に前記照射光を照射し、
前記照射光に対して前記細胞の相対位置が等速で変化される状態で、前記光源部の前記照射光を前記液体に照射して、前記透過光を受光して受光信号を発生する際に、前記透過光の強さが時間的に変化することを計測することを特徴とする光計測方法。
【請求項22】
前記透過光の強さの減衰と増幅が計測できることを特徴とする請求項21に記載の光計測方法。
【請求項23】
前記透過光の強さは、前記細胞種または細胞核の数によって、経時的に変化して二以上の減衰波形部を持つ波形となることを特徴とする請求項21に記載の光計測方法。
【請求項24】
前記透過光の強さは、前記細胞種または細胞核の数によって、経時的に変化して減衰波形部と増幅波形部を繰り返す波形となることを特徴とする請求項22に記載の光計測方法。
【請求項25】
前記透過光の強さは、前記細胞核の数と前記細胞核の大きさで表せる前記細胞の属性と性質により、時間的に変化することを特徴とする請求項23または請求項24に記載の光計測方法。
【請求項26】
液体中の細胞に対して照射光を照射して前記液体の前記細胞を通過して得られる透過光を受光することで、前記細胞の光情報を測定するための光計測方法であり、
光源部から前記細胞に前記照射光を照射し、
前記照射光に対して前記細胞の相対位置が等速で変化される状態で、前記光源部の前記照射光を前記液体に照射して、前記透過光を受光部で受光して、
前記時間的に変化した前記透過光の強さの波形形状は、予め用意された1つ又は複数の標準的なテンプレート波形に近似させることにより層別して、前記細胞の性質を特定することを特徴とする光計測方法。
【請求項27】
前記透過光の強さを用いて、経時的に変化して減衰波形部と増幅波形部を繰り返す波形により前記細胞の種類、または同種類の前記細胞中の異なる性質を示すがん細胞を特定することを特徴とする請求項26に記載の光計測方法。
【請求項28】
前記透過光の強さを用いて、A種類特殊細胞、B種類特殊細胞、C種類特殊細胞の内のB種類特殊細胞を特定し、またはA種類特殊細胞中の異常細胞をがん細胞として特定することを特徴とする請求項27に記載の光計測方法。
【請求項29】
前記透過光の強さは、血液細胞を含む特定の前記細胞を特定することを特徴とする請求項27に記載の光計測方法。
【請求項30】
前記透過光の波長は、325nm〜900nmであることを特徴とする請求項22〜請求項29のいずれか1つの項に記載の光計測方法。
【請求項31】
前記光源部から前記細胞に向かって照射された前記照射光は、前記光源部から前記受光部に向けて広がることを特徴とする請求項30に記載の光計測方法。
【請求項32】
前記受光部は、電荷結合素子カメラであり、前記細胞が流路に流れること、あるいは細胞が液中に静止の状態でも、前記細胞、前記照射部、および前記受光部の三者間の相対位置の静止または変化することによって、受光信号の強さ及びその強さの二次元分布状態が計測されることを特徴とする請求項30に記載の光計測方法。
【請求項33】
母集団の前記細胞に対する前記透過光強度の波形変化波形を複数のグループ別に分けて、前記グループ別の頻度分布を持って、前記細胞の前記母集団の違いを見分けて評価することを特徴とする請求項26に記載の光計測方法。
【請求項34】
前記複数個の細胞から取得した透過光波形の計測結果を、波形を複数の種類に層別し、各前記種類の全体に対する統計情報から、前記細胞の種類及び状態を特定することを特徴とする請求項26に記載の光計測方法。
【請求項35】
前記透過光の増幅は、前記細胞の大きさや細胞核の数と大きさの細胞の属性と性質による前記透過光の干渉現象が引き起こされることによって計測される前記透過光の強さの時間的変化であることを特徴とする請求項26に記載の光計測方法。
【請求項36】
前記識別結果から、任意のサンプルを分取することを特徴とする請求項26〜請求項35のいずれか1つの項に記載の光計測方法。
【請求項37】
特定された前記細胞を分注して選別することを特徴とする請求項36に記載の光計測方法。
【請求項38】
選別された前記細胞に対して、培養することや所定の試薬を加えることによって、選別された前記細胞の経時変化を評価することを特徴とする請求項37に記載の細胞の評価方法。
【請求項1】
液体に分散させたサンプルに対してシングルモード光を照射することで、前記サンプルの光情報を測定するための光計測装置であり、
前記液体に前記照射光を照射する光源部と、
前記照射光に対して前記サンプルの相対位置が等速で変化される状態で、前記光源部の前記照射光を前記液体に照射して、前記液体を透過した前記照射光を含む前記サンプルの光情報を受光して受光信号を発生する受光部と、
前記サンプルによる前記受光信号の変動を測定する測定部と、測定信号からサンプルの大きさ、形状、内部構造を解析する制御部を備えることを特徴とする光計測装置。
【請求項2】
前記サンプルは、前記流路内を流れる前記液体に分散されていることを特徴とする請求項1に記載の光計測装置。
【請求項3】
前記測定用の前記照射光は、光ファイバにより照射される非集光の光であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光計測装置。
【請求項4】
前記液体を通過した前記照射光は、光ファイバにより受光されることを特徴とする請求項3に記載の光計測装置。
【請求項5】
前記サンプルによる前記受光信号の変動は、前記照射光に対して前記サンプルの相対位置が等速で変化されることによる前記受光信号の変化であることを特徴とする請求項1に記載の光計測装置。
【請求項6】
前記サンプルによる前記受光信号の変動のパターンを解析することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つの項に記載の光計測装置。
【請求項7】
前記受光信号の変動のパターンにおけるパルス形状部の最大値、幅、あるいは面積を測定することを特徴とする請求項6に記載の光計測装置。
【請求項8】
前記受光信号の変動のパターンにおけるパルス形状部の最大値から、サンプルの大きさを識別することを特徴とする請求項6に記載の光計測装置。
【請求項9】
前記受光信号の変動のパターンにおけるパルス形状部の近似曲線の統計情報により判別することを特徴とする請求項6に記載の光計測装置。
【請求項10】
前記受光信号は、パルス形状部のパターン解析をすることを特徴とする請求項6に記載の光計測装置。
【請求項11】
前記受光信号は、変動のパターンから複数のピーク値を補正して単一パルス近似曲線を解析することを特徴とする請求項1に記載の光計測装置。
【請求項12】
前記受光信号は、変動のパターンの任意領域を情報解析し、サンプルの形状を識別することを特徴とする請求項1に記載の光計測装置。
【請求項13】
前記サンプルは、複数の波長からの受光信号により解析することを特徴とする請求項1に記載の光計測装置。
【請求項14】
前記受光信号は、変動のパターンを解析し、細胞の種類を識別することを特徴とする請求項1に記載の光計測装置。
【請求項15】
前記サンプルである細胞周期の任意期の特定領域または多倍体核の領域の認識をすることを特徴とする請求項1に記載の光計測装置。
【請求項16】
前記照射光の変動のパターンを解析した複数の情報からサンプルの大きさ、形状、内部構造を識別することを特徴とする請求項1に記載の光計測装置。
【請求項17】
前記照射光を受光する複数の前記受光部を備えることを特徴とする請求項1に記載の光計測装置。
【請求項18】
前記受光部は、前記サンプルの蛍光情報と側方散乱光の受光信号と合わせて解析することを特徴とする請求項17に記載の光計測装置。
【請求項19】
前記識別結果から、任意のサンプルを分取することを特徴とする請求項1に記載の光計測装置。
【請求項20】
液体に分散させたサンプルに対してシングルモード光を照射することで、前記サンプルの大きさ、形状、内部構造光情報を測定するための光計測方法であり、
光源部から前記液体に前記照射光を照射し、
前記照射光に対して前記サンプルの相対位置が等速で変化される状態で、前記光源部の前記照射光を前記液体に照射して、前記液体を通過した測定光を含む前記サンプルの光情報を受光部により受光して受光信号を発生し、
測定部により前記サンプルによる前記受光信号の変動を測定することを特徴とする光計測方法。
【請求項21】
液体中の細胞に対して照射光を照射して前記液体及び前記細胞を通過して得られる透過光を受光することで、前記細胞の光情報を測定するための光計測方法であり、
光源部から前記細胞に前記照射光を照射し、
前記照射光に対して前記細胞の相対位置が等速で変化される状態で、前記光源部の前記照射光を前記液体に照射して、前記透過光を受光して受光信号を発生する際に、前記透過光の強さが時間的に変化することを計測することを特徴とする光計測方法。
【請求項22】
前記透過光の強さの減衰と増幅が計測できることを特徴とする請求項21に記載の光計測方法。
【請求項23】
前記透過光の強さは、前記細胞種または細胞核の数によって、経時的に変化して二以上の減衰波形部を持つ波形となることを特徴とする請求項21に記載の光計測方法。
【請求項24】
前記透過光の強さは、前記細胞種または細胞核の数によって、経時的に変化して減衰波形部と増幅波形部を繰り返す波形となることを特徴とする請求項22に記載の光計測方法。
【請求項25】
前記透過光の強さは、前記細胞核の数と前記細胞核の大きさで表せる前記細胞の属性と性質により、時間的に変化することを特徴とする請求項23または請求項24に記載の光計測方法。
【請求項26】
液体中の細胞に対して照射光を照射して前記液体の前記細胞を通過して得られる透過光を受光することで、前記細胞の光情報を測定するための光計測方法であり、
光源部から前記細胞に前記照射光を照射し、
前記照射光に対して前記細胞の相対位置が等速で変化される状態で、前記光源部の前記照射光を前記液体に照射して、前記透過光を受光部で受光して、
前記時間的に変化した前記透過光の強さの波形形状は、予め用意された1つ又は複数の標準的なテンプレート波形に近似させることにより層別して、前記細胞の性質を特定することを特徴とする光計測方法。
【請求項27】
前記透過光の強さを用いて、経時的に変化して減衰波形部と増幅波形部を繰り返す波形により前記細胞の種類、または同種類の前記細胞中の異なる性質を示すがん細胞を特定することを特徴とする請求項26に記載の光計測方法。
【請求項28】
前記透過光の強さを用いて、A種類特殊細胞、B種類特殊細胞、C種類特殊細胞の内のB種類特殊細胞を特定し、またはA種類特殊細胞中の異常細胞をがん細胞として特定することを特徴とする請求項27に記載の光計測方法。
【請求項29】
前記透過光の強さは、血液細胞を含む特定の前記細胞を特定することを特徴とする請求項27に記載の光計測方法。
【請求項30】
前記透過光の波長は、325nm〜900nmであることを特徴とする請求項22〜請求項29のいずれか1つの項に記載の光計測方法。
【請求項31】
前記光源部から前記細胞に向かって照射された前記照射光は、前記光源部から前記受光部に向けて広がることを特徴とする請求項30に記載の光計測方法。
【請求項32】
前記受光部は、電荷結合素子カメラであり、前記細胞が流路に流れること、あるいは細胞が液中に静止の状態でも、前記細胞、前記照射部、および前記受光部の三者間の相対位置の静止または変化することによって、受光信号の強さ及びその強さの二次元分布状態が計測されることを特徴とする請求項30に記載の光計測方法。
【請求項33】
母集団の前記細胞に対する前記透過光強度の波形変化波形を複数のグループ別に分けて、前記グループ別の頻度分布を持って、前記細胞の前記母集団の違いを見分けて評価することを特徴とする請求項26に記載の光計測方法。
【請求項34】
前記複数個の細胞から取得した透過光波形の計測結果を、波形を複数の種類に層別し、各前記種類の全体に対する統計情報から、前記細胞の種類及び状態を特定することを特徴とする請求項26に記載の光計測方法。
【請求項35】
前記透過光の増幅は、前記細胞の大きさや細胞核の数と大きさの細胞の属性と性質による前記透過光の干渉現象が引き起こされることによって計測される前記透過光の強さの時間的変化であることを特徴とする請求項26に記載の光計測方法。
【請求項36】
前記識別結果から、任意のサンプルを分取することを特徴とする請求項26〜請求項35のいずれか1つの項に記載の光計測方法。
【請求項37】
特定された前記細胞を分注して選別することを特徴とする請求項36に記載の光計測方法。
【請求項38】
選別された前記細胞に対して、培養することや所定の試薬を加えることによって、選別された前記細胞の経時変化を評価することを特徴とする請求項37に記載の細胞の評価方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2008−292448(P2008−292448A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−319704(P2007−319704)
【出願日】平成19年12月11日(2007.12.11)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月11日(2007.12.11)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]